(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】配光制御装置、車両位置検出装置、車両用灯具システム、配光制御方法および車両位置検出方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/14 20060101AFI20231129BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20231129BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20231129BHJP
F21V 14/04 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
B60Q1/14 A
F21V9/40 400
F21V7/00 590
F21V14/04
(21)【出願番号】P 2021551645
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2020037744
(87)【国際公開番号】W WO2021070783
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2019186556
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019196322
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】荒井 健佑
(72)【発明者】
【氏名】片岡 拓弥
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156276(JP,A)
【文献】特開2014-232431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/14
F21V 9/40
F21V 7/00
F21V 14/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方領域を撮像する撮像装置から得られる画像の画像解析により前方車両を検出する車両検出部と、
前記前方車両の存在領域に対し車幅方向に所定のマージンを加えた処理対象領域を定める領域決定部と、
前記車両検出部による前方車両の検出と並行して、前記撮像装置から得られる画像において、前記処理対象領域に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペアの画素値に基づいて遮光部を定め、前記遮光部を含む配光パターンを決定するパターン決定部と、
を備える配光制御装置。
【請求項2】
前記パターン決定部は、
前記画像において、前記光点のペアの左側光点に重なる左光点画素と当該左光点画素の上方向に並ぶ所定数の左側上方画素とを左側上方膨張群と定め、右側光点に重なる右光点画素と当該右光点画素の上方向に並ぶ所定数の右側上方画素とを右側上方膨張群と定め、
前記左側上方膨張群と、当該左側上方膨張群から右方向に並ぶ所定数の右列画素とを右方膨張群と定め、
前記右側上方膨張群と、当該右側上方膨張群から左方向に並ぶ所定数の左列画素とを左方膨張群と定め、
前記右方膨張群および前記左方膨張群が重なる画素領域を遮光部に含める請求項1に記載の配光制御装置。
【請求項3】
前記パターン決定部は、
前記画像において、前記左側上方画素の画素値を前記左光点画素の画素値に変換し、前記右側上方画素の画素値を前記右光点画素の画素値に変換することで、前記左側上方膨張群および前記右側上方膨張群を含む上方膨張パターン画像を作成し、
前記上方膨張パターン画像において、前記右列画素の画素値を前記左側上方膨張群の画素値に変換することで、前記右方膨張群を含む右方膨張パターン画像を作成し、
前記上方膨張パターン画像において、前記左列画素の画素値を前記右側上方膨張群の画素値に変換することで、前記左方膨張群を含む左方膨張パターン画像を作成し、
前記右方膨張パターン画像および前記左方膨張パターン画像を合成して前記遮光部を定める請求項2に記載の配光制御装置。
【請求項4】
前記領域決定部は、前記車両検出部から得られる同じ検出結果に対して前記処理対象領域を繰り返し定め、前記処理対象領域を定める回数が増えるにつれて前記マージンの大きさを徐々に広げる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配光制御装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、高速カメラと、前記高速カメラよりもフレームレートの低い低速カメラと、を含み、
前記車両検出部は、前記低速カメラから得られる画像に基づいて前記前方車両を検出し、
前記パターン決定部は、前記高速カメラから得られる画像に基づいて前記配光パターンを決定する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配光制御装置。
【請求項6】
車両の前方領域を撮像する撮像装置と、
強度分布が可変である可視光ビームを前記前方領域に照射可能な配光可変ランプと、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配光制御装置と、
前記配光パターンを形成するように前記配光可変ランプを制御するランプ制御装置と、を備える車両用灯具システム。
【請求項7】
車両の前方領域を撮像する撮像装置から得られる画像の画像解析により前方車両を検出し、
前記前方車両の存在領域に対し車幅方向に所定のマージンを加えた処理対象領域を定め、
前記前方車両の検出と並行して、前記撮像装置から得られる画像において、前記処理対象領域に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペアの画素値に基づいて遮光部を定め、前記遮光部を含む配光パターンを決定することを含む配光制御方法。
【請求項8】
前記配光パターンを決定する際、
前記画像において、前記光点のペアの左側光点に重なる左光点画素と当該左光点画素の上方向に並ぶ所定数の左側上方画素とを左側上方膨張群と定め、右側光点に重なる右光点画素と当該右光点画素の上方向に並ぶ所定数の右側上方画素とを右側上方膨張群と定め、
前記左側上方膨張群と、当該左側上方膨張群から右方向に並ぶ所定数の右列画素とを右方膨張群と定め、
前記右側上方膨張群と、当該右側上方膨張群から左方向に並ぶ所定数の左列画素とを左方膨張群と定め、
前記右方膨張群および前記左方膨張群が重なる画素領域を遮光部に含める請求項7に記載の配光制御方法。
【請求項9】
前記配光パターンを決定する際、
前記画像において、前記左側上方画素の画素値を前記左光点画素の画素値に変換し、前記右側上方画素の画素値を前記右光点画素の画素値に変換することで、前記左側上方膨張群および前記右側上方膨張群を含む上方膨張パターン画像を作成し、
前記上方膨張パターン画像において、前記右列画素の画素値を前記左側上方膨張群の画素値に変換することで、前記右方膨張群を含む右方膨張パターン画像を作成し、
前記上方膨張パターン画像において、前記左列画素の画素値を前記右側上方膨張群の画素値に変換することで、前記左方膨張群を含む左方膨張パターン画像を作成し、
前記右方膨張パターン画像および前記左方膨張パターン画像を合成して前記遮光部を定める請求項8に記載の配光制御方法。
【請求項10】
車両の前方領域を撮像する撮像装置に基づく画像に対し、車幅方向に長い所定形状の第1構造要素を用いて第1膨張処理および第1収縮処理を施して、前記画像に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペアが互いにつながった横膨張領域を生成し、
前記横膨張領域に基づいて前方車両の位置を検出する車両位置検出装置。
【請求項11】
前記撮像装置に基づく画像に対し、所定形状の第2構造要素を用いた第2収縮処理の回数を相対的に少なくして、所定の第1距離に位置する前記光点のペアと前記第1距離よりも遠い第2距離に位置する前記光点のペアとを含む第1画像を生成し、
前記撮像装置に基づく画像に対し、前記第2収縮処理の回数を相対的に多くして、前記第1距離に位置する前記光点のペアを含み、前記第2距離に位置する前記光点のペアを削除した第2画像を生成し、
前記第1画像には車幅方向の長さが相対的に短い前記第1構造要素を用い、前記第2画像には車幅方向の長さが相対的に長い前記第1構造要素を用いて、それぞれの画像に前記第1膨張処理および前記第1収縮処理を施す請求項10に記載の車両位置検出装置。
【請求項12】
車両の前方領域を撮像する撮像装置と、
強度分布が可変である可視光ビームを前記前方領域に照射可能な配光可変ランプと、
請求項10または11に記載の車両位置検出装置、および前記車両位置検出装置の検出結果に基づいて遮光部を含む配光パターンを決定するパターン決定部を有する配光制御装置と、
前記配光パターンを形成するように前記配光可変ランプを制御するランプ制御装置と、を備える車両用灯具システム。
【請求項13】
前記パターン決定部は、前記横膨張領域を生成した画像の各画素の画素値を反転させて反転画像を生成し、
前記反転画像に対し、上下方向に長い所定形状の第3構造要素を用いて第3収縮処理を施して、前記横膨張領域から上方に延びる上収縮領域を生成し、前記上収縮領域を前記遮光部に含める請求項12に記載の車両用灯具システム。
【請求項14】
車両の前方領域を撮像する撮像装置に基づく画像に対し、車幅方向に長い所定形状の第1構造要素を用いて第1膨張処理および第1収縮処理を施して、前記画像に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペアが互いにつながった横膨張領域を生成し、
