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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】磁気センサ及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20231129BHJP
   G01R 33/09 20060101ALI20231129BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20231129BHJP
   A61B 5/05 20210101ALI20231129BHJP
【FI】
G01R33/02 V
G01R33/02 R
G01R33/09
H10N50/10 Z
A61B5/05
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020201001
(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公開番号】P2022088883
(43)【公開日】2022-06-15
【審査請求日】2023-02-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤/サブテーマII:超低消費電力IoTデバイス・革新的センサ技術/超高感度センサシステムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 聡志
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁志
(72)【発明者】
【氏名】喜々津 哲
(72)【発明者】
【氏名】東 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 義成
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-518956(JP,A)
【文献】特開2019-215182(JP,A)
【文献】特開2015-219227(JP,A)
【文献】特開平05-196715(JP,A)
【文献】特開2020-012831(JP,A)
【文献】特開2019-207167(JP,A)
【文献】国際公開第2018/155701(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0353785(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
G01R 33/09
H10N 50/10
A61B 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁気素子と、
第2磁気素子と、
第1方向において前記第1磁気素子と前記第2磁気素子との間に設けられた第3磁気素子と、
前記第1方向において前記第3磁気素子と前記第2磁気素子との間に設けられた第4磁気素子と、
第1導電部材と、
第2導電部材と、
前記第1方向において前記第1導電部材と前記第2導電部材との間に設けられた第3導電部材と、
前記第1方向において前記第3導電部材と前記第2導電部材との間に設けられた第4導電部材と、
第1磁性部材と、
第2磁性部材と、
前記第1方向において前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた第3磁性部材と、
前記第1方向において前記第3磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた第4磁性部材と、
前記第1方向において前記第3磁性部材と前記第4磁性部材との間に設けられた第5磁性部材と、
第1回路と、
を備え、
前記第1磁気素子、及び、前記第1導電部材は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1磁性部材と前記第3磁性部材との間の領域と重なり、
前記第2磁気素子、及び、前記第2導電部材は、前記第2方向において前記第4磁性部材と前記第2磁性部材との間の領域と重なり、
前記第3磁気素子、及び、前記第3導電部材は、前記第2方向において前記第3磁性部材と前記第5磁性部材との間の領域と重なり、
前記第4磁気素子、及び、前記第4導電部材は、前記第2方向において前記第5磁性部材と前記第4磁性部材との間の領域と重な
前記第1回路は、前記第1導電部材、前記第2導電部材、前記第3導電部材及び前記第4導電部材に交流成分を含む第1電流を供給可能である、磁気センサ。
【請求項2】
前記第1導電部材の一端から前記第1導電部材の他端への方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿い、
前記第2導電部材の一端から前記第2導電部材の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第3導電部材の一端から前記第3導電部材の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第4導電部材の一端から前記第4導電部材の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第1導電部材の前記他端は、前記第3導電部材の前記他端と電気的に接続され、
前記第3導電部材の前記一端は、前記第4導電部材の前記一端と電気的に接続され、
前記第4導電部材の前記他端は、前記第2導電部材の前記他端と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第1導電部材の前記一端と、前記第2導電部材の前記一端と、の間に前記第1電流を供給可能である、請求項記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記第1磁気素子、前記第2磁気素子、前記第3磁気素子及び前記第4磁気素子に検出電流を供給可能な第2回路をさらに備え、
前記第1磁気素子の一端から前記第1磁気素子の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第2磁気素子の一端から前記第2磁気素子の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第3磁気素子の一端から前記第3磁気素子の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第4磁気素子の一端から前記第4磁気素子の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第1磁気素子の前記他端は、前記第2磁気素子の前記他端と電気的に接続され、
前記第1磁気素子の前記一端は、前記第3磁気素子の前記一端と電気的に接続され、
前記第3磁気素子の前記他端は、前記第4磁気素子の前記他端と電気的に接続され、
前記第4磁気素子の前記一端は、前記第2磁気素子の前記一端と電気的に接続され、
前記第2回路は、前記第1磁気素子の前記他端、及び、前記第2磁気素子の前記他端の第1接続点と、前記第3磁気素子の前記他端、及び、前記第4磁気素子の前記他端の第2接続点と、の間に、前記検出電流を供給可能である、請求項記載の磁気センサ。
【請求項4】
第3回路をさらに備え、
前記第3回路は、前記第1磁気素子の前記一端、及び、前記第3磁気素子の前記一端の第3接続点と、前記第4磁気素子の前記一端、及び、前記第2磁気素子の前記一端の第4接続点と、の間の電位の変化を検出可能である、請求項記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記第1磁気素子の一部、及び、前記第1導電部材の一部は、前記第2方向において前記第1磁性部材の少なくとも一部と重なり、
前記第1磁気素子の他部、及び、前記第1導電部材の他部は、前記第2方向において前記第3磁性部材の一部と重なり、
前記第2磁気素子の一部、及び、前記第2導電部材の一部は、前記第2方向において前記第2磁性部材の少なくとも一部と重なり、
前記第2磁気素子の他部、及び、前記第2導電部材の他部は、前記第2方向において前記第4磁性部材の一部と重なり、
前記第3磁気素子の一部、及び、前記第3導電部材の一部は、前記第2方向において前記第3磁性部材の他部と重なり、
前記第3磁気素子の他部、及び、前記第3導電部材の他部は、前記第2方向において前記第5磁性部材の一部と重なり、
前記第4磁気素子の一部、及び、前記第4導電部材の一部は、前記第2方向において前記第5磁性部材の他部と重なり、
前記第4磁気素子の他部、及び、前記第4導電部材の他部は、前記第2方向において前記第4磁性部材の他部と重なる、請求項1~のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【請求項6】
第1磁気素子と、
第2磁気素子と、
第1方向において前記第1磁気素子と前記第2磁気素子との間に設けられた第3磁気素子と、
前記第1方向において前記第3磁気素子と前記第2磁気素子との間に設けられた第4磁気素子と、
第1導電部材と、
第2導電部材と、
前記第1方向において前記第1導電部材と前記第2導電部材との間に設けられた第3導電部材と、
前記第1方向において前記第3導電部材と前記第2導電部材との間に設けられた第4導電部材と、
第1磁性部材と、
第2磁性部材と、
前記第1方向において前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた第3磁性部材と、
前記第1方向において前記第3磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた第4磁性部材と、
前記第1方向において前記第3磁性部材と前記第4磁性部材との間に設けられた第5磁性部材と、
を備え、
前記第1磁気素子、及び、前記第1導電部材は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1磁性部材と前記第3磁性部材との間の領域と重なり、
前記第2磁気素子、及び、前記第2導電部材は、前記第2方向において前記第4磁性部材と前記第2磁性部材との間の領域と重なり、
前記第3磁気素子、及び、前記第3導電部材は、前記第2方向において前記第3磁性部材と前記第5磁性部材との間の領域と重なり、
