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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】充電システムの管理装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231129BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20231129BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20231129BHJP
   B60L 53/65 20190101ALI20231129BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20231129BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231129BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/80
B60L53/12
B60L53/65
B60L53/66
G08G1/09 F
G08G1/14 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019140439
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021027592
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(72)【発明者】
【氏名】長岡 義矩
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-033258(JP,A)
【文献】特開2012-135110(JP,A)
【文献】特開2010-152511(JP,A)
【文献】特開2013-247796(JP,A)
【文献】特開2015-139280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/80
B60L 53/12
B60L 53/65
B60L 53/66
G08G 1/09
G08G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車区画に設けられ、駐車車両に非接触で電力を供給する電力供給装置を管理する充電システムの管理装置であって、
前記駐車区画を使用する使用車両の有無を管理データとして記憶するメモリと、
コントローラを有し、
前記コントローラは、
車両からの照会要求に応答して前記管理データを参照し、前記使用車両が有る場合、前記駐車区画を使用できないことを示す使用不可通知を前記車両に出力し、
前記使用車両が無い場合、前記駐車区画を使用できることを示す使用可能通知を前記車両に出力するとともに、充電制御の通信セッションを確立するための信号を前記車両に送信し、前記管理データを前記使用車両有りの状態に更新する充電システムの管理装置。
【請求項2】
複数の駐車区画と、前記複数の駐車区画の各々に設置され駐車車両に非接触で電力を供給する複数の電力供給装置を管理する充電システムの管理装置であって、
各駐車区画について使用車両の有無を前記各駐車区画の識別情報と共に管理データとして記憶するメモリと、コントローラを有し、
前記コントローラは、
車両からの、前記複数の駐車区画のうちの一の駐車区画に対する照会要求に応答して前記管理データを参照し、前記一の駐車区画に前記使用車両が有る場合、前記一の駐車区画を使用できないことを示す使用不可通知を前記車両に出力し、
前記使用車両が無い場合、前記一の駐車区画を使用できることを示す使用可能通知を前記車両に出力するとともに、前記一の駐車区画に設置された前記電力供給装置と充電制御の通信セッションを確立するための信号を前記車両に送信し、前記管理データを前記使用車両有りの状態に更新する充電システムの管理装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記一の駐車区画の位置を示す信号を前記車両に出力する
請求項2に記載の充電システムの管理装置。
【請求項4】
駐車区画に設けられ、駐車車両に非接触で電力を供給する電力供給装置を管理するコントローラが行う充電システムの管理方法あって、
車両からの照会要求に応答して、前記前記駐車区画を使用する使用車両の有無を管理データとして記憶するメモリを参照し、前記使用車両が有る場合、前記駐車区画を使用できないことを示す使用不可通知を前記車両に出力し、
前記使用車両が無い場合、前記駐車区画を使用できることを示す使用可能通知を前記車両に出力するとともに、充電制御の通信セッションを確立するための信号を前記車両に送信し、前記管理データを前記使用車両有りの状態に更新する充電システムの管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で車両に電力を供給する電力供給装置を備える充電システムの管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV:Electric Vehicle)やプラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等の電動車両の普及に伴って、充電システムの整備が進められている。充電システムは、電動車両の充電のために策定された通信規格に従って電動車両と通信しながら、電動車両に電力を供給する。充電システムは、電力供給装置と、管理装置とを備える。
【0003】
電力供給装置がケーブルを用いて電動車両に電力を供給する場合、管理装置は、このケーブルを用いて電動車両に搭載された通信装置と通信し、その通信内容に基づいて電力供給装置を制御する。管理装置は、電動車両と有線通信するため、電動車両に搭載された通信装置以外の別の通信装置に誤って接続することはない。