前記横膨張領域に基づいて前方車両の位置を検出することを含む車両位置検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配光制御装置、車両用灯具システムおよび配光制御方法に関し、特に自動車などに用いられる配光制御装置、車両用灯具システムおよび配光制御方法に関する。また、本発明は、車両位置検出装置、車両用灯具システムおよび車両位置検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間やトンネル内での安全な走行に車両用灯具が重要な役割を果たす。運転者による視認性を優先させて、車両前方を広範囲に明るく照射すると、自車前方に存在する先行車や対向車の運転者にグレアを与えてしまうという問題がある。
【0003】
近年、車両の周囲の状態に基づいてハイビームの配光パターンを動的、適応的に制御するADB(Adaptive Driving Beam)制御が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ADB制御は、自車前方に位置する高輝度の光照射を避けるべき遮光対象の有無をカメラで検出し、遮光対象に対応する領域を減光あるいは消灯するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したADB制御によれば、先行車や対向車等の前方車両へのグレアを回避しつつ、自車両の運転者の視認性を向上させることができる。視認性向上により、運転者は前方の障害物等をより確実に認識することができるため、運転の安全性が向上する。一方で、安全性のさらなる向上のために、運転者の視認性をより向上させたいという要求は常にある。また、ADB制御を実現する上では、前方車両の位置の把握が重要である。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、運転者の視認性を向上させる技術を提供することにある。また、本発明の目的の他の一つは、車両位置を検出する新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は配光制御装置である。当該装置は、車両の前方領域を撮像する撮像装置から得られる画像の画像解析により前方車両を検出する車両検出部と、前方車両の存在領域に対し車幅方向に所定のマージンを加えた処理対象領域を定める領域決定部と、車両検出部による前方車両の検出と並行して、撮像装置から得られる画像において、処理対象領域に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペアの画素値に基づいて遮光部を定め、遮光部を含む配光パターンを決定するパターン決定部と、を備える。
【0008】
本発明の他の態様は、車両用灯具システムである。当該システムは、車両の前方領域を撮像する撮像装置と、強度分布が可変である可視光ビームを前方領域に照射可能な配光可変ランプと、上記態様の配光制御装置と、配光パターンを形成するように配光可変ランプを制御するランプ制御装置と、を備える。
【0009】
また、本発明の他の態様は、配光制御方法である。当該制御方法は、車両の前方領域を撮像する撮像装置から得られる画像の画像解析により前方車両を検出し、前方車両の存在領域に対し車幅方向に所定のマージンを加えた処理対象領域を定め、前方車両の検出と並行して、撮像装置から得られる画像において、処理対象領域に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペアの画素値に基づいて遮光部を定め、遮光部を含む配光パターンを決定することを含む。
【0010】
また、本発明の他の態様は車両位置検出装置である。当該装置は、車両の前方領域を撮像する撮像装置に基づく画像に対し、車幅方向に長い所定形状の第1構造要素を用いて第1膨張処理および第1収縮処理を施して、画像に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペアが互いにつながった横膨張領域を生成し、横膨張領域に基づいて前方車両の位置を検出する。
【0011】
また、本発明の他の態様は、車両用灯具システムである。当該システムは、車両の前方領域を撮像する撮像装置と、強度分布が可変である可視光ビームを前方領域に照射可能な配光可変ランプと、上記態様の車両位置検出装置、および車両位置検出装置の検出結果に基づいて遮光部を含む配光パターンを決定するパターン決定部を有する配光制御装置と、配光パターンを形成するように配光可変ランプを制御するランプ制御装置と、を備える。
【0012】
また、本発明の他の態様は、車両位置検出方法である。当該制御方法は、車両の前方領域を撮像する撮像装置に基づく画像に対し、車幅方向に長い所定形状の第1構造要素を用いて第1膨張処理および第1収縮処理を施して、画像に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペアが互いにつながった横膨張領域を生成し、横膨張領域に基づいて前方車両の位置を検出することを含む。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運転者の視認性を向上させることができる。また、本発明によれば、車両位置を検出する新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1に係る車両用灯具システムのブロック図である。
【
図3】
図3(A)~
図3(E)は、パターン決定部の動作を説明する図である。
【
図4】
図4(A)および
図4(B)は、実施の形態1に係る配光制御装置が実行するADB制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態2に係る車両用灯具システムのブロック図である。
【
図6】配光制御装置が実行する制御の流れを説明する図である。
【
図7】
図7(A)~
図7(C)は、配光制御装置が実行する制御で生成される画像を示す図である。
【
図8】
図8(A)~
図8(D)は、配光制御装置が実行する制御で用いられる構造要素あるいは生成される画像を示す図である。
【
図9】
図9(A)~
図9(C)は、配光制御装置が実行する制御で生成される画像を示す図である。
【
図10】
図10(A)~
図10(F)は、配光制御装置が実行する制御で用いられる構造要素あるいは生成される画像を示す図である。
【
図11】
図11(A)~
図11(F)は、配光制御装置が実行する制御で用いられる構造要素あるいは生成される画像を示す図である。
【
図12】
図12(A)~
図12(D)は、配光制御装置が実行する制御で用いられる構造要素あるいは生成される画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る車両用灯具システムのブロック図である。
図1では、車両用灯具システム1の構成要素の一部を機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックは、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現される。これらの機能ブロックがハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0018】
車両用灯具システム1は、配光可変ランプ2と、撮像装置4と、配光制御装置6と、ランプ制御装置8とを備える。これらは全て同じ筐体に内蔵されていてもよいし、いくつかの部材は筐体の外部、言い換えれば車両側に設けられてもよい。
【0019】
配光可変ランプ2は、強度分布が可変である可視光ビームL1を車両の前方領域に照射可能な白色光源である。配光可変ランプ2は、ランプ制御装置8から配光パターンPTNを指示するデータを受け、配光パターンPTNに応じた強度分布を有する可視光ビームL1を出射し、車両前方に配光パターンPTNを形成する。配光可変ランプ2の構成は特に限定されず、たとえば、LD(レーザダイオード)やLED(発光ダイオード)などの半導体光源と、半導体光源を駆動して点灯させる点灯回路と、を含み得る。
【0020】
配光可変ランプ2は、配光パターンPTNに応じた照度分布を形成するために、たとえばDMD(Digital Mirror Device)や液晶デバイス等のマトリクス型のパターン形成デバイスや、光源光で自車前方を走査するスキャン光学型のパターン形成デバイスを含んでもよい。配光可変ランプ2の分解能(解像度)は、例えば1000~30万ピクセルである。また、配光可変ランプ2が1つの配光パターンPTNの形成に要する時間は、例えば0.1~5msである。
【0021】
撮像装置4は、可視光領域に感度を有し、車両の前方領域を撮像する。本実施の形態の撮像装置4は、高速カメラ10と、低速カメラ12とを含む。高速カメラ10は、比較的フレームレートが高く、例えば200fps~10000fps(1フレームあたり0.1~5ms)である。一方、低速カメラ12は、高速カメラ10よりもフレームレートが低く、例えば30fps~120fpsである(1フレームあたり約8~33ms)。
【0022】
また、高速カメラ10は、比較的解像度が小さく、例えば30万ピクセル~500万ピクセル未満である。一方、低速カメラ12は、比較的解像度が大きく、例えば500万ピクセル以上である。したがって、高速カメラ10が生成する画像IMG1は相対的に低精細であり、低速カメラ12が生成する画像IMG2は相対的に高精細である。つまり、画像IMG1は画像IMG2よりも低精細であり、画像IMG2は画像IMG1よりも高精細である。なお、高速カメラ10および低速カメラ12の解像度は、上記数値に限定されず、技術的に整合する範囲で任意の値に設定することができる。
【0023】
高速カメラ10および低速カメラ12は、車両前方の物体による可視光ビームL1の反射光L2を撮像する。高速カメラ10および低速カメラ12は、少なくとも可視光ビームL1の波長域に感度を有していればよい。好ましくは、高速カメラ10および低速カメラ12は互いの画角が一致するように設けられる。
