(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】エアロゾル発生システム用のカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20231129BHJP
A24F 40/30 20200101ALI20231129BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/30
(21)【出願番号】P 2020568770
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2019067465
(87)【国際公開番号】W WO2020002671
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-28
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】タウリノ イレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イゴール
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-502587(JP,A)
【文献】国際公開第2018/020039(WO,A1)
【文献】特表2018-504127(JP,A)
【文献】国際公開第2017/029268(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチン塩粒子を含むエアロゾルの発生のためのエアロゾル発生システムで使用するカートリッジであって、
ニコチンで含浸された第一の担体材料を含むニコチン供与源を含有する第一の区画であって、第一の空気吸込み口および第一の空気出口を有し、前記第一の空気吸込み口と前記第一の空気出口の間の前記第一の担体材料の第一の表面を横切って延びる第一の気流経路を画定する、第一の区画と、
酸で含浸された第二の担体材料を含む酸供与源を含有する第二の区画であって、第二の空気吸込み口および第二の空気出口を有し、前記第二の空気吸込み口と前記第二の空気出口の間の前記第二の担体材料の第一の表面を横切って延びる第二の気流経路を画定する、第二の区画と、を備え、
前記第一の区画および前記第二の区画が、カートリッジ内で平行に配設されていて、かつ
前記第一の担体材料および前記第二の担体材料のうちの少なくとも一つの厚さが、それぞれ前記第一の気流経路または前記第二の気流経路に沿った方向で変化する、カートリッジ。
【請求項2】
前記第一の担体材料の厚さが、前記第一の気流経路に沿った方向で変化し、かつ前記第二の担体材料の厚さが前記第二の気流経路に沿った方向で変化する、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記第一の担体材料の前記第一の表面の少なくとも一部分が非平面形状を有する、請求項1または請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記第一の担体材料の前記第一の表面の少なくとも一部分が、凸形状、凹形状、起伏のある形状、多面形状、一つ以上のへこみ、および一つ以上の突出部のうちの少なくとも一つを有する、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記第二の担体材料の前記第一の表面の少なくとも一部分が非平面形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記第二の担体材料の前記第一の表面の少なくとも一部分が、凸形状、凹形状、起伏のある形状、多面形状、一つ以上のへこみ、および一つ以上の突出部のうちの少なくとも一つを有する、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記第一の区画および前記第二の区画を画定するカートリッジハウジングをさらに備え、前記第一の担体材料が、前記第一の担体材料の第二の表面にて前記カートリッジハウジングに固定されていて、かつ前記第二の担体材料が、前記第二の担体材料の第二の表面にて前記カートリッジハウジングに固定されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記第一の担体材料の前記第二の表面が、前記第一の担体材料の前記第一の表面の反対側であり、かつ前記第二の担体材料の第二の表面が前記第二の担体材料の第一の表面の反対側である、請求項7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記第一の区画および前記第二の区画が、実質的に同一の形状およびサイズを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記酸がカルボン酸である、請求項1~9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記酸が乳酸である、請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記ニコチン供与源が、約1ミリグラム~約50ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記酸供与源が、約2ミリグラム~約60ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
エアロゾル発生システムであって、
請求項1~13のいずれか一項に記載のカートリッジと、
エアロゾル発生装置であって、
前記カートリッジの少なくとも一部分を受容するための空洞を画定する装置ハウジングと、
前記カートリッジの前記第一の区画および前記第二の区画を加熱するためのヒーターと、を備えるエアロゾル発生装置と、を備える、エアロゾル発生システム。
【請求項15】
前記カートリッジが、前記第一の区画と前記第二の区画の間に位置するサセプタを備え、かつ前記ヒーターが、前記エアロゾル発生装置の前記空洞の少なくとも一部分を包囲する誘導ヒーターを備える、請求項14に記載のエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生システムで使用するカートリッジであって、異なる厚さを有する少なくとも一つの担体材料を含むカートリッジに関する。本発明はまた、カートリッジを備えるエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一部の手持ち式エアロゾル発生システムにおいて、ニコチン供与源および揮発性送達促進化合物(例えば酸供与源)を加熱するために、電気ヒーターが使用されている。これらのエアロゾル発生装置において、気化されたニコチンおよび酸は気相で相互に反応して、ユーザーによって吸入されるニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する。
