(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20231129BHJP
E02F 9/08 20060101ALI20231129BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231129BHJP
【FI】
E02F9/00 C
E02F9/08 Z
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2020210453
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】北原 訓
(72)【発明者】
【氏名】寺島 淳
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-139676(JP,A)
【文献】特開2014-159719(JP,A)
【文献】特開2001-329567(JP,A)
【文献】特開2006-069357(JP,A)
【文献】特開2008-265360(JP,A)
【文献】特開2018-162610(JP,A)
【文献】特開2017-024481(JP,A)
【文献】特開2001-055049(JP,A)
【文献】米国特許第06230834(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00-9/20
B60K 1/00-6/12
B60K 7/00-8/00
B60K 16/00
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、
電動モータに電力を供給するためのバッテリユニットと、
前記バッテリユニットが設置される機体に対して、前記バッテリユニットの下
方から前記バッテリユニットを支持する下側防振支持部と、
前記機体に対して、前記バッテリユニットの上
方から前記バッテリユニットを
吊り下げて支持する上側防振支持部と、を備え、
前記下側防振支持部は、前記バッテリユニットの
前記機体の前後方向の一方側に設けられ、前記上側防振支持部は、前記バッテリユニットの
前記機体の前後方向の他方側に設けられている
建設機械。
【請求項2】
前記下側防振支持部は、前記バッテリユニットの
前記機体の前後方向の前
方側に設けられ、前記上側防振支持部は、前記バッテリユニットの
前記機体の前後方向の後
方側に設けられている
請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記機体を構成するフレームは、ベースプレート部と、前記ベースプレート部に立設された一対のステー部と、前記一対のステー部の間に架設された横架フレーム部と、を含み、
前記上側防振支持部は、前記横架フレーム部に対して設けられている
請求項1または請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記下側防振支持部および前記上側防振支持部の各防振支持部は、
前記機体を構成するフレーム側に設けられた第1取付部と、
前記バッテリユニット側に設けられた第2取付部と、
前記第1取付部と前記第2取付部とを相対回動可能に連結する連結軸部と、
前記連結軸部を介して前記第1取付部と前記第2取付部との間に介在する弾性部材と、を有する
請求項1~3のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項5】
前記電動モータは、前記機体における前記バッテリユニットの下方に配置されている
請求項1~4のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項6】
前記機体に、運転席を設置した運転部を備え、
前記電動モータおよび前記バッテリユニットは、前記運転席の下方に配置されており、
前記一対のステー部は、前記
機体の後部に
配置されている
請求項3に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源としての電動モータと電動モータに電力を供給するためのバッテリユニットとを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば掘削作業機等の建設機械において、駆動源として電動モータを備えた電動式のものがある。電動式の建設機械としては、例えば、下部走行体と、下部走行体に対して旋回可能に搭載された上部旋回体とを備え、上部旋回体に電動モータを搭載した掘削作業機がある(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。電動式の建設機械においては、電動モータに電力を供給するためのバッテリユニットが備えられる(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0003】
特許文献1には、上部旋回体において、運転部の下方に設けられたバッテリユニットの側方に、油圧ポンプが連結された電動モータを配置した電動式の掘削作業機が開示されている。
【0004】
掘削作業機は作業時の振動が比較的大きいため、バッテリユニットや電動モータは機体において防振支持されることが望ましい。特許文献2には、上部旋回体の後部に、複数のバッテリを所定の配列で棚状部材に収納したバッテリユニットを搭載し、バッテリユニットの上下を、防振ゴムを含んで構成された防振部材によって、上部旋回体の旋回フレームに対して防振支持した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-45630号公報
【文献】特開2013-139675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
掘削作業機の作業時における振動には、様々な方向の成分の振動が含まれるため、例えば特許文献2に開示された構成のように単にバッテリユニットの上下に防振部材を配置しただけでは、振動を十分に抑制することができないという問題がある。また、防振部材による支持箇所の数を増やすことで、振動の抑制効果を高めることができるが、防振部材による支持箇所の数を増やすことは、コストの増加や構造の複雑化を招くことになる。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、電動モータに電力を供給するためのバッテリユニットを備えた構成において、簡単で安価な構成により、バッテリユニットの振動を効果的に抑制することができる建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る建設機械は、電動モータと、電動モータに電力を供給するためのバッテリユニットと、前記バッテリユニットが設置される機体に対して、前記バッテリユニットの下側を防振支持する下側防振支持部と、前記機体に対して、前記バッテリユニットの上側を防振支持する上側防振支持部と、を備え、前記下側防振支持部は、前記バッテリユニットの前後方向の一方側に設けられ、前記上側防振支持部は、前記バッテリユニットの前後方向の他方側に設けられているものである。
【0009】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記下側防振支持部は、前記バッテリユニットの前端部に設けられ、前記上側防振支持部は、前記バッテリユニットの後端部に設けられているものである。
【0010】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記機体を構成するフレームは、ベースプレート部と、前記ベースプレート部に立設された一対のステー部と、前記一対のステー部の間に架設された横架フレーム部と、を含み、前記上側防振支持部は、前記横架フレーム部に対して設けられているものである。
【0011】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記下側防振支持部および前記上側防振支持部の各防振支持部は、前記機体を構成するフレーム側に設けられた第1取付部と、前記バッテリユニット側に設けられた第2取付部と、前記第1取付部と前記第2取付部とを相対回動可能に連結する連結軸部と、前記連結軸部を介して前記第1取付部と前記第2取付部との間に介在する弾性部材と、を有するものである。
【0012】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記電動モータは、前記機体における前記バッテリユニットの下方に配置されているものである。
【0013】
