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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】テーパー付きフェースシール
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/34 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
F16J15/34 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020555023
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019022730
(87)【国際公開番号】W WO2019203971
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】15/956,149
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハース、コナー ジェイ.
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特公昭44-005049(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0248706(US,A1)
【文献】特開2009-162310(JP,A)
【文献】特表2017-534460(JP,A)
【文献】特公昭51-047811(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0045966(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/16-15/32
F16J 15/324-15/38
F16J 15/46-15/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒軸(304)、半径方向(306)、第一の軸方向先端(308)、第二の軸方向先端(310)、外側半径方向先端(312)および内側半径方向先端(314)を画定する円筒形環状本体(302)と、
フェースシーリング表面(316)であって、
前記外側半径方向先端(312)から半径方向に延在するクリアランス表面(326)と、
接触面(320)を画定する前記クリアランス表面(326)に半径方向に隣接して配置される接触領域(318)と、
テーパー付表面(322)が前記接触領域(318)から前記内側半径方向先端(314)に向かってさらに半径方向に進むと拡大する前記接触面(320)とのテーパー角度(324)を画定する前記接触領域(318)から半径方向に延在するテーパー付表面(322)と、を含む、フェースシーリング表面(316)と、を含
前記接触領域(318)が、前記テーパー付表面(322)と前記クリアランス表面(326)の交点によって画定される移行線(328)を含む、フェースシール部材(300)。
【請求項2】
前記クリアランス表面(326)が、前記接触面(320)とのクリアランス角度(332)を形成する平坦表面(330)を含む、請求項に記載のフェースシール部材(300)。
【請求項3】
前記テーパー付表面(322)が、前記テーパー角度(324)を画定する接線(336)を画定する弧状表面(34)であり、前記接触面(320)は、前記円筒軸(304)に垂直であり、前記接触領域(318)は、前記第二の軸方向先端(310)を形成する、請求項1に記載のフェースシール部材(300)
【請求項4】
前記テーパー角度(324)が、前記接触領域(318)に半径方向に隣接して0.5度から、前記内側半径方向先端(314)に半径方向に隣接して10度の範囲である、請求項に記載のフェースシール部材(300)。
【請求項5】
リアランス角度(322)が、0度から1度の範囲であり、前記テーパー角度(324)が、前記接触領域(318)に半径方向に隣接して3度から、前記内側半径方向先端(314)に半径方向に隣接して6度の範囲である、請求項に記載のフェースシール部材(300)。
【請求項6】
前記本体(302)が金属から作製され、25ロックウェルスケールC~70ロックウェルスケールCの範囲の表面硬度を有する、請求項1に記載のフェースシール部材(300)。
【請求項7】
前記接触領域(318)が、熱スプレー、レーザークラッド、MIG溶接、めっき、DLC、またはPVDコーティングを有する、請求項に記載のフェースシール部材(300)。
【請求項8】
第一のフェースシール部材(300)であって、
円筒軸(304)、半径方向(306)、第一の軸方向先端(308)、第二の軸方向先端(310)、外側半径方向先端(312)および内側半径方向先端(314)を画定する円筒形環状本体(302)と、
フェースシーリング表面(316)であって、
接触面(320)を画定する接触領域(318)と、
