(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】警備システムの制御装置及び警備システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
G08B25/00 510E
(21)【出願番号】P 2020014836
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2019015645
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】村上 誠治
(72)【発明者】
【氏名】中山 雅雄
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-27174(JP,A)
【文献】特開2016-103053(JP,A)
【文献】特開2009-93520(JP,A)
【文献】特開2012-216020(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0257790(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 13/00-15/02,19/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内の異常を検知できる異常検知部の稼働及び停止を制御する制御装置と、
この制御装置と無線通信を行い、少なくとも前記停止を指示する操作が行われる際に、操作者の認証を行うための認証用携帯端末とを備える警備システムの前記制御装置であって、
操作者が前記稼働を指示するため警戒モードをセットする操作と、前記停止を指示するため警戒モード解除する操作を行う操作部と、
前記認証用携帯端末の認証を行う認証部と、
前記無線通信に使用される電波信号の受信強度を測定する測定部と、
前記操作部における操作結果及び前記認証部における認証結果に基づいて、前記稼働及び停止を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記異常検知部を稼働させた時点から一定時間内に、前記警戒モードを解除する操作が行われた際には、前記測定部により測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に前記異常検知部の稼働を停止する警備システムの制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、少なくとも前記異常検知部を稼働させる際に前記セットする操作をした者が所持する認証用携帯端末については、前記測定部により測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に前記異常検知部の稼働を停止する請求項1記載の警備システムの制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記異常検知部を稼働させたときに電波信号を受信した認証用携帯端末が複数存在した際には、それら複数の認証用携帯端末については、前記測定部により測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に前記異常検知部の稼働を停止する請求項2記載の警備システムの制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記異常検知部を稼働させたときに電波信号を受信した認証用携帯端末が複数存在した際には、前記測定部により測定された受信強度が最大であった認証用携帯端末については、前記測定部により測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に前記異常検知部の稼働を停止する請求項2記載の警備システムの制御装置。
【請求項5】
前記認証部は、前記警戒モードをセットする操作が行われた際にも、前記認証用携帯端末の認証を行い、
前記制御部は、前記認証用携帯端末が認証されたことを条件に、前記異常検知部を稼働する請求項1から4の何れか一項に記載の警備システムの制御装置。
【請求項6】
屋内の異常を検知できる異常検知部の稼働及び停止を制御する制御装置と、
この制御装置と無線通信を行い、前記稼働と前記停止とをそれぞれ指示する操作が行われる際に、操作者の認証を行うための認証用携帯端末とを備える警備システムの前記制御装置であって、
