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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】インフレーション成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/28 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
B29C55/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019198840
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021070260
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-03-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】日置 一弥
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-168521(JP,A)
【文献】特開2004-352778(JP,A)
【文献】特開平02-106321(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00950499(EP,A1)
【文献】特開昭63-120632(JP,A)
【文献】特開平11-300825(JP,A)
【文献】特開2002-225132(JP,A)
【文献】特開平04-249132(JP,A)
【文献】特開昭52-110782(JP,A)
【文献】実開昭50-148366(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/00-55/30
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイからバブル内に供給される空気を温調する、前記ダイとは別に設けられる温調部を備え、
前記温調部は、バブル内の温度と同じ温度の空気がバブル内に供給されるように、バブル内に供給される空気を温めることを特徴とするインフレーション成形装置。
【請求項2】
ダイからバブル内に供給される空気を温調する、前記ダイとは別に設けられる温調部と、
バブル内の温度を計測する温度センサと、を備え、
前記温調部は、前記温度センサにより計測された温度と同じ温度の空気がバブル内に供給されるように、バブル内に供給される空気を温めることを特徴とするインフレーション成形装置。
【請求項3】
前記温度センサは、バブル内のフロストライン高さ以下の温度を計測することを特徴とする請求項に記載のインフレーション成形装置。
【請求項4】
前記ダイは、バブル内に供給される空気が通る空気供給路を有し、
前記ダイからの熱が前記空気供給路を通る空気に伝わるのを抑止する断熱部材をさらに備えることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のインフレーション成形装置。
【請求項5】
バブルを扁平に折り畳んだ扁平フィルムの幅を計測する幅計測センサをさらに備え、
前記幅計測センサにより計測された幅が理想的な幅よりも所定量以上小さくなると、前記温調部によって温調された空気を供給する請求項1からのいずれかに記載のインフレーション成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インフレーション成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶かした樹脂をダイからチューブ状に押し出し、その内側に空気を吹き込み膨らませ、薄いフィルム(以下、バブルとも呼ぶ)を成形し、それを折りたたんで扁平フィルムとし、扁平フィルムを巻き取ってロール体を形成するインフレーション成形装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-177348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、インフレーション成形装置では、バブルの径ひいては扁平フィルムの幅が目標値から所定量以上大きくまたは小さくなると、それらが目標値に近づくようにバブル内に空気が供給される。つまり、インフレーション成形装置では、間欠的にバブル内に空気が供給される。そして、バブル内に空気が供給されると、そのたびにバブル内の温度は一時的に変動する。つまり、従来のインフレーション成形装置では、バブル内の温度が上下動し、そのためダイから押し出された樹脂が固化するまでにかかる時間が変動し、フィルムの強度が長さ方向に不均一となる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、より高品質なフィルムを成形できるインフレーション成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のインフレーション成形装置は、ダイからバブル内に供給されるべき空気を温調する、ダイとは別に設けられる温調部を備える。
【0007】
