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特許7393295表示装置のストレス補償方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】表示装置のストレス補償方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H03M 7/40 20060101AFI20231129BHJP
   G09G 3/3208 20160101ALI20231129BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H03M7/40
G09G3/3208
G09G3/20 670J
G09G3/20 612U
G09G3/20 631U
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020085488
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2020191634
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】62/851,872
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/542,233
(32)【優先日】2019-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】モバシェール アミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ゼフィ
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0194096(US,A1)
【文献】国際公開第2014/112299(WO,A1)
【文献】特開2017-090893(JP,A)
【文献】特開2004-157309(JP,A)
【文献】特開2015-106096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 7/40
G09G 3/12 - 3/14
G09G 3/19 - 3/26
G09G 3/30 - 3/3291
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加算回路によって、表示装置が表示する映像の輝度値を以前の復号値に基づいて蓄積して蓄積輝度値を生成すること、
エンコーダによって、メモリに保存するための、前記蓄積輝度値のビットのうち複数ビットを含む、前記蓄積輝度値の保護部分を選択することによって、前記蓄積輝度値を符号化すること、
圧縮器によって、前記蓄積輝度値を圧縮すること、
前記圧縮器によって、圧縮された前記蓄積輝度値をメモリに格納すること、
解凍器によって、前記圧縮された蓄積輝度値を読み出して解凍して解凍値を生成すること、
デコーダによって、前記保護部分に基づいて前記解凍値を復号化し、前記蓄積輝度値に対応する、前記解凍値よりも低い圧縮ノイズを有する復号値を生成すること、
前記加算回路によって、前記表示装置に表示される出力映像を受信すること、および
前記加算回路によって、前記復号値を前記出力映像の輝度値に加算して、更新された蓄積輝度値を生成することを含む、表示装置のストレス補償方法。
【請求項2】
前記保護部分は、前記蓄積輝度値のp番目のビットで始まるk個のビットを含み、
前記pとkは、いずれも1より大きい整数であり、
(p+k-1)は、前記蓄積輝度値のビット長より小さい、請求項1に記載のストレス補償方法。
【請求項3】
前記解凍値の圧縮ノイズは、前記解凍値の前記(p+k-1)番目のビット内に完全に含まれる、請求項2に記載のストレス補償方法。
【請求項4】
トランケータによって、前記保護部分に先行する前記復号値の下位ビットを破棄することをさらに含む、請求項1に記載のストレス補償方法。
【請求項5】
前記復号値を補償器に提供して、前記表示装置のストレスに対して入力映像を補償することをさらに含む、請求項1に記載のストレス補償方法。
【請求項6】
前記蓄積輝度値を符号化することは、
前記エンコーダによって、前記蓄積輝度値の前記保護部分を識別すること、および
前記エンコーダによって、前記保護部分を前記メモリに格納することを含む、請求項1に記載のストレス補償方法。
【請求項7】
前記保護部分は、前記メモリに非圧縮状態で格納される、請求項6に記載のストレス補償方法。
【請求項8】
前記解凍値を復号化することは、
前記デコーダによって、前記解凍値の解凍された保護部分を識別すること、
前記デコーダによって、前記保護部分と前記解凍された保護部分との間の差を計算して推定圧縮ノイズを生成すること、および
前記デコーダによって、前記解凍値と前記推定圧縮ノイズに基づいて前記復号値を計算して前記解凍値の圧縮ノイズを低減することを含む、請求項1に記載のストレス補償方法。
【請求項9】
前記解凍値の前記解凍された保護部分は、ビット位置において前記蓄積輝度値の前記保護部分に対応する、請求項8に記載のストレス補償方法。
【請求項10】
前記差を計算して前記推定圧縮ノイズを生成することは、
前記デコーダによって、第1エラー(E)および第2エラー(E)を次のように計算すること
【数1】
【請求項11】
【数2】
【請求項12】
【数3】
【請求項13】
前記復号値を計算することは、
前記デコーダによって、前記第1エラーが前記第2エラーと同一であると判断すること、および
前記デコーダによって、前記復号値を前記解凍値として決定することを含む、請求項10に記載のストレス補償方法。
【請求項14】
前記蓄積輝度値を符号化することは、前記エンコーダによって、前記保護部分を複数回複製してバイナリ複製ストリングを形成することを含み、
前記ストレス補償方法は、
前記圧縮器によって、前記バイナリ複製ストリングを圧縮すること、
前記圧縮器によって、前記圧縮されたバイナリ複製ストリングを前記メモリに格納すること、および
前記解凍器によって、前記圧縮されたバイナリ複製ストリングを読み出して解凍して、解凍されたバイナリ複製ストリングを生成することをさらに含む、請求項1に記載のストレス補償方法。
【請求項15】
前記解凍値を復号化することは、
前記デコーダによって、前記解凍されたバイナリ複製ストリングに最尤復号のプロセスを適用して復号化された保護部分を計算して前記保護部分を推定すること、
