(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】腎機能代謝産物の検出及び定量化のための質量分析アッセイ方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/62 20210101AFI20231129BHJP
G01N 30/72 20060101ALI20231129BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20231129BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G01N27/62 V
G01N27/62 X
G01N30/72 C
G01N30/88 C
G01N33/68
(21)【出願番号】P 2019553158
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(86)【国際出願番号】 US2017066364
(87)【国際公開番号】W WO2018118630
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519219977
【氏名又は名称】メタボロン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォード、リサ
(72)【発明者】
【氏名】フリード、ティファニー、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー、ディアドリ、エム.
(72)【発明者】
【氏名】グッドマン、ケリー
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】渡戸 正義
【審判官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-520192(JP,A)
【文献】特表2011-511276(JP,A)
【文献】大気圧化学イオン化法LC/MSによる食品中遊離アミノ酸の直接分析,アジレント・テクノロジーズ アプリケーション,2006年10月27日,p.1-5
【文献】LC-MS/MS-based quantification of kynurenine metabolites, tryptophan, monoamines and neopterin in plasma, cerebrospinal fluid and brain,Bioanalysis,2016年8月24日,8 (18),p.1903-1917
【文献】Tandem mass spectrometry measurements of creatinine in mouse plasma and urine for determining glomerular filtration rate,Kidney International,2006年12月6日,Vol.71,p.266-271
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N27/60-G01N27/92
G01N33/48-G01N33/98
G01N30/00-G01N30/96
G01N11/00-G01N13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の、TMAP、ならびにN-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、クレアチニン、及びプソイドウリジンからなる群から選択される2種以上の分析物の量を単回の注入で質量分析により決定するための方法であって、
a)該分析物のそれぞれから、質量分析により検出可能な1種又は複数のイオンを生成するのに適した条件下で、該サンプルをイオン源にかけるステップであって、該分析物は、イオン化の前に誘導体化されない、ステップと;
b)質量分析により、該分析物のそれぞれからの該1種又は複数のイオンの量を測定するステップであって、前記質量分析は正モードで実施されるステップと;
c)該1種又は複数のイオンの測定された量を用いて、該サンプル中の該分析物のそれぞれの量を決定するステップと
を含み、
該分析物のそれぞれの量を決定するために用いられる該1種又は複数のイオンが、以下の表中のイオンから選択される1種又は複数のイオンである、方法。
【請求項2】
前記サンプルが、イオン源にかけられる前に、液体クロマトグラフィーにより精製されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
実行時間が、7分以下である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
N-アセチルスレオニン、プソイドウリジン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、及びTMAPの量が、決定される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、プソイドウリジン、クレアチニン、及びTMAPの量が、決定される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
N-アセチルスレオニン、TMAP、プソイドウリジン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、及びクレアチニンからなる群の分析物のそれぞれについての内部標準としての同位体標識された類似体、並びに包装材料及びキットを用いるための指示を含む、請求項1~5までのいずれか一項に記載の方法を実施するためのキット。
【請求項7】
前
記内部標準が、N-アセチル-d
3-DL-スレオニン-d
2、
13C
3-L,L-TMAP、フェニルアセチルグルタミン-d
5、L-トリプトファン-d
5、クレアチニン-d
3、
およびプソイドウリジン-
13C
15N
2
を含む、請求項6に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月19日出願の米国特許仮出願第62/435,967号、2017年6月28日出願の米国特許仮出願第62/526,043号、及び2017年9月13日出願の米国特許仮出願第62/558,014号の優先権を主張し、そのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
発明の背景を説明する次の情報は、本発明の理解を補助するために提供されるのであって、本発明に対する先行技術を構成又は説明すると認めるものではない。
【0003】
腎臓の排出機能(糸球体ろ過率、GFR)を評価する高感度で高精度且つ簡便な試験についてのまだ対応されていない重要な臨床的必要性がある。腎機能の最も高精度な測定は、測定された糸球体ろ過率(mGFR)であり、これは、ろ過マーカー(例えば、イヌリン、イオタラマート、イオヘキソール)の使用を要する。それが複雑なことから、この測定は、高価であり、ルーチン的な診療において実施するのが難しく、研究試験において又は潜在的な腎提供者のために、通常、用いられるにすぎない。腎機能の他の現在の評価(例えば、BUN、尿中アルブミン測定;血清クレアチニンのレベルに基づいた糸球体ろ過率推定値(eGFR)、シスタチンC)は、腎損傷の早期に損なわれた腎機能若しくは早期腎臓疾患を検出する又は、特に、個体が無症候である場合、慢性腎臓疾患(CKD)の最も早期に、疾患の進行をモニターするのに、十分に高感度及び/又は高精度でない。したがって、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、N,N,N-トリメチル-L-アラニル-L-プロリン(TMAP)、クレアチニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、N-アセチルセリン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、尿素、C-グリコシルトリプトファン(2-マンノピラノシル-トリプトファン、2-(α-D-マンノピラノシル)-L-トリプトファン、マンノ-L-トリプトファン、又は2-MTとも称される)、及び3-インドキシルスルファートからなる群から選択される1種以上で17種までの代謝産物バイオマーカーの組合せの測定レベルに基づいた腎機能の代替的な尺度が開発された。これらの分析物の組合せは、複雑な方程式において用いられて、血清クレアチニン及び/又はシスタチンCのレベルに基づいたeGFR推定値よりも正確である推定GFR(eGFR)を導く。この手法の利点は、腎機能のより正確な評価のためのルーチン的な診療における使用のその容易性である。腎機能を評価する改善された精度によって、適切な治療介入及び腎機能のモニタリングが可能になり、これによって、より良い治療成績が可能になる。
【0004】
本明細書に記載されるのは、生物学的サンプル中の17種までの分析物の検出及び定量のための方法である。17種の分析物は、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、TMAP、クレアチニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、N-アセチルセリン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、尿素、C-グリコシルトリプトファン、及び3-インドキシルスルファートから選択される1種又は複数の分析物からなるパネルを含むことができる。有利なことには、代謝産物アッセイは、少量のサンプルで足り、誘導体化を要さず、質量分析方法を用いて行うことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様では、方法は、質量分析によりサンプル中の、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、TMAP、クレアチニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、N-アセチルセリン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、尿素、C-グリコシルトリプトファン、3-インドキシルスルファート及びそれらの組合せからなる群から選択される1種又は複数の分析物からなる分析物パネルの量を検出する及び決定するステップを含む。一実施形態では、本方法は、1種又は複数の分析物のそれぞれから質量分析により検出可能な1種又は複数のイオンを生成するのに適した条件下で、サンプルをイオン源にかけるステップを含む。他の実施形態では、これらの分析物は、イオン化の前に誘導体化されない。生物学的サンプルから分析物を抽出し、質量分析により検出する前に当該分析物をクロマトグラフ上で分離する方法も提供する。
【0006】
他の態様では、方法は、質量分析によりサンプル中の、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、TMAP、クレアチニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、N-アセチルセリン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、尿素、C-グリコシルトリプトファン、3-インドキシルスルファート及びそれらの組合せからなる群から選択される1種又は複数の分析物からなる分析物パネルの量を検出する及び決定するステップを含み、1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。
【0007】
一実施形態では、質量分析は、タンデム質量分析である。
【0008】
1種又は複数の分析物が、N-アセチルスレオニンを含む一実施形態では、N-アセチルスレオニンから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約162.0±0.5、74.1±0.5、144.0±0.5、126.1±0.5、119.9±0.5、116.1±0.5、102.0±0.5、97.9±0.5、84.0±0.5、70.0±0.5、57.0±0.5、56.0±0.5、43.0±0.5、28.1±0.5、159.9±0.5、73.9±0.5、118.1±0.5、115.8±0.5、97.9±0.5、71.9±0.5、70.9±0.5、70.1±0.5、56.1±0.5、54.0±0.5、42.0±0.5、40.9±0.5、26.0±0.5、及び159.9±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0009】
1種又は複数の分析物が、フェニルアセチルグルタミンを含む一実施形態では、フェニルアセチルグルタミンから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約265.0±0.5、91.0±0.5、248.1±0.5、219.1±0.5、147.1±0.5、136.0±0.5、130.0±0.5、129.1±0.5、101.1±0.5、84.0±0.5、83.0±0.5、65.0±0.5、56.0±0.5、50.9±0.5、44.0±0.5、40.9±0.5、39.1±0.5、28.0±0.5、262.9±0.5、及び42.0±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0010】
1種又は複数の分析物が、クレアチニンを含む一実施形態では、クレアチニンから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約113.9±0.5、43.0±0.5、86.0±0.5、72.0±0.5、44.1±0.5、42.0±0.5、28.1±0.5、111.9±0.5、及び67.9±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0011】
1種又は複数の分析物が、トリプトファンを含む一実施形態では、トリプトファンから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約205.0±0.5、146.0±0.5、191~193±0.5、173~174±0.5、163~164±0.5、144.8~151.2±0.5、117.1~122.1±0.5、102.9~110.1±0.5、89.9~96.0±0.5、74.1~81.1±0.5、60.9~68.9±0.5、50.1~54.1±0.5、38.0~43.1±0.5、28.0~29.0±0.5、202.9±0.5、115.9±0.5、185.9±0.5、158.9±0.5、141.9±0.5、130.0±0.5、74.1±0.5、72.2±0.5、59.0±0.5、44.9±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0012】