テーパー付表面(322)が前記接触領域(318)から前記内側半径方向先端(314)に向かってさらに半径方向に進むと拡大する前記接触面(320)とのテーパー角度(324)を画定する前記接触領域(318)から半径方向に延在するテーパー付表面(322)と、を含む、フェースシーリング表面(316)と、を含む、第一のフェースシール部材(300)と、
前記第一のフェースシール部材(300)と同一に構成された第二のフェースシール部材(300’)と、を含む、フェースシール組立品(200)。
【請求項9】
第一の負荷リング(110)および第二の負荷リング(110)をさらに含む、請求項に記載のフェースシール組立品(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地上走行機、建築機器、および採掘機器などの機器で使用される回転接合部からの潤滑油の損失を防止するフェースシール組立品に関する。具体的には、本開示は、フェースシール組立品で用いられるフェースシールテーパー形状に関連する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、地上走行機、建築機器、および採掘機器などの作業は、多くの場合、粗いオフロード地形で使用される。これらの機械は多くの場合、障害物および不均一な地形などのような環境で機械を推進することができるトラックシューを持つエンドレストラックを用いることがよくある。シューを含むトラックチェーンは、機械の駆動スプロケット、アイドラーおよびサポートローラー上でサポートされる一連の相互接続されたトラックリンク、ピンおよびブッシングによって一緒に保持される。想像できるように、トラックチェーンが通過するときにトラックローラーの動きを容易にするために潤滑油が必要であり、ローラー自体が回転している間トラックローラーが回転するシャフトを固定することができる。フェースシールは多くの場合、トラックローラーとシャフトとの間のこの境界面に配置され、ローラーがシャフト上で回転することを可能にしながら、潤滑油で密封される。
【0003】
同様に、こうした機器は、駆動シャフトまたは車軸に接続されたギアボックスを含むパワートレインを使用して、ホイールへ動力移動することができる。シャフトおよび軸は、固定されたままの、それらの近くに位置付けられたハウジングに対して回転するように構成される。シャフトまたは軸および固定部材の境界面の近くに潤滑油を提供することにより、ハウジングまたはその他の固定部材に対するシャフトまたは軸の移動を容易にすることが必要である。フェースシールは、ハウジングまたはその他の固定部材と回転シャフトと回転軸との間のこの境界面に配置されることが多い。
【0004】
経時的に、フェースシール組立品は摩耗を経験する。さまざまな要因が摩耗に影響を与え、さまざまな種類の摩耗がある。例えば、半径方向の摩耗および/または非対称な摩耗が発生し得る。現在のシールフェース形状では、遅延の半径方向の摩耗は、非対称な摩耗を増加させ、その逆であり得る。半径方向の摩耗または非対称な摩耗のいずれかのタイプの摩耗は、最終的に、フェースシールが回転部品と固定部品によって形成された潤滑キャビティ内の所望の潤滑油を効果的にシールしなくなる原因となる。これにより、機械のダウンタイムを引き起こし、その後、フェースシールを交換する必要があるエンドユーザーに対してコストを提示することがあり得る。
【0005】
従って、半径方向の摩耗対非対称な摩耗のトレードオフまたは妥協がないフェースシールシーリング表面を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一実施形態によるフェースシール部材は、円筒軸、半径方向、第一の軸方向先端、第二の軸方向先端、外側半径方向先端および内側半径方向先端を画定する円筒形環状本体と、クリアランス表面と、接触面を画定するクリアランス表面に半径方向に隣接して配置された接触領域と、テーパー付表面が接触領域から内側半径方向先端に向かってさらに半径方向に進むと拡大する接触面とのテーパー角度を画定する、接触領域から半径方向に延在するテーパー付表面とを含むフェースシーリング表面と、を含む。
【0007】
本開示の一実施形態によるフェースシール組立品は、円筒軸、半径方向、第一の軸方向先端、第二の軸方向先端、外側半径方向先端および内側半径方向先端を画定する円筒形環状本体と、クリアランス表面と、接触面を画定するクリアランス表面に半径方向に隣接して配置された接触領域と、テーパー付表面が接触領域から内側半径方向先端に向かってさらに半径方向に進むと拡大する接触面とのテーパー角度を画定する接触領域から半径方向に延在するテーパー付表面とを含むフェースシーリング表面とを含む第一のフェースシール部材を含む。フェースシール組立品は、第一のフェースシール部材と同一に構成された第二のフェースシール部材をさらに含み得る。
【0008】