前記第4磁気素子、及び、前記第4導電部材は、前記第2方向において前記第5磁性部材と前記第4磁性部材との間の領域と重な
前記第1磁気素子の一部、及び、前記第1導電部材の一部は、前記第2方向において前記第1磁性部材の少なくとも一部と重なり、
前記第1磁気素子の他部、及び、前記第1導電部材の他部は、前記第2方向において前記第3磁性部材の一部と重なり、
前記第2磁気素子の一部、及び、前記第2導電部材の一部は、前記第2方向において前記第2磁性部材の少なくとも一部と重なり、
前記第2磁気素子の他部、及び、前記第2導電部材の他部は、前記第2方向において前記第4磁性部材の一部と重なり、
前記第3磁気素子の一部、及び、前記第3導電部材の一部は、前記第2方向において前記第3磁性部材の他部と重なり、
前記第3磁気素子の他部、及び、前記第3導電部材の他部は、前記第2方向において前記第5磁性部材の一部と重なり、
前記第4磁気素子の一部、及び、前記第4導電部材の一部は、前記第2方向において前記第5磁性部材の他部と重なり、
前記第4磁気素子の他部、及び、前記第4導電部材の他部は、前記第2方向において前記第4磁性部材の他部と重なる、磁気センサ。
【請求項7】
前記第1磁気素子は、前記第1方向に沿う第1幅を有し、
前記第1磁気素子の一部は、前記第2方向において前記第1磁性部材の前記少なくとも一部と重なり、
前記第1磁気素子の前記一部の前記第1方向に沿う幅の、前記第1幅に対する比は、0.1以上0.4以下である、請求項5または6に記載の磁気センサ。
【請求項8】
前記第1磁性部材の前記第2方向に沿う第1磁性部材厚さは、前記第5磁性部材の前記第2方向に沿う第5磁性部材厚さよりも厚い、請求項1~7のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記第1磁性部材の前記第1方向に沿う第1磁性部材幅は、前記第5磁性部材の前記第1方向に沿う第5磁性部材幅よりも大きい、請求項1~7のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【請求項10】
前記第1磁性部材の前記第3方向に沿う第1磁性部材長さは、前記第5磁性部材の前記第3方向に沿う第5磁性部材長さよりも長い、請求項3または4に記載の磁気センサ。
【請求項11】
前記第1磁気素子の電気抵抗は、前記第1磁気素子に第1磁界が印加されたときに第1値であり、
前記電気抵抗は、前記第1磁気素子に第2磁界が印加されたときに第2値であり、
前記電気抵抗は、前記第1磁気素子に第3磁界が印加されたときに第3値であり、
前記第1磁界の絶対値は、前記第2磁界の絶対値よりも小さく、前記第3磁界の絶対値よりも小さく、
前記第2磁界の向きは、前記第3磁界の向きと逆であり、
前記第1値は、前記第2値よりも低く前記第3値よりも低い、または、
前記第1値は、前記第2値よりも高く前記第3値よりも高い、請求項1~10のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【請求項12】
前記第1導電部材が前記第3磁性部材と重なる幅の、前記第3磁性部材の前記第1方向に沿う幅に対する比は、0.32以下である、請求項1~11のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の磁気センサと、
前記磁気センサから出力される信号を処理可能な処理部と、
を備えた検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気センサ及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性層を用いた磁気センサがある。磁気センサを用いた検査装置がある。磁気センサにおいて、感度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-207167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、感度の向上が可能な磁気センサ及び検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、磁気センサは、第1磁気素子と、第2磁気素子と、第1方向において前記第1磁気素子と前記第2磁気素子との間に設けられた第3磁気素子と、前記第1方向において前記第3磁気素子と前記第2磁気素子との間に設けられた第4磁気素子と、第1導電部材と、第2導電部材と、前記第1方向において前記第1導電部材と前記第2導電部材との間に設けられた第3導電部材と、前記第1方向において前記第3導電部材と前記第2導電部材との間に設けられた第4導電部材と、第1磁性部材と、第2磁性部材と、前記第1方向において前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた第3磁性部材と、前記第1方向において前記第3磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた第4磁性部材と、前記第1方向において前記第3磁性部材と前記第4磁性部材との間に設けられた第5磁性部材と、を含む。前記第1磁気素子、及び、前記第1導電部材は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1磁性部材と前記第3磁性部材との間の領域と重なる。前記第2磁気素子、及び、前記第2導電部材は、前記第2方向において前記第4磁性部材と前記第2磁性部材との間の領域と重なる。前記第3磁気素子、及び、前記第3導電部材は、前記第2方向において前記第3磁性部材と前記第5磁性部材との間の領域と重なる。前記第4磁気素子、及び、前記第4導電部材は、前記第2方向において前記第5磁性部材と前記第4磁性部材との間の領域と重なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的平面図である。
図4図4は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的平面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示する模式図である。
図6図6(a)及び図6(b)は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示する模式図である。
図7図7(a)~図7(c)は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図8図8は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的平面図である。
図10図10は、磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図11図11は、磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図12図12は、磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図13図13(a)及び図13(b)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図14図14は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図15図15は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
図16図16は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
図17図17は、第2実施形態に係る磁気センサ及び検査装置を示す模式図である。
図18図18、実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式図である。
図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図1(a)は、平面図である。図1(b)、図2(a)及び図2(b)は、図1(a)のA1-A2線断面図である。図1(a)、図2において、図を見やすくするために一部の要素が省略されている。
【0009】
図1(a)及び図1(b)に示すように、実施形態に係る磁気センサ110は、第1~第4磁気素子11E~14E、第1~第4導電部材21~24、及び、第1~第5磁性部材51~55を含む。
【0010】
第3磁気素子13Eは、第1方向において、第1磁気素子11Eと第2磁気素子12Eとの間に設けられる。第4磁気素子14Eは、第1方向において、第3磁気素子13Eと第2磁気素子12Eとの間に設けられる。
【0011】
第1方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0012】
第3導電部材23は、第1方向(X軸方向)において、第1導電部材21と第2導電部材22との間に設けられる。第4導電部材24は、第1方向において、第3導電部材23と第2導電部材22との間に設けられる。
【0013】
第3磁性部材53は、第1方向(X軸方向)において、第1磁性部材51と第2磁性部材52との間に設けられる。第4磁性部材54は、第1方向において、第3磁性部材53と第2磁性部材52との間に設けられる。第5磁性部材55は、第1方向において、第3磁性部材53と第4磁性部材54との間に設けられる。
【0014】
図1(b)に示すように、第1磁気素子11E、及び、第1導電部材21は、第2方向において、第1磁性部材51と第3磁性部材53との間の領域66aと重なる。第2方向は、第1方向と交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。第2磁気素子12E、及び、第2導電部材22は、第2方向(例えばZ軸方向)において、第4磁性部材54と第2磁性部材52との間の領域66bと重なる。第3磁気素子13E、及び、第3導電部材23は、第2方向において、第3磁性部材53と第5磁性部材55との間の領域66cと重なる。第4磁気素子14E、及び、第4導電部材24は、第2方向において、第5磁性部材55と第4磁性部材54との間の領域66dと重なる。
【0015】
図1(b)に示すように、この例では、磁気センサ110は、絶縁部材65を含む。絶縁部材65は、第1~第4磁気素子11E~14E、第1~第4導電部材21~24、及び、第1~第5磁性部材51~55の周りに設けられる。領域66a~66dは、例えば、絶縁部材65の一部である。図1(a)においては、絶縁部材65は省略されている。
