(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】駐車支援システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231129BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/06
(21)【出願番号】P 2021550060
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 DE2020200019
(87)【国際公開番号】W WO2020200373
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】102019204656.8
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Ringlerstrasse 17, 85057 Ingolstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】アイヒ・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】グローガー・シャルロッテ
(72)【発明者】
【氏名】キットマン・フランク
(72)【発明者】
【氏名】フリーベ・マルクス
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0278065(US,A1)
【文献】特開2013-084130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G01S 7/00- 7/51、13/00-13/95、
17/00-17/95
G06T 1/00- 1/40、 3/00- 7/90、
11/60-13/80、17/05、19/00-19/20
G06V 10/00-20/90、30/418、
40/16、40/20
G08G 1/00-99/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺部(400)を描写するように構成されている、車両(200)用の駐車支援システム(100)であって、
当該駐車支援システム(100)は、
-少なくとも一枚の画像を撮影するように構成されている少なくとも一台のカメラ(102)であって、駐車支援システム(100)は、車両(200)の周辺部(400)をユーザに対して描写するために、グリッド構造(104)を使用する、カメラ(102)、-画像内で撮像されている他の車両(300)の向き(302)を決定し、グリッド構造(104)を他の車両(300)の決定した向き(302)に応じて適合し、適合済みグリッド構造(108)上に画像を投影するように構成されている画像評価ユニット(106)
を備える、駐車支援システム(100)において
、
他の車両(300)の向き(302)を決定する画像評価ユニット(106)は、
-画像内の基準面(306)を認識する、
-画像内において、少なくとも他の車両(300)の二本のタイヤ(308)を特定する、
-複数のタイヤ(308)のそれぞれの外周の輪郭(310)を割出す、
-複数のタイヤ(308)の外周の輪郭(310)上のカメラ(102)に最も近い点を割出すことによって、基準面(306)と外周の輪郭(310)とのそれぞれ一つの交点(312)を形成する、
ように構成されていることを特徴とする駐車支援システム(100)。
【請求項2】
グリッド構造(104)は、幾何学的形状、又は半球形状を備えることを特徴とする請求項1に記載の駐車支援システム。
【請求項3】
画像評価ユニット(106)は、幾何学的形状を曲げなどの手段によって他の車両(300)の向き(302)に対して適合することができるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の駐車支援システム。
【請求項4】
画像評価ユニットは、グリッド構造(104)が備える汎用的車両モデル(304)を、スケーリング、移動、及び/又は回転することによって他の車両(300)の向き(302)に適合するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の駐車支援システム。
【請求項5】
画像評価ユニット(106)は、スケーリング、移動、及び/又は回転することによって、幾何学形状の汎用的車両モデル(304)を他の車両(300)の向き(302)に適合するように構成されていることを特徴とする請求項2~4のうち何れか一項に記載の駐車支援システム。
