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特許7393365アルカロイドを含有する材料のウェブをキャストするための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】アルカロイドを含有する材料のウェブをキャストするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/14 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
A24B3/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020570829
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 EP2019067441
(87)【国際公開番号】W WO2020002657
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】18181005.2
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】カポ シルヴィア
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-534266(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01233999(GB,A)
【文献】国際公開第2017/001352(WO,A2)
【文献】英国特許出願公告第01459218(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00-15/42
A24C 5/01
F04B 9/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカロイドを含有する材料のウェブをキャストするためのキャスティング装置であって、
○アルカロイドを含有する材料の前記ウェブを形成するためにキャストされるスラリーを含有するように適合されたキャスティングボックスであって、一つ以上の側壁を画定するキャスティングボックスと、
○前記キャスティングボックスの前記一つ以上の側壁上で摺動するのに適している摺動可能な蓋と、
○移動可能な支持体と、
○前記ウェブを形成するために、前記キャスティングボックスの中に含有された前記スラリーを前記移動可能な支持体上にキャストするのに適しているキャスティングブレードと、を備える、キャスティング装置。
【請求項2】
前記摺動可能な蓋が、前記キャスティングボックスを密封するための密封要素を含む、請求項1に記載のキャスティング装置。
【請求項3】
前記密封要素が、グラフェンで被覆または形成されている、請求項2に記載のキャスティング装置。
【請求項4】
前記摺動可能な蓋または前記キャスティングボックスが、前記キャスティングボックス中の圧力値を制御するための圧力弁を含む、請求項2または請求項3に記載のキャスティング装置。
【請求項5】
複数のフィンを含み、前記フィンが前記摺動可能な蓋に接続されている、請求項1~4のいずれかに記載のキャスティング装置。
【請求項6】
前記フィンの向きを変化させるための調節装置を含み、前記調節装置が前記キャスティングボックスの外部の前記摺動可能な蓋の表面上に位置する、請求項5に記載のキャスティング装置。
【請求項7】
前記キャスティングボックスが、前記スラリーのための入口を含み、前記スラリーのための前記入口が前記側壁のうちの一つに形成されている、請求項1~6のうちの一項以上に記載のキャスティング装置。
【請求項8】
前記摺動可能な蓋が実質的に水平である、請求項1~7のうちの一項以上に記載のキャスティング装置。
【請求項9】
アルカロイドを含有する材料のウェブをキャストするための方法であって、
○一つ以上の側壁を画定するキャスティングボックスを提供することと、
○前記キャスティングボックスに接続されたキャスティングブレードを提供することと、
○前記キャスティングブレードに面する移動可能な支持体を提供することと、
○スラリーを前記キャスティングボックスの中に、あるレベルまで導入することと、
○前記キャスティングボックス中の前記スラリーのレベルが変わる時、または前記キャスティングボックス中の圧力値が変化した時、摺動可能な蓋が位置を変更するように、前記スラリー上に浮く前記摺動可能な蓋で前記キャスティングボックスを覆うことと、
○アルカロイドを含有する材料の前記ウェブを形成するために、前記スラリーを、前記キャスティングブレードによって前記移動可能な支持体上にキャストすることと、を含む方法。
【請求項10】
前記摺動可能な蓋を前記キャスティングボックス上に密封する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記キャスティングボックス内部の前記圧力値を変更する工程を含む、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記摺動可能な蓋に取り付けられた複数のフィンを提供する工程を含む、請求項9~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記フィンの向きを変更する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記キャスティングボックス内部に前記スラリーを導入する前記工程が、
・供給方向に沿って前記キャスティングボックスの中に前記スラリーを導入することであって、前記供給方向が約-45度~約+45度から成る水平面との角度を形成する、導入すること、を含む、請求項9~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
約1バール~約10バールから成る前記キャスティングボックス内部の圧力値を保つ工程を含む、請求項9~14のうちの一項以上に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のキャストウェブを製造するためのキャスティング装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、アルカロイドを含有する材料は均質化したたばこ材料であり、例えば紙巻たばこ、または「加熱非燃焼式」タイプのたばこ含有製品などのエアロゾル発生物品で使用されることが好ましい。
【0003】
今日では、たばこ製品の製造において、たばこ葉以外に、均質化したたばこ材料も使用されている。この均質化したたばこ材料は典型的に、カットフィラーの製造にあまり適していないたばこ植物の部分(例えば、たばこ茎またはたばこダスト)から製造される。典型的に、たばこダストは製造中に、たばこ葉の取り扱い中に副産物として作り出される。
