(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】真空処理装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/50 20060101AFI20231129BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
C23C14/50 K
C23C14/50 E
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2021143014
(22)【出願日】2021-09-02
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000227294
【氏名又は名称】キヤノンアネルバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143395
【氏名又は名称】岩田 今日文
(72)【発明者】
【氏名】野沢 直之
(72)【発明者】
【氏名】高波 勇二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達哉
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特許第6868929(JP,B1)
【文献】特開2003-293134(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107287574(CN,A)
【文献】実開平07-021762(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00 -14/58
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内に、垂直な回転軸を有し、かつ、基板を保持するトレイが装着される回転ホルダを配置し、前記処理室に対して前記トレイを、前記回転軸に対して平行状態で、かつ、つり下げた垂直状態で、ロードロック室との間で、搬送機構により、水平搬入、水平搬出できる真空処理装置であって、
前記処理室内には、伸縮シリンダと連動して動く押しつけベアリングが設けられており、
前記回転ホルダ内には、前記トレイの温度を調整するための温度調整機構と前記トレイを脱着するための脱着駆動部と、が設けられており、
前記脱着駆動部は、前記トレイを保持するための引き込みフックとガイド板とを有し、
前記搬送機構は、前記回転ホルダの回転軸と前記搬送機構の回転軸とを結ぶ中心線上に沿って移動可能なように、前記真空処理装置内に設けられており、
前記押しつけベアリングと前記ガイド板とは、
前記トレイが前記回転ホルダの表面から離間した状態で、前記押しつけベアリングと前記ガイド板とが接触する際、前記押しつけベアリングの中心と前記ガイド板の中心とが、前記中心線上に位置するように配置されて
おり、
前記ガイド板の中心部分には、前記押しつけベアリングと前記ガイド板とが接触した際、前記押しつけベアリングを受けるV字ガイド溝が形成されていることを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
前記ガイド板の前記V字ガイド溝が無い側には、前記ガイド板の中心部分と接触するストッパーを有することを特徴とする請求項
1記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記引き込みフックは、前記中心線に沿って移動可能なシャフトに連結されており、
前記シャフトは、
前記ガイド板の中心部分と前記ストッパーとが離間する際には、前記トレイが前記回転ホルダの表面に接触する方向に移動し、
前記ガイド板が前記中心線に沿って移動し、前記ガイド板の中心部分と前記ストッパーとが接触する際には、前記トレイが前記回転ホルダの表面から離間する方向に移動する、
ことを特徴とする請求項
2記載の真空処理装置。
【請求項4】
前記引き込みフックは、前記トレイの貫通穴に挿入可能なように、前記回転ホルダの上端部左右2カ所に設けられた上引き込みフックと、前記トレイの下端部を保持可能なように、前記回転ホルダの下端部左右2カ所に設けられた下引き込みフックと、から構成され、
前記トレイが前記回転ホルダの表面と接触する際には、
前記トレイの上端部は前記上引き込みフックに吊り下げられた状態であり、
前記トレイの下端部は前記下引き込みフックに保持された状態である、
