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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】光電変換装置およびX線撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231129BHJP
   H01L 27/144 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
H01L27/146 C
H01L27/144 K
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022082068
(22)【出願日】2022-05-19
(65)【公開番号】P2022186615
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/196,498
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】中野 文樹
(72)【発明者】
【氏名】中澤 淳
(72)【発明者】
【氏名】森脇 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 力也
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-278232(JP,A)
【文献】特開2010-258193(JP,A)
【文献】特開2009-016432(JP,A)
【文献】特開2007-322761(JP,A)
【文献】国際公開第2019/171198(WO,A1)
【文献】特開2015-090957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 27/144
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1領域上に設けられた第1トランジスタと、
前記基板の前記第1領域上に設けられ、前記第1トランジスタに電気的に接続された第1光電変換素子と、
前記基板の第2領域上に設けられた第2トランジスタと、
前記基板上に設けられ、前記第1トランジスタ、前記第1光電変換素子、及び前記第2トランジスタを被覆する絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、前記第1トランジスタと前記第1光電変換素子のいずれかに電気的に接続され、外部と接続可能な第1端子と
を具備し、前記第2トランジスタは、前記第1トランジスタのダミートランジスタであ
前記第1端子は前記第1トランジスタのゲートに電気的に接続され、前記第2トランジスタのゲートは電気的にフローティングとされる、光電変換装置。
【請求項2】
前記第1端子は、前記第2領域内における前記絶縁層上に設けられる、請求項1記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記第1端子は、平面視において前記第2トランジスタとオーバーラップする、請求項1記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記第1端子は前記第1トランジスタのソースまたはドレインに電気的に接続される、請求項1記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記第2領域は、前記第1領域の周囲を取り囲む、請求項1記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記基板の第3領域上に設けられた第3トランジスタと、前記第3トランジスタに電気的に接続された第2光電変換素子と更に備え、
前記第3トランジスタは、前記第1トランジスタのダミートランジスタであり、
前記第2光電変換素子は、前記第1光電変換素子のダミー素子であり、
前記第3トランジスタのゲートは、前記第1端子に電気的に接続されず、
前記第3領域は、前記第1領域と第2領域との間において、前記第1領域を取り囲む、請求項記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第1領域は、入射した光に応じて電荷を発生させ、該電荷に応じた電圧を外部へ出力するアクティブ領域であり、
前記第2領域及び前記第3領域は、前記アクティブ領域のダミー領域である、請求項記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記絶縁層は、前記基板上に設けられた第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に設けられた第2絶縁層とを含み、
前記第1端子は、前記第2絶縁層上に設けられる、請求項1記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記基板の第3領域上に設けられたESD(Electro-Static Discharge)素子を更に備え、
前記第3領域は前記第2領域に隣接する、請求項1記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記第1光電変換素子は、n型半導体層と、p型半導体層と、前記n型半導体層と前記p型半導体層との間に設けられたi型半導体層と、を含む、請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記n型半導体層は前記i型半導体層上に設けられ、前記i型半導体層は前記p型半導体層上に設けられる、請求項10に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記p型半導体層は前記i型半導体層上に設けられ、前記i型半導体層は前記n型半導体層上に設けられる、請求項10に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記第1トランジスタは、酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極とを備えた酸化物半導体TFT(Thin Film Transistor)である、請求項10記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、請求項13記載の光電変換装置。
【請求項15】
請求項1記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置上に設けられ、入射したX線をシンチレーション光に変換するシンチレータと
を具備するX線撮像装置。
【請求項16】
前記シンチレーション光は、前記第1領域において電荷に変換され、該電荷に応じた電圧が前記第1端子を介して外部へ出力される、請求項15記載のX線撮像装置。
【請求項17】
前記第2領域は光電変換素子を有さず、
前記シンチレータで得られ、且つ前記第2領域に入射した前記シンチレーション光は電荷に変換されない、請求項16記載のX線撮像装置。
【請求項18】
請求項記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置上に設けられ、入射したX線をシンチレーション光に変換するシンチレータと
を具備し、前記第2光電変換素子で発生された信号は、外部へ出力されない、X線撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電変換装置およびX線撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、内部領域に設けられたSiGe装置と、内部領域と外部領域との間の中間環状領域に設けられたダミーパターンを含む半導体装置が開示されている。本構成により、特許文献1によれば、SiGeのエピタキシャル成長時におけるマイクロローディング効果を軽減しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-164548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の画素がマトリクス状に配置された光電変換装置において、平面視における画素領域の外側にダミーパターンを設けた場合、特に画素領域を取り囲む額縁領域の面積が増大するため、光電変換装置の平面視におけるサイズが大きくなり得る。また外形サイズに制限がある場合があり、狭額縁化が求められることもある。
【0005】
そこで、本開示の一実施形態では、大型化を抑制しつつ、マイクロローディング効果を低減できる光電変換装置およびX線撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一態様に係る光電変換装置は、基板の第1領域上に設けられた第1トランジスタと、前記基板の前記第1領域上に設けられ、前記第1トランジスタに電気的に接続された第1光電変換素子と、前記基板の第2領域上に設けられた第2トランジスタと、前記基板上に設けられ、前記第1トランジスタ、前記第1光電変換素子、及び前記第2トランジスタ、を被覆する絶縁層と、前記絶縁層上に設けられ、前記第1トランジスタと前記第1光電変換素子のいずれかに電気的に接続され、外部と接続可能な第1端子とを備え、前記第2トランジスタは、前記第1トランジスタのダミートランジスタである。
