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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】干渉確認装置及びそれを備えた実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231129BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20231129BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
G06F30/10 100
G06F30/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020040680
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021144971
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】松野 順也
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-194507(JP,A)
【文献】特開2006-261205(JP,A)
【文献】特開平02-005499(JP,A)
【文献】特開2009-123077(JP,A)
【文献】特開2004-178006(JP,A)
【文献】特開2006-215750(JP,A)
【文献】特開平11-184898(JP,A)
【文献】特開2007-272925(JP,A)
【文献】特開昭63-239557(JP,A)
【文献】特開平9-016648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
G06F 30/00 - 30/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して相対的に移動可能なヘッドユニットの搭載ヘッドにより部品を保持して前記基板上の予め定められた搭載位置に搭載するときの、前記搭載ヘッドと前記基板上の既搭載部品との干渉の確認に用いられる干渉確認装置であって、
前記搭載位置への部品の搭載時における前記搭載ヘッドの三次元立体を投影図で表したヘッド図形と、前記既搭載部品の三次元立体を投影図で表した既搭載部品図形とを含む図形データを作成する図形データ作成部と、
前記図形データを表示画面に表示する表示部と、
前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形の視点の位置を設定する視点設定処理と、前記視点から見た前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形が前記表示画面に表示されるように前記表示部を制御する表示制御処理とを実行する表示制御部と、
前記搭載ヘッドにより保持された部品の前記搭載ヘッドに対する保持位置のずれ量の許容範囲を示す許容範囲データを取得するデータ取得部と、を備え、
前記図形データ作成部は、前記搭載ヘッドによる部品の保持位置が前記許容範囲で異なる状態を各々示す複数の前記ヘッド図形をそれぞれ個別に含む前記図形データを複数作成し、
前記表示制御部は、
前記ヘッド図形と前記既搭載部品図形とが重なる干渉部位が存在する場合、前記視点設定処理において前記視点の位置を、前記干渉部位が前記表示画面に現れるような位置に設定し、
前記表示制御処理において、前記複数の図形データが連続的に順次表示されるように、前記表示部を制御する、干渉確認装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記表示制御処理において、前記図形データにおける前記干渉部位が、当該干渉部位以外の残余部位との区別が可能な特定の表示形態で表示されるように、前記表示部を制御する、請求項1に記載の干渉確認装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記表示制御処理において、前記特定の表示形態として前記干渉部位の色が前記残余部位の色とは異なる特定色で表示されるように、前記表示部を制御する、請求項2に記載の干渉確認装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記表示画面に前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形が表示されたときの各図形の位置関係に関する指標であって、前記表示画面上での前記干渉部位の有無確認の容易性の指標となる所定の評価値に基づいて、前記視点設定処理において前記視点の位置を設定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の干渉確認装置。
【請求項5】
前記評価値は、大きい値を取るほど前記表示画面上での前記干渉部位の有無確認の容易性が増大するものであり、
前記表示制御部は、前記視点設定処理において、前記表示画面上で互いに直交する第1軸及び第2軸を回転軸として所定の角度ずつ回転させることで前記視点を移動させたときの、各角度での前記評価値をそれぞれ算出し、前記評価値が最大となる角度に対応した位置を前記視点の位置として設定する、請求項4に記載の干渉確認装置。
【請求項6】
前記視点の位置の変更を指令する視点変更指令の入力操作を受け付ける操作部を、更に備え、
前記表示制御部は、前記操作部に前記視点変更指令が入力された場合、前記視点設定処理において前記視点の位置を、前記視点変更指令に応じた位置に設定する、請求項1~5のいずれか1項に記載の干渉確認装置。
【請求項7】
前記許容範囲データのデータ変更の指令を示す許容範囲変更指令の入力操作を受け付ける操作部を、更に備え、
前記図形データ作成部は、前記操作部に前記許容範囲変更指令が入力された場合、前記搭載ヘッドによる部品の保持位置が前記許容範囲変更指令に応じた許容範囲で異なる状態を各々示す複数の前記ヘッド図形をそれぞれ個別に含む前記図形データを複数作成し、
前記表示制御部は、前記表示制御処理において、前記複数の図形データが連続的に順次表示され、且つ、前記複数の図形データの各々における前記干渉部位の有無が表示されるように、前記表示部を制御する、請求項1に記載の干渉確認装置。
【請求項8】
基板に対して相対的に移動可能なヘッドユニットの搭載ヘッドにより部品を保持して前記基板上の予め定められた搭載位置に搭載するときの、前記搭載ヘッドと前記基板上の既搭載部品との干渉の確認に用いられる干渉確認装置であって、
前記搭載位置への部品の搭載時における前記搭載ヘッドの三次元立体を投影図で表したヘッド図形と、前記既搭載部品の三次元立体を投影図で表した既搭載部品図形とを含む図形データを作成する図形データ作成部と、