【請求項6】
画像評価ユニット(106)は、更に、基準面(306)、複数のタイヤ(308)、外周の輪郭(310)、交点(312)、及び/又は他の車両(300)の向き(302)の妥当性検証を実施するように構成されていることを特徴とする請求項1~5に記載の駐車支援システム。
【請求項7】
画像評価ユニット(106)は、他の車両(300)のフロント部(316)及び/又はリア部(314)を割出し、フロント部(316)及び/又はリア部(314)に依存してグリッド構造(104)を方向付けるように構成されていることを特徴とする請求項1~6のうち何れか一項に記載の駐車支援システム。
【請求項8】
車両(200)の周辺部(400)を描写する方法(600)であって、
車両(200)は、駐車支援システム(100)、画像評価ユニット(106)、コンピュータ可読媒体(500)を備え、
前記コンピュータ可読媒体(500)は、前記方法(600)
のステップを実施するように駐車支援システム(100)に指示するプログラムエレメントを備え、
前記方法(600)は、
以下のステップ、即ち、
-車両の周辺部(400)の画像を撮影するステップ(S1)、
-グリッド構造を用いて車両の周辺部(400)を描写するステップ(S2)
、
-他の車両の向きに応じて、グリッド構造を適合するステップ(S4)、
-適合済みグリッド構造上に画像を投影するステップ(S5)、
-画像内において、基準面を認識するステップ(S6)、
-画像内において、他の車両の二本のタイヤを特定するステップ(S7)、
-複数のタイヤの外周の輪郭を割出すステップ(S8)、
-複数のタイヤの外周の輪郭上のカメラに最も近い点を割出すことによって、基準面と外周の輪郭との交点を形成するステップ(S9)、
-
画像内に写っている他の車両の向きを
、交点に応じて割出すステップ(
S3、S10)、
を含むことを特徴とする方法(600)。
【請求項9】
前記方法(600)は、更に以下のステップ、即ち、
-幾何学的形状、又は半球を形成するステップ(S11)、
-適合済みグリッド構造を形成するために、他の車両の向きに応じて幾何学的形状を変形するステップ(S12)、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法(600)は、更に以下のステップ、即ち、
-汎用的車両モデルを形成するステップ(S13)、
-汎用的車両モデルを幾何学的形状内に配置するステップ(S14)、
-適合済みグリッド構造を形成するために、他の車両の向きに応じて、スケーリング、移動、及び/又は回転によって、汎用的車両モデルを適応するステップ(S15)、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
プログラムエレメントが駐車支援システム(100)で実施された時、駐車支援システム(100)に、請求項8~10のうち何れか一項に記載の方法(600)のステップを実施するように駐車支援システム(100)に指示するプログラムエレメント。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムエレメントが格納されているコンピュータ可読媒体(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺部を描写するように設定されている車両用の駐車支援システムに関する。更に、本発明は、車両の周辺部を描写する方法、及び、プログラムエレメントとコンピュータ可読媒体にも関する。
【背景技術】
【0002】
サラウンドビューシステムにおいて三次元の車両周辺部を描写する場合、他の車両と物体との距離は、追加のセンサを使用しない限り、不明である。一般的には、三次元の周辺部は、半球を使用して生成され、その際、カメラによって把握された画像が半球に投影される。このため、投影される物体が半球に関連する投影面よりも車両に近い場合、一般的に光学的アーティファクトができる。これは、特に駐車プロセス又は発車プロセス中の自動車のマヌーバを困難にし得る。例えばソナーやライダなどの様々なセンサを利用することにより、光学的アーティファクトの原因となる物体と操縦する自動車との間隔を割出すことはできるが、これらのセンサは、高価であり、かつ対象となる車両内への取り付けが煩雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施形態によって、有利には、改善された駐車支援システムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、独立請求項によって定義されている。本発明の好ましい発展形態は、従属請求項ならびに以下の説明から得られる。
