(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】乾燥方法、ドラム式乾燥機の乾燥補助具
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20231129BHJP
D06F 58/20 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
D06F58/02 S
D06F58/20
(21)【出願番号】P 2019181754
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】517164556
【氏名又は名称】株式会社TOSEI
(73)【特許権者】
【識別番号】511265305
【氏名又は名称】有限会社ウィンダム
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】手塚 伸光
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-008740(JP,A)
【文献】米国特許第05220734(US,A)
【文献】米国特許第04702016(US,A)
【文献】実開平03-003998(JP,U)
【文献】米国特許第05398428(US,A)
【文献】特開2000-218088(JP,A)
【文献】特開2012-152295(JP,A)
【文献】特開2010-022616(JP,A)
【文献】特開2006-081712(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F58/00-58/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な扉と、前記扉に対し奥側に横向きに配置した円筒形の回転ドラムと、前記回転ドラムを収納するシェルと、を少なくとも有する乾燥機又は洗濯乾燥機の前記回転ドラムに布団類を搬入して乾燥を行うドラム式乾燥機の乾燥方法であって、
前記布団類が搬入された
前記回転ドラム内
の空間に乾燥補助具を搬入し、
前記乾燥補助具の複数の円弧状支持部材が前記回転ドラムの内周面と概ね相似形となるように展開し、前記
布団類を前記回転ドラムの内周面に向けて押圧した状態で、乾燥を実行することを特徴とするドラム式乾燥機の乾燥方法。
【請求項2】
開閉可能な扉と、前記扉に対し奥側に横向きに配置した円筒形の回転ドラムと、前記回転ドラムを収納するシェルと、を少なくとも有する乾燥機又は洗濯乾燥機の前記回転ドラムに布団類を搬入して乾燥するときに用いるドラム式乾燥機の乾燥補助具であって、
前記乾燥補助具を前記回転ドラム内の空間に搬入し、
前記乾燥補助具の複数の円弧状支持部材が前記回転ドラムの内周面と概ね相似形となるように展開し、前記布団類を前記回転ドラムの内周面に向けて押圧すると共に、前記回転ドラム及び前記
布団類と一体的に回転することを特徴とするドラム式乾燥機の乾燥補助具。
【請求項3】
開閉可能な扉と、前記扉に対し奥側に横向きに配置した円筒形の回転ドラムと、前記回転ドラムを収納するシェルと、を少なくとも有する乾燥機又は洗濯乾燥機の前記回転ドラムに布団類を搬入して乾燥するときに用いるドラム式乾燥機の乾燥補助具であって、
前記乾燥補助具は、
結合された複数の円弧状支持部材と、
前記複数の円弧状支持部材の曲率が変えられる複数の開閉機構と、
を有し、
内周面に沿って前記布団類を敷き詰めた前記回転ドラムの空間に前記乾燥補助具を搬入し、
前記複数の円弧状支持部材を前記回転ドラムの内周面と概ね相似形となるように展開して、前記布団類を前記回転ドラムの内周面に向けて押圧する状態に変更し、
前記複数の開閉機構のロックにより前記押圧した状態を維持して、一体となった前記回転ドラムと前記布団類とを回転して乾燥を実行する
ことを特徴とするドラム式乾燥機の乾燥補助具。
