(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】近接相互作用および音声コマンドによるトラブルシューティング
(51)【国際特許分類】
G16H 40/20 20180101AFI20231129BHJP
【FI】
G16H40/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022026391
(22)【出願日】2022-02-24
【審査請求日】2022-03-10
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼプ・フェルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】エマヌエル・フルニ
(72)【発明者】
【氏名】ナン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ハコボ・モラレス・ロホ・デル・リオ
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-025529(JP,A)
【文献】国際公開第2021/024539(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室データを検査室ユーザ100に提示するためのシステム200であって、
検査室および前記検査室ユーザ100に関する現場コンテキストデータを継続的に収集するように構成された知覚コンポーネント210であって、前記現場コンテキストデータが、前記検査室ユーザ100、前記検査室ユーザの位置、前記検査室ユーザの活動、および時間のデータを含む、知覚コンポーネント210と、
前記知覚コンポーネント210から前記現場コンテキストデータを通信可能に受信して、前記検査室内の各検査室ユーザ100のためのユーザ固有モデルを継続的に作成するように構成されたユーザモデリングコンポーネント220と、
前記検査室内の検査室装置の状態、パフォーマンス、警報、および/または保守を監視するように構成された、検査室装置認識コンポーネント230と、
前記知覚コンポーネント210からの前記現場コンテキストデータおよび前記検査室装置認識コンポーネント230からの検査室装置状態データを通信可能に受信し、かつ前記現場コンテキストデータおよび前記ユーザ固有モデルに基づいて、前記現場コンテキストデータおよび前記検査室装置状態データからのこれらのデータのうちのどれが前記検査室ユーザ100に対して提示されるべきかを処理および判定するように構成された通知コンポーネント240と、
前記通知コンポーネント240に通信可能に接続されており、前記通知コンポーネント240によって処理されるデータを、特定の検査室ユーザ100に提示するように構成された提示コンポーネント250であって、前記データの提示が、前記特定の検査室ユーザ100への前記データの公開提示および非公開提示の双方を含み、
前記データの公開提示が、前記提示されるデータを、全ての前記検査室ユーザ100に提示することができ、
前記データの非公開提示が、前記提示されるデータを、前記特定の検査室ユーザ100に提示することができる、
提示コンポーネント250と
を備える、システム200。
【請求項2】
前記現場コンテキストデータが、ウェアラブル、屋内測位装置、動きセンサ、検査室ユーザ位置データ、前記検査室との検査室ユーザ相互作用、およびそれらの組み合わせを含むマルチチャネルセンサから収集される、請求項1に記載のシステム200。
【請求項3】
前記特定の検査室ユーザ100によって、前記データの前記非公開提示と前記公開提示が切り替え可能である、請求項1または2に記載のシステム200。
【請求項4】
前記提示されるデータに対し、前記非公開提示または前記公開提示の何れかが事前に定義されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム200。
【請求項5】
前記非公開提示に関する非公開データが、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ウェアラブルスマート装置、仮想空間、またはそれらの任意の組み合わせで前記特定の検査室ユーザ100に提示される、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム200。
【請求項6】
前記公開提示に関する公開データが、前記検査室全体に配置された監視ディスプレイ、前記検査室全体に配置された音声アシスタント装置、検査室装置ディスプレイ、警報、またはそれらの任意の組み合わせで前記検査室ユーザ100に提示される、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム200。
【請求項7】
前記公開提示に関する公開データは、前記システムの全ての検査室ユーザ100が見ることのできるデータである、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム200。
【請求項8】
前記知覚コンポーネント210から受信した前記現場コンテキストデータおよび前記検査室装置認識コンポーネント230からの前記検査室装置状態データを記憶するためのデータベース260をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム200。
【請求項9】
検査室データを検査室ユーザ100に提示するための方法300であって、
a)第1の初期ユーザモデルをロードすることと、
b)現場コンテキストデータが発生したときに前記現場コンテキストデータを収集するために検査室全体に配置されたマルチチャネルセンサを初期化することであって、前記現場コンテキストデータが、前記検査室ユーザ100、前記検査室ユーザの位置、前記検査室ユーザの活動、および時間のデータを含む、初期化することと、
c)前記マルチチャネルセンサによって検出される、各個々の検査室ユーザの現場コンテキストデータを使用することによって、ユーザモデルを更新することと、
d)前記現場コンテキストデータを更新することと、
e)前記検査室ユーザ100が前記検査室で検査室装置と相互作用しているかどうかを判定することと、
f)前記検査室ユーザ100が前記検査室内に配置された検査室装置と相互作用している場合に、前記検査室ユーザのユーザモデルに基づいて非公開通知および公開通知を用いて特定の前記検査室ユーザ100に装置情報を提供することであって、
前記データの公開通知が、前記装置情報を、全ての前記検査室ユーザ100に提示することができ、
