(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】情報出力装置及び情報出力方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20231129BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/16 650
G06F3/16 620
G06F3/16 690
(21)【出願番号】P 2020007214
(22)【出願日】2020-01-21
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智裕
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-137320(JP,A)
【文献】国際公開第2013/132712(WO,A1)
【文献】特開2016-066163(JP,A)
【文献】特開2007-145137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの要求に応じた情報を出力するPULL型機能と、現状に応じた情報を自発的に出力するPUSH型機能とを備える情報出力装置において、
前記PULL型機能及び前記PUSH型機能が同時に動作可能である場合、
前記PULL型機能を優先して実行
し、前記PULL型機能を優先して実行する場合、タイマによる計時を開始し、前記PULL型機能の実行を終了し、前記タイマによる計時を終了するまでは、前記PUSH型機能の実行を待機させる情報処理部を有する、情報出力装置。
【請求項2】
請求項
1記載の情報出力装置において、
前記PULL型機能での前記情報と、前記PUSH型機能での前記情報とのうち、少なくとも一方の前記情報を出力する出力部をさらに有し、
前記情報処理部は、前記PULL型機能及び前記PUSH型機能が同時に動作可能である場合、同じ前記情報であっても出力形態が異なれば、双方の前記情報を前記出力部から出力させる、情報出力装置。
【請求項3】
請求項
1又は2記載の情報出力装置において、
前記情報処理部は
、前記
PULL型機能での前記情報と
前記PUSH型機能での前記情報とが重複するか、又は、前記
タイマが計時した時間がタイムアウト時間を超えているときには、前記
PUSH型機能での前記情報を破棄する、情報出力装置。
【請求項4】
ユーザの要求に応じた情報を出力するPULL型機能と、現状に応じた情報を自発的に出力するPUSH型機能とを備える情報出力方法において、
前記PULL型機能及び前記PUSH型機能が同時に動作可能である場合、情報処理部によって、
前記PULL型機能を優先して実行させ
、
前記PULL型機能を優先して実行する場合、タイマによる計時を開始し、前記PULL型機能の実行を終了し、前記タイマによる計時を終了するまでは、前記PUSH型機能の実行を待機させる、情報出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの要求に応じた情報を出力するPULL型機能と、現状に応じた情報を自発的に出力するPUSH型機能とを備える情報出力装置、及び、情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、音声入力又は手操作によるユーザの要求に対して、該ユーザの嗜好等に合わせた情報を出力するPULL型機能(プル機能)や、現状に応じた適切な情報を推定し、推定した情報を自発的に出力するPUSH型機能(プッシュ機能)を用いて、ユーザをアシストするシステムが開発されている。特許文献1には、車載装置でのコンテンツ配信サービス等のPUSH型機能として、ユーザに推定結果の提案を行う提案状態、又は、推定結果の提案を行わずに、推定の精度を高める提案待機状態のいずれかを決定し、決定した状態に応じて適切な動作を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、ユーザがPULL型機能を利用して情報の提供を受ける場合、該情報の提供中、PUSH型機能が実行され、PUSH型機能による情報が割り込むと、PULL型機能による情報の提供が中断される。この結果、ユーザは、提供中のPULL型機能による情報が得られないため、不快感を覚える可能性がある。
【0005】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、ユーザを不快に感じさせることなく、情報を提供することができる情報出力装置及び情報出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、ユーザの要求に応じた情報を出力するPULL型機能と、現状に応じた情報を自発的に出力するPUSH型機能とを備える情報出力装置及び情報出力方法に関する。
