IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産サンキョー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ダンパー部材およびアクチュエータ 図1
  • 特許-ダンパー部材およびアクチュエータ 図2
  • 特許-ダンパー部材およびアクチュエータ 図3
  • 特許-ダンパー部材およびアクチュエータ 図4
  • 特許-ダンパー部材およびアクチュエータ 図5
  • 特許-ダンパー部材およびアクチュエータ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ダンパー部材およびアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20231129BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H02K33/16 A
F16F15/08 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020062079
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021164226
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】日向 章二
(72)【発明者】
【氏名】小林 優帆
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-123321(JP,A)
【文献】特開2018-079783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
F16F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材、および前記第1部材の外周側を囲む第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材の間に配置されるゲル状部材と、を有し、
前記ゲル状部材は、
前記第1部材と前記第2部材を接続する第1ゲル状部材と、
前記第1部材の外周面の縁に形成された面取り部および前記第1ゲル状部材に接続される第2ゲル状部材と、を備え、
前記第2ゲル状部材の前記第1部材に対する密着力は、前記第1ゲル状部材の前記第1部材に対する密着力よりも大きいことを特徴とするダンパー部材。
【請求項2】
前記ゲル状部材は、前記第1部材の全周を連続して囲むことを特徴とする請求項1に記載のダンパー部材。
【請求項3】
前記ゲル状部材は、円筒形状であることを特徴とする請求項1または2に記載のダンパー部材。
【請求項4】
前記第2ゲル状部材は、前記面取り部から前記第2部材まで延びていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のダンパー部材。
【請求項5】
可動体および固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して振動させる駆動機構と、
請求項1から4の何れか一項に記載のダンパー部材と、を有し、
前記可動体および前記固定体の一方は、前記可動体および前記固定体の他方の内周側に配置される内周側部分を備え、前記可動体および固定体の他方は、前記内周側部分の外周側を囲む外周側部分を備え、
前記ダンパー部材は、
前記第1部材が前記内周側部分に固定され、
前記第2部材が前記外周側部分に固定されることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項6】
前記ダンパー部材は、前記可動体の振動方向の一端側および他端側で前記可動体と前記固定体を接続することを特徴とする請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
可動体および固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して振動させる駆動機構と、
前記固定体と前記可動体とを接続するゲル状部材と、を有し、
前記可動体および前記固定体の一方は、前記可動体および前記固定体の他方の内周側に配置される内周側部分を備え、前記可動体および固定体の他方は、前記内周側部分の外周側を囲む外周側部分を備え、
前記ゲル状部材は、
前記内周側部分と前記外周側部分とを接続する第1ゲル状部材と、
前記内周側部分の縁に形成された面取り部および前記第1ゲル状部材に接続される第2ゲル状部材と、を備え、
前記第2ゲル状部材の前記内周側部分に対する密着力は、前記第1ゲル状部材の前記内周側部分に対する密着力よりも大きいことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項8】
前記ゲル状部材は、前記内周側部分の全周を連続して囲むことを特徴とする請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記ゲル状部材は、円筒形状であることを特徴とする請求項7または8に記載のアクチ
ュエータ。
【請求項10】