前記図形データを表示画面に表示する表示部と、
前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形の視点の位置を設定する視点設定処理と、前記視点から見た前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形が前記表示画面に表示されるように前記表示部を制御する表示制御処理とを実行する表示制御部と、
前記搭載ヘッドにより保持された部品の前記搭載ヘッドに対する保持位置のずれ量の許容範囲を示す許容範囲データを取得するデータ取得部と、を備え、
前記図形データ作成部は、前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形のいずれか一方の図形を、前記許容範囲に基づく所定の拡大率で拡大して示す拡大図形データを作成し、
前記表示制御部は、
前記ヘッド図形と前記既搭載部品図形とが重なる干渉部位が存在する場合、前記視点設定処理において前記視点の位置を、前記干渉部位が前記表示画面に現れるような位置に設定し、
前記図形データ作成部によって前記拡大図形データが作成された場合、前記表示制御処理において、前記拡大図形データが表示されるように、前記表示部を制御する、干渉確認装置。
【請求項9】
基板に対して相対的に移動可能に設けられ、部品を保持して前記基板上の予め定められた搭載位置に搭載する搭載ヘッドを有するヘッドユニットと、
前記搭載ヘッドと前記基板上の既搭載部品との干渉の確認に用いられる、請求項1~8のいずれか1項に記載の干渉確認装置と、を備える、実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドユニットの搭載ヘッドにより部品を基板に搭載するときの搭載ヘッドと既搭載部品との干渉の確認に用いられる干渉確認装置、及び当該干渉確認装置を備えた実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリント配線板等の基板上に電子部品(以下、単に「部品」という)を搭載する実装機が知られている。この種の実装機は、部品を保持すると共に当該部品を基板に搭載する搭載ヘッドを備え、搭載ヘッドが所定の基板データ(実装データ)に従って駆動制御されることにより、部品が基板上に搭載される。
【0003】
特許文献1には、基板データが適切であるかの確認を可能とする技術が開示されている。この技術では、基板データに含まれる部品の搭載位置や部品の形状などの情報に基づいて、基板上に設定された搭載位置に部品が搭載された状態を示す三次元図形データを表示し、更には、搭載ヘッドによる部品の搭載状態を示す三次元図形データを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-288256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基板データに従って搭載ヘッドが基板上に設定された搭載位置に部品を搭載するときに、基板上に搭載済みの既搭載部品と搭載ヘッドとの干渉が生じ得る。このような搭載ヘッドの搭載動作時における既搭載部品との干渉は、基板上への部品の搭載品質に影響を与える。このため、搭載ヘッドと既搭載部品との干渉を確認することが可能な技術が求められる。
【0006】
特許文献1に開示される技術では、三次元図形データの表示によって、基板上に設定された搭載位置における部品同士の干渉を確認することは可能であるが、搭載ヘッドの搭載動作時における既搭載部品との干渉については確認することができない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基板上に設定された搭載位置に部品を搭載するときの、搭載ヘッドと基板上の既搭載部品との干渉を確認することが可能な干渉確認装置、及びそれを備えた実装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る干渉確認装置は、基板に対して相対的に移動可能なヘッドユニットの搭載ヘッドにより部品を保持して前記基板上の予め定められた搭載位置に搭載するときの、前記搭載ヘッドと前記基板上の既搭載部品との干渉の確認に用いられる装置である。この干渉確認装置は、前記搭載位置への部品の搭載時における前記搭載ヘッドの三次元立体を投影図で表したヘッド図形と、前記既搭載部品の三次元立体を投影図で表した既搭載部品図形とを含む図形データを作成する図形データ作成部と、前記図形データを表示画面に表示する表示部と、前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形の視点の位置を設定する視点設定処理と、前記視点から見た前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形が前記表示画面に表示されるように前記表示部を制御する表示制御処理とを実行する表示制御部と、前記搭載ヘッドにより保持された部品の前記搭載ヘッドに対する保持位置のずれ量の許容範囲を示す許容範囲データを取得するデータ取得部と、を備える。前記図形データ作成部は、前記搭載ヘッドによる部品の保持位置が前記許容範囲で異なる状態を各々示す複数の前記ヘッド図形をそれぞれ個別に含む前記図形データを複数作成する。前記表示制御部は、前記ヘッド図形と前記既搭載部品図形とが重なる干渉部位が存在する場合、前記視点設定処理において前記視点の位置を、前記干渉部位が前記表示画面に現れるような位置に設定し、前記表示制御処理において、前記複数の図形データが連続的に順次表示されるように、前記表示部を制御する。
【0009】
この干渉確認装置によれば、図形データ作成部は、基板上に設定された搭載位置への部品の搭載時における搭載ヘッドの三次元立体を投影図で表したヘッド図形と、基板上に搭載済みの既搭載部品の三次元立体を投影図で表した既搭載部品図形とを含む図形データを作成する。この作成された図形データは、表示制御部によって制御された表示部の表示画面に表示される。表示制御部は、ヘッド図形と既搭載部品図形とが重なる干渉部位が存在する場合、各図形を見るときの視点の位置を干渉部位が表示画面に現れるような位置に設定する。これにより、干渉部位が存在する場合には、当該干渉部位が表示画面上に現れた状態で、ヘッド図形及び既搭載部品図形が表示される。表示部の表示画面に表示された図形データは、搭載ヘッドによる基板上への部品の搭載時における、搭載ヘッドと既搭載部品との位置関係を詳細に表現したものとなる。このため、表示画面に表示された図形データを見ることによって、オペレータは、搭載ヘッドによる部品搭載時において、搭載ヘッドと既搭載部品との干渉の有無を確認することができると共に、干渉が発生する場合には、その干渉部位の詳細を確認することができる。
