(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】血圧駆動補助ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 60/35 20210101AFI20231129BHJP
A61M 60/148 20210101ALI20231129BHJP
A61M 60/232 20210101ALI20231129BHJP
A61M 60/405 20210101ALI20231129BHJP
A61M 60/806 20210101ALI20231129BHJP
A61M 60/82 20210101ALI20231129BHJP
A61M 60/824 20210101ALI20231129BHJP
A61M 60/882 20210101ALI20231129BHJP
F04D 13/04 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61M60/35
A61M60/148
A61M60/232
A61M60/405
A61M60/806
A61M60/82
A61M60/824
A61M60/882
F04D13/04
(21)【出願番号】P 2020546433
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(86)【国際出願番号】 US2019020985
(87)【国際公開番号】W WO2019173495
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-03
(32)【優先日】2018-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507277642
【氏名又は名称】インディアナ ユニバーシティー リサーチ アンド テクノロジー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INDIANA UNIVERSITY RESEARCH AND TECHNOLOGY CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【氏名又は名称】谷 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】ロデェフィールド, マーク, ディ.
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-102605(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0103413(US,A1)
【文献】特開2017-035323(JP,A)
【文献】特表2015-508294(JP,A)
【文献】特表2003-525708(JP,A)
【文献】特表2001-509407(JP,A)
【文献】特表2012-505038(JP,A)
【文献】特開2018-196755(JP,A)
【文献】米国特許第5055005(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/232
A61M 60/35
A61M 60/405
A61M 60/804
A61M 60/882
F04D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心力によって
第1の血流を圧送する圧送手段と、
前記第1の血流より高圧力である第2の血流を用いて動力を発生させる油圧式駆動手段と、を備え
、
前記動力により前記圧送手段を駆動し、
前記圧送手段は、軸周りに回転し、内部流路を含む本体部を有し、
前記油圧式駆動手段は、前記本体部の前記内部流路内に配置されている、
血液圧送装置。
【請求項2】
前記圧送手段は、回転軸と、血液が前記回転軸と実質的に平行に流れる入口と、圧送された血液が前記回転軸に対して実質的に垂直に流れる出口と、を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記圧送手段は回転体の本体部としての外形を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記内部流路は、前記圧送手段の
回転軸に沿って延びる、請求項
1に記載の装置。
【請求項5】
前記内部流路は、前記内部流路を取り囲む内表面を有し、
前記油圧式駆動手段は、前記内表面に配置された少なくとも1つの動力変換機構を含む、請求
1に記載の装置。
【請求項6】
前記動力変換機構は、ブレードである、請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前
記ブレードは、前記内部流路内かつ前記本体部の
回転軸に沿って螺旋状の細長い形状を有する、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記動力変換機構は、複数のブレードを備える、請求項
5に記載の装置。
【請求項9】
複数の前記ブレードは、それぞれ、前記内部流路の半径よりも短い径方向の長さを有する、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記動力変換機構は、少なくとも部分的に前記内部流路の入口に向かう凹面を有するバケツである、請求項
5に記載の装置。
【請求項11】
遠心力によって第1の血流を圧送する圧送手段と、
前記第1の血流より高圧力である第2の血流を用いて動力を発生させる油圧式駆動手段と、を備え、
前記動力により前記圧送手段を駆動し、
前記圧送手段は
、外側遠心圧送面を有する本体
部を備え、
前記油圧式駆動手段は
、前記外側遠心圧送面に少なくとも1つの動力変換機構を
備える、
血液圧送装置。
【請求項12】
前記動力変換機構は、ブレードである、請求項
11に記載の装置。
【請求項13】
前記動力変換機構は、前記圧送手段の回転軸と同心の螺旋形状を有する、請求項
11に記載の装置。
【請求項14】
前記本体部の側方に位置する囲い板を備え、
前記本体部は、前記囲い板内かつ
前記油圧式駆動手段上を流れる血液の一部を誘導し、かつ、
前記圧送手段上を流れる血液の残りの部分を誘導する、請求項
11に記載の装置。
【請求項15】
前記囲い板は、前記血液の流れの一部に渦を与える少なくとも1つの羽根を有する、請求項
14に記載の装置。
【請求項16】
前記油圧式駆動手段は、前記圧送手段に動力を機械的に伝達する、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月6日に出願された、「血圧駆動型補助ポンプ」と題する米国仮特許出願62/639,289に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
【0002】
本発明の様々な実施形態は、一般に、血液ポンプを含むポンプの分野に関するものであり、回転式設計の非容積型ポンプを含み、工業的および実験室での使用に適したものに加えて循環補助に用いるために動物に永久的に移植するのに適したものを含む。
【背景技術】
【0003】
心臓の半分を欠損して生まれてくる子供がいる。それは単心室心疾患として知られ、1歳未満で何らかの構造的先天性異常を有する子供における主な死因である。一般的な解剖学的変異が左心低形成症候群である。最近まで、この状態では生存が難しかった。1970年代以降、単心室心疾患の外科療法が進歩したことにより、生存だけでなく、少なくとも成人早期までは生存者の生活の質を適切に保つことができるようになった。現在の治療法には、一連の3段階での心臓切開手順が含まれている。これらの手順を行うことによって生存の希望がもたらされる一方、不安定であり死亡率が高いことが依然として問題である。循環系を段階的に外科で再建する方法は、1971年にこの再建法を最初に提唱したフランシス・フォンタン博士の名前に由来する、単心室フォンタン循環として確立された。
【0004】
単心室フォンタン循環において、単心室(ポンプ室)は血流を全身に流す役割を担う。しかし、正常な2心室循環とは異なり、肺を通る血流は心室の動力源で補助されず、受動的に肺を流れる。したがって、肺を通る血流の輸送力は、全身静脈圧のみに依存する。その結果、全身静脈圧は著しく上昇し、全身性の静脈環流が著しく変化する。このことにより、上昇した全身静脈圧が相対的な肺動脈低血圧と共存するという、ドゥ・ルヴァルがフォンタンパラドックスと説明する血行力学上の問題が新たに生じる。単心室にかかる前負荷が低下し、心拍出量も低下する。したがって、単心室フォンタン循環を受ける患者は、後期フォンタン不全および摩耗のリスクが高い。
【0005】
循環構造のこれらの後期の結果は、現在出てきている公衆衛生上の問題である。フォンタン緩和によって生存できた何千人もの患者が、フォンタン不全を示すと見られる。慢性的に上昇した全身静脈圧の潜行性合併症として、肝臓及び腸機能不全、蛋白喪失性腸症、脚のむくみ、及び腹部並びに胸部の体腔における体液の貯留などが挙げられる。慢性的に低下した前負荷の潜行性合併症としては、後期静脈拡張機能不全及び低全身性組織潅流等が挙げられる。フォンタン不全に対する標的医療治療による選択肢は存在しない。例えば、利尿療法によって組織/臓器浮腫が増加する症状を改善することができても、それはフォンタン循環ホメオスタシスに貢献する血量を循環させることで得られるものである。同様に、強心療法を行うことで心筋収縮性は改善するが、充分に満たされていない心室においては微々たる影響しか与えない。心臓移植は末期での選択肢としては優れていない。移植自体が罹患率を有し、ドナー数も限られている。最終的に、移植候補者又はドナー用臓器を受けられる患者は少ない。
【0006】
永久右側循環補助装置が開発されることで、フォンタンパラドックスに直接対処することができ、後期における生活の質や機能的単心室で生まれた子供の将来を改善できるようになる。いくつかの実施形態のうちの一様態は、単心室フォンタン循環を補助する動力源を含むことである。全体大動脈肺動脈接続の水準で動力源を配置することで、右心室を欠損している循環に右心室と同等のものを配置して単心室フォンタン循環を効率的に可能とする。全身静脈圧を減少させるのと同時に心室前負荷を改善することで、正常の2心室生理機能を効果的に復元することができる。
【0007】