前記データの非公開通知が、前記装置情報を、前記特定の検査室ユーザ100に提示することができる、
提供することと、
g)前記検査室ユーザ100が前記検査室内でタスクを実行するために移動中であるかどうかを判定することと、
h)前記検査室ユーザ100が移動中である場合に、前記検査室ユーザの非公開通知から実行されるべきタスクに関する通知を削除し、更新された前記現場コンテキストデータに基づいて前記タスクに関する情報を前記検査室ユーザ100に知らせることと、
i)前記検査室ユーザ100によって要求された場合に前記方法300を終了するか、またはそうでなければ前記検査室ユーザ100が終了を要求するまでステップc)からh)を繰り返すことと、
j)前記現場コンテキストデータを保存し、前記ユーザ
モデルを更新することと
を含む、方法300。
【請求項10】
前記検査室ユーザ100が前記タスクをどの程度良好に完了するかに関する効率を測定し、データベース260に記憶することをさらに含む、請求項9に記載の方法300。
【請求項11】
前記検査室ユーザの要求に基づいて前記検査室ユーザ100に公開通知としても提供されるために、前記検査室ユーザ100に現在は非公開通知としてデータをアップロードすることをさらに含む、請求項9または10に記載の方法300。
【請求項12】
前記第1の初期ユーザモデルが、前記検査室ユーザの個々の人口統計、好み、および検査室の役割に基づく、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法300。
【請求項13】
前記検査室ユーザの非公開通知が、前記特定の検査室ユーザ100に機密情報を提供する、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法300。
【請求項14】
k)前記第1の初期ユーザモデルをロードした後に検査室システムを初期化することと、
l)検査室装置認識モデルを更新することと、
m)標準的な事前に定義された構成によって前記検査室ユーザの公開通知を更新することと、
n)前記検査室ユーザの好みにしたがって前記検査室ユーザの非公開通知を更新することと、
o)前記検査室ユーザ100によって介入が必要であるかどうかを判定することと、
p)前記検査室ユーザ100からの介入が必要とされない場合、ステップm)からo)を繰り返すことと、
q)前記検査室ユーザ100からの介入が必要とされる場合、現在の現場コンテキストデータをチェックして、介入を提供するために適切な特定の検査室ユーザ100を判定し、その特定の検査室ユーザ100に対する前記非公開通知を更新して、適切なユーザ情報を提供することと、
r)前記検査室ユーザ100が前記方法300を終了することを望むかどうかを判定することと、
s)前記検査室ユーザ100が前記方法300を終了することを望まない場合、前記検査室ユーザ100が前記方法300を終了することを望むまで、ステップl)からr)を繰り返すことと
をさらに含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法300。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、一般に、検査室環境における通信および通知のニーズに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
典型的な既知の検査室システムは、検査室環境における検査室情報監視業務を容易にするように努める。これらの既知の検査室システムでは、通常、ユーザに表示される検査室に関する情報は、ユーザの動きおよび例えば検査室分析器などの情報源に対するユーザの近接度に基づいて調整される。しかしながら、これらの既知の検査室システムの焦点は、一般に、情報コンテンツの位置に対するユーザの近接度のみに基づいて情報の閲覧を容易にすることに置かれている。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2016/246364号明細書に開示されている検査室システムは、距離ベースの画面遷移および相互作用を使用する。さらに、米国特許出願公開第2017/0228508号明細書に開示されている検査室システムは、医療監視装置と臨床医のモバイル装置との間の近接度に基づいて医療データを取得することに焦点を当てている。
【0004】
したがって、検査室ユーザの潜在的な検査室情報のニーズ、ならびに検査室システム内の情報の相互作用および流れを考慮に入れるために、検査室環境においてサポート検査室情報相談活動を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
概要
「a」または「an」の使用は、本明細書の実施形態の要素およびコンポーネントを説明するために使用されることができる。これは、単に便宜上および本発明の概念の一般的な意味を与えるために行われている。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、そうでないことを意味することが明らかでない限り、単数形は複数形を含む。
【0006】
本明細書で使用される「検査室機器」または「検査室装置」という用語は、1つ以上の生物学的試料および/または1つ以上の試薬に対して1つ以上の処理ステップ/ワークフローステップを実行および/または実行させるように動作可能な任意の装置または装置コンポーネントを包含することができる。したがって、「処理ステップ」という表現は、遠心分離、分注、試料分析などの物理的に実行される処理ステップを指すことができる。「機器」という用語は、分析前機器、分析後機器、分析機器、および実験用ミドルウェアをカバーすることができる。
【0007】
本明細書で使用される「分析後機器」という用語は、これらに限定されないが、試料の取り外し、輸送、再キャッピング、デキャッピング、一時的貯蔵/バッファリング、保管(冷蔵または非冷蔵)、取得および/または廃棄を含む1つ以上の分析後処理ステップ/ワークフローステップを実行するように構成されることができる任意の装置または装置コンポーネントを包含することができる。
【0008】
本明細書で使用される「分析前機器」という用語は、これらに限定されないが、遠心分離、再懸濁(例えば、混合またはボルテックスによる)、キャッピング、デキャッピング、再キャッピング、シーリング、脱シーリング、選別、チューブタイプ識別、ラック装填、試料装填、試料品質判定および/またはアリコートステップを含む1つ以上の分析前処理ステップ/ワークフローステップを実行するように構成されることができる任意の装置または装置コンポーネントを包含することができる。処理ステップはまた、化学物質または緩衝液を試料に添加すること、試料を濃縮すること、試料を培養することなどを含むことができる。