【0007】
この場合、前記情報出力装置は、前記PULL型機能及び前記PUSH型機能が同時に動作可能である場合、いずれか一方の機能を優先して実行する情報処理部を有する。
【0008】
また、前記情報出力方法は、前記PULL型機能及び前記PUSH型機能が同時に動作可能である場合、情報処理部によって、いずれか一方の機能を優先して実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一方の機能及び他方の機能の実行を調停することで、一方の機能による情報の提供中に、他方の機能の情報が割り込み、該一方の機能による情報の提供が中断されることを回避することができる。この結果、ユーザを不快に感じさせることなく、情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る情報出力装置が適用される情報提供システムの構成図である。
【
図2】
図1の情報出力装置の動作を図示したフローチャートである。
【
図3】
図1の情報出力装置の動作を図示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る情報出力装置及び情報出力方法について好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら説明する。
【0012】
[1.本実施形態の概略構成]
本実施形態に係る情報出力装置10は、
図1に示す情報提供システム12に適用される。この情報提供システム12は、例えば、車両14の乗員(ユーザ)に対して、PULL型機能によってコンテンツ等の情報を提供し、又は、PUSH型機能によってレコメンド等の情報を提供する情報報知システムである。
【0013】
情報出力装置10は、乗員が乗車する車両14側の装置である。このような装置としては、例えば、ナビゲーション装置やオーディオ装置等の車載装置、乗員のスマートフォンがある。情報出力装置10は、入力デバイス(入力部)としての音入力部16、操作入力部18及びカメラ20と、情報処理装置22と、出力デバイス(出力部)としての表示部24及び音出力部26とを有する。情報提供システム12(情報出力装置10)において、情報処理装置22は、不図示の通信ネットワークを介して、クラウド28に接続されている。
【0014】
クラウド28には、自動言語認識部30と、コンテンツデータベース(コンテンツDB)32と、パーソナルプロファイルデータベース(PP-DB)34及びレコメンドデータベース(レコメンドDB)36を有するサーバ38とが設けられている。
【0015】
情報出力装置10において、音入力部16は、マイクロフォンであり、乗員の音声(入力内容(要求))を電気信号に変換して情報処理装置22に出力する。操作入力部18は、キーボード、テンキー、タッチパネル等であり、乗員が操作した入力内容(要求)を電気信号に変換して情報処理装置22に出力する。入力内容としては、例えば、POI(Point Of Interest)のスポットの検索、現在地周辺の天気情報の検索、音楽の再生、電話の発信、後述するPP-DB34に蓄積されている情報の変更等、乗員からの各種の要求をいう。カメラ20は、車両14の車室内の乗員等を撮像し、撮像した乗員等の画像を情報処理装置22に出力する。
【0016】
情報処理装置22は、非一過性の記憶媒体である不図示のメモリに記憶されたプログラムを実行することにより、切替部40、言語認識問い合わせ部42、情報処理部44、ローカル言語認識部46及び出力処理部48の機能を実現する。情報処理部44は、対話管理部44a、非言語理解部44b、文脈理解部44c、対話コマンド決定部44d、タイマ44e、判定部44f及び出力形態決定部44gを有する。
【0017】
切替部40は、音入力部16及び操作入力部18からの入力内容を、言語認識問い合わせ部42又はローカル言語認識部46に切り替えて出力する。言語認識問い合わせ部42は、切替部40からの入力内容に示される乗員の要求を、クラウド28の自動言語認識部30に問い合わせる。
【0018】
自動言語認識部30は、音声認識、1次言語理解及び対話管理等の各種の言語認識機能を有する。自動言語認識部30は、言語認識問い合わせ部42からの問い合わせ内容(入力内容)を認識し、コンテンツDB32に蓄積されている情報を参照して、認識した入力内容に応じた適切な情報を決定する。例えば、乗員の音声が入力内容であった場合、該音声に応じた対話内容を決定する。決定した情報は、言語認識問い合わせ部42に送信される。言語認識問い合わせ部42は、入力内容と、受信した情報とを情報処理部44に出力する。
