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特許7393348(1-(3-フルオロ-2(トリフルオロメチル)イソニコチニル)ピぺリジン―4-オン)を作製するためのプロセス及び中間体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】(1-(3-フルオロ-2(トリフルオロメチル)イソニコチニル)ピぺリジン―4-オン)を作製するためのプロセス及び中間体
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/06 20060101AFI20231129BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20231129BHJP
   A61K 31/519 20060101ALN20231129BHJP
   A61P 29/00 20060101ALN20231129BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20231129BHJP
   A61P 37/02 20060101ALN20231129BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20231129BHJP
【FI】
C07D401/06 CSP
C07D487/04 140
A61K31/519
A61P29/00
A61P35/00
A61P37/02
A61P43/00 111
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2020562089
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019015582
(87)【国際公開番号】W WO2019152374
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-28
(31)【優先権主張番号】62/623,664
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505193450
【氏名又は名称】インサイト・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】デンジン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ピンリー・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンジョン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】ジアチェン・チョウ
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-522214(JP,A)
【文献】特開2012-102140(JP,A)
【文献】特開2008-179621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IIIの化合物:
【化1】
またはその塩を、4-ヒドロキシピペリジンと反応させて、式IVの化合物:
【化2】
またはその塩を形成することを含む、プロセス。
【請求項2】
前記4-ヒドロキシピペリジンとの反応が、塩基の存在下において遂行される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記塩基が第三級アミンである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記第三級アミンがN,N-ジイソプロピルエチルアミンである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記4-ヒドロキシピペリジンとの反応が、ジクロロメタンを含む溶媒構成要素中で遂行される、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記4-ヒドロキシピペリジンとの反応が25℃~35℃の温度で遂行される、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記式IIIの化合物が、式IIの化合物:
【化3】
またはその塩を、塩化オキサリルと反応させて、前記式IIIの化合物またはその塩を形成することを含むプロセスによって形成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記塩化オキサリルとの前記式IIの化合物の反応が、触媒量のジメチルホルムアミド(DMF)の存在下において遂行される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記塩化オキサリルとの前記式IIの化合物の反応が、ジクロロメタンを含む溶媒構成要素中で遂行される、請求項7または8のプロセス。
【請求項10】
前記塩化オキサリルとの前記式IIの化合物の反応が、15℃~25℃の温度で遂行される、請求項7~9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記式IVの化合物またはその塩を酸化条件下で反応させて、式Vの化合物:
【化4】
またはその塩を形成することをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記酸化条件が第1の酸化剤を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記酸化条件が第2の酸化剤を含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記第1の酸化剤がトリクロロイソシアヌル酸(TCIC)である、請求項12または13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記TCICが、前記式IVの化合物に関して、0.5~0.7モル当量の間で存在する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記第2の酸化剤が2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ(TEMPO)である、請求項13~15のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記TEMPOが、前記式IVの化合物に関して、0.015~0.025モル当量の間で存在する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記酸化条件下での前記式IVの化合物の反応が、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及び臭化ナトリウムのうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項11~17のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記酸化条件下での前記式IVの化合物の反応が、ジクロロメタンを含む溶媒構成要素をさらに含む、請求項11~18のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記溶媒構成要素が水をさらに含む、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記酸化条件が、トリクロロイソシアヌル酸を、前記式IVの化合物及びTEMPOを含む溶液へ0℃~5℃の温度で添加することを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項22】
前記トリクロロイソシアヌル酸の添加が、少なくとも2つの小分けでトリクロロイソシアヌル酸を添加することを含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記溶液が、前記添加後に0℃~5℃の温度で30分間撹拌される、請求項21または22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記撹拌後に、前記溶液を20℃~25℃の温度へ1時間~2時間の時間で暖めることをさらに含む、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
還元剤の存在下において、前記式Vの化合物を、式VIの化合物:
【化5】
またはその塩と反応させて、式Iの化合物:
【化6】
またはその塩を形成することをさらに含み、
式中、ZはHまたは保護基である、
請求項11~24のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項26】
がHである、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記還元剤が、水素化シアノホウ素ナトリウムまたは水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムである、請求項25または26に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性障害、自己免疫障害、がん及び他の疾患を含む、Janusキナーゼ(JAK)の活性に関連する疾患の治療に有用な、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルを作製するためのプロセス及び中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質キナーゼ(PK)は、とりわけ、細胞増殖、生存、分化、器官形成、形態形成、新生血管形成、組織修復及び再生を含む多様な生物学的プロセスを調節する。タンパク質キナーゼは、がんを含む多数のヒト疾患においても特定化した役割を果たす。サイトカイン、低分子量ポリペプチドまたは糖タンパク質は、敗血症への宿主炎症応答に関与する多くの経路を調節する。サイトカインは細胞の分化、増殖及び活性化に影響を及ぼし、炎症誘発性及び抗炎症性の両方の応答を調節して、宿主が病原体へ適切に反応することを可能にできる。広範囲のサイトカインのシグナリングには、タンパク質チロシンキナーゼのJanusキナーゼファミリー(JAK)及びシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)が関与する。4つの公知の哺乳動物JAK、すなわちJAK1(Janusキナーゼ-1)、JAK2、JAK3(白血球Janusキナーゼ、JAKL及びL-JAKとしても公知)及びTYK2(タンパク質チロシンキナーゼ2)がある。
【0003】
サイトカイン刺激性の免疫応答及び炎症応答は、以下の様に疾患の病因に寄与する。重症複合免疫不全症(SCID)等の病理は免疫系の抑制から生じるが、過活性または不適切な免疫/炎症性応答は、自己免疫疾患(例えば喘息、全身性紅斑性狼瘡、甲状腺炎、心筋炎)ならびに硬皮症及び骨関節炎等の疾患の病理に寄与する(Ortmann,R.A.,T.Cheng,et al.(2000)Arthritis Res 2(1):16-32)。
【0004】
JAKの発現の欠損は多くの疾患状態と関連する。例えば、Jak1-/-マウスは出産時に発育不全であり、授乳できず、周産期に死亡する(Rodig,S.J.,M.A.Meraz,et al.(1998)Cell 93(3):373-83)。Jak2-/-マウス胚は貧血症であり、明確な赤血球形成の非存在に起因して交尾後およそ12.5日で死亡する。
【0005】
JAK/STAT経路(特に4つのすべてのJAK)は、喘息応答、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、及び下気道の他の関連する炎症性疾患の病因における役割を果たすと考えられている。JAKを介してシグナリングする複数のサイトカインが、古典的アレルギー反応であってもそうでなくても、上気道の炎症性疾患/病態(鼻及び副鼻腔に影響するもの(例えば鼻炎及び副鼻腔炎)等)へ結びつけられている。JAK/STAT経路は、眼の炎症性疾患/病態及び慣性的なアレルギー反応にも関与するとされている。
【0006】
がんにおけるJAK/STATの活性化は、サイトカイン刺激(例えばIL-6またはGM-CSF)によって、またはJAKシグナルの内在性抑制因子(SOCS(サイトカインシグナル抑制因子)もしくはPIAS(活性化STATのタンパク質阻害物質)等)の低減によって生じ得る(Boudny,V.,and Kovarik,J.,Neoplasm.49:349-355,2002)。STATシグナルに加えて、JAK(例えばAkt)の下流の他の経路の活性化は、多くのがんタイプの予後不良と相関している(Bowman,T.,et al.Oncogene 19:2474-2488,2000)。JAK/STATを介してシグナリングする血中循環サイトカインのレベルの上昇は、悪液質及び/または慢性疲労における因果的役割を果たす。それゆえ、JAK阻害は、可能性のある抗腫瘍活性にとどまらない理由により、がん患者へ有益であり得る。
【0007】
JAK2チロシンキナーゼは、骨髄増殖性症候群(例えば真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄線維症を伴う骨髄様化生(MMM))の有る患者に有益であり得る(Levin,et al.,Cancer Cell,vol.7,2005:387-397)。JAK2V617Fキナーゼの阻害は造血細胞の増殖を減少させ、PV、ET及びMMMの有る患者における薬理学的阻害についての可能性のある標的としてJAK2を示唆する。
【0008】
JAKの阻害は、皮膚免疫障害(乾癬等)及び皮膚感作を患う患者に利益をもたらし得る。乾癬の維持は、様々なケモカイン及び増殖因子に加えていくつかの炎症性サイトカインに依存すると考えられており(JCI,113:1664-1675)、その多くはJAKを介してシグナリングする(Adv Pharmacol.2000;47:113-74)。
【0009】
JAK1は、調節異常の場合に、疾患状態をもたらし得るかまたはそれに寄与し得る、いくつかのサイトカイン及び増殖因子のシグナル経路において中心的な役割を果たす。例えば、IL-6レベルは関節リウマチで上昇し、この疾患において、IL-6は有害な効果があることが示唆されている(Fonesca,J.E.et al.,Autoimmunity Reviews,8:538-42,2009)。IL-6は少なくとも部分的にJAK1を介してシグナリングするので、JAK1阻害を介して、直接的にまたは間接的にIL-6に拮抗することは、臨床的利益を提供することが予想される(Guschin,D.,N.,et al Embo J 14:1421,1995;Smolen,J.S.,et al.Lancet 371:987,2008)。さらに、いくつかのがんにおいて、JAK1は変異しており、構成的に所望されない腫瘍細胞の増殖及び生存をもたらす(Mullighan CG,Proc Natl Acad Sci U S A.106:9414-8,2009;Flex E.,et al.J Exp Med.205:751-8,2008)。他の自己免疫疾患及びがんにおいて、JAK1を活性化する炎症性サイトカインの全身レベルの上昇も、疾患及び/または関連する症状に寄与し得る。したがって、かかる疾患の有る患者は、JAK1の阻害により恩恵を受け得る。JAK1の選択的阻害物質は、他のJAKキナーゼを阻害することによる不必要且つ所望されない可能性のある効果を回避しながら、有益であり得る。
【0010】
他のJAKキナーゼに比べてJAK1を選択的に阻害する物質は、選択性の低い阻害物質を上回る複数の治療的な利点を有し得る。JAK2に対する選択性に関して、例えばエリスロポエチン(Epo)及びトロンボポイエチン(Tpo)を含む、いくつかの重要なサイトカイン及び増殖因子が、JAK2を介してシグナリングする(Parganas E,et al.Cell.93:385-95,1998)。Epoは赤血球産生のための重要な増殖因子であり、したがって、Epo依存性シグナルの不足は、赤血球の数の低減及び貧血をもたらし得る(Kaushansky K,NEJM 354:2034-45,2006)。JAK2依存性増殖因子のもう1つの例であるTpoは、巨核球(それから血小板が産生される細胞)の分裂増殖及び成熟の制御において中心的な役割を果たす(Kaushansky K,NEJM 354:2034-45,2006)。それゆえ、Tpoシグナルの低減は、巨核球数を減少させ(巨核球減少症)、血中循環血小板数を低下させる(血小板減少症)ことになるであろう。これは、所望されない及び/または制御不可能な出血をもたらし得る。JAK3及びTyk2等の他のJAKの阻害の低減も所望され得るが、その理由は、これらのキナーゼの機能的なバージョンを欠くヒトが、重症複合免疫不全症または高免疫グロブリンE症候群等の多数の疾患を患うことが示されているからである(Minegishi,Y,et al.Immunity 25:745-55,2006;Macchi P,et al.Nature.377:65-8,1995)。したがって、他のJAKについて低減した親和性を備えたJAK1阻害物質は、免疫抑制、貧血及び血小板減少症が関わる副作用の低減に関して、選択性の低い阻害物質を上回る有意な利点を有するであろう。
【0011】
JAK阻害物質に有用性があるので、JAK阻害物質を作製する新規プロセスの開発が必要とされる。本発明は、この必要性及び他の必要性のために行われる。
【発明の概要】
【0012】
JAK阻害物質はUS2011/0224190(その全体が参照により本明細書に援用される)中で記載され、式Iとして以下に図示される、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルが含まれる。
【化1】
【0013】
本発明は、とりわけ、式Iの化合物を作製するためのプロセス及び中間体を提供する。
【0014】
特に、本発明は、式IIIの化合物:
【化2】
またはその塩を、4-ヒドロキシピペリジンと反応させて、式IVの化合物:
【化3】
またはその塩を形成することを含むプロセスを提供する。
【0015】
本明細書において記載されるプロセスは、式IVの化合物またはその塩を酸化条件下で反応させて、式Vの化合物:
【化4】
またはその塩を形成することをさらに含み得る。
【0016】
本発明は、式IIIの化合物:
【化5】
またはその塩を、4-ピペリドンまたはその塩と反応させて、式Vの化合物:
【化6】
またはその塩を形成することを含むプロセスも提供する。
【0017】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載されるプロセスは、還元剤の存在下において、式Vの化合物を、式VIの化合物:
【化7】
またはその塩と反応させて、式Iの化合物:
【化8】
またはその塩を形成することをさらに含み、
式中、ZはHまたは保護基である。
【0018】
本発明は、式IIIの化合物:
【化9】
またはその塩も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
明確にするために別個の実施形態の文脈中で記載される本発明のある特定の特徴を組み合わせて、単一の実施形態においても提供され得ることが理解される。逆に、簡潔性のために単一の実施形態の文脈中で記載される本発明の様々な特徴は、別個にまたは任意の適切な下位の組み合わせでも提供され得る。
【0020】
本明細書において記載されるプロセスは、当技術分野において公知の任意の適切な方法に従ってモニタリングされ得る。例えば、生成物の形成は、分光学的手段、例えば核磁気共鳴分光法(例えばHまたは13C)、赤外分光法、もしくは分光測光法(例えばUV-可視光等によって、またはクロマトグラフィー、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)、または他の関連技法等によってモニタリングされ得る。
【0021】
本明細書において使用される時、「反応させる」という用語は、当技術分野において公知であるように使用され、化学試薬を、分子レベルでのそれらの相互作用が化学的変化または物理変化を達成することを可能にするような方式で、一緒にすることを一般に指す。いくつかの実施形態において、反応は2つの試薬が関与し、そこで、第1の試薬に関して1当量以上の第2の試薬が使用される。本明細書において記載されるプロセスの反応ステップは、特定される生成物の調製に好適な時間で及び条件下で遂行され得る。
【0022】
化合物の調製は、様々な化学基の保護及び脱保護を含み得る。保護及び脱保護についての必要性ならびに適切な保護基の選択は、当業者によって容易に決定され得る。保護基の化学的性質は、例えばGreene,et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,4d.Ed.,Wiley & Sons,2007(その全体は参照により本明細書に援用される)中で見出され得る。本明細書において記載される、保護基ならびに形成方法及び切断方法に対する調整は、様々な置換基を考慮して必要に応じてなされ得る。