また、表示部は、搭載ヘッドによって保持された部品の保持位置が許容範囲内でずれた場合を表現した複数のヘッド図形をそれぞれ個別に含む複数の図形データを、動画のように連続的に表示画面に表示する。連続的に表示画面に表示される複数の図形データを見ることによって、オペレータは、搭載ヘッドによる保持部品の保持位置のずれ量と干渉の発生との関係性や、保持位置のずれが生じていない場合でも干渉が発生するのか、などを簡単に確認することができる。
【0010】
上記の干渉確認装置において、前記表示制御部は、前記表示制御処理において、前記図形データにおける前記干渉部位が、当該干渉部位以外の残余部位との区別が可能な特定の表示形態で表示されるように、前記表示部を制御する構成であってもよい。
【0011】
また、上記の干渉確認装置において、前記表示制御部は、前記表示制御処理において、前記特定の表示形態として前記干渉部位の色が前記残余部位の色とは異なる特定色で表示されるように、前記表示部を制御する構成であってもよい。
【0012】
この態様では、表示画面に表示された図形データにおいて、干渉部位と残余部位との区別が容易となり、干渉部位の詳細をより容易に確認することができる。特に、干渉部位の色が残余部位の色とは異なる特定色で表示されると、干渉部位の確認の容易性がより顕著となる。
【0013】
上記の干渉確認装置において、前記表示制御部は、前記表示画面に前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形が表示されたときの各図形の位置関係に関する指標であって、前記表示画面上での前記干渉部位の有無確認の容易性の指標となる所定の評価値に基づいて、前記視点設定処理において前記視点の位置を設定する構成であってもよい。
【0014】
また、上記の干渉確認装置において、前記評価値は、大きい値を取るほど前記表示画面上での前記干渉部位の有無確認の容易性が増大するものであり、前記表示制御部は、前記視点設定処理において、前記表示画面上で互いに直交する第1軸及び第2軸を回転軸として所定の角度ずつ回転させることで前記視点を移動させたときの、各角度での前記評価値をそれぞれ算出し、前記評価値が最大となる角度に対応した位置を前記視点の位置として設定する構成であってもよい。
【0015】
この態様では、表示制御部が所定の評価値に基づき視点の位置を設定するので、干渉部位の有無の確認や、干渉部位が存在する場合にはその詳細の確認が容易となるような視点から見たヘッド図形及び既搭載部品図形を、自動的に表示画面に表示することができる。
【0016】
上記の干渉確認装置は、前記視点の位置の変更を指令する視点変更指令の入力操作を受け付ける操作部を、更に備える構成であってもよい。そして、前記表示制御部は、前記操作部に前記視点変更指令が入力された場合、前記視点設定処理において前記視点の位置を、前記視点変更指令に応じた位置に設定する。
【0017】
この態様では、オペレータは、操作部に対する入力操作によって手動で、表示画面上のヘッド図形及び既搭載部品図形の視点の位置を変更することができる。
【0020】
本発明の他の局面に係る干渉確認装置は、基板に対して相対的に移動可能なヘッドユニットの搭載ヘッドにより部品を保持して前記基板上の予め定められた搭載位置に搭載するときの、前記搭載ヘッドと前記基板上の既搭載部品との干渉の確認に用いられる装置である。この干渉確認装置は、前記搭載位置への部品の搭載時における前記搭載ヘッドの三次元立体を投影図で表したヘッド図形と、前記既搭載部品の三次元立体を投影図で表した既搭載部品図形とを含む図形データを作成する図形データ作成部と、前記図形データを表示画面に表示する表示部と、前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形の視点の位置を設定する視点設定処理と、前記視点から見た前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形が前記表示画面に表示されるように前記表示部を制御する表示制御処理とを実行する表示制御部と、前記搭載ヘッドにより保持された部品の前記搭載ヘッドに対する保持位置のずれ量の許容範囲を示す許容範囲データを取得するデータ取得部と、を備える。そして、前記図形データ作成部は、前記ヘッド図形及び前記既搭載部品図形のいずれか一方の図形を、前記許容範囲に基づく所定の拡大率で拡大して示す拡大図形データを作成する。前記表示制御部は、前記ヘッド図形と前記既搭載部品図形とが重なる干渉部位が存在する場合、前記視点設定処理において前記視点の位置を、前記干渉部位が前記表示画面に現れるような位置に設定し、前記図形データ作成部によって前記拡大図形データが作成された場合、前記表示制御処理において、前記拡大図形データが表示されるように、前記表示部を制御する。
【0021】
この態様では、表示部は、搭載ヘッドによって保持された部品の保持位置が許容範囲内でずれた場合を表現した拡大図形データを表示画面に表示する。表示画面に表示された拡大図形データを見ることによって、オペレータは、搭載ヘッドによる保持部品の保持位置のずれ量と干渉の発生との関係性や、保持位置のずれが生じていない場合でも干渉が発生するのか、などを簡単に確認することができる。
【0022】
本発明の他の局面に係る実装機は、基板に対して相対的に移動可能に設けられ、部品を保持して前記基板上の予め定められた搭載位置に搭載する搭載ヘッドを有するヘッドユニットと、前記搭載ヘッドと前記基板上の既搭載部品との干渉の確認に用いられる、上記の干渉確認装置と、を備える。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、基板上に設定された搭載位置に部品を搭載するときの、搭載ヘッドと基板上の既搭載部品との干渉を確認することが可能な干渉確認装置、及びそれを備えた実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る干渉確認装置を備えた実装機のブロック図である。
図2】実装機本体の構成を示す平面図である。
図3】ヘッドユニットの部分を拡大して示す図である。
図4】干渉確認装置における表示部の表示画面に図形データが表示された状態を示す図である。
図5】干渉確認装置における表示部の表示画面に図形データが表示された状態を示す図である。
図6】干渉確認装置における表示部の表示画面に図形データが表示された状態を示す図である。
図7】干渉確認装置における表示部の表示画面に図形データが表示された状態を示す図である。
図8】干渉確認装置の表示制御部が実行する視点設定処理を説明する図である。
図9】干渉確認装置の表示制御部が実行する視点設定処理を説明する図である。
図10】干渉確認装置の表示制御部が実行する視点設定処理を説明する図である。
図11】表示部が指令入力案内領域を含む表示画面を表示した状態を示す図である。