【0009】
本明細書で使用される「分析器」/「分析機器」という用語は、測定値を取得するように構成された任意の装置または装置コンポーネントを包含することができる。分析器は、様々な化学的、生物学的、物理的、光学的または他の技術的手順を介して、試料またはその成分のパラメータ値を判定するように動作可能とすることができる。分析器は、試料または少なくとも1つの分析物のパラメータを測定し、得られた測定値を返すように動作可能とすることができる。分析器によって返され可能性のある分析結果のリストは、これらに限定されないが、試料中の分析対象物の濃度、試料中の分析対象物の存在(検出レベルを超える濃度に対応)、光学パラメータ、DNAまたはRNA配列、タンパク質または代謝産物の質量分析から得られたデータ、および様々なタイプの物理的または化学的パラメータを示すデジタル(はいまたはいいえ)結果を含むことができる。分析機器は、試料および/または試薬のピペット操作、投与、および混合を支援するユニットを備えることができる。分析器は、分析を実施するための試薬を保持するための試薬保持ユニットを備えることができる。試薬は、例えば、個々の試薬または試薬のグループを含む容器またはカセットの形態で配置されることができ、貯蔵区画またはコンベヤ内の適切な容器または位置に配置されることができる。それは、消耗品供給ユニットを備えることができる。分析器は、ワークフローが特定のタイプの分析用に最適化されることができるプロセスおよび検出システムを含むことができる。そのような分析器の例は、化学的もしくは生物学的反応の結果を検出するため、または、化学的もしくは生物学的反応の進行を監視するために使用される臨床化学分析器、凝固化学分析器、免疫化学分析器、尿分析器、核酸分析器とすることができる。
【0010】
本明細書で使用される「検査室ミドルウェア」という用語は、ワークフローおよびワークフローステップが検査室機器/システムによって実行されることができるように、検査室装置または1つ以上の検査室機器を備えるシステムを制御するように構成可能な任意の物理的または仮想的処理装置を指すことができる。検査室ミドルウェアは、例えば、検査室機器/システムに、分析前、分析後、および分析ワークフロー/ワークフローステップを実行するように指示することができる。検査室ミドルウェアは、特定の試料にどのステップが実行される必要があるかに関するデータ管理ユニットから情報を受信することができる。いくつかの実施形態では、検査室ミドルウェアは、データ管理ユニットと一体とすることができ、サーバコンピュータによって構成されることができ、および/または1つの検査室機器の一部とすることができ、または検査室システムの複数の機器にわたって分散されることができる。検査室ミドルウェアは、例えば、動作を実行するための命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するプログラム可能論理コントローラとして具体化されてもよい。
【0011】
検査室データを検査室ユーザに提示するためのシステムが提示される。システムは、検査室および検査室ユーザに関する現場コンテキストデータを継続的に収集するように構成された知覚コンポーネントと、知覚コンポーネントから現場コンテキストデータを受信して、検査室内の各検査室ユーザのためのユーザ固有モデルを作成するように構成されたユーザモデリングコンポーネントと、検査室内の検査室装置の状態、パフォーマンス、警報、および/または保守を監視するように構成された、検査室装置認識コンポーネントと、知覚コンポーネントからの現場コンテキストデータおよび検査室装置認識コンポーネントからの検査室装置状態データを受信し、かつ現場コンテキストデータおよび検査室装置状態データからのこれらのデータのうちのどれが検査室ユーザに提示されるべきかを処理および判定するように構成された通知コンポーネントと、通知コンポーネントからの処理されたデータを提示するように構成された提示コンポーネントであって、提示されたデータが、検査室ユーザへのデータの公開通知および非公開通知の双方を含む、提示コンポーネントと、を備えることができる。
【0012】
現場コンテキストデータは、例えば、検査室内のユーザによって装着されたウェアラブル、検査室全体に配置された屋内測位装置、検査室全体に配置された動きセンサ、検査室ユーザ位置データ、検査室ユーザ相互作用、例えば、指紋、音声、虹彩、顔などの検査室ユーザの生体測定特性、およびそれらの組み合わせなどのマルチチャネルセンサによって収集されることができる。
【0013】
検査室ユーザは、データの非公開通知と公開通知とを切り替える能力を有する。非公開データ通知および公開データ通知は、事前定義されることができる。例えば、非公開データ通知は、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ウェアラブルスマート装置、仮想空間、またはそれらの任意の組み合わせで、例えば、GDPRおよびHIPAAなどの国際規制で確立された最高のセキュリティおよびプライバシー規格の下で提示されることができる。非公開データ通知はまた、可聴(例えば、ビープ音)、視覚、味覚、嗅覚、または触覚(例えば、振動)警告とすることもできる。さらに、公開データ通知は、検査室全体に配置された監視ディスプレイ、検査室全体に配置された音声アシスタント装置、検査室装置ディスプレイ、アラーム(例えば、可聴、視覚、または触覚)、またはそれらの任意の組み合わせで提示されることができる。公開データは、検査室システムの全ての検査室ユーザが見ることのできるデータとすることができる。
【0014】
検査室システムは、知覚コンポーネントからの現場コンテキストデータおよび検査室システム認識コンポーネントからの検査室装置状態データを記憶するためのデータベースをさらに備えることができる。データベースに記憶されたデータは、検査室のクライアントとサプライヤとの間のサービスの改善を提供するために、統計および/または予測を生成するために使用されることができる。
【0015】