【0023】
本明細書において記載されるプロセスの反応は、有機合成の当業者によって容易に選択され得る好適な溶媒中で実行され得る。好適な溶媒は、反応が実行される温度、例えば溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度の範囲であり得る温度で、出発材料(反応物)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1つの溶媒または2つ以上の溶媒の混合物中で実行され得る。特定の反応ステップに依存して、特定の反応ステップに好適な溶媒が選択され得る。いくつかの実施形態において、反応は、試薬のうちの少なくとも1つが液体または気体である等の場合に、溶媒の非存在下において実行され得る。
【0024】
好適な溶媒としては、四塩化炭素、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルム、クロロホルム、ブロモクロロメタン、ジブロモメタン、塩化ブチル、ジクロロメタン、四塩化エチレン、トリクロロエチレン、1,1,1-トリクロルエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,1-ジクロロエタン、2-クロロプロパン、α,α,α-トリフルオロトルエン、1,2-ジクロロエタン、1,2-ジブロモエタン、ヘキサフルオロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、その混合物及び同種のもの等のハロゲン化溶媒が挙げられ得る。
【0025】
好適なエーテル溶媒としては、ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、フラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、t-ブチルメチルエーテル、その混合物及び同種のものが挙げられる。
【0026】
好適なプロトン性溶媒としては、一例として限定されずに、水、メタノール、エタノール、2-ニトロエタノール、2-フルオロエタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、エチレングリコール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、2-ブタノール、i-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、もしくは3-ペンタノール、neo-ペンチルアルコール、t-ペンチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェノールまたはグリセロールが挙げられる。
【0027】
好適な非プロトン性溶媒としては、一例として限定されずに、テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、N-メチルピロリジノン(NMP)、ホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、ヘキサクロロアセトン、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、スルホラン、N,N-ジメチルプロピオンアミド、テトラメチル尿素、ニトロメタン、ニトロベンゼンまたはヘキサメチルホスホルアミドが挙げられる。
【0028】
好適な炭化水素溶媒としては、ベンゼン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、トルエン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、エチルベンゼン、m-キシレン、o-キシレン、もしくはp-キシレン、オクタン、インダン、ノナンまたはナフタレンが挙げられる。
【0029】
本明細書において記載されるプロセスの反応は、当業者によって容易に決定され得る適切な温度で実行され得る。反応温度は、例えば試薬及び溶媒(存在するならば)の融点及び沸点、反応の熱力学(例えば激しい発熱反応は低減された温度で実行される必要があり得る)、ならびに反応の速度論(例えば高い活性化エネルギー障壁は高温を必要とし得る)に依存するであろう。「高温」は、室温(約22℃)より高い温度を指す。
【0030】
本明細書において記載されるプロセスの反応は、空気中でまたは不活性雰囲気下で実行され得る。典型的には、空気と実質的に反応性のある試薬または生成物を含む反応は、当業者に周知の空気感受性合成技法を使用して実行され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、化合物の調製は、例えば所望される反応の触媒作用または塩形態(酸付加塩等)の形成に影響する酸または塩基の添加を包含し得る。
【0032】
例示的な酸は、無機酸または有機酸であり得る。無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸及び硝酸が挙げられる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸、4-ニトロ安息香酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、プロピオル酸、酪酸、2-ブチン酸、ビニル酢酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸及びデカン酸が挙げられる。
【0033】
例示的な塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び重炭酸ナトリウムが挙げられる。いくつかの例示的な強塩基としては、水酸化物、アルコキシド、金属アミド、金属水素化物、金属ジアルキルアミド及びアリールアミンが挙げられるがこれらに限定されず、そこで、アルコキシドとしては、メチルオキシド、エチルオキシド及びt-ブチルオキシドのリチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられ、金属アミドとしては、ナトリウムアミド、カリウムアミド及びリチウムアミドが挙げられ、金属水素化物としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム及び水素化リチウムが挙げられ、金属ジアルキルアミドとしては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、トリメチルシリル及びシクロヘキシルで置換されたアミドのナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。
【0034】
中間体及び生成物は、本明細書において開示される化合物の塩も含み得る。本明細書において使用される時、「塩」という用語は、許容可能な酸または塩基を本明細書において開示される化合物へ付加することによって形成された塩を指す。いくつかの実施形態において、塩は薬学的に許容可能な塩である。本明細書において使用される時、「薬学的に許容される」という表現は、毒性学上の観点から薬学的適用における使用に許容可能であり、活性成分と不利に相互作用しない物質を指す。単塩及び二塩を含めた薬学的に許容される塩としては、酢酸、乳酸、クエン酸、ケイ皮酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、シュウ酸、プロピオン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、グリコール酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、サリチル酸、安息香酸、及び類似の公知の許容可能な酸等であるがこれらに限定されない、有機酸及び無機酸に由来するものが挙げられるがこれらに限定されない。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)(その各々はそれらの全体を参照することによって本明細書に援用される)中で見出される。
【0035】
本明細書において記載されるプロセスに従う化合物の調製の実行に際して、濃縮、濾過、抽出、固相抽出、再結晶、クロマトグラフィー、及び同種のもの等の通常の単離及び精製の操作を使用して、所望される生成物を単離することができる。
【0036】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される化合物及びその塩は、実質的に単離される。「実質的に単離される」によって、化合物が、それが形成または検出された環境から少なくとも部分的にまたは実質的に分離されることが意味される。部分的な分離は、例えば本発明の化合物が濃縮された組成物を含み得る。実質的な分離は、本発明の化合物またはその塩を、重量で少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%または少なくとも約99%含有する組成物を含み得る。化合物及びそれらの塩を単離する方法は、当技術分野において日常的である。
【0037】
中間体のいくつかを調製するプロセスは、2015年3月24日に発行された米国特許第8,987,443号、2016年11月8日に発行された米国特許第9,487,521号、2013年4月2日に発行された米国特許第8,410,265号、及び2014年7月1日に発行された米国特許第8,765,734号(その各々はその全体を参照することにより本明細書に援用される)中で見出され得る。
【0038】
プロセス及び中間体
本発明は、とりわけ、式Iの化合物を作製するためのプロセス及び中間体を提供する。したがって、一態様において、式IIIの化合物:
【化10】
またはその塩を、4-ヒドロキシピペリジンと反応させて、式IVの化合物:
【化11】
またはその塩を形成することを含むプロセスが、本明細書において提供される。
【0039】
いくつかの実施形態において、4-ヒドロキシピペリジンとの反応は、塩基の存在下において遂行される。
【0040】
いくつかの実施形態において、塩基は、第三級アミンである。
【0041】
いくつかの実施形態において、第三級アミンは、N,N-ジイソプロピルエチルアミンである。
【0042】
いくつかの実施形態において、4-ヒドロキシピペリジンとの反応は、ジクロロメタンを含む溶媒構成要素中で遂行される。
【0043】
いくつかの実施形態において、4-ヒドロキシピペリジンとの反応は、約25℃~約35℃の温度で遂行される。
【0044】
いくつかの実施形態において、式IIIの化合物は、式IIの化合物:
【化12】
またはその塩を、塩化オキサリルと反応させて、式IIIの化合物またはその塩を形成することを含むプロセスによって形成される。
【0045】
いくつかの実施形態において、式IIの化合物と塩化オキサリルとの反応は、触媒量のジメチルホルムアミド(DMF)の存在下において遂行される。いくつかの実施形態において、DMFは、式IIの化合物に関して、約0.01~約0.03モル当量の間で存在する。
【0046】
いくつかの実施形態において、式IIの化合物と塩化オキサリルとの反応は、ジクロロメタンを含む溶媒構成要素中で遂行される。
【0047】
いくつかの実施形態において、式IIの化合物と塩化オキサリルとの反応は、約15℃~約25℃の温度で遂行される。
【0048】
本明細書において記載されるプロセスは、式IVの化合物またはその塩を酸化条件下で反応させて、式Vの化合物:
【化13】
またはその塩を形成することをさらに含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、酸化条件は少なくとも1つの酸化剤(すなわち第1の酸化剤)を含む。いくつかの実施形態において、酸化条件は第2の酸化剤を含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、酸化剤は、トリクロロイソシアヌル酸(TCIC)である。いくつかの実施形態において、TCICは、式IVの化合物に関して、約0.5~約0.7モル当量の間で存在する。
【0051】
いくつかの実施形態において、酸化剤は、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ(TEMPO)である。いくつかの実施形態において、TEMPOは、式IVの化合物に関して、約0.005~約0.05モル当量の間で存在する。いくつかの実施形態において、TEMPOは、式IVの化合物に関して、約0.015~約0.025モル当量の間で存在する。いくつかの実施形態において、TEMPOは、式IVの化合物に関して、約0.020モル当量で存在する。
【0052】
いくつかの実施形態において、酸化条件は、少なくともTCIC(第1の酸化剤)及びTEMPO(第2の酸化剤)を含む。いくつかの実施形態において、酸化条件は、金属臭化物、例えば臭化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、臭化ナトリウムは、式IVの化合物に関して、約0.005~約0.015モル当量の間で存在する。いくつかの実施形態において、臭化ナトリウムは、式IVの化合物に関して、約0.01当量で存在する。
【0053】
いくつかの実施形態において、酸化条件は、塩基をさらに含む。いくつかの実施形態において、塩基は、重炭酸ナトリウム及び/または炭酸ナトリウムである。いくつかの実施形態において、重炭酸ナトリウムは、式IVの化合物に関して、約1~約10モル当量の間で存在する。いくつかの実施形態において、重炭酸ナトリウムは、式IVの化合物に関して、約5モル当量で存在する。いくつかの実施形態において、炭酸ナトリウムは、式IVの化合物に関して、約0.1~約1モル当量の間で存在する。いくつかの実施形態において、炭酸ナトリウムは、式IVの化合物に関して、約0.5モル当量で存在する。
【0054】
いくつかの実施形態において、式IVの化合物の酸化条件下での反応は、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及び臭化ナトリウムのうちの1つまたは複数をさらに含む。いくつかの実施形態において、式IVの化合物の酸化条件下での反応は、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及び臭化ナトリウムをさらに含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、式IVの化合物の酸化条件下での反応は、ジクロロメタンを含む溶媒構成要素をさらに含む。いくつかの実施形態において、溶媒構成要素は、水をさらに含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、酸化条件は、トリクロロイソシアヌル酸(TCIC)を、式IV及びTEMPOの化合物を含む溶液へ約0℃~約5℃の温度で添加することを含む。いくつかの実施形態において、トリクロロイソシアヌル酸の添加は、少なくとも2つの小分けでトリクロロイソシアヌル酸を添加することを含む。いくつかの実施形態において、溶液は、上記添加後に約0℃~約5℃の温度で約30分間撹拌される。いくつかの実施形態において、プロセスは、上記溶液を、上記撹拌後に約20℃~約25℃の温度へ約1時間~約2時間の時間で暖めることをさらに含む。
【0057】
いくつかの実施形態において、酸化条件は、約99%よりも高い純度を有する式Vの化合物をもたらす。
【0058】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載されるプロセスは、還元剤の存在下において、式Vの化合物を、式VIの化合物:
【化14】
またはその塩と反応させて、式Iの化合物:
【化15】
またはその塩を形成することをさらに含み、
式中、ZはHまたは保護基である。
【0059】
いくつかの実施形態において、Zは、Hである。
【0060】
いくつかの実施形態において、還元剤は、水素化シアノホウ素ナトリウムまたは水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムである。いくつかの実施形態において、還元剤は、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムである。いくつかの実施形態において、式VIの化合物に基づいて、1当量を超える(例えば2当量)の水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムが使用される。
【0061】
還元剤は、還元的アミノ化における使用に好適な任意の還元剤であり得、Ellen W.Baxter and Allen B.Reitz,Reductive Aminations of Carbonyl Compounds with Borohydride and Borane Reducing Agents,Organic Reactions,Chapter 1,pages 1-57(Wiley,2002)(その全体は参照により本明細書に援用される)中のもの等の様々な水素化ホウ素及びボラン還元剤が挙げられる。適切な還元剤の非限定的クラスとしては、水素化ホウ素、水素化シアノホウ素、トリ(C1-4アシル)オキシ水素化ホウ素(例えば水素化トリアセトキシホウ素誘導体)、9-ボロビシクロ[3.3.1]ノナンヒドリド、トリ(C1-4アルキル)水素化ホウ素及び水素化ジソピノカンプテイルシアノホウ素(disopinocampteylcyanoborohydride)誘導体、アミノボラン、ボラン-ピリジン錯体ならびにアルキルアミンボランが挙げられる。適切な還元剤の非限定例としては、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、ナトリウムシアノ-9-ボロビシクロ[3.3.1]ノナンヒドリド、水素化シアノホウ素テトラブチルアンモニウム、固体支持体上の水素化シアノホウ素、水素化トリアセトキシホウ素テトラメチルアンモニウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ(sec-ブチル)ホウ素リチウム、水素化ジソピノカンプテイルシアノホウ素ナトリウム(sodium disopinocampteylcyanoborohydride)、カテコールボラン、ボランテトラヒドロフラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素気体の存在下におけるパラジウム、5-エチル-2-メチルピリジンボラン(PEMB)、2-ピコリンボラン、またはポリマーに支持された水素化トリアセトキシホウ素が挙げられる。いくつかの実施形態において、前述のもののうちの任意のもの及び好ましくは水素化シアノホウ素ナトリウムは、チタン(IV)添加物、脱水剤またはハロゲン化亜鉛添加物と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態において、還元剤は、テトラ(C1-4アルキル)アンモニウム水素化シアノホウ素もしくは水素化トリアセトキシホウ素、水素化シアノホウ素アルカリ金属もしくは水素化トリアセトキシホウ素、または水素化シアノホウ素アルカリ土類もしくは水素化トリアセトキシホウ素である。いくつかの実施形態において、還元剤は、水素化シアノホウ素アルカリ金属である。いくつかの実施形態において、還元剤は、水素化シアノホウ素ナトリウム及び水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムから選択される。いくつかの実施形態において、還元剤は、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムである。本明細書において使用される時、チタン(IV)添加物は、チタン(IV)金属を含有するルイス酸(例えば四塩化チタン、チタンイソプロポキシド、チタンエトキシド及び同種のもの)である。
【0062】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物またはその塩は、2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリルジヒドロクロライド塩である。いくつかの実施形態において、反応は、少なくとも2当量の第2の塩基の存在下において実行される。いくつかの実施形態において、第2の塩基は、第三級アミン(例えばトリエチルアミン)である。本明細書において使用される時、「第2の塩基」という表現中の「第2」は、プロセスの前のステップまたは後のステップにおいて使用される他の塩基と塩基を区別するために使用され、2つの塩基が存在しなくてはならないことを指摘するものではない。
【0063】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物またはその塩に基づいて、1当量を超える式Vの化合物が使用される。
【0064】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物またはその塩と式Vの化合物との反応は、ジクロロメタン溶媒中で遂行される。
【0065】
