(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20231129BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20231129BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20231129BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20231129BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20231129BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N23/50
H04N23/57
H04N23/68
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2019161734
(22)【出願日】2019-09-05
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章吾
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169499(JP,A)
【文献】特開2015-210316(JP,A)
【文献】国際公開第2016/189679(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103296855(CN,A)
【文献】特開2009-294393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
H04N 23/50
H04N 23/57
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを備え、互いに直交する3軸をX軸、Y軸
、Z軸とし、前記X軸に沿った方向をX軸方向、前記Y軸に沿った方向をY軸方向、および前記Z軸に沿った方向をZ軸方向としたときに、前記X軸回り、前記Y軸回り、および前記Z軸回りに回転可能に支持された可動体と、前記可動体から引き出されたフレキシブルプリント基板と、前記可動体から前記X軸方向に離間する位置で前記フレキシブルプリント基板を支持する基板支持部と、を有し、
前記X軸方向
において、前記カメラモジュールから前記基板支持部に向かう方向を第1方向
、前記第1方向と反対の方向を第2方向とした場合に、
前記フレキシブルプリント基板は、前記Y軸方向に蛇行しながら前記第1方向に延びる蛇行部と、前記蛇行部から前記第1方向に湾曲して当該第1方向に延びる第1延設部と、前記第1延設部の前記第1方向の端部分の前記Z軸方向の端から前記Y軸方向に湾曲して当該Y軸方向に延びる第2延設部と、前記第2延設部の前記Y軸方向の端部分の前記第1方向の端から当該第1方向に延びる第3延設部と、を備え、
前記第3延設部は、前記基板支持部に固定されており、
前記第2延設部は、前記基板支持部に対して前記Z軸方向に変位可能であることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記Z軸は、前記カメラモジュールの光軸と一致することを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記基板支持部は、前記第3延設部が固定される基板支持面を備え、
前記基板支持面は、前記X軸および前記Y軸を含むXY平面と平行であり、
前記第2方向の端縁が前記Y軸方向
に延びていることを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
前記蛇行部は、前記Y軸および前記Z軸を含むYZ平面に沿って延びる蛇行部第1基板部分、前記蛇行部第1基板部分の前記Y軸方向の端から前記第1方向に湾曲する蛇行部第1湾曲基板部分、前記第1方向で前記蛇行部第1基板部分と隙間を介して対向し、前記蛇行部第1湾曲基板部分を介して前記蛇行部第1基板部分に接続された蛇行部第2基板部分、前記蛇行部第2基板部分の前記Y軸方向の端から前記第1方向に湾曲する蛇行部第2湾
曲基板部分、並びに、前記第1方向で前記蛇行部第2基板部分と隙間を介して対向し前記蛇行部第2湾曲基板部分を介して前記蛇行部第2基板部分に接続された蛇行部第3基板部分、を備え、
前記第1延設部は、前記蛇行部第3基板部分から前記第1方向に湾曲する第1延設部湾曲基板部分と、前記第1延設部湾曲基板部分から前記YZ平面に沿って延びる第1延設部基板部分と、を備え、
前記第2延設部は、前記第1延設部基板部分から前記Y方向に湾曲する第2延設部湾曲基板部分と、前記第2延設部湾曲基板部分から前記XY平面に沿って延びる第2延設部基板部分と、を備え、
前記第3延設部は、前記第2延設部基板部分から前記XY平面に沿って前記第1方向に延びることを特徴とする請求項3に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記第1延設部基板部分の
前記X軸方向の長さ寸法は、
前記Z軸方向の幅寸法よりも長いことを特徴とする請求項4に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記蛇行部第1湾曲基板部分、前記蛇行部第2湾曲基板部分、前記第1延設部湾曲基板部分、および前記第2延設部湾曲基板部分のそれぞれには、湾曲した形状を保持するための形状保持部材が固定されていることを特徴とする請求項4または5に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記フレキシブルプリント基板は、前記蛇行部と前記可動体との間に位置する引き出し部を備え、
前記引き出し部は、前記X軸および前記Z軸を含むXZ平面に沿って前記第1方向に延びる引き出し部基板部分と、前記引き出し部基板部分から前記Y軸方向に湾曲して前記蛇行部に接続された引き出し部湾曲基板分部と、を備えることを特徴とする請求項2から6のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項8】
前記フレキシブルプリント基板は、前記可動体と前記引き出し部との間で当該可動体の外周面に沿って引き回されて当該外周面に貼り付けられている引き回し部を備え、
前記可動体は、外周面に、前記Z軸と垂直な第1外周面部分、前記第1外周面部分の前記Y軸方向の端縁から前記Z軸方向に立ち上がり前記XZ平面に沿って延びる一対の第2外周面部分、前記第1外周面部分の前記第1方向の端縁から前記Z軸方向に立ち上がり前記YZ平面に沿って延びる第3外周面部分を備え、
前記引き回し部は、前記第1外周面部分に沿って
前記Y軸方向に延びる引き回し部第1基板部分と、一対の前記第2外周面部分の一方に沿って前記第1方向に延びる引き回し部第2基板部分と、前記第3外周面部分に沿って
前記Y軸方向に延びる引き出し部第3基板部分と、を有し、
前記引き出し部基板部分は、
前記引き出し部第3基板部分の前記Y軸方向の端から前記第1方向に屈曲して延びることを特徴とする請求項7に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項9】
前記フレキシブルプリント基板は、前記Y軸方向に配列された第1基板部分および第2基板部分と、前記第1基板部分および前記第2基板部分の前記第1方向で当該第1基板部分の前記第1方向の端部分および当該第2基板部分の前記第1方向の端部分を接続する第3基板部分と、を備え、
前記第1基板部分と前記第2基板部分とは、前記第1基板部分と前記第2基板部分との間で前記XZ平面と平行な仮想面に対して対称の形状を備え、
前記第1基板部分および前記第2基板部分は、それぞれ、前記引き回し部、前記引き出し部、前記蛇行部、前記第1延設部、および前記第2延設部を備え、
前記第1基板部分の前記第2延設部と前記第2基板部分の前記第2延設部とは、前記Y
軸方向で互いに接近する方向に延びており、
前記第1基板部分の前記第2延設部から前記第1方向に延びる前記第3延設部、および前記第2基板部分の前記第2延設部から前記第1方向に延びる前記第3延設部は、前記第3基板部分に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項10】
前記フレキシブルプリント基板を展開した場合の平面形状は、直線状に平行に延びる一対の直線状基板部分と、各直線状基板部分の延設方向の一方の端部分から一対の前記直線状基板部分が対向する対向方向を内側に向かって突出する一対の一方側突出基板部分と、各直線状基板部分の前記延設方向の他方の端部分から前記対向方向を内側に向かって突出する一対の他方側突出基板部分と、一対の前記他方側突出基板部分の前記延設方向の他方側で一対の前記他方側突出基板部分を接続する接続基板部分と、を備えることを特徴とする請求項9に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項11】
前記フレキシブルプリント基板として、前記Y軸方向に配列された第1フレキシブルプリント基板および第2フレキシブルプリント基板を備え、
前記第1フレキシブルプリント基板と前記第2フレキシブルプリント基板とは、前記第1フレキシブルプリント基板と前記第2フレキシブルプリント基板との間で前記X軸および前記Z軸を含むXZ平面と平行な仮想面に対して対称の形状を備えることを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項12】
前記可動体を前記X軸回りおよび前記Y軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構と、
前記可動体を前記Z軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構と、を有することを特徴とする請求項1から11のうちのいずれか一項に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールを互いに直交する3軸回りに回転させて振れ補正を行う振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末や移動体に搭載される光学ユニットの中には、携帯端末や移動体の移動時の撮影画像の乱れを抑制するために、カメラモジュールが搭載される可動体を、光軸回り、光軸と直交する第1軸回り、および光軸と第1軸とに直交する第2軸回りに回転させるものがある。特許文献1には、この種の振れ補正機能付き光学ユニットが記載されている。
【0003】
