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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ヘッドマウント可能な装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/246 20210101AFI20231129BHJP
【FI】
A61B5/246
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021521398
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 FI2019050748
(87)【国際公開番号】W WO2020084194
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】20185893
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】319008236
【氏名又は名称】メギン オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ライネ パシ
(72)【発明者】
【氏名】ヘッレ リイサ
(72)【発明者】
【氏名】ネノネン ユッカ
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-095939(JP,A)
【文献】特表2018-503481(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0281071(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/0538
5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
聴覚刺激に対する磁気脳反応を測定するためのヘッドマウント可能な装置(100)であって、
頭部右側表面の右聴覚皮質の平面投影領域に取り付けるように適合された第1のケース(110)であって、第1のケースは、聴覚刺激に対する磁気脳反応を測定するための光ポンピング磁力計(112)の第1のセットを収容する、第1のケース(110)と、
頭部左側表面の左聴覚皮質の平面投影領域に取り付けるように適合された第2のケース(120)であって、第2のケースは、聴覚刺激に対する磁気脳反応を測定するための光ポンピング磁力計(122)の第2のセットを収容する、第2のケース(120)と、
-装置から測定データを送信するための少なくとも1つの出力インターフェース(130)と、
を備える、ヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項2】
第1のケース(110)は右聴覚皮質をカバーし、第2のケース(120)は左聴覚皮質をカバーする、請求項1に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項3】
第1のケース(110)を第2のケース(120)に機械的に結合するコネクタ(140)を備える、請求項1または2に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項4】
コネクタ(140)は、頭部が直立しているときに、第1のケース(110)および第2のケース(120)の重量を支持するために頭部の上部を横切って延びるように適合された、請求項3に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項5】
コネクタ(140)は、光ポンピング磁力計(112、122)による測定のために、第1のケース(110)および第2のケース(120)を頭部に押し付けるために可撓性である、請求項3または4に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項6】
第1のケース(110)と第2のケース(120)との間のコネクタ(140)の長さは調整可能である、請求項3~5のいずれか1項に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項7】
頭部の1つまたは複数の解剖学的目印に関して装置(100)を整列させるための1つまたは複数のポインタ(150、152)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項8】
1つまたは複数の解剖学的目印は、ナジオン(430)および/または耳介前点(420)を含む、請求項7に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項9】
1つまたは複数のポインタ(150、152)は、1つまたは複数の目印を配置するための先端および/または穴を備える、請求項7または8に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項10】
第1のケース(110)および/または第2のケース(120)は、1つまたは複数のポインタ(150)のうちの少なくとも1つを形成する、請求項7~9のいずれか1項に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項11】
第1のケース(110)を第2のケース(120)と機械的に結合するコネクタ(140)を備え、1つまたは複数のポインタ(152)のうちの少なくとも1つは、コネクタ(140)に結合され、頭部の額上を頭部の鼻に向かって延びるように適合された、請求項7~10のいずれか1項に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項12】
コネクタに結合された少なくとも1つのポインタ(152)のコネクタ(140)からの延長部の長さは調整可能である、請求項11に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項13】
聴覚刺激を頭部の耳に向けるための1つまたは複数のスピーカ(170)および/または1つまたは複数のダクトを使用するように適合された、請求項1~12のいずれか1項に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項14】
頭部の動きを測定するための1つまたは複数の加速度計(190)を備える、請求項1~13のいずれか1項に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【請求項15】