【0004】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである(TCLは、たばこキャストリーフの頭字語である)。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してたばこスラリーを形成する工程を含む。次にスラリーは、例えばいわゆるキャストリーフを製造するために、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルト上にキャストすることによって、たばこウェブを作り出すために使用される。別の方法として、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを使用して、製紙と似たプロセスで再構成たばこを作り出すことができる。均質化したたばこウェブは調製されると、紙巻たばこおよび他の喫煙物品のために適切なたばこカットフィラーを製造するために、カットされていないそのままの葉たばこと類似した様式で切断されてもよい。こうした均質化したたばこを作製するプロセスは、例えば欧州特許第EP0565360号に開示されている。
【0005】
「加熱非燃焼式」エアロゾル発生物品において、エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成するがたばこ材料の燃焼を防止するために、比較的低い温度に加熱される。さらに、均質化したたばこ材料中に存在するたばこは典型的に唯一のたばこであるか、またはこうした「加熱非燃焼式」エアロゾル発生物品の均質化したたばこ材料中に存在するたばこの大半を含む。これは、このような「加熱非燃焼式」エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾル組成が実質的に、均質化したたばこ材料のみに基づくことを意味する。従って、例えばエアロゾルの味わいの制御のためには、均質化したたばこ材料の組成の良好な制御を有することが重要である。
【0006】
例えば、スラリーの濃度、粘度、繊維のサイズ、粒度(粒子のサイズ)、水分、または経時変化などのスラリーの物理的特性の変化に起因して、均質化したたばこのウェブのキャスト中に、標準的なキャスティング方法およびキャスティング装置は、支持体上のスラリーの塗布において意図しない変化をもたらす場合がある。最適ではないキャスティング方法およびキャスティング装置は、均質化したたばこのキャストウェブの不均質性および欠陥につながる可能性がある。
【0007】
均質化したたばこウェブの不均質性は、エアロゾル発生物品の製造における、均質化したたばこウェブのその後の取り扱いの難しさにつながる場合がある。例えば、不均質性は、ウェブの製造中またはさらなる処理中の、ウェブの引き裂きまたはウェブの破裂にさえもつながる場合がある。結果としてこれは、例えば機械の停止をもたらす可能性がある。加えて、不均質なたばこウェブは、エアロゾル送達において、同一の均質化したたばこウェブから製造されたエアロゾル発生物品間で意図しない差異を作り出す場合がある。
【0008】
均質化したたばこ材料のウェブの全体的な製造プロセスに関連して、最終製品の品質および一貫性のために、異なるパラメータが重要である。このパラメータのうちの一つは、キャスティングボックス内部のスラリーの圧力である。一つのスラリー製造バッチと別のスラリー製造バッチの間の、圧力のわずかなばらつきでさえも、均質化したたばこ材料のウェブの均質性を変化させる可能性があり、これは業界の厳しい品質基準に従って不合格となる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の問題を克服するか、または少なくとも大幅に減少させるように適合されている、アルカロイドを含有する材料のキャストウェブを製造するためのキャスティング装置および方法に対するニーズがある。さらに、キャスティングボックス中の圧力の良好な制御を達成することができるキャスティング装置および方法を有することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のウェブをキャストするためのキャスティング装置に関し、キャスティング装置は、アルカロイドを含有する材料のウェブを形成するためにキャストされるスラリーを含有するように適合されたキャスティングボックスであって、一つ以上の側壁を画定するキャスティングボックスと、キャスティングボックスの一つ以上の側壁上で摺動するのに適している摺動可能な蓋と、移動可能な支持体と、キャストウェブを形成するために、キャスティングボックスの中に含有されたスラリーを移動可能な支持体上にキャストするように適合されたキャスティングブレードとを含む。
【0011】
キャスティングボックス上の摺動可能な蓋の存在は、キャスティングボックス内部の圧力値のより良好な制御を可能にし、かつ空気にさらされたスラリーの表面で形成される場合がある「乾燥スラリーパッチ」の存在を低減する場合がある。乾燥スラリーパッチは、キャストする前にスラリーに溶解しない場合がある不均質性であり、キャストシートに不均質性を引き起こす。
【0012】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する薄層状の要素を意味する。シートの幅は、約10ミリメートルより大きいことが好ましく、約20ミリメートルまたは約30ミリメートルより大きいことがより好ましい。シートの幅は、約100ミリメートル~約300ミリメートルから成ることがなおより好ましい。連続的な「シート」は本明細書において、「ウェブ」と呼ばれる。
【0013】
本明細書で使用される「キャスティングブレード」という用語は、その長軸方向延長部の主要部に沿って本質的に一定の断面を有しうる長軸方向の形状に形作られた要素を意味する。これは少なくとも一つの縁を示し、この縁は、前述の縁による影響を受けることになるペースト状の、粘性のある、または液体様の物質(スラリーなど)と接触することが意図されている。前記縁は、鋭い、かつナイフ様の形状を有してもよい。別の方法として、ブレードの縁は長方形の形状または丸みのある形状を有してもよい。
【0014】