ことを特徴とする請求項
1から3のいずれか1項に記載の真空処理装置。
【請求項5】
前記搬送機構は、前記トレイの中心が前記中心線上に位置した状態で、前記トレイを保持可能なフックを有することを特徴とする請求項
1から4のいずれか1項に記載の真空処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状のドラム型回転ホルダの外周部に基板を保持するトレイを設置し、回転ホルダを回転させながら基板を処理する真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基板を外周面に保持した多角形又は円筒形のドラム型回転ホルダを地面に垂直な円筒中心軸上で回転させながら、ドラム型回転ホルダの外周に対向して設置されたターゲットをスパッタリングして基板固定トレイに設置された基板上に薄膜を成膜する、いわゆるカルーセル型スパッタ装置が知られている。
カルーセル型スパッタ装置では、成膜開始前に複数の基板固定トレイを前記回転ホルダの外周に取り付け、成膜された基板固定トレイを回転ホルダの外周から取り外す必要がある。
ところがこのようなカルーセル型スパッタ装置では、真空中でドラム型の回転ホルダに自動で基板固定トレイの取り付け、取り外しを行うことは大掛かりな脱着機構が必要となり、大気圧で手作業により基板の取り付け取り外しを行う場合が多くあった。
成膜室を大気圧にして手作業で基板の取り付け取り外しを行う場合、ターゲットの酸化や、不純物の付着により、成膜した膜に不純物が混入する場合がある。また、成膜手段により成膜室に付着した膜が大気にさらされると剥がれやすくなるため、基板に付着するパーティクルの原因となり歩留まりを悪化させることがある。
又、成膜ごとに大気解放及び真空排気が必要であり、大気解放前の冷却時間や、真空排気後の加熱時間が必要であり、シールドの交換周期も短くなる為、生産性が悪く、人手が掛かる問題を有していた。
こういった問題点を解決する為に、成膜室は真空のままロボットでのトレイの入れ替えが出来る装置が考えられた。
【0003】
前記問題を解決するカルーセル型スパッタ装置の1例として、
図16,
図17に示す薄膜形成装置について説明する(特許文献1)。
図16、
図17に示す真空処理装置は、処理室内101に、処理すべき基板の装着される回転ドラム治具102を固定配置し、処理室内101の上記回転ドラム治具102に対して処理すべき基板固定トレイ1012を脱着するための基板固定トレイ脱着機構1014を設け、処理室101に対して基板固定トレイ1012を垂直状態(回転軸に対して平行状態)で、基板仕込み室104・基板取り出し室105との間で、
図17に示す搬送機構1013により、水平搬入、水平搬出(回転軸に対して垂直状態)できるように構成したことを特徴とする。
図16、
図17に示す真空処理装置によれば、回転ドラム治具102を処理室内101に固定配置し、脱着機構1014を用いて基板固定トレイ1012だけを回転軸に対して平行状態で、搬入装着、取外し搬出するように構成しているので、ドラム治具102に必要な装置、例えば冷却機構やバイアス印加手段を組込むことができ、また各室(基板仕込み室104,処理室101,基板取り出し室105)の仕切バルブ108,109、1010、1011も小型化でき、デッドスペースの縮小と共に装置自体を小型化でき、そして排気系の負荷も軽減させることができる。
なお、
図16、
図17において、カソード103、回転ドラム治具102の各基板装着面102A、案内ローラ1013Aと駆動ローラ1013B、回転ドラム治具102を所定の位置(すなわち基板固定トレイ1012の脱着位置)で停止させる停止案内装置1016を示す。
しかし、上記特許文献1に示す装置は以下のような課題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図16,
図17に示す真空処理装置の場合、基板仕込み室104から処理室101に基板固定トレイ1012を搬入する場合、まず→Aの方向に基板固定トレイ1012をつり下げた状態で水平移動して、処理室101に基板固定トレイ1012を搬入する。
この時、基板固定トレイ1012は、基板固定トレイ1012と回転ドラム治具102の装着面102Aとが平行状態で、かつ、基板固定トレイ1012が回転ドラム治具102の装着面102Aに位置するように、
図16、
図17に示す仮想線で示す位置に位置決めする必要がある。
