(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】カチオン性界面活性剤及び可溶性酸を含有する繊維構造体
(51)【国際特許分類】
D01F 1/10 20060101AFI20231129BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20231129BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20231129BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20231129BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20231129BHJP
A61K 8/362 20060101ALI20231129BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20231129BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20231129BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20231129BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20231129BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20231129BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20231129BHJP
C11D 3/22 20060101ALI20231129BHJP
C11D 1/40 20060101ALI20231129BHJP
C11D 1/52 20060101ALI20231129BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20231129BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20231129BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20231129BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20231129BHJP
C08K 5/17 20060101ALI20231129BHJP
C08K 5/05 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
D01F1/10
A61K8/41
A61K8/36
A61K8/368
A61K8/365
A61K8/362
A61K8/04
A61Q5/00
C11D17/06
C11D3/37
C11D3/20
C11D3/30
C11D3/22
C11D1/40
C11D1/52
C11D1/90
C11D1/68
C08L101/00
C08K5/09
C08K5/17
C08K5/05
(21)【出願番号】P 2021574231
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(86)【国際出願番号】 US2020070216
(87)【国際公開番号】W WO2021003492
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー イレーヌ ヒルバート
(72)【発明者】
【氏名】マーク ウィリアム ハマースキー
(72)【発明者】
【氏名】エミリー ラオ ヒッキー
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/213003(WO,A1)
【文献】特表2017-530268(JP,A)
【文献】特開2017-210472(JP,A)
【文献】特開2014-141485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 1/00- 6/96
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
C11D 1/00- 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維要素を含む繊維構造体であって、前記複数の繊維要素が、
a.1重量%~50重量%のポリマー構造化剤であって、ポリビニルピロリドンから選択され、10,000~6,000,000g/モルの重量平均分子量を有する、ポリマー構造化剤と、
b.10重量%~85重量%の脂肪族材料であって、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物から選択される脂肪族材料と、
c.1重量%~60重量%のカチオン性界面活性剤であって、モノ長鎖アルキルアミン、第三級アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、カチオン性界面活性剤と、
d.0.1重量%~10重量%の乳酸である油溶性酸と
を含み、
前記油溶性酸は、前記繊維要素全体に分散しており、
前記組成物のa.~d.の重量%は、複数の繊維要素の総量に基づいている、繊維構造体。
【請求項2】
前記カチオン性界面活性剤がモノ長鎖アルキルアミンを含む、請求項1に記載の繊維構造体。
【請求項3】
前記モノ長鎖アルキルアミンが、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の
繊維構造体。
【請求項4】
ラメラ構造体が、水を前記溶解性固体構造体に10:1の比率で添加して形成される、請求項1に記載の繊維構造体。
【請求項5】
前記繊維要素が均質である、請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維構造体。
【請求項6】
1重量%~30重量%の分散剤を更に含み、前記分散剤は、非イオン性クラスのアルキルグルカミド、逆アルキルグルカミド、ココアミドプロピルベタイン、アルキルグルコシド、トリエタノールアミン、コカミドMEA、及びこれらの混合物からの界面活性剤からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維構造体。
【請求項7】
前記脂肪族材料が、セチルアルコールとステアリルアルコールとを、1:9~9:1の比率で含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の繊維構造体。
【請求項8】
前記構造体が、クエン酸、L-グルタミン酸、フマル酸、酒石酸、L-グルタミン酸塩酸塩、塩酸、及びオレイン酸を実質的に含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の繊維構造体。
【請求項9】
500,000Da~25,000,000Daの重量平均分子量を有する伸長助剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の繊維構造体。
【請求項10】
アルギネート、カラギーナン、ペクチン、キチン、グアーガム、キサンタンガム、寒天、アラビアガム、カラヤガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、アルキルセルロース、変性及び非変性ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンイミン、ポリアミド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンプロピレンオキシドを含めたポリアルキレンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される伸長助剤を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の繊維構造体。
【請求項11】
毛髪を調えるための方法であって、
a.請求項1~10のいずれか一項に記載の構造体を水で濡らして、前記構造体を溶解させることと、
b.溶解した前記構造体を前記毛髪に適用して、前記毛髪を調えることと、
c.溶解した前記構造体を前記毛髪からすすぎ落とすことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維構造体に関し、より具体的には、カチオン性界面活性剤、特にジメチルアミンと、油溶性酸とを含む繊維構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、市場に出回っているヘアコンディショナー製品は、ほとんどが液体形態で販売されている。液体製品は広く用いられているものの、多くの場合、パッケージング、保管、輸送、及び/又は使用の利便性の点で相殺関係がある。コンディショナーを固体構造体として配合することは望ましい場合があり、これには、使用中に素早く水和して、消費者に受け入れられる液体ヘアコンディショニング製品(毛髪を調える製品)を形成する複数の繊維から製造された固体構造体が含まれる。
【0003】
繊維構造体であっても、水和時にはヘアコンディショナー製品は、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族材料、及び添加された水によって形成されるゲルネットワークを含むことができる。
【0004】
一部の消費者、特に細い毛髪の消費者は、軽量であると感じる効果的なコンディショナーを望んでいる。これらの消費者は、カチオン性界面活性剤にジメチルアミン(ステアラミドプロピルジメチルアミン及びベヘナミドプロピルジメチルアミンのような)が含まれ得るコンディショニング製品に特に関心があることがある。これらの界面活性剤は帯電しておらず、従来の液体コンディショナーでは、塩酸やクエン酸のような水溶性酸を添加して界面活性剤を酸性化し、ゲルネットワークを形成して効果的なコンディショニングを提供するのが一般的であった。
【0005】
しかし、コンディショナー製品が固体の繊維構造体である場合、酸を添加することが難しい場合がある。繊維構造体は、脂肪族両親媒性物質、カチオン性界面活性剤、及びポリビニル構造化剤を組み合わせて、これらが溶融した均質な溶融物を形成するまで加熱することによって形成することができる。酸の中には、溶融物に添加すると、界面活性剤を酸性化してより良いコンディショニングでゲルネットワークを形成するのではなく、析出してしまうものがある。他の酸は、溶融物に完全には可溶ではないため、製造中に繊維が破断し、物品の構造的一体性が損なわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、ジメチルアミンカチオン性界面活性剤と、界面活性剤を酸性化し溶融物に可溶である酸とを含有し得る、繊維性のコンディショナー構造体が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複数の繊維要素を含む繊維構造体は、(a)約1重量%~約50重量%の、約10,000~約6,000,000g/モルの重量平均分子量を有するポリマー構造化剤と、(b)約10重量%~約85重量%の、炭素鎖長C12~C22又はその混合物を有する脂肪族材料であって、融点が25℃超である脂肪族材料と、(c)約1重量%~約60重量%の、モノ長鎖アルキルアミン、第三級アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるカチオン性界面活性剤と、(d)約0.1重量%~約10重量%の、サリチル酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、ソルビン酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、マレイン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される油溶性酸と、を含み、油溶性酸は、繊維要素全体に分散している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書は、本発明の主題を具体的に指摘して明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、添付図面と関連させた次の説明によってより容易に理解することができると考えられる。
【
図2】
図1の溶融物から形成されたゲルネットワークの写真である。
【
図5】フィラメントを含む繊維構造体の一例である。
【
図6】本発明による繊維要素の一例の概略図である。
【
図7】本発明の繊維要素を製造するためのプロセスの例の概略図である。
【
図8】
図7のプロセスにおいて使用される、拡大図を含む、ダイの一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
コンディショナーは、フィラメントを含む繊維構造体を含む物品であり、水を添加すると迅速に溶液又は分散液を形成し、ユーザーの毛髪に容易に適用することができることが望ましい。
【0010】
一部の消費者、特に細い毛髪の消費者は、毛髪が垂れることなく効果的なコンディショニングを提供するコンディショナーを望んでいる。このような消費者は、ジメチルアミンカチオン性界面活性剤を含有するコンディショナーに惹かれることがある。しかし、これらの界面活性剤は帯電しておらず、酸性化しないとゲルネットワークに効果的に組み込まれず、コンディショナーの効果が低くなる。従来の液体コンディショナーでは、クエン酸や塩酸などの水溶性酸を添加して、界面活性剤を酸性化している。
【0011】