いくつかの実施形態において、プロセスは、式Iの化合物をアジピン酸と反応させて、式Iの化合物のアジピン酸塩を形成することをさらに含む。
【0066】
別の態様において、式IIIの化合物:
【化16】
またはその塩を、4-ピペリドンまたはその塩と反応させて、式Vの化合物:
【化17】
またはその塩を形成することを含むプロセスが、本明細書において提供される。
【0067】
いくつかの実施形態において、4-ピペリドンまたはその塩は、4-ピペリドン塩酸塩である。いくつかの実施形態において、4-ピペリドンまたはその塩は、4-ピペリドン塩酸塩一水和物である。
【0068】
いくつかの実施形態において、式IIIの化合物と4-ピペリドンとの反応は塩基をさらに含む。いくつかの実施形態において、塩基は、炭酸ナトリウムである。
【0069】
いくつかの実施形態において、式IIIの化合物と4-ピペリドンとの反応は、ジクロロメタンを含む溶媒構成要素中で遂行される。
【0070】
いくつかの実施形態において、式IIIの化合物と4-ピペリドンとの反応は、約0℃~約5℃の温度で遂行される。
【0071】
いくつかの実施形態において、式IIIの化合物は、式IIの化合物:
【化18】
またはその塩を、塩化オキサリルと反応させて、式IIIの化合物またはその塩を形成することを含むプロセスによって形成される。
【0072】
いくつかの実施形態において、式IIの化合物と塩化オキサリルとの反応は、触媒量のジメチルホルムアミド(DMF)の存在下において遂行される。いくつかの実施形態において、DMFは、式IIの化合物に関して、約0.01~約0.03モル当量の間で存在する。
【0073】
いくつかの実施形態において、式IIの化合物と塩化オキサリルとの反応は、ジクロロメタンを含む溶媒構成要素中で遂行される。
【0074】
いくつかの実施形態において、式IIの化合物と塩化オキサリルとの反応は、約15℃~約25℃の温度で遂行される。
【0075】
いくつかの実施形態において、式IIIの化合物は、式IIIの化合物を4-ピペリドンと反応させる前に単離されない。
【0076】
いくつかの実施形態において、式IIの化合物と塩化オキサリルとの反応及び式IIIの化合物と4-ピペリドンとの反応は、単一反応器中で遂行される。
【0077】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載されるプロセスは、還元剤の存在下において、式Vの化合物を、式VIの化合物:
【化19】
またはその塩と反応させて、式Iの化合物:
【化20】
またはその塩を形成することをさらに含み、
式中、ZはHまたは保護基である。
【0078】
いくつかの実施形態において、Zは、Hである。
【0079】
いくつかの実施形態において、還元剤は、水素化シアノホウ素ナトリウムまたは水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムである。いくつかの実施形態において、還元剤は、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムである。いくつかの実施形態において、式VIの化合物に基づいて、1当量を超える(例えば2当量)の水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムが使用される。
【0080】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物またはその塩は、2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリルジヒドロクロライド塩である。いくつかの実施形態において、反応は、少なくとも2当量の第2の塩基の存在下において実行される。いくつかの実施形態において、第2の塩基は、第三級アミン(例えばトリエチルアミン)である。
【0081】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物またはその塩に基づいて、1当量を超える式Vの化合物が使用される。
【0082】
いくつかの実施形態において、式VIの化合物またはその塩と式Vの化合物との反応は、ジクロロメタン溶媒中で遂行される。
【0083】
いくつかの実施形態において、プロセスは、式Iの化合物をアジピン酸と反応させて、式Iの化合物のアジピン酸塩を形成することをさらに含む。
【0084】
一態様において、式IIIの化合物:
【化21】
またはその塩が、本明細書において提供される。
【0085】
使用
式Iの化合物である{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルは、JAK(例えばJAK1、JAK2)の阻害物質である。JAK阻害物質は、様々なJAK関連の疾患または障害の治療において有用である。JAK関連疾患の例としては、例えば移植臓器拒絶(例えば同種異系移植片拒絶及び移植片対宿主病)を包含する、免疫系に関与する疾患が挙げられる。JAK関連疾患のさらなる例としては、多発性硬化症、関節リウマチ、若年性関節炎、乾癬性関節炎、1型糖尿病、狼瘡、乾癬、炎症性大腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、重症筋無力症、免疫グロブリンA腎症、心筋炎、自己免疫性甲状腺疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び同種のもの等の自己免疫疾患が挙げられる。いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、尋常性天疱瘡(PV)または水疱性類天疱瘡(BP)等の自己免疫性水疱性皮膚障害である。
【0086】
JAK関連疾患のさらなる例としては、喘息、食物アレルギー、湿疹性皮膚炎、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(アトピー性湿疹)及び鼻炎等のアレルギー性病態が挙げられる。JAK関連疾患のさらなる例としては、エプスタインバーウイルス(EBV)、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HTLV 1、水痘・帯状ヘルペスウイルス(VZV)及びヒト乳頭腫ウイルス(HPV)等のウイルス性疾患が挙げられる。
【0087】
JAK関連疾患のさらなる例としては、軟骨ターンオーバーと関連する疾患、例えば痛風性関節炎、敗血症性関節炎もしくは感染性関節炎、反応性関節炎、反射性交感神経性ジストロフィー、疼痛性ジストロフィー、Tietze症候群、肋関節症、地方病性変形性骨関節炎、Mseleni病、Handigodu病、線維筋痛症からもたらされる変性、全身性紅斑性狼瘡、硬皮症、または強直性脊椎炎が挙げられる。
【0088】
JAK関連疾患のさらなる例としては、遺伝性軟骨融解、軟骨形成不全症、及び偽性軟骨形成不全(例えば小耳症、無耳症及び骨幹端軟骨形成不全症)を含む、先天性軟骨形成異常が挙げられる。
【0089】
JAK関連の疾患または病態のさらなる例としては、乾癬(例えば尋常性乾癬)、アトピー性皮膚炎、皮膚発疹、皮膚刺激、皮膚感作(例えば接触性皮膚炎またはアレルギー性接触皮膚炎)等の皮膚障害が挙げられる。例えば、いくつかの医薬品を含むある特定の物質は、局所的に適用された場合に皮膚感作を引き起こし得る。いくつかの実施形態において、本発明の少なくとも1つのJAK阻害物質を、望まれない感作を引き起こす薬剤と一緒に共投与または逐次投与することは、かかる望まれない感作または皮膚炎の治療において有用であり得る。いくつかの実施形態において、皮膚障害は、本発明の少なくとも1つのJAK阻害物質の局所投与によって治療される。
【0090】
JAK関連の疾患または病態のさらなる例としては、固形腫瘍(例えば前立腺癌、腎癌、肝癌、膵臓癌、胃癌、乳癌、肺癌、頭頸部、甲状腺癌、神経膠芽細胞腫、カポジ肉腫、Castleman病、子宮平滑筋肉腫、黒色腫などのがん)、血液のがん(例えばリンパ腫、白血病(急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)または多発性骨髄腫等))、及び皮膚癌(皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)及び皮膚のB細胞リンパ腫等)によって特徴づけられるものが挙げられる。例示的なCTCLとしては、Sezary症候群及び菌状息肉腫が挙げられる。JAK関連の疾患または病態の他の例としては、肺動脈性肺高血圧症が挙げられる。
【0091】
JAK関連の疾患または病態の他の例としては、炎症関連癌が挙げられる。いくつかの実施形態において、がんは炎症性大腸疾患と関連する。いくつかの実施形態において、炎症性大腸疾患は潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態において、炎症性大腸疾患はクローン病である。いくつかの実施形態において、炎症関連癌は大腸炎関連癌である。いくつかの実施形態において、炎症関連癌は結腸癌または結腸直腸癌である。いくつかの実施形態において、がんは、胃癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、腺癌、小腸癌または直腸癌である。
【0092】
JAK関連疾患としては、偽キナーゼドメイン中に少なくとも1つの突然変異を有するもの(例えばJAK2V617F)等のJAK2変異の発現、偽キナーゼドメインの外側に少なくとも1つの突然変異を有するJAK2変異の発現、JAK1変異の発現、JAK3変異の発現、エリスロポエチン受容体(EPOR)変異の発現またはCRLF2の脱調節発現によって特徴づけられるものがさらに挙げられ得る。
【0093】
JAK関連疾患としては、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄様化生を伴う骨髄線維症(MMM)、原発性骨髄線維症(PMF)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、高好酸球症候群(HES)、全身性肥満細胞症(SMCD)、及び同種のもの等の骨髄増殖性症候群(MPD)がさらに挙げられ得る。いくつかの実施形態において、骨髄増殖性疾患は、骨髄線維症(例えば原発性骨髄線維症(PMF)または真性多血症後/本態性血小板血症後骨髄線維症(Post-PV/Post-ET MF))である。いくつかの実施形態において、骨髄増殖性疾患は、本態性血小板血症後骨髄線維症(Post-ET MF)である。いくつかの実施形態において、骨髄増殖性疾患は、真性多血症後骨髄線維症(Post-PV MF)である。
【0094】
JAK関連の疾患または病態の他の例には、他の医薬品の皮膚副作用を本発明の化合物の投与によって寛解することが含まれる。例えば、多数の医薬用薬剤は、ざ瘡様皮疹または関連する皮膚炎として現われ得る望まれないアレルギー反応をもたらす。かかる所望されない副作用を有する例示的な医薬用薬剤としては、ゲフィチニブ、セツキシマブ、エルロチニブ及び同種のもの等の抗癌薬が挙げられる。本発明の化合物は、所望されない皮膚副作用を有する医薬用薬剤と組み合わせて(例えば同時にまたは逐次的に)、全身的にまたは局所的に(例えば皮膚炎の近辺への局在化させて)投与され得る。いくつかの実施形態において、他の医薬品が、本発明の化合物の非存在下において局所的に適用された場合に、接触性皮膚炎、アレルギー性接触感作または類似する皮膚障害を引き起こすところで、本発明の化合物は、1つまたは複数の他の医薬品と一緒に局所的に投与され得る。したがって、本発明の組成物は、本発明の化合物、及び皮膚炎、皮膚障害、または関連副作用を引き起こし得るさらなる医薬剤を含有する局所製剤を含む。
【0095】
さらなるJAK関連疾患としては、炎症及び炎症性疾患が挙げられる。例示的な炎症性疾患としては、サルコイドーシス、眼の炎症性疾患(例えば虹彩炎、ぶどう膜炎、強膜炎、結膜炎または関連疾患)、気道の炎症性疾患(例えば鼻炎または副鼻腔炎等の鼻及び副鼻腔を含む上気道または気管支炎、慢性閉塞性肺疾患及び同種のものを含む下気道)、心筋炎等の炎症性筋疾患及び他の炎症性疾患が挙げられる。いくつかの実施形態において、眼の炎症疾患は眼瞼炎である。
【0096】
さらなるJAK関連疾患としては、虚血再灌流傷害または卒中または心拍停止等の炎症性虚血性事象に関連する疾患もしくは病態、エンドトキシン駆動性疾患状態(例えばバイパス手術後の合併症、または慢性心不全の一因となる慢性エンドトキシン状態)、拒食症、悪液質、がんからもたらされるかまたはがんと関連するもの等の疲労、再狭窄、硬化性皮膚炎、線維症、例えば糖尿病網膜症、がんまたは神経変性等の低酸素状態またはアストログリオーシスと関連する病態、及び全身性炎症反応症候群(SIRS)及び敗血症性ショック等の他の炎症性疾患が挙げられる。他のJAK関連疾患としては、痛風及び例えば良性前立腺肥大症または良性前立腺過形成に起因する前立腺サイズの増加に加えて、骨粗鬆症もしくは骨関節炎、ホルモン平衡異常及び/またはホルモン療法、自己免疫疾患(例えば骨サルコイドーシス)またはがん(例えば骨髄腫)と関連する骨吸収疾患等の骨吸収疾患が挙げられる。
【0097】
さらなるJAK関連疾患としてはドライアイ障害が挙げられる。本明細書において使用される時、「ドライアイ障害」は、Dry Eye Workshop(DEWS)の最近の公式報告中で要約された疾患状態を包含することが意図され、この報告は「不快感、視覚障害、及び眼表面への損傷の可能性の有る涙液層不安定性の症状をもたらす、涙液及び眼表面の多因子性疾患である。それには、涙液層の浸透圧の増加及び眼表面の炎症が付随する。」としてドライアイを定義した(Lemp,“The Definition and Classification of Dry Eye Disease:Report of the Definition and Classification Subcommittee of the International Dry Eye Workshop”,The Ocular Surface,5(2),75-92 April 2007、その全体は参照により本明細書に援用される)。いくつかの実施形態において、ドライアイ障害は、涙液減少型ドライアイ(ADDE)もしくは蒸発型ドライアイ障害、または適切なその組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、ドライアイ障害は、シェーグレン症候群ドライアイ(SSDE)である。いくつかの実施形態において、ドライアイ障害は、非シェーグレン症候群ドライアイ(NSSDE)である。
【0098】
さらなるJAK関連疾患としては、結膜炎、ぶどう膜炎(慢性ぶどう膜炎を包含する)、脈絡膜炎、網膜炎、毛様体炎、強膜炎、上強膜炎または虹彩炎が挙げられる。他のJAK関連疾患としては、インフルエンザ及びSARS等のウイルス感染と関連する呼吸器の疾患または機能不全が挙げられる。
【実施例
【0099】
本発明を、具体的な実施例によって より詳しく記載する。以下の実施例は例示の目的のために提供され、いかなる様式でも本発明を限定するようには意図されない。当業者は、本質的に同じ結果をもたらす、変更または改変され得る多様な重要でないパラメーターを容易に認識するであろう。
【0100】
実施例1。2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリルアジピン酸塩(9)の合成
スキームI
【化22】
tert-ブチル3-(シアノメチル)-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-カルボキシレート(3)。窒素注入口、サーモカップル及びメカニカルスターラーを装備した1Lのフラスコへ、イソプロパノール(IPA、200mL)、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-エン(DBU、9.8g、64.4mmol、0.125当量)、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1、101g、520.51mmol、1.01当量)及びtert-ブチル3-(シアノメチレン)アゼチジン-1-カルボキシレート(2、100g、514.85mmol)を、周囲温度で逐次的に添加して、懸濁物として反応混合物を生成した。もたらされた反応混合物を30分間加熱還流して均一な溶液を提供し、混合物を追加の2~3時間還流で維持した。HPLCによってモニタリングして反応が完了した後に、n-ヘプタン(400mL)を、混合物を還流で維持しながら反応混合物へ徐々に45分間で添加した。n-ヘプタンの添加の間に固体が沈殿した。n-ヘプタンの添加が完了したら、混合物を周囲温度へ徐冷し、周囲温度で追加の1時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、n-ヘプタン(200mL)により洗浄し、窒素スイーピングにより50℃で真空下で一定重量へ乾燥させて、白色から淡黄色の固体として、tert-ブチル3-(シアノメチル)-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-カルボキシレート(3、181g、理論上199.9g、90.5%)を得た。3について:H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 8.31 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 4.45 - 4.23 (m, 2H), 4.23 - 4.03 (m, 2H), 3.56 (s, 2H), 1.38 (s, 9H), 1.25 (s, 12H) ppm;13C NMR (101 MHz, DMSO-d) δ 155.34, 145.50, 135.88, 116.88, 107.08 (br), 83.15, 79.36, 58.74 (br), 56.28, 27.96, 26.59, 24.63 ppm;C1929BN (分子量388.27), LCMS (EI) m/e 389 (M + H).
【0101】
tert-ブチル3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(シアノメチル)-アゼチジン-1-カルボキシレート(5)。窒素注入口、サーモカップル及びメカニカルスターラーを装備した1Lのフラスコへ、4-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(4、39.6g、257.6mmol)、tert-ブチル3-(シアノメチル)-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-カルボキシレート(3、100g、257.6mmol、1.0当量)、フッ化セシウム(136.9g、901.4mmol、3.5当量)、tert-ブタノール(250mL)、水(250mL)及び[1,1’-ビス(ジ-シクロヘキシルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd-127、351.4mg、0.46mmol、0.0018当量)を、周囲温度で添加した。もたらされた反応混合物を脱気し、窒素を3回補充し、その後加熱還流し、窒素下で20~24時間還流で維持した。HPLCが反応の完了を示した時に、反応混合物を45~55℃へ30分間で冷却し、2つの相を分離し、水相を廃棄した。n-ヘプタン(125mL)を有機相へ45~55℃で30分間で添加した。もたらされた混合物を周囲温度へ1時間でゆっくり冷却し、周囲温度で追加の2時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、n-ヘプタン(100mL)により洗浄し、窒素スイーピングにより50℃で真空下で一定重量へ乾燥させて、淡黄色固体として、tert-ブチル3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(シアノメチル)-アゼチジン-1-カルボキシレート(5、96.8g、理論上97.7g、99%)を得た。5について:H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 8.89 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.44 (s, 1H), 7.60 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 7.06 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 4.62 - 4.41 (m, 2H), 4.31 - 4.12 (m, 2H), 3.67 (s, 2H), 1.39 (s, 9H) ppm;13C NMR (101 MHz, DMSO-d) δ 155.40, 152.60, 150.63, 149.15, 139.76, 129.53, 127.65, 122.25, 116.92, 113.21, 99.71, 79.45, 58.34 (br), 56.80, 27.99, 26.83 ppm;C1921 (分子量379.4), LCMS (EI) m/e 380 (M + H).