操作者が前記稼働を指示するため警戒モードをセットする操作と、前記停止を指示するため警戒モード解除する操作を行う操作部と、
前記認証用携帯端末の認証を行う認証部と、
前記無線通信に使用される電波信号の受信強度を測定する測定部と、
前記操作部における操作及び前記認証部における認証結果に基づいて、前記稼働及び停止を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記異常検知部を稼働させた時点から一定時間内に、前記警戒モードを解除する操作が行われると共に、前記認証部における認証の結果が前記異常検知部を稼働させる際に認証した認証用携帯端末であれば、前記測定部により測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に前記異常検知部の稼働を停止する警備システムの制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記一定時間内に、前記警戒モードを解除する操作が行われると共に前記認証部における認証の結果が、前記異常検知部を稼働させる際に存在を認識しなかった認証用携帯端末であれば、前記条件を適用しないで前記異常検知部の稼働を停止する請求項6記載の警備システムの制御装置。
【請求項8】
前記認証用携帯端末と、請求項1から7の何れか一項に記載の制御装置とを備える警備システム。
【請求項9】
屋内の異常を検知できる異常検知部の稼働及び停止を制御する制御装置と、
この制御装置と無線通信を行い、少なくとも前記停止を指示する操作が行われる際に、操作者の認証を行うための認証用携帯端末とを備える警備システムであって、
前記制御装置は、操作者が前記稼働を指示するため警戒モードをセットする操作と、前記停止を指示するため警戒モード解除する操作を行う操作部と、
前記認証用携帯端末の認証を行う認証部と、
前記操作部における操作及び前記認証部における認証結果に基づいて、前記稼働及び停止を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記異常検知部を稼働させると、認証用携帯端末に対して、前記無線通信に用いる電波信号の送信出力を低下させる指示を送信し、
前記指示を受信した認証用携帯端末は、前記送信出力を一定時間だけ低下させる警備システム。
【請求項10】
屋内の異常を検知できる異常検知部の稼働及び停止を制御する制御装置と、
この制御装置と無線通信を行い、前記稼働と前記停止とをそれぞれ指示する操作が行われる際に、操作者の認証を行うための認証用携帯端末とを備える警備システムの前記制御装置であって、
前記制御装置は、操作者が前記稼働を指示するため警戒モードをセットする操作と、前記停止を指示するため警戒モード解除する操作を行う操作部と、
前記認証用携帯端末の認証を行う認証部と、
前記操作部における操作及び前記認証部における認証結果に基づいて、前記稼働及び停止を制御する制御部とを備え、
前記認証用携帯端末は、自身が前記制御装置により認証された結果として前記異常検知部を稼働されたことを、前記制御装置より受信した確認信号によって判断すると、前記
無線通信に用いる電波信号の送信出力を一定時間だけ低下させる警備システム。
【請求項11】
前記認証用携帯端末は、前記送信出力を低下させている状態を、前記一定時間内に操作者が解除可能に構成されている請求項9又は10記載の警備システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内の異常を検知できる異常検知部の稼働及び停止を制御する制御装置と、この制御装置と無線通信を行い、前記稼働及び停止を指示する複数の認証用携帯端末とを備える警備システムにおける前記制御装置及び前記警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば住居等の家屋に設置され、屋内への不法な侵入者を検出する警備システムでは、居住者が外出する際には不法な侵入者を警戒する警戒モードに設定し、居住者が帰宅した際には警戒モードを解除して通常モードに切り換える。ユーザが警戒/通常モードの切り換え操作を行う際に認証用携帯端末の認証を行うシステムでは、当該システムの制御装置が無線通信を行うことで端末を認証する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