【0004】
電力供給装置が非接触で車両に電力を供給する場合、管理装置は、電動車両と無線通信しながら電力供給装置を制御する。特許文献1は、充電スタンドがバッテリ搭載車両と無線通信する非接触充電システムを開示している。
【0005】
しかし、電力供給装置が非接触で電動車両に電力を供給している時に、管理装置が、電動車両に搭載された通信装置以外の別の通信装置と誤って接続することがある。この場合、管理装置が、電力供給装置から電動車両への電力供給を中断させる等の問題が発生する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-155399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電力供給装置が電動車両に電力を供給している場合に、電力供給の中断を防ぐことができる充電システムの管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の発明は、非接触で車両に電力を供給する電力供給装置を備える充電システムの管理装置であって、判断部と、使用状況通知部と、駐車区画管理部とを備える。判断部は、電力供給装置が設置された駐車区画の使用状況を問い合わせる照会要求を第1車両に搭載された第1通信装置から受けた場合、駐車区画を使用する車両が駐車区画の管理に用いられる管理データに登録されているか否かを判断する。使用状況通知部は、駐車区画を使用する車両が管理データに登録されていないと判断部により判断された場合、駐車区画を使用できることを示す使用可能通知を第1通信装置に送信し、駐車区画を使用する車両が管理データに既に登録されていると判断部により判断された場合、駐車区画を使用できないことを示す使用不可通知を第1通信装置に送信する。駐車区画管理部は、使用状況通知部が使用可能通知を第1通信装置に送信した場合、第1車両を管理データに登録する。
【0009】
第1の発明によれば、車両が駐車区画に対応付けて管理データに記録されていない場合、使用状況通知部は、第1通信装置から受けた照会要求の応答として使用可能通知を送信する。駐車区画管理部は、第1車両を駐車区画に対応付けて記録する。使用可能通知が第1通信装置に送信された場合、管理装置は、第1車両とは別の車両に搭載された通信装置から受けた照会要求の応答として、使用不可通知を送信することができる。これにより、管理装置は、第1車両に電力を供給している時に、別の車両に搭載された通信装置に誤って接続することによる電力供給の中断を防ぐことができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明であって、さらに、駐車区画通知部を備える。駐車区画通知部は、電力供給装置が各々に設置された複数の駐車区画の複数の識別情報を第1通信装置に通知する。第1通信装置からの照会要求が、複数の駐車区画のうち一の駐車区画に対応する識別情報を含む場合、判断部は、一の駐車区画を使用する車両が管理データに登録されているか否かを判断する。
【0011】
第2の発明によれば、管理装置は、複数の駐車区画を管理する場合であっても、各駐車区画の使用状況に応じて使用可能通知又は使用不可通知を送信することができる。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明であって、さらに、駐車区画通知部を備える。駐車区画通知部は、駐車区画の位置を第1通信装置に通知する。
【0013】
第3の発明によれば、駐車区画の位置を第1通信装置に通知することにより、第1車両を電力供給装置が設置された駐車区画に適切に誘導することができる。
【0014】
第4の発明は、非接触で車両に電力を供給する電力供給装置を備える充電システムの管理方法であって、判断ステップと、使用状況通知ステップと、駐車区画管理ステップとを備える。判断ステップは、電力供給装置が設置された駐車区画の使用状況を問い合わせる照会要求を第1車両に搭載された第1通信装置から受けた場合、駐車区画を使用する車両が駐車区画の管理に用いられる管理データに登録されているか否かを判断する。使用状況通知ステップは、駐車区画を使用する車両が管理データに登録されていないと判断された場合、駐車区画を使用できることを示す使用可能通知を第1通信装置に送信し、駐車区画を使用する車両が管理データに既に登録されていると判断された場合、駐車区画を使用できないことを示す使用不可通知を第1通信装置に送信する。駐車区画管理ステップは、使用可能通知が第1通信装置に送信された場合、第1車両を管理データに登録する。
【0015】
第4の発明は、第1の発明に用いられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電力供給装置が電動車両に電力を供給している時に、電力供給の中断を防ぐ充電システムの管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る充電システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2図1に示す管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3図1に示す充電システムの動作の概略を説明する図である。
図4図1に示す充電システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図5図1に示す管理装置によりブロードキャストされるビーコンの一例を示す図である。
図6図2に示す管理データの一例を示す図である。
図7図1に示す充電システムが充電を開始した後における充電システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図8図1に示すカメラにより生成される撮影画像に設定される車両検出領域の一例を示す図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係る充電システムの構成を示す機能ブロック図である。