しかし、以下に記載されるメルトブローイング及び/又はスパンボンディングのプロセスでは、水溶性酸は、脂肪族両親媒性物質、カチオン性界面活性剤、ポリビニル構造化剤を含有する溶融物とは混合しない。水溶性酸は、混合する代わりに、溶融物の中で別の相を形成することがある。酸の中には、溶融物に添加すると、界面活性剤を酸性化してより良いコンディショニングでゲルネットワークを形成するのではなく、析出してしまうものがある。他の酸は、溶融物に完全には可溶ではないため、製造中に繊維が破断し、物品の構造的一体性が損なわれる。
【0012】
図1は、乳酸、脂肪酸、及びジメチルアミンカチオン性界面活性剤を部分的に含有する溶融物の一例を示す写真である。
図1に示すように、溶融物は一相で透明かつ均質であり、これは乳酸が溶融物組成物に可溶であることを示している。
図2は、
図1の組成物を冷却したときに形成されたゲルネットワークの写真である。ゲルネットワークには粘性がある。
【0013】
図3は、クエン酸、脂肪族アルコール、及びジメチルアミンカチオン性界面活性剤を部分的に含有する溶融物の一例を示す写真である。
図3に示すように、溶融物は二相であり、粒子を含んでおり、クエン酸が組成物に可溶ではないことを示している。
図4は、
図3の冷却された組成物の写真である。冷却された組成物は、ゲルネットワークを形成せず、一方の相が他方の相の上に浮かんでいるように見える低粘度の組成物となっている。
【0014】
一例では、物品は、1つ以上の粒子を含有することができ、国際公開第2018140675(A1)号、米国特許出願公開第15/979961号、及び米国特許仮出願第62/734,312号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
定義
「溶解性」は、溶解性固体構造体が水に完全に可溶であるか、又は、以下に説明する手溶解試験によって水中で混合すると、均質な分散液をもたらすことを意味する。溶解性固体構造体は、手溶解法によって測定するとき、約1~約30ストローク、あるいは約2~約25ストローク、あるいは約3~約20ストローク、及びあるいは約4~約15ストロークの手溶解値を有し得る。
【0016】
「繊維構造体」は、本明細書で使用するとき、1つ以上の繊維要素、及び任意に1つ以上の粒子を含む構造体を意味する。一例では、本発明による繊維構造体は、機能を実行することが可能な、繊維要素、及び任意に、一体型構造体などの構造体を共に形成する粒子の結合体を意味する。
【0017】
図5は、フィラメントを含む繊維構造体の一例である。
【0018】
本発明の繊維構造体は、均質であってもよく、又は層状であってもよい。層状である場合、繊維構造体は、少なくとも2つの、及び/又は少なくとも3つの、及び/又は少なくとも4つの、及び/又は少なくとも5つの層を含んでもよい。層は、繊維要素、粒子、及びこれらの混合物であり得る。
【0019】
一例では、繊維構造体は、本明細書に記載される坪量試験法に従って測定するとき、5000g/m2未満の坪量を呈する多プライ繊維構造体であり得る。
【0020】
一例では、本発明の繊維構造体は、「一体型繊維構造体」であり得る。
【0021】
本明細書で使用するとき、「一体型繊維構造体」は、互いに絡み合って又は別の方法で互いに結合して繊維構造体を形成する、2つ以上及び/又は3つ以上の複数の繊維要素を含む配置である。一体型繊維構造体は、任意に粒子を含有することができる。本発明の一体型繊維構造体は、多プライ繊維構造体内の1つ以上のプライであり得る。一例では、本発明の一体型繊維構造体は、3つ以上の異なる繊維要素を含み得る。別の例では、本発明の一体型繊維構造体は、2つの異なる繊維要素、例えば共形成された繊維構造体を含んでもよく、上部に異なる繊維要素が堆積されて、3つ以上の異なる繊維要素を含む繊維構造体を形成する。
【0022】
本明細書で使用するとき、「繊維要素」は、その平均直径を大きく上回る長さを有し、すなわち、長さ対平均直径の比率が少なくとも約10である、細長い粒子状物質を意味する。繊維要素は、フィラメント又は繊維であり得る。一例では、繊維要素は、複数の繊維要素を含む糸ではなく、単一の繊維要素であり得る。
【0023】
本発明の繊維要素は、好適な紡糸プロセス操作(例えばメルトブローイング、スパンボンディング、エレクトロスピニング及び/又は回転紡糸)を介して、繊維要素形成組成物とも称されるフィラメント形成組成物から紡糸され得る。
【0024】
本発明の繊維要素は、1成分型及び/又は多成分型であってもよい。例えば、繊維要素は、2成分繊維及び/又はフィラメントを含んでもよい。2成分繊維及び/又はフィラメントは、サイドバイサイド(side-by-side)型、芯鞘型、海島型などの任意の形態であり得る。
【0025】
本明細書で使用するとき、「フィラメント」は、5.08cm(2インチ)以上、及び/又は7.62cm(3インチ)以上、及び/又は10.16cm(4インチ)以上、及び/又は15.24cm(6インチ)以上の長さを呈する上記のような細長い粒子状物質を意味する。
【0026】
フィラメントは、典型的には、本質的に、連続的であるか又は実質的に連続的であると見なされる。フィラメントは、繊維よりも相対的に長い。フィラメントの非限定的な例としては、メルトブローンフィラメント及び/又はスパンボンドフィラメントが挙げられる。フィラメントに紡糸することができるポリマーの非限定的な例としては、デンプン、デンプン誘導体、セルロース(例えば、レーヨン及び/又はリヨセル)、セルロース誘導体、ヘミセルロース、及びヘミセルロース誘導体などの天然ポリマー、並びに熱可塑性ポリマーフィラメント、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンフィラメント、及びポリエチレンフィラメント)が挙げられるが、これらに限定されない合成ポリマー、並びに生分解性熱可塑性繊維、例えば、ポリ乳酸フィラメント、ポリヒドロキシアルカノエートフィラメント、ポリエステルアミドフィラメント、及びポリカプロラクトンフィラメントが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用するとき、「繊維」は、5.08cm(2インチ)未満、及び/又は3.81cm(1.5インチ)未満、及び/又は2.54cm(1インチ)未満の長さを呈する上記のような細長い粒子状物質を意味する。
【0028】
典型的には、繊維は、本質的に不連続と見なされる。繊維の非限定的な例としては、本発明のフィラメント又はフィラメントトウを紡糸し、その後フィラメント又はフィラメントトウを5.08cm(2インチ)未満の断片に切断することにより製造された短繊維が挙げられ、こうして繊維を製造する。
【0029】
一例では、フィラメントがより短い長さ(5.08cm未満の長さなど)に切断された場合などに、本発明のフィラメントから1つ以上の繊維を形成することができる。したがって、一例では、本発明はまた、本発明のフィラメントから製造された繊維、例えば、1種以上のポリマー構造化剤と、界面活性剤及び高融点脂肪族材料などの1種以上の他の成分とを含む繊維を含む。したがって、本明細書における本発明のフィラメントへの言及は、特に指定しない限り、このようなフィラメントから製造された繊維も含む。繊維は、典型的には、本質的に連続的であると見なされるフィラメントに対して、本質的に不連続であると見なされる。
【0030】
本明細書で使用するとき、「フィラメント形成組成物」及び/又は「繊維要素形成組成物」は、メルトブローイング及び/又はスパンボンディングなど、本発明の繊維要素を製造するために好適であり得る組成物を意味する。フィラメント形成組成物は、1種以上のポリマー構造化剤であって、それを繊維要素に紡糸するために好適なものにする特性を呈する、ポリマー構造化剤を含む。更に、フィラメント形成組成物は、1種以上の極性溶媒(水など)を含み得、この極性溶媒中に、1種以上の、例えば全てのポリマー構造化剤及び/又は1種以上の、例えば全ての界面活性剤が、繊維要素(フィラメント形成組成物に由来するフィラメントなど)を紡糸する前に、溶解及び/又は分散される。
【0031】
図6に示されている一例では、本発明のフィラメント形成組成物から製造される本発明のフィラメントは、1種以上の添加剤、例えば1種以上の活性剤が、繊維要素及び/又は粒子中の活性剤と同じであってもよく、又は異なっていてもよい1種以上の活性剤を含むコーティング用組成物などの、フィラメント上ではなくフィラメント中に存在してもよい。
【0032】
一例では、活性剤などの1種以上の添加剤は、繊維要素中に存在してもよく、活性剤などの1種以上の追加の添加剤は、繊維要素の表面上に存在してもよい。別の例では、本発明の繊維要素は、元々製造時には繊維要素中に存在するが、繊維要素の目的とする使用条件に曝露される前及び/又は曝露されたときに、繊維要素の表面にブルームを形成する1種以上の添加剤(活性剤など)を含んでもよい。
【0033】
本明細書で使用するとき、「ビニルピロリドンコポリマー」(及びこれを参照して使用する場合、「コポリマー」)は、以下の構造(I)のポリマーを指す:
【0034】
【化1】
構造体(I)では、nは、ポリマー構造化剤が、本明細書に記載されている特徴を有するような重合度を有するような整数である。明確にするため、用語「コポリマー」の使用には、ビニルピロリドンモノマーが、ビニルアセテート、アルキル化ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニルバレロラクタム、ビニルイミダゾール、アクリル酸、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメタクリルアミド、アルキルアミノメタクリレート及びアルキルアミノメタクリルアミドモノマーなどの非限定的な他のモノマーと共重合することができるということを伝えることが意図されている。
【0035】
本明細書で使用するとき、「ビニルアセテート-ビニルアルコールコポリマー」(及びこれを参照して使用する場合、「コポリマー」)は、以下の構造(I)のポリマーを指す。
【0036】
【化2】
構造(I)において、m及びnは、ポリマー構造化剤が本明細書に記載される重合度及びアルコールパーセント特性を有するような整数である。明確さのため、用語「コポリマー」のこの使用は、本発明の部分的に加水分解されたポリビニルアセテートがビニルアルコール及びビニルアセテート単位を含むことを伝えることが意図されている。後述するように、ポリマー構造化剤は、ビニルアセテート及びビニルアルコールモノマー単位の重合(部分的にビニルアルコールの不安定性に因る)ではなく、通常は、ビニルアセテートモノマーを重合し、続いてアセテート基(acetate groups)の一部をアルコール基に加水分解することによって調製される。
【0037】
本明細書で使用するとき、「意図される使用条件」は、本発明の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体をその設計用途の1つ以上のために使用するときに曝される温度条件、物理的条件、化学的条件、及び/又は機械的条件を意味する。例えば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が、ヘアケア目的のためにシャンプーとしてヒトによって使用されるように設計されている場合、意図される使用条件は、ヒトの毛髪のシャンプー中に存在する温度条件、化学的条件、物理的条件、及び/又は機械的条件を含む。同様に、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が、手又は食器洗浄機による食器洗浄操作において使用されるように設計されている場合、意図される使用条件は、食器洗浄操作中の食器洗浄水及び/又は食器洗浄機中に存在する、温度条件、化学的条件、物理的条件、及び/又は機械的条件を含む。
【0038】
本明細書で使用するとき、「活性剤」は、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は本発明の繊維要素を含む繊維構造体の外部の環境において、例えば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体が、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維要素を含む繊維構造体の意図される使用条件に曝される場合に、意図した効果を生じさせる添加剤を意味する。一例では、活性剤は、軟質表面(すなわち、毛髪、皮膚)などの表面を処理する添加剤を含む。別の例では、活性剤は、化学反応(すなわち、起泡、泡立ち、着色、加温、冷却、起泡、消毒、及び/又は浄化、及び/又は塩素化、例えば、水の浄化、及び/又は水の消毒、及び/又は水の塩素化)を生じさせる添加剤を含む。更に別の例では、活性剤は、環境を処理する(すなわち、脱臭する、浄化する、芳香を付する)添加剤を含む。一例では、活性剤は、活性剤を含有する繊維要素及び/又は粒子の形成中などで、その場で形成され、例えば繊維要素及び/又は粒子は、水溶性ポリマー(例えばデンプン)及び/又は界面活性剤(例えばアニオン性界面活性剤)を含んでもよい。水溶性ポリマー及び界面活性剤は、毛髪及び/又は頭皮を処理するのに使用される活性剤として機能するポリマー複合体、又はコアセルベートを作り出すことができる。
【0039】
「処理する」は、表面の処理に関して本明細書で使用するとき、活性剤が、表面又は環境に利益をもたらすことを意味する。処理としては、表面の清浄度、におい、純度、及び/又は感触の調節及び/又は速やかな改善が挙げられる。一例では、ケラチン性組織(例えば、皮膚及び/又は毛髪)表面の処理に関する処理とは、ケラチン性組織の美容上の外観及び/又は感触の調節及び/又は速やかな改善を意味する。例えば、「皮膚、毛髪、又は爪(ケラチン性組織)の状態(コンディション)の調節」としては、皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を低減するための、皮膚、毛髪、又は爪の肥厚化(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下(例えば、皮下脂肪又は筋肉)層の構築、並びに適用可能である場合、爪及び毛幹の角質層の構築)、真皮-表皮の境界(乳頭間隆起としても既知)の回旋の増加、弾性線維症、たるみ、皮膚又は毛髪の変形からの回復の喪失などの、皮膚又は毛髪の弾性の喪失(機能的皮膚エラスチンの喪失、損傷、及び/又は不活性化)の防止、目の下のくま、染み(例えば、酒さなどによる不均一な赤味)(以下、「赤斑」と称される)、血色の悪さ(青白い色)、毛細血管拡張症又はクモ状血管によって引き起こされる変色、及び白髪などの、皮膚、毛髪、又は爪の色のメラニン性変化又は非メラニン性変化の防止が挙げられる。