【0102】
2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル二塩酸塩(6)。窒素注入口、サーモカップル、添加漏斗及びメカニカルスターラーを装備した0.5Lのフラスコへ、tert-ブチル3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-3-(シアノメチル)アゼチジン-1-カルボキシレート(5、15g、39.5mmol)、水(7.5mL、416mmol)及びジクロロメタン(75mL)を、室温で添加した。混合物を室温で撹拌して、懸濁物を生成した。イソプロパノール(55mL、275mmol、7.0当量)中の5Mの塩化水素(HCl)の溶液を、懸濁物へ5分間で添加した。次いでもたらされた反応混合物を穏やかに加熱還流し、3~4時間還流で維持した。HPLCによってモニタリングして反応が完了した後に、tert-ブチルメチルエーテル(TBME、45mL)を反応懸濁物へ添加した。混合物を室温へ徐冷し、追加の1時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、tert-ブチルメチルエーテル(TBME、45mL)により洗浄し、窒素スイーピングにより50℃で真空下で一定重量へ乾燥させて、灰白色から淡黄色の固体として、2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル二塩酸塩(6、13.6g、理論上13.9g、98%)を得た。6について:H NMR (400 MHz, DO) δ 8.96 (s, 1H), 8.81 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 7.78 (d, J = 3.8 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 4.93 (d, J = 12.8 Hz, 2H), 4.74 (d, J = 12.5 Hz, 2H), 3.74 (s, 2H) ppm;13C NMR (101 MHz, DO) δ 151.35, 143.75, 143.33, 141.33, 132.03, 131.97, 115.90, 114.54, 113.85, 103.18, 59.72, 54.45 (2C), 27.02 ppm;C1415Cl (遊離塩基についてC1413,分子量279.30), LCMS (EI) m/e 280 (M + H).
【0103】
2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(8、遊離塩基)。窒素注入口、サーモカップル、添加漏斗及びメカニカルスターラーを装備した0.5Lのフラスコへ、2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル二塩酸塩(6、20g、56.78mmol)、ジクロロメタン(200mL)及びトリエチルアミン(TEA、16.62mL、119.2mmol、2.1当量)を、周囲温度で添加した。混合物を周囲温度で30分間撹拌し、その後1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチノイル)ピペリジン-4-オン(7、17.15g、57.91mmol、1.02当量)を混合物へ添加した。次いで混合物を、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(25.34g、113.6mmol、2.0当量)により周囲温度(26℃未満)で5分間処理した。もたらされた反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。HPLCによってモニタリングして反応が完了した後に、反応混合物をNaHCO飽和水溶液(200mL)によりクエンチした。2つの相を分離し、水相を塩化メチレン(200mL)により抽出した。合わせた有機相を4%のブライン(100mL)により洗浄し、続いて、塩化メチレンのアセトンへの溶媒スイッチを蒸留によって行った。アセトン中の所望される粗生成物(8)のもたらされた溶液を、後続のアジピン酸塩形成のために直接使用した。小分けの溶液を、カラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc勾配溶出において0~10%のMeOH)によって精製して、灰白色固体として、分析的に純粋な2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(8、遊離塩基)を得た。8について:H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 12.17 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 8.85 (s, 1H), 8.70 (m, 2H), 8.45 (s, 1H), 7.93 (t, J = 4.7 Hz, 1H), 7.63 (dd, J = 3.6, 2.3 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 3.6, 1.7 Hz, 1H), 4.10 (m, 1H), 3.78 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 3.61 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 3.58 (s, 2H), 3.46 (m, 1H), 3.28 (t, J = 10.5 Hz, 1H), 3.09 (ddd, J = 13.2, 9.5, 3.1 Hz, 1H), 2.58 (m, 1H), 1.83 - 1.75 (m, 1H), 1.70 - 1.63 (m, 1H), 1.35 - 1.21 (m, 2H) ppm;13C NMR (101 MHz, DMSO-d) δ 160.28, (153.51, 150.86), 152.20, 150.94, 149.62, (146.30, 146.25), 139.48, (134.78, 134.61), (135.04, 134.92, 134.72, 134.60, 134.38, 134.26, 134.03, 133.92), 129.21, 127.62, 126.84, 121.99, 122.04, (124.77, 122.02, 119.19, 116.52), 117.39, 113.00, 99.99, 61.47, 60.49, 57.05, 44.23, 28.62, 27.88, 27.19 ppm;C2623O (分子量, 553.51), LCMS (EI) m/e 554.1 (M + H).
【0104】
2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリルアジピン酸塩(9)。メカニカルターラー、サーモカップル、添加漏斗及び窒素注入口を装備した0.5Lのフラスコへ、アセトン(220mL)中の粗製2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(8、遊離塩基、31.38g、56.7mmol)の溶液、及びアジピン酸(8.7g、59.53mmol、1.05当量)を、周囲温度で添加した。次いで反応混合物を加熱還流して、溶液を得た。n-ヘプタン(220mL)を、反応混合物へ40~50℃で1時間で徐々に添加した。もたらされた混合物を周囲温度へ1時間で徐冷し、周囲温度で追加の16時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、n-ヘプタン(2×60mL)により洗浄し、窒素スイーピングにより50℃で真空下で一定重量へ乾燥させて、白色から灰白色の固体として、2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリルアジピン酸塩(9、34.0g、理論上39.7g、2ステップで85.6%)を得た。9:H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 12.16 (s, 1H), 12.05 (brs, 2H), 8.85 (s, 1H), 8.72 (s, 1H), 8.69 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 8.45 (s, 1H), 7.93 (t, J = 4.7 Hz, 1H), 7.63 (dd, J = 3.6, 2.3 Hz, 1H), 7.09 (dd, J = 3.6, 1.7 Hz, 1H), δ 4.11 (dt, J = 11.0, 4.4 Hz, 1H), 3.77 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 3.60 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.58 (s, 2H), 3.44 (dt, J = 14.4, 4.6 Hz, 1H), 3.28 (t, J = 10.4 Hz, 1H), 3.09 (ddd, J = 13.2, 9.6, 3.2 Hz, 1H), 2.58 (tt, J = 8.6, 3.5 Hz, 1H), 2.28 - 2.17 (m, 4H), 1.83 - 1.74 (m, 1H), 1.67 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 1.59 - 1.46 (m, 4H), 1.37 - 1.21 (m, 2H) ppm;13C NMR (101 MHz, DMSO-d) δ 174.38, 160.29, (153.52, 150.87), 152.20, 150.94, 149.63, (146.30, 146.25), 139.48, (134.79, 134.62), (135.08, 134.97, 134.74, 134.62, 134.38, 134.28, 134.04, 133.93), 129.21, 127.62, 126.84, 122.05, (124.75, 122.02, 119.29, 116.54), 117.39, 113.01, 99.99, 61.47, 60.50, 57.06, 44.24, 33.42, 30.70, 28.63, 27.89, 27.20, 24.07 ppm;C3233 (分子量699.66;遊離塩基についてC2623O,分子量 553.51), LCMS (EI) m/e 554.0 (M + H).
【0105】
実施例2:2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリルの代替合成
スキームII
【化23】
2-(アゼチジン-3-イリデン)アセトニトリル塩酸塩(2a)。窒素注入口、サーモカップル、及びメカニカルスターラーを装備した0.5Lのフラスコへ、tert-ブチル3-(シアノメチレン)アゼチジン-1-カルボキシレート(2、30g、154.46mmol)及び塩化メチレン(300mL)を、周囲温度で添加した。次いで溶液をイソプロパノール溶液(294.2mL、1.54mol、10当量)中の5Mの塩化水素(HCl)の溶液により周囲温度で処理し、もたらされた反応混合物を周囲温度で18時間撹拌した。HPLCによってモニタリングして反応が完了した後に、懸濁物にtert-ブチルメチルエーテル(TBME、150mL)を添加し、混合物を周囲温度で2時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、n-ヘプタン(2×100mL)により洗浄し、周囲温度で3時間濾過漏斗上で乾燥させて、白色固体として、2-(アゼチジン-3-イリデン)アセトニトリル塩酸塩(2a、13.7g、理論上20.2g、67.8%)を得た。2aについて:H NMR (500 MHz, DMSO-d) δ 9.99 (s, 2H), 5.94 (p, J = 2.5 Hz, 1H), 4.85 - 4.80 (m, 2H), 4.77 - 4.71 (m, 2H) ppm;13C NMR (126 MHz, DMSO-d) δ 155.65, 114.54, 94.78, 55.26, 54.63 ppm;CClN (分子量130.58;遊離塩基についてC,分子量94.11), LCMS (EI) m/e 95 (M + H).
【0106】
2-(1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イリデン)アセトニトリル(10)。窒素注入口、サーモカップル及びマグネティックスターラーを装備した0.25Lのフラスコへ、2-(アゼチジン-3-イリデン)アセトニトリル塩酸塩(2a、4.5g、34.46mmol)、1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-オン(7、10g、34.46mmol、1.0当量)及び塩化メチレン(100mL)を、周囲温度で添加し、次いでもたらされた混合物を水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(14.6g、68.93mmol、2.0当量)により周囲温度で処理した。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌し、その後重炭酸ナトリウム(NaHCO)飽和水溶液(50mL)によりクエンチした。2つの相を分離し、水相をジクロロメタン(200mL)により抽出した。合わせた有機相を水(50mL)及びブライン(50mL)により洗浄し、減圧下で濃縮して、所望される粗生成物(10)を得て、それを、カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン勾配溶出において0~10%の酢酸エチル)によって精製して、白色固体として、2-(1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イリデン)アセトニトリル(10、9.5g、理論上12.7g、74.8%)を得た。10について:H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.57 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 7.54 (t, J = 4.6 Hz, 1H), 5.29 (p, J = 2.4 Hz, 1H), 4.18 - 4.08 (m, 1H), 4.08 - 4.03 (m, 2H), 3.98 - 3.94 (m, 2H), 3.57 - 3.39 (m, 2H), 3.17 - 3.04 (m, 1H), 2.56 (tt, J = 7.4, 3.5 Hz, 1H), 1.86 - 1.77 (m, 1H), 1.75 - 1.64 (m, 1H), 1.54 - 1.43 (m, 1H), 1.43 - 1.31 (m, 1H) ppm;13C NMR (101 MHz, CDCl) δ 161.34, 160.73, 152.62 (d, J = 269.1 Hz), 145.75 (d, J = 6.1 Hz), 136.73 (qd, J = 36.1, 12.0 Hz), 134.56 (d, J = 16.9 Hz), 126.89, 120.58 (qd, J = 275.0, 4.9 Hz), 115.11, 92.04, 62.05, 60.57 (2C), 44.47, 39.42, 29.38, 28.47 ppm;C1716O (分子量368.33), LCMS (EI) m/e 369 (M + H).
【0107】
2-(1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(11)。窒素注入口、サーモカップル及びマグネティックスターラーを装備した25mLのフラスコへ、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1、210mg、1.08mmol、1.08当量)、2-(1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イリデン)アセトニトリル(10、370mg、1.0mmol)及びアセトニトリル(3mL)を、周囲温度で添加した。次いで溶液を、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-エン(DBU、173mg、0.17mL、1.12mmol、1.12当量)により周囲温度で処理し、もたらされた反応混合物を50℃へ暖め、50℃で一晩撹拌した。HPLCによってモニタリングして反応が完了した時に、反応混合物を、クロマトグラフィー精製のためのシリカゲル(SiO)カラム(酢酸エチル勾配溶出において0~2.5%のMeOH)上に直接ロードして、白色固体として、2-(1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(11、263mg、理論上562.4mg、46.7%)を得た。11について:H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 8.64 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 8.22 (d, J = 0.6 Hz, 1H), 7.88 (dd, J = 4.7 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 4.10 - 3.99 (m, 1H), 3.58 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 3.52 - 3.42 (m, 2H), 3.44 (s, 2H), 3.41 - 3.33 (m, 1H), 3.28 - 3.15 (m, 1H), 3.03 (ddd, J = 12.9, 9.2, 3.2 Hz, 1H), 2.51 - 2.44 (m, 1H), 1.77 - 1.66 (m, 1H), 1.64 - 1.54 (m, 1H), 1.28 - 1.17 (m, 2H), 1.24 (s, 12H) ppm;13C NMR (101 MHz, DMSO-d) δ 160.22, 152.13 (d, J = 265.8 Hz), 146.23 (d, J = 5.7 Hz), 145.12, 135.41, 134.66 (d, J = 16.9 Hz), 134.43 (qd, J = 35.0, 11.7 Hz), 127.58, 120.61 (qd, J = 274.4, 4.6 Hz), 117.35, 106.59 (br), 83.10, 61.40, 60.53 (2C), 56.49, 44.17, 38.99, 28.55, 27.82, 27.02, 24.63 ppm;C2631BF (分子量562.37), LCMS (EI) m/e 563 (M + H).