次に、基板固定トレイ1012を回転ドラム治具102の装着面102Aに装着する際には、基板固定トレイ1012は、
図17に示す仮想線で示す位置においてシリンダ作動機構1014A,1014Bのホルダチャック部材1015A,1015Bで受けられ、搬送装置1013の案内ローラ1013Aおよび駆動ローラ1013Bは基板固定トレイ1012から離され、→Bの方向(→Aに対しては垂直方向)に基板固定トレイ1012をつり下げた状態で水平移動する必要がある。
そして各シリンダ作動機構1014A,1014Bは、所定の位置に停止されている回転ドラム治具102の装着面102Aに対して基板固定トレイ1012を押し当て各突子1012Dを治具102における係止穴102Cに係止させる。こうして基板固定トレイ1012は回転ドラム治具102に装着され、この操作を繰返して治具102の全装着面102Aに処理すべき基板固定トレイ1012を装着する。
一方、処理室101から基板仕込み室104に基板固定トレイ1012を搬出する場合、→Cの方向に基板固定トレイ1012をつり下げた状態で水平移動し、回転ドラム治具102の全装着面102Aから基板固定トレイ1012を脱着し、次に、
図16に示す仮想線で示す位置において、→Dの方向(→Cに対しては垂直方向)に基板固定トレイ1012を水平移動し、基板固定トレイ1012を基板仕込み室104に搬入する必要がある。
このように、
図16,
図17に示す真空処理装置の場合、基板固定トレイ1012のアクセス面側に大きな搬送エリアを必要とするという課題がある。
【0006】
そこで、本発明は、前記特許文献1記載の発明の問題を解決することを目的とするものであり、
処理室内に、垂直な回転軸を有し、かつ、基板を保持するトレイが装着される回転ホルダを配置し、前記処理室に対して前記トレイを、前記回転軸に対して平行状態で、かつ、つり下げた垂直状態で、ロードロック室との間で、搬送機構により、水平搬入、水平搬出できる真空処理装置であって、トレイのアクセス面側に大きな搬送エリアを必要とすることなく、簡易な構造で回転ホルダとトレイとの位置補正を行いながら、回転ホルダの全装着面へのトレイの脱着・搬送を可能とする真空処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、処理室内に、垂直な回転軸を有し、かつ、基板を保持するトレイが装着される回転ホルダを配置し、前記処理室に対して前記トレイを、前記回転軸に対して平行状態で、かつ、つり下げた垂直状態で、ロードロック室との間で、搬送機構により、水平搬入、水平搬出できる真空処理装置であって、前記処理室内には、伸縮シリンダと連動して動く押しつけベアリングが設けられており、前記回転ホルダ内には、前記トレイの温度を調整するための温度調整機構と前記トレイを脱着するための脱着駆動部と、が設けられており、前記脱着駆動部は、前記トレイを保持するための引き込みフックとガイド板とを有し、前記搬送機構は、前記回転ホルダの回転軸と前記搬送機構の回転軸とを結ぶ中心線上に沿って移動可能なように、前記真空処理室内に設けられており、前記押しつけベアリングと前記ガイド板とは、前記トレイが前記回転ホルダの表面から離間した状態で、前記押しつけベアリングと前記ガイド板とが接触する際、前記押しつけベアリングの中心と前記ガイド板の中心と前記トレイの中心が、前記中心線上に位置するように配置されており、前記ガイド板の中心部分には、前記押しつけベアリングと前記ガイド板とが接触した際、前記押しつけベアリングを受けるV字ガイド溝が形成されていることを特徴とする真空処理装置としたものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、トレイのアクセス面側に大きな搬送エリアを必要とすることなく、脱着駆動部で回転ホルダの位置補正を行ない、トレイの装着中心と搬送機構での搬送中心を合わせられる構造にする事で、搬送機構によるトレイの脱着・搬送が容易に出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例であり、カルーセル型成膜装置の断面図である
【
図2】本発明の実施例、いわゆるカルーセル型の真空処理装置の上から見た平面図である。
【
図3】本発明の実施例、回転ホルダのトレイ脱着状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施例、回転ホルダのトレイ設置状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施例、回転ホルダのトレイ設置状態での搬送機構との位置関係を示す図である。