【0016】
図2(a)に示すように、第1磁気素子11Eの一部11Ep、及び、第1導電部材21の一部21pは、第2方向(Z軸方向)において、第1磁性部材51の少なくとも一部51pと重なる。第1磁気素子11Eの他部11Eq、及び、第1導電部材21の他部21qは、第2方向において第3磁性部材53の一部53pと重なる。
【0017】
第2磁気素子12Eの一部12Ep、及び、第2導電部材22の一部22pは、第2方向において第2磁性部材52の少なくとも一部52pと重なる。第2磁気素子12Eの他部12Eq、及び、第2導電部材22の他部22qは、第2方向において第4磁性部材54の一部54pと重なる。
【0018】
第3磁気素子13Eの一部13Ep、及び、第3導電部材23の一部23pは、第2方向において第3磁性部材53の他部53qと重なる。第3磁気素子13Eの他部13Eq、及び、第3導電部材23の他部23qは、第2方向において第5磁性部材55の一部55pと重なる。
【0019】
第4磁気素子14Eの一部14Ep、及び、第4導電部材24の一部24pは、第2方向において第5磁性部材55の他部55qと重なる。第4磁気素子14Eの他部14Eq、及び、第4導電部材24の他部24qは、第2方向において第4磁性部材54の他部54qと重なる。
【0020】
この例では、第1磁気素子11Eの少なくとも一部は、第1導電部材21と、第1磁性部材51と、の間にある。第2磁気素子12Eの少なくとも一部は、第2導電部材22と、第2磁性部材52と、の間にある。第3磁気素子13Eの少なくとも一部は、第3導電部材23と、第3磁性部材53と、の間にある。第4磁気素子14Eの少なくとも一部は、第4導電部材24と、第4磁性部材54と、の間にある。
【0021】
実施形態において、検出対象の磁界(例えば外部磁界)が、第1~第5磁性部材51~55により集められる。集められた磁界が、第1~第4磁気素子11E~14Eに効率良く印加される。これにより、検出対象の磁界を、高い感度で検出できる。後述するように、第1~第4導電部材21~24に電流が供給される。第1~第4導電部材21~24に流れる電流により生じる磁界が、第1~第5磁性部材51~55を通して、第1~第4磁気素子11E~14Eに効率良く印加される。より高い感度が得られる。例えば、導電部材に供給する電流を下げることができる。例えば、消費電力を低くすることができる。例えば、容量結合による磁気素子への電流漏れが、抑制できる。実施形態により、感度の向上が可能な磁気センサが提供できる。第1~第5磁性部材51~55は、例えば、MFC(Magnetic Flux Concentrator)として機能する。
【0022】
第1~第4磁気素子11E~14Eの電気抵抗は、検出対象の磁界(例えば外部磁界)に応じて変化する。これは、磁気素子に含まれる磁性層の磁化の向きが、検出対象の磁界に応じて変化することに起因する。
【0023】
図2(b)に示すように、第1磁気素子11Eは、第1磁性層11と、第1対向磁性層11oと、第1磁性層11と第1対向磁性層11oとの間に設けられた第1非磁性層11nと、を含む。第1磁性層11から第1対向磁性層11oへの方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第2磁気素子12Eは、第2磁性層12と、第2対向磁性層12oと、第2磁性層12と第2対向磁性層12oとの間に設けられた第2非磁性層12nと、を含む。第2磁性層12から第2対向磁性層12oへの方向は、第2方向に沿う。第3磁気素子13Eは、第3磁性層13と、第3対向磁性層13oと、第3磁性層13と第3対向磁性層13oとの間に設けられた第3非磁性層13nと、を含む。第3磁性層13から第3対向磁性層13oへの方向は、第2方向に沿う。第4磁気素子14Eは、第4磁性層14と、第4対向磁性層14oと、第4磁性層14と第4対向磁性層14oとの間に設けられた第4非磁性層14nと、を含む。第4磁性層14から第4対向磁性層14oへの方向は、第2方向に沿う。
【0024】
例えば、第1磁性層11の磁化の向き、及び第1対向磁性層11oの磁化の向きの少なくともいずれかが、印加される磁界に応じて変化する。例えば、第2磁性層12の磁化の向き、及び、第2対向磁性層12oの磁化の向きの少なくともずれかが、印加される磁界に応じて変化する。例えば、第3磁性層13の磁化の向き、及び、第3対向磁性層13oの磁化の向きの少なくともずれかが、印加される磁界に応じて変化する。例えば、第4磁性層14の磁化の向き、及び、第4対向磁性層14oの磁化の向きの少なくともずれかが、印加される磁界に応じて変化する。複数の磁気素子のそれぞれにおいて、2つの磁性層の磁化の間の角度の変化に応じて、複数の磁気素子のそれぞれの電気抵抗が変化する。
【0025】
1つの例において、第1~第4非磁性層11n~14nは、Cu、Ag及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。磁気素子は、例えば、GMR(Giant Magnetic Resistance)素子である。
【0026】
1つの例において、第1~第4非磁性層11n~14nは、絶縁性である。第1~第4非磁性層11n~14nは、例えば、MgOなどを含む。磁気素子は、例えば、TMR(Tunnel Magneto Resistance)素子でも良い。
【0027】
図2(b)に示すように、第1磁気素子11Eは、第1方向(X軸方向)に沿う幅w1を有する。第2磁気素子12Eは、第1方向(X軸方向)に沿う幅w2を有する。第3磁気素子13Eは、第1方向(X軸方向)に沿う幅w3を有する。第4磁気素子14Eは、第1方向(X軸方向)に沿う幅w4を有する。
【0028】
図1(a)に示すように、第1磁気素子11Eは、第3方向に沿う長さL1を有する。第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面と交差する。第3方向は、例えば、Y軸方向である。第2磁気素子12Eは、第3方向に沿う長さL2を有する。第3磁気素子13Eは、第3方向に沿う長さL3を有する。第4磁気素子14Eは、第3方向に沿う長さL4を有する。
【0029】
長さL1は、幅w1よりも大きい。長さL2は、幅w2よりも大きい。長さL3は、幅w3よりも大きい。長さL4は、幅w4よりも大きい。例えば、磁気素子に含まれる磁性層において、安定した磁化が得られる。
【0030】
図3は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的平面図である。
図3に示すように、磁気センサ110は、第1回路71を含んでも良い。第1回路71は、第1導電部材21、第2導電部材22、第3導電部材23及び第4導電部材24に、交流成分を含む第1電流I1を供給可能である。第1回路71は、例えば、制御部70に含まれて良い。
【0031】
図3に示すように、第1導電部材21の一端21eから第1導電部材21の他端21fへの方向は、第3方向に沿う。既に説明したように、第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面と交差する。第3方向は、例えば、Y軸方向である。第2導電部材22の一端22eから第2導電部材22の他端22fへの方向は、第3方向に沿う。第3導電部材23の一端23eから第3導電部材23の他端23fへの方向は、第3方向に沿う。第4導電部材24の一端24eから第4導電部材24の他端24fへの方向は、第3方向に沿う。
【0032】
この例では、第1導電部材21の他端21fは、第3導電部材23の他端23fと電気的に接続される。第3導電部材23の一端23eは、第4導電部材24の一端24eと電気的に接続される。第4導電部材24の他端24fは、第2導電部材22の他端22fと電気的に接続される。
【0033】
第1回路71は、第1導電部材21の一端21eと、第2導電部材22の一端22eと、の間に、交流成分を含む第1電流I1を供給可能である。後述するように、交流成分を含む第1電流I1により生じる磁界が、磁気素子に印加される。これにより、より高い感度での検出が可能になる。
【0034】
図4は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的平面図である。
図4に示すように、磁気センサ110は、第2回路72を含んでも良い。第2回路72は、第1磁気素子11E、第2磁気素子12E、第3磁気素子13E及び第4磁気素子14Eに、検出電流Isを供給可能である。第2回路72は、例えば、制御部70に含まれて良い。
【0035】
図4に示すように、第1磁気素子11Eの一端11eから第1磁気素子11Eの他端11fへの方向は、第3方向(例えばY軸方向)に沿う。第2磁気素子12Eの一端12eから第2磁気素子12Eの他端12fへの方向は、第3方向に沿う。第3磁気素子13Eの一端13eから第3磁気素子13Eの他端13fへの方向は、第3方向に沿う。第4磁気素子14Eの一端14eから第4磁気素子14Eの他端14fへの方向は、第3方向に沿う。
【0036】
この例では、第1磁気素子11Eの他端11fは、第2磁気素子12Eの他端12fと電気的に接続される。第1磁気素子11Eの一端11eは、第3磁気素子13Eの一端13eと電気的に接続される。第3磁気素子13Eの他端13fは、第4磁気素子14Eの他端14fと電気的に接続される。第4磁気素子14Eの一端14eは、第2磁気素子12Eの一端12eと電気的に接続される。第2回路72は、第1磁気素子11Eの他端11f、及び、第2磁気素子12Eの他端12fの第1接続点CP1と、第3磁気素子13Eの他端13f、及び、第4磁気素子14Eの他端14fの第2接続点CP2と、の間に、検出電流Isを供給可能である。
【0037】
図4に示すように、磁気センサ110は、第3回路73をさらに含んでも良い。第3回路73は、例えば、制御部70に含まれて良い。
【0038】
第3回路73は、第1磁気素子11Eの一端11e、及び、第3磁気素子13Eの一端13eの第3接続点CP3と、第4磁気素子14Eの一端14e、及び、第2磁気素子12Eの一端12eの第4接続点CP4と、の間の電位の変化を検出可能である。第3回路73は、電位の変化に対応する信号Sig1を出力可能である。第3接続点CP3及び第4接続点CP4は、ブリッジ回路の2つの中点に対応する。
【0039】