第1のケース(110)および第2のケース(120)の各々は、聴覚刺激に対する磁気脳反応を測定するための勾配計として機能するように適合された少なくとも1つの光ポンピング磁力計(112、122)を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のヘッドマウント可能な装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気脳反応(magnetic brain response)の測定に関する。特に、本開示は、聴覚刺激に対する磁気脳反応を測定するための脳磁図(magnetoencephalography)測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脳磁図(MEG)は、脳内で自然に発生する電流によって生成される磁場を記録することにより、脳の活動をマッピングするための機能的なニューロイメージング技術である。この目的のために、脳の外部のソースから発生するノイズから有用な信号を区別するために、非常に感度の高い磁力計が必要である。現在、使用されている最も一般的な磁力計はSQUID(超伝導量子干渉デバイス(superconducting quantum interference device))であり、これは通常、非常に低い動作温度まで極低温冷却の必要がある。結果として、磁気脳反応を測定するためのそのようなMEGデバイスは、かさばる構造を有し、典型的には、被験者の頭部、したがって脳を位置決めするための測定システムに統合された堅いヘルメットのような構造を含む。このシステムは、例えば、ヘルメットのような構造が組み込まれているガントリーまたは椅子を備えていてもよい。
【0003】
前述の構成は、周囲のノイズに関係なく脳の磁場を記録するのに十分な精度の測定が可能であるが、さまざまな欠点を有する。例えば、上記のヘルメットのような構成は、頭部のサイズが異なる場合、必ずしも2人の異なる被験者に使用できるとは限らない。特に、これは、同じデバイスを大人と子供の両方に使用することを妨げ得る。さらに、ヘルメットのような構成は、被験者が測定装置に頭部を巻き込まれることによる恐怖または不安を経験した場合に、装置の使用を制限し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
目的は、上記の欠点の少なくともいくつかを排除または軽減することである。
【0005】
特に、被験者の頭部を測定用ヘルメットで囲む必要がなく、被験者の磁気脳反応を測定するのに十分正確な信号を提供する装置を提供することが目的である。信号は、被験者の頭部の外側に配置された音源から発生する外部ノイズを克服するのに十分正確であるだけでなく、1つまたは複数の聴覚刺激に特に関連する脳反応を決定できるようにする必要がある。さらに、異なる頭部のサイズを有する大人と子供などの2人の被験者の磁気脳反応を測定するために使用することができる装置を提供することが目的である。さらに、特に測定中に静止状態を維持することが困難な被験者に対して、頭部の動きを追跡できる装置を提供し、装置の較正を簡素化し、精度を向上させることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
試験対象(test subject)は、ここでは脳の反応を測定する人間を対象としている。脳の反応は被験者の頭部から測定される。
【0007】
1つまたは複数の聴覚刺激に対する脳の反応によって、ここでは、被験者の脳から発生する電流および/または磁場が意図されている。その結果、磁気脳反応(magnetic brain response)は、1つまたは複数の聴覚刺激に反応して脳によって生成される磁場に対応する。聴覚刺激に対する磁気脳反応は、以下ではターゲット信号(target signal)とも呼ばれる。
【0008】
以下では、測定装置の部品を聴覚皮質に配置または取り付けることについて繰り返し言及する。これは、測定装置の対応する部分を、聴覚皮質で発生する磁気反応の測定を実行できる被験者の頭部の表面上の領域に配置または取り付けることに対応する。右聴覚皮質の場合、これは、頭部の右側の表面上の聴覚皮質の平面投影に対応すると見なし得る。左聴覚皮質の場合、これは、頭部の左側の表面上の聴覚皮質の平面投影に対応すると見なし得る。
【0009】
第1の態様によれば、聴覚刺激に対する磁気脳反応を測定するための頭部に取り付け可能な装置(head-mountable apparatus)(以下「装置」ともいう)が開示されている。装置は、ヘッドセットとして形成してよく、被験者の頭部に装着するように適合されている。装置は2つの別個のケースを含み、各ケースは、頭部の片側に取り付けられて、頭部のその側の聴覚刺激に対する脳の反応の測定を可能にするように適合されている。具体的には、ケースは脳の聴覚皮質に取り付けられるように適合されており、一方では、聴覚刺激に対する反応を生成する脳内の1つまたは複数の信号源に十分に近接することができ、他方では、脳内の他の信号源、すなわちターゲット信号の生成に関連しない信号源から十分な距離にあるため、これらの信号源によって生成される磁場がターゲット信号を圧倒することはない。第1のケースは、右聴覚皮質の脳反応を測定するために右聴覚皮質の頭部に取り付けるように適合され、第2のケースは、左聴覚皮質の脳反応を測定するために左聴覚皮質の頭部に取り付けるように適合される。その結果、両方のケースは、例えば耳の上で休むように、被験者の耳の少し上に配置されるように適合されている。必ずしも耳を覆う必要はないが、ケースは、聴覚皮質に配置されたイヤホンとして形成され得る。ケースを頭部に取り付け、特に聴覚皮質に取り付けることにより、ターゲット信号を抽出することができるように、装置の測定領域を聴覚皮質に集中させることができる。それにより、聴覚皮質によって生成された信号を測定するために装置が特に向けられるように、装置の測定領域はまた、特に聴覚皮質に限定され得る。これにより、脳から発生するターゲット信号以外の信号を軽減したり、測定から無視できるレベル以下に低減したりすることができる。ケースが聴覚皮質に配置されるときに、装置が体の外部で使用できるように、すなわち、被験者の皮膚を貫通することのないように、ここでは、ケースは、聴覚皮質の位置に対応する頭部の外面に配置されることを意味することに留意されたい。あるいは、ケースで覆われている被験者の頭部の表面に実質的に垂直な方向から見たときに、ケースは、聴覚皮質上またはその上に配置されているということができる。この方向は、装置の使用中は一般に実質的に水平である。
【0010】