前記第2ゲル状部材は、前記面取り部から前記外周側部分まで延びていることを特徴とする請求項7から9の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記ゲル状部材は、前記可動体の振動方向の一端側および他端側で前記可動体と前記固定体を接続することを特徴とする請求項7から10の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を固定体に対して振動させるアクチュエータ、および可動体と固定体とを接続するダンパー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチュエータとして、固定体および可動体と、固定体に対して可動体を振動させる磁気駆動機構を備えるとともに、可動体と固定体とをゲル状ダンパー部材によって接続したものがある。特許文献1では、可動体は、磁石が固定されたヨークを備えており、固定体(固定体)は、可動体を収容するカバーと、コイルを保持するホルダを備える。ゲル状ダンパー部材は、厚さ方向の一方の面がヨークに接着され、他方の面がカバー部材に接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-13086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ゲル状ダンパー部材は、シート状ゲルを矩形に切断したゲル状部材であり、ヨークとカバーとの間に挟まれている。しかしながら、切断したゲル状部材を単体で部品として取り扱う場合、取り扱いが難しい。また、特許文献1の構造では、ゲル状ダンパー部材は振動方向と直交する方向にも変形可能な状態に組み立てられている。従って、可動体が意図しない方向へ動きやすいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明者らは、枠状の第1部材と第2部材(内枠と外枠)との隙間に筒状のゲル状部材を配置し、筒状のゲル状部材によって第1部材と第2部材とを接続した構造のダンパー部材を提案している。第1部材(内枠)を可動体側の部品であるシャフトに固定し、第2部材(外枠)を固定体側の部品であるケースに固定する構造のアクチュエータは、可動体が振動方向(軸線方向)と直交する方向に動きにくい。
【0006】
上記のような構造のダンパー部材では、可動体が軸線方向に振動する際、筒状のゲル状部材の内周部に応力が集中する。ゲル状部材の内周部は第1部材(内枠)の外周面に接続される。第1部材には、外周面の縁に製造時のバリを除去するための面取り部が設けられているため、ゲル状部材の縁は面取り部に接続される。ゲル状部材の縁がテーパー状の面取り部に入り込んだ形状になっていると、この部分に応力が集中したときにゲル状部材が第1部材からはがれやすい。従って、ダンパー部材が壊れやすく耐久性が低いという問題がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、枠状の第1部材と第2部材を筒状のゲル状部材によって接続したダンパー部材、および、筒状のゲル状部材を介して可動体および固体を接続するアクチュエータにおいて、ゲル状部材の内周部に応力が集中したときにゲル状部材が内周側の枠材からはがれにくい構造を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るダンパー部材は、第1部材、および前記第1部材の外周側を囲む第2部材と、前記第1部材と前記第2部材の間に配置されるゲル状部材と、を有し、前記ゲル状部材は、前記第1部材と前記第2部材を接続する第1ゲル状部
材と、前記第1部材の外周面の縁に形成された面取り部および前記第1ゲル状部材に接続される第2ゲル状部材と、を備え、前記第2ゲル状部材の前記第1部材に対する密着力は、前記第1ゲル状部材の前記第1部材に対する密着力よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、内周側の枠材(第1部材)と外周側の枠材(第2部材)の間にゲル状部材を成形して部品化している。従って、第1部材と第2部材を介してゲル状部材を可動体および固定体に接続できるので、可動体と固定体とを接続する際に、ゲル状部材の接着作業を行う必要がない。従って、アクチュエータの組立が容易である。また、ゲル状部材は、第1部材と第2部材を接続する部分にダンパー部材として必要な特性を備えた第1ゲル状部材を使用する一方、応力が集中する内周部において第1部材の面取り部に接続される部分は、補強用の第2ゲル状部材を用いて第1部材に対する密着性を高めている。従って、ゲル状部材の内周部に応力が集中したときにダンパー部材が面取り部からはがれにくく、ダンパー部材10が壊れにくい。よって、ダンパー部材として必要な特性を確保しながら、耐久性を高めることができる。
【0010】
本発明において、前記ゲル状部材は、前記第1部材の全周を連続して囲むことが好ましい。このようにすると、第1部材が第2部材に対して径方向に相対移動する際には、ゲル状部材が潰れる方向に変形するので、第1部材が第2部材に対して軸線方向に相対移動する場合よりもばね定数が大きくなる。従って、可動体を軸線方向に振動させるアクチュエータを構成した場合に、可動体が振動方向とは異なる方向に移動することを抑制できる。