【0019】
情報処理部44は、自動言語認識部30からの情報をPULL型機能による情報(対話内容)として出力処理部48に出力する。あるいは、情報処理部44は、カメラ20からの画像や車両情報に応じた対話内容(情報)を、クラウド28のサーバ38から取得し、取得した情報をPUSH型機能による情報(対話内容)として出力処理部48に出力する。
【0020】
具体的に、情報処理部44において、対話管理部44aは、乗員との対話内容を管理する。この場合、対話管理部44aは、自動言語認識部30からの対話内容をPULL型機能による情報として決定する。また、対話管理部44aは、カメラ20からの画像に基づき乗員を特定し、特定した乗員を対象として、車両情報や、後述する非言語理解部44b及び文脈理解部44cでの処理結果に基づき、クラウド28のサーバ38に対して、該乗員に応じた適切な情報(対話内容)の送信を要求する。
【0021】
サーバ38のPP-DB34には、乗員の嗜好に合った各種の情報が蓄積されている。また、サーバ38のレコメンドDB36には、乗員に提案する情報(レコメンド)が蓄積されている。レコメンドとしては、例えば、乗員に対する休憩の提案、車両14の給油の通知、交通情報の通知、立ち寄りスポットの提案等、乗員に対する各種の提案内容がある。サーバ38は、PP-DB34又はレコメンドDB36に蓄積されている情報の中から、乗員に応じた適切な情報を選択し、選択した情報を情報処理部44に送信する。対話管理部44aは、サーバ38から送信された情報を取得する。
【0022】
なお、コンテンツDB32、PP-DB34及びレコメンドDB36に蓄積される情報は、必要に応じて更新される。また、カメラ20は、乗員等の画像を逐次撮像している。そのため、サーバ38は、学習機能によって、カメラ20が逐次撮像した画像中の乗員の状態等を学習し、その学習結果をPP-DB34及びレコメンドDB36に情報として蓄積することが可能である。
【0023】
非言語理解部44bは、カメラ20の画像のような非言語情報から乗員の状態を理解する。また、文脈理解部44cは、入力内容から乗員の意図(文脈)を理解する。従って、対話管理部44aは、非言語理解部44b及び文脈理解部44cの結果も参考に、サーバ38に対して乗員に応じた適切な情報の送信を要求する。
【0024】
なお、対話管理部44aは、PULL型機能による情報又はPUSH型機能による情報を表示部及び音出力部から出力する際の優先度を設定する。この場合、対話管理部44aは、PULL型機能による情報の優先度を、PUSH型機能による情報の優先度よりも高く設定する。
【0025】
対話コマンド決定部44dは、情報処理部44から出力処理部48に出力する情報(乗員との対話内容)を決定する。具体的に、対話コマンド決定部44dは、対話管理部44aで設定された優先度や、後述する判定部44fの判定結果に基づき、PULL型機能による情報を出力する場合には、自動言語認識部30からの情報を対話コマンドとして決定する。また、対話コマンド決定部44dは、PUSH型機能による情報を出力する場合には、対話管理部44aが取得したサーバ38からの情報を対話コマンドとして決定する。
【0026】
タイマ44eは、PULL型機能による情報の出力中、PULL型機能の実行時間を計時する。また、判定部44fは、PULL型機能での情報の出力、又は、PUSH型機能での情報の出力のどちらを優先的に実行するかを判定する。この場合、判定部44fは、対話管理部44aで設定された優先度を考慮して判定する。さらに、出力形態決定部44gは、情報の出力形態、すなわち、表示部24から画像として出力するか、又は、音出力部26から音声として出力するかを決定する。従って、対話コマンド決定部44dは、タイマ44e、判定部44f及び出力形態決定部44gの処理結果も考慮して、対話コマンドを決定する。
【0027】
一方、ローカル言語認識部46は、切替部40から入力内容が入力された場合、入力内容に応じた対話内容を決定し、決定した対話内容を出力処理部48に出力する。従って、ローカル言語認識部46は、PULL型機能による情報のみ出力する。
【0028】
出力処理部48は、情報処理部44又はローカル言語認識部46から出力された情報に対して、表示部24又は音出力部26の出力形態に応じた出力処理を実行する。表示部24は、車載装置又はスマートフォンの画面であって、出力処理部48から出力された情報を画像として画面に表示する。音出力部26は、車載装置又はスマートフォンのスピーカであって、出力処理部48から出力された情報を音声として出力する。
