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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】電動式移動棚装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 53/02 20060101AFI20231129BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A47B53/02 501C
A47B53/02 502A
B65G1/10 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019195753
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021069383
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】辻 研章
(72)【発明者】
【氏名】山田 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】今井 文博
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 吉宏
(72)【発明者】
【氏名】菊池 一男
(72)【発明者】
【氏名】千葉 慶一
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-212312(JP,A)
【文献】特開2004-033500(JP,A)
【文献】特開2013-128502(JP,A)
【文献】特開2019-084007(JP,A)
【文献】特開2006-006775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 53/02
B65G 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上に移動可能に載置された複数の移動棚を備え、いずれかの移動棚の押圧体の操作中にモータを駆動させて該移動棚を移動させ、隣り合う移動棚同士の間に通路を形成しうるようにした電動式移動棚装置において、
前記移動棚の側面パネルの移動方向の端部に、上下に延び斜め外方を向く面取部が形成されるとともに、前記押圧体は長尺であって前記面取部の上下方向に沿って配設され
前記面取部には、前記押圧体が押圧された際に発光する発光源が備えられており、
隣接する一方側の移動棚に配設された前記押圧体が押圧操作されることで、前記一方側の移動棚に配設された発光源と、他方側の移動棚に配設された発光源とがそれぞれ発光するようになっていることを特徴とする電動式移動棚装置。
【請求項2】
記押圧体の少なくとも一部は、上下に延び前記発光源からの光を透過できる透光部を有していることを特徴とする請求項1に記載の電動式移動棚装置。
【請求項3】
前記押圧体は、全体が透光材により一体的に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電動式移動棚装置。
【請求項4】
前記面取部は、前記移動棚の側面パネルの移動方向の端部における上端から下端にかけて形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電動式移動棚装置。
【請求項5】
前記電動式移動棚装置は、隣接する一方側の移動棚に配設された前記押圧体が押圧操作されることで、前記一方側の移動棚と他方側の移動棚が協働して前記通路を形成することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電動式移動棚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールに沿って移動可能な複数の移動棚を備える電動式移動棚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
書庫等で用いられ、床面に敷設された前後方向に延びるレールの上に配置された複数の移動棚をレールに沿って移動させ、各移動棚同士を近接させるとともに、隣接する任意の移動棚同士の間に通路を形成し、この通路から移動棚の側面に設けられた収容部に対してアクセス可能とすることにより、限られたスペースにおける物品の収容効率を高めた移動棚装置があり、その移動棚を移動させる手段としてモータを用いる電動式移動棚装置が一般的に知られている。