特許文献1の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを備える可動体と、固定体と、固定体に対して可動体を光軸と交差する回転軸周りに回転可能に支持する揺動支持機構を有する。可動体からは、カメラモジュールに接続されるフレキシブルプリント基板が引き出されている。フレキシブルプリント基板は、可動体の光軸方向の後ろ側でU字状に1回撓んだ形状に引き回された後、可動体を囲む固定体の径方向外側へ引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可動体は、フレキシブルプリント基板を撓ませながら回転する。従って、フレキシブルプリント基板が備えるバネ性によって、可動体の動きが阻害されることがある。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、互いに直交する3軸回りに回転する可動体の回転がフレキシブルプリント基板により阻害されることを抑制できる振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを備え、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とし、前記X軸に沿った方向をX軸方向、前記Y軸に沿った方向をY軸方向、および前記Z軸に沿った方向をZ軸方向としたときに、前記X軸回り、前記Y軸回り、および前記Z軸回りに回転可能に支持された可動体と、前記可動体から引き出されたフレキシブルプリント基板と、前記可動体から前記X軸方向に離間する位置で前記フレキシブルプリント基板を支持する基板支持部と、を有し、前記X軸方向において、前記カメラモジュールから前記基板支持部に向かう方向を第1方向、前記第1方向と反対の方向を第2方向とした場合に、前記フレキシブルプリント基板は、前記Y軸方向に蛇行しながら前記第1方向に延びる蛇行部と、前記蛇行部から前記第1方向に湾曲して当該第1方向に延びる第1延設部と、前記第1延設部の前記第1方向の端部分の前記Z軸方向の端から前記Y軸方向に湾曲して当該Y軸方向に延びる第2延設部と、前記第2延設部の前記Y軸方向の端部分の前記第1方向の端から当該第1方向に延びる第3延設部と、を備え、前記第3延設部は、前記基板支持部に固定されており、前記第2延設部は、前記基板支持部に対して前記Z軸方向に変位可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明では、可動体に接続されるフレキシブルプリント基板は、蛇行部、第1延設部、および第2延設部を備える。また、第2延設部は、第3延設部が固定された基板支持部に
対してZ軸方向に変位可能である。従って、可動体がX軸回り、Y軸回り、およびZ軸回りに回転する際に、可動体の回転が、フレキシブルプリント基板によって阻害されることを抑制できる。すなわち、フレキシブルプリント基板は、蛇行部と、第1延設部と、第1延設部からY軸方向に屈曲する第2延設部と、を備えるので、可動体がX軸回りに回転したときに撓みやすい。また、フレキシブルプリント基板は、蛇行部と、基板支持部に対してZ軸方向に変位可能な第2延設部と、を備えるので、可動体がY軸回りに回転したときに撓みやすい。さらに、フレキシブルプリント基板は、蛇行部および第1延設部を備えるので、可動体がZ軸回りに回転したときに撓みやすい。
【0009】
本発明において、前記Z軸は、前記カメラモジュールの光軸と一致するものとすることができる。このようにすれば、可動体が、光軸回り、光軸と直交するピッチ方向、および光軸およびピッチ方向と直交するヨー方向に回転する際に、フレキシブルプリント基板が可動体の動きを阻害することを抑制できる。
【0010】
本発明において、前記基板支持部は、前記第3延設部が固定される基板支持面を備え、前記基板支持面は、前記X軸および前記Y軸を含むXY平面と平行であり、前記第2方向の端縁が前記Y軸方向に延びているものとすることができる。このようにすれば、可動体がY軸回りに回転したときに、第3延設部が基板支持面の端縁に沿って湾曲するので、第2延設部が、Z軸方向に変位しやすい。
【0011】
本発明において、前記蛇行部は、前記Y軸および前記Z軸を含むYZ平面に沿って延びる蛇行部第1基板部分、前記蛇行部第1基板部分の前記Y軸方向の端から前記第1方向に湾曲する蛇行部第1湾曲基板部分、前記第1方向で前記蛇行部第1基板部分と隙間を介して対向し、前記蛇行部第1湾曲基板部分を介して前記蛇行部第1基板部分に接続された蛇行部第2基板部分、前記蛇行部第2基板部分の前記Y軸方向の端から前記第1方向に湾曲する蛇行部第2湾曲基板部分、並びに、前記第1方向で前記蛇行部第2基板部分と隙間を介して対向し前記蛇行部第2湾曲基板部分を介して前記蛇行部第2基板部分に接続された蛇行部第3基板部分、を備え、前記第1延設部は、前記蛇行部第3基板部分から前記第1方向に湾曲する第1延設部湾曲基板部分と、前記第1延設部湾曲基板部分から前記YZ平面に沿って延びる第1延設部基板部分と、を備え、前記第2延設部は、前記第1延設部基板部分から前記Y方向に湾曲する第2延設部湾曲基板部分と、前記第2延設部湾曲基板部分から前記XY平面に沿って延びる第2延設部基板部分と、を備え、前記第3延設部は、前記第2延設部基板部分から前記XY平面に沿って前記第1方向に延びるものとすることができる。このようにすれば、フレキシブルプリント基板に、蛇行部、第1延設部、第2延設部、第3延設部を、備えることができる。
【0012】
本発明において、前記第1延設部基板部分の前記X軸方向の長さ寸法は、前記Z軸方向の幅寸法よりも長いものとすることができる。このようにすれば、可動体がZ軸回りに回転したときに、蛇行部および第1延設部が撓みやすくなる。また、可動体がX軸回りに回転したときに、第1延設部が撓みやすくなる。
【0013】
本発明において、前記蛇行部第1湾曲基板部分、前記蛇行部第2湾曲基板部分、前記第1延設部湾曲基板部分、および前記第2延設部湾曲基板部分のそれぞれには、湾曲した形状を保持するための形状保持部材が固定されていることが望ましい。このようにすれば、フレキシブルプリント基板の形状を維持しやすい。
【0014】
本発明において、前記フレキシブルプリント基板は、前記蛇行部と前記可動体との間に位置する引き出し部を備え、前記引き出し部は、前記X軸および前記Z軸を含むXZ平面に沿って前記第1方向に延びる引き出し部基板部分と、前記引き出し部基板部分から前記Y軸方向に湾曲して前記蛇行部に接続された引き出し部湾曲基板分部と、を備えるものと
することができる。このような引き出し部を備えれば、可動体がZ軸回りに回転したときに、蛇行部および第1延設部が、さらに撓みやすくなる。
【0015】
本発明において、前記フレキシブルプリント基板は、前記可動体と前記引き出し部との間で当該可動体の外周面に沿って引き回されて当該外周面に貼り付けられている引き回し部を備え、前記可動体は、外周面に、前記Z軸と垂直な第1外周面部分、前記第1外周面部分の前記Y軸方向の端縁から前記Z軸方向に立ち上がり前記XZ平面に沿って延びる一対の第2外周面部分、前記第1外周面部分の前記第1方向の端縁から前記Z軸方向に立ち上がり前記YZ平面に沿って延びる第3外周面部分を備え、前記引き回し部は、前記第1外周面部分に沿って前記Y軸方向に延びる引き回し部第1基板部分と、一対の前記第2外周面部分の一方に沿って前記第1方向に延びる引き回し部第2基板部分と、前記第3外周面部分に沿って前記Y軸方向に延びる引き出し部第3基板部分と、を有し、前記引き出し部基板部分は、前記引き出し部第3基板部分の前記Y軸方向の端から前記第1方向に屈曲して延びるものとすることができる。このようにすれば、フレキシブルプリント基板を、可動体において、光軸と垂直な第1外周面部分に接続することができる。
【0016】
本発明において、前記フレキシブルプリント基板は、前記Y軸方向に配列された第1基板部分および第2基板部分と、前記第1基板部分および前記第2基板部分の前記第1方向で当該第1基板部分の前記第1方向の端部分および当該第2基板部分の前記第1方向の端部分を接続する第3基板部分と、を備え、前記第1基板部分と前記第2基板部分とは、前記第1基板部分と前記第2基板部分との間で前記XZ平面と平行な仮想面に対して対称の形状を備え、前記第1基板部分および前記第2基板部分は、それぞれ、前記引き回し部、前記引き出し部、前記蛇行部、前記第1延設部、および前記第2延設部を備え、前記第1基板部分の前記第2延設部と前記第2基板部分の前記第2延設部とは、前記Y軸方向で互いに接近する方向に延びており、前記第1基板部分の前記第2延設部から前記第1方向に延びる前記第3延設部、および前記第2基板部分の前記第2延設部から前記第1方向に延びる前記第3延設部は、前記第3基板部分に設けられているものとすることができる。このようにすれば、可動体に第1基板部分と第2基板部分とを接続できるので、可動体に接続される配線パターンを、第1基板部分および第2基板部分のそれぞれに分配できる。これにより、第1基板部分および第2基板部分の幅寸法を抑制できるので、フレキシブルプリント基板が可動体の回転を阻害することを抑制しやすい。また、第1基板部分および第2基板部分は、XZ平面と平行な仮想面に対して対称の形状を備えるので、可動体が回転したときに、第1基板部分および第2基板部分を同様に撓ませることができる。よって、可動体の回転が安定する。さらに、第1基板部分および第2基板部分は、第3基板部分よって接続されている。これにより、可動体に接続されるフレキシブルプリント基板は1枚となるので、フレキシブルプリント基板を外部の配線に接続する接続作業が容易となる。
【0017】
本発明において、前記フレキシブルプリント基板を展開した場合の平面形状は、直線状に平行に延びる一対の直線状基板部分と、各直線状基板部分の延設方向の一方の端部分から一対の前記直線状基板部分が対向する対向方向を内側に向かって突出する一対の一方側突出基板部分と、各直線状基板部分の前記延設方向の他方の端部分から前記対向方向を内側に向かって突出する一対の他方側突出基板部分と、一対の前記他方側突出基板部分の前記延設方向の他方側で一対の前記他方側突出基板部分を接続する接続基板部分と、を備えるものとすることができる。このようにすれば、フレキシブルプリント基板の展開形状が簡易な形状となる。よって、フレキシブルプリント基板を製造が容易である。
【0018】
本発明において、前記フレキシブルプリント基板として、前記Y軸方向に配列された第1フレキシブルプリント基板および第2フレキシブルプリント基板を備え、前記第1フレキシブルプリント基板と前記第2フレキシブルプリント基板とは、前記第1フレキシブルプリント基板と前記第2フレキシブルプリント基板との間で前記XZ平面と平行な仮想面
に対して対称の形状を備えるものとすることができる。このようにすれば、可動体に第1フレキシブルプリント基板および第2フレキシブルプリント基板を接続できるので、可動体に接続される配線パターンを、第1フレキシブルプリント基板および第2フレキシブルプリント基板のそれぞれに分配できる。これにより、第1フレキシブルプリント基板および第2フレキシブルプリント基板の幅寸法を抑制できるので、フレキシブルプリント基板が可動体の回転を阻害することを抑制しやすい。
【0019】
本発明において、前記可動体を前記X軸回りおよび前記Y軸回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構と、前記可動体を前記Z軸回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構と、を有するものとすることができる。本発明では、可動体がX軸回り、Y軸回り、Z軸回りに回転したときに、フレキシブルプリント基板が撓みやすい。従って、可動体を回転させる際に、フレキシブルプリント基板の撓みに起因する負荷が小さい。よって、フレキシブルプリント基板の撓みに起因する負荷が小さくなった分、可動体をX軸回りおよびY軸回りに回転させるための振れ補正用磁気駆動機構の駆動力を小さくできる。また、フレキシブルプリント基板の撓みに起因する負荷が小さくなった分、可動体をZ軸回りに回転させるためのローリング補正用磁気駆動機構の駆動力を小さくできる。よって、振れ補正用磁気駆動機構およびローリング補正用磁気駆動機構の消費電力を、低く抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、可動体に接続されるフレキシブルプリント基板は、蛇行部と、基板支持部に対してZ軸方向に変位可能な第2延設部と、を備えるので、可動体がX軸回りに回転したときに撓みやすい。また、フレキシブルプリント基板は、蛇行部および第1延設部を備えるので、可動体がZ軸回りに回転したときに撓みやすい。さらに、フレキシブルプリント基板は、第1延設部および第2延設部を備えるので、可動体がY軸回りに回転したときに撓みやすい。よって、可動体の回転が、フレキシブルプリント基板によって阻害されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
