(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】缶体印刷システム、および缶体印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20231129BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20231129BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20231129BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B41J29/00 Z
B41J29/38 501
B41J3/407
G06F3/12 308
G06F3/12 329
(21)【出願番号】P 2020027374
(22)【出願日】2020-02-20
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
(72)【発明者】
【氏名】松島 妃美
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 兼司
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-326649(JP,A)
【文献】特開2004-280265(JP,A)
【文献】特開2019-174970(JP,A)
【文献】特開2002-026895(JP,A)
【文献】登録実用新案第3111404(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0228508(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/00
B41J 3/407
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置と、
前記ホスト装置から取得した画像を缶体に対して印刷する缶体印刷装置と、
を備え、
前記缶体印刷装置は、
印刷の権限が付加された画像情報を前記ホスト装置より取得し、
取得した前記画像情報に付加された前記印刷の権限をもとに、当該画像情報による画像を缶体に印刷
し、
前記ホスト装置は、
前記缶体印刷装置にて印刷される前記画像情報を管理し、
前記印刷の権限として印刷を行うために必要となる情報である前記缶体印刷装置の起動に必要となる情報を前記画像情報に対応させて、前記缶体印刷装置に対して当該画像情報を出力させる、
ことを特徴とする缶体印刷システム。
【請求項2】
印刷の権限が付加された画像情報を取得する取得手段と、
取得した前記画像情報に付加された前記印刷の権限をもとに、当該画像情報による画像を缶体に印刷する印刷手段と、
を有
し、
前記取得手段は、前記画像情報に対応付けられた、印刷を行うために必要となる情報である自機の起動に必要となる情報を取得する缶体印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶体印刷システム、および缶体印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、正規部品以外の部品が使用されると、それを検出して作業機械の動作を制限する、とされる部品監視装置についての技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年における缶体に対する印刷技術の進歩から、従来、不可能であった、缶体をユーザ側で印刷することも検討されている。
しかしながら、権限のない状態でユーザが自由に缶体に印刷できるようにすると、缶体の提供者や印刷装置の提供者の意図する印刷品質が得られないことが懸念される。
【0005】
本発明は、権限のない状態でユーザが自由に印刷する場合に比べ、印刷の品質がより良く保たれた缶体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が適用される缶体印刷システムは、ホスト装置と、前記ホスト装置から取得した画像を缶体に対して印刷する缶体印刷装置とを備え、前記缶体印刷装置は、印刷の権限が付加された画像情報を前記ホスト装置より取得し、取得した前記画像情報に付加された前記印刷の権限をもとに、当該画像情報による画像を缶体に印刷する、ことを特徴とする缶体印刷システムである。
ここで、前記ホスト装置は、前記缶体印刷装置にて印刷される前記画像情報を管理し、前記印刷の権限として印刷を行うために必要となる情報を前記画像情報に対応させて、前記缶体印刷装置に対して当該画像情報を出力させる、ことを特徴とすることができる。
