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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】緩衝材及び緩衝材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6557 20140101AFI20231129BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231129BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20231129BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20231129BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20231129BHJP
   H01M 10/6561 20140101ALI20231129BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20231129BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20231129BHJP
   B29C 39/02 20060101ALI20231129BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20231129BHJP
   B29C 44/02 20060101ALI20231129BHJP
   B29C 44/60 20060101ALI20231129BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20231129BHJP
   B29K 75/00 20060101ALN20231129BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20231129BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20231129BHJP
【FI】
H01M10/6557
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/647
H01M10/6551
H01M10/6561
H01M10/653
H01M10/6555
B29C39/02
B29C44/00 A
B29C44/00 C
B29C44/02
B29C44/60
C08G18/00 H
B29K75:00
B29K105:04
C08G101:00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020003290
(22)【出願日】2020-01-11
(65)【公開番号】P2021111532
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】三國 匠
(72)【発明者】
【氏名】丹下 勝博
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-510411(JP,A)
【文献】特開2019-194321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6557
H01M 10/613
H01M 10/615
H01M 10/647
H01M 10/6551
H01M 10/6561
H01M 10/653
H01M 10/6555
H01M 50/20
B29C 39/02
B29C 44/00
B29C 44/02
B29C 44/60
C08G 18/00
B29K 75/00
B29K 105/04
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組電池を構成する単電池の間に挟まれるシート状の緩衝材であって、
厚み方向と直交する方向に通気性を有し、
連続気泡構造をなし、厚み方向と直交する方向に通気性を有する発泡樹脂層を含み、
前記発泡樹脂層の表裏の最外部には、前記最外部より内側の内層部に比べて密度が高くなった高密度層が形成されている、緩衝材。
【請求項2】
表裏の少なくとも一方には、前記高密度層上に金属層が積層されている、請求項1に記載の緩衝材
【請求項3】
前記高密度層は、スキン層又は溶融皮膜層である、請求項1又は2に記載の緩衝材。
【請求項4】
前記発泡樹脂層は、前記スキン層を表裏に有し、外周部に切断面を有するモールド成形品からなる、請求項3に記載の緩衝材。
【請求項5】
前記発泡樹脂層の前記内層部では、密度が30~70kg/m 、セル数が4~30個/25mm、熱伝導率が0.039~0.050W/m・Kとなっている、請求項1から4の何れか1の請求項に記載の緩衝材。
【請求項6】
組電池を構成する単電池の間に挟まれるシート状の緩衝材であって、
厚み方向と直交する方向に通気性を有し、
