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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】雌型接続器具、及び接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/642 20060101AFI20231129BHJP
   H01R 4/70 20060101ALN20231129BHJP
   H01R 13/11 20060101ALN20231129BHJP
【FI】
H01R13/642
H01R4/70 B
H01R13/11 303B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020009947
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021118080
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 直登
(72)【発明者】
【氏名】青石 孝人
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-096475(JP,U)
【文献】実開昭58-062573(JP,U)
【文献】実開昭53-133192(JP,U)
【文献】実開昭60-050461(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/642
H01R 4/70
H01R 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄型接続器具の接続タブと電気接続するタブ接続部を有している平形接続端子と、
該平形接続端子を覆う絶縁カバーと、を備え、
前記タブ接続部は、前記接続タブと電気接触するタブ接触面と、該タブ接触面に背向する被覆面と、を含む平板状の底壁部を有し、
前記絶縁カバーは、前記被覆面の側である上側から前記平形接続端子を覆う上側被覆部と、前記接続タブが着脱される側である前側から前記平形接続端子を覆うとともに前記上側被覆部の前側の端部から延びる前側被覆部と、を有し、前記前側被覆部は、前記接続タブが貫通する第1開口部を含み、
前記タブ接続部は、更に、前記底壁部から前記第1開口部を通り前記絶縁カバーの外側且つ前記第1開口部の上側まで延び、前記被覆面と前記第1開口部との間の間隙の少なくとも一部を前側から覆うストッパ壁部を有している、ことを特徴とする雌型接続器具。
【請求項2】
前記ストッパ壁部は、前記絶縁カバーの内側から外側にかけて前側且つ上側に斜めに延びる傾斜壁部を有している、請求項1記載の雌型接続器具。
【請求項3】
前記タブ接続部は、前記絶縁カバーと接触して前記絶縁カバーの移動を制限する移動制限部を有している、請求項1又は2記載の雌型接続器具。
【請求項4】
前記移動制限部は、前記ストッパ壁部の上側の先端から後側へ前記前側被覆部を貫通して延びる中間腕部と、該中間腕部の先端から前記被覆面に向かって延びる規制腕部と、を有しており、
前記前側被覆部は、前記中間腕部が貫通する切込み部を有している、請求項3記載の雌型接続器具。
【請求項5】
前記移動制限部は、前記被覆面から上側に突出し、前記上側被覆部に接触する突出部を有している、請求項3記載の雌型接続器具。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の雌型接続器具と、
前記平形接続端子の前記タブ接続部と電気接続する接続タブを有する雄型接続器具と、を備えることを特徴とする接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は雌型接続器具、及び雌型接続器具を備える接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、平形接続端子を含む雌型接続器具が知られている。このような雌型接続器具は、配線ケーブルを介して電気機器等の部品と電気的に接続される平形接続端子と、平形接続端子の全体を覆うように設けられた絶縁キャップとを有している。また、上記雌型接続器具を含む接続装置も知られており、このような接続装置は、上記雌型接続器具と、基板に固定される雄型接続器具とを備え、雄型接続器具の接続タブが平形接続端子に取り付けられることで、電気機器等の部品と基板との間の電気接続を形成する。
【0003】
特許文献1には、例えば自動販売機の制御基板に接続されるメールタブと、メールタブとの電気的な接続を形成する平形接続端子とが記載されている。平形接続端子は、メールタブに差し込み可能な空隙を有するタブ挿入空隙部と、タブ挿入空隙部を覆う絶縁被覆部とを有する。そして、タブ挿入空隙部にメールタブを差し込むことで、メールタブとタブ挿入空隙部との間の電気的な接続が形成される。