【0003】
こうしたシステムにおけるニコチンおよび酸の蒸気濃度の差は不都合なことに、好ましくない反応化学量論、またはユーザーへの過剰な反応物(未反応のニコチン蒸気もしくは未反応の酸蒸気など)の送達につながりうる。結果として、ニコチン供与源および酸供与源の差を付けた加熱を通して効率的な反応化学量論を得るために、酸蒸気とニコチン蒸気の濃度を制御し、かつバランスを取ることが知られている。
【0004】
例えば、国際特許公開公報第2014/140320 A1号では、酸供与源を含む第一の区画とニコチン供与源を含む第二の区画とを備えるエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムによるニコチン塩粒子のエアロゾルの形成を、第一の区画を第二の区画より低い温度に加熱することによって制御することを開示している。
【0005】
ニコチン供与源および酸供与源を含有する区画を通る体積空気流量の変化を通して効率的な反応化学量論を得るために、酸蒸気とニコチン蒸気の濃度を制御し、かつバランスを取ることも知られている。例えば、国際特許公開公報第2017/108987 A1号では、適切な反応化学量論を達成するために必要とされるニコチンと乳酸の比が、カートリッジの第二の区画を通る体積空気流量に対する、カートリッジの第一の区画を通る体積空気流量の変化を通して制御され、そのバランスが取られてもよいことを教示している。国際特許公開公報第2017/108987 A1号では、第一の区画を通る体積空気流量と第二の区画を通る体積空気流量との比が、カートリッジの第二の区画の第二の空気吸込み口の流れ面積に対する、カートリッジの第一の区画の第一の空気吸込み口の流れ面積の変化を通して制御されてもよいことを教示している。
【0006】
しかしながら、本発明の発明者らは、他の要因が働いて、ニコチン蒸気および酸蒸気の相対的な量を効率的な反応化学量論から退けうることを認識した。例えば、周知のシステムは典型的に、ニコチンで含浸された第一の平面状の担体材料を含むニコチン供与源を含有する第一の区画と、酸で含浸された第二の平面状の担体材料を含む酸供与源を含有する第二の区画とを備える。本発明の発明者らは、例えば製造公差に起因して生じる場合がある第一の担体材料の寸法および第二の担体材料の寸法の均一な変化が、第一の区画および第二の区画の引き出し抵抗に影響を与える場合があり、これが第一の区画および第二の区画を通る体積空気流量を不必要に改変する場合があることを見いだした。製造公差に起因する第一の区画および第二の区画を通る一貫性のない体積空気流量は、ニコチン蒸気と酸蒸気の比に悪影響を及ぼしうる。製造公差に起因する第一の区画および第二の区画を通る一貫性のない体積空気流量は、複数のカートリッジの使用にわたって一貫性のないユーザー体験をもたらしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ニコチン塩粒子を含むエアロゾルの発生のためのエアロゾル発生システム用のカートリッジであって、担体材料の寸法における製造公差の影響を低減または軽減する、カートリッジを提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様によると、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルの発生のためにエアロゾル発生システムで使用するカートリッジが提供されている。カートリッジは、ニコチンで含浸された第一の担体材料を含むニコチン供与源を含有する第一の区画を備え、第一の区画は第一の空気吸込み口および第一の空気出口を有する。第一の区画は、第一の空気吸込み口と第一の空気出口の間で第一の担体材料の第一の表面を横切って延びる第一の気流経路を画定する。カートリッジはまた、酸で含浸された第二の担体材料を含む酸供与源を含有する第二の区画を備え、第二の区画は第二の空気吸込み口および第二の空気出口を有する。第二の区画は、第二の空気吸込み口と第二の空気出口の間で第二の担体材料の第一の表面を横切って延びる第二の気流経路を画定する。第一の区画および第二の区画は、カートリッジ内で平行に配設されている。第一の担体材料および第二の担体材料のうちの少なくとも一つの厚さは、それぞれ第一の気流経路または第二の気流経路に沿った方向で変化する。
【0009】
本発明に関連して本明細書で使用される「空気吸込み口」という用語は、空気が通ってカートリッジの構成要素または構成要素の部分の中に引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0010】
本発明に関連して本明細書で使用される「空気出口」という用語は、空気が通ってカートリッジの構成要素または構成要素の部分から外に引き出されうる一つ以上の開口部を記述するために使用される。
【0011】
第一の区画および第二の区画に関連して本明細書で使用される「平行」とは、使用時にカートリッジを通して引き出された第一の気流が、第一の空気吸込み口を通して第一の区画の中に通り、第一の区画を通して下流に、そして第一の空気出口を通して第一の区画の外に出るように、またカートリッジを通して引き出された第二の気流が、第二の空気吸込み口を通して第二の区画の中に通り、第二の区画を通して下流に、そして第二の空気出口を通して第二の区画の外に出るように、第一の区画と第二の区画がカートリッジ内に配設されていることを意味する。ニコチン蒸気は、第一の区画の中のニコチン供与源から、カートリッジを通して引き出された第一の気流の中に放出され、また酸蒸気は第二の区画の中の酸供与源から、カートリッジを通して引き出された第二の気流の中に放出される。第一の気流中のニコチン蒸気は、第二の気流中の酸蒸気と気相で反応して、ニコチン塩粒子のエアロゾルを形成する。
【0012】
本発明によるカートリッジは第一の担体材料および第二の担体材料を含み、第一の担体材料および第二の担体材料のうちの少なくとも一つの厚さは、それぞれ第一の気流経路または第二の気流経路に沿った方向で変化する。
【0013】
有利なことに、本発明の発明者らは、担体材料の表面にわたる気流経路に沿って変化する厚さを有する担体材料を使用することが、均一な平面形状を有する担体材料を含む周知のシステムと比較して、担体材料の厚さにおける製造公差の影響を低減または軽減することを認識した。言い換えれば、製造公差に起因する担体材料の厚さの均一な差異は、担体材料の表面にわたる気流経路の長さに沿って変化する厚さを有して担体材料が形成される時、担体材料を含有する区画を通る体積空気流量に及ぼす影響を低減または軽減する。
【0014】
有利なことに、本発明の発明者らは、担体材料の表面にわたる気流経路に沿って変化する厚さを有する担体材料を使用することが、担体材料を含有する区画を通る引き出し抵抗のより正確な制御を容易にすることを認識した。有利なことに、第一の区画および第二の区画のうちの少なくとも一つを通る引き出し抵抗のより正確な制御は、効率的な反応化学量論を促進する、ニコチン蒸気と酸蒸気の比の制御を容易にする。