【0024】
配光制御装置6は、撮像装置4から得られる画像に基づいて、配光可変ランプ2に供給する配光パターンPTNを動的、適応的に制御するADB制御を実行する。配光パターンPTNは、配光可変ランプ2が自車前方の仮想鉛直スクリーン900上に形成する照射パターン902の2次元の照度分布と把握される。配光制御装置6は、デジタルプロセッサで構成することができ、例えばCPUを含むマイコンとソフトウェアプログラムの組み合わせで構成してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specified IC)などで構成してもよい。
【0025】
配光制御装置6は、車両検出部14と、領域決定部16と、パターン決定部18とを備える。各部は、自身を構成する集積回路が、メモリに保持されたプログラムを実行することで動作する。
図2は、配光制御装置6の動作を説明する図である。上段は車両検出部14の出力結果であり、中段は領域決定部16の出力結果であり、下段はパターン決定部18の出力結果である。また、各段において横に並ぶ4つの図は、時間t
1~t
4における各部の出力結果である。
【0026】
車両検出部14は、撮像装置4から得られる画像の画像解析により前方車両100を検出する。本実施の形態の車両検出部14は、低速カメラ12から得られる高精細な画像IMG2に基づいて前方車両100を検出する。前方車両100には、先行車および対向車が含まれる。前方車両100は、灯具に対応する光点のペア102を有する。光点のペア102は、前方車両100が対向車である場合にはヘッドランプに対応し、前方車両100が先行車である場合にはリアランプに対応する。リアランプは、ストップランプとテールランプとを含む。光点のペア102は、左側光点102aと右側光点102bとを含む。
【0027】
車両検出部14は、アルゴリズム認識やディープラーニング等を含む公知の方法を用いて高精度な画像解析を実行し、解析結果を低速に出力する。例えば、車両検出部14は、30ms毎に前方車両100の検出結果を出力することができる。
図2に示す例では、車両検出部14は、時間t
1と時間t
4に検出結果を出力している。
【0028】
車両検出部14は、前方車両100の検出結果として、自車両に対する前方車両100の存在領域20の角度情報を生成する。この角度情報には、前方車両100の左端部の角度θLと、前方車両100の右端部の角度θRとが含まれる。左端角度θLおよび右端角度θRは、低速カメラ12の画角に対応付けられており、画像IMG2上での前方車両100の左端部および右端部の位置に等しい。車両検出部14は、検出結果を示す信号を領域決定部16に送信する。
【0029】
領域決定部16は、前方車両100の存在領域20に対し車幅方向(左右方向)に所定のマージンMを加えた処理対象領域22を定める。領域決定部16は、左端角度θLに対して左マージンMLを加え、右端角度θRに対して右マージンMRを加える。したがって、処理対象領域22は、前方車両100の存在領域20よりも左マージンMLおよび右マージンMRの分だけ車幅方向に広い。領域決定部16は、処理対象領域22の決定結果を示す情報として処理対象領域22の角度情報を生成し、決定結果を示す信号をパターン決定部18に送信する。
【0030】
領域決定部16が実行する処理は、車両検出部14が定めた存在領域20に対してマージンMを付与するだけである。このため、領域決定部16の処理速度は車両検出部14の処理速度よりも速く、例えば領域決定部16は、0.1~5ms毎に処理対象領域22の決定結果を出力することができる。
図2に示す例では、領域決定部16は、時間t
1~時間t
4に決定結果を出力している。
【0031】
パターン決定部18は、撮像装置4から得られる画像に基づいて、前方車両100に対応する部分が遮光された配光パターンPTNを決定する。本実施の形態のパターン決定部18は、高速カメラ10から得られる画像IMG1に基づいて配光パターンPTNを決定する。「ある部分を遮光する」とは、その部分の輝度(照度)を完全にゼロとする場合のほか、その部分の輝度(照度)を低下させる場合も含む。
【0032】
パターン決定部18は、車両検出部14による前方車両100の検出と並行して、画像IMG1において処理対象領域22に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペア102の画素値に基づいて、遮光部24を定める。
図3(A)~
図3(E)は、パターン決定部18の動作を説明する図である。
【0033】
図3(A)に示すように、まずパターン決定部18は、領域決定部16から受領した処理対象領域22の角度情報を画像IMG1に対応付けて、画像IMG1上で処理対象領域22を定める。そして、パターン決定部18は、画像IMG1の処理対象領域22における各画素の画素値、具体的には輝度値または色値に基づいて、光点のペア102に対応するペア画素26を抽出する。ペア画素26には、左側光点102aに重なる左光点画素26aと、右側光点102bに重なる右光点画素26bとが含まれる。
【0034】
次に、
図3(B)に示すように、パターン決定部18は、画像IMG1において左光点画素26aと、左光点画素26aの上方向に並ぶ所定数の左側上方画素28aとを左側上方膨張群30aと定める。また、パターン決定部18は、画像IMG1において右光点画素26bと、右光点画素26bの上方向に並ぶ所定数の右側上方画素28bとを右側上方膨張群30bと定める。
【0035】
本実施の形態のパターン決定部18は、上下方向に長い所定形状の第1構造要素32を用い、第1構造要素32の上端の画素を注目画素32aに対応付けて、画像IMG1の処理対象領域22に膨張処理を施す。これにより、画像IMG1において、左側上方画素28aの画素値が左光点画素26aの画素値に変換され、右側上方画素28bの画素値が右光点画素26bの画素値に変換される。この結果、左側上方膨張群30aおよび右側上方膨張群30bを含む上方膨張パターン画像IMG1aが作成される。
【0036】
続いて、
図3(C)に示すように、パターン決定部18は、上方膨張パターン画像IMG1aにおいて、左側上方膨張群30aと、左側上方膨張群30aから右方向に並ぶ所定数の右列画素34とを右方膨張群36と定める。本実施の形態のパターン決定部18は、車幅方向に長い所定形状の第2構造要素38を用い、第2構造要素38の右端の画素を注目画素38aに対応付けて、上方膨張パターン画像IMG1aの処理対象領域22に膨張処理を施す。第2構造要素38は、少なくとも膨張処理によって左側上方膨張群30aと右側上方膨張群30bとがつながる長さを有する。これにより、上方膨張パターン画像IMG1aにおいて、右列画素34の画素値が左側上方膨張群30aの画素値に変換される。この結果、右方膨張群36を含む右方膨張パターン画像IMG1bが作成される。
【0037】
また、
図3(D)に示すように、パターン決定部18は、上方膨張パターン画像IMG1aにおいて、右側上方膨張群30bと、右側上方膨張群30bから左方向に並ぶ所定数の左列画素40とを左方膨張群42と定める。本実施の形態のパターン決定部18は、車幅方向に長い所定形状の第3構造要素44を用い、第3構造要素44の左端の画素を注目画素44aに対応付けて、上方膨張パターン画像IMG1aの処理対象領域22に膨張処理を施す。第3構造要素44は、少なくとも膨張処理によって左側上方膨張群30aと右側上方膨張群30bとがつながる長さを有する。これにより、上方膨張パターン画像IMG1aにおいて、左列画素40の画素値が右側上方膨張群30bの画素値に変換される。この結果、左方膨張群42を含む左方膨張パターン画像IMG1cが作成される。
【0038】
そして、
図3(E)に示すように、パターン決定部18は、右方膨張群36および左方膨張群42が重なる画素領域46を遮光部24に含める。本実施の形態のパターン決定部18は、右方膨張パターン画像IMG1bおよび左方膨張パターン画像IMG1cを合成して、つまり右方膨張パターン画像IMG1bと左方膨張パターン画像IMG1cとのAND演算を行って、右方膨張群36および左方膨張群42が重なる画素領域46を特定し、この画素領域46を含むように遮光部24を定める(
図2参照)。
【0039】
そして、パターン決定部18は、遮光部24を含む配光パターンPTNを決定する。例えばパターン決定部18は、遮光部24を除く領域に対して所定の第1照度を定め、遮光部24に対して第1照度よりも低い第2照度を定める。上述のように、第2照度はゼロであってもよいし、ゼロよりも高く第1照度よりも低い照度であってもよい。パターン決定部18は、配光パターンPTNを指示するデータをランプ制御装置8に送信する。
【0040】
パターン決定部18の処理対象は、画像IMG1中の処理対象領域22に限定される。また、パターン決定部18は、画像IMG1の画素値(輝度値や色値)に基づいて遮光部24を決定する。具体的には、パターン決定部18は、画像IMG1に上述した膨張処理を施して各画素の画素値を変換することで、遮光部24を決定する。したがって、パターン決定部18が実行する処理は、車両検出部14が実行する高度な画像解析に比べて短時間で完了する。このため、パターン決定部18の処理速度は車両検出部14の処理速度よりも速く、例えばパターン決定部18は、0.1~5ms毎に配光パターンPTNの決定結果を出力することができる。
図2に示す例では、パターン決定部18は、時間t
1~時間t
4に決定結果を出力している。
【0041】
なお、
図3(C)に示す右方膨張パターン画像IMG1bの作成処理と、
図3(D)に示す左方膨張パターン画像IMG1cの作成処理とは、順不同であり、並列処理も可能である。また、
図3(B)~
図3(D)では、第1構造要素32~第3構造要素44を模式的に示しており、第1構造要素32~第3構造要素44のそれぞれを構成する画素の数は図示されたものに限定されない。また、存在領域20および処理対象領域22は、車幅方向の角度範囲だけでなく、上下方向の角度範囲も規定されてもよい。