【0004】
ところで、特許文献1に記載のタブ挿入空隙部は、メールタブを挿入する際の入口となるタブ挿入口の近傍に突起部を有している。当該突起部は、タブ挿入空隙部の他の部分よりも下方に突き出た形状となっている。これにより、タブ挿入空隙部の下方と絶縁被覆部との間の空隙(以下、単に「空隙」ともいう。)にメールタブが挿入されることの防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3173606号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の平形接続端子においては、タブ挿入空隙部の下方と絶縁被覆部との間に、依然としてメールタブが挿入され得る空隙が存在する。当該平形接続端子の絶縁被覆部の絶縁材料は適度な伸縮性を有しているため、メールタブによって絶縁被覆部が押し広げられ当該空隙が広げられてしまうと、メールタブが上記空隙に誤挿入されてしまい問題となる。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、雄型接続器具の誤挿入の防止を図ることのできる雌型接続器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る雌型接続器具は、雄型接続器具の接続タブと電気接続するタブ接続部を有している平形接続端子と、該平形接続端子を覆う絶縁カバーと、を備え、前記タブ接続部は、前記接続タブと電気接触するタブ接触面と、該タブ接触面に背向する被覆面と、を含む平板状の底壁部を有し、前記絶縁カバーは、前記被覆面の側である上側から前記平形接続端子を覆う上側被覆部と、前記接続タブが着脱される側である前側から前記平形接続端子を覆うとともに前記接続タブが貫通する第1開口部を含み、前記上側被覆部の前側の端部から延びる前側被覆部と、を有し、前記タブ接続部は、更に、前記底壁部から前記第1開口部を通り前記絶縁カバーの外側且つ前記第1開口部の上側まで延び、前記被覆面と前記第1開口部との間の間隙の少なくとも一部を前側から覆うストッパ壁部を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る雌型接続器具において、前記ストッパ壁部は、前記絶縁カバーの内側から外側にかけて前側且つ上側に斜めに延びる傾斜壁部を有している。
【0010】
本発明の一態様に係る雌型接続器具において、前記タブ接続部は、前記絶縁カバーと接触して前記絶縁カバーの移動を制限する移動制限部を有している。
【0011】
本発明の一態様に係る雌型接続器具において、前記移動制限部は、前記ストッパ壁部の上側の先端から後側へ前記前側被覆部を貫通して延びる中間腕部と、該中間腕部の先端から前記被覆面に向かって延びる規制腕部と、を有しており、前記前側被覆部は、前記中間腕部が貫通する切込み部を有している。
【0012】
本発明の一態様に係る雌型接続器具において、前記移動制限部は、前記被覆面から上側に突出し、前記上側被覆部に接触する突出部を有している。
【0013】
本発明の一態様に係る接続装置は、上述した少なくともいずれか1つの雌型接続器具と、前記平形接続端子の前記タブ接続部と電気接続する接続タブを有する雄型接続器具と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る雌型接続器具によれば、タブ接続部は、底壁部から第1開口部を通り絶縁カバーの外側且つ第1開口部の上側まで延び、被覆面と第1開口部との間の間隙の少なくとも一部を前側から覆うストッパ壁部を有している。このように、接続タブが着脱される側である前側から見て、被覆面と第1開口部との間の間隙(以下、単に「間隙」ともいう。)の少なくとも一部がストッパ壁部により覆われている。このため、接続タブ(雄型接続器具)をタブ接続部(雌型接続器具)に取り付ける際に当該接続タブが上記間隙に向かう場合であっても、接続タブは当該間隙に入る前にストッパ壁部に衝突する。よって、接続タブが上記間隙に入り込むことがなく、接続タブの当該間隙への誤挿入を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る雌型接続器具を示す斜視図であり、雌型接続器具に配線ケーブルが接続されている状態を示すものである。
図2図1の雌型接続器具を右側から見た状態を示す右側面図である。
図3図1の雌型接続器具を左側から見た状態を示す左側面図である。
図4図1の雌型接続器具を上側から見た状態を示す平面図である。
図5図1の雌型接続器具を下側から見た状態を示す底面図である。
図6図1の雌型接続器具を前側から見た状態を示す正面図である。