また、前記印刷を行うために必要となる情報は、前記缶体印刷装置の起動に必要となる情報である、ことを特徴とすることができる。
また、前記印刷を行うために必要となる情報は、前記画像情報による画像に表現された認証情報である、ことを特徴とすることができる。
また、前記認証情報は、画像毎に前記缶体印刷装置にて印刷可能な缶体の数量が定まっている、ことを特徴とすることができる。
他の観点から捉えると、印刷の権限が付加された画像情報を取得する取得手段と、取得した前記画像情報に付加された前記印刷の権限をもとに、当該画像情報による画像を缶体に印刷する印刷手段と、を有する缶体印刷装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、権限のない状態でユーザが印刷する場合に比べ、印刷の品質がより良く保たれた缶体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態が適用される缶体印刷システムのハードウェア構成を示す図である。
【
図2】
ホスト装置の第1の実施形態における機能構成を示す図である。
【
図3】
印刷装置側(印刷装置、または印刷装置およびユーザPC)の第1の実施形
態における機能構成を示す図である。
【
図4】(A)および(B)は、ホスト装置にて実行される
第1の実施形態における処理を示すフローチャートである。
【
図5】印刷装置側にて実行される第1の実施形態における処理を示すフローチャートである。
【
図6】
ホスト装置の第2の実施形態における機能構成を示す図である。
【
図7】
印刷装置側の第2の実施形態における機能構成を示す図である。
【
図8】(A)および(B)は、ホスト装置にて実行される
第2の実施形態における処理を示すフローチャートである。
【
図9】印刷装置側にて実行される第2の実施形態における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔缶体印刷システムの構成〕
以下、添付図面を参照して、本実施の形態が適用される缶体印刷システムについて詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される缶体印刷システム1のハードウェア構成を示す図である。缶体印刷システム1は、缶体印刷システム1の根幹をなす情報処理装置であるホスト装置10と、缶体を印刷するユーザ側の印刷装置30とが、インターネットなどのネットワーク20を介して接続されている。また、缶体を印刷するユーザ側にて、印刷装置30に接続されるユーザPC40が、ネットワーク20を介してホスト装置10と接続される態様がある。
ホスト装置10は、例えば缶体に印刷する画像をデザインして提供する者や、印刷装置30にて印刷される缶体の提供者、あるいは印刷装置30の提供者などが提供するコンピュータ装置である。ホスト装置10には、缶体印刷システム1にて用いられる各種情報を記憶するデータベース(DB)50が、直接またはネットワーク20を介して接続されている。
【0010】
ホスト装置10は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit)である制御部11と、演算に際して作業エリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)などのメモリ12とを有している。また、プログラムや各種設定データなどの記憶に用いられる記憶部13を有している。記憶部13としては、例えば半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置が用いられる。さらに、ネットワーク20を介してデータの送受信を行う通信部14を有している。
【0011】
また、ホスト装置10は、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネルなどの操作部15を有しており、缶体印刷システム1を管理する管理者からの入力操作を受け付ける。また、管理者が行う管理作業に必要な画像やテキスト情報などを表示する液晶ディスプレイなどからなる表示部16と、表示部16を制御する表示制御部17とを有している。なお、各ハードウェアは、筐体を1つにするものとは限らない。
【0012】
印刷装置30は、装置全体を制御する制御部31と、ネットワーク20を介して各種データの送受信を行う通信部32とを有している。また、缶体に対して印刷を施す印刷部33を有している。さらに、印刷装置30により印刷が施された缶体の数量を計測する計測部34を有している。また、印刷装置30を操作するユーザへの表示やユーザからの入力操作を受け付けるユーザインタフェース35と、通信部32を介して取得した印刷画像情報などを記憶する記憶部36とを有する。
【0013】
