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特許7393346テキスタイル材料のための接着性改善組成物及び関連する強化テキスタイル材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】テキスタイル材料のための接着性改善組成物及び関連する強化テキスタイル材料
(51)【国際特許分類】
   C09J 197/00 20060101AFI20231129BHJP
   C08K 5/07 20060101ALI20231129BHJP
   C08L 21/02 20060101ALI20231129BHJP
   C08L 97/00 20060101ALI20231129BHJP
   C09J 121/02 20060101ALI20231129BHJP
   D06M 15/01 20060101ALI20231129BHJP
   D06M 15/693 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
C09J197/00
C08K5/07
C08L21/02
C08L97/00
C09J121/02
D06M15/01
D06M15/693
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020560201
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2019060810
(87)【国際公開番号】W WO2019207141
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】1853655
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508349735
【氏名又は名称】ポルシェ アンデュストリ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】マエル ゴバン
(72)【発明者】
【氏名】レオ プーパル
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-115556(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003572(WO,A1)
【文献】特表2016-528337(JP,A)
【文献】特表2014-528970(JP,A)
【文献】国際公開第2015/147165(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0089418(US,A1)
【文献】特開2002-047375(JP,A)
【文献】特開昭60-235870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 197/00
C08K 5/07
C08L 21/02
C08L 97/00
C09J 121/02
D06M 15/01
D06M 15/693
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノスルホン酸塩とリグノスルホン酸塩のアルデヒド硬化剤との反応の生成物及びエラストマーラテックスを含み、アルデヒドが、~20個の炭素原子を有する主炭素鎖を有するモノアルデヒド又はジアルデヒドであり、モノアルデヒド中のアルデヒド基及びジアルデヒド中のアルデヒド基が炭化水素鎖の末端に位置する、テキスタイルのためのボンディング組成物。
【請求項2】
モノアルデヒドが、トランス-2-ヘキセナール又は2-オクテナールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
モノアルデヒドが、イソブチルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、シンナムアルデヒド、メチルシンナムアルデヒド及びその位置異性体、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナール又は2-メトキシシンナムアルデヒドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
モノアルデヒドが、シクロヘキサナール、ベンズアルデヒド、2-クロロベンズアルデヒド、4-クロロベンズアルデヒド、3-クロロベンズアルデヒド、2,4-ジクロロベンズアルデヒド、2,6-ジクロロベンズアルデヒド、3-ブロモベンズアルデヒド、2-メチルベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-エチルベンズアルデヒド、2,5-ジ-tertブチル-ベンズアルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド、2-メトキシベンズアルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、2,5-ジメトキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、4-エトキシベンズアルデヒド、4-ベンジルオキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド又は3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、エチルバニリン、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、2-ピリジンカルボキシアルデヒド、3-ピリジンカルボキシアルデヒド、4-ピリジンカルボキシアルデヒド又は3-メチル-2-チオフェンカルボキシアルデヒドから選択される環状モノアルデヒドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ジアルデヒドが、グルタルアルデヒド、ブロモマロンアルデヒド、テレフタルアルデヒド、o-フタルアルデヒド、m-フタルアルデヒド、4-(4-ホルミルフェノキシ)ベンズアルデヒド又は4-(2-ホルミルフェノキシ)ベンズアルデヒドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
リグノスルホン酸塩が、リグノスルホン酸ナトリウム、リグノスルホン酸カリウム、リグノスルホン酸マグネシウム、リグノスルホン酸アンモニウム又はリグノスルホン酸カルシウムである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
アクリロニトリル/カルボキシル化ブタジエンコポリマーのラテックス(XNBR)、アクリロニトリル/水素化ブタジエンのラテックス(HNBR)、クロロスルホン化ポリエチレンのラテックス(CSM)、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンコポリマーのラテックス(VPSBR)、スチレン/ブタジエンコポリマーのラテックス(SBR)、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーラテックス(NBR)、ポリブタジエン(BR)ラテックス、クロロブタジエン(CR)ラテックス、天然ゴムラテックス(NR)、ポリウレタンラテックス又はそれらの少なくとも2つの混合物を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の乾燥物の質量含有率が、2~3%でる、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の乾燥物の質量含有率が、4~30%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物を基準として、4~95wt%のエラストマーを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比が0.1~3でる、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比が0.15~0.25である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
[硬化剤+リグノスルホン酸塩]/ラテックスの質量比が、0.05~06でる、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
[硬化剤+リグノスルホン酸塩]/ラテックスの質量比が、0.15~0.5である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
中性又は塩基性のpHを有する、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
7~13のpHを有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
強化テキスタイルにゴムに対する接着特性を与えるための、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか1項に記載のボンディング組成物で少なくとも部分的にコーティング及び/又は含浸されていて、リグノスルホン酸塩が、リグノスルホン酸塩とアルデヒド硬化剤との間の網状化から得られる硬化した樹脂を形成している、強化テキスタイル。
【請求項19】
ヤーン、コード又はテキスタイル構造物である、請求項18に記載の強化テキスタイル。
【請求項20】
ゴム部品又はゴムを含む部品であって、ゴムが請求項18又は19に記載の少なくとも1つの強化テキスタイルを表面に含むか、及び/又はゴム中に組み込んで含む部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テキスタイルのための接着剤(adhesive)又はボンディング(bonding)組成物、特にテキスタイルをゴムに接着させる(adhere)ための組成物に関する。本発明は、特にベルト、パイプ、タイヤ、空気ばね(エアースプリング)、及びより一般的にはゴム製の若しくはゴム製の部分を備える任意の部品又は物品の分野における適用に関するものであり、ゴムは強化テキスタイルを表面に及び/又は(マスにおいて)内部に強化テキスタイルを備える。従って、本発明はまた、接着剤でコーティングされた強化テキスタイル、並びにそれらを表面に及び内部の両方に組み入れた部品又は物品に関する。
【背景技術】
【0002】
伝動ベルトの例を挙げると、テキスタイル強化材は、最初に及び最も先に、ベルトの寸法安定性を確実にしなければならない。この目的のために、強化材は様々な環境における特定の機械的特性を有することが要求される。要求される特性を確実にするために、及び特に剥離のリスクを回避するために、テキスタイル強化材はベルトのゴムに接着しなければならない。強化材は1つのゴム又は複数の異なるゴムと接触している場合がある。ゴムとの良好な両立性を可能とするために、一般に、強化材は接着剤で処理される。より複雑な特性もまた、強化材から要求される場合がある。例えば、強化材のエッジは、切断される及びベルトの側面で露出されるにあたり、ほつれてはならないが、しかし一方で切り易くなければならない。これらの他の特性を保証するために、他の種類の処理をヤーン(yarn)に適用する場合がある。
【0003】
幾つかの異なる処理がテキスタイル強化材に適用されるため、強化材、ゴム及び強化材に適用される他の処理との、接着剤の両立性を確実にすることが必要である。
【0004】
これらの特性全てを得るために、ヤーンに構造、とりわけコード(cord)の形態、を提供すること、並びに複数の化学的処理及び熱処理を提供することが必要である。
【0005】
化学的処理の主要な目的は、所与の強化材を、強化材が接触し得る様々なゴムと接着させることである。強化材(ガラス、アラミド、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)など)及びゴム類の種類が存在するのと同様に、処理は様々である。
【0006】
強化テキスタイルをゴムと接着させるための処理の中心であるものは、レゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス又はRFL処理と呼ばれる。この処理は、ラテックス(エラストマー又はポリマーのコロイド状水性分散体)とフェノプラスト又はアミノプラストの種類の熱硬化性樹脂とを混合することを包含するシステムである。このシステムには歴史があり;70年代に広く発展し、好まれる処理として残っている。代替で多くの試みがあったが、今まで、同等の性能を達成する包括的な溶液を提供することはできていない。それは最大の静的接着、すなわち動的付加を伴わない、を得るために最適化されている。
【0007】
合成強化材の場合には、熱処理は、化学的特性(接着)に対する影響を有するが、機械的特性に対する影響も有する。そのことは、他のものとの間で、引き抜き特性に影響を及ぼす。オーブン中での処理は、機械的特性の維持と接着剤の架橋との一致に起因する。
【0008】
従って、全てのこれらの理由のために、機械的特性を確実にするために、新規の処理は現在の処理条件と両立することができるべきである。しかし、低い温度での処理を可能とする接着剤は、特定の適用において新規の及び関心を引く特性を潜在的に提供し、好都合なエネルギー性質を示す。
【0009】
しかし、接着性能を改善するために、又は摩擦抵抗を提供するために、RFLを用いた処理を含む4つにのぼる処理をテキスタイルに適用する必要がある場合がある。これらは次の処理である。
1)フィラメントがマトリックス中にトラップされることを可能とし、フィラメントをそれらの間にブロックする、ヤーンのコア処理。従って、この処理はほつれに対する抵抗を与え、ヤーンを硬くする。
2)接着性を改善するための予備活性化。
3)1層又は2層のRFL処理。
4)商業的な接着促進剤又はエラストマーの溶液の形態のオーバーコート(セメンテーションとも呼ばれる)。
【0010】