以下、第1導電部材21に電流が流れたときの第1磁気素子11Eの電気抵抗の変化の例について説明する。以下の第1磁気素子11Eの電気抵抗の変化の例についての記載は、他の磁気素子にも適用できる。
【0040】
図5(a)及び図5(b)は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、第1導電部材21に流れる電流(例えば第1電流I1)の値に対応する。縦軸は、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxである。図5(a)及び図5(b)に示すように、実施形態において、電気抵抗Rxは、電流(第1電流I1)の変化に対して偶関数の特性を示す。
【0041】
例えば、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxは、第1導電部材21に第1値電流Ia1が供給されたときに第1値R1である。電気抵抗Rxは、第1導電部材21に第2値電流Ia2が供給されたときに第2値R2である。電気抵抗Rxは、第1導電部材21に第3値電流Ia3が供給されたときに第3値R3である。第1値電流Ia1の絶対値は、第2値電流Ia2の絶対値よりも小さく、第3値電流Ia3の絶対値よりも小さい。第1値電流Ia1は、例えば、実質的に0で良い。第2値電流Ia2の向きは、第3値電流Ia3の向きと逆である。
【0042】
図5(a)の例では、第1値R1は、第2値R2よりも低く、第3値R3よりも低い。図5(a)の例では、電気抵抗Rxは、「谷型」の特性を有する。第1値R1は、例えば、電気抵抗の最低値である。図5(b)の例では、第1値R1は、第2値R2よりも高く、第3値R3よりも高い。図5(b)の例では、電気抵抗Rxは、「山型」の特性を有する。第1値R1は、例えば、電気抵抗の最高値である。
【0043】
例えば、外部磁界が実質的に0のときに、第1磁性層11の磁化と、第1対向磁性層11oの磁化と、が「平行配列」であり、例えば、層間磁気結合が作用する場合に、「谷型」の特性が得られる。このとき、例えば、第1非磁性層11nの厚さは2.5nm以上である。例えば、外部磁界が実質的に0のときに、第1磁性層11の磁化と、第1対向磁性層11oの磁化と、が「反平行配列」であり、例えば、層間磁気結合が作用する場合に「山型」の特性が得られる。この場合、第1非磁性層11nの厚さは、例えば、1.9nm以上2.1nm以下である。
【0044】
例えば、第1導電部材21に電流が流れないときに、電気抵抗Rxは、第4値R4である。例えば、第1値R1は、電流が流れないときの第4値R4と実質的に同じである。例えば、第1値R1と第4値R4との差の絶対値の第4値R4に対する比は、0.01以下である。比は、0.001以下でも良い。正負の電流に対して、実質的に偶関数の特性が得られる。
【0045】
このような第1電流I1と電気抵抗Rxとの間の関係は、第1電流I1による磁界が第1磁気素子11Eに印加され、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxが磁界の強さに応じて変化することに基づく。
【0046】
第1磁気素子11Eに外部磁界が印加されたときの電気抵抗Rxも、図5(a)または図5(b)に示した例と同様に偶関数の特性を示す。外部磁界は、例えば、X軸方向に沿う成分を含む。
【0047】
図6(a)及び図6(b)は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、第1磁気素子11Eに印加される外部磁界Hexの強度である。縦軸は、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxである。これらの図は、R-H特性に対応する。図6(a)及び図6(b)に示すように、電気抵抗Rxは、第1磁気素子11Eに印加される磁界(外部磁界Hex、例えば、X軸方向の磁界)に対して偶関数の特性を有する。
【0048】
図6(a)及び図6(b)に示すように、第1磁気素子11Eの電気抵抗Rxは、第1磁気素子11Eに第1磁界Hex1が印加されたときに第1値R1である。電気抵抗Rxは、第1磁気素子11Eに第2磁界Hex2が印加されたときに第2値R2である。電気抵抗Rxは、第1磁気素子11Eに第3磁界Hex3が印加されたときに第3値R3である。第1磁界Hex1の絶対値は、第2磁界Hex2の絶対値よりも小さく、第3磁界Hex3の絶対値よりも小さい。第2磁界Hex2の向きは、第3磁界Hex3の向きと逆である。
【0049】
図6(a)の例では、第1値R1は、第2値R2よりも低く、第3値R3よりも低い。図6(b)の例では、第1値R1は、第2値R2よりも高く、第3値R3よりも高い。例えば、第1磁気素子11Eに外部磁界が印加されないときに、電気抵抗Rxは、第4値R4である。第1値R1は、外部磁界が印加されないときの第4値R4と実質的に同じである。例えば、第1値R1と第4値R4との差の絶対値の第4値R4に対する比は、0.01以下である。比は、0.001以下でも良い。正負の外部磁界に対して、実質的に偶関数の特性が得られる。
【0050】
このような偶関数の特性を利用して、以下のように、高感度の検出が可能である。
以下では、第1電流I1は交流電流であり、直流成分を実質的に含まない場合の例について説明する。第1導電部材21に第1電流I1(交流電流)が供給され、交流電流による交流磁界が第1磁気素子11Eに印加される。このときの電気抵抗Rxの変化の例について説明する。
【0051】
図7(a)~図7(c)は、第1実施形態に係る磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図7(a)は、第1磁気素子11Eに印加される信号磁界Hsig(外部磁界)が0のときの特性を示す。図7(b)は、信号磁界Hsigが正のときの特性を示す。図7(c)は、信号磁界Hsigが負のときの特性を示す。これらの図は、磁界Hと抵抗R(電気抵抗Rxに対応)との関係を示す。
【0052】
図7(a)に示すように、信号磁界Hsigが0のときは、抵抗Rは、正負の磁界Hに対して対称な特性を示す。交流磁界Hacがゼロのときに、抵抗Rは、低抵抗Roである。例えば磁化自由層の磁化が、正負の磁界Hに対して実質的に同じように回転する。このため、対称な抵抗の変化が得られる。交流磁界Hacに対する抵抗Rの変動は、正負の極性で同じ値になる。抵抗Rの変化の周期は、交流磁界Hacの周期の1/2倍となる。抵抗Rの変化は、交流磁界Hacの周波数成分を実質的に有しない。
【0053】
図7(b)に示すように、正の信号磁界Hsigが加わると、抵抗Rの特性は、正の磁界Hの側にシフトする。正側の交流磁界Hacにおいて、例えば抵抗Rが高くなる。負側の交流磁界Hacにおいて、抵抗Rは小さくなる。
【0054】
図7(c)に示すように、負の信号磁界Hsigが加わると、抵抗Rの特性は、負の磁界Hの側にシフトする。正側の交流磁界Hacにおいて、例えば、抵抗Rが低くなる。負側の交流磁界Hacにおいて、抵抗Rは大きくなる。
【0055】
所定の大きさの信号磁界Hsigが加わったときに、交流磁界Hacの正負に対して、互いに異なる抵抗Rの変動が生じる。交流磁界Hacの正負に対する抵抗Rの変動の周期は、交流磁界Hacの周期と同じである。信号磁界Hsigに応じた交流周波数成分の出力電圧が発生する。
【0056】
信号磁界Hsigが時間的に変化しない場合に上記の特性が得られる。信号磁界Hsigが時間的に変化する場合は、以下となる。信号磁界Hsigの周波数を信号周波数fsigとする。交流磁界Hacの周波数を交流周波数facとする。このとき、fac±fsigの周波数において、信号磁界Hsigに応じた出力が発生する。
【0057】
信号磁界Hsigが時間的に変化する場合において、信号周波数fsigは、例えば、1kHz以下である。一方、交流周波数facは、信号周波数fsigよりも十分に高い。例えば、交流周波数facは、信号周波数fsigの10倍以上である。
【0058】
例えば、交流磁界Hacの周期(周波数)と同じ周期(周波数)の成分(交流周波数成分)の出力電圧を抽出することで、信号磁界Hsigを高い精度で検出できる。実施形態に係る磁気センサ111においては、このような特性を利用して、検出対象である外部磁界Hex(信号磁界Hsig)を高い感度で検出することができる。実施形態においては、第1磁性部材51及び第2磁性部材52により、外部磁界Hex(信号磁界Hsig)、及び、第1電流I1による交流磁界Hacを、効率良く第1磁気素子11Eに印加できる。高い感度が得られる。
【0059】
例えば、第1導電部材21に供給される第1電流I1により第1磁気素子11Eに印加される磁界の位相は、第3導電部材23に供給される第1電流I1により第3磁気素子13Eに印加される磁界の位相と逆である。例えば、第2導電部材22に供給される第1電流I1により第2磁気素子12Eに印加される磁界の位相は、第4導電部材24に供給される第1電流I1により第4磁気素子14Eに印加される磁界の位相と逆である。例えば、第1導電部材21に供給される第1電流I1により第1磁気素子11Eに印加される磁界の位相は、第2導電部材22に供給される第1電流I1により第2磁気素子12Eに印加される磁界の位相と逆である。このようなブリッジ回路により、ノイズ成分が抑制され、より高い感度が得られる。
【0060】
実施形態において、以下に説明するように、第1磁性部材51の構成は、第3~第5磁性部材53~55の構成と異なっても良い。第2磁性部材52の構成は、第3~第5磁性部材53~55の構成と異なっても良い。これにより、4つの磁気素子により均一な磁界を印加できる。より高い感度が得られる。第1磁性部材51と第3磁性部材53との間、及び、第4磁性部材54及び第2磁性部材52との間においては、他の部分よりも磁界が弱いことが分かった。第1磁性部材51及び第2磁性部材52の構成を他の磁性部材の構成とは異ならせることで、より均一な磁界が得られる。
【0061】
例えば、図1(a)に示すように、第1磁性部材51の第1方向(X軸方向)に沿う第1磁性部材幅w51は、第5磁性部材55の第1方向に沿う第5磁性部材幅w55よりも大きい。第2磁性部材52の第1方向(X軸方向)に沿う第2磁性部材幅w52は、第5磁性部材幅w55よりも大きい。第3磁性部材53の第1方向に沿う第3磁性部材幅w53は、第1磁性部材幅w51よりも小さい。第4磁性部材54の第1方向に沿う第4磁性部材幅w54は、第2磁性部材幅w52よりも小さい。このような構成により、より均一な磁界が得られる。
【0062】