【0003】
この種の電動式移動棚装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、移動棚の側面パネルの移動方向の端部における上下方向の中間部に内方側へ凹む窪み部を形成し、この窪み部内に入力部を設けたものがある。入力部の押圧体が押圧操作されると押圧信号が出力され、押圧信号を受け取った制御部は該押圧信号を受け取っている間継続してモータを駆動させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3755735号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている電動式移動棚装置は、押圧体が窪み部内に設けられているため、利用者が不用意に入力部に触れることのないようにして移動棚が不意に移動し始めることを防止している。しかしながら、押圧体は移動棚の側面パネル端部の窪み部内に設けられており移動棚の移動中には押圧体は同じ高さで水平に移動するため、車椅子使用者等が利用者となる場合においては、押圧中の手を同じ高さに保つことが難しいこともあり水平に移動する押圧体を利用者は当初の位置にとどまったままで押し続けて通路を所望の幅に拡げることができず、利用者は当初の位置から移動棚の移動方向に移動して押圧操作を繰り返すこととなっていた。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、身長の異なる利用者、車椅子使用者等、様々な利用者にとって容易な操作で移動棚を移動させることができるようにした、使い勝手のよい電動式移動棚装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の電動式移動棚装置は、
レール上に移動可能に載置された複数の移動棚を備え、いずれかの移動棚の押圧体の操作中にモータを駆動させて該移動棚を移動させ、隣り合う移動棚同士の間に通路を形成しうるようにした電動式移動棚装置において、
前記移動棚の側面パネルの移動方向の端部に、上下に延び斜め外方を向く面取部が形成されるとともに、前記押圧体は長尺であって前記面取部の上下方向に沿って配設され
前記面取部には、前記押圧体が押圧された際に発光する発光源が備えられており、
隣接する一方側の移動棚に配設された前記押圧体が押圧操作されることで、前記一方側の移動棚に配設された発光源と、他方側の移動棚に配設された発光源とがそれぞれ発光するようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、面取部に長尺の押圧体が上下方向に沿って配設されていることから、押圧体の押圧操作中に押圧体が水平に移動しても押圧体にアクセスし易く、利用者の移動を最小限に抑えながら様々な利用者にとって押圧体の操作が容易となる。
【0008】
前記押圧体が押圧された際に発光する発光源が備えられており、前記押圧体の少なくとも一部は、上下に延び前記発光源からの光を透過できる透光部を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、上下に延びる透光部が発光源の発する光を透過させるので視認性が良く、利用者を押圧体に案内させ易い。
【0009】
前記押圧体は、全体が透光材により一体的に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、押圧体全体が透光材により一体形成されているので、発光源からの光を広い範囲で透過させることができ押圧体を認識し易い。
【0010】
前記面取部は、前記移動棚の側面パネルの移動方向の端部における上端から下端にかけて形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、押圧体を配設させるスペースを広く確保できるとともに、利用者が押圧体を認識し易くさらに押圧体にアクセスしやすくなっている。
【0011】
前記電動式移動棚装置は、隣接する一方側の移動棚に配設された前記押圧体が押圧操作されることで、前記一方側の移動棚と他方側の移動棚が協働して前記通路を形成することを特徴としている。
この特徴によれば、一方側の移動棚と他方側の移動棚がそれぞれ移動して通路を形成するので、利用者の移動を最小限に抑えながら通路を大きく確保することができる。また、短い時間で通路を形成させることも可能となる。
【0012】