図12】搭載ヘッドの吸着ノズルによる部品の保持位置を説明する図である。
図13】干渉確認装置の図形データ作成部によって作成された複数の図形データを示す図である。
図14】表示部が許容範囲変更案内領域を含む表示画面を表示した状態を示す図である。
図15】表示部の表示画面に拡大図形データが表示された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る干渉確認装置及びそれを備えた実装機について、図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る干渉確認装置5を備えた実装機1のブロック図である。実装機1は、プリント基板(以下、「基板」と称する)上に電子部品(以下、「部品」と称する)が搭載された電子回路基板を生産する装置である。実装機1は、実装機本体2と、制御装置3と、記憶装置4と、干渉確認装置5とを備える。実装機本体2は、部品搭載動作を行う構造部分を構成する。記憶装置4は、実装機本体2の部品搭載動作の際に参照される基板データ41を記憶する。制御装置3は、記憶装置4に記憶されている基板データ41を読み出し、当該基板データ41に基づいて実装機本体2の部品搭載動作を制御する。干渉確認装置5は、実装機本体2の部品搭載動作においてヘッドユニット25が基板上に部品を搭載するときの、基板上に搭載済みの既搭載部品とヘッドユニット25との干渉をオペレータが確認するときに用いられる。
【0027】
まず、実装機本体2について、図1に加えて図2及び図3を参照して説明する。図2は、実装機本体2の構成を示す平面図であり、図3は、ヘッドユニット25の部分を拡大して示す図である。なお、以下では、方向関係については水平面上において互いに直交するXY直交座標を用いて説明する。また、X軸方向の一方向側を「+X側」と称し、X軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-X側」と称する。同様に、Y軸方向の一方向側を「+Y側」と称し、Y軸方向の一方向側とは反対の他方向側を「-Y側」と称する。
【0028】
実装機本体2による部品の搭載前において基板PPには、半田ペーストのパターンが印刷されている。つまり、実装機本体2は、パターン形成装置により半田ペーストのパターンが印刷された基板PPに部品を搭載する。実装機本体2は、本体フレーム21と、コンベア23と、部品供給ユニット24と、ヘッドユニット25と、基板支持ユニット28とを備える。
【0029】
本体フレーム21は、実装機本体2を構成する各部が配置される構造体であり、X軸方向及びY軸方向の両方向と直交する方向(鉛直方向)から見た平面視で略矩形状に形成されている。コンベア23は、X軸方向に延び、本体フレーム21に配置される。コンベア23は、基板PPをX軸方向に搬送する。コンベア23上を搬送される基板PPは、所定の作業位置(基板PP上に部品が搭載される部品搭載位置)に、基板支持ユニット28によって位置決めされるようになっている。基板支持ユニット28は、プッシュアップピンにより基板PPを支持することにより、当該基板PPを位置決めする。
【0030】
部品供給ユニット24は、本体フレーム21におけるY軸方向の+Y側及び-Y側のそれぞれの領域部分に、コンベア23を挟んで配置される。部品供給ユニット24は、本体フレーム21において、フィーダー24Fが複数並設された状態で装着される領域であって、後述のヘッドユニット25に備えられる搭載ヘッド251による保持対象の部品毎に、各フィーダー24Fのセット位置が区画されている。フィーダー24Fは、部品供給ユニット24に着脱自在に装着される。フィーダー24Fは、複数の部品を保持し、その保持した部品をフィーダー内に設定された所定の部品供給位置に供給できるものであれば特に限定されず、例えばテープフィーダーである。テープフィーダーは、部品を所定間隔おきに収納した部品収納テープが巻回されたリールを備え、そのリールから部品収納テープを送出することにより、部品を供給するように構成されたフィーダーである。フィーダー24Fは、保持する部品が同じである限り、例えばテープフィーダーの場合は同じ部品種の部品を収納した部品収納テープが巻回されたリールを装着している限り、同じ種類の部品を供給するものとなる。
【0031】
ヘッドユニット25は、移動フレーム27に保持されている。本体フレーム21上には、Y軸方向に延びる固定レール261と、Y軸サーボモータ263により回転駆動されるボールねじ軸262とが配設されている。移動フレーム27は固定レール261上に配置され、この移動フレーム27に設けられたナット部分271がボールねじ軸262に螺合している。また、移動フレーム27には、X軸方向に延びるガイド部材272と、X軸サーボモータ274により駆動されるボールねじ軸273とが配設されている。このガイド部材272にヘッドユニット25が移動可能に保持され、このヘッドユニット25に設けられたナット部分がボールねじ軸273に螺合している。そして、Y軸サーボモータ263の作動により移動フレーム27がY軸方向に移動すると共に、X軸サーボモータ274の作動によりヘッドユニット25が移動フレーム27に対してX軸方向に移動するようになっている。すなわち、ヘッドユニット25は、移動フレーム27の移動に伴ってY軸方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム27に沿ってX軸方向に移動可能である。ヘッドユニット25は、部品供給ユニット24とコンベア23により搬送された基板PPの所定の作業位置とにわたって移動可能である。
【0032】
ヘッドユニット25は、図3に示すように、複数の搭載ヘッド251を備えている。各搭載ヘッド251は、部品供給ユニット24から部品を取り出すと共に、その取り出した部品を基板PP上に搭載(実装)する部品搭載動作を行う。搭載ヘッド251には、その先端(下端)に吸着ノズル2511が装着されている。吸着ノズル2511は、部品供給ユニット24に配列されたフィーダー24Fにより供給された部品を吸着して保持可能な保持具である。吸着ノズル2511は、電動切替弁を介して負圧発生装置、正圧発生装置及び大気の何れかに連通可能とされている。つまり、吸着ノズル2511に負圧が供給されることで当該吸着ノズル2511による部品の吸着保持(部品の取り出し)が可能となり、その後、正圧が供給されることで当該部品の吸着保持が解除される。
【0033】