認証用携帯端末と制御装置とが無線通信可能である範囲は、一般に数m~数10m程度に設定されている。そのため、居住者が外出した直後は、その居住者が携帯している認証用携帯端末の認証が可能な場合がある。一般的な警備システムでは、家人が正当に警戒モードを解除する操作を行うための時間的余裕を確保する必要から、人の侵入を検知しても所定の期間は通報を行わない仕様となっている。そのため、その隙に家屋に侵入を図る者が、警戒モードを解除する操作を行える可能性がある。その可能性を排除するために認証用携帯端末の送信電力を弱めると、例えば居住者が認証用携帯端末を携帯している状態によっては所期通りにモード切替えが行われなくなり、システムの操作性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、操作性を低下させることなく侵入者による不正な操作を確実に排除できる警備システムの制御装置及び警備システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
警備システムの制御装置によれば、制御部は、操作部における操作及び認証部における認証結果に基づいて、異常検知部の稼働及び停止を制御する。そして、制御部は、異常検知部を稼働させた時点から一定時間内に、前記警戒モードを解除する操作が行われた際には、測定部により測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に異常検知部の稼働を停止する。
【0007】
例えば、正当な操作者である家人が警戒モードをセットした後に外出した直後で、操作者が携帯している認証用携帯端末の電波信号を制御装置が受信可能な状態にあり、その隙に不正な操作者が家屋に侵入して警戒モードを解除する操作を行った場合を想定する。認証用端末は、操作部を操作する者が携帯しているので、正当な操作者が解除する操作を行っているのであれば、認証用端末は制御装置の極めて近傍にあることになる。したがって、電波信号の受信強度は高くなり、所定の閾値を下回ることはない。
【0008】
そして、一定時間内に家屋に侵入した者により警戒モードを解除する操作が行われても、認証用携帯端末を携帯している家人と家屋との距離がある程度離れていれば、測定部により測定された受信強度は比較的低いレベルになる。したがって、制御部が、測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に、すなわち、通常よりも認証の際に求められる信号強度の基準を厳しく設定すれば、操作性を低下させることなく、不正な操作者が一定時間内に警戒モードを解除することを排除できる。尚、以下では、異常検知部を稼働させることを「警戒モードをセット」と称し、その稼働を停止させることを「警戒モードを解除」と称することがある。
【0009】
警備システムの制御装置によれば、制御部は、少なくとも異常検知部を稼働させる際に前記セットする操作をした者が所持する認証用携帯端末については、測定部により測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に異常検知部の稼働を停止する。通常は、警戒モードをセットする操作を行った者が所持している認証用携帯端末が制御装置の近くに存在しているので、その端末が制御装置によって認証される。よって、認証された認証用携帯端末について、受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に異常検知部の稼働を停止すれば、一定時間内に不正な操作者が警戒モードを解除することを排除できる。
【0010】
警備システムの制御装置によれば、制御部は、異常検知部を稼働させたときに電波信号を受信した認証用携帯端末が複数存在した際には、それら複数の認証用携帯端末については、測定部により測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に異常検知部の稼働を停止する。例えば、複数の家人がそれぞれ認証用携帯端末を所持した状態で外出しようとする際には、制御装置が認証した端末以外にも、その他の端末を所持している家人が制御装置の周辺に居ることも想定される。
【0011】
そこで、電波信号を受信した認証用携帯端末が複数存在した際に、それら全ての端末について、受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に異常検知部の稼働を停止すれば、一定時間内に不正な操作者が警戒モードを解除することを確実に排除できる。
【0012】