1種又は複数の分析物が、プソイドウリジンを含む一実施形態では、プソイドウリジンから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約244.9±0.5、191.0±0.5、209.0±0.5、179.0±0.5、167.0±0.5、163.0±0.5、154.8±0.5、151.0±0.5、148.0±0.5、139.0±0.5、125.0±0.5、120.0±0.5、111.8±0.5、109.8±0.5、107.8±0.5、96.0±0.5、92.0±0.5、84.0±0.5、82.0±0.5、80.0±0.5、68.0±0.5、65.2±0.5、55.0±0.5、54.0±0.5、43.0±0.5、41.0±0.5、39.0±0.5、242.9±0.5、153.0±0.5、182.8±0.5、151.9±0.5、139.9±0.5、138.9±0.5、124.0±0.5、110.8±0.5、109.9±0.5、96.0±0.5、82.0±0.5、55.0±0.5、42.0±0.5、及び41.0±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0013】
1種又は複数の分析物が、メソ-エリトリトールを含む一実施形態では、メソ-エリトリトールから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約120.9±0.5、88.9±0.5、120.0±0.5、119.0±0.5、105.9±0.5、103.0±0.5、100.9±0.5、93.9±0.5、92.8±0.5、79.9±0.5、77.0±0.5、70.9±0.5、67.9±0.5、65.8±0.5、65.0±0.5、58.9±0.5、52.0±0.5、43.2±0.5、及び40.0±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0014】
1種又は複数の分析物が、アラビトールを含む一実施形態では、アラビトールから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)が約150.9±0.5、88.9±0.5、149.1±0.5、136.0±0.5、133.0±0.5、131.1±0.5、119.0±0.5、112.8±0.5、108.2±0.5、103.1±0.5、100.9±0.5、96.8±0.5、91.8±0.5、84.9±0.5、83.0±0.5、81.9±0.5、78.8±0.5、77.0±0.5、73.0±0.5、70.9±0.5、68.9±0.5、66.9±0.5、59.0±0.5、57.0±0.5、55.0±0.5、45.0±0.5、42.9±0.5、及び41.2±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0015】
1種又は複数の分析物が、ミオ-イノシトールを含む一実施形態では、ミオ-イノシトールから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約178.9±0.5、87.0±0.5、177.2±0.5、161.0±0.5、159.0±0.5、146.8±0.5、141.0±0.5、134.9±0.5、128.8±0.5、125.0±0.5、122.7±0.5、117.0±0.5、112.8±0.5、110.9±0.5、100.9±0.5、98.9±0.5、97.0±0.5、95.0±0.5、90.8±0.5、89.0±0.5、85.0±0.5、82.9±0.5、81.0±0.5、78.8±0.5、74.8±0.5、73.1±0.5、70.9±0.5、68.9±0.5、59.0±0.5、56.9±0.5、55.0±0.5、45.1±0.5、43.0±0.5、及び41.0±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0016】
1種又は複数の分析物が、N-アセチルセリンを含む一実施形態では、N-アセチルセリンから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約145.9±0.5、74.0±0.5、119.0±0.5、116.0±0.5、104.9±0.5、103.9±0.5、103.0±0.5、97.9±0.5、84.0±0.5、81.0±0.5、72.0±0.5、70.0±0.5、64.9±0.5、60.8±0.5、57.0±0.5、42.0±0.5、及び40.9±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0017】
1種又は複数の分析物が、N-アセチルアラニンを含む一実施形態では、N-アセチルアラニンから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約131.9±0.5、89.9±0.5、114.1±0.5、86.1±0.5、及び44.0±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0018】
1種又は複数の分析物が、3-メチルヒスチジンを含む一実施形態では、3-メチルヒスチジンから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約170.0±0.5、94.9±0.5、109.1±0.5、97.0±0.5、96.0±0.5、92.9±0.5、83.0±0.5、81.0±0.5、80.1±0.5、70.2±0.5、67.9±0.5、67.0±0.5、55.0±0.5、54.0±0.5、42.0±0.5、及び41.0±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0019】
1種又は複数の分析物が、trans-4-ヒドロキシプロリンを含む一実施形態では、trans-4-ヒドロキシプロリンから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)が約131.9±0.5、68.0±0.5、114.2±0.5、86.0±0.5、58.0±0.5、及び41.0±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0020】
1種又は複数の分析物が、キヌレニンを含む一実施形態では、キヌレニンから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約209.0±0.5、94.0±0.5、192.1±0.5、191.2±0.5、174.0±0.5、164.1±0.5、163.1±0.5、150.0±0.5、146.1±0.5、136.0±0.5、119.9±0.5、118.1±0.5、98.9±0.5、88.0±0.5、及び73.9±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0021】
1種又は複数の分析物が、尿素を含む一実施形態では、尿素から得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約60.9±0.5、29.2±0.5、44.0±0.5、43.0±0.5、42.1±0.5、28.0±0.5、及び27.1±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0022】
1種又は複数の分析物が、3-インドキシルスルファートを含む一実施形態では、3-インドキシルスルファートから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約211.8±0.5、79.9±0.5、132.0±0.5、104.0±0.5、80.9±0.5、及び77.0±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0023】
1種又は複数の分析物が、TMAPを含む一実施形態では、TMAPから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約229.1±0.5、170.1±0.5、142.2±0.5、126.0±0.5、124.0±0.5、116.0±0.5、114.0±0.5、98.0±0.5、96.0±0.5、70.0±0.5、68.0±0.5、60.0±0.5、59.1±0.5、58.1±0.5、54.9±0.5、227.0±0.5、181.0±0.5、159.0±0.5、133.2±0.5、114.8±0.5、112.9±0.5、105.8±0.5、89.1±0.5、71.0±0.5、69.0±0.5、及び45.1±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0024】
1種又は複数の分析物が、C-グリコシルトリプトファンを含む一実施形態では、C-グリコシルトリプトファンから得られた1種又は複数のイオンは、質量対電荷比(m/z)約365.2±0.5、245.0±0.5、130.0±0.5、142.0±0.5、156.0±0.5、及び116.0±0.5を有するイオンからなる群から選択される1種又は複数のイオンを含むことができる。
【0025】
一実施形態では、本方法には、質量分析により単回の注入で、サンプル中の複数の分析物の量、例えば、トリプトファン及び3-インドキシルスルファートからなる群から選択される2種以上の分析物の量等を決定するステップが含まれる。
【0026】
一実施形態では、本方法には、質量分析により単回の注入で、サンプル中の複数の分析物の量、例えば、トリプトファン、3-インドキシルスルファート、及びC-グリコシルトリプトファンからなる群から選択される2種以上の又は3種の分析物の量等を決定するステップが含まれる。
【0027】
一実施形態では、本方法には、質量分析により単回の注入で、サンプル中の複数の分析物の量、例えば、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、及びクレアチニンからなる群から選択される2種以上、3種以上、4種以上、又は5種の分析物の量等を決定するステップが含まれる。他の実施形態では、本方法には、N-アセチルスレオニン、プソイドウリジン、フェニルアセチルグルタミン、及びトリプトファンの量を決定するステップが含まれる。
【0028】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、プソイドウリジン及びN-アセチルスレオニンを含む。
【0029】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、プソイドウリジン及びフェニルアセチルグルタミンを含む。
【0030】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、プソイドウリジン及びトリプトファンを含む。
【0031】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、プソイドウリジン及びクレアチニンを含む。
【0032】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、N-アセチルスレオニン及びフェニルアセチルグルタミンを含む。
【0033】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、N-アセチルスレオニン及びトリプトファンを含む。
【0034】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、N-アセチルスレオニン及びクレアチニンを含む。
【0035】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、フェニルアセチルグルタミン及びトリプトファンを含む。
【0036】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、フェニルアセチルグルタミン及びクレアチニンを含む。
【0037】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、トリプトファン及びクレアチニンを含む。
【0038】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、TMAP及びプソイドウリジンを含む。
【0039】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、TMAP及びN-アセチルスレオニンを含む。
【0040】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、TMAP及びフェニルアセチルグルタミンを含む。
【0041】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、TMAP及びトリプトファンを含む。
【0042】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、TMAP及びクレアチニンを含む。
【0043】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、C-グリコシルトリプトファン及びプソイドウリジンを含む。
【0044】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、C-グリコシルトリプトファン及びN-アセチルスレオニンを含む。
【0045】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、C-グリコシルトリプトファン及びフェニルアセチルグルタミンを含む。
【0046】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、C-グリコシルトリプトファン及びトリプトファンを含む。
【0047】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、C-グリコシルトリプトファン及びクレアチニンを含む。
【0048】
例示的な実施形態では、2種以上の分析物のレベルが、決定され、その2種以上の分析物は、C-グリコシルトリプトファン及びTMAPを含む。
【0049】
一実施形態では、本方法には、質量分析により単回の注入で、サンプル中の複数の分析物の量、例えば、N-アセチルスレオニン、アラビトール、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、及びプソイドウリジンからなる群から選択される2種以上、3種以上、4種以上、若しくは5種の分析物の量等を決定するステップが含まれる。
【0050】
一実施形態では、本方法には、質量分析により単回の注入で、サンプル中の複数の分析物の量、例えば、N-アセチルスレオニン、プソイドウリジン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、及びN-アセチルセリンからなる群から選択される2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、又は6種の分析物の量等を決定するステップが含まれる。
【0051】
一実施形態では、本方法には、質量分析により単回の注入で、サンプル中の複数の分析物の量、例えば、N-アセチルスレオニン、プソイドウリジン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、TMAP、及びクレアチニンからなる群から選択される2種以上、3種以上、4種以上、5種以上又は6種の分析物の量等を決定するステップが含まれる。
【0052】