【請求項4】
前記
複数の開閉機構は、前記
複数の円弧状支持部材の弦にあたる位置に設けられ、中央のヒンジ部を介して連結された2本のヒンジアームを含むことを特徴とする請求項
3に記載のドラム式乾燥機の乾燥補助具。
【請求項5】
開閉可能な扉と、前記扉に対し奥側に横向きに配置した円筒形の回転ドラムと、前記回転ドラムを収納するシェルと、を少なくとも有する乾燥機又は洗濯乾燥機の前記回転ドラムに布団類を搬入して乾燥を行うドラム式乾燥機の乾燥方法であって、
内周面に沿って前記布団類を敷き詰めた前記回転ドラムの空間に乾燥補助具を搬入し、
前記乾燥補助具が有する結合された複数の円弧状支持部材を前記回転ドラムの内周面と概ね相似形となるように展開して、前記布団類を前記回転ドラムの内周面に向けて押圧する状態に変更し、
前記複数の円弧状支持部材の曲率が変えられる複数の開閉機構のロックにより前記押圧した状態を維持して、一体となった前記回転ドラムと前記布団類とを回転して乾燥を実行することを特徴とするドラム式乾燥機の乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乾燥方法及びドラム式乾燥機の乾燥補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
コインランドリーは、店舗内に設置した洗濯機,乾燥機,洗濯乾燥機等のランドリー機器を利用者に提供する。利用者は、衣類などの被洗濯物(被洗物、被乾燥物)を持ち込み、利用料金を支払ってセルフ方式で洗濯及び/又は乾燥を行う。
【0003】
コインランドリーには比較的サイズの大きいランドリー機器が設置されており、布団類の洗濯及び/又は乾燥を行うことも可能である。しかしながら、布団類は型崩れが起きることが多く、さらに乾燥に時間を要することから、コインランドリーで習慣的に布団類の洗濯・乾燥を行う利用者は多くないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-51563号公報
【文献】実用新案登録第3219357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、被乾燥物に型崩れが起きるのを抑え、且つ、乾燥時間を短縮化することのできる乾燥方法及びドラム式乾燥機の乾燥補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態の乾燥方法は、開閉可能な扉と、前記扉に対し奥側に横向きに配置した円筒形の回転ドラムと、前記回転ドラムを収納するシェルと、を少なくとも有する乾燥機又は洗濯乾燥機の前記回転ドラムに布団類を搬入して乾燥を行うドラム式乾燥機の乾燥方法であって、前記布団類が搬入された前記回転ドラム内の空間に乾燥補助具を搬入し、前記乾燥補助具の複数の円弧状支持部材が前記回転ドラムの内周面と概ね相似形となるように展開し、前記布団類を前記回転ドラムの内周面に向けて押圧した状態で、乾燥を実行することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】複数のランドリー機器を設置したコインランドリーの内観図である。
【
図2】第1実施形態の乾燥補助具を使用する洗濯乾燥機の斜視図である。
【
図3】第1実施形態の乾燥補助具を使用する洗濯乾燥機の扉を開けた斜視図である。
【
図5】第1実施形態の乾燥補助具を開いた状態にしたときの斜視図である。
【
図6】上記乾燥補助具を途中まで開いた状態にしたときの斜視図である。
【
図7】上記乾燥補助具を閉じた状態にしたときの斜視図である。
【
図8】上記乾燥補助具を開いた状態にしたときの正面図である。
【
図9】上記乾燥補助具が備えるロック機構の斜視図である。
【
図10】上記乾燥補助具を回転ドラム内に搬入する手順を示す説明図である。
【
図11】第2実施形態の乾燥補助具を開いた状態にしたときの斜視図である。
【