図7図1の雌型接続器具を後側から見た状態を示す背面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る平形接続端子を示す斜視図である。
図9図8の平形接続端子を右側から見た状態を示す右側面図である。
図10図8の平形接続端子を左側から見た状態を示す左側面図である。
図11図8の平形接続端子を上側から見た状態を示す平面図である。
図12図8の平形接続端子を下側から見た状態を示す底面図である。
図13図8の平形接続端子を前側から見た状態を示す正面図である。
図14図8の平形接続端子を後側から見た状態を示す背面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る接続装置を示す斜視図であり、雌型接続器具に雄型接続器具が接続される前の状態を示すものである。
図16】本発明の一実施形態に係る平形接続端子の変形例を示す左側面図である。
図17】本発明の変形例に係る平形接続端子を含む雌型接続器具を示す左側面図であり、雌型接続器具に配線ケーブルが接続されている状態を示すものである。
図18】本発明の一実施形態に係る平形接続端子の別の変形例を示す左側面図である。
図19】本発明の別の変形例に係る平形接続端子を含む雌型接続器具を示す左側面図であり、雌型接続器具に配線ケーブルが接続されている状態を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る雌型接続器具20を示す斜視図であり、雌型接続器具20に配線ケーブル50が接続されている状態を示すものである。図2は、図1の雌型接続器具20を右側から見た状態を示す右側面図である。図3は、図1の雌型接続器具20を左側から見た状態を示す左側面図である。図4は、図1の雌型接続器具20を上側から見た状態を示す平面図である。図5は、図1の雌型接続器具20を下側から見た状態を示す底面図である。図6は、図1の雌型接続器具20を前側から見た状態を示す正面図である。図7は、図1の雌型接続器具20を後側から見た状態を示す背面図である。
【0018】
図8は、本発明の一実施形態に係る平形接続端子21を示す斜視図である。図9は、図8の平形接続端子21を右側から見た状態を示す右側面図である。図10は、図8の平形接続端子21を左側から見た状態を示す左側面図である。図11は、図8の平形接続端子21を上側から見た状態を示す平面図である。図12は、図8の平形接続端子21を下側から見た状態を示す底面図である。図13は、図8の平形接続端子21を前側から見た状態を示す正面図である。図14は、図8の平形接続端子21を後側から見た状態を示す背面図である。図15は、本発明の一実施形態に係る接続装置1を示す斜視図であり、雌型接続器具20に雄型接続器具10が接続される前の状態を示すものである。
【0019】
なお、説明の便宜上、図15に示すように、雄型接続器具10に正対した状態の雌型接続器具20を基準に、雌型接続器具20の側から見て「前」、「後」、「左」、「右」をそれぞれ定義し、前後方向及び左右方向に垂直な方向として「上」、「下」を定義する。以下、各図に示される「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は、全て上記定義に基づくものである。
【0020】
<雌型接続器具>
図1図7に示すように、雌型接続器具20は、平形接続端子21と、平形接続端子21を覆う絶縁カバー22とを備える。
【0021】
<絶縁カバー>
絶縁カバー22は、柔軟性を有する合成樹脂やゴムにより箱状に形成されている。絶縁カバー22は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。絶縁カバー22は、平形接続端子21と後述する接続タブ12との接続部分の保護、及び平形接続端子21を絶縁する等の目的で装着される。図1図7に示すように、絶縁カバー22は、平形接続端子21の全体を被覆する。具体的には、絶縁カバー22は、後述する被覆面29bの側である上側から平形接続端子21を覆う板状の上側被覆部26aと、下側から平形接続端子21を覆う板状の下側被覆部26bと、左側から平形接続端子21を覆う板状の左側被覆部26cと、右側から平形接続端子21を覆う板状の右側被覆部26dと、後述する接続タブが12着脱される側である前側から平形接続端子21を覆う板状の前側被覆部26eと、後側から平形接続端子21を覆う板状の後側被覆部26fと、を有する。
【0022】