本発明の別の態様もまた、インフレーション成形装置である。この装置は、バブル内の温度と同じ温度の空気をバブル内に供給する空気供給手段を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より高品質なフィルムを成形できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来のインフレーション成形装置の概略構成を示す図である。
図2】実施の形態に係るインフレーション成形装置の概略構成を示す図である。
図3図1の制御装置の機能および構成を模式的に示すブロック図である。
図4】変形例に係るインフレーション成形装置のダイとその周辺の概略構成を示す図である。
図5】別の変形例に係るインフレーション成形装置のダイとその周辺の概略構成を示す図である。
図6】さらに別の変形例に係るインフレーション成形装置のダイとその周辺の概略構成を示す図である。
図7】さらに別の変形例に係るインフレーション成形装置のダイとその周辺の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0012】
実施の形態に係るインフレーション成形装置を説明する前に、従来技術について説明する。図1は、従来技術に係るインフレーション成形装置1000を示す模式図である。インフレーション成形装置1000は、ダイ102と、冷却装置104と、一対の安定板106と、引取機108と、巻取機110と、幅計測センサ112と、空気供給手段1014と、制御装置116と、を備える。
【0013】
押出機(不図示)から供給される溶融した樹脂が、ダイ102に形成されたリング状の吐出口102aから押し出される。ダイ102の中心部に形成された空気吹出口102bから、押し出された樹脂の内側に間欠的に空気が吹き出され、チューブ状に膨らんだフィルム(以下、「バブル」とも呼ぶ)が成形される。
【0014】
冷却装置104は、ダイ102の上方に配置される。冷却装置104は、バブルに冷却風を吹き付けて冷却する。
【0015】
一対の安定板106は、冷却装置104の上方に配置され、バブルを引取機108に案内する。引取機108は、安定板106の上方に配置される。引取機108は、一対のピンチロール118を含む。一対のピンチロール118は、不図示のモータに駆動されて回転し、案内されたバブルを引っ張り上げながら扁平に折りたたむ。以下、扁平に折りたたまれたフィルムを「扁平フィルム」とも呼ぶ。巻取機110は、扁平フィルムを巻き取り、フィルムロール体120を形成する。
【0016】
幅計測センサ112は、引取機108と巻取機110との間に配置される。幅計測センサ112は、扁平フィルムの幅を計測する。幅計測センサ112により計測された幅データは制御装置116に送信される。
【0017】
空気供給手段1014は、ポンプ1022を含む。ポンプ122は、周囲の空気を取り込んで空気供給路102cに送り出し、空気吹出口102bから吹き出させる。つまり、空気供給手段1014は、バブル内に空気を供給する。
【0018】
制御装置116は、インフレーション成形装置1を統合的に制御する装置である。例えば、制御装置116は、空気供給手段1014による空気の供給を制御する。ここで、バブル内に供給された空気は、バブルがピンチロール118で扁平に折りたたまれて偏平フィルムにされる際に、偏平フィルムの間から少しずつ抜けていく。空気が抜けていくと、バブルの径ひいては偏平フィルムの幅が小さくなっていく。制御装置116は、幅計測センサ112により計測された偏平フィルムの幅が、理想的な幅よりも所定量以上小さくなると、具体的には例えば理想的な幅よりも3mm以上小さくなると、理想的な幅に戻すべく、空気供給手段1014を制御してバブル内に空気を供給する。つまり、制御装置116は、空気供給手段1014を制御して、上述したように間欠的に、バブル内に空気を供給する。
【0019】
以上説明した従来技術に係るインフレーション成形装置1000では、間欠的に周囲の空気がバブル内に供給される。バブル内の温度は、バブルやダイ102からの熱を受けて周囲に比べて高温になっている。したがって、空気供給手段1014によりバブル内に周囲の空気が供給されると、そのたびにバブル内の温度は一時的に下がる。つまり、従来技術に係るインフレーション成形装置1000では、バブル内の温度が上下動する。そのため、ダイ102から押し出される樹脂が固化するまでにかかる時間が変動し、その結果、フィルムの強度が長さ方向に不均一になる。
【0020】
そこで、実施の形態では、フィルムの強度が長さ方向により均一な、言い換えると、より高品質なフィルムを成形できるインフレーション成形装置を提供する。
【0021】
図2は、実施の形態に係るインフレーション成形装置100の概略構成を示す図である。インフレーション成形装置100は、ダイ102と、冷却装置104と、一対の安定板106と、引取機108と、巻取機110と、幅計測センサ112と、空気供給手段114と、制御装置116と、を備える。
【0022】
空気供給手段114は、ポンプ122を含む。ポンプ122は、温調部124を含む。本実施の形態の温調部124はヒータである。ポンプ122は、取り込んだ周囲の空気を温調部124で温めてからすなわち温調してからバブル内に供給する。なお、温調部124は、ポンプ122とは別に設けられてもよい。