従って、形成における任意の変更が、様々な適用のために普通使用される様々な化学的及び熱的(より一般的には、又は物理的)処理の機能性を問題としないということもまた好ましい。
【0011】
上で記載される全ての制約を考えるとき、テキスタイルとゴムとの接着を可能とする好まれる処理として、RFL処理自体を行った。ゴム部分の加硫の間に、接着に包含される現象が利用され、一方でRFL処理自体は数か月前にテキスタイルに適用する場合がある。これが、用語「ボンディング」処理がしばしば使用され、用語「接着」はむしろ接着の状態に関連付けられている理由である。RFLにおいて、ラテックスはエラストマー又はポリマーの水性コロイド状分散体であり、一般に性質においてボンディングされるゴムに類似している。しかし、これらのラテックスは、それ自体は実在する機械的特性を有していない。系の強度を確実にするために、熱硬化性樹脂が添加される。これは、レゾルシノールとホルムアルデヒドとから作られたRF樹脂である。RF樹脂は、その極性によって、テキスタイルへの良好な付着を可能とする。RF樹脂はラテックスがトラップされるメッシュを形成し、系を硬くする。このメッシュは、エラストマー鎖の拡散を可能とするのに十分柔軟なままであり、次いでゴムに対する良好な接着をもたらす(からみあい、分子相互作用、及び加硫の間に起こり得る共架橋)。
【0012】
RFLは、発がん物質と現在考えられているホルマリン及びレゾシノールを含有する。従って、このホルマリンに対する及びレゾシノールに対する、又は全体としてのRFL組成物に対する代替物を見出すことは、関心を引くものである。上で改めて記載されたRFLの複合特性は、その実行の点において、及びRFLを組み入れた最終製品の使用の特性においての両方で、代替の溶液を見出す試みを非常に難しいものとしている。代替物より良く、性能における増強もまた提示するこのような溶液を見出すことは、よりいっそう関心を引くものである。これらは、発明者らが克服することを提示する難点である。
【0013】
従って、本発明の目的は、特にRFLの公知の適用においてRFLを代替する、並びにRFLに近い又は一層良好な性能レベルと、持続可能な開発の観点で及び好都合な経済条件の下で許容可能である構成要素を有する代替物とを提示する、新規の接着性溶液を提供することである。
【発明の概要】
【0014】
中性接着剤として、及びリグノスルホン酸硬化剤と組み合わせてマット(不織物)を製造するための短繊維バインダーとして又は、複数層の木材ベースの製品における接着剤として、リグノスルホン酸が提示される。リグノスルホン酸は、RFLの代替組成物において今まで提案されたことはなく、リグノスルホン酸が、ゴムとのボンディング及び十分な機械的性能を確実にする開発中の接着方式のために適していると分かり得ることを示唆するものはない。
【0015】
従って、本発明の目的は、リグノスルホン酸塩、この塩のアルデヒド硬化剤及び(特にエラストマーの)ポリマーラテックスを含む(又は「に基づく」、「から実質的になる」、又は「からなる」)、テキスタイルのための接着剤又はボンディング組成物である。接着性組成物は、テキスタイルがゴム又は同様のものに接着することを可能とする適したボンディング組成物であってよい。
【0016】
本発明はまた、ゴム又は同様のものに関して強化テキスタイルに接着特性を与える、本発明によるボンディング組成物の使用に関する。
【0017】
本発明はまた、本発明によるボンディング組成物を用いて少なくとも部分的にコーティング及び/又は含浸された強化テキスタイル、特にヤーン、コード又はテキスタイル構造物に関する。
【0018】
本発明はまた、ゴム(又は類似の材料)製の、又はゴム(又は類似の材料)製の部分を含む物品又は部品に関するものであり、ゴムは、本発明による少なくとも1つの強化テキスタイルを表面に含むか、及び/又はゴム若しくはゴムマトリックスの内部に組み込んで含む。
【0019】
本発明の他の目的は、続く詳細な説明を読むにあたり、明らかとなる。
【0020】
従って、本発明の第一の目的は、リグノスルホン酸塩、この塩のアルデヒド硬化剤及びエラストマーのラテックスを含む(又は「に基づく」、「から実質的になる」、又は「からなる」)、テキスタイルのための接着剤又はボンディング組成物である。
【0021】
リグノスルホン酸塩及びリグノスルホン酸塩硬化剤は、本質的に、本明細書において「硬化」と言われる方法で、ともに反応して反応生成物を与える。従って、本発明はまた、エラストマーラテックス、及び典型的には反応又は硬化時間の後に一度に形成された、リグノスルホン酸塩とそのアルデヒド硬化剤との反応生成物から形成されるか若しくはその生成物を含む生成物又は樹脂、を含む組成物に関するものである。「反応生成物」はリグノスルホン酸とアルデヒドとの反応の生成物を意味すると理解され、最終組成物中に入り込むことができるいかなる添加物も含まない。
【0022】
この組成物は、特に、本発明の目的でもある方法によって得ることができ、その方法によれば、3つの原料は撹拌によって混合され、好ましくは、組成物は硬化される。
【0023】
実施例において例示されるように、第一の実施態様によれば、リグノスルホン酸塩は、ラテックスとアルデヒドとで得られる溶液を混合する前に、水中に溶解することができる。この可溶化は、ソーダ及び/又はアンモニア型作用剤を添加することによって、塩基性媒体中で作用することによって促進することができる。1つの方法によれば、リグノスルホン酸塩溶液及びラテックスが最初に混合され、そしてアルデヒドが添加される。調製方法の1つの実施態様において、リグノスルホン酸塩は撹拌によって水中に溶解することができ、pHを塩基性にする作用剤の存在の下で可溶化するまで混合物が撹拌され、次いで、撹拌の間に、撹拌による硬化剤の組み込みの前に、ラテックスが添加され、さらに撹拌しつつ硬化剤が添加される(好ましくは、例えば強い撹拌によって、硬化剤は事前に水中に溶解又は分散されている)。方法は組成物を得ることを可能とし、組成物は硬化され(詳細には複数時間、例えば約2~約48時間、例えば約15~約25℃で)、反応生成物を硬化させる。とりわけ硬化の後、組成物は、使用準備済みのボンディング組成物として使用することができるか、又は要求に応じて希釈することができる。
【0024】
方法の別の実施態様によれば、撹拌しつつラテックスの水性分散体を添加する前に、リグノスルホン酸の及びアルデヒド硬化剤の水性溶液を混合することができる。有利には、例えば水酸化ナトリウム及び/又はアンモニアを添加することによって、ラテックスの組み込みの前に、リグノスルホン酸又はリグノスルホン酸と硬化剤との溶液のpHは塩基性に調節される。次いで、上と同様の条件で、組成物は硬化される。組成物は、とりわけ硬化の後、使用準備済みのボンディング組成物として使用することができるか、又は要求に応じて希釈することができる。
【0025】
理論に拘束されることを望むものではないが、組成物の硬化の際又は硬化の後に、ボンディング組成物は硬化剤とリグノスルホン酸との反応生成物を含む。この組成物は、特に、遊離状態の硬化剤が無いこと又は減少した量であることを特徴とすることができる。硬化条件は、本発明による使用可能なボンディング組成物を得るために適している。特に、これらの条件は、組成物の、マスへの凝固及び過剰に硬化をもたらすものであってはならず、そのような条件は、組成物が対象とするサポートへのその適用のために望ましくない過剰な凝固を与える。特に複数時間の硬化、例えば2~48時間、例えば約15~約25℃の温度での硬化が本明細書において画定された。しかし、使用される原料によっては、例えばボンディング組成物が粘度の点でなどで下で説明される使用のために適したものである範囲で、これらの条件を逸脱することが可能である場合がある。
【0026】
ラテックスは、好ましくはポリマー及び/又はエラストマーの塩基性水性分散体である。ラテックスはまた、中性のpHで、本発明に従って作用することができる。作用するpHの値は、詳細には、組成物のpHに関して下で記載されるものであってよい。
【0027】
用語「エラストマー」は、詳細には、ガラス転移点(Tv)がおおよそ25℃より低いポリマー又はコポリマー鎖を意味すると理解される。エラストマーは結合されてゴム中に、及びボンディング組成物のラテックス中に存在する。「エラストマーラテックス」はエラストマーのコロイド状水性分散体である。
【0028】
「ゴム」又は「エラストマー材料」によって、充填剤、強化材(カーボンブラック、シリカ、カオリンなど)と、可塑剤と、加硫剤(硫黄、過酸化物、金属酸化物及び必要な促進剤)と、問題となっている適用のため(例えば酸素、オゾン、熱、炎、紫外線に対する保護についての実行を易しくするため)の任意の通常の添加剤とのうち1つ又は複数の合成又は天然のエラストマー又はエラストマーゴムから調製される加硫又は架橋生成物が意味される。本発明はまた、合成ゴム及び天然ゴムの両方に関する。エラストマーに基づいて調合されたゴムは、次いで、そのゴムの得られたTvがその部分の操作温度より低い材料である。
【0029】
リグノスルホン酸は、木材の変質から、詳細には「酸性重亜硫酸蒸解法」として公知である方法による製紙パルプの製造のための木材の処理から生じる副生成物である。重亜硫酸を使用するこの方法は、使用される対イオンの性質に応じて、対応するリグノスルホン酸塩を得ることを可能とする。これらのリグノスルホン酸はまた、木材からそれらを製造することを意図する方法に由来する場合もある。
【0030】
好ましくは、ボンディング組成物において、リグノスルホン酸塩は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム又はカルシウムの塩であってよい。
【0031】
例示的な実施態様において、重亜硫酸法によって、例えばLandes(フランス)の海洋マツ(maritime pine)から調製されたリグノスルホン酸が使用される。
【0032】
好ましくは、ボンディング組成物は、ホルムアルデヒド又はホルマリンを含まない。好ましくは、ボンディング組成物はレゾルシノールを含まない。好ましくは、ボンディング組成物は、ホルムアルデヒド若しくはホルマリン又はレゾルシノールを含まない。
【0033】
好ましくは、アルデヒド硬化剤は少なくとも2つの炭素原子を有していて、少なくとも1つのアルデヒド基(-CHO)を伴っていてよい。慣例によれば、CHOの炭素原子は硬化剤化合物の炭素数に含まれる。
【0034】
特に、アルデヒドは、例えば十分な撹拌によって、水溶性であるか、又はそうでないなら水に分散可能であってよい。
【0035】
硬化剤はモノアルデヒド(1つのみの-CHO基)、ジアルデヒド(2つのみの-CHO基)、トリアルデヒド(3つのみの-CHO基)又は非エノール化アルデヒド単位を有するポリマーの形態のポリアルデヒドであってよい。
【0036】
1)モノアルデヒド:主炭素鎖の最大長さが20炭素原子以下であるように炭化水素鎖の末端に位置する1つのアルデヒド基を含有する化合物。鎖の構造は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれかであってよい。
【0037】
1a)直鎖の場合:
鎖長がC2-C20、好ましくはC2-C14であるような全体が飽和されている(アルカン)化合物:
さらに好ましくは化合物:アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール(バレルアルデヒド)、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール(ミリストアルデヒド)のうちの化合物;又は
炭素鎖が完全には共役でない(アルケン鎖)ように及び鎖長がC4~C20、好ましくはC4-C8であるように、1以上の不飽和度を有する化合物:
より具体的には、1の不飽和度を有する鎖
さらに具体的には、以下のシス及びトランス異性体化合物:2-ブテナール(クロトンアルデヒド)、3-ブテナール、2-ヘキセナール、3-ヘキセナール、2-ヘプテナール、3-ヘプテナール、5-ヘプテナール、2-オクテナールのうちの化合物
より具体的には、2以上の不飽和度を有する鎖
さらに具体的には、以下のシス及びトランス異性体化合物:2,4-ペンタジエナール;2,4-ヘキサジエナール、2,4-ヘプタジエナール;3,5-ヘプタジエナール;2,4-オクタジエナール(シス又はトランスの、これらの化合物のそれぞれ)のうちの化合物。
【0038】
1b)分岐鎖の場合(置換基を有する鎖):
ただ炭化水素性である1つ若しくは複数の分枝が存在する、十分に飽和された炭化水素鎖:
より具体的には、主鎖の最大長さがC8、特にC3-C8である
より具体的には、置換基がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルラジカルである
さらに具体的には、以下の化合物:イソブチルアルデヒド;イソバレルアルデヒド;2-メチルブチルアルデヒド;3,5,5-トリメチルヘキサナール、トリメチルアセトアルデヒドから選択される
より具体的には、直鎖の置換基が飽和、不飽和若しくは芳香族の炭化水素環であってよく、それ等自体が置換されていてよく、より正確にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロヘキセニル、フェニルである
さらに具体的には、以下の化合物:フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドロシンナムアルデヒド);2-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドラトロプアルデヒド)、2-メチル-3-(p-イソプロピルフェニル)プロピオンアルデヒド(シクラメンアルデヒド)、ヒドロシンナムアルデヒドから選択される;
1以上の不飽和度を有する、及びただ炭化水素性である1つ若しくは複数の分枝を有する炭化水素鎖:
より具体的には、主鎖の最大長さがC8、特にC3-C8である
より具体的には、置換基がメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルラジカルであってよい
