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特許7393329ドラムブレーキの動作量を求める方法、ドラムブレーキ装置、評価装置及び記憶媒体
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  • 特許-ドラムブレーキの動作量を求める方法、ドラムブレーキ装置、評価装置及び記憶媒体 図1
  • 特許-ドラムブレーキの動作量を求める方法、ドラムブレーキ装置、評価装置及び記憶媒体 図2
  • 特許-ドラムブレーキの動作量を求める方法、ドラムブレーキ装置、評価装置及び記憶媒体 図3
  • 特許-ドラムブレーキの動作量を求める方法、ドラムブレーキ装置、評価装置及び記憶媒体 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ドラムブレーキの動作量を求める方法、ドラムブレーキ装置、評価装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   F16D 66/00 20060101AFI20231129BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20231129BHJP
   F16D 51/22 20060101ALI20231129BHJP
   F16D 51/24 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
F16D66/00 Z
B60T17/22 C
F16D51/22
F16D51/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020513833
(86)(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2018074374
(87)【国際公開番号】W WO2019063279
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-03-06
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】102017217413.7
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイ・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィナー・ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン・イェンス
(72)【発明者】
【氏名】クルーゼ・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】バッハ・ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】フォン・ハイン・ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ベーム・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】マロン・クリストフ
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】中屋 裕一郎
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-61698号公報(JP,A)
【文献】特開2010-274689号公報(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102005021719号明細書(DE,A1)
【文献】特開2002-67914号公報(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 15/00-17/22
F16D 49/00-71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラムブレーキの制動トルクを求める方法であって、評価装置(50)によって行われる以下のステップ:
- センサーを用いてドラムブレーキのリーディングブレーキシュー(20)の第1の支持軸受(25)及びトレーリングブレーキシュー(30)の第2の支持軸受(35)における反力を記録するステップ、及び、
- 第1の支持軸受(25)における反力と第2の支持軸受(35)における反力の差に基づいて制動トルクを計算するステップ、
を有し、前記差には所与の係数(m)が乗算されること、及びドラムブレーキとして、常用ブレーキとしても駐車ブレーキとしても用いられる電気機械式ドラムブレーキが使用されることを特徴とする方法。
【請求項2】
ドラムブレーキ装置(10)であって、以下のもの:
- 少なくとも一つのリーディングブレーキシュー(20)、
リーディングブレーキシュー(20)の少なくとも一つの第1の支持軸受(25)、
- リーディングブレーキシュー(20)により第1の支持軸受(25)内で生成された反力を測定するための、第1の支持軸受(25)にある少なくとも一つの第1の力センサー、
- 少なくとも一つのトレーリングブレーキシュー(30)、