【0023】
図3は、制御装置116の機能および構成を模式的に示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0024】
制御装置116は、種々の通信プロトコルにしたがって幅計測センサ112やポンプ122との通信処理を実行する通信部130と、ユーザによる操作入力を受け付け、また各種画面を表示部に表示させるU/I部132と、通信部130およびU/I部132から取得されたデータをもとにして各種のデータ処理を実行するデータ処理部134と、データ処理部134により参照、更新されるデータを記憶する記憶部136と、を含む。
【0025】
データ処理部134は、受信部140と、動作制御部142と、を含む。受信部140は、幅計測センサ112から偏平フィルムの幅データを受信する。
【0026】
動作制御部142は、インフレーション成形装置100の動作を制御する。動作制御部142は特に、幅計測センサ112により計測された扁平フィルムの幅が、理想的な幅よりも所定量以上小さくなると、理想的な幅に戻すべく、空気供給手段114を制御してバブル内に空気を供給する。この際、動作制御部142は、温調部124により温めた空気をバブル内に供給する。好ましくは、動作制御部142は、バブル内の温度と同じ温度の空気をバブル内に供給する。ここでいう「バブル内の温度」は、バブル内のフロストライン以下の温度であり、例えば、吐出口102aの近傍のバブル内の温度である。バブル内の温度は、あらかじめ計測しておけばよい。また、「バブル内の温度と同じ温度」は、完全に同じである場合の他に、ほぼ同じである場合、例えばバブル内の温度に対して所定の許容範囲含まれる。
【0027】
例えば、空気供給手段114から送り出された空気が空気供給路102cを通る時間が短く、空気供給路102cを通る間に空気の温度が変化しない場合、動作制御部142は、温調部124によってバブル内と同じ温度に温めた空気を送り出す。また例えば、空気供給手段114から送り出された空気が空気供給路102cを通る時間が比較的長く、空気供給路102cを通る間にダイ102からの熱でさらに温められて空気の温度が上昇する場合、ダイ102からの熱でさらに温められることでバブル内と同じ温度となるように、バブル内の温度よりも低い温度に温めた空気を送り出す。この場合、空気供給路102cを通ることにより上昇する温度を、実験等によりあらかじめ特定しておけばよい。
【0028】
いずれにしろ動作制御部142は、吐出口102aから吹き出されるときの温度がバブル内の温度となるように温調部124により温めた空気を、バブル内に供給する。
【0029】
以上が、インフレーション成形装置100の構成である。続いてその動作について説明する。
【0030】
幅計測センサ112は、成形中に、偏平フィルムの幅を所定の周期で計測し、その都度、計測した幅データを制御装置116に送信する。
【0031】
制御装置116は、計測された偏平フィルムの幅が、理想的な幅よりも所定量以上小さくなると、温調部124で温めた空気をバブル内に供給する。
【0032】
本実施の形態によれば、温調部124により温められた空気がバブル内に供給されるため、そうでない空気が供給される場合に比べ、空気が間欠的に供給されることによりバブル内に温度変化が生じるのが抑えられ、その結果、バブルの強度は長さ方向に比較的均一になる。好ましくは、バブル内温度と同じ温度の空気がバブル内に供給されるため、空気が間欠的に供給されることによりバブル内に温度変化が生じるのがさらに抑えられ、その結果、バブルの強度は長さ方向により均一になる。
【0033】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0034】
(変形例1)
図4は、変形例に係るインフレーション成形装置200のダイ102とその周辺の概略構成を示す図である。
【0035】
本変形例では、空気供給手段314は、ポンプ122と、断熱部材226と、を備える。断熱部材226は、ダイ102からの熱が空気供給路102cを通る空気に伝わるのを抑止する。この場合、空気供給手段114から送り出された空気の温度は、空気供給路102cを通る時間が長いか短いかにかかわらず変化しないため、動作制御部142は、温調部124によってバブル内と同じ温度に温めた空気を送り出せばよい。つまり、送り出す空気の温度制御が容易になる。
【0036】
また、上述した従来技術では、空気供給手段1014によりバブル内に供給される空気の温度がバブル内の温度よりも低いことを前提としたが、空気供給路102cの長さや太さなどの形状によっては、バブル内に供給される空気の温度がバブル内の温度よりも高くなることも考えられる。このような場合でも、本変形例によれば、バブル内の温度と同じ温度の空気をバブル内に供給することができる。
【0037】
(変形例2)
図5は、別の変形例に係るインフレーション成形装置300のダイ102とその周辺の概略構成を示す図である。
【0038】
本変形例では、インフレーション成形装置300は、第1温度センサ328を備える。第1温度センサ328は、バブル内の温度、例えばバブル内のフロストライン高さH以下の温度、より具体的には吐出口102aの近傍のバブル内の温度を所定の周期で計測する。第1温度センサ328は、計測したバブル内の温度を制御装置116に送信する。