前記デコーダによって、前記復号化された保護部分と前記解凍値の解凍された保護部分との間の差を計算して推定圧縮ノイズを生成すること、および
前記デコーダによって、前記解凍値と前記推定圧縮ノイズに基づいて前記復号値を計算して前記解凍値における圧縮ノイズを低減することを含む、請求項14に記載のストレス補償方法。
【請求項16】
前記蓄積輝度値を符号化することは、前記エンコーダによって、前記保護部分を符号化して複数のパリティビットを生成することを含み、
前記蓄積輝度値を圧縮することは、前記圧縮器によって、前記パリティビットを前記蓄積輝度値と共に圧縮することを含み、
前記圧縮された蓄積輝度値を解凍することは、前記解凍器によって、前記圧縮されたパリティビットを前記圧縮された蓄積輝度値と共に解凍して解凍された保護部分と解凍されたパリティビットを生成することを含む、請求項1に記載のストレス補償方法。
【請求項17】
前記保護部分の符号化は、前記蓄積輝度値のスライスに適用されたリードソロモン符号に従い、
前記パリティビットは前記蓄積輝度値と異なる圧縮により圧縮される、請求項16に記載のストレス補償方法。
【請求項18】
前記解凍値を復号化することは、
前記デコーダによって、復号化された保護部分を計算し、前記解凍された保護部分および前記解凍されたパリティビットに基づいて前記保護部分を推定すること、
前記デコーダによって、前記復号化された保護部分と前記解凍された保護部分の差を計算して推定圧縮ノイズを生成すること、および
前記デコーダによって、前記解凍値および前記推定圧縮ノイズに基づいて前記復号値を計算して前記解凍値における圧縮ノイズを低減することを含む、請求項16に記載のストレス補償方法。
【請求項19】
メモリ、および
加算回路を含む処理回路を含み、
前記処理回路は、
前記加算回路によって、表示装置が表示する映像の輝度値を以前の復号値に基づいて蓄積して蓄積輝度値を生成すること、
前記メモリに保存するための、前記蓄積輝度値のビットのうち複数ビットを含む、前記蓄積輝度値の保護部分を選択することによって、前記蓄積輝度値を符号化すること、
前記蓄積輝度値を圧縮すること、
圧縮された前記蓄積輝度値を前記メモリに格納すること、
前記圧縮された蓄積輝度値を読み出して解凍して解凍値を生成すること、
前記保護部分に基づいて前記解凍値を復号化し、前記蓄積輝度値に対応する、前記解凍値より低い圧縮ノイズを有する復号値を生成すること、
前記加算回路によって、前記表示装置に表示される出力映像を受信すること、および
前記加算回路によって、前記復号値を前記出力映像の輝度値に加算して、更新された蓄積輝度値を生成すること、
を実行するように構成される、表示装置のストレス補償システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置のストレス補償の方法およびシステムに関する。
【0002】
本出願は、2019年5月23日に米国特許庁に出願された米国仮特許出願番号第62/851,872号の優先権を主張し、ここに引用することによってその出願の全内容が本願に含まれる。
【0003】
本出願はまた、2018年3月15日に米国特許庁に出願された米国仮特許出願番号第62/643,630号の優先権を主張し、2018年5月15日に米国特許庁に出願された米国特許出願番号第15/980,623号と関連し、ここに引用することによってその出願の全内容が本願に含まれる。
【背景技術】
【0004】
有機発光ダイオード表示装置などのような画像表示装置においては、表示装置の経年劣化に伴う画質の低下を補償するために出力低下(output decline)の補償を行うことがある。このような補償を行うために使われるデータは、圧縮された形態で格納されて必要なメモリを削減することができる。しかし、このような圧縮データの誤差が不均一に蓄積され、これによって画質が損なわれる可能性がある。
【0005】
また、OLED(有機発光ダイオード)表示装置では、長時間にわたって静止画像を表示すると、画像の保持(image retention)に問題が発生することがある。その結果、静止画像が削除または変更されると、画像内容が変更されても、元の画像のかすかな輪郭またはゴースト(ghosting)がユーザに表示されることがある。これは残像(image sticking)、イメージ保持(image retention)またはイメージゴースト(image ghosting)と呼ばれる。残像には、ストレスプロファイル(stress profile)と同じ方法が適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第5539468号明細書
【文献】米国特許第6137914号明細書
【0007】
したがって、ストレス補償のための改善されたシステムと方法が必要である。
【0008】
上記の背景技術で開示されている情報は、本発明の背景に対する理解を深めるためのものであり、従来技術でない情報を含む場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、表示装置の画素劣化/経年劣化の影響を緩和することによって表示装置の画質低下を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態による表示装置のストレス補償方法は、加算回路によって、表示装置が表示する映像の輝度値(brightness value)を蓄積して蓄積輝度値を生成すること、エンコーダによって、前記蓄積輝度値を符号化して前記蓄積輝度値の保護部分(protected portion)を保存すること、圧縮器によって、前記蓄積輝度値を圧縮して圧縮蓄積輝度値を生成すること、前記圧縮器によって、前記圧縮蓄積輝度値をメモリに格納すること、解凍器によって、前記圧縮蓄積輝度値を読み出して解凍して解凍値(decompressed value)を生成すること、およびデコーダによって、前記保護部分に基づいて前記解凍値を復号化し、前記蓄積輝度値に対応して、前記解凍値よりも低い圧縮ノイズを有する復号値(decoded value)を生成すること、を含む。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記保護部分は、前記蓄積輝度値のp番目のビットで始まるk個のビットを含み、前記pとkは、いずれも1より大きい整数であり、(p+k-1)は、前記蓄積輝度値のビット長より小さくてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記解凍値の圧縮ノイズは、前記解凍値の前記(p+k-1)番目のビット内に完全に含まれてもよい。