搭載ヘッド251は、ヘッドユニット25のフレームに対してZ軸方向(鉛直方向)に昇降可能であると共に、Z軸方向に延びるヘッド軸回りの回転が可能とされている。搭載ヘッド251は、フィーダー24Fによって部品供給位置に供給された部品の吸着ノズル2511による吸着保持が可能な吸着可能位置と、吸着可能位置に対して上方側の退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。つまり、部品供給位置に供給された部品を吸着ノズル2511によって吸着保持するときには、搭載ヘッド251は、退避位置から吸着可能位置へ向かって下降し、当該吸着可能位置において部品を吸着保持する。一方、部品の吸着保持後の搭載ヘッド251は、吸着可能位置から退避位置へ向かって上昇する。更に、搭載ヘッド251は、吸着ノズル2511によって吸着保持された部品を基板PP上の予め定められた搭載位置に搭載することが可能な搭載可能位置と、前記退避位置との間で、Z軸方向に沿って昇降可能である。つまり、吸着保持した部品を基板PP上に搭載するときには、搭載ヘッド251は、退避位置から搭載可能位置へ向かって下降し、当該搭載可能位置において部品を基板PP上に搭載する。一方、部品搭載後の搭載ヘッド251は、搭載可能位置から退避位置へ向かって上昇する。
【0034】
なお、図2に示すように、本体フレーム21上において部品供給ユニット24とコンベア23との間には、部品認識カメラC1が設置されている。部品認識カメラC1は、例えばCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)やCCD(Charged-coupled device)等の撮像素子を備えた撮像カメラである。部品認識カメラC1は、フィーダー24Fの部品供給位置から、コンベア23により搬送された基板PPの作業位置へ向かってヘッドユニット25が移動している間において、搭載ヘッド251の吸着ノズル2511によって吸着保持された部品を、下方側から撮像して部品認識画像を取得する。部品認識カメラC1により取得された部品認識画像は制御装置3に入力される。
【0035】
図1に示すように、記憶装置4は、基板データ41を記憶する記憶部である。基板データ41は、例えば、フィーダーデータ411と、部品三次元データ412と、ヘッド三次元データ413と、ヘッド下降位置データ414と、搭載位置データ415と、許容範囲データ416とを含む。
【0036】
フィーダーデータ411は、部品を供給するフィーダー24Fの情報を示すデータである。フィーダーデータ411としては、例えば、フィーダー24Fの種類、フィーダー24Fの部品供給ユニット24におけるセット位置などが登録されている。部品三次元データ412は、部品の三次元立体の形状情報を示すデータである。部品三次元データ412としては、例えば、部品の種類、部品のX軸方向及びY軸方向の外形寸法、部品の厚みなどが登録されている。
【0037】
ヘッド三次元データ413は、吸着ノズル2511を含めた搭載ヘッド251の三次元立体の形状情報を示すデータである。ヘッド三次元データ413は、例えば、搭載ヘッド251の外形を多数のドットの集合体として特定したデータである。ヘッド下降位置データ414は、基板PP上への部品の搭載時に搭載ヘッド251が下降されたときの搭載ヘッド251の位置を示すデータである。
【0038】
搭載位置データ415は、基板PP上に設定された部品の搭載位置に関する座標の情報を示すデータである。搭載位置データ415としては、例えば、基板PP上における部品のX軸方向の搭載位置に関する座標X、基板PP上における部品のY軸方向の搭載位置に関する座標Yなどが登録されている。許容範囲データ416は、搭載ヘッド251により保持された部品の搭載ヘッド251に対する保持位置のずれ量の許容範囲を示すデータである。許容範囲データ416としては、搭載ヘッド251により吸着保持される部品の被保持面上において、中心位置を基準保持位置とし、当該基準保持位置に対して、+X側のずれ量の許容最大値、-X側のずれ量の許容最大値、+Y側のずれ量の許容最大値、-Y側のずれ量の許容最大値などが登録されている。
【0039】
制御装置3は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御装置3は、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、記憶装置4に記憶されている基板データ41を参照して、実装機本体2の各構成要素の動作を制御する。制御装置3は、図1に示すように、主たる機能構成として、基板搬送制御部31と、部品供給制御部32と、ヘッド制御部33とを含む。
【0040】
基板搬送制御部31は、コンベア23による基板PPの搬送動作を制御する。部品供給制御部32は、部品供給ユニット24に配列された複数のフィーダー24Fの各々の部品供給動作を制御する。
【0041】
ヘッド制御部33は、ヘッドユニット25のX軸方向及びY軸方向の移動動作、搭載ヘッド251の昇降動作及び回転動作を制御することにより、搭載ヘッド251による部品の吸着保持動作と基板PPに対する部品の搭載動作とを制御する。この際、ヘッド制御部33は、基板データ41と、部品認識カメラC1により取得された部品認識画像とを参照する。具体的に、ヘッド制御部33は、搭載ヘッド251による部品の吸着保持動作を制御する際に、フィーダーデータ411を参照する。ヘッド制御部33は、フィーダーデータ411に基づいて、搭載ヘッド251による吸着保持対象の部品を供給するフィーダー24Fのセット位置を特定し、当該セット位置に向けてヘッドユニット25が移動するように、ヘッドユニット25の移動動作を制御する。ヘッドユニット25が当該セット位置の直上に到着すると、ヘッド制御部33は、搭載ヘッド251の昇降動作及び回転動作を制御し、搭載ヘッド251に部品を吸着保持させる。
【0042】
次に、ヘッド制御部33は、搭載ヘッド251によって吸着保持された部品の基板PP上における搭載位置を搭載位置データ415に基づき特定し、当該搭載位置に向けてヘッドユニット25が移動するように、ヘッドユニット25の移動動作を制御する。この際、フィーダー24Fから基板PP上の搭載位置へ向かってヘッドユニット25が移動している間において、搭載ヘッド251により吸着保持された部品の部品認識画像が部品認識カメラC1によって取得される。ヘッド制御部33は、当該部品認識画像に基づいて、搭載ヘッド251に対する部品の保持位置のずれ量を演算する。そして、ヘッドユニット25が基板PP上の搭載位置の直上に到着すると、ヘッド制御部33は、ヘッド下降位置データ414と演算した保持位置のずれ量とに基づいて、搭載ヘッド251により吸着保持された部品が搭載位置に搭載されるように、搭載ヘッド251の昇降動作及び回転動作を制御し、基板PP上に部品を搭載させる。
【0043】
また、ヘッド制御部33は、部品三次元データ412、ヘッド三次元データ413及び許容範囲データ416に基づいて、搭載ヘッド251による基板PP上への部品の搭載時において、搭載ヘッド251と基板PP上に搭載済みの既搭載部品との干渉が生じる可能性があるかを演算する。干渉が生じる可能性がある場合には、ヘッド制御部33は、その干渉を回避するように、部品の搭載順序の変更や、搭載ヘッド251の回転動作時の回転角度の変更などの干渉回避制御を行う。