印刷部33は、缶体にインクジェットによるデジタル印刷を行い、缶体毎に印刷内容を変えて印刷することが可能である。かかる点は、通常の版下印刷による缶体への印刷とは大きく異なり、ユーザの利便性が高く、装置の軽量化などが図られる。印刷部33では、インクを液滴としてノズルから噴射して、このインクを缶体の外周面に付着させて、缶体の外周面に画像を形成し、さらに、この画像の上に塗料を塗布して保護層を形成する。印刷部33では、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを基本のインクとして用い、さらに、必要に応じて、銘柄毎に用意した特別な色のインク(特色インク)を用いる。また、この場合、色毎にインクジェットヘッドを用意し、複数のインクジェットヘッドを用いて缶体への画像形成を行う。また、用いるインクとしては、活性放射線硬化型インクが望ましい。ここで、活性放射線硬化型インクには、例えば、紫外線(UV)硬化型インクが含まれる。インクジェットヘッドによる画像形成後に、缶体の外周面に対して塗料が塗布されて、保護層(オーバーコート層)が形成される。
印刷される媒体としての缶体は、ビールなどの飲料物が充填される前の缶体、飲料物が充填された後の缶体、の何れの場合もある。
【0014】
計測部34は、印刷装置30により印刷が施された缶体の数量を計測する。具体的には、例えば、印刷部33に数量カウンタを設けて、印刷処理が行われた缶体を1本ずつカウントしてもよい。また、例えば、印刷が施された缶体が印刷装置30から排出されるまでに通過する位置のいずれかに数量カウンタを設けて、通過する缶体を1本ずつカウントしてもよい。
【0015】
また、印刷装置30は、ユーザが操作するコンピュータ装置であるユーザPC40と、直接、インタフェースケーブルを介して接続され、またはイーサネット(登録商標)などのLAN(Local Area Network)などを介して接続されている。ユーザPC40は、例えば、ホスト装置10からの印刷画像情報を印刷装置30に提供する場合の他、印刷装置30への各種設定、印刷装置30により印刷が施された缶体の数量を示す情報の取得や表示などを行う。また、ネットワーク20を介してホスト装置10と接続され、ホスト装置10からの各種情報などを取得する。印刷装置30の通信部32は、ホスト装置10と直接、通信を行う態様の他に、ユーザPC40を介してホスト装置10と通信を行う態様がある。また、情報に応じて、これらを使い分ける態様もある。
【0016】
ユーザPC40は、装置全体を制御する制御部41と、演算に際して作業エリアとして用いられるRAMなどのメモリ42とを有している。また、プログラムや各種設定データなどの記憶に用いられ、半導体メモリやHDDなどの記憶装置からなる記憶部43を有している。さらに、ネットワーク20を介してのデータの送受信や、印刷装置30に接続してデータの送受信を行う通信部44を有している。また、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、バーコードリーダなどの操作部45を有しており、印刷装置30を用いるユーザからの入力操作を受け付ける。また、ユーザが行う印刷作業に必要な画像やテキスト情報などを表示する液晶ディスプレイなどからなる表示部46と、表示部46を制御する表示制御部47とを有している。
なお、印刷装置30は、単体で「缶体印刷装置」として把握できる場合もあるが、印刷装置30とユーザPC40を含めて「缶体印刷装置」として把握することも可能である。
【0017】
〔第1の実施形態におけるホスト装置10の機能構成〕
次に、ホスト装置10にて実行される第1の実施形態における機能について説明する。この第1の実施形態は、ホスト装置10が、印刷装置30にて缶体に印刷される画像のデザインを取得または生成し、その印刷画像情報を印刷装置30に出力する際、印刷装置30の起動に必要となる情報を付加して出力する点に特徴がある。
【0018】
ホスト装置10にて取得または生成される画像のデザインとしては、例えば、ホスト装置10の提供者により独自にデザインされたものや、印刷装置30のユーザのリクエストに基づいてホスト装置10の提供者によりデザインされたものがある。また、ホスト装置10の提供者とユーザとの協力によりデザインされたものや、ユーザによりデザインされたものに対してホスト装置10の提供者が承認を与えたものもある。さらには、ホスト装置10の提供者やユーザ以外の他者(例えばデザイン会社)によりデザインされたものなどもある。
【0019】
また、「印刷装置30の起動に必要となる情報」としては、例えば、そのプログラムが実行されることで印刷装置30が起動する印刷装置起動用のプログラムなどが挙げられる。即ち、ホスト装置10は、印刷装置起動用のプログラムなど、「印刷装置30の起動に必要となる情報」を付加した印刷画像情報を印刷装置30に向けて出力することで、印刷装置30の起動をコントロールする。