一実施形態では、本方法には、質量分析により単回の注入で、サンプル中の複数の分析物の量、例えば、N-アセチルスレオニン、ミオ-イノシトール、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、及びプソイドウリジンからなる群から選択される2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、又は6種の分析物の量等を決定するステップが含まれる。
【0053】
一実施形態では、本方法には、質量分析により単回の注入で、サンプル中の複数の分析物の量、例えば、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、クレアチニン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、尿素、及びそれらの組合せからなる群から選択される2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、又は9種の分析物の量等を決定するステップが含まれる。分析物の例示的な組合せは、付録Aとして提供された表Aにおいて示される。
【0054】
一実施形態では、本方法には、質量分析により単回の注入で、サンプル中の複数の分析物の量、例えば、N-アセチルスレオニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、3-インドキシルスルファート、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、及びN-アセチルセリン、並びにそれらの組合せからなる群から選択される2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、又は10種の分析物の量等を決定するステップが含まれる。
【0055】
一実施形態では、実行時間(run time)は、7分以下となり得る。他の実施形態では、実行時間は、4分未満となり得る。
【0056】
実施形態では、サンプルは、血漿サンプルでも血清サンプルでもよい。サンプル容積は、10μl~200μlとなり得る。例えば、サンプル容積は、10μl、15、20、25、30、40、50μl、60、70、80、90、100、120、140、160、180若しくは200μlとなり得、又は10から200μlの間の任意の他の容積となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1A】、クロマトグラフィー方法1を用いて生成された、内部標準を用いた単一のクロマトグラムにおける、フェニルアセチルグルタミン、プソイドウリジン、トリプトファン、N-アセチルスレオニン、及びクレアチニンのクロマトグラムの例を示す図である。
【
図1B-1F】それぞれ、クロマトグラフィー方法1を用いて生成された、各分析物についての個別のクロマトグラムを示す図である。
【0058】
【
図2A】クロマトグラフィー方法2を用いて生成された、血清から得られた内部標準を含む単一のクロマトグラムにおける、メソ-エリトリトール、N-アセチルセリン、アラビトール、N-アセチルスレオニン、ミオ-イノシトール、及びプソイドウリジンのクロマトグラムの例を示す図である。
【
図2B】クロマトグラフィー方法2を用いて生成された、BSA中の較正標準を含む単一のクロマトグラムにおける、メソ-エリトリトール、N-アセチルセリン、アラビトール、N-アセチルスレオニン、ミオ-イノシトール、及びプソイドウリジンのクロマトグラムの例を示す図である。
【
図2C-2E】クロマトグラフィー方法2を用いて生成された、各分析物についての個別のクロマトグラムを示す図である。
【
図2F-2H】クロマトグラフィー方法2を用いて生成された、各分析物についての個別のクロマトグラムを示す図である。
【0059】
【
図3A】クロマトグラフィー方法3を用いて生成された、血清から得られた単一のクロマトグラムにおける、尿素、クレアチニン、trans-4-ヒドロキシプロリン、N-アセチルアラニン、N-アセチルスレオニン、3-メチルヒスチジン、トリプトファン、キヌレニン、及びフェニルアセチルグルタミンのクロマトグラムを示す図である。
【
図3B】クロマトグラフィー方法3を用いて生成された、血漿から得られた単一のクロマトグラムにおける、尿素、クレアチニン、trans-4-ヒドロキシプロリン、N-アセチルアラニン、N-アセチルスレオニン、3-メチルヒスチジン、トリプトファン、キヌレニン、及びフェニルアセチルグルタミンのクロマトグラムを示す図である。
【
図3C-3G】クロマトグラフィー方法3を用いて生成された、各分析物についての個別のクロマトグラムを示す図である。
【
図3H-3K】クロマトグラフィー方法3を用いて生成された、各分析物についての個別のクロマトグラムを示す図である。
【0060】
【
図4A】クロマトグラフィー方法4を用いて生成された、血清から得られた単一のクロマトグラムにおける、C-グリコシルトリプトファン、トリプトファン及び3-インドキシルスルファートのクロマトグラムを示す図である。
【
図4B-4D】クロマトグラフィー方法4を用いて生成された、血清から得られた各分析物についての個別のクロマトグラムを示す図である。
【
図4E】クロマトグラフィー方法4を用いて生成された、血漿から得られた単一のクロマトグラムにおける、C-グリコシルトリプトファン、トリプトファン及び3-インドキシルスルファートのクロマトグラムを示す図である。
【
図4F-4H】クロマトグラフィー方法4を用いて生成された、血漿から得られた各分析物についての個別のクロマトグラムを示す図である。
【0061】
【
図5】クロマトグラフィー方法5を用いて生成された、単一のクロマトグラムにおけるフェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、N-アセチルスレオニン、トリプトファン、プソイドウリジン、及びTMAPの例示的なクロマトグラムを示す図である。内部標準は、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、N-アセチルスレオニン、トリプトファン、及びプソイドウリジンについて含まれ;TMAPは、内性(endogenous)である。
【0062】
【
図6】クロマトグラフィー方法6を用いて生成された、内部標準を含めた、単一のクロマトグラムにおける、N-アセチルスレオニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、3-インドキシルスルファート、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、及びN-アセチルセリンの例示的なクロマトグラムを示す図である。
【0063】
【
図7】クロマトグラフィー方法7を用いて生成された、内部標準を含めた、単一のクロマトグラムにおけるアラビトール、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、及びN-アセチルスレオニンの例示的なクロマトグラムを示す図である。
【0064】
【
図8】クロマトグラフィー方法8を用いて生成された、内部標準を含めた、単一のクロマトグラムにおけるミオ-イノシトール、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン及びN-アセチルスレオニンの例示的なクロマトグラムを示す図である。
【0065】
【
図9】N-アセチルスレオニンのタンデム質量分析による断片化から生成された、例示的な親(parent)及び娘(daughter)イオンのピークを示す図である。
【0066】
【
図10】フェニルアセチルグルタミンのタンデム質量分析による断片化から生成された、例示的な親及び娘イオンのピークを示す図である。
【0067】
【
図11】クレアチニンのタンデム質量分析による断片化から生成された、例示的な親及び娘イオンのピークを示す図である。
【0068】
【
図12】トリプトファンのタンデム質量分析による断片化から生成された、例示的な親及び娘イオンのピークを示す図である。
【0069】
【
図13】プソイドウリジンのタンデム質量分析による断片化から生成された、例示的な親及び娘イオンのピークを示す図である。
【0070】
【
図14A】正イオン化モードにおけるTMAPのタンデム質量分析による断片化から生成された、例示的な親及び娘イオンのピークを示す図である。
【
図14B】負イオン化モードにおけるTMAPのタンデム質量分析による断片化から生成された、例示的な親及び娘イオンのピークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
サンプル中のN-アセチルスレオニン、プソイドウリジン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、TMAP、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、N-アセチルセリン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、尿素、C-グリコシルトリプトファン、3-インドキシルスルファート及びクレアチニンからなる代謝産物の群から選択される1種又は複数の分析物の量の測定方法について記載され、1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。質量分析方法は、単回の注入での方法を用いたサンプル中の単一及び複数の分析物の定量化について記載される。これらの方法は、液体クロマトグラフィーのステップ、例えば、UPLC等を用いて、質量分析の方法と組み合わせて、選択された分析物の分離(精製、濃縮)を行うことができ、それによって、自動化を適用できるサンプル中の複数の分析物を定量化するための高処理アッセイ系が提供される。
【0072】
本明細書中に示される方法は、これらの分析物を測定する現在の方法に優る利点を提供する。単回の注入で、様々な組合せで複数の分析物を測定する能力によって、分析結果を得るために要する時間が短縮され、試験室の使い捨て器具(例えば、チューブ、ピペット先端部、試薬)、試験室の機器に関する資源及びヒトの資源の使用がより少なくなる。これらを改善することによって、アッセイの費用を減少させる及びサンプル分析についての機器及び試験室の能力を増加させることにより節約がもたらされる。
【0073】
さらに詳細に本発明を記載する前に、次の用語を定義する。
【0074】
定義:
用語「固相抽出」とは、混合物(complex mixture)の構成成分(すなわち、移動相)が、固体粒子のクロマトグラフの充てん材料(すなわち、固相又は固定相)を用いて、これらの物理的及び化学的特性に従って分離される、サンプル調製方法を意味する。固体粒子の充てん材料は、カートリッジタイプのデバイス(例えば、カラム)中に含有することができる。
【0075】
用語「分離」とは、混合物を、その構成成分分子又は代謝産物に分離する方法を意味する。一般的な、例示的な試験室の分離技法には、電気泳動及びクロマトグラフィーが含まれる。
【0076】
用語「クロマトグラフィー」とは、分離されようとする構成成分(すなわち、化学成分)が、2相間で分布し、その1つが、固定され(固定相)、もう一方(移動相)が、一定の方向に動く、分離の物理的な方法を意味する。移動相は、気体(「ガスクロマトグラフィー」、「GC」)でも、液体(「液体クロマトグラフィー」、「LC」)でもよい。クロマトグラフの出力データは、本明細書に記載した方法の実施形態において用いることができる。
【0077】
用語「液体クロマトグラフィー」又は「LC」とは、流体が、微粉砕した物質のカラム又はキャピラリー通路を通って均一に移動するとき、流体溶液の1種又は複数の構成成分を選択的に阻害する方法を意味する。この阻害は、移動相(単数又は複数)が、固定相(単数又は複数)に対して移動するとき、1種又は複数の固定相と移動相(単数又は複数)との間で混合物の構成成分が分布することによって生じる。「液体クロマトグラフィー」の例には、「逆相液体クロマトグラフィー」又は「RPLC」、「高速液体クロマトグラフィー」又は「HPLC」、「超-高速液体クロマトグラフィー」又は「UPLC」若しくは「UHPLC」が含まれる。
【0078】
用語「保持時間」とは、サンプルを分離デバイスに投入してからの、クロマトグラフィー方法における経過時間を意味する。サンプルの構成物の保持時間とは、サンプルの分離デバイスへの注入の時間とサンプルの構成物が、固定相を含有する分離デバイスの部分から溶出される(例えば、その部分から出る)時間との間のクロマトグラフィー方法における経過時間を意味する。
【0079】
用語サンプル構成成分の「保持指標」とは、サンプル構成成分の保持時間又は保持因子を、サンプル構成成分のピーク前及び後に溶出された標準の保持時間と関連付ける内挿(通常、対数的)により得られた数を意味し、この内挿は、既知の標準の分離特性を用いて系統誤差を除去する機序である。
【0080】
用語「分離指標」とは、分離技法により分離した化学成分に関する距離関数(metric)を意味する。クロマトグラフ分離技法の場合、分離指標は、保持時間でも保持指標でもよい。非クロマトグラフ分離技法の場合、分離指標は、化学成分が移動する物理的距離となり得る。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「分離情報」及び「分離データ」とは、分離指標に関する化学成分の有無を示すデータを意味する。例えば、分離データは、ある特定の時間で溶出されるある特定の質量を有する化学成分の存在を示すことができる。分離データは、経時的に溶出される化学成分の量が、上昇し、ピークに達し、次いで、下降することを示すことができる。分離指標(例えば、時間)に対してプロットされた化学成分の存在のグラフによって、グラフのピークを示すことができる。したがって、分離データに関連して、用語「ピーク情報」及び「ピークデータ」は、用語「分離情報」及び「分離データ」と同義である。
【0082】
用語「質量分析」(MS)とは、標的分子をイオン化するか、又はイオン化し、断片化し、次いで、これらの質量/電荷比に基づき、イオンを分析して、「分子のフィンガープリント」として働く質量スペクトルを生成することを伴う、分子を測定及び分析する技法を意味する。物体の質量/電荷比の決定は、電磁エネルギーが、その物体により吸収される波長を決定することによって行うことができる。イオンの質量対電荷比を決定するいくつかの一般的に用いられる方法があり、イオン軌道の電磁波との相互作用を測定する方法、イオンが、所与の距離を移動するためにかかる時間を測定する他の方法、又は両方の組み合わせがある。これらの断片の質量測定から得られたデータは、データベースに対して探索して、標的分子の同定を得ることができる。
【0083】
用語「負モードで操作する」又は「負MRMモードで操作する」又は「負イオン化モードで操作する」とは、負イオンが生成される及び検出される質量分析方法を意味する。用語「正モードで操作する」又は「正MRMモードで操作する」又は「正イオン化モードで操作する」とは、正イオンが生成される及び検出される質量分析方法を意味する。
【0084】
用語「質量分析計」とは、これらの質量対電荷(「m/z」)比により、イオンの混合物を分離する質量分析器におけるデバイスを意味する。
【0085】
用語「m/z」とは、イオンの質量数をその電荷数で割ることにより形成された無次元量を意味する。これは、「質量対電荷」比と長い間呼ばれてきた。
【0086】