【0015】
第一の担体材料の厚さは、第一の気流経路に沿った方向で変化し、また第二の担体材料の厚さは、第二の気流経路に沿った方向で変化することが好ましい。有利なことに、第一の担体材料および第二の担体材料の各々に、それぞれの気流経路の長さに沿って変化する厚さを提供することは、第一の区画と第二の区画の両方を通る体積空気流量に及ぼす、担体材料の厚さにおける製造公差の影響を低減または軽減しうる。
【0016】
第一の担体材料が第一の気流経路の長さに沿って変化する厚さを有する実施形態において、第一の担体材料はテーパー付きの形状を有してもよい。
【0017】
第一の担体材料が第一の気流経路の長さに沿って変化する厚さを有する実施形態において、第一の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分は、非平面形状を有することが好ましい。有利なことに、第一の担体材料の非平面の第一の表面は、第一の担体材料の厚さにおける製造公差の影響の低減または軽減を最適化しうる。第一の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分は、凸形状、凹形状、起伏のある形状、多面形状、一つ以上のへこみ、および一つ以上の突出部のうちの少なくとも一つを有してもよい。第一の担体材料の第一の表面は、対称的な形状を有してもよい。第一の担体材料の第一の表面は、非対称的な形状を有してもよい。
【0018】
第一の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分が一つ以上の突出部を有する実施形態において、一つ以上の突出部は、任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。
【0019】
一つ以上の突出部は各々、立方体形状を有してもよい。一つ以上の突出部は各々、ドーム形状を有してもよい。一つ以上の突出部は各々、半球形状を有してもよい。一つ以上の突出部は、第一の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分にわたって格子状にまたは配列状に配設されてもよい。
【0020】
一つ以上の突出部は、一つ以上の細長い隆起を備えてもよい。一つ以上の細長い隆起は、第一の気流経路に対して直角に延びることが好ましい。
【0021】
第一の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分が一つ以上のへこみを有する実施形態において、一つ以上のへこみは、任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。
【0022】
一つ以上のへこみは各々、立方体形状を有してもよい。一つ以上のへこみは各々、椀形状を有してもよい。一つ以上のへこみは各々、半球形状を有してもよい。一つ以上のへこみは、第一の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分にわたって格子状にまたは配列状に配設されてもよい。
【0023】
一つ以上のへこみは、一つ以上の細長い溝を備えてもよい。一つ以上の細長い溝は、第一の気流経路に対して直角に延びることが好ましい。
【0024】
第一の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分が多面形状を有する実施形態において、多面形状は、傾いた部分および下に傾いた部分のうちの少なくとも一つを備えてもよい。本明細書で使用される「傾いた部分」は、第一の表面にわたって気流経路に沿った気流の方向で担体材料の厚さの直線状の増大を呈する担体材料の一部分である。本明細書で使用される「下に傾いた部分」は、第一の表面にわたって気流経路に沿った気流の方向で担体材料の厚さの直線状の減少を呈する担体材料の一部分である。
【0025】
第二の担体材料が第二の気流経路の長さに沿って変化する厚さを有する実施形態において、第二の担体材料はテーパー付きの形状を有してもよい。
【0026】
第二の担体材料が第二の気流経路の長さに沿って変化する厚さを有する実施形態において、第二の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分は、非平面形状を有することが好ましい。有利なことに、第二の担体材料の非平面の第一の表面は、第二の担体材料の厚さにおける製造公差の影響の低減または軽減を最適化しうる。第二の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分は、凸形状、凹形状、起伏のある形状、多面形状、一つ以上のへこみ、および一つ以上の突出部のうちの少なくとも一つを有してもよい。第二の担体材料の第一の表面は、対称的な形状を有してもよい。第二の担体材料の第一の表面は、非対称的な形状を有してもよい。
【0027】
第二の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分が一つ以上の突出部を有する実施形態において、一つ以上の突出部は、任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。
【0028】
一つ以上の突出部は各々、立方体形状を有してもよい。一つ以上の突出部は各々、ドーム形状を有してもよい。一つ以上の突出部は各々、半球形状を有してもよい。一つ以上の突出部は、第二の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分にわたって格子状にまたは配列状に配設されてもよい。
【0029】
一つ以上の突出部は、一つ以上の細長い隆起を備えてもよい。一つ以上の細長い隆起は、第二の気流経路に対して直角に延びることが好ましい。
【0030】
第二の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分が一つ以上のへこみを有する実施形態において、一つ以上のへこみは、任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。
【0031】
一つ以上のへこみは各々、立方体形状を有してもよい。一つ以上のへこみは各々、椀形状を有してもよい。一つ以上のへこみは各々、半球形状を有してもよい。一つ以上のへこみは、第二の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分にわたって格子状にまたは配列状に配設されてもよい。
【0032】
一つ以上のへこみは、一つ以上の細長い溝を備えてもよい。一つ以上の細長い溝は、第二の気流経路に対して直角に延びることが好ましい。
【0033】
第一の担体材料の第一の表面の少なくとも一部分が多面形状を有する実施形態において、多面形状は、傾いた部分および下に傾いた部分のうちの少なくとも一つを備えてもよい。
