(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】横隔膜機能的パラメータを測定するための方法、機器および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20231129BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
A61B8/00 ZDM
A61B5/113
(21)【出願番号】P 2021513936
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2019074570
(87)【国際公開番号】W WO2020053428
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-02
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516039619
【氏名又は名称】アソシアシオン アンスティチュ ドゥ ミヨロジー
【氏名又は名称原語表記】ASSOCIATION INSTITUT DE MYOLOGIE
(73)【特許権者】
【識別番号】518027461
【氏名又は名称】アンセル(アンスティテュ ナシオナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシェ メディカル)
【氏名又は名称原語表記】INSERM(Institut National de la Sante et de la Recherche Medicale)
(73)【特許権者】
【識別番号】518059934
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
【氏名又は名称原語表記】SORBONNE UNIVERSITE
(73)【特許権者】
【識別番号】507139834
【氏名又は名称】アシスタンス ピュブリック-オピト ドゥ パリ
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】バッシャソン,ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】オグレル,ジャン-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】ドレス,マルタン
(72)【発明者】
【氏名】ジュニソン,ジャン-リュック
(72)【発明者】
【氏名】シミロウスキ,トマ
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-160336(JP,A)
【文献】特開2016-101419(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163937(WO,A1)
【文献】特開2016-002251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを測定するための方法であって、
-a)前記横隔膜の1つまたは複数の部分の運動を生成するために前記横隔膜の刺激が付与される刺激工程、
-b)前記横隔膜の前記1つまたは複数の部分の前記運動の間に、以下の工程を含む画像化工程を通じて、前記横隔膜の1つまたは複数の部分を経時的に画像化する工程であって、
・前記画像化工程の間に画像化されるべき前記横隔膜の前記1つまたは複数の部分を含む前記ヒトまたは前記動物の領域に向けて、毎秒少なくとも100個の非集束超音波を発すること、
・前記領域内に位置する前記ヒトまたは前記動物の有機組織によって反射および/または散乱された超音波を検出すること、
・技術的手段によって画像を生成するために、前記反射および/または散乱された超音波を経時的に処理すること、
-c)技術的手段によって、前記画像化工程の間に従前に獲得された画像を処理する工程であって、
・経時的に前記横隔膜の所定の部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に前記横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播、および/または
・経時的に前記横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播速度、および/または
・経時的に前記横隔膜の異なる部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に前記横隔膜の1つもしくは異なる部分の運動の振幅、および/または
・前記刺激に伴う前記横隔膜の運動の発生から前記横隔膜の前記刺激を隔てる時間、
を測定すること、
-d)前記
の画像を処理
する工程
c)の1つまたは複数の測定に基づいて、技術的手段によって、前記横隔膜の1つまたは複数の
横隔膜機能的パラメータを決定する工程であって、検討される各機能的パラメータは、前記横隔膜の1つまたは複数の部分の運動を示す工程c)において測定された前記パラメータの1つと検討される
横隔膜機能的パラメー
タとの間での線形関係から決定される、
からなる工程を含む、方法。
【請求項2】
横隔膜の刺激が電気的および/または磁気的刺激である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の画像を処理
する工程c)が、刺激の強度に基づく横隔膜の運動の振幅の測定をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを決定
する工程d)が、神経伝導速度の決定をさらに含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
横隔膜を通した運動の伝播速度に基づいて、
前記の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを決定
する工程d)が
-横隔膜の収縮性、および/または
-横隔膜の局所的な麻痺、
の決定を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
-刺激工程a)が、前記所定の部分において機械波および/または音波を生成する、前記横隔膜の1つまたは複数の部分の機械的刺激および/または音響刺激をさらに含み、前記機械波および/または前記音波は、前記所定の部分の隣接する部分に向かって伝播し、
-画像化工程b)が、前記機械波および/または前記音波がその中を通って伝播する前記所定の部分および前記隣接する部分を画像化することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
機械波および/または音響刺激が超音波刺激であり、前記超音波刺激は、横隔膜の所定の部分に向けた1秒あたり1つまたは複数の集束超音波の放出を含み、前記1つまたは複数の集束超音波は前記所定の部分において弾性剪断波を生成し、前記弾性剪断波は、前記所定の部分の隣接する部分に向けて伝播する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記の画像を処理
する工程c)が、剪断波の伝播速度の測定をさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを決定
する工程d)が、剪断波の伝播速度に基づく横隔膜の収縮性の決定をさらに含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
刺激工程a)が、ヒトまたは動物の換気中に実施される、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを決定