既存の血液ポンプ技術を応用する従来の方法によって、フォンタン循環を駆動する問題は対処されていると考えられていた。これらは、主に血管内に一方向軸流ポンプを適用し、フォンタン流を増加させるものである。大動脈肺動脈補助の概念は、2つの一方向軸流ポンプを同時に使用する方法で2003年に導入された(ローデフェルドら、Ann Thoracic Surg)。しかしながらこれには限界があり、一方向装置は反対の大静脈領域において望ましくない背圧の上昇を引き起こす。他のグループは、低圧全身性静脈循環において動作するように意図された軸流ポンプ設計の変形で追随している。これには、好ましいTCPCフォンタン静脈経路を3方向に変更し、一般的な一方向肢における一方向ポンプにより対応するようにした変更が含まれる。これは論理的には可能であるものの、3方向の血管形状は補助されていないフォンタン循環において、好ましい血行力学的な経路ではない。
以下に、既存システムの問題点をいくつか解消する、モーターで駆動する非容積型循環ポンプの分野における様々な改善点を記載する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一実施形態は、流体源の高圧側から流体が供給されると完全に自律して動作するポンプ組立品に関し、流体は流体源の低圧側へ流れる。ポンプは、油圧式モーターで駆動される遠心ポンプ要素を含む。ポンプ組立品は、流体源と流体連通することによって動作を開始して継続し、好ましくは、外部の介在物を必要しない、または、外部または内部の電気的または機械的な動力を必要としない。遠心ポンプ要素とモーターは好ましくは一体であるが、別体でもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、高圧の流体が同時に(例えば、T型またはY型結合によって)モーターの入口と狭窄部の入口との両方に供給される。狭窄部は、熱をシステムと交換する、または流体に坦持された化学物質をシステムに供給するなどして、圧送された流体を利用するサブシステムを表すことができる。
【0010】
狭窄部または(それぞれ異なる様々な流体経路および任意の方法で配置された装置を含むと理解される)サブシステムから流体が出た後、サブシステムを流れたその流体は遠心ポンプの入口へ供給される。このポンプは、油圧式モーターによって機械的に駆動される。いくつかの実施形態では、ポンプから出る高圧流体を、(前述のシステムとは別のシステムを示す)さらに別の狭窄部に供給する、または流体源に返すことができる。
【0011】
他の実施形態では、油圧式モーターから出る流体は流体源に戻され、この流体源は流体流路全体で一番低い圧力である。さらに他の実施形態では、ポンプから出る流体は油圧式ポンプから出る流体に加えられ、それにより、合流した流れが第2のシステムを示す狭窄部または流体源の入口に供給される。前述の実施形態では、油圧式モーターの圧力低下は後者のシステムよりも大きいことが分かる。
【0012】
いくつかの実施形態では、上述した自律型ポンプとモーターは、高圧流体源と低圧流体用のシンクのみを必要とする。このポンプとモーターは、その後、流体源の流れおよび圧力特徴と、狭窄部の流れの特徴と、ポンプとモーターの形状と特徴とに基づいて、エネルギーを引き込んで動作する。可変形状を含まないそれらの実施形態では、ポンプとモーターは、上に述べた特徴に基づいて動作点に到達する。ポンプの圧力と流れの特徴に加えて、ポンプとモーターの回転速度は、上述した特徴に影響される。例えば、いくつかの実施形態において流体源の圧力を上げることで、前記油圧式モーターの速度が上がる傾向にある。別の例として、狭窄部の流体抵抗の低下(流量数と流速の増加に対応)は、(モーターへの流量の減少、さらには圧送中の流体の量の増加によって)モーター速度の減少につながる。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、遠心ポンプと油圧式モーターとの組み合わせはあらゆる種類の流動システム、特に第1の狭窄部の出口であって第2の狭窄部の入口に入る前の圧力を上げるのに役に立つシステムに有用である。さらに他の実施形態において、上述した本明細書に示す様々なポンプ組立品は、再利用する閉ループ流体システムの流動特性を管理するのに役に立つ。
【0014】
さらに他の実施形態で述べるように、流動システム全体の中間圧力の上昇は、そうでなければ第1の狭窄部に提示されるが、代わりに油圧式モーターを駆動するのに用いられる流体動力のいくつかを用いることによって実現される。好ましくは、流動システム全体は閉鎖流動システムであり、最も高圧の流体源からの流れが様々な構成要素(モーター、ポンプ、狭窄部)に供給され、その後閉ループ法で流体源にフィードバックされる。
【0015】
ここで述べるモーターおよびポンプは、圧力を上昇するのに役に立ち、また(ほとんどの流動システムにおけるように)第1の狭窄部の特徴だけでなくモーターとポンプの特徴に依存する第2の狭窄部への流れを増加させるのにも役に立つ。このような流動システムの例として、住居用および商業用の建物、工業プロセス、生物学的ユニットの循環システム等が挙げられる。本明細書で説明するものは、多くの実施形態において循環系に関連するが、様々な概念および装置はそれよりも一般的なものであることが理解される。
【0016】
本明細書で説明するものは、多くの実施形態において流体源、油圧式モーター、遠心ポンプ、および流れを制限する1つまたは複数の流体サブシステムを有する流体流動システム全体であるが、本発明の他の実施形態では、流体流動システム全体の中の流体システムの狭窄部またはサブシステムを必要としない。さらに、流れ狭窄部を提供する流体サブシステムを備えるこれらの用途において、これらの流体サブシステムは、モーターの後またはポンプの後に設置される単一のサブシステム、または連続または平行して配置された複数のサブシステムであってもよいことが理解される。
【0017】
いくつかの実施形態のさらなる様態において、血流または流体経路の中間に位置する回転式インペラを用いて血液などの流体を圧送する手段を提供する。
いくつかの実施形態のさらなる様態において、電力を必要としない埋め込み型装置を用いて埋め込み型回転式インペラを駆動する埋め込み可能なモーターを提供する。
いくつかの実施形態のさらなる様態において、循環系からの流体動力を受けて、ポンプや発電機等の別の埋め込み式構成要素を駆動する、埋め込み可能なモーターを提供する。
いくつかの実施形態のさらなる様態において、容積型配列を用いることなく、循環する血液の流れから動力を変換する埋め込み可能な油圧式モーターを提供する。
いくつかの実施形態のさらなる様態において、好ましくは別の埋め込み式電子機器を駆動するのに用いられる発電機を駆動する埋め込み可能な油圧式モーターを提供する。
いくつかの実施形態のさらなる様態において、容積型ポンプ構成を用いない、血液等の流体を圧送するための手段を提供する。
いくつかの実施形態のさらなる様態において、血液経路または流体経路を妨げる可能性の無い小型回転式血液ポンプを提供する。
いくつかの実施形態のさらなる様態において、血液または圧送された流体を軸受材料として用いる回転式ポンプを提供する。
いくつかの実施形態のさらなる様態において、回転要素を放射状および軸状に保持する受動磁気軸受を用いる回転式ポンプを提供する。
いくつかの実施形態のさらなる様態において、装置の外部からの衝撃または不均衡動作による接地が起きた場合に構造において流体力学的およびスラスト軸受を提供する。
いくつかの実施形態のさらなる様態において、右/左肺間血流不均衡に対処する機会をもたらしうる永久フォンタンポンプを提供する。
いくつかの実施形態のさらなる様態において、装置を埋め込む際に管狭窄症に対応する機会をもたらしうる永久フォンタン血液ポンプを提供する。
【0018】
この概要に記載の様々な装置および方法は、本願中のいずれに記載されるものと同様に、多数の様々な組み合わせや下位の組み合わせで表現されてもよい。全ての有用な、新規性および進歩性を有する組み合わせおよび下位の組み合わせが本明細書に包含されており、これらの組み合わせの明示的な表現は不要とみなされる。例えば、本願特許請求の範囲にも記載された以下の態様が挙げられる。
(項1)
遠心力によって血液を圧送する圧送手段と、
前記圧送手段を油圧によって駆動し、血液を用いて動力を発生させる油圧式駆動手段と、を備える血液圧送装置。
(項2)
前記圧送手段は、回転軸と、血液が前記回転軸と実質的に平行に流れる入口と、圧送された血液が前記回転軸に対して実質的に垂直に流れる出口と、を備えている、項1に記載の装置。
(項3)
前記圧送手段は回転体の本体部としての外形を有する、項1に記載の装置。
(項4)
前記圧送手段は、軸周りに回転し、内部流路を含む本体部を有し、
前記油圧式駆動手段は、前記本体部の前記内部流路内に配置されている、項1に記載の装置。
(項5)
前記内部流路は、前記圧送手段の前記軸に沿って延びる、項4に記載の装置。
(項6)
前記内部流路は、前記内部流路を取り囲む内表面を有し、
前記油圧式駆動手段は、前記内表面に配置された少なくとも1つの動力変換機構を含む、項4に記載の装置。
(項7)
前記動力変換機構は、ブレードである、項6に記載の装置。
(項8)
前記前記ブレードは、前記内部流路内かつ前記本体部の前記軸に沿って螺旋状の細長い形状を有する、項7に記載の装置。
(項9)
前記動力変換機構は、複数のブレードを備える、項6に記載の装置。
(項10)
複数の前記ブレードは、それぞれ、前記内部流路の半径よりも短い径方向の長さを有する、項9に記載の装置。
(項11)
前記動力変換機構は、少なくとも部分的に前記内部流路の入口に向かう凹面を有するバケツである、項6に記載の装置。
(項12)
前記圧送手段は、入口と、出口と、外側遠心圧送面を有する本体部と、を備え、
前記油圧式駆動手段は、前記入口の側方に位置する前記外側遠心圧送面に少なくとも1つの動力変換機構を含む、項1の装置。
(項13)
前記動力変換機構は、ブレードである、項12に記載の装置。
(項14)
前記動力変換機構は、前記圧送手段の回転軸と同心の螺旋形状を有する、項12に記載の装置。
(項15)
前記入口の側方に位置する囲い板を備え、
前記入口は、前記囲い板内かつ前記流体駆動手段上を流れる血液の一部を誘導し、かつ、前記遠心圧送手段上を流れる血液の残りの部分を誘導する、項12に記載の装置。
(項16)
前記囲い板は、前記血液の流れの一部に渦を与える少なくとも1つの羽根を有する、項15に記載の装置。