【0042】
ランプ制御装置8は、パターン決定部18が定める配光パターンPTNに応じた強度分布を有する可視光ビームL1を出射するように配光可変ランプ2を制御する。例えば、配光可変ランプ2がDMDを含む場合、ランプ制御装置8は光源の点消灯と、DMDを構成する各ミラー素子のオン/オフ切り替えとを制御する。ランプ制御装置8は、例えば0.1~5ms毎に配光可変ランプ2に駆動信号を送信することができる。
【0043】
これにより、前方車両100と重なる遮光部24を有する配光パターンPTNが形成され、前方車両100の運転者にグレアを与えることなく自車両の運転者の視認性を高めることができる。上述のように、パターン決定部18は車両検出部14に比べて処理速度が速く、車両検出部14が検出結果を出力する頻度よりも高い頻度で遮光部24および配光パターンPTNを決定することができる。したがって、車両検出部14の検出結果から直接に遮光部24を定める場合に比べて、前方車両100の移動に対して遮光部24を高精度に追従させることができる。
【0044】
また、車両検出部14は、上述のとおり相対的に(つまり領域決定部16よりも)処理速度が遅く、
図2に示す例では時間t
1と時間t
4に検出結果を出力している。このため、時間t
2,t
3では、車両検出部14が定めた存在領域20に対して前方車両100がずれている。一方、領域決定部16は、相対的に(つまり車両検出部14よりも)処理速度が速く、車両検出部14が検出結果を出力する頻度よりも短い頻度で処理対象領域22を決定する。このため、時間t
2,t
3では、時間t
1に車両検出部14から出力された存在領域20に対して処理対象領域22を定める。つまり、領域決定部16は、所定のタイミング(時間t
2,t
3)においては、車両検出部14から得られる同じ検出結果(存在領域20)に対して処理対象領域22を繰り返し定める。
【0045】
領域決定部16は、同じ存在領域20に対して処理対象領域22を定める回数が増えるにつれて、マージンMの大きさを徐々に広げる。したがって、処理対象領域22は徐々に広がっていく。これにより、存在領域20に対して前方車両100がずれてしまっても、前方車両100が処理対象領域22からも外れてしまう可能性を低減することができる。よって、前方車両100をより確実に遮光することができる。また、処理対象領域22の設定初期においてはマージンMを小さくすることで、パターン決定部18の処理速度をより速めることができる。なお、領域決定部16は、車両検出部14から新たな検出結果を受領すると、マージンMを初期値に戻す。
【0046】
パターン決定部18は、処理対象領域22に含まれる光点のペア102が対向車のヘッドランプであるか先行車のリアランプであるかを特定してもよい。例えば、パターン決定部18は、処理対象領域22に対してグレースケール変換処理を施す。続いて、各画素の輝度値を2値化し、これによりヘッドランプを抽出する。また、パターン決定部18は、処理対象領域22に対してHSV変換処理を施す。続いて、各画素の色値を2値化し、これによりリアランプを抽出する。そして、ヘッドランプの抽出結果画像とリアランプの抽出結果画像とのOR演算を行って、ヘッドランプに対応するペア画素26とリアランプに対応するペア画素26とを含む画像を生成し、この画像に基づいて左側上方膨張群30aおよび右側上方膨張群30bを含む上方膨張パターン画像IMG1aを得る。
【0047】
一例として、パターン決定部18は、対向車のヘッドランプに対応するペア画素26に対して遮光部24を設定する場合は、右方膨張群36と左方膨張群42とが重なる画素領域46を遮光部24に定める。一方、先行車のリアランプに対応するペア画素26に対して遮光部24を設定する場合は、画素領域46の左右に所定のマージンを加えた領域を遮光部24とする。この所定のマージンは、先行車のサイドミラーと重なる領域に対応する。これにより、先行車の運転者に与えるグレアをより抑制することができる。
【0048】
図4(A)および
図4(B)は、実施の形態1に係る配光制御装置6が実行するADB制御の一例を示すフローチャートである。このフローは、例えば図示しないライトスイッチによってADB制御の実行指示がなされ、且つイグニッションがオンのときに所定のタイミングで繰り返し実行され、ADB制御の実行指示が解除される(あるいは停止指示がなされる)か、イグニッションがオフにされた場合に終了する。また、
図4(A)に示すフローと
図4(B)に示すフローとは、並行して実行される。
【0049】
図4(A)に示すように、配光制御装置6は、低速カメラ12から新たな画像IMG2を受領したか判断する(S101)。新たな画像IMG2を受領した場合(S101のY)、配光制御装置6は、この画像IMG2に基づいて前方車両100を検出し、存在領域20を更新する(S102)。続いて、配光制御装置6は、得られた存在領域20に基づいて処理対象領域22を更新し(S103)、本ルーチンを終了する。低速カメラ12から新たな画像IMG2を受領していない場合(S101のN)、配光制御装置6は、既に取得している存在領域20に基づいて処理対象領域22を更新する(S103)。
【0050】
また、
図4(B)に示すように、配光制御装置6は、高速カメラ10から新たな画像IMG1を受領したか判断する(S201)。新たな画像IMG1を受領していない場合(S201のN)、本ルーチンを終了する。新たな画像IMG1を受領した場合(S201のY)、配光制御装置6は、ステップS103で更新した処理対象領域22を画像IMG1に設定する(S202)。次いで、配光制御装置6は、処理対象領域22内の光点、つまりペア画素26を抽出する(S203)。続いて、配光制御装置6は、膨張処理により遮光部24を決定する(S204)。そして、配光制御装置6は、新たな配光パターンPTNを指示するデータをランプ制御装置8に送信して配光パターンPTNを更新し(S205)、本ルーチンを終了する。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態に係る配光制御装置6は、車両の前方領域を撮像する撮像装置4から得られる画像の画像解析により前方車両を検出する車両検出部14と、前方車両100の存在領域20に対し車幅方向に所定のマージンMを加えた処理対象領域22を定める領域決定部16と、車両検出部14による前方車両100の検出と並行して、撮像装置4から得られる画像において、処理対象領域22に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペア102の画素値に基づいて遮光部24を定め、遮光部24を含む配光パターンPTNを決定するパターン決定部18と、を備える。
【0052】
パターン決定部18は、画像の画素値に基づいて遮光部24を決定する。このため、パターン決定部18は、画像解析を実行する車両検出部14よりも高速に処理を実行することができる。また、パターン決定部18が処理を実行する画像領域は、処理対象領域22に限定されている。また、パターン決定部18は、車両検出部14とは並行して処理を実行する。よって、本実施の形態の配光制御装置6によれば、配光パターンPTNを高頻度に更新することができる。これにより、前方車両100の移動に対して遮光部24を高精度に追従させることができる。
【0053】
画像解析により前方車両を検知し、直にその結果に基づいて遮光部を決定していた従来のADB制御では、遮光部の決定処理の遅さに起因する前方車両と遮光部とのずれを考慮して、遮光部にマージンを設けていた。これに対し、本実施の形態によれば、前方車両100に対して遮光部24を高精度に一致させることができるため、遮光部に設けるマージンを小さくすることができる。よって、運転者の視認性を向上させることができる。
【0054】
また、本実施の形態のパターン決定部18は、撮像装置4から得られる画像において、光点のペア102の左側光点102aに重なる左光点画素26aと左光点画素26aの上方向に並ぶ所定数の左側上方画素28aとを左側上方膨張群30aと定め、右側光点102bに重なる右光点画素26bと右光点画素26bの上方向に並ぶ所定数の右側上方画素28bとを右側上方膨張群30bと定める。また、パターン決定部18は、左側上方膨張群30aと、左側上方膨張群30aから右方向に並ぶ所定数の右列画素34とを右方膨張群36と定め、右側上方膨張群30bと、右側上方膨張群30bから左方向に並ぶ所定数の左列画素40とを左方膨張群42と定める。また、パターン決定部18は、右方膨張群36および左方膨張群42が重なる画素領域46を遮光部24に含める。これにより、配光制御装置6の処理速度をより速めることができる。
【0055】
また、パターン決定部18は、撮像装置4から得られる画像において、左側上方画素28aの画素値を左光点画素26aの画素値に変換し、右側上方画素28bの画素値を右光点画素26bの画素値に変換することで、左側上方膨張群30aおよび右側上方膨張群30bを含む上方膨張パターン画像IMG1aを作成する。また、パターン決定部18は、上方膨張パターン画像IMG1aにおいて、右列画素34の画素値を左側上方膨張群30aの画素値に変換することで、右方膨張群36を含む右方膨張パターン画像IMG1bを作成する。また、パターン決定部18は、上方膨張パターン画像IMG1aにおいて、左列画素40の画素値を右側上方膨張群30bの画素値に変換することで、左方膨張群42を含む左方膨張パターン画像IMG1cを作成する。また、パターン決定部18は、右方膨張パターン画像IMG1bおよび左方膨張パターン画像IMG1cを合成して遮光部24を定める。これにより、配光制御装置6の処理速度をより速めることができる。
【0056】
また、領域決定部16は、車両検出部14から得られる同じ検出結果に対して処理対象領域22を繰り返し定め、処理対象領域22を定める回数が増えるにつれてマージンMの大きさを徐々に広げる。これにより、前方車両100の存在領域20をより確実に遮光することができる。