する工程d)が横隔膜の仕事の決定をさらに含む、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを決定
する工程d)が、剪断波の伝播速度に基づく横隔膜活動の決定をさらに含む、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを決定
する工程d)が、剪断波の伝播速度の変動に基づく経横隔膜圧の決定をさらに含む、請求項6~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
刺激工程a)が、目的の領域に向けた集束超音波の連続的放出をさらに含み、前記連続的放出のそれぞれは、
・異なる軸にしたがって、および/または
・異なる焦点距離にしたがって、
実施され、
3次元速度場再構築に基づく筋束の空間的構成の決定をさらに含む、請求項6~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
横隔
膜機能的パラメータが、収縮性および/または横隔膜圧および/または横隔膜機能および/または横隔膜努力および/または横隔膜の仕事および/または神経伝導速度および/または筋束の空間的構成の特定を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ヒトまたは動物の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを測定するための機器であって、前記横隔膜の1つまたは複数の可動部分の超音波画像を処理するための手段を備え、前記超音波画像は前記横隔膜の前記1つまたは複数の可動部分の1秒あたり少なくとも100個の画像を含み、
前記処理するための手段は、
・経時的に前記横隔膜の所定の部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に前記横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播、および/または
・経時的に前記横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播速度、および/または
・経時的に前記横隔膜の異なる部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に前記横隔膜の1つもしくは異なる部分の運動の振幅、
・刺激に伴う前記横隔膜の運動の発生から前記横隔膜の前記刺激を隔てる時間、
を測定するために、配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされており、
前記処理するための手段は、従前の測定の1つまたは複数に基づいて、前記横隔膜の1つまたは複数の
横隔膜機能的パラメータを決定するために配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされている、機器。
【請求項17】
ヒトまたは動物の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを測定するための装置であって、
-前記横隔膜の1つまたは複数の部分の運動を生成するために前記横隔膜を刺激するための手段、
-前記横隔膜の1つまたは複数の部分を経時的に画像化するための手段、前記画像化するための手段は、
・前記画像化手段によって画像化されるべき前記横隔膜の前記1つまたは複数の部分を含む前記ヒトまたは前記動物の領域に向けて、毎秒少なくとも100個の非集束超音波を放出する、
・前記領域内に位置する前記ヒトまたは前記動物の有機組織によって反射および/または散乱された超音波を検出する、
・画像を生成するように反射および/または散乱された超音波を経時的に処理する、
ように配置されており、
-従前に獲得された画像を処理するための手段、前記画像化するための手段は、
・経時的に前記横隔膜の所定の部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に前記横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播、および/または
・経時的に前記横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播速度、および/または
・経時的に前記横隔膜の異なる部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に前記横隔膜の1つもしくは異なる部分の運動の振幅、
・前記刺激に伴う前記横隔膜の運動の発生から前記横隔膜の前記刺激を隔てる時間、
を測定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされている、
を備え、
前記処理するための手段は、従前の測定の1つまたは複数に基づいて、前記横隔膜の1つまたは複数の
横隔膜機能的パラメータを決定するために配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物の横隔膜の横隔膜機能的パラメータを測定するための方法、機器および装置に関する。本発明は、医学、生物学および生理学の分野に属する。本発明は非侵襲的であり、すべての種類の集団に対して適用され得る、とりわけ、横隔膜努力、横隔膜機能、横隔膜仕事および横隔膜機能不全を評価するために使用され得る。
【0002】
本発明は、換気支援、運動モニタリングプログラム、理学療法およびリハビリテーション、ならびに研究プログラム用動物モデルのためのフィードバックループの一部として使用することができる。本発明はまた、横隔膜機能不全が疑われた時点から使用することができる。本発明は、補助的、自発的もしくは随意的換気下でまたは無呼吸中に、患者に対して実施することができる。
【背景技術】
【0003】
横隔膜は呼吸の主要な筋肉である。横隔膜の機能不全はしばしば良性であるが、横隔膜神経支配、収縮特性または胸壁への機械的結合を妨げる疾患過程から生じ得る。横隔膜の機能不全は、疾患、呼吸困難、低下した運動能力、睡眠障害の存在と関連することがあり得、より重症の症例では、生存に対して悪影響を及ぼす。
【0004】
従来技術は、横隔膜機能の評価のための絶対的標準と見なされる技術を開示している。この技術は、経横隔膜圧(Pdi)の測定に依存する。Pdiは、それぞれ下部食道(Pes)および胃(Pga)内の圧力から推測される胸膜圧と腹圧との差として定義される。PesとPgaの測定は、鼻粘膜と咽頭の局所麻酔後に、一対のバルーンカテーテルを鼻に通すことによって達成されることが最も多い。Pdiは横隔膜の活性化に特異的であるが、侵襲的であり、横隔膜の収縮の強さを間接的に反映する。
【0005】
別の先行技術の技術は、横隔膜の表面筋電図検査(EMGdi)である。この技術は非侵襲的であるが、他の呼吸筋(および心臓アーチファクト)が夾雑することがあり、横隔膜活動を評価するための有効性が限られている。
【0006】
したがって、先行技術は、正確で非侵襲的な横隔膜機能的パラメータの評価のために利用可能な技術を含まない。そのような技術の必要性は極めて重大である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、ヒトまたは動物の横隔膜の少なくとも1つの機能的パラメータを評価するための非侵襲的技術を提供することである。
【0008】
この目的のために、本発明の第1の態様によれば、ヒトまたは動物の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを測定するための方法が提供される。この方法は、
-a)前記横隔膜の1つまたは複数の部分の運動を発生させるために前記横隔膜の刺激が付与される刺激工程、