【0108】
2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(8)。窒素注入口、サーモカップル、添加漏斗及びマグネティックスターラーを装備した25mLフラスコへ、2-(1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)-イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)-3-(4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(11、307mg、0.546mmol)、4-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(4、84.8mg、0.548mmol、1.0当量)、重炭酸ナトリウム(NaHCO、229mg、2.72mmol、5.0当量)、水(1.6mL)及び1,4-ジオキサン(1.6mL)を、周囲温度で添加した。次いで混合物をテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(12.8mg、0.011mmol、0.02当量)により周囲温度で処理し、もたらされた反応混合物を脱気し、窒素を3回補充し、その後85℃へ加熱した。反応混合物を窒素下で85℃で一晩撹拌した。HPLCによってモニタリングして反応が完了した時に、反応混合物を減圧下で濃縮乾固し、乾燥された反応混合物の直接的なシリカゲル(SiO)カラムクロマトグラフィー(ヘキサン勾配溶出において0~10%の酢酸エチル)精製によって、所望される生成物(2-(3-(4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-1-(1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル)アセトニトリル(8、遊離塩基、135mg、理論上302.2mg、44.6%)を、灰白色固体として得た。この合成アプローチによって得られた化合物は、すべての類似する態様において、実施例1における上記の合成方法によって製造された化合物8に同一である。
【0109】
実施例3。1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-オン(7)の合成
スキームIII
【化24】
(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)(1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4,5]デカノ-8-イル)メタノン(14)。メカニカルスターラー、添加漏斗及び隔壁を装備した30Lの反応器へ、水酸化ナトリウム(NaOH、1.4kg、35mol、2.0当量)及び水(7L)を充填し、もたらされた溶液を1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン塩酸塩(3.13kg、17.43mol)により周囲温度で処理した。次いでもたらされた混合物を周囲温度で30分間撹拌し、その後固体の塩化ナトリウム(1.3kg)により飽和させ、2-メチル-テトラヒドロフラン(3×7L)により抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウム(NaSO、1.3kg)により乾燥させ、濾過によって乾燥剤(硫酸ナトリウム(NaSO))を除去した後に、減圧下(70mmHg)で50℃で濃縮した。このようにして得られた黄色油を減圧下(80mmHg、沸点115~120℃)で蒸留して、透明な油として、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン(2.34kg、理論上2.496kg、93.8%)を得て、それを後続のカップリング反応において直接使用した。メカニカルスターラー、添加漏斗、温度計及び真空排気口を装備した乾燥された100Lの反応器へ、3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチン酸(13、3.0kg、14.35mol)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP試薬、7.6kg、17.2mol、1.2当量)、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン(2.34kg、16.36mol、1.14当量)及びN,N-ジメチルホルムアミド(DMF、18L)を、周囲温度で充填した。次いでもたらされた溶液を周囲温度で20分間撹拌し、その後5~10℃へ冷却した。次いでトリエチルアミン(EtN、4L、28.67mol、2.0当量)を、反応混合物へ1時間にわたって添加し、内部温度をトリエチルアミンの添加の間に5℃~10℃の間で保った。このようにして得られた暗褐色溶液を周囲温度(およそ20℃)で12時間撹拌し、次いでおよそ10℃へ冷却した。激しく撹拌しながら、18Lの重炭酸ナトリウム(NaHCO)飽和水溶液及び36Lの水を、冷却した反応混合物へ逐次的に添加し、内部温度を15℃より下で保った。このようにして得られた沈殿(フィルターケーキ)を濾過によって収集した。次いで水相を12kgの固体の塩化ナトリウム(NaCl)により飽和させ、EtOAcにより抽出した(2×18L)。合わせた有機層を、重炭酸ナトリウム(NaHCO)飽和水溶液(18L)及び水(2×18L)により逐次的に洗浄した。次いで収集されたフィルターケーキを有機相中に戻して溶解し、もたらされた暗褐色溶液を水(2×18L)により洗浄し、その後減圧下(40~50℃、30mmHg)で濃縮して、粘性のある茶色油として、およそ5.0kgの粗製の所望される生成物(14)を得た。次いで上で得られた粗生成物をEtOH(8.15L)中で50℃で溶解し、もたらされた溶液をおよそ50℃で30分間にわたって水(16.3L)により処理した。茶色溶液をシーディングし、その後撹拌しながら3時間にわたって周囲温度(およそ20℃)へ徐冷し、周囲温度で12時間撹拌した。固体を濾過によって収集し、EtOH及び水の混合物(EtOH:HO=1:20、2L)により洗浄し、およそ60℃で24時間減圧(50mmHg)下で乾燥させて、白色固体として、(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)(1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4,5]デカノ-8-イル)メタノン(14、3.98kg、理論上4.797kg、83.0%)を得た。14について:H NMR (300 MHz, DMSO-d) δ 8.64 (d, HH = 4.68 Hz, 1H,ピリジン中のNCH), 7.92 (dd, HH = 4.68 Hz, HF = 4.68 Hz, 1H,ピリジン中のNCCH), 3.87 - 3.91 (m, 4H, OCHCHO), 3.70 (br s, 2H,ピペリジン環中のNCHのうちの1つ,ピペリジン環中の別のNCHのうちの1つ, 両者はアキシアル位である), 3.26 (t, HH = 5.86 Hz, 2H,ピペリジン環中のNCHのうちの1つ,ピペリジン環中の別のNCHのうちの1つ,両者はエクアトリアル位である), 1.67 (d, HH = 5.86 Hz, 2H,ピペリジン環中のNCCHのうちの1つ,ピペリジン環中の別のNCCHのうちの1つ,両者はエクアトリアル位である), 1.58 (br s, 2H,ピペリジン環中のNCCHのうちの1つ,ピペリジン環中の別のNCCHのうちの1つ,両者はアキシアル位である) ppm;13C NMR (75 MHz, DMSO-d) δ 161.03 (N-C=O), 151.16 (d, CF = 266.03 Hz, C-F), 146.85 (d, CF = 4.32 Hz,ピリジン中のNCH), 135.24 (d, CF = 11.51 Hz, -C=O), 135.02 (四重線, CF = 34.57 Hz, NCCF), 128.24 (d, CF = 7.48 Hz,ピリジン中のNCH), 119.43 (d × 四重線, CF = 274.38 Hz, CF = 4.89 Hz, CF), 106.74 (OO), 64.60 (OCCO), 45.34 ピペリジン環中のNC), 39.62(ピペリジン環中のNC), 34.79(ピペリジン環中のNCC), 34.10 ピペリジン環中のNC) ppm;19F NMR (282 MHz, DMSO-d) δ -64.69 (d, FF = 15.85 Hz, FC), -129.26 (d × 四重線, FF = 15.85 Hz, FH = 3.96 Hz, FC) ppm;C1414 (分子量, 334.27), LCMS (EI) m/e 335.1 (M + H).
【0110】
1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-オン(7)。メカニカルスターラー、サーモカップル、添加漏斗及び窒素注入口を装備した5Lの四つ首の丸底フラスコ中に、アセトニトリル(ACN、400mL)中の(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)(1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4,5]デカノ-8-イル)メタノン(14、100g、0.299mol)を、周囲温度で充填した。もたらされた溶液を10℃未満へ冷却し、その後内部温度を10℃未満で保ちながら、6.0Nの塩酸(HCl)水溶液(450mL、2.70mol、9.0当量)により処理した。次いでもたらされた反応混合物を室温へ徐々に暖め、追加量の6.0Nの塩酸(HCl)水溶液(1050mL、6.30mol、21.0当量)を、添加漏斗経由で周囲温度で8時間にわたって反応混合物へゆっくり導入した。HPLCによってモニタリングして反応が完了した時に、次いで反応混合物を0℃へ冷却し、その後内部温度を10℃未満で保ちながら、30%の水酸化ナトリウム水溶液(NaOH、860mL、8.57mmol、28.6当量)により処理した。後続して、もたらされた反応混合物を周囲温度へ暖め、その後1時間にわたって固体の重炭酸ナトリウム(NaHCO、85.0g、1.01mol、3.37当量)を添加した。次いで混合物をEtOAc(2×1.2L)により抽出し、合わせた有機相を16%の塩化ナトリウム水溶液(2×800mL)により洗浄し、真空蒸留によっておよそ1.0Lへ濃縮した。n-ヘプタン(2.1L)を残留物へ添加し、もたらされた混合物を真空蒸留によって1.0Lへ濃縮した。濃縮混合物へ、n-ヘプタン(2.1L)を添加した。次いでもたらされた白色スラリーを真空蒸留によって1.0Lへ濃縮した。次いで白色スラリーへ、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE、1.94L)を添加した。白濁物を40℃へ加熱して、透明な溶液を得た。もたらされた溶液を真空蒸留によって約1.0Lへ濃縮した。混合物を室温で1時間撹拌した。白色沈降物を濾過によって収集し、n-ヘプタン(400mL)により洗浄し、吸引真空により窒素下でフィルター上で乾燥させて、灰白色固体として、1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-オン(7、78.3g、理論上86.8g、90.2%の収率、及びHPLCによって測定して98%の純度をもたらす)を得た。7について:H NMR (300 MHz, DMSO-d) δ 8.68 (d, HH = 4.69 Hz, 1H,ピリジン中のNCH), 7.97 (dd, HH = 4.69 Hz, HF = 4.69 Hz, 1H,ピリジン中のNCCH), 3.92 (br s, 2H,ピペリジン環中のNCHのうちの1つ,ピペリジン環中の別のNCHのうちの1つ,両者はアキシアル位である), 3.54 (t, HH = 6.15 Hz, 2H,ピペリジン環中のNCHのうちの1つ,ピペリジン環中の別のNCHのうちの1つ,両者はエクアトリアル位である), 2.48 (t, HH = 6.44 Hz, 2H, NCCH), 2.34 (t, HH = 6.15 Hz, 2H, NCCH) ppm;13C NMR (75 MHz, DMSO-d) δ 207.17 (C=O), 161.66 (N-C=O), 151.26 (d, CF = 266.89 Hz, C-F), 146.90 (d, CF = 6.05 Hz,ピリジン中のNCH), 135.56 (-C=O), 134.78 -135.56 (m, NCF), 128.27 (d, CF = 7.19 Hz,ピリジン中のNCH), 119.52 (d× 四重線, CF = 274.38 Hz, CF = 4.89 Hz, CF), 45.10 (ピペリジン環中のNC) ppm,1つの炭素(ピペリジン環中のNC)が(CDSOとのオーバーラップに起因して欠損する;19F NMR (282 MHz, DMSO-d) δ -64.58 (d, FF = 15.85 Hz, FC), -128.90 (d × 四重線, FF =1 5.85 Hz, FH = 4.05 Hz, FC) ppm;C1210 (分子量, 290.21), LCMS (EI) m/e 291.1 (M + H).
【0111】
実施例4。tert-ブチル3-(シアノメチレン)アゼチジン-1-カルボキシレートの合成
スキームIV
【化25】
1-ベンズヒドリルアゼチジン-3-オール塩酸塩(16)。メタノール(MeOH、6L)中のジフェニルメタンアミン(2737g、15.0mol、1.04当量)の溶液を、添加漏斗からの2-(クロロメチル)オキシラン(1330g、14.5mol)により周囲温度で処理した。初回添加の間に、わずかな吸熱が認められた。もたらされた反応混合物を室温で3日間撹拌し、その後追加の3日間温めて還流させた。TLCが反応が完了しているであろうことを示した時に、反応混合物を、最初に室温へ、次いで氷浴中で0~5℃へ冷却した。固体を濾過によって収集し、アセトン(4L)により洗浄して、所望された粗生成物の第1の収穫物(1516g)を得た。濾液を減圧下で濃縮し、もたらされた半固体をアセトン(1L)により希釈した。次いでこの固体を濾過によって収集して、所望される粗生成物の第2の収穫物(221g)を得た。粗生成物である1-ベンズヒドリルアゼチジン-3-オール塩酸塩(1737 3998.7g理論上g、43.4%の収率)は、さらなる精製無しに後続反応において使用するのに十分に純粋であることが見出された。HNMR (300 MHz, DMSO-d) δ 12.28 (br. d, 1H), 7.7 (m, 5H), 7.49 (m, 5H), 6.38 (d, 1H), 4.72 (br. s, 1H), 4.46 (m, 1H), 4.12 (m, 2H), 3.85 (m, 2H) ppm;C1618ClNO (分子量275.77;遊離塩基についてC1617NO,分子量, 239.31), LCMS (EI) m/e 240 (M + H).
【0112】
tert-ブチル3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレート(17)。10%の炭酸ナトリウムの水溶液(NaCO、5L)及びジクロロメタン(CHCl、5L)中の1-ベンズヒドリルアゼチジン-3-オール塩酸塩(625g、2.27mol)の懸濁物を、固体がすべて溶解するまで室温で撹拌した。2つの層を分離し、水層をジクロロメタン(CHCl、2L)により抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム(NaSO)の上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いでもたらされた粗製1-ベンズヒドリルアゼチジン-3-オール遊離塩基をTHF(6L)中で溶解し、溶液を大きなParrボンベの中へ置いた。ジ-tert-ブチルジカルボナート(BOCO、545g、2.5mol、1.1当量)及び20%の炭素担持パラジウム(Pd)(125g、水分50%)を、Parrボンベへ添加した。容器に水素気体(H)を30psiまで充填し、一定の水素雰囲気(容器に3回再充填して30psiの圧力を維持した)下で室温で18時間撹拌した。HPLCが反応が完了したことを示した時に(これ以上水素が取り込まれなかった)、反応混合物をセライトパッドを介して濾過し、セライトパッドをTHF(4L)により洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して溶媒を除去し、残留物を最小量のジクロロメタン(CHCl)とともにBiotage 150カラム上に入れた。カラムをn-ヘプタン中の20~50%の酢酸エチルにより溶出し、純粋な所望される生成物であるtert-ブチル3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレートを含有する画分を収集し、合わせた。溶媒を減圧下で除去して、無色油として、tert-ブチル3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレート(357g、理論上393.2g、90.8%の収率)を得て、それは真空で周囲温度で放置すると固体化した。HNMR (300 MHz, CDCl), δ 4.56 (m 1H), 4.13 (m, 2H), 3.81 (m, 2H), 1.43 (s, 9H) ppm.
【0113】
tert-ブチル3-オキソアゼチジン-1-カルボキシレート(18)。酢酸エチル(400mL)中のtert-ブチル3-ヒドロキシアゼチジン-1-カルボキシレート(50g、289mmol)の溶液を、0℃へ冷却した。次いでもたらされた溶液を、固体のTEMPO(0.5g、3.2mmol、0.011当量)、及び水(60mL)中の臭化カリウム(KBr、3.9g、33.2mmol、0.115当量)の溶液により0~5℃で処理した。0~5℃の間で反応温度を保ちながら、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(NaHCO、450mL)及び次亜塩素酸ナトリウム水溶液(NaClO、10~13%の有効塩素、450mL)を添加した。次亜塩素酸ナトリウムの溶液を添加すると、反応混合物の色は直ちに変化した。追加量の次亜塩素酸ナトリウム溶液を添加した時に、反応混合物の色は徐々に退色した。TLCが出発材料のすべてが消費されたことを示した時に、反応混合物の色はもはや変化しなかった。次いで反応混合物を酢酸エチル(EtOAc、500mL)により希釈し、2つの層を分離した。有機層を、水(500mL)及び塩化ナトリウム飽和水溶液(500mL)により洗浄し、硫酸ナトリウム(NaSO)の上で乾燥させた。次いで溶媒を減圧下で除去して、粗生成物(tert-ブチル3-オキソアゼチジン-1-カルボキシレート(48g、理論上49.47g、97%の収率))を得て、これは、さらなる精製無しに後続反応において直接使用するのに十分に純粋であることが見出された。HNMR (CDCl, 300 MHz) δ 4.65 (s, 4H), 1.42 (s, 9H) ppm.
【0114】
tert-ブチル3-(シアノメチレン)アゼチジン-1-カルボキシレート(2)。ジエチルシアノメチルホスフェート(745g、4.20mol、1.20当量)及び無水テトラヒドロフラン(THF、9L)を、サーモウェル、添加漏斗及び窒素保護チューブを装備した四つ首のフラスコへ室温で添加した。溶液を氷メタノール浴により-14℃へ冷却し、無水テトラヒドロフラン(THF、3.85L)中の1.0Mのカリウムtert-ブトキシド(t-BuOK)(3.85mol、1.1当量)の溶液を、反応温度を-5℃未満に保って、20分間にわたって添加した。もたらされた反応混合物を-10℃で3時間撹拌し、無水テトラヒドロフラン(THF、2L)中の1-tert-ブトキシカルボニル-3-アゼチジノン(600g、3.50mol)の溶液を、内部温度を-5℃未満で保って、2時間にわたって添加した。反応混合物を-5~-10℃で1時間にわたって撹拌し、次いでゆっくり室温まで暖め、室温で一晩撹拌した。次いで反応混合物を水(4.5L)及び塩化ナトリウム飽和水溶液(NaCl、4.5L)により希釈し、酢酸エチル(EtOAc、2×9L)により抽出した。合わせた有機層をブライン(6L)により洗浄し、無水硫酸ナトリウム(NaSO)の上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタン(CHCl、4L)により希釈し、その後シリカゲル(SiO、1.5kg)の上で吸収させた。シリカゲル上で吸収させた粗生成物を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、3.5kg、0~25%のEtOAc/ヘキサン勾配溶出)によって精製して、白色固体として、tert-ブチル3-(シアノメチレン)アゼチジン-1-カルボキシレート(2、414.7g、理論上679.8g、61%の収率)を得た。2について:H NMR (300MHz, CDCl) δ 5.40 (m, 1H), 4.70 (m, 2H), 4.61 (m, 2H), 1.46 (s, 9H) ppm;C1014 (分子量, 194.23), LCMS (EI) m/e 217 (M + Na).