本明細書で使用される場合、用語「供給源」とは、分析しようとするサンプルをイオン化する質量分析器におけるデバイスを意味する。イオン源の例には、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)、大気圧化学イオン化法(APCI)、熱エレクトロスプレーイオン化法(HESI:heated electrospray ionization)、大気圧光イオン化法(APPI)、水素炎イオン化型検出器(FID)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)等が含まれる。
【0087】
本明細書で使用される場合、用語「検出器」とは、イオンを検出する質量分析器におけるデバイスを意味する。
【0088】
用語「イオン」とは、電荷を含有する任意の物体を意味し、これは、例えば、電子を物体に付加する又は物体から電子を除去することにより形成することができる。
【0089】
用語「質量スペクトル」とは、通常、x-軸上のm/z値及びy-軸上の強度値を含有する質量分析器により生成されたデータのプロットを意味する。
【0090】
用語「走査」とは、ある特定の分離指標を伴う質量スペクトルを意味する。例えば、クロマトグラフ分離技法を用いる系は、複数の走査、異なる保持時間における各走査を生成することができる。
【0091】
用語「実行時間」とは、サンプル注入から機器データの生成までの時間を意味する。全実行時間には、サンプル用のクロマトグラフィー及び質量分析が含まれる。
【0092】
用語「タンデムMS」とは、「1次MS」と呼ばれる第1のMSステップが行われ、その後、「2次MS」と一般に称されるその後のMSステップの1種又は複数が行われる操作を意味する。1次MSでは、1種の(場合によっては1種以上の)化学成分を表すイオンは、1次質量スペクトルの創出中に検出され、記録される。イオンによって表される物質は、2次MSにかけられ、目的とする物質は、断片化を受けて、サブ成分に分割され、これらは、2次質量スペクトルとして検出され、記録される。真のタンデムMSでは、1次MSにおける目的とするイオンと2次MS中に創出された結果のピークとの間に明瞭な関係がある。1次MSにおける目的とするイオンは、「親」又は前駆イオンに対応し、2次MS中に創出されたイオンは、親イオンのサブ成分に対応し、本明細書では、「娘」又は「プロダクト」イオンと称される。
【0093】
したがって、タンデムMSによって、混合物中の化学成分の親-娘関係を表すデータ構造の創出が可能になる。この関係は、互いに親及び娘イオンの関係を例示する樹木様構造により表すことができ、娘イオンは、親イオンのサブ成分を表す。タンデムMSは、娘イオンにおいて繰り返されて、例えば、「孫娘」イオンを決定することができる。したがって、タンデムMSは、断片化の2つのレベルに限定されないが、「MSn」とも称されるマルチ-レベルMSを意味するために総称的に用いられる。用語「MS/MS」は、「MS2」の同義語である。平易にする場合、用語「娘イオン」は、以後、2次又は高次の(すなわち、1次でない)MSにより創出された任意のイオンを意味する。
【0094】
1種又は複数のバイオマーカーの「レベル」は、サンプル中で測定されたバイオマーカーの絶対量若しくは相対量又は濃度を意味する。
【0095】
「サンプル」又は「生物学的サンプル」は、対象から単離された生体物質を意味する。生物学的サンプルは、所望のバイオマーカーを検出するのに適した任意の生体物質を含有することができ、対象から得られた細胞及び/又は非細胞の材料を含有することができる。サンプルは、任意の適当な生体液又は生体組織、例えば、血液、血液血漿(血漿)、血液血清(血清)、尿、脳脊髄液(CSF)、又は組織等から単離することができる。
【0096】
「対象」とは、任意の動物を意味するが、好ましくは、哺乳動物、例えば、ヒト、サル、マウス、ウサギ又はラット等である。
【0097】
C-グリコシルトリプトファンはまた、2-マンノピラノシル-トリプトファン、2-(α-D-マンノピラノシル)-L-トリプトファン、マンノ-L-トリプトファン、2-MTとも称される。したがって、これらの用語は、本明細書において同義的に用いられる。
【0098】
I.サンプル調製及び品質管理(QC)
分析物を含有するサンプル抽出物を、サンプル中に存在し得る高分子(例えば、タンパク質、核酸、脂質)から離して分析物を単離することにより調製する。サンプル中のいくつかの又はすべての分析物は、タンパク質に結合することがある。様々な方法は、MS分析前に分析物(単数又は複数)とタンパク質との間の相互作用を中断するために用いることができる。例えば、これらの分析物は、存在し得るタンパク質を沈殿させ、除去しながら、サンプルから抽出して、液体抽出物を生成することができる。タンパク質は、例えば、酢酸エチル又はメタノールの溶液を用いて、沈殿させることができる。サンプル中のタンパク質を沈殿させるために、酢酸エチル又はメタノール溶液を、サンプルに加え、次いで、混合物を、遠心機中で高速に回転させて、液体の上澄みを分離させ、この上澄みは、沈殿させたタンパク質から、抽出させた分析物を含有する。
【0099】
他の実施形態では、分析物は、タンパク質を沈殿させずに、タンパク質から放出させることができる。例えば、ギ酸溶液は、サンプルに加えて、タンパク質と分析物との間の相互作用を中断させることができる。或いは、硫酸アンモニウム、ギ酸のエタノール溶液、又はギ酸のメタノール溶液をサンプルに加えて、タンパク質を沈殿させずに、タンパク質と分析物との間のイオン相互作用を中断させることができる。一例では、アセトニトリル、メタノール、水、及びギ酸の溶液を用いて、サンプルから分析物を抽出することができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、抽出物は、本明細書に記載した液体クロマトグラフィー、電気泳動、ろ過、遠心、及び親和性分離を含めた、様々な方法にかけて、サンプル中の1種又は複数の他の構成成分に対して、選択された分析物を精製し又はその量を強化することができる。
【0101】
例えば、分析物を検出する及び定量化する方法の精度、真度、キャリブレーション範囲、又は分析感度を評価するために、品質管理(QC)サンプルを用いることができる。QCサンプルに用いようとする所与の分析物(単数又は複数)の濃度は、サンプル中で検出された、所与の分析物(単数又は複数)の定量の下限(LLOQ)又は定量の上限(ULOQ)に基づき、決定することができる。一例では、LLOQは、標準の濃度(例えば、標準A)によって表すことができ、ULOQは、第2の標準の濃度(例えば、標準H)によって表すことができる。低QC値は、約3×LLOQの濃度に設定することができ、中間QC値は、高QCの約25~50%の濃度となり、高QC値は、ULOQの約80%の濃度となり得る。QC標的濃度レベルは、分析の測定範囲(AMR:Analytical Measurement Range)の組み合わせ及び代表的なサンプルのセットにおいて測定されたサンプル結果の頻度に基づき選ぶことができる。
【0102】
II.クロマトグラフィー
質量分析前に、分析物抽出物は、1種又は複数の分離方法、例えば、電気泳動、ろ過、遠心、親和性分離、又はクロマトグラフィー等にかけることができる。一実施形態では、分離方法は、例えば、超高速LC(UHPLC)を含めた、液体クロマトグラフィー(LC)を含むことができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、UHPLCは、逆相カラムクロマトグラフ系、親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)、又は混合相カラムクロマトグラフ系を用いて行うことができる。
【0104】
LC用のカラムヒーター(又はカラムマネージャ)は、約25℃~約80℃までの温度に設定することができる。例えば、カラムヒーターは、約30℃、40℃、50℃、60℃、70℃等に設定することができる。
【0105】
一例では、UHPLCは、HILIC系を用いて行うことができる。他の例では、UHPLCは、逆相カラムクロマトグラフ系を用いて行うことができる。この系は、2種以上の移動相を含むことができる。移動相は、例えば、移動相A、移動相B、移動相A’、及び移動相B’と称され得る。
【0106】
2つの移動相、A及びBを用いた例示的な実施形態では、移動相Aは、ギ酸アンモニウム、ギ酸、及び水を含むことができ、移動相Bは、アセトニトリルを含むことができる。移動相Aにおけるギ酸アンモニウムの濃度は、0.1mM~100mMまでの範囲となり、ギ酸の濃度は、0.001%~5%までの範囲となり得る。更に、アセトニトリルの濃度は、0%~100%までの範囲となり得る。一例では、移動相Aは、水中で20mMギ酸アンモニウム+1%ギ酸を含むことができ、移動相Bは、100%アセトニトリルを含むことができる。他の例では、移動相Aは、水中で50mMギ酸アンモニウム+1%ギ酸を含むことができ、移動相Bは、100%アセトニトリルを含むことができる。
【0107】
一例では、直線状のグラジエント溶出は、クロマトグラフィーのために用いることができる。直線状のグラジエント溶出についての開始条件は、移動相(例えば、移動相A)の濃度及び/又はそのカラムを通したある移動相(例えば、移動相A)の流速を含むことができる。開始条件は、1種又は複数の分析物の分離及び/又は保持のために最適化することができる。グラジエント条件はまた、分析物の分離及び/又は保持のために最適化することもでき、選択された流速に応じて変わり得る。例えば、移動相A12%及び流速1分当たり550μLの初期条件で、移動相Aは、1.9分で22%、2.5分で30%、次いで、2.7分で42%まで増加し得る。移動相Bは、次のサンプル注入の場合0.3分間平衡に維持することができる場合、3.4分で12%まで戻ることもある。他の例では、初期条件は、移動相A12%及び流速1分当たり500μLとなり得る。移動相Aは、0.5分間維持することができる場合、1.9分で22%、2.5分で30%、3.1分で35%、3.7分で38%、及び5.0分で45%まで増加し得る。移動相Aは、次のサンプル注入前に1.3分間平衡に維持することができる場合、5.7分で12%まで戻ることもある。他の例では、初期条件は、移動相A12%及び流速1分当たり550μLとなり得る。移動相Aは、1.9分で22%、2.5分で30%、及び2.7分で42%まで増加し得る。次いで、移動相Aは、次のサンプル注入前に0.3分間平衡に維持することができる場合、3.4分で12%まで戻ることもある。
【0108】
他の例では、移動相Aは、酢酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、及び水を含むことができ、移動相Bは、アセトニトリルを含むことができる。酢酸アンモニウムの濃度は、約5mM~約200mMまでの範囲となり得る。例えば、酢酸アンモニウムの濃度は、約50mM又は約100mMとなり得る。水酸化アンモニウムの濃度は、約0.001%~約1%までの範囲となり得る。例えば、水酸化アンモニウムの濃度は、約0.1%又は約0.2%となり得る。更なる例では、移動相Aは、水中の50mM酢酸アンモニウム+0.1%水酸化アンモニウムとなり得、移動相Bは、100%アセトニトリルとなり得る。直線状のグラジエント溶出は、クロマトグラフィーのために用いることができ、移動相A7%及び流速1分当たり450μLの初期条件で行うことができる。次いで、移動相Aの割合は、1.5分で20%まで増加し得る。移動相Aの割合は、次のサンプル注入前に1.9分間平衡に維持することができる場合、4.7分で30%まで、5.0分で35%まで増加し、次いで、5.1分で7%まで戻ることもある。全実行時間は、7分以下となり得る。他の例では、移動相Aは、水中の100mM酢酸アンモニウム+0.2%水酸化アンモニウムとなり得、移動相Bは、100%アセトニトリルとなり得る。直線状のグラジエント溶出は、クロマトグラフィーのために用いることができ、移動相A7%及び流速1分当たり500μLの初期条件で行うことができる。移動相Aは、1.5分で20%まで、4.7分で30%まで及び5.0分で35%まで増加し得る。次いで、移動相Aは、次のサンプル注入前に1.9分平衡に維持することができる場合、5.1分で7%まで戻ることもある。他の例では、直線状のグラジエント溶出は、移動相A7%及び流速1分当たり800μLの初期条件で行うことができる。移動相Aは、0.9分で20%まで、1.9分で25%まで、及び2.1分で30%まで増加し得る。次いで、移動相Aは、次のサンプル注入前に0.5分間平衡に維持することができる場合、2.2分で7%まで戻ることもある。直線状のグラジエント溶出のために移動相A7%及び流速1分当たり800μLの初期条件を用いた、更なる他の例では、移動相Aは、0.9分で22%まで、2.5分で30%まで、及び2.7分で35%まで増加し得る。次いで、移動相Aは、次のサンプル注入前に0.4分間平衡に維持することができる場合、2.8分で7%まで戻ることもある。
【0109】
更なる他の実施形態では、移動相Aは、ギ酸及び水を含むことができ、移動相Bは、ギ酸及びアセトニトリルを含むことができる。例示的な実施形態では、移動相Aは、約0.001~約1.0%までのギ酸を含むことができ、移動相Bは、ギ酸及びアセトニトリルを0~100%まで含むことができる。一例では、移動相Aの濃度は、水中の約0.1%ギ酸となり得、移動相Bの濃度は、アセトニトリル中の約0.1%ギ酸となり得る。直線状のグラジエント溶出は、クロマトグラフィーのために用いることができ、移動相B2%の初期条件で行うことができ、流速は、700μL/分であった。移動相Bは、2.5分で90%まで増加し、0.3分間90%で維持することができ、次いで、次のサンプル注入前に0.4分間平衡に維持することができる場合、2.9分で2%まで減少し得る。全実行時間は、4分未満となり得る。
【0110】
III.質量分析及び定量化
1種又は複数の分析物は、例えば、質量分析を含めた、当業者に公知の任意の方法によりイオン化することができる。質量分析は、分画されたサンプルをイオン化し、更なる分析用に荷電された分子を創出するためのイオン源を含む、質量分析器を用いて行われる。サンプルのイオン化は、例えば、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)により行うことができる。他のイオン源は、例えば、大気圧化学イオン化(APCI)、熱エレクトロスプレーイオン化法(HESI)、大気圧光イオン化法(APPI)、水素炎イオン化型検出器(FID)、又はマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)を含むことができる。イオン化法の選択は、いくつかの考慮に基づき、決定することができる。例示的な考慮には、測定しようとする分析物、サンプルのタイプ、検出器のタイプ、及び正又は負モードの選択が含まれる。
【0111】
1種又は複数の分析物は、正又は負モードでイオン化して、1種又は複数のイオンを創出することができる。例えば,分析物N-アセチルスレオニン、プソイドウリジン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、TMAP、クレアチニン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、及び尿素は、正モードでイオン化することができる。更なる他の例では、分析物N-アセチルスレオニン、TMAP、プソイドウリジン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、N-アセチルセリン、トリプトファン、C-グリコシルトリプトファン、及び3-インドキシルスルファートは、負モードでイオン化することができる。更なる他の例では、分析物N-アセチルスレオニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、3-インドキシルスルファート、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、及びN-アセチルセリンは、負モードでイオン化することができる。いくつかの例では、分析物は、単回の注入において正モード及び負モードでイオン化することができる。