【0020】
ここで、ホスト装置10が印刷装置30の起動をコントロールする趣旨について説明する。インクジェットにより缶体にデジタル印刷を施す際、通常の用紙に印刷を施す場合とは異なる独自の処理が必要となる。例えば下地の施されていない缶体にインクジェットで印刷を施す場合には、アルミ缶などの缶体の素材の金属光沢の影響を考慮して画像処理を施す必要がある。また、液体であるインクが缶体に浸透せず、インクが粒状になり易いことから、これらを考慮した色合いなどの選定が必要である。また、印刷面が湾曲していることも考慮しなければならない。かかる缶体に印刷するための独自性から、第1の実施形態では、ホスト装置10から印刷装置30側(印刷装置30、または印刷装置30およびユーザPC40)に印刷画像情報を提供することとしている。そして、かかる印刷画像情報に「印刷装置30の起動に必要となる情報」を付加することで、ホスト装置10から提供された印刷画像情報以外の印刷画像情報による印刷が行われる危険性を軽減させている。
【0021】
図2は、ホスト装置10の第1の実施形態における機能構成を示す図である。ホスト装置10は、例えばネットワーク20を介して他のコンピュータ装置から、印刷装置30を一意に特定可能な識別情報を含む印刷装置情報を取得する印刷装置情報取得部101を有する。また、ホスト装置10により印刷画像情報を生成する場合に機能する印刷画像情報生成部102を有する。印刷画像情報生成部102は、例えばホスト装置10の提供者が独自に画像をデザインする場合に機能する。また、ホスト装置10は、他のコンピュータ装置(図示せず)により生成された印刷画像情報を、ネットワーク20を介して取得する場合に機能する印刷画像情報取得部103を有する。印刷画像情報取得部103は、例えば依頼先のデザイン会社から印刷画像情報を取得する場合に機能する。また、ホスト装置10は、印刷画像情報取得部103により取得された印刷画像情報を印刷装置情報に対応付けて、記憶部13やDB50に記憶する印刷画像情報記憶部104を有する。
【0022】
また、ホスト装置10は、印刷画像情報記憶部104により記憶された情報を読み出す印刷画像情報読出部105を有する。また、印刷装置30毎に予め生成されて、記憶部13やDB50に記憶されている「印刷装置30の起動に必要となる情報」を読み出す起動情報読出部106を有する。また、印刷画像情報読出部105により読み出された印刷画像情報に、起動情報読出部106により読み出された「印刷装置30の起動に必要となる情報」を付加して、これを印刷装置30側に向けて出力する印刷画像情報出力部107を有する。
【0023】
また、ホスト装置10は、印刷装置30側にて行われた印刷の結果を示す情報を、印刷装置30側から取得する印刷結果取得部108を有する。また、印刷結果取得部108により取得された、印刷の結果を示す情報を認識して、当該情報を印刷画像情報記憶部104の記憶内容に反映させる印刷結果処理部109を有する。
ここで、「印刷の結果を示す情報」には、印刷を行った印刷装置30の印刷装置情報と、印刷対象とされた画像を示す情報とが含まれる。印刷結果処理部109がこれらの情報を認識することで、印刷を行った印刷装置30と、その印刷の対象となった画像とがホスト装置10側で把握される。また、印刷結果取得部108により取得される「印刷対象とされた画像を示す情報」は、印刷対象とされた画像を特定可能な情報であればよい。このため、例えば印刷画像情報そのものである必要はない。つまり、ホスト装置10が印刷装置30の起動をコントロールできればよいので、「印刷対象とされた画像を示す情報」は、印刷対象となった画像を特定できるものであれば足りる。
【0024】
〔第1の実施形態における印刷装置30の機能構成〕
次に、印刷装置30側にて実行される第1の実施形態における機能について説明する。
図3は、印刷装置30側の第1の実施形態における機能構成を示す図である。ここで「印刷装置30の起動」は、例えば、印刷装置30にて印刷を開始する状態に入ったときを示す。「印刷装置30の起動に必要となる情報」が取得される前は、例えば、印刷装置30における印刷指示の待機状態、スリープ状態、などが挙げられる。かかる状態にて、「印刷装置30の起動に必要となる情報」の有無を印刷装置30にて判断する態様がある。また、「印刷装置30の起動に必要となる情報」の有無は稼働中のユーザPC40にて判断し、印刷指示の情報
をユーザPC40から印刷装置30に送信する態様もある。何れの態様でも、印刷装置30側(印刷装置30、または印刷装置30およびユーザPC40)にて、第1の実施形態が実行される。