上側被覆部26aは、当該上側被覆部26aの前側に位置する第1の上側被覆部26gと、第1の上側被覆部26gの後端から後方向且つ下方向に斜めに延びる第2の上側被覆部26hとを有する。上側被覆部26a及び下側被覆部26b、左側被覆部26c及び右側被覆部26d、前側被覆部26e及び後側被覆部26fは、夫々、互いに対向して平行に配置されている。又、上側被覆部26a及び下側被覆部26bの夫々において、当該上側被覆部26a及び当該下側被覆部26bの左側の端部から左側被覆部26cが延びており、当該上側被覆部26a及び当該下側被覆部26bの右側の端部から右側被覆部26dが延びており、当該上側被覆部26a及び当該下側被覆部26bの前側の端部から前側被覆部26eが延びており、当該上側被覆部26a及び当該下側被覆部26bの後側の端部から後側被覆部26fが延びている。
【0023】
絶縁カバー22は、前側被覆部26e及び後側被覆部26fの夫々に、当該前側被覆部26e及び後側被覆部26fを前後方向に貫通する第1開口部27a及び第2開口部27bを有する。第1開口部27aは、後述する雄型接続器具10の接続タブ12が貫通するように形成されており、第2開口部27bは、後述する配線ケーブル50が貫通するように形成されている。第1開口部27aは、図1及び図6に示すように矩形に形成されていてもよく、接続タブ12が貫通し得る形状であれば、矩形に限定されるものではない。第2開口部27bは、図7に示すように円形に形成されていてもよく、配線ケーブル50が貫通し得る形状であれば、円形に限定されるものではない。
【0024】
<平形接続端子>
平形接続端子21は、導電性を有する金属板を加工(例えば、曲げ加工、プレス加工等)して作製されている。なお、平形接続端子21は、複数の金属板を溶接等で結合して作製されてもよい。図8図14に示すように、平形接続端子21は、後述する雄型接続器具10の接続タブ12と電気接続するタブ接続部23を有している。平形接続端子21は、更に、タブ接続部23の後側端部に接続されている連結部24と、連結部24の後側端部に接続されている導線接続部25とを有している。
【0025】
図8に示すように、連結部24は、タブ接続部23と導線接続部25とを連結する部分であり、前側から後側に向けて幅方向(左右方向)長さが徐々に小さくなるように形成されている。なお、連結部24の形状はこれに限るものではなく、タブ接続部23と導線接続部25とを連結することができる形状であれば、その他の形状であってもよい。
【0026】
図8に示すように、導線接続部25は、連結部24の側に位置するワイヤー固定部33と、ワイヤー固定部33よりも後側に位置する絶縁固定部34とを有している。導線接続部25は、絶縁固定部34において、配線ケーブル50の絶縁部51を加締により固定しており、ワイヤー固定部33において、配線ケーブル50の芯線(図示せず)を加締により固定している(図1参照)。なお、配線ケーブル50は、導電性を有する芯線を、絶縁性を有する絶縁部51が取り囲むように形成されており、使用状態において、絶縁部51の一部が切り取られ芯線は露出している。
【0027】
図15に示すように、平形接続端子21のタブ接続部23に雄型接続器具10の接続タブ12が電気接続され、平形接続端子21の導線接続部25に配線ケーブル50が接続される。これにより、雄型接続器具10の側の電気機器(例えば基板)と雌型接続器具20の側の電気機器(例えば部品)との間の電気接続が形成される。導線接続部25のワイヤー固定部33の直径は、配線ケーブル50の絶縁部51を加締めた状態において、第2開口部27bの直径より大きい。
【0028】
図8~14に示すように、タブ接続部23は、底壁部29と、押圧部30と、挿入空間31と、ストッパ壁部32とを有する。底壁部29は、接続タブ12と電気接触するタブ接触面29aと、タブ接触面29aに背向する被覆面29bと、を含む平板状の部分である。底壁部29において、タブ接触面29aは下側を向く面であり、被覆面29bは上側を向く面である。底壁部29の形状は、図11に示すように平面図において矩形とされているが、これに限るものではなく、接続タブ12と電気接触する形状あれば例えば円形などであってもよい。
【0029】
押圧部30は、接続タブ12が後述する挿入空間31に挿入されたときに接続タブ12を押圧し、電気接続を可能にするために設けられている。押圧部30は、通常、平形接続端子21を形成する金属材料を局面になるように折り曲げることで形成されている。但し、曲面である必要はなく、V字型等の他の形状でもよい。押圧部30は、ばね弾性力を有し、接続タブ12が挿入された際に下方に屈曲し、元の位置に戻ろうとする復元力を発生する。これにより、押圧部30は、接続タブ12を上方に押し上げる力を与えて固定する。
【0030】