前記単電池のうち前記緩衝材との対向面に形成された突部又は凹部に対応した形状となった対向凹部又は対向突部を有する、緩衝材。
【請求項7】
請求項4に記載の緩衝材を製造する製造方法であって、
前記モールド成形品のシートの表裏の前記スキン層の少なくとも一部を残しておくと共に、前記シートの外周部のスキン層を切除して、厚み方向と直交する方向に通気性を有する前記発泡樹脂層を形成する、緩衝材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の単電池で構成される組電池に用いられる緩衝材とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単電池同士の間に挟まれてそれらの接触を防止する緩衝材として、シリコーンゴムからなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開第4508221号(段落[0016]~[0020])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、組電池においては、単電池の温度が適温に調整されていると、充放電効率の低下や電池寿命の短縮が抑えられる。しかしながら、上述した従来の緩衝材では、単電池の温度調整が難しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた発明の第1態様は、組電池を構成する単電池の間に挟まれるシート状の緩衝材であって、厚み方向と直交する方向に通気性を有する緩衝材である。
【0006】
発明の第2態様は、連続気泡構造をなし、厚み方向と直交する方向に通気性を有する発泡樹脂層を含む、第1態様に記載の緩衝材である。
【0007】
発明の第3態様は、前記発泡樹脂層の表裏の最外部には、前記最外部より内側の内層部に比べて密度が高くなった高密度層が形成されている、第2態様に記載の緩衝材である。
【0008】
発明の第4態様は、表裏の少なくとも一方には、前記高密度層上に金属層が積層されている、第3態様に記載の緩衝材である。
【0009】
発明の第5態様は、前記高密度層は、スキン層又は溶融皮膜層である、第3態様又は第4態様に記載の緩衝材である。
【0010】
発明の第6態様は、前記発泡樹脂層は、前記スキン層を表裏に有し、外周部に切断面を有するモールド成形品からなる、第5態様に記載の緩衝材である。
【0011】
発明の第7態様は、前記発泡樹脂層の前記内層部では、密度が30~70kg/m3、セル数が4~30個/25mm、熱伝導率が0.039~0.050W/m・Kとなっている、第3態様から第6態様の何れか1の態様に記載の緩衝材である。
【0012】
発明の第8態様は、前記発泡樹脂層は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤を含むポリウレタンフォーム用組成物から得られるポリウレタンフォームで構成され、前記整泡剤は、25℃における粘度が1Pa・s以上であると共に表面張力が26mN/m以下となったシリコーン系整泡剤である、第2態様から第7態様の何れか1の態様に記載の緩衝材である。
【0013】
発明の第9態様は、前記単電池のうち前記緩衝材との対向面に形成された突部又は凹部に対応した形状となった対向凹部又は対向突部を有する、第1態様から第8態様の何れか1の態様に記載の緩衝材である。
【0014】
発明の第10態様は、厚み方向が水平方向になるように配置され、上下方向に通気性を有する、第1態様から第9態様のうち何れか1の態様に記載の緩衝材である。
【0015】
発明の第11態様は、第6態様に記載の緩衝材を製造する製造方法であって、前記モールド成形品のシートの表裏の前記スキン層の少なくとも一部を残しておくと共に、前記シートの外周部のスキン層を切除して、厚み方向と直交する方向に通気性を有する前記発泡樹脂層を形成する、緩衝材の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
発明の第1態様では、シート状の緩衝材が厚み方向と直交する方向に通気性を有するので、単電池からの熱を緩衝材における外周部から緩衝材の外側へ放熱したり、外部からの暖気を緩衝材の外周部から緩衝材の内部に取り入れて単電池に熱を伝える(伝熱させる)ことが可能となる。これにより、緩衝材を介して単電池の温度調整を容易に行うことができる。また、発明の第10態様のように、例えば単電池を水平方向に並べ、緩衝材を、緩衝材の厚み方向が水平方向となるように配置すると共に、上下方向に通気性を有するように配置してもよい。この構成では、単電池から緩衝材へ伝わった熱が上方に逃げ易くなり、緩衝材(緩衝材の外周部における上部側)からの放熱が容易となる。
【0017】
発明の第2態様のように、緩衝材は、厚み方向と直交する方向に通気性を有する発泡樹脂層を含んでいてもよい。この構成によれば、緩衝性を高めることが可能となる。また、発泡樹脂層を有することで厚み方向での伝熱を抑制可能となり、緩衝材を挟む単電池同士での伝熱を抑制可能となる。これにより、仮に一部の単電池が異常等により高温となっても、他の単電池への伝熱を抑制することができる。
