(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/48 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
H01L23/48 P
(21)【出願番号】P 2020155454
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】田靡 京
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/180255(WO,A1)
【文献】特開平08-125088(JP,A)
【文献】特開2019-087741(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141114(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/48
H01L23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子を覆う絶縁部と、
第1方向において前記絶縁部と重なる第1導電部及び前記絶縁部から露出した第2導電部を含み、前記半導体素子と電気的に接続された端子であって、前記第2導電部は、
前記第1方向に垂直な第2方向と交差し且つ金属層が設けられた端面
と、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向と交差する第1面及び第2面と、を有し、
前記端面の前記第3方向における一端は前記第1面の前記第2方向における一端と接し、前記端面の前記第3方向における他端は前記第2面の前記第2方向における一端と接し、前記端面は前記第1導電部に向けて窪んだ、第1部分と、
前記第2方向において前記第1部分と前記第1導電部との間に設けられた第2部分と、
を含み、
前記第3方向における前記第1部分の長さは前記第3方向における前記第2部分の長さよりも短い、前記端子と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記端面と前記第1面との間の角度及び前記端面と前記第2面との間の角度は、20度よりも大きく90度よりも小さい、請求項
1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2部分は、
前記第1面の前記第2方向における他端と連なる第3面と、
前記第2面の前記第2方向における他端と連なる第4面と、
を有し、
前記第1面の前記他端及び前記第2面の前記他端は、湾曲している、請求項
1又は
2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体素子の下に設けられた第1部材と、
前記半導体素子の上に設けられ、互いに離れた第2部材及び第3部材と、
複数の前記端子と、を備え、
前記複数の端子は、前記第1部材と電気的に接続された第1端子と、前記第2部材と電気的に接続された第2端子と、前記第3部材と電気的に接続された第3端子と、を含む、請求項1~
3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体素子が接合される接合部分と、
第2方向に延び、前記第2方向に垂直な第3方向に並び、それぞれが端子に成形される複数の端子部分と、
隣り合う前記端子部分の前記第2方向における端部同士を連結する連結部分と、
を含み、それぞれの前記端子部分は前記第2方向と交差し且つ前記接合部分に向けて窪んだ端面を有する、リードフレームを用意し、
前記接合部分の上に、前記半導体素子を接合し、
前記端面に、金属層を形成し、
前記端部の前記第3方向における長さが前記端子部分の他の部分の前記第3方向における長さよりも短くなるように、前記連結部分及びそれぞれの前記端部の一部を除去
し、
前記連結部分及び前記端部の前記一部の除去により、前記第3方向と交差する第1面及び第2面が前記端部に形成され、前記端面の前記第3方向における一端は前記第1面の前記第2方向における一端と接し、前記端面の前記第3方向における他端は前記第2面の前記第2方向における一端と接する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
metal-oxide-semiconductor field-effect transistor(MOSFET)などの半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。半導体装置の特性の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、特性を向上可能な半導体装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、半導体素子と、絶縁部と、端子と、を備える。前記絶縁部は、前記半導体素子を覆う。前記端子は、第1方向において前記絶縁部と重なる第1導電部及び前記絶縁部から露出した第2導電部を含む。前記端子は、前記半導体素子と電気的に接続されている。前記第2導電部は、第1部分及び第2部分を含む。前記第1部分は、前記第1方向に垂直な第2方向と交差し且つ金属層が設けられた端面を有する。前記端面は前記第1導電部に向けて窪んでいる。前記第2部分は、前記第2方向において前記第1部分と前記第1導電部との間に設けられている。前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向における前記第1部分の長さは、前記第3方向における前記第2部分の長さよりも短い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