図8~14に示すように、押圧部30は、底壁部29のタブ接触面29aから立設された一対の側壁部30aと、一対の側壁部30aから連続してタブ接触面29aに向かって延びる一対の挟持部30bとを有する。一対の側壁部30aは、夫々、底壁部29の左右両端から下方向に延びる部分である。また、一対の挟持部30bは、タブ接触面29aとの間に所定の間隙としての挿入空間31を形成するように延びている。そして、接続タブ12が挿入空間31に挿入されると、接続タブ12は、一対の挟持部30bとタブ接触面29aとによって挟持される。絶縁カバー22を平形接続端子21に取り付けた状態において、一対の挟持部30bの下側端部は、前側被覆部26eにおける第1開口部27aの下側に位置している(図6参照)。
【0031】
図1図7に示すように、ストッパ壁部32は、底壁部29から第1開口部27aを通り絶縁カバー22の外側且つ第1開口部27aの上側まで延び、被覆面29bと第1開口部27aとの間の間隙の少なくとも一部を前側から覆うように形成されている。また、ストッパ壁部32は、絶縁カバー22の内側から外側にかけて前側且つ上側に斜めに延びる傾斜壁部32aを有している。具体的には、傾斜壁部32aは、底壁部29の前側端部29cから延びている。更に、ストッパ壁部32は、傾斜壁部32aの先端(前側且つ上側の端部)から上方向に延びる鉛直壁部32bを有する。傾斜壁部32a及び鉛直壁部32bは、図8に示すような平板状の部分でなくてもよく、例えば前側又は後側に湾曲した形状の部分であってもよい。ストッパ壁部32は、鉛直壁部32bの上側端部32cが第1開口部27aの上側且つ上側被覆部26aの下側に位置するように形成されている(図1図3図6参照)。なお、ストッパ壁部32において、鉛直壁部32bが設けられなくてもよく、この場合、傾斜壁部32aの先端が第1開口部27aの上側且つ上側被覆部26aの下側に位置する。ストッパ壁部32の幅(左右方向長さ)W1は、底壁部29の幅(左右方向長さ)W2より小さく、一定の幅で延びている(図4図5参照)。なお、ストッパ壁部32の幅W1は、底壁部29の幅W2と同じであってもよいし、一定の幅を有しなくてもよい。
【0032】
<雄型接続器具>
図15に示すように、雄型接続器具10は、導電性を有する金属製の部材であり、端子台(図示せず)と平板状の接続タブ12とを有する。端子台は、例えば制御基板上に配置されて電気機器と接続されている。接続タブ12は、端子台と一体に形成されており、平形接続端子21の挿入空間31に差し込むことで平形接続端子21との電気的接続を形成する部分である。
【0033】
<接続装置>
図15に示すように、接続装置1は、上述の雌型接続器具20と雄型接続器具10とを備える。雌型接続器具20において、絶縁カバー22を平形接続端子21に取り付けるには、まず平形接続端子21の導線接続部25を絶縁カバー22の第1開口部27aに通す。次いで、絶縁カバー22の前側被覆部26eが平形接続端子21のストッパ壁部32と対向する位置まで、絶縁カバー22を移動させ、これにより平形接続端子21への絶縁カバー22の取り付けが完成する。このようにして組み立てられた雌型接続器具20の平形接続端子21に雄型接続器具10の接続タブ12を取り付けることで、接続装置1の組み立てが完成する。具体的には、接続タブ12は平形接続端子21の挿入空間31に挿入され、この際、接続タブ12は、底壁部29と押圧部30とによって挟持される。
【0034】
次いで、本実施形態に係る雌型接続器具20の作用、効果について説明する。
【0035】
このように、本発明の一実施形態に係る雌型接続器具20によれば、ストッパ壁部32は、底壁部29から第1開口部27aを通り絶縁カバー22の外側且つ第1開口部27aの上側まで延び、被覆面29bと第1開口部27aとの間の間隙の少なくとも一部を前側から覆うように形成されている。このように、接続タブ12が着脱される側である前側から見て、被覆面29bと第1開口部27aとの間の間隙の少なくとも一部がストッパ壁部32により覆われている。このため、接続タブ12をタブ接続部23に取り付ける際に接続タブ12が当該間隙に向かう場合であっても、接続タブ12は当該間隙に入る前にストッパ壁部32に衝突するため、接続タブ12の当該間隙への誤挿入を回避することができる。よって、接続タブ12とタブ接続部23、即ち雄型接続器具10と雌型接続器具20との間の電気接続不良を回避することができるとともに、接続作業性を向上させることができる。
【0036】
また、本発明の一実施形態に係る雌型接続器具20において、ストッパ壁部32は、絶縁カバー22の内側から外側にかけて前側且つ上側に斜めに延びる傾斜壁部32aを有している。このため、接続タブ12をタブ接続部23に取り付ける際に接続タブ12が傾斜壁部32aに衝突した場合、接続タブ12は、傾斜壁部32aにガイドされてタブ接続部23の底壁部29の方向へ移動する。よって、接続タブ12が傾斜壁部32aに衝突した場合であっても、接続タブ12をタブ接触面29aに容易に導くことができ、接続タブ12とタブ接続部23、即ち雄型接続器具10と雌型接続器具20との間の接続作業性を更に向上させることができる。