【0005】
技術的専門用語は、一般的に知られている形で使用される。特定の用語に対して特定の意味が与えられる場合、その用語が使用される用語の定義を以下に記載する。
【0006】
本発明の一つのアスペクトは、車両周辺部を描写するように設定されている車両用の駐車支援システムに関する。この場合、駐車支援システムは、少なくとも一枚の画像を撮影するように設定されている少なくとも一台のカメラを備える。この場合、駐車支援システムは、車両の周辺部をユーザに対して描写するためにグリッド構造を利用できる。付加的に、駐車支援システムは、画像内に構成されている一台の他の車両の向きを決定するように設定されている画像評価ユニットを含み得る。更に、画像評価ユニットは、決定された他の車両の向きに応じてグリッド構造を適合するように設定することができ、その際、画像は、適合済みグリッド構造上に投影される。
【0007】
この実施形態の利点は、グリッド構造を他の車両に適合することにより、駐車プロセス又は発車プロセス等の場合において、自動車の運転をユーザのために容易にすると言うことを挙げることができる。加えて、更なる高価なセンサ手段を節約でき、同時に、車両のマヌーバ性を改善できると言う利点がある。更には、表示されている画像内に光学的なアーティファクトが現れないため、駐車支援システムのユーザの感覚を改善できる。
【0008】
言い換えれば、駐車支援システムは画像をカメラによって把握し、これが画像評価ユニットによって処理され、その結果、他の車両の向きを、車両の周辺部を描写するためのグリッド構造を適合するため又は最適化するために割り出すことができ、その結果、撮影された画像を適合済みグリッド構造上に投影することができる。この場合、カメラは、車両及び/又は画像評価ユニットの論理回路と信号接続されたデジタルカメラであり得る。そのため、駐車支援システムは、モニタ、例えば、ECU(electronic control unit)を用いて、及び/又はヘッドアップディスプレイを用いて、車両の周辺部をディスプレイ上、及び/又はヘッドアップディスプレイ上に表示することが可能である。グリッド構造は、ノードポイントとその接続部によって表すことが可能なバーチャルモデルであり得る。特に、他の車両の向きは、座標系によって決定することができ、その際、座標系の原点は、例えば、車両の中心を意味する。駐車支援システムの可能な構成例と他の車両の向きは、とりわけ図1に描写され、それに関連する図の説明でさらに説明する。車両の中心に応じて、車両に対する他の車両の位置を決定することができる。他の車両の位置又は向きに応じて、車両周辺部の実態に対応できるように、グリッド構造を適合することができる。そして、車両の周辺部に適合された適合済みグリッド構造は、周辺部の適合された描写を車両のモニタ又はヘッドアップディスプレイ上に表示できるように、カメラによって撮影された画像を適合済みグリッド構造上に投影するために使用される。
【0009】
適合済みグリッド
構造は、
図3に示さ
れ、図3の図の説明に
基づいて詳しく
説明する。
【0010】
一実施例によれば、グリッド構造は、幾何学的形状、特に、半球形状を備える。言い換えれば、グリッド構造は、半球等のバーチャルモデルを形成する。代替的には、グリッド構造は、半球以外の幾何学的な形状、例えば、円錐、円錐台、立方体、平行六面体、角が極端に丸められた立方体、角が極端に丸められた平行六面体、ピラミッド型、円柱、及び/又は球体を有してもよい。この実施形態の利点は、単純な幾何学的形状を用いることで、駐車支援システムの計算キャパシティを節約することができ、従って、駐車支援システムの製造コストを下げることができることである。
【0011】
本発明の
一実施例では、画像評価ユニットは、幾何学的形状を曲げ
等の手段で他の車両の向きに適合
するように
設定してもよい。言い換えれば、幾何学的形状は、車両の周辺部に対応するように適合される。これは、
特に、幾何学的形状の曲げプロセス
又は他の変形プロセス、例えば、切り取り、拡大、縮小、回転
、及び/
又は歪曲などによって
実行できる。この実施形態の
利点は、例えば、曲
げなど
の簡
単な計算
演算子によっ
て幾何学的形状を適合
することができ、
従って、駐車
支援システムの他のリソースを占有すること無く、
車両の周辺部の表現を簡略化