図10図9に示す管理装置によりブロードキャストされるビーコンの一例を示す図である。
図11図9に示す管理装置により用いられる管理データの一例を示す図である。
図12】CPUバス構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
[第1の実施の形態]
{1.構成}
{1.1.充電システム100の構成}
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る充電システム100の構成を示す機能ブロック図である。図1を参照して、充電システム100は、電動車両に搭載されたバッテリに非接触で電力を供給する。電動車両は、電気自動車(EV:Electric Vehicle)やプラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等である。
【0020】
充電システム100は、白線Wにより区画された駐車区画Pa~Pdのうち駐車区画Pcに設置される。充電システム100は、管理装置1と、電力供給装置2とを備える。
【0021】
管理装置1は、電力供給装置2を管理する。具体的には、車両30が、電力供給装置2が埋設された駐車区画Pcに駐車した場合、管理装置2は、車両30に搭載された通信装置31との通信結果に基づいて、電力供給装置2を制御する。
【0022】
電力供給装置2は、駐車区画Pcに駐車した車両30に電力を供給する。電力供給装置2は、送電部21と、カメラ22とを備える。送電部21及びカメラ22は、駐車区画Pcに埋設される。送電部21は、管理装置1の制御によって、駐車区画Pcに駐車した車両30に非接触で電力を供給する。カメラ22は、駐車区画Pcに駐車した車両30の下面を撮影する。
【0023】
車両30及び40は、電動車両である。車両30は、通信装置31を搭載する。車両40は、通信装置41を搭載する。通信装置31及び41は、管理装置1と無線通信する。
【0024】
{1.2.充電システム管理装置1の構成}
図2は、図1に示す管理装置1の構成を示す機能ブロック図である。図2を参照して、管理装置1は、通信部11と、駐車区画通知部12と、判断部13と、使用状況通知部14と、駐車区画管理部15と、充電制御部16と、記憶部17とを備える。
【0025】
通信部11は、通信装置31及び41の各々と無線通信する。例えば、IEEE802.11gが、無線通信に用いられる。通信部11は、駐車区画Pcの使用状況を示す使用状況データ50を駐車区画通知部12から受けた場合、その受けた使用状況データ50を含むビーコンをブロードキャストする。
【0026】
駐車区画通知部12は、記憶部17に記憶された管理データ171を駐車区画管理部15を介して取得し、取得した管理データ171に基づいて使用状況データ50を生成する。駐車区画通知部12は、生成した使用状況データ50のブロードキャストを、通信部11に指示する。
【0027】
判断部13は、照会要求32を車両30に搭載された通信装置31から受けた場合、車両30以外の車両が駐車区画Pcに対応付けて管理データ171に登録されているか否かを判断する。照会要求32は、駐車区画Pcの使用状況を管理装置1に問い合わせるメッセージである。管理データ171が車両を駐車区画Pcに対応付けて登録していない場合、判断部13は、駐車区画Pcの使用権を車両30に付与することを示す判断結果131を使用状況通知部14及び駐車区画管理部15に出力する。駐車区画Pcの使用権については、後述する。
【0028】
使用状況通知部14は、判断部13から受けた判断結果131に基づいて、使用許可通知61及び使用不可通知62のいずれか一方を通信装置31に送信する。具体的には、判断結果131が、駐車区画Pcの使用権を車両30に付与することを示す場合、判断部13は、使用許可通知61を通信部11を介して通信装置31に送信する。使用許可通知61は、駐車区画Pcを使用できることを示すメッセージである。判断結果131が、駐車区画Pcの使用権を車両30に付与しないことを示す場合、判断部13は、使用不可通知62を、通信部11を介して通信装置31に送信する。使用不可通知62は、駐車区画Pcを使用できないことを示すメッセージである。
【0029】
駐車区画管理部15は、管理データ171を用いて、駐車区画Pcの使用状況を管理する。具体的には、判断部13から受けた判断結果131が、使用状況通知部14が、使用状況通知61を通信装置31に送信した場合、駐車区画管理部15は、通信装置31を搭載する車両30の識別情報を駐車区画Pcに対応付けて管理データ171に記録する。車両30の識別情報は、通信装置31からの照会要求32から取得される。
【0030】
充電制御部16は、車両30が駐車区画Pcに対応付けて管理データ171に記録された場合、充電制御に関するメッセージを、通信部11を介して通信装置31と送受信する。充電制御部16は、その送受信したメッセージに基づく制御信号161を電力供給装置2に出力して、電力供給装置2を制御する。制御信号161は、例えば、充電開始を指示する信号、充電終了を指示する信号、車両に供給する電流値を指示する信号等を含む。
【0031】
充電制御部16は、カメラ22により生成された撮影画像23に基づいて、充電を終了した車両が駐車区画Pcの外へ移動したか否かを判断する。充電制御部16は、充電を終了した車両が駐車区画Pcの外へ移動したと判断した場合、駐車区画Pcが空いたことを示す移動通知162を駐車区画管理部15に出力する。
【0032】
[2.充電システム100の動作]
[2.1.概略]
図3は、図1に示す充電システム100の動作概略を説明する図である。図3を参照して、駐車区画Pcが空いている場合を例にして、充電システム100の動作の概略を説明する。