前記電動式移動棚装置は、隣接する一方側の移動棚に配設された前記押圧体が押圧操作されることで、前記一方側の移動棚に配設された発光源と、他方側の移動棚に配設された発光源とがそれぞれ発光するようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、押圧操作中の一方側の移動棚のみならず、移動中の他方側の移動棚の発光源も発光するようになっているので、利用者にとって移動棚が移動し通路が形成される状況を認識し易い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係る電動式移動棚装置の平面図である。
図2】移動棚4Aの面取部及び入力部の断面図である。
図3】(a)は入力部の正面図を示し、(b)は入力部の側面図である。
図4】(a)は、利用者が入力部の備える押圧体の上端部近傍を押圧した態様を示し、(b)は、利用者が入力部の備える押圧体の中央部近傍を押圧した態様を示す要部の拡大側面図である。
図5】(a)は、初期位置の移動棚を示し、(b)は初期位置から移動棚4A~4Cを前方に移動させ固定棚3と移動棚4Aの間に通路Pを形成させた態様を示し、(c)は(b)の状態から移動棚4A,4Bを後方へ、移動棚4Cを前方に移動させて通路Pを形成させた態様を示す説明図である。
図6】(a)は、利用者が停止状態の移動棚の押圧体を押圧した際の態様を示し、(b)は利用者が移動中の移動棚の押圧体を押圧している態様を示し、(c)は利用者が押圧体から手を離し移動棚を停止させた態様を示す説明図である。
図7】固定棚と移動棚の備える制御部の接続態様を示す模式図である。
図8図5(b)の状態から移動棚4A,4Bを後方に移動させ移動棚4Bと4Cの間に通路Pを形成させた別態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る電動式移動棚装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0015】
実施例に係る電動式移動棚装置につき、図1から図5を参照して説明する。以下、移動棚の移動方向である図1の右方向を前方、図1の左方向を後方として説明する。
【0016】
図1に示すように、電動式移動棚装置1は、床面に設置された前後方向を向く2本のレール2,2上の後端部に固定的に載置された固定棚3と、固定棚3の前方においてレール2,2上に車輪(図示略)を介して前後方向に移動可能に載置された複数(本実施例では3台)の移動棚4A,4B,4Cとを備えている。レール2,2の前端部には、最前部の移動棚4Cの脱落を防止するストッパ5(図5参照)が設けられている。固定棚3の前面と各移動棚4A~4Cの前後両面は、各種ファイルや書籍等を載置して陳列可能な陳列棚となっている。
【0017】
各移動棚4A~4Cには、車輪を回転駆動させる可逆モータM(図7参照)が内蔵されており、センサS(図7参照)及び内部に収容された制御部11A~11Dにより可逆モータMを正転または逆転させることにより、各移動棚4A~4Cを前方または後方に移動させうるようになっている。また、固定棚3及び移動棚4A~4Cは、各棚の上端で移動棚4A~4Cの移動に伴い略中央部が屈曲する折節リンク31で接続されており、折節リンク31の内部には、電源や通信のためのケーブル30(図7参照)が配置されている。
【0018】
固定棚3の一方の側面パネル3aの上下方向の中間部には、操作パネル6が設けられ、この操作パネル6は、電動式移動棚装置1全体の主電源スイッチ7と、非常停止ボタン8と、セキュリティキー挿入部9と、タッチパネル10とを有している。固定棚3の内部には、操作パネル6等に接続された制御部11Aが収容されている。
【0019】
図2を参照し、各移動棚4A~4Cの一方の側面パネル4aは、側面板40と、カバー部材14と、チャンネル材15と、詳細は後述する入力部20とから構成されている。具体的には、図2に示すように、側面板40は、板金よりなり、前後のコーナー部が平面視ほぼL字状断面を成すように折曲片41,41が形成されている。チャンネル材15,15は平面視全体形状がほぼL字状断面をなすように形成されている。カバー部材14,14は平面視全体形状がほぼ鋭角に折り曲げられたコ字状断面をなすように形成されている。
【0020】
側面板40,40の内面にはチャンネル材15,15の一端の折曲片15a,15aが固定されている。また、側面板40,40の折曲片41にはカバー部材14,14の一端の折曲片14aが面当接した状態で固定されている。さらに、チャンネル材15,15の他端の略コ字状の折り曲げ部15b,15bには、合成樹脂製のカバー部材14,14の他端の折曲片14c,14cが2面当接した状態で固定されている。