【0007】
(2)上記(1)の光電変換装置において、前記第1端子は、前記第2領域内における前記絶縁層上に設けられる。
【0008】
(3)上記(1)または(2)の光電変換装置において、前記第1端子は、平面視において前記第2トランジスタとオーバーラップする。
【0009】
(4)上記(1)乃至(3)いずれかの光電変換装置において、前記第1端子は前記第1トランジスタのゲートに電気的に接続され、前記第2トランジスタのゲートは電気的にフローティングとされる。
【0010】
(5)上記(1)乃至(3)いずれかの光電変換装置において、前記第1端子は前記第1トランジスタのソースまたはドレインに電気的に接続される。
【0011】
(6)上記(1)乃至(5)いずいれかの光電変換装置において、前記第2領域は、前記第1領域の周囲を取り囲む。
【0012】
(7)上記(1)乃至(6)いずれかの光電変換装置において、前記基板の第3領域上に設けられた第3トランジスタと、前記第3トランジスタに電気的に接続された第2光電変換素子と更に備え、前記第3トランジスタは、前記第1トランジスタのダミートランジスタであり、前記第2光電変換素子は、前記第1光電変換素子のダミー素子であり、前記第3トランジスタのゲートは、前記第1端子に電気的に接続され、前記第3領域は、前記第1領域と第2領域との間において、前記第1領域を取り囲む。
【0013】
(8)上記(7)の光電変換装置において、前記第1領域は、入射した光に応じて電荷を発生させ、該電荷に応じた電圧を外部へ出力するアクティブ領域であり、前記第2領域及び前記第3領域は、前記アクティブ領域のダミー領域である。
【0014】
(9)上記(1)乃至(8)いずれかの光電変換装置において、前記絶縁層は、前記基板上に設けられた第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に設けられた第2絶縁層とを含み、前記第1端子は、前記第2絶縁層上に設けられる。
【0015】
(10)上記(1)乃至(9)いずれかの光電変換装置において、前記基板の第3領域上に設けられたESD(Electro-Static Discharge)素子を更に備え、前記第3領域は前記第2領域に隣接する。
【0016】
(11)上記(1)乃至(10)いずれかの光電変換装置において、前記第1光電変換素子は、n型半導体層と、p型半導体層と、前記n型半導体層と前記p型半導体層との間に設けられたi型半導体層と、を含む。なお、第1光電変換素子における半導体層の積層の順番は、n型層/i型層/p型層の順番であってもよいし、p型層/i型層/n型層の順番であってもよく、限定されない。
【0017】
(12)上記(1)乃至(11)いずれかの光電変換装置において、前記第1トランジスタは、酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極とを備えた酸化物半導体TFT(Thin Film Transistor)である。
【0018】
(13)上記(1)乃至(12)いずれかの光電変換装置において、前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む。
【0019】
(14)本開示の一態様に係るX線撮像装置は、上記(1)記載の光電変換装置と、前記光電変換装置上に設けられ、入射したX線をシンチレーション光に変換するシンチレータとを備える。
【0020】
(15)上記(14)のX線撮像装置において、前記シンチレーション光は、前記第1領域において電荷に変換される。ただし、前記第1領域において前記第3トランジスタのゲートが前記第1端子に電気的に接続されていないダミートランジスタを具備している場合は、前記第2光電変換素子から発生した信号については外部へ出力されない。
【0021】
(16)上記(14)または(15)のX線撮像装置において、前記シンチレータで得られた前記シンチレーション光は、前記第2領域に入射するが、光電変換素子を備えていないため電荷へ変換されない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係るX線撮像装置の概略構成を示す模式図である。
図2A】第1実施形態に係る光電変換装置の概略構成を表す平面図である。
図2B】第1実施形態に係る光電変換装置におけるアクティブエリア、第1ダミー領域、及び第2ダミー領域の概略構成を表す平面図である。
図3A】第1実施形態に係る光電変換装置における画素の回路図である。
図3B】第1実施形態に係る光電変換装置におけるダミー画素の回路図である。
図4A】第1実施形態に係る光電変換装置における画素の平面図である。
図4B図4Aにおける4B-4B線に沿った断面図である。
図4C】第1実施形態に係る光電変換装置におけるダミー画素の平面図である。
図4D図4Cにおける4D-4D線に沿った方向の断面図である。
図5A】第1実施形態に係る光電変換装置の第1製造工程を示す断面図である。
図5B】第1実施形態に係る光電変換装置の第2製造工程を示す断面図である。
図5C】第1実施形態に係る光電変換装置の第3製造工程を示す断面図である。
図5D】第1実施形態に係る光電変換装置の第4製造工程を示す断面図である。
図5E】第1実施形態に係る光電変換装置の第5製造工程を示す断面図である。
図5F】第1実施形態に係る光電変換装置の第6製造工程を示す断面図である。
図5G】第1実施形態に係る光電変換装置の第7製造工程を示す断面図である。
図6A】第2実施形態に係る光電変換装置における画素の平面図である。
図6B図6Aにおける6B-6B線に沿った断面図である。
図6C図6Aにおける第2ダミー領域の断面図である。
図7】第3実施形態に係る光電変換装置におけるアクティブエリア、第1ダミー領域、第2ダミー領域、及び保護領域の概略構成を表す平面図である。
図8】第3実施形態に係る光電変換装置における第2ダミー領域及び保護領域の断面図である。
図9A】第1乃至第3実施形態の第1変形例に係る光電変換装置における外部接続端子のレイアウト図である。
図9B】第1乃至第3実施形態の第2変形例に係る光電変換装置における外部接続端子のレイアウト図である。
図9C】第1乃至第3実施形態の第3変形例に係る光電変換装置における外部接続端子のレイアウト図である。
図9D】第1乃至第3実施形態の第4変形例に係る光電変換装置における外部接続端子のレイアウト図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸、及びZ軸を示しており、各軸の方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、上下方向については、図4Bを基準とし、図4Bの上側を上方とし、図4Bの下側を下方とする。ただし、これらの方向の定義は、あくまでも説明の便宜上のものであり、本発明に係る光電変換装置やX線撮像装置の製造時や使用時の向きを限定する意図はない。また、各図面において、同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0024】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る光電変換装置及びX線撮像装置について説明する。図1は、本実施形態に係る光電変換装置10を備えるX線撮像装置1の概略構成を示す模式図である。X線撮像装置1は、X線によって被写体Sを撮像する。X線撮像装置1は、例えば、X線透視検査装置やX線CT装置等に用いられる。本実施形態のX線撮像装置1は、X線源2、シンチレータ3および光電変換装置10を有する。
【0025】
X線源2は、被写体SにX線を照射する。被写体Sに入射したX線は、被写体Sを透過し、光電変換装置10上に設けられたシンチレータ3に入射する。シンチレータ3に入射したX線は、蛍光(以下、シンチレーション光と記載する。)に変換され光電変換装置10に入射する。光電変換装置10に入射したシンチレーション光は、光電変換装置10に設けられた後述する光電変換素子40によって、光量に応じた電荷に変換され、電気信号として読み出される。そして、光電変換装置10は、電気信号に基づいてX線画像を生成する。
【0026】
図2Aは、実施形態に係る光電変換装置10の概略構成を示す平面図である。図示するように、光電変換装置10は大まかには、基板20に設けられた画素領域PXR(第1領域に対応する)と、第2ダミー領域DR2(第2領域に対応する)とを備えている。更に光電変換装置10は、第2ダミー領域DR2内設けられ、基板20外部との間で信号の送受信を行うための外部接続端子PAD1、PAD2、及びPAD3(それぞれ第1端子に対応する)を備えている。なお、外部接続端子PAD1、PAD2、及びPAD3を区別しない場合には、単に外部接続端子PADと呼ぶ。
【0027】
本明細書では、実際に光電変換を行うための素子が形成された領域をアクティブエリアと呼び、光電変換を行わない領域であって、かつ、アクティブエリアに形成された素子と類似した構造が形成された領域をダミー領域と呼ぶ。すなわち、アクティブエリアは、上記説明したシンチレーション光を光電変換素子により電荷に変換してX線画像を得るための領域であり、ダミー領域は、アクティブエリアと類似の構成を有してはいるが、それらはX線画像を得るための動作に寄与しない領域である。以下では、本明細書では、ダミー領域として第1ダミー領域と第2ダミー領域が登場するが、いずれも定義は同様である。