【0044】
干渉確認装置5は、搭載ヘッド251が基板PP上に設定された搭載位置に部品を搭載するときの、搭載ヘッド251と基板PP上の既搭載部品との干渉の確認に用いられる装置である。干渉確認装置5を用いた搭載ヘッド251と既搭載部品との干渉の確認は、オペレータによって行われる。干渉確認装置5は、図1に示すように、演算処理部51と、表示部52と、操作部53と、データ取得部54とを備える。演算処理部51は、例えばマイクロコンピュータによって構成され、各種の演算処理を実行するものであり、機能構成として図形データ作成部511と表示制御部512とを含む。この演算処理部51に表示部52、操作部53及びデータ取得部54が接続されている。
【0045】
干渉確認装置5について、図1に加えて、図4図10を参照して説明する。図4図7は、表示部52の表示画面7に図形データ6が表示された状態を示す図である。図8図10は、演算処理部51の表示制御部512が実行する視点設定処理を説明する図である。
【0046】
操作部53は、キーボードやマウス、タッチパネル等によって構成され、オペレータによる各種指令やデータの入力に関する入力操作を受け付ける部分である。
【0047】
表示部52は、例えば液晶ディスプレイ等によって構成され、後記の図形データ作成部511によって作成される図形データ6を表示画面7に表示すると共に、操作部53を用いたオペレータの入力操作を案内する領域を表示画面7に表示する。オペレータは、表示画面7に表示された図形データ6を見ることによって、搭載ヘッド251による基板PP上への部品の搭載時における、搭載ヘッド251と既搭載部品との干渉を確認することができる。表示部52は、後記の表示制御部512によって制御される。
【0048】
データ取得部54は、図形データ作成部511が図形データ6を作成する際に必要な各種データを、記憶装置4から読み出して取得する。
【0049】
図形データ作成部511は、搭載ヘッド251による基板PP上に設定された搭載位置への部品の搭載時における、ヘッド図形61と既搭載部品図形62とを含む図形データ6を作成する。ヘッド図形61は、吸着ノズル2511により部品を保持した状態の搭載ヘッド251の三次元立体を投影図で表した図形であり、既搭載部品図形62は、基板PP上に搭載済みの既搭載部品の三次元立体を投影図で表した図形である。ヘッド図形61は、吸着ノズル2511に対応した図形を示すノズル領域6111を有する、搭載ヘッド251に対応した図形を示すヘッド領域611と、吸着ノズル2511に吸着保持された保持部品に対応した図形を示す保持部品領域612とを含む。
【0050】
図形データ作成部511は、記憶装置4に記憶された基板データ41に含まれている部品三次元データ412、ヘッド三次元データ413、ヘッド下降位置データ414、及び搭載位置データ415に基づいて、図形データ6を作成する。図形データ作成部511は、図形データ6を構成するヘッド図形61を以下に示す手順で作成する。すなわち、図形データ作成部511は、ヘッド三次元データ413に基づいて搭載ヘッド251の形状を認識したうえで、ヘッド図形61におけるノズル領域6111を有するヘッド領域611を特定し、ヘッド下降位置データ414に基づいて搭載ヘッド251の下降位置を認識したうえで、図形データ6におけるヘッド領域611の位置を特定する。次に、図形データ作成部511は、部品三次元データ412に基づいて搭載ヘッド251に保持されている保持部品の形状を認識したうえで、ヘッド図形61における保持部品領域612を特定し、搭載位置データ415に基づいて保持部品の搭載位置を認識したうえで、図形データ6における保持部品領域612の位置を特定する。また、図形データ作成部511は、図形データ6を構成する既搭載部品図形62を以下に示す手順で作成する。すなわち、図形データ作成部511は、部品三次元データ412に基づいて既搭載部品の形状を認識したうえで、既搭載部品図形62の形状を特定し、搭載位置データ415に基づいて既搭載部品の搭載位置を認識したうえで、図形データ6における既搭載部品図形62の位置を特定する。
【0051】
ヘッド図形61及び既搭載部品図形62は、三次元立体の形状の把握が容易な投影図であれば特に限定されるものではなく、中心投影図(透視投影図)及び平行投影図から選ばれる。平行投影図としては、軸測投影図などを含む垂直投影図や斜投影図などが挙げられる。
【0052】
表示制御部512は、図形データ作成部511によって作成された図形データ6が表示画面7に表示されるように、表示部52を制御する。表示制御部512は、ヘッド図形61及び既搭載部品図形62を見るときの視点71の位置を設定する視点設定処理と、その設定した視点71から見たヘッド図形61及び既搭載部品図形62が表示画面7に表示されるように表示部52を制御する表示制御処理とを実行する。
【0053】
表示制御部512は、ヘッド図形61と既搭載部品図形62とが重なる干渉部位63が存在する場合、前記視点設定処理において視点71の位置を、干渉部位63が表示画面7に現れるような位置に設定する。これにより、図形データ6において干渉部位63が存在する場合には、当該干渉部位63が表示画面7上に現れた状態で、ヘッド図形61及び既搭載部品図形62が表示される。表示部52の表示画面7に表示された図形データ6は、搭載ヘッド251による基板PP上への部品の搭載時における、搭載ヘッド251と既搭載部品との位置関係を詳細に表現したものである。このため、表示画面7に表示された図形データ6を見ることによって、オペレータは、搭載ヘッド251による部品搭載時において、搭載ヘッド251と既搭載部品との干渉の有無を確認することができると共に、干渉が発生する場合には、その干渉部位の詳細を、表示画面7に表示された図形データ6における干渉部位63を通じて確認することができる。
【0054】
表示制御部512は、前記表示制御処理において、図形データ6における干渉部位63が、当該干渉部位63以外の残余部位との区別が可能な特定の表示形態で表示されるように、表示部52を制御する。この際、表示制御部512は、前記表示制御処理において、前記特定の表示形態として干渉部位63の色が残余部位の色とは異なる特定色(例えば赤色)で表示されるように、表示部52を制御する構成であってもよい。図形データ6において干渉部位63が特定の表示形態で表示されることにより、表示画面7に表示された図形データ6において、干渉部位63と残余部位との区別が容易となり、干渉部位63の詳細をより容易に確認することができる。特に、干渉部位63の色が残余部位の色とは異なる特定色で表示されると、干渉部位63の確認の容易性がより顕著となる。
【0055】