【0021】
このように、側面板40,40にチャンネル材15,15、カバー部材14,14を固定することで、カバー部材14,14の一端の折曲片14aと他端の折曲片14cとの間の主面14bは、チャンネル材15,15の開放面を、平面視ほぼ45度を成すように塞ぐことにより、カバー部材14,14によって側面板40の前後のコーナー部に上下方向に延びる面取部12,12が形成されている。すなわち移動棚4A~4Cの前後の両コーナー部に、上下方向に延び、それぞれ外方側に向けて斜め略45°に形成された面取部12,12が形成されている。この面取部12は、側面パネル4aの両コーナー部において上端から下端に亘り形成されている。
【0022】
尚、カバー部材14,14の主面14bの上下方向における略中央部には、上下に延びる略矩形状の孔14dがそれぞれ形成されている。孔14dには、後述する入力部20の押圧体17が背面(内面)側から嵌合・突出可能となっている。カバー部材14の側面板40,チャンネル材15への取り付け固定の前に、予め孔14dに押圧体17を嵌入させ、入力部20を取付部材20aによりカバー部材14の背面側に固定しておく。尚、取付部材20aは平面視ハット状を成し上下方向に延びる部材である。
【0023】
次に、図2図3(a),(b)を用い入力部20について詳しく説明する。移動棚4A~4Cにおける前後の面取部12,12にそれぞれ配設される入力部の構造は同一構造であることから移動棚4Aの入力部20のみ説明する。図3(b)に示されるように入力部20は、主に押圧体17と、スイッチ19,…と、LEDからなる発光源16,…と、ケース18と、板バネ21,21と、配電ケーブル22と、から構成されており、制御部11Aに電気的に接続されている。
【0024】
押圧体17は、透光性のあるアクリル材により厚みのある断面略矩形状かつ長尺のバー形状に成形されており、平坦に形成され利用者により押圧され透光部としても機能する押圧面17aと、押圧面17aの反対側の平坦面である背面17bが形成されている。押圧体17は、断面視略コ字状に成形され上下に延びるケース18(図2参照)に両側から挟持され、ケース18の上端及び下端に配設されたスポンジ材23,23の上下方向の略中央部に形成された矩形状の孔部に両端部が挿入されている。詳しくは、図2に示されるように押圧体17の両側面にそれぞれ形成されている外方側に突出する略矩形状の突出部17cが、ケース18の内側面に対向して形成されている横向き略コ字状の凹部18b内において板バネ21の付勢方向(突出部17cが突出する方向に直交する方向)に所定長さだけ移動可能に遊嵌されている。後述するが、ケース18の押圧体17の背面17bと対向する底面18aには、基台19b(図4参照)と作動部19aからなるスイッチ19が上下方向に一定間隔離間して複数(本実施例では4個)配設されている。また、ケース18の底面18aの略中央部には、発光源16が一定間隔離間して複数配設されている。
【0025】
押圧体17の長手方向の端部かつ背面17bは、板バネ21,21によって正面側に向けて復帰可能に付勢・支持されている。また、押圧体17の長手方向の端部は、ケース18の両端部に接着されたスポンジ材23,23内に挿入されることで保護されており、スポンジ材23,23によって押圧体17の端部が覆われていることにより、背面17bとケース18の間の空間内に塵等が侵入することを防止している。また、ケース18の下方側端部には配電ケーブル22が接続されており、給電プラグ22aからケース18に配設された発光源16,…、スイッチ19,…へ電力を供給している。尚、スイッチ19,…同士は並列接続されており、いずれかのスイッチ19が押圧されると出力電圧が変動するようになっている。
【0026】
押圧体17の押圧面17aが押圧されると、押圧体17の背面17bがスイッチ19の作動部19aを押圧することとなり、作動部19aが背面17bに押圧されている間、発光源16,…が発光するようになっている(図3(a)参照)。押圧体17は、透光性を有するアクリル材から成形されているので、発光源16,…の光が正面側に透過するようになっている。また、発光源16,…の光の一部が押圧体17の内部で屈折し進行することで、押圧体17の長手方向の両端部からも光が正面側に透過するようになっている。
【0027】