【0018】
発明の第3態様では、発泡樹脂層の最外部に高密度層が設けられる。従って、高密度層が緩衝材の外面(最表面)を構成して単電池と接触する場合には、単電池との接触面積を大きくすることが可能となり、単電池に対する伝熱性を向上させることが可能となる。また、発泡樹脂層上に金属層が積層される場合には(発明の第4態様)、金属層が高密度層に積層されるので、金属層と発泡樹脂層の密着性を高めることが可能となる。例えば、金属箔からなる金属層が発泡樹脂層に接着される場合には、金属箔と発泡樹脂層との接着性を高めることが可能となる。また、例えば、金属層が高密度層上に金属溶射により形成される場合には、発泡樹脂層上に金属粒子が堆積し易くなり、発泡樹脂層の内部に金属粒子が入り込むことを抑制することができる。これにより、発泡樹脂層の表面に効果的に金属層を形成することが可能となる。その結果、金属層の目付量が小さくても緩衝材の伝熱性能を向上させることができる。
【0019】
発明の第5態様では、高密度層がスキン層又は溶融皮膜層であるので、発泡樹脂層の最外部に高密度層を形成することが容易となる。
【0020】
発明の第6態様のように、モールド成形品を用いることで、表裏の両側にスキン層を有すると共に、厚み方向と直交する方向に通気性を有する発泡樹脂層を容易に形成することが可能となる。このような発泡樹脂層を有する緩衝材は、例えば、モールド成形品のシートの表裏のスキン層の少なくとも一部を残しておくと共に、そのシートの外周部に形成されているスキン層を切除することで(発明の第11態様)、容易に製造することができる。
【0021】
発明の第7態様、第8態様によれば、緩衝材の厚み方向と直交する方向での通気性を良好にすることが可能となると共に、緩衝材の伝熱性を良好にすることが可能となる。
【0022】
単電池のうち緩衝材との対向面に突部又は凹部が形成されている場合、その突部又は凹部に対応した形状となった対向凹部又は対向突部を、緩衝材のうち単電池との対向面に形成しておけば(発明の第9態様)、単電池と緩衝材との密着性を向上させ、緩衝材の伝熱性と緩衝性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(A)本開示に係る緩衝材の断面図、(B)緩衝材の高密度層上に形成された金属層の断面図
図2】(A)緩衝材を発泡成形する発泡成形型の断面図、(B)発泡成形型内で発泡成形された成形シートの断面図
図3】(A)カットされる前の成形シートの断面図、(B)カットされた後の発泡シートの断面図
図4】(A)熱プレス成形前の発泡シートとプレス成形型の断面図、(B)熱プレス成形後の発泡シートとプレス成形型の断面図
図5】緩衝材の使用状態を示す斜視図
図6】単電池に挟まれた緩衝材の断面図
図7】単電池が膨張したときの緩衝材の断面図
図8】(A)他の実施形態に係る緩衝材の断面図、(B)単電池に挟まれた緩衝材の断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
図1(A)に示されるように、本実施形態の緩衝材10は、例えば平面視略長方形のシート状をなし、多孔質体からなる緩衝層の表裏に金属層21が積層された積層構造となっている。
【0025】
本実施形態では、緩衝層は、連続気泡構造を有する発泡樹脂層11となっている。発泡樹脂層11の表裏の最外部には、その最外部よりも内側の内層部13に比べて密度(見掛け密度)が高くなった高密度層12が形成されている。この高密度層12としては、発泡樹脂層11の表裏に形成されたスキン層14や、発泡樹脂層11の最外部が溶融固化してなる溶融被膜層15が挙げられる。
【0026】
ここで、緩衝材10(具体的には、発泡樹脂層11)は、厚み方向と直交する方向に通気性を有している。詳細には、本実施形態では、発泡樹脂層11の内層部13が、少なくとも厚み方向と直交する方向に通気性を有していればよく、高密度層12は、通気性を有していてもよいし、有していなくてもよい。内層部13では、セル(気泡)が厚み方向と直交する方向に連続している(詳細には、セル同士の間の薄い樹脂皮膜(ミラー)に孔が開いているか又はその樹脂被膜が除去されている)。これにより、厚み方向と直交する方向で発泡樹脂層11の端から端まで延在する通気路が形成されている。
【0027】
本実施形態では、発泡樹脂層11の外周部が、周方向全体にわたる切断面11Eとなっていて、発泡樹脂層11の外周部に内層部13が露出している。これにより、緩衝材10は、厚み方向と直交する任意の方向で(即ち、長辺方向でも短辺方向でも)通気性を有している。
【0028】