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、トランケータ(truncator)によって、前記保護部分に先行する前記復号値の下位ビットを破棄することをさらに含んでもよい。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記復号値を補償器に提供して、前記表示装置のストレスに対して入力映像を補償することをさらに含んでもよい。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記蓄積輝度値を符号化して前記蓄積輝度値の保護部分を保存することは、前記エンコーダによって、前記蓄積輝度値の前記保護部分を識別すること、および前記エンコーダによって、前記保護部分を前記メモリに格納することを含んでもよい。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、前記保護部分は、前記メモリに非圧縮状態で格納されてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記解凍値を復号化して前記復号値を生成することは、前記デコーダによって、前記解凍値の解凍された保護部分を識別すること、前記デコーダによって、前記保護部分と前記解凍された保護部分との間の差を計算して推定圧縮ノイズを生成すること、および前記デコーダによって、前記解凍値と前記推定圧縮ノイズに基づいて前記復号値を計算して、前記解凍値の圧縮ノイズを低減することを含んでもよい。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記解凍値の前記解凍された保護部分は、前記蓄積輝度値の前記保護部分のビット位置に対応してもよい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前記保護部分と前記解凍された保護部分との間の差を計算して推定圧縮ノイズを生成することは、前記デコーダによって、第1エラー(E1)および第2エラー(E2)を次のように計算することを含んでもよい。
【数1】

【0020】
【0021】
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前記復号値を計算して前記解凍値の圧縮ノイズを低減することは、前記デコーダによって、前記第1エラーが前記第2エラーと同一であると判断すること、および前記デコーダによって、前記解凍値を前記復号値として決定することを含んでもよい。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、前記蓄積輝度値を符号化して前記蓄積輝度値の保護部分を保存することは、前記エンコーダによって、前記保護部分を複数回複製してバイナリ複製ストリングを形成することを含み、前記ストレス補償方法は、前記圧縮器によって、前記バイナリ複製ストリングを圧縮すること、前記圧縮器によって、圧縮されたバイナリ複製ストリングを前記メモリに格納すること、および前記解凍器によって、前記圧縮されたバイナリ複製ストリングを読み出して解凍して、解凍されたバイナリ複製ストリングを生成することをさらに含んでもよい。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、前記解凍値を復号化して前記復号値を生成することは、前記デコーダによって、前記解凍されたバイナリ複製ストリングに最尤復号(MLD:maximum likelihood decoding)プロセスを適用して復号化された保護部分を計算して前記保護部分を推定すること、前記デコーダによって、前記復号化された保護部分と前記解凍値の解凍された保護部分との間の差を計算して推定圧縮ノイズを生成すること、および前記デコーダによって、前記解凍値と前記推定圧縮ノイズに基づいて前記復号値を計算して前記解凍値における圧縮ノイズを低減することを含んでもよい。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記蓄積輝度値を符号化して前記蓄積輝度値の保護部分を保存することは、前記エンコーダによって、前記保護部分を符号化して複数のパリティビットを生成することを含み、前記蓄積輝度値を圧縮することは、前記圧縮器によって、前記パリティビットを前記蓄積輝度値と共に圧縮することを含み、前記圧縮蓄積輝度値を解凍して解凍値を生成することは、前記解凍器によって、前記圧縮されたパリティビットを前記圧縮蓄積輝度値と共に解凍して解凍された保護部分と解凍されたパリティビットとを生成することを含んでもよい。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、前記保護部分の符号化は、前記蓄積輝度値のスライスに適用されたリードソロモン符号(reed-solomon code)に従い、前記パリティビットは前記蓄積輝度値と異なる圧縮により圧縮されてもよい。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、前記解凍値を復号化して前記復号値を生成することは、前記デコーダによって、復号化された保護部分を計算し、前記解凍された保護部分および前記解凍されたパリティビットに基づいて前記保護部分を推定する、前記デコーダによって、前記復号化された保護部分と前記解凍された保護部分との差を計算して推定圧縮ノイズを生成すること、および前記デコーダによって、前記解凍値および前記推定圧縮ノイズに基づいて前記復号値を計算して前記解凍値における圧縮ノイズを低減することを含んでもよい。
【0028】
本発明の一実施形態による表示装置のストレス補償方法は、加算回路によって、表示装置が表示する出力映像の輝度値(brightness value)を蓄積して蓄積輝度値を生成すること、エンコーダによって、蓄積輝度値を符号化して前記蓄積輝度値の保護部分(protected portion)を保存すること、圧縮器によって、前記蓄積輝度値を圧縮して圧縮蓄積輝度値を生成すること、前記圧縮器によって、前記圧縮された蓄積輝度値をメモリに格納すること、解凍器によって、前記圧縮蓄積輝度値を読み出して解凍して解凍値(decompressed value)を生成すること、デコーダによって、前記保護部分に基づいて前記解凍値を復号化し、前記蓄積輝度値に対応して、前記解凍値より低い圧縮ノイズを有する復号値(decoded value)を生成すること、前記加算回路によって、前記表示装置に表示される前記出力映像を受信すること、および前記加算回路によって、前記出力映像の輝度値に前記復号値を加えて更新された蓄積輝度値を生成することを含む。