さらに具体的には、以下の化合物:2-メチル-2-ブテナール(チグリンアルデヒド);2,6-ジメチル-5-ヘプテナール(メロナール);2-メチル-2-ペンテナール;α-ヘキシルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒドから選択される
より具体的には、直鎖の置換基が飽和、不飽和若しくは芳香族の炭化水素環であってよく、より具体的にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロヘキセニル、フェニルである
さらに具体的には、以下の化合物:シンナムアルデヒド、α-ヘキシルシンナムアルデヒド、α-アミルシンナムアルデヒド、フェニルシンナムアルデヒドから選択される
より具体的には、直鎖の置換基が芳香族環であり、それら自体が1つ若しくは複数の置換基を芳香族環に含む
さらに具体的には、以下の化合物:メチルシンナムアルデヒド及びその位置異性体から選択される;
ヘテロ原子を含む1つ若しくは複数の分岐鎖を有する、完全に飽和した炭化水素鎖:
より具体的には、主鎖の最大長さがC8、特にC3-C8であり、
より具体的には、置換基が以下の性質のうちのものである:
ヒドロキシル
さらに具体的には以下の化合物:7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナール(ヒドロキシシトロネラール)、D-エリトロースから選択される
エーテル
さらに具体的には以下の化合物:ベンジルオキシアセトアルデヒドから選択される
ハロゲン
;又は
1以上の不飽和度を有する、及びヘテロ原子を含む1つ若しくは複数の分枝を有する炭化水素鎖:
より具体的には、主鎖の最大長さがC8、特にC3-C8である
より具体的には、置換基が以下の性質のうちのものである:
ヒドロキシル
エーテル
エステル
ハロゲン
さらに具体的には以下の化合物:α-ブロモシンナムアルデヒド;α-クロロシンナムアルデヒドから選択される
ヒドロキシ、エーテル、ハロゲン、エステル基によって置換された炭化水素鎖
さらに具体的には以下の化合物:2-ヒドロキシシンナムアルデヒド、4-ヒドロキシシンナムアルデヒド、2-メトキシシンナムアルデヒド、3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシシンナムアルデヒド(シナピルアルデヒド)、4-アセトキシ-3-メトキシシンナムアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシ(コニフェルアルデヒド)、4-クロロシンナムアルデヒド、4-ブロモシンナムアルデヒド、4-フルオロシンナムアルデヒド、2,6-ジフルオロシンナムアルデヒドから選択される。
【0039】
1c)環状アルデヒドの場合:カルバルデヒド類の化合物、すなわちアルデヒド基が直接環に結合されている化合物。環は最大で8個の炭素原子、特に3~8個の炭素原子を含む単環として画定される。より具体的には環は以下の性質であってよい。
全体が炭酸化されていて非芳香族である:
不飽和度を有さない:環は、特にシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンであってよい、及び
環に炭化水素若しくはヘテロ芳香族置換基を有さない
さらに具体的には、以下の化合物:シクロペンタナール、シクロプロパナール、シクロヘキサナール、シクロヘプタナール、シクロオクタナールから選択される
環に炭化水素及び/又はヘテロ原子置換基を有する、又は
1以上の不飽和度を呈する
環に炭化水素若しくはヘテロ芳香族置換基を有さない
環に炭化水素及び/又はヘテロ原子置換基を有する;
ヘテロ原子を有していて非芳香族である:
不飽和度を有さない
環に炭化水素若しくはヘテロ芳香族置換基を有さない
環に炭化水素及び/又はヘテロ原子置換基を有する
1以上の不飽和度を呈する
環に炭化水素若しくはヘテロ芳香族置換基を有さない
環に炭化水素及び/又はヘテロ原子置換基を有する;又は
全体が炭酸化されていて芳香族である:
置換基を有さない
さらに具体的には以下の化合物:ベンズアルデヒドから選択される
1つ以上の炭化水素及び/又はヘテロ原子置換基を有する
置換基はハロゲン性、より詳細には塩素、臭素、ヨウ素であってよい
さらに具体的には以下の化合物:クロロ:4-クロロベンズアルデヒド;3-クロロベンズアルデヒド;2-クロロベンズアルデヒド;2,4-ジクロロベンズアルデヒド;2,5-ジクロロベンズアルデヒド;2,6-ジクロロベンズアルデヒド;3,5-ジクロロベンズアルデヒド;2,3,6-トリクロロベンズアルデヒド;2-ブロモベンズアルデヒド;3-ブロモベンズアルデヒド;4-ブロモベンズアルデヒド;3,4-ジブロモベンズアルデヒド;3,5-ジブロモベンズアルデヒド;2,5-ジブロモベンズアルデヒド;2-ヨードベンズアルデヒド;3-ヨードベンズアルデヒド;4-ヨードベンズアルデヒドから選択される
置換基はアルキル性(C1-C8)、より詳細にはメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニルであってよい
さらに具体的には以下の化合物:2-メチルベンズアルデヒド、3-メチルベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド(トルアルデヒドのo- m- p-異性体);2,4-ジメチルベンズアルデヒド、2,5-ジメチルベンズアルデヒド、2,6-ジメチルベンズアルデヒド;2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド(メシトアルデヒド);4-エチルベンズアルデヒド、2-エチルベンズアルデヒド;ビフェニル-2-カルボキシアルデヒド、ビフェニル-3-カルボキシアルデヒド、ビフェニル-4-カルボキシアルデヒド;2,5-ジ-tertブチル-ベンズアルデヒド;4-tertブチルベンズアルデヒド;4-イソプロピルベンズアルデヒド(クミンアルデヒド)から選択される
置換基はエーテル性、より詳細にはメトキシ、エトキシ、フェノキシ及びベンジルオキシであってよい
さらに具体的には、以下の化合物:アニスアルデヒドの異性体:2-メトキシベンズアルデヒド;3-メトキシベンズアルデヒド及び4-メトキシベンズアルデヒド;ベラトルアルデヒドの異性体:2,3-ジメトキシベンズアルデヒド;2,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2,5-ジメトキシベンズアルデヒド;2,6-ジメトキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;3,5-ジメトキシベンズアルデヒド;2-エトキシベンズアルデヒド;3-エトキシベンズアルデヒド:4-エトキシベンズアルデヒド;3,4-エトキシベンズアルデヒド;3-フェノキシベンズアルデヒド;4-フェノキシベンズアルデヒド;2-ベンジルオキシベンズアルデヒド;3-ベンジルオキシベンズアルデヒド;4-ベンジルオキシベンズアルデヒドから選択される、又は
置換基はヒドロキシル性であってよい
さらに具体的には以下の化合物:2-ヒドロキシベンズアルデヒド(サリチルアルデヒド);3-ヒドロキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシベンズアルデヒド;2,3-ジヒドロキシベンズアルデヒド;2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド;2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(ゲンチスアルデヒド);3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド;3,4,5-トリヒドロキシベンズアルデヒド;2,4,5-トリヒドロキシベンズアルデヒド;2,3,4-トリヒドロキシベンズアルデヒド;2,4,6-トリヒドロキシベンズアルデヒド(フロログルシンアルデヒド)から選択される
芳香族環が複数の置換基を有するとき、これらは異なる性質のものであってよく、上で説明される集団から選択される
さらに具体的には以下の化合物:2-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド
;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド;3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド(イソバニリン);4-ヒドロキシ-2-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン);2,6-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシ-5-ヒドロキシベンズアルデヒド;3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(シリンガルデヒド);4-エトキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;3-エトキシ-4-メトキシベンズアルデヒド;2-エトキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;2-ベンゾイルオキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;3-ベンゾイルオキシ-4-メトキシベンズアルデヒド;4-ベンゾイルオキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;ミリスチシンアルデヒドから選択される;又は
芳香族のヘテロ環である:
置換基を有さない
さらに具体的には以下の化合物:2-ピリジンカルボキシアルデヒド;3-ピリジンカルボキシアルデヒド;4-ピリジンカルボキシアルデヒド;2-チアゾールカルボキシアルデヒド;ピロール-2-カルボキシアルデヒド;3-チオフェンカルボキシアルデヒド;インドール-3-カルボキシアルデヒドから選択される、又は
炭化水素及び/又はヘテロ原子置換基を有する
さらに具体的には以下の化合物:3-メチル-2-チオフェンカルボキシアルデヒド(若しくは3-メチルチオフェン-2-カルボキシアルデヒド);6-メチルピリジンカルボキシアルデヒド;N-ベンジルピリジン-4-カルボキシアルデヒド;1-メチルイミダゾールカルボキシアルデヒドから選択される。
【0040】
2)ジアルデヒド;2つのアルデヒド基を含有する化合物、例えば:
アルデヒド基は、主炭素鎖の最大長さが20炭素原子以下となるように、炭化水素鎖の末端に位置する。鎖は、直鎖、分岐鎖又は環状のC1-C8アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、エーテル又はエステル基で置換されていてよい。
より具体的には、グルタルアルデヒド、ブロモマロンアルデヒド
アルデヒド基を持つ炭素鎖は環状であってよい
より具体的には、テレフタルアルデヒド;o-フタルアルデヒド、m-フタルアルデヒド
形成される構造中の炭素原子の合計の数が20原子より多くなることなく、炭素鎖はヘテロ原子によってともに結合(エーテル結合)されていてよい
より具体的には、4-(4-ホルミルフェノキシ)ベンズアルデヒド;4-(2-ホルミルフェノキシ)ベンズアルデヒド。
【0041】
3)トリアルデヒド:化合物:
トリス(4-ホルミルフェニル)アミン
から選択される3つのアルデヒド基を含有する化合物。
【0042】
4)ポリアルデヒド:非エノール化アルデヒド単位を含有するポリマー鎖から形成される化合物、例えば
アルデヒド単位が、モノマー(ホモポリマー)に存在し、重合反応に関与しない
アルデヒド単位が、モノマー(コポリマー)の少なくとも1つに存在し、重合反応に関与しない
アルデヒド単位が重合後の反応、例えば
溶解
酸化
グラフト
によって得られる。
【0043】
1つの実施態様において、COのαに水素原子を有さないアルデヒドが、エノール化不能であるという理由で、好ましくは選択される。これらのエノール化不能なアルデヒドは、次いで、塩基性条件下でカニッツァロ(Canizzarro)反応を実行して、カルボン酸型の反応中間体をもたらすことができる。
【0044】
これらのエノール化不能な芳香族アルデヒドの好ましい例として以下:
置換されていないものについて:ベンズアルデヒド、
単置換されたものについて:ヒドロキシベンズアルデヒド(及び位置異性体:3-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド);p-アニスアルデヒド(及びo-異性体);p-トルアルデヒド(及びオルト異性体)、
複数置換されたものについて:ベラトルアルデヒド、シリンガルデヒド、クミンアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド;3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド
を記載することができる。
【0045】
シンナムアルデヒドについても記載することができる。
【0046】