【0034】
カートリッジは、第一の区画および第二の区画を画定するカートリッジハウジングを備えることが好ましい。第一の担体材料は、第一の担体材料の第二の表面にてカートリッジハウジングに固定されていて、また第二の担体材料は第二の担体材料の第二の表面にてカートリッジハウジングに固定されていることが好ましい。
【0035】
第一の担体材料の第一の表面は、第一の担体材料の第二の表面の反対側であることが好ましい。言い換えれば、第一の表面と第二の表面は、第一の担体材料の対向する側を画定することが好ましい。第一の担体材料の厚さは、第一の担体材料の第一の表面と第二の表面の間に延びる。
【0036】
第二の担体材料の第一の表面は、第二の担体材料の第二の表面の反対側であることが好ましい。言い換えれば、第一の表面と第二の表面は、第二の担体材料の対向する側を画定することが好ましい。第二の担体材料の厚さは、第二の担体材料の第一の表面と第二の表面の間に延びる。
【0037】
カートリッジの第一の区画の第一の空気吸込み口、およびカートリッジの第二の区画の第二の空気吸込み口は各々、一つ以上の開口部を備えてもよい。例えば、カートリッジの第一の区画の第一の空気吸込み口、およびカートリッジの第二の区画の第二の空気吸込み口は各々、一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、または七つの開口部を備えてもよい。
【0038】
カートリッジの第一の区画の第一の空気吸込み口、およびカートリッジの第二の区画の第二の空気吸込み口は、同一の数または異なる数の開口部を備えてもよい。
【0039】
本発明に関連して本明細書で使用される「ニコチン」という用語は、ニコチン、ニコチン塩基、またはニコチン塩を記述するために使用される。第一の担体材料がニコチン塩基またはニコチン塩で含浸されている実施形態において、本明細書に列挙したニコチンの量は、それぞれニコチン塩基の量またはイオン化されたニコチンの量である。
【0040】
第一の担体材料は、水性溶媒または非水性溶媒中の液体ニコチンまたはニコチン溶液で含浸されてもよい。
【0041】
第一の担体材料は、天然ニコチンまたは合成ニコチンで含浸されてもよい。
【0042】
第一の担体材料および第二の担体材料は同じであってもよく、または異なっていてもよい。
【0043】
有利なことに、第一の担体材料および第二の担体材料は、約0.1グラム/立方センチメートル~約0.3グラム/立方センチメートルの密度を有する。
【0044】
有利なことに、第一の担体材料および第二の担体材料は、約15パーセント~約55パーセントの空隙率を有する。
【0045】
第一の担体材料および第二の担体材料は、ガラス、セルロース、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタラート)(PCT)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0046】
第一の担体材料は、ニコチン用の貯蔵部として作用する。
【0047】
有利なことに、第一の担体材料は、ニコチンに対して化学的に不活性である。
【0048】
有利なことに、ニコチン供与源は、約1ミリグラム~約50ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含む。
【0049】
ニコチン供与源は、約3ミリグラム~約30ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含むことが好ましい。ニコチン供与源は、約6ミリグラム~約20ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含むことがより好ましい。ニコチン供与源は、約8ミリグラム~約18ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含むことが最も好ましい。
【0050】
有利なことに、カートリッジの第一の区画は風味剤をさらに含んでもよい。適切な風味剤としては、メントールが挙げられるが、これに限定されない。
【0051】
有利なことに、第一の担体材料は、約3ミリグラム~約12ミリグラムの風味剤で含浸されてもよい。
【0052】
第二の担体材料中に含浸された酸は、カルボン酸であることが好ましい。酸は乳酸であることが好ましい。
【0053】
有利なことに、酸供与源は、約2ミリグラム~約60ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含むことが好ましい。
【0054】
酸供与源は、約5ミリグラム~約50ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含むことが好ましい。酸供与源は、約8ミリグラム~約40ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含むことがより好ましい。酸供与源は、約10ミリグラム~約30ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含むことが最も好ましい。
【0055】
カートリッジの第一の区画の形状および寸法は、望ましい量のニコチンがカートリッジの中に収容されることを可能にするように選ばれてもよい。
【0056】
カートリッジの第二の区画の形状および寸法は、望ましい量の酸がカートリッジの中に収容されることを可能にするように選ばれてもよい。
【0057】
第一の区画および第二の区画は、実質的に同一の形状およびサイズを有してもよい。
【0058】
有利なことに、カートリッジは細長いカートリッジである。カートリッジが細長いカートリッジである実施形態において、カートリッジの第一の区画および第二の区画は、カートリッジの長軸方向軸を中心として対称的に配設されてもよい。
【0059】
カートリッジは任意の適切な形状を有してもよい。例えば、カートリッジは実質的に円筒状であってもよい。
【0060】
カートリッジは、任意の適切な横断断面形状を有してもよい。例えば、カートリッジの横断断面形状は、円形、半円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、または台形であってもよい。
【0061】
カートリッジは任意の適切なサイズを有してもよい。
【0062】
例えば、カートリッジは、約5ミリメートル~約50ミリメートルの長さを有してもよい。有利なことに、カートリッジは、約10ミリメートル~約20ミリメートルの長さを有してもよい。
【0063】
例えば、カートリッジは、約4ミリメートル~約10ミリメートルの幅、および約4ミリメートル~約10ミリメートルの高さを有してもよい。有利なことに、カートリッジは、約6ミリメートル~約8ミリメートルの幅、および約6ミリメートル~約8ミリメートルの高さを有してもよい。
【0064】