することができることである。幾何学的形状
を含
む表現の可能な一実施
形態は、
図2に示さ
れ、かつ関連する図の説明
で詳細に説明する。
【0012】
一実施例によれば、グリッド
構造は、付加的に、汎用
的車両モデルを
備えてもよい。言い換えれば、幾何学的形状を有するグリッド
構造には、車両の周辺部
の表現力を改善するために、
汎用的な車両モデルが配置される
。汎用的車両モデルは、その輪郭
で、他の車両の理想
的なモデルを
表現する二次元の及び/
又は三次元のモデルであ
り得る。代
替的には、他の車両のタイプを割出すこと
ができ、その
際、汎用的な車両モデルは
、データベースの情報
にもとづいて、他の車両のタイプに適合
することができる。
この場合、カメラによって撮影された画像を、汎用的な車両モデルに投影
することがで
き、その結果、間隔情報の欠如に起因する光学的アーティファクトが発生
しなくなるので、車両の周辺部の
表現を改善できる。
図3には、幾何学的形状が配置されている汎用的車両モデルの
一実施
形態が示さ
れる。
【0013】
本発明の一実施例では、画像評価ユニットは、汎用的車両モデルを、スケーリング、移動、及び/又は回転によって、他の車両の向きに適合するように設定してもよい。言い換えれば、汎用的車両モデルは、他の車両の向きに対応するようにグリッド構造内で操作される。特に、この操作は、スケーリング、移動、及び/又は回転によって実行してもよい。例えば、汎用的車両モデルの回転と言った操作により、車両の周辺部は、非常に正確にグリッド構造、特に汎用的車両モデルに適合することができ、その結果、表現が大幅に改善し、従って、駐車支援システムのエルゴノミクスを向上することができる。
【0014】
一実施形態によれば、画像評価ユニットは、幾何学的形状内の汎用的車両モデルを、スケーリング、移動、及び/又は回転によって、他の車両の向きに適合するように設定してもよい。言い換えれば、例えば、半球である幾何学的形状内の汎用的車両モデルは、車両の周辺部の描写を最適化するために、スケーリング、移動、及び/又は回転することができる。したがって、言い換えれば、幾何学的形状と汎用的車両モデルの両方が、特に互いに依存して、車両の周辺部の表現を著しく増大させるために、幾何学的形状内に汎用的車両モデルを配置することが可能である。
【0015】
一実施例によれば、画像評価ユニットは、カメラによって把握されない他の車両の領域が、推定機能を用いて割出され、汎用的車両モデル上に投影されるように設定してもよい。言い換えれば、画像評価ユニットは、カメラによって把握できない領域、例えば他の車両のルーフなどを、推定機能を用いて割出す機能を備える。推定機能は、例えば、カメラが他の車両の色又は他の車両の塗装を割出し、割出された色又は塗装を、他の車両の汎用的車両モデルのルーフに投影することで構成することができる。これは、ユーザの知覚をより快適にでき、従って、駐車支援システムのエルゴノミクスを向上することができる。
【0016】
一実施例によれば、画像評価ユニットは、グリッド構造をテクスチャで完全に覆うためにカメラによって把握されない領域を予測するように設定してもよい。言い換えれば、画像評価ユニットが例示的な気象情報に基づいて球体の上部を気象情報に基づいてテクスチャで覆うため、例えば球体であるグリッド構造体を、画像評価ユニットを用いて、完全にテクスチャで覆うことができる。例えば、天候機能は、画像評価ユニットが、グリッド構造内で晴天を予測するように、晴天を記述する。これにより、ユーザは、車両の周辺部の描写をより快適であると感じ、従って、駐車支援システムのエルゴノミクスが改善されるという利点を有し得る。
【0017】
本発明の一実施例によれば
、画像評価ユニットは、他の車両の向きを
決定す
るために、画像内の基準面を認識
する
ように
設定してもよい。更に
、画像評価ユニットは、他の車両の二本のタイヤを、画像内において特定し、それぞれ
のタイヤの外周の輪郭を割出す
ように
設定できる。また
、画像評価ユニットは、
複数のタイヤの外周の輪郭上のカメラに最も近い点を割出すことによって
、基準面と外周の輪郭との交点を形成する
ように
設定できる。言い換えれば、他の車両の
方向付けが、上記の様な画像評価方法を用いて
行うことができ、
その際、先ず、
画像内で基準面、特に道路
などが割出される。次に、画像内において、他の車両の二本のタイヤ
を特定することができ、続いて、
複数のタイヤの外周の輪郭が割出
すことができる、
又は導くことができる。
この場合、他の車両の
複数のタイヤは、画像内において認識