本開示の実施形態による回転接合部は、第一のシール保持キャビティを画定する静止部材と、第二のシール保持キャビティを画定する回転可能な部材と、を含む。第一のフェースシール部材は、第一のシール保持キャビティ内に配置され得る。第一のフェースシール部材は、円筒軸、半径方向、第一の軸方向先端、第二の軸方向先端、外側半径方向先端および内側半径方向先端を画定する円筒形環状本体と、接触面を画定する接触領域と、テーパー付表面が接触領域から内側半径方向先端に向かってさらに半径方向に進むと拡大する接触面とのテーパー角度を画定する、接触領域から半径方向に延在するテーパー付表面とを含むフェースシーリング表面と、を含み得る。テーパー付表面は、テーパー角度を画定する接線を画定する弧状表面でもよく、接触面は円筒軸に垂直でもよく、接触領域は第二の軸方向先端を形成し得る。第二のフェースシール部材は、第二のシール保持キャビティ内に配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示のいくつかの実施形態を示し、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態によるフェースシール組立品を用いうるトラック駆動車両で使用されるものなどのトラックローラー組立品の斜視断面図である。
図2図2は、本開示の実施形態によるフェースシール組立品を用いうるトラック駆動車両で使用されるものなど、パワートレイン組立品の斜視断面図である。
図3図3は、図1および2の組立品で使用され得るフェースシールの拡大断面図である。
図4図4は、図3のフェースシールが、使用時に経時的な望ましい対称摩耗を示し得ることを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
参照の例が添付図面に図示される特定の実施形態または特徴を詳細に参照する。可能な限り、同一または類似部品に言及するのに、図面全体を通して同一の参照番号を使用するであろう。一部の事例では、参照番号が本明細書で示され、図面はその後に文字が続く、例えば、100a、100b、または例えば100’、100’’などの参照番号を示す。参照番号の直後に文字または素数を使用することは、これらの特徴が同様の形状であり、幾何学が対称面の周りにミラーリングされる場合によくあるのと同様の機能を有することを示すことを理解されたい。本明細書での説明を容易にするために、文字および素数はしばしば本明細書に含まれないが、特徴の重複を示すために図面に示され得、この書面による仕様内で説明される、類似または同一の機能または形状を有する。
【0012】
ここで、本開示のフェースシールのさまざまな実施形態を使用し得る回転接合部などの装置のさまざまな実施形態が考察される。次に、本開示のさまざまな実施形態によるフェースシール組立品およびフェースシール部材が考察される。
【0013】
図1を参照すると、トラックローラー102のための回転接合部100が開示される。回転接合部100は、第一のシール保持キャビティ104を画定する静止部材102と、第二のシール保持キャビティ108を画定する回転可能な部材106とを含む。第一のフェースシール部材300は、第一のシール保持キャビティ104内に配置され、第二のフェースシール部材300’は、第二のシール保持キャビティ108内に配置される。第一のフェースシール部材300および第二のフェースシール部材300’は、同一の構成を持ち得るが、必ずしもそうではない。負荷リング110(例えば、円環体)はまた、一部のばねまたはエラストマー材料であってもよく、第一のフェースシール部材300および第二のフェースシール部材300’を相互に接触させて付勢する。
【0014】
図1に示される特定の実施形態については、静止部材102は、第一のシール保持キャビティ104を画定するエンドキャップ112であり、回転可能な部材は、キャップ部材116が取り付けられているトラックローラー組立品114であり、第二のシール保持キャビティ108を画定する。トラックローラー組立品114が静止するシャフト120の周りを回転する際に摩擦を減少させるブッシング部材118が示される。一つのトラックローラー組立品が、二つの対称な側面114、114’を有することが示される。
【0015】
図2は、ホイールまたはタイヤが取り付けられ得るホイールギアボックス124を含むパワートレイン最終駆動部122の形態の回転接合部100を示す。回転可能なシャフト126は、第一のシール保持キャビティ104を画定する静止ハウジング128と、ホイールギアボックス124を含み、第二のシール保持キャビティ108を画定し、それとともに回転する回転可能なハウジング130とから延在する。
【0016】
図に具体的に示されるか、または本明細書で論じられているもの以外の他のタイプの装置および回転接合部は、次にさらに詳細に論じられるフェースシール組立品またはフェースシール部材のさまざまな実施形態を使用し得る。
【0017】
ここで、本開示の実施形態によるフェースシール組立品200について、図3を参照しながら説明する。フェースシール組立品200は、円筒軸304、半径方向306、第一の軸方向先端308、第二の軸方向先端310、外側半径方向先端312(いくつかの実施形態では、シールフランジの外径と呼ばれることもある)、そして、内側半径方向先端314、およびフェースシーリング表面316を画定する円筒形環状本体302を含む第一のフェースシール部材300を含み得る。