【0028】
画素領域PXRは、アクティブエリアAAと第1ダミー領域(第3領域に対応する)DR1を備えている。アクティブエリアAAは、TFT(Thin Film Transistor)と光電変換素子を含む複数の画素を備える。そして、入射されたシンチレーション光を、この画素により電気信号に変換し、外部接続端子PADを介して外部へ出力する。アクティブエリアAAは、基板20の例えば中央部付近に設けられる。
【0029】
第1ダミー領域DR1は、TFTと光電変換素子を含む複数のダミー画素を備える。このダミー画素は、アクティブエリアAA内の画素と異なり、光電変換素子を備えているが、実際にX線を検出するためには使用されない。第1ダミー領域DR1は、図2AのXY平面において、アクティブエリアAAの周囲を取り囲むように設けられる。すなわち、第1ダミー領域DR1内のダミー画素が、アクティブエリアAA内の画素の集合の周囲を取り囲む。
【0030】
第2ダミー領域DR2は、TFTは含むが光電変換素子を含まない複数のダミー画素を備える。このダミー画素も、アクティブエリアAA内の画素と異なり、実際にX線を検出するためには使用されない。第2ダミー領域DR2は、図2AのXY平面において、第1ダミー領域DR1の周囲を取り囲むように設けられる。すなわち、第2ダミー領域DR2内のダミー画素が、第1ダミー領域DR1内の画素の集合の周囲を取り囲む。
【0031】
本明細書では、アクティブエリアに形成され、実際に光電変換を行う画素を単に画素と呼び、光電変換を行わない画素であって、ダミー領域に形成されており、かつ、アクティブ領域に形成された画素の構造と類似した構造をダミー画素と呼ぶ。すなわち、画素は、上記説明したシンチレーション光を光電変換素子により電荷に変換してX線画像を得るための素子の集合であり、ダミー画素は、画素と類似の構成を有してはいるが、それらはX線画像を得るための動作に寄与しない素子、または素子の集合である。
【0032】
そして、第2ダミー領域DR2において、基板20のZ軸に沿った上方に、外部接続端子PADが設けられる。外部接続端子PADは、光電変換装置10を制御するための制御装置と、例えばワイヤボンディングのような方法で電気的に接続するためのものである。図2Aにおいて、例えばY方向に沿って配列された複数の外部接続端子PAD1は、アクティブエリアAA内におけるいずれかの行の画素を選択するための信号を制御回路から受信する。また、X方向に沿って配列された複数の外部接続端子PAD2は、アクティブエリアAA内における各列の画素から転送される画像信号を、制御回路に出力する。そして外部接続端子PAD3は、画素に対して与えられるバイアス電圧を制御回路から受信する。
【0033】
次に図2Bを用いて、上記アクティブエリアAA、第1ダミー領域DR1、及び第2ダミー領域DR2における画素及びダミー画素の配置例について説明する。図2Bは、アクティブエリアAA、第1ダミー領域DR1、及び第2ダミー領域DR2の、より詳細な構成を示す模式図であり、図2Aと同様にXY平面を示している。
【0034】
図示するように図2Bの例であると、本実施形態に係る光電変換装置10は、例えばマトリクス状に配置された(11×11)個の画素及びダミー画素の集合を備えている。このうち、中央部においてマトリクス状に配置された(7×7)個の画素PX及びダミー画素DPX1の集合が画素領域PXRである。更に、この画素領域PXRの中央部においてマトリクス状に配置された(5×5)個の画素PXの集合がアクティブエリアAAであり、画素領域PXR内においてアクティブエリアAAの周囲に配置されたダミー画素DPX1の集合が第1ダミー領域DR1である。更に、画素領域PXRの周囲に配置されたダミー画素DPX2の集合が第2ダミー領域DR2である。なお、アクティブエリアAA、第1ダミー領域DR1、及び第2ダミー領域DR2内に含まれる画素PX並びにダミー画素DPX1及びDPX2の数は一例に過ぎず、図2Bの場合に限定されるものではない。なお、本実施形態では、画素PXは、X線により撮像されることにより得られる画像に寄与する構成を指し、ダミー画素DPX1及びDPX2は、その回路構成にかかわらず、得られる画像に寄与しない構成を指す。
【0035】
更に、基板20上には、X方向に沿った複数のゲート配線21と、Y方向に沿った複数のデータ配線22及びバイアス配線23とが設けられている。図2Bに示すように、ゲート配線21は、アクティブエリアAA、第1ダミー領域DR1、及び第2ダミー領域DR2の3つの領域を通過する配線21と、第1ダミー領域DR1及び第2ダミー領域DR2を通過し、アクティブエリアAAを通過しない配線21と、第2ダミー領域DR2を通過し、アクティブエリアAA及び第1ダミー領域DR1を通過しない配線21とが含まれる。このうち、3つの領域AA、DR1、及びDR2を通過する配線21は、同一行に位置する画素PXに接続され、ダミー画素DPX1及びダミー画素DPX2には接続されない。また、2つの領域DR1及びDR2を通過し、領域AAを通過しない配線21は、同一行に位置するダミー画素DPX1及びダミー画素DPX2には接続されない。そして、領域DR2を通過し、領域AA及びDR2を通過しない配線21は、いずれの画素PXにもダミー画素DPX1及びDPX2にも接続されない。すなわち、画素PXに接続されるゲート配線21は、実質的にいずれかの行の画素PXを選択するための配線として機能するが、画素PXに接続されないその他の配線は、ダミーの配線である。なお、図2Bの構成において、ゲート配線21がダミー画素DPX2には接続されておらず、ダミー画素DPX1に接続されている場合であってもよいし、ゲート配線21がダミー画素DPX1とダミー画素DPX2の両方に接続されている場合であってもよい。
【0036】
データ配線22は、画素領域PXR内において設けられている。データ配線22は、アクティブエリアAA及び第1ダミー領域DR1の2つの領域を通過する配線22と、第1ダミー領域DR1を通過し、アクティブエリアAAを通過しない配線22とを含む。このうち、2つの領域AA及びDR1を通過する配線22は、同一列に位置する画素PX及びダミー画素DPX1に接続される。また、領域DR1を通過し、領域AAを通過しない配線22は、同一列に位置するダミー画素DPX1に接続される。そして、画素PXに接続されるデータ配線22は、画素PXから得られる電圧を転送するための実質的な配線として機能するが、画素PXに接続されないその他の配線22は、ダミーの配線である。また、これらの画素PXに接続されないデータ配線22は、いずれかの領域において共通に接続されてもよい。
【0037】
バイアス配線23は、画素領域PXR内において設けられている。バイアス配線23は、アクティブエリアAA及び第1ダミー領域DR1の2つの領域を通過する配線23と、第1ダミー領域DR1を通過し、アクティブエリアAAを通過しない配線23とを含む。このうち、2つの領域AA及びDR1を通過する配線23は、同一列に位置する画素PX及びダミー画素DPX1に接続される。また、領域DR1を通過し、領域AAを通過しない配線23は、同一列に位置するダミー画素DPX1に接続される。そして、画素PXに接続されるバイアス配線23は、画素PXを動作させるために必要な電圧を転送するための実質的な配線として機能するが、画素PXに接続されないその他の配線23は、ダミーの配線である。また、これらのバイアス配線23は、いずれかの領域において共通に接続されてもよい。
【0038】
上記のように、本明細書では、アクティブエリアに形成され、実際にデータ配線22への電流経路となる画素を単に画素と呼び、データ配線22への電流経路とならない構成であって、ダミー領域に形成され、且つ画素と類似した構成をダミー画素と呼ぶ。ゲート配線21、データ配線22、及びバイアス配線23についても同様である。いずれかの画素に接続された配線21は、いずれかの画素を選択するためのゲート配線として機能する。しかし、画素に接続されない配線21は、実際に画素を選択するためには用いられない、ゲート配線のダミー配線である。しかし、ゲート配線のダミー配線もまた、ゲート配線と同様に、略同一ピッチで同一方向に形成される。また、いずれかの画素に接続された配線22は、いずれかの画素からの信号を転送するためのデータ配線として機能する。しかし、画素に接続されない配線22は、実際に画素からの信号を、後述する制御回路に転送するためには用いられない、データ配線のダミー配線である。しかし、データ配線のダミー配線もまた、データ配線と同様に、略同一ピッチで同一方向に形成される。更に、いずれかの画素に接続された配線23は、いずれかの画素からに電圧を印加するためのバイアス配線として機能する。しかし、画素に接続されない配線23は、実際に画素にバイアスを印加するためには用いられない、バイアス配線のダミー配線である。しかし、バイアス配線のダミー配線もまた、バイアス配線と同様に、略同一ピッチで同一方向に形成される。
【0039】