検査室データを検査室ユーザに提示するための方法も提示される。方法は、第1の初期ユーザモデルをロードすることと、現場データが発生したときに現場データを収集するために検査室全体でマルチチャネルセンサを初期化することと、各個々の検査室ユーザの作業習慣および通常の検査室活動を使用することによってユーザモデルを更新することと、現場データを更新することと、検査室ユーザが検査室で検査室装置と相互作用しているかどうかを判定することと、検査室ユーザが検査室装置と相互作用している場合に、検査室ユーザのユーザモデルに基づいて非公開通知および公開通知を用いて検査室ユーザに装置情報を提供することと、検査室ユーザが検査室内でタスクを実行するために移動中であるかどうかを判定することと、検査室ユーザが移動中である場合に、検査室ユーザに対する実行されるべきタスクに関する非公開通知を削除し、更新された現場データに基づいてタスクに関する情報を検査室ユーザに提供することと、ユーザによって要求された場合に方法を終了することまたはそうでなければ検査室ユーザが終了を要求するまで上記方法ステップを繰り返すことと、現場データを保存し、ユーザ固有モデルを更新することと、を含むことができる。
【0016】
方法は、検査室ユーザがタスクをどの程度良好に完了するかに関する効率を測定し、データベースに記憶することをさらに含むことができる。
【0017】
方法は、検査室ユーザの要求に基づいて、検査室ユーザに対する公開通知であるように、検査室ユーザに対して現在非公開通知であるデータをアップロードすることをさらに含むことができる。
【0018】
方法は、検査室ユーザの要求に基づいて、検査室ユーザの非公開通知に対して現在公開通知であるデータを検査室ユーザにダウンロードすることをさらに含むことができる。さらに、検査室ユーザは、検査室ユーザの非公開空間内の情報を増強する能力を有する。
【0019】
第1の初期ユーザモデルは、検査室ユーザの個々の人口統計、好み、および検査室の役割に基づくことができる。このデータは、始動時に検査室システムに供給されることができる。
【0020】
現場データは、検査室ユーザ、検査室ユーザの位置、検査室ユーザの活動、および時間を含むことができる。
【0021】
検査室ユーザの非公開通知は、検査室ユーザについての機密情報を提供することができる。
【0022】
方法は、a)第1の初期ユーザモデルをロードした後に検査室システムを初期化することと、b)検査室装置認識モデルを更新することと、c)標準的な事前定義された構成で公開ユーザ通知を更新することと、d)ユーザの好みにしたがって非公開ユーザ通知を更新することと、e)検査室ユーザによる介入が必要かどうかを判定することと、f)検査室ユーザによって介入が必要とされない場合、更新ステップcからlを繰り返すことと、g)検査室ユーザによって本発明が必要とされる場合、現在の現場データをチェックして、本発明を提供するために適切な検査室ユーザを判定し、その検査室ユーザの非公開通知を更新して、適切な検査室ユーザ情報を提供することと、h)検査室ユーザが方法を終了することを望むかどうかを判定することと、i)検査室ユーザが方法を終了することを望まない場合、検査室ユーザが方法を終了することを望むまでステップlからrを繰り返すことと、をさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照符号で示される以下の図面と併せて読むと最もよく理解できる。
【
図1】本開示の実施形態にかかる検査室内のエンティティ間の情報相互作用フローを示している。
【
図2】本開示の実施形態にかかるスマート検査室アーキテクチャを示している。
【
図3】本開示の実施形態にかかる、近接相互作用を使用したトラブルシューティングによって検査室データを検査室ユーザに提示するためのフロー図を示している。
【
図4】本開示の実施形態にかかるSLAT(被験者、位置、活動および時間)に基づいて検査室ユーザに非公開的に通知するシナリオを示している。
【
図5】本開示の実施形態にかかる、初心者検査室ユーザサポートのシナリオを示している。
【
図6】本開示の実施形態にかかるサービス担当者サポートのシナリオを示している。
【
図7】本開示の実施形態にかかる検査室管理者サポートのシナリオを示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
以下の実施形態の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、限定ではなく例示として開示が実施され得る特定の実施形態が示されている添付の図面を参照する。他の実施形態を利用することができ、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、論理的、機械的および電気的変更を行うことができることを理解されたい。
【0025】
典型的な検査室ユーザは、1日を通して様々な目的のために様々な情報について検査室システムを絶えず相談する。しかしながら、異なる検査室ユーザは、使用の状況に応じて、検査室のパフォーマンス、警報、医療データ、ガイダンスなどに関する異なる種類の検査室情報に関心がある場合がある。例えば、表1は、異なる検査室ユーザの役割に必要な可能な異なる種類の検査室情報の例を示している。
【表1】
様々な検査室の役割に対する情報ニーズの例
【0026】
表1から分かるように、検査室ユーザは、検査室ユーザ間の作業負荷を調整するために、他の検査室ユーザに関する情報、および検査室のパフォーマンスを監視するための検査室システムに関する情報を含む様々な情報を必要とする。機器およびIT製品を含む検査室システムもまた、独自の情報ニーズを有することに留意されたい。例えば、接続された分析機器を有する検査室では、前分析機器は、分析機器が分析のために前分析機器から前処理された分析物を受け取る準備ができているかどうかを知る必要がある。結果が生成されると、例えば検査室情報システム(LIS)などのITシステムは、通知されることができる。検査室システムはまた、検査室システムが各検査室ユーザの役割に最も適した検査室情報を通知および提供することができるように、検査室ユーザに関する情報を必要とすることがある。
【0027】
最初に
図1を参照すると、
図1は、検査室内の様々なエンティティのニーズに対処するために情報がどのように流れるかを示している。図示のように、検査室ユーザ100は、自身および他の検査室ユーザに情報を提供するとともに、検査室システム110に情報を提供する。逆に、検査室システム110は、それ自体および検査室システム内の他の検査室装置(すなわち、前分析器、分析器、後分析器、およびそれらの組み合わせ)ならびに検査室ユーザ100に情報を提供する。理想的なスマート検査室システム110は、
図1に示すように情報相互作用を容易にすることができる。今日の検査室自動化システム110は、異なる検査室コンポーネント間の相互作用をサポートするために生み出されている。
【0028】