アルデヒド硬化剤は、特に、以下の化合物からなる群から選択することができる。すなわち、アセトアルデヒド;プロピオンアルデヒド;ブチルアルデヒド;ペンタナール(バレルアルデヒド);ヘキサナール;へプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;テトラデカナール(ミリストアルデヒド);2-ブテナール(クロトンアルデヒド);3-ブテナール;2-ヘキセナール、3-ヘキセナール;2-ヘプテナール;3-ヘプテナール;5-ヘプテナール;2-オクテナール;2,4-ペンタジエナール;2,4-ヘキサジエナール;2,4-ヘプタジエナール;3,5-ヘプタジエナール;2,4-オクタジエナール;イソブチルアルデヒド;イソバレルアルデヒド;2-メチルブチルアルデヒド;3,5,5-トリメチルヘキサナール;トリメチルアセトアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドロシンナムアルデヒド);2-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドラトロプアルデヒド);2-メチル-3-(p-イソプロピルフェニル)プロピオンアルデヒド(シクラメンアルデヒド);ヒドロシンナムアルデヒド;2-メチル-2-ブテナール(チグリンアルデヒド);2,6-ジメチル-5-ヘプテナール(メロナール);2-メチル-2-ペンテナール;α-ヘキシルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒド;シンナムアルデヒド;α-ヘキシルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒド;フェニルシンナムアルデヒド;メチルシンナムアルデヒド及びその位置異性体;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナール(ヒドロキシシトロネラール);D-エリトロシス;ベンジルオキシアセトアルデヒド;2-ヒドロキシシンナムアルデヒド;4-ヒドロキシシンナムアルデヒド;2-メトキシシンナムアルデヒド;3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシシンナムアルデヒド(シナピルアルデヒド);4-アセトキシ-3-メトキシシンナムアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシシンナムアルデヒド(コニフェルアルデヒド);4-クロロシンナムアルデヒド;4-ブロモシンナムアルデヒド;4-フルオロシンナムアルデヒド;2,6-ジフルオロシンナムアルデヒド;シクロペンタナール;シクロプロパナール;シクロヘキサナール;シクロヘプテナール;シクロオクタナール;ベンズアルデヒド;クロロ:4-クロロベンズアルデヒド;3-クロロベンズアルデヒド;2-クロロベンズアルデヒド;;2,4-ジクロロベンズアルデヒド;2,5-ジクロロベンズアルデヒド;2,6-ジクロロベンズアルデヒド;3,5-ジクロロベンズアルデヒド;2,3,6-トリクロロベンズアルデヒド;2-ブロモベンズアルデヒド;3-ブロモベンズアルデヒド;4-ブロモベンズアルデヒド;3,4-ジブロモベンズアルデヒド;3,5-ジブロモベンズアルデヒド;2,5-ジブロモベンズアルデヒド;2-ヨードベンズアルデヒド;3-ヨードベンズアルデヒド;4-ヨードベンズアルデヒド;2-メチルベンズアルデヒド;3-メチルベンズアルデヒド;4-メチルベンズアルデヒド(トルアルデヒドのo- m- p-異性体);2,4-ジメチルベンズアルデヒド;2,5-ジメチルベンズアルデヒド;2,6-ジメチルベンズアルデヒド;2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド(メシトアルデヒド);4-エチルベンズアルデヒド;2-エチルベンズアルデヒド;ビフェニル-2-カルボキシアルデヒド;ビフェニル-3-カルボキシアルデヒド;ビフェニル-4-カルボキシアルデヒド;2,5-ジ-tertブチル-ベンズアルデヒド;4-tertブチルベンズアルデヒド;4-イソプロピルベンズアルデヒド(クミンアルデヒド);アニスアルデヒドの異性体:2-メトキシベンズアルデヒド;3-メトキシベンズアルデヒド及び4-メトキシベンズアルデヒド;ベラトルアルデヒドの異性体:2,3-ジメトキシベンズアルデヒド;2,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2,5-ジメトキシベンズアルデヒド;2,6-ジメトキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;3,5-ジメトキシベンズアルデヒド;2-エトキシベンズアルデヒド;3-エトキシベンズアルデヒド;4-エトキシベンズアルデヒド;3,4-エトキシベンズアルデヒド;3-フェノキシベンズアルデヒド;4-フェノキシベンズアルデヒド;2-ベンジルオキシベンズアルデヒド;3-ベンジルオキシベンズアルデヒド;4-ベンジルオキシベンズアルデヒド;2-ヒドロキシベンズアルデヒド(サリチルアルデヒド);3-ヒドロキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシベンズアルデヒド;2,3-ジヒドロキシベンズアルデヒド;2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド;2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(ゲンチスアルデヒド);3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド;3,4,5-トリヒドロキシベンズアルデヒド;2,4,5-トリヒドロキシベンズアルデヒド;2,3,4-トリヒドロキシベンズアルデヒド;2,4,6-トリヒドロキシベンズアルデヒド(フロログルシンアルデヒド);2-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド;3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド(イソバニリン);4-ヒドロキシ-2-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン);2,6-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシ-5-ヒドロキシベンズアルデヒド;3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(シリンガルデヒド);4-エトキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;3-エトキシ-4-メトキシベンズアルデヒド;2-エトキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;2-ベンゾイルオキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;3-ベンゾイルオキシ-4-メトキシベンズアルデヒド;4-ベンゾイルオキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;ミリスチシンアルデヒド;2-ピリジンカルボキシアルデヒド;3-ピリジンカルボキシアルデヒド;4-ピリジンカルボキシアルデヒド;2-チアゾールカルボキシアルデヒド;ピロール-2-カルボキシアルデヒド;3-チオフェンカルボキシアルデヒド;インドール-3-カルボキシアルデヒド;3-メチル-2-チオフェンカルボキシアルデヒド;6-メチルピリジンカルボキシアルデヒド;N-ベンジルピリジン-4-カルボキシアルデヒド;1-メチルイミダゾールカルボキシアルデヒド;グルタルアルデヒド;ブロモマロンアルデヒド;テレフタルアルデヒド;o-フタルアルデヒド;m-フタルアルデヒド;4-(4-ホルミルフェノキシ)ベンズアルデヒド;4-(2-ホルミルフェノキシ)ベンズアルデヒド;トリス(4-ホルミルフェニル)アミン、並びにそれらの少なくとも2つの混合物から選択することができる。
【0047】
硬化剤は、特に、ベンズアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、サリチルアルデヒド、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナール、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、3-クロロベンズアルデヒド、4-エチルベンズアルデヒド、4-エチルベンズアルデヒド、4-エチルベンズアルデヒドヘキセナール及びそれらの混合物から選択することができる。
【0048】
ラテックスは、有利には、アクリロニトリル/カルボキシル化ブタジエンコポリマーのラテックス(XNBR)、アクリロニトリル/水素化ブタジエンのラテックス(HNBR)、クロロスルホン化ポリエチレンのラテックス(CSM)、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンコポリマーのラテックス(VPSBR)、スチレン/ブタジエンコポリマーラテックス(SBR)、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーラテックス(NBR)、ポリブタジエンラテックス(BR)、クロロブタジエンラテックス(CR)、天然ゴムラテックス(NR)、ラテックスポリウレタン、又はそれらの少なくとも2つの混合物であってよい。
【0049】
組成物の乾燥物含有率は、特に約2~約38wt%、特に約4~約30wt%、とりわけ約7~約25wt%であってよい。
【0050】
特に、本発明による組成物は、組成物に関して約40~約95wt%、好ましくは約55~約90wt%又は約40~約60、70、80若しくは90wt%のエラストマーを含んでいてよい。
【0051】
他に明示しない限り、組成物は乾燥物として与えられる。
【0052】
組成物において、硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比は、特に約0.1~約3、とりわけ約0.15~約2.5、典型的には約0.4~約1.6であってよい。より低い又はより高い値は選択される硬化剤とリグノスルホン酸との組に応じて可能であると分かる場合があり、当業者はこの説明に基づいてこのパラメーターを決定することができる。
【0053】
組成物において、[硬化剤+リグノスルホン酸塩]/ラテックスの質量比は、特に約0.05~約0.6、とりわけ約0.15~約0.5であってよい。より低い又はより高い値は選択される組成物に応じて可能であると分かる場合があり、当業者はこの説明に基づいてこのパラメーターを決定することができる。
【0054】
有利な特性によれば、組成物は中性又は塩基性のpH、特に約7~約13、特に約9~約13のpHを有する。組成物は、この目的のために、pHを調節することを可能とする添加物、例えばソーダを含んでいてよい。
【0055】
組成物はエラストマーラテックスの水分を含む。水分を例えば含浸によってさらに加えて、従来の用途のために十分に流動性のある適用可能な組成物を作り出すことができる。
【0056】
組成物はまた、特に乾燥質量で0又は0.1~約50%の含有量で、添加物を含んでいてよい。特に、組成物は、接着促進剤(例えばエポキシ、シラン、ブロックイソシアネート)、界面活性剤、分散剤、消泡剤、ワックス(例えばエマルジョン中のマイクロクリスタリン炭化水素ワックス)、充填剤(例えばカーボンブラック、シリカ)、着色剤、金属酸化物(例えばZnO)、エラストマー架橋剤、抗紫外線剤、抗オゾン剤、熱保護剤を含んでいてよい。それらは本発明の接着物に対応している。
【0057】
ボンディング組成物の粘度は、実施例のセクションで詳しく述べるBrookfield粘度計を使用して23℃で測定した場合、特に約1~約5cP(又はmPa・s)、例えば約1.5~約4.5cPであってよい。この粘度は、特に、水含有量を調節することによって、容易に調節することができる。
【0058】
本発明による組成物は、任意のテキスタイルに適用することができる。本発明の意味において、用語「テキスタイル」は連続したモノフィラメントヤーン、連続したマルチフィラメントヤーン、ステープルファイバー、モノフィラメント及び/又はマルチフィラメントの連続した又はチョップドのヤーンの任意の組み合わせ、特にウィック(wick)、従来の撚り糸技術によってこのようなヤーンから形成されたコード、並びに撚ったヤーン又はケーブル化されたヤーンの組み合わせから形成された「テキスタイル構造物」、特にファブリック、グリッド等の形態、を意味すると理解される。本発明による用語「テキスタイル」は、短繊維の不織物又はマットをカバーしない。本発明のテキスタイルは、本発明による組成物で処理されたとき、「強化テキスタイル」という表現で明示される。
【0059】
テキスタイルは有機又は無機の性質であってよい。テキスタイルの種類として、特にガラス(特にEガラス又は高弾性ガラス)、バサルト(basalt)、炭素、アラミド(メタ又はパラ)、ポリビニルアルコール、セルロース、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート、PET)、ポリアミド(PA、特にPA4.6、PA6.6、PA6)、アクリル、ハイブリッド(ともにケーブル化されたアラミドヤーン+ナイロンヤーン;ともにケーブル化されたアクリル+ガラス+銅)などを記載することができる。テキスタイルが複数のヤーンのコード又はテキスタイル構造物であるとき、ヤーンは全て有機又は無機の性質であるか、又はコード若しくはテキスタイル構造物は有機及び無機のヤーンの両方の種類を含んでいてよい。
【0060】
本発明の目的はまた、本発明によるボンディング組成物を適用又は使用して、このようなテキスタイルに、特にエラストマー材料に関するボンディング特性を与えるための方法である。この使用は、本発明による、テキスタイルをボンディングする方法の点から説明される。この使用または方法は、前記組成物をテキスタイル(ヤーン、コード、テキスタイル構造物)に適用すること、次いでそれを乾燥させることを含む。この適用は、下で説明されるように、コーティング、特に含浸によるコーティングのための、産業上の使用における方法によって行うことができる。ラテックスの選択、及びそれゆえに成分であるエラストマーの選択は、有利には、慣例的な処理するために、ゴムの成分であるエラストマーの性質に類似した配合物に寄る傾向がある。
【0061】
使用または方法の他の特性は、特に含浸方法についての一般セクションにおける説明の残りを読むことで明らかとなる。
【0062】
本発明の目的はまた、本発明によるボンディング組成物を用いてコーティング及び/又は含浸された強化テキスタイルである。本発明はまた、前記テキスタイルにボンディング組成物を適用することによって、テキスタイルを処理して強化テキスタイルを製造する方法に関する。
【0063】