【0115】
実施例5。4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールの合成
スキームV
【化26】
4-ヨードピラゾール(20)。窒素注入口、添加漏斗、サーモウェル及びメカニカルスターラーを装備したフラスコに、ピラゾール(1、450g、6.62mol)及びテトラヒドロフラン(THF、5L)を、周囲温度で充填した。次いで混合物を10℃へ冷却し、N-ヨードスクシンイミド(NIS、1490g、6.62mol、1.0当量)を固体として小分けで混合物へおよそ10℃で添加した。次いでもたらされた反応混合物を、周囲温度で1時間(周囲温度に依存してより長い反応時間は必要であり得る)撹拌した。次いで混合物を濾過し、THFを減圧下で除去した。残留物を酢酸エチル(6L)中で懸濁し、不溶性物質を濾過した。黒ずんだ濾液を、チオ硫酸ナトリウム飽和水溶液(2×3L)(有機層は淡黄色に明るくなる)、水(2×3L)及びブライン(2L)により逐次的に洗浄した。次いでもたらされた有機層を硫酸ナトリウムの上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、真空オーブン中でおよそ30℃で一晩乾燥させた後に、白色から淡黄色の固体として、4-ヨードピラゾール(1138g、理論上1284.1g、88.6%)を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 13.17 (bs, 1H), 7.93 (bs,1H), 7.55 (bs,1H) ppm;CIN (分子量, 193.97), LCMS (EI) m/e 195 (M + H).
【0116】
1-トリメチルシリル-4-ヨードピラゾール(21)。還流冷却器、窒素注入口、メカニカルスターラー及びサーモウェルを装備したフラスコへ、4-ヨードピラゾール(200g、1.03mol)及びTHF(2L)を、周囲温度で充填した。この溶液へ、トリエチルアミン(TEA、158mL、1.13mol、1.1当量)を添加し、もたらされた溶液を氷-ブライン浴中で0℃へ冷却した。この溶液へ、クロロトリメチルシラン(TMS-Cl、137mL、1.08mol、1.05当量)を激しく撹拌ながら添加し、温度を18℃に到達させた(反応物は非常に濃厚であり撹拌するのが難しくなるが、時間がたった後に扱いやすくなる)。発熱性プロセスが静まった時に、冷浴を除去し、反応物を室温へ暖めた。GCによって反応を追跡し約1時間後に完了しているだろうことが見出された(反応物のサンプリングを空気が無い状態で行い、無水溶媒により希釈して、TMSの加水分解を防止しなくてはならない)。次いで反応混合物をn-ヘプタン(2L)により希釈し、その後窒素下で濾過した。ロータリーエバポレーターを窒素により通気して減圧下で、溶媒を濾液から除去した。残留油をn-ヘプタン(1L)により希釈し、再濃縮した。n-ヘプタンの添加に際して固体が形成されたならば、第2の濾過が必要であった。次いでKugelohrを使用して減圧下(約0.5Torrで70~90℃)で残留物を蒸留して、無色油として、1-トリメチルシリル-4-ヨードピラゾール(263g、理論上274.1g、96%)を得た。TMS基が迅速に加水分解するので、この物質は常に窒素下で保たなくてはならない。後続して、1-トリメチルシリル-4-ヨードピラゾールは、ヨードピラゾールを2当量のヘキサメチルジシラザンと1時間加熱することによって調製できることが見出された。
【0117】
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1)。メカニカルスターラー、窒素注入口、添加漏斗及びサーモウェルを装備したフラスコに、1-トリメチルシリル-4-ヨードピラゾール(225.1g、0.85mol)及びTHF(2200mL)を周囲温度で充填した。この混合物を氷/塩/ブライン浴中でおよそ-6℃へ冷却し、その後THF中のイソプロピル塩化マグネシウムの溶液(THF中で2Mの溶液、510mL、1.02mol、1.2当量)を、内部温度が0℃を越えないような率で添加した。金属/ハロゲン交換の程度をGCによってモニタリングし、約10分間後に完了したことが見出された。次いで橙褐色溶液へ、2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(イソプロピルピナコールボレート、347mL、1.7mol、2.0当量)を、0℃未満の温度を保って、最初はゆっくり、次いで約半分の化合物を添加した後にかなり迅速に添加し、温度を5℃に到達させた(反応物はかなり濃厚になり、次いでゆっくり粘度が低下した)。次いで反応物を0℃で10分間撹拌し、その後周囲温度へ1時間にわたって暖め、周囲温度で追加の1時間撹拌した。反応混合物をおよそ6℃へ冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液(NHCl、2.2L)を添加し、温度は25℃へ増加した。混合物を5分間撹拌し、その後トルエン(10L)により希釈した。層を分離し(多量の固体が水層中に存在する)、有機層を水(6×2.2L)及びブライン(2×2.2)により逐次的に洗浄し、その後硫酸ナトリウム(NaSO)の上で乾燥させた。乾燥剤である硫酸ナトリウム(NaSO)を濾過によって除去し、溶液を減圧下で濃縮した。残留トルエンをn-ヘプタンと共蒸発させて、白色固体として、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1、90.3g、理論上164.9g、54.8%)を得た。1について:H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 13.08 (bs, 1H), 7.94 (s,1H), 7.62 (s,1H), 1.23 (s, 12H) ppm;C15BN (分子量, 194.04), LCMS (EI) m/e 195 (M + H).
【0118】
実施例6。4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールの代替合成
スキームVI
【化27】
4-ブロモピラゾール(22)。ピラゾール(19、34.0g、0.5mol)及びNBS(89.0g、0.5mol、1.0当量)を、水(625ml)中で周囲温度で懸濁した。もたらされた懸濁物を、周囲温度で一晩撹拌した。次いで反応混合物をEtOAc(2×100mL)により抽出した。合わせたEtOAc抽出物をNa水溶液及びブラインにより洗浄し、NaSOの上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、白色固体として、粗製4-ブロモピラゾール(72.0g、理論上73.5g、98%の収率)を得て(GC純度:>98%)、それはさらなる精製無しに後続反応中で直接使用した。
【0119】
4-ブロモ-1-(エトキシエチル)-1H-ピラゾール(23)。CHCl(600mL)中の4-ブロモピラゾール(70.0g、0.476mol)の溶液へ、ジオキサン(4mL)及びエチルビニルエーテル(41g、0.569mol、1.2当量)中の3.1MのHClの溶液を、周囲温度で添加した。もたらされた反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した。反応物をNaHCO水溶液によりクエンチし、2つの層を分離した。有機層をNaSOの上で乾燥させ、減圧下で濃縮し、水により洗浄して、油として、4-ブロモ-1-(エトキシエチル)-1H-ピラゾール(113g、理論上104.3g、97%の収率)を得て(GC純度:89%)、それはさらなる精製無しに後続反応中で直接使用した。
【0120】
1-(エトキシエチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(24)。THF中のiPrMgCl.LiCl(50mmol、1.8当量)の100mlの溶液へ、4-ブロモ-1-(エトキシエチル)-1H-ピラゾール(6.15g、28mmol)を、周囲温度で添加した。もたらされた反応混合物を周囲温度で12時間撹拌し、次いで-20℃へ冷却した。次いでメトキシピナコールボレート(10.6g、67mmol、2.4当量)を、反応混合物へ-20℃で添加した。もたらされた混合物を0~10℃で1時間撹拌した。NHCl水溶液を添加して、反応物をクエンチした。次いで混合物を石油エーテル(PE)により抽出した。合わせたPE抽出物を飽和NaHCOにより洗浄し、NaSOの上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をPE中で結晶化して、白色から灰白色の固体として、1-(エトキシエチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(24、4.2g、理論上7.45g、56.4%の収率)を得た(GC純度:99%)。24について:H NMR (DMSO-d, 400 MHz) δ 8.09 (s, 1H), 8.58 (s,1H), 7.62 (s,1H), 5.55 (q, 1H, J = 6.1 Hz), 3.37 (dq, 1H, J = 7.1, 9.6 Hz), 3.12 (dq, 1H, J = 7.0, 9.7 Hz), 1.56 (d, 3H, J = 6.0 Hz), 1.24 (s, 12H), 1.00 (t, 3H, J = 7.0 Hz) ppm;C1323BN (分子量, 266.14), LCMS (EI) m/e 267 (M + H).
【0121】
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1)。1,2-ジクロルエタン(750kg)中の2,3-ジメチルブタン-2,3-ジオール(25.0kg、211.6mol)及び1-(1-エトキシエチル)-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(24,55.0kg、206.7mol)の混合物へ、MTBE(25.0kg、HClの20~30%)中のHClの溶液を、0~5℃でゆっくり添加した。次いでもたらされた反応混合物を、10~20℃で3~5時間撹拌した。HPLCによってモニタリングして選択的脱保護反応が完了した後に(1:1%未満)、反応混合物を脱気し、窒素を補充し、その後-15℃へ冷却した。次いで冷却した反応混合物にトリエチルアミン(TEA、30.0kg、296.5mol)を添加して、pHを7~8へ調整した。次いで混合物を周囲温度へ徐々に暖め、その後水(150kg)により処理した。2つの相を分離し、有機層をブライン(60kg)により洗浄し、硫酸ナトリウム(NaSO)の上で乾燥させた。乾燥剤である硫酸ナトリウム(NaSO)を濾過によって除去し、もたらされた溶液を減圧下で40~50℃で濃厚な油へ濃縮した。残留物を60~70℃へ暖め、石油エーテル(100kg)により同じ温度で希釈した。次いでもたらされた混合物を、徐々に周囲温度へ後続して-5℃へ冷却し、同じ温度で3時間撹拌した。固体を遠心分離によって収集し、50~60℃で真空下で乾燥させて、所望される粗生成物(1、33.75kg、理論上40.11kg、84.1%)を得た。次いで所望される粗生成物を1,2-ジクロルエタン(30kg)中で懸濁し、透明な溶液が形成されるまで、もたらされた混合物を加熱還流した。次いで高温の溶液へ、石油エーテル(150kg)を同じ温度で添加した。次いでもたらされた混合物を、徐々に周囲温度へ後続して-5℃へ冷却し、同じ温度で3時間撹拌した。固体を遠心分離によって収集し、50~60℃で真空下で乾燥させて、灰白色固体として、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1、31.0kg、理論上40.11kg、77.3%)を得て、それは、すべての類似する態様において、実施例5における上記の合成方法によって合成された材料に同一である。
【0122】
実施例7。4-クロロ-7H-[ピロロ[2,3-d]ピリミジンの合成
スキームVII
【化28】
4,6-ジクロロピリミジン-5-カルバルデヒド(26)。メカニカルスターラー、添加漏斗、コンデンサー、サーモカップル及びNaOHスクラビング水溶液の中へのNスイープを装備した5Lの四つ首フラスコ中に、オキシ塩化リン(POCl、1L、10.572mol、4.82当量)を、氷/塩浴中で充填し冷却した。次いでN,N-ジメチルホルムアミド(DMF、320mL、4.138mol、1.85当量)を、フラスコへ0±2℃で滴加した。およそ0.5時間にわたっておよそ100mLのDMFを添加した後に、結晶化が起こり、反応温度は0から10℃へ増加した。添加を停止し、混合物をおよそ2℃へ再度冷却した。残りのDMFを8℃未満で2.5時間にわたって添加した。懸濁物は非常に濃厚になり、撹拌を困難にした。DMFの添加が完了した時に、混合物を3~5℃で0.5時間撹拌した。4,6-ジヒドロキシピリミジン(250g、2.232mol)を、固体として小分けで添加した。4,6-ジヒドロキシピリミジンのうちの約3分の1を添加した後に、反応混合物はより流動性になり、遅い発熱性の現象が起こり、反応温度はおよそ12℃へ0.5時間にわたって増加した。残りの4,6-ジヒドロキシピリミジンを0.25時間にわたって小分けで添加し、反応温度は12から27℃へ増加した。反応温度を間欠的な冷却により25~27℃で維持しその時間の間に、黄色懸濁物は粘度が低下し、次いでもう一度濃厚になった。発熱現象が約1時間で静まった後に、反応混合物をゆっくり加熱した。約55℃で、反応混合物は非常に濃厚になり、第2の穏やかな発熱現象が起こった。加熱マントルを除去したが、反応温度は約63℃へ増加し続け、この温度で数分間とどまり、その後低下した。温和な還流(約100℃)が達成されるまで、混合物の加熱を再開した。約95℃で、HClガスの安定したかなり急速な発生が開始し、反応混合物は徐々に粘度が低下し黒ずんできた。約0.5時間後に、透明な茶色溶液が生じ、還流温度は115℃へ1.25時間にわたってゆっくり増加した。合計で2.5時間の還流後に、反応混合物を周囲温度へ冷却し、周囲温度で一晩撹拌した。過剰量のPOCl(可能な限り)を減圧下で除去した(浴温45~50℃)。濃厚な残留した茶色油を、20Lの分離漏斗中で冷HO(5L)の中へ非常にゆっくり注ぎ、必要に応じて氷を添加して、室温の近くで水性混合物を維持した。水性混合物を、EtOAc(2×3L、続いて1×2L)により抽出した。合わせたEtOAc抽出物をHO(2×2.5L)、NaHCO飽和水溶液(1L)、ブライン(1L)により洗浄し、NaSOの上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して(35℃の浴温)、黄橙色固体として、粗製4,6-ジクロロピリミジン-5-カルバルデヒド(270 395g理論上g、68.4%)を得た。この粗製材料の20gの小分けを、Kugelrohr蒸留(90~100℃のオーブン温度、225mTorr)によって精製して、室温で放置すると黄色になる白色固体として、15.3gの純粋な4,6-ジクロロピリミジン-5-カルバルデヒドを得た。H NMR (300 MHz, CDCl) δ 10.46 (s, 1H), 8.89 (s,1H) ppm.
【0123】
4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-カルバルデヒド(27)。MeOH(265mL、1.855mol、2.0当量)中の7MのNHの溶液を、トルエン(3L)中の4,6-ジクロロピリミジン-5-カルバルデヒド(163.7g、0.9301mol)の溶液へ周囲温度で1.25時間にわたって添加した。反応温度は20℃から26℃へゆっくり増加し、黄色懸濁物が形成された。穏やかな冷却を適用して、反応温度を26℃未満で維持した。懸濁物を周囲温度で3.5時間撹拌し、その後固体を濾過によって収集した。固体をEtOAc(1L)により洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、固体をトルエン及びn-ヘプタン(2:1 v/v、600mL)により粉砕し、濾過し、乾燥させて、黄色固体として、71.1gの4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-カルバルデヒドを得た。反応混合物から濾過した元の固体は、追加量の4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-カルバルデヒドを含有していた。EtOAc(1.25L)中で1.5時間撹拌し、濾過し、次いでTHF(750mL)中で1時間撹拌し、再び濾過することによって、生成物を濾過した固体から抽出した。EtOAc及びTHFの両方の濾液を減圧下で濃縮し、もたらされた固体をトルエン及びn-ヘプタン(2:1 v/v、450mL)により粉砕し、濾過し、乾燥させて、黄色固体として、追加の44.1gの4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-カルバルデヒドを得た。4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-カルバルデヒドの合わせた収率(115.2g、理論上146.5g)は、78.6%であった。HNMR (300 MHz, DMSO-d) δ 10.23 (s, 1H), 8.71 (bs,1H), 8.55 (bs, 1H), 8.39 (s, 1H) ppm;CClNO (分子量, 157.56), LCMS (EI) m/e 158 (M + H).