【0033】
車両30の運転者が、駐車区画Pcでの充電を車両30に指示した場合、通信装置31は、照会要求32を管理装置1に送信する(ステップS1)。
【0034】
管理装置1が照会要求32を通信装置31から受けた時点で、駐車区画Pcは、空いている。つまり、管理データ171は、駐車区画Pcに対応付けた車両を記録していない。管理装置1は、車両30を駐車区画Pcに対応付けて管理データ171に記録する(ステップS2)。これにより、駐車区画Pcの使用権が、車両30に付与される。駐車区画Pcの使用権については、後述する。
【0035】
ステップS2の後に、車両40に搭載された通信装置41が、照会要求42を管理装置1に送信する(ステップS3)。管理データ171が、車両30を駐車区画Pcに対応付けて記録しているため、管理装置1は、車両40が駐車区画Pcを使用できないと判断する(ステップS4)。駐車区画Pcの使用権は、車両40に付与されない。
【0036】
管理装置1は、ステップS2の判断結果に基づいて、使用可能通知61を通信装置31に送信する(ステップS5)。管理装置1は、ステップS4の判断結果に基づいて、使用不可通知62を通信装置41に送信する(ステップS6)。
【0037】
駐車区画Pcの使用権が車両30に付与されたため、管理装置1は、車両30に搭載された通信装置31とセッションを確立する(ステップS7)。管理装置1と通信装置31とは、ステップS7で確立したセッションを用いて、充電制御に関する通信を開始する(ステップS8)。管理装置1は、ステップS7で確立したセッションを用いた通信の結果に基づいて、電力供給装置2を制御する。
【0038】
車両30の充電が終了した場合、管理装置1と通信装置31とは、セッションを切断する。車両30は、駐車区画Pcの外へ移動する。管理装置1は、車両30が駐車区画Pcの外へ移動したと判断した場合、車両30を管理データ171から削除する(ステップS9)。車両30に付与された駐車区画Pcの使用権が取り消されるため、車両40が、駐車区画Pcで充電することが可能となる。
【0039】
以上説明したように、管理装置1は、駐車区画Pcの使用権を車両30に付与した場合、使用不可通知を車両30以外の車両に送信する。管理装置1は、充電制御に関する通信に用いられるセッションを、車両30以外の別の車両と確立しない。従って、管理装置1は、駐車区画Pcに駐車した車両30に電力を供給している時に、車両30以外の別の車両と誤ってセッションを確立することを防ぐことができる。
【0040】
[2.2.管理装置1の動作]
図4は、図1に示す充電システム100の動作を示すシーケンス図である。以下、図4を参照しながら、管理装置1の動作を詳しく説明する。
【0041】
{使用権の付与}
駐車区画Pcが空いている場合、管理データ171は、使用権が付与された車両の識別情報を駐車区画Pcに対応付けて記録していない。この場合、駐車区画通知部12は、管理データ171に基づいて、使用状況データ50を生成する。駐車区画通知部12は、生成した使用状況データ50のブロードキャストを通信部11に指示する。
【0042】
使用状況データ50は、駐車区画Pcの状態と駐車区画Pcの位置を含む。駐車区画Pcが空いているため、駐車区画Pcの状態は、「空き」である。管理データ171が、車両が駐車区画Pcに対応付けて記録していないためである。駐車区画Pcの位置は、駐車区画通知部12に予め設定されており、緯度及び経度で記述される。
【0043】
通信部11は、駐車区画通知部12の指示に応じて、駐車区画通知部12により生成された使用状況データ50を含むビーコン51をブロードキャストする(ステップS101)。本実施の形態では、ビーコン51は、IEEE801.11gに準拠する。つまり、管理装置1は、無線LANのアクセスポイントとして動作する。
【0044】
図4に示す例では、ステップS101の実行回数が1回である。しかし実際には、管理装置1は、ビーコン51のブロードキャストを所定の時間間隔で繰り返す。
【0045】
図5は、図1に示す管理装置1により送信されるビーコンの変化の一例を示す図である。図5を参照して、ビーコン51は、SSID(Service Set Identifier)と、駐車区画Pcの状態と、駐車区画Pcの位置とを含む。SSIDは、アクセスポイントである管理装置1の識別情報である。駐車区画Pcの状態及び位置は、駐車区画通知部12から受けた使用状況データ50に基づいて記述される。
【0046】
駐車区画Pcの状態は、「空き」、「予約中」及び「使用中」のいずれかである。「空き」は、駐車区画Pcが空いており、充電システム100を利用できることを示す。「予約中」は、駐車区画Pcの使用権が付与された車両が存在することを示す。駐車区画Pcの状態が「予約中」である場合、充電システム100は、車両への電力供給を開始していない。「使用中」は、駐車区画Pcの使用権が付与された車両が、駐車区画Pcに駐車していることを示す。
【0047】
上述のように、駐車区画Pcが空いているため、ビーコン51に記録される駐車区画Pcの状態は、「空き」である。
【0048】
図4を参照して、車両30に搭載された通信装置31は、駐車区画Pcを使用できるか否かを問い合わせる照会要求32を管理装置1に送信する(ステップS102)。ステップS102は、図3に示すステップS1に相当する。具体的には、車両30は、管理装置1からのビーコン51に基づいて、駐車区画Pcが空いていることを運転者に通知する。運転者は、駐車区画Pcで充電することを車両30に指示する。通信装置31は、運転者の指示に応じて、照会要求32を管理装置1に送信する。なお、通信装置31は、駐車区画Pcが空きであること示すビーコン51を受けた場合、運転者の指示を受けることなく、照会要求32を送信してもよい。
【0049】
ステップS102で送信される照会要求32は、IEEE802.11gにおけるプローブリクエストに相当する。照会要求32は、ビーコン51に含まれるSSIDと、車両30の識別情報とを含む。