【0040】
本明細書で使用するとき、「重量比」は、乾燥基準での2つの材料間の比率を意味する。
【0041】
本明細書で使用するとき、「水溶性材料」は、水に混和性である材料を意味する。言い換えれば、周囲条件で、水と、安定した(均質な液を形成した後、5分超にわたって分離しない)均質な溶液を形成することが可能な材料である。
【0042】
本明細書で使用するとき、「非水溶性」とは、材料、粒子、及び/又は基材が、水に浸漬されたときに溶解しない、又は容易に分離しないことを意味する。いくつかの場合では、非水溶性材料は水に曝されると膨潤する。
【0043】
「周囲条件」は、本明細書で使用するとき、23℃±1.0℃及び相対湿度50%±2%を意味する。
【0044】
本明細書で使用するとき、「分子量」又は「M.Wt.」は、特に記述のない限り、重量平均分子量を指す。分子量は、業界標準法であるゲル浸透クロマトグラフィ(「GPC」)(gel permeation chromatography)を使用して測定される。
【0045】
繊維要素に関して本明細書で使用するとき、「長さ」は、一方の末端から他方の末端までの繊維要素の最長軸に沿った長さを意味する。繊維要素が内部にねじれ、丸まり、又は曲がりを有する場合、長さは一方の末端からもう一方の末端までの繊維要素の全経路に沿った長さになる。
【0046】
繊維要素に関して本明細書で使用するとき、「直径」は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定される。一例では、本発明の繊維要素は、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は20μm未満、及び/又は15μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は6μm未満、及び/又は1μm超、及び/又は3μm超の直径を示す。
【0047】
本明細書で使用するとき、「誘発条件」は、一例では、刺激として機能し、本発明の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体において変化(例えば、繊維要素の、及び/若しくは繊維構造体の物理的構造の喪失若しくは変化、並びに/又は活性剤などの添加剤の放出)を開始させる又は引き起こす作用又は事象としてのあらゆるものを意味する。別の例では、誘発条件は、本発明の繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体を水に添加したときに、環境(例えば水など)中に存在していてもよい。言い換えれば、本発明の繊維要素及び/又は繊維構造体が水に添加されたという事実を除いて、水中で変化は生じない。
【0048】
繊維要素の、及び/又は粒子の形態変化に関して本明細書で使用するとき、「形態変化」とは、繊維要素が、その物理的構造の変化を経験することを意味する。本発明の繊維要素及び/又は粒子の形態変化の非限定的な例としては、溶解、融解、膨張、収縮、粉砕、破裂、延長、短縮、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の繊維要素及び/又は粒子は、意図される使用条件に曝される場合に、その繊維要素及び/又は粒子の物理的構造を完全に、又は実質的に失ってもよく、又はその形態が変化してもよく、又はその繊維要素又は粒子の物理的構造を保持するか、又は実質的に保持してよい。
【0049】
「乾燥繊維要素基準での重量」及び/又は「乾燥繊維構造体基準での重量」は、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体がそれぞれ温度23℃±1.0℃及び相対湿度50%±10%に調整された室内で2時間調整された直後にそれぞれ測定された、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体の重量を意味する。一例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準での重量は、本明細書に記載の含水率試験法により測定されるとき、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体が、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体の乾燥重量に基づいて、20重量%未満、及び/又は15重量%未満、及び/又は10重量%未満、及び/又は7重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は0重量%、及び/又は0重量%超の水分(水(例えば、遊離水)など)を含むことを意味する。
【0050】
本明細書で使用するとき、例えば、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体内に存在する1種以上の活性剤の総濃度に関して本明細書で使用するとき、「総濃度」は、被験材料(例えば、活性剤)の全ての重量又は重量%の合計を意味する。言い換えると、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で25重量%のアニオン性界面活性剤と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で15重量%のノニオン性界面活性剤と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で10重量%のキレート剤と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で5重量%の香料と、を含み得、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体に存在する活性剤の総濃度が、50%超、すなわち、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で55重量%超になるようにする。
【0051】
本明細書で使用するとき、「繊維構造体製品」は、1種以上の活性剤(例えば、布地ケア活性剤、食器洗浄用活性剤、硬質表面用活性剤、及びこれらの組み合わせ)を含む固体形態(例えば、時にシートと称する矩形の固体)を意味する。一例では、本発明の繊維構造体製品は、1種以上の界面活性剤、1種以上の酵素(小粒酵素の形態など)、1種以上の香料、及び/又は1種以上の抑泡剤を含む。別の例では、本発明の繊維構造体製品は、ビルダー及び/又はキレート剤を含む。別の例では、本発明の繊維構造体製品は、漂白剤(カプセル化された漂白剤など)を含む。
【0052】
繊維要素及び/又は粒子に関して本明細書で使用するとき、「結合する(Associate)」、「結合される(Associated)」、「結合体(Association)」、及び/又は「結合している(Associating)」は、繊維構造体が形成されるように、繊維要素及び/又は粒子を直接接触又は間接接触によって組み合わせることを意味する。一例では、結合される繊維要素及び/又は粒子は、例えば、接着剤及び/又は熱接着によって互いに接着され得る。別の例では、繊維要素及び/又は粒子は、同一の繊維構造体製造用ベルト及び/又はパターン付ベルト上に付着させることによって互いに結合され得る。
【0053】
本明細書で使用するとき、「プライ」又は「多プライ」は、他のプライと実質的に連続の向かい合わせの関係に任意に配置され、多プライ繊維構造体を形成する、個々の繊維構造体を意味する。単一繊維構造体は、例えばそれ自体の上に折り畳むことによって、2「プライ」又は多「プライ」を有効に形成できることも意図される。
【0054】
本明細書で使用するとき、本明細書で使用する場合の冠詞「a」及び「an」、例えば、「アニオン性界面活性剤(an anionic surfactant)」又は「繊維(a fiber)」は、特許請求又は記載される1種以上の材料を意味すると理解される。
【0055】
本明細書で使用するとき、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」という用語は、非限定的であることを意味する。
【0056】
全ての百分率及び比率は、別途記載のない限り、重量基準で計算される。全ての百分率及び比率は、別途記載のない限り、全組成に基づいて計算される。
【0057】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれる、より狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0058】
特に記載のない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、その成分又は組成物の活性濃度に関するものであり、市販の供給源中に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0059】
繊維構造体
本発明の繊維構造体は、複数の繊維要素、例えば複数のフィラメントを含んでいてよい。
【0060】
繊維構造体は、(a)約1重量%~約50重量%のポリマー構造化剤と、(b)約10重量%~約85重量%の脂肪族両親媒性物質などの高融点脂肪族材料と、(c)約1重量%~約60重量%のカチオン性界面活性剤と、(d)約0.1~10重量%の油溶性酸と、を含有する、繊維要素を含み得る。水を約10:1の比率で繊維構造体に添加すると、ラメラ構造体が形成され得る。
【0061】
図5は、本発明による繊維構造体を示す。繊維構造体は、複数の繊維要素(ここではフィラメント)を含む。フィラメントは、ポリマー構造化剤、高融点脂肪族材料、カチオン性界面活性剤、及び油溶性酸を含有する。ポリマー構造化剤、高融点脂肪族材料、カチオン性界面活性剤、及び/又は油溶性酸は、フィラメント全体に分散させることができる。フィラメントは均質であり得る。いくつかの例では、油溶性酸は、繊維構造体及び/又はフィラメントに適用されるコーティングに存在しない場合がある。他の例では、油溶性酸は、繊維構造体に組み込まれた、又は繊維構造体に吹き付けられた粒子には存在しない場合がある。
【0062】
本発明の繊維要素及び/又は繊維構造体が固体形態である場合であっても、本発明の繊維要素を製造するために使用されるフィラメント形成組成物は液体形態であってよい。
【0063】
一例では、繊維構造体は、組成の点から本発明による繊維要素と同一であるか又は実質的に同一である複数の繊維要素を含む。別の例では、繊維構造体は、本発明による2つ以上の異なる繊維要素を含み得る。繊維要素の相違点の非限定的な例は、直径、長さ、質感、形状、剛性、弾性の違いなどの物理的な違い;架橋レベル、可溶性、融点、Tg、活性剤、ポリマー構造化剤、色、活性剤の濃度、坪量、ポリマー構造化剤の濃度、繊維要素上の任意コーティングの存在、生分解性であるか否か、疎水性であるか否か、接触角などの化学的な違い;意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素がその物理的構造を失うかどうかの違い;意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素の形態が変化するかどうかの違い;及び意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素がその活性剤のうちの1種以上を放出する速度の違いであり得る。一例では、繊維構造体内の2つ以上の繊維要素及び/又は粒子は、異なる活性剤を含んでもよい。これは、異なる活性剤、例えばアニオン性界面活性剤(例えば、シャンプー活性剤)とカチオン性界面活性剤(例えば、ヘアコンディショナー活性剤)とが互いに非適合性である場合に該当し得る。
【0064】
別の例では、繊維構造体は、異なる領域、例えば、坪量、密度、及び/又は厚さの異なる領域を呈し得る。更に別の例では、繊維構造体は、その表面のうちの1つ以上に質感を含み得る。繊維構造体の表面は、非ランダムな反復パターン等のパターンを含んでもよい。繊維構造体は、エンボスパターンでエンボス加工されてもよい。別の例では、繊維構造体は、開口を含んでもよい。開口は、非ランダムな反復パターンで配置されてもよい。
【0065】
本発明の繊維構造体は、そのまま使用されてもよく、又は1種以上の活性剤でコーティングされてもよい。
【0066】
一例では、本発明の繊維構造体は、本明細書に記載の厚さ試験法に従って測定されるとき、0.01mm超、及び/又は0.05mm超、及び/又は0.1mm超、及び/又は約100mmまで、及び/又は約50mmまで、及び/又は約20mmまで、及び/又は約10mmまで、及び/又は約5mmまで、及び/又は約2mmまで、及び/又は0.5mmまで、及び/又は約0.3mmまでの厚さを示す。
【0067】
繊維構造体は、ヘアコンディショナーの構造体であり得る。あるいは、カチオン性ポリマーをアニオン性ポリマーと組み合わせて、ヘアシャンプーとコンディショナーとの組み合わせ構造体を形成することもできる。
【0068】