-b)前記横隔膜の前記1つまたは複数の部分の前記運動の間に、以下の工程を含む画像化工程を通じて、前記横隔膜の1つまたは複数の部分を経時的に画像化すること、
・前記画像化工程の間に画像化されるべき前記横隔膜の前記1つまたは複数の部分を含む前記ヒトまたは前記動物の領域に向けて、毎秒少なくとも100個の非集束超音波を放出すること、
・前記領域内に位置する前記ヒトまたは前記動物の有機組織によって反射および/または散乱された超音波を検出すること、
・技術的手段によって画像を生成するために、前記反射および/または散乱された超音波を経時的に処理すること、
-c)技術的手段によって、前記画像化工程の間に従前に獲得された画像を処理して、
・経時的に前記横隔膜の所定の部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に前記横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播、および/または
・経時的に前記横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への前記運動の伝播速度、および/または
・経時的に前記横隔膜の異なる部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に前記横隔膜の1つもしくは異なる部分の運動の振幅、および/または
・前記刺激に伴う前記横隔膜の運動の発生から前記横隔膜の前記刺激を隔てる時間、
を測定すること、
-d)前記処理工程の1つまたは複数の測定に基づいて、技術的手段によって、前記横隔膜の1つまたは複数の機能的パラメータを決定すること、
からなる工程を含む。
【0009】
本発明による刺激は、自然刺激ではなく、人工刺激として定義され得る。自然刺激は、自発的および随意的な呼吸操作を含む。本発明による刺激は、補助換気または生命維持を含まない。
【0010】
横隔膜の1つまたは複数の部分の運動は、横隔膜全体の運動であり得る。
【0011】
刺激は横隔膜に直接加えられ得る。横隔膜に直接加えられる刺激は、横隔膜の1つまたは複数の部分の局所的な運動を発生させ得る。刺激によって生成される横隔膜の1つまたは複数の部分の局所的な運きは、横隔膜の一部または全体を通して伝播し得る。
【0012】
横隔膜の人工刺激は、横隔膜の筋肉の反応を包含し得る。
【0013】
刺激によって生成される横隔膜の1つまたは複数の部分の運動は、横隔膜の収縮から生じ得る。
【0014】
機能的パラメータは、とりわけ経時的に、モニターすることができ、横隔膜の機能を特徴づけるために使用することができるパラメータとして理解され得る。
【0015】
本発明による刺激は、1つの刺激またはいくつかの刺激または周期的な刺激を含み得る。
【0016】
横隔膜の機能的パラメータは、収縮性および/または横隔膜圧および/または横隔膜機能および/または横隔膜の仕事および/または神経伝導速度および/または筋束の空間的構成を含み得る。
【0017】
本発明のこの要約において、技術的手段という表現は、好ましくは唯一の、少なくとも1つのコンピュータ、中央および/または計算ユニットおよび/または処理ユニット、アナログ電子回路(好ましくは専用の)、デジタル電子回路(好ましくは専用の)、および/またはマイクロプロセッサ(好ましくは専用の)、および/またはソフトウェア手段を備え得る。
【0018】
本発明のこの要約において、「決定する」という用語はまた、パラメータまたは値を評価または推定することとして定義され得る。
【0019】
検討される各機能的パラメータは、横隔膜の1つまたは複数の部分の運動を示す工程c)において測定されたパラメータの1つと検討される機能的パラメータとの間の線形関係から決定され得る。
【0020】
この方法の第1の変形によれば、横隔膜の刺激は、電気的または磁気的刺激であり得る。
【0021】
電気的および/または磁気的刺激は、
・経頭蓋刺激(脊髄上位レベル)、および/または
・頸延髄部(脊髄)刺激、および/または
・横隔根刺激、および/または
・横隔神経の主幹部の1つもしくは2つ、および/または
・横隔膜自体を刺激する、
を通じて神経系に対して実行され得る。
【0022】
電気的および/または磁気的刺激は、ヒトまたは動物の換気中に適用され得る。すなわち、ヒトまたは動物は、電気的および/または磁気的刺激が前記ヒトまたは動物に適用されるときに、自発的もしくは随意的もしくは呼吸操作下にあり得、または補助換気もしくは生命維持下にあり得る。
【0023】
第1の変形によれば、処理工程c)は、横隔膜の運動の振幅の測定値をさらに含み得る。好ましくは、横隔膜の運動の振幅の決定は、刺激の強度に基づき得る。
【0024】
加えられた刺激の強度の唯一の値に基づいて運動の振幅を決定するために、刺激の強度と、刺激によって生成される横隔膜の運動の振幅との間の線形関係を使用し得る。
【0025】
第1の変形によれば、決定工程d)は、神経伝導速度の決定をさらに含み得る。
【0026】
神経伝導速度は、刺激に伴う横隔膜の運動の発生から横隔膜の刺激を隔てる時間に基づいて観察され得る。神経伝導障害の決定は、神経伝導遅延に基づく神経伝導の異常の観察にすぎない。
【0027】
第1の変形によれば、決定工程d)は、
-横隔膜の収縮性、および/または
-横隔膜の局所的な麻痺、
の決定を含み得る。
【0028】
好ましくは、横隔膜の収縮性、および/または横隔膜の局所的な麻痺の決定は、横隔膜を通じた運動の伝播速度に基づき得る。
【0029】
横隔膜の収縮性および/または横隔膜の局所的な麻痺の決定は、
-横隔膜を通じた運動の伝播速度、および/または
-横隔膜の運動の振幅、および/または
-横隔膜の硬化(stiffness)、
に基づき得る。
【0030】
収縮性を決定するために、横隔膜の硬化と、刺激によって生成された横隔膜を通じた運動の伝播速度との間の線形関係が使用され得る。
【0031】
横隔膜の1つもしくは複数の部分または横隔膜全体の硬化は、横隔膜を通じた運動の伝播速度に基づいて決定され得る。横隔膜の1つもしくは複数の部分または横隔膜全体の硬化は、横隔膜の運動の振幅に基づいて決定され得る。
【0032】
第1の変形によれば、処理工程c)の間に、画像化工程b)の間に従前に獲得された図(diagram)組織の画像は、技術的手段によって、前記横隔膜組織の運動を測定するために処理され得る。横隔膜組織の速度プロファイルは、横隔膜の1つまたは複数の部分から1つまたは複数の隣接する部分への運動の経時的な伝播に等しい。
【0033】
処理工程c)の間に、横隔膜組織の速度プロファイルは、
-横隔膜の収縮性を示すピーク高さ、および/または
-横隔膜の収縮性を示すピーク面積、および/または
-横隔膜の収縮性を示すピーク幅、および/または
-横隔膜の収縮性を示すピーク勾配、および/または
-横隔膜の収縮性を示すピークまでの時間、および/または
-横隔膜の収縮性を示す弛緩半減時間(halftime relaxation)、および/または
-横隔膜の仕事を示す、吸気時間内の横隔膜変位の時間に関する積分値、および/または
-横隔膜機能を示す、吸気時間内の呼吸あたりの平均横隔膜変位と、吸気時間と総呼吸サイクル時間との比率の積として計算される、横隔膜変位・時間指数、
を測定するために、技術的手段によって、処理され得る。
【0034】
第2の変形によると、
-刺激工程a)は、所定の部分において機械波および/または音波を生成する、横隔膜の1つまたは複数の部分の機械的刺激および/または音響刺激をさらに含み得、機械波および/または音波は、前記所定の部分の隣接する部分に向かって伝播し、
-画像化工程b)は、機械波および/または音波がその中を通って伝播する前記所定の部分および前記隣接する部分を画像化することをさらに含み得る。