発泡樹脂層11は、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂又はこれらのブレンド等によって構成することができる。本実施形態では、発泡樹脂層11は、ポリウレタン系樹脂で構成され、発泡樹脂層11の内層部13の密度(JIS K7222:2005に基づく)が30~70kg/mとなっていることが好ましい。また、内層部13のセル数(JIS K6400-1:2004 附属書1(参考)に準拠)は、4~30個/25mmとなっていて、従来から公知のポリウレタンフォームに比べて、セル径が大きくなっている(セル数が少なくなっている)と共に、内層部13の樹脂骨格部も太くなっていることが好ましい。内層部13のセル数は、4~20個/25mmであることがより好ましく、5~15個/25mmであることが更に好ましい。また、発泡樹脂層11を構成するポリウレタンフォームでは、常温における熱伝導率(JIS A 1412-2:1999 熱流計法に準拠)が0.039~0.050W/m・Kとなっていることが好ましい。なお、発泡樹脂層11を構成するポリウレタンフォームの詳細については、後述する。
【0029】
金属層21は、発泡樹脂層11の高密度層12上に積層されている。本実施形態では、金属層21は、発泡樹脂層11の表裏の両側に設けられている。金属層21は、金属箔で構成されていてもよいし、金属蒸着により形成されていてもよいし、金属溶射により形成されていてもよい。また、金属層21は、通気性を有していてもよいし、有していなくてもよい。本実施形態では、金属層21は、発泡樹脂層11の表裏の全体を覆うように形成されているが、発泡樹脂層11の表裏の一部のみを覆うように形成されていてもよい。
【0030】
本実施形態では、金属層21は、金属溶射により形成されている。金属層21の目付量は、60g/m以上であることが好ましく、90g/m以上であることがより好ましい。なお、金属溶射では、発泡樹脂層11の表面に多数の金属粒子22を衝突させ、金属層21は、扁平に潰れた金属粒子22が発泡樹脂層11の上に堆積することで形成される(図1(B)参照)。金属溶射で用いられる金属の種類は、例えば、亜鉛、アルミニウム、銅又はこれらの金属の合金等である。
【0031】
なお、緩衝材10では、金属層21を構成する金属粒子22同士が結合剤31にて結合されていてもよい(図1(B)参照)。結合剤31は、例えば、ホットメルトで構成されている。ホットメルトの種類としては、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレン/エチレン・アクリル酸共重合体の混合物(PE/EAA)等が挙げられる。なお、結合剤31は、金属層21の一部又は全部を覆ってもよいし、金属層21の内部に入り込んで金属層21の全体を露出させてもよい。
【0032】
以下、発泡樹脂層11を構成するポリウレタンフォームの例について、詳説する。このようなポリウレタンフォームとしては、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤、触媒を含むポリウレタンフォーム用組成物(原料)からなるモールドポリウレタンフォームが挙げられる。
【0033】
ポリオールは、低EOポリエーテルポリオールと、ポリマーポリオールを含み、さらに高EOポリエーテルポリオールを含むことがより好ましい。
【0034】
低EOポリエーテルポリオールは、エチレンオキサイド(EO)の付加率が1~25重量%であり、より好ましくは5~20重量%である。低EOポリエーテルポリオールとしては、官能基数1~4、分子量(数平均)3000~8000であるものが好ましい。なお、EOの付加率(重量%)は、ポリエーテルポリオールの製造時のモノマーであるEOやプロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイド(AO)の総量に対するEOの重量比率をいい、EO重量×100/AO総量(EO重量+PO重量等)により算出される値である。
【0035】
ポリマーポリオールは、ポリオール中にポリアクリロニトリルやポリスチレンを分散させたポリオールである。ポリマーポリオールとしては、EOの付加率が1~25重量%、官能基数が1~4、分子量(数平均)が3000~8000であるものが好ましい。EOの付加率は、5~20重量%であることがより好ましい。
【0036】
高EOポリエーテルポリオールは、EOの付加率が70~100重量%であり、75~100重量%であるものがより好ましい。高EOポリエーテルポリオールとしては、官能基数が1~4、分子量(数平均)が300~7000であるものが好ましく、官能基数が2~4、分子量(数平均)が1000~6000であるものがより好ましい。
【0037】
低EOポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール及び高EOポリエーテルポリオールは、それぞれ一種類に限られず複数種類を使用してもよい。低EOポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを併用することにより、適した硬さのポリウレタンフォームを得ることができる。さらに高EOポリエーテルポリオールを含むことにより、ポリウレタンフォームを構成する個々のセルをよりセルオープンなものとすることができ、ポリウレタンフォームの通気性を向上させることができる。各ポリオールの量は、低EOポリエーテルポリオールとポリマーポリオールと高EOポリエーテルポリオールの合計を100重量部とした場合、低EOポリエーテルポリオールは30~80重量部、ポリマーポリオールは15~60重量部、高EOポリエーテルポリオールは0~20重量部であることが好ましい。さらに、より好適には、各ポリオールの量は、低EOポリエーテルポリオールとポリマーポリオールと高EOポリエーテルポリオールの合計を100重量部とした場合、低EOポリエーテルポリオールは40~75重量部、ポリマーポリオールは20~50重量部、高EOポリエーテルポリオールは0~15重量部であることが好ましい。