【0029】
[2.本実施形態の動作]
以上のように構成される本実施形態に係る情報出力装置10の動作(情報出力方法)について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
図2及び
図3の処理の動作主体は、情報処理部44、特に判定部44fである。そのため、
図2及び
図3の動作説明では、情報処理部44の一部の構成要素に関する説明を簡略化するか、又は、省略する場合がある。
【0030】
図2に示す処理は、PULL型機能及びPUSH型機能が同時に動作可能である場合、いずれか一方の機能を優先して実行するというものである。前述のように、対話管理部44aは、PULL型機能及びPUSH型機能の機能毎に、情報の優先度を設定している。
図2では、情報の優先度の高低に応じて、機能の割り込みを調停するというものである。
【0031】
ここでは、PULL型機能を優先して実行する場合について説明する。また、この動作説明では、切替部40(
図1参照)は、音入力部16又は操作入力部18からの入力内容を言語認識問い合わせ部42に出力する。
【0032】
情報処理装置22には、カメラ20が撮像した乗員等の画像や、車両情報が逐次入力される。また、乗員は、必要に応じて、音入力部16に音声を入力し、又は、操作入力部18を操作する。この場合、音入力部16又は操作入力部18の入力内容としては、例えば、近くのガソリンスタンドの場所の報知要求等がある。入力内容は、切替部40を介して言語認識問い合わせ部42に入力される。言語認識問い合わせ部42は、入力内容に応じた適切な情報(乗員の嗜好に合ったガソリンスタンドの場所)を自動言語認識部30から取得し、取得した情報と入力内容とを情報処理部44に出力する。
【0033】
そして、
図2のステップS1において、情報処理部44(
図1参照)の対話管理部44aは、カメラ20が撮像した画像や車両情報に基づき、乗員に提案する情報、例えば、ガソリンスタンドの場所をサーバ38から取得する。すなわち、ステップS1において、情報処理部44は、PUSH型機能を発生させる。
【0034】
ステップS2において、判定部44fは、PULL型機能による情報が表示部24に画像として表示されているか、又は、音出力部26から音声として出力されているか否か、すなわち、PULL型機能がフォアグラウンドで実行中であるか否かを判定する。
【0035】
PULL型機能がフォアグラウンドで実行中でない場合(ステップS2:NO)、ステップS3に進む。ステップS3において、判定部44fは、優先度の高いPULL型機能が実行されていないと判定し、優先度の低いPUSH型機能の実行を決定する。すなわち、判定部44fは、サーバ38から取得した情報の出力処理の実行を決定する。これにより、対話コマンド決定部44dは、判定部44fの結果に基づき、対話管理部44aがサーバ38から取得した情報を対話コマンドとして決定する。この結果、表示部24は、情報処理部44から出力処理部48を介して入力された該情報を、画像として画面上に出力する。あるいは、音出力部26は、該情報に応じた音声を出力する。
【0036】
一方、ステップS2において、PULL型機能がフォアグラウンドで実行中である場合(ステップS2:YES)、ステップS4に進む。ステップS4において、判定部44fは、PUSH型機能による情報の出力と、PULL型機能による情報の出力とが重なるか否かを判定する。すなわち、ステップS4において、判定部44fは、優先度の低いPUSH型機能の実行によって、表示部24又は音出力部26からPUSH型機能の情報を出力しても、優先度の高いPULL型機能による情報の出力が妨げられないか否か(中断しないか否か)を判定する。
【0037】
例えば、PULL型機能による表示部24での画像表示と、PUSH型機能による音出力部26での音声出力とでは、互いに異なる出力形態である。そのため、該画像表示が中断されることがなく、乗員に不快感を与えることがない。このように、PULL型機能による情報の出力が中断しない場合(ステップS4:YES)、判定部44fは、ステップS3に進み、PULL型機能が実行中であっても、PUSH型機能による情報の出力処理の実行を決定する。
【0038】
一方、PUSH型機能による情報の出力と、PULL型機能による情報の出力とが重なる場合(ステップS4:NO)、ステップS5に進む。ステップS5において、判定部44fは、PUSH型機能による表示部24での画像表示と、PULL型機能による画像表示とが互いに重ならず、且つ、音出力部26での音声出力については、PUSH型機能及びPULL型機能の双方が重なるか否かを判定する。
【0039】