図12】上記乾燥補助具を途中まで開いた状態にしたときの斜視図である。
【
図13】上記乾燥補助具を閉じた状態にしたときの斜視図である。
【
図14】上記乾燥補助具が備えるスライド機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に従う乾燥方法及びドラム式乾燥機の乾燥補助具について、添付図面を参照しながら詳述する。なお、各図において、同一構成には同一符号を付している。
【0009】
(第1実施形態)
コインランドリー1は、
図1に示すように、複数のランドリー機器2(2A,2B)を設置している。コインランドリー1に設置されるランドリー機器には、例えば、洗濯機,乾燥機,洗濯乾燥機,靴洗浄機,圧縮パック機などがある。
図1には、ランドリー機器2の一例としてドラム式の洗濯乾燥機2Aとドラム式の乾燥機2Bを複数設置したコインランドリー1を示している。
【0010】
コインランドリー1が提供するサービスは、利用者自身が洗濯及び/又は乾燥を行うセルフサービスと、例えば店員などの第三者が利用者に代わって洗濯及び/又は乾燥を行う洗濯代行サービスなどがある。利用者或いは洗濯代行者は、空いているランドリー機器2の中から使用する洗濯乾燥機2A又は乾燥機2Bを選び、衣類や布団類などの被洗濯物(被洗物又は被乾燥物)をランドリー機器2内に搬入して、洗濯又は乾燥或いは洗濯乾燥を行う。
【0011】
図2及び
図3は、乾燥補助具3を使用するドラム式乾燥機の一例として、乾燥だけでなく洗濯も行えるドラム式の洗濯乾燥機2Aの斜視図を示す。
図3には、乾燥補助具3(後述する開いた状態)を併せて示している。すなわち、乾燥補助具3を使用するドラム式乾燥機とは、乾燥専用機に限らず、洗濯乾燥機も含まれる。乾燥補助具3は、特に、布団類を乾燥する際に使用される。被乾燥物としての布団類は、その種類が限定されることはないが、一例として、敷布団,掛布団,毛布,こたつ布団などである。布団のサイズも限定されることはなく、シングルサイズ、セミダブルサイズ、ダブルサイズなどを被乾燥物とすることができる。
【0012】
図2は、洗濯乾燥機2Aの扉21を閉じた状態、
図3は、扉21を開けた状態を夫々示す。洗濯乾燥機2Aは、例えば横向きに配置した円筒形の回転ドラム22を内部に備えている。利用者又は洗濯代行者は、扉21を開けて被洗濯物を搬入し、洗濯及び/又は乾燥を行い、終了後に扉21を開けて被洗濯物を取り出す。洗濯乾燥機2Aは、前面に、使用中であるか否かを示す表示ランプ23、洗濯・乾燥の各種コースを選ぶコース選択ボタン24、利用料金を支払う現金投入口25、利用者が携帯電話の番号を入力するテンキー26などを設けている。利用者は、洗濯及び/又は乾燥が終了したことを音声案内で受け取りたい場合、携帯番号をテンキー26で入力する。また、扉21を開錠するパスワードとして携帯番号を入力することもできる。
【0013】
図4は、洗濯乾燥機2Aの内部構成図である。洗濯乾燥機2Aの回転ドラム22は、シェル3内に回転自在に配置している。回転ドラム22の内周面には、洗濯用水や乾燥用空気(温風)が通過する多数の開口孔22aを形成している。さらに、回転ドラム22の奥行方向に沿って延びる断面山形の羽根部材22bを形成している。回転ドラム22は、駆動装置であるモーター31と無端ベルト32を介して連結している。モーター31は、洗濯及び乾燥の各工程において、インバーター又は減速機により調整された回転速度で回転ドラム22を回転させる。
【0014】
シェル3には、被洗濯物の洗い及びすすぎに用いる水又は温水の給水路33、洗濯排水を排出する排水路34を接続している。水量は、圧力センサー35によって検知する。また、温水を用いる場合、水温の変化を温度センサー36によって検知する。給水路33の途中には、さらに洗剤の供給路37が接続している。シェル3には、被洗濯物の乾燥に用いる温風の吸気路4、及び排気路41を接続している。排気路内41には、吸気路4を通じて空気をシェル3内に取り込むファン42,糸屑等を捕獲するリントフィルター43,逆流防止のチャッキダンパー44を設けている。一方、吸気路4には、取り込まれる空気を加熱して温風にする加熱装置(例えば、バーナー)45を設けている。温風の温度変化は、吸気路4と排気路41に夫々配置した温度センサー46,47によって検知する。