【0037】
<変形例>
次いで、本発明の実施形態の変形例について、図16図17を用いて説明する。雌型接続器具20aは、上述の雌型接続器具20に対して、後述する移動制限部35(中間腕部35a及び規制腕部35b)と切込み部28aとが設けられている点で異なる。以下、上述の雌型接続器具20と同じ又は類似する機能を有する構成については、雌型接続器具20と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0038】
図16は、本発明の一実施形態に係る平形接続端子21の変形例である平形接続端子21aを示す左側面図である。図17は、本発明の変形例に係る平形接続端子21aを含む雌型接続器具20aを示す左側面図であり、雌型接続器具20aに配線ケーブル50が接続されている状態を示すものである。
【0039】
図17に示すように、絶縁カバー22aは、前側被覆部26eにおいて第1開口部27aの上側に、左右方向に延びるスリット状の切込み部28aを有する。切込み部28aは、後述する移動制限部35の中間腕部35aが前後方向に貫通するように形成されている。切込み部28aの幅(左右方向長さ)は、接続タブ12の幅(左右方向長さ)より長くてもよいし、同じでもよい。また、切込み部28aの高さ(上下方向長さ)は、接続タブ12の高さ(上下方向長さ)より低くてもよいし、高くてもよいし、同じであってもよい。また、切込み部28aはスリット状の形状に限るものではなく、例えば、前後方向に開口する開口部であってもよい。
【0040】
図16及び図17に示すように、タブ接続部23は、絶縁カバー22aと接触して絶縁カバー22aの移動を制限する移動制限部35を有していてもよい。具体的には、図16及び図17に示すように、移動制限部35は、ストッパ壁部32の上側の先端から後側へ前側被覆部26eを貫通して延びる中間腕部35aと、中間腕部35aから被覆面に29bに向かって延びる規制腕部35bとを有していてもよい。
【0041】
図17に示すように、絶縁カバー22aを平形接続端子21aに取り付けた状態において、中間腕部35aは、前側被覆部26eの切込み部28aを前後方向に貫通している。規制腕部35bは、被覆面29bに向かって鉛直に延びていてもよいし、下方向且つ前方向、又は、下方向且つ後方向に斜めに延びていてもよい。規制腕部35bは、平板状の部分でなくてもよく、例えば前側又は後側に湾曲した形状の部分であってもよい。
【0042】
本変形例による接続装置は、上述の雌型接続器具20aと雄型接続器具10とを備える。雌型接続器具20aにおいて、絶縁カバー22aを平形接続端子21aに取り付けるには、まず平形接続端子21aの導線接続部25を絶縁カバー22aの第1開口部27aに通す。次いで、中間腕部35a及び規制腕部35bが前側被覆部26eの切込み部28aを通るように、絶縁カバー22aの前側被覆部26eが平形接続端子21のストッパ壁部32と対向する位置まで、絶縁カバー22を移動させる。これにより平形接続端子21aへの絶縁カバー22aの取り付けが完成する。
【0043】
次いで、本変形例に係る雌型接続器具20aの作用、効果について説明する。
【0044】
本発明の変形例に係る雌型接続器具20aにおいて、タブ接続部23は、絶縁カバー22aと接触して絶縁カバー22aの移動を制限する移動制限部35を有していている。このため、接続タブ12とタブ接続部23との接続を解除するために、雄型接続器具10から雌型接続器具20aを引き抜く際、平形接続端子21aに対する絶縁カバー22aの相対移動を制限することができる。より詳細には、作業者が絶縁カバー22を持って雄型接続器具10から雌型接続器具20を引き抜く際、平形接続端子21に対して絶縁カバー22が滑ることがある。この場合、絶縁カバー22だけが平形接続端子21から抜けてしまい、雄型接続器具10と雌型接続器具20との接続、即ち接続タブ12とタブ接続部23との接続を解除できないことがある。この点で、本発明の変形例に係る雌型接続器具20aによれば、上述の移動制限部35が平形接続端子21aに対する絶縁カバー22aの相対移動を制限することで、絶縁カバー22aと平形接続端子21aとを一緒に動かすことができ、ひいては雄型接続器具10から雌型接続器具20aを引き抜く際の作業性を向上させることができる。
【0045】
本発明の変形例に係る雌型接続器具20aにおいて、移動制限部35は、ストッパ壁部32の上側の先端から後側へ前側被覆部26eを貫通して延びる中間腕部35aと、中間腕部35aから被覆面に29bに向かって延びる規制腕部35bとを有している。また、前側被覆部26eには、絶縁カバー22aを平形接続端子21aに取り付けた状態において、中間腕部35aが前後方向に貫通する切込み部28aが設けられている。このため、作業者が絶縁カバー22aを持って雄型接続器具10から雌型接続器具20aを引き抜く際、平形接続端子21aに対して絶縁カバー22aが滑ったとしても、規制腕部35bが絶縁カバー22a(前側被覆部26e)に引っ掛かり、平形接続端子21aに対する絶縁カバー22aの相対移動を制限することができる。このため、絶縁カバー22aと平形接続端子21aとを一緒に動かすことができ、ひいては雄型接続器具10から雌型接続器具20aを引き抜く際の作業性を向上させることができる。