上記構成において、外部接続端子PAD3を介して例えばワイヤボンディングされた制御回路は、測定する際にバイアス配線23に所定の電圧(バイアス電圧)を印加する。前述のとおり、X線源2から照射されたX線は、被写体Sを透過し、シンチレータ3に入射する。シンチレータ3に入射したX線はシンチレーション光に変換され、光電変換装置10に入射する。光電変換装置10に入射したシンチレーション光は、アクティブエリアAA内の画素PXの光電変換素子によって、光量に応じた電荷に変換される。なお、シンチレーション光は、第2ダミー領域DR2(ダミー画素DPX2)には入射されるが信号としては出力されない。画素PXの光電変換素子で変換された電荷に応じた信号(画像信号)は、外部接続端子PAD1を介してワイヤボンディングされた制御回路からゲート配線21に印加されたゲート電圧に応じてオン状態となっているTFTを介して、データ配線22に出力される。そして、データ配線22に出力された信号は、外部接続端子PAD2を介してワイヤボンディングされた制御回路に対して転送され、制御回路においてX線画像が生成される。
【0040】
次に、上記画素PX、ダミー画素DPX1、及びダミー画素DPX2の構成について、図3A及び図3Bを用いて説明する。図3Aは画素PX及びダミー画素DPX1の等価回路図であり、図3Bはダミー画素DPX2の等価回路図である。
【0041】
まず、画素PXについて説明する。図3Aに示すように画素PXは、TFT30(第1トランジスタに対応する)、光電変換素子40(第1光電変換素子に対応する)、抵抗素子41、及びキャパシタ素子42を備えている。TFT30は、ゲートがゲート配線21に接続され、ソースがデータ配線22に接続されている。光電変換素子40、抵抗素子41、及びキャパシタ素子42は並列接続されている。すなわち、光電変換素子40のカソードと、抵抗素子41の一端と、キャパシタ素子42の一方電極とが共通に接続され、更にTFT30のドレインに接続されている。また、光電変換素子40のアノードと、抵抗素子41の他端と、キャパシタ素子42の他方電極とが共通に接続され、更にバイアス配線23に接続されている。本構成において、TFT30はスイッチング素子として機能する。そして、入射されたX線が光電変換素子40により電圧に変換され、この電圧が、TFT30を介してデータ配線22に転送される。
【0042】
次にダミー画素DPX1について説明する。ダミー画素DPX1は、図3Aで説明した画素PXとほぼ同様の構成を備えている。すなわちダミー画素DPX1は、TFT30D(第3トランジスタに対応する)、光電変換素子40(第2光電変換素子に対応する)、抵抗素子41、及びキャパシタ素子42を備えている。TFT30Dは、ソースがデータ配線22に接続されているが、ゲートはゲート配線21に接続されずに、例えば電気的にフローティングの状態とされている。ダミー画素DPX1のTFT30Dは、画素PXのTFT30のダミートランジスタである。すなわち、ダミー画素DPX1のTFT30は、画素PXのTFT30と略同一の構成を有しているが、画素PXのTFT30のように信号をデータ配線22に転送するために用いられるものではない。光電変換素子40、抵抗素子41、及びキャパシタ素子42は並列接続されている。すなわち、光電変換素子40のカソードと、抵抗素子41の一端と、キャパシタ素子42の一方電極とが共通に接続され、更にTFT30Dのドレインに接続されている。また、光電変換素子40のアノードと、抵抗素子41の他端と、キャパシタ素子42の他方電極とが共通に接続され、更にバイアス配線23に接続されている。これらの光電変換素子40、抵抗素子41、及びキャパシタ素子42も、画素PXの光電変換素子40、抵抗素子41、及びキャパシタ素子42のダミー素子である。特にダミー画素DPX1の光電変換素子30は、画素PXの光電変換素子30と略同一の構成を有しているが、X線画像を得るための光電変換に用いられるものではない。本構成において、TFT30Dに接続されるデータ配線22のうちで、TFT30に接続されないデータ配線22がダミー配線である。
【0043】
次に、ダミー画素DPX2について説明する。図3Bに示すようにダミー画素DPX2は、TFT30D(第2トランジスタに対応する)を備えているが、画素PX及びダミー画素DPX1と異なり、光電変換素子、抵抗素子、及びキャパシタ素子は備えていない。そして、TFT30Dのソースはデータ配線22に接続されずに、フローティングの状態であり、ゲートもゲート配線21に接続されずにフローティングの状態であり、ドレインもまたフローティングの状態である。なお、TFT30Dのゲートは、例えばGNDに固定されていてもよい。ダミー画素DPX2のTFT30Dは、画素PXのTFT30のダミートランジスタである。すなわち、ダミー画素DPX2のTFT30Dは、画素PXのTFT30と略同一の構成を有しているが、画素PXのTFT30のように信号をデータ配線22に転送するために用いられるものではない。
【0044】
次に、上記画素PX並びにダミー画素DPX1及びDPX2の構成の詳細について説明する。まず、画素PXの構成につき、図4Aを用いて説明する。図4Aは、1つの画素PXの光電変換素子40付近の構成を示す部分上面図である。
【0045】
図4Aに示すように、本実施形態のTFT30および光電変換素子40は、上面視(XY平面)でゲート配線21およびデータ配線22に囲まれた領域に設けられている。また、基板20上には、さらにバイアス配線23が設けられている。ゲート配線21、データ配線22、及びバイアス配線23は、第2ダミー領域DR2の上方に設けられた外部接続端子PAD1、PAD2、及びPAD3にそれぞれ接続される。
【0046】
本実施形態のTFT30は、例えばゲート配線21とデータ配線22とが交差する領域の近傍に設けられる。そして、TFT30の上方に、TFT30とZ方向でオーバーラップするように、矩形の形状を有する光電変換素子40が設けられる。TFT30のゲート電極は、対応するゲート配線21直下まで引き出され、コンタクトホールCH1を介してゲート配線21と接続される。またTFT30のソース電極は、対応するデータ配線22直下まで引き出され、コンタクトホールCH2を介してデータ配線22に接続される。そしてTFT30のドレイン電極は、コンタクトホールCH3を介して光電変換素子40に接続される。更に、バイアス配線23が、光電変換素子40の上方に設けられ、コンタクトホールCH4を介して光電変換素子40と接続される。なお、図4Aでは説明の簡単化のため、抵抗素子41及びキャパシタ素子42の図示は省略している。
【0047】
図4Bは、図4Aにおける4B-4B線に沿った断面図である。図示するように、本実施形態のTFT30は、ゲート電極31、半導体層32、ソース電極33、及びドレイン電極34を含む。ゲート電極31、ソース電極33、及びドレイン電極34は、それぞれTFT30の形成に用いられる金属膜である。
【0048】
ゲート電極31は、基板20上に設けられている。基板20は、例えばガラス等の材料によって構成される。ゲート電極31は、図示せぬゲート配線21と電気的に接続されている。例えば、ゲート電極31及びゲート配線21は、同一材料を用いて同一工程にて同層に形成される。
【0049】
ゲート電極31及びゲート配線21は、例えば下層に窒化タンタル(TaN)を含む金属膜、上層にタングステン(W)を含む金属膜が積層された構成を有する。なお、ゲート電極31及びゲート配線21は、例えば下層にチタン(Ti)を含む金属膜、上層に銅(Cu)を含む金属膜が積層された構成であってもよい。または、ゲート電極31及びゲート配線21は、例えば下層にアルミニウム(Al)を含む金属膜、上層に窒化モリブデン(MoN)を含む金属膜が積層された構成であってもよい。ただし、本実施形態において、ゲート電極31及びゲート配線21の材料は、これに限定されない。
【0050】
更に、基板20上には、ゲート電極31を被覆するようにして、ゲート絶縁膜35が設けられている。ゲート絶縁膜35は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸化窒化ケイ素(SiO)(x>y)、窒化酸化ケイ素(SiN)(x>y)等を含む無機絶縁膜によって構成されている。本実施形態のゲート絶縁膜35は、下層に窒化ケイ素(SiN)を含む無機絶縁膜と、上層に酸化ケイ素(SiO)を含む無機絶縁膜とが積層された構成である。ただし、本実施形態において、ゲート絶縁膜35の材料は、これに限定されない。
【0051】
半導体層32は、ゲート絶縁膜35を介してゲート電極31と重なるように、ゲート絶縁膜35上に設けられている。例えば、半導体層32は、酸化物半導体によって形成されている。この酸化物半導体としては、例えば、InGaO(ZnO)、酸化マグネシウム亜鉛(MgZn(1-x)O)、酸化カドミウム亜鉛(CdZn(1-x)O)、酸化カドミウム(CdO)、InSnZnO(インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)を含むもの)、In(インジウム)-Al(アルミニウム)-Zn(亜鉛)-O(酸素)系、またはインジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を所定の比率で含有するアモルファス酸化物半導体等を用いてもよい。また、酸化物半導体としては、「非晶質」、「結晶質(多結晶、微結晶、及びc軸配向を含む)」、の材料も適用可能である。また、半導体層32は積層構造を有していてもよく、その場合には上記の材料のいずれの組み合わせも可能である。本実施形態の半導体層32は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を所定の比率で含有した構成である。このような構成によれば、アモルファスシリコン(a-Si)を用いた場合に比べて、TFT30のオフリーク電流を低減できるため、S/N比を高くとることができ、高感度なセンサーが実現できる。