【0025】
印刷装置30側は、ホスト装置10から出力された印刷画像情報を取得する印刷画像情報取得部301を有する。また、取得された印刷画像情報を、ユーザPC40の記憶部43や印刷装置30の記憶部36等に記憶する印刷画像情報記憶部302を有する。また、記憶された印刷画像情報を印刷画像情報記憶部302から読み出す印刷画像情報読出部303を有する。また、読み出された印刷画像情報から「印刷装置30の起動に必要となる情報」を抽出する起動情報抽出部304を有する。起動情報抽出部304は、例えば、印刷装置起動用のプログラムや、印刷装置起動用のパスコードを抽出する。また、印刷装置30側は、抽出された「印刷装置30の起動に必要となる情報」により印刷装置30の起動を制御する起動制御部305を有する。また、印刷装置30による印刷の結果を、「印刷の結果を示す情報」として通信部32、ネットワーク20を介してホスト装置10へ出力する印刷結果出力部306を有する。
【0026】
〔第1の実施形態におけるホスト装置10の処理〕
次に、ホスト装置10にて実行される処理について、
図1、
図2および
図4を用いて説明する。
図4(A)および(B)は、ホスト装置10にて実行される第1の実施形態における処理の具体例を示すフローチャートである。なお、
図4(A)は、ホスト装置10にて印刷画像情報が取得されてから印刷装置30に出力されるまでの処理を示している。また、
図4(B)は、印刷装置30からホスト装置10に「印刷の結果を示す情報
」が出力された後のホスト装置10における処理を示している。
ここで、
図4(A)および(B)に示すフローチャートについて、具体例を用いて説明する。即ち、本具体例におけるユーザは、いわゆる地ビールを生産する地域密着型のビール製造会社であるものとする。ユーザは、本社が所在する地域の自治体とコラボレートして、地域活性化のキャンペーン商品として地ビールを提供することとなった。そして、ユーザと自治体との協議の結果、当該地域にゆかりのある歴史上の人物を模したキャラクターCを一部に含む画像を印刷した缶ビール500本をユーザが製造することとなった。ユーザは、当該キャラクターCのデザインについて、ホスト装置10の提供者に相談した。そして、相談の結果、ホスト装置10の提供者が当該デザインを担当することとなった。ホスト装置10の提供者は、自社が保有する他のコンピュータ装置(図示せず)を用いて当該デザインを行い、そのデザインの内容についてユーザ及び自治体の了承を得た。
【0027】
このような前提の下、まず、
図4(A)に示すように、ホスト装置10の印刷装置情報取得部101は、例えば印刷装置30の提供者が保有する、他のコンピュータ装置(図示せず)から印刷装置情報を取得する(ステップ101)。また、印刷画像情報取得部103は、ホスト装置10の提供者が保有する、他のコンピュータ装置(図示せず)からキャラクターCのデザインを一部に含む画像の印刷画像情報を取得する(ステップ102)。印刷画像情報記憶部104は、取得された印刷装置情報と、印刷画像情報とを対応付けて、記憶部13やDB50に記憶する(ステップ103)。
【0028】
そして、印刷画像情報読出部105は、記憶された印刷装置情報と印刷画像情報とを印刷画像情報記憶部104から読み出す(ステップ104)。また、起動情報読出部106は、記憶されている印刷装置起動用のプログラムを読み出す(ステップ105)。そして、印刷画像情報出力部107が、印刷画像情報に印刷装置起動用のプログラムを付加し、印刷装置30側に向けて出力して(ステップ106)、処理が終了する。
【0029】
次に、印刷装置30からホスト装置10に
印刷の結果を示す情報が出力された後にて、
図4(B)に示すように、ホスト装置10の印刷結果取得部108は、印刷装置30側にて行われた印刷の結果を示す情報を、印刷装置30側から取得する(ステップ111)。そして、印刷結果処理部109は、印刷の結果を示す情報を認識する(ステップ112)。その後、印刷結果処理部109が、印刷の結果を示す情報を印刷画像情報記憶部104の記憶内容に反映させて(ステップ113)、処理が終了する。なお、ここで行われる記憶内容への反映は、印刷装置起動用のプログラムが付加された印刷画像情報による画像の印刷が完了したという実績について、印刷装置情報と、印刷対象とされた画像を示す情報とを対応付けて記憶する等である。
【0030】
〔第1の実施形態における印刷装置30の処理〕
次に、印刷装置30側にて実行される処理について、
図1、
図3および
図5を用いて説明する。
図5は、印刷装置30側にて実行される第1の実施形態における処理を示すフローチャートである。
なお、
図5のフローチャートにおいても、上述の具体例を用いて説明する。
【0031】