繊維構造体の場合、構造体は、平均直径が約150マイクロメートル未満、あるいは約100マイクロメートル未満、あるいは約10マイクロメートル未満、及びあるいは約1マイクロメートル未満であり、相対標準偏差が、100%未満、あるいは80%未満、あるいは60%未満、あるいは50%未満、例えば10%~50%の範囲内の著しい数の溶解性繊維を含み得る。本明細書において記載されているとおり、著しい数数とは、全溶解性繊維の少なくとも10%、あるいは全溶解性繊維の少なくとも25%、あるいは全溶解性繊維の少なくとも50%、あるいは全溶解性繊維の少なくとも75%を意味する。著しい数は、全溶解性繊維の少なくとも99%であってもよい。あるいは、全溶解性繊維の約50%~約100%が、約10マイクロメートル未満の平均直径を有してもよい。本開示の方法により製造される溶解性繊維は、約1マイクロメートル未満の平均直径を有する著しい数の溶解性繊維、すなわちサブマイクロメートル繊維を有し得る。実施形態では、繊維構造体は、全溶解性繊維の約25%~約100%が約1マイクロメートル未満の平均直径を有し、あるいは全溶解性繊維の約35%~約100%が約1マイクロメートル未満の平均直径を有し、あるいは全溶解性繊維の約50%~約100%が約1マイクロメートル未満の平均直径を有し、あるいは全溶解性繊維の約75%~約100%が約1マイクロメートル未満の平均直径を有するものであってもよい。
【0069】
構造体は、一態様では、その比表面積によって特徴付けることができる。構造体は、約0.03m2/g~約0.25m2/g、あるいは約0.035m2/g~約0.22m2/g、あるいは約0.04m2/g~約0.19m2/g、及びあるいは約0.045m2/g~約0.16m2/gの比表面積を有することができる。
【0070】
構造体は、パッド、ストリップ、又はテープ形態の平坦な可撓性構造体であって、以下の手法によって測定するとき、約0.5mm~約10mm、あるいは約1mm~約9mm、あるいは約2mm~約8mm、あるいは約3mm~約7mmの厚さを有することができる。構造体は、約5mm~約6.5mmの厚さを有するシートであってよい。あるいは、2つ以上のシートが組み合わされて、約5mm~約10mmの厚さを有する構造体を形成する。
【0071】
構造体は、約200グラム/m2~約2,000グラム/m2、あるいは約400g/m2~約1,200g/m2、あるいは約600g/m2~約2,000g/m2、及びあるいは約700g/m2~約1,500g/m2の坪量を有することができる。
【0072】
構造体は、約0.08g/cm3~約0.40g/cm3、あるいは約0.08g/cm3~約0.38g/cm3、あるいは約0.10g/cm3~約0.25g/cm3、あるいは約0.12g/cm3~約0.20g/cm3の乾燥密度を有することができる。
【0073】
本発明に好適な他の繊維構造体の非限定的な例は、米国特許第8,980816号及び同第9,139,802号、並びに米国特許出願公開第2013/0171421号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
繊維要素
本発明の繊維要素、例えばフィラメント及び/又は繊維は、1種以上のポリマー構造化剤を含む。ポリマー構造化剤に加えて、繊維要素は、1種以上の高融点脂肪族材料、1種以上のカチオン性界面活性剤、1種以上の油溶性酸、及び任意成分を更に含み得る。繊維要素の例は、米国特許出願第15/979,961号に見出すことができる。
【0075】
ポリマー構造化剤
溶融した脂肪族アルコール、脂肪族四級化アンモニウム化合物、脂肪酸などの低粘度物質の繊維紡糸を改善するため、構造化剤と呼ばれるポリマー成分が添加され得る。構造化剤は、繊維形成を可能にするよう、剪断粘度及び伸張粘度を増大させる。構造化剤は、組成物の約1重量%~約50重量%、あるいは約1重量%~約30重量%、あるいは約1重量%~約10重量%、あるいは約2重量%~約6重量%、及びあるいは約3重量%~約5重量%の濃度で含まれ得る。構造化剤は、約10,000~約6,000,000g/molの重量平均分子量を有する。濃度と分子量との間でのバランスをとることができるため、低分子量の化学種を使用する場合、最適な繊維紡糸を実現するには、より高い濃度が必要となる。同様に、より高い分子種が使用される場合、最適な繊維紡糸を実現するには、より高い濃度が使用され得る。約3,000,000g/mol~約5,000,000g/molの重量平均分子量を有する構造化剤が、約3重量%~約6重量%の濃度で含まれる。あるいは、約50,000g/mol~約100,000g/molの重量平均分子量を有する構造化剤は、約30重量%~約50重量%の濃度で含まれ得る。
【0076】
構造化剤は、繊維紡糸のための粘度構築を可能にする油性混合物に可溶であり得る。更に、構造化剤は、除去を促進し、かつ凝集(buildup)を予防するため、水にも可溶である必要がある。好適な構造化剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリジメチルアクリルアミド、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリマーは、油(脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族四級化アンモニウム化合物)可溶性、水溶性であり、かつ高い重量平均分子量で製造することが可能である。例えば、使用に好適なポリマーは、Ashland Inc.製のPVP K120であり、約3,500,000g/molの重量平均分子量を有するものは、油及び水に可溶であり、繊維が形成されて、ベルト上に集まることが可能となる。更なる好適なポリマーは、Ganex(登録商標)などのポリビニルピロリドンのコポリマー、又はAshland Inc.製のPVP/VA(約50,000g/molの重量平均分子量)コポリマーを含み、好適な構造化剤としてやはり挙動するが、その重量平均分子量が低いために、有効となるようより高い濃度を利用する。更に、ポリジメチルアクリルアミドのコポリマーもまた、好適な構造化剤として機能することができる。ヒドロキシプロピルセルロースもまた、好適な構造化剤として機能することができる。
【0077】
分散剤
繊維要素は、分散剤を添加することで、コンディショナー材料の湿潤性、水和、及び分散性を大幅に高めることができることが見出された。分散剤は、組成物の約1重量%~約30重量%、あるいは約5重量%~約15重量%、あるいは約5重量%~約10重量%の濃度で含まれ得る。非イオン性クラスのアルキルグルカミドからの界面活性剤は、固体コンディショナー配合物に添加されたとき、湿潤及び水和を改善することができる。アルキルグルカミド界面活性剤は、約8~18個の炭素の疎水性尾部と、グルカミドの非イオン性頭部基とを含有する。グルカミドに関しては、アミド基及びヒドロキシル基の存在は、コンディショナー油中の界面活性剤の可溶性を可能にするような方法で疎水性炭素尾部を均衡させる十分な極性を提供し、また水への曝露時にコンディショナー成分の迅速な分散をもたらす。他の同様の分散剤としては、逆アルキルグルカミド、ココアミオドプロピルベタイン(cocoamiodpropyl betaine)、アルキルグルコシド、トリエタノールアミン、コカミドMEA、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤を含むことができる繊維要素は、組成物の約1重量%~約60重量%、あるいは約10重量%~約50重量%、あるいは約20重量%~約40重量%の濃度で含まれ得る。本明細書で有用なカチオン性界面活性剤は、1種のカチオン性界面活性剤であるか、又は2種以上のカチオン性界面活性剤の混合物であり得る。カチオン性界面活性剤は、モノ長鎖アルキルアミン、第三級アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができるが、これらに限定されない。
【0079】
また、繊維構造体は、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩を含むカチオン性界面活性剤;モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩とジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ;モノ長鎖アルキルアミンとジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ、及びモノ長鎖アルキルアミンとモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ、第三級アミン、並びにこれらの組み合わせを含有し得る。これらの例では、界面活性剤は四級化されており、酸を添加することなくゲルネットワークを形成することができる。しかし、本明細書に記載されているように、油溶性酸を添加してpHを調整するのに役立てることは有利であり得る。
【0080】
モノ長鎖アルキルアミン
本明細書で有用なモノ長鎖アルキルアミンは、12~30個の炭素原子、あるいは16~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子の、1つの長いアルキル鎖を有するものである。本明細書で有用なモノ長鎖アルキルアミンはまた、モノ長鎖アルキルアミドアミンを含む。第一級、第二級、及び第三級脂肪族アミンが有用である。
【0081】
約12~約22個の炭素のアルキル基を有する第三級アミドアミンを繊維要素に使用することができる。例示的な第三級アミドアミンとしては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジエチルアミン、アラキドアミドエチルジメチルアミン、ジエチルアミノエチルステアラミドが挙げられる。本発明で有用なアミンは、米国特許第4,275,055号(Nachtigalら)に開示されている。
【0082】
油溶性酸
繊維要素は、約0.01重量%~10重量%、あるいは約0.1重量%~約9重量%、あるいは約0.25重量%~約7重量%、あるいは約0.3重量%~約5重量%の油溶性酸を含有することができる。
【0083】
酸は、油溶性酸であり得る。酸が溶融物に可溶ではない場合、溶融物を紡糸することができない。理由としては、溶融物が均質ではなく、例えば、紡糸中に繊維構造体が破断する、及び/又はダイが目詰まりすることがあるからである。
【0084】
モノ長鎖アルキルアミンは、サリチル酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、ソルビン酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、マレイン酸などの油溶性酸と組み合わせて使用することができる。一例では、フィラメントは、λ-グルタミン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、λ-グルタミン酸塩酸塩、クエン酸、及びこれらの混合物を実質的に含まない、又は含まないものでもよい。アミンと酸とのモル比は、約1:0.3~約1:2、あるいは約1:0.4~約1:1である。
【0085】
いくつかの例では、繊維要素は、塩酸、クエン酸、及びこれらの組み合わせを含まない、又は実質的に含まない。塩酸、クエン酸、及びこれらの組み合わせを「実質的に含まない」とは、0.05重量%未満、0.04重量%未満、0.03重量%未満、0.02重量%未満、及び/又は0.01重量%未満のことを意味する。
【0086】
高融点脂肪族材料
繊維要素は、1種以上の高融点脂肪族材料を含むことができる。高融点脂肪族材料は、組成物の約10重量%~約85重量%、あるいは20重量%~70重量%、あるいは約50重量%~約70重量%、あるいは約10重量%~約20重量%の濃度で含まれ得る。脂肪族材料は、以下に限定されないが、脂肪族両親媒性物質、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アミド、脂肪族エステル及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0087】
本明細書で有用な高融点脂肪族材料は、エマルション、とりわけゲルマトリクスの安定性という観点から、25℃以上、あるいは40℃以上、あるいは45℃以上、あるいは50℃以上の融点を有し得る。このような融点は、より容易な製造及びより容易な乳化という観点から、最高約90℃、あるいは最高約80℃、あるいは最高約70℃、あるいは最高約65℃である。高融点脂肪族材料は、単一化合物として、又は少なくとも2種の高融点脂肪族材料のブレンド若しくは混合物として、使用することができる。このようなブレンド又は混合物として使用されるとき、上記融点は、ブレンド又は混合物の融点を意味する。
【0088】
本明細書で有用な高融点脂肪族材料は、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、脂肪族アミド及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。本明細書のこの項に開示されている化合物が、場合によっては2つ以上の分類に属し得る(例えば、いくつかの脂肪族アルコール誘導体は、脂肪酸誘導体としても分類され得る)ということが当業者には理解される。しかしながら、所与の分類は、その特定の化合物を限定することを意図するものではなく、分類及び命名法の便宜上そのようになされている。更に、二重結合の数及び位置、並びに分枝の長さ及び位置に応じて、特定の必要な炭素原子を有する特定の化合物が、上記未満の融点を有することがあることが当業者によって理解される。低融点のそのような化合物は、この項に含まれないことが意図される。高融点材料の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fifth Edition,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992に見出される。
【0089】