(項17)
第1の供給血液の一部から動力を生成するように構成され、第1の高圧で前記第1の供給血液の一部を受け取る入口と、第1の低圧で前記第1の供給血液を出す出口とを含む油圧式モーターと、
前記第1の供給血液の残りの部分の運動エネルギーを増加させるように構成され、かつ、前記油圧式モーターによって駆動される遠心ポンプと、を備え、
前記第1の高圧よりも低い第2の減圧を有する前記第1の供給血液の残りの部分は、前記遠心ポンプの入口で受け取られ、
前記第1の供給血液の残りの部分は、前記第2の減圧よりも高い第2の増圧で前記遠心ポンプの出口から出され、
前記油圧式モーターの前記出口から出た前記第1の供給血液の一部および前記遠心ポンプの前記出口から出た前記第1の供給血液の残りの部分は、組み合わされ、かつ、前記油圧式モーターの前記入口と前記遠心ポンプの前記入口へ戻される、血液圧送装置。
(項18)
前記遠心ポンプは1対の支柱に支持され、軸に対して回転可能に設けられ、
一方の支柱は、前記第1の高圧で第1の供給血液の一部を供給し、
他方の支柱は、前記第1の低圧で前記第1の供給血液の残りの部分を受け取る、項17に記載の装置。
(項19)
前記遠心ポンプは、前記第1の供給血液の残りの部分の運動エネルギーを増加させるように構成された外表面と、内部と、を有する回転体を含み、
前記油圧式モーターは、前記回転体の前記内部に設けられている、項17に記載の装置。
(項20)
前記油圧式モーターは、軸周りに回転し、かつ、断面積を有する回転封入流路と、前記回転封入流路内に位置しかつ前記第1の供給血液の一部のエネルギーを前記ポンプを駆動する運動エネルギーに変換する複数の動力変換機構と、を備え、
前記動力変換機構は、前記回転封入流路の前記断面積よりも小さい流路に沿った総表面積を形成するよう構成されている、項17に記載の装置。
(項21)
第1の狭窄部は生物学的ユニットの全身の循環系であり、
第2の狭窄部は生物学的ユニットの肺循環系である、項17に記載の装置。
(項22)
前記肺循環系を出る前記第1の供給血液の流れの残りの部分と、前記油圧式モーターの前記出口からの前記第1の低圧を有する前記第1の供給血液の一部とは、前記生物学的ユニットの心臓の心房の入口と流体連通している、項21に記載の装置。
(項23)
前記第1の供給血液の残りの部分は、第1の狭窄部を通って流れ、かつ、前記第2の減圧で前記第1の狭窄部を出る、項17に記載の装置。
(項24)
前記第2の増圧を有する前記第1の供給血液の流れの残りの部分は、第2の狭窄部を通って流れ、かつ、第2の狭窄部から出る前記第1の供給血液の流れの残りの部分は、第1の低圧を有する前記第1の供給血液の一部と流体連通する、項23に記載の装置。
(項25)
前記第2の増圧を有する前記第1の供給血液の流れの残りの部分は、第2の狭窄部を通って流れ、かつ、第2の狭窄部から出る前記第1の供給血液の流れの残りの部分は、第1の低圧を有する前記第1の供給血液の一部と流体連通する、項27に記載の装置。
(項26)
第1の供給血液から動力を生成するように構成され、第1の高圧で前記第1の供給血液を受け取るモーター入口と、第1の低圧で前記第1の供給血液を出すモーター出口とを備
える油圧式モーターと、
前記油圧式モーターによって駆動され、ポンプ入口と、ポンプ出口と、回転によって第2の供給血液の運動エネルギーを増加するように構成された外表面と、を有する回転可能な遠心ポンプと、を備え、
前記ポンプ入口は、第2の低圧で前記第2の供給血液を受け取り、
前記第2の供給血液は、第2の高圧で前記ポンプ出口から流れ、
前記第1の低圧で前記モーター出口から流れる前記第1の供給血圧は、前記第2の高圧で前記ポンプ出口から流れる前記第2の供給血液と流体連通し、
前記ポンプ入口における前記第2の供給血液の前記第2の低圧は、前記モーター入口における前記第1の供給血液の前記第1の高圧よりも低い、血液圧送装置。
(項27)
前記遠心ポンプは、軸周りに回転し、かつ、前記軸に対する回転体として形成され粘性的に撹拌する外表面を有し、
前記回転体は、前記ポンプ出口の側方に最大外径を有する、項26に記載の装置。
(項28)
前記遠心ポンプは、前記モーター入口から前記第1の供給血液を受け取る内部通路を含み、
前記油圧式モーターは、前記内部通路内に位置する複数の動力駆動機構を含む、項27に記載の装置。
(項29)
前記第2の高圧は、第2の高全圧であり、
前記外表面は、前記内部通路からの流れを受け取る開口部を少なくとも1つ有し、
前記開口部は、前記最大外形の側方に位置し、
前記開口部とその位置は、前記第1の低圧を前記第2の高全圧の静圧部材にさらすように構成されている、項28に記載の装置。
(項30)
第1の高圧で血液の第1の流れを油圧式モーターの入口に供給することと、
前記第1の血液の流れから前記油圧式モーターによって動力を生成することと、
第2の低圧で第2の血液の流れを遠心ポンプの入口に供給することと、
前記第1の血液の流れによって発生した前記動力で前記遠心ポンプを回転させることと、
前記遠心ポンプの回転によって前記第2の血液の流れのエネルギーを増加させること、を含む、血液の圧送方法
(項31)
前記第1の高圧は、左心室の出口の圧力と同じである、項30に記載の方法。
(項32)
前記増加されたエネルギーを有する血液を肺へ流すことをさらに含む、項30に記載の方法。
(項33)
減圧された前記第1の血液を前記油圧式モーターの出口から肺へ流すことをさらに含む、項30に記載の方法。
(項34)
減圧された前記第1の血液を前記油圧式モーターから左心房へ流すことをさらに含む、項30に記載の方法。
【0019】
本明細書に示す図面のいくつかは寸法を含んでもよい。さらに、本明細書に示す図面のいくつかは、計測された図面または計測可能な写真から作成されたものであってもよい。そのような寸法または図面内の相対的な計測は、例示によるものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1B】
図1Bは、ブロック図で示されたヒトの循環系の別の概略図である。
【
図3B】
図3Bは、フォンタン接合で挿入されたポンプ要素を含むハウジングを備えた
図3Aの循環概略図である。
【
図4A】
図4Aは、
図3Bに示すハウジングおよび粘性推進ポンプを部分的に切り欠いたCAD表面斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、
図3Aの変更した循環系において有用なハウジングおよびポンプ要素の側部立面CAD表面図である。
【
図4C】
図4Cは、
図3Aのフォンタン再建された循環系において有用なポンプの斜視図である。
【
図4D】
図4Dは、
図3Aのフォンタン再建された循環系において有用なポンプの側部立面図である。
【
図4E】
図4Eは、
図3Aのフォンタン再建された循環系において有用な粘性推進ポンプの一面を示す表面に影をつけたCAD斜視図である。
【
図4F】
図4Fは、本発明の他の実施形態に係るY形動脈において有用なポンプを示す側部立面写真である。
【
図4G】
図4Gは、本発明の他の実施形態に係る拡張可能な粘性推進ポンプを部分的に切り欠いた側部立面図である。
【
図4H】
図4Hは、本発明の他の実施形態に係る粘性推進ポンプのCADで生成した概略を示す側部立面図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の一実施形態に係る、フォンタン変更を行いモーター駆動のポンプを含む循環系の概略を示すブロック図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の他の実施形態に係る埋め込み式モーターおよびポンプを用いた、フォンタン変更を行ったヒト循環系の概略図である。
【
図6】
図6は、ハウジングに搭載されて示す
図5Bのモーター駆動ポンプ要素を示す、部分的に切り欠いた側部立面図である。
【
図7】
図7は、
図6の装置の一部を切り欠いて示す拡大図である。
【
図8】
図8は、本発明の他の実施形態に係るモーター駆動ポンプ装置の一部を概略的に示す切り欠き図である。
【
図9】
図9は、本発明の他の実施形態に係るモーター駆動ポンプ装置の一部を概略的に示す切り欠き部である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係る、フォンタン変更を備えモーター駆動ポンプを含む循環系を概略的に示すブロック図である。
【
図12A】
図12Aは、本発明の他の実施形態に係るモーター駆動ポンプ要素の一部を概略的に示す側部立面図である。
【
図12B】
図12Bは、本発明の他の実施形態に係るモーター駆動ポンプ要素の一部を概略的に示す側部立面図である。
【
図13】
図13は、本発明の他の実施形態に係るモーター駆動ポンプ要素を概略的に示す側部立面図である。
【
図14】
図14は、本発明の他の実施形態に係るモーター駆動ポンプ要素の一部を概略的に示す側部立面図である。
【
図15】
図15は、本発明の他の実施形態に係るモーター駆動ポンプ要素の一部を概略的に示す側部立面図である。
【
図16】
図16は、本発明の他の実施形態に係り分岐動脈に有用なモーター駆動ポンプ要素の一部を概略的に示す側部立面切り欠き図である。
【
図17】
図17は、本発明の他の実施形態に係り分岐動脈に有用なモーター駆動ポンプ要素の一部を概略的に示す側部立面切り欠き図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の原則の理解を促すために、図面に示す実施形態を参照し、その説明に具体的な用語を用いる。しかし、このことで本発明の範囲を制限する意図はなく、本発明に関係する分野の当業者であれば通常考えうる図示した装置への変更や変形、さらに図示した本発明の原則の応用も考慮される。本発明の少なくとも1つの実施形態を記載および図示し、その適用により本発明の他の実施例を示すおよび/または説明することができ、さらに、当業者に理解されるような、他の実施形態の合理的で論理的な参照も可能になる。
【0022】
「本発明」と記載する場合は、発明群の実施形態について記載しており、特に断りの無い限り、全ての実施形態に含まれるべき装置、プロセス、または組成を含む単一の実施形態を含むものではないことが理解される。さらに、本発明のいくつかの実施形態によって提供される「利点」に関する記載があるが、他の実施形態がこれらの同じ利点を含まなくてもよく、別の利点を含んでもよいことが理解される。本明細書で述べる如何なる利点も、請求項を限定するものではない。「様々な実施形態」または「好ましくは」等の好ましさを示す表現の使用は、少なくとも一つの実施形態に存在するが、いくつかの実施形態では任意である機能や態様を示す。したがって、「好ましくは」の使用は「選択的」を含意していると理解される。