例えば、表示部24の画面において、PUSH型機能による画像と、PULL型機能による画像とが異なる領域に表示されるが、一方で、音出力部26からPUSH型機能及びPULL型機能の双方の情報を音声として出力することができない場合(ステップS5:YES)、ステップS6に進む。この場合、判定部44fは、表示部24については、画像表示が乗員に不快感を与える可能性はないため、PUSH型機能による画像とPULL型機能による画像との双方の表示を許可する。一方、音出力部26からの音声出力に関しては、PULL型機能による音声出力が中断され、乗員に不快感を与える可能性があるため、PULL型機能による音声出力のみ行う。この結果、PUSH型機能による音声出力はバックグラウンド状態(待機状態)となる。
【0040】
一方、ステップS5において、PUSH型機能による表示部24での画像表示と、PULL型機能による画像表示とが互いに重なるか、又は、PUSH型機能及びPULL型機能による音声出力は互いに重ならない場合(ステップS5:NO)、ステップS7に進む。ステップS7において、判定部44fは、PUSH型機能による表示部24での画像表示と、PULL型機能による画像表示とが互いに重なり、且つ、音出力部26での音声出力に関しては、PUSH型機能及びPULL型機能で重ならないか否かを判定する。
【0041】
例えば、表示部24の画面において、PUSH型機能による画像と、PULL型機能による画像とが同じ領域に表示されるか、又は、一部が重複して表示され、一方で、音出力部26からは、PUSH型機能又はPULL型機能のいずれか一方の情報が音声として出力される場合(ステップS7:YES)、ステップS8に進む。ステップS8において、判定部44fは、表示部24については、PUSH型機能及びPULL型機能の画像が重なり、乗員に不快感を与える可能性があるため、PUSH型機能による画像をバックグラウンドとして待機させる。一方、音出力部26からの音声出力に関しては、いずれか一方の機能による音声出力を行う。
【0042】
一方、ステップS7において、PUSH型機能による表示部24での画像表示と、PULL型機能による画像表示とが互いに重なるか、又は、PUSH型機能及びPULL型機能による音声出力が互いに重なる場合(ステップS7:NO)、ステップS9に進む。ステップS9において、判定部44fは、画像表示及び音声出力のいずれの場合でも、PUSH型機能及びPULL型機能での情報の出力が互いに重なることで、乗員に不快感を与える可能性があるため、PUSH型機能をバックグラウンドとして待機させることを決定する。
【0043】
ステップS3、S6、S8、S9後のステップS10において、情報処理部44は、ステップS1~S10の処理を繰り返し実行するか否かを判定する。繰り返し実行する場合(ステップS10:YES)、情報処理部44は、ステップS1に戻り、ステップS1~S10の処理を再度実行する。一方、ステップS1~S10の処理を繰り返し実行しない場合(ステップS10:NO)、
図2の処理を終了する。
【0044】
このように、
図2の処理では、優先度の高低に応じて、PULL型機能に対するPUSH型機能の割り込みを調停する。これにより、PULL型機能による情報の提供の中断が回避され、乗員に不快感を与えないようにすることができる。具体的に、優先度の高いPULL型機能に対して優先度の低いPUSH型機能が割り込まないように調停している。また、優先度の高いPULL型機能の実行中に、優先度の低いPUSH型機能が発生しても、バックグラウンド状態にして実行を待機させる。
【0045】
さらに、
図2の処理では、音声出力の有無や画像表示領域の違いに応じて、PUSH型機能による情報をバックグラウンドで待機させずに出力可能としている。すなわち、フォアグラウンドで実行中のPULL型機能が、PUSH型機能の実行によって中断されない場合には、PUSH型機能とPULL型機能とを同時に実行させても、乗員に不快感を与えない。このように2つの機能を同時に実行することで、乗員に対して双方の情報をオンタイムで出力することが可能となる。
【0046】
従って、
図2の処理は、PUSH型機能又はPULL型機能を単独で実行する場合に限定されることはない。(1)PULL型機能及びPUSH型機能の情報を同時に画像表示する場合、(2)PULL型機能及びPUSH型機能の情報を同時に画像表示すると共に、PULL型機能又はPUSH型機能の情報を音声出力する場合、(3)PULL型機能の情報を画像表示すると共にPUSH型機能の情報を音声出力する場合、(4)PULL型機能の情報を音声出力すると共にPUSH型機能の情報を画面出力する場合、のいずれも実行可能である。
【0047】