本明細書で使用される「移動可能な支持体」という用語は、少なくとも一つの長軸方向に移動することができる表面を備える任意の手段を意味する。移動可能な支持体は、一つの方向で途切れることのない搬送能力を提供するために、閉ループを形成してもよい。しかしながら、移動可能な支持体は前進後退の移動方向でも移動しうる。移動可能な支持体は、コンベヤーベルトを含んでもよい。移動可能な支持体は本質的に平坦であってもよく、また構造化された表面または構造化されていない表面を示してもよい。移動可能な支持体は、その表面に開口を示さない場合があり、またはその上に被着されたスラリーが浸透できないようなサイズのオリフィスのみを示す場合がある。移動可能な支持体は、シート様の移動可能な、かつ曲げることができる帯を備えてもよい。帯は、鋼、銅、鉄合金、および銅合金が挙げられるがこれらに限定されない金属材料、またはゴム材料で作製されてもよい。帯は、加熱されてスラリーの乾燥プロセスを加速することができるように、耐熱性材料で作製されてもよい。
【0015】
本明細書で使用される「スラリー」という用語は、異なる液体様の、粘性のある、またはペースト状の材料の乳濁液を含みうる、およびある特定の量の固体状態の粒子を含有しうる(ただし、スラリーは依然として液体様の、粘性のある、またはペースト状の挙動を示す)、液体様の、粘性のある、またはペースト状の材料を意味する。
【0016】
「アルカロイドを含有する材料」は、一つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドはニコチンを含んでもよい。ニコチンは、例えばたばこの中に見いだされうる。
【0017】
アルカロイドは、塩基性の窒素原子を主に含有する天然の化合物の群である。この群はまた、中性特性を有する一部の関連する化合物、および弱酸性特性を有する一部の関連する化合物さえも含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素、窒素に加えて、アルカロイドはまた、酸素、硫黄、より稀には塩素、臭素、リンなどのその他の元素も含有しうる。
【0018】
アルカロイドは細菌、真菌、植物、動物を含む多種多様な生物体によって生成されている。アルカロイドは酸塩基抽出によって、これらの生物体の粗抽出物から精製することができる。カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンはアルカロイドの例である。
【0019】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、アルカロイドニコチンを含有する、粒子状のたばこを凝集することによって形成された材料を意味する。それ故に、アルカロイドを含有する材料は、均質化したたばこ材料とすることができる。
【0020】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。その後、たばこウェブを作り出すためにスラリーが使用される。例えば、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルト上にキャストすることによって、いわゆるキャストリーフを製造する。別の方法として、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを使用して、製紙と似たプロセスで再構成たばこを作り出すことができる。
【0021】
均質化したたばこシート材料はまた、再構成シート材料と呼ばれることができ、またたばこ組成物を形成するために、粒子状のたばこ(例えば、再構成たばこ)またはたばこ微粒子のブレンド、湿潤剤、および水性溶剤を使用して形成されることができる。このたばこ組成物はその後、たばこ組成物からシート材料を形成するために、キャストされ、押出成形され、圧延され、またはプレスされてもよい。紙様の材料を作製するためにたばこの微粉が使用される湿式プロセス、またはたばこの微粉が結合剤材料と一緒に混合されて、移動するベルト上にキャストされてシートを形成するキャストリーフプロセスを利用して、たばこのシートを形成することができる。
【0022】
均質化したたばこシートは概して、たばこに加えて、結合剤およびエアロゾル形成体(グアーおよびグリセリンなど)を含む。
【0023】
本明細書で使用される「エアロゾル形成材料」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する材料を意味する。たばこは、その他の化合物と一緒に、エアロゾル形成材料として、特にエアロゾル形成体を含む均質化したたばこのシートとして分類されてもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成材料を含んでもよく、またはエアロゾル形成材料から成ってもよい。均質化したたばこシートはエアロゾル形成材料として使用することができる。
【0024】
スラリーは、多くの異なる構成要素または成分を含んでもよい。これらの構成成分は、アルカロイドを含有する材料のキャストウェブの特性に影響を及ぼす場合がある。第一の成分は、例えば粉末形態でアルカロイドを含有する材料である。この材料は、例えばたばこ粉末ブレンドとすることができ、これはスラリー中に存在するたばこの大半を含有することが好ましい。たばこ粉末ブレンドは均質化したたばこ材料中のたばこの大半の供給源であり、それ故に、例えば均質化したたばこ材料を加熱することによって生成されるエアロゾルなどの最終生成物に風味を与えるものである。アルカロイド材料ウェブの引張強さを増大するために、強化剤として作用する、セルロース繊維を含有するセルロースパルプがスラリーに添加されることが好ましい。結合剤を添加してもよい。エアロゾル形成体を添加してもよい。均質化したシートの引張特性を強化するために、およびエアロゾルの形成を促進するために、結合剤およびエアロゾル形成体が添加されることが好ましい。さらに、アルカロイドを含有する材料のウェブをキャストするために最適なある特定の粘度および水分に達するために、スラリーに水が添加されてもよい。
【0025】
スラリーに添加される結合剤の量は、スラリーの乾燥重量で約1パーセント~約5パーセントから成ってもよい。これは、約2パーセント~約4パーセントから成ることがより好ましい。スラリーで使用される結合剤は、本明細書に記載のガムまたはペクチンのうちのいずれかであってもよい。結合剤は、たばこ粉末が均質化したたばこウェブを通して実質的に分散されたままになることを確実にする場合がある。任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアー、ヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプン(derivitized starches)など)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン(pullalon)、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0026】