【0052】
ソース電極33およびドレイン電極34は、例えば同一材料を用いて同一工程にて同一層に形成される。具体的には、ソース電極33及びドレイン電極34は、半導体層32の一部と接触するようにゲート絶縁膜35上に設けられている。本実施形態のソース電極33及びドレイン電極34は、例えば、基板20側(下層側)から順に、チタン(Ti)を含む金属膜と、アルミニウム(Al)を含む金属膜と、チタン(Ti)を含む金属膜とが積層された3層構造を有する構成である。ただし、本実施形態において、ソース電極33及びドレイン電極34の材料は、これに限定されない。
【0053】
半導体層32、ソース電極33、及びドレイン電極34上には、これらを被覆するようにして第1絶縁膜36が設けられている。第1絶縁膜36は、例えば、酸化ケイ素(SiO)を含む無機絶縁膜によって形成されている。ただし、本実施形態の第1絶縁膜36の材料は、これに限定されない。第1絶縁膜36は、上面視でソース電極33と重なる領域、及びドレイン電極34と重なる領域に開口を有する。第1絶縁膜36は、TFT30を保護するパッシベーション膜として機能する。
【0054】
第1絶縁膜36上には、第2絶縁膜37が設けられている。第2絶縁膜37は、例えば、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂またはポリイミド系樹脂などの透明樹脂によって形成されている。ただし、第2絶縁膜37の材料は、これに限定されない。なお、本実施形態の第2絶縁膜37は、基板20上の凹凸を覆うことで平坦化する、平坦化膜としても機能する。
【0055】
第2絶縁膜37は、上面視でソース電極33と重なる領域、及びドレイン電極34と重なる領域に開口を有する。そして、第1絶縁膜36に設けられた開口、及び第2絶縁膜37に設けられた開口によって、コンタクトホールCH5及びCH3がそれぞれ形成されている。
【0056】
このように、本実施形態のTFT30は、半導体層32に対して基板20側(下層側)の層に設けられたゲート電極31を有するボトムゲート型である。ただし、TFT30は、半導体層32に対して基板20側とは逆側(上層側)の層に設けられたゲート電極31を有するトップゲート型、または、半導体層32に対して基板20側(下層側)の層および基板20とは逆側(上層側)の層のいずれの層にもゲート電極31を有するダブルゲート型であってもよい。
【0057】
なお、半導体層32、ソース電極33、及びドレイン電極34は、同一の半導体材料によって一体として形成されてもよい。具体的には、半導体層32、ソース電極33、及びドレイン電極34は、例えば、同一の酸化物半導体によって、一体として形成されてもよい。この場合、ソース電極33及びドレイン電極34は、少なくとも一部が低抵抗化処理されることで、形成される。このように、ソース電極33及びドレイン電極34は、半導体層32よりも導電性が高い低抵抗半導体として形成されてもよい。
【0058】
コンタクトホールCH3内部及び第2絶縁膜37上には、第1カソード電極38が設けられ、コンタクトホールCH5内部及び第2絶縁膜37上には、第1ソース電極(コンタクトプラグ)39が設けられる。第1カソード電極38は、コンタクトホールCH3内部を埋め込み、TFT30のドレイン電極34と接続される。更に第1カソード電極38は、第2絶縁膜37上において、XY平面における矩形形状に形成され、更にZ方向においてTFT30とオーバーラップしている。第1ソース電極39は、コンタクトホールCH5内部を埋め込み、TFT30のソース電極33と接続される。
【0059】
上記の第1カソード電極38及び第1ソース電極39は、例えば同一材料を用いて同一工程にて同一層に形成されてもよい。第1カソード電極38及び第1ソース電極39は、例えば、基板20側(下層側)から順に、チタン(Ti)を含む金属膜と、アルミニウム(Al)を含む金属膜と、チタン(Ti)を含む金属膜とが積層された3層構造を有する。ただし、本実施形態において、これらの材料に限定されるものではない。
【0060】
また、上記第1カソード電極38及び第1ソース電極39を被覆するようにして、第2絶縁膜37上には第3絶縁膜50が設けられている。第3絶縁膜50は、第1カソード電極38及び第1ソース電極39の端部を覆い、第1カソード電極38及び第1ソース電極39の中央部分に開口部を有する。
【0061】
第3絶縁膜50は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸化窒化ケイ素(SiO)(x>y)、窒化酸化ケイ素(SiN)(x>y)等の無機絶縁材料を含む無機絶縁膜である。ただし、本実施形態の第3絶縁膜50の材料は、これに限定されない。第3絶縁膜50は、平面視(XY平面)において、第1カソード電極38及び第1ソース電極39と重なる領域に開口を有する。第3絶縁膜50は、第1カソード電極38及び第1ソース電極39を保護するパッシベーション膜として機能する。
【0062】
光電変換素子40は、基板20上方に設けられている。具体的には、図2B及び図4Aに示したように、本実施形態の光電変換素子40は、基板20上方に複数設けられ、それぞれマトリクス状に配列されている。図4Bに示すように、本実施形態の光電変換素子40は、上述した第1カソード電極38、第2カソード電極43、アノード電極44、及び第2カソード電極43とアノード電極44との間に設けられた光電変換層45を含む。
【0063】
図4Bに示すように、本実施形態に係る光電変換装置10では、第2絶縁膜37上の第1カソード電極38の端部は、第3絶縁膜50で覆われている。そして、第1カソード電極38の中央部分上に形成された第3絶縁膜50の開口部を介して光電変換層45は第1カソード電極38と電気的に接触している。すなわち、光電変換層45の端部は第3絶縁膜50を介して第1カソード電極38上に設けられている。
【0064】
これにより、第1カソード電極38を形成し、第3絶縁膜50を形成し、次に、第2カソード電極43及び光電変換層45を例えばドライエッチングなどのエッチングを用いてパターニングした際、下層の第1カソード電極38までエッチングされることを抑制することができる。これにより、光電変換層45のパターニングの際に、付着物が付着して光電変換層45にリークパスが形成されることを抑制することができる。この結果、光電変換装置10によると、リーク電流を減らすことができる。
【0065】
第2カソード電極43は、第1カソード電極38の端部を覆う第3絶縁膜50上、及び第3絶縁膜50に設けられた開口部を介して、第1カソード電極38上に設けられている。第2カソード電極43は、例えばチタン(Ti)を含む、金属層によって形成される。もちろん、材料は一例に過ぎない。
【0066】
光電変換層45は、基板20側から順に積層された、それぞれ半導体材料を含む、n型半導体層45A1と、i型半導体層45A2と、p型半導体層45A3と、を含む。n型半導体層45A1は、第2カソード電極43上に設けられている。n型半導体層45A1は、例えば、リン(P)等のn型不純物がドーピングされたアモルファスシリコンを含む。ただし、本実施形態のn型半導体層45A1の材料は、これに限定されない。
【0067】
i型半導体層45A2は、n型半導体層45A1上に設けられ、n型半導体層45A1と接触している。i型半導体層45A2は、i型のアモルファスシリコンを含む。すなわち、i型半導体層45A2は、真性のアモルファスシリコンを含む。ただし、本実施形態のi型半導体層45A2の材料は、これに限定されない。
【0068】
p型半導体層45A3は、i型半導体層45A2上に設けられ、i型半導体層45A2と接触している。p型半導体層45A3は、例えば、ボロン(B)等のp型不純物がドーピングされたアモルファスシリコンを含む。ただし、本実施形態のp型半導体層45A3の材料は、これに限定されない。
【0069】
また本実施形態では、光電変換素子40の光電変換層45は、基板20側から順に積層された、n型半導体層45A1と、i型半導体層45A2と、p型半導体層45A3と、を含む場合を例に示している。しかしながら、光電変換層45は、基板20側から順に積層された、p型半導体層45A3と、i型半導体層45A2と、n型半導体層45A1と、を含む場合であってもよい。すなわち、n型半導体層45A1とp型半導体層45A3との間にi型半導体層45A2が位置する構成であればよい。
【0070】
アノード電極44は、p型半導体層45A3上に設けられている。アノード電極44は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料によって形成される。ただし、アノード電極44の材料は、これに限定されない。
【0071】