本発明の他の態様に係る建設機械は、前記建設機械において、前記機体に、運転席を設置した運転部を備え、前記電動モータおよび前記バッテリユニットは、前記運転席の下方に配置されており、前記一対のステー部は、前記ベースプレート部の後部に立設されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電動モータに電力を供給するためのバッテリユニットを備えた構成において、簡単で安価な構成により、バッテリユニットの振動を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の左側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の左前方からの斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る掘削作業機が備える装置構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る掘削作業機が備える装置構成の設置態様の一例を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る掘削作業機が備える装置構成の設置態様の一例を示す左前方斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る上部旋回体を示す左側面一部断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るバッテリユニットの支持構成を示す左前方斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るバッテリユニットの支持構成を示す正面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るバッテリユニットの支持構成を示す背面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るバッテリユニットの支持構成を示す左側面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る下側防振支持部の構成を示す斜視縦断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る弾性部材の構成を示す斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る上側防振支持部の構成を示す正面縦断面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る掘削作業機の旋回構成についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、電動モータに電力を供給するためのバッテリユニットを備えた構成において、バッテリユニットの防振支持の構成を工夫することにより、低コストかつ簡易な構成によって効率的にバッテリユニットの振動を抑制しようとするものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
本発明の実施の形態では、本発明に係る建設機械として、旋回作業車である掘削作業機(ショベル)を例にとって説明する。ただし、本発明に係る建設機械は、掘削作業機に限らず、例えば、ブルドーザ、クレーン作業機、コンパクトトラックローダ、スキッドステアローダ、ホイールローダ等の他の建設機械にも広く適用可能である。
【0018】
本実施形態に係る掘削作業機1の全体構成について、
図1および
図2を用いて説明する。
図1および
図2に示すように、掘削作業機1は、自走可能な走行車体としての走行装置2と、走行装置2に取り付けられた作業部としての掘削装置3とを備える。
【0019】
走行装置2は、掘削作業機1の本機をなす部分であり、左右一対のクローラ式の走行部5,5と、左右の走行部5,5を支持する基台としてのトラックフレーム6と、トラックフレーム6上に設けられた旋回フレーム7とを有する。
【0020】
走行部5は、トラックフレーム6を構成する所定のフレーム部分に支持された複数のスプロケット等の回転体に履帯を巻回した構成を有する。走行部5は、その後端部に、回転体として、駆動輪である駆動スプロケット5aを有する。トラックフレーム6は、左右の走行部5,5間の中央部に位置するセンターフレーム部6aと、センターフレーム部6aの左右両側に設けられたサイドフレーム部6bとを有する。
【0021】
旋回フレーム7は、平面視略円形状に構成され、トラックフレーム6に対して、トラックフレーム6の上側に設けられた旋回支持部6cにより、上下方向の軸線回りに左右いずれの方向にも旋回可能に設けられている。また、旋回フレーム7は、左右の走行部5,5の左右幅内、つまり左側の走行部5の左外側縁端と右側の走行部5の右側縁端との間の幅内で旋回可能に構成されている。これにより、掘削作業機1による小旋回作業が可能となっている。
【0022】
旋回フレーム7上には、平面状の床部8を有する運転部10が設けられている。床部8は、旋回フレーム7上において前半部の左側の部分に設けられている。運転部10の右側には、タンク部9が設けられている。運転部10に対しては、床部8の左側が、オペレータの乗降口となっている。また、旋回フレーム7上の後部には、駆動源として、原動機である電動モータ12が設けられている。
【0023】
運転部10は、走行装置2および掘削装置3を運転・操作するためのものである。旋回フレーム7上においては、運転部10に対してキャノピ13が設けられている。キャノピ13は、原動機部の上方に立設された左右一対の後支柱部13a,13aと、床部8の前端部に立設された左右一対の前支柱部13b,13bと、前後の支柱部間に設けられたキャノピルーフ部13cとを有する。キャノピルーフ部13cは、運転部10を上方から覆っている。
【0024】
運転部10においては、床部8の後側にシートマウントである運転席支持台14が設けられており、運転席支持台14上に運転席15が設けられている。運転席15の前方には、左右一対の走行レバー16が、床部8から上方へ向けて延出した状態で設けられている。床部8上における走行レバー16の左右両側には、作業用の複数の操作ペダル17が配設されている。また、運転部10において、運転席15の周囲には、掘削装置3等の作業部を操作するための作業操作レバーや、スイッチ等の各種操作部を有する操作パネル部等が設けられている。
【0025】
掘削作業機1は、トラックフレーム6およびその左右両側に支持された走行部5,5を含む構成を下部走行体20Aとし、下部走行体20Aに対して旋回可能に搭載された機体として、上部旋回体20Bを備える。上部旋回体20Bは、機体を構成するフレームである旋回フレーム7と、旋回フレーム7上に設けられた運転部10とを含んで構成されている。
【0026】
また、運転部10の右側に設けられたタンク部9には、作動油を収容する作動油タンク30が設けられている(
図4参照)。作動油タンク30は、旋回フレーム7の右側の前部に設けられている。作動油タンク30内の作動油は、掘削装置3を構成する油圧シリンダ等、掘削作業機1が備える油圧シリンダ等に供給される。
【0027】
作動油タンク30は、右カバー部31により覆われている。右カバー部31は、作動油タンク30およびその後側に設けられたラジエータ61を覆うカバー部であり、上部旋回体20Bの外装をなす外装カバー部の右側の部分を形成している。上部旋回体20Bの外装カバー部は、その後側の部分を形成する後カバー部32と、外装カバー部の左側の部分を形成する左カバー部33と、上部旋回体20Bの前下側の部分を覆う前下カバー部34と、床部8の左端の下側に設けられた左前カバー部35とを含む。後カバー部32は、左右の一側がヒンジ部によって回動可能に支持されている。左カバー部33は、運転席支持台14の左側を覆っている。
【0028】
掘削装置3は、走行装置2の前側に設けられたフロント作業装置である。旋回フレーム7の前端の左右中央部には、掘削装置3を支持する支持ブラケット18が前方に向けて突設されている。支持ブラケット18に、掘削装置3の基端部をなすブーム支持ブラケット19が、上下方向を回動軸方向として回動可能に支持させている。掘削装置3は、ブーム支持ブラケット19の右側においてブーム支持ブラケット19と旋回フレーム7との間に設けられたスイング用油圧シリンダ(図示せず)により、旋回フレーム7に対して左右にスイングするように設けられている。
【0029】
