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特許7393197ランプユニット、及びランプユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ランプユニット、及びランプユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231129BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20231129BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
F21S2/00 443
F21V23/00 150
F21V23/00 160
F21V17/00 200
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019228598
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021096988
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】井石 浩多
(72)【発明者】
【氏名】ドン ヴァン ディン
(72)【発明者】
【氏名】武藤 滉介
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-185935(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1797481(KR,B1)
【文献】特開2017-098089(JP,A)
【文献】米国特許第06612725(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 23/00
F21V 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を照射するランプユニットであって、
前記光源が搭載された回路基板と、
前記回路基板を収容する内部空間を有するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記光源からの光を前記ハウジングの外部に出射するレンズと、
を備え、
前記ハウジングは、前記レンズが取り付けられた前記ハウジングの外部から前記内部空間に前記回路基板を挿入する挿入穴を有し、
前記回路基板は、前記内部空間において前記ハウジングに係合する係合部を有し、
前記ハウジングは、前記内部空間において前記係合部が引っ掛かる被係合部を有する、
ランプユニット。
【請求項2】
前記回路基板から延び出す給電用のハーネスと、
前記回路基板及び前記ハーネスが通される孔部を有する筒状のグロメットと、
を備え、
前記グロメットは、前記回路基板が前記内部空間に挿入された状態において前記挿入穴を封止する、
請求項に記載のランプユニット。
【請求項3】
光源からの光を照射するランプユニットの製造方法であって、
前記ランプユニットのハウジングに、前記光源からの光を前記ハウジングの外部に出射するレンズを取り付ける工程と、
前記ハウジングに前記レンズを取り付けた後に、前記ハウジングの外部から前記ハウジングに形成された挿入穴を介して前記ハウジングの内部空間に、前記光源が搭載された回路基板を挿入する工程と、
を備え
前記回路基板は、前記内部空間において前記ハウジングに係合する係合部を有し、
前記ハウジングは、前記内部空間において前記係合部が引っ掛かる被係合部を有する、
ランプユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ランプユニット、及びランプユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ランプユニットとしては種々のものが知られている。特開2012-192879号公報には、反射ミラーの裏面に貼り付けによって固定されるランプユニットが記載されている。反射ミラーは、光を透過する光透過部と、光を反射する光不透過部とを有する。光透過部は透明なガラスによって構成されており、光不透過部は透明なガラスの裏面に反射膜が蒸着されて構成されている。光透過部は、透明なガラスから反射膜がブラスト処理で剥離されることによって形成される。
【0003】
ランプユニットは、第1のLED及び第2のLEDが固定された回路基板と、回路基板を収容する開口を有するランプハウジングと、ランプハウジングの開口の周縁に貼着されて回路基板が収容されたランプハウジングの開口を封止する板状の光拡散部とを備える。光拡散部は、クッションテープを介して反射ミラーの裏面に設けられた反射膜に貼り付けられる。第1のLED及び第2のLEDからの光は、光拡散部及び反射ミラーの光透過部を介して反射ミラーの外部に出射される。
【0004】