本発明に関連して本明細書で使用される「近位」「遠位」「上流」および「下流」という用語は、カートリッジおよびエアロゾル発生システムの構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を記述するために使用される。
【0065】
本発明によるエアロゾル発生システムは近位端を備え、使用時にニコチン塩粒子のエアロゾルはユーザーへの送達のために、この近位端を通してエアロゾル発生システムを抜け出る。近位端はまた、口側端と呼ばれてもよい。使用時に、エアロゾル発生システムによって発生したエアロゾルを吸入するために、ユーザーはエアロゾル発生システムの近位端を吸う。エアロゾル発生システムは近位端の反対側に遠位端を備える。
【0066】
ユーザーがエアロゾル発生システムの近位端で吸う時、空気はエアロゾル発生システムの中に引き出され、カートリッジを通過し、そしてその近位端にてエアロゾル発生システムを出る。エアロゾル発生システムの構成要素、または構成要素の部分は、エアロゾル発生システムの近位端と遠位端の間のそれらの相対的な位置に基づき、互いの上流または下流にあるとして記述されてもよい。
【0067】
カートリッジの第一の区画の第一の空気出口は、カートリッジの第一の区画の近位端に位置する。カートリッジの第一の区画の第一の空気吸込み口は、カートリッジの第一の区画の第一の空気出口の上流に位置する。カートリッジの第二の区画の第二の空気出口は、カートリッジの第二の区画の近位端に位置する。カートリッジの第二の区画の第二の空気吸込み口は、カートリッジの第二の区画の第二の空気出口の上流に位置する。
【0068】
本発明に関連して本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、カートリッジまたはエアロゾル発生システムの近位端と反対側の遠位端との間の方向を記述するために使用され、また「横断方向」という用語は、長軸方向と直角を成す方向を記述するために使用される。
【0069】
有利なことに、カートリッジは、本体部分と、一つ以上の端キャップとを備える。
【0070】
カートリッジは、本体部分と、遠位端キャップとを備えてもよい。
【0071】
カートリッジは、本体部分と、近位端キャップとを備えてもよい。
【0072】
カートリッジは、本体部分と、遠位端キャップと、近位端キャップとを備えてもよい。
【0073】
カートリッジが遠位端キャップを備える実施形態において、カートリッジの第一の区画の第一の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部と、カートリッジの第二の区画の第二の空気吸込み口を形成する一つ以上の開口部とが、遠位端キャップに提供されてもよい。
【0074】
カートリッジが近位端キャップを備える実施形態において、カートリッジの第一の区画の第一の空気出口を形成する一つ以上の開口部と、カートリッジの第二の区画の第二の空気出口を形成する一つ以上の開口部とが、近位端キャップに提供されてもよい。
【0075】
カートリッジがカートリッジハウジングを備える実施形態において、カートリッジハウジングは、本体部分および一つ以上の端キャップを備えることが好ましい。
【0076】
カートリッジハウジングは任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。適切な材料としては、アルミニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(Kapton(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリオキシメチレン(POM)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂が挙げられるがこれらに限定されない。
【0077】
カートリッジが本体部分および一つ以上の端キャップを備える実施形態において、本体部分および一つ以上の端キャップは、同一の材料から形成されてもよく、または異なる材料から形成されてもよい。
【0078】
カートリッジハウジングは、耐ニコチン性および耐酸性である一つ以上の材料から形成されてもよい。
【0079】
カートリッジの第一の区画は、一つ以上の耐ニコチン性材料で被覆されてもよく、またカートリッジの第二の区画は一つ以上の耐酸性材料で被覆されてもよい。
【0080】
適切な耐ニコチン性材料および耐酸性材料の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、液晶ポリマー(LCP)、修飾LCP(黒鉛またはガラス繊維を有するLCPなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
カートリッジハウジングの形成と、カートリッジの第一の区画の内部の被覆とのうちの一方または両方に対する、一つ以上の耐ニコチン性材料の使用は有利なことに、カートリッジの貯蔵寿命を延しうる。
【0082】
カートリッジハウジングの形成およびカートリッジの第二の区画の内部の被覆のうちの一方または両方に対する、一つ以上の耐酸性材料の使用は有利なことに、カートリッジの貯蔵寿命を延しうる。
【0083】
カートリッジハウジングは、一つ以上の熱伝導性材料から形成されてもよい。
【0084】
カートリッジの第一の区画およびカートリッジの第二の区画は、一つ以上の熱伝導性材料で被覆されてもよい。
【0085】
カートリッジハウジングの形成と、カートリッジの第一の区画および第二の区画の内部の被覆とのうちの一方または両方に対する、一つ以上の熱伝導性材料の使用は有利なことに、ヒーターからニコチン供与源および乳酸供与源への熱伝達を向上しうる。
【0086】
適切な熱伝導性材料としては、金属(例えば、アルミニウム、クロム、銅、金、鉄、ニッケル、銀など)、合金(真鍮、鋼など)、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
カートリッジハウジングは、第一の区画および第二の区画が、熱伝導または誘導のどちらによって加熱されるかに応じて、低い抵抗率または高い抵抗率を有する一つ以上の材料で形成されてもよい。
【0088】
カートリッジの第一の区画およびカートリッジの第二の区画は、第一の区画および第二の区画が、熱伝導または誘導のどちらによって加熱されるかに応じて、低い抵抗率または高い抵抗率を有する一つ以上の材料で被覆されてもよい。
【0089】
カートリッジハウジングは任意の適切な方法によって形成されてもよい。適切な方法としては、深絞り、射出成形、ブリスタリング、吹き込み成形、および押出成形が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
カートリッジは、第一の区画の中のニコチンおよび第二の区画の中の酸が枯渇すると、廃棄されるように設計されてもよい。
【0091】
カートリッジは、再充填可能であるように設計されてもよい。
【0092】