【0039】
制御装置116は、実施の形態の図2と同様に構成される。動作制御部142は、空気供給手段114を制御して、第1温度センサ328により計測されたバブル内の温度と同じ温度の空気をバブル内に供給する。この際、空気供給路102cを通る間に空気の温度が変化しない場合は計測されたバブル内の温度と同じ温度に空気を温め、空気供給路102cを通る間にダイ102から熱を受けて空気の温度が上昇する場合はその上昇分を考慮してバブル内の温度よりも低い温度に空気を温める。
【0040】
本変形例によれば、リアルタイムに計測されたバブル内の温度と同じ温度の空気がバブル内に供給されるため、バブル内に温度変化が生じるのがさらに抑えられ、その結果、バブルの強度は長さ方向により均一になる。
【0041】
(変形例3)
図6は、さらに別の変形例に係るインフレーション成形装置400のダイ102とその周辺の概略構成を示す図である。
【0042】
本変形例では、インフレーション成形装置400は、第2温度センサ430を備える。第2温度センサ430は、空気吹出口102bの近傍に配置され、空気吹出口102bから吹き出される空気の温度、すなわちバブル内に供給される空気の温度を所定の周期で計測する。第2温度センサ430は、計測した温度を制御装置116に送信する。
【0043】
本変形例によれば、バブル内に供給される空気の温度が適切に制御されているか確認できる。動作制御部142は、第2温度センサ430により計測された、バブル内に供給される空気の温度に基づいて、温調部124による加熱をフィードバック制御してもよい。
【0044】
第2温度センサ430は、空気吹出口102bの近傍すなわちフロストライン高さH以下に設けられる。したがって、エア吹出口102bから空気が吹き出されていないタイミングにおいて第2温度センサ430により計測される温度をフロストライン高さ以下のバブル内の温度として、変形例2と同様の制御をさらに実施してもよい。この場合、2つの制御に用いる温度センサを1つにできる、すなわち2つの制御を低コストで実施できる。
【0045】
(変形例4)
図7は、さらに別の変形例に係るインフレーション成形装置500のダイ102とその周辺の概略構成を示す図である。
【0046】
本変形例では、インフレーション成形装置500は、ダイ102の熱がバブル内の空気に伝わるのを抑止する遮蔽部材532を備える。遮蔽部材532は、ダイ102の上面に配置される。遮蔽部材532は、例えば円板状に形成された本体部532aと、ダイ102の上面に立脚して本体部532aを支持する少なくとも1つの脚部532bと、を含む。遮蔽部材532は、好ましくは、熱伝導率の低い部材により形成される。
【0047】
本変形例によれば、バブル内の空気がダイ102に触れにくくなるため、遮蔽部材532がない場合に比べてダイ102の温度がバブル内の空気に伝わりにくくなる、すなわちバブル内の空気の温度を低く抑えることができる。これにより、冷却装置104からの冷却風の風量を低減しても、遮蔽部材532がない場合と同程度の時間で樹脂を冷却できる。冷却風の風量を低減できれば、冷却風による樹脂の揺れが抑えられ、成形が安定する。
【0048】
なお、インフレーション成形装置500が遮蔽部材532を備えることで、バブル内の温度が低く抑えられ、バブル内の空気と周囲の空気との温度差が小さくなる。そのため、バブル内に供給する空気を温めなくても、従来技術に係るインフレーション成形装置1000と比べれば、バブル内に空気が間欠的に供給されることによるバブル内の温度変化は抑えられる。したがって、さらなる変形例として、インフレーション成形装置500が温調部124を有しない構成も考えられる。
【0049】
(変形例5)
空気供給手段114は、冷却した空気をバブル内に供給可能であってもよい。つまり、温調部124は、周囲の空気を冷却可能であってもよい。この場合、周囲の空気の温度がバブル内の温度よりも高温である場合や、周囲の空気の温度がバブル内の温度よりも低温であるものの空気供給路102cを通る間にバブル内の温度よりも高温に温められるような場合にも、バブル内の温度と同じ温度の空気をバブル内に供給することができる。
【0050】
(変形例6)
実施の形態および上述の変形例では、バブル内に間欠的に空気を供給する場合について説明したが、バブル内に連続的に空気を供給してもよい。
【0051】
なお、連続的に空気を供給する場合、実質的に一定の温度の空気を供給し続ければ、バブル内の温度は所定の温度に落ち着く。つまり、空気を供給することによってバブル内の温度は変動しない。したがって、連続的に空気を供給する場合、供給する空気を温めなくてもよい、すなわちインフレーション成形装置は供給する空気を温める温調部を備えなくてもよい。
【0052】
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0053】
100,200,300,400,500 インフレーション成形装置、 102 ダイ、 114 空気供給手段、 122 ポンプ、 124 温調部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7