【0035】
第2の変形によれば、機械波および/または音響刺激は超音波刺激であり得、前記超音波刺激は、横隔膜の所定の部分に向けた1秒あたり1つまたは複数の集束超音波の放出を含み、前記1つまたは複数の集束超音波は前記所定の部分において弾性剪断波を生成し、弾性剪断波は、前記所定の部分の隣接する部分に向けて伝播する。
【0036】
横隔膜の所定の部分において生成された剪断波は、好ましくは、横隔膜の前記所定の部分において生成された運動である。
【0037】
したがって、剪断波は、好ましくは、横隔膜の1つまたは複数の部分の運動を示す工程c)において測定されたパラメータの1つである。
【0038】
したがって、工程c)は、
・経時的に横隔膜の所定の部分の1つもしくは複数の剪断波、および/または
・経時的に横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接部分への剪断波の伝播、および/または
・経時的に横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接部分への剪断波の伝播速度、および/または
・経時的に横隔膜の異なる部分の1つもしくは複数の剪断波、および/または
・経時的に横隔膜の1つもしくは異なる部分の剪断波の振幅、および/または
・刺激に伴う横隔膜の剪断波の発生から横隔膜の刺激を隔てる時間
を測定するために、画像化工程の間に従前に獲得された画像を技術的手段によって処理する工程を含み得る。
【0039】
第2の変形によれば、処理工程c)は、剪断波の伝播速度の測定をさらに含み得る。
【0040】
剪断波の伝播速度は、横隔膜の1つまたは複数の部分から1つまたは複数の隣接する部分への運動の経時的な伝播に等しい。
【0041】
第2の変形によれば、決定工程d)は、横隔膜の収縮性の決定をさらに含み得る。好ましくは、横隔膜の収縮性の決定は、剪断波の伝播速度に基づき得る。
【0042】
横隔膜の1つもしくは複数の部分または横隔膜全体の収縮性は、剪断波の伝播速度に基づいて決定され得る。
【0043】
横隔膜の収縮性は、横隔膜の硬化に基づいて決定され得る。
【0044】
収縮性を決定するために、横隔膜の硬化と刺激によって生成された剪断波の伝播速度との間の線形関係が使用され得る。
【0045】
横隔膜の1つもしくは複数の部分または横隔膜全体の硬化は、剪断波の伝播速度に基づいて決定され得る。
【0046】
第2の変形によれば、刺激工程a)は、ヒトまたは動物の換気中に実施され得る。
【0047】
すなわち、ヒトまたは動物は、機械的刺激および/または音響刺激が前記ヒトまたは動物に適用されるときに、自発的もしくは随意的もしくは呼吸操作下にあり得、または補助換気もしくは生命維持下にあり得る。
【0048】
第2の変形によれば、決定工程d)は、横隔膜の仕事の決定をさらに含み得る。
【0049】
第2の変形によれば、決定工程d)は、横隔膜活動の決定をさらに含み得る。好ましくは、決定工程d)は、ヒトまたは動物の換気中に実施される。好ましくは、横隔膜活動の決定は、剪断波の伝播速度に基づく。好ましくは、横隔膜活動の決定は、横隔膜の硬化に基づく。横隔膜活動を決定するために、横隔膜の硬化と刺激によって生成された剪断波の伝播速度との間の線形関係が使用され得る。
【0050】
第2の変形によれば、決定工程d)は、経横隔膜圧の決定をさらに含み得る。好ましくは、決定工程d)は、ヒトまたは動物の換気中に実施される。好ましくは、経横隔膜圧の決定は、剪断波の伝播速度の変動に基づく。剪断波の伝播速度の唯一の値に基づいて経横隔膜圧を決定するために、経横隔膜圧と刺激によって生成された剪断波の伝播速度との間の線形関係が使用され得る。
【0051】
第2の変形によれば、刺激工程a)は、目的の領域に向けた集束超音波の連続的放出をさらに含み得、前記連続的放出のそれぞれは、
・異なる軸にしたがって、および/または
・異なる焦点距離にしたがって、
実施され、
筋束の空間的構成の決定をさらに含み得る。
【0052】
好ましくは、筋束の空間的構成の決定は、3次元速度場再構成に基づき得る。
【0053】
第2の変形によれば、処理工程c)の間に、画像化工程b)の間に従前に獲得された図(diagram)組織の画像は、前記横隔膜組織を通って伝播する機械波および/または音波を測定するために、技術的手段によって処理され得る。機械波および/または音波の速度プロファイルは、横隔膜の1つまたは複数の部分から1つまたは複数の隣接する部分への運動の経時的な伝播に等しい。
【0054】
処理工程c)の間に、横隔膜組織の速度プロファイルは、
-横隔膜の収縮性を示す横隔膜の硬化のピーク高さ、および/または
-横隔膜の収縮性を示す刺激の頻度、および/または
-横隔膜の仕事を示す、吸気時間内の横隔膜の硬化の時間に対する積分値、および/または
-吸気時間内の呼吸あたりの横隔膜の硬化の変化と、総呼吸時間に対する吸気時間の割合の積として計算される、横隔膜機能を示す横隔膜硬化・時間指数、および/または
-横隔膜の収縮性を示すプロファイルの勾配、
を測定するために、技術的手段によって処理され得る。
【0055】
別段の記載がなければ、第1および第2の変形は相互に排他的ではない。
【0056】
本発明の第2の態様によれば、ヒトまたは動物の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを測定するための機器であって、横隔膜の1つまたは複数の可動部分の超音波画像を処理するための手段を備え、前記超音波画像は横隔膜の前記1つまたは複数の可動部分の1秒あたり少なくとも100個の画像を含み、
前記処理するための手段は、
・経時的に横隔膜の所定の部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播、および/または
・経時的に横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播速度、および/または
・経時的に横隔膜の異なる部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に横隔膜の1つもしくは異なる部分の運動の振幅、
・刺激に伴う横隔膜の運動の発生から横隔膜の刺激を隔てる時間、
を測定するために、配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされており、
前記処理するための手段は、従前の測定の1つまたは複数に基づいて、横隔膜の1つまたは複数の機能的パラメータを決定するために配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされている、機器も提供される。
【0057】
横隔膜部分の1つまたは複数の可動部分は、横隔膜の刺激に応答して動かされており、前記刺激は、横隔膜の1つまたは複数の部分の運動を生成している。
【0058】
処理するための手段は、好ましくは唯一の、少なくとも1つのコンピュータ、中央および/または計算ユニットおよび/または処理ユニット、アナログ電子回路(好ましくは専用の)、デジタル電子回路(好ましくは専用の)、および/またはマイクロプロセッサ(好ましくは専用の)、および/またはソフトウェア手段を備え得る。
【0059】
横隔膜の機能的パラメータは、収縮性および/または横隔膜圧および/または横隔膜努力および/または横隔膜機能および/または横隔膜の仕事および/または神経伝導速度および/または1つもしくは複数の筋束の空間的構成を含む。
【0060】
本発明の第2の態様による機器は、本発明の第1の態様による、方法または方法の任意の工程もしくは特徴を実施するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされる。
【0061】