この装置は、聴覚刺激に対する磁気脳反応を測定するための光ポンピング磁力計(optically pumped magnetometer)(OPM)の2つの別個のセットを含み、各セットは、ケースのうちの1つに収容されている。各セットは任意の数のOPMを含み得、自然な最小値は1つのOPMであるが、OPMの数を増やすことは、装置の精度および/または空間分解能を改善するために使用され得る。OPMテクノロジー自体は既に知られている。通常、アルカリ原子などのガスまたは蒸気のチャンバを有する構造が含まれる。チャンバをスピン共鳴検出(spin resonance detection)などの磁場センサ法として機能させるために、例えば、電子スピン共鳴検出を使用することができる。チャンバ内の材料は、光ポンピングによって、例えば、円偏光などの特定の偏光を有し得るレーザービームによって、偏光することができる。ターゲット信号によって生成されるような磁場は、チャンバ内の材料のスピンの方向を変化させ、これは次に、磁場を決定するためにプローブされることができる。このプロービングは、例えば第2のレーザービームによって光学的に行うこともできる。
【0011】
本装置にOPMを組み込むことにより、さまざまな効果が得られる。第1に、それは装置が室温で測定装置として機能することを可能にし、それはさらに装置が極低温冷却装置なしで機能することを可能にする。他の利点の中でも、これにより、被験者の頭部の動きに追従できるようになり、その結果、頭部の自由な動きも可能になるので、装置の可動性が向上する。さらに、光源からセンサまでの距離、例えば、聴覚皮質と聴覚皮質からの信号を測定するように適合されたOPMとの間の距離を最小化するために、OPMを被験者の頭部にしっかりと配置することができる。これは、OPMにより測定できる聴覚皮質からの信号の振幅を最大化するために、OPMが聴覚皮質に配置されているときに利用できて、ターゲット信号の測定が実際に実行できるように十分に高い精度を可能にする。逆に、頭部への外部のソースからのおよび/または脳内の他のソースからのノイズを決定的に減らすことができる。ケースが聴覚皮質に配置されるときに、装置の測定領域が聴覚皮質に限定されるようにOPMをケースに配置することができ、それにより、測定をターゲット信号に集中させ、脳内の他のソースから発生する信号を軽減する。装置のすべてのOPMを聴覚皮質に配置できるので、脳からの内部ノイズの影響を最小限に抑えることができ、内部ノイズは、ターゲット信号以外の脳内から発生する磁気信号である。ケースの位置および向きが、ケースに収納されたOPMの位置および向きに直接対応するように、ケースに収納されたOPMの位置は、ケースに対して固定され得る。
【0012】
上記に加えて、装置は、装置から測定データを送信するための少なくとも1つの出力インターフェースを備える。これは、無線および/または有線インターフェースを含み得る。出力インターフェースは、基準センサ(reference sensor)などの1つまたは複数の追加センサからデータを送信するように適合させることもできる。逆に、装置は、制御命令などの情報を装置に送信するための少なくとも1つの入力インターフェースを備え得る。
【0013】
本明細書に記載の装置は、臨床使用に適合させることができる。特に、聴覚刺激に特に対応する磁気脳反応を測定することができる装置は、自閉症(autism)の潜在的な診断および/または指導療法(guiding therapy)などのさまざまな目的に使用することを可能にする。装置は頭部と一緒に動くことができるので、そして装置は小型軽量化が可能であるので、ユーザが快適に着用できるようにすることができる。これは、被験者が子供であるか不安に苦しんでいるときに、特に関連し得る。単一の測定セッションが例えば15分かかる可能性があり、それより長い時間かかる可能性もあるので、装置の使いやすさは、特に重要であることに留意されたい。その結果、装置は、少なくとも15分に対応する、長期間の使用に適合されてきた。
【0014】
同じ装置を、子供の頭部と大人の頭部など、異なるサイズおよび/または形状の頭部の磁気脳反応の測定に使用するように適合させることができる。例えば、装置は、少なくとも5または10センチメートルだけ互いに異なる円周を有する2つの頭部に使用されるように適合され得るが、装置の構造は、装置が、少なくとも20センチだけ互いに異なる円周を有する2つの頭部に使用されるようにさえ適合され得る。
【0015】
一実施形態では、第1のケースは右聴覚皮質をカバーし、第2のケースは左聴覚皮質をカバーする。これにより、各ケースのOPMのセットを聴覚皮質に広げて、測定の精度および/または空間分解能を向上させることができる。いずれかまたは両方のケースのOPMのセットは、聴覚皮質全体に広がることができる。
【0016】
一実施形態では、装置は、第1のケースを第2のケースに機械的に結合するコネクタを備える。これにより、例えば、装置を頭部に対して位置合わせするために、両ケースを一緒に維持することができる。コネクタは、バンド、例えばアーチ型バンドであり得る。コネクタの幅は、ケースの幅と比較して同じかまたは小さくてよく、例えば、違いがある場合はケースよりも小さい。これにより、頭部が過度に覆われなくなるように、ケース間の軽い接続が可能になる。さらなる実施形態では、コネクタは、頭部が直立しているときに、第1のケースおよび第2のケースの重量を支えるために頭部の上部を横切って延びるように適合されている。使いやすさと聴覚皮質へのOPMの正確な位置決めの支援に加えて、これにより、装置と従来のオーディオヘッドホンのセットとの間の構造の対応が改善される。これは、いくらかの被験者、例えば、自閉症の被験者によって装置を適切に使用できるという顕著な利点を有する可能性があり、そのような被験者は、そうでなければ、より制限的な構造を使用して不安に苦しみ得る。別のさらなる実施形態では、コネクタは、OPMによる測定のために、第1のケースおよび第2のケースを頭部に押し付けるように可撓性である。測定を行うためには、測定装置と頭部の表面との密着を得られることが重要であるため、ケースと測定用頭部との接触がコネクタによって維持されるように、コネクタは、十分に柔軟に適合され得る。別のさらなる実施形態では、第1のケースと第2のケースとの間のコネクタの長さは調整可能である。これにより、両ケース、および各ケースの対応するOPMを、さまざまなサイズの頭部に対して正確に配置することができる。一実施形態では、装置は、頭部の1つまたは複数の解剖学的目印(anatomical landmark)に関して装置を位置合わせするための1つまたは複数のポインタを備える。これにより、装置の、特にOPMセンサのセットの位置決めの精度を向上させることができる。少なくともいくつかのポインタは、いずれかまたは両方のケースの位置、および対応して、被験者の頭部に対する、ケースに収容されたOPMのセットの位置を示すように構成され得る。位置とは、ここでは、ケースの全体的な位置を表す、質量の中心などの単一の点を意味する。位置を示すためのそのようなポインタは、その位置を示すように構成されているケースに関して固定され得る。他方、少なくともいくつかのポインタは、被験者の頭部に関して、いずれかまたは両方のケースの向き、特にピッチ、を較正するように構成され得る。同様に、向き、特にピッチ、を示すためのそのようなポインタは、調整可能な長さであり得る。本開示の文脈において、「ピッチ」は、第1のケースおよび第2のケースと交差する軸の周りの回転の程度として定義されることができることに留意されたい。