なお、情報処理部44がカメラ20の画像に基づき乗員を認識した場合、表示部24にログイン画面を表示させ、音出力部26からログインの音声を出力させてもよい。この場合、ログイン画面は、PULL型機能の情報とは異なる画像領域に表示し、ログインの音声は、PUSH型機能と同様に、PULL型機能による音声出力に割り込まないようにバックグラウンドで待機させればよい。
【0048】
図3の処理は、
図2の処理後に行われる。
図3の処理は、バックグラウンドで待機しているPUSH型機能を実行させるか否かを決定するための処理である。すなわち、
図3のステップS11では、PULL型機能がフォアグラウンド状態にあり、PUSH型機能がバックグラウンド状態にある。
【0049】
次のステップS12において、タイマ44eが計時を開始する。この場合、フォアグラウンド状態にあるPULL型機能の実行(画面出力又は音声出力)が終了すれば(ステップS13:YES)、次のステップS14において、タイマ44eは、計時を終了する。
【0050】
次のステップS15において、判定部44fは、タイマ44eが計時した時間がタイムアウト時間(待機時間)を超えたか否かを判定する。
【0051】
計時した時間がタイムアウト時間を超えている場合(ステップS15:YES)、ステップS16に進む。ステップS16において、判定部44fは、バックグラウンド状態のPUSH型機能の情報が過去の情報になっている可能性があるため、該情報の破棄を決定する。これにより、待機しているPUSH型機能は棄却され、情報は破棄される。
【0052】
一方、計時した時間がタイムアウト時間に到達していない場合(ステップS15:NO)、ステップS17に進む。ステップS17において、判定部44fは、フォアグラウンドのPULL型機能の情報と、バックグラウンド状態のPUSH型機能の情報とが同じ情報であるか(内容が重なるか)否かを判定する。
【0053】
同じ情報である場合(ステップS17:YES)、PULL型機能の実行が終了し、PUSH型機能を実行した際、同じ情報が再度出力されるので、判定部44fは、ステップS16に進み、PUSH型機能の棄却(情報の破棄)を決定する。
【0054】
一方、フォアグラウンドのPULL型機能の情報と、バックグラウンド状態のPUSH型機能の情報とが異なる場合(ステップS17:NO)、ステップS18に進む。ステップS18において、判定部44fは、待機しているPUSH型機能の実行を決定する。これにより、待機しているPUSH型機能による情報が表示部24から画像として表示され、又は、音出力部26から音声として出力される。
【0055】
ステップS16、S18後のステップS19において、情報処理部44は、ステップS11~S19の処理を繰り返し実行するか否かを判定する。繰り返し実行する場合(ステップS19:YES)、情報処理部44は、ステップS11に戻り、ステップS11~S19の処理を再度実行する。一方、ステップS11~S19の処理を繰り返し実行しない場合(ステップS19:NO)、
図3の処理を終了する。
【0056】
このように、PULL型機能がフォアグラウンドで実行中、バックグラウンドで待機中のPUSH型機能の情報が過去の情報になる可能性がある。例えば、PUSH型機能の情報が立ち寄りスポットである場合、PULL型機能の実行中、車両14が該立ち寄りスポットを通過する可能性がある。また、フォアグラウンドのPULL型機能の情報とPUSH型機能の情報とが重複する可能性もある。従って、古くなった情報や重複する情報は、乗員に対する不快感を与えないため、破棄する必要がある。
【0057】
一方、バックグラウンドで待機していても、古くない情報や重複しない情報は、乗員にとって有益な内容である可能性が高い。このような情報は、破棄する必要がないため、PULL型機能の実行の終了後に出力すればよい。
【0058】
そこで、
図3の処理では、タイムアウト時間や、PULL型機能の情報との関連性に基づき、バックグラウンドで待機しているPUSH型機能を、フォアグラウンドのPULL型機能の終了後に実行させるか否かを決定する。この場合でも、乗員に対する不快感を与えないように情報を提供することができる。
【0059】
なお、
図3の処理では、待機したPUSH型機能の実行又は棄却の情報は、ログとして記録してもよい。
【0060】
また、ステップS17の判定処理では、下記の判定条件に従って重複する情報か否かを判定してもよい。
【0061】
すなわち、PULL型機能において、乗員が要求する入力内容(スポット)と、PUSH型機能で提案する情報(スポット)とが重なる場合、POIのカテゴリに基づき、破棄の対象となるか否かを判定すればよい。例えば、コンビニエンスストアへのルートを音声入力で設定した直後には、コンビニエンスストアへのルートの提案はせず、このような提案をするPUSH型機能の情報を破棄の対象とする。