簡潔にするために、検査室ユーザ100は、検査室システム110および他の検査室ユーザ100のいずれかと協調して作業することができる。これは、検査室ユーザと検査室システムとの間に一定レベルの「認識」がある必要があることを示している。ここで、認識とは、他の検査室ユーザが何をしているか、および検査室機器システムが何をしているかを認識することを指す。正しい情報を正しい検査室ユーザにプッシュして、正しい時間および検査室内の正しい場所で正しいタスクを実行することによって、検査室ユーザの認識をサポートすることが重要である。
【0029】
これは、コンテキスト認識の4つの要因、すなわち、被験者、位置、活動、および時間(またはSLATコンテキスト)に変換されることができる。SLATコンテキストを利用することにより、検査室におけるより良好な作業調整が達成されることができる。
【0030】
また、その相互作用のために検査室ユーザの公開情報空間と非公開情報空間とを区別することも重要である。
【0031】
非公開空間は、個々の検査室ユーザが非公開で相互作用する相互作用空間である。この非公開空間では、情報は、検査室ユーザによって非公開的に消費されるだけであり、その検査室ユーザは、セキュリティ上の懸念のために、ならびに情報の完全性を維持するために、検査室システムの登録された検査室ユーザである必要がある。非公開空間は、特定の検査室ユーザまたは検査室ユーザの特定のグループにとってのみ興味深い情報および通知を提供する。また、秘匿情報を非公開空間に提供することも可能である。しかしながら、検査室ユーザは、そのような必要が生じた場合に、検査室ユーザの非公開空間から公開空間に情報を「アップロード」することを能動的に選択するオプションを有する。検査室ユーザが検査室ユーザの非公開空間から公開空間に情報をアップロードすることを選択した場合、検査室ユーザ登録は、エラー追跡のためにアップロードを伴う、すなわち、誤った非公開情報が公開空間内の誤った場所にアップロードまたはアップロードされる。
【0032】
対照的に、公開空間は、個々の検査室ユーザまたは消費者が公開的に相互作用することができる相互作用空間とすることができる。公開空間内の情報は、公開的に消費されることもできる。換言すれば、全ての検査室ユーザは、公開空間内の情報を知覚する、すなわち見るおよび/または聞くことができる。公開情報はまた、検査室ユーザの非公開空間に転送および/または保存されることができる。公開空間では、情報は、主として特定の検査室情報の認識を高めるために、全ての検査室ユーザに主に見える。検査室ユーザは、そのようなニーズが生じた場合に、公開空間から非公開空間に情報を「ダウンロード」するオプションを有することができる。ここでも、登録された検査室ユーザのみが、セキュリティ上の理由から公開空間から非公開空間に情報をダウンロードし、情報の完全性を維持する能力を有する。さらに、検査室ユーザは、検査室ユーザの非公開空間内の情報を増強することができる。最も関連する検査室情報は、その検査室ユーザの近接度に基づいて検査室ユーザの公開空間に自動的にプッシュされることができる。
【0033】
本開示の主な利点の1つは、検査室での作業の効率をこれらの直感的な相互作用によって高めることができることである。換言すれば、スマート検査室システムは、1)誰が何に興味を持っているか、2)誰がどのスキルセットを持っているか、3)誰がどの場所でどのタスクをしているか、および4)誰がどの特定の時間にどのような情報を必要としているかを認識することができる。
【0034】
その結果、検査室ユーザが対処する必要があるイベントがある場合、スマート検査室システムは、誰が通知すべき正しい人であるか、およびどのようにしてか(例えば、非公開的または公開的な通知を介して)を判断することができる。検査室ユーザがタスクを実行している場合、スマート検査室システムはまた、検査室ユーザがタスクの各ステップにおいて必要とすることがある情報を判定する能力を有する。
【0035】
このシステムおよび方法は、特定の領域における特定の検査室の役割のみに頼ることなく、検査室において最大の効率を達成するのを助けることができ、複数訓育チームにとって最大のパフォーマンスでタスクを強化することによって検査室システムをサポートするのを助けることができる解決策を提供する。
【0036】
ここで
図2を参照すると、
図2は、スマート検査室システムのアーキテクチャ200を示している。アーキテクチャは、5つの主要なコンポーネントから構成される。
【0037】
第1のコンポーネントは、知覚コンポーネント210である。知覚コンポーネント210は、検査室システムの外部で発生する状況/環境データに関する情報を提供する。このコンポーネント210において、スマート検査室は、例えば、識別、位置、動き、持続時間、および相互作用などの現場SLAT(被験者、位置、活動および時間)コンテキストデータを抽出するための様々な手段を使用する。一実施形態では、検査室ユーザは、検査室装置のログオンデータによって識別されることができる。別の実施形態では、検査室ユーザは、検査室ユーザのウェアラブル装置によって識別されることができる。屋内測位システムが使用されて、検査室ユーザの絶対位置を抽出することができる。検査室のレイアウトに基づいて、検査室ユーザの絶対位置は、例えば、検査室機器の位置、机、または検査室内の任意の他の関連する物体などの所定の位置に対する位置に変換されることができる。検査室内の動きセンサはまた、動き、すなわち検査室ユーザの移動方向を検出するために使用されることができる。そのような情報は、追跡されたリアルタイムの位置で計算されることができる。位置データが使用されて、特定の位置で費やされた時間を計算することもできる。画面上の相互作用データが使用されて、特定の画面で費やされた時間を計算することができる。さらに、検査室システムとの検査室ユーザの相互作用はまた、検査室ユーザが現在どのような活動に関与しているかに関するコンテキストを提供することができる。
【0038】
第2のコンポーネントは、ユーザモデリングコンポーネント220である。このコンポーネント220では、各検査室ユーザがモデル化されることができる。事前モデルは、例えば、人口統計、好み、および役割などの各検査室ユーザの既知のデータに基づいて最初に構築される。このユーザモデルは、知覚コンポーネント210から受信した現場コンテキスト情報を用いて継続的に構成されることができる。このようにして、各検査室ユーザは、検査室ユーザの作業習慣および活動を使用してモデル化されることができる。ユーザモデルは、検査室システムが各検査室ユーザについて学習するときに更新されることができる。