【
図4】実施形態に係る半導体装置の端子を表す平面図及び断面図である。
【
図5】実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す平面図である。
【
図6】実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す平面図である。
【
図7】実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す平面図である。
【
図8】実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す平面図である。
【
図9】参考例及び実施形態に係る製造方法及び半導体装置を表す平面図である。
【
図10】別の参考例及び実施形態に係る半導体装置を表す平面図及び断面図である。
【
図11】実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図1に表したように、実施形態に係る半導体装置100は、半導体素子1、絶縁部5、端子10、第1部材21、第2部材22、及び第3部材23を含む。
図1では、絶縁部5が破線で表されている。
【0009】
実施形態の説明では、XYZ直交座標系を用いる。第1部材21から半導体素子1に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。Z方向に対して垂直であり、相互に直交する2方向をX方向(第2方向)及びY方向(第3方向)とする。また、説明のために、第1部材21から半導体素子1に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う。これらの方向は、第1部材21と半導体素子1との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0010】
図示した例では、半導体素子1は、MOSFETである。絶縁部5は、半導体素子1の上方及び側方を覆っている。絶縁部5は、半導体素子1を封止しても良い。端子10は、導電性であり、半導体素子1と電気的に接続されている。他の装置との電気的接続のために、端子10の一部は、絶縁部5に覆われておらず、外部に露出している。
【0011】
図2及び
図3は、
図1のII-II断面図及びIII-III断面図である。
図2及び
図3に表したように、半導体素子1は、ドレイン電極1a、ソース電極1b、ゲートパッド1c、及び半導体層1dを含む。ドレイン電極1aは、半導体素子1の下面に設けられている。ソース電極1b及びゲートパッド1cは、半導体素子1の上面に設けられている。ソース電極1bとゲートパッド1cは、互いに離れており、電気的に分離されている。半導体層1dは、ドレイン電極1aとソース電極1bとの間、及びドレイン電極1aとゲートパッド1cとの間に設けられている。
【0012】
第1部材21~第3部材23は、導電性であり、互いに離れている。第1部材21は、ドレイン電極1aの下に設けられ、接合層31aを介してドレイン電極1aと電気的に接続されている。第2部材22は、ソース電極1bの上に設けられ、接合層31bを介してソース電極1bと電気的に接続されている。第3部材23は、ゲートパッド1cの上に設けられ、接合層31cを介してゲートパッド1cと電気的に接続されている。
【0013】
複数の端子10は、第1端子10a、第2端子10b、及び第3端子10cを含む。第1端子10aは、第1部材21と電気的に接続されている。第2端子10bは、第2部材22と電気的に接続されている。第3端子10cは、第3部材23と電気的に接続されている。第1端子10a~第3端子10cは、第1部材21~第3部材23を介してそれぞれ半導体素子1と電気的に接続されている。
【0014】
第1端子10a~第3端子10cは、それぞれ、第1部材21~第3部材23と一体に形成されても良いし、第1部材21~第3部材23とは別個の部材として設けられても良い。図示した例では、第1端子10aは、第1部材21と一体に形成されている。第2端子10bは、接合層32を介して第2部材22と電気的に接続されている。第3端子10cは、接合層33を介して第3部材23と電気的に接続されている。
【0015】
図4(a)は、実施形態に係る半導体装置の端子を表す平面図である。
図4(b)は、
図4(a)のb-b断面図である。
図4(a)及び