【0038】
発泡剤としては、水、代替フロンあるいはペンタンなどの炭化水素を、単独または組み合わせたものを使用でき、特に水が好ましい。水の場合には、ポリオールとポリイソシアネートの反応時に炭酸ガスが発生し、その炭酸ガスによって発泡が生じる。発泡剤としての水の量は、ポリオール100重量部に対して1.0~4.0重量部であることが好ましい。
【0039】
触媒は、ポリウレタンフォーム用の公知のものを使用することができる。泡化触媒と樹脂化触媒は併用されることが好ましい。 泡化触媒は、ポリイソシアネートと水の反応
を促進して炭酸ガスを発生させる触媒である。泡化触媒は限定されるものではなく、例えば、トリエチルアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N'-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、N,N,N',N",N"-ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル等のアミン系触媒を挙げることができる。
【0040】
樹脂化触媒は、ポリオールとイソシアネートとのウレタン化反応(樹脂化反応)を促進させる触媒である。樹脂化触媒は限定されるものではなく、例えば、1,2-ジメチルイミダゾール、N・(N',N'-ジメチルアミノエチル)-モルホリン、テトラメチルグアニジン、ジメチルアミノエタノール、トリエチレンジアミン、N-メチル-N'-(2ヒドロキシエチル)-ピペラジン、N,N,N',N'-テトラメチルプロパン1,3-ジアミン、N,N'-ジメチルピペラジン、N,N,N',N'-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミン、N,N,N',N",N"-ペンタメチルジプロピレン-トリアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、エチレングリコールビス(3-ジメチル)-アミノプロピルエーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチル-N'-(2ジメチルアミノ)エチルピペラジン等のアミン系触媒を挙げることができる。
【0041】
泡化触媒と樹脂化触媒を併用することにより、モールドポリウレタンフォームの成形性とセルオープン性(通気性)とを共に優れたものとすることができる。触媒の合計量は、ポリオール100重量部に対し、0.3~3.0重量部であることが好ましい。
【0042】
整泡剤は、JIS K1557-5:2007に準拠し、25℃における粘度が1000mPa・s以上、好ましくは1200~10000mPa・sであって、かつウィルヘルミー法に基づく25℃における表面張力が26mN/m以下、好ましくは18~24mN/mの軟質ポリウレタンフォーム用またはモールドフォーム用のシリコーン系整泡剤を使用することが好ましい。整泡剤は、25℃における粘度が1000mPa・s未満の場合、セル径が細かくなってセル数が大きくなり、熱伝導率が低下する。一方、表面張力が26mN/mを超える場合、整泡力が弱くなり泡を保持しにくくなる。シリコーン系整泡剤としては、直鎖状シリコーン((AB)n型)が好ましい。整泡剤の例としては、Momentive社製の「L-6164」、「L-629」等が挙げられる。整泡剤は一種類に限られず、二種類以上を併用してもよい。整泡剤の量は、少なすぎると発泡時に泡を保持し難くなったり、クッション性が低下する。逆に整泡材の量が多すぎるとセルが細かくなり通気性も低下して、クッション性が低下する傾向があるため、ポリオール100重量部に対して0.1~2.0重量部であることが好ましく、0.4~1.8重量部であることがより好ましい。
【0043】
ポリイソシアネートは、イソシアネート基を2以上有する脂肪族系または芳香族系ポリイソシアネート、それらの混合物、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートを使用することができる。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキサメタンジイソシアネート等を挙げることができ、芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート(クルードMDI)等を挙げることができる。なお、その他これらを変成したプレポリマーも使用することができる。
【0044】