【0029】
本発明の一実施形態による表示装置のストレス補償システムは、メモリ、および処理回路を含み、前記処理回路は、表示装置が表示する映像の輝度値(brightness value)を蓄積して蓄積輝度値を生成し、前記蓄積輝度値を符号化して前記蓄積輝度値の保護部分(protected portion)を保存し、前記蓄積輝度値を圧縮して圧縮蓄積輝度値を生成し、前記圧縮蓄積輝度値を前記メモリに格納し、前記圧縮蓄積輝度値を読み出して解凍して解凍値(decompressed value)を生成し、前記保護部分に基づいて前記解凍値を復号化し、前記蓄積輝度に対応して、前記解凍値より低い圧縮ノイズを有する復号値(decoded value)を生成する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、表示装置のストレスを効果的に補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態による表示装置の一例を示す図である。
図2A】本発明の一実施形態によるストレス補償システムのブロック図である。
図2B】本発明の一実施形態によるメモリ圧縮を利用するストレス補償システムのブロック図である。
図2C】本発明の一実施形態による蓄積された反復圧縮エラーの冗長性支援型ノイズ制御(redundancy assisted noise control)を利用するストレス補償システムのブロック図である。
図3】本発明の一実施形態によるシステムが実行するビットの部分保護によるノイズが低減する過程を示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるシステムが実行するノイズが軽減する過程を示したフロー図である。
図5】本発明の一実施形態によるノイズ低減システムが実行する多重複製によるビットの部分保護によってノイズが低減する過程を示す図である。
図6】本発明の一実施形態によるシステムがリードソロモン符号(reed-solomon code)によるビットの部分保護によってノイズを低減する過程を示す図である。
図7】(a)本発明の一実施形態によるパリティビットを該当する蓄積輝度値に挿入する際の多様な配置オプションを示す図である。(b)本発明の一実施形態によるパリティビットを該当する蓄積輝度値に挿入する際の多様な配置オプションを示す図である。(c)本発明の一実施形態によるパリティビットを該当する蓄積輝度値に挿入する際の多様な配置オプションを示す図である。(d)本発明の一実施形態によるパリティビットを該当する蓄積輝度値に挿入する際の多様な配置オプションを示す図である。
図8A】本発明の一実施形態による再帰システムの最大絶対エラーと反復回数との関係を示す図である。
図8B】本発明の一実施形態による再帰システムの最大絶対エラーと反復回数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面を参照して以下に説明する詳細な説明は、圧縮エラー低減システムおよび方法の実施形態に関するものであり、本発明によって実現または利用される形態をすべて示したものではない。添付する図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、互いに異なる実施形態で実現されるものと同一または均等の機能と構造も本発明の範囲内に含まれる。明細書全体にわたって同一または類似する構成要素に対しては同じ図面符号を付けた。
【0033】
「第1」、「第2」、「第3」などの用語を様々な要素、成分、領域、層、部分などに使うが、これらはこのような修飾語によって限定されない。このような用語は、ある要素、成分、領域、層、部分を他の元素、成分、領域、層、部分と区別するために使うものであり、本発明の趣旨と範囲を逸脱しない。
【0034】
また、ある層が他の二つの層の「間」にあると表現した時、二つの層の間に当該層のみがある場合もあるが、一つ以上の他の層がさらに存在してもよい。
【0035】
ここで使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を制限しようとするものではない。ここで「実質的に」、「約」、「概して」およびこれと類似の表現は近似を示す表現であり、「程度」を示すものではなく、当業者がわかる測定値または計算値の固有誤差を示すことに使う。
【0036】
ここで、特に言及しない限り、数は単数または複数の場合をすべて含む。ある特徴、段階、動作、部分、成分などを「含む」という表現は、当該部分外の他の特徴、段階、動作、部分、成分なども含み得ることを意味する。「および/または」という表現は、列挙されたものの一つまたは二つ以上のすべての組み合わせを含む。列挙したリストの前に記載した「少なくとも一つ」などの表現は、リスト全体を修飾するものであり、リスト内のそれぞれのことを修飾するものではない。また、本発明の実施形態を説明するときに使用する「できる、してもよい」という表現は「本発明の一つ以上の実施形態」に適用可能であることを意味する。「例示的な」という用語は、例示または図示を示す。「使用」、「利用」などは、これと類似の他の表現と共に同意語として使うことができる。
【0037】
部分、層、領域、成分などが他の部分、層、領域、成分の「上に」あるかあるいは「連結されて」いると記載する場合、「すぐ」上にあるかまたは「直接」連結されている場合だけでなく中間に他の部分、層、領域、成分などがさらに介在している場合も含む。しかし、「真上に」あるか、あるいは「直接連結」されていると記載する場合は、中間に他の部分を介在しないことを意味する。
【0038】
特定の種類の表示装置は使用に応じて変化する特性を有している。例えば、有機発光ダイオード(OLED)表示装置は、複数の画素(pixel)を有している表示パネルを含み得る。各画素はいくつかの副画素(subpixel)(例:赤色副画素、緑色副画素、青色副画素)を含み、各副画素は該当色相の光を発光する有機発光ダイオードを含み得る。それぞれの有機発光ダイオードの光効率は使用するにつれて低下し、例えば、有機発光ダイオードがしばらく動作した後では、特定の電流に対する光学的出力が新しいものよりも低くなることがある。
【0039】