掘削装置3は、側面視でブーメラン状に屈曲した形状を有し掘削装置3の基部側の部分を構成するブーム21と、ブーム21の先端側に連結されたアーム22と、アーム22の先端部に取り付けられたバケット23とを有する。掘削装置3は、ブーム21を回動動作させるブームシリンダ26と、アーム22を回動動作させるアームシリンダ27と、バケット23を回動動作させる作業具シリンダ28とを有する。これらのシリンダは、いずれも油圧シリンダである。
【0030】
バケット23は、作業用のアタッチメントとして、アーム22の先端部に対して、アタッチメント着脱装置29を介して着脱可能に連結されている。掘削装置3においては、作業内容に応じてバケット23に替えてグラップルやブレーカ等の他の装置が装着される。
【0031】
以上のような構成を備えた掘削作業機1においては、運転席15に着座したオペレータにより走行レバー16や作業操作レバー等が適宜操作されることで、所望の動作・作業が行われる。具体的には、例えば、走行レバー16の操作により、走行装置2の前後直進走行や左右旋回走行が行われる。また、作業操作レバーの操作により、掘削装置3による掘削作業等が行われる。
【0032】
本実施形態に係る掘削作業機1は、駆動源としての電動モータ12を備えた電動式の建設機械である。
図3に示すように、電動モータ12は、油圧ポンプ41を駆動させるポンプ駆動用モータである。電動モータ12は、例えば三相交流モータであり、交流電力の供給を受けて駆動する。油圧ポンプ41は、電動モータ12により駆動させられて作動油タンク30内の作動油を、コントロールバルブ42を介してアクチュエータ43に供給するためのものである。
【0033】
アクチュエータ43は、掘削作業機1が備える各種の油圧アクチュエータの総称である。アクチュエータ43は、例えば、ブームシリンダ26、アームシリンダ27、作業具シリンダ28、スイング用油圧シリンダ、旋回用の油圧シリンダ等である。
【0034】
コントロールバルブ42は、アクチュエータ43としての各油圧アクチュエータへの圧油の流れを制御する。コントロールバルブ42は、各油圧アクチュエータに対応した複数の方向切替弁を含んで構成されており、方向切替弁の動作制御等により、油圧ポンプ41の駆動によって作動油タンク30内から供給される圧油の量と供給先を制御する。アクチュエータ43への圧油の供給制御により、掘削装置3の動作や上部旋回体20Bの旋回動作等が行われる。
【0035】
図4に示すように、電動モータ12は、旋回フレーム7の後下部において、駆動軸の軸方向を左右方向とした横向きで設置されている。電動モータ12の左側に、油圧ポンプ41が設けられている。油圧ポンプ41は、その回転軸を、カップリングを介して電動モータ12の駆動軸に連結させており、電動モータ12の駆動軸の回転にともなって駆動し、作動油を送り出す。コントロールバルブ42は、上部旋回体20Bにおいて旋回フレーム7上の所定の位置(例えば旋回フレーム7の前部の左側の位置)に設けられている。
【0036】
また、掘削作業機1は、左右一対の走行用油圧モータ44,44を有する(
図1、
図2参照)。走行用油圧モータ44は、コントロールバルブ42からの圧油の供給を受けることで駆動するものであり、各走行部5において、トラックフレーム6のサイドフレーム部6b等の所定の部位に取り付けられた状態で、駆動スプロケット5aを回転駆動させるように設けられている。左右の走行用油圧モータ44,44がそれぞれ走行部5を駆動させることで、走行装置2の前後直進走行や左右旋回走行が行われる。
【0037】
図3に示すように、掘削作業機1は、電動モータ12に直接的にまたは間接的に電気的に接続された構成として、電動モータ12に外部から電力を供給するための給電器46と、電動モータ12に電力を供給するためのバッテリであるバッテリユニット47と、電動モータ12を制御するインバータ装置48とを備える。
【0038】
図3に示すように、給電器46は、外部電力供給用の電力供給線51により、外部電源である商用電源49に電気的に接続されている。つまり、給電器46は、電力供給線51により、外部電源である商用電源49からの電力を取り込む。電力供給線51は、ケーブル等により構成されている。また、給電器46は、バッテリユニット47およびインバータ装置48のそれぞれに対して電気的に接続されている。
【0039】
給電器46は、商用電源49から供給される交流電力(交流電圧)を直流電力(直流電圧)に変換してインバータ装置48に出力する機能と、商用電源49から供給される交流電力を直流電力に変換してバッテリユニット47に出力する機能と、バッテリユニット47からの直流電力をインバータ装置48に出力させる機能とを有する。給電器46は、モードの切換えによって発揮する機能を切り換えるように構成されている。給電器46は、供給された電力の電流と電圧の値を制御する。
【0040】
掘削作業機1は、例えば運転部10に設けられたモード切換スイッチの操作によって切り換えられるモードとして、次の3つの給電モードを有する。すなわち、掘削作業機1は、電動モータ12への給電がバッテリユニット47のみにより行われるバッテリ給電モードと、電動モータ12への給電が給電器46により外部の商用電源49から行われる外部給電モードと、給電器46により外部の商用電源49からの電力をバッテリユニット47に蓄電する蓄電モードとを有する。
【0041】
外部給電モードには、給電器46を介した商用電源49からの給電によるバッテリユニット47の充電、およびバッテリユニット47から電動モータ12への給電の少なくともいずれかが行われる場合が含まれる。すなわち、電動モータ12は、バッテリ給電モードでは、バッテリユニット47からの給電によって駆動し、外部給電モードでは、商用電源49からの給電によって駆動するとともに、場合によってはバッテリユニット47から駆動用の電力の供給を受ける。なお、商用電源49またはバッテリユニット47から供給される電力は、DC/DCコンバータにより電圧が降圧されてから電動モータ12や後述する電動ファン62等に供給される。
【0042】
図4に示すように、給電器46は、旋回フレーム7において、作動油タンク30の下方に配置され、所定の支持部材によって支持された状態で設けられている。
【0043】
バッテリユニット47は、掘削作業機1が備える電源である。バッテリユニット47は、複数のバッテリモジュールをユニット化した構成のものである。バッテリモジュールは、鉛蓄電池、リチウムイオン電池等の二次電池からなる。バッテリユニット47は、インバータ装置48に直流電流を供給する。
【0044】
バッテリユニット47は、
図4、
図5および
図6に示すように、旋回フレーム7の後部において、電動モータ12の上方の位置に設置されている。なお、
図4においては、便宜上、バッテリユニット47を二点鎖線で示している。
【0045】
インバータ装置48は、電動モータ12に対して出力する電力を制御することで、電動モータ12の出力を制御する。具体的には、インバータ装置48は、バッテリユニット47から供給される直流電力を交流電力に変換して電動モータ12に供給する。また、インバータ装置48は、給電器46を介して商用電源49から供給される交流電力を所定の電圧として電動モータ12に供給する。
【0046】
具体的には、インバータ装置48は、直流電力から交流電力を生成して電動モータ12に供給するインバータ回路と、このインバータ回路を制御する演算制御部と、給電器46を介して商用電源49から供給された交流電力を直流電力に変換するとともに昇圧してインバータ回路に出力する整流回路とを有する。演算制御部は、例えばマイクロコンピュータにより構成されている。
【0047】
インバータ装置48は、外部給電モードにおいて、給電器46を介して商用電源49から供給された交流電力を整流回路によって直流電力に変換してインバータ回路に出力し、インバータ回路で交流電力を生成して電動モータ12に供給する。一方、インバータ装置48は、バッテリ給電モードにおいて、バッテリユニット47から供給された直流電力の入力をインバータ回路で受け、インバータ回路で交流電力を生成して電動モータ12に供給する。
【0048】
図4に示すように、インバータ装置48は、旋回フレーム7の右側の前部に設けられた作動油タンク30の左右内側(左側)、つまり上部旋回体20Bの旋回中心側に設けられている。インバータ装置48は、略矩形厚板状の外形を有し、作動油タンク30の左側面部30aに沿った状態で、左側面部30aに対して所定の支持部材55により支持された状態で設けられている。
【0049】
また、
図4に示すように、掘削作業機1は、冷却系統として、電動モータ12、インバータ装置48、給電器46等に供給される冷却水を冷却するラジエータ61を備える。ラジエータ61は、各種装置機器を冷却するための熱交換器であり、所定の冷却流路を循環する冷却水を冷却する。ラジエータ61に対しては、電動ファン62が設けられている。ラジエータ61においては、空気が通る連通部が形成されており、電動ファン62からの送風により空気が連通部を通過することで、冷却水が冷却される。