【0015】
洗濯工程は、シェル3内に水と洗剤を注入し、回転ドラム22を回転させることによって行う。すすぎ工程は、シェル3内に水を注入し、回転ドラム22を回転させることによって行う。脱水工程は、すすぎ水をシェル3から排出した後、回転ドラム22を回転させて遠心力の作用によって行う。乾燥工程は、温風をシェル3内に導入しながら回転ドラム22を回転させることによって行う。
【0016】
乾燥補助具3は、コインランドリー1内に例えば複数配備し、無料或いは有料で利用者が利用できるようにする。
図5は、開いた状態にした乾燥補助具3を下方から見た斜視図である(上方から見た斜視図は
図3参照)。また、
図6は、途中まで開いた(或いは閉じた)状態にした乾燥補助具3を上方から見た斜視図であり、
図7は、完全に閉じた状態にした乾燥補助具3を上方から見た斜視図である。このように、乾燥補助具3は、後述する開閉機構4によって展開可能に構成されている。
図5の状態は乾燥補助具3の第2の状態であり、
図6又は
図7の状態は乾燥補助具3の第1の状態である。
【0017】
乾燥補助具3は、外周郭が回転ドラム22の内周面と概ね相似形となる、概ね円筒形の骨子構造である。骨子構造の乾燥補助具3は、円弧状の被乾燥物支持部材31を例えば2本備えている。被乾燥物支持部材31は、回転ドラム22の奥行方向(
図3参照)に間隔をあけて例えば並列に配置している。被乾燥物支持部材31同士は、回転ドラム22の奥行方向に配置した例えば3本の連結部材32で連結している。被乾燥物支持部材31と連結部材32は、各々、例えば平面が帯状の板状部材である。被乾燥物支持部材31と連結部材32は、別々の部材で形成し、例えば溶接又は溶着により相互に接続してもよく、ボルトやネジなどの固定手段で相互に接続してもよい。或いは、被乾燥物支持部材31と連結部材32を一体成形してもよい。
【0018】
被乾燥物支持部材31は、詳しくは後述するように、回転ドラム22内に搬入した被乾燥物としての布団類をその外周面で回転ドラム22の内周面に向けて支持する。被乾燥物支持部材31の本数は、1本或いは3本以上としてもよいが、高い乾燥効率と型崩れ抑制効果を得るためには2本の被乾燥物支持部材31を回転ドラム22の前方側と後方側の2ヵ所に配置するのが好ましい。
【0019】
被乾燥物支持部材31は、弾性を有する長尺で板状の部材であり、その復元力を残して円弧状に曲げ、その両端部同士を開閉機構4を介して連結する。これにより、円弧状の被乾燥物支持部材31を形成している。被乾燥物支持部材31の材質は、例えば金属、樹脂などである。異なる材質を用いて積層構造としてもよい。金属の一例は、ステンレスである。連結部材32や開閉機構4を構成する材質も同様である。なお、乾燥終了後、使用者が乾燥補助具3を触ったとき熱く感じるのを抑えるために、熱伝導率が低い材質を選定するのが好ましい。或いは、例えば金属の表面を樹脂で被覆するようにしてもよい。さらには、利用者が手で触れる温度に下がるまで乾燥コース終了後に待機時間を設けたり、乾燥時よりも温度を下げた風(例えば常温の風)をシェル3内に導入したりしてもよい。この場合は、反対に、温度が早く下がるよう熱伝導率が高い材質を選定するようにしてもよい。
【0020】
開閉機構4は、乾燥補助具3を開いた状態にしたときに、円弧状の被乾燥物支持部材31の弦にあたる位置に設けている。各被乾燥物支持部材31の開閉機構4同士は、回転ドラム22の奥行方向に配置した例えば円柱状の連結部材41によって連結している。開閉機構4は、中央部のヒンジ部42を介して回動自在に連結した2本のヒンジアーム43A,43Bを備える。開閉機構4は、ヒンジ部42を介してヒンジアーム43A,43Bを回動させることにより、