【0062】
また、POIの検索の有無に基づき、破棄の対象となるか否かを判定してもよい。例えば、乗員がPOIのカテゴリによらず、音声入力でPOIの検索を要求した直後には、あらゆるスポットに対するルートの提案はせず、このような提案をするPUSH型機能の情報を破棄の対象とする。
【0063】
また、タイムアウト時間についても、PUSH型機能の情報に応じて変化させてもよい。例えば、提案するスポットが車両14の現在地から遠い地点の場合は、タイムアウト時間を長く設定する。また、提案するスポットが現在地から近い地点の場合、車両14が該スポットを通り過ぎる可能性があるため、タイムアウト時間を短く設定する。
【0064】
[3.変形例]
上記の説明では、PULL型機能の情報の優先度が高く、PUSH型機能の情報の優先度が低い場合について説明した。本実施形態では、PUSH型機能の情報の優先度を、PULL型機能の情報の優先度よりも高く設定することも可能である。この場合、
図2及び
図3の動作説明において、PUSH型機能とPULL型機能との立場を入れ替えれば、PUSH型機能の情報の優先度が高い場合における動作説明となる。
【0065】
[4.本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態は、乗員(ユーザ)の要求に応じた情報を出力するPULL型機能と、現状に応じた情報を自発的に出力するPUSH型機能とを備える情報出力装置10及び情報出力方法に関する。
【0066】
この場合、情報出力装置10は、PULL型機能及びPUSH型機能が同時に動作可能である場合、いずれか一方の機能を優先して実行する情報処理部44を有する。
【0067】
また、情報出力方法は、PULL型機能及びPUSH型機能が同時に動作可能である場合、情報処理部44によって、いずれか一方の機能を優先して実行させる。
【0068】
このように、一方の機能及び他方の機能の実行を調停することで、一方の機能による情報の提供中に、他方の機能の情報が割り込み、該一方の機能による情報の提供が中断されることを回避することができる。この結果、乗員を不快に感じさせることなく、情報を提供することができる。
【0069】
この場合、情報処理部44は、PULL型機能及びPUSH型機能について、情報を出力する優先度を設定し、PULL型機能及びPUSH型機能が同時に実行可能である場合、優先度の高い情報を出力する機能を優先して実行する。優先度の高い方を出力することで、乗員は、正確且つ迅速に情報を認識することができる。
【0070】
具体的に、情報処理部44は、PULL型機能及びPUSH型機能が同時に動作可能である場合、PULL型機能を優先して実行する。これにより、PULL型機能による情報の提供中に、PUSH型機能による情報が割り込んで、PULL型機能の情報の提供が中断されることを回避することができる。
【0071】
また、情報出力装置10は、PULL型機能での情報と、PUSH型機能での情報とのうち、少なくとも一方の情報を出力する表示部24及び音出力部26(出力部)をさらに有する。情報処理部44は、PULL型機能及びPUSH型機能が同時に動作可能である場合、同じ情報であっても出力形態が異なれば、双方の情報を出力部から出力させる。お互いの情報を同時に出力しても、影響がないので、乗員は、有用な情報を効率よく入手することができる。
【0072】
さらに、情報処理部44は、PULL型機能(一方の機能)を優先して実行する場合、PULL型機能の実行に応じたタイムアウト時間(待機時間)を設定し、設定したタイムアウト時間中、PUSH型機能(他方の機能)の実行を待機させる。これにより、2つの情報が同時に出力されることを確実に回避することができる。この結果、乗員は、正確な情報を容易に入手することができる。
【0073】
さらにまた、情報処理部44は、PULL型機能(一方の機能)を優先して実行する場合、PULL型機能での情報とPUSH型機能(他方の機能)での情報とが重複するか、又は、PULL型機能での情報に対して、PUSH型機能での情報が過去の情報であるときには、PUSH型機能での情報を破棄する。このような情報は不必要であり、紛らわしい。従って、このような情報を破棄することで、乗員に対する正確な情報の提供と、不快感の一層の低減を図ることができる。
【0074】
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0075】
10…情報出力装置 24…表示部(出力部)
26…音出力部(出力部) 44…情報処理部