このランプユニットでは、ランプハウジングの内部に第1のLED及び第2のLEDが固定された回路基板が収容される。第1のLED及び第2のLEDへの給電は、ランプハウジングから延び出す給電配線から行われる。給電配線は、給電配線の先端に設けられたコネクタがランプハウジングに形成された切り欠きに通されて回路基板のコネクタ受け部に差し込まれることにより、第1のLED及び第2のLEDに電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-192879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したランプユニットでは、給電配線及びコネクタが接続された回路基板がランプハウジングに収容された後に、光拡散部がランプハウジングに溶着によって固定される。ランプハウジングへの光拡散部の溶着では熱及び振動が加わるため、回路基板に熱及び振動が加わることによって回路基板に半田クラック又は電子部品へのダメージが加わることがある。また、回路基板に局所的に熱が加わることにより、回路基板に残留応力による変形が生じる可能性がある。
【0007】
また、回路基板の残留応力による変形を抑制するためにアニール処理が行われることがある。アニール処理では、回路基板が収容されたランプハウジング及び光拡散部が一定時間加熱される。このアニール処理を行う場合でも回路基板に熱が加わるため、依然として回路基板に半田クラック等が生じる可能性がある。従って、ランプユニットの品質の点で改善の余地がある。更に、このアニール処理では、給電配線と共にランプハウジングを炉に入れるため、炉に入れられるランプユニットの数が制限される。従って、製造の効率性の点でも改善の余地がある。
【0008】
本開示は、品質を向上させることができると共に製造を効率よく行うことができるランプユニット、及びランプユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一側面に係るランプユニットは、光源からの光を照射するランプユニットであって、光源が搭載された回路基板と、回路基板を収容する内部空間を有するハウジングと、ハウジングに取り付けられ、光源からの光をハウジングの外部に出射するレンズと、を備え、ハウジングは、レンズが取り付けられたハウジングの外部から内部空間に回路基板を挿入する挿入穴を有し、回路基板は、内部空間においてハウジングに係合する係合部を有し、ハウジングは、内部空間において係合部が引っ掛かる被係合部を有する
【0010】
このランプユニットは、光源が搭載された回路基板を収容する内部空間が形成されたハウジングを有し、ハウジングは、レンズが取り付けられたハウジングの外部から当該内部空間に回路基板を挿入する挿入穴を有する。よって、このランプユニットでは、回路基板が挿入穴に挿入される前にハウジングにレンズを取り付けることが可能となるので、回路基板に熱及び振動が加わらないようにすることができる。従って、回路基板に半田クラックが生じたり、回路基板に搭載された電子部品にダメージが加わったりすることを回避することができるので、ランプユニットの品質を向上させることができる。また、このランプユニットにおいてアニール処理を行う場合、回路基板が挿入される前にレンズとハウジングのみに対してアニール処理を行うことができるので、炉に入れられるランプユニットの数を増やすことができる。従って、一度のアニール処理でより多くのランプユニットの製造を進めることができるので、ランプユニットの製造を効率よく行うことができる。
【0011】
入穴を介してハウジングの内部空間に挿入された回路基板の係合部がハウジングの被係合部に係合する。よって、挿入穴から回路基板を挿入してハウジングの被係合部に係合部を容易に係合できるので、ランプユニットの組み立てを容易に行うことができる。従って、ランプユニットの製造をより効率よく行うことができる。
【0012】
前述したランプユニットは、回路基板から延び出す給電用のハーネスと、回路基板及びハーネスが通される孔部を有する筒状のグロメットと、を備え、グロメットは、回路基板が内部空間に挿入された状態において挿入穴を封止してもよい。この場合、回路基板がハウジングの内部空間に収容された状態においてグロメットがハウジングの挿入穴を封止する。従って、グロメットが挿入穴を封止することにより、ハウジングの内部空間への水等の侵入を抑制できるので、防水効果を発揮できる。また、回路基板を内部空間に挿入した状態でグロメットを挿入穴に押し込むことにより、回路基板の装着と共にグロメットを装着できるので、ランプユニットの組み立てを容易に行うことができる。
【0013】
本開示の一側面に係るランプユニットの製造方法は、光源からの光を照射するランプユニットの製造方法であって、ランプユニットのハウジングに、光源からの光をハウジングの外部に出射するレンズを取り付ける工程と、ハウジングにレンズを取り付けた後に、ハウジングの外部からハウジングに形成された挿入穴を介してハウジングの内部空間に、光源が搭載された回路基板を挿入する工程と、を備え、回路基板は、内部空間においてハウジングに係合する係合部を有し、ハウジングは、内部空間において係合部が引っ掛かる被係合部を有する