【
図2】フレキシブルプリント基板を取り外した振れ補正機能付き光学ユニットを
図1とは異なる方向から見た場合の斜視図である。
【
図3】カバーを取り除いた振れ補正機能付き光学ユニットを光軸方向から見た場合の平面図である。
【
図6】振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
【
図7】可動体、回転支持機構、およびジンバル機構の説明図である。
【
図8】可動体、回転支持機構、ジンバルフレーム、第1接続機構の断面図である。
【
図9】可動体、回転支持機構、およびジンバルフレームの分解斜視図である。
【
図11】ジンバルフレーム、補強部材、第1支持部材の分解斜視図である。
【
図12】ケースおよびジンバルフレーム受け部材の斜視図である。
【
図13】ケース、ベースおよびジンバルフレーム受け部材の分解斜視図である。
【
図14】フレキシブルプリント基板の説明図である。
【
図15】フレキシブルプリント基板を平面上に展開した場合の展開図である。
【
図16】可動体がX軸回りに回転したときのフレキシブルプリント基板の形状の説明図である。
【
図17】可動体がY軸回りに回転したときのフレキシブルプリント基板の形状の説明図である。
【
図18】可動体がZ軸回りに回転したときのフレキシブルプリント基板の形状の説明図である
【
図19】異なる形態のフレキシブルプリント基板を備える変形例の振れ補正機能付き光学ユニットの概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した振れ補正機能付き光学ユニットの実施形態を説明する。
【0023】
(全体構成)
図1は、振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
図2は、フレキシブルプリント基板を取り外した振れ補正機能付き光学ユニットを
図1とは異なる方向から見た場合の斜視図である。
図3は、カバーを取り除いた振れ補正機能付き光学ユニットを光軸方向から見た場合の平面図である。
図4は、
図3のA-A線断面図である。
図5は、
図3のB-B線断面図である。
図6は、振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
図7は、可動体、回転支持機構、およびジンバル機構の説明図である。
図8は、可動体、回転支持機構、およびジンバルフレームの断面図である。
図9は、可動体、回転支持機構、ジンバルフレーム、および第1接続機構の分解斜視図である。なお、
図2から
図9では、可動体から引き出されたフレキシブルプリント基板を省略して示す。
【0024】
振れ補正機能付き光学ユニット1は、レンズ2および撮像素子3を備えたカメラモジュール4を有する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ドライブレコーダー等の光学機器や、ヘルメット、自転車、ラジコンヘリコプター等の移動体に搭載されるアクションカメラやウエアラブルカメラ等の光学機器に用いられる。このような光学機器では、撮影時に光学機器の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。振れ補正機能付き光学ユニット1は、撮影画像が傾くことを回避するため、ジャイロスコープ等の検出手段によって検出された加速度や角速度、振れ量等に基づき、可動体の傾きを補正する。
【0025】
本例の振れ補正機能付き光学ユニット1は、光軸L回り、光軸Lと直交する第1軸R1回り、並びに、光軸Lおよび第1軸R1と直交する第2軸R2回りにカメラモジュール4を回転させて振れ補正を行う。従って、振れ補正機能付き光学ユニット1は、ローリング補正、ピッチング補正、および、ヨーイング補正を行う。
【0026】
以下の説明では、互いに直交する3軸をX軸、Y軸、Z軸とする。Z軸は光軸Lと一致する。X軸は、光軸Lと直交して、第1軸R1と第2軸R2との交点を通過する。また、X軸は、第1軸R1および第2軸R2と45°の角度で交差する。Y軸は、光軸LおよびX軸と直交して、第1軸R1および第2軸R2の交点を通過する。また、Y軸は、第1軸R1および第2軸R2と45°の角度で交差する。従って、X軸およびY軸を含む平面をXY平面とした場合に、第1軸R1および第2軸R2は、XY平面上に位置する。第1軸R1および第2軸R2は、Z軸回りで、X軸およびY軸に対して45度傾斜する。
【0027】
また、以下では、X軸、Y軸、Z軸の沿った方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。X軸方向の一方側を-X方向(第2方向)、他方側を+X方向(第1方向)とする。Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とするZ軸方向の一方側を-Z方向、他方側を+Z方向とするZ軸方向は、カメラモジュール4が備えるレンズ2の光軸Lに沿った光軸方向である。-Z方向は、カメラモジュール4の像側であり、+Z方向は、カメラモジュール4の被写体側である。また、第1軸R1に沿った方向を第1軸R1方向、第2軸R2に沿った方向を第2軸R2方向とする。
【0028】
図1に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、カメラモジュール4を備える可動体5と、可動体5を光軸L回りに回転可能に支持する回転支持機構6を備える。従って、可動体5は、光軸L回りのロール方向ROLLに回転可能である。
【0029】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、回転支持機構6を、第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、第2軸R2回りに回転可能に支持するジンバル機構7と、ジンバル機構7および回転支持機構6を介して可動体5を支持する固定体8と、を有する。従って、可動体5は、ジンバル機構7を介して、第1軸R1回りに揺動可能に支持されるとともに、第2軸R2回りに揺動可能に支持される。ここで、可動体5は、第1軸R1回りの回転および第2軸R2回りの回転を合成することにより、X軸回りのヨー方向YAW、およびY軸回りのピッチ方向PITCHに回転可能である。
【0030】
さらに、振れ補正機能付き光学ユニット1は、可動体5から固定体8の外部に引き出されたフレキシブルプリント基板9を備える。フレキシブルプリント基板9は、可動体5から+X方向に引き出されている。フレキシブルプリント基板9における+X方向の端部分は、固定体8が備えるベース20の基板支持部150に-Z方向から支持されている。なお、フレキシブルプリント基板9の+X方向の端には、不図示のコネクタが取り付けられている。フレキシブルプリント基板9は、コネクタを介して、振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載される光学機器の基板などに接続される。
【0031】
また、振れ補正機能付き光学ユニット1は、
図2に示すように、可動体5を第1軸R1回りおよび第2軸R2回りに回転させる振れ補正用磁気駆動機構10を有する。振れ補正用磁気駆動機構10は、可動体5に対してX軸回りの駆動力を発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構11と、可動体5に対してY軸回りの駆動力を発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構12と、を備える。第1振れ補正用磁気駆動機構11は、可動体5の-Y方向に配置される。第2振れ補正用磁気駆動機構12は、可動体5の-X方向に配置される。さらに、振れ補正機能付き光学ユニット1は、
図1、
図3に示すように、可動体5を光軸L回りに回転させるローリング補正用磁気駆動機構13、を有する。第1振れ補正用磁気駆動機構11、第2振れ補正用磁気駆動機構12、およびローリング補正用磁気駆動機構13は、光軸L回りの周方向に配列されている。光軸Lと直交する方向から見た場合に、ローリング補正用磁気駆動機構13は、振れ補正用磁気駆動機構10と重なる。本例では、ローリング補正用磁気駆動機構13と第1振れ補正用磁気駆動機構11とは、光軸Lを間に挟んで対向する位置に配置されている。また、
図1に示すように、振れ補正機能付き光学ユニット1は、固定体8に取り付けられたフレキシブルプリント基板15を備える。
【0032】
さらに、振れ補正機能付き光学ユニット1は、固定体8の+Z方向の端面に固定された枠状のカバー19を備える-Z方向から見た場合に、カバー19は、可動体5の外周側に位置する。
【0033】
(可動体)
図4、
図5、
図8に示すように、可動体5は、カメラモジュール4と、カメラモジュール4を外周側から囲むホルダ16を備える。また、
図4、5に示すように、可動体5は、可動体本体部17と、可動体本体部17から+Z方向に突出する可動体突出部18と、を備える。可動体突出部18は、カメラモジュール4の鏡筒である。可動体突出部18にはレンズ2が収容されている。可動体本体部17は、ホルダ16と、カメラモジュール4においてホルダ16の内周側に位置する部分と、からなる。可動体本体部17には、撮像素子3が収容されている。撮像素子3は、レンズ2の光軸L上においてレンズ2の-Z方向に配置されている。フレキシブルプリント基板9は、撮像素子3に接続される配線パターンを備える。
【0034】
図3に示すように、可動体本体部17を上方から見た場合の形状は、略8角形である。すなわち、可動体本体部17は、
図9に示すように、Y軸方向に平行に延びる第1側壁21、および第2側壁22と、X軸方向に平行に延びる第3側壁23および第4側壁24を備える。第1側壁21は、第2側壁22の-X方向に位置する。第3側壁23は、第4側壁24の-Y方向に位置する。また、可動体本体部17は、第1軸R1方向の対角に位置する第5側壁25および第6側壁26と、第2軸R2方向の対角に位置する第7側壁27および第8側壁28を備える。第5側壁25は、第6側壁26の-X方向に位置する。第7側壁27は、第8側壁28の-Y方向に位置する。さらに、可動体本体部17は、Z軸方向で、可動体突出部18とは反対側に、光軸Lと垂直な底壁29を備える。
【0035】
可動体突出部18は、可動体本体部17の中央部分から突出する。