図8は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図8に示すように、実施形態に係る磁気センサ111においても、第1~第4磁気素子11E~14E、第1~第4導電部材21~24、及び、第1~第5磁性部材51~55が設けられる。磁気センサ111においては、第1~第5磁性部材51~55の厚さが互いに異なる。磁気センサ111における他の構成は、磁気センサ110と同様で良い。
【0063】
磁気センサ111において、第1磁性部材51の第2方向(Z軸方向)に沿う第1磁性部材厚さt1は、第5磁性部材55の第2方向に沿う第5磁性部材厚さt5よりも厚い。第2磁性部材52の第2方向(Z軸方向)に沿う第2磁性部材厚さt2は、第5磁性部材厚さt5よりも厚い。第3磁性部材53の第2方向に沿う第3磁性部材厚さt3は、第1磁性部材厚さt1よりも薄い。第4磁性部材54の第2方向に沿う第4磁性部材厚さt4は、第2磁性部材厚さt2よりも薄い。このような構成により、より均一な磁界が得られる。
【0064】
図8に示すように、磁気センサ111において、第1~第5磁性部材51~55の幅は、互いに同じでも良い。磁気センサ111において、磁気センサ110と同様に、第1~第5磁性部材51~55の幅が互いに異なっても良い。
【0065】
図9(a)及び図9(b)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的平面図である。
図9(a)に示すように、実施形態に係る磁気センサ112においても、第1~第4磁気素子11E~14E、第1~第4導電部材21~24、及び、第1~第5磁性部材51~55が設けられる。磁気センサ112においては、第1~第5磁性部材51~55のY軸方向の長さが互いに異なる。磁気センサ112における他の構成は、磁気センサ110と同様で良い。
【0066】
図9(b)に示すように、第1磁性部材51の第3方向(例えばY軸方向)に沿う第1磁性部材長さL51は、第5磁性部材55の第3方向に沿う第5磁性部材長さL55よりも長い。第2磁性部材52の第3方向(例えばY軸方向)に沿う第2磁性部材長さL52は、第5磁性部材長さL55よりも長い。第3磁性部材53の第3方向に沿う第3磁性部材長さL53は、第1磁性部材長さL51よりも短い。第4磁性部材54の第3方向に沿う第4磁性部材長さL54は、第2磁性部材長さL52よりも短い。このような構成により、より均一な磁界が得られる。上記の長さは、実用的に、複数の磁性部材のそれぞれの第1方向(X軸方向)の中心の位置における第3方向(Y軸方向)の長さとして良い。
【0067】
図9(b)に示すように、第1磁性部材51のY軸方向に沿う長さは、X軸方向に沿って変化しても良い。例えば、第1磁性部材51は、第1磁性部材端51aと、第1磁性部材他端51bと、を含む。第1磁性部材他端51bは、第1方向(X軸方向)において、第1磁性部材端51aと第3磁性部材53との間にある。第1磁性部材51の第3方向(Y軸方向)に沿う第1磁性部材長さL51は、第1磁性部材他端51bから第1磁性部材端51aへの向きにおいて増大しても良い。
【0068】
例えば、第2磁性部材52は、第2磁性部材端52aと、第2磁性部材他端52bと、を含む。第2磁性部材端52aは、第1方向(X軸方向)において、第4磁性部材54と第2磁性部材他端52bとの間にある。第2磁性部材52の第3方向(Y軸方向)に沿う第2磁性部材長さL52は、第2磁性部材端52aから第2磁性部材他端52bへの向きにおいて増大しても良い。第3磁性部材53及び第4磁性部材54のそれぞれのY軸方向の長さが、X軸方向に沿って変化しても良い。
【0069】
図10は、磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図10は、磁気センサ110の構成において、第1磁性部材51の第1方向(X軸方向)沿う第1磁性部材幅w51を変えたときの特性のシミュレーション結果を例示している。シミュレーションにおいて、第3磁性部材53の第1方向に沿う第3磁性部材幅w53は、第5磁性部材55の第1方向に沿う第5磁性部材幅w55と同じである。第4磁性部材54の第1方向に沿う第4磁性部材幅w54は、第5磁性部材幅w55と同じである。第2磁性部材52の第1方向に沿う第2磁性部材幅w52は、第1磁性部材51の第1方向に沿う第1磁性部材幅w51と同じである。図10の横軸は、第1磁性部材幅w51の第5磁性部材幅w55に対する比WR1である。縦軸は、外部磁界が加わったときの、第1磁気素子11Eの位置における磁束密度の、第2磁気素子12Eの位置における磁束密度に対する比BRである。比BRが1であるときに、磁束密度は均一である。
【0070】
図10に示すように、比WR1が1であり磁性部材幅が同じ場合、比BRは、約0.85と低い。比WR1が2以上3以下において、比BRは1に近い。
【0071】
実施形態において、第1磁性部材幅w51の第5磁性部材幅w55に対する比WR1は、2以上3以下であることが好ましい。第1~第4磁気素子11E~14Eに均一な磁界を印加できる。
【0072】
例えば、第1磁性部材51の第2方向(Z軸方向)に沿う第1磁性部材厚さt1(図8参照)は、例えば、第5磁性部材55の第2方向に沿う第5磁性部材厚さt5の2倍以上4倍以下である。
【0073】
例えば、第1磁性部材51の第3方向(例えばY軸方向)に沿う第1磁性部材長さL51(図9(b)参照)は、第5磁性部材55の第3方向に沿う第5磁性部材長さL55の2倍以上3倍以下である。
【0074】
以下、第1~第4磁気素子11E~14Eと磁性部材との重なりの量、及び、第1~第4導電部材21~24と磁性部材との重なりの量の例について説明する。
図2(a)に示すように、第1磁気素子11Eの一部11Epは、第2方向(Z軸方向)において、第1磁性部材51の一部51pと重なる。図2(b)に示すように、第1磁気素子11Eの一部11Epの第1方向(X軸方向)に沿う幅を幅d1とする。図2(a)に示すように、第1磁気素子11Eの他部11Eqは、第2方向(Z軸方向)において、第3磁性部材53の一部53pと重なる。第1磁気素子11Eの他部11Eqの第1方向(X軸方向)に沿う幅は、幅d1と実質的に同じとする。既に説明したように、第1磁気素子11Eは、第1方向に沿う幅w1を有する(図2(b)参照)。実施形態において、幅d1の幅w1に対する比は、0.1以上0.4以下であることが好ましい。
【0075】
図2(a)に示すように、第2磁気素子12Eの一部12Epは、第2方向(Z軸方向)において、第2磁性部材52の一部52pと重なる。図2(b)に示すように、第2磁気素子12Eの一部12Epの第1方向(X軸方向)に沿う幅を幅d2とする。図2(a)に示すように、第2磁気素子12Eの他部12Eqは、第2方向(Z軸方向)において、第4磁性部材54の一部54pと重なる。第2磁気素子12Eの他部12Eqの第1方向(X軸方向)に沿う幅は、幅d2と実質的に同じとする。既に説明したように、第2磁気素子12Eは、第1方向に沿う幅w2を有する(図2(b)参照)。実施形態において、幅d2の幅w2に対する比は、0.1以上0.4以下であることが好ましい。
【0076】
図2(a)に示すように、第3磁気素子13Eの一部13Epは、第2方向(Z軸方向)において、第3磁性部材53の他部53qと重なる。図2(b)に示すように、第3磁気素子13Eの一部13Epの第1方向(X軸方向)に沿う幅を幅d3とする。図2(a)に示すように、第3磁気素子13Eの他部13Eqは、第2方向(Z軸方向)において、第5磁性部材55の一部55pと重なる。第3磁気素子13Eの他部13Eqの第1方向(X軸方向)に沿う幅は、幅d3と実質的に同じとする。既に説明したように、第3磁気素子13Eは、第1方向に沿う幅w3を有する(図2(b)参照)。実施形態において、幅d3の幅w3に対する比は、0.1以上0.4以下であることが好ましい。
【0077】
図2(a)に示すように、第4磁気素子14Eの一部14Epは、第2方向(Z軸方向)において、第5磁性部材55の他部55qと重なる。図2(b)に示すように、第4磁気素子14Eの一部14Epの第1方向(X軸方向)に沿う幅を幅d4とする。図2(a)に示すように、第4磁気素子14Eの他部14Eqは、第2方向(Z軸方向)において、第4磁性部材54の他部54qと重なる。第4磁気素子14Eの他部14Eqの第1方向(X軸方向)に沿う幅は、幅d4と実質的に同じとする。既に説明したように、第4磁気素子14Eは、第1方向に沿う幅w4を有する(図2(b)参照)。実施形態において、幅d4の幅w4に対する比は、0.1以上0.4以下であることが好ましい。
【0078】
このような構成により、磁性部材で集められた磁界が、磁気素子により効率的に印加される。
【0079】
図11は、磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図11は、磁気センサ110の構成において、第1磁気素子11Eが第1磁性部材51と重なる部分の幅(幅d1)を変えたときの特性を例示する。図11の横軸は、幅d1の第3磁性部材幅w53(図1(a)参照)に対する比WR2である。縦軸は、均一な外部磁界が与えられたときの第1磁気素子11Eの位置における磁束密度B1(相対値)である。図11の例では、第1~第5磁性部材51~55の幅は、互いに同じである。図11の例では、第1~第4磁気素子11E~14Eの幅は、互いに同じである。図11には、素子の幅w1が4μm、6μmまたは8μmのとき結果が示されている。
【0080】
図11に示すように、比WR2が0.1以上0.4以下において、高い磁束密度B1が得られる。比WR2が0.1未満においては、例えば、磁束は、磁気素子に向かい難く、複数の磁性部材どうしの間を直接的に流れると考えられる。比WR2が0.4を超えると、磁束の漏れが大きくなると考えられる。
【0081】
図2(a)に示すように、第1導電部材21の一部21pは、第2方向(Z軸方向)において、第1磁性部材51の一部51pと重なる。図2(b)に示すように、第1導電部材21の一部21pの第1方向(X軸方向)に沿う幅を幅dx1とする。図2(a)に示すように、第1導電部材21の他部21qは、第2方向(Z軸方向)において、第3磁性部材53の一部53pと重なる。第1導電部材21の他部21qの第1方向(X軸方向)に沿う幅は、幅dx1と実質的に同じとする。実施形態において、幅dx1の第3磁性部材幅w53(図1(a)参照)に対する比は、0.4以下であることが好ましい。