具体的に、表示制御部512は、図4に示すように、干渉部位63に相当する部分をヘッド図形61から切り欠いた表示形態で当該干渉部位63が表示されるように、表示部52を制御する。この際、図5に示すように、ヘッド図形61の切り欠き部分と既搭載部品図形62との境界線、すなわち、切り欠かれたヘッド図形61と干渉部位63との境界線を示す枠線631が、残余部位の輪郭線との区別が可能となるように、特定の線種や太線で表示されてもよいし、前記特定色で表示されてもよい。なお、表示制御部512は、干渉部位63に相当する部分を既搭載部品図形62から切り欠いた表示形態で当該干渉部位63が表示されるように、表示部52を制御してもよい。
【0056】
また、表示制御部512は、図6に示すように、図形データ6において干渉部位63の全体が前記特定色で表示されるように、表示部52を制御する構成であってもよい。この際、図7に示すように、干渉部位63の輪郭線632が、残余部位の輪郭線との区別が可能となるように、前記特定色とされることに加えて、特定の線種や太線で表示されてもよい。
【0057】
次に、表示制御部512が実行する前記視点設定処理について、図8図10を参照して説明する。表示制御部512は、所定の評価値に基づいて、前記視点設定処理において視点71の位置を設定する。前記所定の評価値は、表示画面7にヘッド図形61及び既搭載部品図形62が表示されたときの各図形の位置関係に関する指標であって、表示画面7上での干渉部位63の有無確認の容易性の指標となる値である。前記評価値は、大きい値を取るほど表示画面7上での干渉部位63の有無確認の容易性が増大するものである。具体的に、図形データ6において干渉部位63が存在する場合には、当該干渉部位63に対応した前記枠線631の長さが、前記評価値として選定される(図8参照)。一方、図形データ6において干渉部位63が存在していない場合には、ヘッド図形61と既搭載部品図形62とを最短で結ぶ線(最短線64)の長さが、前記評価値として選定される(図9及び図10参照)。図9に示すように、最短線64が同一面64S上に複数存在する場合には、その面64Sの中心を通る線の長さが、前記評価値として選定される。図10に示すように、最短線64が同一立体64D上に複数存在する場合には、その立体64Dの中心を通る線の長さが、前記評価値として選定される。
【0058】
表示制御部512は、前記視点設定処理において、表示画面7上で互いに直交する第1軸AX1及び第2軸AX2を回転軸として所定の角度ずつ回転させることで視点71を移動させたときの、各角度での前記評価値をそれぞれ算出し、前記評価値が最大となる角度に対応した位置を視点71の位置として設定する。このように、表示制御部512が所定の前記評価値に基づき視点71の位置を設定するので、図形データ6における干渉部位63の有無の確認や、干渉部位63が存在する場合にはその詳細の確認が容易となるような視点71から見たヘッド図形61及び既搭載部品図形62を、自動的に表示画面7に表示することができる。
【0059】
図11は、表示部52が指令入力案内領域72を含む表示画面7を表示した状態を示す図である。表示画面7上に表示される指令入力案内領域72は、操作部53を用いてオペレータが表示に関する各種指令の入力操作を行うときに、その入力操作を案内するための表示領域である。指令入力案内領域72は、視点変更案内領域721と、倍率変更案内領域722と、位置変更案内領域723とを含む。
【0060】
視点変更案内領域721は、オペレータによる操作部53を用いた視点71の位置の変更を指令する視点変更指令の入力操作を案内するための領域である。視点変更案内領域721に案内された入力操作によって操作部53を介して前記視点変更指令が入力された場合、表示制御部512は、前記視点設定処理において視点71の位置を、前記視点変更指令に応じた位置に設定する。これにより、オペレータは、操作部53を用いた入力操作によって手動で、表示画面7上のヘッド図形61及び既搭載部品図形62の視点71の位置を変更することができる。
【0061】
倍率変更案内領域722は、表示画面7上の図形データ6の拡大及び縮小の倍率の変更を指令する倍率変更指令の入力操作を案内するための領域である。倍率変更案内領域722に案内された入力操作によって操作部53を介して前記倍率変更指令が入力された場合、表示制御部512は、前記表示制御処理において、図形データ6が前記倍率変更指令に応じた大きさで表示画面7に表示されるように、表示部52を制御する。これにより、オペレータは、操作部53を用いた入力操作によって手動で、表示画面7上のヘッド図形61及び既搭載部品図形62の大きさを変更することができる。
【0062】
位置変更案内領域723は、表示画面7上の図形データ6の位置の変更を指令する位置変更指令の入力操作を案内するための領域である。位置変更案内領域723に案内された入力操作によって操作部53を介して前記位置変更指令が入力された場合、表示制御部512は、前記表示制御処理において、図形データ6が前記位置変更指令に応じた表示画面7上の位置に表示されるように、表示部52を制御する。これにより、オペレータは、操作部53を用いた入力操作によって手動で、表示画面7上のヘッド図形61及び既搭載部品図形62の位置を変更することができる。
【0063】
図12は、搭載ヘッド251の吸着ノズル2511による部品の保持位置を説明する図である。搭載ヘッド251の吸着ノズル2511により保持された部品(保持部品HP)の搭載ヘッド251に対する保持位置は、中心位置を示す基準保持位置HP1に対するずれ量が基板データ41に含まれる許容範囲データ416の許容範囲内において許容されている。具体的に、搭載ヘッド251により保持される保持部品HPの被保持面HPS上において、第1ずれ保持位置HP2と第2ずれ保持位置HP3とを結ぶ線、第2ずれ保持位置HP3と第3ずれ保持位置HP4とを結ぶ線、第3ずれ保持位置HP4と第4ずれ保持位置HP5とを結ぶ線、第4ずれ保持位置HP5と第1ずれ保持位置HP2とを結ぶ線の、各線によって囲まれた領域内で保持位置のずれが許容されている。被保持面HPS上において第1ずれ保持位置HP2は、基準保持位置HP1に対して、-X側にずれ量の許容最大値分ずれており、且つ、+Y側にずれ量の許容最大値分ずれた位置である。被保持面HPS上において第2ずれ保持位置HP3は、基準保持位置HP1に対して、-X側にずれ量の許容最大値分ずれており、且つ、-Y側にずれ量の許容最大値分ずれた位置である。被保持面HPS上において第3ずれ保持位置HP4は、基準保持位置HP1に対して、+X側にずれ量の許容最大値分ずれており、且つ、-Y側にずれ量の許容最大値分ずれた位置である。被保持面HPS上において第4ずれ保持位置HP5は、基準保持位置HP1に対して、+X側にずれ量の許容最大値分ずれており、且つ、+Y側にずれ量の許容最大値分ずれた位置である。
【0064】