【0112】
質量分析器の機器設定は、所与の方法のために及び/又は特定の質量分析器を用いるために最適化することができる。本機器は、様々な気体、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、又はゼロ空気を用いることができる。質量分析は、AB Sciex QTrap 5500質量分析器を用いて行うことができる。一例では、質量分析器は、正の多重反応モニタリング(MRM)モードで操作することができる。イオンスプレー電圧設定は、約0.5kV~約5.0kVまでの範囲となり得;一実施形態では、電圧は、4.0kVに設定することができる。ソース温度は、約350℃~約600℃までの範囲となり得;一実施形態では、ソース温度は、550℃に設定することができる。カーテンガスは、約10~約55psiまでの範囲となり得;一実施形態では、カーテンガスは、20psiに設定される。ネビュライザー及び脱溶媒和ガス流速は、約0~約90psiまでの範囲となり得る。一実施形態では、流速は、75に設定することができる。CADガス設定は、高から低までの範囲となり得;一実施形態では、衝突活性化解離(CAD)ガスは中に設定される。デクラスタリング電位は、15V未満から170Vを超える範囲となり得る。衝突エネルギー(CE)は、12eV未満から100eVを超える範囲となり得る。エントランス電位(EP)設定は、約10V未満から10Vを超える範囲となり得る。コリジョンセルイグジット電位(CXP)設定は、8V未満から14Vを超える範囲となり得る。
【0113】
他の例では、本機器は、負MRMモードで操作することができる。イオンスプレー電圧設定は、-0.5kV~-5.5kVまでの範囲となり得;一実施形態では、電圧は、-4.0kVに設定することができる。一実施形態では、電圧は、-4.5kVに設定することができる。ソース温度は、約350℃~600℃までの範囲となり得;一実施形態では、ソース温度は、550℃に設定することができる。カーテンガスは、10~30又は別の適切な値までの範囲となり得;一実施形態では、カーテンガスは、20に設定することができる。ネビュライザー及び脱溶媒和ガスの流速は、40~80又は別の適切な値までの範囲となり得る。一実施形態では、流速は、70に設定することができ;他の実施形態では、流速は、50に設定することができる。他の例では、ネビュライザーガス流速は、60に設定することができ、脱溶媒和ガス流速は、65に設定することができる。CADガスは、低から高までの範囲となり得る。一例では、CADは、例えば、中に設定することができる。他の例では、CADは高に設定することができる。
【0114】
サンプルがイオン化された後、正又は負に荷電したイオンを分析して、質量対電荷比を決定することができる。質量対電荷比を決定するための例示的な適当な分析器には、四重極分析器、イオントラップ分析器、及び飛行時間分析器が含まれる。イオンは、例えば、選択モード又は走査モードを用いて検出することができる。例示的な走査モードには、MRM及び選択反応モニタリング(SRM)が含まれる。
【0115】
分析結果は、タンデムMSによって生成されたデータを含むことができる。例示的な実施形態では、タンデムMSは、精密質量タンデムMSとなり得る。例えば、精密質量タンデム質量分析は、四重極飛行時間(Q-TOF)分析器を用いることができる。タンデムMSによって、混合物中の化学成分の親-娘関係を示すデータ構造の創出が可能になる。この関係は、樹木様構造が、親及び娘イオンの関係を互いに例証することにより示すことができ、娘イオンは、親イオンのサブ成分を示す。
【0116】
例えば、1次質量スペクトルは、5つの異なるイオンを含むことができ、これは、5つのグラフによるピークとして示すことができる。1次MSにおける各イオンは、親イオンとなり得る。各親イオンは、その特定の親イオンについての娘イオンを示す質量スペクトルを生成する2次MSにかけることができる。
【0117】
親/娘関係を、拡張して、分離した構成成分(例えば、クロマトグラフィー状態から溶出する構成成分)と1次MSにおいて検出されたイオンとの間の関係、及び分析されようとするサンプルと分離した構成成分との関係を記載することができる。
【0118】
質量分析器は、通常、ユーザーに、イオン走査(すなわち、所与の範囲に対してある特定の質量/電荷を有する各イオンの相対的存在量)を提供する。質量分析データは、多くの方法により元のサンプル中の分析物の量に関係があり得る。一例では、所与のイオンの相対的存在量が、元の分析物の絶対量に変換することができるように、較正標準を用いて、標準曲線(検量線)が生成される。他の例では、較正標準は、外部標準となり得、標準曲線を、標準から生成されたイオンに基づき生成して、1種以上の分析物の物質量を算出することができる。更なる例では、外部標準は、非標識の分析物となり得る。
【0119】
内部標準は、較正標準及び/又は被検試料に加えることができる。サンプル中の測定された分析物のより高精度な値を得るために、内部標準を用いて、サンプルプロセシングの間分析物の喪失を説明することができる。較正標準のレベルにおける分析物ピーク面積対内部標準ピーク面積の比を用いて、検量線を生成し、サンプルを定量化することができる。分析物の、1種又は複数の同位体標識された類似体、例えば、N-アセチル-d3-DL-スレオニン-d2、フェニルアセチルグルタミン-d5、クレアチニン-d3、L-トリプトファン-d5、プソイドウリジン-13C,15N2、エリトリトール-13C4、D-アラビニトール-13C5、ミオ-イノシトール-d6、アセチルセリン-d3、N-N-アセチル-L-アラニン-d4、3-メチル-L-ヒスチジン-d3、trans-4-ヒドロキシ-L-プロリン-d3、キヌレニン-d6、尿素-13C,15N2、2-(α-D-マンノピラノシル)-L-トリプトファン-d4、3-インドキシルスルファート-d4、及びN,N,N-トリメチル-L-アラニル-L-プロリン-13C3は、内部標準として用いることができる。
【0120】
分析データを、コンピュータに送り、コンピュータソフトウェアを用いて処理することができる。一例では、分析物対内部標準のピーク面積比を、定量化のための統計的回帰法を用いて、較正標準の濃度に対してフィッティングした。他の例では、統計的回帰は、重み付け線形最小二乗回帰である。検量線を用いて算出された傾き及び切片を用いて、実験サンプル中の分析物の未知の濃度を算出することができる。
【0121】
1種又は複数の腎臓パネル分析物の濃度を得た後、濃度の値を多変量アルゴリズムに入力して、推定GFR(糸球体ろ過率)スコアを生成する。例えば、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、TMAP、プソイドウリジン、及びクレアチニンから選択される、2種の分析物、3種の分析物、4種の分析物、5種の分析物、又は6種の分析物の濃度を決定することができる。一例では、臨床パラメータ(例えば、BUN、SCr、尿中アルブミン測定)、腎機能のマーカー(例えば、β-2ミクログロブリン、β-TRACE、2-マンノピラノシルトリプトファン(2-MPT))、及び/又は患者の情報(例えば、年齢、CKDの家族歴、他の危険因子)は、本明細書に記載した方法を用いて得られた分析物の濃度の値と組み合わせて用いることができる。
【0122】
IV.キット
N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、TMAP、プソイドウリジン、クレアチニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、N-アセチルセリン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、尿素、C-グリコシルトリプトファン、3-インドキシルスルファート、及びそれらの組合せからなる群から選択される腎臓パネル分析物の1種又は複数をアッセイするためのキット(1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない)を、本明細書に記載する。例えば、キットは、包装材料及び1種又は複数のアッセイのために十分な量で、1種若しくは複数の分析物標準又は内部標準の測定された量を含むことができる。例示的な実施形態では、内部標準は、同位体標識することができ、本キットは、予め作製された移動相溶液を含むことができ、且つ/又は本キットは、移動相溶液を調製するための移動相の試薬及び指示を含むことができる。キットはまた、試薬を用いて、1種又は複数の分析物を測定するために、実体のある形態(例えば、書面で、例えば、取扱説明書又は電子媒体)で記録された指示を含むこともできる。
【実施例】
【0123】
I.サンプル調製
A.試薬及び機器
質量分析用(98%)ギ酸及びギ酸アンモニウム(>98%)を、Sigma-Aldrich社から入手し;HPLC用メタノール及びアセトニトリルをJT Baker社から入手し;塩酸、6N(保証済み)を、Fisher Scientific社から入手した。VWR Scientific社製のMulti-Tube Vortexerを、混合のために用いた。プレートの遠心を、3617バケットローターを有するThermo Scientific社製のSorvall ST 40R遠心機で行った。ヒト血漿(リチウムヘパリン)及び血清を、Bioreclamation社から入手した。ウシ血清アルブミン(脂肪酸無し)を、GenDepot社から入手した。フェニルアセチルL-グルタミン、N-アセチル-L-アラニン、β-プソイドウリジン-13C、15N2、L-トリプトファン-d5、D-アラビニトール-13C5、エリトリトール-13C4、2-(α-D-マンノピラノシル)-L-トリプトファン-d4、及び3-インドキシルスルファート-d4カリウム塩を、Toronto Research Chemicals社から入手し;クレアチニン塩酸塩、L-トリプトファン、N-アセチル-DL-セリン、L-キヌレニン、trans-4-ヒドロキシ-L-プロリン、3-メチル-L-ヒスチジン、D-(+)-アラビトール、メソ-エリトリトール、ミオ-イノシトール、硫酸3-インドキシルカリウム塩、及び尿素を、Sigma-Aldrich社から入手し;β-プソイドウリジンを、MP Biomedicals社から得;アセチル-L-スレオニンを、Santa Cruz Biotechnology社から入手し;Nα-(フェニル-d5-アセチル)-L-グルタミン、クレアチニン-d3、N-アセチル-d3-L-スレオニン-2,3-d2、N-アセチル-L-アラニン-2,3,3,3-d4、N-アセチル-L-セリン-2,3,3-d3、trans-4-ヒドロキシ-L-プロリン-2,5,5-d3、NT-メチル-d3-L-ヒスチジン、ミオ-イノシトール-1,2,3,4,5,6-d6を、CDN Isotopes社から入手し;L-キヌレニン硫酸塩(d4、3,3-d2環)及び尿素(13C、15N2)を、Cambridge Isotope Laboratories社から入手した。N,N,N-トリメチル-L-アラニル-L-プロリン-13C3(
13C3-L,L-TMAP)を、Albany Molecular Research社から入手した。
【0124】
B.サンプル調製
サンプル調製を、ポリプロピレン製96穴プレート中で行った。試験サンプル、QCサンプル、及び較正標準を、氷上で解凍し、ボルテックスした。試験サンプル及びQCサンプルから分析物を抽出するため、適切な内部標準(単数又は複数)を含有するアセトニトリル/メタノール/水/ギ酸混合物(88/10/2/0.2)の作業内部標準(WIS)溶液175μLを、各ウェルに加えた。WIS溶液は、1種又は複数の内部標準を含むことができ、本明細書に記載した17種の分析物のそれぞれについての1種又は複数の内部標準を含むことができる。ブランクサンプルを、内部標準を含まずにアセトニトリル/メタノール/水/ギ酸混合物(88/10/2/0.2)175μLを加えることにより抽出した。16種の分析物についてのWIS濃度を、表1に示す。すべてのWIS溶液を、アセトニトリル/メタノール/水/ギ酸(88/10/2/0.2)の溶液中で調製した。WIS濃度の決定は、例えば、キャリブレーション範囲で分析物の濃度に基づき得る。例えば、TMAPについてのWISの濃度は、TMAP較正標準C及びDの濃度とほとんど同じとなり得る。
【表1】
【0125】
各分析物のキャリブレーション範囲を決定した。各分析物について、LLOQは、キャリブレーション範囲の下限を表し、キャリブレーション範囲の上限は、ULOQによって表される。当業者は、過度の実験をせずに、各分析物についてのキャリブレーション範囲の決定の仕方を理解しているはずである。8種の検量用試料(標準A~H)を用いて、キャリブレーション範囲を網羅した。各検量用試料における最終分析物濃度を、表2に記載する。キャリブレーション用スパイキング溶液(calibration spiking solution)を、対応するキャリブレーション濃度の20倍で調製した。
【表2】
【0126】
QCレベルを、LLOQ及びULOQに基づき決定した。低、中及び高レベルのQCサンプルを、必要に応じて分析物を強化しながら、適切な分析物濃度のヒト血漿又は血清プールの組み合わせから調製した。LLOQサンプルを、すべての分析物についての表2中の標準Aと同じ濃度で、脂肪酸がないBSA溶液(PBS中の7.5%)中で調製した。QCサンプルを、-80℃で貯蔵した。
【0127】
試験サンプル、QCサンプル、較正標準、及びブランクについて、抽出したサンプル25μLを、プレートの適切なウェルに移した。プレートを、密封し、プレートシェーカーにおいて高速でおよそ2分間混合した。プレートを、4℃で10分間4,000rpmで遠心し;上澄みのアリコート150μLを、LC-MS/MS分析用の新たなプレートに移した。サンプルの回復を評価するために、媒体QCサンプルを、表2に示した通り、較正標準Eに相当する濃度で添加した。標準Eについてのキャリブレーション値を、「E」が付いた列に示す。原液、キャリブレーション用スパイキング溶液、及び内部標準溶液を、4℃で貯蔵した。
【0128】
(例1)
サンプルからの分析物のクロマトグラフの精製及び分離
UHPLCを用いるクロマトグラフ方法を開発して、単回の注入から得られた1種以上で10種までの分析物を分析した。各クロマトグラフ方法について、最終抽出溶液の単一の固定されたアリコート1.0μLを、分析された各サンプル用のUPLCカラムに注入した。クロマトグラフィー方法1、3、5、6、7及び8について、バイナリ溶媒ポンプユニット、冷蔵オートサンプラー(4℃に設定)、及びカラムヒーター(60℃に設定)を装備したAgilent 1290 Infinity UHPLC系を、HILICカラム(Waters ACQUITY UPLC(登録商標)BEHアミド、1.7μm、2.1×150mm)を有する液体クロマトグラフィーのために用いた。バイナリ溶媒ポンプユニット、冷蔵オートサンプラー(4℃に設定)、及びサーモスタット式カラムマネージャ(60℃に設定)を装備したWaters Acquity UPLC系を、クロマトグラフィー方法2のためのHILICカラム(Waters ACQUITY UPLC(登録商標)BEH アミド、1.7μm、2.1×150mm)及びクロマトグラフィー方法4のための逆相カラム(Waters ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18、1.7μm、2.1×100mm)を有する液体クロマトグラフィーのために用いた。各クロマトグラフィー方法の詳細(すなわち、移動相緩衝液、溶出グラジエント、流速、実行時間)を、以下に例示する。