カートリッジは、ヒーターを受容するためのカートリッジ空洞を備えてもよい。カートリッジ空洞は、第一の区画と第二の区画の間に位置することが好ましい。ヒーターは、カートリッジとともに使用するように構成されたエアロゾル発生装置の一部を形成してもよい。
【0093】
カートリッジは、第一の区画および第二の区画を加熱するように構成されたヒーターを備えてもよい。こうした実施形態において、ヒーターは有利なことに、第一の区画と第二の区画の間に位置する。言い換えれば、第一の区画および第二の区画は、ヒーターの両側に配置されている。
【0094】
ヒーターは電気ヒーターであってもよい。ヒーターは抵抗ヒーターであってもよい。
【0095】
ヒーターはサセプタを備えてもよい。使用中、サセプタを誘導加熱するために誘導ヒーターが使用されている。
【0096】
有利なことに、ヒーターは、カートリッジの第一の区画および第二の区画を、摂氏約250度未満の温度に加熱するように構成されている。ヒーターは、カートリッジの第一の区画および第二の区画を、摂氏約80度~摂氏約150度の温度に加熱するように構成されていることが好ましい。
【0097】
有利なことに、ヒーターは、カートリッジの第一の区画および第二の区画を、実質的に同一の温度に加熱するように構成されている。
【0098】
本発明に関連して本明細書で使用される「実質的に同一の温度」とは、ヒーターに関して対応する場所で測定されたカートリッジの第一の区画と第二の区画の間の温度の差異が、摂氏約3度未満であることを意味する。
【0099】
使用時に、カートリッジの第一の区画および第二の区画を、周囲温度を上回る温度に加熱することは有利なことに、カートリッジの第一の区画中のニコチンの蒸気濃度と、カートリッジの第二の区画中の酸の蒸気圧とが制御され、かつ比例的にそのバランスが取られて、ニコチンと酸の間の効率的な反応化学量論を得ることを可能にする。有利なことに、これはニコチン塩粒子の形成の効率、およびユーザーへの送達の一貫性を改善しうる。有利なことに、それはまた、ユーザーへの未反応のニコチンおよび未反応の酸の送達を低減しうる。
【0100】
カートリッジは、第一の区画および第二の区画の下流にあり、かつ第一の区画の第一の空気出口および第二の区画の第二の空気出口と流体連通している第三の区画を備えてもよい。使用中、第一の空気出口を通して第一の区画から出るニコチン蒸気は第三の区画の中で、第二の空気出口を通して第二の区画から出る酸蒸気と反応して、ニコチン塩粒子のエアロゾルを形成してもよい。
【0101】
カートリッジはマウスピースを備えてもよい。カートリッジがカートリッジハウジングを備える実施形態において、マウスピースはカートリッジハウジングと一体的に形成されてもよい。マウスピースは、カートリッジハウジングとは別個に形成されてもよい。マウスピースは、カートリッジハウジングに取り外し可能に取り付け可能であってもよい。カートリッジハウジングとマウスピースの組み合わせは、紙巻たばこ、葉巻たばこ、またはシガリロなどの可燃性喫煙物品の形状および寸法をまねてもよい。カートリッジハウジングとマウスピースの組み合わせは、紙巻たばこの形状および寸法をまねてもよい。
【0102】
カートリッジが第三の区画を備える実施形態において、マウスピースは第三の区画を少なくとも部分的に画定してもよい。
【0103】
本発明の第二の態様によると、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれかによる、本発明の第一の態様によるカートリッジを備えるエアロゾル発生システムが提供されている。エアロゾル発生システムは、カートリッジの少なくとも一部分を受容するための空洞を画定する装置ハウジングを備えるエアロゾル発生装置をさらに備える。エアロゾル発生装置はまた、カートリッジの第一の区画および第二の区画を加熱するためのヒーターを備える。
【0104】
エアロゾル発生システムはマウスピースを備えてもよい。
【0105】
マウスピースは、本発明の第一の態様に関して本明細書に記載の通りのカートリッジの一部を形成してもよい。
【0106】
マウスピースは、エアロゾル発生装置の一部を形成してもよい。マウスピースは、装置ハウジングに取り外し可能に取り付け可能であることが好ましい。マウスピースは、本発明の第一の態様に関して本明細書に記載の通りの第三の区画を少なくとも部分的に画定してもよい。
【0107】
マウスピースは、第一の区画中のニコチンおよび第二の区画中の酸が枯渇すると、廃棄されるように設計されてもよい。
【0108】
マウスピースは、再利用可能であるように設計されてもよい。マウスピースが再利用可能であるように設計された実施形態において、マウスピースは有利なことに、カートリッジまたはエアロゾル発生装置のハウジングに取り外し可能に取り付け可能であってもよい。
【0109】
ヒーターは電気ヒーターであってもよい。ヒーターは抵抗ヒーターであってもよい。
【0110】
カートリッジが空洞内に受容されている時、ヒーターはカートリッジの少なくとも一部分を囲むように配設されてもよい。
【0111】
ヒーターはエアロゾル発生装置の空洞内に位置してもよく、またカートリッジは、本明細書に記載の通りのヒーターを受容するためのカートリッジ空洞を備えてもよい。こうした実施形態において、エアロゾル発生装置のヒーターは有利なことに、ヒーターブレードの形態の細長いヒーターであってもよい。ヒーターブレードは、その厚さよりも大きい幅を有してもよい。カートリッジ空洞は、細長いスロットとして構成されてもよい。
【0112】
ヒーターは誘導ヒーターであってもよく、またカートリッジは、本明細書に記載の通りのカートリッジの第一の区画および第二の区画を加熱するためのサセプタを備えてもよい。
【0113】
エアロゾル発生システムは、ヒーターに電力を供給するための電源と、電源からヒーターへの電力の供給を制御するように構成されたコントローラとを備えることが好ましい。
【0114】
電源は、任意の適切な電源であってもよく、例えば電池などの直流電圧源であってもよい。電源は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池)、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム、もしくはリチウムポリマー電池であってもよい。
【0115】
電源としては再充電可能リチウムイオン電池が挙げられうる。電力供給源は、コンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置を備えてもよい。電力供給源は再充電を必要としうる。電力供給源は、エアロゾル発生装置の1回以上の使用のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。例えば、電力供給源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる一般的な時間に対応する約6分間、また6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電力供給源は所定の吸煙回数、または不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0116】