図4(b)に表したように、端子10は、第1導電部11及び第2導電部12を含む。
【0016】
第1導電部11は、Z方向において絶縁部5と重なっている。第1導電部11は、さらにY方向において絶縁部5と重なっていても良い。第1導電部11は絶縁部5と直接接していても良いし、第1導電部11と絶縁部5の間に別の要素が設けられても良い。第2導電部12は、絶縁部5とは重ならず、外部に露出している。第2導電部12は、X方向において第1導電部11と並んでいる。
【0017】
第2導電部12は、第1部分12a及び第2部分12bを含む。第1部分12aは、端子10のX方向における端部を含む。第2部分12bは、X方向において、第1導電部11と第1部分12aとの間に設けられている。
【0018】
図4(a)に表したように、第1部分12aは、X方向と交差する端面ESを有する。端面ESは、第1導電部11に向けて窪んでいる。端面ESは、滑らかに湾曲していることが好ましい。端面ESには、金属層15が設けられている。第1部分12aのY方向における長さL1は、第2部分12bのY方向における長さL2及び第1導電部11のY方向における長さL3よりも短い。長さL3は、長さL2と同じでも良いし、長さL2と異なっていても良い。
【0019】
第1部分12aは、Y方向と交差する第1面S1及び第2面S2をさらに有する。端面ESのY方向における一端は、第1面S1のX方向における一端と接している。端面ESのY方向における他端は、第2面S2のX方向における一端と接している。端面ESと第1面S1との間の角度θ1及び端面ESと第2面S2との間の角度θ2は、鋭角である。
【0020】
第2部分12bは、Y方向と交差する第3面S3及び第4面S4を有する。第1面S1のX方向における他端は、湾曲して第3面S3と連なっている。第2面S2のX方向における他端は、湾曲して第4面S4と連なっている。第1面S1及び第2面S2の湾曲により、第1部分12aの一部の幅(Y方向における長さ)は、第2部分12bに向かうほど、広くなっている。
【0021】
半導体装置100の各構成要素の材料の一例を説明する。
ドレイン電極1a、ソース電極1b、及びゲートパッド1cは、アルミニウムなどの金属を含む。半導体層1dは、半導体材料として、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、又はガリウムヒ素を含む。絶縁部5は、ポリイミドなどの絶縁性樹脂を含む。端子10、第1部材21、第2部材22、及び第3部材23は、銅又はアルミニウムなどの金属を含む。金属層15は、銅又は銀などの金属を含む。接合層31a~31c、32、及び33は、銅、銀、又は錫などの金属を含む。
【0022】
図5~
図8は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す平面図である。
図5に表したリードフレーム200を用意する。
図6は、
図5の一部を拡大した平面図である。
図5及び
図6に表したように、リードフレーム200は、接合部分201a~201c、複数の端子部分202、及び連結部分203を含む。
【0023】
接合部分201a~201cの上には、後の工程において、半導体素子1、第2部材22、及び第3部材23がそれぞれ接合される。複数の端子部分202は、端子部分202a~202cを含む。端子部分202a~202cは、それぞれ、第1端子10a~第3端子10cに成形される。図示した例では、複数の端子部分202aが、Y方向に並んでいる。複数の端子部分202bと1つの端子部分202cが、Y方向に並んでいる。
【0024】
隣り合う端子部分202同士の間には、孔H1及び連結部分203が設けられている。連結部分203は、端子部分202のX方向における端部同士を連結している。端子部分202及び連結部分203に隣接して、孔H2が設けられている。端子部分202は、X方向と交差する端面202Sを有する。端面202Sは、孔H2の側面の一部である。端面202Sは、接合部分201aに向けて窪んでいる。
【0025】
リードフレーム200の上に、複数の半導体素子1を設ける。それぞれのドレイン電極1aは、接合部分201aと接合される。リードフレーム200及び半導体素子1の上に、第2部材22及び第3部材23を設ける。第2部材22は、ソース電極1b及び接合部分201bと接合される。第3部材23は、ゲートパッド1c及び接合部分201cと接合される。
【0026】
複数の絶縁部5を、リードフレーム200の上に設ける。複数の半導体素子1は、それぞれ、複数の絶縁部5により覆われる。
図7に表したように、孔H2の側面に、めっきにより金属層205を形成する。リードフレーム200の一部を除去し、それぞれの半導体装置を個片化する。
【0027】
図8は、複数の半導体装置をそれぞれ個片化するときの様子を表している。リードフレーム200を固定し、打ち抜き用の金型Mで、リードフレーム200の一部を打ち抜く。これにより、金型Mと重なるリードフレーム200の一部が除去される。リードフレーム200の一部は、エッチングにより除去されても良い。
【0028】