【0017】
さらなる実施形態では、1つまたは複数の解剖学的目印は、ナジオン(nasion)および/または耳介前点(pre-auricular point)を含む。頭部のこれらの位置は、実際に迅速に実現可能な較正を提供すると同時に、堅牢な較正精度を提供することがわかっている。さらに、較正が単一の装置で効率的に実行できるように、ポイントは、頭部のさまざまな形状とサイズに対して解剖学的に十分に明確に定義されている。特に、ナジオンは、装置および/またはケースのピッチを較正するように構成されたポインタの解剖学的目印として使用することができる。特に、耳介前点は、ケースのまたはOPMのセットの位置を較正するように構成されたポインタの解剖学的目印として使用することができる。別のさらなる実施形態では、1つまたは複数のポインタは、1つまたは複数の目印(landmark)を配置するための先端および/または穴を備える。これにより、ポインタの配置を高速かつ正確に行うことができる。別のさらなる実施形態では、第1のケースおよび/または第2のケースは、1つまたは複数のポインタのうちの少なくとも1つを形成する。これは、例えば、このポインタに対応する解剖学的目印が耳介点(auricular point)または耳介前点である場合に使用することができる。ケースの構造が堅固であるため、ケースを頭部に直接合わせることができる。別のさらなる実施形態では、装置は、第1のケースを第2のケースと機械的に結合するコネクタを含み、1つまたは複数のポインタのうちの少なくとも1つ(以下、「鼻ポインタ」ともいう)がコネクタに結合されて、頭部の額上を頭部の鼻に向けて延びるように適合される。これにより、ポインタが頭部上の装置をサポートすることができる。さらに、これは、ポインタの配置における速度と正確さのために使用することができ、特に、この鼻ポインタが、被験者の頭部に対するいずれかまたは両方のケースの向き(ピッチなど)を較正するように構成されている場合に使用することができる。実際に迅速に実現可能な較正を提供すると同時に、堅牢な較正精度を提供するために、ナジオンは、このポインタの解剖学的目印として使用できることがわかっている。さらに別の実施形態では、コネクタに結合された少なくとも1つのポインタのコネクタからの延長部の長さは調整可能である。これにより、鼻ポインタを被験者の頭部のサイズに合わせて調整することができる。装置は、鼻ポインタの位置を決定するために、例えば鼻ポインタに機械的スケールを備え得る。あるいは、またはさらに、装置は、鼻ポインタの延長部の長さの自動検出に適合され得る。
【0018】
一実施形態では、装置は、聴覚刺激を頭部の耳に向けるために、1つまたは複数のスピーカおよび/または1つまたは複数のダクトを使用するように適合されている。これは、例えば、装置に関して固定された方法で導入される聴覚刺激を可能にする。1つまたは複数のスピーカおよび/または1つまたは複数のダクトは、装置に含まれてもよく、またはそれらは外部的に提供されてもよい。
【0019】
一実施形態では、装置は、頭部の動きを測定するための1つまたは複数の加速度計を備える。これにより、測定の較正をさらに改善することができ、結果として測定の精度を向上させることができる。1つまたは複数の加速度計を使用して、装置はまた、例えば、被験者の頭部が動くときに、測定における動きに関連する干渉を補償するように適合され得る。
【0020】
一実施形態では、第1のケースおよび第2のケースの各々は、聴覚刺激に対する磁気脳反応を測定するための勾配計(gradiometer)として機能するように適合された少なくとも1つの光ポンピング磁力計を備える。勾配測定を使用すると、聴覚皮質における脳反応の検出を改善することができる。これは、2つ以上のOPMを使用することによって行い得て、個々のOPMは、磁力計信号、すなわち、磁場強度に対応する信号を提供する。次に、装置は、当業者に知られている手段によって、例えば、勾配計として機能するように適合されたOPMを含む測定回路の物理的配置および/または測定信号の信号処理によって、勾配計信号を提供するように適合される。別の方法として、利用可能な場合は、構造によって勾配計として機能するように適合されたOPMを使用し得る。
【0021】
上記の実施形態は、互いにおよび上記の態様と任意の組み合わせで使用できることを理解されたい。いくつかの実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を形成し得る。
【0022】
さらなる理解を提供し、本明細書の一部を構成するために含まれる添付図面は、実施形態を示し、説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、一実施形態によるヘッドマウント可能な装置(head-mountable apparatus)の斜視図を示す。
図2図2は、試験対象の頭部上の一実施形態によるヘッドマウント可能な装置の斜視図を示す。
図3図3は、試験対象の頭部上の別の実施形態による頭部取り付け可能な装置の斜視図を示す。
図4図4は、人間の頭部の解剖学的目印(anatomical landmark)の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面において、同様の参照は、同等または少なくとも機能的に同等の部品を指定するために使用される。
【0025】
添付図面に関連して以下に提供される詳細な説明は、実施形態の説明として意図されており、実施形態が構築または利用され得る唯一の形態を表すことを意図されていない。しかしながら、同じまたは同等の機能および構造は、異なる実施形態によって達成され得る。
【0026】