光効率が低下すると、表示装置の寿命の間、平均的に他の部分より明るい部分を表示した部分が暗くなる場合がある。例えば、防犯カメラから受けた、ほとんど変化しない映像を見るために使われる表示装置では、カメラの視野が一日の大半で光が入って相対的に明るい第1部分と、一日の大半が日陰で相対的に暗い第2部分を含むと、最終的には第2部分より第1部分が光効率の大幅な低下を示す場合ある。このような装置では、映像再生の正確度は、結果として時間と共に低下する可能性がある。他の例として、映像の下側に位置して、映像の他の部分とは黒い境界で分離された白い文字を表示するために使われる表示装置では、黒い境界の部分では光効率の低下は表示パネルの他の部分に比べて少なく、後でこの表示装置のパネル全体が一つの場面を表示するのに使われる場合、以前に黒い境界を表示していた部分に明るい帯が表示されることがある。これは残像(image sticking)またはイメージゴースト(image ghosting)という。
【0040】
表示装置におけるこのような光効率の不均一性の影響を低減するために、表示装置の使用に起因する光効率の減少を補償する機能を表示装置に含ませることができる。
【0041】
図1は表示装置100の一実施形態を示す。表示装置100は、表示パネル110、処理回路115(プロセッサまたは中央処理装置(CPU:central processing unit))およびメモリ120を含む。メモリ120は表示装置100の「ストレスプロファイル」または「ストレステーブル」というデータを含む。メモリ120に格納された「ストレスプロファイル」または「ストレステーブル」は、表示装置100の寿命の間に各副画素が受けたストレス量を示す数字または「ストレス値」のテーブルであってもよい。「ストレス」は、表示装置100の寿命の間に副画素を通って流れた総(例えば時間積分)駆動電流または表示した輝度値の総和(sum total of brightness values)であってもよい。例えば「ストレス」は、表示装置100の寿命の間に各副画素を通って流れた総電荷であってもよい。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、「ストレスプロファイル」の決定方法は、OLEDの出力減少(output decline)を補償するデータ駆動方法であってもよい。本発明の他の実施形態によれば、表示装置100の「ストレスプロファイル」を決定するために、表示装置100に新しいイメージ(image)を表示するたびに、その表示装置100に対する「ストレスプロファイル」または「ストレステーブル」の新しいエントリとして、メモリ120は一つ以上の副画素に対して1つの数を蓄積してもよい。例えば、画像の連続ストリームが共に表示映像(video)形成すると、各画像の各副画素サブピクセルの駆動電流が測定され、その電流または副画素の輝度を示す数は、メモリ120にある「ストレスプロファイル」または「ストレステーブル」の該当副画素に対する値または「ストレス」に加えられてもよい。例えば、各副画素のストレス値は、副画素によって表示される輝度値の総和として計算されてもよい。
【0043】
本発明の実施形態によれば、表示装置100は、タイミングコントローラと複数の駆動集積回路(例えば、スキャン/ゲート駆動部およびデータ駆動部)を含む。処理回路115は、一つ以上の駆動集積回路またはその一部であってもよい。一部の実施形態によれば、それぞれの駆動集積回路は、表示パネル110の一部を駆動するために使用され、他の駆動集積回路とは独立して、該当部分のストレス蓄積およびストレス補償を行うことができる。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、表示装置100が動作する間、各副画素に対する駆動電流を調整して光効率予測損失(estimated loss)を補償してもよい。光効率予測損失は、副画素の総ストレス(lifetime stress)に基づいてもよい。例えば、メモリ120に蓄積された副画素の光効率予測損失に応じて(またはそれに比例して)、各副画素に対する駆動電流を増加させることによって、副画素の光出力は、副画素の光効率が低下せず、駆動電流が増加しない状態と実質的に同じとなる。本発明の一実施形態によれば、副画素の物理モデルまたは実験的データに基づいた非線形関数を用いて副画素の総ストレスに基づいた光効率損失を推論または予測することができる。光効率予測損失およびそれに基づく駆動電流の調整量は処理回路115によって実行されてもよい。本発明の一実施形態によれば、計算結果は、メモリ120のルックアップテーブルに格納され、処理回路115はこれを補償のために使用することができる。本発明の一実施形態によれば、表示装置100が動作する間、各副画素の駆動電流は、補償係数(compensation factor)により調整され、この補償係数は副画素の出力映像からキャプチャされた蓄積された輝度に基づく。
【0045】
図2Aは本発明の一実施形態によるストレス補償システム200のブロック図である。システム200は、メモリ205(メモリ120と同一またはその一部であってもよい)、補償モジュール210、輝度/ストレス捕捉モジュール215、加算回路220およびメモリコントローラ225を含む。ストレステーブルはメモリ205に格納される。動作中に、メモリコントローラ225は、ストレステーブル内のストレス値にアクセスし(またはストレス値を読み出し)てもよい。このストレス値は、補償モジュール210が副画素に対する補償係数を決定するために使用される。補償モジュール210は、各副画素のぞれぞれの補償係数に基づいて、各副画素の駆動電流調整値を計算する駆動電流調整回路を含んでもよい。各副画素の補償係数は、該当副画素のストレス値に基づく。本発明の一実施形態によれば、各副画素に対する駆動電流調整値は、(例えば、副画素の所望の光学出力に基づく)駆動電流の原始値を副画素の蓄積ストレスに応じて調整したものであってもよい。駆動電流調整値は、輝度/ストレス捕捉モジュール215によって読み出だされる。輝度/ストレス捕捉モジュール215は、副画素ストレスサンプリング回路を含んでもよい。駆動電流調整値は、表示されている副画素の現在のストレス蓄積率を示す。(例えばメモリ205に)既に格納された各副画素のストレス値は、加算回路220で現在のストレス蓄積率(すなわち、駆動電流調整値に比例する数)に基づいて増加され、メモリコントローラ225を介して再びメモリ205に格納される。メモリコントローラ225は、メモリ205における読み取り/書き込みの動作を制御し、必要に応じて、ストレス値をメモリ205から補償モジュール210の駆動電流調整回路および加算回路220に供給する。また、メモリコントローラ225は、加算回路220において現在のストレス蓄積率を加算することによって増加されたストレス値をメモリ205に再び格納する。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、各副画素の総ストレスを追跡するためには膨大な量のメモリが必要になる場合がある。例えば、1920×1080画素の表示装置で、画素あたり3個の副画素があり、各副画素に数バイトのストレスがある場合、必要なメモリの大きさは数十メガバイトオーダーになる場合がある。また、映像の各フレーム(例えば各表示イメージ)の各副画素のストレス数を更新するために必要な計算負担も大きい。