【0023】
参照符号におけるNから始まる接頭辞の使用(NXX.XX)は、図示し説明する以外は、接頭辞のついていない符号(XX.XX)と同じであることを意味する。例えば、要素1020.1は、要素1020.1の図示し説明する別の機能を除いて、要素20.1と同じである。さらに、関連する要素の共通の要素および共通の機能は、別の図面でも同様に示されてもよく、および/または、別の図面でも同じシンボル体系を用いてもよい。したがって、同じものである1020.1と20.1の共通の機能は、関連技術分野の当業者には明らかであるため説明する必要はない。さらに、1020.1と20.1のいくつかの機能は互換性があってもよく、後で述べる実施形態(NXX.XX)の実施形態が、先に述べた様々な他の実施形態(MXX.XX)と互換性のある機能を含んでもよいことが理解される。この記述の規則は、参照番号につけるプライム(’)、ダブルプライム(”)、トリプルプライム(’”)についても同様である。したがって、同一のものである20.1、20.1’、20.1”、20.1’”の共通の機能は、関連技術分野の当業者には明らかであるため説明する必要はない。
【0024】
様々な具体的な数量(空間寸法、温度、圧力、時間、力、抵抗、電流、電圧、濃度、波長、周波数、伝熱係数、無次元パラメータ等)を本明細書で述べているが、これらの具体的な数量は単に例示として示されているだけであり、特に断りが無ければ、近似値であって、各値の前に「約」がつくと理解されるべきである。さらに、具体的な構成に関する記載は単に例示であり、その構成の別の種の適用を制限するものではなく、その構成と関連していない別の構成の適用も制限しない。
【0025】
1つ以上の製造方法について、さまざまな参照を行ってもよい。これらは例示であり、本発明の様々な実施形態は、鋳造、焼結、スパッタリング、溶接、放電加工、フライス加工などの様々な方法で製造することができると理解される。さらに、他の様々な実施形態は様々な添加剤製造方法のいずれかによって製造され、そのうちのいくつかは3D印刷に関連する。
【0026】
本明細書では、同じ参照符号を説明するのに別の用語を用いてもよく、機能の特定のファミリー(NXX.XX)を記載するために参照符号を参照してもよい。そのような複数の異なる用語は、本明細書のいかなる言語を再定義するものではないことが理解される。そのような単語は、特定の機能が様々な言語学的方法で考慮され得ることを示し、そのような方法は必ずしも相加的または排他的なものではないことが理解される。
【0027】
本発明の様々な実施形態は、流体源から提供されるエネルギーの一部を使用して流動システム内の圧力を上昇させることで流動システム全体の圧力上昇ポンプを順に駆動するモーターを駆動する装置および方法に関連する。様々な実施形態は生物学的ユニットの循環系に関して説明されるが、本明細書の様々な設計が生物における埋め込み式装置だけでなく工業的および実験室の設備におけるポンプ装置にも適用可能であることが理解される。
【0028】
様々な実施形態は、油圧式モーターで駆動される遠心ポンプまたはインペラを含む。いくつかの適用例では、インペラは、回転ブレード、回転平滑面、またはその両方の組み合わせ等のインペラの遠心分離作用によって流体のエネルギーを上昇させる。
【0029】
好ましくは、このインペラは回転体の一部に組み込まれ、別の例では、油圧式モーターとして動作するように構成された同じ回転体の別の部分に組み込まれる。油圧式モーターは、インペラの入口で受けたまたはインペラの出口に与えられた圧力よりも高い圧力からの流体を供給され、かつインペラが動作する流体と同じ種類である。油圧式モーターに同じ流体の高圧源で電源を供給することにより、動力を与える流体をエネルギーが増加しつつある流体から隔離することが不要になる。いくつかの実施形態では、動力流体を推進流体から隔離し続けることが望ましいが、これら2つの流体は同じ化学的性質を持つため、これらを混合しても生物学的ユニットまたは産業的/実験的流動システムに問題はない。しかし、本発明の他の実施形態では、輸送流体を推進流体に導入することが生物学的ユニットまたは流動システムに問題を起こさないのであれば、輸送流体が推進流体と異なるものでもよい。
【0030】
好ましい実施形態では、流体の動力は、左心室からの排出等の循環系において、比較的高い圧力源から供給される。左心室から排出される血液とほぼ同じ圧力の血液は、埋め込み式シャントを経由して油圧式モーターの入口へ供給される。この最高圧の血液が動力をインペラに供給する。この供給された血液が油圧式モーターから出ると、(輸送流血液が第2の埋め込み式シャントを通って左心房の入口等の低圧の供給源に流れる)「閉鎖」システムか、または動力の様式を与える高い圧力の血液が様々な方法でインペラを流れる血液と混合する「開放」システムを経由して、循環系へ戻される。
【0031】
閉鎖流動システムを有するいくつかの実施形態において、油圧式モーターは回転体内にある内部流路内に設けられている。一例として、高圧の血液は、回転体の一方の端部で受け取られ、流れている流体のエネルギーを回転エネルギーへ変換するように構成された1つ以上の動力変換機構を有する中央通路内を流れ、その後回転体から出る。高圧の血液は、シャントを通って入口補助構造の静止支柱へ供給される。
【0032】
油圧式モーターによって作業を行った後、低圧の血液が出口補助構造とそれに対応する静止支柱を経由して流出し、埋め込み式シャントへ入る。内部通路内では様々な種類の動力変換機構が用いられ、これらの動力変換機構は、ペルトン、フランシス、またはカプラン油圧動力設計を変形したものである場合があることが理解される。好ましくは、内部通路は、中央部には動力変換装置が設けられておらず、ローターが回転を止めた場合の圧力損失が比較的低い。
【0033】
開放型の油圧式モーターにおいて、インペラの入口領域は、1つ以上の動力変換機構を含み、ローターに回転エネルギーを与える。これらの機能は、ポンプの外面に設けられ、そのため、身体のインペラ部分が作用する流れをある程度遮断する。好ましくは、これらの入口部分は、動力変換機構がどのように構成され離間しているか等において油圧式モーター動作を向上するように構成されており、さらに、変換機構の頂部の流れを最小限にするための密着用囲い板(そしてそれによって変換機構の側面に対する好ましい流れを生じさせる)、血液の速度を増加するための入口ノズル、渦流を生じさせるための入口羽根等の、対応する静的機能に関する。さらに、様々な開放式構造において、ローターの本体は境界制御または境界補助、伴流制御、伴流充填等によってインペラの動作を向上するように構成されている。
【0034】
また、開放式流動油圧式モーターは、閉鎖式設計と同様に、回転体の内部通路へ流れを供給する。しかしその後、流れは内部通路から出て、推進面を取り囲む血液へ入る。
【0035】
ここに示す様々な実施形態において、インペラはどのような種類であってもよく、本明細書、さらにここで参照する2つのPCT出願のいずれかにおいてそれらの例を図示し説明する。複数のインペラ等のいずれかは、本明細書で説明する油圧式モーターと一体化してもよいことが理解される。
【0036】
大動脈肺動脈補助を実現する生体工学上の検討は、単心室フォンタン循環において独特である。長期フォンタンポンプは、1)正常な右心室の血流と同様の低圧高容量流を送り、2)軸方向に反対の流入方向および直交する関連した2方向の流出方向を含む4方向において流れを増大し、3)好ましくは軸受および封止のない設計で血栓形成を回避し、4)期待される何十年もの耐久性を有し、5)そのような長期的利用に現実的な動力源を利用し、6)ポンプが機能的か否かにかかわらず、フォンタン静脈経路内での流れを妨げない。
【0037】
本発明の一実施形態に係るフォンタン循環を補助するように設計された長期回転式血液ポンプは、全体大動脈肺動脈連結(TCPC)に外科的に埋め込まれる。これが、フォンタン手術時に上下大静脈と左右肺動脈との間に形成される解剖学的な接合部である。この解剖学的な構造は「+」の形をしており、フォンタン患者における受動静脈肺血流における好ましい構成である。この位置に永久的な大動脈肺動脈補助装置を外科的に埋め込むことはフォンタン転換術と技術的に似ており、実施するのが合理的である。この手術は心肺バイパスを含むが、心臓停止はしない。埋め込みが完了すると、ポンプはフォンタン静脈流の圧力を2~5mmHg上昇させる。これにより、上流全身静脈圧が2~5mmHg下落し、肺動脈圧が2~5mmHg上昇して、肺内外の血流の増加、前負荷の増加、そして最終的には心拍出量の増加につながる。この低圧力ポンプ動作は、より安定した2心室生理機能を復元することで変革的な改善を循環状態にもたらす。
【0038】
本開示は、外部または内部動力源を使用するのではなく、ポンプを自己駆動する手段に関連している。粘性ポンプは、右側の循環に存在するよりも高い圧力源である全身の動脈圧を使用して電力を供給することができる。全身の動脈循環における圧力エネルギー予備を用いて、低圧右側循環における流れを増大させるポンプを油圧的に駆動するのに圧力差を用いることができる。これによって、装置を簡素化でき、さらに使いやすくなり、連続的な外付け電源入力が不要となるため、価値がある。
【0039】
好ましくは、様々な実施形態は、以下の態様のうちの1つ以上を有する。1)簡素化された装置、2)故障のリスクの低減と、長期間の耐用性の向上、3)メンテナンスの低減/最小化/不要化(配置した後忘れることができる)、4)活動応答性(運動によって全身の血圧を上昇し、それによって右側の循環補助を高める)、5)圧送は、相動性(拍動性)であり、そのため、拍動源から駆動するためにより生理学的である、6)経皮駆動系または複雑なワイヤレス充電が不要である。
【0040】