押圧体17は、アクリル製でかつ長尺に形成されていることから、利用者により押圧体17の一部分のみを強く押圧されると、僅かに撓みが生じる場合がある。例えば、図4(a)に示されるように、初期(操作前)の押圧体17は、板バネ21,21によりカバー部材14の裏面(図2参照)に規制されているが、押圧体17の上端部近傍が強く押圧されると、上端部近傍はケース18の底面18a側へ押し込まれ、押圧体17が長尺であることから撓みが生じる。このとき中央部から下端部は操作前の位置のままである。このように、スイッチ19をケース18の底面18aに一定間隔離間させて複数配設させているため、利用者が押圧体17のどの部分を押圧しても少なくとも一つのスイッチ19の作動させることができるようになっている。また、板バネ21,21により利用者により押圧された押圧体17を規定位置へ復帰させるようになっているので、スイッチ19と押圧体17の間にストッパを設ける必要がなく部材点数を少なくすることができる上、スイッチ19の個数も最小限に抑えることができる。
【0028】
また、図4(b)に示されるように、押圧体17の中央部近傍が利用者により押圧され、押圧体17が僅かに撓んだとしても、押圧体17はスイッチ19例えば基台19bに移動規制されるので、背面17bが発光源16,…に接触乃至所定以上近接して押圧体17から透過する光の輝度ムラを小さくするようになっている。
【0029】
尚、ケース18の底面18aに配設させた発光源16,…は、ケース18の長手方向における略中央部に配設させることとしたがこの限りでなく、上方側のみに配設させることとしてもよいし、底面18aの長手方向に亘り万遍なく配設させることとしてもよい。
【0030】
上述したように移動棚4Aのスイッチ19,…は、制御部11Bに接続されており、押圧体17が押圧され、スイッチ19,…のいずれかが作動すると、制御部11Bはスイッチ19,…から出力される信号の変化に基づいて折節リンク31(図1参照)内のケーブル30を通じて固定棚3の備える制御部11Aへ起動要求信号を送信し、起動要求信号を受信した固定棚3の制御部11Aが移動棚4A~4Cの現在位置を考慮した上で、適切な移動棚の制御部へ駆動信号を送信(本例の場合は移動棚4A~4Cの制御部11B~11Dへ駆動信号を送信)し、各移動棚の可逆モータを起動させるようになっている(図1、6参照)。このように、本実施例では、固定棚3の制御部11Aの制御部11Aが移動棚4A~4Cを集中的に制御・管理する例について説明しているが、このような制御・管理は必須ではなく、各移動棚が他の移動棚・固定棚との距離等を個別に判断し自立的に制御されるものを排除するものではない。
【0031】
例えば、図5(a)に示されるように、電動式移動棚装置1の収束状態から、利用者が移動棚4Aの正面視左側の面取部12に配設されている押圧体17(説明の便宜上符号Xを付している)を、押圧すると移動棚4A~4Bが右方に移動し、最終的に図5(b)に示される位置で停止する。この間の動作を図6を用いて詳しく説明する。
【0032】
電動式移動棚装置1の収束状態で移動棚4Aの押圧体17が押圧されると、スイッチ19からの信号を受信した制御部11Bは制御部11Aに押圧に関する信号を送信する。制御部11Bから押圧に関する信号を受信した制御部11Aは移動棚4Cのみが右方向に移動可能であり、かつ、全ての移動棚4A~4Cを右方向に移動させる必要があると判断し、制御部11B~11Dに駆動信号を送信する。制御部11Bは移動棚4Aの発光源16を点灯させるとともに可逆モータMを正転させ、制御部11C,11Dはそれぞれ移動棚4B,4Cを正転させる(図6(a)に示される状態となる)。
【0033】
図6(a)に示される状態から、移動棚4Aの押圧体17を押圧しつづけると、移動棚4Aの発光源16を点灯させた状態で移動棚4A,4B,4Cは右方に移動し、図6(b)に示される状態となる。
【0034】
その後、図6(b)に示される状態から、更に移動棚4Aの押圧体17を押圧しつづけると、移動棚4Aの発光源16を点灯させた状態で移動棚4A,4B,4Cは右方に移動し、利用者が所望の位置で押圧体17から手を離すと、スイッチ19から制御部11Bへの出力信号が初期状態となって停止に関する信号を送信する。制御部11Bから停止に関する信号を受信した、制御部11Aは制御部11B~11Dに停止信号を送信することで、図6(c)に示されるように移動棚4Aの発光源16が消灯するとともに移動棚4A~4Cの移動が停止されるようになっている。
【0035】