- トレーリングブレーキシュー(30)の少なくとも一つの第2の支持軸受(35)、
- トレーリングブレーキシュー(30)により第2の支持軸受(35)内で生成された反力を測定するための、第2の支持軸受(35)にある少なくとも一つの第2の力センサー、及び、
- 請求項1に記載の方法を実施するよう構成されている評価装置(50)、
を有するドラムブレーキ装置。
【請求項3】
評価装置(50)であって、請求項1に記載の方法を実施するよう構成されていることを特徴とする評価装置。
【請求項4】
コンピューター読取可能な不揮発性記憶媒体であって、そこに含まれるプログラムコードが実行される際に、プロセッサーにより請求項1に記載の方法が実施されることを特徴とするコンピューター読取可能な不揮発性記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドラムブレーキの動作量(Betriebsgroesse)を求める方法、その方法に付属するドラムブレーキ装置、その方法に付属する評価装置及びその方法に付属する記憶媒体に関する。
【0002】
ドラムブレーキはよく、常用ブレーキとして自動車において用いられる。ドラムブレーキはまた、駐車ブレーキ機能を実現することもできる。公知のドラムブレーキにおいて、ドラムブレーキは、典型的には油圧的にブレーキシリンダーにより操作され、ブレーキシリンダーは、ブレーキペダルにより直接的に操作される。そのため、自動車の運転者はブレーキペダルを押すことによりブレーキ作用を起こすことができる。
【0003】
ドラムブレーキはまた電気機械的に実施することができるため、ドラムブレーキは、油圧式ブレーキシステムから独立して作用することができる。このことは、例えば、ブレーキ機能が車両電子機器(Fahrzeugelektronik)により直接的に引き起こされる場合に有益となり得る。
【0004】
そのようなドラムブレーキの例は特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に記載されている。
【0005】
公知のドラムブレーキにおいて、典型的には、ドラムブレーキが所望のブレーキ作用を達成したかどうか、つまり、所望の制動トルク又は所望の締付力(Spannkraft)が生成されたかどうかについてはコントロールされない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第99/37935号
【文献】欧州特許第988468号明細書
【文献】米国特許第4615419号明細書
【文献】国際公開第2017/021114号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、本発明の課題は、ドラムブレーキの監視を改善できるよう、ドラムブレーキの動作量を求める方法を提供することである。さらに、本発明の課題は、そのような方法を実行できる、付属のドラムブレーキ装置を提供することである。さらに、付属する評価装置及び付属する記憶媒体を提供することも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は本発明によりそれぞれの主請求項に記載の方法、ドラムブレーキ装置、評価装置、コンピューター読取可能な不揮発性記憶媒体により解決される。有利な実施形態は、例えばそれぞれの従属請求項から理解できる。請求項の内容は、明細書の内容を明示的に参照することにより作られる。
【0009】
本発明は、ドラムブレーキの動作量を求める方法に関するものであり、以下のステップを有している:
- ドラムブレーキのブレーキシューの少なくとも一つの軸受力(Lagerkraft)をセンサーを用いて記録する (aufnehmen)ステップ、及び、
- 軸受力に基づいて動作量を計算するステップ。
【0010】
本願の発明者の発見によると、そのような軸受力に基づいて、ドラムブレーキ動作の際に有利に監視される典型的な動作量を計算することができる。
【0011】
ある実施形態によれば、動作量は、ドラムブレーキの回転するドラムにおける制動トルクである。それにより、走行中の車両を減速させる常用ブレーキとしてのドラムブレーキの作用を監視することができる。
【0012】
ある実施形態によれば、軸受力は、ドラムブレーキのリーディングブレーキシューにおいて測定され、制動トルクは望ましくは軸受力に所与の係数を乗算して計算される。これにより制動トルクを推定することができ、それは実地における多くの使用において十分である。
【0013】
ある実施形態によれば、軸受力は、ドラムブレーキのリーディングブレーキシューにおいて測定され、また、別の軸受力がドラムブレーキのトレーリングブレーキシューにおいて測定される。このとき、制動トルクは、望ましくは軸受力及び別の軸受力に基づいて計算される。
【0014】
それにより、軸受力を一つのみ用いた場合と比較して、制動トルクの計算を改善することができ、この計算は、さらに多くの動作状況(Betriebssituationen)において、実際にはたらく制動トルクに最も近くなる。
【0015】
リーディングブレーキシューとは、典型的には、ドラムブレーキの回転するドラムにより軸受(Lager)に押し付けられるブレーキシューと理解される。トレーリングブレーキシューとは、典型的には、ドラムブレーキの回転するドラムにより軸受から押し出されるブレーキシューと理解される。