【0046】
<別の変形例>
次いで、本発明の実施形態の別の変形例について、図18図19を用いて説明する。雌型接続器具20bは、上述の雌型接続器具20に対して、後述する移動制限部35(突出部35e)が設けられている点で異なる。以下、上述の雌型接続器具20と同じ又は類似する機能を有する構成については、雌型接続器具20と同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0047】
図18は、本発明の一実施形態に係る平形接続端子21の別の変形例である平形接続端子21bを示す左側面図である。図19は、本発明の別の変形例に係る平形接続端子21bを含む雌型接続器具20bを示す左側面図であり、雌型接続器具20bに配線ケーブル50が接続されている状態を示すものである。
【0048】
図18及び図19に示すように、移動制限部35は、被覆面29bから上側に突出し、上側被覆部26aに接触する突出部35eを有していている。突出部35eは、被覆面29bに少なくとも1つ設けられており、好ましくは複数設けられている。具体的には、複数の突出部35eは、底壁部29の被覆面29bの全面に亘って設けられている。なお、複数の突出部35eは、被覆面29bの一部に設けられていてもよい。図18に示すように、突出部35eの高さ(上下方向の高さ)H1は、ストッパ壁部32の高さ(上下方向の高さ)H2よりも高い。複数の突出部35eは、連結部24又は導線接続部25に設けられていてもよい(図示せず)。突出部35eの先端(上側端部)は、図18及び図19に示すように、断面視において曲面を有して形成されている。なお、突出部35eの先端(上側端部)は、断面視において鋭角に形成されてもよい。
【0049】
本変形例による接続装置は、上述の雌型接続器具20bと雄型接続器具10とを備える。雌型接続器具20bにおいて、絶縁カバー22を平形接続端子21bに取り付けるには、まず平形接続端子21bの導線接続部25を絶縁カバー22の第1開口部27aに通す。次いで、絶縁カバー22の前側被覆部26eが平形接続端子21のストッパ壁部32と対向する位置まで、突出部35e上側被覆部26aに接触するように絶縁カバー22を移動させ、これにより平形接続端子21bへの絶縁カバー22の取り付けが完成する。
【0050】
次いで、本変形例に係る雌型接続器具20bの作用、効果について説明する。
【0051】
本発明の変形例に係る雌型接続器具20bにおいて、移動制限部35は、被覆面29bから上側に突出し、上側被覆部26aに接触する突出部35eを有している。このため、作業者が絶縁カバー22を持って雄型接続器具10から雌型接続器具20bを引き抜く際、平形接続端子21bに対して絶縁カバー22が滑ったとしても、突出部35eが絶縁カバー22(上側被覆部26a)と接触し、突出部35eと絶縁カバー22(上側被覆部26a)との間の摩擦力により、平形接続端子21bに対する絶縁カバー22の相対移動を制限することができる。このため、絶縁カバー22と平形接続端子21bとを一緒に動かすことができ、ひいては雄型接続器具10から雌型接続器具20bを引き抜く際の作業性を向上させることができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る雌型接続器具20、及び接続装置1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題、又は効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせても良い。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0053】
1 接続装置
10 雄型接続器具
12 接続タブ
20,20a,20b 雌型接続器具
21,21a,21b 平形接続端子
22,22a 絶縁カバー
23 タブ接続部
26a 上側被覆部
26e 前側被覆部
27a 第1開口部
28a 切込み部
29 底壁部
29a タブ接触面
29b 被覆面
32 ストッパ壁部
32a 傾斜壁部
35 移動制限部
35a 中間腕部
35b 規制腕部
35e 突出部
図1
図2
図3
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