ここに示す方法および装置の様々な実施形態は、循環系からのエネルギーによって非容積型ポンプ要素を駆動する様々な種類の油圧式モーターを用いることに関する。いくつかの実施形態では、油圧式モーターは、流れている血液からの衝撃と慣性を用いて回転機械エネルギーを与える回転要素を含み、本発明の他の実施形態は、反応(または圧力)型装置によって前記機械エネルギーを得ることをさらに意図している。これは、全身の循環からの高圧の血流を用いてタービンを回転させることによって実行することができ、圧縮機(つまり粘性ポンプ)を回転し、右側の大動脈肺動脈血流を増大することができる。さらに他の実施形態では、本明細書で示す方法および装置を、単心室循環補助を超えて循環補助の用途に拡張することを意図する。
【0041】
従来の血液ポンプには、装置を継続的に動作させるために継続的な外部動力源を必要とするために厳しい制限があった。これは、皮膚を貫通し感染と駆動系の不具合の源である経皮駆動系を含む。このことは、(シャワーや水泳等ができない)患者に対して大きな社会的負担を強いる。
【0042】
自己駆動型粘性ポンプは、理論的には配置した後「忘れる」ことができる。これは、自己保持であり、保守が不要である(経口抗凝固療法は除く)。そのため、駆動系が不要になり感染リスクが無くなる。したがって、患者のライフスタイルが向上し、一切の制限なしで装置に縛られないという利点がある。
【0043】
本発明は、全身の血圧および「シャント」を用いて、血流の高圧源を提供し粘性ポンプを作動させることを提案している。高圧流入によりタービンが作動し、それによって圧縮機(つまり粘性ポンプ)が作動し、右側循環の低圧が増加する。いくつかの実施形態では、第2のシャントが油圧式モーターから血流の低圧源への流れを発生させるために用いられる。ポンプローターが回転すると、粘性ポンプの動作が外表面に沿って起こり、入口から出口に向かう流れを誘導する。このポンプの外表面をまたぐ流れは、ポンプの出口に近い静圧を減少するが、このポンプから出る流れは全体の圧力を上昇させる。
【0044】
本出願の明細書および図面において、動物の循環系におけるポンプの使用について参照する。さらに、本明細書に記載の装置および方法は、流体経路の任意の類似構成における流体の圧送に関することが理解される。
【0045】
本発明の様々な実施形態は、動物の大動脈肺動脈系への圧力補助を行うように構成されたポンプに関する。いくつかの実施形態では、ポンプは、動物の循環系において永久的に配置できるように構成されているハウジングの中に設けられている。
【0046】
いくつかの実施形態では、ポンプは非容積型であり、遠心分離作用によって圧送される流体のエネルギーを上昇させる。好ましくは、回転要素の表面における粘性動作によって作動流体に遠心助勢が加えられるが、他の実施形態では表面から外側に延びる様々な表面輸送流機能によって遠心助勢が与えられる。いくつかの実施形態では、回転要素は軸対称であり、他の実施形態ではローターが軸対称かつ面に対して対称である。本発明の様々な実施形態は、様々な回転式インペラ等によって血液を圧送することに関して本明細書に組み込まれたPCT/US09/59733やPCT/US2012/067648に説明されるような、遠心血液ポンプ40に用いる装置および方法に関する。
【0047】
いくつかの実施形態では、中央線に対して回転する薄肉のローターを含む。このローターは、出口から血液を遠心的に圧送するように構成された外表面を備え、この出口からの流れは、軸方向に流入する流れを誘導する。好ましくは、この外表面は、ローターの(好ましくは支柱に支持される)両側からローターの中央に向けて単調に増加する外径を有している。いくつかの実施形態では、ローターは回転軸に対して軸対称であり、さらに他の実施形態では、ローターは、軸に概ね垂直な中心面に対して対称である。軸対称と平面対称の組み合わせにより、ローターは軸または回転に沿って純スラスト負荷が全く発生しないか、またはわずかにしか発生しない。
【0048】
ポンプの回転軸は対向する1対の入口を通ることが好ましい。ローターの形状は、入口からの流体の流れを粘性的に誘導し、少なくとも1つの出口に対してより高い全圧でこの流れを遠心的に与えるように構成されている。好ましくは、出口の断面領域の少なくとも一部が対称面と交わる。
【0049】
いくつかの実施形態において、磁気軸受、動圧軸受、またはそれらの組み合わせによって内部ステーターの周りに保持する。軸対称と面対称の両方を有するこれらの実施形態において、ステーターに対してローター純スラストがほとんどまたは全く無く、動圧軸受によって収容可能な純スラストは無視できる程度である。いくつかの実施形態において、磁気軸受は、径方向の補助と、さらには純スラストのいずれにも抵抗力のある磁力との両方を提供するように構成されている。これらの磁気スラスト軸受は、ローターの径方向の補助を提供する第1の対の磁気軸受に加えて第2の対の磁気軸受を含みうる。ステータ―が粘性的および遠心的にエネルギーを流体へ供給する形状を有する(VIPポンプ等)これらの実施形態において、径方向の補助を提供する第1の対の磁気軸受は、ローターの外形が比較的回転軸に平行であるローターの対向する端部の近傍に設けられてもよい。スラスト補助を与える第2の常磁性軸受は、そのようなローターの中心の近傍に設けてもよく、ローターの外径が対称の中心面に比較的平行であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、回転ポンプ要素は、さらに軸対称と面対称との両方で、流体に粘性および中央焦点動作を与えるように構成されている一般的な形状を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、ローターは好適な生体適合性材料からなる薄肉の外板を有する。このローターは、例えば型形成、鍛造、金属薄板の打ち抜き、3D印刷、射出成形等の任意の手段によって形成することができる。さらに他の実施形態において、ローターは2部構造であってもよく、中心面または回転軸に沿って結合分離線を有してもよい。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態に係るポンプは、ローターの内形と実質的に同じ外形を有するステーターを備える。このような実施形態において、回転および静止部材の間の隙間には緩衝流体が流れてもよく、例えば流体がローターによって圧送されてもよい。ローターが薄肉の外板であるこれらの実施形態において、ステーターの外表面はローターの外形と実質的に同じ形を有してもよく、ローターがVIPポンプ特性を有する実施形態において、同様に、ローターとステーターの間の軸受流路がVIPポンプ特性を有してもよい。循環系において血流を圧送するように構成されたこれらのポンプに対して、分離用隙間のサイズと構造は、隙間内での血液の凝固を防ぐように構成されている。
【0052】
本明細書に開示される発明の1つの実施形態は、以下の問題を解決する。ここで開示されたポンプ(40)は、フォンタン静脈流を永久的に増加するように設計されている。これは、発明の名称が「循環系における能動的または受動的補助(ACTIVE OR PASSIVE ASSISTANCE IN THE CIRCULATORY SYSTEM)」(出願日:2009年10月6日)である国際特許出願番号PCT/US09/59733および発明の名称が「肺動脈大動脈粘着性インペラ補助装置及び方法(CAVOPULMONARY VISCOUS IMPELLER ASSIST DEVICE AND METHOD)」である国際特許出願番号PCT/US2012/067648に詳細を記載するvon Karmanの一時的経皮拡張可能粘性インペラポンプを経時的なモデルとしている。
【0053】
いくつかの実施形態におけるこの永久ポンプの概念は、2面遠心ポンプの形の回転円盤構造に基づいている。しかし、本明細書で開示する永久ポンプのいくつかの実施形態においては、インペラは堅くてもよい。拡張(開く)や収縮(閉じる)をする必要はない。ハウジング(22)の中で保持される回転インペラ(40)は、流体を入口23経由で軸方向から引き込んで(上下大静脈)、左右の肺につながる出口(23b)に圧送する。単一ポンプは、フォンタンTCPC流を増加するのに有用な4方向ポンプ動作を効果的に発生させる。基準動作範囲(3~7K RPM、肺高血圧症の場合はより早い回転速度でより高い圧力(40mmHgまで)を生成する能力を有する)において、2~10mmHgの圧力差を起こす初期設計がなされている。さらに、ポンプがフォンタン静脈経路の流れを妨げる恐れはない。回転式ではない場合でも、インペラはTCPCを受動的に通り抜ける流線形化機能として作動し続け、4方向接合点内での油圧エネルギー損失を少なくする。
【0054】
図1Aおよび
図1Bは、ヒトの循環系を概略的に示す図である。本発明の様々な実施形態は、任意の生物学的ユニットの循環系だけでなく、ヒトの循環系のような循環系にも関している。
【0055】
図2A、
図2B、および
図2Cは、それぞれノーウッド、ヘミフォンタン、およびフォンタン手術によって変更されたヒトの循環系の様々な構成を示す。
【0056】
図3Aは
図1Aの概略図であり、
図2Cの外科的変更を示している。
図3Bは、埋め込み可能な撹拌装置40をフォンタン接合に設置した後の
図3Aのシステムを示す。
【0057】
ハウジング22と
図3Bの入れ子インペラ40-1を
図4Aに示す。
図4B、
図4C、
図4D、
図4E、
図4F、
図4G、および
図4Hは、それぞれインペラ40-2、40-3、40-4、40-5、40-6、および40-7の選択可能な構成を示している。これらのインペラ40―Xのそれぞれは、インペラの回転によってインペラを越えて流れる流体へのエネルギーを上昇させる。本明細書で説明する様々なインペラは、インペラの回転方向に流れを押す湾曲性質を有し、回転圧縮機ブレードに似た回転インペラブレードを含んでもよい。別のインペラは、粘性の抵抗によってエネルギーを流れている流体に与える概して滑らかな表面を有する。本明細書で説明された本発明に係るさらに別のインペラは、滑らかで粘性の推進面と推進ブレードとの組み合わせを含む。これらの装置のさらなる説明は、本明細書で参照されるPCT出願に記載され、当業者が理解することができる。
【0058】
図5Aは、フォンタン再構築で変更された循環系を示す概略ブロック図である。
図5Aに示す循環系は、本体部30によって相互接続したインペラ40と油圧式モーター50とを含む埋め込み可能な自己駆動型ポンプ装置20を備えている。
図3Bに関して既に述べたように、インペラ40は、インペラ入口46でフォンタン接合源12aから血液を受け取る。回転インペラ40は、この血流にエネルギーを与え、インペラ出口48でさらに高いエネルギーの流れをフォンタン入力通路12bへ供給する。