図4に示すように、可動体突出部18は、一定の外径寸法で光軸方向に延びる円筒部分30と、円筒部分30の+Z方向で、円筒部分30よりも外径寸法が小さい小径筒部分31と、を備える。円筒部分30と小径筒部分31とは、+Z方向を向く環状面によって接続されている。
【0036】
図9に示すように、可動体5の第1側壁21には、第1マグネット35が固定されている。第1マグネット35はZ軸方向に2分割されている。可動体5の第3側壁23には、第2マグネット36が固定されている。第2マグネット36はZ軸方向に2分割されている。可動体5の第4側壁24には、第3マグネット37が固定されている。第3マグネット37は、周方向で2分割されている。
【0037】
(回転支持機構)
図10は、回転支持機構6の分解斜視図である。
図10に示すように、回転支持機構6は、可動体5に固定されたプレートロール41とZ軸方向でプレートロール41に対向する対向部55を備えるプレートホルダ42と、プレートロール41および対向部に接触した状態で転動する複数の球体43を備える回転機構44と、プレートロール41およびプレートホルダ42を互いに接近する方向に付勢する与圧機構45と、を備える。
【0038】
プレートロール41は、金属製である。プレートロール41は、光軸Lを囲むプレートロール環状部47と、プレートロール環状部47から第2軸R2方向の両側に突出して第1方向に延びる一対のプレートロール延設部48と、を備える。プレートロール環状部47は、プレートロール環状板50と、プレートロール41の内周側の端縁から第1方向に屈曲する円筒形状の屈曲部分51を備える。
図8に示すように、プレートロール環状板50のZ軸方向の端面には、径方向の中央に、プレートロール環状溝52が設けられている。屈曲部分51は、Z軸方向の端に向かって外周側に傾斜するテーパーの内周面51aを備える。可動体突出部18の円筒部分30は、Z軸方向の側から屈曲部分51に挿入されて、屈曲部分51に嵌っている。
【0039】
図10に示すように、一対のプレートロール延設部48のそれぞれには、Z軸方向の端部分に、可動体5に固定される固定部53が設けられている。固定部53は、周方向の両端縁に、+Z方向に向かって周方向の幅が広がる楔形状の突起53aを複数備える。また、固定部53は、第2軸R2方向の外側面に、矩形の突起53bを備える。矩形の突起53bは、+Z方向に向かって第2軸R2方向の突出量が増加する。
【0040】
プレートホルダ42は、
図10に示すように、可動体突出部18を囲むプレートホルダ環状部56と、プレートホルダ環状部56から第1軸R1方向の両側に向かって突出してZ軸方向に延びる一対のプレートホルダ延設部57と、を備える。プレートホルダ環状部56は、プレートロール環状部47とZ軸方向で対向する対向部55である。プレートホルダ環状部56は、プレートホルダ環状板58と、プレートホルダ環状板58の外周側の端縁から+Z方向に延びるプレートホルダ環状壁59と、を備える。プレートホルダ環状
板58の+Z方向の端面には、周方向で離間する複数のプレートホルダ円弧溝60が設けられている。複数のプレートホルダ円弧溝60は、周方向に延びており、それぞれがプレートロール環状溝52に対向する。複数のプレートホルダ円弧溝60は、等角度間隔で設けられている。本例では、プレートホルダ環状板58は、6つのプレートホルダ円弧溝60を備える。
【0041】
一対のプレートホルダ延設部57は、プレートホルダ環状壁59の上端部分から第1軸R1方向をプレートホルダ環状部56から離間する方向に延びるプレートホルダ第1延設部分57aと、プレートホルダ第1延設部分57aの外周側の端から、プレートホルダ環状部56から離間する方向に向かって-Z方向に傾斜するプレートホルダ第2延設部分57bと、プレートホルダ第2延設部分57bの-Z方向の端から可動体5の外周側をZ軸方向に延びるプレートホルダ第3延設部分57cと、を備える。
図8に示すように、一方のプレートホルダ延設部57のプレートホルダ第3延設部分57cは、可動体5の第5側壁25と第1軸R1方向で僅かな隙間を開けて対向する。他方のプレートホルダ延設部57のプレートホルダ第3延設部分57cは、可動体5の第6側壁26と第1軸R1方向で僅かな隙間を開けて対向する。また、各プレートホルダ第3延設部分57cは、第1軸R1線上を可動体5の側に窪む第1凹曲面61を備える。第1凹曲面61は、後述する第1支持部材81とともに、ジンバル機構7の第1接続機構76を構成する。
【0042】
図10に示すように、回転機構44は、複数の球体43と、リテーナ65と、を備える。リテーナ65は、複数の球体43のそれぞれを転動可能に保持する複数の球体保持穴65aを備える。本例では、回転機構44は、6個の球体43を備える。従って、リテーナ65は6つの球体43を保持可能な数の球体保持穴65aを備える。各球体43の-Z方向の端部分は、各プレートホルダ円弧溝60に、部分的に挿入されている。リテーナ65は、球体保持穴65aがZ軸方向に貫通する環状のリテーナ本体部66と、リテーナ本体部66の周方向の複数箇所から径方向の両側に突出する4つのリテーナ突出部67と、を備える。球体43は、球体保持穴65aに保持されて、リテーナ65から-Z方向および+Z方向に突出する。球体保持穴65aは、+Z方向に向かって内径寸法が小さくなる円弧の曲面形状を備える。従って、リテーナ65は、+Z方向から各球体43に被せられている。
【0043】
各リテーナ突出部67は、径方向外側に突出する外側突出部67a、および径方向内側に突出する内側突出部67bを備える。4つのリテーナ突出部67は、90°間隔で設けられている。リテーナ65がプレートホルダ環状部56とプレートロール環状部47との間に配置された状態では、外側突出部67aに、プレートホルダ環状部56のプレートホルダ環状壁59が径方向外側から当接する。すなわち、プレートホルダ環状壁59は、リテーナ突出部67に径方向から当接する当接部である。また、内側突出部67bに、プレートロール環状部47の屈曲部分51が径方向内側から当接する。すなわち、プレートロール環状部47の屈曲部分51は、リテーナ突出部67に径方向から当接する当接部である。リテーナ65は、リテーナ突出部67がプレートホルダ環状部56およびプレートロール環状部47と当接することにより、径方向で位置決めされる。
【0044】
与圧機構45は、プレートロール環状部47に固定された板バネ70を備える。板バネ70は円環状である。板バネ70は、内周側に向かって+Z方向に傾斜するテーパー形状を備える。
図8に示すように、板バネ70は、内周縁がプレートロール環状部47の屈曲部分51の-Z方向の端面に固定されている。板バネ70の外周側部分は、-Z方向に撓んだ状態でプレートホルダ環状部56に-Z方向の側から当接する。より詳細には、プレートホルダ環状部56は、内周側の端縁部分に、+Z方向に窪む薄肉部分56aを備える。板バネ70の外周側部分は、プレートロール環状部47から離間する方向に弾性変形した状態で、薄肉部分56aに-Z方向から当接する。従って、板バネ70は、自己の弾性
復帰力により、プレートホルダ42(プレートホルダ環状部56)をプレートロール41(プレートロール環状部47)の側に向かって付勢する。
【0045】
ここで、
図9に示すように、可動体5は、可動体本体部17の第2軸R2方向の両端部分のそれぞれに、一対のプレートロール延設部48の固定部53を受け入れるプレートロール固定孔72を備える。プレートロール固定孔72は、ホルダ16に設けられている。プレートロール固定孔72は、第7側壁27および第8側壁28と平行で、Z軸方向に延びる。
【0046】
回転支持機構6は、プレートロール41の各プレートロール延設部48の固定部53が、各プレートロール固定孔72に圧入されることにより可動体5に固定される。固定部53をプレートロール固定孔72に挿入する際には、プレートロール環状板50の中心穴に可動体突出部18を挿入する。そして、可動体突出部18を屈曲部分51に嵌合させる。これにより、プレートロール41は、可動体突出部18と同軸に位置決めされる。すなわち、プレートロール41は、光軸Lを基準に位置決めされる。また、各プレートロール延設部48の固定部53を、各プレートロール固定孔72に圧入すると、固定部53の突起53aおよび突起53bが塑性変形して潰れた状態となる。これにより、プレートロール41と可動体5とは固定される。プレートロール41と可動体5とが固定されると、可動体5は、プレートロール41と一体に、光軸L回りに回転可能となる。
【0047】
(ジンバル機構)
図11は、ジンバルフレーム、補強部材、および第1支持部材の分解斜視図である。
図4に示すように、ジンバル機構7は、ジンバルフレーム75と、ジンバルフレーム75とプレートホルダ42とを第1軸R1回りに回転可能に接続する第1接続機構76とを備える。また、
図5に示すように、ジンバル機構7は、ジンバルフレーム75と固定体8とを第2軸R2回りに回転可能に接続する第2接続機構77、を備える。第1接続機構76は、ジンバルフレーム75から第1軸R1上をプレートホルダ42の側に突出する第1支持部材81と、プレートホルダ42に設けられて第1支持部材81の先端が回転可能に接触する第1凹曲面61を備える。第2接続機構77は、固定体8から第2軸R2上をジンバルフレーム75の側に突出する第2支持部材82と、ジンバルフレーム75に設けられて第2支持部材82の先端が接触する第2凹曲面83と、を備える。
図11に示すように、ジンバルフレーム75には、第1軸R1が通過する部分を補強するための補強部材100が固定されている。
【0048】
(ジンバルフレーム)
ジンバルフレーム75は、金属製の板バネからなる。
図9に示すように、ジンバルフレーム75は、プレートホルダ42の+Z方向に位置するジンバルフレーム本体部85と、ジンバルフレーム本体部85から第1軸R1方向の両側に向かってに突出して-Z方向に延びる一対の第1ジンバルフレーム延設部86と、ジンバルフレーム本体部85から第2軸R2方向の両側に向かってに突出して-Z方向に延びる一対の第2ジンバルフレーム延設部87と、を備える。ジンバルフレーム本体部85は、第1軸R1方向に延びる略長方形形状の中央板部分85aと、中央板部分85aの第2軸R2方向の一方側(-Y方向の側)から+Z方向に傾斜する第1傾斜板部分85bと、中央板部分85aの第2軸R2方向の他方側(+Y方向の側)から+Z方向に傾斜する第2傾斜板部分85cと、を備える。また、ジンバルフレーム本体部85は、中央にZ軸方向に貫通する開口部90を備る。開口部90には、可動体突出部18が挿入されている。
【0049】
一対の第1ジンバルフレーム延設部86は、プレートホルダ42の外周側に位置する。
図11に示すように、一対の第1ジンバルフレーム延設部86のそれぞれは、第1軸R1方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に延びる第1ジンバルフレーム延設
部第1延設部分86aと、第1ジンバルフレーム延設部第1延設部分86aの先端から第1軸R1方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に向かって-Z方向に傾斜する第1ジンバルフレーム延設部第2延設部分86bと、第1ジンバルフレーム延設部第2延設部分86bの-Z方向の端からプレートホルダ42の外周側をZ軸方向に延びる第1ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cと、を備える。
【0050】