スラリーの中へのセルロース繊維の導入は典型的に、たばこ材料ウェブの引張強さを増大し、強化剤として作用する。従って、セルロース繊維を添加することは、均質化したたばこ材料ウェブの弾力性を増大させる場合がある。均質化したたばこ材料のスラリーに含むためのセルロース繊維は当業界で周知であり、これには針葉樹繊維、広葉樹繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。セルロース繊維は、パルプ化に加えて、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切な加工に供されてもよい。セルロース繊維は、たばこ茎材料、葉柄、または他のたばこ植物材料を含んでもよい。木材繊維などのセルロース繊維はリグニン含有量が低いことが好ましい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには麻および竹が含まれる。セルロース繊維の長さは有利なことに、約0.2ミリメートル~約4ミリメートルである。セルロース繊維の重量当たりの平均長さは、約1ミリメートル~約3ミリメートルであることが好ましい。さらに、セルロース繊維の量は、スラリー(または均質化したたばこシート)の総重量の乾燥重量基準で約1パーセント~約7パーセントから成ることが好ましい。
【0027】
均質化したたばこ材料のためのスラリーに含めるための適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには一価アルコール(メントールなど)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これに限定されない。
【0028】
好ましいエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0029】
スラリーは、乾燥重量基準で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有してもよい。スラリーは、乾燥重量基準で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。エアロゾル形成体は、スラリーの乾燥重量の約10パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。エアロゾル形成体は、スラリーの乾燥重量の約15パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。
【0030】
結合剤およびセルロース繊維は、約1:7~約5:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびセルロース繊維は、約1:1~約3:1から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0031】
結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:30~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:20~約1:4から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0032】
アルカロイド含有材料は、たばこであることが好ましい。結合剤およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびたばこ粒子は、約1:50~約1:15から成る重量比で含まれることがより好ましく、約1:30~1:20から成ることがなおより好ましい。
【0033】
エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:20~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:6~約1:2から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0034】
エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約1:1~約30:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約5:1~約15:1から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0035】
セルロース繊維およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。セルロース繊維およびたばこ粒子は、好ましくは約1:50~約1:20から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0036】
本発明の装置は、スラリーを含有するためのキャスティングボックスと、スラリーがキャスティングブレードによってキャストされる移動可能な支持体とを含む。
【0037】
スラリーは、異なる場所からキャスティングボックスに到達してもよい。従って、キャスティングボックスは、スラリーが形成される場所ではなくてもよい。例えば、スラリーは、サイロまたはタンクの中で作り出されてもよく、そこから適切な配管を経由してキャスティングボックスに移送される。スラリーはキャスティングボックスに連続的に供給され、その一方で移動可能な支持体上にキャストされて、アルカロイドを含有する材料の連続ウェブを形成することが好ましい。それ故に、サイロおよびキャスティングボックスは、スラリーが相互に流れることを可能にするために流体接続されていることが好ましい。
【0038】
スラリーは次に、キャスティングボックスに収集され、このボックスの中で所定の量のスラリーが維持されていることが好ましく、例えばキャスティングボックス内のスラリーの所定のレベルが設定されている。スラリーはキャスティングボックスに連続的に供給され、その一方で移動可能な支持体上にキャストされることが好ましい。
【0039】
キャスティングボックスはボックス形状であることが好ましい。キャスティングボックスは壁を含むことが好ましい。壁は結果として、側壁を備えることがより好ましい。側壁は、対向する第一の壁および第二の壁の組を含んでもよい。第一の組は、第一の側壁および第二の側壁と呼ばれる二つの側壁を含んでもよく、その一方で第二の組は、第三の側壁および第四の側壁を含んでもよい。側壁は実質的に垂直であるか、または垂直平面に対して傾斜していることが好ましい。第一の組および第二の組の各々における二つの側壁は、一方がもう一方に面していることが好ましい。キャスティングボックスの壁はまた、開口部を有する底部壁を含むことが好ましい。底部壁全体が開口部を画定することが好ましい。
【0040】