【0050】
図4に示すように、ラジエータ61は、略矩形厚板状の外形を有し、旋回フレーム7の後部の右側に立設されている。ラジエータ61は、平面視において、略円形状をなす旋回フレーム7の外形に沿うように、前後方向に対して、後側を左右内側に位置させる向きに傾斜状に設けられている。電動ファン62は、ラジエータ61の内側の側面部61aにおいて、側面部61aの大部分をカバーするように、ラジエータ61と一体的に設けられている。電動ファン62は、商用電源49またはバッテリユニット47から供給される電力により駆動する。
【0051】
バッテリユニット47およびその支持構造について、
図5から
図13を用いて説明する。
図5から
図10に示すように、バッテリユニット47は、直方体状のバッテリ本体部70を有し、旋回フレーム7の後部において、バッテリ本体部70を電動モータ12の上方に位置させるように設けられている。
【0052】
バッテリユニット47は、バッテリ本体部70の前後左右の面を、上部旋回体20Bの前後左右に向けるように設けられている。バッテリ本体部70は、いずれも平坦な面部である上面部71、下面部72、前面部73、後面部74、左側面部75、および右側面部76を有する。バッテリユニット47は、上部旋回体20Bにおいて、バッテリ本体部70の前面部73および後面部74が左右方向に沿う鉛直状の面部となるように、かつ、バッテリ本体部70の左側面部75および右側面部76が前後方向に沿う鉛直状の面部となるように設置されている。
【0053】
バッテリユニット47は、旋回フレーム7を構成するベースプレート部80上に、所定の支持部材を介して支持されている。ベースプレート部80は、旋回フレーム7の底面部を形成する部分であり、水平状に配された板状のフレーム部材等によって構成されている。ベースプレート部80は、平坦な上面80aを有する。ベースプレート部80上には、旋回フレーム7の前側の左右中央部に設けられた支持ブラケット18の後側から略前後方向に沿うように配された左右一対の縦板88が設けられている。縦板88は、ベースプレート部80に固設され、旋回フレーム7の一部を構成している。
【0054】
右側の縦板88は、後側について、旋回フレーム7の後端部まで延設されており、電動モータ12とラジエータ61の設置位置を区画している。左側の縦板88は、後側について、電動モータ12の前側の近傍まで延設されており、左側の縦板88の左側に、コントロールバルブ42が配置されている。左右の縦板88は、前側の部分を前下カバー部34から前方に延出させ、支持ブラケット18の左右の側面部を形成している。
【0055】
バッテリユニット47は、バッテリユニット47が設置される上部旋回体20Bに対して防振支持されている。バッテリユニット47は、旋回フレーム7のベースプレート部80に対して、バッテリユニット47の下側を防振支持する下側防振支持部81と、バッテリユニット47の上側を防振支持する上側防振支持部82とにより支持されている。下側防振支持部81は、バッテリ本体部70の下面部72に対して設けられており、上側防振支持部82は、バッテリ本体部70の上面部71に対して設けられている。下側防振支持部81は、バッテリユニット47の前側に設けられ、上側防振支持部82は、バッテリユニット47の後側に設けられている。
【0056】
本実施形態では、下側防振支持部81および上側防振支持部82は、それぞれバッテリ本体部70の左右両端に設けられている。また、下側防振支持部81は、バッテリユニット47の前端部に設けられ、上側防振支持部82は、バッテリユニット47の後端部に設けられている。
【0057】
したがって、下側防振支持部81として、バッテリ本体部70の前下側の左側および右側それぞれの頂部の下側に位置する左下側防振支持部81Lおよび右下側防振支持部81Rが設けられている。また、上側防振支持部82として、バッテリ本体部70の後上側の左側および右側それぞれの頂部の上側に位置する左上側防振支持部82Lおよび右上側防振支持部82Rが設けられている。
【0058】
このように、バッテリユニット47は、左下側防振支持部81L、右下側防振支持部81R、左上側防振支持部82Lおよび右上側防振支持部82Rの4箇所で、旋回フレーム7のベースプレート部80に対して防振支持(弾性支持)されている。左右の下側防振支持部81同士、および左右の上側防振支持部82同士は、それぞれ左右対称または左右略対称に構成されている。
【0059】
バッテリユニット47は、4箇所の防振支持部により、ベースプレート部80に対してバッテリ本体部70を所定の高さに位置させた状態で支持されている。具体的には、ベースプレート部80の上面80aとバッテリ本体部70の下面部72との間の間隔D1は、バッテリ本体部70の上下方向の寸法D2と略同じ寸法となっている(
図10参照)。
【0060】
下側防振支持部81について説明する。下側防振支持部81は、ベースプレート部80に対して、上面80a上に設けられた支持脚部85上に設けられている。つまり、バッテリ本体部70の前側は、ベースプレート部80の上面80aに対して、上面80a上に設けられた支持脚部85を介して下側防振支持部81により支持されている。
【0061】
支持脚部85は、互いに対向した左右一対の側壁部85aと、左右の側壁部85aの上端部間に設けられた支持面部85bとを有し、これらの面部によって門状に構成されている。側壁部85aは、上面80aに対して垂直状に設けられた板状の部分であり、支持面部85bは、ベースプレート部80と平行状に設けられた板状の部分である。支持面部85bは、左右内側の側壁部85aとともに、直角状に屈曲形成された一体の略「L」字状の板状部材により形成されている。
【0062】
支持脚部85は、支持面部85bの水平状の上面85cを、下側防振支持部81の支持面としている。支持脚部85は、左右の側壁部85aの下端を、ベースプレート部80の上面80aに対して溶接等によって固定させることで、ベースプレート部80側に固設されている。なお、左右の支持脚部85のうち、左側の支持脚部85においては、左右の側壁部85aの上部間に、支持面部85bと平行状の板状部材85dが架設されている。
【0063】
図11に示すように、下側防振支持部81は、旋回フレーム7側に設けられた第1取付部である下側ボス部91と、バッテリユニット47側に設けられた第2取付部である下側ブラケット部92と、下側ボス部91と下側ブラケット部92とを相対回動可能に連結する連結軸部93と、連結軸部93を介して下側ボス部91と下側ブラケット部92との間に介在する弾性部材94とを有する。
【0064】
下側ボス部91は、旋回フレーム7を構成するベースプレート部80の上面80a上に設けられた支持脚部85上に設けられている。つまり、下側ボス部91は、ベースプレート部80に対して支持脚部85を介して設けられることで、旋回フレーム7側に設けられている。下側ボス部91は、支持脚部85の上面85cに固設されており、上面85cから上方への突出部分として設けられている。
【0065】
下側ボス部91は、
図11に示すように、平坦面である左右の側面91aを有するとともに、上部について側面視で上側を凸側とした円弧形状に沿わせた形状を有する。下側ボス部91は、弾性部材94を介して連結軸部93を支持するための支持孔部91bを有する。支持孔部91bは、円筒状の内周面により形成された、下側ボス部91を左右に貫通する開口部であり、下側ボス部91の側面視での上部の円弧形状に沿うように形成されている。
【0066】
下側ブラケット部92は、バッテリ本体部70の下面部72から下方に突出するように設けられた部分であり、互いに対向した左右一対の側面部92aと、左右の側面部92aの上端部間に設けられた固定面部92bとを有する。側面部92aは、左右方向を厚さ方向とした板状の部分であり、固定面部92bは、上下方向を厚さ方向とした板状の部分である。このように、下側ブラケット部92は、左右の側面部92aおよび固定面部92bにより正面視で略逆「U」字状をなす屈曲板状の部分である。
【0067】
下側ブラケット部92は、固定面部92bをバッテリ本体部70の下面部72に沿わせた状態で、固定部材である固定ボルト95によりバッテリ本体部70に締結固定されている。固定ボルト95は、固定面部92bを下側から貫通し、バッテリ本体部70側において下面部72に臨んで開口するように設けられた雌ネジ部分に螺挿されている。固定面部92bには、固定ボルト95を貫通させるための孔部92cが形成されている。
【0068】