【0129】
A.クロマトグラフィー方法1(5種の分析物:N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、プソイドウリジン、トリプトファン、クレアチニン)
一例では、液体クロマトグラフィー方法を、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、プソイドウリジン、トリプトファン、クレアチニン及びそれらの組合せからなる群から選択される1種以上若しくは2種以上で全5種までの分析物の単回の注入での精製及び分離のために開発し、1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。
【0130】
移動相Aは、水中の20mMギ酸アンモニウム+1%ギ酸であり、移動相Bは、100%アセトニトリルであった。直線状のグラジエント溶出を、別段の指示がない限り、初期条件が、移動相A12%(移動相B88%)及び流速1分当たり550μLで行った。移動相Aは、初回、1.9分で12%~22%まで(移動相B78%)、2.5分で22%~30%まで(移動相B70%)、及び2.7分で30%~42%まで(移動相B58%)増加した。次いで、移動相Aは、3.4分で12%(移動相B88%)まで戻り、これは、次のサンプルが注入される前に、0.3分間平衡に維持された。全実行時間は、3.70分であった。
【0131】
クロマトグラフィー方法1によって、良いピーク形を有する、複数の5種までの分析物が分離された。得られた分離された分析物の例示的なクロマトグラムを、
図1A~Fに示す。各分析物についての目的とするピークのおおよその保持時間を示す。おおよその保持時間(分)は、フェニルアセチルグルタミン、プソイドウリジン、トリプトファン、N-アセチルスレオニン、及びクレアチニンが、それぞれ、1.11、2.45、2.61、1.43、及び1.83であった。
【0132】
B.クロマトグラフィー方法2(6種の分析物:プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、N-アセチルセリン)
他の例では、液体クロマトグラフィー方法を、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、N-アセチルセリン及びそれらの組合せからなる群から選択される、1種以上若しくは2種以上で全6種までの分析物の単回の注入での精製及び分離のために開発した。
【0133】
移動相Aは、水中の50mM酢酸アンモニウム+0.1%水酸化アンモニウムであり、移動相Bは、100%アセトニトリルであった。直線状のグラジエント溶出を、別段の指示がない限り、移動相A7%(移動相B93%)及び流速1分当たり450μLの初期条件で行った。移動相Aは、初回、1.5分で7%~20%(移動相B80%)、4.7分で20%~30%(移動相B70%)、及び5.0分で30%~35%(移動相B65%)まで増加した。次いで、移動相Aは、5.1分で7%(移動相B93%)まで戻り、これは、次のサンプルが注入される前に1.9分間平衡に維持された。全実行時間は、7.0分であった。
【0134】
クロマトグラフィー方法2によって、良いピーク形を有する複数の6種までの分析物が分離された。得られた分離された分析物の例示的なクロマトグラムを、
図2A~Hに示す。おおよその保持時間(分)は、メソ-エリトリトール、N-アセチルセリン、アラビトール、N-アセチルスレオニン、ミオ-イノシトール、及びプソイドウリジンが、それぞれ、2.21、3.30、2.72、2.99、4.59、及び2.89であった。
【0135】
C.クロマトグラフィー方法3(9種の分析物:N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、クレアチニン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、尿素)
他の例では、液体クロマトグラフィー方法を、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、クレアチニン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、尿素及びそれらの組合せからなる群から選択される、1種以上若しくは2種以上で全9種までの分析物の単回の注入での精製及び分離のために開発し、1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。
【0136】
移動相Aは、水中の20mMギ酸アンモニウム+1%ギ酸であり、移動相Bは、100%アセトニトリルであった。直線状のグラジエント溶出を、別段の指示がない限り、移動相A12%(移動相B88%)及び流速1分当たり500μLの初期条件で行った。移動相Aは、初回、1.9分で12%~22%(移動相B78%)、2.5分で22%~30%(移動相B70%)、3.1分で30%~35%(移動相B65%)、3.7分で35%~38%(移動相B62%)、及び5.0分で38%~45%(移動相B55%)まで増加し、これを、0.5分間維持した。次いで、移動相Aは、5.7分で12%(移動相B88%)まで戻り、これは、次のサンプルが注入される前に、1.3分間平衡に維持した。全実行時間は、7.0分であった。
【0137】
クロマトグラフィー方法3によって、良いピーク形を有する複数の9種までの分析物が分離された。得られた分離された分析物の例示的なクロマトグラムを、
図3A~Iに示す。おおよその保持時間(分)は、尿素、クレアチニン、trans-4-ヒドロキシプロリン、N-アセチルアラニン、N-アセチルスレオニン、3-メチルヒスチジン、トリプトファン、キヌレニン、及びフェニルアセチルグルタミンが、それぞれ、1.36、1.94、3.74、1.17、及び1.69であった。
【0138】
D.クロマトグラフィー方法4(トリプトファン、3-インドキシルスルファート、C-グリコシルトリプトファン)
他の例では、液体クロマトグラフィー方法を、トリプトファン、3-インドキシルスルファート、及びC-グリコシルトリプトファン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、1種以上若しくは2種以上で全3種までの分析物の単回の注入での精製及び分離のために開発した。
【0139】
移動相Aは、水中の0.1%ギ酸であり、移動相Bは、アセトニトリル中の0.1%ギ酸であった。直線状のグラジエント溶出を、移動相B2%(移動相A98%)及び流速1分当たり700μLの初期条件で行った。移動相Bは、初回、2.5分で2%~90%(移動相A10%)まで増加し、90%で0.3分間維持した。次いで、移動相Bは、2.9分で2%(移動相A98%)まで戻り、これを、次のサンプルが注入される前に0.4分間平衡に維持した。全実行時間は、3.30分であった。
【0140】
クロマトグラフィー方法4によって、良いピーク形を有する複数の3種までの分析物が分離された。得られた分離された分析物の例示的なクロマトグラムを、
図4A~Hに示す。おおよその保持時間(分)は、血清及び血漿中で、それぞれ、C-グリコシルトリプトファンの場合0.91及び0.95、トリプトファンの場合1.32及び1.33並びに3-インドキシルスルファートの場合1.45であった。
【0141】
E.クロマトグラフィー方法5(6種の分析物:N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、プソイドウリジン、トリプトファン、TMAP、クレアチニン)
他の例では、液体クロマトグラフィー方法を、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、プソイドウリジン、トリプトファン、TMAP、クレアチニン、及びそれらの組合せからなる群から選択される1種以上若しくは2種以上で全6種までの分析物の単回の注入での精製及び分離のために開発した。1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。
【0142】
移動相Aは、水中の20mMギ酸アンモニウム+1%ギ酸であり、移動相Bは、100%アセトニトリルであった。直線状のグラジエント溶出を、移動相A12%(移動相B88%)及び流速1分当たり550μLの初期条件で行った。移動相Aは、初回、1.9分で12%~22%(移動相B78%)、2.5分で22%~30%(移動相B70%)、及び2.7分で30%~42%(移動相B58%)まで増加した。次いで、移動相Aは、3.4分で12%(移動相B88%)まで戻り、これを、次のサンプルが注入される前に0.3分間平衡に維持した。全実行時間は、3.70分であった。
【0143】
クロマトグラフィー方法5によって、良いピーク形を有する複数の6種までの分析物が分離された。得られた分離された分析物の例示的なクロマトグラムは、
図5に示す。おおよその保持時間(分)は、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、N-アセチルスレオニン、トリプトファン、プソイドウリジン、及びTMAPが、それぞれ、1.40、1.86、2.14、2.61、2.71、及び3.16であった。
【0144】
F.クロマトグラフィー方法6(10:N-アセチルスレオニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、3-インドキシルスルファート、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルセリン)
他の例では、液体クロマトグラフィー方法を、N-アセチルスレオニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、3-インドキシルスルファート、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、及びN-アセチルセリン、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、1種以上若しくは2種以上で全10種までの分析物の単回の注入で精製及び分離のために開発し、1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。
【0145】
移動相Aは、水中の100mM酢酸アンモニウム+0.2%水酸化アンモニウムであり、移動相Bは、100%アセトニトリルであった。直線状のグラジエント溶出を、移動相A7%(移動相B93%)及び流速1分当たり500μLの初期条件で行った。移動相Aは、初回1.5分で7%~20%(移動相B80%)、4.7分で20%~30%(移動相B70%)、及び5.0分で30%~35%(移動相B65%)まで増加した。次いで、移動相Aは、5.1分で7%(移動相B93%)まで戻り、これを、次のサンプルが注入される前に1.9分間平衡に維持した。全実行時間は、7.0分であった。
【0146】
クロマトグラフィー方法6によって、良いピーク形を有する複数の10種までの分析物が分離された。得られた分離された分析物の例示的なクロマトグラムを、
図6に示す。おおよその保持時間(分)は、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、3-インドキシルスルファート、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、及びN-アセチルセリンが、それぞれ、2.35、2.87、4.85、0.78、3.20、2.82、2.40、3.00、3.30、及び3.69であった。
【0147】
G.クロマトグラフィー方法7(5:アラビトール、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン)
他の例では、液体クロマトグラフィー方法を、アラビトール、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、及びそれらの組合せからなる群から選択される1種以上若しくは2種以上で全5種までの分析物の単回の注入で精製及び分離のために開発し、1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。
【0148】
移動相Aは、水中の100mM酢酸アンモニウム+0.2%水酸化アンモニウム及び移動相Bは、100%アセトニトリルであった。直線状のグラジエント溶出を、移動相A7%(移動相B93%)及び流速1分当たり800μLの初期条件で行った。移動相Aは、初回0.9分で7%~20%(移動相B80%)、1.9分で20%~25%(移動相B75%)、及び2.1分で25%~30%(移動相B70%)まで増加した。次いで、移動相Aは、2.2分で7%(移動相B93%)まで戻り、これを、次のサンプルが注入される前に0.5分間平衡に維持した。全実行時間は、2.7分であった。
【0149】
クロマトグラフィー方法7によって、良いピーク形を有する複数の5種までの分析物が分離された。得られた分離された分析物の例示的なクロマトグラムを、
図7に示す。おおよその保持時間(分)は、アラビトール、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、及びN-アセチルスレオニンが、それぞれ、1.74、1.74、1.48、1.84、及び1.98であった。
【0150】
H.クロマトグラフィー方法8(6:ミオ-イノシトール、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン)
他の例では、液体クロマトグラフィー方法を、ミオ-イノシトール、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、及びそれらの組合せからなる群から選択される1種以上若しくは2種以上で全6種までの分析物の単回の注入での精製及び分離のために開発し、1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。
【0151】
移動相Aは、水中の100mM酢酸アンモニウム+0.2%水酸化アンモニウム及び移動相Bは、100%アセトニトリルであった。直線状のグラジエント溶出を、移動相A7%(移動相B93%)及び流速1分当たり800μLの初期条件で行った。移動相Aは、初回0.9分で7%~22%(移動相B78%)、2.5分で22%~30%(移動相B70%)、及び2.7分で30%~35%(移動相B65%)まで増加した。次いで、移動相Aは、2.8分で7%(移動相B93%)まで戻り、これは、次のサンプルが注入される前に0.4分間平衡に維持した。全実行時間は、3.2分であった。
【0152】
クロマトグラフィー方法8によって、良いピーク形を有する複数の6種までの分析物が分離された。得られた分離された分析物の例示的なクロマトグラムを、