第1ジンバルフレーム延設部第1延設部分86aは、中央板部分85aから第1軸R1方向に延びている。第1ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cは、第1軸R1方向に貫通するジンバルフレーム延設部貫通孔92を備える。また、第1ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cは、ジンバルフレーム延設部貫通孔92の開口縁から第1軸R1方向を可動体5とは反対側(補強部材の側)に突出する支持部材固定用筒部93を備える。さらに、第1ジンバルフレーム延設部86は、第1ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cにおいて周方向でジンバルフレーム延設部貫通孔92を挟んだ両側から周方向に突出する一対の第1ジンバルフレーム延設部突部94を備える。
【0051】
ここで、第1支持部材81は、円柱形状であり、第1軸R1上を第1軸R1方向に延びる。第1支持部材81の可動体5の側の端部は、半球面を備える。第1支持部材81は、支持部材固定用筒部93に挿入されて保持される。第1支持部材81の可動体5の側の端部は、第1ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cから可動体5の側に突出する。
【0052】
一対の第2ジンバルフレーム延設部87は、可動体5の外周側に位置する。一対の第2ジンバルフレーム延設部87のそれぞれは、第2軸R2方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に延びる第2ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aと、第2ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aの先端から第1軸R1方向をジンバルフレーム本体部85から離間する方向に向かって-Z方向に傾斜する第2ジンバルフレーム延設部第2延設部分87bと、第2ジンバルフレーム延設部第2延設部分87bの-Z方向の端から可動体5の外周側をZ軸方向に延びる第2ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cと、を備える。-Y方向に位置する一方の第2ジンバルフレーム延設部87の第2ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aは、第1傾斜板部分85bの外周側の端縁から第2軸R2方向に延びる。+Y方向に位置する一方の第2ジンバルフレーム延設部87の第2ジンバルフレーム延設部第1延設部分87aは、第2傾斜板部分85cの外周側の端縁から第2軸R2方向に延びる。各第2ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cは、第2軸R2方向に窪む第2凹曲面83を備える。また、第2ジンバルフレーム延設部87は、第2ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cにおいて周方向で第2凹曲面83を挟んだ両側から周方向に突出する一対の第2ジンバルフレーム延設部突部95を備える。ここで、第2凹曲面83は、後述する固定体8の第2支持部材82とともに、第2接続機構77を構成する。
【0053】
(補強部材)
図11に示すように、補強部材100は、第1ジンバルフレーム延設部第1延設部分86aの+Z方向に位置する第1補強部分100aと、第1補強部分100aの外周側の端から第1ジンバルフレーム延設部第2延設部分86bに沿って延びる第2補強部分100bと、第2延設部の-Z方向の端から第1ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cに沿って延びる第3補強部分100cと、を備える。第3補強部分100cは、第1ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cの径方向外側に位置する。第1ジンバルフレーム延設部86と補強部材100とが重ねられた積層方向における補強部材100の厚みは、第1ジンバルフレーム延設部86よりも厚い。補強部材100の剛性は、第1ジンバルフレーム延設部86の剛性よりも高い。補強部材100は、樹脂製である。
【0054】
また、補強部材100は、第1補強部分100aをZ軸方向に貫通する接着剤注入孔1
01と、第1ジンバルフレーム延設部86の側の面を、第1補強部分100a、第2補強部分100bおよび第3補強部分100cに沿って延びて接着剤注入孔101に連通する連通溝102を備える。さらに、第3補強部分100cは、第1軸R1方向に貫通してジンバルフレーム延設部貫通孔92に連通する補強部材貫通孔103を備える。補強部材貫通孔103は、第1ジンバルフレーム延設部86の支持部材固定用筒部93が挿入可能な内径寸法を備える。
【0055】
図8に示すように、補強部材100は、支持部材固定用筒部93が第3補強部分100cの補強部材貫通孔103に挿入されて、ジンバルフレーム75延設部に取り付けられる。従って、支持部材固定用筒部93に挿入された第1支持部材81は、第1ジンバルフレーム延設部86および補強部材100に支持される。この状態で、接着剤注入孔101に接着剤が注入されると、接着剤は、連通溝102を流れて、補強部材100と第1ジンバルフレーム延設部86との間に介在する。補強部材100と第1ジンバルフレーム延設部86とは、連通溝102内の接着剤により固定される。
【0056】
また、補強部材100は、
図7、
図11に示すように、第1ジンバルフレーム延設部86に取り付けられたときに、光軸L回りの周方向における第1ジンバルフレーム延設部86の両側を可動体5の側に向かって突出する一対の補強部材第1突部104を備える。一対の補強部材第1突部104は、第1ジンバルフレーム延設部86に設けられた一対の第1ジンバルフレーム延設部突部94の+Z方向に位置する。Z軸方向から見た場合に、一対の補強部材第1突部104と一対の第1ジンバルフレーム延設部突部94とは、重なる。さらに、補強部材100は、第1ジンバルフレーム延設部86のZ軸方向を可動体5の側に向かって突出する補強部材第2突部105を備えるZ軸方向から見た場合に、補強部材第2突部105と第1ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cとは重なる。
【0057】
(第1接続機構)
ここで、一対の第1ジンバルフレーム延設部86は、可動体5の外周側に位置する。一対のプレートホルダ延設部57は、一対の第1ジンバルフレーム延設部86と可動体5との間に位置する。そして、第1支持部材81を保持する第1ジンバルフレーム延設部第3延設部分86cと、第1凹曲面61を備えるプレートホルダ第3延設部分57cとは、第1軸R1上において、対向する。第1接続機構76は、第1支持部材81において、第1ジンバルフレーム延設部86から可動体5の側に突出する先端が第1凹曲面61に接触することにより構成される。本例では、第1支持部材81と、第1凹曲面61とは、点接触する。これにより、回転支持機構6は、第1接続機構76を介して、ジンバルフレーム75に回転可能に支持される。従って、回転支持機構6に支持された可動体5は、ジンバル機構7により、第1軸R1回りに回転可能に支持される。
【0058】
可動体5および回転支持機構6がジンバル機構7に支持された状態では、ジンバルフレーム本体部85、プレートロール環状部47、およびプレートホルダ環状部56は、可動体本体部17の+Z方向で、可動体突出部18の外周側に位置する。プレートロール環状部47はZ軸方向におけるジンバルフレーム本体部85と可動体本体部17との間に位置する。プレートホルダ環状部56はZ軸方向におけるジンバルフレーム本体部85と可動体本体部17との間に位置する。また、プレートロール環状部47、およびプレートホルダ環状部56は、第1軸R1および第2軸R2よりも+Z方向に位置する。さらに、ジンバルフレーム本体部85、プレートロール環状部47、およびプレートホルダ環状部56は、撮像素子3よりも+Z方向に位置する。
【0059】
(固定体)
図12は、固定体8を構成するケースおよびジンバルフレーム受け部材の斜視図である。
図13は、ケース、ベース20、およびジンバルフレーム受け部材の分解斜視図である
。
図1に示すように、固定体8は、樹脂製のケース109を備える。また、固定体はケース109にZ軸方向から固定されたベース20を備える。ケース109は、可動体5、回転支持機構6、およびジンバルフレーム75を外周側から囲む枠部110を備える。枠部110は、矩形である。枠部110は、
図12に示すように、X軸方向で対向する第1枠部部分111および第2枠部部分112と、Y軸方向で対向する第3枠部部分113および第4枠部部分114を備える。第1枠部部分111は第2枠部部分112の-X方向に位置する。第3枠部部分113は、第4枠部部分114の-Y方向に位置する。ベース20は、Z軸方向から見た場合の平面形状がX軸方向に長い長方形である。ベース20は、枠部110から+X方向に突出する。ベース20は、フレキシブルプリント基板15の-Z方向に位置している。
【0060】
第1枠部部分111には、第1コイル固定孔111aが設けられている。
図2に示すように、第1コイル固定孔111aには第1コイル115が固定されている。第3枠部部分113には、第2コイル固定孔113aが設けられている。第2コイル固定孔113aには第2コイル116が固定されている。第1コイル115および第2コイル116は、周方向に長い長円形の空芯コイルである。
図12に示すように、第4枠部部分114には、第3コイル固定孔114aが設けられている。
図1に示すように、第3コイル固定孔114aには、第3コイル117が配置されている。第3コイル117はZ軸方向に長い空芯コイルである。ここで、第1コイル115および第2コイル116および第3コイル117は、フレキシブルプリント基板15に電気的に接続されている。フレキシブルプリント基板15は、枠部110における第4枠部部分114、第1枠部部分111、および第3枠部部分113の外周面に沿って、この順番に引き回されている。
図12に示すように、第2枠部部分112には、開口部112aが設けられている。可動体5のカメラモジュール4から引き出されたフレキシブルプリント基板9は、開口部112aを介して枠部110の+X方向に引き出される。
【0061】
図4、
図12に示すように、枠部110における第1軸R1方向の対角部分のそれぞれには、径方向外側に窪んでZ軸方向に延びる溝部120が設けられている。
図12に示すように、溝部120はZ軸方向に延びる底面120aと、底面120aの光軸L回りの周方向の両端から内周側に延びる一対の側面120bと、によって規定されている。
【0062】
図5、
図12に示すように、枠部110における第2軸R2方向の対角部分のそれぞれには、第2軸R2上をジンバルフレーム75の側に突出する第2支持部材82が固定されている。第2支持部材82は、球体である。より具体的には、