【0039】
第3のコンポーネントは、検査室システム認識コンポーネント230である。検査室システム認識コンポーネント230は、検査室システム自体の中で発生するデータに関する情報を提供する。このコンポーネント230では、検査室システムが動作し、現在実行されていること(すなわち、状態)、検査室システムがどれだけ良好に実行されているか(すなわち、パフォーマンス)、検査室において検査室ユーザの介入が必要な場合(すなわち、警告および警報)、および検査室との相互作用中に検査室ユーザが必要とすることがある文書(すなわち、ヘルプ)を自己認識する。この情報は全て、第4のコンポーネントである通知論理コンポーネント340に供給または通信される。
【0040】
通知論理コンポーネント240は、全ての検査室ユーザおよび検査室システムを保持する絶えず変化する現場状況状態と、所与の時間にどの検査室ユーザに何、どこ、およびどのように情報を表示するかを判定するアルゴリズムとを含む。通知論理コンポーネント240は、知覚コンポーネント210および検査室認識コンポーネント230から入力を受信し、かつ情報を提示する方法に関する命令を第5のコンポーネントである提示コンポーネント250に提供する。アルゴリズムは、使用により自身を強化するために機械学習によってサポートされることができ、アルゴリズムがその使用により経験を得るにつれて改善されることができる。アルゴリズムの使用は、統計および/または予測を生成し、クライアントとサプライヤとの間のサービスの改善を提供するために、セキュアデータベースを形成することができる。
【0041】
第5のコンポーネントは、提示コンポーネント250である。このコンポーネント250では、全ての可能な提示方法が、公開空間通知および非公開空間通知の双方に対して定義される。公開空間通知は、例えば、検査室全体に配置された監視ディスプレイ、検査室全体に配置された音声アシスタント、検査室装置ディスプレイ、および警報を含むことができる。非公開空間通知は、例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータおよびデスクトップコンピュータ、スマートウォッチまたはGoogleグラスなどのウェアラブル、ならびに仮想または拡張現実を介して可能にされる仮想空間を含むことができる。検査室ユーザの非公開通知は、通常、その特定の検査室ユーザに機密情報を提供する。検査室ユーザは、必要に応じて、通知およびデータの非公開提示および公開提示を切り替えることができる。例えば、検査室ユーザは、検査室ユーザの現在の非公開通知であるデータを、検査室ユーザの要求に基づく検査室ユーザの公開通知としてアップロードすることができる。逆に、検査室ユーザは、検査室ユーザの現在の公開通知であるデータを、検査室ユーザの非公開通知としてダウンロードすることもできる。検査室ユーザは、異なるデータ転送機構にしたがって非公開空間と公開空間との間で情報を交換することができる。例えば、データ転送は、画像処理および/または近接接続を介することができる。
【0042】
さらに、スマート検査室システムのアーキテクチャ200はまた、知覚コンポーネント210からの現場コンテキストデータおよび検査室システム認識コンポーネント230からの検査室装置状態データを記憶するためのデータベース260を備えることができる。さらに、タスクが検査室ユーザによって実行された開発および効率は、スマート検査室システムによって測定され、データベース260に記憶されることができる。
【0043】
図3は、近接相互作用を使用したトラブルシューティングによって検査室データを検査室ユーザに提示するための方法のフロー図を示している。
【0044】
検査室データを検査室ユーザに提示するための方法は、ステップ300において第1の初期ユーザモデルをロードすることから始まる。第1の初期ユーザモデルは、例えば、検査室ユーザの個々の人口統計、好み、および検査室の役割に基づくことができる。
【0045】
次のステップ310において、データが検査室内で発生したときに現場データを収集するために、検査室全体のマルチチャネルセンサが初期化される。現場コンテキストデータは、マルチチャネルセンサから収集されることができ、マルチチャネルセンサは、例えば、ウェアラブル、屋内測位装置、動きセンサ、検査室ユーザ位置データ、検査室ユーザ相互作用、およびそれらの組み合わせとすることができる。現場データは、検査室ユーザ、検査室ユーザの位置、検査室ユーザの活動、および時間に関するデータを含むことができる。
【0046】
次のステップ312において、ユーザモデルは、マルチチャネルセンサによって検出され、データベースに記憶された各個々の検査室ユーザの作業習慣および通常の検査室活動を使用することによって更新される。さらに、ステップ314において、現場/SLATデータが同時に更新および記憶される。
【0047】
次に、ステップ316において、検査室ユーザが検査室内の検査室装置のいずれかと相互作用しているかどうかが判定される。検査室ユーザが検査室装置と相互作用していると判定された場合、検査室装置情報は、検査室ユーザのユーザモデルに基づく検査室ユーザの非公開的通知および公開通知を介して検査室ユーザに提供される。公開通知および非公開通知によって提供される情報は、デフォルトで事前定義されることができる。公開データは、例えば、操作指示および有用なヒントなど、検査室システムの全ての検査室ユーザが見る必要があり得るデータと考えることができる。この公開データは、例えば、検査室全体に配置された監視ディスプレイ、音声アシスタント装置、検査室装置ディスプレイ、警報、またはそれらの任意の組み合わせで、検査室ユーザに提示されることができる。非公開データは、例えば、検査室ユーザのスマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ウェアラブルスマート装置、仮想空間、またはそれらの任意の組み合わせで、検査室ユーザに提示されることができる。検査室ユーザはまた、検査室ユーザの要求に基づいて検査室ユーザの公開通知としても提供されるために、検査室ユーザに非公開通知として現在提供されているデータをアップロードすることができる。換言すれば、検査室ユーザが検査室装置と相互作用していることが検出された場合、正しい情報は、その特定の検査室ユーザのユーザモデルにしたがって検査室ユーザへの正しい通知方法にプッシュされる。
【0048】
さらに、検査室ユーザによってタスクが実行された開発および効率は、一定の最適且つ効果的なパフォーマンスを保証するために、継続的な改善基準の下でスマート検査室システムによって測定される。検査室のユーザによってタスクが実行された開発および効率は、例えばデータベース内の検査室システムによって保存されることもできる。