このように、利用者が押圧体17の押圧中にその間に亘って該当する移動棚が連続的に移動し、押圧体17から手を離すことで移動棚が停止するから、押圧体17の操作に応じて簡単に所望の通路幅の通路Pが形成される。図5(b)に示される通路Pは利用者が進入可能な程度の幅狭幅であるので同時に移動棚4Cとストッパ5との間に通路P’が形成される。尚、車椅子の利用者等であって所望の通路幅が広い場合には、押圧体17を長い間押圧することで広い通路を形成できる。
【0036】
このように、押圧体17の押圧中のみ、移動棚4A~4Cが移動し、押圧体17から手を離すと移動棚4A~4Cが停止することから、通路Pが形成された後、利用者が安心感をもって通路P内へ進入することができるようになっている。言い換えると、操作スイッチの一度の操作で所定の幅の通路が形成される全自動式の移動棚のように、操作スイッチ操作の操作後に通路が形成されることを待つ必要が無いから、操作性に優れる。さらに、押圧体17を再度操作するだけで所望の量だけ移動棚を移動させることができるので、通路の幅の微調整が簡単である。
【0037】
このとき、移動棚4Aの押圧体17(符号X)が発光源16により点灯または点滅させ、停止時に消灯させれば、利用者が移動棚4Aの移動状況または停止状況を視認できる。
【0038】
図5(b)に示される固定棚3と移動棚4Aの間に通路Pが形成されている状況において、利用者が移動棚4Bに配設されている移動棚4C側の入力部20(便宜的に符号Xを付している)の押圧体17を押圧すると、制御部11Aは移動棚4A,4Bを左方に移動可能、移動棚Cを右方向に移動可能と判断し、制御部11B~11Dにそれぞれ駆動信号を送信し、移動棚4A,4Bが左方側へ移動し、移動棚4Cが右方側へ移動するようになっている。このとき、移動棚4A,4Bと移動棚4Cの移動量はそれぞれ同じかつ移動方向は逆になっている。このように、移動棚4A,4Bと移動棚4Cがそれぞれ移動し、協働して通路Pを形成するので、一方側のみの移動棚を移動させて通路Pを形成させるよりも短い時間で通路Pを形成させることができ、かつ、押圧体17を押圧中の利用者の移動距離を短くすることができるので、一般の利用者に加えて車椅子使用者等も利用し易いようになっている。
【0039】
また、図5(b)に示される固定棚3と移動棚4Aの間に通路Pが形成されている状況において、利用者が移動棚4Cに配設されている移動棚4B側の入力部20(便宜的に符号Yを付す)の押圧体17を押圧しても、上述と同様に、移動棚4A,4Bが左方側へ移動し、移動棚4Cが右方側へ移動するようになっている。
【0040】
加えて、利用者が任意の移動棚の押圧体17を押圧し、例えば図5(c)に示されるように移動棚4Bと移動棚4Cとの間に通路Pを形成させる際には、通路Pの両隣に配置されている押圧体17,17(符号XとYが示す押圧体)が発光源16により点灯または点滅させ、停止時に消灯させれば、移動棚の移動状況または停止状況を視認できるので、電動式移動棚装置1を安心して使用することができる。また、これに限られず、任意の通路Pを形成させるために移動するすべての移動棚の押圧体を点灯させることとしてもよい。
【0041】
上述の説明では、隣接する移動棚が互いに反対方向に移動して通路Pを作る例について説明したが、この限りではない。例えば図5(b)に示される状態から、符号Xの押圧体17が押圧された際に、図8に示されるように、制御部11Aは移動棚4A,4Bを左方(固定棚3側)に移動させる必要があると判断し制御部11B,11cに起動信号を送信し(このとき制御部11Dには起動信号を送信しない)、移動棚4A,4Bが固定棚3側へ向けて移動するようにして移動棚4Bと移動棚4Cの間に通路Pが形成されるようにしてもよい。
【0042】
このように、レール2,2上に移動可能に載置された複数の移動棚4A~4Cを備え、いずれかの移動棚の押圧体17の操作中にモータMを駆動させて該移動棚を移動させ、隣り合う移動棚同士の間に通路Pを形成しうるようにした電動式移動棚装置1において、移動棚4A~4Cの側面パネルの移動方向の端部に、上下に延び斜め外方を向く面取部12が形成されるとともに、押圧体17は長尺であって面取部12の上下方向に沿って配設されていることから、押圧体17の押圧操作中に押圧体17が水平に移動しても押圧体17にアクセスし易く、例えば押圧操作中に押圧箇所を上方または下方に移動させつつ押圧体17を操作することが可能であるため押圧体17にアクセスし易く、利用者の移動を最小限に抑えながら様々な利用者にとって入力部20の操作が容易となる。