【0016】
このとき、制動トルクは、好適には、軸受力と別の軸受力との差として計算され、この差に所与の係数が乗算される。これは、典型的な使用において制動トルクのための単純で正確な計算方法(Berechnungsvorschrift)であることが立証されている。
【0017】
ある実施例によれば、動作パラメーター(Betriebsparameter)はドラムブレーキの回転していないドラムの締付力(Spannkraft)である。それにより、ドラムブレーキを駐車ブレーキとして使用する際の締付力を監視することができる。この場合、ドラムブレーキは、止まっている車両を静止状態に保つ。
【0018】
その際、締付力は、とりわけ軸受力に所与の係数を乗算することにより計算することができる。これは、典型的な使用のための単純で正確な計算方法であることが立証されている。
【0019】
締付力を計算するため、及び制動トルクを計算するための本明細書記載の実施例は互いに組み合わせることもでき、それにより例えば、車両が動いている場合もしくはドラムブレーキのドラムが回転している場合、動作量は制動トルクであることができ、また、車両が動いていない場合もしくはドラムブレーキのドラムが回転していない場合は動作パラメーターは締付力である。
【0020】
ドラムブレーキとしてとりわけ電気機械式ドラムブレーキを使用することができる。そのような電気機械式ドラムブレーキにおいては、ここで述べる監視は特に有利となることができ、それは、自動走行や自動ブレーキといったさらなる自動化が可能となるからである。
【0021】
軸受力は、好適にはブレーキシューの支持軸受で測定される。別の軸受力も、好適には別のブレーキシューの別の支持軸受で測定される。それにより、軸受力もしくは別の軸受力をそれぞれの支持軸受で直接的に測定することができ、このとき、ブレーキシューは、支持軸受内においてドラムブレーキの別の部分で支持されることができる。
【0022】
本発明は、さらにドラムブレーキ装置に関する。ドラムブレーキ装置は、少なくとも一つのブレーキシュー、少なくとも一つの支持軸受及び支持軸受においてブレーキシューにより生成された軸受力を測定するために支持軸受にある少なくとも一つの力センサーを有している。さらに、ドラムブレーキ装置は評価装置を有しており、この評価装置は、本発明の方法を実施するよう構成されている。本発明の方法に関しては、本明細書で述べるすべての実施形態及び変形例が参照され得る。
【0023】
ある実施形態によれば、ドラムブレーキ装置は、少なくとも一つの別のブレーキシュー、少なくとも一つの別の支持軸受及び別の支持軸受にある少なくとも一つの別の力センサーを有しており、この別の力センサーは、別の支持軸受内で別のブレーキシューにより生成された別の軸受力を測定するためのものである。このとき、評価装置は、好適には、別の軸受力を用いてここに記載されたように方法を実行するよう構成されている。この方法に関しては、本明細書で述べるすべての実施形態及び変形例が参照され得る。
【0024】
ここで説明するドラムブレーキ装置を用いて本発明の方法を有利に実行することができ、また、ここで説明する利点も達成することができる。
【0025】
本発明は、さらに、本発明の方法を実施するよう構成された評価装置に関する。本発明は、さらに、コンピューター読取可能な不揮発性記憶媒体に関するものであり、そこに含まれるプログラムコードが実行されると、プロセッサーにより本発明の方法が実行される。その際、本発明の方法についてはそれぞれ、本明細書で述べるすべての実施形態及び変形例が参照され得る。
【0026】
例えば締付力又は制動トルクといった、生成された動作パラメーターは、例えばドラムブレーキを調整する(Regelung)ために使用されることができる。
【0027】
さらなる特徴及び利点は、当業者により、以下に添付の図を用いて説明する実施例から理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】電気機械式ドラムブレーキを示す図である。
図2】制動トルクと力の差の間の関係を表す図である。
図3】制動トルクと、支持軸受における力との間の関係を表す図である。
図4】締付力と、支持軸受における力との間の関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には、電気機械式ドラムブレーキを有するドラムブレーキ装置10が図式的に表されており、ここにはドラムは図示されていない。
【0030】
図1に図示されたドラムブレーキ装置10は第1ブレーキシュー20及び第2ブレーキシュー30を有している。ブレーキシュー20、30は、典型的には、ドラムブレーキの図示されていないドラムにより取り囲まれている。第1ブレーキシュー20は、第1支持軸受25内で支持されている。第1支持軸受25には、特に図示しない第1力センサーが含まれている。第2ブレーキシュー30は、第2支持軸受35内に支持されている。第2支持軸受35には、特に図示しない第2力センサーが含まれている。
【0031】