【
図7】
図3のI-I線矢視図を示し、(A)はトレイが回転ホルダ表面と接触した状態を示し、(B)はトレイが回転ホルダの表面から離間した状態を示す。
【
図8】
図3のII矢視図を示し、(A)はガイド板とストッパーとが離間した状態を示し、(B)はガイド板とストッパーとが接触した状態を示す。
【
図9】
図7(A),
図8(A)のトレイ設置前の動作状態図である。
【
図14】本発明の実施例、防着シールド付きトレイの設置例の図である。
【
図15】本発明の実施例、回転ホルダ側に防着シールド装着用溝を取り付けた設置例の図である。
【
図16】特許文献1の真空処理装置を示す概略断面図である。
【
図17】特許文献1の真空処理装置を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施例であり、いわゆるカルーセル型の真空処理装置の断面図である。
図1の真空処理装置は、複数の基板を保持可能なトレイ(基板固定治具)13を収納可能なカセット3を有するロードロック室2と、トレイ13を載置可能な回転ホルダ7を有する処理室1と、ロードロック室2と処理室1との間で、トレイ13を垂直状態のつり下げて状態で、水平搬送可能な搬送機構4と、ロードロック室2内のカセット3を隣接する冷却室や加熱室に搬送させる搬送機構17と、から構成される。 処理室1には、複数の基板固定用のトレイ13を外周面に保持した多角形のドラム型の回転ホルダ7を地面に垂直な回転軸8上で駆動機構16を回転させながら、回転ホルダ7の外周に対向して設置された複数の成膜機構(例えば、ターゲット5)をスパッタリングして各基板上に薄膜を成膜する、いわゆるカルーセル型スパッタ室が設置される。処理室1に隣接してロードロック室2がスリットバルブ6を介して接続されていて、スリットバルブ6を閉めた状態で排気やベントをすることでロードロック室2だけを大気や真空にすることができ、また、ロードロック室2の中に基板を固定したトレイ13を複数枚保管できるカセット3を設置することができる。回転ホルダ7内の表面には、トレイ13の温度を調整するための温度調整機構(不図示)を有する。
図1の真空処理装置は、処理室1に対してトレイ13を、回転軸8に対して平行状態で、かつ、つり下げた垂直状態で、ロードロック室2との間で、搬送機構4により、水平搬入、水平搬出できる。なお、
図1において、4Aは搬送機構4の搬送アームを示し、4Cは搬送機構4の回転軸を示し、17はカセット3の搬送のための搬送機構である。
【0011】
図2は、本発明の実施例、いわゆるカルーセル型の真空処理装置の上から見た平面図である。
図1と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
図2において、21は回転ホルダに対してトレイ13を脱着するための脱着駆動部21である。
図2に示すように、脱着駆動部21は、回転ホルダ7の回転軸8と搬送機構4の回転軸4Cとを結ぶ中心線上に、脱着駆動部21の中心21Cが位置するように配置することが好ましい。なお、本明細書において、「中心線」とは、
図2に示すように、回転ホルダ7の回転軸8と搬送機構4の回転軸4Cとを結ぶ中心線上の線をいう。「回転ホルダ7の回転方向」とは、回転軸8を中心として回転ホルダ7が回転する方向をいう。搬送機構4は、前記中心線上に沿って移動可能なように、真空処理装置内に設けられている。
図2において、点線→Aはトレイ13が回転ホルダ7のトレイ装着面(不図示)に向かう方向、点線→Bはトレイ13が回転ホルダ7のトレイ装着面(不図示)から離れる方向、Cはトレイ13が下降する方向、Dはトレイ13が上昇する方向を示す。
【0012】
図3は、回転ホルダ7の基板固定用のトレイ13の脱着状態図になる。
図1及び
図2と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。長方形の板状であるトレイ13は上端部左右2カ所に貫通穴14が空いている。搬送アーム4Aは、その上端部左右に、トレイ13の貫通穴14に挿入可能な、搬送フック15を有し、その下端部に、トレイ13の下端部のフレの抑制防止が可能な下フック20(例えば、この字型)を有する。トレイ13は、搬送アーム4Aの搬送フック15により、垂直状態につり下げた状態で、ロードロック室2と成膜室1との間で水平搬送され、成膜室1内に搬送される。脱着駆動部21は、トレイ13を保持するための引き込みフック22を有する。引き込みフック22は、トレイ13の貫通穴14に挿入可能なように、上端部左右2カ所に設けられた上引き込みフック22Aと、トレイ13の下端面を載置可能なように、下端部左右2カ所に設けられた下引き込みフック22Bと、から構成される。