した基準面に対して
基本的に
は垂直
である
ことが前提となる。外周の輪郭に応じて、
カメラに最も近い外周の輪郭内の点を選択することによって、基準面と外周の輪郭と
の交点
が割出される。こ
れは、例えば、タイヤなど
の典型的な特徴に
基づいて、他の車両の向きを、迅速かつ
確実に割出すことができ
るという利点を有することができ、
その結果、車両周辺部の
改善された描
写を確
保することができる。
車両の交点
の割出し、
ひいては他の車両の
方向付ける可能な実施
形態は、
図4に示されており、
関連する図の説明に記述
する。
代替的
な実施形態では
、他の車両の別の特徴を
使用することができ
、それに基づいて、他の車両の向きを決定するすることができる。
【0018】
一実施例によれば、画像評価ユニットは、更に、基準面、複数のタイヤ、外周の輪郭、交点及び/又は、他の車両の向きの妥当性検証を実施するように設定してもよい。言い換えれば、駐車支援システムは、把握した情報を、所定のパラメータ及び/又は経験値に基づいて検証することができる。例えば、画像評価ユニットが他の車両の複数のタイヤの割出しを検証でき、その結果、一本目と二本目のタイヤが、同じ車両に属することが保証される。これは、車両の周辺部の描写の信頼性を高めることができるという利点がある。
【0019】
一実施例によれば、画像評価ユニットは、他の車両のフロント領域及び/又はリア領域を割出し、かつフロント領域及び/又はリア領域に依存してグリッド構造を方向付けるように設定してもよい。言い換えれば、画像評価ユニットは、他の車両の汎用的車両モデルを他の車両のフロント部及び/又はリア部の輪郭に応じて調整するために、他の車両のフロント部及び/又はリア部を割出すことが可能であり、その結果、車両の周辺部における他の車両をより現実的に描写することができる。
【0020】
本発明の更なるアスペクトは、以下のステップ、即ち、
-車両の周辺部の画像を撮影するステップ、
-グリッド構造を用いて車両の周辺部を描写するステップ、
-画像内に写っている他の車両の向きを割出すステップ、
-他の車両の向きに応じて、グリッド構造を適合するステップ、
-適合済みグリッド構造上に画像を投影するステップ、
を含むことが可能な車両の周辺部を描写する方法に関するものである。
【0021】
言い換えれば、車両の周辺部の一枚の画像を撮影することができる。車両の周辺部を描写するために、グリッド構造を利用することができる、又は特に、ディスプレイ若しくはヘッドアップディスプレイを用いて、ユーザに示すことができる。また、他の車両の向きは、他の車両が構成されている情報が割り出されることによって決定することができ、従って、他の車両の向きを評価することができる。他の車両の向きに応じて、グリッド構造が、実際の車両の周辺部に対応するように、周辺部を描写するためのグリッド構造を調整することができる。加えて、撮影された画像は、適合済みグリッド構造に投影することができる。これは、車両と他の車両との間の間隔を割出すセンサを省くことができるという利点を得られる。更に、車両の周辺部を描写するユーザの体験を改善することができる。
【0022】
一実施例によれば、方法は、更に、以下のステップ、即ち、
-画像内において、基準面を認識するステップ、
-画像内において、他の車両の二本のタイヤを特定するステップ、
-複数タイヤの外周の輪郭を割出すステップ、
-タイヤの外周の輪郭上のカメラに最も近い点を割出すことによって、基準面と外周の輪郭との交点を形成するステップ、
-交点に応じて他の車両の向きを割出すステップ、
を含む。
【0023】
言い換えれば、
画像中の基準面を
認識することで、
他の車両の向きを決定できる。更には、他の車両の二本のタイヤを画像内
で特定
することもでき、
複数のタイヤの外周の輪郭を割出すことも
できる。続いて、交点を
形成する又は割出すことがで
き、その際、交点は
、基準面とカメラに最も近い位置の外周の輪郭との交点である。
それぞれ他の車両
のタイヤ
を表すことができる二つの交点を用い
て、他の車両の向きを
決定することができる。
この場合、
複数のタイヤは、基準面に対して鉛直に向いていると仮定される。これにより、他の車両の向きを画像情報
に基づいて割出すことができ、これにより、高額なソナー
センサ又はライダセンサを必要としないと
いう利点がある。交点を
形成できる
という可能な実施
形態は、
図4に示されており、
関連する図の説明に更に
説明する。
【0024】
一実施例によれば、方法は、更に、以下のステップ、