【0082】
図2(a)に示すように、第2導電部材22の一部22pは、第2方向(Z軸方向)において、第2磁性部材52の一部52pと重なる。図2(b)に示すように、第2導電部材22の一部22pの第1方向(X軸方向)に沿う幅を幅dx2とする。図2(a)に示すように、第2導電部材22の他部22qは、第2方向(Z軸方向)において、第4磁性部材54の一部54pと重なる。第2導電部材22の他部22qの第1方向(X軸方向)に沿う幅は、幅dx2と実質的に同じとする。実施形態において、幅dx2の第4磁性部材幅w54(図1(a)参照)に対する比は、0.4以下であることが好ましい。
【0083】
図2(a)に示すように、第3導電部材23の一部23pは、第2方向(Z軸方向)において、第3磁性部材53の他部53qと重なる。図2(b)に示すように、第3導電部材23の一部23pの第1方向(X軸方向)に沿う幅を幅dx3とする。図2(a)に示すように、第3導電部材23の他部23qは、第2方向(Z軸方向)において、第5磁性部材55の一部55pと重なる。第3導電部材23の他部23qの第1方向(X軸方向)に沿う幅は、幅dx3と実質的に同じとする。実施形態において、幅dx3は、幅dx1と実質的に同じであることが好ましい。例えば、幅dx3は、幅dx1の0.8倍以上1.2倍以下である。
【0084】
図2(a)に示すように、第4導電部材24の一部24pは、第2方向(Z軸方向)において、第5磁性部材55の他部55qと重なる。図2(b)に示すように、第4導電部材24の一部24pの第1方向(X軸方向)に沿う幅を幅dx4とする。図2(a)に示すように、第4導電部材24の他部24qは、第2方向(Z軸方向)において、第4磁性部材54の他部54qと重なる。第4導電部材24の他部24qの第1方向(X軸方向)に沿う幅は、幅dx4と実質的に同じとする。実施形態において、幅dx4は、幅dx2と実質的に同じであることが好ましい。例えば、幅dx4は、幅dx2の0.8倍以上1.2倍以下である。
【0085】
このような構成により、導電部材で発生した磁界が、磁性部材を介して効率よく磁気素子に印加される。
【0086】
図12は、磁気センサの特性を例示するグラフ図である。
図12は、磁気センサ110の構成において、導電部材が磁性部材と重なる部分の幅(相対的な幅)を変えたときの特性を例示する。第1導電部21が第1磁性部材51と重なる部分の幅dx1は、第1導電部21が第3磁性部材53と重なる部分の幅と同じである。この例では、第3磁性部材53の幅を固定して、第1導電部21の幅が変更される。図12の例では、第1導電部21に供給される電流密度は一定である。第1導電部21の幅の変更に応じて、供給される電流が変更される。図12の横軸は、比WR3である。比WR3は、第1導電部21が第1磁性部材51と重なる部分の幅dx1(図2(b)参照)の第3磁性部材幅w53(図1(a)参照)に対する比である。図12の縦軸は、第1導電部21に供給される電流により生じる外部磁界の、第1磁気素子11Eの位置における磁束密度B2(相対値)である。
【0087】
図12から分かるように、比WR3が0~0.32の範囲で比WR3が高くなると、磁束密度B2が高くなる。すなわち、この範囲で、導電部材が磁性部材と重なる部分の幅が大きくなると、磁束密度B2が高くなる。比WR3が0.32を越えると、磁束密度B2は飽和する。比WR3が0.32を越えて比WR3を高くすると、多くの電流が必要となる。このため、実用的に比WR3は0.32以下であることが好ましい。消費電流を低減する観点では、比WR3は、0.2以下でも良い。この場合でも、比WR3が0の場合と比べて高い磁束密度B2が得られる。例えば、比WR3は0.02以上でも良い。例えば、第1導電部材21が第3磁性部材53と重なる幅の、第3磁性部材の第1方向に沿う幅w53に対する比は、0.32以下であることが好ましい。この比は、0.02以上でも良い。
【0088】
図2(b)に示すように、第1磁性部材51と第3磁性部材53との間の第1方向(X軸方向)に沿う距離を距離g1とする。第4磁性部材54と第2磁性部材52との間の第1方向(X軸方向)に沿う距離を距離g2とする。第3磁性部材53と第5磁性部材55との間の第1方向(X軸方向)に沿う距離を距離g3とする。第5磁性部材55と第4磁性部材54との間の第1方向(X軸方向)に沿う距離を距離g4とする。距離g1~g4は、例えば、1μm以上5μm以下である。これにより、集中された磁界が磁気素子に効率良く印加される。
【0089】
図2(b)に示すように、磁気素子と磁性部材との間の第2方向(Z軸方向)に沿う距離を距離dzとする。実施形態において、距離dzは、0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。これにより、集中された磁界が磁気素子に効率良く印加される。
【0090】
図13(a)及び図13(b)は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図13(a)及び図13(b)に示すように、実施形態に係る磁気センサ113及び磁気センサ114においては、磁性部材の厚さが、場所によって異なる。例えば、1つの磁性部材のX軸方向の端部における厚さ(Z軸方向に沿う長さ)は、その1つの磁性部材のX軸方向の中央部における厚さよりも薄い。磁性部材のX軸方向の端部においてより磁界が集中できる。磁気センサ113のように、端部はテーパ状でも良い。端部の表面は、X軸方向に対して傾斜しても良い。磁気センサ113及び磁気センサ114における上記以外の構成は、磁気センサ110~112と同様で良い。
【0091】
図14は、第1実施形態に係る磁気センサを例示する模式的断面図である。
図14に示すように、実施形態に係る磁気センサ115においては、第1磁性部材51の一部は、第1磁気素子11Eと第1導電部材21との間にある。第2磁性部材52の一部は、第2磁気素子12Eと第2導電部材22との間にある。第3磁性部材53の一部は、第3磁気素子13Eと第3導電部材23との間にある。第4磁性部材54の一部は、第4磁気素子14Eと第4導電部材24との間にある。磁気センサ115における上記以外の構成は、磁気センサ110~114と同様で良い。磁気センサ113~115においても感度の向上が可能な磁気センサを提供できる。
【0092】
実施形態において、第1~第4磁性層11~14、及び、第1~第4対向磁性層11o~14oは、例えば、Fe、Co及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1~第5磁性部材51~55は、例えば、NiFe及びCoZrNbよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1~第4導電部材21~24は、例えば、Cu、Au及びAlよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0093】
(第2実施形態)
第2実施形態は、検査装置に係る。後述するように、検査装置は、診断装置を含んでも良い。
【0094】
図15は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
図15に示すように、実施形態に係る検査装置710は、磁気センサ150aと、処理部770と、を含む。磁気センサ150aは、第1~第5実施形態のいずれかに係る磁気センサ及びその変形で良い。処理部770は、磁気センサ150aから得られる出力信号を処理する。処理部770において、磁気センサ150aから得られた信号と、基準値と、の比較などが行われても良い。処理部770は、処理結果に基づいて、検査結果を出力可能である。
【0095】
例えば、検査装置710により、検査対象680が検査される。検査対象680は、例えば、電子装置(半導体回路などを含む)である。検査対象680は、例えば、電池610などでも良い。
【0096】
例えば、実施形態に係る磁気センサ150aは、電池610とともに用いられても良い。例えば、電池システム600は、電池610及び磁気センサ150aを含む。磁気センサ150aは、電池610に流れる電流により生じる磁界を検出できる。
【0097】
図16は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
図16に示すように、磁気センサ150aは、例えば、実施形態に係る複数の磁気センサを含む。この例では、磁気センサ150aは、複数の磁気センサ(例えば、磁気センサ110など)を含む。複数の磁気センサは、例えば、2つの方向(例えば、X軸方向及びY軸方向)に沿って並ぶ。複数の磁気センサ110は、例えば、基板の上に設けられる。
【0098】
磁気センサ150aは、検査対象680(例えば電池610でも良い)に流れる電流により生じる磁界を検出できる。例えば、電池610が異常な状態に近づくと、電池610に異常な電流が流れる場合がある。磁気センサ150aにより異常な電流を検出することで、電池610の状態の変化を知ることができる。例えば、電池610に近づけて磁気センサ150aが置かれた状態で、2つの方向のセンサ群駆動手段を用いて、電池610の全体を短時間で検査できる。磁気センサ150aは、電池610の製造における、電池610の検査に用いられても良い。
【0099】
実施形態に係る磁気センサは、例えば、診断装置などの検査装置710に応用できる。 図17は、第2実施形態に係る磁気センサ及び検査装置を示す模式図である。
図17に示すように、検査装置710の例である診断装置500は、磁気センサ150を含む。磁気センサ150は、第1~第5実施形態に関して説明した磁気センサ、及び、それらの変形を含む。
【0100】
診断装置500において、磁気センサ150は、例えば、脳磁計である。脳磁計は、脳神経が発する磁界を検出する。磁気センサ150が脳磁計に用いられる場合、磁気センサ150に含まれる磁気素子のサイズは、例えば、1mm以上10mm未満である。このサイズは、例えば、MFCを含めた長さである。
【0101】
図17に示すように、磁気センサ150(脳磁計)は、例えば、人体の頭部に装着される。磁気センサ150(脳磁計)は、センサ部301を含む。磁気センサ150(脳磁計)は、複数のセンサ部301を含んでも良い。複数のセンサ部301の数は、例えば、約100個(例えば50個以上150個以下)である。複数のセンサ部301は、柔軟性を有する基体302に設けられる。
【0102】