【0049】
ステップ320において、検査室ユーザが検査室でタスクを実行するために移動中であるかどうかが判定されることができる。検査室ユーザがタスクを実行する途中であることが検出された場合、検査室ユーザのSLAT(被験者、位置、活動および時間)に基づいて検査室ユーザの通知に情報がプッシュされる。さらに、検査室ユーザがタスクを実行するために移動している間、ステップ322において、タスクが実行される必要があることに関するメッセージは、検査室ユーザの非公開通知から削除され、検査室ユーザは、ステップ324において、更新された現場データに基づいてタスクに関する情報を受信する。情報は、例えば、ナビゲーションヘルプ、すなわちタスクの位置への指示、ならびにタスクを実行する方法に関する動作命令を含むことができる。
【0050】
検査室ユーザが、いかなる検査室装置とも相互作用していないか、または検査室タスクに移動していない場合、326において、検査室ユーザは、方法を終了することを望むことができる。検査室ユーザが方法の終了を望まない場合、検査室ユーザが終了を要求するまで、ステップ314から326が繰り返される。
【0051】
検査室ユーザがステップ326において終了を要求した場合、現場データは、ステップ330において保存され、ユーザ固有モデルは、ステップ312において更新される。
【0052】
ステップ310と同時に、ステップ332において、最初の初期ユーザモデルがロードされた後に、検査室システムが初期化される。
【0053】
検査室システムが初期化された後、検査室装置認識コンポーネントは、ステップ334において、検査室の現在の状態、検査室が現在どの程度良好に機能しているか、検査室ユーザの介入が必要である場合、および必要な介入を検査室ユーザに警告するためにどのような警報が必要であるか、および検査室ユーザが検査室内の検査室装置との相互作用中、すなわちタスク実行中にどのような文書化、すなわちヘルプを必要とすることがあるかによって更新される。
【0054】
検査室装置認識コンポーネントが更新された後、検査室ユーザへの公開通知は、ステップ336において、標準的な事前定義された構成で更新され、検査室ユーザへの非公開通知も、ステップ338において、検査室ユーザの好みにしたがって更新される。
【0055】
ステップ340において、検査室ユーザの介入が必要かどうかが判定される。検査室ユーザの発明は、例えば、検査室機器の故障または検査室ユーザが支援を必要とする場合など、検査室内の問題をトラブルシューティングすることが必要な場合、例えば、検査室のパフォーマンス、検査室機器の状態、またはそれらの任意の組み合わせなどのいくつかの要因に基づいて必要とされることがある。検査室の検査室ユーザが現在介入を必要としていない場合、ステップ336から340が繰り返される。
【0056】
検査室システムが検査室ユーザの介入を必要とする場合、検査室システムは、ステップ342において、現在の現場データをチェックして介入を提供する適切な検査室ユーザを判定し、ステップ344において、適切な検査室ユーザ介入情報を提供するためにその検査室ユーザへの非公開通知を更新することによって、通知すべき正しい検査室ユーザを分析および判定することができる。
【0057】
ステップ346において、検査室システムは、検査室ユーザが方法を終了することを望むかどうかを判定することができる。検査室ユーザが方法の終了を望まない場合、検査室ユーザが方法の終了を要求するまで、ステップ334から346が繰り返される。
【0058】
検査室ユーザがステップ346において終了を要求した場合、方法は、ステップ328において終了し、現場データは、ステップ330において保存され、ユーザ固有モデルは、ステップ312において更新される。
【0059】
ユースケース
SLATに基づいて非公開的にユーザに通知する
【0060】
図4は、検査室技師410が1つの検査室タスクを終えたばかりであり、検査室400内を歩いて試薬貯蔵領域420を通り過ぎているユースケースを提示している。このとき、検査室400内の1つの検査室装置430に試薬が装填される必要がある。公開通知は、例えば、監視ディスプレイ、すなわち、検査室全体に広がるディスプレイを含むディスプレイ440上に提供されることができ、試薬を必要とする検査室装置430のディスプレイは、この通知を公開的に提供する。検査室技師410は、現在アイドリングしており、検査室400内の全ての検査室技師の中で試薬貯蔵部420に最も近くに位置しているため、検査室技師410は、自身の装置450上で非公開通知を受信する。そして、この検査室技師410は、このタスクを行うことを決定することができる。検査室技師410がこのタスクを引き受けることを決定した場合、検査室技師410は、試薬貯蔵部420から必要な完全な試薬を取り出し、新たな試薬430を必要とする検査室装置に向かって移動することができる。スマート検査室システムは、検査室技師410がタスクを受け入れており、タスクを遂行しようとしていることを知っているため、検査室技師410が検査室400内の監視ディスプレイを通過するたびに、監視ディスプレイは、試薬430を必要とする検査室装置の検査室400内の指示を検査室技師410に提供する。検査室技師410に提供される方向は、機器のモニタに表示される方向矢印または点滅灯などによって視覚的に、ビープ音などの音を発するサービスを必要とする検査室装置430などによって聴覚的に、検査室400全体に配置されたセンサなどによって触覚的に、または検査室技師410が検査室400内で試薬430を必要とする検査室装置を容易に見つけることを可能にする任意の他の潜在的なインジケータによって示されることができる。
【0061】
初心者ユーザのサポート
図5に示すように、検査室インターン510は、検査室500に一週間参加した。検査室インターン510は、検査室装置520の使用方法を訓練されているが、検査室インターン510は、習熟していない。スマート検査室システムは、検査室インターン510のユーザプロファイルに基づいて、検査室インターン510が初心者であることを認識する。検査室インターン510が、特に複雑なタスクを完了している間に、検査室装置520と相互作用するとき、検査室インターン510は、タスクを完了するために追加のヘルプまたはガイダンス530を受信する。検査室インターン510のユーザプロファイルは、検査室インターン510がより熟達するにつれて自動的に進化することができる。システムが検査室インターン510のパフォーマンスおよび学習を継続的に評価しているため、ある時点で、初心者ユーザ向けのガイダンスは、もはや示されない。