【0059】
図5Aは、第1の供給源(左心室)からの血液が、油圧式モーター50の入口に設けられた第1の部分と、血管または静脈の全身の循環系を含み本体部として示される第1のサブシステムまたは狭窄部に設けられた残りの部分とを有する。本体部から流出する残りの部分は、モーター50との機械的インターフェースで回転されるポンプ40の入口に設けられている。この残りの部分はポンプ入口の圧力よりも高い圧力でポンプを出て、その後、循環肺系(肺)の第2のサブシステムまたは狭窄部に供給される。血流の残りの部分が肺を通ると、より低い圧力(
図5Aの領域5を参照)で肺を出て、油圧式モーターの出口から出る左心室からの流れの部分と流体連通する。油圧式モーターの出口からの血液は、肺から出る血液と流体連通する。ここに図示し説明するものは、1つまたは複数の狭窄部またはサブシステムを含む流体システム全体であるが、本発明の他の実施形態は、遠心ポンプを油圧的に駆動する手段と、流体を遠心的に圧送する手段とを備えた流体システム全体を含むことが理解される。
【0060】
好ましい実施形態では、インペラ40は、単一の本体部30に設けられた油圧式モーター50と一体化している。いくつかの実施形態において、本体部30は別々の部品から製造され、さらに他の実施形態では、これらの部品は、接着、超音波溶接、またはろう付け等によって一体化されていることが好ましい。さらに他の実施形態では、単一の本体部30が、3D印刷等の追加の製造方法によって、1つまたは複数の部品から製造される。
【0061】
埋め込み可能な装置20のモーター50は、左心室の出口の供給血液14のエネルギーを回転力に変え、この運動エネルギーを用いて本体部30とインペラ40と回転させる動力変換機構55を有する。流体動力から機械的回転力に変換された後、血液はモーター出口58を出て、左心房に供給される血液16に戻る。左心室からモーターへの血流は、供給シャント27によってモーターに供給され、
図5Bに最も適切に示すように、返りシャント28によって左心房に供給される。
【0062】
図6、
図7、および
図8は装置20のいくつかの実施形態における様々な機能を示す。
図6は、フォンタン接合源12aから血液が入る入口23aを含むハウジング22の切取図である。ハウジング22は、フォンタン接合の受取経路12bと流体連通した1対の出口23bをさらに有する。また、1対の対向する2つの出口と略平行に配置された2つの対向する入口を有する装置20を図示し説明するが、他の実施形態はそれに限定されない。
図16および
図17について説明するように、他の実施形態は、1つの入口と2つの出口を含む(Y形またはT形等)。さらに他の実施形態は、1つの入口と1つの出口を有するハウジングを含む。
【0063】
ハウジング22は、ハウジング22内に本体部30を配置した1対の静止補助構造24をさらに備えている。補助構造24はそれぞれ、本体部30の支持端部38の近傍に配置された回転軸受39との回転インターフェースを規定する静止軸受29を含む。好ましくは、静止軸受29は、ローター30の位置を規定する機能をさらに含む。
図6に概略を示すように、静止軸受29は、カップのくぼみに支持端部38が入るカップ形状を有してもよく、カップの壁部によって本体部に支持端部38がくぼみから外れることを防ぐ。
【0064】
補助構造24は、圧力下で血液をモーター50へ供給する内部流路をさらに有する。供給シャント27は支柱内に配置された流体入口24aと結合している。中空支柱は、
図8で最もよく示すように、通路34まで短い距離を延びている。このように延伸部25aが通路34に重なることにより、通路34から本体部30の外側への漏れを防ぐように構成された外側円環領域が形成される。しかし、いくつかの実施形態では、延伸部25aと通路34の間の円環インターフェースは、高圧の血液が通路34からフォンタン接合内の血液へ漏れるのをさらに防ぐ。
【0065】
図7および
図8は、モーター50の動力変換機構55をさらに示す。上述したように、モーター50は、入口シャント27からの血液が通路34を流れ、返りシャント28を出て循環系の別の部分に流れる閉鎖流路型52である。この閉鎖構成により、輸送流を供給するのに用いられた血液はフォンタン接合内の血液と混ざることが抑制される。再び
図7を参照すると、モーター入口56からモーター出口58に流れる血液は、この血液をローター30に回転エネルギーを与えるために用いる1つまたは複数の動力変換機構を通ることが分かる。モーター50は、高圧の血液が流れる高圧表面を有するように構成された形状の複数の細長いブレード55aを有する。本明細書で説明する輸送機構のいずれにおいても、機構55は、回転エネルギー(衝撃型)を与える流動血液の慣性、回転エネルギー(反応型装置)を与える血液の圧力、またはそれらの組み合わせを利用するように構成されてもよい。本明細書で説明するモーター機構55は、例えば、ペルトン、カプラン、およびフランシス流体タービンと関連した機構を含む回転油圧式モーターと関連した任意の機構を有する。輸送機構の例として、径方向流入タービンまたは径方向流出タービンと関連した任意の機構や流動システムをさらに含む。
【0066】
モーター50の細長いブレード55aは、ブレードの一方の側では高圧面を有し、他方の側では低圧面を有するように構成されていることが好ましい。ブレードの表面積全体にわたって統合されたこの差圧により、力が本体部30へ与えられる。この力の成分は回転軸32bに対して垂直で、純力が回転軸からの距離を置いて作用するので、本体部30にトルクが加えられる。いくつかの実施形態における細長いブレードは、流れ通路34の内径の周りに少なくとも部分的に螺旋状である形を有している。装置120について
図10に示すように、この螺旋形状は径方向において制限されることが好ましく、ブレード55aは、
図10の中央通路134cと同様に大部分が遮断されていない中央通路を開放したままにする。
【0067】
細長いブレード55aのそれぞれに作用する純圧力は、回転軸に平行なベクトル成分を含む。いくつかの実施形態では、この平行なベクトル成分によって、ローター30を軸に沿った方向で押す純軸力が生じる。
図7に示す配置について、純軸力によってローター30がモーター出口58に向かって押される。
【0068】
図7に示す動力変換機構55は、通路134の下3分の1から中央に向かって伸びるこれらの機構のみである。これらの動力変換機構は、流路134の内周全体の周りに設けられる。さらに、本発明の好ましい実施形態は、ローター30が設計によって動的に均衡が取れるように回転軸の長さに沿って動力変換機構を配置することを含む。しかし、本発明の様々な実施形態に係るローターは、製造後にローターを動的に均衡に配置することによって動作を向上してもよい。
【0069】
図8に示す実施形態は、ローター30の支持端部のそれぞれにおいて磁気軸受を配置することを含む。
図8に概略を示すように、ローター30は、支持端部38の近傍に配置された回転磁気軸受39を含む。この永久磁石は、支持体24に固定されたリング状の静止軸受29(網掛されたL形として図示)と相互に作用する。好ましくは、ローター30の支持端部38はそれぞれ、ローター30と静止支持体24との接触を抑制する磁気軸受を有する。いくつかの実施形態では、モーター50が純軸力を作用させ、一方の磁気軸受が重い方の軸荷重に対して適切な大きさであり、反対側の支持端部(
図8における入口56の近く等)の磁気軸受は、別の(低い方の)軸荷重に対して構成されうることが理解される。
【0070】
磁気軸受を利用するローター支持システムおよび方法をこれまで説明したが、本発明の他の実施形態は、モーターの純軸荷重を得るための手段をさらに含む。別の例として、インペラ40の外表面42の外形は、モーター50からの純軸力と反対の方向に作用する純軸力を与えるように構成されている。
図6を参照して、いくつかの実施形態において、ローター30の外形42は、回転軸32bについて軸対称であるだけでなく、中央面32aについても対称である。このインペラ40の外形42により、粘性的に攪拌された外部流43から生じる純軸力が無く、概ねバランスのとれたローターが得られる。入口23aからの流れは、インペラ表面入口42aの周りに均等かつ均一に延び、同様の流れが、頂点44の近傍に配置された出口42bに円滑かつ均一に流れる。
【0071】
しかし、この形状を変更してもよく、いくつかの実施形態では、本体部30の外形32は中央面について対称ではない。ひとつの例として、ローターの下側の出口形状42b(
図6を参照)は、ローターの上半分よりも多く流れるように変更してもよい。そのような実施形態において、ローターの下半分からの追加の流れは同様に(上半分の入口部42aの入口抵抗を超える)下半分の入口42aに沿って粘性の抵抗をさらに与え、その結果、そのような実施形態において、純軸力(
図6を参照)を上向きにする。したがって、インペラ40の形は、モーターからの純軸力と対向する圧送から純軸力を与えるように変更してもよい。
【0072】
図9および
図10は、本発明の他の実施形態に係る埋め込み可能なポンプ装置120の一部を示す。装置120は、支持端部138のそれぞれに設けられた1つまたは複数の支持体124によってハウジング122(図示せず)内に回転可能に保持された本体部130を備えている。本体部130はインペラ40を含み、インペラの一部は
図9に示されている。
【0073】
モーター150は閉鎖流路152タイプであり、供給シャント27からの流れは、輸送流通路134の入口134aに供給されることが分かる。通路134の流れは1つまたは複数の動力変換機構155を通り、ローター130の支持端部138に近い出口134bに向けて流れる。出口流は支柱125(図示せず)を経由して装置120を離れ、最終的に返りシャント28(図示せず)を通る。他の機能(静止している回転軸受、重なった支柱延長部等)は、本明細書に示すいかなる種類であってもよいが、明確にする目的で
図9に示されていない。
【0074】
モーター150は、流れている血液からの流体エネルギーを衝撃タービンを経由してローター130の回転エネルギーに変換するように構成された複数のバケツ形装置155cを有する。好ましくは、これらのバケツ155cはそれぞれ通路134内で流れを受け入れる凹側で湾曲している。
図10は、通路134の所定の長さに延びる複数の列状に配置された装置155のシステムを示す。
【0075】