ポリイソシアネートとしては、特に、MDI系イソシアネート単独またはMDI系イソシアネートとTDIとの併用が好ましい。MDI系イソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)単独、ポリメリックポリイソシアネート(クルードMDI)単独、これらの混合物、又はそれらのプレポリマータイプをいう。MDI系イソシアネートとトルエンジイソシアネート(TDI)を併用する場合、MDI系イソシアネートの割合が10%以上のものが好ましい。
【0045】
イソシアネートインデックスは、80~120が好ましく、より好ましくは85~105である。イソシアネートインデックスは、イソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、[イソシアネートのNCO当量/活性水素当量×100]で計算される。
【0046】
なお、ポリウレタンフォーム用組成物には、その他に、例えば、架橋剤、難燃剤、着色剤等を添加してもよい。
【0047】
架橋剤は、モールドポリウレタンフォームの硬さを調整するために配合される。架橋剤としては、グリセリン、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールや、エタノールアミン類、ポリエチレンポリアミン類等のアミン等を挙げることができる。架橋剤は二種類以上使用してもよい。架橋剤を添加する場合、架橋剤の量は、ポリオール100重量部に対して0.1~4重量部であることが好ましい。架橋剤は、一種に限られず、二種以上の架橋剤を使用してもよい。
【0048】
次に、緩衝材10の製造方法について説明する。緩衝材10を製造するには、まず、発泡樹脂層11を構成する発泡シート11Sを用意する。具体的には、発泡シート11Sは、両面に高密度層12を有し、本実施形態の例では、ポリウレタンフォームのシートである。両面に高密度層12を有する発泡シート11Sの作製方法としては、発泡成形型内で発泡成形する方法(モールド発泡法)や、予め発泡成形したスラブウレタンをシート状にスライスし、その両面に熱処理を行う方法(例えば熱プレス法)等が挙げられる。モールド発泡法により得られたモールド成形品からなる発泡シート11Sには、高密度層12としてスキン層14が形成される。また、熱プレス法により得られた発泡シート11Sには、高密度層12として溶融被膜層15が形成される。
【0049】
図2及び図3には、前者のモールド発泡法の例が示されている。この例では、上型61と下型62を有する発泡成形型60が用いられる。発泡成形型60が型閉じ状態になると、上型61と下型62の間に、キャビティ68が形成される(図2(A)参照)。そして、このキャビティ68にポリウレタンフォーム用組成物11A(原料)が注入されて、発泡硬化すると、外面全体にスキン層14(高密度層12)が形成されたポリウレタンフォームのモールド成形品からなる成形シート11Bが成形される。なお、ポリウレタンフォーム用組成物11Aを、発泡成形型60へ注入する際の充填率は、キャビディ68の体積に対して100~200%が好ましく、105~150%がより好ましい。充填率は、(モールド(発泡成形型内)発泡時の密度/フリー発泡時の密度)×100で計算される。
【0050】
次に、この成形シート11Bを、発泡成形型60から取り外し(図3(A)参照)、切断装置70により、例えば四角形状にカットして、成形シート11Bの外周部(即ち、外周部のスキン層14)を切除し、発泡シート11Sを形成する(図3(B)参照)。これにより、発泡シート11Sの外周部に切断面11Eが形成され、発泡シート11Sの連続気泡構造の内層部13が、発泡シート11Sの外周部に露出し、厚み方向と直交する方向に通気性を有することとなる。また、この際、成形シート11Bはスライスせずに表裏のスキン層14を残しておく。このようにすることで、両面にスキン層14を有する発泡シート11Sを容易に得ることができる。
【0051】
図4には、熱プレス法により発泡シート11Sを形成する例が示されている。この例では、上型61Xと下型62Xを有するプレス成形型60Xが用いられる。この方法では、発泡樹脂からなるスキン層なしのシート11X(例えば、スラブウレタンフォームのシート)が、予め用意され、上型61Xと下型62Xとによって熱プレス成形されることで、表裏の両面に溶融皮膜層15が形成された発泡シート11Sが得られる。
【0052】
以上のようにして、発泡シート11Sが用意されると、次に、発泡シート11Sの表裏の高密度層12(スキン層14又は溶融皮膜層15)に金属が溶射される。これにより、発泡樹脂層11の両面に金属層21が積層された図1(A)に示す緩衝材10が得られる。ここで、高密度層12は、発泡シート11S(発泡樹脂層11)の内層部13よりも密度が高くなっているので、溶射された金属粒子22が発泡シートの内部に入り込むことが抑制される。これにより、発泡樹脂層11の表面に金属層21を効率よく配置することが可能となると共に、金属層21の厚みの均一化が図られる。その結果、金属層21の伝熱性能の向上が図られ、例えば金属層の目付量を小さくしても緩衝材の伝熱性能を向上させることが可能となる。なお、金属溶射としては、燃焼ガスを熱源とするフレーム式溶射、高速フレーム式溶射、爆発溶射や電気を熱源とするアーク式溶射、プラズマ溶射、RFプラズマ溶射、線爆溶射等を用いることができる。なかでもアーク溶射は、金属層21の形成速度が速く、金属層21の目付量を精度よく制御できる点で好ましい。