【0050】
管理装置1が照会要求32を通信装置31から受けた場合、判断部13は、使用可能通知61を照会要求32の応答として送信するか否かを判断する。判断部13は、記憶部17に記憶された管理データ171が駐車区画Pcに対応付けた車両を記録していないと判断する。判断部13は、その判断結果に基づいて、駐車区画Pcの使用権を車両30に付与することを決定する(ステップS103)。判断部13は、駐車区画Pcの使用権を車両30に付与することを、判断結果131として使用状況通知部14及び駐車区画管理部15に通知する。
【0051】
駐車区画管理部15は、ステップS103の決定を示す判断結果131に基づいて、管理データ171を更新する(ステップS104)。図6は、ステップS103の決定を示す判断結果131に基づいて更新された管理データ171を示す図である。
【0052】
図6を参照して、管理データ171は、駐車区画Pcに関する情報として、区画IDと、使用権と、状態と、通信装置IDとを記録する。区画IDは、駐車区画Pcに付与された識別情報である。使用権は、駐車区画Pcの使用権が付与された車両を示す。具体的には、駐車区画Pcの使用権が付与された車両の識別情報が、使用権の欄に記録される。駐車区画Pcの使用権がどの車両にも付与されていない場合、使用権は空欄である。状態は、駐車区画Pcの使用状況を示し、「空き」、「予約中」及び「使用中」のいずれかを記録する。通信装置IDは、照会要求を送信した通信装置の識別情報を示す。例えば、通信装置のMAC(Media Access Control)アドレスが通信装置IDの欄に記録される。
【0053】
図4を参照して、車両40に搭載された通信装置41は、照会要求42を管理装置1に送信する(ステップS105)。ステップS105は、図3に示すステップS3に相当する。照会要求42は、ビーコン51に含まれるSSIDと、車両40の識別情報とを含む。車両40が照会要求42を送信する時点で、使用状況通知部14は、図5に示すビーコン52をブロードキャストしていない。
【0054】
管理装置1が照会要求42を通信装置41から受けた時点で、車両30の識別情報が管理データ171に記録されている。このため、判断部13は、駐車区画Pcの使用権を車両40に付与しないことを決定する(ステップS106)。ステップS106は、図3に示すステップS4に相当する。
【0055】
使用状況通知部16は、ステップS103における応答決定部15の決定を受けて、使用可能通知61を通信装置31に送信する(ステップS107)。ステップS107は、図3に示すステップS5に相当する。後述するように、管理装置1は、ステップS197の後に、車両30の充電制御に関する通信を管理装置1とともに開始する。
【0056】
使用状況通知部16は、ステップS106における判断部13の判断に基づいて、使用不可通知62を通信装置41に送信する(ステップS108)。ステップS108は、図3に示すステップS6に相当する。通信装置41は、使用不可通知62を受信した場合、駐車区画Pcが車両40以外の車両により使用されることを運転者に通知する。従って、車両40の運転者は、駐車区画Pcを使用できないことを速やかに認識できる。
【0057】
使用可能通知61及び使用不可通知62の各々は、IEEE802.11gにおけるプローブレスポンスとして送信される。
【0058】
管理装置1は、駐車区画Pcの使用権を車両30に付与した場合、ビーコン52のブロードキャストを開始する(ステップS109)。ビーコン52は、ビーコン51と同様に、所定の時間間隔で繰り返しブロードキャストされる。
【0059】
図5を参照して、ビーコン52は、ビーコン51と異なり、「予約中」を駐車区画Pcの状態として記録する。車両30及び40以外の車両は、管理装置1から送信されるビーコン52に基づいて、駐車区画Pcを使用できないことを運転者に通知することができる。
【0060】
{充電の開始}
管理装置1が、使用許可通知61をステップS107において通信装置31に送信した後に、管理装置1と通信装置31とは、車両30の充電制御に関する通信を開始する。
【0061】
具体的には、図4を参照して、管理装置1は、通信装置31を認証する(ステップS110)。ステップS110は、IEEE802.11gで用いられる認証処理と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0062】
管理装置1と通信装置31とは、充電制御に関する通信に使用するプロトコルを決定する(ステップS111)。本実施の形態において、管理装置1と通信装置31とは、V2GTP(Vehicle to Grid Transfer Protocol)の使用を決定する。ステップS112以降において、管理装置1と通信装置31とは、V2GTPを用いて互いに通信する。
【0063】
通信装置31と管理装置1の充電制御部16とは、V2GTPセッションを確立する(ステップS112)。具体的には、通信装置31は、セッションの確立を要求するセッション開始要求を管理装置1に送信する。管理装置1は、セッション開始要求に対する肯定応答を通信装置31に送信する。これにより、V2GTPセッションが、管理装置1と通信装置31との間で確立される。充電制御部16と通信装置31とは、V2GTPセッションが切断されるまで、ステップS112で確立されたV2GTPを用いて互いに通信する。
【0064】
通信装置31は、駐車開始通知を管理装置1に送信する(ステップS113)。駐車開始通知は、車両30が駐車区画Pcへの移動を開始することを通知するメッセージである。車両30は、駐車開始通知の送信後、ビーコン51で通知された駐車区画Pcの位置に基づいて駐車区画Pc内へ移動する。このとき、車両30は、運転者による手動運転により駐車区画Pcへ移動してもよいし、自動運転により駐車区画Pcへ移動してもよい。
【0065】