【0047】
副画素ストレスに起因する光効率の減少を追跡して補正する負担を減らすために、様々な方法を用いることができる。例えば、輝度/ストレス捕捉モジュール215の副画素ストレスサンプリング回路は、各画像(例えば、映像の各フレーム)の駆動電流調整値の一部のみをサンプリングしてもよい。例えば、1080画素行(または列)を有する表示装置では、表示映像の場面が比較的ゆっくり変化する場合、映像一フレーム当たりストレステーブルの一行のみが更新されてもよい。任意の副画素について1079個の値を破棄しても(例えば、副画素の総ストレスの測定値として)結果的なストレス値の正確度に小さい、許容可能な損失だけがあるようにすることができる。
【0048】
他の実施形態によれば、輝度/ストレス捕捉モジュール215の副画素ストレスサンプリング回路は、フレームの一部のみをサンプリングしてもよい。例えば、1080画素行(または列)を有する表示装置でリフレッシュレートが60Hz(例えば1分当り60フレーム)の場合、輝度/ストレス捕捉モジュール215の副画素ストレスサンプリング回路は、毎10フレームごとに一度画像内の駆動電流値の全体または一部をサンプリングし、ストレステーブルもこれに応じて更新する。
【0049】
副画素ストレスをストレステーブルに格納するために必要なメモリの大きさを減らす様々な方法がある。例えば、ストレスプロファイルチップセットの上にあるメモリは、メモリに格納されるデータを圧縮することによって削減することができる。
【0050】
図2Bはメモリ圧縮を用いるストレス補償システム201のブロック図である。システム201は図2Aのすべての要素を含む。システム201はまた、第1解凍器230、圧縮器235および第2解凍器240を含む。本発明の一実施形態によれば、ストレステーブルの圧縮表現がメモリ205に格納される。動作中、圧縮されたストレスデータは、メモリコントローラ225を介してアクセス(例えば、読み出し)されることができ、第1解凍器230によって解凍されて補償モジュール210の駆動電流調整回路に供給されてもよい。補償モジュール210の駆動電流調整回路は、各副画素についてぞれぞれの補償係数に基づいて、該当副画素の駆動電流調整値を計算する。各副画素の補償係数は、該当副画素のストレス値に基づく。各副画素の駆動電流調整値は、輝度/ストレス捕捉モジュール215が読み取る。駆動電流調整値は、表示されている副画素の現在のストレス蓄積率を示す。メモリ205にある圧縮ストレスデータは、既存の(例えばメモリ205に)格納された各副画素のストレス値を読み出すために、第2解凍器240によって解凍される。副画素に対する解凍されたストレス値は、第2解凍器240から加算回路220に送信される。各副画素について既存の格納されたストレス値は、加算回路220において、現在のストレス蓄積率(例えば、駆動電流調整値に比例する数)に基づいて増加される。加算回路220で増加されたストレス値は、圧縮器235によって圧縮された後メモリ205に格納される。圧縮器235は、受信したデータをそのサイズを減らす方式で圧縮する。本発明の一実施形態によれば、圧縮器235が適用する圧縮は、圧縮されたデータが消費するメモリ容量を減らす(例えば最小化する)ために損失が大きくなることがある。第1解凍器230および第2解凍器240のそれぞれは、受信したデータを解凍する。例えば、第1解凍器230および第2解凍器240のそれぞれは、圧縮器235によって実行される演算を反転、またはほぼ反転する演算を実行する。ハフマン符号化(Huffman coding)または算術符号化などのエントロピー符号化を含む多様な圧縮方法を使うことができる。
【0051】
図2Bのシステム201は、ストレステーブルに副画素ストレスを格納するために必要なメモリのサイズを減らすことができる。しかし、システムの反復性(iterative nature)のために、圧縮を使わないシステム(例:200)に比べて、メモリまたはストレステーブルにエラーが蓄積される虞がある。ストレスプロファイルの反復付加特性は、圧縮および解凍エラーを起こして一度の反復から次に反復まで蓄積する。応力プロファイルの反復的な加法の性質により、圧縮エラーと解凍エラーは1つの反復から次の反復へと蓄積される。このエラーパターンは反復ごとに類似する場合がある。本発明の一実施形態によれば、このようなエラーは非常に大きく、従来のエラー修正コードを使用しては効果的に修正できないことがある。
【0052】
図2Cは本発明の一実施形態による蓄積された反復圧縮エラーの冗長性支援型ノイズ制御(redundancy assisted noise control)を使用するストレス補償システム202のブロック図である。
【0053】
図2Cを参照すると、本発明の一実施形態によれば、システム202は図2Aのすべての要素を含む。システム202はまた、エンコーダ(例:チャンネルエンコーダ)222、第1チャンネルデコーダ232、第2チャンネルデコーダ242およびトランケータ234をさらに含む。本発明の一実施形態によれば、エンコーダ222は、加算回路220から受けた蓄積された輝度値(「蓄積されたストレス値」ともいう)である蓄積輝度値生成し、生成した蓄積輝度値を符号化して、後にノイズを緩和するために使われる蓄積輝度値の一部を保護(例えば保存)する。輝度値の保護部分は輝度値の中間部分付近のkビット(kは1より大きい整数)であってもよく、これについては後述する。エンコーダ222は、保護部分の複製コピー(duplicate copy)をメモリ205に格納して、後に第1および第2チャンネルデコーダ232,242が使用できるようにする。