【0011】
本発明において、前記ゲル状部材は、円筒形状であることが好ましい。このようにすると、ゲル状部材が全周で均等に配置される。従って、ゲル状部材のばね定数を全周で均等にすることができるので、可動体を軸線方向に振動させるアクチュエータを構成した場合に、可動体が特定の方向へ動きやすくなることがない。よって、可動体を安定して支持できる。
【0012】
本発明において、前記第2ゲル状部材は、前記面取り部から前記第2部材まで延びている構造とすることができる。ゲル状部材を注型によって製造した場合には、ゲル状部材がこのような形状に拡がる。すなわち、型部材に第1部材と第2部材を位置決めし、第2ゲル状部材を形成するゲル材料を第1部材と第2部材の隙間に吐出すると、ゲル材料は型部材の底面に沿って拡がり、第1部材の面取り部から第2部材まで拡がる。これにより、面取り部を第2ゲル状部材によって保護できる。しかる後に、第1ゲル状部材を形成するゲル材料を吐出することにより、第1部材と第2部材とを接続できる。
【0013】
次に、本発明のアクチュエータは、可動体および固定体と、前記可動体を前記固定体に対して振動させる駆動機構と、上記のダンパー部材と、を有し、前記可動体および前記固定体の一方は、前記可動体および前記固定体の他方の内周側に配置される内周側部分を備え、前記可動体および固定体の他方は、前記内周側部分の外周側を囲む外周側部分を備え、前記ダンパー部材は、前記第1部材が前記内周側部分に固定され、前記第2部材が前記外周側部分に固定されることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、第1部材と第2部材を介してゲル状部材を可動体および固定体に接続できる。従って、ダンパー部材を介して可動体と固定体とを接続する作業が容易であり、アクチュエータの組立が容易である。また、可動体が振動した際にゲル状部材が第1部材からはがれにくくダンパー部材が壊れにくいので、アクチュエータの耐久性を高めることができる。また、ダンパー部材の耐久性を高めることによって、可動体を振動させる際の振幅の許容範囲を大きくすることができる。従って、大きな振幅で可動体を振動させることができる。
【0015】
本発明において、前記ダンパー部材は、前記可動体の振動方向の一端側および他端側で前記可動体と前記固定体を接続することが好ましい。このようにすると、可動体の振動方向の両端がダンパー部材によって支持される。従って、可動体を安定して支持でき、可動体が意図しない方向へ動くことを抑制できる。
【0016】
次に、本発明は、可動体と固定体の間に直接ゲル状部材を成形した形態のアクチュエータに適用することが可能である。すなわち、本発明のアクチュエータは、可動体および固定体と、前記可動体を前記固定体に対して振動させる駆動機構と、前記固定体と前記可動体とを接続するゲル状部材と、を有し、前記可動体および前記固定体の一方は、前記可動体および前記固定体の他方の内周側に配置される内周側部分を備え、前記可動体および固定体の他方は、前記内周側部分の外周側を囲む外周側部分を備え、前記ゲル状部材は、前記内周側部分と前記外周側部分とを接続する第1ゲル状部材と、前記内周側部分の縁に形成された面取り部および前記第1ゲル状部材に接続される第2ゲル状部材と、を備え、前記第2ゲル状部材の前記内周側部分に対する密着力は、前記第1ゲル状部材の前記内周側部分に対する密着力よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、上記のダンパー部材によって可動体と固定体を接続しているので、可動体が振動した際にゲル状部材が内周側部分からはがれにくい。従って、アクチュエータの耐久性を高めることができる。また、アクチュエータの耐久性が高いので、可動体を振動させる際の振幅の許容範囲を大きくすることができる。従って、大きな振幅で可動体を振動させることができる。これにより、可動体を振動させる際の振幅の許容範囲を大きくすることができるので、大きな振幅で可動体を振動させることができる。
【0018】
本発明において、前記ゲル状部材は、前記内周側部分の全周を連続して囲むことが好ましい。このようにすると、可動体の全周にゲル状部材が配置される。従って、可動体が振動方向以外の方向へ移動する際には、ゲル状部材が潰れる方向に変形するので、可動体が振動方向に移動する場合よりもゲル状部材のばね定数が大きくなる。従って、可動体が振動方向とは異なる方向に移動することを抑制できる。
【0019】
本発明において、前記ゲル状部材は、円筒形状であることが好ましい。このようにすると、ゲル状部材が全周で均等に配置される。従って、ゲル状部材のばね定数を全周で均等にすることができるので、可動体が特定の方向へ動きやすくなることがない。従って、可動体を安定して支持できる。
【0020】
本発明において、前記第2ゲル状部材は、前記面取り部から前記外周側部分まで延びている構造とすることができる。上記のように、ゲル状部材を注型によって製造した場合に、ゲル状部材がこのような形状に拡がる。すなわち、内周側部分を備えた部材と外周側部分を備えた部材を型部材に位置決めし、両部材の隙間に第2ゲル状部材を形成するゲル材料を吐出すると、ゲル材料は型部材の底面に沿って拡がり、内周側部分の面取り部から外周側部分まで拡がる。これにより、面取り部を第2ゲル状部材によって保護できる。しかる後に、第1ゲル状部材を形成するゲル材料を吐出することにより、内周側部分と外周側部分とを接続できる。