【0018】
フェースシーリング表面316は、接触面320を画定する接触領域318(いくつかの実施形態では、フラットバンドと呼ばれることもある)と、テーパー付表面322が接触領域318から内側半径方向先端314に向かってさらに半径方向に進むと拡大する接触面320とのテーパー角度324を画定する、接触領域318から半径方向に延在するテーパー付表面322と、を含み得る。図3に示すように、摩耗が生じる前の初期接触領域が示される。しかし、時間の経過に伴う摩耗が発生することは理解されるべきであり、接触領域が経時的に構成および位置などを変更させ得る。
【0019】
フェースシーリング表面316は、外側半径方向先端32から接触領域318へ半径方向に延在するクリアランス表面326をさらに含み得る。接触領域318は、クリアランス表面326とテーパー付表面322の交点によって形成される移行線328を含み得る。実際には、ロードされると、接触領域318の変形は、接触線が接触領域に幅を広げるように引き起こし得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、クリアランス表面326は、ローディングのために変形される前に半径方向に延在する平坦表面330を含み得る。他の実施形態では、クリアランス表面326は、ローディングによって変形する前でさえ、0度から1度の範囲の半径方向306および/または接触面320とクリアランス角度332を形成することができる。
【0021】
ローディングは、第一のフェースシール部材300に接触する第一の負荷リング110によって提供され得る。第一のフェースシール部材300と同一に構成された第二のフェースシール部材300’が提供され得る。第一の負荷リングと同一に構成され得る第二の負荷リング110も提供され得る。これは他の実施形態ではそうでなくてもよい。
【0022】
ここでテーパー付表面322上の図3に焦点を当てると、テーパー付表面322は、テーパー角度324を画定する接線336を画定する弧状表面334とし得る。一部の実施形態では、接触面320は円筒軸304に垂直であってもよく、接触領域318は第二の軸方向先端310を形成し得る。その他の実施形態では、接触面320は円筒軸304と垂直でなくてもよく、接触領域318は第二の軸方向先端310を形成しなくてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、テーパー角度324は、一部の実施形態では、接触領域318に半径方向に隣接して0.5度から第二の軸方向先端310に半径方向に隣接して10度までの範囲であり得る。特定の実施形態では、テーパー角度は、接触領域318に半径方向に隣接して3度から第二の軸方向先端310に半径方向に隣接して6度までの範囲であり得る。テーパー角度の位置および値は、必要に応じてまたは所望通り変化してもよく、本明細書において具体的に言及されるものとは異なるものとし得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、第一および/または第二のフェースシール部材300、300’は、セラミック、金属などの任意の適切な材料で作製され得る。いくつかの実施形態では、第一および/または第二のフェースシール部材300、300’が金属でできている場合、本体302は、25ロックウェルスケールCから70ロックウェルスケールCの範囲の表面硬度を有し得る。いくつかの実施形態では、接触領域318はコーティングされていない。その他の実施形態では、接触領域318は、熱スプレー、レーザークラッド、MIG溶接、めっき、DLC、またはPVDコーティングなどを有し得る。
【0025】
引き続き図3を参照すると、本開示の実施形態によるフィットフェースシール部材300は、以下のように特徴付けられ得る。第一のフェースシール部材300は、円筒軸304、半径方向306、第一の軸方向先端308、第二の軸方向先端310、外側半径方向先端312、内側半径方向先端314およびフェースシーリング表面316を画定する円筒形環状本体302を含み得る。
【0026】
フェースシーリング表面316は、外側半径方向先端312から半径方向に延在するクリアランス表面326と、接触面320を画定するクリアランス表面326に半径方向に隣接して配置された接触領域318と、テーパー付表面322が接触領域318から内側半径方向先端314に向かってさらに半径方向に進むと拡大する接触面320とのテーパー角度324を画定する、接触領域318から半径方向に延在するテーパー付表面322とを含み得る。
【0027】
接触領域318は、テーパー付表面322とクリアランス表面326の交点によって画定される移行線328を含み得る。クリアランス表面326は、接触面320とのクリアランス角度332を形成する平坦表面330を含み得る。テーパー付表面322は、テーパー角度324を画定する接線336を画定する弧状表面334であり得る。接触面320は、円筒軸304と垂直であってもよく、接触領域318は、第二の軸方向先端310を形成し得る。
【0028】