図13に示すように、枠部110における第2軸R2方向の対角部分のそれぞれには、径方向外側に窪む凹部121が設けられている。各凹部121は、第2軸R2方向に延びる底面121aと、底面121aの外周端から+Z方向に延びる背面121bと、底面121aの光軸L回りの周方向の両端から+Z方向に延びる一対の側面121cと、によって規定されている。底面121aは、周方向の中央部分に、一定幅で第2軸R2方向に延びる第1溝121dを備える。背面121bは、周方向の中央部分にZ軸方向に一定幅で延びる第2溝121eを備える。第1溝121dと第2溝121eとは連通する。
【0063】
図12に示すように、各凹部121には、それぞれジンバルフレーム受け部材125が固定されている。
図13に示すように、ジンバルフレーム受け部材125は、第2支持部材82と、第2支持部材82が固定されたスラスト受け部材126と、を備える。スラスト受け部材126および第2支持部材82は、金属製である。
図7、
図13に示すように、スラスト受け部材126はZ軸方向に延びる板状の第1板部131と、第1板部131の-Z方向の端部から略直角に屈曲して径方向内側へ延びる第2板部132と、第1板部131の+Z方向の端部における周方向の両側から略直角に屈曲して径方向内側へ延びる一対の第3板部133と、を備える。一対の第3板部133の内周側の端部は、周方向を
互いに離間する方向に屈曲している。第1板部131には第2支持部材固定孔131aが設けられている。第2支持部材固定孔131aはZ軸方向において、第2板部132と一対の第3板部133との間に位置する。第2支持部材82は、外周側の一部分が第2支持部材固定孔131aに部分的に嵌り込んだ状態で、溶接によって、第1板部131に固定される。第2支持部材82は、第1板部131から内周側に突出する。
【0064】
ジンバルフレーム受け部材125がケース109の凹部121に挿入される際には、
図12に示すように、スラスト受け部材126の一対の第3板部133が凹部121の一対の側面121cに当接する。これにより、第2支持部材82は、光軸L回りの周方向で位置決めされる。また、スラスト受け部材126の第2板部132が、凹部121の底面121aに当接する。これにより、第2支持部材82は、Z軸(光軸L)方向に位置決めされる。スラスト受け部材126は、第1溝121dおよび第2溝121eに塗布された接着剤により、凹部121に固定される。スラスト受け部材126が凹部121に固定されると、第2支持部材82は、第2軸R2線上に位置し、枠部110に固定されたスラスト受け部材126材の第1板部131から内周側に突出する。
【0065】
(第2接続機構)
ジンバル機構7によって可動体5を第2軸R2線回りに支持する際には、可動体5および回転支持機構6が支持されたジンバルフレーム75を枠部110の内側に配置する。また、
図4に示すように、枠部110の対角部分に設けられた溝部120に、第1ジンバルフレーム延設部86および補強部材100を挿入する。さらに、
図5に示すように、枠部110の対角部分に配置された第2支持部材82(球体)と、第2凹曲面83を備える第2ジンバルフレーム延設部第3延設部分87cとを対向させる。そして、第2支持部材82の先端部分を第2凹曲面83に挿入して、第2凹曲面83に接触させる。また、
図7に示すように、スラスト受け部材126の一対の第3板部133と、第2板部132との間に、一対の第2ジンバルフレーム延設部突部95を挿入する。これにより第2接続機構77が構成されるので、回転支持機構6は、ジンバル機構7により、第2軸R2回りに回転可能に支持される。すなわち、回転支持機構6は、ジンバル機構7により、第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、第2軸R2回りに回転可能に支持される。よって、回転支持機構6に支持された可動体5も、ジンバル機構7により、第1軸R1回りに回転可能に支持するとともに、第2軸R2回りに回転可能に支持される。
【0066】
ここで、ジンバルフレーム75は板バネなので、第2ジンバルフレーム延設部87は、第2軸R2方向に弾性変形可能である。従って、第2支持部材82と第2ジンバルフレーム延設部87の第2凹曲面83とを接触させる際、第2ジンバルフレーム延設部87を内周側へ撓ませて接触させる。これにより、第2ジンバルフレーム延設部87は、外周側へ向かう弾性復帰力により、第2支持部材82に内周側から弾性接触する。従って、第2ジンバルフレーム延設部87と枠部110との接続が解除されることを防止或いは抑制できる。
【0067】
(振れ補正用磁気駆動機構およびローリング補正用磁気駆動機構)
可動体5および回転支持機構6がジンバル機構7により支持された状態では、可動体5の第1側壁21に固定された第1マグネット35と第1コイル115とがX軸方向で隙間を開けて対向する。第1マグネット35および第1コイル115は、第2振れ補正用磁気駆動機構12を構成する。また、可動体5の第3側壁23に固定された第2マグネット36と第2コイル116とがY軸方向で隙間を開けて対向する。第2マグネット36および第2コイル116は、第1振れ補正用磁気駆動機構11を構成する。従って、第1コイル115への給電により、可動体5は、Y軸回りに回転する。また、第2コイル116への給電により、可動体5はX軸回りに回転する。振れ補正用磁気駆動機構10は、第1振れ補正用磁気駆動機構11による可動体5のY軸回りの回転と、第2振れ補正用磁気駆動機
構12による可動体5のX軸回りの回転と、を剛性して、可動体5を第1軸R1回り、および第2軸R2回りに回転させる。
【0068】
可動体5が枠部110の内周側に配置された状態では、可動体5の第4側壁24に固定された第3マグネット37と第3コイル117とがY軸方向で隙間を開けて対向する。第3マグネット37および第3コイル117は、ローリング補正用磁気駆動機構13を構成する。従って、第13イルへの給電により、可動体5は、光軸L回りに回転する。
【0069】
また、ジンバルフレーム75が第2接続機構77を介して枠部110に接続された状態では、ジンバルフレーム75の一対の第1ジンバルフレーム延設部86および補強部材100は、枠部110における第1軸R1方向の対角部分に設けられた溝部120の内側に配置される。ここで、
図3に示すように、溝部120の一対の側面120bは、それぞれが光軸L回りの周方向で補強部材100と所定の第1間隔を開けて対向する。溝部120の一対の側面120bは、ジンバルフレーム75が周方向に変位したときに補強部材100に当接して当該ジンバルフレーム75の移動範囲を規定する移動範囲規定部145である。また、
図3、
図4に示すように、溝部120において、補強部材100の径方向外側に位置する底面120aは、第1軸R1方向で補強部材100と第2間隔を開けて対向する。溝部120の底面120aは、ジンバルフレーム75が第2軸R2回りに回転したときに当該補強部材100に当接して当該ジンバルフレーム75の回転範囲を規定する回転範囲規定部146である。
【0070】
なお、
図2、
図6に示すように、第1コイル115の中心穴のZ軸方向の中心には、第1ホール素子141が配置されている。第2コイル116の中心穴のZ軸方向の中心には、第2ホール素子142が配置されている。第1ホール素子141は可動体5のX軸回りの変位を検出するためのものである。第2ホール素子142は、可動体5のY軸回りの変位を検出するためのものである。また、
図1、
図6に示すように、第3コイル117の中心穴の周方向の中心には、第3ホール素子143が配置されている。第3ホール素子143は、可動体5の光軸L回りの変位を検出するためのものである。
【0071】
(フレキシブルプリント基板)
図14は、フレキシブルプリント基板9の説明図である。
図14に示すように、フレキシブルプリント基板は、Y軸方向に配列された第1基板部分151および第2基板部分152と、第1基板部分151および第2基板部分152の+X方向で、第1基板部分151の+X方向の端部分および第2基板部分152の+X方向の端部分を接続する第3基板部分153と、を備える。第1基板部分151は、第2基板部分152の-Y方向に位置する。第1基板部分151と第2基板部分152とは、第1基板部分151と第2基板部分152との間でXZ平面と平行な仮想面に対して対称の形状を備えている。
【0072】
第1基板部分151は、引き回し部155、引き出し部156、蛇行部157、第1延設部158、および第2延設部159を備える。引き回し部155は、可動体5の外周面に沿って引き回されて、当該外周面に貼り付けられている。
【0073】
すなわち、可動体5は、外周面に、Z軸と垂直な底壁29(第1外周面部分)、底壁29のY軸方向の端縁からZ軸方向に立ち上がりXZ平面に沿って延びる第3側壁23(第2外周面部分)、底壁29の+X方向の端縁からZ軸方向に立ち上がりYZ平面に沿って延びる第2側壁22(第3外周面部分)を備える。引き回し部155は、底壁29に沿って-Y方向に延びる引き回し部第1基板部分155aと、一対の第3側壁23に沿って+X方向に延びる引き回し部第2基板部分155bと、第2側壁22に沿って+Y方向に延びる引き回し部第3基板部分155cと、を有する。引き回し部第3基板部分155cは、第2側壁22のY軸方向の中央まで延びる。
【0074】
引き出し部156は、XZ平面に沿って+X方向に延びる引き出し部基板部分156aと、引き出し部基板部分156aから-Y方向に湾曲して蛇行部157に接続された引き出し部湾曲基板部分156bと、を備える。引き出し部基板部分156aは、引き回し部第3基板部分155cの+Y方向の端から+X方向に折れ曲がって延びている。
【0075】
蛇行部157は、Y軸方向に蛇行しながら+X方向に延びる。第1延設部158は、蛇行部157から+X方向に湾曲して当該+X方向に延びる。第2延設部159は、第1延設部158の+X方向の端部分のZ軸方向の端からY軸方向に湾曲して当該Y軸方向に延びる。
【0076】
より具体的には、蛇行部157は、Y軸およびZ軸を含むYZ平面に沿って延びる蛇行部第1基板部分157a、蛇行部第1基板部分157aの-Y方向の端から+X方向に湾曲する蛇行部第1湾曲基板部分157b、+X方向で蛇行部第1基板部分157aと隙間を介して対向し、蛇行部第1湾曲基板部分157bを介して蛇行部第1基板部分157aに接続された蛇行部第2基板部分157c、蛇行部第2基板部分157cの+Y方向の端から+X方向に湾曲する蛇行部第2湾曲基板部分157d、並びに、+X方向で蛇行部第2基板部分157cと隙間を介して対向し蛇行部第2湾曲基板部分157dを介して蛇行部第2基板部分157cに接続された蛇行部第3基板部分157e、を備える。蛇行部第1基板部分157aのY軸方向の長さ寸法と、蛇行部第2基板部分157cのY軸方向の長さ寸法とは、同一である。蛇行部第3基板部分157eのY軸方向の長さ寸法は、蛇行部第1基板部分157aおよび蛇行部第2基板部分157cのY軸方向の長さ寸法よりも短い。蛇行部第1湾曲基板部分157bは、蛇行部第2湾曲基板部分157dよりも-Y方向に位置する。
【0077】
第1延設部158は、蛇行部第3基板部分157eから+X方向に湾曲する第1延設部湾曲基板部分158aと、第1延設部湾曲基板部分158aからXZ平面に沿って延びる第1延設部基板部分158bと、を備える。第1延設部基板部分158bのX軸方向の長さ寸法は、第1延設部基板部分158bのZ軸方向の幅寸法よりも長い。
【0078】
第2延設部159は、第1延設部基板部分158bの+X方向の端部分の-Z方向の端から+Y方向に湾曲する第2延設部湾曲基板部分159aと、第2延設部湾曲基板部分159aからXY平面に沿って+Y方向に延びる第2延設部基板部分159bと、を備える。