図13は、図形データ作成部511によって作成された複数の図形データ6A,6B,6Cを示す図である。データ取得部54が記憶装置4から許容範囲データ416を取得した場合、図形データ作成部511は、搭載ヘッド251による部品の保持位置が許容範囲データ416で示される許容範囲で異なる状態を各々示す複数のヘッド図形61をそれぞれ個別に含む複数の図形データ6A,6B,6Cを作成する。図13の例では、図形データ6Aに含まれるヘッド図形61は、保持部品HPの保持位置が前記第1ずれ保持位置HP2である状態の搭載ヘッド251を投影図で表した図形である。同様に、図形データ6Bに含まれるヘッド図形61は、保持部品HPの保持位置が前記第2ずれ保持位置HP3である状態の搭載ヘッド251を投影図で表した図形である。また、図形データ6Cに含まれるヘッド図形61は、保持部品HPの保持位置が前記第3ずれ保持位置HP4である状態の搭載ヘッド251を投影図で表した図形である。
【0065】
図形データ作成部511は、許容範囲データ416に基づき複数の図形データ6を作成する場合には、以下に示す第1作成処理、第2作成処理、第3作成処理及び第4作成処理を順次実行することによって、複数の図形データ6を作成する。まず、第1作成処理において、図形データ作成部511は、保持部品HPの保持位置が前記第1ずれ保持位置HP2から前記第2ずれ保持位置HP3に向かってY軸方向に異なる複数のヘッド図形61をそれぞれ個別に含む複数の図形データ6を順次作成する。第1作成処理の終了後の第2作処理において、図形データ作成部511は、保持部品HPの保持位置が前記第2ずれ保持位置HP3から前記第3ずれ保持位置HP4に向かってX軸方向に異なる複数のヘッド図形61をそれぞれ個別に含む複数の図形データ6を順次作成する。第2作成処理の終了後の第3作処理において、図形データ作成部511は、保持部品HPの保持位置が前記第3ずれ保持位置HP4から前記第4ずれ保持位置HP5に向かってY軸方向に異なる複数のヘッド図形61をそれぞれ個別に含む複数の図形データ6を順次作成する。第3作成処理の終了後の第4作処理において、図形データ作成部511は、保持部品HPの保持位置が前記第4ずれ保持位置HP5から前記第1ずれ保持位置HP2に向かってX軸方向に異なる複数のヘッド図形61をそれぞれ個別に含む複数の図形データ6を順次作成する。
【0066】
許容範囲データ416に基づく複数の図形データ6が図形データ作成部511によって作成された場合、表示制御部512は、前記表示制御処理において、複数の図形データ6が連続的に順次表示されるように、表示部52を制御する。具体的に、表示制御部512は、図形データ作成部511が第1作成処理、第2作成処理、第3作成処理及び第4作成処理を順次実行することによって作成した複数の図形データ6について、その作成順に連続的に表示されるように、表示部52を制御する。これにより、表示部52は、搭載ヘッド251によって保持された部品の保持位置が許容範囲内でずれた場合を表現した複数のヘッド図形61をそれぞれ個別に含む複数の図形データ6を、動画のように連続的に表示画面7に表示する。このような、連続的に表示画面7に表示される複数の図形データ6を見ることによって、オペレータは、搭載ヘッド251による保持部品HPの保持位置のずれ量と干渉の発生との関係性や、保持位置のずれが生じていない場合でも干渉が発生するのか、などを簡単に確認することができる。
【0067】
図14は、表示部52が許容範囲変更案内領域73と干渉部位有無領域74とを含む表示画面7を表示した状態を示す図である。表示制御部512は、複数の図形データ6を連続的に表示させる場合、その図形データ6の連続表示と同一の表示画面7上に許容範囲変更案内領域73及び干渉部位有無領域74が表示されるように、表示部52を制御する。許容範囲変更案内領域73は、許容範囲データ416のデータ変更の指令を示す許容範囲変更指令の入力操作を、操作部53を用いてオペレータが行うときに、その入力操作を案内するための表示領域である。干渉部位有無領域74は、表示画面7に連続的に表示される複数の図形データ6の各々において、干渉部位63の有無を報知するための表示領域である。
【0068】
許容範囲変更案内領域73に案内された入力操作によって操作部53を介して前記許容範囲変更指令が入力された場合、図形データ作成部511は、搭載ヘッド251による部品の保持位置が前記許容範囲変更指令に応じた許容範囲で異なる状態を各々示す複数のヘッド図形61をそれぞれ個別に含む複数の図形データ6を作成する。そして、表示制御部512は、前記表示制御処理において、前記許容範囲指令に応じて変更された複数の図形データ6が連続的に順次表示され、且つ、干渉部位63の有無が干渉部位有無領域74に表示されるように、表示部52を制御する。このような、連続的に表示画面7に表示される複数の図形データ6を見ながら干渉部位有無領域74を確認することによって、オペレータは、許容範囲データ416を変更することで搭載ヘッド251と既搭載部品との干渉が回避されるのか、などを簡単に確認することができる。
【0069】
図15は、表示部52の表示画面7に拡大図形データ6AAが表示された状態を示す図である。データ取得部54が記憶装置4から許容範囲データ416を取得した場合、図形データ作成部511は、ヘッド図形61及び既搭載部品図形62のいずれか一方の図形を、許容範囲データ416で示される許容範囲に基づく所定の拡大率で拡大して示す拡大図形データ6AAを作成するように構成されていてもよい。図15の例では、図形データ作成部511は、ヘッド図形61を拡大して示す拡大図形データ6AAを作成している。図形データ作成部511によって拡大図形データ6AAが作成された場合、表示制御部512は、前記表示制御処理において、拡大図形データ6AAが表示されるように、表示部52を制御する。これにより、表示部52は、搭載ヘッド251によって保持された部品の保持位置が許容範囲内でずれた場合を表現した拡大図形データ6AAを表示画面7に表示する。表示画面7に表示された拡大図形データ6AAを見ることによって、オペレータは、搭載ヘッド251による保持部品HPの保持位置のずれ量と干渉の発生との関係性や、保持位置のずれが生じていない場合でも干渉が発生するのか、などを簡単に確認することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 実装機
25 ヘッドユニット
251 搭載ヘッド
5 干渉確認装置
51 演算処理部
511 図形データ作成部
512 表示制御部
52 表示部
53 操作部
54 データ取得部
6,6A,6B,6C 図形データ
6AA 拡大図形データ
61 ヘッド図形
62 既搭載部品図形
63 干渉部位
7 表示画面
71 視点
AX1 第1軸
AX2 第2軸
PP 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15