【0057】
また、撮像装置4は、高速カメラ10と、高速カメラ10よりもフレームレートの低い低速カメラ12とを含み、車両検出部14は低速カメラ12から得られる画像IMG2に基づいて前方車両100を検出し、パターン決定部18は高速カメラ10から得られる画像IMG1に基づいて配光パターンPTNを決定する。これにより、ADB制御をより高精度に実行することができる。また、車両検出部14とパターン決定部18とのそれぞれにカメラを割り当てることで、それぞれの処理に必要とされる性能に特化したカメラを採用することができる。一般に、車両検出部14の処理とパターン決定部18の処理とに必要とされる性能を兼ね備えるカメラは高価である。このため、本実施の形態によれば、撮像装置4の低コスト化を図ることができ、ひいては車両用灯具システム1の低コスト化を図ることができる。
【0058】
以上、本発明の実施の形態1について詳細に説明した。前述した実施の形態1は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態1の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態1では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0059】
1つのカメラが高速カメラ10および低速カメラ12の両方の機能を果たしてもよい。例えば、高速カメラ10が低速カメラ12と同等の解像度を有する場合や、高速カメラ10の解像度が低いままであってもこの低い解像度で十分な車両検出を実施可能なアルゴリズムを車両検出部14が有する場合には、低速カメラ12を省略してもよい。これにより、車両用灯具システム1の小型化を図ることができる。
【0060】
上述した実施の形態1に係る発明は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
【0061】
(項目1)
車両の前方領域を撮像する撮像装置4から得られる画像の画像処理により前方車両100を検出し、
前方車両100の存在領域20に対し車幅方向に所定のマージンMを加えた処理対象領域22を定め、
前方車両100の検出と並行して、撮像装置4から得られる画像において、処理対象領域22に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペア102の画素値に基づいて遮光部24を定め、遮光部24を含む配光パターンPTNを決定することを含む配光制御方法。
【0062】
(項目2)
配光パターンPTNを決定する際、
画像において、光点のペア102の左側光点102aに重なる左光点画素26aと当該左光点画素26aの上方向に並ぶ所定数の左側上方画素28aとを左側上方膨張群30aと定め、右側光点102bに重なる右光点画素26bと当該右光点画素26bの上方向に並ぶ所定数の右側上方画素28bとを右側上方膨張群30bと定め、
左側上方膨張群30aと、当該左側上方膨張群30aから右方向に並ぶ所定数の右列画素34とを右方膨張群36と定め、
右側上方膨張群30bと、当該右側上方膨張群30bから左方向に並ぶ所定数の左列画素40とを左方膨張群42と定め、
右方膨張群36および左方膨張群42が重なる画素領域46を遮光部24に定める項目1の配光制御方法。
【0063】
(項目3)
配光パターンPTNを決定する際、
画像において、左側上方画素28aの画素値を左光点画素26aの画素値に変換し、右側上方画素28bの画素値を右光点画素26bの画素値に変換することで、左側上方膨張群30aおよび右側上方膨張群30bを含む上方膨張パターン画像IMG1aを作成し、
上方膨張パターン画像IMG1aにおいて、右列画素34の画素値を左側上方膨張群30aの画素値に変換することで、右方膨張群36を含む右方膨張パターン画像IMG1bを作成し、
上方膨張パターン画像IMG1aにおいて、左列画素40の画素値を右側上方膨張群30bの画素値に変換することで、左方膨張群42を含む左方膨張パターン画像IMG1cを作成し、
右方膨張パターン画像IMG1bおよび左方膨張パターン画像IMG1cを合成して遮光部24を定める項目2に記載の配光制御方法。
【0064】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る車両用灯具システムのブロック図である。
図5では、車両用灯具システム1001の構成要素の一部を機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックは、ハードウェア構成としてはコンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現され、ソフトウェア構成としてはコンピュータプログラム等によって実現される。これらの機能ブロックがハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0065】
車両用灯具システム1001は、配光可変ランプ1002と、撮像装置1004と、配光制御装置1006と、ランプ制御装置1008とを備える。これらは全て同じ筐体に内蔵されてもよいし、いくつかの部材は筐体の外部、言い換えれば車両側に設けられてもよい。
【0066】
配光可変ランプ1002は、強度分布が可変である可視光ビームL1を車両の前方領域に照射可能な白色光源である。配光可変ランプ1002は、ランプ制御装置1008から配光パターンPTNを指示するデータを受け、配光パターンPTNに応じた強度分布を有する可視光ビームL1を出射し、車両前方に配光パターンPTNを形成する。配光可変ランプ1002の構成は特に限定されず、たとえば、LD(レーザダイオード)やLED(発光ダイオード)などの半導体光源と、半導体光源を駆動して点灯させる点灯回路と、を含み得る。
【0067】
配光可変ランプ1002は、配光パターンPTNに応じた照度分布を形成するために、たとえばDMD(Digital Mirror Device)や液晶デバイス等のマトリクス型のパターン形成デバイス、あるいは光源光で自車前方を走査するスキャン光学型のパターン形成デバイス等を含んでもよい。配光可変ランプ1002の分解能(解像度)は、例えば1000~30万ピクセルである。
【0068】
撮像装置1004は、可視光領域に感度を有し、車両の前方領域を撮像する。撮像装置1004は、車両前方の物体による可視光ビームL1の反射光L2を撮像する。撮像装置1004は、少なくとも可視光ビームL1の波長域に感度を有していればよい。
【0069】
配光制御装置1006は、撮像装置1004から得られる画像IMGに基づいて、配光可変ランプ1002に供給する配光パターンPTNを動的、適応的に制御するADB制御を実行する。配光パターンPTNは、配光可変ランプ1002が自車前方の仮想鉛直スクリーン900上に形成する照射パターン902の2次元の照度分布と把握される。配光制御装置1006は、デジタルプロセッサで構成することができ、例えばCPUを含むマイコンとソフトウェアプログラムの組み合わせで構成してもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specified IC)などで構成してもよい。
【0070】
配光制御装置1006は、車両位置検出装置1010と、パターン決定部1012とを有する。各部は、自身を構成する集積回路が、メモリに保持されたプログラムを実行することで動作する。
図6は、配光制御装置1006が実行する制御の流れを説明する図である。
図7(A)~
図7(C)、
図8(A)~
図8(D)、
図9(A)~
図9(C)、
図10(A)~
図10(F)、
図11(A)~
図11(F)および
図12(A)~
図12(D)は、配光制御装置1006が実行する制御で用いられる構造要素あるいは生成される画像を示す図である。
【0071】
車両位置検出装置1010は、撮像装置1004に基づく画像に所定の画像処理を施して、対向車および先行車を含む前方車両の位置を検出する。撮像装置1004に基づく画像には、撮像装置1004から直に得られる画像IMGだけでなく、当該画像IMGに所定の画像処理が施された画像、つまり直に得られる画像IMGに由来する画像も含まれる。
【0072】
まず、車両位置検出装置1010は、撮像装置1004から画像IMG(カメラ画像)を取得する(S1101)。
図7(A)に示すように、撮像装置1004から得られる画像IMGには、先行車のリアランプRLに対応する光点(以下、単にリアランプRLともいう)と、対向車のヘッドランプHLに対応する光点(以下、単にヘッドランプHLともいう)とが含まれる。リアランプRLは、ストップランプとテールランプとを含む。
【0073】
車両位置検出装置1010は、画像IMGにHSV変換処理を施し、リアランプRL用の所定の閾値を用いてHSV画像に2値化処理を施す(S1102)。これにより、
図7(B)に示すように、リアランプRLが抽出されたリアランプ画像IMGaが得られる。リアランプ画像IMGaにおいて、リアランプRLに対応する画素は高画素値であり、その他の画素は低画素値である。
【0074】
また、車両位置検出装置1010は、画像IMGにHSV変換処理を施し、ヘッドランプHL用の所定の閾値を用いてHSV画像に2値化処理を施す(S1103)。これにより、
図7(C)に示すように、ヘッドランプHLが抽出されたヘッドランプ画像IMGbが得られる。ヘッドランプ画像IMGbにおいて、ヘッドランプHLに対応する画素は高画素値であり、その他の画素は低画素値である。
【0075】
なお、リアランプRLの抽出処理(ステップS1102)およびヘッドランプHLの抽出処理(ステップS1103)は、順不同であり、並列処理も可能である。また、各抽出処理の方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