キャスティングボックスの壁は、キャスティングボックス自体の内部容積を画定する、すなわち壁はキャスティングボックスの内部容積を区切る。上述の通り、キャスティングボックスは、底部分において(例えば、底部壁にて)開口部を含んでもよく、これによってキャスティングボックスは完全に閉じられた容器ではない。開口部は、スラリーをキャストするために提供されている。それ故に、キャスティングボックスの内部容積は外部と接触している。開口部の存在に起因して、キャスティングボックスの内部容積は、開口部によって画定された区域が閉じられている「理論的な」ボックスの容積であると見なされる。従って、ボックスの内部容積と外部の間の境界線は、壁によって閉じられた開口部を考慮して作製されることが好ましい。開口部は、二つ以上の壁に形成されてもよい(例えば、ボックスの角部に形成された開口部である角部の開口部)。さらに、キャスティングボックスの中に、単一より多い開口部が存在してもよい。内部容積は、すべての開口部が既存の壁の幾何学的連続によって「仮想的に閉じられている」壁によって画定されたボックス内部の容積であると見なされる。
【0041】
キャスティングブレードは、キャスティング方向に垂直に配設されていることが好ましい。材料のウェブは、存在するスラリーをキャスティングボックスから移動可能な支持体上にキャストするキャスティングブレードによって形成されている。例えば、キャスティングボックスからのスラリーは、キャスティングブレードと接触する。キャスティングブレードの縁は、移動可能な支持体の表面との間隙を形成し、スラリーは、前述の間隙によって画定された開口部を通過する。材料のキャストウェブの厚さは、とりわけ、スラリーと接触するキャスティングブレードの縁と移動可能な支持体の表面の間の距離によって、すなわち上記で画定された間隙の寸法によって決定されてもよい。
【0042】
キャスティングブレードは部分的に、移動可能な支持体に面するキャスティングボックスの外部に位置する。
【0043】
さらに、キャスティングボックスは、摺動可能な蓋を含む。蓋は、キャスティングボックスに接続されていて、またキャスティングボックスの側壁のうちの一つ以上の上で摺動する移動を実行する能力を有する。摺動中の蓋の移動は、実質的に垂直の移動であることが好ましい。摺動中の蓋の移動は、実質的に直線的な移動であることが好ましい。摺動可能な蓋は、蓋がキャスティングボックスに据え付けられている時、外部に面する表面である外表面と、摺動可能な蓋がキャスティングボックス上に据え付けられている時、スラリーに面する表面である内表面と、外表面と内表面を接続する表面である側方の外周面とを含むことがより好ましい。外周面は、内表面および外表面に対して実質的に直交することが好ましい。
【0044】
キャスティングボックスの内部容積を変化させるために、摺動可能な蓋はキャスティングボックスの一つ以上の側壁上で摺動するように適合されていることが好ましい。
【0045】
キャスティングボックスの壁および摺動可能な蓋は、外周面のすべての周囲で接触していることがなおより好ましい。それ故に、キャスティングボックスの側壁の寸法および蓋の寸法は、キャスティングボックスの外周面と側壁の間の接触が実質的にすべての点において可能であるように、一致していることが好ましい。
【0046】
摺動可能な蓋は、キャスティングボックスの底部分に形成された開口部に面して位置することが好ましく、また移動可能な支持体にも面していることが好ましい。摺動可能な蓋は実質的に水平であることが好ましい。
【0047】
外周面は、キャスティングボックス上に摺動可能な蓋を密封するために密封要素を含んでもよいことが好ましい。キャスティングボックスが密封されている時も、摺動可能な蓋の摺動は可能である。密封要素は、キャスティングボックスの中に挿入された摺動可能な蓋の一部分に取り付けられてもよく、またキャスティングボックスの側壁と摺動可能な蓋の間の間隙を気密密封するために使用される。
【0048】
キャスティングボックスの側壁に沿った摺動可能な蓋の摺動は、スラリー上の蓋の浮遊性に起因する場合があり、すなわちスラリーレベルの位置に応じて摺動可能な蓋は上下に移動し、これによって摺動可能な蓋はスラリー上に浮き、スラリーレベルが上昇すると、蓋も同様に上昇する。
【0049】
さらに、摺動可能な蓋は、キャスティングボックスの上部を開閉するために取り外されてもよい。
【0050】
摺動可能な蓋は、適切なアクチュエータによって作動されてもよく、それ故にキャスティングボックスの上部の中に挿入される、かつキャスティングボックスの中に注入されたスラリーの圧力によって垂直に摺動可能であるピストンとして機能してもよい。
【0051】
従って、摺動可能な蓋はスラリーと接触してもよく、または空隙がスラリーと蓋の間に存在してもよい。
【0052】
摺動可能な蓋の存在は、キャスティングボックス内部の圧力の制御を可能にする。摺動可能な蓋の存在に起因して、加圧容器を形成することができる。摺動可能な蓋は移動することができるので、異なる量のスラリーをキャスティングボックスの中に収容することができ、または異なる圧力を設定することもできる。摺動可能な蓋はまた、空気にさらされたスラリー表面上のスラリーの「乾燥スポット」の形成を防止する場合がある。
【0053】
摺動可能な蓋の存在は、キャスティングボックス内部のスラリーの圧力および流れの制御を可能にする場合がある。この制御は、キャスティングプロセスに最小限の影響または効果を及ぼし、すなわち移動可能な支持体の表面とキャスティングブレードの間のキャスティング間隙での条件を修正せず(または最小限に修正し)、その一方でキャスティングボックス内部で自然な動きを有するスラリーの適切な混合効果を確実にする。
【0054】
摺動可能な蓋を使用して、スラリーと空気の間の直接接触が回避され、主にスラリーの移動が遅く、かつ/またはスラリーが長い期間静止したままであるスポットにおいて、スラリー中の酸化および化学的/生物学的反応(発酵を含む)を最小限に抑える場合がある。
【0055】
摺動可能な蓋は、キャスティングボックスを密封するための密封要素を含むことが好ましい。密封要素は外周面の一部であり、すなわち密封要素の場所は、摺動可能な蓋の側面上であり、キャスティングボックスの側壁と接触することが好ましい。このようにして、キャスティングボックス内部の圧力値を制御することができる。キャスティングボックスの内部容積は、密封されるようになることが好ましい。
【0056】
密封要素は、グラフェンで被覆または形成されていることがより好ましい。グラフェンは、良好な密封特性と、キャスティングボックスの壁上での、特に浮遊摺動のための、摺動可能な蓋の滑らかな摺動とを同時に得ることを可能にする。
【0057】
摺動可能な蓋またはキャスティングボックスは、キャスティングボックス内の圧力値を制御するために圧力弁を含むことが好ましい。弁は、キャスティングボックス内部の圧力値が高すぎる場合、キャスティングボックスから排出する空気および/またはスラリーの過圧を弁が防止するように、特定の圧力に設定されてもよい。