コントローラは、加熱サイクルの開始時に、電力供給源からヒーターへの電力の供給を開始するように構成されてもよい。コントローラは、加熱サイクルの終了時に、電力供給源からヒーターへの電力の供給を終了するように構成されてもよい。
【0117】
コントローラは、電力供給源からヒーターへの電力の連続的供給を提供するように構成されてもよい。
【0118】
コントローラは、電力供給源からヒーターへの電力の断続的供給を提供するように構成されてもよい。コントローラは、電力供給源からヒーターへの電力のパルス供給を提供するように構成されてもよい。ヒーターへの電力のパルス供給は、期間中のヒーターからの全出力の制御を容易にしうる。期間中のヒーターからの全出力を制御することは、温度の制御を容易にしうる。
【0119】
コントローラは、電力供給源からヒーターへの電力の供給を変化させるように構成されてもよい。コントローラは、電力のパルス供給の負荷サイクルを変化させるように構成されてもよい。コントローラは、パルス幅および負荷サイクルの期間のうちの少なくとも一つを変化させるように構成されてもよい。
【0120】
エアロゾル発生装置は、ヒーターと、カートリッジの第一の区画と、カートリッジの第二の区画とのうちの少なくとも一つの温度を感知するように配設された一つ以上の温度センサーを備えてもよい。コントローラは、感知した温度に基づいてヒーターへの電力の供給を制御するように構成されてもよい。
【0121】
エアロゾル発生装置は、ユーザー入力装置を備えてもよい。ユーザー入力装置は、押しボタン、スクロールホイール、タッチボタン、タッチスクリーン、およびマイクロフォンのうちの少なくとも一つを備えてもよい。ユーザー入力装置は、ユーザーがエアロゾル発生装置の動作の一つ以上の態様を制御することを可能にしうる。ユーザー入力装置は、ユーザーがヒーターへの電力の供給を起動すること、またはヒーターへの電力の供給を停止すること、またはその両方を可能にしうる。
【0122】
誤解を避けるために、本発明の一つの態様に関する上述の特徴はまた、本発明の他の態様に適用されてもよい。特に、本発明のカートリッジに関する上述の特徴はまた、適切な場合、本発明のエアロゾル発生システムに関連する場合があり、また逆も可能である。
【0123】
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるエアロゾル発生システムの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のエアロゾル発生システムの断面図である。
【
図5】
図5は、
図4のカートリッジの担体材料の代替的な構成を図示する。
【
図6】
図6は、
図4のカートリッジの担体材料の代替的な構成を図示する。
【
図7】
図7は、
図4のカートリッジの担体材料の代替的な構成を図示する。
【
図8】
図8は、
図4のカートリッジの担体材料の代替的な構成を図示する。
【
図9】
図9は、
図4のカートリッジの担体材料の代替的な構成を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0125】
図1および
図2は、エアロゾル発生装置20と、エアロゾル発生装置20で使用するカートリッジ100とを備えるエアロゾル発生システム10を示す。エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生装置20の近位端24に取り外し可能に取り付けるように構成されたマウスピース30をさらに備える。
【0126】
エアロゾル発生装置20は、エアロゾル発生装置20の近位端24にある開口を通してカートリッジ100を受容するための空洞22を画定するハウジングを備える。エアロゾル発生装置20は、インダクタコイル28の形態のヒーターを空洞22内に備える。
図2に示す通り、インダクタコイルは空洞22の内部壁に対して保持されている。
【0127】
エアロゾル発生装置20は、ハウジングの中に電気エネルギー供給源40(この実施例では再充電可能リチウムイオン電池)を備える。装置10は、電気エネルギー供給源40に接続されたコントローラ42、インダクタコイル28、およびユーザーインターフェース(図示せず)をさらに備える。この実施形態において、ユーザーインターフェースは機械的ボタンを含む。ユーザーインターフェースを起動するのに伴い、コントローラ42は高周波振動電流をインダクタコイル28に供給し、振動磁界を発生する。本明細書にさらに記載の通り、振動磁界は、一つ以上のサセプタ中に誘導された渦電流およびヒステリシス損失の結果として、カートリッジ100の中の一つ以上のサセプタを加熱する。サセプタの誘導加熱は、カートリッジ100内に含有されたニコチン供与源および酸供与源を加熱して、ニコチン蒸気および酸蒸気を生成する。ユーザーがマウスピース30を吸煙すると、空気の流れは、装置空気吸込み口26からカートリッジ100を通して引き出されて、気化されたニコチンおよび酸をマウスピース30に向かって運ぶ。気化されたニコチンおよび酸は各々気相で、マウスピース30の中で反応して冷めて、ニコチン塩粒子を含有するエアロゾルを形成する。吸煙中、ユーザーは、マウスピース空気出口32を通して、ある体積のエアロゾルを受容する。
【0128】
図3は、カートリッジ100の分解組立図である。カートリッジ100は、約15ミリメートルの長さと、約7.1ミリメートルの幅と、約6.75ミリメートルの高さとを有する。この図示した実施例のカートリッジ100は、その遠位端104およびその近位端106にて端キャップ130、131によって閉じられた細長いカートリッジ本体102を備える。本体102および端キャップ130、131は共に、カートリッジハウジングを形成する。本体102は、約11ミリメートルの長さと、約7.1ミリメートルの幅と、約6.75ミリメートルの高さとを有する。各端キャップ130、131は、約2ミリメートルの長さと、約7.1ミリメートルの幅と、約6.75ミリメートルの高さとを有する。カートリッジ100は、第一の区画110中に含有されたニコチン供与源210と、カートリッジ100の第二の区画120中に含有された酸供与源220とを備える。この実施形態において、酸供与源220は乳酸供与源である。第一の区画110および第二の区画120は各々、カートリッジ本体102内で長軸方向に延びる。第一の区画110および第二の区画120は、そのそれぞれの遠位端104および近位端106にて端キャップ130、131によって閉じられるように配設されている。第一の区画110および第二の区画120は、各々が約1ミリメートルの深さを有する実質的に長方形の断面を有する同一の区画である。
【0129】