【0014】
このランプユニットの製造方法では、レンズを取り付ける工程においてランプユニットのハウジングにレンズを予め取り付ける。その後、レンズが予め取り付けられたハウジングの内部空間に挿入穴を介して外部から光源が搭載された回路基板が挿入される。従って、回路基板が挿入穴に挿入される前にレンズがハウジングに取り付けられるので、ハウジングへのレンズの取り付けのときに回路基板に熱及び振動が加わらないようにすることができる。その結果、前述したランプユニットと同様、回路基板へのダメージが回避されるのでランプユニットの品質を向上させることができる。また、ハウジングへのレンズの取り付けのときにハウジングとレンズのみにアニール処理を行うことができるので、アニール処理のときに炉に入れられるランプユニットの数を増やすことができる。よって、一度のアニール処理でより多くのランプユニットを製造できるので、製造を効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、品質を向上させることができると共に製造を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施形態に係る例示的なランプユニットを示す斜視図である。
図2図1のランプユニットの分解斜視図である。
図3図1のランプユニットの例示的なレンズを示す斜視図である。
図4図1のランプユニットの例示的な回路基板、グロメット及び給電用のハーネスを示す斜視図である。
図5図1のランプユニットのハウジングを示す斜視図である。
図6図5のハウジングの内部空間に回路基板が挿入された状態を示す斜視図である。
図7図6のハウジング及び回路基板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るランプユニットの実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
本実施形態に係るランプユニット1は、一例として、BSMユニットを構成する。ランプユニット1によって構成されるBSMユニットは、例えば、車両の車体に設けられるアウターミラーに取り付けられる。具体例として、ランプユニット1によって構成されるBSMユニットは、鏡面付けBSMであるが、アウターミラーのバイザーの車体側を向く側面に設けられるバイザ側面BSMであってもよい。この場合、例えば、運転席に座っている運転者からランプユニット1を含むBSMユニットを視認可能となり、ランプユニット1が光ることによって他車両の接近時等に運転者に注意を促すことが可能である。
【0019】
図1は、本実施形態に係るランプユニット1を示す斜視図である。図2は、ランプユニット1の分解斜視図である。ランプユニット1は、光源11と、光源11を搭載する回路基板12と、光源11及び回路基板12を収容する内部空間13bを有するハウジング13と、光源11からの光をハウジング13の外部に出射するレンズ14と、内部空間13bを封止するグロメット15とを備える。
【0020】
ランプユニット1は、光源11からの光を照射する。光源11は、例えば、LED光源である。回路基板12は、例えば、第1方向D1に延びる長辺12b、及び第1方向D1に交差する第2方向D2に延びる短辺12cを有する板状とされている。回路基板12は、第1方向D1に長く延びる板状とされており、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に厚みを有する。
【0021】
ハウジング13は、回路基板12が挿入される挿入穴13cを有する。挿入穴13cはハウジング13の内部空間13bに連通している。挿入穴13cは、回路基板12がハウジング13の内部空間13bに収容されるときに回路基板12が通される穴である。挿入穴13cは、レンズ14が取り付けられたハウジング13の外部から内部空間13bに回路基板12が挿入される穴である。よって、挿入穴13cの第2方向D2の間隔の最大値は、回路基板12の第2方向D2の長さの最大値よりも大きい。本実施形態において、上記の「間隔」は、回路基板12が入る空間の幅を示している。
【0022】
回路基板12の第1方向D1の一方側に光源11が搭載されている。回路基板12の第1方向D1の他方側には、コネクタ部16、及びコネクタ部16を受容するレセプタクル部17が搭載されている。コネクタ部16からは、回路基板12を介して光源11に電気的に接続される給電用のハーネス18が延び出している。グロメット15はハーネス18が挿通される小孔15bを有し、ハーネス18はグロメット15の小孔15bから第1方向D1に沿ってランプユニット1の外方に延び出している。
【0023】