警備システムの制御装置によれば、制御部は、異常検知部を稼働させたときに電波信号を受信した認証用携帯端末が複数存在した際には、測定部により測定された受信強度が最大であった認証用携帯端末について、受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に異常検知部の稼働を停止する。
【0013】
複数の家人がそれぞれ認証用携帯端末を所持した状態で外出しようとする際には、制御装置が認証した端末と、警戒モードにセットする操作を行った家人が所持している端末とが異なる場合も想定される。この場合、制御装置が認証用携帯端末を認証した後に、異なる端末を所持している家人が制御装置により近い位置に居ることになる。
【0014】
この状態で、制御装置が周辺に存在する認証用携帯端末を把握するために無線通信を行うと、警戒モードにセットする操作を行った家人が所持している端末の電波信号の受信強度が最も高くなる。したがって、前記端末について、受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に異常検知部の稼働を停止すれば、最後に制御装置に近い位置にあった認証用携帯端末を利用して、一定時間内に不正な操作者が警戒モードを解除することを排除できる。
【0015】
警備システムの制御装置によれば、認証部は、警戒モードをセットする操作が行われた際にも認証用携帯端末の認証を行い、制御部は、認証用携帯端末が認証されたことを条件に異常検知部を稼働させる。このように構成すれば、認証されない認証用携帯端末を所持している者により警戒モードがセットされることを防止できる。
【0016】
警備システムの制御装置によれば、制御部は、操作部における操作及び認証部における認証結果に基づいて、異常検知部の稼働及び停止を制御する。そして、制御部は、異常検知部を稼働させた時点から一定時間内に、警戒モードを解除する操作が行われると共に、認証部における認証の結果が異常検知部を稼働させる際に認証した端末であれば、測定部により測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に異常検知部の稼働を停止する。
【0017】
例えば、正当な操作者である家人が警戒モードをセットした後に外出した直後で、操作者が携帯している認証用携帯端末の電波信号を制御装置が受信可能な状態にあり、その隙に不正な操作者が家屋に侵入して警戒モードを解除する操作を行った場合を想定する。認証用端末は、操作部を操作する者が携帯しているので、正当な操作者が解除する操作を行っているのであれば、認証用端末は制御装置の極めて近傍にあることになる。したがって、電波信号の受信強度は高くなり、所定の閾値を下回ることはない。
【0018】
そして、この時制御部は、認証の結果が異常検知部を稼働させる際に認証した端末であったとしても、その認証用携帯端末を携帯している家人と家屋との距離はある程度離れていれば、測定部により測定された受信強度は比較的低いレベルになる。したがって、制御部が、測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件にすれば、操作性を低下させることなく不正な操作者が警戒モードを解除することを排除できる。
【0019】
警備システムの制御装置によれば、制御部は、前記一定時間内に警戒モードを解除する操作が行われると共に、認証部における認証の結果が異常検知部を稼働させる際に存在を認識しなかった認証用携帯端末であれば、前記条件を適用しないで異常検知部の稼働を停止する。
【0020】
例えば、家人Bが外出した後に、家人Aが警戒モードをセットして外出した場合を想定する。そして、家人Bが一定時間内に帰宅して警戒モードを解除する操作を行った際に制御装置が前記条件を適用すると、家人Bが解除できなくなる。そこで、制御部が、警戒モードをセットした際に存在を認識しなかった、つまり認証しなかった端末を認証した際には、前記条件を適用しないで異常検知部の稼働を停止することで、家人Bも問題なく警戒モードの解除が可能になる。
【0021】
警備システムによれば、制御装置の制御部は、異常検知部を稼働させると、認証用携帯端末に対して無線通信に用いる電波信号の送信出力を低下させる指示を送信し、その指示を受信した認証用携帯端末は送信出力を一定時間だけ低下させる。
【0022】