両方のブレーキシュー20、30の間においてドラムブレーキの上側に(an der oberen Seite)拡開ユニット40が配置されている。それは、ここでは電気機械式の拡開ユニット40である。この拡開ユニットにより両方のブレーキシュー20、30が互いに離れるように押されることができるため、これらのブレーキシューは、周りを取り囲むドラムに押し付けられ(anstossen)、するとドラムは、ドラムが回転していれば、ブレーキをかける。ドラムが回転していなければ、これらブレーキシューは保持力をはたらかせることができる。そのため、ドラムブレーキ10は、常用ブレーキとしても駐車ブレーキとしても使用することができる。
【0032】
拡開ユニット40により両方のブレーキシュー20、30がドラム内側面に押し付けられると、これらは反力で支持軸受25、35に支持される。それにより発生した力がそこで測定される。
【0033】
ドラムブレーキ装置10は、本発明のある実施例による評価装置50を有している。評価装置は、本発明のある実施例による方法を実施するよう構成されている。その際、測定された先述の力についてさらなる処理が行われる。
【0034】
以下、測定された力をどのように評価できるかについて図2から図4を用いて説明する。
【0035】
図2には変形例が図示されており、この変形例では、制動トルクが力の差に基づいて計算される。この図より、リーディングブレーキシュー及びトレーリングブレーキシュー20、30の軸受力の差を求めること(Differenzbildung)は適切な基準であることが分かる。例えば(図1の図示において)時計回りに回転しているドラムにおいて、第1ブレーキシュー20をリーディングブレーキシューとし、第2ブレーキシュー30をトレーリングブレーキシューとすることができる。このとき、制動トルクと、リーディングブレーキシューの力Faufとトレーリングブレーキシューの力Fablとの間の力の差との関係は、比例定数mで比例している。動作量としての制動トルクMBrは、以下の式により計算される。
【0036】
【数1】
【0037】
ここで、力の差はΔFAbstuetzlagerで表されている。
【0038】
制動トルク及び軸受力は、例えばブレーキの温度、回転数又は摩擦値といった可変の境界条件に依存する。例えば作動力(Betaetigungskraft)が同じで温度が上昇すると、制動トルク及び支持軸受での力は低下する。しかしながら、その際、制動トルクと力の差との間の比率はほぼ一定である。そのため、制動トルク決定のための基準は、可変の境界条件とは独立しており、さまざまな動作領域(Betriebsbereiche)について高い精度を提供している。
【0039】
図3には、制動トルクを決定するための、別のより単純な可能性が図示されている。これも、ドラムが回転している場合(Betriebsfall)において行われる。しかしながら、この場合はリーディングブレーキシューの支持力Faufのみが使用される。リーディングブレーキシューは、トレーリングブレーキシューと比較してかなり強く作動される。その関係は比例定数mを介して得られる。
【0040】
【数2】
【0041】
この変形例では、力の差を求める場合とは異なり、可変の境界条件に依存する。そのため、一定である比例定数mに対して偏差ΔMBrが生じる。そのため、この関係は、変形例1と比較してさまざまな動作領域に関して精度はより低いものの、その分計算はより簡単である。図3には予想される偏差が図式的に表されており、比例定数mを用いて計算される出発状態の特性曲線、及び、変更された動作領域についての特性曲線の形で表されている。
【0042】
図4にはドラムがトルクなし(momentenfreien)で静止している場合の締付力を求めるための実施形態が図示されている。これは例えば平地に駐車している場合である。このとき、支持軸受における力FAbstuetzlagerと締付力FSpとの間には比例関係がある。この場合(Betriebsfall)においては、両方のブレーキシュー20、30の支持軸受25、35における力は同一である。締付力MSpと支持軸受25、35における力との間の関係は比例定数mを介して記述される。
【0043】
【数3】
【0044】
この関係は図4に示されている。
【0045】
本発明のやり方を用いて制動トルクに基づく常用ブレーキのための調整コンセプトを実現可能である。制動トルク差が原因のプル(Schiefziehen)を回避することができる。駐車ブレーキについても、締付力に基づく調整コンセプトを実現可能である。
【0046】
本明細書に記述されたやり方は、例えば支持軸受での力の測定を介してとりわけシンプレックスブレーキ(Simplexbremse)のために使用することができる。
【0047】
本発明の方法の記述されたステップは、記述された順番で実施することができる。しかしながら、これらのステップを別の順番で実施することも可能である。本発明の方法は、例えばステップのある特定の取り合わせ(Zusammenstellung)を持つ実施例においてそれ以外のステップを実施しないように実施することもできる。しかしながら、基本的には、記述されていないステップも含めてさらなるステップを実施することも可能である。
【0048】
本願の請求項はさらに進んだ権利保護を達成することを放棄していない。
【0049】