【0021】
本発明において、前記ゲル状部材は、前記可動体の振動方向の一端側および他端側で前記可動体と前記固定体を接続することが好ましい。このようにすると、可動体の振動方向の両端がゲル状部材によって支持される。従って、可動体を安定して支持でき、可動体が意図しない方向へ動くことを抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、内周側の枠材(第1部材、もしくは内周側部分)と外周側の枠材(第
2部材、もしくは外周側部分)とがゲル状部材によって接続される。ゲル状部材は、内周側の枠材と外周側の枠材を接続する部分にダンパー部材として必要な特性を備えた第1ゲル状部材を使用する一方、応力が集中する内周部において内周側の枠材の面取り部に接続されてはがれやすくなってしまう部分は、補強用の第2ゲル状部材を用いて内周側の枠材に対する密着性を高めている。従って、ゲル状部材の内周部に応力が集中したときに内周側の枠材からゲル状部材がはかれにくいので、ダンパー部材として必要な特性を確保しながら、耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るアクチュエータの断面図である。
図2図1のアクチュエータを軸線方向の一方側から見た分解斜視図である。
図3図1のアクチュエータを軸線方向の他方側から見た分解斜視図である。
図4】ダンパー部材の構成を模式的に示す断面図である。
図5】ダンパー部材の製造方法の説明図である。
図6】変形例のダンパー部材の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明において、軸線Lとは可動体3の中心軸線である。また、軸線Lが延在する方向(軸線L方向)の一方側をL1とし、軸線L方向の他方側をL2とする。本発明を適用したアクチュエータ1は、可動体3が固定体2に対して軸線L方向に振動する。
【0025】
以下に説明する実施形態では、可動体3は、軸線L方向の一方側L1、および他方側L2の2箇所において、ダンパー部材10によって固定体2と接続されるが、本発明では、ダンパー部材10が1箇所もしくは3箇所以上に配置される態様を採用してもよい。また、以下に説明する実施形態では、可動体3は、固定体2の内周側に配置されるが、本発明では、可動体3が固定体2の外周側に配置される態様を採用してもよい。
【0026】
また、以下に説明する実施形態では、可動体3を固定体2に対して振動させる駆動機構として、磁気駆動機構6を用いる。磁気駆動機構6は、可動体3に配置される磁石61と、固定体2に配置されるコイル62とを備えているが、本発明では、磁石61とコイル62の配置を逆にした構成を採用することも可能である。すなわち、磁気駆動機構6は、可動体3に配置されるコイル62と、固定体2に配置される磁石61とを備える態様を採用してもよい。
【0027】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るアクチュエータ1の断面図である。図2は、図1に示すアクチュエータ1を軸線方向の一方側L1から見た分解斜視図である。図3は、図1に示すアクチュエータ1を軸線方向の他方側L2から見た分解斜視図である。アクチュエータ1は、固定体2および可動体3と、固定体2と可動体3とを接続するダンパー部材10と、可動体3を固定体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6とを備える。磁気駆動機構6は、可動体3に配置される磁石61と、固定体2に配置されるコイル62とを備えており、固定体2に対して可動体3を軸線L方向に相対移動させる。
【0028】
(ダンパー部材)
可動体3は、軸線L方向の一方側L1の端部、および軸線L方向の他方側L2の端部の各位置において、ダンパー部材10を介して固定体2と接続される。以下、軸線L方向の一方側L1に配置されるダンパー部材10を第1ダンパー部材10Aとし、軸線L方向の他方側L2に配置されるダンパー部材10を第2ダンパー部材10Bとする。第1ダンパー部材10Aと第2ダンパー部材10Bは同一部材であり、軸線L方向で逆向きに配置さ
れる。
【0029】
ダンパー部材10は、第1部材11と、第1部材11の外周側を囲む第2部材12と、第1部材11と第2部材12の間に配置されるゲル状部材14を備える。本形態では、第1部材11および第2部材12は円筒状であり、同軸に配置される。ゲル状部材14は、径方向の厚さが一定の円筒形状である。ゲル状部材14の内周部は、第1部材11に接続され、ゲル状部材14の外周部は、第2部材12に接続される。
【0030】
ダンパー部材10は、弾性および粘弾性のうちの少なくとも一方を備える。本形態では、ゲル状部材14は粘弾性体である。後述するように、本形態のゲル状部材14は、異なる2種類のゲル状部材から構成される。ゲル状部材14の大部分(後述する第1ゲル状部材141)は、針入度が90度から110度のシリコーンゲルからなる。