本発明の第3の態様によれば、ヒトまたは動物の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを測定するための装置であって、
-横隔膜の1つまたは複数の部分の運動を生成するために横隔膜を刺激するための手段、
-横隔膜の1つまたは複数の部分を経時的に画像化するための手段、前記画像化するための手段は、
・画像化手段によって画像化されるべき横隔膜の前記1つまたは複数の部分を含む前記ヒトまたは前記動物の領域に向けて、毎秒少なくとも100個の非集束超音波を放出する、
・前記領域内に位置する前記ヒトまたは前記動物の有機組織によって反射および/または散乱された超音波を検出する、
・画像を生成するために反射および/または散乱された超音波を経時的に処理する、
ように配置されており、
-従前に獲得された画像を処理するための手段、前記画像化するための手段は、
・経時的に横隔膜の所定の部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播、および/または
・経時的に横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播速度、および/または
・経時的に横隔膜の異なる部分の1つもしくは複数の運動、および/または
・経時的に横隔膜の1つもしくは異なる部分の運動の振幅、
・刺激に伴う横隔膜の運動の発生から横隔膜の刺激を隔てる時間、
を測定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされている、
を備え、
前記処理するための手段は、従前の測定の1つまたは複数に基づいて、横隔膜の1つまたは複数の機能的パラメータを決定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされている、装置も提供される。
【0062】
処理するための手段は、好ましくは唯一の、少なくとも1つのコンピュータ、中央および/または計算ユニットおよび/または処理ユニット、アナログ電子回路(好ましくは専用の)、デジタル電子回路(好ましくは専用の)、および/またはマイクロプロセッサ(好ましくは専用の)、および/またはソフトウェア手段を備え得る。
【0063】
刺激するための手段は、電気的刺激および/または磁気的刺激を付与するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0064】
処理のための手段は、刺激の強度に基づいて横隔膜の運動の振幅を決定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0065】
処理のための手段は、神経伝導速度を決定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0066】
処理のための手段は、
-横隔膜の収縮性、および/または
-横隔膜の局所的な麻痺、
を決定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0067】
好ましくは、横隔膜を通じた運動の伝播速度に基づいて、処理のための手段は、
-横隔膜の収縮性、および/または
-横隔膜の局所的な麻痺、
を決定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0068】
刺激するための手段は、前記所定の部分において機械波および/または音波を生成するために、横隔膜の1つまたは複数の部分の機械的刺激および/または音響刺激を付与するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得、機械波および/または音波は、前記所定の部分の隣接する部分に向かって伝播し、
-画像化のための手段は、機械波および/または音波がその中を通って伝播する前記所定の部分および前記隣接する部分を画像化するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0069】
刺激するための手段は、超音波刺激を付与するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得、前記超音波刺激は、横隔膜の所定の部分に向かって毎秒1つまたは複数の集束超音波の放出を含み、前記1つまたは複数の集束超音波は、前記所定の部分において弾性剪断波を生成し、弾性剪断波は、前記所定の部分の隣接する部分に向かって伝播する。
【0070】
画像化のための手段は、剪断波の伝播速度を測定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0071】
処理のための手段は、剪断波の伝播速度に基づいて横隔膜の収縮性を決定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0072】
装置は、ヒトまたは動物の換気中に、ヒトまたは動物の横隔膜の1つまたは複数の横隔膜機能的パラメータを測定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0073】
処理のための手段は、横隔膜の仕事を決定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0074】
処理のための手段は、剪断波の伝播速度に基づいて横隔膜活動を決定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0075】
処理のための手段は、剪断波の伝播速度の変動に基づいて経横隔膜圧を決定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0076】
刺激するための手段は、
・異なる軸にしたがって、および/または
・異なる焦点距離にしたがって、
目的の領域に向かって連続的な集束超音波を放出するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得、
処理のための手段は、1つまたは複数の筋束の空間的構成を決定するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされ得る。
【0077】
好ましくは、筋束の空間的構成の決定は、3次元速度場再構成に基づき得る。
【0078】
横隔膜の機能的パラメータは、収縮性および/または横隔膜圧および/または横隔膜機能および/または横隔膜努力(diaphragm effort)および/または横隔膜の努力(diaphragmatic effort)および/または横隔膜の仕事および/または神経伝導速度および/または1つもしくは複数の筋束の空間的構成を含む。
【0079】
本発明の第3の態様による装置は、本発明の第1の態様による方法または方法の任意の工程もしくは特徴を実施するように配置されおよび/または構成されおよび/またはプログラムされる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
さらなる目的、特徴および利点は、図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
-
図1は、ヒトの参加者に対して使用された実験の構成の概略図である。
-
図2は、電気的または磁気的刺激に対する横隔膜の応答の概略図である。
-
図3および
図4は、それぞれ高強度と低強度の電気的刺激に応答した経時的な横隔膜変位の画像である。
-
図5および
図6は、それぞれ電気的刺激と磁気的刺激の強度にしたがう横隔膜変位の振幅を示すグラフである。
-
図7は、閉じた気道に対する静的吸気努力中に実施された一連の測定を示す一連のグラフを示している。
-
図8は、吸気負荷に対して換気中に実施された一連の測定を示す一連のグラフを示している。