図1は、脳磁図(magnetoencephalography)用のヘッドマウント可能な装置(以下、「装置」ともいう)100の例を示す。装置100は、例えば、自閉症の診断または治療を導くために、聴覚刺激に対する磁気脳反応(magnetic brain response)を測定するように構成することができる。装置100は、第1のケース110および第2のケース120を含み、各々が1つまたは複数のOPM112、122を収容するように適合している。ケース110、120の各々は、被験者(test subject)の頭部上に支持されるように適合している。1つのケース110は、被験者の脳の右聴覚皮質(right auditory cortex)上に支持されるように適合しており、1つのケース120は、被験者の脳の左聴覚皮質上に支持されるように適合している。1つのケース110、120は、1つの聴覚皮質上に配置され得るので、装置100は、ターゲット信号(target signal)の測定のために、正確に2つのそのようなケース110、120を備えるのに十分である。ケース110、120は、互いに対称、特に左右対称であることができる。
【0027】
ケース110、120のいずれかまたは両方は、被験者の耳上に支持されるように適合し得る。この目的のために、ケース110、120は、空洞、例えば、本質的にU字形の空洞などの半開放空洞を含み得る。ケース110、120のいずれかまたは両方は、対応する耳のらせん(helix)を露出するように適合し得る。ケース110、120のいずれかまたは両方は、プラスチックを含むか、またはプラスチック製であり得る。
【0028】
装置100は、2組のOPM112、122を含み、各々1つのケース110、120に収容されている。OPM112、122は、センサが測定中に移動するように適合されている機器とは対照的に、ケース110、120内に固定され得る。また、OPM112、122の位置および向きは、各々のケース110、120内に固定することができる。両方のセットのOPM112、122は、例えば、自閉症の診断または治療を導くために、聴覚刺激に対する磁気脳反応を測定するように構成することができる。OPM112、122は、ケース110、122に封入してもよく、ケース110、122から少なくとも部分的に拡張してもよい。OPMの数は、1つ、2つ、またはそれ以上にしてもよく、ターゲット信号の測定の精度および/または空間分解能を高めるために増やすことができる。その結果、各セットは、10個以上のOPM112、122を簡単に備え得る。2つのセットのOPM112、122の数は、同じであってもよく、異なっていてもよい。1つのケース110のOPM112は、他のケース120のOPM122に対して対称的に、特に左右対称に、配置され得る。OPM112、122のいくつかまたはすべては、例えば、勾配計構成(gradiometer configuration)でペアワイズ配置(pair-wise arrangement)に配置されることによって、勾配計として機能するように適合され得る。OPMセンサにより、装置100は、室温での測定、または臨床操作のための任意の妥当な温度での測定に適合されていて、例えば、クライオクーラーなどの冷却装置を使用しない場合の周囲温度は0~50℃である。OPMセンサ112、122自体は、例えば、必要に応じて、それら自身のマイクロクーラーを使用することによって、これらの周囲温度のいずれかでの測定に適合させることができる。
【0029】
OPMセンサの特定のタイプに応じて、OPM112、122の温度は、100℃を超える場合があり、例えば150℃になる場合がある。したがって、装置100は、OPMで発生する熱に関係なく、例えば、装置100の温度を、頭部との接触に適合した任意の表面上で40℃または50℃未満に下げることによって、装置を試験対象(test subject)と共に使用することを可能にするための断熱材(thermal insulation)を備え得る。この断熱材は、ケース110、120のいずれかまたは両方に、例えば、ヘッドの側面に接触するように適合されたケース110、120の表面に、配置され得る。
【0030】
測定に直接使用されるセンサに加えて、装置100は、例えば、エラー訂正および/またはノイズ除去のために、参照センサ(reference sensor)などの追加のセンサを備え得る。これらの追加のセンサは、OPMセンサを含み得る。追加のセンサは、ケース110、120内、またはケースの外部に配置され得る。装置100とは別個のセンサでさえ、前述の目的のいずれかに使用され得る。
【0031】
頭部の側面と接触するために、ケース110、120のいずれかまたは両方は、接触面124を含むか、または接触面124と結合され得る。接触面124は、聴覚皮質上の頭部の側面に接触するように適合させることができる。それは、OPM112、122で発生する熱に関係なく、装置が頭部に接触することを可能にするための断熱材の層を含み得る。接触面は、例えば、プラスチックまたは布の層を含み得る。接触面は、別の接触面による取り外しおよび交換を可能にするためにリリース可能であり得る。これにより、衛生のために接触面を交換することができる。接触面124が存在するか否かに関係なく、一方または両方のケース110、120のOPM112は、装置100が使用されるときに、試験対象の頭部の表面から1センチメートル以内に配置されるように適合され得る。
【0032】
ケース110、120のいずれかまたは両方は、聴覚皮質全体をカバーし得る。これにより、対応するケース110、120のOPM112、122も聴覚皮質全体に広がることができる。この目的のために、ケース110、120の幅Wは、少なくとも8センチメートルであることが可能である。OPM112、122を自由に配置できるようにするために、幅Wは10センチメートル以上にすることができる。同様に、被験者の耳に乗せるように適合されたケース110、120の一部から測定されたケース110、120の高さHは、聴覚皮質全体にわたる測定を可能にするために少なくとも4または6センチメートルであり得る。聴覚皮質は細長い形状であるため、ケース110、120の最大断面が少なくとも8~10センチメートルの長さを有することで十分であることに留意されたい。同様に、聴覚皮質をカバーするには、ケース110、120内の2つのOPM間の最大距離は、8~10センチメートル以上である必要がある。
【0033】
装置100は、装置100から測定データを送信するための出力インターフェース130を備える。出力インターフェース130は、図のように有線インターフェース、または無線インターフェースであり得る。出力インターフェース130は、2セットのOPM112、122のための2つの別個のインターフェースを含み得るか、または装置100は、OPM112、122の両方のセットからの測定データが1つの出力インターフェース130を介して装置100から送信され得るように適合され得る。