ハウジング13は、内部空間13bが形成された箱状部13dと、箱状部13dから第1方向D1に突出すると共に内部に挿入穴13cが形成された筒状部13fとを有する。箱状部13dは、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在すると共に第2方向D2に厚みを有する箱状とされている。
【0024】
筒状部13fは、第1方向D1を向く箱状部13dの側面13gにおける第3方向D3の一方側(図1及び図2では左側)から突出している。レンズ14はハウジング13の箱状部13dに取り付けられる。箱状部13dは、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在すると共に第2方向D2を向く枠状の開口13hを有し、内部空間13b及び開口13hはレンズ14によって封止される。レンズ14は、例えば、透明カバーとして機能する。
【0025】
図3は、レンズ14を示す斜視図である。図3に示されるように、レンズ14は、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延びる板状を呈する。レンズ14は光源11からの光をランプユニット1の外部に出射する。例えば、レンズ14は、ランプユニット1の外部に露出する露出面14bを有する。露出面14bは、一例として、アウターミラーのバイザーの側面に露出する。例えば、露出面14bは、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在する第1露出面14cと、第1露出面14cにおいて第2方向D2に窪む第2露出面14dとを含む。
【0026】
レンズ14は、第2露出面14dの反対側(図3では下側)に第2方向D2に突出する凸部14fを有する。凸部14fの突出高さは、例えば、第3方向D3の一方側(図3では左側)から他方側(図3では右側)に向かうに従って低くなっている。よって。凸部14fの頂面は、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延びる平面に対して傾斜している。
【0027】
例えば、凸部14fの頂面及び第2露出面14dの少なくともいずれかにはレンズカット14gが形成されている。一例として、レンズカット14gは、第3方向D3に沿って並ぶ複数の凹凸を含んでおり、複数の凹凸のそれぞれは円弧状に延びている。しかしながら、レンズカット14gの形状及び配置態様については上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0028】
レンズ14の第2露出面14dは、光源11からの光が出射する出射部に相当し、レンズ14がレンズカット14gを備えることにより、第2露出面14dからはレンズカット14gによって拡散された拡散光が出力される。このようにレンズカット14gによってランプユニット1からは拡散光が出射されるので、ランプユニット1を視認しやすくすることができる。
【0029】
図4は、光源11が搭載された回路基板12、グロメット15及びハーネス18を示す斜視図である。図4に示されるように、グロメット15は、回路基板12の一部とハーネス18が通される孔部15cを有し、孔部15cは前述した小孔15bと連通している。孔部15cの幅は、例えば、回路基板12の第1方向D1の端部の幅と同程度である。よって、孔部15cに回路基板12を嵌合することが可能である。
【0030】
グロメット15は、第2方向D2及び第3方向D3に延在する環状凸部15dを有する。環状凸部15dの外径は、ハウジング13の挿入穴13cの内径と同程度とされている。よって、挿入穴13cに回路基板12を挿入してグロメット15を挿入穴13cに押し込むと、グロメット15の環状凸部15dが挿入穴13cの内面に密着する。この密着によってハウジング13の内部の水密が確保される。
【0031】
グロメット15は、例えば、環状凸部15dとは別に更に環状凸部15fを備える。環状凸部15d及び環状凸部15fは第1方向D1に沿って並んでおり、環状凸部15fは環状凸部15dと共にハウジング13の挿入穴13cの内面に密着する。従って、ハウジング13の水密がより確実に確保される。
【0032】
図5は、ハウジング13を示す斜視図である。ハウジング13の箱状部13dの内面13qには、挿入穴13cに挿入されて内部空間13bに収容された回路基板12が係合する被係合部13jが設けられる。内面13qは、挿入穴13cに沿って形成された面であり、第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在している。例えば、ハウジング13の箱状部13dの底面の深さは内面13qに近づくに従って深くなっている。
【0033】
被係合部13jは、内面13qから斜めに突出する棒状部とされている。これにより、被係合部13jは、第3方向D3に撓みやすい形状とされている。被係合部13jは、例えば、内面13qの第1方向D1の中央付近に設けられる。被係合部13jは、例えば、基部13kと、基部13kから斜めに延びる棒状部13mと、棒状部13mの基部13kとの反対側に位置する先端部13pとを有する。例えば、棒状部13mは、挿入穴13cから離れる方向に斜めにのびており、先端部13pは丸みを帯びていてもよい。