図5乃至
図7に示した開いた状態から閉じた状態に乾燥補助具3の形態を変えることができる。
【0021】
すなわち、乾燥補助具3は、開閉機構4によって円弧状の被乾燥物支持部材31の曲率を小さく及び大きくすることができ、結果として、概ね円筒状の乾燥補助具3の径を縮径及び拡径することができる。
【0022】
2本のヒンジアーム43A,43Bは、
図8に示すように、180度以上の外周角θが形成される位置まで回動できるように構成している。外周角θは、例えば182~210度の範囲内で決定する。すなわち、2本のヒンジアーム43A,43Bは、乾燥補助具3を開いた状態にしたとき、外側に尖った「くの字」を形成し、これにより乾燥前の水分を含んだ布団類の重さに抗するようにしている。開閉機構4は、この開いた状態を保持するためのロック機構5を更に備えている。ロック機構5は、特に
図9に示すように、ヒンジアーム43Aの端部に形成した舌片部51に、係止穴52を有する凹部53を配置し、ヒンジアーム43Bに係止穴52と係合するシャフト54を有する凸部55を配置した構成である。シャフト54は、軸方向に進退自在である。そして例えばシャフト後端部54aを手で押してシャフト54を係止穴52に係合させるとロックし、解除ボタン56を押すとロック解除するように構成している。舌片部51は、その取付角度により外周角θの最大値を規定する。
【0023】
利用者又は洗濯代行者が乾燥補助具3を閉じた状態にするには、一例として、ロック機構5のロックを解除し、被乾燥物支持部材31の両端付近を手で持って近づけるようにする。この閉じる作業は、利用者又は洗濯代行者が乾燥補助具3を回転ドラム22内に搬入する際に行う。つまり、回転ドラム22内に搬入することができれば必ずしも
図7に示した完全に閉じた状態にする必要はなく、
図6に示した途中まで閉じた状態までとしてもよい。反対に、乾燥補助具3を開いた状態にするには、一例として、開閉機構4のヒンジ部42のあたりを手で外側に押して乾燥補助具3を開き、シャフト後端部54aを手で押してシャフト54をスライドさせることでロック機構5をロックする。
【0024】
布団類の乾燥に使用する洗濯乾燥機2A又は乾燥機2Bの回転ドラム22のサイズは、一例として、直径840~900mm、奥行方向の長さ565~780mmである。乾燥補助具3のサイズは、回転ドラム22のサイズに応じて決定する。具体的には、乾燥補助具3を開いた状態にしたときに、布団を回転ドラム22の内周面に押圧できるサイズとする。一例として、シングルサイズの布団を対象とする場合は回転ドラム22の内周面に沿って敷き詰めることが可能であるので、例えば布団1枚分の空間が形成されるサイズとする。セミダブルサイズやダブルサイズの布団までも対象とする場合は、例えば布団2枚分の空間が形成されるサイズとし、例えば布団を2つ折りにして回転ドラム22の内周面に沿って敷き詰めるようにする。反対に、閉じた状態としたときには扉21の開口部を通過できるサイズとする。
【0025】
続いて、乾燥補助具3を用いて、例えばシングルサイズの布団を洗濯から乾燥まで行う手順について説明する。コインランドリー1内に被洗濯物として持ち込んだ布団は、利用者又は洗濯代行者によって回転ドラム22内に搬入される。このとき、布団は、洗濯ネットで簀巻きにし、バンドで固定した状態にしてから回転ドラム22内に搬入するのが望ましい。その後、扉21を閉じ、各種コースの中から洗濯コースを選択し、利用料金を投入して洗濯を開始する。洗濯が終了すると、扉21を開けて一旦布団を取り出し、バンドと洗濯ネットを取り外す。その後、再び布団を回転ドラム22内に搬入する。
【0026】
図10(a)~(d)は、扉21を開いて回転ドラム22を前方側から見た様子を示している。