通信装置31は、車両30が駐車区画Pcへの移動が終了したと判断した場合、駐車終了通知を管理装置1に送信する(ステップS114)。駐車終了通知は、車両30が駐車区画Pc内へ移動したことを示すメッセージである。
【0066】
通信装置31は、駐車区画Pcから車両30までの距離に基づいて、車両30の移動が終了したか否かを判断する。通信装置31は、車両30に搭載されたGPS(Global Positioning System)装置から車両30の現在位置を取得する。通信装置31は、取得した現在位置から駐車区画Pcの位置までの距離を算出する。通信装置31は、算出した距離が予め設定された閾値以下となった場合に、駐車区画Pcへの移動を終了したと判断する。車両30が運転者による手動運転により駐車区画Pcへ移動する場合、通信装置31は、運転者の指示に応じて、駐車終了通知を管理装置1へ送信してもよい。
【0067】
充電制御部16は、駐車終了通知を通信装置31から受けた場合、車両30の充電を開始できると判断する(ステップS115)。駐車区画管理部15は、ステップS115における充電制御部16の判断に基づいて、管理データ171に記録された駐車区画Pcの状態を「予約中」から「使用中」に変更する。
【0068】
充電制御部16が、車両30の充電を開始できると判断した場合、管理装置1は、ビーコン52に代えてビーコン53の送信を開始する(ステップS116)。図5を参照して、ビーコン53は、ビーコン51及び52と異なり、「使用中」を駐車区画Pcの状態として記録する。ビーコン53は、ビーコン51及び52と同様に、所定の時間間隔で繰り返し送信される。
【0069】
駐車区画Pcの状態が「使用中」に変更された後においても、駐車区画Pcの使用権は、車両30に継続して付与されている。このため、管理装置1は、通信装置31以外の他の通信装置とV2GTPに基づくセッションを確立しない。
【0070】
図7は、図1に示す管理装置1が車両30の充電を開始できると判断した後における充電システム100の動作を示すシーケンス図である。図7は、図4に示すステップS115よりも後の充電システム100の動作を示す。
【0071】
図7を参照して、管理装置1は、図6に示すステップS116の後に、図6に示すS112で確立されたV2GTPセッションを用いて、充電制御に関する通信を実行する(ステップS117)。充電制御に関する通信(ステップS117)は、充電方式の決定通知、車両30が対応できる電流範囲の通知、充電開始の通知等の各種通知等を含む。
【0072】
管理装置1が、通信装置31から送信された充電終了要求に対する肯定応答を通信装置31に送信した場合、管理装置1と通信装置31とは、充電制御に関する通信(ステップS117)を終了する。
【0073】
管理装置1と通信装置31とは、V2GTPセッションを切断する(ステップS118)。具体的には、通信装置31が、セッション切断要求を管理装置1に送信する。管理装置1は、セッション切断要求に対する肯定応答を通信装置31に送信する。これにより、V2GTPセッションが切断される。
【0074】
{車両移動判断}
V2GTPセッションがステップS118で切断された時点で、車両30は、駐車区画Pcに駐車している。管理装置1は、カメラ22により生成された撮影画像23を用いて、車両30が駐車区画Pcの外へ移動したか否かを判断する(ステップS119)。
【0075】
図8は、図1に示すカメラ22により生成される撮影画像23に設定されるマクロブロックの一例を示す図である。図8を参照しながら、管理装置1が実行する車両移動判断(ステップS119)を説明する。
【0076】
カメラ22は、複数のフレームにより構成される動画像を生成し、その生成した動画像をフレーム単位で充電制御部16に供給する。撮影画像23は、動画像を構成する1つのフレームに相当する。
【0077】
充電制御部16は、カメラ22から撮影画像23を受け、その受けた撮影画像23に設定された車両検出領域V1における画素値に基づいて、車両30が駐車区画Pcの外へ移動したか否かを判断する。
【0078】
車両検出領域V1は、充電制御部16に予め設定されている。車両検出領域V1は、撮影画像23に設定される複数のマクロブロックのうち、少なくとも一部を囲む。図8において、一部のマクロブロックの符号の表示を省略している。車両検出領域V1は、車両30が駐車区画Pcに駐車した場合に、車両30の下面が撮影される領域である。充電制御部16は、撮影画像23のうち車両検出領域V1の画像を、グレースケール画像に変換することにより、車両検出領域V1内の画素の輝度値を取得する。
【0079】
充電制御部16は、車両検出領域V1内の画素の輝度値の平均を算出し、算出した輝度値の平均を予め設定された車両検出閾値と比較する。車両が駐車区画Pcに駐車した場合、カメラ22は、車両の下面を撮影する。車両の車体の下面が撮影された領域の輝度値は、一定のレベルよりも低いと想定される。この想定に従って、動作管理部14は、算出した輝度値の平均が車両検出閾値よりも高い場合、駐車判断部22は、車両30が駐車区画Pcの外へ移動したと判断する。
【0080】
{使用権の取り消し}
充電制御部16が、車両30が駐車区画Pcの外へ移動したと判断した場合、管理装置1は、車両30に付与していた駐車区画Pcの使用権を取り消す(ステップS120)。具体的には、駐車区画管理部15は、管理データ171において、使用権の欄に記録された車両30の識別情報を削除し、状態を「使用中」から「空き」に変更する。これにより、管理装置1は、駐車区画Pcの使用権を車両30以外の車両に付与することが可能となる。管理装置1は、管理データ171の更新に伴って、ビーコン54のブロードキャストを開始する(ステップS120)。図5を参照して、ビーコン54は、ビーコン51と同じであり、駐車区画Pcの状態として「空き」を記録する。
【0081】