下側ブラケット部92は、左右の側面部92a間に、下側ボス部91を位置させている。言い換えると、下側ブラケット部92は、左右の側面部92aの内側面92dを、下側ボス部91の左右の側面91aに対向させている。側面部92aは、下側ボス部91との間に隙間を隔てている。
【0069】
下側ブラケット部92は、左右の側面部92aの下端を、下側ボス部91の支持孔部91bよりも下側に位置させている。つまり、下側ブラケット部92は、その下側の部分により、下側ボス部91における支持孔部91aの形成部位を左右外側から覆っている。このように、下側ブラケット部92は、左右の側面部92aおよび固定面部92bにより、下側ボス部91の上側の大部分を上側および左右両側から覆っている。
【0070】
連結軸部93は、下側ブラケット部92の左右の側面部92aおよびこれらの間の下側ボス部91の支持孔部91bを貫通したボルト軸96と、ボルト軸96の先端部に螺合したナット97とを含む。ボルト軸96は、軸方向を左右方向として、左右外側から下側ブラケット部92および下側ボス部91を貫通し、先端部を、左右内側の側面部92aから突出させている。左右の側面部92aには、ボルト軸96を貫通させるための孔部92eが形成されている。側面部92aは、孔部92eによりボルト軸96を相対回転可能に貫通させている。
【0071】
ボルト軸96は、先端部にネジ部を有し、このネジ部にナット97が螺合している。ナット97と左右内側の側面部92aとの間には、ボルト軸96を貫通させた平座金98およびバネ座金99が介装されている。
【0072】
弾性部材94は、
図12に示すように、円筒状の外形を有する防振支持用のブッシュである。弾性部材94は、中心軸方向(筒軸方向)を左右方向として下側ボス部91の支持孔部91bに対して圧入等によって嵌め込まれて固定されるとともに、ボルト軸96を貫通させた状態で設けられている。弾性部材94は、互いに同心配置された内管101および外管102と、これらの管の間に設けられた弾性部103とを有する。
【0073】
内管101および外管102は、例えば鉄やステンレス鋼等の金属材料により形成された金属製の管である。内管101および外管102の中心軸方向の長さは互いに略同じであり、内管101は、その両端側を、外管102の端面よりもわずかに外側に突出させている。
【0074】
弾性部103は、天然ゴムやニトリルゴムといったゴム材料等の弾性材料により、内管101と外管102との間を充填するように形成された部分である。すなわち、弾性部103は、内管101の外周側と外管102の内周側との間に介在し、内周側を内管101の外周面の略全体に密着させるとともに、外周側を外管102の内周面の略全体に密着させている。弾性部103は、円筒状のゴム部分として内管101と外管102とを一体化させている。
【0075】
弾性部材94は、内管101の内周面101aにより、ボルト軸96を貫通させる支持孔94aを形成している。支持孔94aは、ボルト軸96の中間部の外径と略同じ外径を有し、ボルト軸96を相対回転可能に挿嵌させている。また、弾性部材94は、外管102により形成された外周面94bを、下側ボス部91の支持孔部91bに対する接触面としている。このように、弾性部材94は、連結軸部93のボルト軸96を介して、下側ボス部91と下側ブラケット部92との間に介在している。
【0076】
以上のような構成を備えた下側防振支持部81は、下側ボス部91に設けられた弾性部材94を貫通したボルト軸96により、下側ボス部91に対して、弾性部材94を介して、下側ブラケット部92を相対回転可能に弾性支持している。下側防振支持部81は、下側ブラケット部92およびボルト軸96を介して弾性部材94にバッテリ本体部70からの荷重を受けることで、下側ボス部91に対して、弾性部材94の弾性部103の径方向の圧縮をともなう弾性作用を得る。
【0077】
上側防振支持部82について説明する。上側防振支持部82は、ベースプレート部80に対して、略門状に構成された門型フレーム部110に対して設けられている。門型フレーム部110は、ベースプレート部80上に立設された左右一対のステー部111と、左右のステー部111の間に架設された横架フレーム部112とを含んで構成されている。
【0078】
ステー部111は、上下方向に沿う直線状の支柱部分である。左右のステー部111は、互いの間にバッテリ本体部70を位置させるように、左右方向についてバッテリ本体部70の左右方向の寸法よりも長い間隔をあけた位置に設けられている。左右のステー部111間に、バッテリ本体部70の後部が位置している(
図10参照)。左右のステー部111について、左側のステー部111Lは、バッテリ本体部70の左側面部75の左側に近接した位置に設けられており、右側のステー部111Rは、バッテリ本体部70の右側面部76の右側に近接した位置に設けられている。
【0079】
左右のステー部111は、上側の部分を、バッテリ本体部70の上面部71よりも上方に延出させており、下側の部分を、バッテリ本体部70の下面部72よりも下方に延出させている。つまり、バッテリ本体部70は、上下方向について、ステー部111の中間部に位置している。
【0080】
左側のステー部111Lは、ベースプレート部80に対して、上面80a上に立設された2本の支持柱113を介して支持されている。一方の支持柱113は、ステー部111Lに対して左前側に位置しており、他方の支持柱113は、ステー部111Lに対して右後側に位置している。支持柱113は、ステー部111Lの下端部に設けられた板状のフランジ部114を上側から貫通して支持柱113に螺挿されるボルト115によってステー部111Lに固定されている。支持柱113は、ベースプレート部80に対して溶接等によって固定されている。
【0081】
右側のステー部111Rは、ベースプレート部80の後縁部に沿うように設けられた支持台部116上に固定された状態で設けられている。支持台部116は、上部旋回体20Bにおいて後カバー部32の下側に設けられるカウンタウエイト142(
図1参照)の取付部として用いられる。
【0082】
支持台部116は、ベースプレート部80の上面80aに対して段差部をなすように設けられた中空状の突出部分であり、平坦な上面116aを有する。支持台部116の右側の端部上に、ステー部111Rが立設されている。ステー部111Rは、下端部に板状のフランジ部117を有し、フランジ部117を支持台部116の上面116aの右側の端部に重ねた状態で、フランジ部117を上側から貫通して支持台部116に螺挿されるボルト118によって固定されている。
【0083】
左右のステー部111の上端部間に、横架フレーム部112が架設されている。横架フレーム部112は、左右方向を長手方向とする長手状の板状の部材により形成されており、上下方向を板厚方向としている。横架フレーム部112は、いずれも水平状の平坦な面である上面112aおよび下面112bを有する。
【0084】
左右のステー部111の上端部には、それぞれ横架フレーム部112を支持するための所定の形状を有するプレート支持部111aが形成されている。横架フレーム部112は、左右の両端部を、ステー部111のプレート支持部111aに対して溶接等によって固定させることで、各ステー部111に固定されている。これにより、横架フレーム部112は、左右のステー部111の上側に水平状に支持された状態で設けられ、左右のステー部111とともに門型フレーム部110を構成している。
【0085】
このように、上側防振支持部82の支持構成に関し、旋回フレーム7は、ベースプレート部80と、ベースプレート部80に立設された一対のステー部111と、一対のステー部111の間に懸架された横架フレーム部112とを含む。そして、上側防振支持部82は、横架フレーム部112に対して設けられている。
【0086】
上側防振支持部82は、横架フレーム部112に対して、横架フレーム部112の下面112bに設けられた支持突部120に設けられている。つまり、バッテリ本体部70の後側は、ベースプレート部80の上面80aに対して、上面80a上に設けられた門型フレーム部110および支持突部120を介して上側防振支持部82により支持されている。
【0087】
支持突部120は、互いに対向した左右一対の側壁部120aと、左右の側壁部120aの下端部間に設けられた支持面部120bとを有し、これらの面部によって略「U」字状に構成されている。側壁部120aは、横架フレーム部112の下面112bに対して垂直状に設けられた板状の部分であり、支持面部112bは、ベースプレート部80と平行状に設けられた板状の部分である。側壁部120aおよび支持面部120bは、直角状に屈曲形成された一体の略「U」字状の板状部材により形成されている。
【0088】