まず、印刷装置30の印刷画像情報取得部301は、ホスト装置10から出力された印刷画像情報を取得する(ステップ201)。そして、印刷装置30の印刷画像情報記憶部302は、印刷画像情報取得部301にて取得された印刷画像情報を、ユーザPC40の記憶部43や印刷装置30の記憶部36等に記憶する(ステップ202)。
【0032】
そして、印刷装置30の印刷画像情報読出部303は、記憶された印刷画像情報を印刷画像情報記憶部302から読み出す(ステップ203)。そして、印刷装置30の起動情報抽出部304は、読み出された印刷画像情報に付加されている印刷装置起動用のプログラムを抽出する(ステップ204)。そして、起動制御部305は、抽出された印刷装置起動用のプログラムにより印刷装置30の起動を制御する(ステップ205)。そして、印刷結果出力部306が、印刷装置30による印刷の結果を、「印刷の結果を示す情報」として通信部32、ネットワーク20を介してホスト装置10へ出力して(ステップ206)、処理が終了する。
【0033】
ここで、起動制御部305は、印刷画像情報から「印刷装置30の起動に必要となる情報」が抽出されると、印刷装置30を起動させる。これに対して、「印刷装置30の起動に必要となる情報」が抽出されなかった場合、起動制御部305は、印刷装置30を起動させない。この場合、「印刷装置30の起動に必要となる情報」が抽出されず、印刷装置30を起動できなかったという結果は、「印刷の結果を示す情報」として取り扱われる。即ち、当該結果は、印刷結果出力部306によりホスト装置10に出力される。
【0034】
以上のように、第1の実施形態では、まず、印刷対象となる印刷画像情報(例えばキャラクターCのデザインを一部に含む画像の印刷画像情報)が、ホスト装置10により取得(または生成)され、印刷装置30側に出力される。ホスト装置10から出力された印刷画像情報には「印刷装置30の起動に必要となる情報」(例えば印刷装置起動用のプログラム)が付加されている。このため、「印刷装置30の起動に必要となる情報」が付加されていない印刷画像情報では、印刷装置30が起動しないので、印刷しようとしても印刷することはできない。即ち、印刷装置30の起動は、ホスト装置10によりコントロールされる。
【0035】
〔第2の実施形態におけるホスト装置10の機能構成〕
次に、ホスト装置10にて実行される第2の実施形態における機能について説明する。この第2の実施形態は、ホスト装置10が、印刷装置30にて缶体に印刷される画像のデザインを取得または生成し、その印刷画像情報を印刷装置30に出力する際、その画像に認証情報が付加されている点に特徴がある。なお、第1の実施形態と同様の機能については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
ここで、「画像に認証情報を付加」としては、例えば画像の一部または全部に認証情報が表現されている態様がある。また、「認証情報を表現する」手法としては、例えば、缶体に印刷される画像のデザイン自体に認証情報を保持させる手法や、缶体に印刷される画像の一部にコード情報を含ませる手法などが挙げられる。
即ち、ホスト装置10は、例えば上述の手法を用いて画像の一部または全部に認証情報を付加することで、印刷装置30の印刷をコントロールする。また、認証情報には印刷可能数量が紐付けられている。このため、ホスト装置10は、印刷装置30の印刷の数量もコントロールする。
なお、ホスト装置10が印刷装置30の印刷をコントロールする趣旨については、第1の実施形態における、ホスト装置10が印刷装置30の起動をコントロールする趣旨と同様である。即ち、上述した缶体に印刷するための独自性から、第2の実施形態でも、ホスト装置10から印刷装置30側に印刷画像情報を提供することとしている。そして、かかる印刷画像情報の画像の一部または全部に認証情報を付加することで、ホスト装置10から提供された印刷画像情報以外の印刷画像情報による印刷が行われる危険性を軽減させている。
【0036】
認証情報に紐付けられた印刷可能数量は、正規のユーザにより印刷されるべきものとして定められた缶体の数量に基づいて定められる。具体的には、例えば、正規のユーザがその画像を施した缶詰商品を製造するために、原料として購入した缶体の数量(歩留まり分を含む)に基づいて定められる。
ここで、「正規のユーザ」とは、ホスト装置10の提供者から、印刷を行うための印刷装置30と、印刷を施す対象となる缶体と、認証情報が付加された印刷画像情報の提供を受けたユーザのことをいう。このため、ホスト装置10の提供者から、印刷装置30と、缶体と、認証情報が付加された印刷画像情報とのうち、いずれか1つでも提供を受けていない者は、正規のユーザには該当しない。
【0037】