そして、光電変換素子40及び第3絶縁膜50上に、第4絶縁膜51が設けられている。第4絶縁膜51は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸化窒化ケイ素(SiO)(x>y)、窒化酸化ケイ素(SiN)(x>y)等の無機絶縁材料を含む無機絶縁膜である。ただし、本実施形態の第4絶縁膜51の材料は、これに限定されない。
【0072】
第4絶縁膜51上には、第5絶縁膜52が設けられている。第5絶縁膜52は、例えば、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂またはポリイミド系樹脂などの透明樹脂を用いて形成される。ただし、本実施形態の第5絶縁膜52の材料は、これに限定されない。
【0073】
なお、本実施形態の第5絶縁膜52は、樹脂材料を用いて形成される樹脂層であるため、無機絶縁材料を用いて形成された無機絶縁膜と比べて厚膜化することができる。このため、第5絶縁膜52によると、基板20上のTFT30および光電変換素子40によって形成された凹凸を覆うことで平坦化する、平坦化層としても機能する。このように、TFT30および光電変換素子40によって形成された凹凸を平坦化することにより、シンチレータ3を平坦に構成することができる。
【0074】
第5絶縁膜52及び第4絶縁膜51内には、図4Aで説明した、アノード電極44に達するコンタクトホールCH4が設けられる。また、第5絶縁膜52、第4絶縁膜51、及び第3絶縁膜50内には、第1ソース電極39に達するコンタクトホールCH6が設けられる。そして、コンタクトホールCH5及びCH6の組み合わせが、図4Aで説明したコンタクトホールCH2に相当する。
【0075】
コンタクトホールCH4内部及び第5絶縁膜52上には、例えば、基板20側(下層側)から順に、チタン(Ti)を含む金属膜と、アルミニウム(Al)を含む金属膜と、チタン(Ti)を含む金属膜とを含む多層金属膜53と、多層金属膜53上において、ITOなどの透明導電導材料を含む透明導電膜54とが設けられている。そして、第5絶縁膜52上の多層金属膜53と透明導電膜54とが、図4Bの記載された紙面の奥行き方向(Y方向)に沿って設けられ、図4Aで説明したバイアス配線23として機能する。
【0076】
同様に、コンタクトホールCH6内部及び第5絶縁膜52上には、例えば、基板20側(下層側)から順に、チタン(Ti)を含む金属膜と、アルミニウム(Al)を含む金属膜と、チタン(Ti)を含む金属膜とを含む多層金属膜55と、多層金属膜55上において、ITOなどの透明導電導材料を含む透明導電膜56とが設けられている。そして、第5絶縁膜52上の多層金属膜55と透明導電膜56とが、図4Bの記載された紙面の奥行き方向(Y方向)に沿って設けられ、図4Aで説明したデータ配線22として機能する。なお、バイアス配線23とデータ配線22とは、同一の工程で同一の材料を用いて形成されてもよい。ただし、データ配線22及びバイアス配線23の材料は、これに限定されない。
【0077】
第5絶縁膜52上には、データ配線22及びバイアス配線23を被覆するようにして、第6絶縁膜57が設けられている。第6絶縁膜57は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸化窒化ケイ素(SiO)(x>y)、窒化酸化ケイ素(SiN)(x>y)等の無機絶縁材料を含む無機絶縁膜である。ただし、本実施形態の第6絶縁膜57の材料は、これに限定されない。
【0078】
第6絶縁膜57上に、第7絶縁膜58が設けられている。第7絶縁膜58は、例えば、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂またはポリイミド系樹脂などの透明樹脂を用いて形成される。ただし、本実施形態の第7絶縁膜58の材料は、これに限定されない。
【0079】
なお、本実施形態の第7絶縁膜58は、樹脂材料を用いて形成される樹脂層であるため、無機絶縁材料を用いて形成された無機絶縁膜と比べて厚膜化することができる。このため、第7絶縁膜58によると、TFT30、光電変換素子40、データ配線22、及びバイアス配線23などによって形成された凹凸を覆うことで平坦化する、平坦化層としても機能する。このように、TFT30、光電変換素子40、データ配線22、及びバイアス配線23などによって形成された凹凸を平坦化することにより、シンチレータ3を平坦に構成することができる。
【0080】
すなわち、本実施形態に係る光電変換装置10によると、無機絶縁膜よりも厚膜化することが可能な樹脂層を複数層(本実施形態では第2絶縁膜37、第5絶縁膜52、及び第7絶縁膜58の3層)を設けているため、樹脂層を複数層設けていない構成と比べて、光電変換領域の表面を、より平坦化することができる。これにより、シンチレータ3を平坦に構成することができるため、シンチレーション光が真直ぐに光電変換素子40へ入射することができる。よって、高性能なX線撮像装置1を得ることができる。
【0081】
ダミー画素DPX1の構成は、上記図4A及び図4Bを用いて説明した画素PXとほぼ同様であるが、ダミー画素DPX1のTFT30Dのゲート電極が電気的にフローティングとされる点が異なる。ゲート電極はゲート配線21等、いずれの配線にも接続されず、周囲を絶縁膜によって取り囲まれた構成となる。次にダミー画素DPX2の構成について説明する。図4Cは、1つのダミー画素DPX2の光電変換素子40付近の構成を示す部分上面図であり、画素PXについて説明した図4Aに対応する。
【0082】
図4Cに示すように、本実施形態のTFT30Dは、画素PXのTFT30と同様に、上面視(XY平面)でゲート配線21に囲まれた領域に設けられる。そしてTFT30Dの平面パターンは、TFT30の平面パターンと略同一である。ダミー画素DPX2が画素PXと異なる点は、ゲート配線21及びデータ配線22に接続されない点と、光電変換素子40が設けられない点である。したがって、TFT30Dのゲート電極、ソース電極、及びドレイン電極は電気的にフローティングの状態とされる。
【0083】
図4Dは、図4Cにおける4D-4D線に沿った方向の断面図である。なお、図4D図4Cに完全に対応した断面図ではなく、4D-4D線に沿った方向において、特に外部接続端子PADと接続される領域に対応する。図4Dの例であると、X方向に例えば3つのTFT30Dが設けられている。
【0084】
図示するように、ダミー画素DPX2のTFT30Dは、ゲート電極31D、半導体層32D、ソース電極33D、及びドレイン電極34Dを含む。ゲート電極31D、ソース電極33D、及びドレイン電極34Dは、それぞれTFT30Dの形成に用いられる金属層である。これらは例えば、図4Bを用いて説明したTFT30におけるゲート電極31、半導体層32、ソース電極33、及びドレイン電極34と同様の構成を有し、また同一の工程で同一の材料により同一の膜厚で形成される。また図4Dの例であると、X方向で隣り合うTFT30Dは、例えばソース電極33D同士またはドレイン電極34D同士が共通に接続される。
【0085】
更に、基板20上には、ゲート電極31Dを被覆するようにして、ゲート絶縁膜35Dが設けられている。そして、ゲート絶縁膜35D上に半導体層32Dが設けられている。ゲート絶縁膜35Dもまた、例えばゲート絶縁膜35と同一の工程で同一の材料により同一の膜厚で形成されてもよい。
【0086】
半導体層32D、ソース電極33D、及びドレイン電極34D上には、これらを被覆するようにして、画素領域PXRと同様に第1絶縁膜36及び第2絶縁膜37が設けられている。そして、第1絶縁膜36及び第2絶縁膜37中には、TFT30Dのソース電極33Dに達するコンタクトホールCP20が設けられている。コンタクトホールCP20は、例えばコンタクトホールCH5やCH3と同一の工程で形成されてもよい。
【0087】
コンタクトホールCH20内及び第2絶縁膜37上には、第1電極60が設けられる。第1電極60は、第1カソード電極38及び第1ソース電極39と、例えば同一材料を用いて同一工程にて同一層に形成されてもよい。また、上記第1電極60を被覆するようにして、画素領域PXRと同様に、第2絶縁膜37上には第3絶縁膜50、第4絶縁膜51、及び第5絶縁膜52が設けられている。
【0088】
第3絶縁膜50、第4絶縁膜51、及び第5絶縁膜52内には、第1電極60に達するコンタクトホールCH21が設けられる。コンタクトホールCH21は、例えばコンタクトホールCH4及びCH6と同一の工程で形成されてもよい。また、コンタクトホールCH21及び第5絶縁膜52上には、多層金属膜61と、多層金属膜61上の透明導電膜62とが設けられている。これらもまた、画素領域PXRにおける多層金属膜53及び透明導電膜54と同一の材料を用いて同一工程にて同一層に形成されてもよい。そして、第5絶縁膜52上の多層金属膜61と透明導電膜62とが、図2Aに図示した外部接続端子PADとして機能する。
【0089】
図4Dに示す例では、TFT30Dのソース電極33Dに接続されているので、多層金属膜61と透明導電膜62は、データ配線22に接続される外部接続端子PAD2として機能する。また図2Bで説明したように、1つの外部接続端子PAD2は、同一列に位置するTFT30及び30Dのソース電極33及び33Dに共通に接続される。したがって、例えば第1電極60に接するソース電極33Dは、当該ソース電極33Dを有するTFT30Dと同一列にあるTFT30及び30Dと、図示せぬ配線により電気的に接続されていてもよい。これにより、同一列にある画素PXのいずれかから読み出された画像信号が、第2ダミー画素DPX2のTFT30Dのソース電極33Dを介して外部接続端子PAD2に転送される。