【0034】
装置100は、OPM112、122から得られた測定信号を、それが装置100から送信される前に処理するように構成されたプロセッサまたはコントローラを備え得るか、または装置100は、測定データが前処理なしのOPM112、122から直接送信されるように適合され得る。いずれの場合でも、装置100は、測定信号を装置100から送信する前にデジタル信号に変換するための変換器(converter)を備え得る。例えば、ケース110、120のいずれかまたは両方は、そのような変換器を収容し得る。
【0035】
装置100は、2つのケース110、120を機械的に結合するように適合されたコネクタ140を備え得る。コネクタは、可撓性または半可撓性であり得て、それは、測定が実行されることが可能なように、ケース110、120を試験対象の頭部に押し付けるように適合され得る。これは、OPM112、122を使用した測定では特に重要であり、この場合、OPM112、122と測定対象(この場合は被験者の頭部)との間の距離を短くすることにより、弱い測定精度が大幅に向上し得る。装置100は、OPM、または特にそれらの測定面が、被験者の頭部の表面から2~20ミリメートル以内、さらには1~10ミリメートル以内に配置されるように、適合され得る。例えば、コネクタ140は、重力に関係なく、ケース110、120を試験対象の頭部に静止状態に保持するための閾値力を超える力をケース112、122に加えるように適合され得る。あるいは、またはさらに、コネクタ140は、重力に関係なく、ケース110、120を被験者の頭部に静止状態に保持するために、試験対象の頭部上、例えば、頭皮上に支持されるように適合され得る。この目的のために、コネクタ140は、頭部を横切って、例えば、頭部の上部を横切って延び得る。コネクタ140は、例えば、実質的にU字形の弧の形状に対応して、アーチ状であり得る。コネクタ140はバンドであり得る。ケース110、120の上の頭部の表面の一部のみを覆うように、例えば、ケース110、120の上の頭部の表面の50パーセント未満、あるいは10または20パーセント未満でさえも覆うように、サイズを制限し得る。逆に、コネクタ140が含まれるかどうかに関係なく、装置100は、被験者の耳の上の頭部の表面の50パーセントを超え、さらには80パーセントまたは90パーセントを超えて露出するように適合され得る。これにより、使いやすさが向上し、より閉じ込められた装置を使用できないさまざまなグループの被験者で測定するための装置の使用が可能になり得る。コネクタ140は、測定中に頭部上で静止したままであるように適合され得る。装置100はまた、被験者の片方または両方の耳のらせんを露出するように適合させることができる。
【0036】
上記の目的のために、コネクタ140は、横方向の寸法、すなわち、ケース110、120と交差する軸に平行な寸法において屈曲して、ケース110、120を耳に押し付けるように適合され得る。しかしながら、コネクタ140および/または装置100はまた、垂直寸法、すなわち、縦方向寸法および/または後方前方寸法のいずれかまたは両方において、実質的に剛性であるように適合され得る。このようにして、コネクタ140は、特にケース110、120と交差する軸、すなわち装置100のピッチに対応する軸に関して、いずれかまたはすべての方向において、装置100の回転時に、ケース110、120に対して静止したままであるように、第1のケース110および第2のケース120に関して堅固な固定状態に適合され得る。上記の目的のために、コネクタ140は、ケース110、120に関して堅固に固定され得るか、または装置100は、ケース110、120に関してコネクタ140を堅固に固定状態にするための1つまたは複数の締め付け具を備え得る。いずれの場合でも、コネクタ140は、その向きに関係なく、その形状を静止状態に維持するのに十分に剛性であり得る。一例として、コネクタ140は、プラスチックを含むか、またはプラスチックでできていてもよい。
【0037】
2つの別個のケース110、120における2セットのOPM112、122は、別個の聴覚皮質からのターゲット信号を測定するように適合されているので、互いに対するそれらの位置を知るまたは維持する必要はない。同様に、コネクタ140は、2つのケース110、120の間のコネクタ140の長さが調整可能であるように適合され得る。この目的のために、コネクタ140は、その全長が変更されるように適合され得、および/またはコネクタ140は、ケース110、120のいずれかまたは両方とのその固定点がコネクタ140の長さに沿って調整可能であるように適合され得る。2つのケース110、120の間のコネクタ140の長さを調整可能にすることにより、装置100を異なるサイズの頭部に適合させることができる。
【0038】
図2は、装置100の別の例を示し、ここで装置100は、被験者200の頭部に取り付けられている。この例では、装置100は、装置をヘッドに対して位置合わせするための一組のポインタ150、152を備える。ポインタ150、152は、装置100が測定のために較正されることができるように、ヘッドに対する装置100の位置合わせを示すように適合されている。特に、ポインタ150、152は、頭部の解剖学的目印(anatomical landmark)と整列するように適合させることができる。装置100は、頭部の動きに追随することができるので、装置100の位置および向きは、頭部の位置および向き、ならびにそれに対応して、ターゲット信号のソース、すなわち聴覚皮質に関して一定のままであることができる。装置100の構造は、この較正が単一の1回限りの較正で実行されることを可能にする。さらに、1つまたは複数の解剖学的目印に関して装置100を位置合わせするように適合されたポインタ150、152の使用と一緒の構造は、較正が迅速かつ正確に実行されることを可能にする。ポインタ150、152は、頭部の表面上で1センチメートル以上の精度だけでなく、はるかに優れた精度、例えば、2または5ミリメートル以上の精度に適合され得る。
【0039】
ポインタ150、152は、ケース110、120および/またはコネクタ140などの装置の他の部分に別個に結合することができる。あるいは、ポインタ150、152およびケース110、120および/またはコネクタ140が一緒にモノリシックピースを形成するように、ポインタ150、152は、ケース110、120および/またはコネクタ140の一体部分であることができる。したがって、ポインタ150、152は、それらが互いに対して静止状態であるように、ケース110、120および/またはコネクタに堅固に結合されることができる。これは、装置100とヘッドとの位置合わせを単純化し得て、スピードアップし得る。ポインタ150、152は、解剖学的目印に向けられるように適合された、例えば、先端または穴として形作られることができるか、または形作られた部分を含むことができる。