支持突部120は、支持面部120bの水平状の下面120cを、上側防振支持部82の支持面としている。支持突部120は、左右の側壁部120aの上端を、横架フレーム部112の下面112bに対して溶接等によって固定させることで、横架フレーム部112側に固設されている。なお、左右の支持突部120のうち、右側の支持突部120は、外側の側壁部120aの上端を、ステー部111Rの上端部においてプレート支持部111aとして屈曲形成され横架フレーム部112に沿う板状の部分に対して溶接等によって固定させている。
【0089】
上側防振支持部82は、下側防振支持部81と上下対称的に構成されており、下側防振支持部81と同様の構成を有する。すなわち、
図13に示すように、上側防振支持部82は、旋回フレーム7側に設けられた第1取付部である上側ボス部131と、バッテリユニット47側に設けられた第2取付部である上側ブラケット部132と、上側ボス部131と上側ブラケット部132とを相対回動可能に連結する連結軸部133と、連結軸部133を介して上側ボス部131と上側ブラケット部132との間に介在する弾性部材94とを有する。
【0090】
上側ボス部131は、旋回フレーム7を構成するベースプレート部80の上面80a上に立設された門型フレーム部110に固設された支持突部120に設けられている。つまり、上側ボス部131は、ベースプレート部80に対して門型フレーム部110および支持突部120を介して設けられることで、旋回フレーム7側に設けられている。上側ボス部131は、支持突部120の下面120cに固設されており、下面120cから下方への突出部分として設けられている。
【0091】
上側ボス部131は、
図13に示すように、平坦面である左右の側面131aを有するとともに、下部について側面視で下側を凸側とした円弧形状に沿わせた形状を有する。上側ボス部131は、弾性部材134を介して連結軸部133を支持するための支持孔部131bを有する。支持孔部131bは、円筒状の内周面により形成された、上側ボス部131を左右に貫通する開口部であり、上側ボス部131の側面視での上部の円弧形状に沿うように形成されている。
【0092】
上側ブラケット部132は、バッテリ本体部70の上面部71から上方に突出するように設けられた部分であり、左右方向に対向した左右一対の側面部132aと、左右の側面部132aの下端部間に設けられた固定面部132bとを有する。側面部132aは、左右方向を厚さ方向とした板状の部分であり、固定面部132bは、上下方向を厚さ方向とした板状の部分である。このように、上側ブラケット部132は、左右の側面部132aおよび固定面部132bにより正面視で略「U」字状をなす屈曲板状の部分である。
【0093】
上側ブラケット部132は、固定面部132bをバッテリ本体部70の上面部71に沿わせた状態で、固定部材である固定ボルト135によりバッテリ本体部70に締結固定されている。固定ボルト135は、固定面部132bを上側から貫通し、バッテリ本体部70側において上面部71に臨んで開口するように設けられた雌ネジ部分に螺挿されている。固定面部132bには、固定ボルト135を貫通させるための孔部132cが形成されている。
【0094】
上側ブラケット部132は、左右の側面部132a間に、上側ボス部131を位置させている。言い換えると、上側ブラケット部132は、左右の側面部132aの内側面132dを、上側ボス部131の左右の側面131aに対向させている。側面部132aは、上側ボス部131との間に隙間を隔てている。
【0095】
上側ブラケット部132は、左右の側面部132aの上端を、上側ボス部131の支持孔部131bよりも上側に位置させている。つまり、上側ブラケット部132は、その上側の部分により、上側ボス部131における支持孔部131aの形成部位を左右外側から覆っている。このように、上側ブラケット部132は、左右の側面部132aおよび固定面部132bにより、上側ボス部131の上側の大部分を下側および左右両側から覆っている。
【0096】
連結軸部133は、上側ブラケット部132の左右の側面部132aおよびこれらの間の上側ボス部131の支持孔部131bを貫通したボルト軸136と、ボルト軸136の先端部に螺合したナット137とを含む。ボルト軸136は、軸方向を左右方向として、左右内側から上側ブラケット部132および上側ボス部131を貫通し、先端部を、左右外側の側面部132aから突出させている。左右の側面部132aには、ボルト軸136を貫通させるための孔部132eが形成されている。側面部132aは、孔部132eによりボルト軸136を相対回転可能に貫通させている。
【0097】
ボルト軸136は、先端部にネジ部を有し、このネジ部にナット137が螺合している。ナット137と左右内側の側面部132aとの間には、ボルト軸136を貫通させた平座金138およびバネ座金139が介装されている。
【0098】
上側防振支持部82において、弾性部材94は、中心軸方向(筒軸方向)を左右方向として上側ボス部131の支持孔部131bに対して圧入等によって嵌め込まれて固定されるとともに、ボルト軸136を貫通させた状態で設けられている。
【0099】
弾性部材94において、支持孔94aは、ボルト軸136の中間部の外径と略同じ外径を有し、ボルト軸136を相対回転可能に挿嵌させている。また、弾性部材94は、外周面94bを、上側ボス部131の支持孔部131bに対する接触面としている。このように、弾性部材94は、連結軸部133のボルト軸136を介して、上側ボス部131と上側ブラケット部132との間に介在している。
【0100】
以上のような構成を備えた上側防振支持部82は、上側ボス部131に設けられた弾性部材94を貫通したボルト軸136により、上側ボス部131に対して、弾性部材94を介して、上側ブラケット部132を相対回転可能に弾性支持している。上側防振支持部82は、上側ブラケット部132およびボルト軸136を介して弾性部材94にバッテリ本体部70からの荷重を受けることで、上側ボス部131に対して、連結軸部93の弾性部103の径方向の圧縮をともなう弾性作用を得る。
【0101】
以上のようにバッテリ本体部70の後部に対して設けられた左右の上側防振支持部82を支持する門型フレーム部110は、ベースプレート部80の後部に設けられている。つまり、門型フレーム部110を構成する一対のステー部111は、ベースプレート部80の後部に立設されている。
【0102】
本実施形態では、左側のステー部111Lは、ベースプレート部80の後縁部に沿うように設けられた支持台部116の左端部の近傍の位置に設けられている。また、右側のステー部111Rは、支持台部116の右端部上に設けられている。
【0103】
そして、左右の下側防振支持部81および左右の上側防振支持部82により支持されたバッテリユニット47、およびその下方に設置された電動モータ12は、運転席15の下方に配置されている。すなわち、
図6に示すように、掘削作業機1は、上部旋回体20Bに、運転席15を設置した運転部10を備え、電動モータ12およびバッテリユニット47は、運転席15の下方に配置されている。
【0104】
図6に示すように、運転席15の下方において、バッテリユニット47は、バッテリ本体部70の略全体を、運転席支持台14内に位置させている。運転席支持台14は、上部旋回体20Bの外装カバー部等とともに装置機器の収容空間を形成しており、その収容空間をなす面部として、運転席15を支持する水平状の上面部14aと、床部8の後縁部から垂直状に立ち上がった前面部14bとを有する。
【0105】
そして、バッテリユニット47は、運転席支持台14の上面部14aの直下に、バッテリ本体部70の上面部71を位置させるとともに、運転席支持台14の前面部14bの直後方に、バッテリ本体部70の前面部73を位置させるように設けられている。また、バッテリユニット47は、バッテリ本体部70の下面部72を、床部8と略同じ高さに位置させている。バッテリユニット47および門型フレーム部110の後側は、後カバー部32により覆われている。
【0106】
電動モータ12の配置および支持構成について説明する。
図10に示すように、バッテリユニット47は、ベースプレート部80上において、バッテリ本体部70の下方に、バッテリ本体部70の上下方向の寸法D2と略同じ寸法の間隔D1を隔てた状態で設けられている。このベースプレート部80上におけるバッテリ本体部70の下側のスペースに、電動モータ12および油圧ポンプ41が横置きで配置されている。
【0107】
このように、電動モータ12は、上部旋回体20Bにおけるバッテリユニット47の下方に配置されている。特に、電動モータ12は、平面視において全体または略全体がバッテリ本体部70により上方から覆われるように設けられている。