車両40に搭載された通信装置41は、ビーコン54を受信した場合、駐車区画Pcが空いたことを運転者に通知する。通信装置41は、運転者の指示に応じて、照会要求41Bを管理装置1に送信することにより、駐車区画Pcの使用権を取得することができる。
【0082】
以上説明したように、管理装置1は、駐車区画Pcの使用権を車両30に与えている期間において照会要求42を通信装置41から受けた場合、使用不可通知62を通信装置41に送信する。この場合、管理装置1は、管理装置1と通信装置41との間に、充電制御に用いられる通信セッションを確立しない。これにより、管理装置1は、駐車区画Pcにおいて車両30に電力を供給している期間において、通信装置31以外の別の通信装置に誤って接続することを防ぐことができる。管理装置1は、別の通信装置に誤って接続することに起因する電力供給の中断を防ぐことができる。
【0083】
また、管理装置1は、駐車区画Pcの位置情報を含むビーコンをブロードキャストする。これにより、車両30は、駐車区画Pcの使用権を取得した際に、駐車区画Pcの位置情報に基づいて駐車区画Pcまで移動することができる。車両30が誤って駐車区画Pcとは別の駐車区画に駐車することを防ぐことができるため、管理装置1は、車両30の充電を速やかに開始することができる。
【0084】
[第2の実施の形態]
(構成)
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る充電システム100Aの構成を示す機能ブロック図である。充電システム100Aは、管理装置1Aと、電力供給装置2A及び2Bとを備える。以下、上記第1の実施の形態に係る充電システム100と異なる点を中心に、本実施の形態に係る充電システム100Aについて説明する。
【0085】
管理装置1Aは、電力供給装置2A及び2Bを管理する。電力供給装置2A及び2Bは、駐車区画Pa及びPbに埋設される。電力供給装置2Aは、管理装置1Aによる制御に基づいて、駐車区画Paに駐車した車両に電力を供給する。電力供給装置2Bは、管理装置1Aによる制御に基づいて、駐車区画Pbに駐車した車両に電力を供給する。
【0086】
管理装置1Aは、図2に示す管理装置1と同様の構成を有する。電力供給装置2A及び2Bの各々は、図1に示す電力供給装置2と同様の構成を有する。従って、管理装置1Aの構成と、電力供給装置2A及び2Bの構成についての詳細な説明を省略する。
【0087】
(動作)
管理装置1Aは、電力供給装置2Aが埋設された駐車区画Paと、電流供給装置2Bが埋設された駐車区画Pbとの状態を示すビーコンをブロードキャストする。
【0088】
図10は、図9に示す管理装置1Aによりブロードキャストされるビーコンの一例を示す図である。図10を参照して、駐車区画Pa及びPbの両者の状態が「空き」である場合、管理装置1Aは、ビーコン61を定期的にブロードキャストする。
【0089】
ビーコン61は、管理装置1AのSSIDを含む。また、ビーコン61は、駐車区画情報61a及び61bを含む。駐車区画情報61aは、駐車区画Paに対応し、駐車区画情報61bは、駐車区画Pbに対応する。駐車区画情報61aは、駐車区画Paの識別情報と、駐車区画Paの状態と、駐車区画Paの位置とを記録する。駐車区画情報61bは、駐車区画Paの識別情報と、駐車区画Pbに対応し、駐車区画Pbの状態と駐車区画Pbの位置とを記録する。
【0090】
通信装置31は、ビーコン61を受けた場合、駐車区画Pa及びPbの両者が空いていることを車両30の運転者に通知する。車両30の運転者が駐車区画Paにおける充電を指示した場合、通信装置31は、駐車区画Paの識別情報を、ビーコン61に含まれる駐車区画情報61aから取得する。通信装置31は、取得した駐車区画Paの識別情報を含む照会要求を管理装置1Aに送信することにより、駐車区画Paの使用状況を管理装置1Aに問い合わせる。
【0091】
車両30の運転者が駐車区画Pbにおける充電を指示した場合、通信装置31は、駐車区画Pbの識別情報をビーコン61に含まれる駐車区画情報61bから取得し、その取得した駐車区画Pbの識別情報を含む照会要求を管理装置1Aに送信すればよい。
【0092】
管理装置1Aは、照会要求32Aを通信装置31から受けた場合、照会要求32Aに含まれる駐車区画Paの識別情報に基づいて、駐車区画Paの使用状況の問い合わせを受けていると判断する。この場合、管理装置1Aは、駐車区画Pa及びPbの管理に用いられる管理データを参照することにより、駐車区画Paに使用権が既に他の車両に付与されているか否かを判断する。
【0093】
図11は、管理装置1Aが参照する管理データ171Aの一例を示す図である。図11を参照して、管理データ171は、駐車区画Pa及びPbの各々に対応するレコードを含む。各レコードは、上記実施の形態と同様に、区画IDと、使用権と、状態と、通信装置IDとを記録する。管理装置1Aは、照会要求32Aに含まれる駐車区画Paの識別情報に基づいて、管理データ171Aに記録されているレコードのうち、駐車区画Paのレコードを参照する。
【0094】
図11に示すように、駐車区画Paの状態が「空き」であるため、管理装置1Aは、駐車区画Paに使用権が他の車両に付与されていないと判断する。管理装置1は、駐車区画Paを使用できることを示す使用可能通知61を通信装置31に送信する。
【0095】
使用可能通知61を送信した後における管理装置1Aの動作は、ビーコンの送信を除き、上記第1の実施の形態と同様である。そのため、管理装置1Aによるビーコンの送信について説明する。
【0096】
図10を参照して、管理装置1は、照会要求32Aに基づいて車両30に駐車区画Paの使用権を付与した場合、ビーコン62のブロードキャストを開始する。ビーコン62に含まれる駐車区画情報61aにおいて、駐車区画Paの状態が、「空き」から「予約中」に変化している。管理装置1が、駐車区画Pbの使用状況を問い合わせる照会要求を受けていない。このため、ビーコン62に含まれる駐車区画情報61bにおいて、駐車区画Pbの状態は、「空き」のまま変化しない。