【0090】
その他の外部接続端子PAD1及びPAD3も同様である。外部接続端子PAD1は、図2Bで説明したように、第2ダミー領域DR2において、X方向で画素領域PXRと隣接する領域上に設けられる。そして、外部接続端子PAD1もまた、図4Dに示すようにZ方向においてダミー画素DPX2とオーバーラップするようにして設けられ、ゲート配線21上に設けられたコンタクトホールCP20及びCP21を介して外部接続端子PAD1とゲート配線21とが電気的に接続される。
【0091】
外部接続端子PAD3は、図2Aの例であると、第2ダミー領域DR2上において、外部接続端子PAD2とX方向で隣り合うように設けられる。外部接続端子PAD3もまた、図4Dに示すようにZ方向においてダミー画素DPX2とオーバーラップするようにして設けられる。そして、例えば画素領域PXR内、第2ダミー領域DR2内、またはそれらの境界領域内において、複数のバイアス配線23が図示せぬ配線により共通に接続される。そして、この配線に、図4Dで説明したコンタクトプラグCP20及び/またはCP21を介して外部接続端子PAD3が電気的に接続される。
【0092】
なお、外部接続端子PAD1~PAD3の設けられる位置は、図2Aの場合に限らず、第2ダミー領域DR2上であればよい。あるいは、その少なくとも一部が第1ダミー領域DR1上に位置していてもよい。また、図2AにおけるXY平面において、アクティブエリアAAの周囲を取り囲むようにして設けられてもよい。更に、コンタクトプラグCP20及びCP21は、第2ダミー領域DR2内に設けられてもよいし、または画素領域PXRと第2ダミー領域DR2との境界領域内に設けられてもよい。
【0093】
上記のように、本実施形態に係る構成であると、外部接続端子PADが画素領域PXR周囲の第2ダミー領域DR2上方に設けられる。言い換えれば、第2ダミー領域DR2内のダミー画素DPX2とオーバーラップするようにして外部接続端子PADが設けられる。その結果、基板20上において、画素領域PXRと第2ダミー領域DR2とを隣接して配置できる。そのため、画素領域PXR内のTFT30と、ダミー領域DR2内のTFT30Dは、基板20上において略同一パターンで配置される。よって、マイクロローディング効果を抑制し、画素領域PXR内のTFT30の形状ばらつきの発生を抑制できる。このため、TFT30の特性ばらつきも抑制でき、TFT30の性能をアクティブエリアAA内において略均一にでき、電気的特性を向上できる。
【0094】
更に、外部接続端子PADは、TFT30や光電変換素子40と同一層ではなく、これらの上層に設けられる。そのため、例えば画素領域PXRと第2ダミー領域DR2との間に外部接続端子PADを設けるための領域を設ける必要がない。その結果、光電変換装置10のパネルサイズ(例えば基板20)の大型化を招くことなく、ダミー画素DPX2を設けることができる。
【0095】
次に、本実施形態の光電変換装置10の製造方法につき説明する。図5A乃至図5Gは、光電変換装置10の製造工程を順次示す断面図である。図5A乃至図5Gでは、画素領域PXRと第2ダミー領域DR2について示しており、特に画素領域PXRに関してはアクティブエリアAAを図示している。第1ダミー領域DR1は、例えばアクティブエリアAAと同様の方法で形成可能であるので、図示及び説明は省略する。
【0096】
まず、図5Aに示すように、基板20上に、既知の方法によりTFT30及び30D、並びにゲート絶縁膜35及び35Dが形成される。
【0097】
次に図5Bに示すように、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、酸化ケイ素(SiO)を含む第1絶縁膜36を形成する。そして、例えば、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法によって、第1絶縁膜36をパターニングする。これにより、ソース電極33及び33D並びにドレイン電極34の上に開口を有する第1絶縁膜36が形成される。引き続き、例えばスリットコート法により、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂またはポリイミド系樹脂を含む第2絶縁膜37を形成する。そして、例えば、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて、第2絶縁膜37をパターニングする。これにより、上面視(XY平面)で第1絶縁膜36の開口と重なる第2絶縁膜37の開口が形成され、これらの開口からなるコンタクトホールCH3、CH5、及びCH20が形成される。
【0098】
次に図5Cに示すように、例えばスパッタリング法を用いて、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、及びチタン(Ti)を順に積層した金属層を成膜し、フォトリソグラフィ法及び例えばウェットエッチング法によって、金属膜をパターニングする。これにより、第2絶縁膜37上に、それぞれコンタクトホールCH3、CH5、及びCH20を埋め込む電極38、39、及び60が形成される。引き続き、第2絶縁膜37上に、電極38、39、及び60を被覆するようにして、例えば、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸化窒化ケイ素(SiO)(x>y)、窒化酸化ケイ素(SiN)(x>y)等の無機絶縁材料を含む無機絶縁膜により、第3絶縁膜50が形成される。そして、例えば、フォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて、第3絶縁膜50をパターニングする。これにより、上面視で第1カソード電極38を露出させる開口が形成される。
【0099】
次に図5Dに示すように、第3絶縁膜50及び第1カソード電極38上に、例えばスパッタリング法を用いて、例えばチタン(Ti)を含む第2カソード電極43が形成される。次に、第2カソード電極43上に、例えばプラズマCVD法を用いて、n型半導体層45A1、i型半導体層45A2、及びp型半導体層45A3が順次形成される。引き続き、p型半導体層45A3上に、例えばスパッタリング法を用いてITOを含むアノード電極44が形成される。
【0100】
次に図5Eに示すように、例えばフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、アノード電極44をパターニングする。引き続き、例えばフォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて、第2カソード電極43、n型半導体層45A1、i型半導体層45A2、及びp型半導体層45A3をパターニングする。これにより、上面視で第1カソード電極38と重なる領域に、光電変換層45が形成される。またこの結果、第2ダミー領域DR2においては、第2カソード電極43、n型半導体層45A1、i型半導体層45A2、p型半導体層45A3、及びアノード電極44が除去される。
【0101】
次に図5Fに示すように、光電変換層45、アノード電極44、及び第3絶縁膜50上に、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸化窒化ケイ素(SiO)(x>y)、窒化酸化ケイ素(SiN)(x>y)等の無機絶縁材料を含む第4絶縁膜51が形成される。そして、例えばフォトリソグラフィ法及びドライエッチング法を用いて、第4絶縁膜51及び第3絶縁膜50をパターニングする。これにより、上面視で電極44、39、及び60を露出させる開口が形成される。引き続き、例えばスリットコート法を用いて、アクリル系樹脂、シロキサン系樹脂、またはポリイミド系樹脂を含む第5絶縁膜52が形成される。そして、例えばフォトリソグラフィ法とドライエッチング法を用いて、第5絶縁膜52をパターニングする。これにより、上面視で第4絶縁膜51の開口と重なる第5絶縁膜52の開口が形成され、これらの開口によりコンタクトホールCH4、CH6、及びCH21が形成される。
【0102】