【0053】
なお、適宜、金属層21にホットメルトが塗布され、金属層21を構成する金属粒子22同士を結合剤31で結合してもよい。具体的な塗布方法としては、ホットスプレー、ロールコーター、ホットメルトフィルムとのラミネート等の方法が挙げられる。以上が、緩衝材10の製造方法の説明である。
【0054】
緩衝材10は、図5に示される組電池50に組み付けられる。組電池50は、複数の単電池51を所定方向に配列してなる。具体的には、各単電池51は、扁平な矩形板状に形成されていて、複数の単電池51は、厚み方向で重なるように配置される。そして、緩衝材10は、厚み方向で隣り合う2つの単電池51に挟まれるように組み付けられる。本実施形態の例では、単電池51は水平方向に配列され、図6に示されるように、緩衝材10は、厚み方向が水平方向となるように配置される(例えば組電池50が車両等に設置される)。なお、ここでの水平方向とは、厳密に水平な方向だけでなく略水平な方向も含む意味である。また、本実施形態では、厚み方向から見た緩衝材10のサイズは、単電池51のサイズと略同じになっている。各単電池51の長手方向の一端面には、電極部52が突設されていて、複数の単電池51は、電極部52が同じ側(図5では、上側)を向くように配置される。
【0055】
ところで、組電池50の単電池51には、安定した電池性能を発揮するための適した温度範囲が存在するが、単電池51は充放電時に発熱又は吸熱するので、充放電時に発熱した場合には、単電池51の熱を外部に放熱する必要がある。本実施形態では、緩衝材10が単電池51に接触することで、単電池51の熱を金属層21から緩衝材10に伝熱させることができる。ここで、緩衝材10に伝熱した熱が外部に放熱されにくいと緩衝材10内に熱がこもって、単電池51の温度を適温に調整することが難しくなるという問題が生じ得る。これに対し、本実施形態の緩衝材10では、厚み方向と直交する方向に通気性を有するので、単電池51からの熱を緩衝材10の外周部から緩衝材10の外部へ放熱することができる。また、組電池50が寒冷地で用いられる場合等においても、緩衝材10が厚み方向と直交する方向に通気性を有することで、外部からの暖気を緩衝材10の外周部から緩衝材10内に外周部から取り入れて単電池51に伝熱させたりすることが可能となる。これにより、緩衝材10を介して単電池51の温度調整を容易に行うことができる。
【0056】
また、本実施形態では、単電池51を水平方向に並べ、緩衝材10を厚み方向が水平方向となるように配置される(図6参照)。即ち、緩衝材10が少なくとも上下方向に通気性を有するように配置される(発泡樹脂層11の上述の通気路が少なくとも発泡樹脂層11の下端から上端まで延在する)。これにより、緩衝材10に単電池から伝達された熱気が上方に逃げ易くなり(いわゆる、煙突効果)、緩衝材10から緩衝材10の外部への放熱が容易となる。さらに、下方から冷気を緩衝材10内に送ることで、緩衝材10内の熱気を上方からさらに容易に逃がすことが可能となる。なお、本実施形態では、緩衝材10は、厚み方向と直交する水平方向にも通気性を有するように配置されるので、この水平方向においても、緩衝材10に冷気又は暖気を通気させることができ、単電池51の温度の調整がさらに容易になる。
【0057】
また、本実施形態では、緩衝材10は、発泡樹脂層11を含んでいるので、緩衝性を高めることが可能となる。また、発泡樹脂層11は、その気泡内の空気からなる空気層を内部に有することで厚み方向での伝熱を抑制可能となり、緩衝材10を挟む単電池51同士での伝熱を抑制可能となる。これにより、例えば一部の単電池51の温度が過度に上昇したとしても、周囲の単電池51の温度が上昇することを抑制することが可能となる。
【0058】
本実施形態では、緩衝材10の発泡樹脂層11の最外部に高密度層12が設けられる。従って、高密度層12が緩衝材10の外面を構成して単電池51と接触する場合には、単電池51との接触面積を大きくすることが可能となり、単電池51に対する伝熱性を向上させることが可能となる。また、金属層21が発泡樹脂層11の高密度層12(スキン層14又は溶融皮膜層15)に積層されるので、金属層21と発泡樹脂層11の密着性を高めることが可能となる。
【0059】
また、本実施形態の緩衝材10では、発泡樹脂層11の内層部13では、密度が30~70kg/mとなっていると共に、セル数が4~30個/25mmとなっているので、緩衝材の厚み方向と直交する方向での通気性が良好である。さらに、内層部13では、熱伝導率が0.039~0.050W/m・Kとなっているので、緩衝材10の伝熱性を良好にすることが可能となる。また、発泡樹脂層11を、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤を含むポリウレタンフォーム用組成物から得られるポリウレタンフォームで構成し、整泡剤を、25℃における粘度が1Pa・s以上であると共に表面張力が26mN/m以下となったシリコーン系整泡剤とすることで、上述のような密度、セル数、熱伝導率を有する発泡樹脂層11を容易に形成することが可能となる。また、このようにして発泡樹脂層11を形成することで、内層部13のセルを大きくすることが可能となり通気性を向上させることが可能となると共に、内層部13の樹脂骨格部も太くすることが可能となり伝熱性を向上させることが可能となる。