本発明の一実施形態によれば、複製部分(duplicate portion)は、非圧縮形態で格納することもでき、(例えば圧縮器235が)損失のない/損失のある圧縮を使って圧縮した後にメモリ205に格納することもできる。または、保護部分のコード化されたバージョンをメモリ205に格納することもできる。第1および第2チャンネルデコーダ232,242のそれぞれは、メモリ205に格納された保護部分を使用して、圧縮器235および対応する解凍器230,240によって実行される圧縮および解凍動作から生じる圧縮ノイズを低減する。チャンネルエンコーダ222およびデコーダ232,242を使用しない場合、ストレスプロファイルの反復性のために圧縮/解凍エラーは時間が経過するとともに増加して、重要度の低いビット(下位ビット)位置(lesser significant bit locations)からより重要度の高いビット(上位ビット)位置(more significant bit locations)まで伝播する虞がある。本発明の一実施形態によれば、kビットの輝度値が保存されると、残りのより重要度の高いビット位置にはエラーがない。
【0054】
トランケータ234は、第1チャンネルデコーダ232出力の一部を破棄してもよい。本発明の一実施形態によれば、トランケータ234は、輝度値の保護部分に先行する重要度の低いビットを破棄することによって蓄積エラーを低減または最小化する。
【0055】
図3は、本発明の一実施形態によるシステム202が実行するビットの部分保護によるノイズ減少の過程を示す図である。
【0056】
図3を参照すると、本発明の一実施形態によれば、エンコーダ222は、開始ビットpで始まるkビットの蓄積輝度値(X)を保護部分(xk)として選択してもよく、ここでkとpはいずれも1より大きい整数である。蓄積輝度値(X)の重要度の低い部分(xl)は最下位ビットからp-1ビットまでであり、後にトランケータ234によって破棄される。圧縮/解凍ノイズの範囲が保護部分(xk)と重要度の低い部分(xl)との間になるように、すなわち蓄積輝度値(X)の第1ビットから(p+k-1)番目のビットに限定されるようにpおよびk値を選択する。(p+k-1)値は蓄積輝度値(X)のビット長より短くてもよい。本発明の一実施形態によれば、保護部分(xk)の長さkは4~6であってもよく、pの値は6~8の間であってもよい。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明の一実施形態によれば、重要度の低い部分(xl)に現れるエラーを無視し、保護部分(xk)に含まれた部分情報を保護し、この部分情報を使用してエラー修正を行うことによって蓄積輝度値(X)のより重要度の高い部分、すなわち(p+k)番目のビットから最上位ビットまでのエラー伝播を大幅に低減または最小化することができる。
【0057】
【0058】

【数2】
【0059】
【0060】
ここで、|N|圧縮ノイズ(N)の絶対値を示す。式3の条件は式2の条件よりさらに保守的(conservative)であるため、式3を満たすことにより式2が自動的に満たされることが保証される。式1の条件下では、(最初のp-1ビットを無視すると)次のように表される二つのN候補がある。
【0061】
【数3】
【0062】

【数4】
【0063】

【数5】
【0064】
すなわち、反復当たりの圧縮ノイズは、破棄される重要度の低い部分(xl)に限定される。
【0065】
図4は、本発明の一実施形態によるシステム202が実行するノイズを低減する過程を示すフローチャートである。
【0066】

【数6】

【数7】
【0067】
ここで、「a mod b」は、整数aを整数bでユークリッド除算(Euclidean division)した剰余である。EおよびE値はノイズに保護部分(xk)のkビットを足したものである。第1エラー(E)は圧縮ノイズ(N)が正の数であるシナリオを表し、第2エラー(E)は圧縮ノイズ(N)が負の数であるシナリオを表す。図4において、(式3ではなく)式2で弱い条件(weaker condition)のみを満たすと仮定されている。このようなシナリオでは、(式4および式5のノイズ値に該当する)二つのノイズ値(E,E)が考えられ、チャンネルデコーダ232/242はEとEのうちどちらが補償されなければならない正しいノイズであるかを決定する。
【0068】

【数8】
【0069】

【数9】
【0070】
【0071】
【0072】
図5は、本発明の一実施形態によるシステム202が実行する多重複製によるビットの部分保護によるノイズ低減の過程を示す図である。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
図6は、本発明の一実施形態によるシステム202が、リードソロモン符号(reed-solomon code)など強化された符号化技術(enhanced coding techniques)による複数の画素の依存符号化(dependent encoding)を伴うビットの部分保護によるノイズの低減の過程を示す図である。図7は、本発明の一実施形態による、パリティビットを該当する蓄積輝度値に挿入するときの多様な配置オプションを示す図である。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
前述した実施形態では、p値とk値とは固定されており、ノイズの推定またはノイズに対する知見に基づく。しかし、システム202の再帰的な構造によって、ノイズは固定されずに時間が経過するほど蓄積される。その結果、選択されたp値とk値を開始点に置くのは非常にアグレッシブ(aggressive)である。
【0082】
したがって、連続する各反復/実行(iteration/run)でノイズレベルにより合致するようにp値とk値を適応的に選択する(adaptively select)ことが好ましい。反復/実行それぞれは、表示装置に表示される映像のフレームに対応してもよい。本発明の一実施形態によれば、それぞれの連続するフレームは連続する反復に対応する。他の実施形態によれば、一つの反復がm(mは1より大きい整数)フレームごとに行われてもよい。後者の方法はメモリと計算時間を削減することができる。
【0083】
適応性パラメータ(adaptive parameters)を使えば、不適切なパラメータを次の実行で修正できるため、パラメータ初期化が容易になる。また、適応性パラメータは開始点でより良い優れたパフォーマンスを提供することができ、これにより、初期の実行中のエラー蓄積を低減することができる。さらにノイズに対する知見が必要ない。