図8に表した工程では、端子部分202の端部の幅が、端子部分202の他の部分の幅よりも狭くなるように、端子部分202の一部及び連結部分203が除去される。これにより、端子部分202が、
図4に表したように、第1部分12aと第2部分12bを含む端子10に成形される。また、端面202Sの一部に設けられていた金属層205が、
図4(a)及び
図4(b)に表した金属層15として残る。
【0029】
図9を参照して、実施形態に係る製造方法の効果を説明する。
図9(a)及び
図9(c)は、それぞれ、参考例及び実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す平面図である。
図9(b)及び
図9(d)は、それぞれ、参考例及び実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
【0030】
参考例に係る製造方法では、リードフレーム200rが用いられる。
図9(a)に表したように、リードフレーム200rでは、端子部分202の端面202Sが、Y方向に平行である。リードフレーム200rを用いて製造された半導体装置100r1では、
図9(b)に表したように、端子10の端面ESが、Y方向に平行である。
【0031】
実施形態に係る製造方法で用いられるリードフレーム200では、
図9(c)に表したように、端面202Sが窪んでいる。個片化された半導体装置100では、
図9(d)に表したように、端子10の端面ESが窪んでいる。端面ESには、金属層15が設けられている。
【0032】
端面ESには、金属層15が設けられることが好ましい。半導体装置100又は100r1を実装する際、端子10の下面が、はんだを介して実装基板に接合される。金属層15が設けられていると、接合時に、はんだが端面ESに回り込み易くなる。はんだが端面ESに付着すると、接合の良否を外観から検査する際に、検査が容易となる。参考例及び実施形態に係る製造方法では、端面202Sに金属層205を形成した後に連結部分203を除去することで、端面ESに金属層15が設けられた端子10を作製している。
【0033】
一方、リードフレーム200又は200rについては、X-Y面内における最小寸法が、Z方向における厚みよりも大きいことが求められる。最小寸法を厚みよりも大きくすることで、リードフレーム200又は200rの強度が向上する。半導体装置を個片化する際に、端子部分202の変形を抑制できる。これにより、半導体装置の歩留まりを向上できる。
【0034】
また、端子10のX方向における長さLxは、短いことが好ましい。長さLxが短くなるほど、半導体装置100のサイズを維持したまま、半導体素子1を大型化できる。これにより、半導体素子1の性能を向上できる。例えば、半導体素子1に流れる電流値をより大きくできる。又は、長さLxが短くなるほど、半導体装置100を小型化できる。
【0035】
リードフレーム200rでは、
図9(a)に表したように、最小寸法tの方向は、X方向に平行である。最小寸法tを有する部分は、端子部分202の端部とY方向において並ぶ。リードフレーム200では、端面202Sを窪ませることで、端面202Sをより半導体素子1に近づけることができる。また、端面202Sの窪みにより、最小寸法tの方向が、X方向に対して傾斜している。最小寸法tを有する部分は、端子部分202の一部を含む。実施形態に係る製造方法によれば、参考例に比べて、リードフレーム200の最小寸法tを維持したまま、端子10の長さLxをより短くできる。
【0036】
また、実施形態に係る製造方法では、個片化の際、端面202SのY方向における両端が除去される。端面202SのY方向における両端は、端面202SのY方向における中央に比べて、半導体素子1からの距離が長い。端面202Sの両端が除去されることで、長さLxをさらに短くできる。
【0037】
実施形態は、特に、厚みが大きいリードフレーム200を用いる製造方法に好適である。リードフレーム200の厚さが大きいと、最小寸法tも大きくなる。参考例に係る製造方法では、最小寸法tの増加に応じて、端子10の長さLxが長くなる。実施形態によれば、リードフレーム200の厚さが大きいときでも、長さLxが長くなることを抑制できる。
【0038】
図9及び
図10を参照して、実施形態に係る半導体装置の効果を説明する。
実施形態に係る半導体装置100では、
図4及び
図9(d)に表したように、端面ESが窪んでいる。これにより、
図9(b)に表した半導体装置100r1に比べて、端面ESの面積を大きくできる。端面ESの面積の増加に応じて、金属層15の面積も増加する。半導体装置100の実装時に、はんだが、端面ESにさらに付着し易くなる。この結果、半導体装置100の外観検査がさらに容易となる。
【0039】
図10(a)及び
図10(c)は、それぞれ、別の参考例及び実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図10(b)及び
図10(d)は、それぞれ、
図10(a)のb-b断面図及び
図10(c)のd-d断面図である。
図10(b)及び