様々な高融点脂肪族材料のうちでも、脂肪族アルコールは、本明細書に記載されている組成物に使用することができる。本明細書で有用な脂肪族アルコールは、約14~約30個の炭素原子、あるいは約16~約22個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは飽和しており、直鎖又は分枝鎖アルコールであってもよい。
【0090】
好適な脂肪族アルコールとしては、(約56℃の融点を有する)セチルアルコール、(約58~59℃の融点を有する)ステアリルアルコール、(約71℃の融点を有する)ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物は、上記の融点を有することが知られている。しかし、これらは多くの場合、供給されるときにより低い融点を有しており、それはこのような供給される製品は多くの場合、主なアルキル鎖がセチル、ステアリル又はベヘニル基であるアルキル鎖長分布を有する脂肪族アルコールの混合物であるからである。
【0091】
概して、混合物において、セチルアルコール対ステアリルアルコールの重量比は、約1:9~9:1、あるいは約1:4~約4:1、あるいは約1:2.3~約1.5:1である。
【0092】
カチオン性界面活性剤と高融点脂肪族材料との合計をより高い濃度で用いる場合、この混合物は、許容可能な消費者の利用を維持するという観点から、約1:1~約4:1、あるいは約1:1~約2:1、あるいは約1.2:1~約2:1のセチルアルコール対ステアリルアルコールの重量比を有する。この重量比はまた、毛髪の傷んだ部分をよりよく調えることができる。
【0093】
伸長助剤
繊維要素は、伸長助剤を含有し得る。伸長助剤の非限定的な例としては、ポリマー、他の伸長助剤、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0094】
一例では、伸長助剤は、少なくとも約500,000Daの重量平均分子量を有する。伸長助剤の重量平均分子量は、約500,000Da~約25,000,000Da、あるいは約800,000Da~約22,000,000Da、あるいは約1,000,000Da~約20,000,000Da、あるいは約2,000,000Da~約15,000,000Daである。高分子量の伸長助剤は、伸長融解粘度を増加させ、かつ融解破壊を低減する能力のために、本発明のいくつかの例では好ましい。
【0095】
伸長助剤は、メルトブローイングプロセスにおいて使用する場合、紡糸プロセス中の繊維の融解破壊及び毛管破壊を明らかに低減するのに有効な量で本発明の組成物に添加することができ、比較的一貫した直径を有する実質的に連続的な繊維を融解紡糸することができるようにする。繊維要素及び/又は粒子を製造するのに使用されるプロセスにかかわらず、伸長助剤は、使用される場合、一例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.001重量%~約10重量%、別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.005重量%~約5重量%、更に別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.01重量%~約1重量%、別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.05重量%~約0.5重量%で存在し得る。
【0096】
伸長助剤として使用することができるポリマーの非限定的な例としては、アルギネート、カラギーナン、ペクチン、キチン、グアーガム、キサンタンガム、寒天、アラビアガム、カラヤガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0097】
他の伸長助剤の非限定的な例としては、変性及び非変性ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンイミン、ポリアミド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンプロピレンオキシドを含めたポリアルキレンオキシド、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0098】
任意成分
構造体は、任意に、約1重量%~約25重量%の可塑剤、一実施形態では約3重量%~約20重量%の可塑剤、一実施形態では約5重量%~約15重量%の可塑剤を含む。
【0099】
構造体内に存在する場合、好適な可塑剤の非限定例としては、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル及びジメチコンコポリオールが挙げられる。
【0100】
有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール(200~600)、ソルビトール、マンニトール、ラクチトールなどの糖アルコール、イソソルビド、グルカミン、N-メチルグルカミン、並びに他の一価及び多価低分子量アルコール(例えば、C2~C8アルコール);フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトースなどの、モノ、ジ、及びオリゴ-糖類、並びに高フルクトース固形コーンシロップ、及びアスコルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
ポリカルボン酸の例としては、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、ポリアクリル酸、及びポリマレイン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
好適なポリエステルの例としては、以下に限定されないが、グリセロールトリアセテート、アセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
好適なジメチコンコポリオールの例としては、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-18/18ジメチコン、及びPPG-12ジメチコンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
他の好適な可塑剤としては、アルキル及びアリルフタレート;ナフタレート;ラクテート(例えば、ナトリウム、アンモニウム、及びカリウム塩);ソルベス-30;尿素、乳酸;ピロリドンカルボン酸ナトリウム(PCA);ヒアルロン酸ナトリウム又はヒアルロン酸;可溶性コラーゲン;変性タンパク質;L-グルタミン酸モノナトリウム;α及びβヒドロキシル酸、例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸及びサリチル酸;ポリメタクリル酸グリセリル;ポリマー可塑剤、例えばポリクオタニウム;タンパク質及びアミノ酸、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸、及びリシン;水素デンプン加水分解産物;その他低分子量エステル(例えば、C2~C10アルコールと酸とのエステル);及び、食品及びプラスチック業界の当業者に既知である任意の他の水溶性可塑剤;並びに、これらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
欧州特許第0283165(B1)号は、プロポキシル化グリセロールなどのグリセロール誘導体を含む好適な可塑剤を開示している。
【0106】
構造体は、組成物での使用に関して既知であるか又はそうでなければ有用である、他の任意成分を含んでもよく、ただし、このような任意材料は、本明細書に記載されている選択された不可欠な材料と適合性があるか、又は過度に製品性能を損なわないことを条件とする。
【0107】
このような任意成分は、最も典型的には、化粧品での使用が認可され、「CTFA Cosmetic Ingredient Handbook」(Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1992)などの参考文献に記載されている物質である。
【0108】
本明細書において任意成分として好適な乳化剤としては、モノ及びジグリセリド、脂肪族アルコール、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールエステル、ソルビタンエステル、並びに他の既知の乳化剤、又はそうでなければ、例えばケーキ及び他の焼き菓子及び菓子製品などの気泡化食品の調製時、又は毛髪用ムースなどの化粧品の安定化時に使用されるもののような、空気界面を安定化させるのに一般に使用される乳化剤が挙げられる。
【0109】
このような任意成分の更なる非限定例としては、防腐剤、香料又は芳香剤、着色剤又は染料、コンディショニング剤、毛髪脱色剤、増粘剤、保湿剤、皮膚軟化剤、薬剤活性物質、ビタミン又は栄養素、日焼け止め剤、脱臭剤、知覚剤、植物エキス、栄養素、収斂剤、化粧品粒子、吸収剤粒子、接着剤粒子、毛髪定着剤、繊維、反応剤、スキンホワイトニング剤、日焼け剤、ふけ防止剤、香料、剥離剤、酸、塩基、保湿剤、酵素、懸濁化剤、毛髪着色剤、ヘアパーマ剤、顔料粒子、にきび抑制剤、抗菌剤、日焼け止め剤、日焼け剤、剥離粒子、増毛又は育毛剤、防虫剤、剃毛ローション剤、共溶媒又はその他の追加の溶媒、並びに類似のその他の材料が挙げられる。更に、任意成分の非限定例としては、β-シクロデトリン(cyclodetrin)、ポリマーマイクロカプセル、デンプンの封入アコード(accord)、及びこれらの組み合わせなどによる封入香料が挙げられる。
【0110】
好適なコンディショニング剤としては、高融点脂肪族材料、シリコーンコンディショニング剤及びカチオン性コンディショニングポリマーが挙げられる。好適な物質は、米国特許出願公開第2008/0019935号、同第2008/0242584号、及び同第2006/0217288号に記載されている。
【0111】
使用方法
本明細書に記載されている組成物は、毛髪、毛包、及び/又は頭皮を含む皮膚の洗浄、調え、及び/又は処理のために使用することができる。これらの消費者基質を処理するための方法は、a)有効量の構造体を手に適用するステップと、b)構造体を水で濡らして固体を溶解するステップと、c)標的消費者基質を洗浄する、調える、又は処理するなどのために、溶解した材料を標的消費者基質に適用するステップと、d)希釈した処理組成物を消費者基質からすすぎ落とすステップと、を含んでもよい。これらのステップは、所望のクレンジング及び又は処理効果を達成するために必要に応じて何度でも繰り返すことができる。構造体がコンディショナーの場合、シャンプーの前、及び/又は後、及び/又は同時に適用することができる。
【0112】
毛髪、毛包、及び/又は頭皮を含む皮膚に効果を与えるのに有用な方法は、第1の実施形態による組成物を、調えることを必要とするこれらの標的消費者基質に適用するステップを含む。
【0113】
あるいは、毛髪、毛包、皮膚、及び/又は頭皮を含む皮膚の状態を調えるための有用な方法は、本明細書に記載された1つ以上の組成物を、調えることを必要とするこれらの標的消費者基質に適用するステップを含む。
【0114】
適用する組成物の量、適用頻度、及び使用期間は、適用の目的、所与の組成物の成分の濃度、及び所望の調えのレベルに応じて大幅に変化する。例えば、組成物を全身又は全頭髪の処理に適用するとき、有効量は、概して、約0.5グラム~約10グラム、あるいは約1.0グラム~約5グラム、あるいは約1.5グラム~約3グラムの範囲である。
【0115】
製品タイプ及び商品
繊維構造体を利用した製品の非限定的な例としては、ハンドクレンジング基材、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー又は他のヘアトリートメント基材、ボディクレンジング基材、シェービング調製基材、医薬品又は他のスキンケア活性物質を含むパーソナルケア基材、保湿基材、日焼け止め基材、長期皮膚有益剤基材(例えば、ビタミン含有基材、α-ヒドロキシ酸含有基材など)、脱臭基材、芳香剤含有基材などが挙げられる。
【0116】
本明細書には、本明細書に記載した1種以上の繊維構造体と、構造体を溶解して、溶解された混合物を毛髪、毛包、頭皮を含む皮膚に適用して、標的消費者基質に対する効果、すなわち急速発泡する発泡体、急速にすすぎ落とす発泡体、きれいにすすぎ落とす発泡体、コンディショニング処理、及びこれらの組み合わせを達成するための消費者向け情報伝達と、を含む商品が開示される。その情報伝達は、繊維構造体を収容しているパッケージ又は繊維構造体自体に直接若しくは間接的に添着される印刷物であってもよい。あるいは、その情報伝達は、製造物品と関連付けられる電子的又は放送メッセージであってもよい。あるいは、その情報伝達は、その製造物品の少なくとも1つの可能な用途、性能、際立った特徴及び/又は特性について記載してもよい。
【0117】
誘発条件への曝露
カチオン性界面活性剤及び脂肪族アルコールを含むコンディショニング成分は、繊維要素及び/又は繊維構造体が誘発条件に曝されたときに、繊維要素及び/又は繊維構造体から放出され得る。一例では、繊維要素及び/又は繊維構造体、あるいはこれらの一部が、その同一性を失ったとき、言い換えれば、その物理的構造を失ったときに、繊維要素及び/又は繊維構造体、あるいはこれらの一部から1種以上の活性剤が放出され得る。例えば、ポリマー構造化剤が溶解したとき、融解したとき、又はその構造が失われるような何らかの他の変形ステップを経たときに、繊維要素及び/又は繊維構造体は、その物理的構造を失う。一例では、繊維要素及び/又は繊維構造体の形態が変化したとき、繊維要素及び/又は繊維構造体から1種以上の活性剤が放出される。
【0118】