本発明の目的は、特に、本発明によるボンディング組成物を用いてコーティング及び/又は含浸されたヤーンである。ヤーンは、組成物の適用及び後者の固化の前又は後に撚られていてよい。ヤーンがマルチフィラメントであるとき、必要であれば、組成物を用いてヤーンをコーティングする前にヤーンを割くこと(当分野の当業者にとって公知の方法によってフィラメントの間隔をあけること)で、ヤーンを十分に含浸することができる。このヤーンは、特に、(乾燥された及び/又は架橋された)硬化したボンディング組成物を含むか、又はそのような組成物を用いてコーティングすることができる。
【0064】
本発明の目的はまた、本発明によるボンディング組成物を用いてコーティング及び/又は含浸された強化テキスタイルである。このコードは、特に、(乾燥された及び/又は架橋された)硬化したボンディング組成物を含むか、又はそのような組成物を用いてコーティングすることができる。
【0065】
コードは、ボンディング組成物を用いてコーティングされていない少なくとも2つのヤーンから形成することができ、一般に、それぞれのヤーンは撚られて、次いでヤーンはケーブル化されて(ともに組み合わされて基となるヤーンの撚りに対して反対の方向に撚られて)、次いでコードはボンディング組成物でコーティングされて、それは適用の後に硬化される。
【0066】
コードはまた、ボンディング組成物を用いてコーティングされた少なくとも2つのヤーンの組み合わせによって形成することができ、一般にそれぞれのヤーンは組成物の固化の後に撚られて、次いでヤーンはケーブル化されて(ともに組み合わされて基となるヤーンの撚りの反対の方向に撚られて);次いで他の処理(オーバーコート又はトップコート)を用いてコードのコーティングを適用することができ、次いでそれを乾燥させることができる。
【0067】
本発明の目的はまた、公知の技術、例えば製織(weaving)によって、又はグリッドの場合には糊付け若しくは溶着によって、ヤーンを組み合わせることによって形成されるテキスタイル構造物に関する。
【0068】
ボンディング組成物は、本発明の意味におけるテキスタイルに、RFL処理のために使用される方法によって、適用することができる。最初に、直接浸すこと(浸漬(dipping))によって又はリックローラー(lick roller)の方法によって含浸が保持される。
【0069】
本発明の目的はまた、本発明による少なくとも1つの強化テキスタイル、特にヤーン、コード及び/又はテキスタイル構造物を含む、ゴム製の物品又は部品(又はゴム部分を有するもの)である。強化テキスタイルは、特に、物品若しくは部品の表面に適用されるか、及び/又は物品若しくは部品の内部に組み込んで適用される。
【0070】
記載されたように、ゴムは、天然又は合成のエラストマー、例えば加硫された(架橋された)天然のゴム(NR若しくはポリイソプレン)又は合成の加硫された(架橋された)ゴム、に基づく加硫性配合物である。合成ゴムの例として、ポリブタジエン(BR)、ポリウレタン(AU又はEU)、ポリクロロプレン(CR)、シリコーン(VMQ、PVMQ)及びフルオロシリコーン(FVMQ)、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー(ニトリルブタジエンゴムのためのNBR)、水素化ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー(HNBR)、スチレン/ブタジエンコポリマー(SBR)、エピクロロヒドリン(ECO又はCO)、ブチル(IIR)、ブロモブチル(BIIR)、クロロブチル(CIIR)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、カルボキシル化ニトリルブタジエンアクリロニトリル(XNBR)、エチレンとアクリル酸メチルとのコポリマー(AEM)、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマー(EVM及びEVA)、ポリアクリル酸(ACM)、フッ素化ゴム(FKM)、ペルフッ素化ゴム(FFKM)、のゴムを記載することができる。
【0071】
ゴムはまた、このようなエラストマーガム(gum)の混合物か又はこのようなエラストマーガムを切断したもの、に基づく加硫性配合物であってよい。
【0072】
ゴムはまた、熱可塑性エラストマーに基づく配合物(「物理架橋性」エラストマー、例えばSBS、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック)であってよい。
【0073】
本発明の目的は、特に、エラストマー又はゴムにその多くが埋め込まれた、本発明によってボンディングされた強化テキスタイル、例えば1つ若しくは複数のヤーン、個別であるか、ケーブル化されているか、そうでなければテキスタイル構造物中で組み合わされているか、又はこれらの分類の複数を含むエラストマー又はゴム製の物品又は部品である。
【0074】
用語「ボンディングされた」は、強化テキスタイルが、特に硬化された(乾燥された及び/又は架橋された)ボンディング組成物を含むか、又はこのようなボンディング組成物を用いてコーティングされていることを意味すると理解される。
【0075】
本発明の目的はまた、エラストマー又はゴム材料の少なくとも1つの表面にボンディングされた本発明によるテキスタイル構造物を含む、エラストマー若しくはゴム製の物品又は部品に関する。
【0076】
本発明の目的はまた、エラストマー又はゴムにおけるマスに組み込まれた、個別であるか、ケーブル化されているか、そうでなければテキスタイル構造物中で組み合わされているか、又はこれらの分類のうち複数である1つ又は複数のヤーンを含む、及び加えてエラストマー又はゴム材料の少なくとも1つの表面にボンディングされた本発明によるテキスタイル構造物を含む、エラストマー又はゴム製の物品又は部品であり、これらの強化テキスタイルは本発明によって接着される。
【0077】
物品として、全てを網羅するわけではないが、本発明によってボンディングされる少なくとも1つの強化テキスタイルを組み込むことができる、特に本発明のボンディング組成物によって処理されるヤーン、コード又はテキスタイル構造物である、ボンディング組成物が接着するか及び/又は物品のエラストマー材料の内部に組み込まれる物品の表面に適用される、以下の物品を記載することができる。すなわち、
ベルト、特に伝動ベルト、歯付きベルト、コンベヤベルト、エレベーターベルト、台形ベルト(trapezoidal belt)。ベルトは、エラストマー又はゴムのマスに埋め込まれたヤーン又はコードを含んでよい。ベルトはまた、ヤーン及びコードの代わりに又はそれらに加えて、表面に、例えば伝動ベルトにおける背に及び運搬ベルトについて背又はノッチに接着しているテキスタイル構造物、特にファブリックを含んでいてよい。
柔軟な又は硬いホース、特に(ブレードされたテキスタイル構造物を含む、1つ編み又は2つ編みの)ブレーキホース、ホース、(ラップされた又はスパイラル状のテキスタイル構造物、すなわちラッピングによって又はスパイラリングによって製造された)工業用ホース、油及びガスを含むホース、ホース(ニット編みされたテキスタイル構造物)。ブレーディング、スパイラリング、ニッティングは、一般に、押出によるパイプの製造の間に行われる。
特殊品:空気ばね(「エアースプリング」)、カイネティックカップリングディスク(kinetic coupling disc)、パイププラグ、補償継手(compensation joint)。
タイヤ:重量物運搬車及びレーシング(racing)。
【0078】
これらの物品のためのゴム組成物の例として:伝動ベルト:EPDM又はCRに基づく;歯付きベルト:HNBR及びCRに基づく;ホース:SBRに基づく、EPDM、NBR/PVCのブレンド、エピクロロヒドリン、又はブチル;エアースプリング:CRに基づく;カイネティックディスク:CR又はNRに基づく;タイヤ:厚肉部が複数の混合物を含み、NR、BR又はSBRに基づく。
【0079】
本発明は、再生可能な非食用原材料の回収に組み込まれるという利点を有する。本発明は、現在では木材及び紙産業からの廃棄物であるリグニンの回収を可能とする。この化合物は完全に無害であり、低コストであり、高い性能を有している。その使用は、食料市場と競合せず、化学物質についての規制の対象ではない。これは農業資源である。
【実施例
【0080】
I部-接着剤配合物の調製の実施例
この部において説明される定義及び測定又は制御方法は、他に明示しない限り、必要に応じて一般に適用することができる。
【0081】
調製物の乾燥抽出物(又は質量濃度)は、画定する乾燥方法による揮発性材料(水、溶媒)の蒸発の後の残留乾燥物の割合と定義する。質量mech=2~5gで採取した濡れたサンプルについて、乾燥器天秤(desiccator balance)を使用して行った。サンプルを、52g・m-2の表面密度及び1.6μmの閾値を有するバインダーフリーのガラス繊維フィルターを含有する事前に秤量したアルミニウムカップ中に配置する。次いで、マスが完全に安定化するまで120℃の温度にさらす。結果をin%で表す。
【0082】
調製物の粘度を、23℃でBrookfield粘度計を使用して測定する。他に明示しない限り、ULA(超低粘度アダプター)モジュール及びNo.1モバイル(低粘度系)を使用して、60rpm(毎分回転数)の速さで行う。
【0083】
水性調製物のpHを、塩基性媒体における測定のために校正したMETLER 340 pH計を使用して、緩衝溶液を使用して測定する。ガラス電極及び3M KCl電解液を使用する。
【0084】
他に記載しない限り、調製物を製造するために使用する水は、70μS/cmより小さい残余伝導率を有する逆浸透質の水である。
【0085】
実施例I-1:ベンズアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド又は3-ヒドロキシベンズアルデヒドに基づく接着剤の調製
本発明の第一の実施態様において、82gのリグノスルホン酸ナトリウム(Arbo N18;Tembec)を、撹拌しつつ1184gの水に溶解し、次いでその溶液に、2.5gの10mass%水酸化ナトリウム溶液を添加して、完全に可溶化するように10分間撹拌を続ける。この溶液を、撹拌しつつ983gのスチレン-ブタジエン-ビニルピリジンコポリマーラテックス(VPSBR)に添加する。硬化剤調製段階の間、全体を撹拌(150rpm)下に保持する。
【0086】
19gのベンズアルデヒドを強く撹拌(300rpm)し、229gの水を徐々に添加して白濁したエマルジョンを形成する。撹拌しつつ、エマルジョンをリグノスルホン酸とラテックスとの調製物に直ちに添加する。完全に均質化するまで、数分間の間撹拌し続ける。
【0087】
12時間の硬化の後、テキスタイル処理のために使用することができる2.5kgの調製物を得た。調製物は、9.6のpH、18.7%の乾燥抽出物及び3.2mPa・sの粘度を有する。
【0088】
同様の方法を、ベンズアルデヒドを含有する2つの他の組成物、4-ヒドロキシベンズアルデヒドを含有する3つの組成物及び3-ヒドロキシベンズアルデヒドを含有する3つの組成物を製造するために、以下のパラメーターを変えて適用した。
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:24%~54.8%
[リグノスルホン酸塩+硬化剤]/ラテックスの質量比:18.4%~24%
組成物中の乾燥ラテックスのmass%:80~84.5%
【0089】
合計で9つの組成物を製造した。
【0090】
実施例I-2:ベンズアルデヒド又は4-ヒドロキシベンズアルデヒドに基づく接着剤の調製
本発明の第二の実施態様において、55gのリグノスルホン酸ナトリウムをコンテナ中に導入して、844gの水を徐々に追加する。溶液を200rpmで撹拌する。次いで、撹拌しつつ、23gの10mass%水酸化ナトリウム溶液及び115gの20mass%アンモニアを調製物に連続的に添加する。混合物を200rpmで10分間撹拌する。
【0091】
撹拌しつつ、リグノスルホン酸の塩基性溶液をスチレン-ブタジエンコポリマー(SBRの濡れたラテックス;942g)と水(179g)との前もって均質化したラテックス調製物に添加する。
【0092】
56gの4-ヒドロキシベンズアルデヒドを強く撹拌(300rpm)し、285gの水を徐々に追加して白濁したエマルジョンを形成する。撹拌しつつ、エマルジョンをリグノスルホン酸とラテックスとの調製物に直ちに添加する。完全に均質化するまで、数分間の間撹拌し続ける。
【0093】
12時間の硬化の後、テキスタイル処理のために使用することができる2.5kgの調製物を得た。調製物は、10.5のpH、19.7%の乾燥抽出物及び4.4mPa・sの粘度を有する。
【0094】
同様の補法を、ベンズアルデヒドを含有する2つの組成物、4-ヒドロキシベンズアルデヒドを含有する1つの他の組成物を製造するために、以下のパラメーターを変えて適用した。
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:88%~102%
[リグノスルホン酸塩+硬化剤]/ラテックスの質量比:20~29%
組成物中の乾燥ラテックスのmass%:78~82%
【0095】
合計で4つの組成物を製造した。
【0096】
実施例I-3:複数の塩基の存在下における、ベンズアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド又は3-ヒドロキシベンズアルデヒドに基づく接着剤を調製する別の方法
本発明の別の実施態様において、撹拌しつつ、30gのリグノスルホン酸ナトリウムを968gの水に溶解することによって、及び30gの10mass%水酸化ナトリウム溶液を添加することによって、リグノスルホン酸ナトリウムの塩基性溶液を調製する。調製物を、200rpmでの撹拌下に10分間置いて、全体を可溶化させる。
【0097】
167gの水をコンテナ中に導入して、次いで200rpmで撹拌することによって、塩基性ラテックス分散体を調製する。1050gのスチレン-ブタジエンコポリマー(SBR)ラテックスを、次いで26gの20mass%アンモニア溶液を、次いで連続的に導入する。撹拌しつつ、塩基性リグノスルホン酸溶液をラテックス分散体に添加する。
【0098】