図10(d)は、それぞれの半導体装置が実装基板MSに実装されたときの様子を表している。
【0040】
図10(a)に表した参考例に係る半導体装置100r2では、端子10の端面ESは、窪んだ湾曲部分と、Y方向に平行な平坦部分と、を含む。湾曲部分は、Y方向において平坦部分同士の間に位置する。湾曲部分に、金属層15が設けられている。
【0041】
実施形態に係る半導体装置100では、
図10(c)に表したように、端面ESの全体が窪んでいる。これにより、半導体装置100r2に比べて、金属層15の面積を大きくできる。半導体装置100の実装時に、はんだが、端面ESに付着し易い。この結果、半導体装置100r2に比べて、半導体装置100の外観検査が容易となる。
【0042】
また、実施形態に係る半導体装置100では、
図4(a)及び
図10(c)に表したように、第1部分12aのY方向における長さL1は、第2部分12bのY方向における長さL2よりも短い。換言すると、半導体装置100では、端子10の端部の幅が狭くなっている。半導体装置100r2では、端子10の幅が、X方向において一定である。端子10の端部の幅を狭めることで、
図10(b)及び
図10(d)に表したように、はんだSoのY方向における端と、端面ESのY方向における端と、の間の距離Dyを長くできる。距離Dyを長くすることで、半導体装置100及び実装基板MSを備えるデバイスの信頼性を向上できる。例えば、熱印加の繰り返しによるはんだSoの破損の抑制が可能となる。
【0043】
端子10の角部の角度θ1及びθ2は、
図4に表したように、90度未満である。一方で、角度θ1及びθ2が小さすぎると、梱包時などにおいて、角部が別の部材に接触した際、角部に大きな応力が集中して加わる。この結果、端子10が変形する可能性がある。端子10の変形の抑制のために、角度θ1及びθ2は、20度よりも大きいことが好ましい。
【0044】
また、端子10について、第1面S1の他端及び第2面S2の他端は、
図4(a)に表したように、湾曲していることが好ましい。
図8に表したように、第1面S1の他端の湾曲、及び第2面S2の他端の湾曲は、リードフレーム200への金型Mの打ち抜きによって形成される。第1面S1の他端及び第2面S2の他端が湾曲しているということは、金型Mの第1面S1及び第2面S2を形成する部分が湾曲していることを示す。金型Mのリードフレーム200を打ち抜く部分を湾曲させることで、打ち抜く部分が尖っている場合に比べて、打ち抜いた際の金型Mの摩耗を抑制できる。例えば、金型Mの寿命を延ばし、半導体装置100の生産性を向上できる。
【0045】
図11(a)~
図11(d)は、実施形態に係る半導体装置の製造工程を表す平面図である。
長さL1は、端子10のX方向における長さLxと関係する。
図11(a)及び
図11(b)は、長さL1が長さL2の0.8倍となるように、リードフレーム200の一部を除去したときの様子を表す。
図11(c)及び
図11(d)は、長さL1が長さL2の0.4倍となるように、リードフレーム200の一部を除去したときの様子を表す。
【0046】
図11(a)~
図11(d)に表したように、長さL1が短いほど、端子10のX方向における長さLxが短くなる。一方、長さL1が長いほど、金属層15の面積を大きくできる。半導体装置100の性能、実装後の外観検査の容易性、及び半導体装置100を備えるデバイスの信頼性の観点から、長さL1は、長さL2の0.3倍よりも長く、0.9倍よりも短いことが好ましい。
【0047】
以上では、半導体素子1がMOSFETである例について説明した。半導体素子1は、ダイオード、Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)などの他の能動素子であっても良い。半導体装置100における端子の数、部材の数及び形状などは、半導体素子1の種類に応じて適宜変更可能である。
【0048】
以上で説明した実施形態によれば、半導体装置の特性を向上可能である。特性の向上は、小型化、供給可能な電流値の増加、外観検査の容易性の向上、及び実装後のデバイスの信頼性向上から選択される少なくともいずれかを含む。
【0049】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
1:半導体素子、 1a:ドレイン電極、 1b:ソース電極、 1c:ゲートパッド、 1d:半導体層、 5:絶縁部、 10:端子、 10a:第1端子、 10b:第2端子、 10c:第3端子、 11:第1導電部、 12:第2導電部、 12a:第1部分、 12b:第2部分、 15:金属層、 21:第1部材、 22:第2部材、 23:第3部材、 31a~31c,32,33:接合層、 100,100r1,100r2:半導体装置、 200,200r:リードフレーム、 201a~210c:接合部分、 202,202a~202c:端子部分、 202S:端面、 203:連結部分、 205:金属層、 H1,H2:孔、 M:金型、 MS:実装基板、 S1:第1面、 S2:第2面、 S3:第3面、 S4:第4面、 So:はんだ、 t:最小寸法、 θ1,θ2:角度