【0108】
カップリングを介して互いに連結された電動モータ12および油圧ポンプ41(以下「モータ・ポンプユニット」という。)は、旋回フレーム7に対して、複数の防振支持部140によって防振支持されている。本実施形態では、
図4に示すように、防振支持部140は、モータ・ポンプユニットの前側の左右に2箇所と、モータ・ポンプユニットの後側の左右に2箇所の計4箇所に設けられている。
【0109】
具体的には、4箇所の防振支持部140のうち、前側の左に位置する防振支持部140Aは、カップリングを収容したカップリングケース141から前側に延出した支持ステーを介して、モータ・ポンプユニットを弾性支持している。また、前側の右に位置する防振支持部140Bは、電動モータ12のケーシングから前側に延出した支持ステーを介して、モータ・ポンプユニットを弾性支持している。また、後側の左に位置する防振支持部140Cは、カップリングケース141から後側に延出した支持ステーを介して、モータ・ポンプユニットを弾性支持している。そして、後側の右に位置する防振支持部140Dは、電動モータ12のケーシングから後側に延出した支持ステーを介して、モータ・ポンプユニットを弾性支持している。
【0110】
防振支持部140においては、モータ・ポンプユニットから延出された支持ステーが、旋回フレーム7のベースプレート部80上に設けられた所定の支持部に対して支持されている。防振支持部140は、ゴム材料等の弾性材料により形成された弾性部と、モータ・ポンプユニットから延出された支持ステーを旋回フレーム7側の所定の支持部に固定するための固定部とを含んで構成されている。
【0111】
以上のような構成を備えた本実施形態の掘削作業機1は、次のような構成を備えていると言える。すなわち、掘削作業機1は、上部旋回体20Bの後部に設置された電動モータ12の上方に配置された運転席15を備える。また、掘削作業機1は、電動モータ12と運転席15との間に配置されたバッテリユニット47を備える。バッテリユニット47は、バッテリ本体部70を電動モータ12と運転席15との間に位置させている。
【0112】
また、掘削作業機1は、電動モータ12の後方に立設された一対のステー部111を備え、一対のステー部111間に設けられた横架フレーム部112により、バッテリユニット47を懸架している。つまり、バッテリユニット47の後部は、横架フレーム部112に設けられた左右の上側防振支持部82により、吊り下げられた態様で支持されている。また、掘削作業機1は、電動モータ12の前方に、バッテリユニット47を支持する支持部として、左右の支持脚部85および各支持脚部85に対して設けられた下側防振支持部81を備える。
【0113】
また、本実施形態の掘削作業機1は、下部走行体20Aに対する所定の位置を旋回中心とした上部旋回体20Bの旋回動作において上部旋回体20Bの後端部が左右のクローラ式の走行部5,5の幅内に位置するように構成されている。つまり、掘削作業機1は、上部旋回体20Bをその旋回動作において常に左右の走行部5,5の幅内に納めるように構成されている。
【0114】
具体的には、
図14Aに示すように、平面視で、上部旋回体20Bは、略円周形状に沿う外形を有し、後部において円弧状に沿う外形を有する。平面視で上部旋回体20Bの後部がなす円弧状が沿う円周の中心位置またはその近傍の位置が、下部走行体20Aに対する上部旋回体20Bの旋回中心O1となる。上部旋回体20Bの旋回中心O1は、平面視において左右の走行部5,5の前後方向および幅方向の略中心に位置している。上部旋回体20Bにおいて、旋回中心O1からの距離、つまり旋回中心O1を中心とした円の半径を最大とする部位は、平面視で円弧状に沿う後端部となる。なお、上部旋回体20Bの後端部には、カウンタウエイト142が設けられている(
図1参照)。
【0115】
そして、上部旋回体20Bについて、旋回中心O1を中心とした最大径の円周の直径は、左右の走行部5,5の左右の最大幅W1よりも小さくなっている。これにより、
図14A,
図14Bおよび
図14Cに示すように、掘削作業機1は、平面視において、上部旋回体20Bの旋回動作の範囲内で、上部旋回体20Bの後端を左右の走行部5,5の外側の縁端から外側にはみ出さないように構成されている。言い換えると、掘削作業機1は、上部旋回体20Bの回動動作による向きによらずに、上部旋回体20Bの後端が、下部走行体20Aを構成する左右の走行部5,5の最大幅W1内に位置するように構成されている。
【0116】
図14Aは、下部走行体20Aに対して上部旋回体20Bが正面を向いた状態を示し、
図14Bは、下部走行体20Aに対して上部旋回体20Bが右方を向いた状態を示し、
図14Cは、下部走行体20Aに対して上部旋回体20Bが左方を向いた状態を示している。なお、上部旋回体20Bは、走行部5,5に対して前後中央部に位置するため、下部走行体20Aに対して上部旋回体20Bが後方を向いた状態においても、上部旋回体20Bが正面を向いた状態と同様に、上部旋回体20Bの後端は、左右の走行部5,5の最大幅W1内に位置する。
【0117】
以上のような構成を備えた本実施形態に係る掘削作業機1によれば、電動モータ12に電力を供給するためのバッテリユニット47を備えた構成において、簡単で安価な構成により、バッテリユニット47の振動を効果的に抑制することができる。
【0118】
掘削作業機1は、バッテリユニット47の支持部として、バッテリユニット47の下側を支持する左右の下側防振支持部81と、バッテリユニット47の上側を支持する左右の上側防振支持部82とを備え、下側防振支持部81はバッテリユニット47の前側に設けられ、上側防振支持部82はバッテリユニット47の後側に設けられている。このような構成によれば、例えば、バッテリユニット47を下側で4点支持した構成との対比において、振動の低減作用を向上させることができる。
【0119】
例えば、バッテリユニット47をバッテリ本体部70の下側の四隅で4点支持した構成を想定した場合、このような支持構成においては、バッテリ本体部70の重心が4箇所の支持部よりも上方に位置することになる。このため、掘削作業機1の走行中や作業中に、バッテリユニット47が旋回フレーム7から受ける振動の影響が大きくなり、バッテリユニット47の振動による変位量が多くなる。例えば、上部旋回体20Bが正面を向いた状態で掘削作業機1が急発進や急停車をした場合、バッテリユニット47の振動としては、前後方向の揺れ(
図10、矢印A1参照)が大きくなる。
【0120】
そこで、本実施形態のバッテリユニット47の支持構成によれば、側面視において、下側防振支持部81と上側防振支持部82が直方体状のバッテリ本体部70において対角状に配置されることになる。したがって、
図10に示すように、側面視において、バッテリ本体部70の重心G1が、上下方向および前後方向それぞれについて、下側防振支持部81と上側防振支持部82との間に位置することになる。
【0121】
これにより、旋回フレーム7の振動にともなってバッテリユニット47が変位しようとする力を、弾性部材94の弾性部103に対してより直接的に作用させることができるため、上部旋回体20Bにおいてバッテリユニット47が旋回フレーム7から受ける振動の影響を低減することができる。特に、本実施形態のバッテリユニット47の支持構成によれば、上下方向の振動に加え、バッテリユニット47の前後方向の揺れ(
図10、矢印A1参照)を効果的に吸収することができる。
【0122】
また、本実施形態のバッテリユニット47の支持構成によれば、例えば、バッテリユニット47を下側で4点支持した構成との対比において、防振支持部(81,82)による支持箇所の数を増やすことなく、バッテリユニット47の振動の抑制効果を向上させることができる。これにより、コストの増加や構造の複雑化を招くことなく、バッテリユニット47の振動を効果的に吸収できる構成を安価で簡単な構成として得ることができる。
【0123】
また、バッテリユニット47の振動が抑制されることにより、バッテリユニット47の収容空間を有効に利用することができる。すなわち、バッテリユニット47の振動としての変位量が少なくなることから、バッテリユニット47の収容空間をなす運転席支持台14の上面部14aや前面部14b等に干渉することを避けるためにこれらの面部との間に確保する隙間の大きさを小さくすることができるので、限られた空間を効率的に使用することができる。これにより、上部旋回体20Bの小型化に貢献することができる。
【0124】