別の例では、繊維要素及び/又は繊維構造体、又はこれらの一部の同一性が変化したとき、言い換えれば、その物理的構造を失うのではなく、その物理的構造が変化したときに、繊維要素及び/又は繊維構造体、又はこれらの一部から1種以上の活性剤が放出され得る。例えば、繊維要素及び/又は繊維構造体は、ポリマー構造化剤が膨張したとき、収縮したとき、延びたとき、及び/又は短くなったときに、その物理的構造を変えるが、そのフィラメント形成特性は保持する。
【0119】
別の例では、その形態が変化することなく(その物理的構造を失うことも変化することもなく)、繊維要素及び/又は繊維構造体から1種以上の活性剤が放出され得る。
【0120】
一例では、例えば、上述のとおり繊維要素及び/又は繊維構造体の同一性を失わせるか又は変化させることによって、繊維要素及び/又は繊維構造体が活性剤を放出させる誘発条件に曝露された際に、繊維要素及び/又は繊維構造体は、活性剤を放出し得る。誘発条件の非限定的な例としては、溶媒、極性溶媒(アルコール及び/若しくは水など)、並びに/又は非極性溶媒に繊維要素及び/若しくは繊維構造体を曝すこと(これは、フィラメント形成組成物が、極性溶媒可溶性材料及び/若しくは非極性溶媒可溶性材料を含むかどうかに応じて、逐次行ってもよい);例えば75°F超、及び/又は100°F超、及び/又は150°F超、及び/又は200°F超、及び/又は212°F超の温度までの熱に、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体を曝すこと;例えば40°F未満、及び/又は32°F未満、及び/又は0°F未満の温度までの冷温に、繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体を曝すこと;繊維要素及び/又は繊維構造体を力、例えば、繊維要素及び/又は繊維構造体を用いる消費者によって適用される延伸力に曝露すること;及び/又は繊維要素及び/又は繊維構造体を化学反応に曝露すること;繊維要素及び/又は繊維構造体を、相変化を引き起こす条件に曝すこと;繊維要素及び/又は繊維構造体を、pH変化及び/又は圧力変化及び/又は温度変化に曝すこと;繊維要素及び/又は繊維構造体を、1種以上の活性剤を放出する繊維要素及び/又は繊維構造体が得られる1種以上の化学物質に曝すこと;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を超音波に曝すこと;繊維要素及び/又は繊維構造体を光及び/又は特定の波長に曝すこと;繊維要素及び/又は繊維構造体を様々なイオン強度に曝すこと;及び/又は繊維要素及び/又は繊維構造体を、別の繊維要素及び/又は繊維構造体から放出される活性剤に曝すことが挙げられる。
【0121】
一例では、本発明の繊維要素から1種以上の活性剤が放出され得るのは、繊維要素を含む繊維構造体製品が、繊維構造体製品を水と接触させて洗浄液を形成するなどの誘発ステップを経たときである。
【0122】
繊維要素を製造するための方法
本発明の繊維要素は、任意の好適なプロセスによって製造することができる。繊維要素を製造するための好適なプロセスの非限定的な例は以下に記載される。
【0123】
一例では、
図7及び
図8に示されるように、本発明による繊維要素32を製造する方法46は、
a.1種以上のポリマー構造化剤と、任意に高融点脂肪族材料及び/又は1種以上の界面活性剤を含む1種以上の他の成分とを含む、フィラメント形成組成物48を準備する工程と、
b.例えば、紡糸用ダイ50を介して、フィラメント形成組成物48を、1種以上のポリマー構造化剤及び任意に1種以上の他の成分を含む1つ以上の繊維要素32、例えば、フィラメントに紡糸する工程と、を含む。1種以上の他の成分は、意図する使用条件に曝されたときに、繊維要素から放出可能であり得る。繊維要素32中に存在する1種以上のポリマー構造化剤の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、80重量%未満、及び/又は70重量%未満、及び/又は65重量%未満、及び/又は50重量%以下であってよく、1種以上の活性剤の総濃度は、繊維要素中に存在する場合、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、20重量%超、及び/又は35重量%超、及び/又は50重量%以上、65重量%以上、及び/又は80重量%以上であり得る。
【0124】
図8に示されように、紡糸ダイ50は、同心の細径化流体用穴56に囲まれた、融解した毛管54を含む複数の繊維要素形成穴52を含んでもよく、フィラメント形成組成物48が繊維要素形成穴52を出るときにその中を流体(空気など)が通過して、フィラメント形成組成物48の繊維要素32への細径化を容易にする。
【0125】
一例では、フィラメント形成組成物48に含まれる任意の揮発性溶媒(水など)は、紡糸工程中に、繊維要素32が形成される際に、乾燥などによって除去される。一例では、フィラメント形成組成物の揮発性溶媒(例えば水)のうち、30重量%超、及び/又は40重量%超、及び/又は50重量%超は、紡糸工程中に、例えば製造する繊維要素を乾燥させることによって除去される。
【0126】
フィラメント形成組成物から製造される繊維要素が、繊維要素中に、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、約5重量%~50重量%以下の総濃度のポリマー構造化剤と、繊維要素中に、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、50重量%~約95重量%の総濃度の活性剤と、を含む限り、フィラメント形成組成物は、任意の好適な総濃度のポリマー構造化剤と、任意の好適な濃度の活性剤と、を含んでもよい。
【0127】
一例では、フィラメント形成組成物から製造される繊維要素は、繊維要素及び/又は粒子中に、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、約5重量%~50重量%以下の総濃度のポリマー構造化剤と、繊維要素及び/又は粒子中に、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、50重量%~約95重量%の総濃度の活性剤と、を含む限り、フィラメント形成組成物は、任意の好適な総濃度のフィラメント形成材料と、任意の好適な濃度の活性剤と、を含んでもよく、ポリマー構造化剤の、界面活性剤及び/又は高融点脂肪族材料の総濃度に対する重量比は1以下である。
【0128】
一例では、フィラメント形成組成物は、フィラメント形成組成物の約1重量%から、及び/又は約5重量%から、及び/又は約10重量%から、約50重量%まで、及び/又は約40重量%まで、及び/又は約30重量%まで、及び/又は約20重量%までのポリマー構造化剤と、フィラメント形成組成物の約1重量%から、及び/又は約5重量%から、及び/又は約10重量%から約50重量%まで、及び/又は約40重量%まで、及び/又は約30重量%まで、及び/又は約20重量%までの活性剤と、フィラメント形成組成物の約20重量%から、及び/又は約25重量%から、及び/又は約30重量%から、及び/又は約40重量%から、及び/又は約80重量%まで、及び/又は約70重量%まで、及び/又は約60重量%まで、及び/又は約50重量%までの揮発性溶媒(水など)と、を含む。フィラメント形成組成物は、少量の他の活性剤、例えばフィラメント形成組成物の10重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満の可塑剤、pH調整剤、及び他の活性剤を含んでもよい。
【0129】
フィラメント形成組成物は、任意の好適な紡糸プロセス(メルトブローイング、スパンボンディング、エレクトロスピニング及び/又は回転紡績など)によって、1つ以上の繊維要素及び/又は粒子に紡糸される。一例では、フィラメント形成組成物はメルトブローイングによって複数の繊維要素及び/又は粒子に紡糸される。例えば、フィラメント形成組成物は、タンクからメルトブロー紡糸口金(spinnerette)にポンプ移送され得る。紡糸口金内のフィラメント形成穴のうちの1つ以上を出ると、フィラメント形成組成物は空気によって細径化され、1つ以上の繊維要素及び/又は粒子を形成する。次いで、繊維要素及び/又は粒子を乾燥させて、紡糸のために使用される任意の残留溶媒(例えば、水)を除去してもよい。
【0130】
本発明の繊維要素及び/又は粒子を、ベルト(例えばパターン化されたベルト)上に回収して、繊維要素及び/又は粒子を含む繊維構造体を形成してもよい。
【0131】
繊維構造体を製造するための非限定的な例
粒子の添加は、初期繊維の形成中、又はパターン付きベルト上への初期繊維の回収後に達成され得る。
【0132】
図6及び
図7に示されるように、本発明の繊維要素は、以下のように製造され得る。繊維要素は、小規模装置によって形成され得、その概略図が
図6及び7に示される。バッチ作業に好適な加圧タンク62に、紡糸に好適なフィラメント形成組成物48を充填する。Parker Hannifin Corporation(Sanford,N.C.,USA)のZenithポンプ部門により製造され、1回転当たり5.0立方センチメートル(cc/rev)の容量を有するZenith(登録商標)PEP IIなどのポンプ64が、フィラメント形成組成物の紡糸用ダイ50への輸送を容易にするために、使用可能である。加圧タンク62から紡糸ダイ50へのフィラメント形成組成物48の流れは、ポンプ64の1分当たりの回転数(rpm)を調節することによって制御され得る。パイプ66は、加圧タンク62、ポンプ64、及び紡糸ダイ50を接続するために使用される。
【0133】
図7に示される紡糸ダイ50は、約1.524ミリメートル(約0.060インチ)のピッチPで互いに離間された円形押し出しノズル(繊維要素形成穴52)のいくつかの列を有する。ノズルは、約0.305ミリメートル(約0.012インチ)の個々の内径、及び約0.813ミリメートル(約0.032インチ)の個々の外径を有する。各個々のノズルは、細径化空気を各個々の融解毛管54に供給するために、環状かつ末広のフレア状オリフィス(同心の細長化流体用穴56)によって囲まれている。ノズルを通して押し出されているフィラメント形成組成物48は、オリフィスを通して供給される概ね円筒形の湿った空気流により囲まれ細径化される。
【0134】
細径化空気は、供給源からの圧縮空気を電気抵抗ヒータ、例えば、Chromalox,Division of Emerson Electric(Pittsburgh,Pa.,USA)によって製造されたヒータによって加熱することによって提供され得る。電気的に加熱され、サーモスタットで制御された送出パイプ中の条件において、加熱された空気を飽和又はほとんど飽和させるために、適切な量の蒸気を追加した。凝縮水を、電気的に加熱されサーモスタット制御される分離器中で除去した。
【0135】
初期繊維要素は、冷却ノズルを介して供給される水冷装置(図示せず)によって、約5℃(約40°F)~約15℃(約50°F)の温度を有する急冷空気流によって冷却され、押し出される初期繊維の全般的な方向に対して約90°の角度で放出される。冷却され固化した初期繊維要素は、回収装置(例えば、小孔のある可動ベルト又はパターン付き回収ベルトなど)上で回収される。形成域の真下に真空源を追加して、繊維の回収を補助するために使用してもよい。
【実施例】
【0136】
以下は、本明細書に記載のコンディショナー組成物の非限定的な実施例である。当該技術分野の当業者の技術範囲内での本発明の他の修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されよう。
【0137】
本明細書における全ての部、百分率(%)、及び比は、別途指定されない限り、重量基準である。いくつかの成分は、供給元から希釈溶液として供給され得る。明記されている量は、別途指定されない限り、添加された材料の重量%を表す。
【0138】
以下の表の実施例1~29を以下のように製造した。適切な容器中で、脂肪族両親媒性物質を撹拌しながら、90℃に加熱する。撹拌下で、成分を以下の順序で個別に添加する。(1)脂肪族両親媒性物質、(2)カチオン性界面活性剤、(3)ポリマー構造化剤、(4)分散剤を含む追加成分を個別に添加し、(5)酸を添加する。各成分を融解して十分に組み込んだ後、次の成分を添加する。次に、最終的な溶融組成物を脱気して、溶融組成物を形成する。
【0139】
溶融組成物の可視的な均質性は、溶融組成物の視覚的検出で判断した。粒子及び相分離が目視で検知できない場合、溶融組成物は均質であると判断した。目に見える粒子及び/又は相分離及び/又は混濁がある場合、溶融組成物は均質ではなかった。本明細書で使用するとき、「視覚的検出」とは、標準的な100ワットの白熱電球の照度に少なくとも相当する照明の下で、約1フィート(0.30m)の距離から、ヒトの観察者が、裸眼(近視、遠視、若しくは乱視を補正するように適合された標準的な矯正レンズ、又は他の矯正視力を例外とする)によって、実施例の品質を視覚的に識別できることを意味する。
【0140】
ゲルネットワークの形成は、溶融組成物を85℃に加熱することによって判断した。また、水を85℃に加熱した。その後、水を10:1の比率でゆっくりと混合しながら添加した。視覚的検出で、冷却した組成物がクリーム状で均質に見える場合、ゲルネットワークが存在しており、消費者に受け入れられるコンディショニングを提供するのに役立ち得る。組成物が複数の相を有するように見える、及び/又は油及び水に似た外観を有する場合、ゲルネットワークは存在せず、その例では消費者に受け入れられるコンディショニングを提供し得ない。
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
表1、表2、表3の実施例における原材料の供給元。
1.ステアラミドプロピルジメチルアミン、Croda(商標)製
2.ベヘントリモニウムメトサルフェート、Clariant(商標)製
3.Glucotain Clean RM、Clariant(商標)製
4.PVP K120、Ashland(商標)製