-幾何学的形状、特に、半球を形成するステップ、
-適合済みグリッド構造を形成するために、他の車両の向きに応じて、特に、曲げなどの手段で、幾何学的形状を変形するステップ、
を含む。
【0025】
言い換えれば、例えば半球であってもよい幾何学的形状は、曲げなどの手段で、幾何学的形状が、車両の周辺部に対応するように適合される。他の車両の向きに応じて幾何学的形状の修正を行い、その結果、車両と他の車両との間うで間隔情報の欠如に起因するアーティファクトを低減することができ、従って、ユーザに対して車両の周辺部の描写が改善される。
【0026】
本発明の一実施例によれば、方法は、更に、以下のステップ、即ち、
-汎用的車両モデルを形成するステップ、
-汎用的車両モデルを幾何学的形状内に配置するステップ、
-適合済みグリッド構造を形成するために、他の車両の向きに応じて、スケーリング、移動、及び/又は回転によって、汎用的車両モデルを適応するステップ、
を含む。
【0027】
言い換えれば、二次元
モデル又は三次元のモデルであ
る汎用的車両モデルは、周辺部のバーチャルな描写内において他の車両の向きに対応する
ように、幾何学的形状内に配置される。
この場合、汎用的車両モデルは、スケーリング、移動
、及び/
又は回転によって、他の車両の輪郭および向
きに対応し、
従って、適合済みグリッド
構造が形成されるように、適合
することができる、
又は適応することができる。これにより、車両の駐車
プロセス又は発車プロセスが、改善された周辺部の描写によって容易になるという
利点がある。汎用的車両モデルを幾何学的形状内に配置する実施
形態は、
図3に示されて
いて、それに
関連する図の説明
で更に
説明する。
【0028】
本発明の更なる様態は、駐車支援システムを実行する時に、上述及び後述する方法のステップを実施するように、駐車支援システムに指示するプログラムエレメントに関するものである。
【0029】
本発明の更なる様態は、上述及び後述するプログラムエレメントが格納されているコンピュータ可読媒体に関するものである。
【0030】
本発明のこれらの特徴及び更なる特徴は、以下に記載されている実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】
一実施例に
よる駐車
支援システムの
概略図を示
す。
【
図3】
一実施例に
よる駐車
支援システムの
概略図を示
す。
【
図4】
一実施例に
よる駐車
支援システムの
概略的な実施形態を示
す。
【
図5】
一実施例に
よる車両の周辺部を描写するための方法のステップを可視化するためのフローチャートを示
す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
これらの図は、単に概略的なものであり、正確な縮尺ではない。図中、同じ要素、又は同じ作用の要素、又は類似の要素は、同じ参照番号を付してもよい。
【0033】
実施例の詳細な説明
図1は、車両の周辺部を描写
する
ように
設定されている車両200用の駐車
支援システム100を示
し、その際、駐車
支援システム100は、特に他の車両300の画像を撮影する
ように
設定されている少なくとも一台のカメラ102を
備える。
この場合、カメラ102は
、検出領域103を有
する
。画像評価ユニット106は、例えば
、検出領域103の外
側にある他の車両300の
構成要素に対して、他の車両300の色を予測する
ように
設定してもよい。
この場合、駐車
支援システム100は、車両200の周辺部をユーザに対して描写するたに、グリッド
構造を用いる。更に
、駐車
支援システム100は、画像内に描写されている一台の他の車両300の向き302を
決定する
ように
設定されている画像評価ユニット106を
備え得る。また
、画像評価ユニット106は、グリッド
構造104を、他の車両300の
決定され
ている向き302に応じて
適合する
ように
設定してもよい。加えて
、評価ユニット106は、適合済みグリッド
構造108上に画像を投影する
ように
設定してもよい。更に
図1は、車両200内に配置されている駐車
支援システム100
を示
す。車両200の隣には、他の車両300がある。車両200は、車両200の周辺部400を描写するために
利用できる画像を撮影するカメラ102を
備える。更に
、車両200は、画像評価ユニット106
と、コンピュータ
可読媒体500
とを有
する。
この場合、他の車両300は、特に車両200の位置に
応じて割出
すことができる向き302を有
する。
【0034】