-
図9は、閉じた気道に対する最大下静的吸気努力中の超音波刺激に応答した超高速超音波画像から得られる経横隔膜圧と横隔膜剪断弾性率の測定値との関係を示す個々のデータ点の一連のグラフを示しており、各グラフは異なる参加者からのものである。
-
図10は、負荷なしの換気および吸気負荷に対する換気中の超音波刺激に応答した超高速超音波画像から得られる経横隔膜圧と横隔膜剪断弾性率の測定値との関係を示す個々のデータ点の一連のグラフを示しており、各グラフは異なる参加者からのものである。
-
図11は、1人の参加者での吸気負荷に対する換気中の超音波刺激に応答した超高速超音波画像から得られる経横隔膜圧と横隔膜剪断弾性率の測定値の間のヒステリシス曲線を示している。
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下に記載される実施形態は限定的ではなく、以下に記載される特徴の選択を含む他の実施形態が考えられ得る。当該選択が、技術的利点を付与するのにまたは本発明を先行技術から区別するのに十分であれば、(たとえ、この選択が他の特徴を含む文から分離されたとしても)選択は、一連の特徴から分離された特徴を含み得る。この選択は、好ましくは、構造的特徴なしに、または構造的細部の一部がそれ自体で技術的利点を付与するのにもしくは本発明を先行技術から区別するのに十分である場合には構造的細部の一部とともに、その技術的機能によって記載された少なくとも1つの特徴を含む。
【0082】
さらに、以下の実施形態は、本発明の上記要約の範囲内に属する非限定的な実施形態である。したがって、以下の実施形態の任意の分離された特徴は、本発明の上記要約のより一般的なまたは機能的な工程または特徴と組み合わせて考慮される。
【0083】
参加者
合計15人の健康な参加者を研究した。すべての参加者はインフォームドコンセントを書面で与えた。
【0084】
実験の構成
参加者は、ノーズクリップを着用しながらマウスピースを通して呼吸し、腹部をねじらない半横臥位(40度)で調べられた。マウスピースは、流量測定のために三方弁と呼吸流量計に接続した。差変換器を使用して、口腔内圧(Pmo)を記録した。下部食道内圧(Pes)および胃内圧(Pga)は、前述のように差圧変換器(モデルDP45-30;Validyne、Northridge、CA)に別々に接続された10-cmバルーンカテーテルを使用して測定した。流量および圧力信号はデジタル化され(Powerlab、ADInstruments、Sydney、Australia)、2kHzのサンプリング周波数で記録した(Labchart、ADInstruments)。経横隔膜圧(Pdi)は、PgaからPesをオンラインで差し引くことによって得た。超音波測定。横隔膜超音波画像化および剪断波エラストグラフィは、10-2MHz線形変換器アレイ(SL10-2、Supersonic Imagine)を駆動するAixplorer超音波スキャナ(V9.2、Supersonic Imagine、Aix-en-Provence、France)を使用して実行した。設定は次のように規定した:Bモード有効。超音速剪断画像化モード有効;貫通モード有効;組織チューナー1540m・s-1;ダイナミックレンジ80dB;利得補償および減衰補償は患者ごとに調整。剪断波エラストグラフィ(SWE)のスケールは、必要であれば調整した。Bモード画像化およびSWEに対するサンプリングレートはそれぞれ12Hzおよび2Hzであった。最適な音響結合のために、スキャン中に大量の水溶性伝達ゲルを使用し、組織の変形および換気装置(ventilator)の機構の変化を制限するために変換器には最小限の圧力をかけた。横隔膜は、第9~第11肋間腔で、胸壁に垂直な後腋窩線上で、右側のゾーン・オブ・アポジションにおいてスキャンした。変換器の回転および角度は、横隔膜の胸膜および腹膜の腹膜(peritoneal peritonea)から最大のエコー強度が得られるように微調整した。スキャンされた超音波は、超音波、流量および圧力の記録を同期するためにPowerlabによってもたらされた。変換器の位置は皮膚上に印をつけた。超音波測定は、訓練を受けた集中治療医(医師)によって実施された。
【0085】
研究プロトコール
研究は以下のように実施した:i)最大静的吸気圧(PImax)の測定、ii)機能的残気量(FRC)での無呼吸中の記録、iii)閉鎖した気道に対する吸気努力中の記録、iv)吸気負荷に対する換気中の記録読み込み中。
【0086】
最大静的吸気圧
PImaxはFRCにおいて測定した。分散が10%未満の3つの再現可能な努力が得られるまで、少なくとも5回の試行を行った。3つの再現可能な試行の中で生成された最大のPmoを、PImaxとして定義した。
【0087】
FRCでの無呼吸および閉鎖した気道に対する静的吸気努力
これらの課題の間、マウスピースは三方弁から外され、流量はモニターしなかった。約5秒間の無呼吸の間にならびにPImaxの10、20、30、40、50および60%での閉鎖した気道に対する吸気努力の間に、横隔膜の圧力および剪断弾性率(SMdi)を測定した(2人の参加者は、60%PImaxを行わなかった)。無呼吸および吸気努力はいずれも、FRCにおいて行われた。参加者(n=13)は、目標Pmoに徐々に到達し、約10秒間努力を維持するように求められた。内蔵のソフトウェアオプションを使用して、生成されたPmoの視覚的なフィードバックおよびガイドラインを参加者に提供した。各課題は2回繰り返された。課題は、1~2分の無負荷呼吸と交互に行われた。
【0088】
吸気負荷に対する換気
自社開発の装置を使用して、吸気弾性負荷に対する換気を行った。簡単に言えば、この機器は、再呼吸防止弁に接続された円筒形の調整可能な圧力チャンバーからなった。陰圧は市販の掃除機によって発生させた。チャンバー内の圧力(Pch)は、差圧変換器を用いて継続的に測定した。機器のデッドスペースは約600mlと推定された。参加者(n=15)は、PImaxの10、20、30、40および50%で段階的な吸気負荷プロトコールを受けた(2人の参加者(5、10)は50%PImaxを行わず、1人の参加者(10)は40%PImaxを行わず、1人の参加者(7)は60%PImaxも行った)。各課題は2回繰り返された。各課題中に、少なくとも6つの定期的な呼吸サイクルを記録した。課題は、1~2分の無負荷呼吸と交互に行われた。
【0089】
データ解析
MATLAB(Mathworks、Natick、MA、USA)の標準化されたスクリプトを使用して、Pes、Pga、Pdi、Pmo、Pchおよび流量をオフラインで分析した。超音波スキャナリサーチパック(Soniclab、v11、Supersonic imagine)を使用してBmodeおよびSWE記録からのフレームをエクスポートし、MATLAB(Mathworks)の標準化されたスクリプトを使用して処理した。筋肉組織(4)の線形弾性挙動をSMdi=ρ・Vs2と仮定してSMdiを計算し、式中、ρは筋肉の密度(1000 kg・m-3)であり、Vsはm・s-1で表した剪断波速度または剪断波の伝播速度である。軟組織のヤング率E、したがって組織の弾性は、E=3・SMdiに等しいと見なすことができる。横隔膜胸膜と壁側腹膜の間において、可能な限り大きく、各スタックの最初のフレーム上に、目的の長方形領域を手作業で定義した。静的吸気努力測定では、Pmoが目標レベルで安定化されたときに信号を手作業で選択した。選択した期間にわたって平均された圧力およびSMdi。選択された期間内での圧力およびSMdiの変動性を評価するために、変動係数を計算した。吸気負荷に対する換気の間、吸気時間中の最大SMdiおよび圧力の振れを各サイクルに対して計算した。横隔膜の視覚化が失われた場合およびSMdi>90kPaの場合(たとえば、ROIが横隔膜ではなく肋骨中にあった場合)には、サイクルは破棄した。最終的に、記録された970サイクルで66が破棄された。それぞれ静的努力時および負荷換気時の平均および最大SMdiから、FRCでの無呼吸時の平均SMdi値を差し引いた。