【0076】
車両位置検出装置1010は、
図8(A)に示す所定形状の第2構造要素1014を用いて、撮像装置1004に基づく画像、具体的にはリアランプ画像IMGaに対し、所定回数の第2収縮処理を施す(S1104)。なお、
図6ではリアランプ画像IMGaに施す第2収縮処理の回数を3回としているが、これに限らず、回数は適宜設定することができる。
【0077】
本実施の形態の第2構造要素1014は、十字形状を有する。車両位置検出装置1010は、第2構造要素1014の中心画素を注目画素1014aに対応付けて、リアランプ画像IMGaに第2収縮処理を施す。なお、
図8(A)では第2構造要素1014を模式的に示しており、第2構造要素1014の中心画素から上下左右に延びる部分を構成する画素の数は、図示されたものに限定されない。
【0078】
第2収縮処理では、第2構造要素1014が重なるいずれかの画素に低画素値の画素が含まれる場合、注目画素1014aの画素値が当該低画素値に変換される。したがって、第2収縮処理の回数が増えるにつれて、大きさの小さい光点から順に削除されていく。通常、前方車両のヘッドランプHLあるいはリアランプRLの大きさは、自車両から近い位置にあるほど大きい。このため、第2収縮処理の回数が増えるにつれて、自車両から遠い位置にある前方車両のヘッドランプHLあるいはリアランプRLから順に削除されていく。
【0079】
車両位置検出装置1010は、リアランプ画像IMGaに施す第2収縮処理の回数を相対的に少なくして、所定の第1距離に位置するリアランプRLのペアと、第1距離よりも遠い第2距離に位置するリアランプRLのペアとを含む第1画像を生成する。また、車両位置検出装置1010は、第2収縮処理の回数を相対的に多くして、第1距離に位置するリアランプRLのペアを含み、第2距離に位置するリアランプRLのペアを削除した第2画像を生成する。つまり、第1画像を生成する際の第2収縮処理の回数は第2画像を生成する際の第2収縮処理の回数よりも少なく、第2画像を生成する際の第2収縮処理の回数は第1画像を生成する際の第2収縮処理の回数よりも多い。
【0080】
図8(B)は、第2収縮処理の回数が0回であるリアランプ画像IMGa0である。
図8(C)は、第2収縮処理の回数が1回であるリアランプ画像IMGa1である。
図8(D)は、第2収縮処理の回数が3回であるリアランプ画像IMGa3である。なお、車両位置検出装置1010は、第2収縮処理を2回施したリアランプ画像IMGaも生成するが、図示は省略する。
【0081】
リアランプ画像IMGa0には、所定の第1距離に位置するリアランプRLのペアRL1と、第1距離よりも遠い第2距離に位置するリアランプRLのペアRL2とが含まれる。一方、リアランプ画像IMGa1には、第1距離に位置するリアランプRLのペアRL1は含まれるが、第2距離に位置するリアランプRLのペアRL2は削除されている。したがって、リアランプ画像IMGa0は第1画像に相当し、リアランプ画像IMGa1は第2画像に相当する。なお、リアランプ画像IMGa0,IMGa1には、リアランプRLのペアRL1よりも近くに位置するリアランプRLのペアRL3も含まれている。
【0082】
また、リアランプ画像IMGa1には、所定の第1距離に位置するリアランプRLのペアRL3と、第1距離よりも遠い第2距離に位置するリアランプRLのペアRL1とが含まれる。一方、リアランプ画像IMGa3には、第1距離に位置するリアランプRLのペアRL3は含まれるが、第2距離に位置するリアランプRLのペアRL1は削除されている。したがって、リアランプ画像IMGa1は第1画像に相当し、リアランプ画像IMGa3は第2画像に相当する。
【0083】
車両位置検出装置1010は、ヘッドランプ画像IMGbに対しても同様の処理を実行する。つまり、車両位置検出装置1010は、
図8(A)に示す第2構造要素1014を用いて、ヘッドランプ画像IMGbに対し所定回数の第2収縮処理を施す(S1105)。なお、
図6ではヘッドランプ画像IMGbに施す第2収縮処理の回数を5回としているが、これに限らず、回数は適宜設定することができる。
【0084】
車両位置検出装置1010は、ヘッドランプ画像IMGbに施す第2収縮処理の回数を相対的に少なくして、所定の第1距離に位置するヘッドランプHLのペアと、第1距離よりも遠い第2距離に位置するヘッドランプHLのペアとを含む第1画像を生成する。また、車両位置検出装置1010は、第2収縮処理の回数を相対的に多くして、第1距離に位置するヘッドランプHLのペアを含み、第2距離に位置するヘッドランプHLのペアを削除した第2画像を生成する。つまり、第1画像を生成する際の第2収縮処理の回数は第2画像を生成する際の第2収縮処理の回数よりも少なく、第2画像を生成する際の第2収縮処理の回数は第1画像を生成する際の第2収縮処理の回数よりも多い。
【0085】
図9(A)は、第2収縮処理の回数が0回であるヘッドランプ画像IMGb0である。
図9(B)は、第2収縮処理の回数が1回であるヘッドランプ画像IMGb1である。
図9(C)は、第2収縮処理の回数が5回であるヘッドランプ画像IMGb5である。なお、車両位置検出装置1010は、第2収縮処理を2~4回施したヘッドランプ画像IMGbも生成するが、図示は省略する。
【0086】
ヘッドランプ画像IMGb0には、所定の第1距離に位置するヘッドランプHLのペアHL1と、第1距離よりも遠い第2距離に位置するヘッドランプHLのペアHL2とが含まれる。一方、ヘッドランプ画像IMGb1には、第1距離に位置するヘッドランプHLのペアHL1は含まれるが、第2距離に位置するヘッドランプHLのペアHL2は削除されている。したがって、ヘッドランプ画像IMGb0は第1画像に相当し、ヘッドランプ画像IMGb1は第2画像に相当する。なお、ヘッドランプ画像IMGb0,IMGb1には、ヘッドランプHLのペアHL1よりも近くに位置するヘッドランプHLのペアHL3も含まれている。
【0087】
また、ヘッドランプ画像IMGb1には、所定の第1距離に位置するヘッドランプHLのペアHL3と、第1距離よりも遠い第2距離に位置するヘッドランプHLのペアHL1とが含まれる。一方、ヘッドランプ画像IMGb5には、第1距離に位置するヘッドランプHLのペアHL3は含まれるが、第2距離に位置するヘッドランプHLのペアHL1は削除されている。したがって、ヘッドランプ画像IMGb1は第1画像に相当し、ヘッドランプ画像IMGb5は第2画像に相当する。
【0088】
なお、リアランプ画像IMGaに対する第2収縮処理(ステップS1104)およびヘッドランプ画像IMGbに対する第2収縮処理(ステップS1105)は、順不同であり、並列処理も可能である。
【0089】
車両位置検出装置1010は、
図10(A)、
図10(C)および
図10(E)に示す所定形状の第1構造要素1016を用いて、撮像装置1004に基づく画像、具体的にはリアランプ画像IMGa0~IMGa3に対し、第1膨張処理および第1収縮処理を施す(S1106)。
【0090】
本実施の形態の第1構造要素1016は、車幅方向(横方向)に長い形状を有する。車両位置検出装置1010は、第1構造要素1016の中心画素を注目画素1016aに対応付けて、リアランプ画像IMGa0~IMGa3に第1膨張処理を施した後、第1収縮処理を施す。なお、
図10(A)、
図10(C)および
図10(E)では第1構造要素1016を模式的に示しており、第1構造要素1016の中心画素から左右に延びる部分を構成する画素の数は、図示されたものに限定されない。
【0091】
第1膨張処理では、第1構造要素1016が重なるいずれかの画素に高画素値の画素が含まれる場合、注目画素1016aの画素値が当該高画素値に変換される。また、第1収縮処理では、第1構造要素1016が重なるいずれかの画素に低画素値の画素が含まれる場合、注目画素1016aの画素値が当該低画素値に変換される。これにより、リアランプ画像IMGa0~IMGa3に含まれる車幅方向に並ぶリアランプRLのペアが互いにつながった横膨張領域1018が生成される。
【0092】
車両位置検出装置1010は、第1画像には車幅方向の長さが相対的に短い第1構造要素1016を用い、第2画像には車幅方向の長さが相対的に長い第1構造要素1016を用いて、それぞれの画像に第1膨張処理および第1収縮処理を施す。つまり、第1画像に用いる第1構造要素1016は第2画像に用いる第1構造要素1016より車幅方向に短く、第2画像に用いる第1構造要素1016は第1画像に用いる第1構造要素1016より車幅方向に長い。言い換えれば、車両位置検出装置1010は、第2収縮処理の実施回数が少ない画像ほど、車幅方向の長さが短い第1構造要素1016を用いて第1膨張処理および第1収縮処理を施す。
【0093】
図10(A)は、リアランプ画像IMGa0の第1膨張処理および第1収縮処理に用いられる第1構造要素1016bである。
図10(C)は、リアランプ画像IMGa1の第1膨張処理および第1収縮処理に用いられる第1構造要素1016cである。
図10(E)は、リアランプ画像IMGa3の第1膨張処理および第1収縮処理に用いられる第1構造要素1016dである。
【0094】
通常、リアランプRLのペアの間隔は、自車両に近づくにつれて徐々に離れていく。このため、車幅方向の長さが短い第1構造要素1016を用いた第1膨張処理では、自車両から遠いリアランプRLのペアをつなげることはできるが、自車両に近いリアランプRLのペアはつなげることができない。したがって、長さの異なる第1構造要素1016を用いて第1膨張処理を施すことで、横膨張領域1018の生成対象となるペアを自車両からの距離に応じて選別することができる。
【0095】
第1画像であるリアランプ画像IMGa0に用いられる第1構造要素1016bは、第2画像であるリアランプ画像IMGa1に用いられる第1構造要素1016cよりも左右に短い。また、リアランプ画像IMGa0は、第2膨張処理の回数が0回であり、自車両に近いリアランプRLのペアRL1,RL3だけでなく、自車両から遠いリアランプRLのペアRL2も含まれる。したがって、第1構造要素1016bを用いてリアランプ画像IMGa0に第1膨張処理を施すと、