また、本実施形態の掘削作業機1においては、バッテリユニット47に対して、左右の下側防振支持部81がバッテリ本体部70の前端部に設けられており、左右の上側防振支持部82がバッテリ本体部70の後端部に設けられている。このような構成によれば、バッテリ本体部70の上面部71において上側防振支持部82の配設部位よりも前側を平坦部とすることができることから、バッテリユニット47の設置スペースを効率的に用いることが可能となる。
【0125】
具体的には、例えば、バッテリ本体部70の上面部71の前側の大部分において平坦な形状が確保されることから、運転席支持台14の上面部14aを可及的にバッテリ本体部70に近付けることが可能となり、運転席支持台14内のスペースを有効に用いることができる。また、本実施形態では、上側防振支持部82を設けるための門型フレーム部110の支持部として、カウンタウエイト142の支持部である支持台部116を利用することができることから、バッテリユニット47の設置スペースの有効利用が可能となる。
【0126】
また、本実施形態の掘削作業機1において、左右の上側防振支持部82は、ベースプレート部80に立設された左右のステー部111の間に、横架フレーム部112によって懸架されている。このような構成によれば、左右の上側防振支持部82が、ステー部111および横架フレーム部112を介してベースプレート部80側に固定されることになるため、バッテリユニット47の上下方向および前後方向の振動を効果的に抑制することができる。
【0127】
また、本実施形態の掘削作業機1において、下側防振支持部81および上側防振支持部82の各防振支持部は、旋回フレーム7側に設けられた取付部(下側ボス部91,上側ボス部131)と、バッテリユニット47側に設けられた取付部(下側ブラケット部92,上側ブラケット部132)とを、弾性部材94を介して連結させた構成を有する。このような構成によれば、簡単な構成により、弾性部材94の弾性作用によってバッテリユニット47の振動を効果的に吸収することができる。
【0128】
特に、弾性部材94は、円筒形状の弾性部103を含んで円筒状に構成されたものであり、その中心軸方向を左右方向として連結軸部93を貫通させた状態で設けられている。このような構成によれば、バッテリユニット47の上下方向および前後方向の振動を効果的に吸収することができる。
【0129】
また、電動モータ12およびバッテリユニット47は、他の装置機器に比して大きい設置スペースを必要とする。このため、例えば、電動モータ12およびバッテリユニット47が横並びの配置等によって平面的に配置された場合、運転席15の下方において必要となるスペースが大きくなる。このことは、上部旋回体20Bの大型化にともなう上部旋回体20Bの旋回半径の増大を招き、掘削作業機1による作業性を損なう原因となる。
【0130】
そこで、本実施形態の掘削作業機1において、電動モータ12は、バッテリユニット47の下方に配置されている。このような構成によれば、比較的大きい設置スペースを必要とする電動モータ12およびバッテリユニット47を上下に配置することができるので、他の装置機器を設置するためのスペースを確保することが容易となる。このため、運転部10の下方のスペースにおいて装置機器を効率的に配置することができ、運転部10の下方のスペースが比較的狭い小型の建設機械に適した構成を得ることができる。
【0131】
特に、本実施形態では、電動モータ12は、油圧ポンプ41を含むモータ・ポンプユニットとしてバッテリユニット47の下方に配置されている。このような構成によれば、運転部10の下方のスペースを効率的に利用することが可能となる。
【0132】
また、本実施形態の掘削作業機1においては、運転席15が、電動モータ12およびバッテリユニット47の上方に配置されており、上側防振支持部82を設けるための一対のステー部111が、ベースプレート部80の後方に立設されている。このような構成によれば、比較的大きい設置スペースを必要とする電動モータ12およびバッテリユニット47を上下に配置することができるので、上部旋回体20Bの後方への張り出しを抑えることが可能となる。これにより、上部旋回体20Bの旋回動作について旋回半径を小さくすることが可能となり、小型の建設機械に適した構成を得ることができる。
【0133】
特に、本実施形態では、ベースプレート部80上において、前部の右側部に設置された作動油タンク30が、後部に設置された電動モータ12の右側方に電動ファン62とともに設けられたラジエータ61に隣接配置されている。このような構成によれば、運転部10の下方のスペースにおいて各種の装置機器を効率的に配置することが可能となる。
【0134】
また、本実施形態の掘削作業機1においては、旋回フレーム7の後方に配置された電動モータ12の上方に運転席15が設置されている。このような構成によれば、比較的大きい設置スペースを必要とする電動モータ12を、スペースが確保しやすい場所に設けることができるので、他の装置機器を設置するスペースが確保しやすくなる。これにより、スペースを効率的に使用することができ、運転部10の下方のスペースが比較的狭い小型の建設機械に適した構成を得ることができる。
【0135】
特に、本実施形態では、バッテリユニット47が、電動モータ12と運転席15との間に配置されている。このような構成によれば、比較的大きい設置スペースを必要とする電動モータ12およびバッテリユニット47を、スペースが確保しやすい場所に設けることができるので、他の装置機器を設置するスペースがさらに確保しやすくなる。これにより、装置機器を効率的に配置することが可能となり、小型の建設機械に適した構成を得ることができる。
【0136】
また、本実施形態の掘削作業機1は、バッテリユニット47の支持構成として、電動モータ12の後方に立設された一対のステー部111の間で上側防振支持部82によりバッテリユニット47を懸架した構成を備える。このような構成によれば、バッテリユニット47の支持装置をコンパクトに構成することが可能となり、運転部10のスペースを圧迫することなく、運転部10の下方のスペースが比較的狭い小型の建設機械に適した構成を得ることができる。
【0137】
特に、本実施形態では、電動モータ12の前方に、左右の下側防振支持部81が設けられている。このような構成によれば、コンパクトかつ簡単な構成により、バッテリユニット47の振動を効果的に抑制することが可能となる。
【0138】
また、本実施形態の掘削作業機1においては、平面視において上部旋回体20Bが左右のクローラ式の走行部5,5の幅内に位置するように構成されている。このような構成によれば、バッテリユニット47等の装置機器の配置構成をコンパクトな構成として、左右の走行部5,5の幅から上部旋回体20Bの後端部がはみ出すことを無くすことまたは小さくすることができるため、掘削作業機1による作業について良好な作業性を得ることができる。
【0139】
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明に係る建設機械は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本開示に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0140】
上述した実施形態では、下側防振支持部81は、バッテリユニット47の前側に設けられ、上側防振支持部82は、バッテリユニット47の後側に設けられているが、下側防振支持部81および上側防振支持部82の前後方向についての配置位置は特に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態と対称的に、バッテリユニット47に対して、左右の下側防振支持部81を後側に、左右の上側防振支持部82を前側にそれぞれ設けた構成であってもよい。また、例えば、左右一方の下側防振支持部81を前側に、他方の下側防振支持部81を後側にそれぞれ設けるとともに、左右一方の上側防振支持部82を後側に、他方の上側防振支持部82を前側にそれぞれ設けた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0141】
1 掘削作業機(建設機械)
2 走行装置
5 走行部
7 旋回フレーム(フレーム)
10 運転部
12 電動モータ
15 運転席
20A 下部走行体
20B 上部旋回体(機体)
41 油圧ポンプ
47 バッテリユニット
70 バッテリ本体部
80 ベースプレート部
81 下側防振支持部
82 上側防振支持部
91 下側ボス部(第1取付部)
92 下側ブラケット部(第2取付部)
93 連結軸部
94 弾性部材
96 ボルト軸
110 門型フレーム部
111 ステー部
112 横架フレーム部
131 上側ボス部(第1取付部)
132 上側ブラケット部(第2取付部)
133 連結軸部
136 ボルト軸