【0031】
第1部材11は可動体3に固定される。第1部材11は可動体3と一体になって軸線L方向に振動する。従って、第1部材11は、可動体3の質量を調節するための錘として用いることができる。第2部材12は固定体2に固定される。ゲル状部材14は、第1部材11および第2部材12を介して固定体2と可動体3を接続する。可動体3が軸線L方向に振動する際、ゲル状部材14は、せん断方向に変形する。
【0032】
(固定体)
固定体2は、筒状のケース20と、ケース20の軸線L方向の一方側L1の開口を塞ぐ第1蓋部材21と、ケース20の軸線L方向の他方側L2の開口を塞ぐ第2蓋部材22と、ケース20の内側で第1蓋部材21と第2蓋部材22との間に配置されるコイルホルダ4を備える。本形態では、ケース20、第1蓋部材21、第2蓋部材22、およびコイルホルダ4は樹脂製である。
【0033】
図2図3に示すように、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、3箇所に爪部27を備えている。爪部27は径方向内側に弾性変形可能であり、ケース20の内周側に押し込まれる。爪部27の先端がケース20の縁に設けられた係止部28に係止されることにより、第1蓋部材21および第2蓋部材22がケース20から外れることが規制される。
【0034】
コイルホルダ4は、ホルダ環状部41と、ホルダ環状部41から軸線L方向の他方側L2へ突出する胴部42を備える。ホルダ環状部41がケース20の内側に圧入されることにより、コイルホルダ4はケース20に固定される。ホルダ環状部41には、L1側から第1蓋部材21が固定される。ホルダ環状部41は円形の開口部44を備えており、開口部44に第1ダンパー部材10Aが固定される。本形態では、開口部44に第1ダンパー部材10Aの第2部材12が圧入されている。
【0035】
コイルホルダ4の胴部42にはコイル62が固定される。コイル62から引き出されたコイル線(図示省略)の端部は、ホルダ環状部41から径方向外側へ突出する端子ピンに絡げられている。コイル線は、端子ピンを介して基板63に接続される。図2に示すように、基板63は、ケース20の外周面に設けられた凹部24に固定される。
【0036】
図1に示すように、ケース20は、第2蓋部材22のL1側の位置から内周側へ突出するケース環状部25を備える。第2蓋部材22は、ケース環状部25にL2側から固定される。また、ケース環状部25は円形の開口部26を備えており、開口部26に第2ダンパー部材10Bが固定される。本形態では、開口部26に第2ダンパー部材10Bの第2部材12が圧入されている。
【0037】
(可動体)
可動体3は、固定体2の径方向の中心において軸線L方向に延びるシャフト31と、シャフト31の軸線L方向の略中央に固定される磁石61と、磁石61にL1側で重なる第1ヨーク32と、磁石61にL2側で重なる第2ヨーク33を備える。
【0038】
磁石61は円筒状であり、軸線L方向においてN極とS極とに分極するように着磁されている。シャフト31は、固定体2の径方向の中心において軸線L方向に延びている。磁石61の外周側には、コイルホルダ4の胴部42が磁石61と同軸に配置される。従って、磁石61とコイル62は同軸に配置される。
【0039】
第1ヨーク32は、外径寸法が磁石61の外径寸法よりわずかに大きい磁性板である。第1ヨーク32の外周面は、磁石61の外周面より径方向外側に張り出している。第1ヨーク32は、磁石61のL1側の面に接着等の方法で固定される。
【0040】
第2ヨーク33は、2枚の磁性板(第1磁性板34、第2磁性板35)によって構成される。第1磁性板34は、磁石61のL2側の面に接着等の方法で固定される端板部341と、端板部341の外縁からL1側に延在する円筒状の側板部342とを備える。側板部342は、コイルホルダ4の胴部42の外周側に配置される。第2磁性板35は、第1磁性板34の端板部341よりわずかに小さな円板状である。第2磁性板35は、第1磁性板34の端板部341にL1側で積層され、端板部341に溶接されている。第2磁性板35は、磁石61のL2側の面に接着等の方法で固定される。
【0041】
シャフト31は、第1ヨーク32からL1側に突出する第1端部311と、第2ヨーク33からL2側に突出する第2端部312を備える。第1端部311には、第1ダンパー部材10Aの第1部材11が固定される。また、第2端部312には、第2ダンパー部材10Bの第1部材11が固定される。シャフト31の両端に固定される2個の第1部材11は、可動体3と一体になって移動する。
【0042】
(アクチュエータの動作)
アクチュエータ1は、コイル62に通電することにより、磁気駆動機構6が、可動体3を軸線L方向に駆動する駆動力を発生させる。コイル62への通電を切ると、可動体3は、ゲル状部材14の復帰力によって原点位置へ戻る。従って、コイル62への通電を断続的に行うことにより、可動体3は、軸線L方向で振動する。
【0043】
第1ダンパー部材10Aは、シャフト31とコイルホルダ4との間において、シャフト31のL1側の端部を全周で囲むゲル状部材14を備えている。また、第2ダンパー部材10Bは、シャフト31とケース環状部25との間において、シャフト31のL2側の端部を全周で囲むゲル状部材14を備えている。第1ダンパー部材10Aおよび第2ダンパー部材10Bにおいて、ゲル状部材14は、第1部材11と第2部材12の間に隙間なく充填されており、全周に連続して配置される。