上述の例と同様に、正当な操作者である家人が警戒モードをセットした後に外出する際には、その時点で制御装置との通信が可能な状態にある、前記家人が携帯しているものを含む認証用携帯端末は、制御装置の指示を受けて電波信号の送信出力を低下させる。したがって、家人が外出した直後の隙に、不正な操作者が家屋に侵入して警戒モードを解除する操作を行ったとしても、異常検知部の稼働は停止されず解除はできない。これにより、同様に、操作性を低下させることなく不正な操作者が警戒モードを解除することを排除できる。尚、ここで「送信出力を低下させる」とは、電波信号の送信自体を停止させることを含む。
【0023】
警備システムによれば、認証用携帯端末は、自身が制御装置により認証された結果として異常検知部を稼働されたことを、制御装置より受信した確認信号によって判断すると、送信出力を一定時間だけ低下させる。この場合も請求項9と同様に、不正な操作者が警戒モードを解除することを排除できる。
【0024】
警備システムによれば、認証用携帯端末は、送信出力を低下させている状態を、一定時間内に操作者が解除可能に構成される。このように構成すれば、警戒モードをセットした後外出しようとした家人が、例えば忘れ物等に気付いて家屋に戻り、警戒モードを解除する操作を行う際には、自身の操作により電波信号の送信出力を元のレベルに復帰させて制御装置との無線通信を可能な状態にすることで、警戒モードを解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態であり、警備システムの構成を示す機能ブロック図
【
図2】家人Aが防犯操作を行ってから30分以内に帰宅して、警戒モードを解除する操作を行った場合を示すシーケンス図
【
図3】家人Aが防犯操作を行ってから30分経過後に帰宅して、警戒モードを解除する操作を行った場合を示すシーケンス図
【
図4】家人Aが防犯操作を行ってから30分以内に家人Bが帰宅して、警戒モードを解除する操作を行った場合を示すシーケンス図
【
図5】第2実施形態であり、タグを所持した家人A~Cが家屋の内外に居る状態を示す図
【
図8】第3実施形態であり、タグを所持した家人A~Cが家屋の内外に居る状態を示す図
【
図11】第4実施形態であり、タグを所持した家人A~Cが家屋の内外に居る状態を示す図
【
図14】第5実施形態であり、警戒モードをセットする際のシーケンス図
【
図16】タグの送信レベルを復帰させる操作の一例を示す図(その1)
【
図17】タグの送信レベルを復帰させる操作の一例を示す図(その2)
【
図18】第6実施形態であり、警戒モードをセットする際のシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について
図1から
図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態の警備システムの構成を示す機能ブロック図である。警備システム1は、コントローラ2と、認証用携帯端末であるタグ3とを備えている。警備システム1は、住居等の家屋における屋内の異常を検出して報知などの対処を行う、いわゆるホームセキュリティシステムである。尚、警備システム1は住居等の家屋に限ることなく、事業所や倉庫などに設置されるものでもよい。コントローラ2は制御装置に相当し、異常検知部4の稼動及び停止を制御する。
【0027】
異常検知部4は、侵入者による屋内への不法な侵入を異常として検知する。コントローラ2は、異常検知部4の稼動及び停止,すなわち警備システム1の稼動及び停止を切り換える。尚、異常検知部4としてはその他、窓の開閉を検出する窓開閉センサ、窓への振動によって窓の破壊を検出する窓破壊センサ、火災を検出する火災センサ及びガス漏れを検知するガス漏れセンサなどを含んでいても良い。
【0028】
コントローラ2は、制御部11,操作部12及び通信部13を備えている。制御部11は、例えばマイクロコンピュータで構成され、その内部に時計14,電波強度測定部15,認証部16及び記憶部17等の各機能部を備えている。コントローラ2は、電源の無い場所や、電源の配線がし辛い場所に設置される際には、電池で駆動される。操作部12は、ユーザが操作して警戒モードのセット及び解除の指示を入力するためのスイッチ等である。通信部13は、制御部11がタグ3との間で無線通信を行うためのインターフェイスであり、本実施形態では通信プロトコルとして例えばBluetooth(登録商標)を使用する。
【0029】