図10(B)に示すように、リアランプRLのペアRL2はつながって横膨張領域1018となるが、ペアRL1,RL3はつながらずに分離した状態が維持される。
【0096】
一方、第2画像であるリアランプ画像IMGa1に用いられる第1構造要素1016cは、第1構造要素1016bよりも左右に長い。このため、第1構造要素1016cを用いてリアランプ画像IMGa1に第1膨張処理を施すと、
図10(D)に示すように、自車両に近いリアランプRLのペアRL1がつながって横膨張領域1018となる。なお、リアランプRLのペアRL1よりも自車両に近いリアランプRLのペアRL3は、分離した状態が維持される。
【0097】
また、第1画像であるリアランプ画像IMGa1に用いられる第1構造要素1016cは、第2画像であるリアランプ画像IMGa3に用いられる第1構造要素1016dよりも左右に短い。したがって、第1構造要素1016cを用いてリアランプ画像IMGa1に第1膨張処理を施すと、
図10(D)に示すように、リアランプRLのペアRL1はつながって横膨張領域1018となるが、ペアRL3はつながらずに分離した状態が維持される。
【0098】
一方、第2画像であるリアランプ画像IMGa3に用いられる第1構造要素1016dは、第1構造要素1016cよりも左右に長い。このため、第1構造要素1016dを用いてリアランプ画像IMGa3に第1膨張処理を施すと、
図10(F)に示すように、自車両に近いリアランプRLのペアRL3がつながって横膨張領域1018となる。
【0099】
各第1構造要素1016の長さは、横膨張領域1018の生成対象とする光点のペアの間隔に応じて、適宜設定することが可能である。また、第2収縮処理の回数と第1構造要素1016の長さとの対応関係も適宜設定することができる。例えば、各回数の第2収縮処理の後に残る光点のペアのうち最も間隔の短い光点のペアにあわせて、リアランプ画像IMGa0~IMGa3のそれぞれに用いる第1構造要素1016の長さが設定される。
【0100】
リアランプ画像IMGa1は、第2収縮処理が施されたことでリアランプRLのペアRL2を含まない。このため、第1構造要素1016cを用いた第1膨張処理によって、リアランプRLのペアRL2に由来する横膨張領域1018が生成されることを回避することができる。同様に、リアランプ画像IMGa3は、第2収縮処理が施されたことでリアランプRLのペアRL1,RL2を含まない。このため、第1構造要素1016dを用いた第1膨張処理によって、リアランプRLのペアRL1,RL2に由来する横膨張領域1018が生成されることを回避することができる。
【0101】
リアランプRLのペアRL2に対して相対的に長い第1構造要素1016cや第1構造要素1016dを用いて第1膨張処理を施すと、これにより得られる横膨張領域1018は、相対的に短い第1構造要素1016bを用いて得られる横膨張領域1018に比べて車幅方向に長くなるおそれがある。
【0102】
例えば、上述した各ランプの抽出処理を施さない場合、つまりヘッドランプHLとリアランプRLとを含む
図7(A)の画像IMGに対して第1膨張処理を施した場合、相対的に長い第1構造要素1016cや第1構造要素1016dを用いると、左右に並ぶリアランプRLのペアRL2とヘッドランプHLのペアHL2とから1つの横膨張領域1018が生成されてしまうおそれがある。
【0103】
あるいは、自車両が片側複数車線の道路を走行している場合などは、
図7(A)の画像IMGにおいて全ての光点がリアランプRLとなり得る。この場合、上述したリアランプRLの抽出処理を施した場合であっても、つまりリアランプ画像IMGaに対して第1膨張処理を施した場合であっても、相対的に長い第1構造要素1016cや第1構造要素1016dの使用によって、左右に並ぶ2組のリアランプRLのペアRL2から1つの横膨張領域1018が生成されてしまうおそれがある。
【0104】
これらの場合、実際には2台の車両が前方に並んでいるにもかかわらず、横膨張領域1018に基づいた車両位置検出では1台の車両が存在すると判定されてしまう。これに対し、光点のペアの間隔に応じて第1構造要素1016の長さを異ならせることで、各前方車両に対応する横膨張領域1018をより確実に生成することができる。このため、より正確に車両の位置を検出することが可能となる。
【0105】
車両位置検出装置1010は、ヘッドランプ画像IMGbに対しても同様の処理を実行する。つまり、車両位置検出装置1010は、
図11(A)、
図11(C)および
図11(E)に模式的に示す車幅方向に長い所定形状の第1構造要素1016を用いて、ヘッドランプ画像IMGb0~IMGb5に対し第1膨張処理および第1収縮処理を施す(S1107)。車両位置検出装置1010は、第1構造要素1016の中心画素を注目画素1016aに対応付けて、ヘッドランプ画像IMGb0~IMGb5に第1膨張処理を施した後、第1収縮処理を施す。第1膨張処理および第1収縮処理により、ヘッドランプ画像IMGbに含まれる車幅方向に並ぶヘッドランプHLのペアが互いにつながった横膨張領域1018が生成される。
【0106】
車両位置検出装置1010は、第1画像には車幅方向の長さが相対的に短い第1構造要素1016を用い、第2画像には車幅方向の長さが相対的に長い第1構造要素1016を用いて、それぞれの画像に第1膨張処理および第1収縮処理を施す。つまり、第1画像に用いる第1構造要素1016は第2画像に用いる第1構造要素1016より車幅方向に短く、第2画像に用いる第1構造要素1016は第1画像に用いる第1構造要素1016より車幅方向に長い。
【0107】
図11(A)は、ヘッドランプ画像IMGb0の第1膨張処理および第1収縮処理に用いられる第1構造要素1016eである。
図11(C)は、ヘッドランプ画像IMGb1の第1膨張処理および第1収縮処理に用いられる第1構造要素1016fである。
図11(E)は、ヘッドランプ画像IMGb5の第1膨張処理および第1収縮処理に用いられる第1構造要素1016gである。
【0108】
第1画像であるヘッドランプ画像IMGb0に用いられる第1構造要素1016eは、第2画像であるヘッドランプ画像IMGb1に用いられる第1構造要素1016fよりも左右に短い。したがって、第1構造要素1016eを用いてヘッドランプ画像IMGb0に第1膨張処理を施すと、
図11(B)に示すように、ヘッドランプHLのペアHL2はつながって横膨張領域1018となるが、ペアHL1,HL3はつながらずに分離した状態が維持される。
【0109】
一方、第2画像であるヘッドランプ画像IMGb1に用いられる第1構造要素1016fは、第1構造要素1016eよりも左右に長い。このため、第1構造要素1016fを用いてヘッドランプ画像IMGb1に第1膨張処理を施すと、
図11(D)に示すように、自車両に近いヘッドランプHLのペアHL1がつながって横膨張領域1018となる。なお、ヘッドランプHLのペアHL1よりも自車両に近いヘッドランプHLのペアHL3は、分離した状態が維持される。
【0110】
また、第1画像であるヘッドランプ画像IMGb1に用いられる第1構造要素1016fは、第2画像であるヘッドランプ画像IMGb5に用いられる第1構造要素1016gよりも左右に短い。したがって、第1構造要素1016fを用いてヘッドランプ画像IMGb1に第1膨張処理を施すと、
図11(D)に示すように、ヘッドランプHLのペアHL1はつながって横膨張領域1018となるが、ペアHL3はつながらずに分離した状態が維持される。
【0111】
一方、第2画像であるヘッドランプ画像IMGb5に用いられる第1構造要素1016gは、第1構造要素1016fよりも左右に長い。このため、第1構造要素1016gを用いてヘッドランプ画像IMGb5に第1膨張処理を施すと、
図11(F)に示すように、自車両に近いヘッドランプHLのペアHL3がつながって横膨張領域1018となる。
【0112】
ヘッドランプ画像IMGb1は、第2収縮処理が施されたことでヘッドランプHLのペアHL2を含まない。このため、第1構造要素1016fを用いた第1膨張処理によって、ヘッドランプHLのペアHL2に由来する横膨張領域1018が生成されることを回避することができる。同様に、ヘッドランプ画像IMGb5は、第2収縮処理が施されたことでヘッドランプHLのペアHL1,HL2を含まない。このため、第1構造要素1016gを用いた第1膨張処理によって、ヘッドランプHLのペアHL1,HL2に由来する横膨張領域1018が生成されることを回避することができる。これらにより、より正確に車両の位置を検出することが可能となる。
【0113】
なお、リアランプ画像IMGaに対する第1膨張処理および第1収縮処理(ステップS1106)ならびにヘッドランプ画像IMGbに対する第1膨張処理および第1収縮処理(ステップS1107)は、順不同であり、並列処理も可能である。
【0114】
車両位置検出装置1010は、リアランプ画像IMGa0~IMGa3を合成して、つまり、各リアランプ画像IMGaのOR演算を行って、各リアランプRLのペアに基づく横膨張領域1018を含むリアランプ横膨張画像を生成する(S1108)。また、車両位置検出装置1010は、ヘッドランプ画像IMGb0~IMGb5を合成して、つまり各ヘッドランプ画像IMGbのOR演算を行って、各ヘッドランプHLのペアに基づく横膨張領域1018を含むヘッドランプ横膨張画像を生成する(S1109)。なお、リアランプ画像IMGaの合成処理(ステップS1108)およびヘッドランプ画像IMGbの合成処理(ステップS1109)は、順不同であり、並列処理も可能である。
【0115】
そして、車両位置検出装置1010は、リアランプ横膨張画像とヘッドランプ横膨張画像とを合成して、つまり両画像のOR演算を行って、