磁気センサ150は、例えば、差動検出などの回路を含んでも良い。磁気センサ150は、磁気センサとは別のセンサ(例えば、電位端子または加速度センサなど)を含んでも良い。
【0103】
磁気センサ150のサイズは、従来のSQUID磁気センサのサイズに比べて小さい。このため、複数のセンサ部301の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他の回路と、の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他のセンサと、の共存が容易である。
【0104】
基体302は、例えばシリコーン樹脂などの弾性体を含んでも良い。基体302に、例えば、複数のセンサ部301が繋がって設けられる。基体302は、例えば、頭部に密着できる。
【0105】
センサ部301の入出力コード303は、診断装置500のセンサ駆動部506及び信号入出力部504と接続される。センサ駆動部506からの電力と、信号入出力部504からの制御信号と、に基づいて、センサ部301において、磁界測定が行われる。その結果は、信号入出力部504に入力される。信号入出力部504で得た信号は、信号処理部508に供給される。信号処理部508において、例えば、ノイズの除去、フィルタリング、増幅、及び、信号演算などの処理が行われる。信号処理部508で処理された信号が、信号解析部510に供給される。信号解析部510は、例えば、脳磁計測のための特定の信号を抽出する。信号解析部510において、例えば、信号位相を整合させる信号解析が行われる。
【0106】
信号解析部510の出力(信号解析が終了したデータ)が、データ処理部512に供給される。データ処理部512では、データ解析が行われる。このデータ解析において、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)などの画像データが取り入られることが可能である。このデータ解析においては、例えば、EEG(Electroencephalogram)などの頭皮電位情報などが取り入れられることが可能である。データ解析により、例えば、神経発火点解析、または、逆問題解析などが行われる。
【0107】
データ解析の結果は、例えば、画像化診断部516に供給される。画像化診断部516において、画像化が行われる。画像化により、診断が支援される。
【0108】
上記の一連の動作は、例えば、制御機構502によって制御される。例えば、一次信号データ、または、データ処理途中のメタデータなどの必要なデータは、データサーバに保存される。データサーバと制御機構とは、一体化されても良い。
【0109】
実施形態に係る診断装置500は、磁気センサ150と、磁気センサ150から得られる出力信号を処理する処理部と、を含む。この処理部は、例えば、信号処理部508及びデータ処理部512の少なくともいずれかを含む。処理部は、例えば、コンピュータなどを含む。
【0110】
図17に示す磁気センサ150では、センサ部301は、人体の頭部に設置されている。センサ部301は、人体の胸部に設置されても良い。これにより、心磁測定が可能となる。例えば、センサ部301を妊婦の腹部に設置しても良い。これにより、胎児の心拍検査を行うことができる。
【0111】
被験者を含めた磁気センサ装置は、シールドルーム内に設置されるのが好ましい。これにより、例えば、地磁気または磁気ノイズの影響が抑制できる。
【0112】
例えば、人体の測定部位、または、センサ部301を局所的にシールドする機構を設けても良い。例えば、センサ部301にシールド機構を設けても良い。例えば、信号解析またはデータ処理において、実効的なシールドを行っても良い。
【0113】
実施形態において、基体302は、柔軟性を有しても良く、柔軟性を実質的に有しなくても良い。図17に示す例では、基体302は、連続した膜を帽子状に加工したものである。基体302は、ネット状でも良い。これにより、例えば、良好な装着性が得られる。例えば、基体302の人体への密着性が向上する。基体302は、ヘルメット状で、硬質でも良い。
【0114】
図18実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
図18は、磁計の一例である。図18に示す例では、平板状の硬質の基体305上にセンサ部301が設けられる。
【0115】
図18に示した例において、センサ部301から得られる信号の入出力は、図17に関して説明した入出力と同様である。図18に示した例において、センサ部301から得られる信号の処理は、図17に関して説明した処理と同様である。
【0116】
生体から発生する磁界などの微弱な磁界を計測する装置として、SQUID (Superconducting Quantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)磁気センサを用いる参考例がある。この参考例においては、超伝導を用いるため、装置が大きく、消費電力も大きい。測定対象(患者)の負担が大きい。
【0117】
実施形態によれば、装置が小型にできる。消費電力を抑制できる。測定対象(患者)の負担が軽減できる。実施形態によれば、磁界検出のSN比を向上できる。感度を向上できる。
【0118】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1磁気素子と、
第2磁気素子と、
第1方向において前記第1磁気素子と前記第2磁気素子との間に設けられた第3磁気素子と、
前記第1方向において前記第3磁気素子と前記第2磁気素子との間に設けられた第4磁気素子と、
第1導電部材と、
第2導電部材と、
前記第1方向において前記第1導電部材と前記第2導電部材との間に設けられた第3導電部材と、
前記第1方向において前記第3導電部材と前記第2導電部材との間に設けられた第4導電部材と、
第1磁性部材と、
第2磁性部材と、
前記第1方向において前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた第3磁性部材と、
前記第1方向において前記第3磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた第4磁性部材と、
前記第1方向において前記第3磁性部材と前記第4磁性部材との間に設けられた第5磁性部材と、
を備え、
前記第1磁気素子、及び、前記第1導電部材は、前記第1方向と交差する第2方向において前記第1磁性部材と前記第3磁性部材との間の領域と重なり、
前記第2磁気素子、及び、前記第2導電部材は、前記第2方向において前記第4磁性部材と前記第2磁性部材との間の領域と重なり、
前記第3磁気素子、及び、前記第3導電部材は、前記第2方向において前記第3磁性部材と前記第5磁性部材との間の領域と重なり、
前記第4磁気素子、及び、前記第4導電部材は、前記第2方向において前記第5磁性部材と前記第4磁性部材との間の領域と重なる、磁気センサ。
【0119】
(構成2)
前記第1導電部材、前記第2導電部材、前記第3導電部材及び前記第4導電部材に交流成分を含む第1電流を供給可能な第1回路をさらに備えた、構成1記載の磁気センサ。
【0120】
(構成3)
前記第1導電部材の一端から前記第1導電部材の他端への方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿い、
前記第2導電部材の一端から前記第2導電部材の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第3導電部材の一端から前記第3導電部材の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第4導電部材の一端から前記第4導電部材の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第1導電部材の前記他端は、前記第3導電部材の前記他端と電気的に接続され、
前記第3導電部材の前記一端は、前記第4導電部材の前記一端と電気的に接続され、
前記第4導電部材の前記他端は、前記第2導電部材の前記他端と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第1導電部材の前記一端と、前記第2導電部材の前記一端と、の間に前記第1電流を供給可能である、構成2記載の磁気センサ。
【0121】
(構成4)
前記第1磁気素子、前記第2磁気素子、前記第3磁気素子及び前記第4磁気素子に検出電流を供給可能な第2回路をさらに備え、
前記第1磁気素子の一端から前記第1磁気素子の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第2磁気素子の一端から前記第2磁気素子の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第3磁気素子の一端から前記第3磁気素子の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第4磁気素子の一端から前記第4磁気素子の他端への方向は、前記第3方向に沿い、
前記第1磁気素子の前記他端は、前記第2磁気素子の前記他端と電気的に接続され、
前記第1磁気素子の前記一端は、前記第3磁気素子の前記一端と電気的に接続され、
前記第3磁気素子の前記他端は、前記第4磁気素子の前記他端と電気的に接続され、
前記第4磁気素子の前記一端は、前記第2磁気素子の前記一端と電気的に接続され、
前記第2回路は、前記第1磁気素子の前記他端、及び、前記第2磁気素子の前記他端の第1接続点と、前記第3磁気素子の前記他端、及び、前記第4磁気素子の前記他端の第2接続点と、の間に、前記検出電流を供給可能である、構成3記載の磁気センサ。
【0122】
(構成5)
第3回路をさらに備え、
前記第3回路は、前記第1磁気素子の前記一端、及び、前記第3磁気素子の前記一端の第3接続点と、前記第4磁気素子の前記一端、及び、前記第2磁気素子の前記一端の第4接続点と、の間の電位の変化を検出可能である、構成4記載の磁気センサ。
【0123】
(構成6)
前記第1磁気素子の一部、及び、前記第1導電部材の一部は、前記第2方向において前記第1磁性部材の少なくとも一部と重なり、
前記第1磁気素子の他部、及び、前記第1導電部材の他部は、前記第2方向において前記第3磁性部材の一部と重なり、
前記第2磁気素子の一部、及び、前記第2導電部材の一部は、前記第2方向において前記第2磁性部材の少なくとも一部と重なり、