【0034】
図6は、ハウジング13の被係合部13jに係合している回路基板12を示す斜視図である。図7は、ハウジング13の被係合部13jに係合している回路基板12を示す平面図(第2方向D2に沿って見た図)である。図6及び図7に示されるように、回路基板12は、ハウジング13の被係合部13jに係合する係合部12dを備える。なお、図6及び図7では、グロメット15の図示を省略している。
【0035】
係合部12dは、例えば、回路基板12の第2方向D2を向く端面において凹状に形成されている。一例として、係合部12dは、回路基板12の第1方向D1の中央よりも回路基板12の挿入方向(図7では右方向)の先端側に設けられる。係合部12dは、例えば、第2方向D2を向く端面から斜めに凹む傾斜面12fと、傾斜面12fに連続する底面12gと、底面12gの傾斜面12fとの反対側において底面12gから立設する壁部12hとを有する。
【0036】
ハウジング13に対し、挿入穴13cから回路基板12が内部空間13bに挿入されると、回路基板12における光源11の搭載面との反対側の面が被係合部13jの棒状部13mに当接して被係合部13jが第3方向D3に撓む。このとき、被係合部13jは内面13qに近づく方向に弾性変形する。
【0037】
そして、更に挿入穴13cに回路基板12を挿入すると、棒状部13mが凹状の係合部12dに入り込むことによって上記弾性変形が解除される。このとき、係合部12dの壁部12hに被係合部13jの先端部13pが第1方向D1に沿って対向することにより、回路基板12を引っ張ろうとしても先端部13pに壁部12hが当接して抜けが抑制される。このように被係合部13jに係合部12dが引っ掛かって係合するので、被係合部13j及び係合部12dを回路基板12の抜け止めとして機能させることができる。なお、係合部12d及び被係合部13jの形状等は上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0038】
次に、本実施形態に係るランプユニットの製造方法について説明する。以下では、前述したランプユニット1を組み立てる例について説明する。例えば図2に示されるように、回路基板12、ハウジング13、レンズ14及びグロメット15が分解されている状態において、まず、回路基板12をハウジング13に挿入する前に、ハウジング13にレンズ14を取り付ける(レンズを取り付ける工程)。
【0039】
例えば、ハウジング13の開口13hにレンズ14を載せてハウジング13にレンズ14を溶着することによって、ハウジング13にレンズ14を固定する。具体例として、ハウジング13の開口13hにレンズ14を載せた後にハウジング13及びレンズ14を加熱及び振動させて上記溶着を行う。また、ハウジング13及びレンズ14に対してアニール処理を行ってもよい。この場合、ハウジング13及びレンズ14は炉に入れられて加熱される。
【0040】
一方、光源11及びレセプタクル部17が搭載されてレセプタクル部17にコネクタ部16が差し込まれてハーネス18が接続された回路基板12をグロメット15の孔部15cに通しておく。そして、レンズ14が取り付けられたハウジング13の挿入穴13cにハウジング13の外部から回路基板12を挿入する(回路基板を挿入する工程)。
【0041】
ハウジング13の挿入穴13cに回路基板12を挿入すると、図6及び図7に示されるように、回路基板12によってハウジング13の被係合部13jが内面13qに近づく方向に弾性変形し、その後、被係合部13jが回路基板12の係合部12dに入り込んで回路基板12がハウジング13に係合する。ハウジング13の挿入穴13cに挿入される回路基板12は、例えば、加熱されることもなければ、振動されることもない。この回路基板12がハウジング13の挿入穴13cに挿入されて被係合部13jに係合した後に、ランプユニット1の製造の一連の工程が完了する。
【0042】
次に、本実施形態に係るランプユニット1及び製造方法から得られる作用効果について説明する。ランプユニット1は、光源11が搭載された回路基板12を収容する内部空間13bが形成されたハウジング13を有し、ハウジング13は、レンズ14が取り付けられたハウジング13の外部から内部空間13bに回路基板12を挿入する挿入穴13cを有する。よって、ランプユニット1では、回路基板12が挿入穴13cに挿入される前にハウジング13にレンズ14を取り付けることが可能となるので、回路基板12に熱及び振動が加わらないようにすることができる。
【0043】