テーパー角度324は、接触領域318に半径方向に隣接して3度から、内側半径方向先端314に半径方向に隣接して6度の範囲であり得る。クリアランス角度332は、一部の実施形態では0度~1度の範囲とし得る。いくつかの実施形態ではでは、本体302は金属(例えば、鋼)から作製され、25ロックウェルスケールC~55ロックウェルスケールCの範囲の表面硬度を有することができる。これはその他の実施形態ではそうでない場合がある。同様に、接触領域318は、一部の実施形態ではクロム、DLC、またはPVDコーティングを有し得るが、その他の実施形態では被覆されていない場合がある。
【0029】
クリアランス表面の半径方向の長さ338は、未摩耗の構成要素などのように、いくつかの実施形態では、1.5mm~4.0mmの範囲であり得る。一方、テーパー付表面の半径方向の長さ340は、構成要素が未摩耗のときのように、他の実施形態では、2.0mm~12.0mmの範囲であり得る。これらの寸法のいずれも、その他の実施形態では必要に応じてまたは望ましいものとして変化し、本明細書に具体的に言及されるものとは異なるものとし得る。
【0030】
フェースシール組立品またはフェースシール部材のこれらのさまざまな構成要素の配置および機能は、必要に応じてまたは所望の通り変更され得る。
【産業上の利用可能性】
【0031】
実際には、本明細書に記載の任意の実施形態による回転接合部、フェースシール組立品、またはフェースシール部材は、OEMまたはアフターマーケットの状況で販売、購入、製造、またはその他の方法で取得され得る。
【0032】
一部の事例では、テーパー付表面の弧状表面は、一連の半径方向弧、楕円弧状、スプラインなどの多項式などを含み得る。CAD(コンピューター支援設計)プログラムを使用して、弧状表面を作成し得る。例えば、一連の点および接線の曲線は、構造形状として作成され得る。次に、スプラインは、曲線に接線されたポイントに適合してもよく、それによってスプラインを作り出す。スプラインを使用することに加えて、または代わりに、さまざまなテーパー角度で接線に接するさまざまな放射状弧が、相互に接して適切な形状を生成するように作製され得る。スプラインが最初に作成されると、CADパッケージの機能は、必要に応じてスプラインを一連のアークに変換できる。CADで形状が作成されると、類似したCIM(コンピューター統合製造)パッケージを使用して、弧状表面を機械加工するために、望ましい機械加工データを作成し得る。
【0033】
テーパー形状によって、図4に示すとおり、第一のフェースシール部材と第二のフェースシール部材との間の摩耗は経時的に対称的であり得る。また、半径方向の摩耗の量が最小化され得る。言い換えれば、本明細書に開示されるフェースシール部材のさまざまな実施形態によって用いられるテーパー付フェースシール形状を使用して、半径方向の摩耗対対称摩耗のトレードオフまたは妥協が打破され得る。
【0034】
パワートレインと下部構造のアプリケーションはここで具体的に説明されているが、本開示のさまざまな実施形態によるフェースシール部材、フェースシール組立品などは、他の用途で使用され得ることが企図される。例えば、その他の用途には、農業、石油、トンネル、廃棄物処理、林業建設、軍事、廃棄物処理などが含まれ得る。シールは、ドリルヘッド、ポンプ、トンネルボリングカッター、および前述の最終駆動、軸、および下部構造プラットフォームなどのさまざまな構成要素で使用され得る。
【0035】
フェースシール部材およびフェースシール組立品のさまざまな実施形態は、金属フェースシール、デュオコーンシール、フローティングシール、機械的フェースシール、およびヘビーデューティデュアルフェース(HDDF)などの特定の実施形態を含み得る。従って、一つの実施形態の特許請求の範囲および特定の特性は、本明細書で意図される全ての実施形態において必要とされるべきではない。
【0036】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本明細書で論じられるような装置および組み立て方法の実施形態に対してさまざまな修正および変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。本開示のその他の実施形態は、本明細書に開示されるさまざまな実施形態の仕様および実践を考慮することで、当業者には明らかであろう。例えば、いくつかの機器は、本明細書に記載されたものとは異なる構造および機能を有し得、任意の方法の特定のステップは省略され、具体的に言及されたものとは異なる順序で実行され、または場合によっては同時にまたはサブステップで実行される。さらに、さまざまな実施形態の特定の態様または特徴に対する変形または修正を行って、さらなる実施形態を作成することができ、さらにさらなる実施形態を提供するために、さまざまな実施形態の特徴および態様を、他の実施形態の他の特徴または態様に追加または置換することができる。
【0037】
従って、本明細書および実施例は、以下の請求項およびその均等物によって示される本発明の真の範囲および精神を有する単なる例示とみなされることが意図される。
図1
図2
図3
図4