図2は、車両200の周辺部400を描写するグリッド
構造104の
概略図を示
す。
この場合、カメラ102によって撮影された画像は、グリッド
構造104及び/
又は適合済みグリッド
構造108上に投影
することができ、
そして、その結果得られたモデル
を、
ディスプレイ上でユー
ザに表示
することができる。
【0035】
図3には、適合済みグリッド
構造108の
概略図が示さ
れ、その際、適合済み
のグリッド
構造は、その形状を変更する
ことができるだけで
はなく
、適合済みグリッド
構造108内
に、汎用的車両モデル304
を設けることも
できる。
この場合、汎用的車両モデル304の向きは、他の車両300の向き302に対応
する。
【0036】
図4は、交点312
を割出
す概略図を示
す。車両200に
設けられ得る駐車
支援システム100は、一台のカメラ102を
備える
。車両200の隣には、他の車両300がある。
前記車両300は、基準面306上にある。
この場合、他の車両300は、特にその
複数のタイヤ308の上にある。
この場合、複数のタイヤ308は、基準面306に対して鉛直に立っていると仮定できる。画像評価ユニット106は、
複数のタイヤ308の外周の輪郭310を割出す
ことができる。
同様に画像評価ユニット106は、
複数の交点312を割出すことによって
他の車両300の向き302を決定する
ことができる。
複数の交点312の割出しは、
複数のタイヤ308の外周の輪郭310上
で、カメラ102
に最も近い点を割出すことによって実施できる。また、カメラ102は、他の車両300のフロント部316とリア部314を割出
せる。汎用的車両モデル304の輪郭や外観は
、フロント部316及び/
又はリア部314に
適合
することができる。
【0037】
図5は、ある一つの実施例による車両200の周辺部400を描写する方法のステップを可視化するフローチャートを示す。
この方法は、更に、以下のステップ、即ち、
-車両の周辺部400の画像を撮影するステップS1、
-グリッド構造を用いて車両の周辺部400を描写するステップS2、
-画像内に写っている他の車両の向きを割出すステップS3、
-他の車両の向きに応じて、グリッド構造を適合するステップS4、
-適合済みグリッド構造上に画像を投影するステップS5、
-画像内において、基準面を認識するステップS6、
-画像内において、他の車両の二本のタイヤを特定するステップS7、
-複数のタイヤの外周の輪郭を割出すステップS8、
-複数のタイヤの外周の輪郭上のカメラに最も近い点を割出すことによって、基準面と外周の輪郭との交点を形成するステップS9、
-交点に応じて他の車両の向きを割出すステップS10、
-幾何学的形状、特に半球を形成するステップS11、
-適合済みグリッド構造を形成するために、他の車両の向きに応じて、特に、曲げなどの手段で、幾何学的形状を変形するステップS12、
-汎用的車両モデルを形成するステップS13、
-汎用的車両モデルを幾何学的形状内に配置するステップS14、
-適合済みグリッド構造を形成するために、他の車両の向きに応じて、スケーリング、移動、及び/又は回転によって、汎用的車両モデルを適応するステップS15、
を備えることができる。
【0038】
尚、ここで使われている用語「umfassend(訳=含む、備える、有する)」と「aufweisend(訳=備える、有する)」は、他の要素が含まれないと言う意味で使われているのではなく、また、原文における不定冠詞“eine”や“ein” (訳=ひとつの、ある・・・)によって、「複数」が排除されるものではないことを、捕捉として指摘しておく。更に、ひとつの実施例、又は、上述の実施例への参照とともに記述されている特徴は、他の上述の実施例の他の特徴との組み合わせで使用されてもよいことも指摘しておく。請求項内の符号は、制限をかけるものではない。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.車両の周辺部(400)を描写するように構成されている、車両(200)用の駐車支援システム(100)であって、
当該駐車支援システム(100)は、
-少なくとも一枚の画像を撮影するように構成されている少なくとも一台のカメラ(102)であって、駐車支援システム(100)は、車両(200)の周辺部(400)をユーザに対して描写するために、グリッド構造(104)を使用する、カメラ(102)、
-画像内で撮像されている他の車両(300)の向き(302)を決定し、グリッド構造(104)を他の車両(300)の決定した向き(302)に応じて適合し、適合済みグリッド構造(108)上に画像を投影するように構成されている画像評価ユニット(106)