【0124】
6-クロロ-5-(2-メトキシビニル)ピリミジン-4-イルアミン(28)。THF(1.5L)中の(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(276.0g、0.807mol、1.1当量)の懸濁物を、氷/塩浴中で-2℃へ冷却し、THF中の1Mのカリウムtert-ブトキシド(KOtBu)(807mL、0.807mol、1.1当量)を、-2~-3℃で1.5時間にわたって添加した。深紅から橙色の混合物を、-2~-3℃で1時間撹拌した。次いで4-アミノ-6-クロロピリミジン-5-カルバルデヒド(115.2g、0.7338mol、1.0当量)を、容器及び漏斗をすすぐためにTHF(200mL)を使用して、固体形態として小分けで反応混合物へ添加した。添加の間に、反応温度は-3から13℃へ増加し、茶色に顕色した。反応温度が10℃へ低下した時に、冷却浴を除去し、反応混合物を周囲温度へ温まらせ、周囲温度で42時間撹拌した。反応混合物を-2℃へ冷却し、その後NHCl飽和水溶液(750mL)のゆっくりした添加によってクエンチした。混合物を減圧下で濃縮して、大部分のTHFを除去した。残留物をEtOAc(3L)とHO(1L)との間で分配した。有機相を濾過して界面の不溶性物質を除去し、次いで2NのHCl(4×250mL)続いて3NのHCl(2×250mL)により抽出した。合わせたHCl抽出物をEtOAc(500mL)により逆抽出し、次いでセライトを介して濾過して不溶性物質を除去した。濾液を氷/ブライン浴中で冷却し、6NのNaOH水溶液によりpH8へ調整し、EtOAc(3×1L)により抽出した。合わせたEtOAc抽出物をブライン(1L)により洗浄し、NaSOの上で乾燥させ、活性炭(10g)及びシリカゲル(10g)と共に1時間撹拌した。混合物をセライトを介して濾過し、EtOAc(1L)によりセライトパッドを洗浄した。濾液を濃縮し、残留EtOAcをn-ヘプタン(500mL)と共蒸発させた。もたらされた褐色固体を高真空下で2時間ポンプで減圧して、粗製6-クロロ-5-(2-メトキシビニル)ピリミジン-4-イルアミン(72.3g、理論上136.2g、53.1%)を得た。所望される粗生成物を、さらなる精製無しに以下の反応物において使用した。粗生成物のサンプル(2.3g)を、0~35%のEtOAc/n-ヘプタンにより溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体として、1.7gの純粋な6-クロロ-5-(2-メトキシビニル)ピリミジン-4-イルアミンを得て、それはE/Z異性体の1対2の混合物であることが見出された。H NMR (300 MHz, DMSO-d)E異性体について: δ 8.02 (s, 1H), 7.08 (bs, 2H), 6.92 (d, 1H, J = 13.1), 5.35 (d, 1H, J = 13.0 Hz), 3.68 (s, 3H) ppm 及びZ異性体について: δ 8.06 (s, 1H), 7.08 (bs, 2H), 6.37 (d, 1H, J = 6.8 Hz), 5.02 (d, 1H, J = 6.7 Hz), 3.69 (s, 3H) ppm;CClNO (分子量, 185.61), LCMS (EI) m/e 186/188 (M + H).
【0125】
4-クロロ-7H-[ピロロ[2,3-d]ピリミジン(4)。濃HCl(5mL)を、THF(700mL)中の粗製6-クロロ-5-(2-メトキシビニル)ピリミジン-4-イルアミン(70.0g、0.3784mol)の溶液へ添加し、もたらされた反応混合物を7.5時間加熱還流した。加温に際して、軽い懸濁物が形成され、それは徐々に再溶解した。HPLCによってモニタリングして反応が完了したと見なされた時に、反応混合物を周囲温度へ冷却し、周囲温度で一晩撹拌した。固体NaHCO(15g)を反応混合物へ添加し、もたらされた混合物を周囲温度で1時間撹拌した。活性炭(7g)、シリカゲル(7g)及びNaSO(20g)を添加し、混合物を40℃へ1時間加熱した。次いで混合物を周囲温度へ冷却し、セライトを介して濾過し、THF(1L)によりセライトパッドを洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、もたらされた固体を減圧下で乾燥させて、黄褐色固体として、粗製4-クロロ-7H-[ピロロ[2,3-d]ピリミジン(4、58.1g、理論上58.1g、100%)を得た。この所望される粗生成物をEtOAc(1L)中で50~55℃で溶解し、活性炭(3g)により処理した。混合物を暖めながらセライトを介して濾過し、セライトパッドを暖めたEtOAc(250mL)により洗浄した。濾液を約500mLへ濃縮し、懸濁物を周囲温度で一晩放置した。後続して懸濁物を0~5℃へ2時間冷却し、その後固体を濾過によって収集した。固体を乾燥させて、黄褐色結晶として、純粋な4-クロロ-7H-[ピロロ[2,3-d]ピリミジン(4、54.5g、理論上58.1g、94%)を得た。H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 12.58 (bs, 1H), 8.58 (s,1H), 7.69 (d,1H, J = 3.5 Hz), 6.59 (d, 1H, J = 3.5 Hz) ppm;LCMS (EI) m/e 154/156 (M +H).
【0126】
実施例8。1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-オン(7)の代替合成
スキームVIII
【化29】
ステップ1:(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン(30)。ジクロロメタン(270mL)中の3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチン酸(13)(54.01g、258.3mmol)の溶液へ、N,N-ジメチルホルムアミド(0.34g、4.65mmol)を、室温で添加した。この溶液へ、ジクロロメタン(81ml)中の塩化オキサリル(34.41g、271.2mmol)を、添加漏斗経由で30分間にわたって添加し、その間、内部温度を15~25℃で維持した。添加漏斗をジクロロメタン(27mL)によりすすいだ。混合物を室温で2時間撹拌して、茶色溶液を得た。ジクロロメタンを減圧下で30℃の温度で蒸留した。残留物をジクロロメタン(270mL)中で溶解し、溶媒を減圧下で30℃で蒸留した。もたらされた残留物をジクロロメタン(270mL)中で溶解して、3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイルクロリド(29)のジクロロメタン溶液を得た。別のフラスコへ、4-ヒドロキシピペリジン(33.18g、328mmol)、ジクロロメタン(270mL)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(108mL、619.9mmol)を添加した。混合物を33℃へ加熱して、溶液を形成した。混合物を室温へ冷却した。溶液へ、ジクロロメタン中の3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイルクロリド(29)を、25~35℃の温度で添加した。添加後に、混合物を25~35℃でもう1時間撹拌した。容器へ、水(430mL)及び37%の塩酸(62.4g、633mmol)を添加した。希釈塩酸を反応混合物へ25℃未満の内部温度で添加した。混合物を30分間撹拌した後に、有機相を分離によって収集した。有機相を9.5%のブライン(210g)により洗浄した。水相を合わせ、ジクロロメタン(430mL)により抽出した。有機相を合わせ、4.5%のブライン(210ml)及び水(215mL)により洗浄した。2-メトキシ-2-メチルプロパン(TBME)の中への溶媒交換によって、ジクロロメタンを除去した。TBME(135mL)中の残留物を60℃へ1時間加熱した。混合物を0℃へ徐冷して、(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノンを結晶化させた。混合物を濾過し、湿潤ケーキをTBME(27mL)により洗浄した。固体を50℃で乾燥させて、薄茶色固体として、(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン(30)(69.95g、92%)を得た。HPLC-MS: 293.0 (M+H). H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 3.09 - 3.99 (m, 4H);1,37 - 1.80 (m, 4H);3.75 (m, 1H);4,84 (d, 1H (b));8.65 (d, 1H, J = 4.7Hz);7.89 (dd, 1H, J = 4,7, J = 4.7 Hz). 13C NMR (101 MHz, DMSO-d) δ 33,5, 34,3, 38.9, 44.0, 65.0, 120.6, 127.6, 134.5, 134.7, 146.2, 152.2;160.2. C1212 (分子量292.23), LCMS (EI) m/e 293.0 (M + H).このプロセス経由の化合物30の純度は、HPLCによって測定して、約98%よりも高いことが決定された。
【0127】
ステップ2:1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-オン(7)。フラスコへ、(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メタノン(30)(50g、171.1mmol)、ジクロロメタン(733mL)、水(766mL)、重炭酸ナトリウム(71.4g、849.7)、炭酸ナトリウム(99.1g、85.2mmol)、臭化ナトリウム(1.76g、17.1mmol)及び2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ(TEMPO)(0.535g、3.42mmol)を15~25℃で添加した。混合物を0~5℃へ冷却した。混合物へ、1,3,5-トリクロロ-1,3,5-トリアジナン-4,4,6-トリオン(23.8g、102mmol)を、4つの小分けで10分間にわたって添加した。混合物を0~5℃で30分間撹拌し、次いで混合物を20~25℃へ30分間で暖めた。混合物を20~25℃でもう1時間撹拌した後に、反応物を、メタノール(26.23mL、647.5mmol)の添加によって20~25℃でクエンチした。混合物を20分間撹拌し、セライト床を通して濾過した。セライト(20g)床をジクロロメタン(50mL)により洗浄した。有機相を分離した。有機相を、6%のブライン(266g)及び水(250mL)により逐次的に洗浄した。活性炭(3.5g)を有機相へ添加した。混合物を室温で30分間撹拌した後に、それをセライト(20g)床を通して濾過した。濾床をジクロロメタン(50mL)により洗浄した。2-メトキシ-2-メチルプロパン(TBME)の中への溶媒交換によってジクロロメタンを除去し、TBME(180mL)中の残留物を50~60℃へ加熱した。ヘプタン(500mL)を暖めた混合物(500mL)へ徐々に添加し、その間、内部温度を50℃より上で維持して、生成物を結晶化させた。混合物を10℃へ徐冷し、濾過した。湿潤ケーキをヘプタン(2×75mL)により洗浄した。固体を減圧下で乾燥させて、灰白色から茶色の固体として、1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-オン(7)(49.7g、87.9%の収率)を得た。H NMR (300 MHz, DMSO-d) δ 8.68 (d, HH = 4.69 Hz, 1H,ピリジン中のNCH), 7.97 (dd, HH = 4.69 Hz, HF = 4.69 Hz, 1H,ピリジン中のNCCH), 3.92 (br s, 2H,ピペリジン環中のNCHのうちの1つ,ピペリジン環中の別のNCHのうちの1つ,両者はアキシアル位である), 3.54 (t, HH = 6.15 Hz, 2H,ピペリジン環中のNCHのうちの1つ,ピペリジン環中の別のNCHのうちの1つ,両者はエクアトリアル位である), 2.48 (t, HH= 6.44 Hz, 2H, NCCH), 2.34 (t, HH = 6.15 Hz, 2H, NCCH) ppm;13C NMR (75 MHz, DMSO-d) δ 207.17 (C=O), 161.66 (N-C=O), 151.26 (d, CF = 266.89 Hz, C-F), 146.90 (d, CF = 6.05 Hz,ピリジン中のNCH), 135.56 (-C=O), 134.78 -135.56 (m,NCF), 128.27 (d, CF = 7.19 Hz,ピリジン中のNCH), 119.52 (d×四重線, CF = 274.38 Hz, CF = 4.89 Hz, CF), 45.10 (ピペリジン環中のNC) ppm, 1つの炭素(ピペリジン環中のNC)が(CDSOとのオーバーラップに起因して欠損する;19F NMR (282 MHz, DMSO-d) δ -64.58 (d, FF = 15.85 Hz, FC), -128.90 (d ×四重線, FF =1 5.85 Hz, FH = 4.05 Hz, FC) ppm;C1210 (分子量, 290.21), LCMS (EI) m/e 291.1 (M + H).このプロセス経由の化合物7の純度は、HPLCによって測定されたように、約90%~約96%の間であることが決定された。
【0128】
酸化剤(例えばTEMPO)の使用の増加は、不純物形成の増加及び単離収率の減少をもたらし得ることが指摘される。より長い酸化時間も、不純物形成の増加及び単離収率の減少を導き得る。
【0129】
実施例9。1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-オン(7)の代替合成
スキームIX
【化30】
1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-オン(7)。ジクロロメタン(150mL)中の3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチン酸(13)(20g、96.65mmol)の溶液へ、N,N-ジメチルホルムアミド(0.13g、1.72mmol)を、室温で添加した。この溶液へ、ジクロロメタン(40ml)中の塩化オキサリル(12.75g、100.4mmol)を、添加漏斗経由で30分間にわたって添加し、その間、内部温度を15~25℃で維持した。添加漏斗をジクロロメタン(10mL)によりすすいだ。混合物を室温で2時間撹拌して、中間体の3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイルクロリドの茶色溶液を得た。溶液へ、4-ピペリドン一水和塩酸塩(19.1g、124.3mmol)を充填した。混合物を0~5℃へ冷却し、水(200mL)中の炭酸ナトリウム(20.28g、191.3mmol)の水溶液を添加した。添加後に、混合物を室温へ暖め、2時間撹拌した。有機相を分離し、6%のブライン(110g)及び水(100mL)により逐次的に洗浄した。有機相へ、活性炭(1.4g)を添加した。混合物を室温で60分間撹拌した後に、混合物をセライト(5g)床を通して濾過した。濾床をジクロロメタン(40mL)により洗浄した。2-メトキシ-2-メチルプロパン(TBME)の中への溶媒交換によってジクロロメタンを除去し、TBME(100mL)中の残留物を50~60℃へ加熱した。ヘプタン(250mL)を暖めた混合物(500mL)へ徐々に添加し、その間、内部温度を50℃より上で維持して、生成物を結晶化させた。混合物を10℃へ徐冷し、濾過した。湿潤ケーキをヘプタン(2×40mL)により洗浄した。固体を減圧下で乾燥させて、灰白色から茶色の固体として、1-(3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル)ピペリジン-4-オン(7)(25.8g、92.7%の収率)を得た。H NMR (300 MHz, DMSO-d) δ 8.68 (d, HH = 4.69 Hz, 1H,ピリジン中のNCH), 7.97 (dd, HH = 4.69 Hz, HF = 4.69 Hz, 1H,ピリジン中のNCCH), 3.92 (br s, 2H,ピペリジン環中のNCHのうちの1つ,ピペリジン環中の別のNCHのうちの1つ,両者はアキシアル位である), 3.54 (t, HH = 6.15 Hz, 2H,ピペリジン環中のNCHのうちの1つ,ピペリジン環中の別のNCHのうちの1つ,両者はエクアトリアル位である), 2.48 (t, HH = 6.44 Hz, 2H, NCCH), 2.34 (t, HH = 6.15 Hz, 2H, NCCH) ppm;13C NMR (75 MHz, DMSO-d) δ 207.17 (C=O), 161.66 (N-C=O), 151.26 (d, CF = 266.89 Hz, C-F), 146.90 (d, CF = 6.05 Hz, ピリジン中のNCH), 135.56 (-C=O), 134.78 -135.56 (m,NCF), 128.27 (d, CF = 7.19 Hz,ピリジン中のNCH), 119.52 (d×四重線, CF = 274.38 Hz, CF = 4.89 Hz, CF), 45.10 (ピペリジン環中のNC) ppm,1つの炭素(ピペリジン環中のNC)が(CDSOとのオーバーラップに起因して欠損する;19F NMR (282 MHz, DMSO-d) δ -64.58 (d, FF = 15.85 Hz, FC), -128.90 (d ×四重線, FF =1 5.85 Hz, FH = 4.05 Hz, FC) ppm;C1210 (分子量, 290.21), LCMS (EI) m/e 291.1 (M + H).このプロセス経由の化合物7の純度は、HPLCによって測定して、約99%よりも高いことが決定された。