図10は、バケツ155cの列の端面図を示し、バケツの台は端面図において回転軸に沿って直交して突出している。バケツは、通路134の内周の周りを完全に取り囲むように延びていることが分かる。それぞれのバケツはローター130の中央線(回転軸)に到達しない高さであることが好ましい。代わりに、実質的に遮断されていない中央部分134cが通路134内に設けられる。この自由に流れる通路によって、ローター130が回転をやめても、圧力低下が比較的制限されて血液が通路134を通って流れることができる。このようにして、装置120が故障しても、血液はシャント27からシャント28へ流れることができる。しかし、本発明のさらに他の実施形態は、装置155の高さが一般に通路134の中央線まで延びることを含む。このような実施形態は、シャント27からシャント28への流れを抑制し、左心室から生物学的ユニットの循環系の残りの部分へ流れることを促進される。
【0076】
図11は、フォンタン再構築で変更された循環系を概略的に示すブロック図である。
図11に示す循環系は、本体部230によって相互接続されたインペラ40と油圧式モーター250とを備える埋め込み可能な自己駆動型ポンプ装置220を備える。
図3Bを参照して述べたように、インペラ40はインペラ入口246でフォンタン接合源12aからの血液を受け入れる。回転インペラ40は、この血流にエネルギーを与え、インペラ出口48でさらに高いエネルギーの流れをフォンタン入力通路12bへ供給する。
【0077】
好ましい実施形態では、インペラ40は、単一の本体部230に設けられた油圧式モーター250と一体化している。いくつかの実施形態において、本体部230は別々の部品から製造され、さらに他の実施形態では、これらの部品は、接着、超音波溶接、ろう付け等によって一体化されていることが好ましい。さらに他の実施形態では、単一の本体部230は、3D印刷等の追加の製造によって作られる1つまたは複数の部品から構成される。
【0078】
埋め込み可能な装置20のモーター250は、供給血液14のエネルギーを左心室の出力から回転力に変換し、この運動エネルギーを用いて本体部230からインペラ40へ回転を与える動力変換機構255を有する。流体動力から回転機械力への変換後、血液はモーター出口58を出てインペラ40に圧送されている血液と混合する。左心室からモーターへの血液は供給シャント27経由で供給され、モーター返流はインペラ入口またはインペラ出口のいずれかに供給される。
【0079】
図12Aは、本発明の他の実施形態に係る埋め込み可能なポンプ装置220を示す。装置220は、インペラ40と1対の油圧式モーター250とを備えるローター230を含む。モーター250は、対向している支持端部238のそれぞれに設けられる。明確にするため、軸受、支柱、シャント等の機能は図示されないが、このような機能も使用されることは理解される。単一のモーター250を説明する。2つのモーターが対向して設けられた場合、ローター230を同じ方向に回転されるように設計される以外は、各モーター250は同じである。
【0080】
モーターは250、ローター230の支持端部238の近傍に配置された螺旋状の動力変換機構255dを含む。矢印で示すように、モーター入口256に流入する血液は、湾曲した螺旋状の変換機構255dに面する流れと反応し、その結果、純トルクを本体部230に与える。それぞれのモーターは、支持体224(図示せず)に取り付けられた入口囲い板224cを有する。入口囲い板224cは、入口256に設けられた供給シャント27からの流れを受け入れる。この囲い板は、囲い板の内表面とモーターの外表面との間に密着した円環状通路を概ね形成する湾曲または円錐形を有している。囲い板は、回転動力変換機構255dの近くの入口血流を維持することで、この血流から抽出した仕事量を増加させる。
【0081】
入口256からの流れは、動力変換機構255dの上および周りを流れ、回転エネルギーをローター230に与えた後、囲い板出口とインペラの外表面42の間の円環状領域258から出る。この流れが出るとき、フォンタン源からの血液12aと混合する。これらの2つの流れ(囲い板224cの外側を流れる外部流12aと、囲い板224c内の供給シャント27からの流れ)が、囲い板出口の混合領域254aで混合する。この流れの混合物は、その後インペラ40の回転によって影響を受け、外表面42に沿って頂点44へ向かい、粘性推進効果からの総エネルギーを上昇させる。
【0082】
図12Bは、インペラ40と1対の対向するモーター350とを含むローター330を備える装置320の同様の部分を示す。モーター350が、タービンブレード等の1つまたは複数の動力変換機構355bを有する以外は、装置320の動作は装置230の動作と同様である。いくつかの実施形態では、一方のタービンブレードの先端がそれに隣接するタービンブレードの後端の前に位置するように隣接するタービンブレード同士が重複し、それら2つのブレードは、前方のブレードの後ろ側と後方のブレードの前側との間の通路が、ブレードに純力を与えるようにブレードに対して差圧を生じさせるような外形を有する。この純力によりトルクが発生し、インペラ40が回転する。
【0083】
図12Cは、
図12bのモーター350の端面図を示しているが、輸送機能355bの2つの列のみを示している。装置355bの連続する列はそれぞれ、表面42の外径が増加するにつれて隣接するブレード間の許容間隔を維持するように、追加の装置で実装されていることが好ましいことが分かる。
【0084】
図12Dは、
図12Aの装置の端面図を示す。ある実施形態において、モーター250は、ローター230の支持端部238上に延びる単一の螺旋である回転ブレード255dを含む。
図12Fは、ローター230が複数の螺旋状の入れ子ブレード255eを有する他の実施形態を示す。
【0085】
図13は、支持端部438上に設けられた単一のモーター450を含む以外は、ローター230と同様のローター430を有する装置420を示す。いくつかの実施形態では、本体部430のインペラ40は中心面について対称であるが、他の実施形態では、インペラ430は対称でなくてもよく、頂点44の互いに対向する側の異なる推進外表面42を有してもよい。
【0086】
図14は、
図13の実施形態の変形例を示す。埋め込み式ポンプ装置520は、モーター450および350と同様のモーター550を含む。しかし、装置520は、モーター入口556で受け取られた血液に渦流を与える複数の静止羽根524dを含む支持体524を備えている。渦流を与えられた血液は、集束部を通って最小領域524fの喉部へ流れる。そのような実施形態において、流入する血液に与えられる渦流と、集束ノズルによって血液に与えられる高い速度との組み合わせによって、モーター550がより高い動力および/またはより高い変換効率を得る。
【0087】
装置520は、装置520のインペラ40の動作を向上させるように構成された複数の機構をさらに含む。本体部530は、複数の出口開口部44aとローター内部で流体連通した複数の入口穴536dを含む。本明細書で説明するように、ここで参照された文書だけでなく、頂点44に設けられたことによって、開口部44aはより低い静圧におかれる。したがって、血液は穴536dに入り、開口部44aから出る。この流動システムは、混合領域554aおいて、この領域からの血液を除去することにより乱水流を抑制するように構成されている。そのような実施形態において、混合領域554aからの流れの除去により、表面42に設けられた境界層が向上し再構築され、インペラ40の全体の動作も向上する。
【0088】
図15は、開放流路654を有するモーター650を備えた埋め込み可能なポンプ装置620の他の例を示す。明瞭にするため、
図15は本体部630の内部流路634のみを示す。本体部630は、本体部のそれぞれの端部638で2つの対向するモーター入口656を含む。2つの供給シャント27からの流れは、本体部630の中央に向かって内側に流れる。そうすることにおいて、それぞれの流れは複数の動力変換機構655aに近づき、その下部では3本の長いブレードのみが示され、内部流路の内表面で少なくとも部分的に渦巻き状である。これらのブレードは、本明細書で説明する動力変換機構と同様に機能し、流れている血液からのエネルギーが本体部230の回転エネルギーに変換される。血液が変換機構655を出ると、ほぼ遮断されていない内部通路634cに流入し、ここから、開口部44a(図示せず)と流体連通している通路出口634bに向かって径方向外側に流れる。したがって、輸送流を提供するために用いられる血液の一部は、フォンタン受取通路12bへと出る。
【0089】
図16および
図17は、流れを1対の出口へ供給する単一の入口が存在する循環配置を実現するために構成された装置720、820を示す。
図16は、閉鎖流路油圧式モーター752を備えたそのような装置を示す。
図17は、開放モーター流路854を備えた同様の装置を示す。
【0090】
図16を参照すると、装置720は、中心回転軸について軸対称ではあるがこの軸に垂直な面については対称ではない本体部730を有することが分かる。インペラ40の外表面42は洋ナシ形の外観をしており、小型でハウジング722の血流路入口723aの近傍に設けられている。外表面42の大きい側の直径の端部は、二重血流路出口723に近接している。外表面42は、遠心助勢を入口723aからの血液に与え、出口723bに向かうときに血液のエネルギーを上昇させるように構成されている。外表面42の下流で球状の形は、低い乱水流を提供し、インペラ40の圧送効率を下げないように構成されている。
【0091】
図16は、1つまたは複数の供給シャント27から流れ、支持体構造724の1つまたは複数の入口724aに供給される血液を示す。支持体構造724は、本明細書で開示されている軸受、内部重複延伸部、および他の装置をさらに含む。支持体入口724aからの血液は、ローター730の内部通路734の入口734aへ流入する。この血液は、内部通路内に設けられた1つまたは複数の動力変換機構755の上を流れ、好ましくはこの通路の内周を周方向に延びる。流れによって回転エネルギーがローター730に与えられた後、支持体出口724bから出て返りシャント28(図示せず)へ流入する。
【0092】