【0090】
図1は、第1および第2の実施形態に対する各参加者に使用された実験装置の概略図を示している。この構成は、横隔神経2の電気的または磁気的刺激1のための電極(表示されていない)を含む。この構成によれば、横隔根は頸部の領域において刺激されているが、他の領域および/または配置が使用され得る。
【0091】
Pdi測定を実施し、Pdi測定を本発明による測定と相関させるために、食道バルーンカテーテル3および胃バルーンカテーテル4をPdi測定のために使用する。横隔膜7の上に位置する食道5内のバルーンおよび横隔膜7の下にある胃6内のバルーンも図示されている。この侵襲的プロトコールは、横隔膜機能的パラメータの評価のための現在の絶対的標準であるPdi測定のために必要である。この侵襲的プロトコールは本発明の一部ではないが、本発明が信頼できる結果を提供し、Pdi測定の代替手段であることを証明するために実施した。
【0092】
表面AgCl/Ag電極8は、EMG測定のために、横隔膜7の周りの胸壁の外壁に配置されている。横隔膜7の超高速画像化および横隔膜7を刺激するために使用する超音波プローブ9は、胸壁の外壁に配置され、必要に応じて任意の所望の位置に移動される。
【0093】
毎秒少なくとも100個の非集束超音波を放出すること、領域中に位置するヒトまたは動物の有機組織によって反射および/または散乱された超音波を検出すること、ならびに画像を生成するために反射および/または散乱された超音波を経時的に処理することを含む方法は、超高速超音波画像化として知られている。超高速超音波画像化のための装置および設定の使用は上に記載されている。
【0094】
本実験によれば、および必要に応じて、横隔膜の所定の部分の1つもしくは複数の運動を経時的に測定するために、および/または横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播を経時的に測定するために、および/または横隔膜の前記1つもしくは複数の部分から1つもしくは複数の隣接する部分への運動の伝播速度、すなわちSMdiを経時的に測定するために、および/または横隔膜の異なる部分の1つもしくは複数の運動を経時的に測定するために、および/または横隔膜の1つもしくは異なる部分の運動の振幅を経時的に測定するために、および/または刺激に伴う横隔膜の運動の発生から横隔膜の刺激を隔てる時間を測定するために、緒音波画像の処理が使用される。測定、データ解析および決定のために使用されるソフトウェア、設定およびパラメータは上に記載されている。
【0095】
図2~
図6に示される第1の実施形態によれば、横隔膜の1つまたは複数の部分の運動を生成するための横隔膜の刺激は、電気的または磁気的刺激1を通じて実行された。この実施形態は、非随意的であり、患者が補助換気下および/または生命維持下にあるときに実施することができる唯一のものであるので、大きな利点を示す。この実施形態は、患者が随意的換気(または無呼吸)を禁ずる障害を示す場合、または単に必要な呼吸操作を達成できない場合に実施することができる唯一のものでもある。
【0096】
図2は、電気的または磁気的刺激1に対する横隔膜の応答の概略図を示している。破線はより低い刺激強度が適用されることに対応し、実線はより高い刺激強度が適用されることに対応する。Pes、Pga、Pdi(両側性の磁気的または電気的刺激1の場合)、EMG(片側性の電気的刺激1の場合)および電気的または磁気的刺激1によって誘発される経時的横隔膜7の変位に対する影響を見ることができる。刺激強度に応じて、測定された各パラメータに対する応答の明確な相違を見ることができる。
【0097】
図3および
図4は、ミリ秒(ms)での時間にわたってY軸で、超音波圧電変換器によってX軸で、Z軸で、ミリメートル(mm)で表された横隔膜変位を示す。
図3は、過最大電気的刺激に応答したミリメートル単位での横隔膜変位の経時的振幅の画像を示している。
図4は、過最大刺激で得られるEMG応答の半分を惹起するように選択された電気的刺激に応答した、マイクロメートル単位での横隔膜変位の経時的振幅の画像を示している。同様の結果が磁気的刺激1を通じて得られた。これらの結果は、電気的または磁気的刺激1に応答した横隔膜7の変位の振幅が、加えられた刺激1の強度と線形に相関していることを明確に示している。
【0098】
参加者は、過最大電気的刺激1および過最大刺激で得られるEMG応答の半分を惹起するように選択された電気的刺激を受けた。Y軸におけるミリボルト(mV)単位での電気的刺激1の強度に応じた、X軸におけるmm単位での横隔膜変位の振幅を示すグラフが
図5に示されている。横隔膜変位の振幅は、過最大電気的刺激1に対しては2~2.2mmに、過最大刺激で得られるEMG応答の半分を惹起するように選択された電気的刺激1に対しては0.45~0.55に含まれる。
【0099】
参加者は、過最大磁気的刺激1および過最大刺激で得られるPdi応答の半分を惹起するように選択された磁気的刺激を受けた。
図6は、Pdiによって、横隔膜変位の振幅をX軸にmm単位で示したグラフを示している。振幅は、過最大磁気的刺激1に対しては1~1.2mmに、過最大刺激で得られるPdi応答の半分を惹起するように選択された磁気的刺激1に対しては0.45~0.55に含まれる。
【0100】
図2の表現は、神経伝導速度の存在の決定も示している。電気的または磁気的刺激と横隔膜の変位との間の遅延が測定され得る。神経伝導遅延のこの測定は、横隔神経伝導速度に関連している。
【0101】
したがって、とりわけ、そのような刺激によって惹起された測定値から決定され得る主な機能的パラメータは、横隔膜7の収縮性である。横隔膜7の収縮性は、強度刺激1と運動の振幅との間に線形関係が存在することが確立された瞬間から、刺激1の強度に基づいて評価することができる。
【0102】
図7~
図11に示される第2の実施形態によれば、横隔膜の1つまたは複数の部分の運動を生成するための横隔膜の刺激は、超音波刺激を通じて実施した。剪断波の伝播を観察するために弾性組織の前記所定の部分の隣接部分に向かって伝播する弾性剪断波を生成するために、弾性組織の所定の部分に向けた毎秒1つまたは複数の集束超音波の放出を含む超音波刺激を含む方法は、剪断波エラストグラフィ(SWE)として知られている。SWEは、横隔膜の(or)一部のSMdiまたは横隔膜全体の平均SMdiを測定することを可能にする。SWEを実施するために使用される装置および設定は上に記載されている。
【0103】
図7は、閉じた気道に対する静的吸気努力中に実施された一連の測定を示す一連のグラフを示している。Pmo、Pes、Pga、PdiおよびSMdiは、閉鎖された気道に対する静的吸気努力中に測定された。データを平均するための平均選択期間は8.7秒(SD 3.9)であった。選択したデータ内で、Pmo、Pes、Pga、PdiおよびSMdiの変動係数の平均は、それぞれ14.2、9.0、6.3、5.4および16.2%であった。すべての課題中での、平均Pdi振幅(swing)と平均SMdiの間の明確な線形関係が浮き彫りとなり、確認される。平均Pdiは、1人を除くすべての参加者において、平均SMdiと有意に相関した(rは0.60~0.92の範囲であった;有意な相関を有する参加者では、すべてのpは<0.05;R=0.76、95%CI[0.69、0.82]、p<0.001、13人の参加者のうち10人でr>0.70であった)。
【0104】