【0084】
蓄積ノイズは、最初は小さいが時間と共に増加するので(即ち、最下位ビット(LSB)から始まって最上位ビット(MSB)に向かって移動する)、開始点でp+kにはより小さい値(合計パラメータ(c)という)を選択することが好ましい。適応性パラメータ選択の一実施形態によれば、値kは定数である。したがって、pの値は時間と共に(例えばLSBからMSBに)増加する。
【0085】
図8Aおよび図8Bは、本発明の一実施形態による再帰システム202の最大絶対エラーと反復回数とを示す図である。図8Aおよび図8Bは、蓄積圧縮量子化ノイズの階段状特性を示す。
【0086】
図8Aは、固定合計パラメータc(=p+k)を利用したノイズ低減を示す。図8Bは、可変合計パラメータcを利用した適応ノイズ低減を示す。また、各段階における合計パラメータcの適正値は図8Bに示されている。図8Bの例において、合計パラメータcは一つずつ増加する。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、データの蓄積およびそれによるノイズの蓄積は、長期間(例えば、数ヶ月または数年)続いてもよく、合計パラメータcは、間隔を置いて(例えば周期的に、数週または数ヶ月に一回の間隔で)更新されてもよい。したがって、合計パラメータcの変更は相対的に多くなくてもよい。その結果、合計パラメータcが増加した後に1回の反復のノイズ計算が外れた(例えば、不正確である)としても、このエラーは正確なcの値を使用する多数の反復によって希釈されるため、表示装置の画質に識別可能な影響は残らない。
【0088】
合計値cを適応的に変化させる二つの方法がある。第一に、圧縮器235による合計値cを設定/調整することと、チャンネルエンコーダ222とデコーダ232,242に値cを伝達すること、第二に、一つ以上のチャンネルエンコーダ222およびデコーダ232,242による符号化/復号化に使用可能な情報を利用した合計値cを設定/調整することと、エンコーダおよびデコーダのうち他の1つまたは複数に値cを伝達することである。二番目の方法は自己適応性であるといえる。
【0089】
第一の方法において、圧縮器235は量子化テーブルを使用してもよい(これはメモリ205にあるストレスプロファイルテーブルとは異なる)。本発明の一実施形態によれば、(図8Bにおいて階段状の変化として示す)圧縮量子化が変化する時にcが増加する。この場合に、量子化レベルが変わる度に圧縮器235はチャンネルエンコーダとデコーダに信号を与えて合計値cを増加させる。量子化レベルおよびそれに対応するcは、経験的な数値や理論的な計算に基づく。
【0090】
【0091】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2チャンネルデコーダ232,242の一つが合計値cを変更すると、その変化を他のチャンネルデコータに伝達してcの不一致によるノイズが発生しないようにする。しかし、第1および第2チャンネルデコーダ232,242が合計値cの変化を伝達しない例では、一方のデコーダが値cを変えると他方のデコーダに不一致ノイズが生じる。しかし、他方のデコーダはcの不一致に起因する追加的なノイズを活用して同じ自己適応性ロジックを使用してcの不一致を検出して合計値cを一つ増加させてもよい。
【0092】
本発明の一実施形態によれば、修正エラーが大きくなることを回避するために、合計値cが変更されると、チャンネルエンコーダ222およびデコーダ232,242によるノイズの低減が行われない。
【0093】
本発明の一実施形態によれば、量子化ノイズに階段状の変化があるときに合計値cの増加が頻繁に起こると、チャンネルエンコーダ/デコーダが合計値cを自己調整をする代わりに、量子化ノイズに変化があるときに圧縮ブロック(すなわち、圧縮器235)がcの値を調整して、その変化をチャンネルエンコーダ222およびデコーダ232,242に通知する。ここで、cの変更に対する決定は、自己適応性方法と同様に行うことができる。
【0094】
本発明の実施形態により説明した電子、電気装置および/または他の関連装置または部分は、適切なハードウェア、ファームウェア(例:特定用途向け集積回路)、ソフトウェアまたはこれらの組み合わせを使って実現することができる。例えば、これら装置の多様な構成要素を一つの集積回路チップに形成することもでき、互いに異なる集積回路チップに実装することもできる。また、これら装置の多様な構成要素を可撓性印刷回路フィルム、テープキャリアパッケージ(TCP:tape carrier package)、印刷回路基板などに実装したり、一つの基板の上に形成することができる。また、これら装置の多様な構成要素は、ここで説明した多様な機能を実行するためのコンピュータプログラム命令を実行して他のシステム要素と相互作用する一つ以上のコンピュータ装置内にある一つ以上のプロセッサで実行され得るプロセスまたはスレッド(thread)であってもよい。コンピュータプログラム命令は、RAM(random access memory)などの標準メモリ装置を使うコンピュータ装置に実装されたメモリに格納されることができる。また、コンピュータプログラム命令は、例えば、CD-ROM、フラッシュドライブなどのような他の非一過性のコンピュータ読み取り可能媒体に格納されてもよい。当業者は、本発明の実施形態の概念と範囲を逸脱することなく、多様なコンピュータ装置の機能を一つのコンピュータ装置に結合または統合してもよく、特定のコンピュータ装置の機能を一つ以上の他のコンピュータ装置に分散してもい。
【0095】
以上、圧縮エラー低減システムおよび方法の実施形態について説明および図示したが、当業者であればこのような実施形態を変更および修正することもできる。したがって、ここで提示した原理により構成されたストレスプロファイル圧縮を利用した圧縮エラー低減システムおよび方法も本発明に含まれる。本発明は次の請求範囲およびその均等物によって定義される。
【符号の説明】
【0096】
100:表示装置
110:表示パネル
115:処理回路
120,205:メモリ
200,201,202:ストレス補償システム
210:補償モジュール
215:輝度/ストレス捕捉モジュール
220:加算回路
222:チャンネルエンコーダ
225:メモリコントローラ
230,240:解凍器
232,242:チャンネルデコーダ
234:トランケータ
235:圧縮器
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B