図8に示す。おおよその保持時間(分)は、ミオ-イノシトール、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、及びN-アセチルスレオニンが、それぞれ、2.64、1.83、1.64、1.40、1.74、及び1.85であった。
【0153】
(例2)
分析物のMS/MS測定
質量分析を、Turbo V source(ESI)を有するAB Sciex QTrap 5500質量分析器を用いた、以下の方法に記載されているサンプル抽出物で行った。生データを本機器から取得し、Analyst 1.6.2ソフトウェア(AB Sciex)を用いて処理した。定量化のため、分析物対内部標準のピーク面積比を、重み付け(1/x2)線形最小二乗回帰により、較正標準の濃度に対してフィッティングした。検量線の得られた傾き及び切片を用いて、実験サンプルにおける未知の濃度を算出した。
【0154】
A.MS/MS方法1
単回の注入で、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、クレアチニン及びそれらの組合せからなる群から選択される、1種以上若しくは2種以上で全5種までの分析物のレベルを検出するために方法を開発したが、ここで、1種以上のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。同じMS/MS方法を用いて、単回の注入で、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、TMAP、クレアチニン、及びそれらの組合せからなる群から選択される1種以上若しくは2種以上で全6種までの分析物のレベルを検出した。
【0155】
例1、クロマトグラフィー方法1に記載のクロマトグラフィーカラムから得られた溶離液を、直接的に及び自動的に質量分析器のエレクトロスプレー源に投入した。他の例では、例1、クロマトグラフィー方法5に記載のクロマトグラフィーカラムから得られた溶離液を、直接的に及び自動的に質量分析器のエレクトロスプレー源に投入した。アセトニトリル:水(50:50)を、針の洗浄のために用いた。本機器を、正の多重反応モニタリング(MRM)モードで操作した。イオンスプレー電圧を、4.0kVに設定し、ソース温度を550℃、カーテンガス(例えば、窒素)を20psi、並びにネビュライザー及び脱溶媒和ガス(例えば、窒素)流速を75psi、衝突活性化解離(CAD)ガス(例えば、窒素)を中に設定した。
【0156】
生データを本機器から取得し、Analyst 1.6.2ソフトウェア(AB Sciex)を用いて処理した。定量化のため、分析物対内部標準のピーク面積比を、重み付け(1/x
2)線形最小二乗回帰により、較正標準の濃度に対してフィッティングした。検量線の得られた傾き及び切片を用いて、実験サンプルにおける未知の濃度を算出した。プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、及びクレアチニン、並びにTMAPの定量化のために生成した例示的なイオンを、表3に挙げる。親イオンを、先頭に「親イオン(m/z)」が付く列下に挙げ、本例における定量化のために用いる娘イオンを、「定量化のための娘イオン(m/z)」と表示された列に挙げる。本例における定量化のための娘イオンの選択によって、本分析の測定範囲にわたって感度について最適化したが;追加の娘イオンを選択して、これらの例における定量化のために用いた娘イオンを置き換える又は増強することができる。
【表3-1】
【表3-2】
【0157】
図9~14では、表3に示した親イオンの断片化から得られた質量スペクトルを示す。
【0158】
正イオン化モードでN-アセチルスレオニンの定量化のために生成したMRM遷移には、m/z約162.0±0.5を有する親イオンを断片化して、m/zが、約74.1±0.5、144.0±0.5、126.1±0.5、119.9±0.5、116.1±0.5、102.0±0.5、97.9±0.5、84.0±0.5、70.0±0.5、57.0±0.5、56.0±0.5、43.0±0.5、及び28.1±0.5を有する娘イオンを生成することにより生成されたものが含まれる。N-アセチルスレオニンのタンデム質量分析による断片化から生成されたこれらの親及び娘イオンのピークを、
図9に例示する。娘イオンのいずれかは、定量化のために選択することができる。本例では、N-アセチルスレオニンの定量化のために用いられた娘イオンは、m/zが、約74.1±0.5である。N-アセチルスレオニンについてのキャリブレーション範囲を、0.0200~2.00μg/mLと決定した。
【0159】
正イオン化モードでフェニルアセチルグルタミンの定量化のために生成したMRM遷移には、m/z約265.0±0.5を有する親イオンを断片化して、m/zが、約91.0±0.5、248.1±0.5、219.1±0.5、147.1±0.5、136.0±0.5、130.0±0.5、129.1±0.5、101.1±0.5、84.0±0.5、83.0±0.5、65.0±0.5、56.0±0.5、50.9±0.5、44.0±0.5、40.9±0.5、39.1±0.5、及び28.0±0.5を有する娘イオンを生成することにより生成されたものが含まれる。フェニルアセチルグルタミンのタンデム質量分析による断片化から生成されたこれらの親及び娘イオンのピークを、
図10に例示する。娘イオンのいずれかは、定量化のために選択することができる。本例では、フェニルアセチルグルタミンの定量化のために用いられた娘イオンは、m/zが、約91.0±0.5である。フェニルアセチルグルタミンについてのキャリブレーション範囲を、0.100~20.0μg/mLと決定した。
【0160】
正イオン化モードでクレアチニンの定量化のために生成したMRM遷移には、m/z約113.9±0.5を有する親イオンを断片化して、m/z約43.0±0.5、86.0±0.5、72.0±0.5、44.1±0.5、42.0±0.5、及び28.1±0.5を有する娘イオンを生成することにより生成されたものが含まれる。クレアチニンのタンデム質量分析による断片化から生成されたこれらの親及び娘イオンのピークを、
図11に例示する。娘イオンのいずれかは、定量化のために選択することができる。本例では、クレアチニンの定量化のために用いられた娘イオンは、m/zが、約43.0±0.5である。クレアチニンについてのキャリブレーション範囲を、2.00~200μg/mLと決定した。
【0161】
正イオン化モードでトリプトファンの定量化のために生成したMRM遷移には、m/z約205.0±0.5を有する親イオンを断片化して、m/zが、約146.0±0.5、191~193±0.5、173~174±0.5、163~164±0.5、144.8~151.2±0.5、117.1~122.1±0.5、102.9~110.1±0.5、89.9~96.0±0.5、74.1~81.1±0.5、60.9~68.9±0.5、50.1~54.1±0.5、38.0~43.1±0.5、及び28.0~29.0±0.5を有する娘イオンを生成することにより生成されたものが含まれる。トリプトファンのタンデム質量分析による断片化から生成されたこれらの親及び娘イオンのピークを、
図12に例示する。娘イオンのいずれかは、定量化のために選択することができる。本例では、トリプトファンの定量化のために用いられた娘イオンは、m/zが約146.0±0.5である。トリプトファンについてのキャリブレーション範囲を、1.00~100μg/mLと決定した。
【0162】
正イオン化モードでプソイドウリジンの定量化のために生成したMRM遷移には、m/z約244.9±0.5を有する親イオンを断片化して、m/zが、約191.0±0.5、209.0±0.5、179.0±0.5、167.0±0.5、163.0±0.5、154.8±0.5、151.0±0.5、148.0±0.5、139.0±0.5、125.0±0.5、120.0±0.5、111.8±0.5、109.8±0.5、107.8±0.5、96.0±0.5、92.0±0.5、84.0±0.5、82.0±0.5、80.0±0.5、68.0±0.5、65.2±0.5、55.0±0.5、54.0±0.5、43.0±0.5、41.0±0.5、及び39.0±0.5を有する娘イオンを生成することにより生成されたものが含まれる。プソイドウリジンのタンデム質量分析による断片化から生成されたこれらの親及び娘イオンのピークを、
図13に例示する。娘イオンのいずれかは、定量化のために選択することができる。本例では、プソイドウリジンの定量化のために用いられた娘イオンは、m/zが約191.0±0.5である。プソイドウリジンについてのキャリブレーション範囲を、10.0~400μg/mLと決定した。
【0163】
正イオン化モードでTMAPの定量化のために生成したMRM遷移には、m/z約229.1±0.5を有する親イオンを断片化して、m/zが、約170.1±0.5、142.2±0.5、126.0±0.5、124.0±0.5、116.0±0.5、114.0±0.5、98.0±0.5、96.0±0.5、70.0±0.5、68.0±0.5、60.0±0.5、59.1±0.5、58.1±0.5、54.9±0.5、227.0±0.5、181.0±0.5、159.0±0.5、133.2±0.5、114.8±0.5、112.9±0.5、105.8±0.5、89.1±0.5、71.0±0.5、69.0±0.5、及び45.1±0.5を有する娘イオンを生成することにより生成されたものが含まれる。娘イオンのいずれかは、定量化のために選択することができる。例えば、m/zが、約58.1±0.5、70.0±0.5、114.0±0.5、又は142.2±0.5を有する娘イオンは、TMAPの定量化のために用いることができる。TMAPのタンデム質量分析による断片化から生成されたこれらの親及び娘イオンのピークを、
図14に例示する。
【0164】
B.MS/MS方法2
他の例では、単回の注入で、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、N-アセチルセリン及びそれらの組合せからなる群から選択される1種以上若しくは2種以上で全6種までの分析物のレベルを検出するために方法を開発した。例1、クロマトグラフィー方法2に記載のクロマトグラフィーカラムから得られた溶離液を、直接的に及び自動的に質量分析器のエレクトロスプレー源に投入した。水:アセトニトリル(90:10)を、強/シール洗浄のために用い;アセトニトリル:水(90:10)を、弱洗浄のために用いた。
【0165】
本機器を、負MRMモードで操作した。イオンスプレー電圧を、-4.0kVに設定し、ソース温度を550℃、及びカーテンガスを20psiに設定し;ネビュライザー及び脱溶媒和ガス流速を、70psi、CADガスを中に設定した。
【0166】
プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、及びN-アセチルセリンの定量化のために生成した例示的なイオンを、表4に示す。親イオンを、先頭に「親イオン(m/z)」が付く列下に挙げ、本例における定量化のために用いる娘イオンを、「定量化のための娘イオン(m/z)」と表示された列に挙げる。本例における定量化のための娘イオンの選択によって、本分析の測定範囲にわたって感度について最適化したが;娘イオンのいずれかを選択して、これらの例における定量化のために用いた娘イオンを置き換える又は増強することができる。
【表4-1】
【表4-2】
【0167】
C.MS/MS方法3
他の例では、単回の注入で、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、クレアチニン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、尿素及びそれらの組合せからなる群から選択される1種以上若しくは2種以上で全9種までの分析物レベルを検出するために方法を開発したが、ここで、1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。例3、クロマトグラフィー方法3に記載のクロマトグラフィーカラムから得られた溶離液を、直接的に及び自動的に質量分析器のエレクトロスプレー源に投入した。水:アセトニトリル(90:10)を、強/シール洗浄のために用い;アセトニトリル:水(90:10)を、弱洗浄のために用いた。本機器を、正の多重反応モニタリング(MRM)モードで操作した。イオンスプレー電圧を、4.0kVに設定し、ソース温度を550℃、カーテンガス(例えば、窒素)を20psi、並びにネビュライザー及び脱溶媒和ガス(例えば、窒素)流速を75psi、衝突活性化解離(CAD)ガス(例えば、窒素)を中に設定した。
【0168】
N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、クレアチニン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、及び尿素の定量化のために生成した例示的なイオンを、表5に示す。親イオンを、先頭に「親イオン(m/z)」が付く列下に挙げ、本例における定量化のために用いる娘イオンを、「定量化のための娘イオン(m/z)」と表示された列に挙げる。本例における定量化のための娘イオンの選択によって、本分析の測定範囲にわたって感度について最適化したが;娘イオンのいずれかを選択して、これらの例における定量化のために用いた娘イオンを置き換える又は増強することができる。
【表5-1】
【表5-2】
【0169】
D.MS/MS方法4
他の例では、単回の注入で、トリプトファン、C-グリコシルトリプトファン、及び3-インドキシルスルファートからなる群から選択される1種以上若しくは2種以上で、全3種までの分析物のレベルを検出するために方法を開発した。例1、クロマトグラフィー方法4に記載のクロマトグラフィーカラムから得られた溶離液を、直接的に及び自動的に質量分析器のエレクトロスプレー源に投入した。メタノールを、針の洗浄のために用いた。本機器を、負MRMモードで操作した。イオンスプレー電圧を、-4.5kVに設定し、ソース温度を550℃、及びカーテンガスを20psiに設定し;ネビュライザー及び脱溶媒和ガス流速を、それぞれ、60psi及び65psi、及びCADガスを高に設定した。
【0170】
トリプトファン、C-グリコシルトリプトファン、及び3-インドキシルスルファートの定量化のために用いることができる例示的なイオン対を、表6に示す。親イオンを、先頭に「親イオン(m/z)」が付く列下に挙げ、本例における定量化のために用いる娘イオンを、「定量化のための娘イオン(m/z)」と表示された列に挙げる。本例における定量化のための娘イオンの選択によって、本分析の測定範囲にわたって感度について最適化したが;娘イオンのいずれかを選択して、これらの例における定量化のために用いた娘イオンを置き換える又は増強することができる。
【表6】
【0171】
D.MS/MS方法5
他の例では、単回の注入で、メソ-エリトリトール、D-アラビトール、イノシトール、3-インドキシルスルファート、L-トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、及びN-アセチルセリン、並びにそれらの組合せからなる群から選択される1種以上若しくは2種以上で全10種までの分析物レベルを検出するために方法を開発した。例1、クロマトグラフィー方法6に記載のクロマトグラフィーカラムから得られた溶離液を、直接的に及び自動的に質量分析器のエレクトロスプレー源に投入した。
【0172】