図6は、ホスト装置10の第2の実施形態における機能構成を示す図である。ホスト装置10は、印刷装置30を一意に特定可能な識別情報を含む印刷装置情報を取得する印刷装置情報取得部101を有する。また、ホスト装置10より印刷画像情報を生成する場合に機能する印刷画像情報生成部102を有する。また、他のコンピュータ装置(図示せず)により生成された印刷画像情報を取得する場合に機能する印刷画像情報取得部103を有する。また、取得された印刷画像情報を印刷装置情報に対応付けて記憶する印刷画像情報記憶部104を有する。また、印刷画像情報記憶部104により記憶された情報を読み出す印刷画像情報読出部105を有する。また、印刷画像情報毎に予め生成されて、記憶部13やDB50に記憶されている認証情報を読み出す認証情報読出部110を有する。また、印刷画像情報読出部105により読み出された印刷画像情報に、認証情報読出部110により読み出された認証情報を付加する制御を行う認証情報付加制御部111を有する。また、認証情報が付加された印刷画像情報を印刷装置30側に向けて出力する印刷画像情報出力部107を有する。
【0038】
また、ホスト装置10は、印刷装置30側にて行われた印刷の結果を示す情報を、印刷装置30側から取得する印刷結果取得部108を有する。また、取得された「印刷の結果を示す情報」を認識して、当該情報を印刷画像情報記憶部104の記憶内容に反映させる印刷結果処理部109を有する。
【0039】
〔第2の実施形態における印刷装置30の機能構成〕
次に、印刷装置30側にて実行される第2の実施形態における機能について説明する。
図7は、印刷装置30側の第
2の実施形態における機能構成を示す図である。印刷装置30側は、ホスト装置10から出力された印刷画像情報を取得する印刷画像情報取得部301を有する。また、取得された印刷画像情報を記憶する印刷画像情報記憶部302を有する。また、記憶された印刷画像情報を読み出す印刷画像情報読出部303を有する。また、読み出された印刷画像情報に付加された認証情報を抽出する認証情報抽出部307を有する。認証情報抽出部307は、例えば、画像の一部に含まれるコード情報や、印刷の権限が付加された画像情報を一意に識別可能な識別画像などの認証情報を抽出する。また、印刷装置30側は、抽出された認証情報により印刷装置30の印刷を制御する印刷制御部308を有する。また、印刷装置30により印刷された缶体の数量の計測を制御する数量計測制御部309を有する。また、印刷装置30による印刷の結果を、「印刷の結果を示す情報」としてホスト装置10へ出力する印刷結果出力部306を有する。
【0040】
〔第2の実施形態におけるホスト装置10の処理〕
次に、ホスト装置10にて実行される処理について、
図1、
図6および
図8を用いて説明する。
図8(A)および(B)は、ホスト装置10にて実行される第2の実施形態における処理の具体例を示すフローチャートである。なお、
図8(A)は、ホスト装置10にて印刷画像情報が取得されてから、その画像に認証情報が付加されて印刷装置30側に出力されるまでの処理を示している。また、
図8(B)は、印刷装置30からホスト装置10に「印刷の結果を示す情報」が出力された後のホスト装置10における処理を示している。
なお、
図8(A)および(B)に示すフローチャートについても、第1の実施形態における具体例を用いて説明する。
【0041】
このような前提の下、まず、
図8(A)に示すように、ホスト装置10の印刷装置情報取得部101は、印刷装置情報を取得する(ステップ801)。また、印刷画像情報取得部103は、印刷画像情報を取得する(ステップ802)。印刷画像情報記憶部104は、取得された印刷装置情報と、印刷画像情報とを対応付けて記憶する(ステップ803)。
【0042】
そして、印刷画像情報読出部105は、記憶された印刷装置情報と、印刷画像情報とを印刷画像情報記憶部104から読み出す(ステップ804)。また、認証情報読出部110は、記憶されている認証情報を読み出す(ステップ805)。そして、認証情報付加制御部111は、印刷画像情報に認証情報を付加する(例えばコード情報を含ませる)制御を行う(ステップ806)。そして、印刷画像情報出力部107が、認証情報が付加された印刷画像情報を印刷装置30側に向けて出力して(ステップ807)、処理が終了する。
【0043】
次に、印刷装置30からホスト装置10に「印刷の結果を示す情報」が出力された後にて、
図8(B)に示すように、ホスト装置10の印刷結果取得部108は、印刷装置30側にて行われた印刷の結果を示す情報を取得する(ステップ811)。そして、印刷結果処理部109が、印刷の結果を示す情報を認識する(ステップ812)。そして、印刷結果処理部109が、当該情報を印刷画像情報記憶部104の記憶内容に反映させて(ステップ813)、処理が終了する。なお、ここで行われる記憶内容への反映は、認証情報が付加された印刷画像情報の画像の印刷が完了したという実績について、印刷装置情報と、印刷対象とされた画像を示す情報とを対応付けて記憶する等である。