図10(a)に示すように、布団Fは回転ドラム22の内周面に沿って敷き詰めるようにする。但し、この段階では、布団Fは、回転ドラム22の内周面に密着させることは難しい。特に、布団Fの端部は、回転ドラム22に密着せずダレている。そして、
図10(b)に示すように、閉じた状態にした乾燥補助具3(完全に閉じなくてもよい)を回転ドラム22の中央の空いた空間に搬入する。すなわち、乾燥補助具3を第1の状態で回転ドラム22内に装着する。続けて、
図10(c)に示すように、乾燥補助具3を展開して第2の状態に変更し、ロック機構5でロックする。このように乾燥補助具3を回転ドラム22内で展開することによって、布団Fを回転ドラム22に内周面に向けて押圧することができ、回転ドラム22の内周面への密着性が高まる。
【0027】
布団F及び乾燥補助具3の搬入が終わると、扉21を閉じ、各種コースの中から乾燥コースを選択し、利用料金を投入して乾燥を開始する。乾燥が終了すると、扉21を開き、ロック機構5のロックを解除すると共に乾燥補助具3を閉じた状態にして回転ドラム22から取り出し、さらに布団Fを取り出す。なお、洗濯コースと乾燥コースを別々に実行するのに代えて洗濯乾燥コースを選択し、洗濯が完了した時点で一時停止させてから
図10(a)~(c)の作業を実行するようにしてもよい。勿論、洗濯乾燥機2Aに布団専用の洗濯乾燥コースをプログラミングするようにしてもよい。
【0028】
ここで、乾燥補助具3を用いた布団Fの乾燥を実行すると、一例として
図10(d)に模式的に示すように、乾燥補助具3は、回転ドラム22及び布団Fと一体的に回転する。回転方向は、例えば、一方向或いは双方向である。つまり、衣類など複数の被乾燥物が回転ドラム22内で舞うように乾燥させる通常の乾燥とは異なる。布団Fは、乾燥補助具3によって回転ドラム22にいわば密着させた状態で回転しながら乾燥されるので、乾燥が促進されると共に、型崩れを抑えることができる。すなわち、布団表面に温風が万遍なく広範囲にあたる上、蒸発した水分の抜けが促進されることから、布団全体の乾燥が促進される。さらに通常の乾燥のように回転ドラム22内で舞わないので型崩れが起き難いのである。
【0029】
比較として、洗濯ネットで簀巻きにしたままで乾燥させると、型崩れを抑える効果がみられるものの、蒸発した水分の抜けが悪く乾燥に長時間を要した。型崩れが起き易いとされている和布団の敷布団で試験を行ったところ、乾燥補助具3を用いれば乾燥時間54分でシングルサイズの敷布団を乾燥できたのに対し、洗濯ネットで簀巻きにしたままで乾燥させたものは同じ時間では内側が殆ど乾燥しなかった。しかも型崩れの抑制効果も、乾燥補助具3を用いたときの方が、ふっくらと仕上げることができた。さらには、乾燥補助具3も用いず、洗濯ネットで簀巻きにもしないで乾燥させた布団は、内部の綿が大きく偏り、型崩れを起こしていた。
【0030】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に従う乾燥補助具6について説明する。本実施形態に従う乾燥補助具6は、開閉機構4の構成が異なることを除けば第1実施形態の乾燥補助具3と同じ構成である。従って、同じ構成については同じ符号を付すことによって詳しい説明を省略する。
【0031】
第2実施形態に従う乾燥補助具6を、
図11~
図13に示す。
図11は、開いた状態の斜視図、
図12は、途中まで開いた(或いは閉じた)状態の斜視図、
図13は、完全に閉じた状態の斜視図を夫々示している。各図に示されるように、本実施形態に従う乾燥補助具6は、第1実施形態の乾燥補助具3と概ね同じ構成である。但し、ロック機構5に代えて、テンション機構7を設けたところが異なる。
【0032】
テンション機構7は、例えばヒンジアーム43A又は43Bの少なくとも一方に設ける。
図14(a)~(b)には、ヒンジアーム43Aにテンション機構7を設けた一例を示している。具体的には、ヒンジアーム43Aを、断面コの字状の第1のアーム71と第2のアーム72で構成し、相互にスライド移動可能なように係合する。さらに、特に