図8は、吸気負荷に対する換気中に実施された一連の測定を示す一連のグラフを示している。Pch、気流、Pmo、Pes、Pga、PdiおよびSMdiは、吸気負荷に対する換気中に測定された。負荷レベルごとに分析されたサイクルの数は11.8(SD 3.0)であった。分析されたすべてのサイクルおよびすべての負荷課題に対する、Pdi振幅と最大SMdiの間の明確な線形関係が浮き彫りとなり、確認される。最大SMdiは、すべての参加者において、Pdi振幅と相関していた(rは0.32~0.95の範囲、すべてp<0.01;R=0.71、95%CI[0.68、0.74]、p<0.001、15人の参加者のうち9人でr>0.70であった)。
【0105】
図7および
図8に示された結果は、静的吸気努力および吸気負荷に対する換気のいずれの間においても、吸気負荷を増やすことによって、Pdiの増加がもたらされたことを示している。これらの結果は、吸気負荷に対する換気中の、最大SMdiとPdi振幅間の強い線形関係を示している。これらの知見は、横隔膜活動が呼吸中にSWEを使用して非侵襲的にモニターできることを初めて実証する。
【0106】
したがって、とりわけ、決定され得る主な機能的パラメータは、横隔膜7の収縮性である。横隔膜7の収縮性は、PdiとSMdiの間に線形関係が確立された瞬間から、剪断波の伝播速度に基づいて評価することができる。
【0107】
図9および
図10は、一連の異なる参加者について、異なるPmoに対する平均Pdiと平均SMdiとの関係、および異なる吸気負荷に対する最大SMdiに従ったPdiの振幅間の関係をそれぞれ示している。これらの結果は、横隔膜の硬化が、標準的なPdi測定によって評価された横隔膜の活性化のレベルに強く関連していることを実証する。さらに、SMdiとPdi間の高い個々の相関係数がほとんどの参加者において観察された。筋束の方向に関する変換器角度のわずかなずれが、剪断弾性率の値を低下させることが公知である。したがって、SMdi測定に対する品質基準を確立しなければならず、換気中に最大のSMdi変化を得るために、3次元空間での変換器の調整をプログラムによって支援する必要がある。プローブに関連する筋束は、3次元SWE測定を使用して推定することもできる。
【0108】
図11は、1人の参加者での吸気負荷に対する換気中の超音波刺激に応答した、超高速超音波画像から得られる経横隔膜圧と横隔膜剪断弾性率測定値との間のヒステリシス曲線を示している。
図11は一連のグラフを示しており、各グラフは、左から右に、PImaxの0、10、20、30、40、50および60%の吸気負荷に対応している。
【0109】
したがって、とりわけ、決定され得る機能的パラメータは、横隔膜の仕事および図(diagram)の活動である。
【0110】
機能的呼吸検査と組み合わされたSMdiは、横隔膜の機能不全を検出するのに役立ち得る。機能的呼吸検査と組み合わされたSMdiは、横隔膜の片麻痺を検出するのに特に有用であり得る。横隔膜SWEは、離脱期の人工呼吸器装着患者での自発呼吸試験および/または圧支持換気内で特に適切であり得る。自発呼吸試験の間に、横隔膜硬化時間指数も計算され得る。
【0111】
機能的パラメータの決定の3つの例が本明細書の以下に記載されている。各機能的パラメータは、上記研究から得られ、
図2~
図11にプロットされたデータから決定された。
【0112】
第1の例として、超音波刺激に応答して測定された剪断弾性率(SMdi)から経横隔膜圧(Pdi)が決定される。剪断弾性率(SMdi)は、以下の式から決定される。
Pdi=a.SMdi+b、
式中、PdiはcmH2Oで、SMdiはkPaで表され、
aは、本実施例において-22.77に等しく、好ましくは、-5より小さくおよび/または-40より大きい、
bは、本実施例において1.34に等しく、好ましくは5より小さくおよび/または0.5より大きい。
後者のモデルにおいて、自由度は161であり、p値は<0.0001であり、決定係数R2は0.671であり、調整された決定係数R2は0.669であり、F統計量は328.5であった。
【0113】
第2の例として、頸部磁気的刺激に応答して測定された横隔膜の局所的変位(DISPdi)、換言すれば、横隔膜の所定の部分の運動から経横隔膜圧(Pdi)が決定される。経横隔膜圧(Pdi)は、以下の式から決定される。
Pdi=c.DISPdi、
式中、PdiはcmH2Oで、DISPdiはmmで表され、
cは、本実施例において13.3に等しく、好ましくは30より小さくおよび/または1より大きい。
後者のモデルにおいて、自由度は67であり、p値は<0.0001であり、決定係数R2は0.683であり、調整された決定係数R2は0.679であり、F統計量は144.5であった。
【0114】
第3の例として、一側性の横隔電気的刺激に応答して測定された横隔膜の局所的変位(DISPdi)、換言すれば、横隔膜の所定の部分の運動から横隔膜複合筋活動電位(CMAPdi)が求められる。横隔膜の複合筋活動電位(CMAPdi)は、以下の式から決定される。
CMAPdi=d.SMdi、
式中、CMAPdiはmVで、DISPdiはmmで表され、
dは、本実施例において、118.5に等しく、好ましくは300より小さくおよび/または20より大きい。
後者のモデルにおいて、自由度は72であり、p値は<0.0001、決定係数R2は0.556であり、調整された決定係数R2は0.550であり、F統計量は90.06であった。
【0115】
本発明は、上記の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で数多くの調整が達成され得る。
【0116】
さらに、本発明の特徴、代替手段および実施形態は、互いに相互排他的でなければ、結合され得る。
【0117】
したがって、前記実施形態の組み合わせ可能な代替手段において:
-神経伝導遅延の測定は、横隔膜収縮を惹起する任意の刺激を通じて行われ得る、ならびに/または
-本発明の第1の実施形態によれば、電気的および/もしくは磁気的刺激によって惹起される測定から決定され得る機能的パラメータは、横隔膜圧および/もしくは横隔膜機能および/もしくは横隔膜の仕事であり、ならびに/または
-本発明の第1の実施形態によれば、横隔膜組織の速度プロファイルは、
・横隔膜の収縮性を示すピーク高さ、および/もしくは
・横隔膜の収縮性を示すピーク面積、および/もしくは
・横隔膜の収縮性を示すピーク幅、および/もしくは
・横隔膜の収縮性を示すピーク勾配、および/もしくは
・横隔膜の収縮性を示すピークまでの時間、および/もしくは
・弛緩半減時間、および/もしくは
・横隔膜の仕事を示す、吸気時間内の横隔膜変位の時間に関する積分値、および/もしくは
・横隔膜機能を示す、吸気時間内の呼吸あたりの平均横隔膜変位と、吸気時間と総呼吸サイクル時間との比率の積として計算される横隔膜変位・時間指数、
を測定するために、技術的手段によって処理され得る、ならびに/または
-第2の実施形態によれば、超音波刺激は、任意の機械的および/もしくは音響刺激によって代替され得、ならびに/または
-第2の実施形態によれば、機械的および/もしくは音響刺激によって惹起される測定から決定され得る機能的パラメータは、横隔膜圧および/もしくは横隔膜機能および/もしくは横隔膜の仕事であり、ならびに/または
-第2の実施形態によれば、横隔膜組織の速度プロファイルは、
・横隔膜の収縮性を示す横隔膜の硬化のピーク高さ、および/もしくは
・横隔膜の収縮性を示す刺激の頻度、および/もしくは
・横隔膜の仕事を示す吸気時間内の横隔膜の硬化の時間に関する積分値、および/もしくは
・横隔膜機能を示す、吸気時間内の横隔膜の硬化の変化と、総呼吸時間に対する吸気時間の割合の積として計算される横隔膜硬化・時間指数、および/もしくは
・横隔膜の収縮性を示すプロファイルの傾き、
を測定するために、技術的手段によって、処理され得る。