図3に示すように、トレイ13を回転ホルダ7に装着する時には、搬送アーム4A(
図2参照)が伸び、トレイ13を、引き込みフック22を避けて侵入し、搬送アーム4Aを下降させることで、トレイ13を搬送アーム4Aの搬送フック15から、引き込みフック22Aに受け渡した高さで、ベアリング(不図示)を脱着駆動部21から離間した状態にして、トレイ13を引き込みフック22により回転ホルダ7内に設けられた温度調整機構(例えば、冷却面)に押し付ける。反対に、トレイ13を回転ホルダ7から取り出す時は、押しつけベアリング(不図示)を脱着駆動部21と接触させ、ストッパー(不図示)に当たるまで押しつけ、トレイ13から引き込みフック22を解放させた状態にし、その位置で搬送アーム4A(
図2参照)の搬送フック15及び下フック20が侵入し、トレイ13をすくい上げることで、トレイ13を回転ホルダ7から回収する。
【0013】
図4は、
図3のI-I線矢視図である。
図1から
図3と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。処理室1内には、伸縮シリンダ33と伸縮シリンダ33と連動して動く押しつけベアリング25とが設けられている。脱着駆動部21は トレイ13を保持するための引き込みフックとガイド板とを有する。
図4において、伸縮シリンダ33を駆動することにより、押しつけベアリング25を脱着駆動部21のガイド板と離間した状態(非接触の状態)にすると、引き込みフック22がB方向に移動する。これにより、引き込みフック22に保持されたトレイ13は回転ホルダ7内の表面付近に設けられた温度調整機構30(例えば、冷却面)に押し付けられる。
【0014】
図5は、本実施形態における回転ホルダのトレイ13の設置状態図になる。
図1から
図4と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
多面体である縦型のドラムホルダーの各面にトレイ13が設置され、上下をトレイ脱着駆動部(不図示)に連結されている引き込みフック22にて冷却面に押し付けられている。
【0015】
図6は、本実施形態における回転ホルダのトレイ13設置状態での搬送機構4との位置関係を示す図である。
図1から
図5と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
トレイ13は、搬送アーム4Aの搬送フック15に吊り下げられた状態で、上引き込みフック22Aの位置まで搬送される。搬送アーム4Aを、
図6の二点鎖線で示す位置から
図6の実線で示す位置まで下降することにより、トレイ13は上引き込みフック22Aに引き渡される。その位置で搬送アーム4Aは、トレイ13に干渉することなく、回転ホルダから離間する方向に移動可能となる。
【0016】
図7は本実施形態における回転ホルダ7の脱着駆動部21の側面動作図であり、
図3のI-I線矢視図である。
図1から
図6と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する
なお、
図7(A)は、回転ホルダ7へのトレイ13の設置が完了し、トレイ13が回転ホルダ7(温度調整機構30)の表面と接触した状態を示し、基板固定用のトレイ13の温度制御(冷却)時を示し、
図7(B)は、回転ホルダ7からトレイ13を脱着するため、トレイ13が回転ホルダ7(温度調整機構30)の表面から離間した状態を示し、トレイ13の脱着時を示す。
回転ホルダ7の上下面に装着された脱着駆動部21は、処理室1の側面外側に装着された伸縮シリンダ33により、該伸縮シリンダ33の先端に装着され、連動して動く押しつけベアリング25をA方向に移動し、押しつけベアリング25を脱着駆動部21のガイド板(不図示)に押し付ける。これにより、
図7(B)に示すように、トレイ13は該回転ホルダ7(温度調整機構30)の表面から離れる。
一方、伸縮シリンダ33の動作により、連動して押しつけベアリング25をB方向に移動し、押しつけベアリング25を脱着駆動部21のガイド板(不図示)から離間する。これにより、
図7(A)に示すように、トレイ13は、回転ホルダ7(温度調整機構30)の表面に押し付けられる。
【0017】