【0040】
装置が上記のようにコネクタ140を備える場合、ポインタ152は、コネクタ140から延長部142を延ばすように配置され得る。特に、鼻ポインタは、コネクタ140から頭部の鼻に向かって、または鼻までずっと延びてよい。コネクタ140から延びるそのようなポインタ152は、頭部、例えば額に支持されるように適合させることができる。この目的のために、ポインタ152は、装置100の位置合わせを示すように適合されたポインタ152のヘッドに別個に結合され得るアーム154を備え得る。あるいは、ポインタ152とアーム154が一緒にモノリシックピースを形成するように、アーム154は、ポインタ152の一体部分であり得る。アーム154は、試験対象が水平位置にあるときも装置100を支持するように適合され得る。
【0041】
1つまたは複数のポインタ150、152を使用して装置を位置合わせするための代替または追加として、1つまたは複数の画像化デバイスを使用し得る。したがって、装置100はまた、内部または外部の画像化デバイスと、全体的または部分的に位置合わせされるように適合され得る。装置100は、較正情報を画像化デバイスに送信するように適合され得る。それはまた、視覚的インジケータなどの較正情報の1つまたは複数のインジケータを含み得る。
【0042】
図3は、装置100のさらに別の例を示し、ここで装置100は、試験対象200の頭部に取り付けられている。本明細書に記載されている1つまたは複数の特徴は、他の例と組み合わせて使用することもできる。
【0043】
また、この図には、有線出力インターフェース130は描かれていない。装置100は、測定データを送信するための、および/または装置100の制御命令を受信するためのワイヤレス出力インターフェース130を依然として備え得る。無線送信機および/または受信機などのデータを無線で送信するためのさまざまな例は、当業者に知られていて、それらが測定に過度の干渉を引き起こさない限り、本件で使用することができる。干渉を防止するために、装置100は、例えば、ケース110、120において、シールドを備え得る。
【0044】
装置100は、さまざまなタイプのセンサまたは制御回路を備え得る。これらは、装置100および/またはプロセス測定データを制御するように構成されたプロセッサを含み得る。これらの目的のために、装置100はまた、プロセッサの機能のいずれかまたはすべてを実行するためのプログラム命令を含み得るメモリを含み得る。装置100はまた、例えば3つの空間次元すべてにおいて、1つまたは複数の次元で装置100の加速度を測定するための加速度計190を備える。加速度計190は、装置100の、したがって頭部の動きの情報を提供するために前記寸法における加速度を測定するように構成されることができ、装置100は、例えばプロセッサにおいて、この情報自体を処理するように構成されることができ、および/または装置は、例えば出力インターフェース130を介して、装置100からの情報を送信するように構成されることができる。
【0045】
装置100は、加速度計190などのセンサおよび制御回路のいずれかまたはすべてのためのハウジングを備え得る。例えば、それらは、ケース110、120のいずれかまたは両方に収容することができ、または装置100は、それらのための1つまたは複数の別個のハウジング160を備えることができる。図に示すように、ハウジング160は、コネクタ140上、例えば、コネクタ140の上部に配置され得る。一例として、加速度計190は、ケース110、120のいずれかまたは両方に配置することができる。あるいは、またはさらに、1つまたは複数の加速度計190を、例えばコネクタ140上に配置された、別個のハウジング160に配置することができる。
【0046】
聴覚刺激は、装置100からまたは外部ソースから被験者の耳に導入することができる。装置100はまた、聴覚刺激を被験者の耳のいずれかまたは両方に向けるように構成された1つまたは複数のスピーカ170を備えることができる。1つまたは複数のスピーカ170は、ケース110、120のいずれかまたは両方と結合することができる。それらは、ケース110、120のいずれかまたは両方に収容することもできる。1つまたは複数のスピーカ170は、それらによって生成された聴覚刺激が外耳道に直接向けられることを可能にするために、外耳道上に配置されるように適合され得る。一例として、スピーカ170がケース110、120に結合され得るか、または外耳道上でケース内に収容され得るように、ケース110、120は、モノリシックにまたは別個の延長部で外耳道上に延び得る。この目的のために、装置100は、ケース110、120から延びるタング(tongue)180を含み得る。タング180は、対応するケース110、120のモノリシック部分を形成し得る。タング180は、耳の前側から外耳道上に延びるように適合させ得る。例えば、このように、タング180は、外耳道を越えて延在しながら、被験者の耳のらせんを露出するように適合させ得る。タング180は、耳を開いた状態に保つための手段、例えば延長部を備え得る。これらの手段は、例えば、それが外耳道を閉じるのを防ぐために耳珠に隣接するように適合させることができる。一例として、装置100は、2つのスピーカ170を備え得、一方は、聴覚刺激を被験者の右耳に導入するように適合され、他方は、聴覚刺激を被験者の左耳に導入するように適合される。聴覚刺激が右耳に導入されたときおよび聴覚刺激が左耳に導入されたときの脳反応を別々に測定するために装置100を使用することができるように、2つのスピーカ170は、聴覚刺激が別々に導入されることを可能にするように適合され得る。
【0047】
1つまたは複数のスピーカ170の代替または追加として、装置100はまた、聴覚刺激を試験対象の片方または両方の耳に向けるための1つまたは複数のダクトに適合させ得る。1つまたは複数のダクトは、装置100の一部であることができ、または装置は、外部ダクトのための1つまたは複数のブラケットを備え得る。ダクトを使用することにより、スピーカ170などの刺激を生成するデバイスが電気的または他の方法で測定または装置100と干渉しないように、聴覚刺激を耳から離れて生成することができる。一例として、装置100は、2つのダクトを使用するように適合され得、一方は、聴覚刺激を被験者の右耳に導くように適合され、他方は、聴覚刺激を被験者の左耳に導くように適合される。ダクトの長さは、数センチメートル以上、例えば、5センチメートル以上であってもよく、簡単に1メートルよりも大きくなることができる。