時計14は、家人が外出した時刻やその時刻からの経過時間を計測するため等に使用される。電波強度測定部15は、上記の無線通信を行う際に、タグ3より受信した電波信号の強度を測定する機能部である。認証部16は、前記電波信号に情報として含まれているタグ3のIDについて認証を行う機能部である。記憶部17には、前記外出の時刻等が記憶される。
【0030】
タグ3は、人が携帯可能なサイズであり、通信部18及び制御部19を備えている。通信部18は、通信部13と同様の通信用インターフェイスである。制御部19もマイクロコンピュータで構成され、通信用端末としての各種制御を行う。尚、タグ3はスマートフォンなどの携帯端末でも良い。
【0031】
次に、本実施形態の作用について
図2から
図4を参照して説明する。これらの図において、「状態:在宅」は、異常検知部4が稼働を停止して警備システム1の警戒モードが解除されている状態に対応し、「状態:外出」は、異常検知部4が稼働して警備システム1の警戒モードがセットされている状態に対応する。
図2に示すケースは、家人Aがタグ3(A)を携帯しており、防犯操作、つまり警戒モードをセットする操作を行ってから一定時間として例えば30分以内に帰宅し、警戒モードを解除する操作を行った場合である。
【0032】
コントローラ2は、(1)「状態:在宅」から家人Aが(2)防犯操作,すなわち操作部12により警戒モードをセットする操作が入力されると、(3)タグ3(A)との認証通信を行う。そして、タグ3(A)のIDを認証すると、警戒モードをセットして(4)「状態:外出」に切り換えると共に、タグ3(A)のIDをセット操作者が所持するタグ3のIDとして記録する。その直後に、更にタグ3から発信された電波信号の受信を試行し、タグ3(A)以外のIDが付された電波信号の有無及びそのIDに基づいて、(5)タグ3(A)以外のタグ3が周辺に存在しているか否かも確認する。
【0033】
(6)セット操作者である家人Aが30分以内に帰宅して警戒モードを解除する操作を行うと、コントローラ2は、(7)で(3)と同様にタグ3(A)との認証通信を行う。タグ3(A)のIDを認証すると、電波強度測定部15により受信した電波信号の強度を測定する。その強度が所定の閾値を超えており(8)「受信レベル高」と判定すると、(9)「状態:在宅」に切り換える。一方、受信強度が所定の閾値以下であり(10)「受信レベル低」と判定すると、(11)何もせずに「状態:外出」を維持する。(8)及び(9)の処理と(10)及び(11)の処理とは、何れか一方が選択的に実行される。
【0034】
これにより、(4)で「状態:外出」に切り換えた直後に、タグ3を所持しない不審者が侵入して操作部13により解除操作を行った場合には、コントローラ2がタグ3(A)の電波信号を受信可能な状態にあっても、その際に受信強度を判定すれば(10)の「受信レベル低」となることで「状態:外出」が維持される。
【0035】
図3は、タグ3(A)を携帯した家人Aが防犯操作を行ってから30分を経過した後に帰宅し、警戒モードを解除する操作を行った場合である。(1)~(5)については
図2と同様であり、(6)の解除操作が(2)から30分経過後となる。この場合には、
図2のケースのように(8)~(10)のような受信強度の判定は行わず、(7)の認証通信の結果のみで(8)「状態:在宅」に切り換える。
【0036】
また、
図4は、
図2と同様に家人Aが防犯操作を行ってから30分以内にタグ3(B)を携帯している家人Bが帰宅して、警戒モードを解除する操作を行った場合である。(1)~(6)については
図2と同様であり、コントローラ2は、(7)の認証通信によりタグ3(B)のIDを認証する。タグ3(B)は、(2)の防犯操作が行われた際に認証したタグ3(A)とは異なり、その時点で認証できなかった、つまりコントローラ2の周辺に存在しなかったタグ3である。この場合も、
図3と同様に、(7)の認証通信の結果のみで(8)「状態:在宅」に切り換える。したがって、家人Bも警戒モードを問題なく解除できる。
【0037】
以上のように本実施形態によれば、コントローラ2の制御部11は、操作部12における操作及び認証部16における認証結果に基づいて、異常検知部4の稼動及び停止を制御する。そして、制御部11は、操作者が警戒モードをセットした時点から一定時間である30分以内に、警戒モードを解除する操作が行われると共に認証部16における認証の結果が稼働させた際に認証したタグ3であった際には、電波強度測定部15により測定された受信強度が所定の閾値を超えていることを条件に警戒モードを解除する。
【0038】