手続きの途中で(im Laufe des Verfahrens)、ある一つの特徴又はある一つの特徴グループが必ずしも必要でないことがわかった場合、現在でも出願人側において、その特徴又はその特徴グループを含まない、少なくとも一つの独立請求項の記述が行われる。そのような例としては例えば、出願日に存在した請求項のサブコンビネーション(Unterkombination)、又は、出願日に存在した請求項のサブコンビネーションをさらなる特徴により限定したものが挙げられる。そのような新しく記述すべき請求項、又は特徴の組み合わせは、本願により一緒にカバーされると理解される。
【0050】
さらに、さまざまな実施形態又は実施例で記述された、及び/又は、図に表された、本発明の実施形態、特徴、及び変形例は、互いに任意に組み合わせ可能である。個々の特徴又は複数の特徴は、互いに任意に交換可能である。そこから生まれた特徴の組み合わせは、本願の開示により一緒にカバーされると理解される。
【0051】
従属請求項における引用は、引用された従属請求項の特徴のための独立した、具体的な(gegenstaendlich)な権利保護を得ることを放棄するものとは理解されない。これらの特徴も他の特徴と任意に組み合わせることができる。
【0052】
明細書のみに開示された特徴、又は、明細書又は請求項の一つにおいて他の特徴と一緒にのみ開示された特徴は、基本的に、独自の、発明にとって本質的な意味を持つ可能性がある。そのため、これらも、従来技術と区別する(Abgrenzung)ために請求項に取り込むことができる。
なお、本発明は、以下の態様を包含し得る:
1.ドラムブレーキの動作量を求める方法であって、以下のステップ:
- センサーを用いてドラムブレーキのブレーキシュー(20、30)の少なくとも一つの軸受力を記録するステップ、及び、
- 軸受力に基づいて動作量を計算するステップ、
を有する方法。
2.上記1.に記載の方法であって、
- 動作量が、ドラムブレーキの回転しているドラムの制動トルク(M Br )であることを特徴とする方法。
3.上記2.に記載の方法であって、
- 軸受力(F auf )は、ドラムブレーキのリーディングブレーキシュー(20)で測定され、及び、
- 制動トルク(M Br )は、軸受力(F auf )に所与の係数(m )を乗算して計算されることを特徴とする方法。
4.上記2.に記載の方法であって、
- 軸受力(F auf )は、ドラムブレーキのリーディングブレーキシュー(20)で測定され、
- 別の軸受力(F abl )が、ドラムブレーキのトレーリングブレーキシュー(30)で測定され、及び、
- 制動トルク(M Br )は軸受力(F auf )及び別の軸受力(F abl )に基づいて計算されることを特徴とする方法。
5.上記4.に記載の方法であって、
- 制動トルク(M Br )は、軸受力(F auf )と別の軸受力(F abl )との差として計算され、その際、この差には所与の係数(m )が乗算されることを特徴とする方法。
6.上記1.に記載の方法であって、
- 動作パラメーターが、ドラムブレーキの回転していないドラムの締付力(F Sp )であることを特徴とする方法。
7.上記6.に記載の方法であって、
- 締付力(F Sp )は軸受力(F auf )に所与の係数(m )を乗算して計算されることを特徴とする方法。
8.上記1.から7.のいずれか一つに記載の方法であって、
- ドラムブレーキとして電気機械式ドラムブレーキが使用されることを特徴とする方法。
9.上記1.から8.のいずれか一つに記載の方法であって、
- 軸受力(F auf )がブレーキシュー(20)の支持軸受(25)で測定され、
及び/又は、
- 別の軸受力(F abl )が別のブレーキシュー(30)の別の支持軸受(35)で測定されることを特徴とする方法。
10.ドラムブレーキ装置(10)であって、以下のもの:
- 少なくとも一つのブレーキシュー(20)、
- 少なくとも一つの支持軸受(25)、
- ブレーキシュー(20)により支持軸受(25)内で生成された軸受力を測定するための、支持軸受(25)にある少なくとも一つの力センサー、及び、
- 上記1.から9.のいずれか一つに記載の方法を実施するよう構成されている評価装置(50)、
を有するドラムブレーキ装置。
11.上記10.に記載のドラムブレーキ装置(10)であって、さらに以下のもの:
- 少なくとも一つの別のブレーキシュー(30)、
- 少なくとも一つの別の支持軸受(35)、
- 別のブレーキシュー(30)により別の支持軸受(35)内で生成された別の軸受力を測定するための、別の支持軸受(35)にある少なくとも一つの別の力センサー、
を有し、
- 評価装置(50)は、上記4.又は上記4.に従属するものに記載の方法を実施するよう構成されていることを特徴とするドラムブレーキ装置。
12.評価装置(50)であって、上記1.から9.のいずれか一つに記載の方法を実施するよう構成されていることを特徴とする評価装置。
13.コンピューター読取可能な不揮発性記憶媒体であって、そこに含まれるプログラムコードが実行される際に、プロセッサーにより上記1.から9.のいずれか一つに記載の方法が実施されることを特徴とするコンピューター読取可能な不揮発性記憶媒体。
【符号の説明】
【0053】
10 ドラムブレーキ装置
20 第1ブレーキシュー
25 第1支持軸受
30 第2ブレーキシュー
35 第2支持軸受
40 拡開ユニット
50 評価装置
図1
図2
図3
図4