【0048】
例えばスピーカまたはダクトから装置100によって聴覚刺激が耳に向けられるときに、聴覚刺激はまた、被験者をリラックスさせるための映画の音楽および/またはオーディオトラックなどのオーディオトラックに対応することができることに留意されたい。
【0049】
この図では、1つのタイプのポインタ150が示されている。このポインタ150は、被験者の頭部の解剖学的目印の位置を示すための穴を備える。穴は、上記のようにタング180上に配置され得る。このようにして、タング180は、位置決め要素としても、スピーカ170のサポートとしても機能し得る。
【0050】
図4は、人間の頭部400の解剖学的目印を側面図で示している。これらの目印(landmark)のいくつかまたはすべては、特に装置100を試験対象の頭部と位置合わせするために、本発明と併せて使用することができる。装置100は、頭部の解剖学的目印の位置を示すように適合された1つまたは複数のポインタ150、152を備え得る。
【0051】
被験者の頭部に対する装置100の位置合わせに使用することができる目印の図示の例は、耳介点410、耳介前点420、ナジオン430、眉間440、ブレグマ450、ラムダ460、イニオン470、アステリオン480およびプテリオン490である。これらの任意の組み合わせを位置合わせに使用し得る。しかしながら、耳介点410および、特に耳介前点420は、装置100の効果的な位置決めに使用できることに留意されたい。これらの点の一方または両方に対応するポインタ150は、ケース110、120の一部として、またはケース110、120から延びるように配置することができる。これにより、装置100を頭部の表面によって形成される平面内に配置するための便利な方法が可能になる。他方、ナジオン430は、試験対象の頭部に対する装置100の向き、特にピッチ、を決定する際の使いやすさと正確さとを提供するのに特に効果的であることが見出された。この目的のために、ナジオン430に対応するポインタ152は、装置100の一部として、例えば、ケース110、120間でコネクタ140から延びるように配置することができる。 このポインタ152は、額上に延びるように配置されてもよく、ポインタ152を異なるサイズの頭部に使用できるように長さを調整可能でもよい。装置は、ポインタ152の長さを検出するための検出器を備えてもよく、またはポインタ152は、装置100の操作者が長さを決定できるように目盛りを備えてもよい。
【0052】
場合によっては、装置100は、聴覚皮質の近くにおける脳の他の部分にも向けられたセンサを含むように拡張され得る。例えば、ケース110、120の一方または両方は、この目的のために拡張され得る。例えば、装置100は、体細胞運動機能(somato-motor function)および/または脳の言語定位(language lateralization for the brain)に対応する信号も測定するように適合され得る。この目的のために、装置100は、以下の1つまたは複数の領域のローカリゼーションのための、ブローカ野(Broca’s area)および/またはウェルニッケ野(Wernicke’s area)に対応する脳信号を測定するように適合され得る。同様に、装置100は、ブローカ野および/またはウェルニッケ野もカバーするように適合され得る。装置100は、測定中にこれらの領域に配置される1つまたは複数の追加のOPMセンサ112、122を備え得る。これらの追加の拡張は、聴覚刺激に対する磁気脳反応を測定するための装置100の主要機能に対する補足機能として実装(implement)することができ、したがって、上記のように前記装置100の機能および構造を妨害しない。
【0053】
装置100は、少なくとも部分的に、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーションロジック、またはソフトウェア、ハードウェアおよびアプリケーションロジックの組み合わせにおいて実装され得る。アプリケーションロジック、ソフトウェア、または命令セットは、さまざまな従来のコンピュータ可読媒体のうちのいずれか1つで維持され得る。「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータなどの、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用するための命令を含み、記憶し、伝達し、伝播し、または転送することができる任意の媒体または手段であり得る。
【0054】
本明細書で論じられる異なる機能は、異なる順序で、および/または互いに同時に実行され得る。
【0055】
本書に記載されている範囲または値は、特に明記されていない限り、求められている効果を失うことなく拡張または変更され得る。また、明示的に不許可でない限り、任意の実施形態を別の実施形態と組み合わせ得る。
【0056】
主題が構造的特徴および/または作用に固有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は、必ずしも上記の特定の特徴または作用に限定されないことを理解されたい。むしろ、上記の特定の特徴および作用は、特許請求の範囲を実施する例として開示されていて、他の同等の特徴および作用は、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0057】
上記の利点は、1つの実施形態に関連してもよく、またはいくつかの実施形態に関連してもよいことが理解されるであろう。実施形態は、記載された課題のいずれかまたはすべてを解決するもの、あるいは記載された利点のいずれかまたはすべてを有するものに限定されない。さらに、「1つ」のアイテムへの言及は、1つまたは複数のそれらのアイテムを指す場合があることが理解されよう。
【0058】
「含む」という用語は、本明細書では、識別された方法、ブロックまたは要素を含むことを意味するが、そのようなブロックまたは要素は排他的リストを含まず、方法または装置は追加のブロックまたは要素を含み得ることを意味する。
【0059】
上記の説明は例としてのみ与えられており、さまざまな修正が当業者によってなされ得ることが理解されよう。上記の仕様、例、およびデータは、例示的な実施形態の構造および使用の完全な説明を提供する。さまざまな実施形態がある程度の特定性をもって、または1つまたは複数の個々の実施形態を参照して上記に記載されてきたが、当業者は、この特定の精神または範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。
図1
図2
図3
図4