【0130】
実施例A:インビトロのJAKキナーゼアッセイ
式Iの化合物を、Park et al.,Analytical Biochemistry 1999,269,94-104中で記載される以下のインビトロアッセイに従って、JAK標的の阻害活性について試験した。N末端Hisタグを備えたヒトJAK1(アミノ酸837~1142)及びJAK2(アミノ酸828~1132)の触媒ドメインを、昆虫細胞中でバキュロウイルスを使用して発現させ、精製した。JAK1及びJAK2の触媒活性を、ビオチン化ペプチドのリン酸化の測定によってアッセイした。リン酸化ペプチドを均一系時間分解蛍光(HTRF)によって検出した。100mMのNaCl、5mMのDTT及び0.1mg/mL(0.01%)のBSAを含む50mMのトリス(pH7.8)バッファー中の、酵素、ATP及び500nMのペプチドを含む40μLの反応物において、各々のキナーゼについて化合物のIC50を測定した。1mMのIC50測定について、反応中のATP濃度は1mMであった。反応を室温で1時間実行し、次いで20μLのアッセイバッファー(Perkin Elmer、Boston、MA)中の、45mMのEDTA、300nMのSA-APC、6nMのEu-Py20により停止した。ユウロピウム標識抗体への結合を40分間行い、HTRFシグナルをFusionプレートリーダー(Perkin Elmer、Boston、MA)上で測定した。式Iの化合物及びアジピン酸塩は≦5nMのJAK1でIC50を有し(1mMのATPで測定した)、>10のJAK2/JAK1比であった(1mMのATPで測定した)。
【0131】
実施例B:細胞アッセイ
増殖についてサイトカイン及びしたがってJAK/STATシグナル形質導入に依存する癌細胞株は、RPMI 1640、10%のFBS、及び1nG/mLの適切なサイトカイン中で1ウェル(96ウェルプレートフォーマット)あたり6000細胞でプレーティングすることができる。化合物をDMSO/培地(0.2%のDMSOの最終濃度)中で細胞へ添加し、37℃、5%のCOで72時間インキュベーションすることができる。細胞生存率に対する化合物の効果を、CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)、続いてTopCount(Perkin Elmer、Boston、MA)の定量を使用して査定する。化合物の可能性のあるオフターゲット効果を、非JAK駆動性の細胞株を使用して、同じアッセイのリードアウトにより並列して測定する。すべての実験を典型的には二重で遂行する。
【0132】
上記の細胞株を使用して、JAKキナーゼ、もしくはSTATタンパク質、Akt、Shp2またはErk等の可能性のある下流の基質のリン酸化に対する化合物の効果を検討することができる。これらの実験を、一晩のサイトカイン飢餓、続いて化合物による短時間のプレインキュベーション(2時間以下)及びおよそ1時間以下のサイトカイン刺激後に遂行することができる。次いでタンパク質を細胞から抽出し、リン酸化タンパク質と全タンパク質の間で区別できる抗体を使用する、ウエスタンブロットまたはELISAを含む、当業者が精通する技法によって分析する。これらの実験は、正常細胞またはがん細胞を利用して、腫瘍細胞生存の生物学または炎症性疾患メディエーターに対する化合物の活性を調査することができる。例えば、後者に関して、IL-6、IL-12、IL-23またはIFN等のサイトカインを使用してJAK活性化を刺激し、STATタンパク質(複数可)のリン酸化、ならびに可能性として、IL-17等の、タンパク質の転写プロファイル(アレイ技術またはqPCR技術によって査定される)または産生及び/または分泌をもたらすことができる。化合物がこれらのサイトカイン媒介性効果を阻害する能力は、当業者に共通の技法を使用して、測定することができる。
【0133】
本明細書における化合物は、変異体JAK、例えば骨髄増殖性障害において見出されるJAK2V617F変異に対するそれらの効力及び活性を評価するようにデザインされた細胞モデルにおいても試験することができる。これらの実験は、野生型JAKキナーゼまたは変異体JAKキナーゼが異所的に発現される血液系譜のサイトカイン依存性細胞(例えばBaF/3)を頻繁に利用する(James,C.,et al.Nature 434:1144-1148;Staerk,J.,et al.JBC 280:41893-41899)。エンドポイントとしては、細胞生存、分裂増殖及びリン酸化JAK、STAT、AktまたはErkタンパク質に対する化合物の効果が挙げられる。
【0134】
本明細書における、ある特定の化合物は、T細胞分裂増殖を阻害する活性について評価することができる。かかるアッセイは、第2のサイトカイン(すなわちJAK)駆動性の分裂増殖アッセイ、及び免疫抑制または免疫活性化の阻害の単純化したアッセイとみなすことができる。以下は、かかる実験をどのように遂行することができるかについての簡潔な概略である。末梢血中単核細胞(PBMC)をFicoll Hypaque分離法を使用してヒト全血サンプルから調製し、T細胞(画分2000)を溶出によってPBMCから得ることができる。新鮮分離したヒトT細胞は、37℃で2×10細胞/mlの密度で、培養培地(10%のウシ胎仔血清、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを補足したRPMI 1640)中で2日間まで維持することができる。IL-2刺激性の細胞分裂増殖分析のために、T細胞を、最初に10μg/mLの最終濃度のフィトヘマグルチニン(PHA)により72時間処理する。PBSにより1回洗浄した後に、6000細胞/ウェルを96ウェルプレート中でプレーティングし、100U/mLのヒトIL-2(ProSpec-Tany TechnoGene;Rehovot、イスラエル)の存在下において、培養培地中の異なる濃度の化合物により処理する。プレートを37℃で72時間のインキュベーションし、製造所に示唆されたプロトコール(Promega;Madison、WI)に従って、CellTiter-Glo Luminescent試薬を使用して、分裂増殖の指標を査定する。
【0135】
実施例C:インビボの抗腫瘍有効性
本明細書における化合物は、免疫不全マウス中のヒト腫瘍異種移植モデルにおいて評価することができる。例えば、INA-6形質細胞腫細胞株の腫瘍形成性バリアントを使用して、SCIDマウスに皮下接種することができる(Burger,R.,et al.Hematol J.2:42-53,2001)。次いで担がん動物を薬物処置群またはベヒクル処置群へと無作為化し、異なる用量の化合物を、経口、腹腔内、または植込み可能なポンプを使用する連続点滴を含む、いくつかの通常の経路によって投与することができる。腫瘍増殖を、キャリパーを使用して経時的に追跡する。さらに、上で記載されるような分析(実施例B)のために、腫瘍サンプルを処理の開始後の任意の時間で収穫して、JAK活性及び下流のシグナル経路に対する化合物効果を評価することができる。加えて、化合物(複数可)の選択性を、他の公知のキナーゼ(例えばBcr-Abl)によって駆動される、K562腫瘍モデル等の異種移植腫瘍モデルを使用して査定することができる。
【0136】
実施例D:マウスの皮膚接触遅延型過敏性応答の試験
本明細書における化合物を、T細胞駆動性のマウスの遅延型過敏性の試験モデルにおける(JAK標的の阻害の)有効性についても試験することができる。マウスの皮膚接触遅延型過敏性(DTH)応答は、臨床的な接触性皮膚炎、及び乾癬等の他のTリンパ球媒介性の皮膚の免疫障害の有効なモデルであるとみなされている(Immunol Today.1998 Jan;19(1):37-44)。マウスのDTHは、免疫浸潤、炎症性サイトカインの付随する増加、及びケラチノサイト過剰増殖を含む、複数の特徴を乾癬と共有している。さらに、クリニックでの乾癬の治療において有効な多くのクラスの薬剤が、マウスにおけるDTH応答の有効な阻害物質でもある(Agents Actions.1993 Jan;38(1-2):116-21)。
【0137】
0日目及び1日目に、剃毛した腹部への抗原2,4,ジニトロ-フルオロベンゼン(DNFB)による局所適用によりBalb/cマウスを感作する。5日目に、技術者用マイクロメーターを使用して、耳の厚さを測定する。この測定値を記録し、ベースラインとして使用する。次いで動物の両耳を、0.2%の濃度で合計で20μL中のDNFB(内部耳介上に10μL及び外部耳介上に10μL)の局所適用によって攻撃投与する。攻撃投与の24~72時間後に、耳を再び測定する。試験化合物による処置を、感作段階及び攻撃投与段階の全体にわたって(-1日目~7日目)、または攻撃投与段階の前及びその全体にわたって(通常4日目の午後~7日目)、与える。試験化合物(異なる濃度における)の処置を、全身的にまたは局所的に(耳への処理の局所適用)のいずれかで投与する。試験化合物の有効性は、処置無しの状況へ比較した、耳腫脹の低減によって示される。20%以上の低減を引き起こす化合物が、有効であるとみなされた。いくつかの実験において、マウスに攻撃投与するが感作しない(陰性対照)。
【0138】
試験化合物の阻害性効果(JAK-STAT経路の活性化の阻害)は、免疫組織化学的分析によって確認することができる。JAK-STAT経路(複数可)の活性化は、機能的な転写因子の形成及び移行をもたらす。さらに、免疫細胞流入及びケラチノサイト分裂増殖増加は、調査及び定量化可能な耳における固有の発現プロファイル変化も提供するに違いない。ホルマリン固定及びパラフィン包埋した耳切片(DTHモデルにおける攻撃投与段階後に収穫した)に、リン酸化STAT3と特異的に相互作用する抗体(クローン58E12、Cell Signaling Technology)を使用して、免疫組織化学的分析を行う。マウスの耳を、比較のために、DTHモデルにおいて、試験化合物、ベヒクルもしくはデキサメタゾン(乾癬のための臨床的に有効な治療)により処理するか、または処理をしない。試験化合物及びデキサメタゾンは、類似する転写変化を定性的及び定量的の両方をもたらすことができ、試験化合物及びデキサメタゾンの両方は、浸潤細胞の数を低減することができる。試験化合物の全身的投与及び局所的投与の両方は、阻害有効性、すなわち浸潤細胞の数の低減及び転写変化の阻害を生ずることができる。
【0139】
実施例E:インビボの抗炎症作用
本明細書における化合物は、単一または複雑な炎症応答を再現するように設計された齧歯動物モデルまたは非齧歯動物モデルにおいて評価することができる。例えば、関節炎の齧歯類モデルを使用して、予防的にまたは治療的に投薬した化合物の処置可能性を評価することができる。これらのモデルとしては、マウスまたはラットのコラーゲン誘発関節炎、ラットのアジュバント誘発関節炎、及びコラーゲン抗体誘発関節炎が挙げられるがこれらに限定されない。多発性硬化症、1型糖尿病、ぶどう膜網膜炎、甲状腺炎、重症筋無力症、免疫グロブリン腎症、心筋炎、気道感作(喘息)、狼瘡または大腸炎が挙げられるがこれらに限定されない自己免疫疾患を使用して、本明細書における化合物の治療可能性を評価することができる。これらのモデルは研究コミュニティーにおいて十分に確立されており、当業者は精通している(Current Protocols in Immunology,Vol 3.,Coligan,J.E.et al,Wiley Press.、Methods in Molecular Biology:Vol.225,Inflammation Protocols.,Winyard,P.G.and Willoughby,D.A.,Humana Press,2003.)。
【0140】
実施例F:ドライアイ、ぶどう膜炎及び結膜炎の治療のための動物モデル
薬剤は、ウサギのコンカナバリンA(ConA)涙腺モデル、マウスのスコポラミンモデル(皮下または経皮)、マウスのBotulinumn涙腺モデル、または眼腺機能不全をもたらすいくつかの自然発生する齧歯類自己免疫モデル(例えばNOD-SCID、MRL/lprまたはNZB/NZW)のいずれかが挙げられるがこれらに限定されない、1つまたは複数の当業者に公知のドライアイの前臨床モデルにおいて評価することができる(Barabino et al.,Experimental Eye Research 2004,79,613-621及びSchrader et al.,Developmental Opthalmology,Karger 2008,41,298-312、その各々の全体は参照により本明細書に援用される)。これらのモデルにおけるエンドポイントとしては、眼腺及び眼(角膜など)の組織病理学、ならびに場合によっては涙液産生を測定する古典的Schirmer試験またはその修飾バージョン(Barabino et al.)が挙げられ得る。活性は、複数の投与経路(例えば全身的または局所的)を経由して投薬することによって査定することができ、それは測定可能な疾患が存在する前またはその後に開始することができる。
【0141】
薬剤は、当業者に公知のぶどう膜炎の1つまたは複数の前臨床モデルにおいて評価することができる。これらものとしては、実験的な自己免疫性ぶどう膜炎(EAU)及びエンドトキシン誘発ぶどう膜炎(EIU)のモデルが挙げられるがこれらに限定されない。EAU実験は、ウサギ、ラットまたはマウスにおいて遂行することができ、受動免疫または能動免疫を含み得る。例えば、いくつかの網膜の抗原のうちの任意のものを使用して妥当な免疫原に動物を感作することができ、その後、動物を同じ抗原により眼から攻撃投与することができる。EIUモデルはより急性であり、致死未満用量でのリポポリサッカライドの局所投与または全身投与を含む。EIU及びEAUの両方のモデルについてエンドポイントとしては、眼底検査、とりわけ組織病理学が挙げられ得る。これらのモデルは、Smith et al.(Immunology and Cell Biology 1998,76,497-512、その全体は参照により本明細書に援用される)によって概説される。活性を、複数の投与経路(例えば全身的または局所的)を経由して投薬することによって査定し、それは測定可能な疾患が存在する前またはその後に開始することができる。上で列挙したいくつかのモデルは、強膜炎/上強膜炎、脈絡膜炎、毛様体炎または虹彩炎も発症することができ、したがってこれらの疾患の治療的処置のための化合物の可能性のある活性の調査において有用である。
【0142】
薬剤は、当業者に公知の結膜炎の1つまたは複数の前臨床モデルにおいても評価することができる。これらものとしては、モルモット、ラットまたはマウスを利用する齧歯動物のモデルが挙げられるがこれらに限定されない。モルモットのモデルとしては、能動免疫もしくは受動免疫及び/またはオボアルブミンまたはブタクサ等の抗原による免疫攻撃投与プロトコールを利用するものが挙げられる(Groneberg,D.A.,et al.,Allergy 2003,58,1101-1113中で概説され、その全体は参照により本明細書に援用される)。ラット及びマウスのモデルは、全体的なデザインがモルモットのものに類似する(同様にGronebergによって概説される)。活性は、複数の投与経路(例えば全身的または局所的)を経由して投薬することによって査定することができ、それは測定可能な疾患が存在する前またはその後に開始することができる。かかる研究についてのエンドポイントとしては、例えば結膜等の眼組織の組織学的分析、免疫学的分析、生化学的分析、分子的分析が挙げられ得る。
【0143】
実施例G:骨のインビボの保護
化合物は、骨減少症、骨粗鬆症、または当業者に公知の骨吸収の様々な前臨床モデルにおいて評価することができる。例えば、卵巣切除歯動物を使用して、化合物が骨の再形成及び/または密度の徴候及びマーカーに影響する能力を評価することができる(W.S.S.Jee and W.Yao,J Musculoskel.Nueron.Interact.,2001,1(3),193-207、その全体は参照により本明細書に援用される)。あるいは、骨の密度及び構造を、コントロールまたは化合物により処置した、治療(例えばグルココルチコイド)誘発骨減少症のモデルにおける齧歯動物で評価することができる(Yao,et al.Arthritis and Rheumatism,2008,58(6),3485-3497、及び同上58(11),1674-1686、その両方の全体は参照することによって本明細書に援用される)。加えて、骨の吸収及び密度に対する化合物の効果は、上で考察された関節炎の齧歯類のモデル(実施例E)において評価することができる。これらのすべてのモデルについてのエンドポイントは、変化し得るが、多くの場合、組織学的査定及び放射線学的査定に加えて、骨再形成の免疫組織学及び適切な生化学的マーカーを含み得る。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態を記載した。しかしながら、様々な改変が本発明の趣旨 及び範囲から逸脱せずに行われ得ることが理解されるであろう。したがって、他の実施形態は以下の請求項の範囲内である。