第一の区画110および第二の区画120は、平行構成で配設されている。入ってくる気流は、第一の区画110および第二の区画120に入る前に分割する。ニコチン蒸気および乳酸蒸気は、別個の区画110、120中で同時に発生される。
【0130】
遠位端キャップ130は複数の空気吸込み口132、134を備え、入ってくる気流108と第一の区画および第二の区画110、120との間に流路を提供する。空気吸込み口は、遠位端キャップ130を通る同一の開口部である。複数の空気吸込み口132、134は、第一の区画110と流体連通する第一の空気吸込み口132と、第二の区画120と流体連通する第二の空気吸込み口134とを備える。図示した実施例において、第一の空気吸込み口132よりも多くの第二の空気吸込み口134があり、これは第一の空気吸込み口132を通る合計断面流れ面積よりも大きい、第二の空気吸込み口134を通る合計断面流れ面積をもたらす。第二の空気吸込み口134を通る、より大きい合計断面流れ面積は、第一の区画110よりも大きい、第二の区画120を通る体積空気流量を可能にする。第二の区画120を通る、より大きい体積空気流量は、第二の空気吸込み口134がより少ない場合よりも多くの酸を第二の区画120の中で気化させる。
【0131】
近位端キャップ131は、遠位端キャップ130にある空気吸込み口132、134と酷似する空気出口133、135を備える。近位端キャップ131にある空気出口133、135は、第一の区画および第二の区画110、120と流体連通していて、またマウスピース30にあるマウスピース空気出口32とも流体連通している。第一の区画110および第二の区画120は各々、遠位端キャップ130から近位端キャップ131に延びる。言い換えれば、第一の区画110および第二の区画120は両方とも、カートリッジ本体102の長さに沿ってずっと延びる。
【0132】
カートリッジ本体102は、カートリッジ100の長軸方向軸に沿って各々延びる複数のヒーター空洞140を備える。ヒーター空洞の各々は0.4ミリメートルの深さを有する。ヒーター空洞140は、第一の区画110および第二の区画120と平行である。ヒーター空洞140の各々およびその対応する第一の区画110または第二の区画120は、0.4ミリメートルだけ分離されている。複数のヒーター空洞140の各々は、サセプタ141を包含する。複数のヒーター空洞140は、遠位端キャップ130および近位端キャップ131によって遠位端104および近位端106の両方にて閉じられている。図示した実施例において、第一の区画110および第二の区画120の各々は、一対のヒーター空洞140の間に挟まれている。この実施形態において、複数の同一のサセプタ141が使用されていて、各ヒーター空洞140の中に一つずつ定置されている。使用中、ニコチン供与源210および酸供与源220の両方は、サセプタ141の誘導加熱によって同一の温度に加熱される。
【0133】
ニコチン供与源210は、第一の区画110の中に位置する、かつニコチンで含浸された第一の担体材料211を含む。この実施例において、第一の担体材料211は、ニコチン液体で含浸された多孔性セラミック基体を含む。ニコチン液体はまた、ニコチン供与源210が加熱された時にニコチンとともに気化する風味剤を含む。風味剤は、発生したエアロゾルに、望ましい味覚を生成しうる。この実施例において、第一の担体材料211は、約10ミリグラムのニコチンおよび約4ミリグラムのメントールで含浸された多孔性セラミック基体を含む。
【0134】
第一の担体材料211は、第一の表面213、および第一の表面213の反対側の第二の表面215を備える。第一の区画110を通る第一の気流経路217は、第一の担体材料211の第一の表面213を横切って延びる。
【0135】
酸供与源220は、第二の区画120の中に位置する、かつ乳酸で含浸された第二の担体材料221を含む。この実施例において、第二の担体材料221は、約20ミリグラムの乳酸で含浸された多孔性セラミック基体を含む。
【0136】
第二の担体材料221は、第一の表面223、および第一の表面223の反対側の第二の表面225を備える。第二の区画120を通る第二の気流経路227は、第二の担体材料221の第一の表面223を横切って延びる。
【0137】
図4に示す通り、第一の担体材料211および第二の担体材料221の各々は、それぞれ第一の気流経路217または第二の気流経路227に沿った方向で変化する厚さを有する。
図4に示す実施形態において、第一の担体材料211および第二の担体材料221の変化する厚さは、第一の担体材料211の第一の表面213および第二の担体材料221の第一の表面223の各々に凸形状を提供することによって達成される。
【0138】
図5は、第一の担体材料211の代替的な形状を示し、この形状において、第一の担体材料211の第一の表面213に、起伏のある形状を提供することによって、第一の担体材料211の変化する厚さが達成されている。当然のことながら、同一の形状が第二の担体材料221の第一の表面223に適用されてもよい。
【0139】
図6は、第一の担体材料211の代替的な形状を示し、この形状において、第一の担体材料211の第一の表面213に凹形状を提供することによって、第一の担体材料211の変化する厚さが達成されている。当然のことながら、同一の形状が第二の担体材料221の第一の表面223に適用されてもよい。
【0140】
図7は、第一の担体材料211の代替的な形状を示し、この形状において、第一の担体材料211がテーパー付き形状を有するように、第一の担体材料211の第二の表面215に対して第一の担体材料211の第一の表面213を傾けることによって、第一の担体材料211の変化する厚さが達成されている。当然のことながら、同一の形状が第二の担体材料221に適用されてもよい。
【0141】
図8は、第一の担体材料211の代替的な形状を示し、この形状において、第一の表面213に多面形状を提供することによって、第一の担体材料211の変化する厚さが達成されている。特に、第一の表面213は、傾いた部分270、平坦な部分272、および下に傾いた部分274を有する。
図9に示す実施例において、傾いた部分270は下に傾いた部分274よりも短く、これによって第一の表面213は非対称形状を有する。当然のことながら、同一の形状が第二の担体材料221に適用されてもよい。
【0142】
図9は、第一の担体材料211の代替的な形状を示し、この形状において、第一の表面213に、各々が半球形状を有する複数のへこみ280を提供することによって、第一の担体材料211の変化する厚さが達成されている。当然のことながら、同一の形状が第二の担体材料221に適用されてもよい。
【0143】
図10は、第一の担体材料211の代替的な形状を示し、この形状において、第一の表面213に、各々が半球形状を有する複数の突出部290を提供することによって、第一の担体材料211の変化する厚さが達成されている。当然のことながら、同一の形状が第二の担体材料221に適用されてもよい。