図14(b)に示すように、内部に例えばバネ73などの弾性部材を配置し、第1のアーム71と第2のアーム72に夫々設けた支持片71a,72a間に跨るよう接続する。このような構成にすることにより、ヒンジアーム43Aが伸縮自在となり、且つ、バネ73の弾性作用によって、ヒンジアーム43Aが伸びる方向にテンションをかけることができる。これにより、
図14(a)に示すように、連結部材41を上方向に上げて乾燥補助具6を開いた状態にすれば、ヒンジアーム43Aに付与されたテンションの作用でその状態を維持することが可能となる。反対に乾燥補助具6を閉じるときには連結部材41を下方向に下げればよい。テンション機構7には、バネ73の弾性作用によって、厚みのある布団の場合はヒンジアーム43Aが縮み、布団の厚みに応じてヒンジアーム43Aの長さが調整されると共に被乾燥物支持部材31も変形するという利点もある。
【0033】
上述のいずれかの実施形態によれば、円弧状の被乾燥物支持部材31を備えた乾燥補助具3を用い、被乾燥物支持部材31の外周面で被乾燥物である布団Fを回転ドラム22の内周面に向けて支持する構成としたことにより、布団Fを回転ドラム22の内周面にいわば密着させた状態で乾燥させることができるので、乾燥が促進されると共に、型崩れを抑えることができる。布団Fを回転ドラム22の内周面に向けて押圧できればよく、被乾燥物支持部材31の形状が限定されることはない。例えば正面から見た多角形状であってもよい。或いは中心から放射状に延びる複数の部材で構成してもよい。
【0034】
以上の理由により、布団類の洗濯乾燥について大きな課題であった型崩れの抑制と共に、乾燥時間を短縮化することができる。これは、利用者や洗濯代行者の負担を減らすだけでなく、顧客満足度が向上する期待が大きい。また、乾燥効率の向上によって電気やガスの使用量が減ることで、温暖化対策への貢献も期待できる。
【0035】
なお、乾燥補助具3,6は、布団類を乾燥させるのに開発されたものであるが、布団類に限定されることはない。また、コインランドリー1での使用に限定されることはなく、例えばクリーニング業者が自社の乾燥機又は洗濯乾燥機で使用するようにしてもよい。或いは、病院などの施設で使用するようにしてもよい。
【0036】
乾燥方法の変形例としては、第1の状態および第2の状態を取り得る構成を有する乾燥補助具を用いて、乾燥機又は洗濯乾燥機の回転ドラム内に搬入された被乾燥物の乾燥方法において、
前記被乾燥物が前記回転ドラムの内周面に沿って搬入された後、前記乾燥補助具を第1の状態で、前記回転ドラム内に装着する第1のステップと、
この第1のステップの後、前記乾燥補助具を第2の状態に変更し、前記被乾燥物を前記回転ドラムに向かって押圧する第2のステップと、
この第2のステップの後、前記回転ドラムによる乾燥動作を行う第3のステップを有する乾燥方法であってもよい。
【0037】
そして、前記乾燥補助具は、被乾燥物支持部材を有し、
前記第2の状態で前記被乾燥物支持部材により前記被乾燥物を前記回転ドラムに向かって押圧すると共に、この状態を継続する部材を有してもよい。
【0038】
また、乾燥機又は洗濯乾燥機の回転ドラム内に搬入した被乾燥物を、前記回転ドラムの内周面に向けてその外周面で支持すると共に、前記回転ドラム及び前記被乾燥物と一体的に回転する円弧状の被乾燥物支持部材を備えたドラム式乾燥機の乾燥補助具であってもよい。
【0039】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 コインランドリー
2 ランドリー機器
2A 洗濯乾燥機
2B 乾燥機
3 乾燥補助具
31 被乾燥物支持部材
4 開閉機構
42 ヒンジ部
43A,43B ヒンジアーム
5 ロック機構
6 乾燥補助具
7 スライド機構
F 布団