【0043】
また、押圧体17は、押圧された際に発光する発光源16を備えており、押圧体17の少なくとも一部は、上下に延び発光源16からの光を透過できる透光部を備えていることから、上下に延びる透光部が発光源16の発する光を透過させるので視認性が良く、利用者を押圧体17に案内させ易い。
【0044】
また、押圧体17は、全体が透光材により一体的に形成されていることから、発光源16からの光を広い範囲で透過させることができ押圧体17を認識し易い。
【0045】
また、面取部12は、移動棚の側面パネル4aの移動方向の端部における上端から下端にかけて形成されていることから、入力部20を配設させるスペースを広く確保できるとともに、利用者が押圧体17を認識し易くさらに押圧体17にアクセス例えば面取部12に沿って指をスライドさせることで上方からまたは下方から押圧体17にアクセスしやすくなっている。
【0046】
また、電動式移動棚装置1は、隣接する一方側の移動棚に配設された押圧体17を押圧操作することで、一方側の移動棚と他方側の移動棚が協働して通路を形成することから、一方側の移動棚と他方側の移動棚がそれぞれ移動して通路Pを形成するので、利用者の移動を最小限に抑えながら通路Pを大きく確保することができる。また、短い時間で通路Pを形成させることも可能となる。
【0047】
また、電動式移動棚装置1は、隣接する一方側の移動棚に配設された押圧体17を押圧操作することで、一方側の移動棚に配設された発光源16と、他方側の移動棚に配設された発光源16とがそれぞれ発光するようになっていることから、押圧操作中の一方側の移動棚のみならず、移動中の他方側の移動棚の発光源16も発光するようになっているので、利用者にとって移動棚が移動し通路が形成される状況を認識し易い。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0049】
例えば、前記実施例では、移動棚4A~4Cの側面パネル4aの前後のコーナー部に平面視略45度をなすようにカバー部材14により塞ぐことにより、側面パネル4aの前後のコーナー部に面取部12を設けているが、側面パネルの4aのコーナー部に、所定範囲に亘って上下方向に延びる面取部を直接形成することもできる。また、カバー部材14は側面パネルに対して略45度傾斜させることに限られず、45度よりも広角または鋭角としてもよいし、ラウンド形状としてもよい。
【0050】
また、押圧体17は、アクリル材により一体成型され厚みのある略矩形状であると説明したが、これに限られず長尺に形成され利用者が押圧体17にアクセスし易く形成されていればよい。
【0051】
また、前記実施例では、利用者が押圧体17を押圧することにより、押圧体17の背面17bがスイッチ19の作動部19aを押圧することで、任意の移動棚の可逆モータを起動させ移動させることとして説明したが、これに限られず、各移動棚の面取部12に設けた入力部20を省略し、操作パネル6を操作することで移動棚4A~4Cを制御させることとして実施することもある。
【0052】
また、前記実施例では、通路Pを形成するために通路Pの両隣に配置されている移動棚の押圧体17が発光源16,…により点灯するとしたが、これに限られず、押圧体17を押圧中の移動棚の発光源16,…のみ光らせてもよい。
【0053】
また、固定棚3に発光源を配設し、固定棚3と移動棚4A間に通路Pを形成させる際に、点灯または点滅させることとしてもよい。
【0054】
また、入力部20内に配設されている発光源16,…に加えて、側面パネル4aの上方側に発光源を配設し、移動棚の移動とともに点灯または点滅させることとしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 電動式移動棚装置
2 レール
3 固定棚
3a 側面パネル
4A,4B,4C 移動棚
4a 側面パネル
5 ストッパ
6 操作パネル
10 タッチパネル
11A~11D 制御部
12 面取部
13 凹入部
14 カバー部材
14c 孔
15 チャンネル材
16 発光源
17 押圧体
17a 押圧面
17b 背面
18 ケース
18a 底面
19 スイッチ
19a 作動部
19b 基台
20 入力部
20a 取付部材
21 板バネ
22 配電ケーブル
23 スポンジ材
P 通路
S センサ
M 可逆モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8