5.サリチル酸、Sigma Aldrich(登録商標)製、S5922-100G
6.乳酸、Sigma Aldrich(登録商標)製、W261106-1KG-K
7.酢酸、Sigma Aldrich(登録商標)製、151777-50g
8.リンゴ酸、Sigma Aldrich(登録商標)製、M8304-10G
9.コハク酸、Sigma Aldrich(登録商標)製、797987-100G
10.マレイン酸、Sigma Aldrich(登録商標)製、M0375-100G
11.2,4ジヒドロキシ安息香酸11、Sigma Aldrich(登録商標)製、D109401-100G
12.ソルビン酸、Sigma Aldrich(登録商標)製、S1626-100G
【0145】
実施例1~17の本発明の実施例は、サリチル酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、ソルビン酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、又はマレイン酸を含有する。これらの酸は溶融組成物に可溶であり、実施例は均質な溶融組成物を有している。溶融組成物は均質であるため、溶融組成物が紡糸されて繊維要素になる可能性が高い。また、実施例1~17は全てゲルネットワークを形成した。溶融組成物が繊維構造体に形成された場合、繊維構造体は潜在的なゲルネットワークを有し、使用中に水を添加するとゲルネットワークが形成され、繊維構造体は消費者に受け入れられるコンディショニングを提供すると考えられる。
【0146】
【0147】
【0148】
実施例の原材料の供給元。
実施例1~17の本発明の実施例は、サリチル酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、ソルビン酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、又はマレイン酸を含有する。これらの酸は溶融組成物に可溶であり、実施例は均質な溶融組成物を有している。溶融組成物は均質であるため、溶融組成物が紡糸されて繊維要素になる可能性が高い。また、実施例1~17は全てゲルネットワークを形成した。溶融組成物が繊維構造体に形成された場合、繊維構造体は潜在的なゲルネットワークを有し、使用中に水を添加するとゲルネットワークが形成され、繊維構造体は消費者に受け入れられるコンディショニングを提供すると考えられる。
【0149】
表4及び表5。
1.ステアラミドプロピルジメチルアミン、Croda(商標)製
2.Glucotain Clean RM、Clariant(商標)製
3.PVP K120、Ashland(商標)製
4.アモジメチコン、Momentive(商標)Performance Materials製
5.オレイン酸、Sigma Aldrich(登録商標)製、O1008-25G
6.Lグルタミン酸、Sigma Aldrich(登録商標)製、W328502-1KG-K
7.フマル酸、Sigma Aldrich(登録商標)製、47910-100g
8.酒石酸、Sigma Aldrich(登録商標)製、T109-500G-A
9.Lグルタミン酸塩酸塩、Sigma Aldrich(登録商標)製、G2128-100G
【0150】
実施例19~30の比較例は、クエン酸、L-グルタミン酸、フマル酸、酒石酸、L-グルタミン酸塩酸塩、塩酸、オレイン酸を含有する。これらの酸は溶融組成物に可溶ではない。実施例23~29では、酸は溶融組成物に溶解せず、沈殿物を形成した。そのため、組成物を周囲温度まで冷却して、ゲルネットワークが存在するかどうかを判断する第2の工程は実施できなかった。実施例19~22及び30では、溶融組成物は均質である。しかし、溶融組成物を周囲温度まで冷却したとき、ゲルネットワークは形成されなかった。この組成物を繊維構造体にすることができる場合、その構造体が水和したときにゲルネットワークが形成されないため、これらの組成物は消費者に受け入れられるコンディショニングを提供できない可能性が高い。特定の実施例では、繊維要素が、クエン酸、L-グルタミン酸、フマル酸、酒石酸、L-グルタミン酸塩酸塩、塩酸、オレイン酸を含まない、又は実質的に含まないことが有利であり得る。
【0151】
試験法
特に規定がない限り、定義の節に記載されたものを含む本明細書に記載の全ての試験及び次の試験法は、23℃±1.0℃の温度、及び50%±2%の相対湿度に調節された室内で、試験に先立つ最低2時間にわたって、調えられた試料に対して行われる。試験した試料は、「使用可能ユニット」である。本明細書で使用するとき、「使用可能ユニット」は、シート、ロール材から得た平らな部分、予め変換された平らな部分、及び/又は単プライ製品若しくは多プライ製品を意味する。全ての試験は、同一環境条件下及びこのように調整した室内で実施する。しわ、破れ、穴等の欠陥を有する試料は試験しない。本明細書に記載のとおりに調えられた試料は、試験目的に関し、乾燥試料(例えば「乾燥フィラメント」)であると見なされる。全ての計器は、製造業者の仕様書に従って較正する。
【0152】
坪量試験法
±0.001gの感度限界の上皿化学天秤を使用して、12個の使用可能なユニットを積み重ねて繊維構造体の坪量を測定する。風防を使用して、天秤を気流及び他の外乱から保護する。3.500インチ±0.0035インチ×3.500インチ±0.0035インチと測定された精密切断ダイを使用して、全ての試料を調製する。
【0153】
精密切断用ダイを用いて、試料を正方形に切断する。切断した正方形をまとめて、試料12個の厚さに積み重ねる。積み重ねた試料の質量を測定し、結果を0.001g単位で記録する。
【0154】
以下のように、lbs/3000ft2又はg/m2で坪量を計算する。
坪量=(積み重ねた試料の質量)/[(積み重ねた試料内の正方形1個の面積)×(積み重ねた試料内の正方形の数)]
例えば、
坪量(lbs/3000ft2)=[[積み重ねた試料の質量(g)/453.6(g/lbs)]/[12.25(in2)/144(in2/ft2)×12]]×3000
又は、
坪量(g/m2)=積み重ねた試料の質量(g)/[79.032(cm2)/10,000(cm2/m2)×12]
結果を0.1lbs/3000ft2又は0.1g/m2単位で報告する。積み重ねた試料の面積が少なくとも100平方インチになるように、上述のものと同様の精密カッターを使用して試料寸法を変更又は様々に変えてもよい。
【0155】
含水率試験法
繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体内に存在する含水(水分)率を、以下の含水率試験法を使用して測定する。事前に切断されたシートの形態である繊維要素、及び/又は粒子、及び/又は繊維構造体、又はそれらの一部(「試料」)を、23℃±1.0℃の温度、及び50%±2%の相対湿度に調整された室内に試験前の少なくとも24時間載置する。各繊維構造体試料は、少なくとも4平方インチの面積を有するが、天秤の計量皿上に適切に適合するのに十分小さい寸法である。上述の温度及び湿度の条件下で、少なくとも小数第4位まで測定できる天秤を用いて、試料の重量を、10分の間に前の(測定した)重量からの変化が0.5%未満になるまで、5分ごとに記録する。最終重量を、「平衡重量」として記録する。10分以内に、乾燥させるために、温度70℃±2℃、相対湿度4%±2%で24時間、試料を送風オーブン内のホイル上に置く。24時間の乾燥後、試料を取り出し、15秒以内にその重量を測定する。この重量は、試料の「乾燥重量」と呼ばれる。
【0156】
試料の含水(水分)率を以下のように計算する。
【0157】
【数1】
3つの複製物についての試料中の含水(水分)%を平均して、試料中の含水(水分)%として報告する。結果は、0.1%単位まで報告する。
【0158】
厚さ法
各切断された試料がVIR Electronic Thickness Tester Model II(Thwing-Albert Instrument Company(Philadelphia,PA)から入手可能)のロードフット搭載面よりも大きなサイズになるように、繊維構造体試料から5つの試料を切り取ることによって、繊維構造体の厚さを測定する。典型的に、ロードフット搭載面は、約3.14平方インチの円形表面積を有する。試料を水平な平面とロードフット搭載面との間に固定する。ロードフット搭載面は、15.5g/cm2の拘束圧を試料に印加する。各試料の厚さは、平面とロードフット搭載面との間に生じるギャップである。厚さは、5つの試料の平均の厚さとして計算される。結果をミリメートル(mm)で報告する。
【0159】
剪断粘度試験法
本発明のフィラメント形成組成物の剪断粘度は、毛管レオメーターである、Goettfert USA(Rock Hill SC,USA)で製造されたGoettfert Rheograph6000を使用して測定する。測定は、1.0mmの直径D及び30mmの長さL(すなわちL/D=30)を有する毛管ダイを使用して行う。レオメーターの20mmのバレルの下端にダイを取り付け、75℃のダイ試験温度に保持する。ダイ試験温度に予め熱しておいたフィラメント形成組成物の60gの試料を、レオメーターのバレル領域に入れる。試料から、閉じ込められた空気を全て取り除く。一連の選択された速度1,000~10,000秒-1で、試料をバレルから毛管ダイを通して押し出す。見かけの剪断粘度は、試料がバレルから毛管ダイを通って進むときに試料に生じる圧力低下及び毛管ダイを通る試料の流量から、レオメーターのソフトウェアを用いて計算することができる。log(見かけの剪断粘度)をlog(剪断速度)に対してプロットすることができ、このプロットを式η=Kγn-1(式中、Kは材料の粘度定数であり、nは材料の減粘指数であり、γは剪断速度である)に従って、べき乗則で一致させることができる。本明細書におけるフィラメント形成組成物の見かけの剪断粘度の報告値は、べき乗則関係を用いて剪断速度3,000秒-1に対する補間から計算される。
【0160】
直径試験法
走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)又は光学顕微鏡、及び画像解析ソフトウェアを使用して、離散繊維要素又は繊維構造体内の繊維要素の直径を測定する。繊維要素を測定のために適切に拡大するように、200~10,000倍の倍率を選択する。SEMを使用する場合には、電子ビーム中での繊維要素の帯電及び振動を避けるために、試料に金又はパラジウム化合物をスパッタリングする。SEM又は光学顕微鏡を用いて得られた画像(モニタースクリーン上)から繊維要素の直径を測定するにはマニュアルの手順を用いる。マウス及びカーソルツールを使用して、ランダムに選択された繊維要素の縁部を探し、その後、その幅(すなわち、その点における繊維要素の方向に対して垂直な)にわたって繊維要素の他方の縁部まで測定する。目盛り付きの較正された画像解析ツールにより、μm単位で実際の読取値を取得するための目盛りが提供される。繊維構造体内の繊維要素については、SEM又は光学顕微鏡を用いて、繊維構造体の試料全体からいくつかの繊維要素をランダムに選択する。繊維構造体の少なくとも2つの部分を切り取り、この方法で試験する。統計解析のために、このような測定を全部で少なくとも100回実施し、次いで、全てのデータを記録する。記録したデータを用いて、繊維要素の直径の平均値(平均)、繊維要素の直径の標準偏差、及び繊維要素の直径の中央値を計算する。
【0161】
別の有用な統計は、特定の上限よりも小さい繊維要素集団の量の算出である。この統計値を決定するために、繊維要素の直径の結果のうち上限よりも小さいものの個数をカウントするようにソフトウェアをプログラムし、そのカウント(データの合計数で除し、100%を掛ける)を、上限よりも小さいパーセント(例えば直径が1マイクロメートル未満のパーセント又はサブミクロン%)として、パーセントで記録する。本発明者らは、個々の円形繊維要素に関し測定された直径(μm)をdiとして表す。
【0162】
繊維要素が非円形断面を有する場合、繊維要素の直径の測定値は、水力直径として求められ、水力直径と等しいものと設定される。水力直径とは繊維要素の断面積を4倍して、繊維要素の断面の周囲長さ(中空の繊維要素の場合は外周囲長さ)で除したものである。数-平均直径、あるいは平均直径は、以下のとおりに計算する:
【0163】
【0164】
繊維要素組成物試験法
繊維要素組成物測定用に繊維要素を調製するために、繊維要素の外面上に存在する任意の除去可能であるコーティング組成物及び/又は材料を除去することによって、繊維要素を調える必要がある。それを実行する方法の例としては、繊維要素を変化させずに外部のコーティングを除去する好適な溶媒で、繊維要素を3回洗浄することである。その後、繊維要素の水分が10%未満となるまで、繊維要素を、温度23℃±1.0℃で、空気乾燥させる。調えた繊維要素の化学分析を次いで完了させ、フィラメント形成材料及び活性剤に関する組成的構成、並びに繊維要素中に存在するフィラメント形成材料及び活性剤の濃度を測定する。
【0165】
繊維要素形成材料及び活性剤に関する組成の構成はまた、TOF-SIMS又はSEMを使用して、断面解析を完了することによって決定されてもよい。繊維要素の組成の構成を決定するための更に別の方法は、マーカーとして蛍光染料を使用するものである。更に、常として、繊維要素の製造業者は自らの繊維要素の組成を知っているものとする。
【0166】
ラメラ構造体試験法
ラメラ構造体の試験法は、ラメラ構造体が、調整した乾燥状態における、又は予め調整した乾燥状態にした後の湿潤時のいずれかにおいて、溶解性固体構造体に存在するかどうかを判定するための、小角x線散乱法(SAXS)を使用するものである。溶解性固体構造体は、試験前に最低12時間、23℃±2.0℃の温度、及び40%±10%の相対湿度で調える。本明細書に記載されているとおり調えた溶解性固体構造体は、本発明の目的のために、状態の整えられた乾燥状態と見なされる。全ての機器は、製造業者の仕様書に従って較正する。