【0062】
サービス担当者のサポート
図6に示すように、サービス担当者610が検査室600に入った後、サービス担当者610は、自身の非公開空間装置からサービスタスク620を受信する。サービス担当者610が検査室600内の唯一のサービスユーザであるため、サービスタスク620は、公開監視装置には提供されない。
図4に示すユーザ事例と同様に、サービス担当者610がサービスを必要とする検査室装置630に歩いて行くと、例えば監視画面などの公共監視装置は、サービスを必要とする装置630の検査室600内の方向を示す。方向は、機器のモニタに表示される方向矢印または点滅灯などによって視覚的に、ビープ音などの音を発するサービスを必要とする検査室装置630などによって聴覚的に、検査室600全体に配置されたセンサなどによって触覚的に、またはサービス担当者610が検査室600内でサービスを必要とする検査室装置630を容易に見つけることを可能にする任意の他の潜在的なインジケータによって示されることができる。サービス担当者610がサービスを必要とする検査室装置630に到着すると、検査室装置ディスプレイ640は、サービスタスク、問題、可能なガイダンスなどに関するより詳細を提供する。例えば、詳細は、サービスを必要とする検査室装置630のモニタ画面で提供されることができる。そして、サービス担当者610は、サービス担当者610が必要に応じてその検査室装置630に関するより多くの情報を検索することができるように、検査室装置630上の自身の装置をタップすることによって、重要な技術的詳細を自身の非公開空間にダウンロードすることができる。
【0063】
検査室管理者のサポート
図7に示すように、検査室管理者710は、検査室700が効率的に結果を送達することを確実にするために、検査室管理者710の管理下で検査室700の状態に基づいて重要な決定を継続的に行う。例えば、検査室管理者710は、検査室700のスループットが著しく低下したことを、スマート検査室システムによって非公開的に通知されることができる。これは、例えば、分析器740への途中で発生する輸送ジャム720により発生することがあり、その結果、検査室試料が分析器740に適時に到着しない。
【0064】
そして、スマート検査室システムは、スマートアルゴリズムに基づいてスループットを向上させるためのバックアップソリューションとして少なくとも2つのオプションを、非公開通知730を介して検査室管理者710に提供することができる。そして、検査室管理者710は、提供されたオプション間で決定し、問題を修正するために検査室700の責任者、例えば検査室技師750を割り当てることができる。そして、スマート検査室システムは、その責任者750が検査室管理者710による決定を認識するように、その責任者750に通知を送信することができる。検査室管理者710によるそのような決定は、検査室700内の検査室用機器740に近付く必要なく、または検査室領域700内にある必要さえなく、遠隔で行うことができる。これらの決定は、検査室管理者710によって行われた以前の選択、ならびにスマート検査室システムが適切であると考え、全体的な検査室パフォーマンスを改善することができるオプションに基づくことができる。
【0065】
さらに開示されるのは、分析検査室の制御ユニットによって実行されると、分析検査室に本明細書に開示される方法のいずれか1つのステップを実行させることができる命令を含むコンピュータプログラム製品である。したがって、具体的には、本明細書に開示される1つ、2つまたはそれ以上、または全ての方法ステップは、コンピュータまたはコンピュータネットワーク(クラウドコンピューティングサービスなど)または任意の適切なデータ処理機器を使用して実行されることができる。本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指すことができる。製品は、一般に、ダウンロード可能なファイル、オンプレミスのコンピュータ可読データキャリア、または遠隔地(クラウド)にあるなど、任意の形式で存在する。コンピュータプログラム製品は、非一時的コンピュータ可読データキャリア、サーバコンピュータおよびデータキャリア信号などの一時的コンピュータ可読データキャリアに記憶されことができる。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワーク上で配信されることができる。さらにまた、コンピュータプログラム製品だけでなく、実行ハードウェアも、オンプレミスまたはクラウド環境などの遠隔に配置されることができる。
【0066】
さらに開示および提案されるのは、分析検査室の制御ユニットによって実行されたときに分析検査室に本明細書に開示される方法のいずれか1つのステップを実行させることができる命令を含む非一時的なコンピュータ可読記憶媒体である。
【0067】
さらに開示および提案されるのは、分析検査室の制御ユニットによって実行されると、分析検査室に本明細書に開示される方法のいずれか1つのステップを実行させることができる命令を含む変調データ信号である。
【0068】
「好ましくは」、「一般的に」、および「典型的に」のような用語は、特許請求される実施形態の範囲を限定するため、または特定の特徴が特許請求される実施形態の構造または機能にとって重要、必須、またはさらに重要であることを意味するために本明細書では使用されないことに留意されたい。むしろ、これらの用語は、本開示の特定の実施形態で利用されてもされなくてもよい代替または追加の特徴を強調することを単に意図している。
【0069】
本開示を説明および定義する目的で、「実質的に」という用語は、本明細書では、任意の定量的比較、値、測定値、または他の表現に起因することができる固有の不確実性の程度を表すために利用されることに留意されたい。「実質的に」という用語はまた、本明細書では、定量的表現が、問題の主題の基本機能の変化をもたらすことなく、記載された基準から変化することができる程度を表すために利用される。
【0070】
本開示を詳細に説明し、その特定の実施形態を参照することにより、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正および変形が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましいまたは特に有利であると識別されるが、本開示は、必ずしも本開示のこれらの好ましい態様に限定されないことが企図される。