従って、回路基板12に半田クラックが生じたり、回路基板12に搭載された電子部品にダメージが加わったりすることを回避できるので、ランプユニット1の品質を向上させることができる。また、ランプユニット1においてアニール処理を行う場合、回路基板12が挿入される前にレンズ14とハウジング13のみに対してアニール処理を行うことができるので、炉に入れられるランプユニット1の数を増やすことができる。従って、一度のアニール処理でより多くのランプユニット1の製造を進めることができるので、ランプユニット1の製造を効率よく行うことができる。
【0044】
また、回路基板12は、内部空間13bにおいてハウジング13に係合する係合部12dを有し、ハウジング13は、内部空間13bにおいて係合部12dが引っ掛かる被係合部13jを有してもよい。この場合、挿入穴13cを介してハウジング13の内部空間13bに挿入された回路基板12の係合部12dがハウジング13の被係合部13jに係合する。よって、挿入穴13cから回路基板12を挿入してハウジング13の被係合部13jに係合部12dを容易に係合できるので、ランプユニット1の組み立てを容易に行うことができる。従って、ランプユニット1の製造をより効率よく行うことができる。
【0045】
図1及び図2に示されるように、ランプユニット1は、回路基板12から延び出す給電用のハーネス18と、回路基板12及びハーネス18が通されるグロメット15と、を備え、グロメット15は、回路基板12が内部空間13bに挿入された状態において挿入穴13cを封止してもよい。この場合、回路基板12がハウジング13の内部空間13bに収容された状態においてグロメット15がハウジング13の挿入穴13cを封止する。
【0046】
従って、グロメット15が挿入穴13cを封止することにより、ハウジング13の内部空間13bへの水等の侵入を抑制できるので、防水効果を発揮できる。また、回路基板12を内部空間13bに挿入した状態でグロメット15を挿入穴13cに押し込むことにより、回路基板12の装着と共にグロメット15を装着できるので、ランプユニット1の組み立てを容易に行うことができる。
【0047】
本実施形態に係るランプユニットの製造方法では、レンズを取り付ける工程においてランプユニット1のハウジング13にレンズ14を予め取り付ける。その後、レンズ14が予め取り付けられたハウジング13の内部空間13bに挿入穴13cを介して外部から光源11が搭載された回路基板12が挿入される。
【0048】
従って、回路基板12が挿入穴13cに挿入される前にレンズ14がハウジング13に取り付けられるので、ハウジング13へのレンズ14の取り付けのときに回路基板12に熱及び振動が加えられないようにすることができる。その結果、回路基板12へのダメージが回避されるので、ランプユニット1の品質を向上させることができる。また、ハウジング13へのレンズ14の取り付けのときにハウジング13とレンズ14のみにアニール処理を行うことができるので、アニール処理のときに炉に入れられるランプユニット1の数を増やすことができる。よって、一度のアニール処理でより多くのランプユニット1を製造できるので、製造を効率よく行うことができる。
【0049】
以上、本開示に係るランプユニットの実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述の実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用されたものであってもよい。すなわち、本開示に係るランプユニットの各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様、並びに、ランプユニットの製造方法の各工程の内容及び順序は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0050】
例えば、前述の実施形態では、BSMユニットを構成すると共に、アウターミラーのバイザーの車体側を向く側面に取り付けられるランプユニット1について説明した。しかしながら、本開示に係るランプユニットは、アウターミラー以外のものに取り付けられるランプユニットであってもよいし、BSMユニット以外のもの、更には車体以外のものにも適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…ランプユニット、11…光源、12…回路基板、12b…長辺、12c…短辺、12d…係合部、12f…傾斜面、12g…底面、12h…壁部、13…ハウジング、13b…内部空間、13c…挿入穴、13d…箱状部、13f…筒状部、13g…側面、13h…開口、13j…被係合部、13k…基部、13m…棒状部、13p…先端部、13q…内面、14…レンズ、14b…露出面、14c…第1露出面、14d…第2露出面、14f…凸部、14g…レンズカット、15…グロメット、15b…小孔、15c…孔部、15d,15f…環状凸部、16…コネクタ部、17…レセプタクル部、18…ハーネス、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向。
図1
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図7