これにより、例えば家人Aが警戒モードをセットした後に外出した直後で、携帯しているタグ3(A)の電波信号をコントローラ2が受信可能な状態にあり、その隙に不審者が家屋に侵入して警戒モードを解除する操作を行ったとしても、タグ3(A)を携帯している家人Aと家屋との距離はある程度離れているので、測定された受信強度は比較的低いレベルになる。したがって、制御部11が通常の解除モード操作に伴う認証時よりも厳しい上記の条件を課すことで、操作性を低下させることなく不審者が警戒モードを解除することを排除できる。セット操作者のタグ3に対して上記の条件を課すことは、当該タグ3の認証を制限することに等しい。
【0039】
また、制御部11は、30分以内に、解除操作者がセット操作者以外のユーザである場合、すなわち、警戒モードを解除する操作が行われると共に認証部16における認証の結果が警戒モードをセットした際に認証した3(A)と異なるタグ3(B)であれば、前記条件を適用しないで警戒モードを解除する。これにより、家人Bは、30分以内であっても操作性が低下することなく警戒モードを解除することが可能になる。
【0040】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。第2実施形態では、
図5から
図7に示すように、タグ3(A)によって警戒モードがセットされたとしても、その時点から30分以内であれば、セット操作者以外のユーザが所持するタグ3を含む全てのタグ3に対して認証制限の対象とし、何れのタグ3であっても受信強度が閾値以上であり、「受信レベル高」と判定した際に警戒モードを解除する。この実施形態によれば、セット操作者である家人Aが所持するタグ3(A)だけでなく、セット操作時に通信可能なタグ3であるか否かに関わらず、周囲にいる家人B及び外出中の家人Cが所持するタグB及びタグCについても認証制限の対象とする。この場合も第1実施形態と同様に、家人Aが警戒モードをセットして出した直後に、不審者が警戒モードを解除することを排除できる。
【0041】
(第3実施形態)
第3実施形態では、
図8及び
図9に示すように、セット操作時のタグ3認証を不要とする構成において、セット操作者が所持するタグ3のみを解除操作時の認証制限の対象とする。タグ3(A)を携帯した家人Aが警戒モードをセットする操作を行った場合、(5)周辺タグの確認を行った際、電波信号を受信したタグ3のうち、電波強度が最も高いタグ3をセット操作者が所持するタグ3として、認証制限の対象とする。
図8においては、(5)で周辺タグの確認を行った際に、電波信号の受信強度はタグ3(A)が最も高くなり、タグ3(C)が発した電波信号は受信されない。尚、図中の「接続タグ」は、コントローラ2と通信可能な範囲に存在するタグ3を意味する。
【0042】
そして、
図10に示すように、(6)解除操作が行われた際に(7)で認証されたものがタグ3(A)であった場合は、受信強度が閾値以上であり「受信レベル高」と判定した際に警戒モードを解除する。その他のタグ3(B),3(C)については、受信強度が閾値以上である条件を課すことなく、解除操作を可能にする。
【0043】
尚、この実施形態において、セット操作時のタグ3の認証を必要とする構成にしてもよい。この場合、警戒モードが解除されている間は常時タグ3の認証を試行し、(2)防犯操作がなされたとき、直前の所定時間、例えば3秒以内に認証されている場合に警戒モードをセットする。
【0044】
(第4実施形態)
第4実施形態では、
図11及び
図12に示すように、タグ3(A)を携帯した家人Aが警戒モードをセットする操作を行った後、(5)で周辺タグの確認を行った際に、タグ3(A)以外にタグ3(B)がコントローラ2に認識されたとする。この場合、タグ3(A)及びタグ3(B)を認証制限の対象とする。コントローラ2は、(6)解除操作が行われた際に(7)で認証されたものがタグ3(A)又は3(B)であった場合、これらについては受信強度が閾値以上であり「受信レベル高」と判定した際に警戒モードを解除する。その他のタグ3(C)については、受信強度が閾値以上である条件を課すことなく、解除操作を可能にする。この場合も、第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0045】
(第5実施形態)
第5実施形態では、
図14に示すように、第4実施形態と同様にタグ3(A)を携帯した家人Aが警戒モードをセットする操作を行った後、コントローラ2が(5)で周辺タグの確認を行う際に、タグ3に対して電波信号の送信出力を低下させるコマンドを送信する。すると、コマンドを受信したタグ3(A),3(B)は、一定時間,例えば30分だけ送信出力を低下させる。一定時間が経過すると、タグ3(A),3(B)は送信出力を元のレベルに復帰させる。