【0079】
第2基板部分152は、第1基板部分151と同様に、引き回し部155、引き出し部156、蛇行部157、第1延設部158、および第2延設部159を備える。引き回し部155は、可動体5の外周面に沿って引き回されて当該外周面に貼り付けられている。すなわち、第2基板部分152の引き回し部155は、底壁29に沿って+Y方向に延びる引き回し部第1基板部分155aと、第4側壁24の一方に沿って+X方向に延びる引き回し部第2基板部分155bと、第2側壁22に沿って-Y方向に延びる引き出し部第3基板部分155cと、を有する。引き回し部第3基板部分155cは、第2側壁22のY軸方向の中央まで延びる。
【0080】
引き出し部156は、YZ平面に沿って+X方向に延びる引き出し部基板部分156aと、引き出し部基板部分156aから+Y方向に湾曲して蛇行部157に接続された引き出し部湾曲基板部分156bと、を備える。引き出し部基板部分156aは、引き出し部第3基板部分155cの-Y方向の端から+X方向に折れ曲がって延びている。
【0081】
蛇行部157は、Y軸方向に蛇行しながら+X方向に延びる。第1延設部158は、蛇
行部157から+X方向に湾曲して当該+X方向に延びる。第2延設部159は、第1延設部158の+X方向の端部分のZ軸方向の端からY軸方向に湾曲して当該Y軸方向に延びる。
【0082】
より具体的には、蛇行部157は、YZ平面に沿って延びる蛇行部第1基板部分157a、蛇行部第1基板部分157aの+Y方向の端から+X方向に湾曲する蛇行部第1湾曲基板部分157b、+X方向で蛇行部第1基板部分157aと隙間を介して対向し、蛇行部第1湾曲基板部分157bを介して蛇行部第1基板部分157aに接続された蛇行部第2基板部分157c、蛇行部第2基板部分157cの-Y方向の端から+X方向に湾曲する蛇行部第2湾曲基板部分157d、並びに、+X方向で蛇行部第2基板部分157cと隙間を介して対向し蛇行部第2湾曲基板部分157dを介して蛇行部第2基板部分157cに接続された蛇行部第3基板部分157e、を備える。蛇行部第1基板部分157aのY軸方向の長さ寸法と、蛇行部第2基板部分157cのY軸方向の長さ寸法とは、同一である。蛇行部第3基板部分157eのY軸方向の長さ寸法は、蛇行部第1基板部分157aおよび蛇行部第2基板部分157cのY軸方向の長さ寸法よりも短い。蛇行部第1湾曲基板部分157bは、蛇行部第2湾曲基板部分157dよりも+Y方向に位置する。
【0083】
第1延設部158は、蛇行部第3基板部分157eから+X方向に湾曲する第1延設部湾曲基板部分158aと、第1延設部湾曲基板部分158aからXZ平面に沿って延びる第1延設部基板部分158bと、を備える。第1延設部基板部分158bのX軸方向の長さ寸法は、第1延設部基板部分158bのZ軸方向の幅寸法よりも長い。
【0084】
第2延設部159は、第1延設部基板部分158bの+X方向の端部分の-Z方向の端から-Y方向に湾曲する第2延設部湾曲基板部分159aと、第2延設部湾曲基板部分159aからXY平面に沿って-Y方向に延びる第2延設部基板部分159bと、を備える。第1基板部分151の第2延設部159と、第2基板部分152の第2延設部159とは、Y軸方向で互いに接近する方向に延びている。第1基板部分151の第2延設部159と第2基板部分152の第2延設部159とは、第3基板部分153によって接続されている。第3基板部分153の+X方向の端部分には、不図示のコネクタが取り付けられる。
【0085】
ここで、第3基板部分153は、第1基板部分151の第2延設部159から+X方向に延びる第1の第3延設部161aと、第2基板部分152の第2延設部159から+X方向に延びる第2の第3延設部161bとを備える。また、第3基板部分153は、Y軸方向で第1の第3延設部161aと第2の第3延設部161bの間に位置して、第1の第3延設部161aと第2の第3延設部161bとを接続する接続部162を備える。
【0086】
第3基板部分153は、ベース20に設けられた基板支持部150に固定されている。
図13に示すように、基板支持部150は、ベースから+Z方向に突出する突部である。基板支持部150の+Z方向の端面は、第3基板部分153(第1の第3延設部161aおよび第2の第3延設部161bおよび接続部162)が固定される基板支持面150aである。基板支持面150aは、XY平面と平行であり、-X方向の端縁150bがY軸方向に延びる。
【0087】
第3基板部分153は、基板支持部150に+Z方向から取り付けられる固定部材165によって、基板支持面150aに固定される。固定部材165は、Y軸方向に長い直方体形状であり、第3基板部分153をY軸方向に横断する。第3基板部分153が基板支持面150aに固定された状態では、第3基板部分153は、固定部材165と基板支持面150aとの間に挟まれている。また、第3基板部分153が基板支持面150aに固定された状態では、第1基板部分151の第2延設部159および第1基板部分151の
第2延設部159は、基板支持面150aに対してZ軸方向に変位可能である。すなわち、第1基板部分151の第2延設部159および第1基板部分151の第2延設部159は、基板支持面150aに対して-Z方向および+Z方向に撓むことができる。
【0088】
ここで、可動体本体部17の第2側壁22のY軸方向の中央部分には、Z軸方向に延びるスリット166aを備える保持部材166が固定されている。第1基板部分151の引き出し部156の引き出し部基板部分156aと、第2基板部分152の引き出し部156の引き出し部基板部分156aとは、互いにスリット166aを貫通して、+X方向に延びる。保持部材166は、第1基板部分151の引き出し部基板部分156aにおける第2側壁22の側の端部分と、第2基板部分152の引き出し部基板部分156aにおける第2側壁22の側の端部分とが、Y軸方向で離間しないように保持している。保持部材166は、可動体本体部17に固定されており、可動体5と一体に変位する。
【0089】
また、第1基板部分151および第2基板部分152において、基板が湾曲している湾曲基板部分(引き出し部湾曲基板部分156b、蛇行部第1湾曲基板部分157b、蛇行部第2湾曲基板部分157d、第1延設部湾曲基板部分158a、第2延設部湾曲基板部分159a)には、湾曲した形状を保持するための形状保持部材167が固定されている。本例において、形状保持部材167は、円柱形状であり、樹脂からなる。なお、形状保持部材167は、外周面に円弧の外周面部分を備える柱状の部材とすることができる。各湾曲基板部分(引き出し部湾曲基板部分156b、蛇行部第1湾曲基板部分157b、蛇行部第2湾曲基板部分157d、第1延設部湾曲基板部分158a、第2延設部湾曲基板部分159a)は、各形状保持部材167の外周面の周方向の一部分に、接着剤によって固定される。
【0090】
図15は、フレキシブルプリント基板9を平面上に展開した場合の展開図である。
図15に示すとおり、フレキシブルプリント基板9を展開した場合の平面形状は、直線状に平行に延びる一対の直線状基板部分171と、各直線状基板部分171の延設方向Mの一方の端部分から一対の直線状基板部分171が対向する対向方向を内側に向かって突出する一対の一方側突出基板部分172と、各直線状基板部分171の延設方向Mの他方の端部分から対向方向を内側に向かって突出する一対の他方側突出基板部分173と、一対の他方側突出基板部分173の延設方向Mの他方側において各他方側突出基板部分173を接続する接続基板部分174と、を備える。
【0091】
(作用効果)
図16は、可動体5がX軸回りに回転したときのフレキシブルプリント基板9の形状の説明図である。
図16は、可動体5、ベース20およびフレキシブルプリント基板9を+X方向から見た場合である。
図17は、可動体5がY軸回りに回転したときのフレキシブルプリント基板9の形状の説明図である。
図17は、可動体5、ベース20およびフレキシブルプリント基板9を+YX方向から見た場合である。
図18は、可動体5がZ軸回りに回転したときのフレキシブルプリント基板9の形状の説明図である。
図18は、可動体5、ベース20およびフレキシブルプリント基板9を+ZX方向から見た場合である。
【0092】
本例では、可動体5に接続されるフレキシブルプリント基板9は、蛇行部157、第1延設部158、および第2延設部159を備える。従って、可動体5がX軸回りに回転したときに、フレキシブルプリント基板9は撓みやすい。例えば、
図16に示すように、可動体5がX軸回りを矢印で示す一方に回転した場合には、蛇行部157が、可動体5の回転に対応してX軸回りに傾斜する。また、第2延設部湾曲基板部分159aによって接続された第1延設部158の+X方向の端部分と第2延設部基板部分159bとが、接近する方向、或いは、離間する方向に撓む。まさらに、第1延設部158の+X方向の端部分の撓みと、蛇行部157の傾斜と、に対応して、第1延設部158がXZ平面に対して傾
斜する方向に撓む。これにより、可動体5のX軸回りの回転が、フレキシブルプリント基板9によって阻害されることを抑制できる。
【0093】
また、可動体5に接続されたフレキシブルプリント基板9は、蛇行部157と、基板支持部150に対してZ軸方向に変位可能な第2延設部159と、を備える。従って、可動体5がY軸回りに回転したときに、フレキシブルプリント基板9は撓みやすい。例えば、
図17(a)に示すように、可動体5がY軸回りにおいて、矢印で示すように-X方向の側が+Z方向に回転した場合には、蛇行部157は、蛇行部第1基板部分157a、蛇行部第1湾曲基板部分157b、および蛇行部第2基板部分157cの+Z方向の端部分が互いに接近する方向に撓み、-Z方向の端部分が互いに離間する方向に撓む。また、第2延設部159は、第3延設部が固定された基板支持面150aよりも-Z方向に撓む。これにより、可動体5のY軸回りの回転が、フレキシブルプリント基板9によって阻害されることを抑制できる。また、
図17(b)に示すように、可動体5がY軸回りにおいて、矢印で示すように-X方向の側が-Z方向に回転した場合には、蛇行部157は、蛇行部第1基板部分157a、蛇行部第1湾曲基板部分157b、および蛇行部第2基板部分157cの-Z方向の端部分が互いに接近する方向に撓み、+Z方向の端部分が互いに離間する方向に撓む。また、第2延設部159は、第3延設部が固定された基板支持面150aと同一の平面上か、基板支持面150aよりも+Z方向に撓む。これにより、可動体5のY軸回りの回転が、フレキシブルプリント基板9によって阻害されることを抑制できる。
【0094】
ここで、基板支持部150は、第3延設部が固定される基板支持面150aを備え、基板支持面150aは、XY平面と平行であり、-X方向の端縁150bがY軸方向に延びている。これにより、可動体5がY軸回りに回転したときに、第3延設部161a、161bが基板支持面150aの端縁150bに沿って湾曲するので、第2延設部159が、Z軸方向に変位しやすい。
【0095】
また、可動体5に接続されるフレキシブルプリント基板9は、蛇行部157および第1延設部158を備えるので、可動体5がZ軸回りに回転したときに撓みやすい。例えば、