【0097】
その後、管理装置1は、駐車区画Paの状態の変化に伴って、ビーコンに記録される駐車区画Paの状態を変化させる。管理装置1は、車両30から駐車終了通知を受けた場合、車両30の充電を開始できると判断する。この場合、管理装置1は、図10に示すビーコン63のブロードキャストを開始する。ビーコン63に含まれる駐車区画情報61aにおいて、駐車区画Paの状態が、「予約中」から「使用中」に変化している。
【0098】
管理装置1は、車両30が駐車区画Paの外へ移動したと判断した場合、ビーコン61のブロードキャストを再び開始する。
【0099】
管理装置1は、駐車区画Pbを駐車区画Paと同様に管理することにより、駐車区画Pbの状態を変更する。管理装置1は、駐車区画Pbの状態変更に伴って、駐車区画情報61bに含まれる駐車区画Pbの状態を変化させる。
【0100】
管理装置1は、駐車区画Paに駐車した車両30と、駐車区画Pbに駐車した車両40との両者に平行して充電する場合がある。この場合、管理装置1は、車両30に搭載された通信装置31と、車両40に搭載された通信装置41の各々とV2GTPセッションを確立する。管理装置1は、確立した2つのV2GTPセッションの各々にセッションIDを付与し、付与したセッションIDを用いて通信を管理する。これにより、管理装置1は、充電に関する通信の通信先を混同することを防ぐことができる。
【0101】
以上説明したように、本実施の形態に係る管理装置1Aは、複数の駐車区画の各々の識別情報を含むビーコンをブロードキャストする。これにより、管理装置1Aは、複数の駐車区画を管理する場合であっても、複数の駐車区画の各々の使用状況を通知することができる。
【0102】
[変形例]
上記実施の形態では、管理装置1及び1Aは、駐車区画の状態を含むビーコンをブロードキャストする例を説明したが、これに限られない。管理装置1及び1Aは、ビーコンをブロードキャストしなくてもよい。例えば、通信装置31は、アクティブスキャンにより、駐車区画の状態を管理装置1Aに要求してもよい。例えば、管理装置1Aは、通信装置31の要求を受けて、駐車区画Pa及びPbの尾の各々の状態を通信装置31に通知する。
【0103】
上記実施の形態では、管理装置1及び1Aが、電力供給装置が埋設された駐車区画の位置情報を含むビーコンをブロードキャストする例を説明したが、これに限られない。管理装置1及び1Aは、車両30に搭載された通信装置31からの要求に応じて、駐車区画の位置情報を通信装置31に通知してもよい。つまり、管理装置1及び1Aが照会要求を受ける前に、駐車区画の位置情報を通信装置31に通知することができれば、位置情報を通知するタイミングは特に限定されない。
【0104】
上記実施の形態では、管理装置1及び1Aは、位置情報を通信装置31に通知しなくてもよい。例えば、管理装置1は、駐車区画Pcの使用可能通知61を通信装置31に送信した後に、駐車区画Pcに対応して設けられた点灯装置を点灯してもよい。これにより、車両30の運転者は、駐車区画Pcの位置を認識することができる。
【0105】
上記実施の形態では、電力供給装置2が設置された駐車区画Pcが白線で指定されている例を説明したが、これに限られない。駐車区画Pcは、白線により指定されていなくてもよい。つまり、駐車区画Pcは、車両が駐車することが可能であり、電力供給装置2が設置された領域であればよい。
【0106】
また、上記実施の形態で説明した管理装置1及び1Aにおいて、各機能ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されても良いし、一部又は全部を含むように1チップ化されても良い。
【0107】
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0108】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
【0109】
また、上記各実施の形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。そして、上記各実施の形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。
【0110】
また、上記実施の形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0111】
例えば、上記実施の形態(変形例を含む)の各機能ブロックを、ソフトウェアにより実現する場合、図12に示したハードウェア構成(例えば、CPU、ROM、RAM、入力部、出力部等をバスBusにより接続したハードウェア構成)を用いて、各機能部をソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0112】
また、上記実施の形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施の形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。
【0113】
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
【0114】
上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0115】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0116】
100 充電システム
1,1A 管理装置
2,2A,2B 電力供給装置
11 通信部
12 駐車区画通知部
13 判断部
14 使用状況通知部
15 駐車区画管理部
16 充電制御部
21 送電部
22 カメラ
30,40 車両
31,41 通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12