他の例では、例1、クロマトグラフィー方法7に記載のクロマトグラフィーカラムから得られた溶離液を、直接的に及び自動的に質量分析器のエレクトロスプレー源に投入した。本方法によって、単回の注入で、D-アラビトール、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、及びそれらの組合せからなる群から選択される1種以上若しくは2種以上で全5種までの分析物のレベルを検出し、1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。
【0173】
他の例では、例1、クロマトグラフィー方法8に記載のクロマトグラフィーカラムから得られた溶離液を、直接的に及び自動的に質量分析器のエレクトロスプレー源に投入した。本方法によって、単回の注入で、イノシトール、L-トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、及びそれらの組合せからなる群から選択される1種以上若しくは2種以上で全6種までの分析物のレベルを検出し、1種又は複数のアッセイされた分析物が、1種の分析物のみである場合、その1種の分析物は、クレアチニンでない。アセトニトリル:水(50:50)を、針の洗浄のために用いた。本機器を、負MRMモードで操作した。イオンスプレー電圧を、-4.5kVに設定し、ソース温度を550℃、及びカーテンガスを20psiに設定し;ネビュライザー及び脱溶媒和ガス流速を、50psi、CADガスを中に設定した。
【0174】
メソ-エリトリトール、D-アラビトール、イノシトール、3-インドキシルスルファート、L-トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、及びN-アセチルセリンの定量化のために用いることができる例示的なイオン対を、表7に示す。親イオンを、先頭に「親イオン(m/z)」が付く列下に挙げ、本例における定量化のために用いる娘イオンを、「定量化のための娘イオン(m/z)」と表示された列に挙げる。本例における定量化のための娘イオンの選択によって、本分析の測定範囲にわたって感度について最適化したが;娘イオンのいずれかを選択して、これらの例における定量化のために用いた娘イオンを置き換える又は増強することができる。
【表7】
【0175】
(例3)
方法のバリデーション
A.クロマトグラフィー方法1及びMS/MS方法1
クロマトグラフィー方法1及びMS/MS方法1の組み合わせの分析性能によって、単回の注入で、実行時間が3.7分で複数の5種までの分析物を定量化した。
【0176】
複数の5種の分析物を測定するための方法の精度を、血漿及び血清中で3つのQCレベル(低、中、及び高)で評価した。マトリックス当たりのQCレベルにつき3回の反復を、合計40回実行するために20日間にわたって1日2回実行して分析した。QCレベルにつき合計120回分は、マトリックス当たりの各分析物についての日間CV算出に含めた。日間の精度は、血漿中の各QCレベルで6.3%未満、血清中の各QCレベルで7.1%未満であった。これらの結果を、表8に示す。線形応答(R
2>0.98)を、N-アセチルスレオニン、クレアチニン、プソイドウリジン、及びトリプトファンについて100倍の範囲にわたって、及びフェニルアセチルグルタミンについて200倍の範囲にわたって観察した。キャリブレーション範囲を、1,000種を超える血漿及び血清サンプルの分析に基づき選択した。
【表8】
【0177】
血清及び血漿中の希釈QCの真度及び精度を評価して、ULOQを超える(すなわち、キャリブレーション範囲外の)分析物値を含むサンプルを高精度に測定した。高QCマトリックスを脂肪酸が無いBSA溶液で5倍に希釈することにより、希釈QCを調製した。マトリックス当たりの希釈QCの3回の反復を、合計10回実行するために5日間にわたって1日2回実行して分析した。合計30回分は、日間の真度及び精度の算出に含めた。血清中の(測定された高QC値と比較した)日間の真度は、94.5%より高く、日間の精度は、7.6%より低く;血漿中の日間の真度は、94.7%より高く、日間の精度は、4.4%より低かった。これらの結果を、表9に示す。
【表9】
【0178】
LLOQにおける精度を評価した。あらゆる分析物についての信号雑音比は、5:1より大きかった。LLOQサンプルの3回の反復を、合計30回実行するために15日間にわたって、1日2回実行して分析した。LLOQの合計90回分は、各分析物についての日間の%CV算出に含めた。すべての日内及び日間の精度は、2.8%CVより低くかった;本データを、表10に示す。これらの結果によって、下限の分析物の多数の定量化が、極めて正確であったことが示される。
【表10】
【0179】
抽出中に分析物の回収を評価するために、血清及び血漿中のQCサンプルを、公知の濃度の分析物で強化した。添加されたQCサンプルの6回の反復を、抽出し、標準のQCサンプルと一緒に3回分析した。添加されたQCサンプル中の量を減算した後、添加された量の回収を算出した。5種の分析物の回収を、5種の分析物について、血清中で97.4%~113%及び血漿中で103%~110%であると決定した。本データを、表11に示す。
【表11】
【0180】
分析物の定量化に対する、サンプルタイプによる干渉を評価するために、内部標準溶液を用いたポストカラム注入実験を、内部標準を用いずに抽出した血漿及び血清サンプルの10種の個別のロットの分析と同時に行った。内部標準の遷移をモニターし、分析物の保持時間における抑制/増強のレベルを観察した。トリプトファンは、保持領域におけるマトリックス効果を示し、影響を受けていないシグナルの25%を上回るようにみえる抑制の直前に溶出された。しかしながら、本アッセイにおける共溶出する内部標準は同位体標識されているため、いかなる軽度のサンプルタイプの効果も、分析物及び内部標準について同様に起きるはずである。したがって、定量化のために分析物対内部標準のピーク面積比を用いることにより、サンプルタイプの効果は、最終の算出においては補償されている。
【0181】
干渉を、黄疸、脂血症(lipidemia)、分析物の公知の異性体、並びにスタチン、NSAIDs、鎮痛剤(pain reliever)、抗ヒスタミン薬、及び抗糖尿病薬を含めた、医薬品についても評価した。クロマトグラフィー方法1及びMS/MS方法1では、試験された干渉条件からの干渉が無いことを決定した。
【0182】
B.クロマトグラフィー方法2及びMS/MS方法2
クロマトグラフィー方法2及びMS/MS方法2の組み合わせの分析性能によって、単回の注入で、実行時間が7.0分で、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、メソ-エリトリトール、アラビトール、ミオ-イノシトール、及びN-アセチルセリンからなる群から選択される複数の6種までの分析物を定量化した。
【0183】
複数の6種の分析物を測定するための方法の精度を、血漿及び血清の代表的なロットにおいて評価した。血漿についての12回の反復及び血清についての6回の反復を、3回実行することによって分析した。実行間の精度は、血漿において7.3%未満及び血清において20%未満であった。これらの結果を、表12に示す。
【表12】
【0184】
LLOQにおける精度及び真度を評価した。あらゆる分析物についての信号雑音比は、5:1より大きかった。LLOQサンプル6回の反復を、3回実行して分析した。LLOQの合計18回分は、各マトリックスについての各分析物についての日間の%RSD及び真度の算出に含めた。実行間の精度は、血漿の場合18.0%より低く、血清の場合13%より低かった。実行間の真度は、血漿の場合98.7~104%の間及び血清の場合95.7~101.1%の間であった。本データを、表13に示す。
【表13】
【0185】
抽出中に分析物の回収を評価するために、血清及び血漿中のQCサンプルを、公知の濃度の分析物で強化した。添加されたQCサンプルの6回の反復を、抽出し、標準のQCサンプルと一緒に3回分析した。添加されたQCサンプル中の量を減算した後、添加された量の回収を算出した。6種の分析物の回収を、6種の分析物について、血漿中で80.4%~97.5%及び血清中で75.6%~96.0%であると決定した。本データを、表14に示す。
【表14】
【0186】
C.クロマトグラフィー方法3及びMS/MS方法3
クロマトグラフィー方法3及びMS/MS方法3の組み合わせの分析性能によって、単回の注入で、実行時間が7.0分で、N-アセチルスレオニン、フェニルアセチルグルタミン、トリプトファン、クレアチニン、N-アセチルアラニン、3-メチルヒスチジン、trans-4-ヒドロキシプロリン、キヌレニン、及び尿素からなる群から選択される、複数の9種までの分析物を定量化した。
【0187】
複数の9種の分析物を測定するための方法の精度を、血漿及び血清の代表的なロットで評価した。血漿についての12回の反復及び血清についての6回の反復を、3回実行することによって分析した。実行間の精度は、血漿において6.2%未満及び血清において6.0%未満であった。これらの結果を、表15に示す。
【表15】
【0188】
LLOQにおける精度及び真度を評価した。あらゆる分析物についての信号雑音比は、5:1より大きかった。LLOQサンプル6回の反復を、3回実行して分析した。LLOQの合計18回分は、各マトリックスについての各分析物についての日間の%RSD及び真度の算出に含めた。実行間の精度は、血漿の場合14.4%未満及び血清の場合9.5%未満であった。実行間の真度は、血漿の場合91.7~102%の間及び血清の場合92.6~101.9%の間であった。本データを、表16に示す。
【表16】
【0189】
抽出中に分析物の回収を評価するために、血清及び血漿中のQCサンプルを、公知の濃度の分析物で強化した。添加されたQCサンプルの6回の反復を、抽出し、標準のQCサンプルと一緒に3回分析した。添加されたQCサンプル中の量を減算した後、添加された量の回収を算出した。9種の分析物の回収を、9種の分析物について、血漿中で86.1%~96.4%及び血清中で91.5%~98.3%であると決定した。本データを、表17に示す。
【表17】
【0190】
D.クロマトグラフィー方法4及びMS/MS方法4
クロマトグラフィー方法4及びMS/MS方法4の組み合わせの分析性能によって、単回の注入で、実行時間が3.30分で、トリプトファン、C-グリコシルトリプトファン、及び3-インドキシルスルファートからなる群から選択される複数の3種までの分析物を定量化した。
【0191】
トリプトファン及び/又は3-インドキシルスルファートを測定するための方法の精度を、血漿及び血清の代表的なロットにおいて評価した。血漿についての12回の反復及び血清についての6回の反復を、3回実行することによって分析した。実行間の精度は、血漿中で4.4%未満及び血清中で5.8%未満であった。これらの結果を、表18に示す。
【表18】
【0192】
LLOQにおける精度及び真度を評価した。あらゆる分析物についての信号雑音比は、5:1より大きかった。LLOQサンプル6回の反復を、3回実行して分析した。LLOQの合計18回分は、各マトリックスについての各分析物についての日間の%RSD及び真度の算出に含めた。実行間の精度は、血漿の場合7.8%未満及び血清の場合8.3%未満であった。実行間の真度は、血漿の場合106~107%の間及び血清の場合93.5~94.2%の間であった。本データを、表19に示す。
【表19】
【0193】
抽出中に分析物の回収を評価するために、血清及び血漿中のQCサンプルを、公知の濃度の分析物で強化した。添加されたQCサンプルの6回の反復を、抽出し、標準のQCサンプルと一緒に3回分析した。添加されたQCサンプル中の量を減算した後、添加された量の回収を算出した。トリプトファンについての回収を、血漿中で97.7%及び血清中で90.9%と決定し;3-インドキシルスルファートについての回収を、血漿中で94.3%及び血清中で96.3%であると決定した。
【0194】
E.クロマトグラフィー方法6及びMS/MS方法5
クロマトグラフィー方法6及びMS/MS方法5の組み合わせの分析性能によって、単回の注入で、実行時間が7.0分で、メソ-エリトリトール、D-アラビトール、イノシトール、3-インドキシルスルファート、L-トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニン、及びN-アセチルセリンからなる群から選択される、複数の10種までの分析物を定量化した。
【0195】
複数の10種の分析物を測定するための方法の精度を、血漿及び血清の代表的なロットにおいて評価した。血漿及び血清についての12回の反復を、3回実行することによって分析した。これらの結果を、表20に示す。
【表20】
【0196】
抽出中に分析物の回収を評価するために、血清及び血漿中のQCサンプルを、公知の濃度の分析物で強化した。添加されたQCサンプルの6回の反復を、抽出し、血漿及び血清中の標準の6種のQC複製サンプルと一緒に分析した。添加されたQCサンプル中の量を減算した後、添加された量の回収を算出した。10種の分析物の回収を、血漿及び血清中で90%より大きいと決定した。
【0197】
F.クロマトグラフィー方法7及びMS/MS方法5
クロマトグラフィー方法7及びMS/MS方法5の組み合わせの分析性能によって、単回の注入で、実行時間が2.7分で、アラビトール、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニンからなる群から選択される複数の5種までの分析物を定量化した。
【0198】
複数の5種の分析物を測定するための方法の精度を、血漿及び血清の代表的なロットにおいて評価した。血漿及び血清についての12回の反復を、3回実行することによって分析した。これらの結果を、表21に示す。
【表21】
【0199】
抽出中に分析物の回収を評価するために、血清及び血漿中のQCサンプルを、公知の濃度の分析物で強化した。添加されたQCサンプルの6回の反復を、抽出し、血漿及び血清中の標準の6種のQC複製サンプルと一緒に分析した。添加されたQCサンプル中の量を減算した後、添加された量の回収を算出した。分析物フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、及びプソイドウリジンの回収を、血漿及び血清中で90%より大きいと決定し;分析物アラビトール及びN-アセチルスレオニンの回収を、85%より大きいと決定した。
【0200】
G.クロマトグラフィー方法8及びMS/MS方法5
クロマトグラフィー方法8及びMS/MS方法5の組み合わせの分析性能によって、単回の注入で、実行時間が3.2分で、ミオ-イノシトール、トリプトファン、フェニルアセチルグルタミン、クレアチニン、プソイドウリジン、N-アセチルスレオニンからなる群から選択される複数の6種までの分析物を定量化した。
【0201】
複数の6種の分析物を測定するための方法の精度を、血漿及び血清の代表的なロットにおいて評価した。血漿及び血清についての12回の反復を、3回実行することによって分析した。これらの結果を、表22に示す。
【表22】
【0202】
抽出中に分析物の回収を評価するために、血清及び血漿中のQCサンプルを、公知の濃度の分析物で強化した。添加されたQCサンプルの6回の反復を、抽出し、血漿及び血清中の標準の6種のQC複製サンプルと一緒に分析した。添加されたQCサンプル中の量を減算した後、添加された量の回収を算出した。6種の分析物の回収を、血漿及び血清中で90%より大きいと決定した。
付録A
【表23-1】
【表23-2】
【表23-3】
【表23-4】
【表23-5】