図18に示すように、可動体5がZ軸回りにおいて、矢印に示すように、-X方向の側が-Y方向に回転した場合には、第1延設部158が-X方向に向かって+Y方向に撓むとともに、第1延設部158の撓みに対応して蛇行部157が変形する。これにより、可動体5のZ軸回りの回転が、フレキシブルプリント基板9によって阻害されることを抑制できる。
【0096】
ここで、第1延設部基板部分158bのX軸方向の長さ寸法は、Z軸方向の幅寸法よりも長い。従って、可動体5がX軸回りに回転したときに、第1延設部158が撓みやすい。
【0097】
また、本例では、フレキシブルプリント基板9は、蛇行部157と可動体5との間に位置する引き出し部156を、備え、引き出し部156は、YZ平面に沿って+X方向に延びる引き出し部基板部分156aと、引き出し部基板部分156aからY軸方向に湾曲して蛇行部157に接続された引き出し部湾曲基板部分156bと、を備える。従って、可動体5がZ軸回りに回転したときに、蛇行部157および第1延設部158が、より、撓みやすくなる。
【0098】
さらに、フレキシブルプリント基板9は、カメラモジュールと引き出し部156との間で可動体5の外周面に沿って引き回されて当該外周面に貼り付けられている引き回し部155を備える。このようにすれば、フレキシブルプリント基板9を、可動体5において、光軸Lと垂直な底壁29に接続することができる。
【0099】
また、引き出し部湾曲基板部分156b、蛇行部第1湾曲基板部分157b、蛇行部第2湾曲基板部分157d、第1延設部湾曲基板部分158a、および第2延設部湾曲基板部分159aのそれぞれには、湾曲した形状を保持するための形状保持部材167が固定されている。従って、フレキシブルプリント基板9の形状を維持しやすい。
【0100】
さらに、本例では、フレキシブルプリント基板9は、Y軸方向に配列された第1基板部分151および第2基板部分152と、第1基板部分151および第2基板部分152の+X方向で第1基板部分151の+X方向の端部分および第2基板部分152の+X方向の端部分を接続する第3基板部分153と、を備える。これにより、可動体5に第1基板部分151と第2基板部分152とを接続できる。従って、可動体5に接続される配線パターンを、第1基板部分151および第2基板部分152のそれぞれに分配できる。この結果、第1基板部分151および第2基板部分152の幅寸法を抑制できるので、フレキシブルプリント基板9が可動体5の回転を阻害することを抑制できる。
【0101】
また、第1基板部分151および第2基板部分152は、XZ平面と平行な仮想面に対して対称の形状を備えるので、可動体5が回転したときに、第1基板部分151および第2基板部分152を同様に撓ませることができる。よって、可動体5の回転が安定する。さらに、第1基板部分151および第2基板部分152は、第3基板部分153よって接続されている。これにより、振れ補正機能付き光学ユニット1が搭載される光学機器の基板などに接続するためのコネクタを、第3基板部分153に設けることができる。従って、コネクタは1つでよく、フレキシブルプリント基板9を外部の配線に接続する接続作業が容易となる。
【0102】
また、本例では、フレキシブルプリント基板9の展開形状が簡易な形状となる。よって、フレキシブルプリント基板9を製造が容易である。
【0103】
さらに、本例では、可動体5がX軸回り、Y軸回り、Z軸回りに回転したときに、フレキシブルプリント基板9が撓みやすい。従って、可動体5を回転させる際に、フレキシブルプリント基板9の撓みに起因する負荷が小さい。よって、フレキシブルプリント基板9の撓みに起因する負荷が小さくなった分、可動体5をX軸回りおよびY軸回りに回転させるための振れ補正用磁気駆動機構10の駆動力を小さくできる。また、フレキシブルプリント基板9の撓みに起因する負荷が小さくなった分、可動体5をZ軸回りに回転させるためのローリング補正用磁気駆動機構13の駆動力を小さくできる。よって、振れ補正用磁気駆動機構10およびローリング補正用磁気駆動機構13の消費電力を、低く抑えることができる。
【0104】
(その他の実施の形態)
図19は、異なる形態のフレキシブルプリント基板を備える変形例の振れ補正機能付き光学ユニットの概略説明図である。本例の振れ補正機能付き光学ユニット1Aは、フレキシブルプリント基板9として、Y軸方向に配列された第1フレキシブルプリント基板181および第2フレキシブルプリント基板182を備える。なお、振れ補正機能付き光学ユニット1Aは、フレキシブルプリント基板9の形状を除く他の構成は、上記の振れ補正機能付き光学ユニット1と同一である。従って、
図19を参照してフレキシブルプリント基板9を説明して、他の構成の説明は、省略する。また、第1フレキシブルプリント基板181および第2フレキシブルプリント基板182は、上記のフレキシブルプリント基板9の第1基板部分151、第2基板部分152、および第3基板部分153に対応する構成を備える。よって、対応する部分には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0105】
振れ補正機能付き光学ユニット1Aの第1フレキシブルプリント基板181および第2
フレキシブルプリント基板182は、それぞれ、Y軸方向に蛇行しながら+X方向に延びる蛇行部157と、蛇行部157から+X方向に湾曲して当該+X方向に延びる第1延設部158と、第1延設部158の+X方向の端部分のZ軸方向の端からY軸方向に湾曲して当該Y軸方向に延びる第2延設部159と、第2延設部159のY軸方向の端部分の+X方向の端から当該+X方向に延びる第3延設部161と、を備える。また、第1フレキシブルプリント基板181の第3延設部161、および、第1フレキシブルプリント基板181の第3延設部161は、それぞれベース20の基板支持部150に固定されている。さらに、記第1フレキシブルプリント基板181と第2フレキシブルプリント基板182とは、第1フレキシブルプリント基板181と第2フレキシブルプリント基板182との間でXZ平面と平行な仮想面に対して対称の形状を備える。ここで、第1フレキシブルプリント基板181の第2延設部159、および、第2フレキシブルプリント基板182の第2延設部159は、それぞれ、基板支持部150の基板支持面150aに対してZ軸方向に変位可能である。
【0106】
このようにすれば、可動体5に第1フレキシブルプリント基板181および第2フレキシブルプリント基板182を接続できるので、可動体5に接続される配線パターンを、第1フレキシブルプリント基板181および第2フレキシブルプリント基板182のそれぞれに分配できる。これにより、第1フレキシブルプリント基板181および第2フレキシブルプリント基板182の幅寸法を抑制できるので、フレキシブルプリント基板9が可動体5の回転を阻害することを抑制しやすい。
【符号の説明】
【0107】
1…振れ補正機能付き光学ユニット、2…レンズ、3…撮像素子、4…カメラモジュール、5…可動体、5a…外周面、6…回転支持機構、7…ジンバル機構、8…固定体、9…フレキシブルプリント基板、10…振れ補正用磁気駆動機構、11…第1振れ補正用磁気駆動機構、12…第2振れ補正用磁気駆動機構、13…ローリング補正用磁気駆動機構、15…フレキシブルプリント基板、16…ホルダ、17…可動体本体部、18…可動体突出部、19…カバー、20…ベース、21…第1側壁、22…第2側壁、23…第3側壁、24…第4側壁、25…第5側壁、26…第6側壁、27…第7側壁、28…第8側壁、29…底壁、30…円筒部分、31…小径筒部分、35…第1マグネット、36…第2マグネット、37…第3マグネット、41…プレートロール、42…プレートホルダ、43…球体、44…回転機構、45…与圧機構、47…プレートロール環状部、48…プレートロール延設部、50…プレートロール環状板、51…屈曲部分、51a…内周面、52…プレートロール環状溝、53…固定部、53a…突起、53b…突起、55…対向部、56…プレートホルダ環状部、56a…薄肉部分、57…プレートホルダ延設部、57a…プレートホルダ第1延設部分、57b…プレートホルダ第2延設部分、57c…プレートホルダ第3延設部分、58…プレートホルダ環状板、59…プレートホルダ環状壁、60…プレートホルダ円弧溝、61…第1凹曲面、65…リテーナ、65a…球体保持穴、66…リテーナ本体部、67…リテーナ突出部、67a…外側突出部、67b…内側突出部、70…板バネ、72…プレートロール固定孔、75…ジンバルフレーム、76…第1接続機構、77…第2接続機構、81…第1支持部材、82…第2支持部材、83…第2凹曲面、85…ジンバルフレーム本体部、85a…中央板部分、85b…第1傾斜板部分、85c…第2傾斜板部分、86…第1ジンバルフレーム延設部、86a…第1ジンバルフレーム延設部第1延設部分、86b…第1ジンバルフレーム延設部第2延設部分、86c…第1ジンバルフレーム延設部第3延設部分、87…第2ジンバルフレーム延設部、87a…第2ジンバルフレーム延設部第1延設部分、87b…第2ジンバルフレーム延設部第2延設部分、87c…第2ジンバルフレーム延設部第3延設部分、90…開口部、92…ジンバルフレーム延設部貫通孔、93…支持部材固定用筒部、94…第1ジンバルフレーム延設部突部、95…第2ジンバルフレーム延設部突部、100…補強部材、100a…第1補強部分、100b…第2補強部分、100c…第3補強部分、101…接着剤
注入孔、102…連通溝、103…補強部材貫通孔、104…補強部材第1突部、105…補強部材第2突部、109…ケース、110…枠部、111…第1枠部部分、111a…第1コイル固定孔、112…第2枠部部分、112a…開口部、113…第3枠部部分、113a…第2コイル固定孔、114…第4枠部部分、114a…第3コイル固定孔、115…第1コイル、116…第2コイル、117…第3コイル、120…溝部、120a…底面、120b…側面、121…凹部、121a…底面、121b…背面、121c…側面、121d…第1溝、121e…第2溝、125…ジンバルフレーム受け部材、126…スラスト受け部材、131…第1板部、131a…第2支持部材固定孔、132…第2板部、133…第3板部、141…第1ホール素子、142…第2ホール素子、143…第3ホール素子、145…移動範囲規定部、146…回転範囲規定部、150…基板支持部、150a…基板支持面、150b…基板支持面の端縁、151…第1基板部分、152…第2基板部分、153…第3基板部分、155…引き回し部、155a…引き回し部第1基板部分、155b…引き回し部第2基板部分、155c…引き回し部第3基板部分、156…引き出し部、156a…引き出し部基板部分、156b…引き出し部湾曲基板分部、157…蛇行部、157a…蛇行部第1基板部分、157b…蛇行部第1湾曲基板部分、157c…蛇行部第2基板部分、157d…蛇行部第2湾曲基板部分、157e…蛇行部第3基板部分、158…第1延設部、158a…第1延設部湾曲基板部分、158b…第1延設部基板部分、159…第2延設部、159a…第2延設部湾曲基板部分、159b…第2延設部基板部分、161…第3延設部、161a…第1の第3延設部、161b…第2の第3延設部、162…接続部、165…固定部材、166…保持部材、166a…スリット、167…形状保持部材、171…直線状基板部分、172…一方側突出基板部分、173…他方側突出基板部分、174…接続基板部分、181…第1フレキシブルプリント基板、182…第2フレキシブルプリント基板、L…光軸、R1…第1軸、R2…第2軸