【0044】
可動体3が固定体2に対して軸線L方向に振動する際、ダンパー部材10は、ゲル状部材14の内周部に固定された第1部材11とゲル状部材14の外周部に固定された第2部材12とが軸線L方向に相対移動する。従って、ゲル状部材14は、可動体3の振動に追従してせん断方向に変形する。
【0045】
ダンパー部材10は、可動体3が径方向に移動する場合には、ゲル状部材14が潰れる方向に変形する。ゲル状部材14が潰れる方向に変形する場合のバネ定数は、ゲル状部材14がせん断方向に変形する場合のバネ定数の3倍程度になる。従って、可動体3が振動方向(軸線L方向)とは異なる方向に移動することが抑制されている。
【0046】
(ゲル状部材)
図4は、ダンパー部材10の構成を模式的に示す断面図である。図4において、LAはダンパー部材10の中心軸線である。LA1は軸線LAが延在する方向(軸線LA方向)の一方側であり、LA2は軸線LA方向の他方側である。図1に示すように、ダンパー部材10は、アクチュエータ1の軸線Lとダンパー部材10の軸線LAとが一致するように組み立てられる。
【0047】
第1部材11は円筒形状であり、大径部15と、大径部15よりも小径の小径部16を備える。第1部材11の中心には軸穴17が形成されている。大径部15は第2部材12の内周側に配置される。小径部16は、大径部15から一方側LA1へ延びている。ゲル状部材14の内周は大径部15の外周面150に接続され、ゲル状部材14の外周部は第2部材12の内周面120に接続される。
【0048】
第1部材11および第2部材12はいずれも金属製である。大径部15の外周面150の他方側LA2の縁には、第1部材11の製造時に形成されたバリを除去するための面取り部18が形成されている。図4に示すように、面取り部18は外周面150の縁を斜めに切欠いたテーパー形状であり、全周に形成されている。なお、図4では図示を省略しているが、第1部材11および第2部材12の他の部位にも面取り部が形成されている。例えば、小径部16の外周面の縁、第1部材11の内周面の縁、第2部材12の外周面の縁、および、第2部材12の内周面120の縁にも、それぞれ、同様の面取り部が形成されている。
【0049】
ゲル状部材14は注型品であり、第1部材11および第2部材12の隙間にゲル材料を注入し固化させて製造される。ゲル状部材14の他方側LA2の端面は製造用の型に接する面であるため、平坦面であり、第1部材11の他方側LA2の端面および第2部材12の他方側LA2の端面と同一面上に位置する。
【0050】
ゲル状部材14は、第1ゲル状部材141と第2ゲル状部材142の2種類のゲル状部材からなる。なお、図1-3には第1ゲル状部材141および第2ゲル状部材142の図示を省略し、ゲル状部材14の全体形状のみを図示している。第2ゲル状部材142は、ゲル状部材14の他方側LA2の端面全体に拡がっており、第1部材11の面取り部18に接続されている。本形態では、第2ゲル状部材142は、面取り部18からから第2部材12の内周面120まで延びている。第1ゲル状部材141は、第2ゲル状部材142の一方側LA1に積層されており、第1部材11と第2部材12を接続している。
【0051】
第2ゲル状部材142は、面取り部18に対するゲル状部材14の密着力を高めるための補強用ゲルである。従って、第2ゲル状部材142の第1部材11に対する密着力は、第1ゲル状部材141の第1部材11に対する密着力よりも大きい。ここで、密着力(密着強度)は、垂直引張試験によって計測可能な特性である。垂直引張試験は、例えば、試料であるゲル状部材を固定面(本形態の場合は、第1部材11の外周面)に接続し、固定面に対して垂直な方向にゲル状部材を引っ張ってゲル状部材が剥離したときの引っ張り力を測定することにより行う。
【0052】
本形態では、第2ゲル状部材142は、ゲル状部材14のばね定数にほとんど影響しない程度の薄さである。従って、ゲル状部材14のばね定数は、第1ゲル状部材141によって規定される。本形態では、上記のように、第1ゲル状部材141は、針入度が90度から110度のシリコーンゲルからなる。第2ゲル状部材142は、針入度が90度から110度のシリコーンゲルであってもよいし、そうでなくてもよい。なお、第2ゲル状部材142の厚さを本形態よりも厚くすることもできる。この場合は、ゲル状部材14のば
ね定数は、第1ゲル状部材141のばね定数と第2ゲル状部材142のばね定数を合成した値になる。
【0053】
(ダンパー部材の製造方法)
図5は、ダンパー部材10の製造方法の説明図である。ダンパー部材10の製造に用いる製造用治具90は、円形凹部91と、円形凹部91の底面中央から突出するピン92を備える。ダンパー部材10の製造方法は、製造用治具90に対して第1部材11および第2部材12を組み付ける第1工程と、第1部材11と第2部材12の隙間Sにゲル材料を充填する第2工程と、ゲル材料を加熱硬化させる第3工程と、製造用治具90からダンパー部材10を取り外す第4工程と、を含む。
【0054】