【0044】
〔第2の実施形態における印刷装置30の処理〕
次に、印刷装置30側にて実行される処理について、
図1、
図7および
図9を用いて説明する。
図9は、印刷装置30側にて実行される第2の実施形態における処理を示すフローチャートである。
なお、
図9に示すフローチャートについても、第1の実施形態における具体例を用いて説明する。
【0045】
まず、印刷装置30の印刷画像情報取得部301は、ホスト装置10から出力された印刷画像情報を取得する(ステップ901)。そして、印刷画像情報記憶部302は、印刷画像情報取得部301にて取得された印刷画像情報を記憶する(ステップ902)。
【0046】
そして、印刷画像情報読出部303は、記憶された印刷画像情報を印刷画像情報記憶部302から読み出す(ステップ903)。そして、認証情報抽出部307は、読み出された印刷画像情報に付加された認証情報を抽出する(ステップ904)。そして、印刷制御部308は、抽出された認証情報により印刷装置30の印刷を制御する(ステップ905)。また、数量計測制御部309は、印刷装置30により印刷された缶体の数量を計測する(ステップ906)。ここで、印刷制御部308は、数量計測制御部309により計測された印刷数量が印刷可能数量として予め設定された500本に達すると印刷を停止させる。そして、印刷結果出力部306が、印刷装置30による印刷の結果を、「印刷の結果を示す情報」としてホスト装置10へ出力して(ステップ907)、処理が終了する。
【0047】
ここで、印刷制御部308は、印刷画像情報から認証情報が抽出された場合には、当該認証情報による認証を行ったうえで印刷を開始する。これに対して、認証情報が抽出されなかった場合には、認証を行うことができないので印刷は開始されない。この場合、認証情報が抽出されず、印刷装置30による印刷が開始されなかったという結果は、「印刷の結果を示す情報」として印刷結果出力部306によりホスト装置10に出力される。
また、印刷制御部308は、抽出された認証情報で定められている印刷可能数量の範囲内で印刷を行い、印刷数量が印刷可能数量に達すると印刷を停止させる。
【0048】
以上のように、第2の実施形態では、まず、第1の実施形態と同様に、印刷対象となる印刷画像情報(例えばキャラクターCのデザインを一部に含む画像の印刷画像情報)が、ホスト装置10により取得(または生成)され、印刷装置30側に出力される。ただし、第2の実施形態では、ホスト装置10から出力された印刷画像情報の画像には認証情報(例えばコード情報や、印刷の権限が付加された画像情報を一意に識別可能な識別画像などの認証情報)が付加されている。このため、認証情報が付加されていない画像では、印刷装置30の印刷を行うことができない。さらに、認証情報には印刷可能数量(例えば500本)が紐付けられている。このため、印刷装置30の印刷は、その数量とともにホスト装置10によりコントロールされる。
【0049】
なお、上述の実施の形態で説明した、印刷装置30の起動に必要となる情報や、缶体に印刷される画像に付加された認証情報は、印刷画像情報に付加される「印刷を行うために必要となる情報」の一例に過ぎない。このため、印刷装置30の起動に必要となる情報としての印刷装置起動用のプログラムや、印刷装置起動用のパスコードも一例に過ぎない。さらに、缶体に印刷される画像に認証情報を付加させる手法として説明した、画像のデザイン自体に認証情報を保持させる手法や、認証情報にコード情報を含ませる手法も一例に過ぎない。即ち、「印刷を行うために必要となる情報」は、上述の実施の形態で示した例に限定されない。印刷装置30、缶体、及び印刷画像情報を、ホスト装置10にてコントロール可能なあらゆる情報を、「印刷を行うために必要となる情報」として採用できる。
【符号の説明】
【0050】
1…缶体印刷システム、10…ホスト装置、11…制御部、30…印刷装置、31…制御部、32…通信部、33…印刷部、34…計測部、40…ユーザPC、101…印刷装置情報取得部、102…印刷画像情報生成部、103…印刷画像情報取得部、104…印刷画像情報記憶部、105…印刷画像情報読出部、106…起動情報読出部、107…印刷画像情報出力部、108…印刷結果取得部、109…印刷結果処理部、110…認証情報読出部、111…認証情報付加制御部、301…印刷画像情報取得部、302…印刷画像情報記憶部、303…印刷画像情報読出部、304…起動情報抽出部、305…起動制御部、306…印刷結果出力部、307…認証情報抽出部、308…印刷制御部、309…数量計測制御部