【0046】
これにより、
図15に示すように、タグ3(A),3(B)を携帯した家人A,Bは、上記の一定時間内はコントローラ2に接近することで、コントローラ2側の受信強度が閾値以上となった場合に警戒モードの解除が可能になる。尚、送信出力を低下させるコマンドに替えて、送信出力を停止させるコマンドを送信することで、コマンドを受信したタグ3(A),3(B)が一定時間だけ送信出力を停止させても良い。
【0047】
このように、タグ3(A),3(B)側が送信出力を低下させることで、例えば第1実施形態のように、コントローラ2側が受信する電波信号の強度を閾値以上とする条件と同様の状態になる。つまり、タグ3(A),3(B)を所持する家人A,Bは、一定時間内においてはコントローラ2に接近した位置でなければ、警戒モードの解除ができない状態にある。
【0048】
この場合タグ3を、送信レベルを低下させている一定時間内に、所持している者の操作によって、送信レベルを復帰可能とするように構成する。例えば
図16に示すように、タグ3に送信レベル復帰用のボタンBを設け、そのボタンBが押圧操作されると送信レベルを復帰させる。また、
図17に示すように、タグ3の内部に加速度センサを設け、タグ3に対して、所定方向に一定以上の加速度を作用させるようにタグ3を変位させることで、送信レベルを復帰させる等する。
【0049】
これにより、警戒モードをセットした後外出しようとした家人が、例えば忘れ物等に気付いて家屋に戻り、警戒モードを解除する操作を行う際には、自身の操作によりタグ3の送信出力を元のレベルに復帰させてコントローラ2との無線通信を可能な状態にすることで、警戒モードを解除できる。尚、この実施形態では、第1~4実施形態においてコントローラ2で行われていた認証制限の処理は不要となる。
【0050】
(第6実施形態)
第6実施形態では、
図18に示すように、第5実施形態と同様にタグ3(A)を携帯した家人Aが警戒モードをセットする操作を行った後、(3)でコントローラ2がタグ3(A)を認証するための通信を行った際に、タグ3(A)は、コントローラ2より送信されるアクノリッジ信号などにより、自身が認証されたことで警戒モードがセットされたことを認識する。前記アクノリッジ信号は確認信号に相当する。そして、(6)タグ3(A)が自発的に電波信号の送信出力を一定時間だけ低下させる。以降は、第5実施形態と同様に、一定時間が経過すると、タグ3(A)は送信出力を元のレベルに復帰させる。この場合も、第5実施形態と同様の効果が得られる。尚、確認信号はコントローラ2から直接送信されるのではなく、サーバ等を介してタグ3(A)に送信されてもよい。
【0051】
本発明は上記した、又は図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
第2及び第4~第6実施形態において、警戒モードをセットする際のタグ3の認証は、必要に応じて行えば良い。例えば、第2実施形態において、警戒モードをセットする操作が行われたときの認証は行わずに警戒モードをセットし、警戒モードを解除するときのみ認証通信を行い、全てのタグ3を上記認証制限の対象としてもよい。また、第4実施例において、警戒モードをセットする操作が行われたとき周囲に存在するタグ3を確認し、セットから30分以内に警戒モードの解除操作が行われた場合、セット操作のときに周囲に存在したタグ3に対してのみ上記条件を課してもよい。
【0052】
各実施形態の一定時間は、30分に限ることなく、適宜変更して良い。
各実施形態において、認証通信は防犯操作後に限ることなく、適宜変更しても良い。例えば、防犯操作前に行ってもよい。
第5実施形態において、タグ3の送信レベルを復帰可能にする構成は、必要に応じて採用すれば良い。また、上記構成を第6実施形態に適用しても良い。
各実施形態において、認証通信は無線通信できれば認証されていたが、これに限らない。例えば、タグ3からの電波信号の受信強度が予め設定した第1閾値以上である場合に認証しても良い。この場合、上記認証制限の対象となったタグ3については、第1閾値よりも高く設定された第2閾値を用いて判定を行う。
【符号の説明】
【0053】
図面中、1は警備システム、2はコントローラ、3はタグ、4は異常検知部、12は操作部、15は電波強度測定部、16は認証部を示す。