【0167】
乾燥試料調製
状態の整えられた乾燥状態で、直接、分析すべき試料を調製するため、約1.0cmの直径のディスクの試験片を、溶解性固体構造体の中央から分離し、直径4~5mmの隙間を有する従来的なSAXS固体試料ホルダに載せる(複数の試験ディスク片を、複数の溶解性固体構造体から抜き出して、必要な場合、積み重ねて、十分な散乱断面となるのを確実にしてもよい)。載せている試料ホルダを、データ収集のために適切な機器内に直ちに配置する。
【0168】
湿潤試料調製
3つの試料を、乾燥し、調製した状態から湿潤させて分析する。乾燥し、調えた溶解性固体構造体から試験片を抜き出し、3種の別個の調製(それぞれは、異なる材料対水の質量比を有する)を行うため、水に濡らす。調製される3つの異なる材料対水の質量比は、1:5;1:9;及び1:20である。各質量比について、直径が1cmの1つ以上の試験片(必要な場合)を、乾燥し、調整した状態の1つ以上の溶解性固体構造体の幾何学的中心から抜き出し、所期の材料対水質量比を達成するため、23℃±2.0℃で、濾過した脱イオン(DI)水で濡らす。3つの材料/水混合物の各々(各々は、異なる質量比に対応する)を、目視で均質になるまで、スパチュラを使用して、室温で手作業により、低剪断下で穏やかに撹拌する。次に、各材料/水混合物を、直径が2.0mmの外径及び0.01mmの壁の厚さを有する、別個の石英毛管に直ちに入れる。毛管を、調製物からの水の蒸発を防止するために、エポキシ樹脂などのシーラントで直ちに密封する。シーラントを、試料分析の前に、少なくとも2時間かけて、及び23℃±2.0℃の温度で乾燥するまで乾燥させる。各調製された湿潤試料を適切なSAXS機器に導入し、データを収集する。
【0169】
試験及び分析
試料を、2θが0.3°から3.0°までの角度範囲にわたり、2次元(2D)透過モードで、SAXSを使用して試験し、x線散乱パターンにおける任意の強度バンドの存在及び間隔を観察する。試験を、SAXS機器(例えば、NanoSTAR,Bruker AXS Inc.(Madison,Wisconsin,U.S.A.)又は同等物)を使用して実施する。調えられた乾燥試料を周囲気圧下で分析する。密封された液体試料を、真空下で機器において分析する。全ての試料を、23℃±2.0℃の温度で分析する。機器のx線管は、いかなる散乱帯の存在も明確に検出されるのを確実とするのに十分な出力値で操作する。ビーム直径は550±50μmである。1つの好適な操作条件のセットは、以下の選択を含む。NanoSTAR機器;マイクロフォーカスCuX線管;45kV及び0.650mAの出力;Vantec2K 2次元領域検出器;1200秒の収集時間;及び112.050cmの試料と検出器との間の距離。未加工の2-D SAXS散乱パターンを、散乱ベクトル(q)の関数としての強度(I)を決定するために方位角的に積分し、これを、この方法全体を通して、逆数オングストローム(Å-1)の単位で表す。qの値を、以下の等式に従ってSAXS機器によって計算する。
【0170】
【数3】
[式中、
2θは、散乱角であり、
λは、使用される波長である]。
【0171】
分析される各積分SAXSについて、I対qのプロット上の各強度ピークに対応するÅ-1単位でのqの値を、最小から最大まで識別及び記録する。(当業者は、原点付近のqの鋭いピークがビーム停止の散乱に対応し、この方法では無視されることを認識している。)第1の強度ピークに対応するqの値(qの最低値)は、q*と称される。
【0172】
乾燥し、調整した状態で直接、分析した試料について、強度ピークが、2q*±0.002Å-1で存在する場合、この試料は、ラメラ構造体を示すと判定し、特徴的なd間隔パラメータは、2π/q*として特定する。強度ピークが、2q*±0.002Å-1に存在しない場合、乾燥し、調整した状態で直接、分析した試料は、ラメラ構造体を示さないと判定する。
【0173】
乾燥し、調整した状態から湿潤して分析された試料について、強度ピークが2q*±0.002Å-1で存在する場合、試料は、ラメラ構造体を示すと判定し、特徴的なd-間隙パラメータは、2π/q*として特定する。強度ピークが2q*±0.002Å-1で存在しない場合、試料は、ラメラ構造体を呈さないと判断される。ラメラ構造体が、調製された3つの材料/水比の少なくともいずれか1つに存在すると判定された場合、この材料は、湿潤時にラメラ構造体を示すと判定する。強度ピークが、2q*±0.002Å-1に存在しない場合、調製された3つの材料/水比のいずれかにおいて、この材料は、湿潤時にラメラ構造体を示さないと判定する。
【0174】
手溶解法
必要材料:
試験対象繊維構造体:3~5個の繊維構造体(最終製品試料)を試験し、個別の繊維構造体試料のそれぞれのストローク数の平均を計算して、繊維構造体の平均手溶解値として記録する。この方法の場合、消費者用販売可能繊維構造体、又は消費者用途繊維構造体の全体を試験する。消費者用販売可能繊維構造体、又は消費者用途繊維構造体全体が50cm2を超える底面積を有する場合、最初に、50cm2の底面積を有するように繊維構造体を切断する。
ニトリル手袋
10ccシリンジ
プラスチック製秤量ボート(約3インチ×3インチ)
100mLガラスビーカー
水:(以下の特性を有するCincinnati市水道水又は等価物:合計硬度=155mg/L(CaCO2として);カルシウム含量=33.2mg/L;マグネシウム含量=17.5mg/L;リン酸含量=0.0462mg/L)。使用する水は、硬度7グレイン/ガロン(gpg)、40℃±5℃の水である。
【0175】
プロトコル:
・水80mLをガラスビーカーに添加する。
・水が40℃±5℃の温度になるまでビーカー内の水を加熱する。
・ビーカーからシリンジによって15mLの水を秤量ボートに移す。
・水を秤量ボートに移す10秒以内に、手袋をはめた手(繊維構造体試料を保持するための非利き手で、カップのように丸めた形の手)の掌に繊維構造体試料を置く。
・利き手を使用して、秤量ボートから繊維構造体試料に水を素早く添加して、直ちに5~10秒間濡らす。
・反対側の利き手(手袋もはめている)を用いて、2回の急速な円形ストロークで擦り合わせる。
・2回のストローク後に、手の中の繊維構造体試料を目視検査する。繊維構造体試料が完全に溶解している場合、ストローク数=2溶解ストロークを記録する。完全に溶解していない場合、残りの繊維構造体試料を更に2回の円形ストローク(合計4回)で擦り合わせ、溶解の程度を観察する。2回の更なるストローク後に繊維構造体試料が固体片を含有しない場合、ストローク数=4溶解ストロークを記録する。合計4回のストローク後、繊維構造体試料が依然として、溶解していない繊維構造体試料の固体片を含有する場合、繊維構造体試料が完全に溶解するか、又は合計ストロークが30に達するかのいずれか早い方まで、引き続き更に2回の円形ストロークで残りの繊維構造体試料を擦り合わせ、更に2回の円形ストロークそれぞれの後に繊維構造体の残りの固体片がいくらかでも残っているかを確認する。合計ストローク数を記録する。固体繊維構造体試料片が最大の30ストローク後に残った場合であっても、30溶解ストロークを記録する。
・更に4つの繊維構造体試料のそれぞれについて、このプロセスを繰り返す。
・5つの個々の繊維構造体試料の記録された溶解ストロークの値の算術平均を計算し、繊維構造体の平均手溶解値として記録する。平均手溶解値は、単一の溶解ストローク単位刻みまで報告する。
【0176】
組み合わせ
A.複数の繊維要素を含む繊維構造体であって、
a.約1重量%~約50重量%のポリマー構造化剤、あるいは約1重量%~約30重量%のポリマー構造化剤、あるいは約1重量%~約10重量%のポリマー構造化剤、あるいは約2重量%~約6重量%のポリマー構造化剤、あるいは約3重量%~約5重量%のポリマー構造化剤であって、約10,000~約6,000,000g/モル、あるいは約3,000,000g/モル~約5,000,000g/モル、あるいは約3,000,000g/モル~約5,000,000g/モルの重量平均分子量を有する、ポリマー構造化剤と、
b.約10重量%~約85重量%の脂肪族材料、あるいは約20重量%~約70重量%の脂肪族材料、あるいは約50重量%~約70重量%の脂肪族材料、あるいは約10重量%~約20重量%の脂肪族材料であって、炭素鎖長C12~C22又はその混合物を含み、融点は25℃超、あるいは40℃以上、あるいは45℃以上、あるいは50℃以上である、脂肪族材料と、
c.約1重量%~約60重量%のカチオン性界面活性剤、あるいは約10重量%~約50重量%のカチオン性界面活性剤、あるいは約20重量%~約40重量%のカチオン性界面活性剤であって、モノ長鎖アルキルアミン、第三級アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、カチオン性界面活性剤と、
d.約0.1重量%~約10重量%の油溶性酸、あるいは約0.1重量%~約9重量%の油溶性酸、あるいは約0.25重量%~約7重量%の油溶性酸、あるいは約0.3重量%~約5重量%の油溶性酸であって、サリチル酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、ソルビン酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、マレイン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、油溶性酸と、を含み、
油溶性酸は、繊維要素全体に分散している、繊維構造体。
B.カチオン性界面活性剤が、モノ長鎖アルキルアミンを含む、項Aに記載の繊維構造体。
C.モノ長鎖アルキルアミンが、12~30個の炭素原子、あるいは16~24個の炭素原子、あるいは18~22個の炭素原子を有する1つの長いアルキル鎖を含む、項Bに記載の繊維要素。
D.モノ長鎖アルキルアミンが、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、項Bに記載の繊維要素。
E.ラメラ構造体が、水を溶解性固体構造体に約10:1の比率で添加して形成された、項A~Dのいずれか一項に記載の繊維構造体。
F.繊維要素が均質である、項A~Eのいずれか一項に記載の繊維構造体。
G.約1重量%~約30重量%の分散剤、あるいは約5重量%~約15重量%の分散剤、あるいは約5重量%~約10重量%の分散剤を更に含み、分散剤は、非イオン性クラスのアルキルグルカミド、逆アルキルグルカミド、ココアミドプロピルベタイン、アルキルグルコシド、トリエタノールアミン、コカミドMEA及びこれらの混合物からの界面活性剤からなる群から選択される、項A~Fのいずれか一項に記載の繊維構造体。
H.脂肪族材料が、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の脂肪族アルコールを含む、項A~Dのいずれか一項に記載の繊維構造体。
I.脂肪族材料が、セチルアルコールとステアリルアルコールとを、約1:9~9:1、あるいは約1:4~約4:1、あるいは約1:2.3~約1.5:1の比率で含む、項A~Hのいずれか一項に記載の繊維構造体。
J.ポリマー構造化剤が、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、デキストリン、ペクチン、キチン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシル化ポリビニルアルコール、スルホン化ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ヒドロキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される、項A~Iのいずれか一項に記載の繊維構造体。
K.ポリマー構造化剤がポリビニルピロリドンを含む、項Jに記載の繊維構造体。
L.構造体が、クエン酸、L-グルタミン酸、フマル酸、酒石酸、L-グルタミン酸塩酸塩、塩酸、及びオレイン酸を実質的に含まない、項A~Kのいずれか一項に記載の繊維構造体。
M.約500,000Da~約25,000,000Da、あるいは約800,000Da~約22,000,000Da、あるいは約1,000,000Da~約20,000,000Da、あるいは約2,000,000Da~約15,000,000Daの重量平均分子量を有する伸長助剤を更に含む、項A~Lのいずれか一項に記載の繊維構造体。
N.アルギネート、カラギーナン、ペクチン、キチン、グアーガム、キサンタンガム、寒天、アラビアガム、カラヤガム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、アルキルセルロース、変性及び非変性ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンイミン、ポリアミド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンプロピレンオキシドを含めたポリアルキレンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択される伸長助剤を更に含む、項A~Mのいずれか一項に記載の繊維構造体。
O.毛髪を調えるための方法であって、
a.項A~Nのいずれか一項に記載の構造体を水で濡らして、構造体を溶解させることと、
b.溶解した構造体を毛髪に適用して、毛髪を調えることと、
c.溶解した構造体を髪からすすぎ落とすことと、を含む、方法。
P.毛髪が、細い毛髪を含む、項Oに記載の方法。
【0177】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0178】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0179】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。