36gの4-ヒドロキシベンズアルデヒドを強く撹拌(300rpm)し、193gの水を徐々に追加して白濁したエマルジョンを形成する。撹拌しつつ、このエマルジョンをリグノスルホン酸とラテックスとの調製物に直ちに添加する。完全に均質化するまで、数分間の間撹拌し続ける。
【0099】
12時間の硬化の後、テキスタイル処理のために使用することができる2.5kgの調製物を得た。調製物は、9.8のpH、19.8%の乾燥抽出物及び3.5mPa・sの粘度を有する。
【0100】
同様の方法を、ベンズアルデヒドを含有する3つの組成物、4-ヒドロキシベンズアルデヒドを含有する2つの他の組成物及び3-ヒドロキシベンズアルデヒドを含有する3つの組成物を製造するために、以下のパラメーターを変えて適用した。
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:105%~241%
[リグノスルホン酸塩+硬化剤]/ラテックスの質量比:15%~45%
組成物中の乾燥ラテックスのmass%:68~86%
【0101】
合計で9つの組成物を製造した。
【0102】
実施例I-4:ベンズアルデヒドに基づく、添加物を有する希釈した接着剤を調製する方法
本発明の別の実施態様において、撹拌しつつ、33gのリグノスルホン酸ナトリウムを1059gの水に溶解することによって、及び32gの10mass%水酸化ナトリウム溶液を添加することによって、リグノスルホン酸ナトリウムの塩基性溶液を調製する。調製物を、200rpmでの撹拌下に10分間置いて、全体を可溶化させる。
【0103】
155gの水をコンテナ中に導入して、次いで200rpmで撹拌することによって、塩基性ラテックス分散体を調製する。1050gのスチレン-ブタジエンコポリマーラテックス(SBR)を、次いで26gの20mass%アンモニア溶液を、次いで連続的に導入する。撹拌しつつ、塩基性リグノスルホン酸溶液をラテックス分散体に添加する。
【0104】
34gのベンズアルデヒドを強く撹拌(300rpm)し、112gの水を徐々に追加して白濁したエマルジョンを形成する。撹拌しつつ、このエマルジョンをリグノスルホン酸とラテックスとの調製物に直ちに添加する。完全に均質化するまで、数分間の間撹拌し続ける。
【0105】
次いで、819gのこの調製物を採取して、撹拌しつつ、1658gの水中に導入する。次いで、撹拌しつつ、水相中の17gの接着促進剤(ブロックイソシアネート)及び6.4gのワックス(エマルジョン中のマイクロクリスタリン炭化水素ワックス)を添加する。
【0106】
12時間の硬化の後、テキスタイル処理のために使用することができる2.5kgの調製物を得た。調製物は、11.5のpH、6.9%の乾燥抽出物及び1.6mPa・sの粘度を有する。
【0107】
実施例I-5:カリウムリグノスルホン酸及び様々な硬化剤に基づく接着剤の調製の「ワンポット」法
調整のこの方法において、136gのカリウムリグノスルホン酸の水溶液と43gの3-ヒドロキシベンズアルデヒドとを十分に混合する。次いで、強い撹拌をしつつ、1776gの水を混合物にそそぐ。次いで、撹拌しつつ、34gの10mass%水酸化ナトリウム溶液と168gの20mass%アンモニア溶液とを、調製物に連続的に添加する。混合物を10分間の間撹拌し続け、撹拌しつつ、水(173g)中のクロロプレンラテックス(濡れたラテックスCR;1004g)の分散体に添加する。
【0108】
12時間の硬化の後、テキスタイル手法のために使用することができる3.5kgの調製物を得た。調製物は、10.8のpH、20.2%の固体含有量及び2.2mPa・sの粘度を有する。
【0109】
同様の手法を、ベンズアルデヒドを含有する1つの組成物、4-ヒドロキシベンズアルデヒドを単有する2つの組成物及び3-ヒドロキシベンズアルデヒドを含有する1つの他の組成物を製造するために、以下のパラメーターを変えて適用した。
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:13%~64%
[リグノスルホン酸塩+硬化剤]/ラテックスの質量比:20%~47%
組成物中の乾燥ラテックスのmass%:64%~79%
【0110】
合計で5つの組成物を製造した。
【0111】
実施例I-6:高添加物及び異なる硬化剤を有する接着剤の調製の「ワンポット」法
調整のこの方法において、194gのカリウムリグノスルホン酸の水溶液と15gの3-ヒドロキシベンズアルデヒドとを十分に混合する。次いで、強い撹拌をしつつ、1746gの水を混合物にそそぐ。次いで、撹拌しつつ、36gの10mass%水酸化ナトリウム溶液と169gの20mass%アンモニア溶液とを、調製物に連続的に添加する。混合物を10分間の間撹拌し続け、撹拌しつつ、水(182g)中のクロロプレンラテックス(濡れたラテックスCR;1004g)の分散体に添加する。
【0112】
1306gのこの調製物を採取して、撹拌しつつ996gの水に希釈する。次いで、穏やかな撹拌をしつつ、38gの60mass%酸化亜鉛の水性分散体、78gの35mass%カーボンブラックの水性分散体及び83gの接着促進剤(ブロックイソシアネート)を連続的に添加する。
【0113】
12時間の硬化の後、テキスタイル処理のために使用することができる2.5kgの調製物を得た。調製物は、11.5のpH、14.1%の乾燥抽出物及び2.2mPa・sの粘度を有する。
【0114】
同様の手法を、ベンズアルデヒドを含有する3つの組成物、4-ヒドロキシベンズアルデヒドを含有する2つの組成物及び3-ヒドロキシベンズアルデヒドを含有する1つの他の組成物を製造するために、以下のパラメーターを変えて適用した。
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:13%~64%
[リグノスルホン酸塩+硬化剤]/ラテックスの質量比:20%~47%
組成物中の乾燥ラテックスのmass%:48%~59%
【0115】
合計で9つの組成物を製造した。
【0116】
II部 強化テキスタイルの処理
この部において説明される定義及び測定又は制御方法は、他に明示しない限り、必要に応じて一般に適用することができる。処理されたテキスタイルの機械特性、例えば破断引張強度、破断引張伸び、収縮、温度収縮、蒸気収縮、温度収縮力、線質量、荷重率(ディップピックアップ;DPU)、剛性などの機械特性を、テキスタイル産業において大勢である標準に従って測定する。発明者らは、標準のRFLと比較して、新規の処理がこれらの特性の変更をもたらさないことの実証を提示する。
【0117】
本発明の接着剤調製物の接着性能を評価するために、本発明の接着剤調製物を評価する。テキスタイルをコーティングした後、それを、ゴムと接触するテキスタイルの表面に汚れがなく保たれるように、未加硫ゴムマトリックスに沈める。次いで、テキスタイルを含有するマトリックスを圧縮によって、それぞれのゴムに対して特定の温度、時間及び圧力で加硫する。テキスタイル+加硫されたマトリックスの組み合わせは、接着試験片を形成する。
【0118】
様々な国際的な標準、例えばISO36:2017において説明されるように、接着試験片は様々な形態をとることができる。試験片、及び拡大すると接着性を決定するために行われる試験は、例えばTest-T(「引抜試験(pull-out test)」、ASTM D2229-04)、Test-H(標準NF ISO 4647 又はASTM D4776-04による)、ピーリング(引きはがし試験)...の名の下に、当分野における当業者にとって一般に公知である。次いで、テキスタイルの引裂又はゴムマトリックスの引裂の界面接触域(interfacial contact zone)の破壊まで、試片に負荷をかけることによって、試験を行う。次いで、場合によっては試験片の厚さに減じて、破断の際のテキスタイルの外観、最大接着力、平均引き裂き力などの基準によって、接着性を評価する。
【0119】
含浸方法についての一般的な情報
一般に、テキスタイル含浸方法は、接着剤調製物を含有するトレー中で浸すこと(浸漬すること)によって行われる。このような方法の機構は、Gomes A.、Nabih N.、Kramer TらのAdhesion activation of tire textiles by resorcinol formaldehyde free coatings、Rubber World, 5月 2016において例示されている。
【0120】
非処理のヤーン、コード及びケーブルのコイルを、クリールに、ラインの入口に配置することができる。アキュムレーター(accumulator)システムを任意選択で使用することができる。ボンディング組成物の適用のために、ヤーン、コード及びケーブルを、タブに直接浸漬するか、又はリックローラーによって含浸するかのいずれかであってよい。浸すこと又は含浸の後、好ましくは、例えばプレス(パディング)によって、吸い上げ又は泡によって、余剰のウェットな調製物を除去する。次いで、ボンディング組成物の乾燥及び/又は架橋を行う。例えば、コーティングされた含浸テキスタイルにオーブンを通過させて、ボンディング組成物の乾燥及び架橋をさせる。オーブンから取り出した後、テキスタイルに再び含浸工程、次ぐオーブンの通過を受けさせることができ、これらの工程を、詳細には合計4回の含浸となるまで(2、3又は4回)繰り返すことができる。ラインを離れる際、ヤーン、コード又はケーブルは、ワインダーに受け取らせることができる。
【0121】
特に鉱物繊維(ガラス、バサルト、炭素など)のために適した、含浸の別の方法において、櫛(comb)及び/又は「ピッグテール(pig tails)」から作られる誘導システムをクリールの出口で使用することができる。そのことは、マルチフィラメントヤーンの最大の開き(opening)を可能とし、強い含浸を促進する。含浸及び乾燥及び/又は架橋工程の後に、次いでヤーンをライン中で撚る。好ましくは、撚ることは既に処理されたヤーンについて行う。追加の処理を、このように形成されたコードについて行うことができる。
【0122】
異なる方法において、速さは1m/min~150m/minであってよく、30℃~350℃、より具体的には100~300℃、さらに具体的には140~220℃のオーブンの温度であってよい。機械的な張力もまたテキスタイルに適用することができる。他に示さない限り、以下の実施例において、RFLを用いた処理の間に適用する条件と同じ条件の下で、本発明の目的のボンディング組成物を用いてテキスタイルを処理した。
【0123】
実施例II-1:
本発明の調製の実施例において、発明者らは、ブレーキパイプにおいて、ブレードして、巻いて、ラップして又はニット編みして、強化材として使用することができる溶液を提供することを始める。このために、95Z撚りを、1100dtexの繊度(titre)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)ヤーンに適用した。
【0124】
得られたヤーンを本発明の目的の接着剤中での含浸によって、次いでオーブン中での加熱硬化によって処理した。本実施例において使用する接着剤は20%の固体濃度を有する。
【0125】
接着剤によって含浸された異なるヤーンを、普通はブレーキパイプにおいて使用される2つのゴム混合物の接着について評価した。第一のものは、過酸化物によって促進されたEPDM混合物、硬度90ショアAである。第二のものは、硫黄によって加硫された硬度90ショアAのEPDM混合物である。圧縮成形によって試験片を製造した。ヤーンをRFLで含浸して、同様の条件の下で製造して、比較の接着値を得た。
【0126】
実施例I-1、I-2及びI-3のそれぞれの異なる接着剤で処理されたPETヤーンは、RFLで含浸した比較ヤーンと比べて、十分な接着のレベルを示した。得られた値を表Iに提示していて、比較RFLヤーンで得られた接着性に対する接着性を%として表現している。
【0127】
【表1】
【0128】
実施例II-2:
本発明の調製の実施例において、発明者らは、組み立て品、例えば伝動ベルト又はコンベヤベルトにおける強化材として使用することができる溶液を提供することを目的とした。このような強化材は、エッジの露出の間のほつれを制限する目的の第一の処理を必要とする。
【0129】
このために、撚り、次いでケーブル化の連続した工程によって、構造物470/5×3dtex(100/125)のポリアミド(PA)4~6のケーブルを作った。得られたコードを、トルエン中のメチレンジフェニルジイソシアネートの溶液中での第一の含浸によって処理し、次いでオーブン中での乾燥及び熱硬化をさせた。次いで、20%の乾燥物質量濃度で、通常適用されるRFL処理の代わりに、本発明の接着剤を含有するタンク中でコードを含浸した。
【0130】
得られた異なる接着剤で含浸した異なるヤーンを、ベルトの製造のために使用することができる2つのゴム混合物についての接着について評価した。第一のものは、促進された過酸化物EPDMのブレンドである。第二のものは、金属酸化物で加硫されたCRに基づく混合物である。圧縮成形によって試験片を製造した。ヤーンをRFLで含浸して、同様の条件の下で製造して、比較の接着値を得た。
【0131】
実施例I-1、I-2及びI-3の異なる接着剤で処理したポリアミド4~6コードは、RFLで含浸された比較ヤーンと比べて、十分なEPDMに対する接着のレベルを示した。実施例I-5の様々な接着剤で処理されたポリアミド4~6ヤーンは、十分なCR混合物に対する接着のレベルを示した。得られた接着レベル、並びに破壊特性の観察は、評価された接着剤がテキスタイルに適用された第一の処理と両立可能であることを示している。
【0132】
得られた接着値を表IIに提示していて、比較RFLヤーンで得られた接着性に対する接着性を%として表現している。
【0133】
【表2】
【0134】
実施例II-3:
本発明の調製の実施例において、発明者らは、プロファイル及びシール、例えば窓又は扉のシールにおける強化材として使用することができる発明を提供することを始める。このような強化材は、ボンディング組成物が両立しなければならないサイズを含有するガラスヤーンから製造する。
【0135】