【0058】
キャスティングボックス内部の圧力は、約1バール~約10バールから成る値に維持されることが好ましく、約1バール~約5バールから成る値に維持されることがより好ましく、約1バール~約3バールから成る値に維持されることがなおより好ましい。
【0059】
キャスティングボックスは複数のフィンを含み、フィンは摺動可能な蓋に接続されていることが好ましい。理論に束縛されるものではないが、スラリーはおそらく剪断減粘挙動を有し、すなわちスラリーの天然粘度と加えられる剪断歪みとの間には反比例が存在する。それ故に、キャスティングボックス内部のスラリーの良好な混合は、製造プロセスにおいて、特にキャストシートの厚さを制御するために有益である場合がある。この理由から、スラリーの流れに影響を与えるフィンをキャスティングボックスの中に挿入することが好ましい。ブレード様の形態を有してもよいフィンは有利なことに、スラリーがその流れ中にそれらのフィンの輪郭に沿う必要があり、スラリー自体を分散させ、かつ非線形流を作り出すので、質量分配器としてだけでなく、静的混合要素としても機能する。従って、スラリーは、フィンの周りの「複雑な局所的移動」と、同時に、搬送ベルトの移動によってキャスティングブレードに向かって流れ、かつ移動する、全体的で包括的な移動とを有する。
【0060】
このようにして、スラリーがキャスティングブレードと搬送ベルトの間の細い間隙を通して進む領域においても、線形流は可能な限り回避される。製造における体験によると、キャスティングボックスに供給するスラリー、および/またはキャスティングボックス内部の(キャスティング方向に関して)長軸方向の線形流は、すなわち厚さ、物理的特性、および視覚的な外観の点から、材料のキャストシートの直線状の横断方向の非一貫性と相関する可能性がある。フィン間の特定の幾何学的形状、サイズ、数、および相対的な近接は、スラリーの流れにおけるそれらの効果を定義することを可能にする。これらのパラメータは、キャスティングボックスの輪郭線およびスラリーの特性を考慮して、コンピュータシミュレーションによって設計されてもよい。
【0061】
フィンは、その摺動における蓋の動きがフィンの摺動移動に対応するように、摺動可能な蓋に取り付けられていることが好ましい。フィンを摺動可能な蓋に取り付けることは、修理またはクリーニングのために(蓋とともに)フィンを簡単に抜き出すことを可能にする。これはまた、フィンの垂直方向の場所を、かなり簡単に変更することを可能にする。
【0062】
キャスティングボックスは、フィンの向きを変更するための調節装置を含み、前記配向装置は、キャスティングボックスの外部の摺動可能な蓋の表面上に位置することがより好ましい。フィンは、主要な長軸方向軸が画定されているように、細長い形状を有してもよい。プロセスまたはスラリーのパラメータに応じて、この主要な長軸方向軸の向きを変更することができることは有利である場合がある。調節装置は、例えばこうした調節を実行するために、摺動可能な蓋の外表面上に位置付けられている。
【0063】
好ましくは、キャスティングボックスはスラリーのための入口を含み、スラリーのための入口は側壁のうちの一つに形成されている。例えば上方からのスラリーの挿入ではなく、側壁のうちの一つからのスラリーの挿入は、スラリー自体の中の気泡の形成を最小限に抑える、または制限するので、スラリーの均質性をさらに改善する場合がある。さらに、これは移動可能な蓋を通り抜けるスラリー供給管を有することの複雑さを取り除く。キャスティングボックスの中に入口を介して追加的なスラリーを挿入することは、キャスティングボックスの中のスラリーの所与のレベルより下で実行されることが好ましい。キャスティングボックスの中のスラリーの所与のレベルは、特定の高さで、または特定の高さの範囲内に、実質的に一定に保たれることが好ましい。従って、有利なことに、キャスティングの間に、適切な配管を介してキャスティングボックスの中に引き寄せられる新しいスラリーの連続的な流れがある。スラリーがキャスティングボックス上に落下するようなやり方で追加される場合、空気を通して落下するスラリーは気泡を組み込む場合があり、これはキャストウェブに欠陥を引き起こす場合がある。入口が、所与のスラリーレベルを下回る側壁に位置付けられると、気泡を形成するのが困難となる。
【0064】
摺動可能な蓋は実質的に水平であることが好ましい。摺動可能な蓋はプレート様であることがより好ましい。有利なことに、摺動可能な蓋の外表面と内表面は平行であり、実質的に水平である。
【0065】
本発明はまた、アルカロイドを含有する材料のウェブをキャストする方法に関し、方法は、一つ以上の側壁を画定するキャスティングボックスを提供することと、キャスティングボックスに接続されたキャスティングブレードを提供することと、キャスティングブレードに面する移動可能な支持体を提供することと、スラリーをキャスティングボックスの中に、あるレベルまで導入することと、キャスティングボックス中のスラリーのレベルが変わる時、またはキャスティングボックス中の圧力値が変化した時、摺動可能な蓋が位置を変更するように、スラリー上に浮く摺動可能な蓋でキャスティングボックスを覆うことと、アルカロイドを含有する材料のウェブを形成するためにキャスティングブレードによってスラリーを移動可能な支持体上にキャストすることとを含む。
【0066】
本発明の方法の利点は既に上述されていて、繰り返さない。
【0067】
摺動可能な蓋は、スラリーの高さの変化に追従するようにスラリー上に浮くことができる。
【0068】
方法は、キャスティングボックス上に摺動可能な蓋を密封する工程を含むことが好ましい。密封は、摺動可能な蓋の外周面にて密封要素を使用して行われることが好ましい。
【0069】
方法は、キャスティングボックス内部の圧力値を変更する工程を含むことが好ましい。摺動可能な蓋の密封のおかげで、キャスティングボックス内部の圧力値を制御することができる。摺動可能な蓋の位置を変更するか、または一つ以上の圧力弁を調節して、圧力を変更することができる。キャスティングボックス内部で、圧力値は、約1バール~約10バールの範囲内に維持されることが好ましく、約1バール~約5バールの範囲内に維持されることがより好ましく、約1バール~約3バールの範囲内に維持されることがなおより好ましい。
【0070】
方法は、摺動可能な蓋に取り付けられた複数のフィンを提供する工程を含むことが好ましい。フィンは、キャスティングブレードに向かうスラリーの流れ中にスラリーと接触するように、摺動可能な蓋の内表面に取り付けられていることが好ましい。
【0071】