図8は回転ホルダ7の脱着駆動部21の上面動作図であり、
図3のII矢視図である。
図1から
図7と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
なお、
図8(A)は、押しつけベアリング25とガイド板24とが離間した状態を示し、基板固定用のトレイ13の温度制御(冷却)時を示し、
図8(B)は、押しつけベアリング25とガイド板24とが接触した状態を示し、基板固定用のトレイ13の脱着時を示す。
ガイド板24の中心部分24Cには、押しつけベアリング25を受けるV字ガイド溝24Aが形成されている。ガイド板24のV字ガイド溝24Aが無い側には、ガイド板24の中心部分24Cと接触するストッパー29を有する。
脱着駆動部21には、ベアリングケース23の中にスライドガイド(不図示)が設置され、伸縮方向に圧縮スプリング28を設置する事で、ガタのない水平動作と、回転コロ又はベアリング25に押しつけ解放後に、速やかに元の位置に戻る機能を有する。
上引き込みフック22Aは中心線に沿って移動可能なシャフト27に連結されている。
シャフト27は、ガイド板24の中心部分24Cとストッパー29とが離間する際(
図8(A)の際)には、トレイ13が回転ホルダ7の表面に接触する方向(B方向)に移動する。
一方、シャフト27は、ガイド板24が中心線に沿ってA方向に移動し、ガイド板24の中心部分24Cとストッパー29とが接触する際(
図8(B)の際)には、トレイ13が回転ホルダ7の表面から離間する方向(A方向)に移動する。
図8では不図示であるが、シャフト27は下引き込みフック22Bにも取り付けられている。
図8(B)に示すように、押しつけベアリング25とガイド板24とは、押しつけベアリング25とガイド板24とが接触する際、押しつけベアリング25の中心25Cとガイド板24の中心24Cとが、中心線上に位置するように配置されている。
図8(A)の状態から
図8(B)の状態に移行するには、伸縮シリンダ33(
図8では不図示)と連動して動く押しつけベアリング25を、押しつけベアリング25の中心25Cが中心線上に維持された状態で、A方向に移動し、押しつけベアリング25をガイド板24に押し付ける。
ガイド板24の中心部分24CにはV字ガイド溝24Aが形成されているので、押しつけベアリング25はV字ガイド溝24Aと接触する。
更に、押しつけベアリング25をA方向に移動すると、押しつけベアリング25とガイド板24とは、押しつけベアリング25の中心25Cとガイド板24の中心24Cとが中心線上に位置した状態で、ガイド板24のV字ガイド溝24Aが無い面は、ストッパー29に当たるまで押し付けられる。これにより、回転ホルダの中心とトレイ13の中心13Cとが一致した状態となり、回転ホルダ(不図示)の回転方向の停止位置が矯正され、トレイ13を支持する上フック22Aの中心と一致することになる。
一方、トレイ13は、搬送アーム(不図示)のフック(不図示)により、トレイ13の中心13Cが中心線上に位置した状態で保持されている。この状態で、搬送アーム(不図示)を中心線に沿ってB方向に移動し、トレイ13の引き渡し位置で停止する。
これにより、
図8(B)に示すように、トレイ13は搬送機構(不図示)のフック(不図示)から上フック22Aに引き渡しされる。
この状態で、伸縮シリンダ33(
図8では不図示)と連動して動く押しつけベアリング25を、押しつけベアリング25の中心25Cが中心線上に維持された状態で、B向に移動し、押しつけベアリング25をガイド板24から離間する。
これにより、上フック22Aに保持されたトレイ13が回転ホルダ(温度調整機構)の表面と接触することとなる。
【0018】
図9から
図13は回転ホルダ7のトレイ13の脱着駆動部21へ、トレイ13を設置する時の連続動作を示す。
図1から
図8と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図9に示すトレイ13の設置前においては、押しつけベアリング25とガイド板24とは離間した状態にあるので、スプリング28は伸びた状態になり、ガイド板24とストッパー29とは離間した状態にある。この状態で押しつけベアリング25をA方向に移動する。
図10に示すフック解放時においては、押しつけベアリング25とガイド板24のV字ガイド溝24Aとは接触し、押しつけベアリング25がガイド板24を押しつけた状態にあるので、スプリング28は縮んだ状態になり、押しつけベアリング25によりガイド板24がストッパー29に当たるまで押し付けられると、回転ホルダ(不図示)の回転方向の停止位置を矯正してトレイ13を支持するフック22の中心とトレイ13の中心とが一致することになる。