前記第2磁気素子の他部、及び、前記第2導電部材の他部は、前記第2方向において前記第4磁性部材の一部と重なり、
前記第3磁気素子の一部、及び、前記第3導電部材の一部は、前記第2方向において前記第3磁性部材の他部と重なり、
前記第3磁気素子の他部、及び、前記第3導電部材の他部は、前記第2方向において前記第5磁性部材の一部と重なり、
前記第4磁気素子の一部、及び、前記第4導電部材の一部は、前記第2方向において前記第5磁性部材の他部と重なり、
前記第4磁気素子の他部、及び、前記第4導電部材の他部は、前記第2方向において前記第4磁性部材の他部と重なる、構成1~5のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0124】
(構成7)
前記第1磁気素子は、前記第1方向に沿う第1幅を有し、
前記第1磁気素子の一部は、前記第2方向において前記第1磁性部材の前記少なくとも一部と重なり、
前記第1磁気素子の前記一部の前記第1方向に沿う幅の、前記第1幅に対する比は、0.1以上0.4以下である、構成1~6のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0125】
(構成8)
前記第1磁性部材の前記第2方向に沿う第1磁性部材厚さは、前記第5磁性部材の前記第2方向に沿う第5磁性部材厚さよりも厚い、構成1~7のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0126】
(構成9)
前記第3磁性部材の前記第2方向に沿う第3磁性部材厚さは、前記第1磁性部材厚さよりも薄い、構成8記載の磁気センサ。
【0127】
(構成10)
前記第1磁性部材の前記第1方向に沿う第1磁性部材幅は、前記第5磁性部材の前記第1方向に沿う第5磁性部材幅よりも大きい、構成1~7のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0128】
(構成11)
前記第3磁性部材の前記第1方向に沿う第3磁性部材幅は、前記第1磁性部材幅よりも小さい、構成10記載の磁気センサ。
【0129】
(構成12)
前記第1磁性部材の前記第3方向に沿う第1磁性部材長さは、前記第5磁性部材の前記第3方向に沿う第5磁性部材長さよりも長い、構成3~5のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0130】
(構成13)
前記第3磁性部材の前記第3方向に沿う第3磁性部材長さは、前記第1磁性部材長さよりも短い、構成12記載の磁気センサ。
【0131】
(構成14)
前記第1磁性部材は、第1磁性部材端と、第1磁性部材他端と、を含み、
前記第1磁性部材他端は、前記第1方向において前記第1磁性部材端と前記第3磁性部材との間にあり、
前記第1磁性部材の前記第3方向に沿う長さは、前記第1磁性部材他端から前記第1磁性部材端への向きにおいて増大する、構成3~5のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0132】
(構成15)
前記第1磁気素子の電気抵抗は、前記第1磁気素子に第1磁界が印加されたときに第1値であり、
前記電気抵抗は、前記第1磁気素子に第2磁界が印加されたときに第2値であり、
前記電気抵抗は、前記第1磁気素子に第3磁界が印加されたときに第3値であり、
前記第1磁界の絶対値は、前記第2磁界の絶対値よりも小さく、前記第3磁界の絶対値よりも小さく、
前記第2磁界の向きは、前記第3磁界の向きと逆であり、
前記第1値は、前記第2値よりも低く前記第3値よりも低い、または、
前記第1値は、前記第2値よりも高く前記第3値よりも高い、構成1~14のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0133】
(構成16)
前記第1磁気素子の電気抵抗は、前記第1導電部材に第1値電流が供給されたときに第1値であり、
前記電気抵抗は、前記第1導電部材に第2値電流が供給されたときに第2値であり、
前記電気抵抗は、前記第1導電部材に第3値電流が供給されたときに第3値であり、
前記第1値電流の絶対値は、前記第2値電流の絶対値よりも小さく、前記第3値電流の絶対値よりも小さく、
前記第2値電流の向きは、前記第3値電流の向きと逆であり、
前記第1値は、前記第2値よりも低く前記第3値よりも低い、または、
前記第1値は、前記第2値よりも高く前記第3値よりも高い、構成1~14のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0134】
(構成17)
前記第1磁気素子の電気抵抗は、前記第1磁気素子に印加される磁界に対して偶関数で変化する、構成1~14のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0135】
(構成18)
前記第1磁気素子の少なくとも一部は、前記第1導電部材と、前記第1磁性部材と、の間にある、構成1~17のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0136】
(構成19)
前記第1磁気素子は、
第1磁性層と、
第1対向磁性層と、
前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
を含み、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第2磁気素子は、
第2磁性層と、
第2対向磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2対向磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
を含み、前記第2磁性層から前記第2対向磁性層への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第3磁気素子は、
第3磁性層と、
第3対向磁性層と、
前記第3磁性層と前記第3対向磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
を含み、前記第3磁性層から前記第3対向磁性層への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第4磁気素子は、
第4磁性層と、
第4対向磁性層と、
前記第4磁性層と前記第4対向磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
を含み、前記第4磁性層から前記第4対向磁性層への方向は、前記第2方向に沿う、構成1~18のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0137】
(構成20)
前記第1導電部材が前記第3磁性部材と重なる幅の、前記第3磁性部材の前記第1方向に沿う幅に対する比は、0.32以下である、構成1~19のいずれか1つに記載の磁気センサ。
【0138】
(構成21)
構成1~20のいずれか1つに記載の磁気センサと、
前記磁気センサから出力される信号を処理可能な処理部と、
を備えた検査装置。
【0139】
実施形態によれば、感度の向上が可能な磁気センサ及び検査装置が提供できる。
【0140】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0141】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気センサに含まれる磁気素子、磁性層、非磁性層、磁性部材、構造体、導電部材、導電部及び回路などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0142】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0143】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気センサ及び検査装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気センサ及び検査装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0144】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと解される。
【0145】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0146】
11~14…第1~第4磁性層、 11E~14E…第1~第4磁気素子、 11Ep~14Ep…一部、 11Eq~14Eq…他部、 11e~14e…一端、 11f~14f…他端、 11n~14n…第1~第4非磁性層、 11o~14o…第1~第4対向磁性層、 21~24…第1~第4導電部材、 21e~24e…一端、 21f~24f…他端、 21p~24p…一部、 21q~24q…他部、 51~55…第1~第5磁性部材、 51a、52a…第1、第2磁性部材端、 51b、52b…第1~第2磁性部材他端、 51p~52p…一部、 53q~55q…他部、 65…絶縁部材、 66a~66d…領域、 70…処理部、 71~73…第1~第3回路、 110~115、150、150a…磁気センサ、 301…センサ部、 302…基体、 303…入出力コード、 305…基体、 500…検査装置、 502…制御機構、 504…信号入出力部、 506…センサ駆動部、 508…信号処理部、 510…信号解析部、 512…データ処理部、 516…画像化診断部、 600…電池システム、 610…電池、 680…検査対象、 710…検査装置、 770…処理部、 B1…磁束密度、 BR…比、 CP1~CP4…第1~第4接続点、 H…磁界、 Hac…交流磁界、 Hex…外部磁界、 Hex1~Hex3…第1~第3磁界、 Hsig…信号磁界、 I1…第1電流、 Ia1~Ia3…第1~第3値電流、 Is…検出電流、 L1~L4…長さ、 L51~L55…第1~第5磁性部材長さ、 R…抵抗、 R1~R4…第1~第4値、 Ro…低抵抗、 Rx…電気抵抗、 WR1、WR2…比、 d1~d4、dx1~dx4…幅、 dz…距離、 g1~g4…距離、 t1~t5…厚さ、 w1~w4……幅、 w51~w55…第1~第5磁性部材幅
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