方法は、フィンの向きを変更する工程を含むことが好ましい。キャスティングボックスの幾何学的形状、スラリーの特性、およびキャストウェブの所望の特性に応じて、フィンの向きは適宜に変更することができる。
【0072】
キャスティングボックス内部にスラリーを導入する工程は、供給方向に沿ってスラリーをキャスティングボックスの中に導入する工程を含み、供給方向は、約-45度~約+45度から成る水平面との角度を形成することが好ましい。
【0073】
スラリーの実質的に水平方向の供給は、スラリーの供給中に「重力効果」および関連する流れの変動を回避する場合があり、フィンの使用に関連してより良い混合効果を可能にするだけでなく、キャスティングボックスの全体的な設計を単純化し、部品および構造要素を無くすだけでなく、クリーニングを単純化する。
【0074】
アルカロイドを含有する材料のキャストシートは、均質化したたばこシートを含むことが好ましい。
【0075】
本発明はまた、材料のウェブをキャストするためのキャスティング装置に関する場合があり、キャスティング装置は、ウェブを形成するためにキャストされるスラリーを含有するのに適しているキャスティングボックスであって、一つ以上の側壁を画定するボックスと、キャスティングボックスの内部容積を変化させるためにキャスティングボックスの一つ以上の側壁上で摺動するのに適している摺動可能な蓋と、移動可能な支持体と、キャストウェブを形成するために、キャスティングボックスの中に含有されたスラリーを移動可能な支持体上にキャストするのに適しているキャスティングブレードとを含む。
【0076】
本発明はまた、材料のウェブをキャストする方法に関する場合があり、方法は、一つ以上の側壁を画定するキャスティングボックスを提供することと、キャスティングボックスの外部にキャスティングブレードを提供することと、キャスティングブレードに面する移動可能な支持体を提供することと、スラリーをキャスティングボックスの中に、あるレベルまで導入することと、キャスティングボックス中のスラリーのレベルが変わる時、またはキャスティングボックス中の圧力値が変化した時、蓋が位置を変更するように、スラリー上に浮く蓋でキャスティングボックスを覆うことと、材料のウェブを形成するためにキャスティングブレードによってスラリーを移動可能な支持体上にキャストすることとを含む。
【0077】
本発明のさらなる利点は、添付の図面の非制限的な参照とともに、その詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1図1は、アルカロイドを含有する材料のウェブの製造のための装置の第一の実施形態の概略側面断面図である。
図2図2は、図1の装置の一部分の概略側面断面図である。
図3図3は、図2の装置の詳細の概略底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
図1および図2を参照すると、本発明による、アルカロイドを含有する材料のキャストウェブの製造のためのキャスティング装置の第一の実施形態が提示されていて、参照番号100で示されている。図1および図2では、キャスティング装置100の一部分のみが示されている。
【0080】
特に、キャスティング装置100は、均質化したたばこ材料1のキャストウェブの製造のために適合されている。
【0081】
キャスティング装置100は、スラリー2を含有するキャスティングボックス10と、移動可能な支持体20とを備え、キャスティングブレード70は、均質化したたばこ材料のキャストシート1を形成するために、キャスティングボックス10の中に含有されたスラリー2を移動可能な支持体20上にキャストする。
【0082】
バッファタンク(図示せず)からのスラリー2は、通常はポンプ(図示せず)によってキャスティングボックス10の中に移送される。ポンプは、キャスティングボックス10の中に導入されたスラリー2の量を制御するための流量の制御(図面では見えない)を備えることが好ましい。ポンプは有利なことに、スラリーの移送時間が必要最小限に短く保たれることを確実にするように設計されている。ポンプは、キャスティングボックス10にスラリー2を供給するために、例えば配管90(図2を参照)によって、キャスティングボックス10に流体接続されている。
【0083】
キャスティングボックス10は、対向する第一の壁および第二の壁12、14を含む側壁を備える。キャスティングブレード70は、第二の壁14にてキャスティングボックス10に関連付けられている。キャスティングボックス10は概して、四つの側壁、すなわち対向する第一の壁および第二の壁12、14と、対向する第一の壁および第二の壁12、14を接続する、対向する第三の壁および第四の壁(図示せず)とによって画定されている。
【0084】
キャスティングボックス10中のスラリー2の量は所定のレベルを有し、このレベルは、スラリー2の円柱によってかけられる圧力が実質的に同じままであるように、実質的に一定に保たれることが好ましい。スラリー2の量を実質的に同じレベルに保つために、ポンプは、キャスティングボックス10へのスラリー2の流れを制御する。
【0085】
移動可能な支持体20は、例えばドラム組立品を含む連続的なステンレス鋼ベルト7を備える。ドラム組立体は、キャスティングボックス10の下に位置する主ドラム21を含み、これは移動可能な支持体20を移動させる。キャスティングボックス10は、主ドラム21の上に据え付けられていることが好ましい。
【0086】
スラリーは、キャスティングブレード70を通してドラム21にて鋼ベルト7上にキャストされ、これは均質化したたばこ材料の連続的なシート1を作り出す。スラリーがキャスティングブレードに、およびそれ故に移動可能な支持体に到達するために、キャスティングボックス10は、その底部に対応する開口または開口部17を有し、開口17はキャスティングボックス10の幅に沿って延びる。開口17は、ドラム21の上に、かつドラムの近くに位置付けられている。
【0087】
鋼ベルト7の移動は、キャスティングボックス10の前方出口18にて(第二の壁14にて)キャスティングブレード70に向かって、スラリー2を前進させる。この流れは図1において矢印13で描写されている。キャスティングブレード70は、鋼ベルト20上のスラリー2の一部をキャストし、その一方でスラリー2の残りの大半は後戻りし、キャスティングボックス10内部で再循環する。鋼ベルト20は、図1において矢印24によって描写されたキャスティング方向に沿って移動する。
【0088】
キャスティングブレード70は、その長軸方向の幅である主寸法を有する。キャスティングブレード70は、例えば実質的に長方形である。キャスティングブレード70は、好ましくはアクチュエータ9(図2に示す)によって動作される調整可能な板8によってキャスティングボックス10に取り付けられていて、これはキャスティングブレード70の位置の正確な制御を可能にする。