第1工程では、製造用治具90に対して第1部材11および第2部材12を当接させて位置決めすることによって、第1部材11と第2部材12の間に径方向の隙間Sを形成する。図5に示すように、第1工程では、円形凹部91の中央から突出するピン92を第1部材11の軸穴17に挿入し、第1部材11の大径部15の端面を円形凹部91の底面94にL1側から当接させる。また、円形凹部91の内周面に第2部材12を内接させるとともに、第2部材12の端面を円形凹部91の底面94の外周領域に当接させる。これにより、第1部材11と第2部材12が軸線L方向および径方向に位置決めされ、第1部材11の大径部15と第2部材12の間には、環状の隙間Sが形成される。環状の隙間Sは全周にわたって形成され、径方向の幅が全周で一定である。
【0055】
本形態では、第2工程で隙間Sにゲル材料を入れる前に、ゲル状部材14と接する面にプライマー13を塗布しておく。具体的には、大径部15の外周面150および第2部材12の内周面120にプライマー13を塗布する。プライマー13は、面取り部18にも塗布する。なお、プライマー13を塗布する作業は、製造用治具90に対して第1部材11および第2部材12を組み付ける前に行ってもよいし、組み付けた後に行ってもよい。
【0056】
第2工程では、第1部材11と第2部材12との隙間Sに硬化前のゲル材料を充填する。本形態のゲル状部材14は、第1ゲル状部材141と第2ゲル状部材142の2層を備えているため、第2工程では、2種類のゲル材料を順に充填する。図5に示すように、第2工程では、まず、ディスペンサー93から少量の第2ゲル材料G2を隙間Sへ吐出する。第2ゲル材料G2は隙間Sの底部全体に広がり、円形凹部91の底面94と面取り部18との隙間に入り込む。次に、ディスペンサー93から第1ゲル材料G1を吐出して、隙間Sに充填する。
【0057】
第3工程では、ゲル材料(第1ゲル状部材141および第2ゲル状部材142)を製造用治具90ごと加熱し、規定の温度で規定の時間維持することにより硬化させる。これにより、隙間Sにはゲル状部材14が形成される。ゲル材料(第1ゲル材料G1および第2ゲル材料G2)は、加熱硬化する際に、プライマー13に接する部分がプライマー13と反応して、大径部15の外周面150および第2部材12の内周面120に固定される。従って、硬化後のゲル状部材14は、接着剤を用いることなく、ゲル状部材14自体の接着力によって第1部材11および第2部材12に固定される。
【0058】
第4工程では、完成したダンパー部材10を製造用治具90から取り外す。例えば、製造用治具90の第1部材11が当接する面および第2部材12が当接する面に突き出しピンを配置するための貫通孔(図示せず)を設けておき、突き出しピンを用いてダンパー部材10を製造用治具90から取り外す。
【0059】
(本形態の主な効果)
以上のように、本形態のダンパー部材10は、第1部材11および第1部材11の外周
側を囲む第2部材12と、第1部材11と第2部材12の間に配置されるゲル状部材14を有する。ゲル状部材14は、第1部材11と第2部材12を接続する第1ゲル状部材141と、第1部材11の外周面150の縁に形成された面取り部18および第1ゲル状部材141に接続される第2ゲル状部材142と、を備える。第2ゲル状部材142の第1部材11に対する密着力は、第1ゲル状部材141の第1部材11に対する密着力よりも大きい。
【0060】
また、本形態のアクチュエータ1は、可動体3および固定体2と、可動体3を固定体2に対して振動させる磁気駆動機構6と、上記のダンパー部材10とを有する。本形態では、可動体3は固定体2の内周側に配置される。可動体3は、アクチュエータ1の径方向の中心に配置されるシャフト31(内周側部分)を備え、固定体2は、シャフト31の外周側を囲む外周側部分(ホルダ環状部41およびケース環状部25)を備える。ダンパー部材10は、第1部材11が内周側部分に固定され、第2部材12が外周側部分に固定される。
【0061】
本形態のダンパー部材10は、内周側の枠材(第1部材11)と外周側の枠材(第2部材12)の間にゲル状部材14を成形して部品化されている。従って、第1部材11と第2部材12を介してゲル状部材14を可動体3および固定体2に接続できるので、可動体3と固定体2とを接続する際に、ゲル状部材14の接着作業を行う必要がない。従って、アクチュエータ1の組立が容易である。
【0062】
また、ゲル状部材14は、第1部材11と第2部材12を接続する部分はダンパーとして必要な特性を備えた第1ゲル状部材141によって構成する一方、応力が集中する内周部において第1部材11の面取り部18に接続される部分は、補強用の第2ゲル状部材142を用いて第1部材11に対する密着性を高める。従って、ゲル状部材14の内周部に応力が集中したときに面取り部18からゲル状部材14がはがれにくく、ダンパー部材10が壊れにくい。よって、ダンパー部材10として必要な特性を確保しながら、耐久性を高めることができる。
【0063】
このようなダンパー部材10を用いれば、可動体3が振動した際にゲル状部材14が第1部材11からはがれにくくダンパー部材10が壊れにくい。従って、アクチュエータ1の耐久性を高めることができる。また、ダンパー部材10を壊れにくくしたことによって、可動体3を振動させる際の振幅の許容範囲を大きくすることができる。従って、大きな振幅で可動体3を振動させることができる。