【0060】
なお、発泡樹脂層11の厚みを単電池51同士の間隔以上に設定すれば、発泡樹脂層11の弾発力で金属層21を単電池51に押し付けることが可能となる。これにより、金属層21と単電池51を密に接触させることが可能となり、単電池51からの熱を金属層21に効率よく伝達させることが可能となる。詳細には、図6及び図7に示されるように、単電池51は、充放電に伴って膨張、収縮する。したがって、緩衝材10を挟む2つの単電池51が共に収縮したときの単電池51同士の間隔以上に発泡樹脂層11の厚みが設定されていれば、常に金属層21を単電池51に接触させることが可能となる。なお、金属層21は、単電池51の充電時にだけ単電池51と接触するように構成されてもよい。具体的には、緩衝材10は、収縮時の単電池51同士の間の隙間よりも薄く形成されてもよい。この場合であっても、単電池51が充電時に膨張したときに、金属層21が単電池51と接触すれば、単電池51からの熱を外部に放熱することが可能となる。
【0061】
また、発泡樹脂層11が弾性変形する場合、その弾性変形に伴う金属層21の破損(例えば、割れや折れ)が生じ得る。金属層21が破損すると、金属層21の熱伝達効率の低下を招く可能性もある。しかしながら、本実施形態では、金属層21を構成する金属粒子22同士が結合剤31で結合されることにより、金属層21の破損が抑制されている。また、金属層21は、発泡樹脂層11の両面の上に積層されているので、単電池51の膨張(図7参照)又は収縮に伴って発泡樹脂層11が膨張又は収縮しても、金属層21を発泡樹脂層11の変形に追従させることができる。
【0062】
[他の実施形態]
(1)上記第1実施形態の緩衝材10には、金属層21が設けられていたが、図8(A)及び図8(B)に示す緩衝材10Vのように、金属層21が設けられていなくてもよい。緩衝材10Vは、発泡樹脂層11からなり、高密度層12(スキン層14又は溶融皮膜層15)が最外層となっている。この構成によっても、高密度層12が内層部13よりも高密度となっていることで、単電池51と緩衝材10の密着性を向上させることが可能となる。この緩衝材10Vも、厚み方向(即ち、単電池51同士に挟まれる方向)と直交する方向に通気性を有するので、単電池51の温度の調整が容易となる。なお、緩衝材10Vは、上記実施形態の緩衝材10の発泡樹脂層11(発泡シート11S)と同様にして製造することができる。
【0063】
(2)金属層は、緩衝材10の表裏の一方側にのみ設けられていてもよい。
【0064】
(3)発泡樹脂層11の高密度層12(溶融皮膜層15)は、連続気泡構造の発泡樹脂シートの表面を熱ローラ等で溶融させることで形成されてもよい。
【0065】
(4)緩衝材10には、厚み方向と直交する方向に通気性を有する緩衝層として、発泡樹脂層11の代わりに、繊維層が設けられていてもよい。繊維層を構成する繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリウレタン繊維(スパンデックス)、天然繊維(例えば、羊毛、コットン、セルロースナノファイバー等)、ザイロン(登録商標)等が挙げられる。また、上記繊維層の形態としては、不織布、織物、編み物等が挙げられる。不織布としては、例えば、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。
【0066】
(5)上記第1実施形態において、単電池51のうち緩衝材10との対向面に突部又は凹部が形成されていてもよい。この場合、緩衝材10のうち単電池51との対向面に、単電池51の上記突部又は凹部に対応した形状となった対向凹部又は対向突部を形成しておくことが好ましい。この構成によれば、緩衝材10における単電池51との接触面積を大きくすることができ、緩衝材10と単電池51の密着性を向上させ、緩衝材10と単電池51との伝熱性を高めることが可能となる。なお、このように、緩衝材10の表面又は裏面に、対向凹部又は対向突部を形成することは、緩衝材10をモールド発泡成形、又は、熱プレス成形で製造すると容易である。これらの成形法では、上記対向凹部の内面又は上記対向突部の表面に、高密度層12(スキン層14又は溶融皮膜層15)を容易に形成することが可能となる。
【0067】
(6)発泡樹脂層11は、内層部13よりも密度が高い発泡樹脂シートが、内層部13の表裏に積層された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 緩衝材
11 発泡樹脂層
12 高密度層
13 内層部
14 スキン層
15 溶融皮膜層
21 金属層
50 組電池
51 単電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8