【0089】
キャスティングブレード70と鋼ベルト20の間には間隙が存在し、その寸法は、とりわけ、均質化したたばこ材料のキャストウェブの厚さを決定する。
【0090】
本発明のキャスティングボックス10はまた、摺動可能な蓋80を備える。ここで図2を参照すると、摺動可能な蓋は、スラリーに面する、またはスラリーと接触する内表面81と、外表面82と、外周面83とを含む。外周面83は、キャスティングボックス10の側壁12、14と接触している。外周面83は、すべての側壁と接触していることが好ましい。内表面81のサイズは、内表面81が好ましくはキャスティングボックス10の側壁によって区切られた面積と一致するようなサイズである。
【0091】
摺動可能な蓋80は、グラフェンで形成された、かつ外周面83に位置付けられた密封要素84のおかげで側壁上で摺動してもよい。グラフェン密封要素84の存在は、キャスティングボックス10上の摺動可能な蓋を密封し、加圧容器を画定する。こうした加圧容器内部の圧力値を変化させることができるようにするために、弁(または弁一つ以上)23が、摺動可能な蓋の外表面82上に位置付けられている。許容可能な圧力の最大値は、弁23上で変更することができる。
【0092】
さらに、フィンの第一の列および第二の列25、26は、摺動可能な蓋の内表面83からスラリー2に向かって延びる。フィンの二つの列は、一方がもう一方と平行であり、摺動可能な蓋80に取り付けられていることが好ましい。フィンを運ぶ蓋の反対側で、すなわち外表面82上で、第一の調節装置および第二の調節装置(両方とも22によって示される)は、ユーザーによってアクセス可能であり、またフィン25、26を回転させるために使用することができる。調節装置22はノブを含んでもよい。
【0093】
図3は、拡大した底面図でフィンの列を示す。各フィン25、26はC字形状を有し、C字の凹面は、スラリーの流れの主方向に実質的に面して位置付けられている。言い換えれば、フィン25、26のすべては、同一の形状を有し、主要寸法を画定し、これは同一の列内で相互に実質的に平行に位置付けられている。
【0094】
キャスティングボックス10は、スラリー2をキャスティングボックス10の中に移送するための配管90(図2でのみで見える)をさらに含む。配管90は、キャスティングボックス10の側壁12に形成された入口91を画定する。入口91は実質的に、側壁上の開口である。配管は、実質的に水平に配設されていることが好ましく、これによって、側壁上の配管によって形成された開口にて、すなわち入口91にて、スラリーの流れの方向は実質的に水平である。
【0095】
キャスティング装置100の機能は以下の通りである。好ましくは、たばこ粉末およびその他の成分を混合しかつ組み合わせて形成されたスラリー2は、バッファタンク(図示せず)から、例えばインラインミキサー(これも図示せず)を使用して、キャスティングボックス10内部でキャスティング装置100に移送される。
【0096】
スラリー2は、キャスティングボックス10の後側または上流側に(キャスティングボックス10の第一の壁12に)位置付けられている配管90を介して供給され、またキャスティングブレード70は、キャスティングボックス10の前側または下流側に(キャスティングボックス10の第二の壁14の近くに)位置する。キャスティング方向24に沿って、スラリーは、第一の壁12と第二の壁14の間のキャスティングボックス10の実質的に中間に位置するフィン25、26の二つの列を通過しなければならない。流れは、フィン25、26の向きを変えうる、調節装置22での操作によって調節される。
【0097】
キャスティングボックス10内部の圧力は、図2の矢印85で示された垂直方向に沿って上げるまたは下げることができる摺動可能な蓋80を位置付けることと、弁23を調節することとによって、または蓋をスラリー2上に浮かせることによって制御される。
【0098】
均質かつ均一なフィルムの厚さのウェブ1の中にスラリー2をキャストする工程は、例えばステンレス鋼ベルト7などの移動可能な支持体20上で実行される。キャストする工程は、キャスティングボックス10中のスラリーのレベルと、キャスティングボックス10内部のスラリーの水分と、スラリー2の密度とを、適切なセンサーによってモニターすることを含む。
【0099】
キャストする工程の直後に核子ゲージによって制御された、均質化したたばこ材料のウェブ1の厚さおよび坪量は、スラリー測定装置を使用して連続的にモニターされる、かつフィードバック制御される。キャストする工程は、移動可能な支持体20との間隙(フィードバック制御されることができる間隙)を形成するキャスティングブレード70によって実行される。
【0100】
さらに、キャストウェブ1は乾燥装置(図面では見えない)による乾燥工程を経る。乾燥装置は複数の個別の乾燥ゾーンを含む。各乾燥ゾーンは、支持体の下側の蒸気加熱と、移動可能な支持体20の上方の加熱された空気と、好ましくはまた調整可能な排気制御とを含むことが好ましい。乾燥装置内で、均質化したたばこウェブ1は、支持体20上で所望の最終的な水分まで乾燥される。
【0101】
乾燥工程は好ましくは、個別に制御可能なゾーンを有するエンドレスステンレス鋼ベルト乾燥機の中でのキャストウェブ1の均一かつ穏やかな乾燥を含む。乾燥中に、各乾燥ゾーンでの穏やかな乾燥プロファイルを確実にするために、各乾燥ゾーンでのキャストウェブ1の温度をモニターする工程が実行されることが好ましい。このキャストウェブ1は、底部からのスチームパン加熱および上部空気乾燥を用いて、鋼ベルト20上で所望の最終的な水分まで乾燥される。すべての乾燥ゾーンは蒸気流量および圧力の制御を装備し、空気温度と空気流量は、所望の乾燥プロファイルを提供するように完全に調整可能であり、製品滞留時間を確実にすることが尊重される。
【0102】
キャストする工程の終了時および乾燥する工程の終了時に、均質化したたばこウェブは支持体20から取り外されることが好ましい。乾燥ステーションの後で適正な水分含有量にてキャストウェブ1のドクタリングを実行することが好ましい。目標の水分または水分仕様に達するようにキャストウェブ1のさらなる水分含有量を除去するために、キャストウェブは二次乾燥プロセスを経ることが好ましい。この第二の乾燥工程において、キャストウェブ1は、水分をウェブ1の両面から容易に除去できるように、ワイヤ上に置かれることが好ましい。乾燥工程の後、キャストウェブ1は、例えば単一のマスターボビンを形成するために、巻く工程で一つ以上のボビンに巻かれることが好ましい。その後、このマスターボビンを使用して、切り込みを入れて小さいボビンを形成するプロセスによって、より小さいボビンの製造を実行してもよい。その後、エアロゾル発生物品(図示せず)の製造のために、より小さいボビンを使用してもよい。
図1
図2
図3