この状態で、トレイ13は、搬送アーム4Aの上フック15から上引き込みフック22A、22Bへの受け渡しが行われことになる。
図11は、
図10の状態から搬送アーム4Aが伸びた状態を示す。この時、トレイ13が上引き込みフック22Aに挿入可能な状態となる。
図12は、
図11の状態から搬送アーム4Aによって、トレイ13をCに示す方向に下降させ、上引き込みフック22Aに挿入される。この状態で押しつけベアリング25をB方向に移動する。
図13に示すトレイ13の装着完了時においては、押しつけベアリング25とガイド板24のV字ガイド溝24Aとは離間した状態にあるので、スプリング28は伸びた状態になり、伸縮シャフト27は、トレイ13が回転ホルダ7の表面に接触する方向(B方向)に移動する。これにより、トレイ13が回転ホルダ(不図示)の温度調整機構(例えば、冷却面)に押しつけられ、トレイ13の温度制御(冷却)が行われる。
【0020】
図14は防着シールド付きトレイの設置例の図である。
図1から
図13と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
図14に示すトレイ13は、トレイの両サイドに遮蔽板31を有する第1トレイ13Aと、トレイの両サイドに遮蔽板31を有しない第2トレイ13Bと、を交互に設置したトレイで構成されることを特徴とする。遮蔽板31は、第2トレイ13Bの端部の一部に重なり合う構造であることが好ましい。遮蔽板31の第2トレイ13Bの端部の一部に重なり合う部分は、第2トレイ13Bと接触せずに隙間を有する構造であることが好ましい。
このように、
図14に示すトレイ13は、隣り合うトレイ13A、13B間の隙間に対して、回転ホルダ7の外周に設置するトレイ数を偶数で埋まる構成とし、第2のトレイ13Bの両サイドが、両隣の第2トレイ13Bに被る形状の遮蔽板31(又は、第1のトレイ13Aと一体構造でも可)を持つ第1トレイ13Aと、両サイドに遮蔽板31を持たない第2トレイ13Bを交互に設置することで、基板固定トレイ13A、13B間の隙間を埋めることで、回転ホルダ7表面への膜の付着を防止する。
設置は、第2トレイ13Bを先に1つ飛ばしで設置した後、両サイドに遮蔽板31を装着した第1トレイ13Aを空いているポジションに設置することで、回転ホルダ7間の隙間を見えなくする。
回収時は設置時とは反対に、遮蔽板31を装着した第1トレイ13Aを全て回収した後、第2トレイ13Bを回収する
【0021】
図15は回転ホルダ7側にシールド31装着用の溝を取り付けた設置例の図である。
図1から
図14と同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
図15に示すトレイ13は、隣り合うトレイ13とトレイ13の間には、搬送機構(不図示)での水平搬入、水平搬出時にトレイ13が干渉しない為の隙間を有し、回転ホルダ7側にトレイ13間の隙間より広い幅の溝34を設け、遮蔽板31を固定することを特徴とする。溝34の深さは、遮蔽板31の厚さより、深くして、回転ホルダ7表面より凸にならない構造を有することが好ましい。溝34は、回転ホルダ側7に入り口が溝底部より狭いアリ溝34であることが好ましい。アリ溝34にアリ溝34の入り口幅より広い幅のバネ性のある遮蔽板31を撓ませた状態で装着することが好ましい。このように、
図15に示すトレイ13は、隣り合うトレイ13間の隙間に対して、回転ホルダ7側に入り口が溝底部(不図示)より狭いアリ溝34を掘り、このアリ溝34にアリ溝34の入り口幅(不図示)より広い幅のバネ性のある遮蔽板31を撓ませた状態で装着し、遮蔽板31のバネ復元力を利用して遮蔽板31(シールド)の脱落の防止を図る。この遮蔽板31は、簡易な形状である為、使用後は再生をせずに使い捨てで運用することを想定する。回転ホルダ7側のアリ溝34の入り口幅は、トレイ13間の隙間より広く設け、回転ホルダ7表面への膜の付着を防止している。
【符号の説明】
【0022】
1 処理室
2 ロードロック室
3 カセット
4 搬送機構
4C 搬送機構の回転軸
7 回転ホルダ
8 回転ホルダの回転軸
13 トレイ
21 脱着駆動部
22 引き込みフック
24 ガイド板
24C ガイド板の中心
25 押しつけベアリング
25C 押しつけベアリングの中心
30 温度調整機構
33 伸縮シリンダ