このことをするために、RFLの代わりに、本発明の接着剤を含有するトレー中で、136tex強度の幾つかのEガラスヤーンをデロンページ及び含浸させた。本実施例において、7~20%の質量濃度を有する接着剤を評価した。含浸したヤーンを、オーブン中で乾燥及び熱硬化させた。オーブンから取り出す際、ヤーンに、Z方向に135回転/メートルの撚りをヤーンに与える撚り操作をした。次いで、3つの含浸した撚り糸を、ともに一方向に及び135Sレベルに撚る。従って、処理されたガラスヤーンは目に見える損傷を示さないか、又は処理ラインに余剰の汚損をもたらす。このことは、機械的保護特性を含む接着剤の能力が、RFLと同一の特性を与えることを示す。
【0136】
得られた様々な接着剤で含浸した様々なヤーンを、普通は押出によって使用される、EPDMゴム混合物への接着について評価した。ヤーンをRFLで含浸して、同様の条件の下で製造して、比較の接着値を得た。
【0137】
実施例I-2、I-3及びI-4Eの異なる接着剤で処理したEガラスコードは、RFLで含浸した比較ヤーンと比べて、十分なEPDMに対する接着レベルを示した。得られた接着レベル、並びに破壊パターンの観察は、評価した接着剤がガラスサイジングと両立可能であることを示している。
【0138】
得られた接着値を表IIIに提示していて、比較RFLヤーンで得られた接着性に対する接着性を%として表現している。
【0139】
【表3】
【0140】
実施例II-4
本発明の調製の例において、発明者らは、タイヤにおいて放射状の強化材として使用することができる発明を提示することを始める。このような強化材は、活性化と呼ばれる前処理を必要とするp-アラミドヤーンからなり、要求される接着のレベルを得ることを可能とする。
【0141】
このために、撚り、次いでケーブル化の連続した工程によって、構造物1680/1×3dtex(240/240)のp-アラミドコードを作った。得られたコードを、ポリエポキシドに基づく「活性化」と呼ばれる、水性調製物中での第一の含浸によって処理し、次いでオーブン中での乾燥及び熱硬化をさせた。次いで、7~20mass%の乾燥物濃度で、通常適用されるRFL処理の代わりに、本発明の接着剤を含有するトレー中でコードを含浸した。このように処理したコードは、優れた均一性の目に見える外観を示し、本発明による接着剤処理と予備活性処理との間の良好な両立可能性を示した。
【0142】
得られた異なる接着剤で含浸した異なるヤーンを、「重荷重用(heavy-duty)」タイヤにおいて使用することができる、SBRとNRとのブレンドに基づくゴム混合物への接着について評価した。ヤーンをRFLで含浸して、同様の条件の下で製造して、比較接着値を得た。
【0143】
実施例I-1~I-4の接着剤で処理したp-アラミドコードは、RFLで含浸された比較ヤーンと比べて、十分なゴムに対する接着のレベルを示した。実施例I-2及びI-3の接着剤で処理したp-アラミドコードは、通常適用のこの種類について要求される接着のレベルより低いが15N/mmより大きい値で優れたままである接着レベルを示した。破壊パターンの観察は、テキスタイル上の残留ゴムの存在によって、これらのレベルを確かにする。
【0144】
得られた接着値を表IVに提示していて、比較RFLヤーンで得られた接着性に対する接着性を%として表現している。
【0145】
【表4】
【0146】
実施例3
他に明示しない限り、使用するアルミニウムカップは、43mmの直径及び12mmの深さを有する。
【0147】
METTLER TOLEDOのDSC3+ STARe SYSTEM装置を使用して、示差走査熱量測定によって、ガラス転移温度を測定する。測定したガラス転移点は、ガラス転移の中央に位置する温度である。80ml毎分での窒素フローの下で、サンプルをDSC装置中に配置する。次いで、それを25℃から190℃(20℃毎分)でのベーキング(baking)、次いで190℃から25℃(20℃毎分)での冷却、25℃で5分間の保持、次いで、ベーキングした製品のガラス転移を測定する間の25℃から300℃(20℃毎分)での第二の昇温をする。
【0148】
III 1部 リグノスルホン酸塩及びアルデヒド硬化剤を含む配合物の調製の実施例
実施例III-1-1(比較):水酸化ナトリウムが存在し、アルデヒド硬化剤が存在しない下でのリグノスルホン酸塩を含む配合物の調製
40gのリグノスルホン酸ナトリウム(Arbo N18;Tembec)を、撹拌しつつ、59gの水と1gの10mass%水酸化ナトリウムの溶液に溶解する。溶液を撹拌しつつ10分間保持して、完全に可溶化させる。
【0149】
わずかなグラム数の組成物をアルミニウムカップ中に導入して、そのカップをフードの下で、室温で24時間、次いでオーブン中で105℃で15分配置して、次いでオーブン中で180℃に加熱して、180℃で5分間安定化して、ベーキングした製品を得ることを可能とする。
【0150】
次いで、このベーキングした製品をDSC装置中に配置して、上で説明したようにガラス転移温度を測定する。
【0151】
測定したガラス転移温度は、±1℃の精度で155℃である。
【0152】
実施例III-1-2(比較):アンモニアが存在し、アルデヒド硬化剤が存在しない下でのリグノスルホン酸塩を含む配合物の調製
40gのリグノスルホン酸ナトリウム(Arbo N18;Tembec)を、撹拌しつつ、55gの水と5gの20mass%アンモニア溶液に溶解する。溶液を撹拌しつつ10分間保持して、完全に可溶化させる。
【0153】
わずかなグラム数の組成物をアルミニウムカップ中に導入して、そのカップをフードの下で、室温で24時間、次いでオーブン中で105℃で15分間配置して、次いでオーブン中で180℃に加熱して、180℃で5分間安定化して、ベーキングした製品を得ることを可能とする。
【0154】
次いで、この熱した製品をDSC装置中に配置して、上で説明したようにガラス転移温度を測定する。
【0155】
測定したガラス転移温度は、±1℃の精度で160℃である。
【0156】
実施例III-1-3:水酸化ナトリウムが存在し、アルデヒド硬化剤が存在する下でのリグノスルホン酸塩を含む配合物の調製
60gのリグノスルホン酸ナトリウム(Arbo N18;Tembec)を、撹拌しつつ、177gの水と3gの10mass%水酸化ナトリウムの溶液に溶解する。溶液を撹拌しつつ10分間保持して、完全に可溶化させる。次いで、60gのベンズアルデヒドをリグノスルホン酸調製物に添加して、完全に均質化するまで撹拌する。
【0157】
わずかなグラム数の組成物をアルミニウムカップ中に導入して、そのカップをフードの下で、室温で24時間、次いでオーブン中で105℃で15分配置して、次いでオーブン中で180℃に加熱して、180℃で5分間安定化して、ベーキングした製品を得ることを可能とする。
【0158】
次いで、このベーキングした製品をDSC装置中に配置して、上で説明したようにガラス転移温度を測定する。
【0159】
同様の方法を、ベンズアルデヒドを含有する2つの他の組成物、トランス-2-ヘキセナールを含有する2つの組成物、2-メチルブチルアルデヒドを含有する2つの組成物、サリチルアルデヒドを含有する2つの組成物、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナールを含有する2つの組成物、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドを含有する2つの組成物、3-クロロベンズアルデヒドを含有する2つの組成物及び4-エチルベンズアルデヒドを含有する2つの組成物を製造するために、硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比を50%~150%で変えることによって適用した。
【0160】
合計で17の組成物を製造した。
【0161】
【表5】
【0162】
これらのベーキングした製品は、実施例III-1-1の比較のベーキングした製品のガラス転移温度より高いガラス転移温度を示す。比較材に対するガラス転移温度におけるこの増加は、アルデヒドがリグノスルホン酸塩を硬化したことを示す。
【0163】
【表6】
【0164】
実施例III-1-4:アンモニアが存在し、アルデヒド硬化剤が存在する下でのリグノスルホン酸塩を含む配合物の調製
リグノスルホン酸塩及びベンズアルデヒド硬化剤を含む配合物の調製
【0165】
60gのリグノスルホン酸ナトリウム(Arbo N18;Tembec)を、撹拌しつつ、165gの水と15gの20mass%アンモニアの溶液に溶解する。溶液を撹拌しつつ10分間保持して、完全に可溶化させる。次いで、60gのベンズアルデヒドをリグノスルホン酸調製物に添加して、完全に均質化するまで撹拌する。
【0166】
わずかなグラム数の組成物をアルミニウムカップ中に導入して、そのカップをフードの下で、室温で24時間、次いでオーブン中で105℃で15分配置して、次いでオーブン中で180℃に加熱して、180℃で5分間安定化して、ベーキングした製品を得ることを可能とする。
【0167】
次いで、この熱した製品をDSC装置中に配置して、上で説明したようにガラス転移温度を測定する。
【0168】
同様の方法を、ベンズアルデヒドを含有する2つの他の組成物、トランス-2-ヘキセナールを含有する2つの組成物、2-メチルブチルアルデヒドを含有する2つの組成物、サリチルアルデヒドを含有する2つの組成物、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナールを含有する2つの組成物、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドを含有する2つの組成物、クロロベンズアルデヒドを含有する2つの組成物及び4-エチルベンズアルデヒドを含有する2つの組成物を製造するために、硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比を50%~150%で変えることによって適用した。
【0169】
19の合計の製品を製造した。
【0170】
【表7】
【0171】
これらのベーキングした製品は、実施例III-1-2の比較のベーキングした製品のガラス転移温度より高いガラス転移温度を示す。比較材に対するガラス転移温度におけるこの増加は、アルデヒドがリグノスルホン酸塩を硬化したことを示す。
【0172】
【表8】
【0173】
III 2部 接着剤配合物の調製の実施例
実施例III-2-1:スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンコポリマーラテックス(VPSBR)に基づく接着剤の調製
127.1gの水及び37.5gの実施例1-3の組成物を、撹拌しつつ、35.0gの乾燥したVPSBRと50.4gの水とを含む85.4gのスチレン-ブタジエン-ビニルピリジンコポリマーラテックスに添加する。完全に均質化するまで、数分間撹拌を保持する。12時間の硬化の後、テキスタイル処理のために使用することができる250gの調製物を得た。調製物は、9.7のpH、16.5%の乾燥抽出物及び2.7cPの粘度を有する。
【0174】
同様の方法を適用して、実施例1-3及び実施例1-4の組成物の全てから、37の他の組成物を製造した。これらの組成物の中で、6つはベンズアルデヒドを含有し、4つの組成物はトランス-2-ヘキセナールを含有し、4つの組成物は2-メチルブチルアルデヒドを含有し、4つの組成物はサリチルアルデヒドを含有し、4つの組成物は7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナールを含有し、4つの組成物はシクロヘキサンカルボキシアルデヒドを含有し、4つの組成物はクロロベンズアルデヒドを含有し、4つの組成物は4-エチルベンズアルデヒドを含有していて、以下のパラメーターを変えている。
組成物中の乾燥ラテックスのmass%:約70%
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:50~150%
(リグノスルホン酸塩+硬化剤)/ラテックスの質量比:約43%
【0175】
合計で34の組成物を製造し、以下の特性を有する。
7.8~10.4のpH
1.9~3.0cPの粘度
【0176】
実施例III-2-2:クロロプレンラテックス(CR)に基づく接着剤の調製
153.2gの水及び37.5gの実施例1-3の組成物を、撹拌しつつ、35gの乾燥したCRと24.3gの水とを含む59.3gのクロロプレンラテックスに添加する。完全に均質化するまで、数分間撹拌を保持する。12時間の硬化の後、テキスタイル処理のために使用することができる250gの調製物を得た。調製物は、10のpH、17.4%の乾燥抽出物及び2.1cPの粘度を有する。
【0177】
同様の方法を適用して、実施例1-3及び実施例1-4の組成物の全てから、37の他の組成物を製造した。これらの組成物の中で、6つはベンズアルデヒドを含有し、4つの組成物はトランス-2-ヘキセナールを含有し、4つの組成物は2-メチルブチルアルデヒドを含有し、4つの組成物はサリチルアルデヒドを含有し、4つの組成物は7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナールを含有し、4つの組成物はシクロヘキサンカルボキシアルデヒドを含有し、4つの組成物はクロロベンズアルデヒドを含有し、4つの組成物は4-エチルベンズアルデヒドを含有していて、以下のパラメーターを変えている。
組成物中の乾燥ラテックスのmass%:約70%
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:50~150%
(リグノスルホン酸塩+硬化剤)/ラテックスの質量比:約43%
【0178】
合計で34の組成物を製造し、以下の特性を有する。
7.9~10.4のpH
1.7~2.6cPの粘度
【0179】
実施例III-2-3:スチレン-ブタジエンコポリマーラテックス(SBR)に基づく接着剤の調製
127.1gの水及び37.5gの実施例1-3の組成物を、撹拌しつつ、35.0gの乾燥SBRと50.4gの水とを含むスチレン-ブタジエンコポリマーラテックスに添加する。完全に均質化するまで、数分間撹拌を保持する。12時間の硬化の後、テキスタイル処理のために使用することができる250gの調製物を得た。調製物は、9.1のpH、16.7%の乾燥抽出物及び2.1cPの粘度を有する。
【0180】