図17は、開放流路油圧式モーター854を内蔵する装置820を概略的に示す。入口824aからの血液が内部通路の入口834aに流入すると、この血液は油圧エネルギーの一部をローター830の回転エネルギーに変換する複数の動力変換機構855を流れる。血液はモーター850を出ると、1つまたは複数の内部通路836d内に入る。これらの通路は本体部830内を延び、インペラ40の下流領域に示すように出る。好ましくは、通路836d内の流れは混合領域854a内へと出て、ついで流路出口723b内へ出る。ポンプ流を最大径の下流にあるローター830の領域に供給することで、モーター850を駆動するのに用いられた流れによって伴流領域をより適切に管理することができ、混合領域854aにおける分離と乱水流を低減し、それによってローター40の圧送特徴を向上することができる。
【0093】
本発明の異なる実施形態の様々な態様を、以下の段落X1、X2、X3、X4、X5、X6、およびX7に示す。
【0094】
X1.本発明の1つの様態は、流体システムにおける流体の圧送方法に関する。好ましくは、この方法は、第1の高圧の流体の第1の流れを油圧式モーターの入口に供給することを含む。好ましくは、この方法は、モーターによって流体の第1の流れから力を発生させることと、第2の低圧の流体の第2の流れを遠心ポンプの入口に供給することとを含む。好ましくは、この方法は、この発生させた力で遠心ポンプを回転することと、回転によって流体の第2の流れのエネルギーを高めることとを含む。
【0095】
X2.本発明の他の様態は、流体システムにおいて埋め込み可能な流体の圧送装置に関する。好ましくは、この装置は流体の圧送手段を含む。好ましくは、この装置は、圧送手段を油圧によって駆動する手段を含み、この駆動手段は流体を用いて駆動力を発生させる。
【0096】
X3.本発明のさらに他の態様は、流体システムにおいて埋め込み可能な流体圧送装置に関する。好ましくは、この装置は、第1の供給流体の運動エネルギーを高めるように構成された遠心ポンプを含む。好ましくは、この装置は、第2の供給流体から力を発生させるように構成された油圧式モーターを含み、モーターは、高圧の第2の供給流体を受ける入口と、低圧の第2の供給流体を出す出口とを有し、モーターの出口からの流れは、第1の供給流体と混合する。
【0097】
X4.本発明のさらに他の様態は、流体システムにおいて埋め込み可能な圧送装置に関する。好ましくは、この装置は、第1の供給流体の運動エネルギーを高めるように構成された遠心ポンプを含む。好ましくは、この装置は、第2の供給流体から力を発生させるように構成された油圧式モーターを含み、モーターは、高圧の第2の供給流体を受ける入口と、低圧の第2の供給流体を出す出口とを含み、モーターの出口からの流れは第1の供給流体と流体連通することを抑制される。
【0098】
X5.本発明の他の様態は、流体を圧送する装置に関する。好ましくは、この装置は、第1の供給流体の一部から力を生成するように構成された油圧式モーターを含み、モーターは第1の高圧の第1の供給流体の一部を受け取る入口と、第1の低圧の第1の供給流体を出す出口とを含む。好ましくは、この装置は、第1の供給流体の残りの部分が任意に第1の狭窄部を通って第2の減圧で第1の狭窄部から出た後に、この残りの部分の運動エネルギーを上昇するように構成された遠心ポンプを備え、ポンプは油圧式モーターによって駆動され、第2の減圧の流体はポンプの入口で受け取られ、流体の残りの供給は第2の減圧よりも高い第2の増圧でポンプの出口から排出され、第2の増圧の残りの流れは第2の狭窄部を通ってもよく、第2の狭窄部から出る残りの流れは、第1の低圧で第1の供給流体の一部と流体連通する。
【0099】
X6.本発明の他の様態は流体の圧送装置に関する。好ましくは、この装置は遠心ポンプと油圧式ポンプとを備える。この油圧式ポンプは流体を利用してポンプに動力を与える。
【0100】
X7.本発明の他の様態は、流体の圧送装置に関する。好ましくは、この装置は、第1の供給流体の一部から力を生成するように構成された油圧式モーターを含み、モーターは第1の高圧の第1の供給流体の一部を受け取る入口と、第1の低圧の第1の供給流体を出す出口とを含む。好ましくは、この装置は、第1の供給流体の残りの部分の運動エネルギーを上昇するように構成された遠心ポンプを備え、ポンプは油圧式モーターで駆動し、第1の高圧よりも低い第2の減圧の第1の供給流体の残りの部分はポンプの入口で受け取られ、供給流体の残りの部分は第2の減圧よりも高い第2の増圧でポンプの出口から出る。
【0101】
さらに他の実施形態は、以下の他の態様のうちの1つ以上のものと組み合わせた上述の記載X1、X2、X3、X4、X5、X6、またはX7のいずれかに関する。上述した段落Xのいずれも、他の段落Xのそれぞれの機能と組み合わせることのできる個々の機能の一覧を含むことも理解される。
【0102】
ここで、ポンプは薄肉の外板を有する。
ポンプは軸に沿って互いに対向する端部とその中間部とを有し、ポンプの外径が中央に向かって各端部から単調に増加する。
ステーターを支持するハウジングをさらに備え、ハウジングは2つの入口と1つの出口を有し、いくつかの実施形態では、ハウジングは、それぞれの入口に近接した動物の循環系に取り付けられるように構成される。
出口は第1の出口であり、第2の出口をさらに備え、第1および第2の出口は平面内を流れる流体を受け取るように配置される。
ポンプは、長さ方向に沿って対向する端部の間に延び、1対の磁気軸受をさらに備え、一方の軸受は一方の端部に位置し、他方の軸受は他方の端部に位置する。
磁気軸受はそれぞれハルバッハ配列を含む。
ハウジングのそれぞれの入口は、ステーターの大部分を軸上に配置する支柱を有する。
ポンプの外形は、流体を遠心的に圧送するように構成されている。
ポンプには複数の開口部が設けられ、開口部は、流路から流体が流れ出るように構成される。
ポンプの外形によって圧送された流体は、まず軸に沿って最初に流体が受け取られた場所と同じ位置にあるポンプに受け取られ、その後、流路から圧送される。
ポンプは、第1の供給流体と第2の供給流体との間で流体連通を提供する複数の流れ開口部を有する。
開口部は対称面の側方に位置する。
流路は円環状の形をした入口を有している。
流路内を流れる流体の方向は対称面に向かっている。
外表面を流れる流体の方向は、対称面に向かっている。
上述した圧送手段は回転軸を有し、血液の流れが軸と実質的に平行な入口と、圧送された血液の流れが実質的に軸と垂直な出口とを備える。
圧送手段は、回転の本体部としての外形を有する。
圧送手段は軸の周りを回転し、内部流路を含む本体部を備え、油圧によって駆動する手段は本体部の内部流路に配置される。
内部流路は、圧送手段の回転軸に沿って延びる。
内部流路は、内部流路を取り囲む内表面を有し、油圧式駆動手段は、内表面に配置された少なくとも1つの動力変換機構を含む。
動力変換機構はブレードである。
このブレードは、内部流路内で螺旋状の細長い形を有し、本体部の軸に沿っている。
動力変換機構は、複数のブレードを備える。
複数のブレードはそれぞれ、内部流路の半径よりも短い径方向の長さを有する。
動力変換機構は、少なくとも部分的に内部流路の入口に向かう凹面を有するバケツである。
圧送手段は入口と出口と外部遠心圧送面を有する本体部とを有し、油圧式駆動手段は、入口の側方に位置する外部遠心圧送面に少なくとも1つの動力変換機構を含む。
動力変換機構はブレードである。
動力変換機構は圧送手段の回転軸と同心の螺旋形状を有する。
囲い板内であり流体駆動手段上を流れる血液の一部を誘導し、遠心圧送手段上を流れる血液の残りを誘導する入口の側方に位置する囲い板を備える。
この囲い板は、血流の一部に渦を与える少なくとも1つの羽根を含む。
この遠心ポンプは1対の支柱に支持されかつ軸に対して回転可能に設けられ、一方の支柱は第1の高圧の第1の供給血液の一部を供給し、別の支柱は第1の低圧でこの一部を受け取る。
遠心ポンプは、第1の供給血液の残りの部分の運動エネルギーを増加させるように構成された外表面を有する回転体を有し、回転体の内部に油圧式モーターを配置する。
油圧式モーターは軸に沿って回転し、断面積を有する回転封入流路と、第1の供給血液の一部のエネルギーのいくらかをこのポンプを駆動する運動エネルギーに変換するための流路に設けた複数の動力変換機構とを備え、これらの動力変換機構は、流路の断面積よりも小さい流路に沿った総表面積を形成するように構成されている。
第1の狭窄部は生物学的ユニットの全身の循環系であって、第2の狭窄部は生物学的ユニットの肺循環系である。
肺循環系を出る流れの残りの部分と、油圧式モーターの出口からの第1の低圧の第1の供給の一部は、生物学的ユニットの心臓の心房への入口と流体連通している。
本発明を図面及び上記記載により詳細に図示しているが、これらは例示的であり、特徴を制限するものではなく、特定の実施形態のみが示されており、本発明が保護する範疇内に全ての変更や変形が含まれていると理解されるべきである。
【0103】
以下は、要素番号と、その要素を説明するために使用される少なくとも1つの名詞のリストである。本明細書に開示される実施形態のいずれもこれらの名詞に限定されず、これらの要素番号は、本開示全体を読んで検討する当業者によって理解され得る他の単語をさらに含むことができる。
【符号の説明】
【0104】
10 循環系
12 フォンタン接合
12a 供給源(入口)
12b 受取部(出口)
14 左心室からの供給
16 左心房への供給
17 肺へ
18 分岐動脈
20 埋め込み可能なポンプ装置(遠心式圧送手段)
22 ハウジング
23 流体流路または血流路
23a 入口
23b 出口
24 支持体
24a 入口
24b 出口
24c 入口囲い板
24d 静止羽根
24e 内部延伸部
24f ノズル
25 支柱
25a 支柱延長部
26 流体接続
26a 第1の(入口)
26b 第2の(出口)
27 供給シャント
28 返りシャント
29 静止軸受
30 本体部
32 形
32a 対称面
32b 回転軸
34 通路(輸送流、閉路)
34a 入口
34b 出口
34c 非遮断部
36 内部通路(第2の流れ)
36a 頂点流
36b 伴流
36c 境界制御流
36d 入口
38 支持端部
39 軸受回転
40 インペラ
41 推進ブレード
42 外表面
42a 入口
42b 出口
43 粘性的に攪拌された外部流
43a 流線
44 頂点
44a 開口部
46 入口
48 出口
50 油圧式モーター(油圧的に駆動する手段)
52 閉鎖流路
54 開放流路
54a 混合領域
55 動力変換機構(要素)
55a 長いブレード
55b 短いブレード
55c バケツ
55d 螺旋ブレード
55e 複数螺旋ブレード
56 入口
58 出口