を備えることを特徴とする駐車支援システム(100)。
2.グリッド構造(104)は、幾何学的形状、特に半球形状を備えることを特徴とする上記1に記載の駐車支援システム。
3.画像評価ユニット(106)は、幾何学的形状を曲げなどの手段によって他の車両(300)の向き(302)に対して適合することができるように構成されていることを特徴とする上記2に記載の駐車支援システム。
4.グリッド構造(104)は、付加的に汎用的車両モデル(304)を備えることを特徴とする上記1~3のうち何れか一つに記載の駐車支援システム。
5.画像評価ユニットは、汎用的車両モデル(304)を、スケーリング、移動、及び/又は回転することによって他の車両(300)の向き(302)に適合するように構成されていることを特徴とする上記4に記載の駐車支援システム。
6.画像評価ユニット(106)は、スケーリング、移動、及び/又は回転することによって、幾何学形状の汎用的車両モデル(304)を他の車両(300)の向き(302)に適合するように構成されていることを特徴とする上記2~5のうち何れか一つに記載の駐車支援システム。
7.他の車両(300)の向き(302)を決定する画像評価ユニット(106)は、
-画像内の基準面(306)を認識する、
-画像内において、少なくとも他の車両(300)の二本のタイヤ(308)を特定する、
-複数のタイヤ(308)のそれぞれの外周の輪郭(310)を割出す、
-複数のタイヤ(308)の外周の輪郭(310)上のカメラ(102)に最も近い点を割出すことによって、基準面(306)と外周の輪郭(310)とのそれぞれ一つの交点(312)を形成する、
ように構成されていることを特徴とする上記1~6のうち何れか一つに記載の駐車支援システム。
8.画像評価ユニット(106)は、更に、基準面(306)、複数のタイヤ(308)、外周の輪郭(310)、交点(312)、及び/又は他の車両(300)の向き(302)の妥当性検証を実施するように構成されていることを特徴とする上記7に記載の駐車支援システム。
9.画像評価ユニット(106)は、他の車両(300)のフロント部(316)及び/又はリア部(314)を割出し、フロント部(316)及び/又はリア部(314)に依存してグリッド構造(104)を方向付けるように構成されていることを特徴とする上記1~8のうち何れか一つに記載の駐車支援システム。
10.車両(200)の周辺部(400)を描写する方法(600)であって、
当該方法は、
-車両の周辺部(400)の画像を撮影するステップ(S1)、
-グリッド構造を用いて車両の周辺部(400)を描写するステップ(S2)、
-画像内に写っている他の車両の向きを割出すステップ(S3)、
-他の車両の向きに応じて、グリッド構造を適合するステップ(S4)、
-適合済みグリッド構造上に画像を投影するステップ(S5)、
を含むことを特徴とする方法(600)。
11.-画像内において、基準面を認識するステップ(S6)、
-画像内において、他の車両の二本のタイヤを特定するステップ(S7)、
-複数のタイヤの外周の輪郭を割出すステップ(S8)、
-複数のタイヤの外周の輪郭上のカメラに最も近い点を割出すことによって、基準面と外周の輪郭との交点を形成するステップ(S9)、
-交点に応じて他の車両の向きを割出すステップ(S10)、
を含むことを特徴とする上記10に記載の方法。
12.-幾何学的形状、特に半球を形成するステップ(S11)、
-適合済みグリッド構造を形成するために、他の車両の向きに応じて、特に、曲げなどの手段で、幾何学的形状を変形するステップ(S12)、
を含むことを特徴とする上記10~11のいずれか一つに記載の方法。
13.-汎用的車両モデルを形成するステップ(S13)、
-汎用的車両モデルを幾何学的形状内に配置するステップ(S14)、
-適合済みグリッド構造を形成するために、他の車両の向きに応じて、スケーリング、移動、及び/又は回転によって、汎用的車両モデルを適応するステップ(S15)、
を含むことを特徴とする上記10~12のいずれか一つに記載の方法。
14.プログラムエレメントが駐車支援システム(100)で実施された時、駐車支援システム(100)に、上記10~13のうち何れか一つに記載の方法(600)のステップを実施するように駐車支援システム(100)に指示するプログラムエレメント。
15.上記14に記載のプログラムエレメントが格納されているコンピュータ可読媒体(500)。