同様の方法を適用して、実施例1-3及び実施例1-4の組成物の全てから、37の他の組成物を製造した。これらの組成物の中で、6つはベンズアルデヒドを含有し、4つの組成物はトランス-2-ヘキセナールを含有し、4つの組成物は2-メチルブチルアルデヒドを含有し、4つの組成物はサリチルアルデヒドを含有し、4つの組成物は7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナールを含有し、4つの組成物はシクロヘキサンカルボキシアルデヒドを含有し、4つの組成物はクロロベンズアルデヒドを含有し、4つの組成物は4-エチルベンズアルデヒドを含有していて、以下のパラメーターを変えている。
組成物中の乾燥ラテックスのmass%:約70%
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:50~150%
(リグノスルホン酸塩+硬化剤)/ラテックスの質量比:約43%
【0181】
合計で34の組成物を製造し、以下の特性を有する。
7.7~10.2のpH
2.0~3.1cPの粘度
【0182】
実施例III-2-4:ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー(NBR)のラテックスに基づく接着剤の調製
138.0gの水及び37.5gの実施例1-3の組成物を、撹拌しつつ、35.0gの乾燥NBRと39.5gの水とを含む、74.5gのブタジエン-アクリロニトリルコポリマーのラテックスに添加する。完全に均質化するまで、数分間撹拌を維持する。12時間の硬化の後、テキスタイル処理のために使用することができる250gの調製物を得た。調製物は、9.7のpH、17.5%の固体含有量及び2.6cPの粘度を有する。
【0183】
同様の方法を適用して、実施例1-3及び実施例1-4の組成物の全てから、37の他の組成物を製造した。これらの組成物の中で、6つはベンズアルデヒドを含有し、4つの組成物はトランス-2-ヘキセナールを含有し、4つの組成物は2-メチルブチルアルデヒドを含有し、4つの組成物はサリチルアルデヒドを含有し、4つの組成物は7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナールを含有し、4つの組成物はシクロヘキサンカルボキシアルデヒドを含有し、4つの組成物はクロロベンズアルデヒドを含有し、4つの組成物は4-エチルベンズアルデヒドを含有していて、以下のパラメーターを変えている。
組成物中の乾燥ラテックスのmass%:約70%
硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比:50~150%
(リグノスルホン酸塩+硬化剤)/ラテックスの質量比:約43%
【0184】
合計で34の組成物を製造し、以下の特性を有する。
7.8~10.1のpH
2.1~3.0cPの粘度
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)リグノスルホン酸塩とリグノスルホン酸塩のアルデヒド硬化剤との反応の生成物及びエラストマーラテックスを含み、アルデヒドが少なくとも2つの炭素原子を有する、テキスタイルのためのボンディング組成物。
(付記2)リグノスルホン酸塩が、リグノスルホン酸ナトリウム、リグノスルホン酸カリウム、リグノスルホン酸マグネシウム、リグノスルホン酸アンモニウム又はリグノスルホン酸カルシウムである、付記1に記載の組成物。
(付記3)硬化剤が、モノアルデヒド、すなわち主炭素鎖の最大長さが20炭素原子以下であるように炭化水素鎖の末端に位置する1つのアルデヒド基を含有する、鎖が直鎖、分岐鎖若しくは環状であることができる化合物;ジアルデヒド、すなわちアルデヒド基が炭化水素鎖の末端に位置して主炭素鎖の最大長さが20原子以下であるように、2つのアルデヒド基を含有する化合物;トリアルデヒド;又は非エノール化アルデヒド単位を含有するポリマー鎖から形成されるポリアルデヒドである、付記1又は2に記載の組成物。
(付記4)アルデヒドが、アセトアルデヒド;プロピオンアルデヒド;ブチルアルデヒド;ペンタナール(バレルアルデヒド);ヘキサナール;へプタナール;オクタナール;ノナナール;デカナール;ウンデカナール;ドデカナール;トリデカナール;テトラデカナール(ミリストアルデヒド);2-ブテナール(クロトンアルデヒド);3-ブテナール;2-ヘキセナール、3-ヘキセナール;2-ヘプテナール;3-ヘプテナール;5-ヘプテナール;2-オクテナール;2,4-ペンタジエナール;2,4-ヘキサジエナール;2,4-ヘプタジエナール;3,5-ヘプタジエナール;2,4-オクタジエナール;イソブチルアルデヒド;イソバレルアルデヒド;2-メチルブチルアルデヒド;3,5,5-トリメチルヘキサナール;トリメチルアセトアルデヒド;フェニルアセトアルデヒド;3-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドロシンナムアルデヒド);2-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドラトロプアルデヒド);2-メチル-3-(p-イソプロピルフェニル)プロピオンアルデヒド(シクラメンアルデヒド);ヒドロシンナムアルデヒド;2-メチル-2-ブテナール(チグリンアルデヒド);2,6-ジメチル-5-ヘプテナール(メロナール);2-メチル-2-ペンテナール;α-ヘキシルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒド;シンナムアルデヒド;α-ヘキシルシンナムアルデヒド;α-アミルシンナムアルデヒド;フェニルシンナムアルデヒド;メチルシンナムアルデヒド及びその位置異性体;7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナール(ヒドロキシシトロネラール);D-エリトロシス;ベンジルオキシアセトアルデヒド;2-ヒドロキシシンナムアルデヒド;4-ヒドロキシシンナムアルデヒド;2-メトキシシンナムアルデヒド;3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシシンナムアルデヒド(シナピルアルデヒド);4-アセトキシ-3-メトキシシンナムアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシシンナムアルデヒド(コニフェルアルデヒド);4-クロロシンナムアルデヒド;4-ブロモシンナムアルデヒド;4-フルオロシンナムアルデヒド;2,6-ジフルオロシンナムアルデヒド;シクロペンタナール;シクロプロパナール;シクロヘキサナール;シクロヘプテナール;シクロオクタナール;ベンズアルデヒド;クロロ:4-クロロベンズアルデヒド;3-クロロベンズアルデヒド;2-クロロベンズアルデヒド;2,4-ジクロロベンズアルデヒド;2,5-ジクロロベンズアルデヒド;2,6-ジクロロベンズアルデヒド;3,5-ジクロロベンズアルデヒド;2,3,6-トリクロロベンズアルデヒド;2-ブロモベンズアルデヒド;3-ブロモベンズアルデヒド;4-ブロモベンズアルデヒド;3,4-ジブロモベンズアルデヒド;3,5-ジブロモベンズアルデヒド;2,5-ジブロモベンズアルデヒド;2-ヨードベンズアルデヒド;3-ヨードベンズアルデヒド;4-ヨードベンズアルデヒド;2-メチルベンズアルデヒド;3-メチルベンズアルデヒド;4-メチルベンズアルデヒド(トルアルデヒドのo- m- p-異性体);2,4-ジメチルベンズアルデヒド;2,5-ジメチルベンズアルデヒド;2,6-ジメチルベンズアルデヒド;2,4,6-トリメチルベンズアルデヒド(メシトアルデヒド);4-エチルベンズアルデヒド;2-エチルベンズアルデヒド;ビフェニル-2-カルボキシアルデヒド;ビフェニル-3-カルボキシアルデヒド;ビフェニル-4-カルボキシアルデヒド;2,5-ジ-tertブチル-ベンズアルデヒド;4-tertブチルベンズアルデヒド;4-イソプロピルベンズアルデヒド(クミンアルデヒド);アニスアルデヒドの異性体:2-メトキシベンズアルデヒド;3-メトキシベンズアルデヒド及び4-メトキシベンズアルデヒド;ベラトルアルデヒドの異性体:2,3-ジメトキシベンズアルデヒド;2,4-ジメトキシベンズアルデヒド;2,5-ジメトキシベンズアルデヒド;2,6-ジメトキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシベンズアルデヒド;3,5-ジメトキシベンズアルデヒド;2-エトキシベンズアルデヒド;3-エトキシベンズアルデヒド;4-エトキシベンズアルデヒド;3,4-エトキシベンズアルデヒド;3-フェノキシベンズアルデヒド;4-フェノキシベンズアルデヒド;2-ベンジルオキシベンズアルデヒド;3-ベンジルオキシベンズアルデヒド;4-ベンジルオキシベンズアルデヒド;2-ヒドロキシベンズアルデヒド(サリチルアルデヒド);3-ヒドロキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシベンズアルデヒド;2,3-ジヒドロキシベンズアルデヒド;2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド;2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド(ゲンチスアルデヒド);3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド;3,4,5-トリヒドロキシベンズアルデヒド;2,4,5-トリヒドロキシベンズアルデヒド;2,3,4-トリヒドロキシベンズアルデヒド;2,4,6-トリヒドロキシベンズアルデヒド(フロログルシンアルデヒド);2-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド;3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド(イソバニリン);4-ヒドロキシ-2-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン);2,6-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド;3,4-ジメトキシ-5-ヒドロキシベンズアルデヒド;3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド(シリンガルデヒド);4-エトキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;3-エトキシ-4-メトキシベンズアルデヒド;2-エトキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;2-ベンゾイルオキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;3-ベンゾイルオキシ-4-メトキシベンズアルデヒド;4-ベンゾイルオキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;ミリスチシンアルデヒド;2-ピリジンカルボキシアルデヒド;3-ピリジンカルボキシアルデヒド;4-ピリジンカルボキシアルデヒド;2-チアゾールカルボキシアルデヒド;ピロール-2-カルボキシアルデヒド;3-チオフェンカルボキシアルデヒド;インド
ール-3-カルボキシアルデヒド;3-メチル-2-チオフェンカルボキシアルデヒド;6-メチルピリジンカルボキシアルデヒド;N-ベンジルピリジン-4-カルボキシアルデヒド;1-メチルイミダゾールカルボキシアルデヒド;グルタルアルデヒド;ブロモマロンアルデヒド;テレフタルアルデヒド;o-フタルアルデヒド;m-フタルアルデヒド;4-(4-ホルミルフェノキシ)ベンズアルデヒド;4-(2-ホルミルフェノキシ)ベンズアルデヒド;トリス(4-ホルミルフェニル)アミンから選択される、付記2に記載の組成物。
(付記5)アクリロニトリル/カルボキシル化ブタジエンコポリマーのラテックス(XNBR)、アクリロニトリル/水素化ブタジエンのラテックス(HNBR)、クロロスルホン化ポリエチレンのラテックス(CSM)、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジンコポリマーのラテックス(VPSBR)、スチレン/ブタジエンコポリマーのラテックス(SBR)、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーラテックス(NBR)、ポリブタジエン(BR)ラテックス、クロロブタジエン(CR)ラテックス、天然ゴムラテックス(NR)、ポリウレタンラテックス又はそれらの少なくとも2つの混合物を含む、付記1~4のいずれか1項に記載の組成物。
(付記6)組成物の乾燥物の質量含有率が、特に約2~約38%、特に約4~約30%、より特には約7~約25%であることができる、付記1~5のいずれか1項に記載の組成物。
(付記7)組成物を基準として、約40~約95wt%、好ましくは約55~約90wt%のエラストマーを含む、付記1~6のいずれか1項に記載の組成物。
(付記8)硬化剤/リグノスルホン酸塩の質量比が、特に約0.1~約3、より特には約0.15~約2.5であることができる、付記1~7のいずれか1項に記載の組成物。
(付記9)[硬化剤+リグノスルホン酸塩]/ラテックスの質量比が、特に約0.05~約0.6;より特には約0.15~約0.5であることができる、付記1~8のいずれか1項に記載の組成物。
(付記10)中性又は塩基性のpH、特に約7~約13、特に約9~約13のpHを有する、付記1~9のいずれか1項に記載の組成物。
(付記11)強化テキスタイルにゴムに対する接着特性を与えるための、付記1~10のいずれか1項に記載の組成物の使用。
(付記12)付記1~10のいずれか1項に記載のボンディング組成物で少なくとも部分的にコーティング及び/又は含浸された強化テキスタイル、特にヤーン、コード又はテキスタイル構造物。
(付記13)ゴム部品又はゴムを含む部品であって、ゴムが付記12に記載の少なくとも1つの強化テキスタイルを表面に含むか、及び/又はゴム中に組み込んで含む部品。