図12(A)に示す集合横膨張画像IMGcを生成する(S1110)。車両位置検出装置1010は、集合横膨張画像IMGcに含まれる各横膨張領域1018に基づいて、前方車両の位置を検出することができる。例えば、車両位置検出装置1010は、集合横膨張画像IMGcにおける各横膨張領域1018の位置そのものを自車両の前方領域における前方車両の位置として検出する。
【0116】
車両位置検出装置1010は、検出結果情報として、集合横膨張画像IMGcをパターン決定部1012に送る。なお、車両位置検出装置1010は、集合横膨張画像IMGcから前方車両の位置を示す角度情報等を抽出して、抽出結果をパターン決定部1012に送ってもよい。また、車両位置検出装置1010は、例えば自動運転を司るECU等に検出結果情報を送ってもよい。
【0117】
パターン決定部1012は、車両位置検出装置1010の検出結果に基づいて、前方車両に対応する部分が遮光された配光パターンPTNを決定する。「ある部分を遮光する」とは、その部分の輝度(照度)を完全にゼロとする場合のほか、その部分の輝度(照度)を低下させる場合も含む。
【0118】
本実施の形態のパターン決定部1012は、横膨張領域1018を生成した画像、つまり集合横膨張画像IMGcの各画素の画素値を反転させて、
図12(B)に示す反転画像IMGdを生成する(S1111)。反転画像IMGdにおいて、横膨張領域1018は低画素値であり、横膨張領域1018を除く領域は高画素値である。
【0119】
続いて、パターン決定部1012は、
図12(C)に示す所定形状の第3構造要素1020を用いて、反転画像IMGdに対し第3収縮処理を施す(S1112)。本実施の形態の第3構造要素1020は、上下方向に長い形状を有する。車両位置検出装置1010は、第3構造要素1020の上端画素を注目画素1020aに対応付けて、反転画像IMGdに第3収縮処理を施す。なお、
図12(C)では第3構造要素1020を模式的に示しており、第3構造要素1020の上端画素から下方に延びる部分を構成する画素の数は、図示されたものに限定されない。
【0120】
第3収縮処理では、第3構造要素1020が重なるいずれかの画素に低画素値の画素が含まれる場合、注目画素1020aの画素値が当該低画素値に変換される。これにより、反転した横膨張領域1018の上方に位置する高画素値の領域が上方向に収縮して、
図12(D)に示す配光パターン画像IMGeが生成される。配光パターン画像IMGeは、横膨張領域1018から上方に延びる上収縮領域1022を含む。
【0121】
パターン決定部1012は、配光パターン画像IMGeに基づいて、遮光部を含む配光パターンPTNを決定する(S1113)。配光パターンPTNの決定において、パターン決定部1012は、上収縮領域1022を遮光部に含める。例えば、パターン決定部1012は、配光パターン画像IMGeにおける低画素値の画素群の形状そのものを遮光部と定め、高画素値の画素群の形状そのものを配光パターンPTNの形状と定める。また、パターン決定部1012は、遮光部を除く領域に対して所定の第1照度を定め、遮光部に対して第1照度よりも低い第2照度を定める。上述のように、第2照度はゼロであってもよいし、ゼロよりも高く第1照度よりも低い照度であってもよい。
【0122】
パターン決定部1012は、配光パターンPTNを指示するデータをランプ制御装置1008に送信する。ランプ制御装置1008は、パターン決定部1012が定める配光パターンPTNに応じた強度分布を有する可視光ビームL1を出射するように配光可変ランプ1002を制御する。例えば、配光可変ランプ1002がDMDを含む場合、ランプ制御装置1008は光源の点消灯と、DMDを構成する各ミラー素子のオン/オフ切り替えとを制御する。これにより、前方車両と重なる遮光部を有する配光パターンPTNが形成され、前方車両の運転者にグレアを与えることなく自車両の運転者の視認性を高めることができる。
【0123】
なお、パターン決定部1012は、反転画像IMGdの生成と第3構造要素1020を用いた画像処理とを逆の順序で実行してもよい。つまり、パターン決定部1012は、集合横膨張画像IMGcに対して第3構造要素1020を用いて第3膨張処理を施し、横膨張領域1018から上方に延びる上膨張領域を生成する。その後、パターン決定部1012は、上膨張領域を生成した画像の各画素の画素値を反転させて反転画像IMGdを生成し、当該反転画像IMGdにおける上膨張領域を遮光部に含める。
【0124】
以上説明したように、本実施の形態に係る車両位置検出装置1010は、車両の前方領域を撮像する撮像装置1004に基づく画像に対し、車幅方向に長い所定形状の第1構造要素1016を用いて第1膨張処理および第1収縮処理を施して、画像に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペアが互いにつながった横膨張領域1018を生成し、横膨張領域1018に基づいて前方車両の位置を検出する。これにより、例えば撮像装置1004の画像IMGに対してアルゴリズム認識やディープラーニング等を含む画像解析を実行して前方車両を検出する場合に比べて、より簡単に前方車両の位置を検出することができる、新たな検出方法を提供することができる。
【0125】
また、車両位置検出装置1010は、撮像装置1004に基づく画像に対して施す、所定形状の第2構造要素1014を用いた第2収縮処理の回数を相対的に少なくして、所定の第1距離に位置する光点のペアと第1距離よりも遠い第2距離に位置する光点のペアとを含む第1画像を生成し、撮像装置1004に基づく画像に対して施す第2収縮処理の回数を相対的に多くして、第1距離に位置する光点のペアを含み、第2距離に位置する光点のペアを削除した第2画像を生成する。そして、第1画像には車幅方向の長さが相対的に短い第1構造要素1016を用い、第2画像には車幅方向の長さが相対的に長い第1構造要素1016を用いて、それぞれの画像に第1膨張処理および第1収縮処理を施す。言い換えれば、車両位置検出装置1010は、所定回数の第2収縮処理を画像に施して第1画像を生成し、第1画像を生成する際の回数よりも多い回数の第2収縮処理を画像に施して第2画像を生成する。そして、第1画像には所定の車幅方向長さの第1構造要素1016を用いて第1膨張処理および第1収縮処理を施し、第2画像には第1画像に用いる第1構造要素1016よりも車幅方向に長い第1構造要素1016を用いて第1膨張処理および第1収縮処理を施す。
【0126】
つまり、車両位置検出装置1010は、第2収縮処理の回数を異ならせることで前方車両の光点を距離に基づいて弁別し、弁別した各光点に対して異なるサイズの第1構造要素1016を用いて第1膨張処理および第1収縮処理を施す。これにより、より高精度に前方車両の位置を検出することができる。
【0127】
また、本実施の形態に係る車両用灯具システム1001は、車両の前方領域を撮像する撮像装置1004と、強度分布が可変である可視光ビームL1を前方領域に照射可能な配光可変ランプ1002と、車両位置検出装置1010、および車両位置検出装置1010の検出結果に基づいて遮光部を含む配光パターンPTNを決定するパターン決定部1012を有する配光制御装置1006と、配光パターンPTNを形成するように配光可変ランプ1002を制御するランプ制御装置1008と、を備える。これにより、前方車両の運転者へのグレアを回避しつつ、自車両の運転者の視認性を向上させることができる。
【0128】
また、パターン決定部1012は、横膨張領域1018を生成した画像の各画素の画素値を反転させて反転画像IMGdを生成し、反転画像IMGdに対し、上下方向に長い所定形状の第3構造要素1020を用いて第3収縮処理を施して、横膨張領域1018から上方に延びる上収縮領域1022を生成し、上収縮領域1022を遮光部に含める。これにより、前方車両の運転者へのグレアをより回避することができる。
【0129】
以上、本発明の実施の形態2について詳細に説明した。前述した実施の形態2は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態2の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態2では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0130】
上述した実施の形態2に係る発明は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
(項目4)
車両の前方領域を撮像する撮像装置1004に基づく画像に対し、車幅方向に長い所定形状の第1構造要素1016を用いて第1膨張処理および第1収縮処理を施して、画像に含まれる車幅方向に並ぶ光点のペアが互いにつながった横膨張領域1018を生成し、
横膨張領域1018に基づいて前方車両の位置を検出する車両位置検出方法。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、配光制御装置、車両位置検出装置、車両用灯具システム、配光制御方法および車両位置検出方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0132】
1 車両用灯具システム、 2 配光可変ランプ、 4 撮像装置、 6 配光制御装置、 8 ランプ制御装置、 10 高速カメラ、 12 低速カメラ、 14 車両検出部、 16 領域決定部、 18 パターン決定部、 20 存在領域、 22 処理対象領域、 24 遮光部、 1001 車両用灯具システム、 1002 配光可変ランプ、 1004 撮像装置、 1006 配光制御装置、 1008 ランプ制御装置、 1010 車両位置検出装置、 1012 パターン決定部、 1014 第2構造要素、 1016 第1構造要素、 1018 横膨張領域、 1020 第3構造要素、 1022 上収縮領域。