【0064】
本形態では、ゲル状部材14は、第1部材11の全周を連続して囲んでいる。これにより、第1部材11を可動体3に接続し、第2部材12を固定体2に接続したときは、可動体3の全周にゲル状部材14が配置される。従って、可動体3が振動方向以外の方向へ移動する際には、ゲル状部材14が潰れる方向に変形するが、ゲル状部材14が潰れる方向に変形するときのばね定数は、せん断方向に変形するときのばね定数よりも大きい。従って、可動体3が振動方向とは異なる方向に移動することを抑制できる。
【0065】
本形態では、ゲル状部材14は、円筒形状であり、全周で均等に配置される。従って、ゲル状部材14のばね定数を全周で均等にすることができるので、可動体3が特定の方向へ動きやすくなることがない。よって、可動体3を安定して支持できる。
【0066】
本形態では、第2ゲル状部材142は、面取り部18から第2部材12まで延びている。本形態では、上記のようにゲル状部材14を注型によって製造するので、ゲル状部材14がこのような形状に拡がる。本形態では、ゲル状部材14として熱硬化性ゲルを用いるので、硬化に要する時間が長い。従って、注型によって第1部材11と第2部材12の間
に直接ゲル状部材14を成形すれば、ダンパー部材10を容易に製造できる。
【0067】
本形態のアクチュエータ1では、ダンパー部材10は、可動体3の振動方向の一端側および他端側で可動体3と固定体2を接続する。従って、可動体3の振動方向の両端がダンパー部材10によって支持されるので、可動体3を安定して支持でき、可動体3が意図しない方向へ動くことを抑制できる。
【0068】
(変形例)
(1)上記形態のダンパー部材10は、枠状の第1部材11および第2部材12の間にゲル状部材14を成形して部品化したものであったが、本発明は、可動体3と固定体2の間に直接ゲル状部材14を成形する形態に適用可能である。例えば、第1部材11がシャフト31に固定もしくは一体化され、第2部材12がホルダ環状部41およびケース環状部25にそれぞれ固定もしくは一体化されたアクチュエータでは、第1部材11は可動体3に設けられた内周側部分を構成し、第2部材12は固定体2に設けられた外周側部分を構成する。可動体3と固定体2とを接続するゲル状部材14は、上記形態と同様に第1ゲル状部材141および第2ゲル状部材142からなる。すなわち、第1ゲル状部材141は、内周側部分と外周側部分とを接続し、第2ゲル状部材142は、内周側部分の縁に形成された面取り部および第1ゲル状部材141に接続される。第2ゲル状部材142の内周側部分に対する密着力は、第1ゲル状部材141の内周側部分に対する密着力よりも大きい。
【0069】
このようにすると、上記形態と同様に、内周側部分の面取り部に接続される部分は、補強用の第2ゲル状部材142を用いて内周側部分に対する密着性を高めることができる。従って、ゲル状部材14の内周部に応力が集中したときにゲル状部材14が内周側部分からはがれにくいので、アクチュエータの耐久性を高めることができる。その結果、可動体3を振動させる際の振幅の許容範囲を大きくすることができるので、大きな振幅で可動体3を振動させることができる。
【0070】
(2)図6は、変形例のダンパー部材110の断面図である。図6のダンパー部材110は、第2ゲル状部材142が面取り部18の近傍のみに配置され、第2部材12まで延びていない。上記形態では、注型により第2ゲル状部材142を形成したために第2ゲル状部材142が面取り部18から第2部材12まで延びているが、他の製造方法で製造することにより、図6に示す形態のダンパー部材110を製造できる。例えば、第2ゲル材料G2を面取り部18に塗布した後に製造用治具90に第1部材11および第2部材12を位置決めし、第1部材11と第2部材12の隙間Sに第1ゲル材料G1を充填してゲル状部材を成形すればよい。
【符号の説明】
【0071】
1…アクチュエータ、2…固定体、3…可動体、4…コイルホルダ、6…磁気駆動機構、10…ダンパー部材、10A…第1ダンパー部材、10B…第2ダンパー部材、11…第1部材、12…第2部材、13…プライマー、14…ゲル状部材、15…大径部、16…小径部、17…軸穴、18…面取り部、20…ケース、21…第1蓋部材、22…第2蓋部材、24…凹部、25…ケース環状部、26…開口部、27…爪部、28…係止部、31…シャフト、32…第2ヨーク、33…第2ヨーク、34…第1磁性板、35…第2磁性板、41…ホルダ環状部、42…胴部、44…開口部、61…磁石、62…コイル、63…基板、90…製造用治具、91…円形凹部、92…ピン、93…ディスペンサー、94…底面、110…ダンパー部材、120…内周面、141…第1ゲル状部材、142…第2ゲル状部材、150…外周面、311…第1端部、312…第2端部、341…端板部、342…側板部、G1…第1ゲル材料、G2…第2ゲル材料、L…軸線、L1…一方側、L2…他方側、LA…軸線、LA1…一方側、LA2…他方側、S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6