次に図5Gに示すように、コンタクトホールCH4を埋め込むようにして、第5絶縁膜52上に、例えばスパッタリング法を用いて、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、及びチタン(Ti)を順に積層した多層金属膜53及びITOを含む透明導電膜54が形成される。また同様にして、コンタクトホールCH6を埋め込むようにして、第5絶縁膜52上に、例えばスパッタリング法を用いて、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、及びチタン(Ti)を順に積層した多層金属膜55及びITOを含む透明導電膜56が形成される。更に同様に、コンタクトホールCH21を埋め込むようにして、第5絶縁膜52上に、例えばスパッタリング法を用いて、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、及びチタン(Ti)を順に積層した多層金属膜61及びITOを含む透明導電膜62が形成される。なお、多層金属膜53、55、及び61は同一工程で同一材料により形成されて良く、また透明導電膜54、56、及び62も同一工程で同一材料により形成されて良い。そして、図5Gに示すように、例えばフォトリソグラフィ法及び例えばウェットエッチング法によって、多層金属膜53、55、及び61、並びに透明導電膜54、56、及び62がパターニングされる。これにより、第5絶縁膜52上に、それぞれコンタクトホールCH4、CH6、及びCH21を埋め込む配線23、22、及び外部接続端子PAD2が形成される。外部接続端子PAD2は、X軸方向において、ダミー画素DPX2とオーバーラップするようにして形成される。なお、外部接続端子PAD1及びPAD3もまた、外部接続端子PAD2と同一工程及び同一材料により形成されてもよい。
【0103】
その後は、第5絶縁膜52上に、配線23、22、及び外部接続端子PAD1、PAD2、及びPAD3を被覆するようにして第6絶縁膜57及び第7絶縁膜58が形成される。そして、例えばフォトリソグラフィ法とドライエッチング法により、外部接続端子PAD1、PAD2、及びPAD3が露出されて、図4A乃至図4Dに示す構成が完成する。
【0104】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、平坦化膜として2層の絶縁膜37及び52を用いる場合について説明したが、本実施形態は、1層の平坦化膜を用いて上記第1実施形態を実現するものである。以下では、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0105】
図6Aは、本実施形態に係る画素PXの光電変換素子40付近の構成を示す部分上面図(XY平面)であり、第1実施形態で説明した図4Aに相当する。図6Aに示すように、本実施形態のTFT30および光電変換素子40は、第1実施形態と同様に、上面視でゲート配線21およびデータ配線22に囲まれた領域に設けられている。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、上面視でTFT30と光電変換素子40(特に光電変換層45)とがオーバーラップしない点にある。換言すれば、図4Aにおいて、TFT30とオーバーラップする領域における光電変換素子40が除去された構成を有している。その他の構成は、第1実施形態と同様である。また、ダミー画素DPX1の平面構成は図6Aと同様であり、ダミー画素DPX2の平面構成は図4Cと同様であるので、説明は省略する。
【0106】
図6Bは、図6Aにおける6B-6B線に沿った断面図である。以下では、第1実施形態で説明した図4Bと異なる点についてのみ説明する。図示するように、TFT30及びゲート絶縁膜35上には第1絶縁膜36が形成されている。そして第1絶縁膜36には、図4Bと同様に、ソース電極33及びドレイン電極34に達する開口部が形成されている。また、ソース電極33に達する開口部内及び第1絶縁膜36上には、第1ソース電極70が形成され、ドレイン電極34に達する開口部内及び第1絶縁膜36上には、第1カソード電極71が形成されている。第1カソード電極71は、第1実施形態で説明した図4Bにおける、第2絶縁膜37上の第1カソード電極71に対応し、例えば第1絶縁膜36上において、XY平面における矩形形状に形成される。
【0107】
上記の第1カソード電極71及び第1ソース電極70は、例えば同一材料を用いて同一工程にて同一層に形成されてもよい。第1カソード電極71及び第1ソース電極70は、例えば、基板20側(下層側)から順に、チタン(Ti)を含む金属膜と、アルミニウム(Al)を含む金属膜と、チタン(Ti)を含む金属膜とが積層された3層構造を有する。ただし、本実施形態において、これらの材料に限定されるものではない。
【0108】
そして、上記第1カソード電極71及び第1ソース電極70を被覆するようにして、第1絶縁膜36上には、第1実施形態と同様に第3絶縁膜50が設けられている。第3絶縁膜50は、第1カソード電極71及び第1ソース電極70の端部を覆い、第1カソード電極71及び第1ソース電極70の中央部分に開口部を有する。
【0109】
第1カソード電極71上には、第1実施形態と同様にして、第2カソード電極43、アノード電極44、及び第2カソード電極43とアノード電極44との間に設けられた光電変換層45が形成される。更に、光電変換層45、アノード電極44、及び第3絶縁膜50上には第4絶縁膜51が形成される。そして、第4絶縁膜51上には、第5絶縁膜52が形成されている。
【0110】
そして、第1ソース電極70及びアノード電極44に達するコンタクトホールCH2及びCH4が第5絶縁膜52、第4絶縁膜51、及び第3絶縁膜50に形成される。その他の構成は、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0111】
ダミー画素DPX1の構成は、上記図6A及び図6Bを用いて説明した画素PXと同様であるので説明は省略する。よって、次にダミー画素DPX2の構成について説明する。また、ダミー画素DPX2の平面構成は上記図4Cの通りであるので、この説明も省略する。図6Cは、本実施形態に係るダミー領域DR2の断面図であり、第1実施形態で説明した図4Dに対応する。本実施形態に係るダミー領域DR2の構成が第1実施形態と異なる点は、以下の点である。
・第1絶縁膜36上に第3絶縁膜50が形成され、第3絶縁膜50上に第4絶縁膜51が形成され、第4絶縁膜51上に第5絶縁膜52が形成される。
・第1絶縁膜36上に、ソース電極33Dに接する金属膜74が形成され、第5絶縁膜52に金属膜74に達するコンタクトホールCH30が形成され、CH30を埋め込むようにして、多層金属膜61及び透明導電膜62を含む外部接続端子PAD2が形成される。なお、金属膜74は、例えば、図6Bで説明した第1ソース電極70と同一材料、同一行程、及び同一層に形成される。
【0112】
上記のように、第1実施形態で説明した構成は、平坦膜が1層の場合にも適用できる。また本構成によれば、平坦膜を1層にすることで、製造プロセスを簡略化できる。
【0113】
<第3実施形態>
次に第3実施形態について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態で説明した構成において、更にESD(Electro-Static Discharge)素子を設けた構成に関する。以下では、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0114】
図7は、本実施形態に係る光電変換装置10の概略構成を示す平面図であり、第1実施形態で説明した図2Bに対応する。図示するように本例であると、図2Bの構成において、ダミーのデータ配線22が、第2ダミー領域DR2内にも設けられている。すなわち、Y方向に沿って設けられたダミーのデータ配線22は、同一列にあるダミー画素DPX2のTFT30Dのソースに接続されている。また、画素領域PXR内のデータ配線22も、画素領域PXR内部だけでなく、第2ダミー領域DR2まで引き出されており、対応するダミー画素DPX2のTFT30Dのソースに接続されている。更に、画素領域PXR内を通過するゲート配線21は、第1ダミー領域DR1内のダミー画素DPX1のゲートに接続されている。そして光電変換装置10は、第2ダミー領域DR2の外側に保護領域ERを備えている。なお、図7では、保護領域ERはX方向及びY方向において第2ダミー領域DR2の一方にのみ隣接するように設けられているが、第2ダミー領域DR2の周囲を取り囲むように設けられてもよい。
【0115】
保護領域ERは、複数のESD素子100A及び100Bを備えている。ESD素子100Aは隣接するゲート配線21間に設けられ、ESD素子100Bは各データ配線22に設けられている。ESD素子100Aは、例えば2つのTFT101A及び101Bを備えている。TFT101A及び101Bは並列接続されている。すなわちTFT101Aは、ソースとドレインの一方がTFT101Aのゲート及び一方のゲート配線21に接続され、更にTFT101Bのソースとドレインの一方に接続されている。またTFT101Bは、ソースとドレインの他方がTFT101Bのゲート及び他方のゲート配線21に接続され、更にTFT101Aのソースとドレインの他方に接続されている。
【0116】
ESD素子100Bは、例えば6つのTFT101Cを備えている。これらのTFT101Cは、データ配線22とグランド配線24との間に直列接続され、ゲートはグランド配線24に共通に接続されている。なお、ESD素子100A及び100Bの回路構成は図7に示すもの限定されず、静電気からの画素領域PXRを保護できる構成であればよい。
【0117】
図8は、第2ダミー領域DR2及び保護領域ERの断面図であり、第1実施形態で説明した図4Dに対応する。図8では、保護領域ERに関しては1つのTFT101Aのみを図示しているが、TFT101B及び101Cも同様の構成を有している。
【0118】
図示するように、TFT101Aは、ゲート電極31E、半導体層32E、ソース電極33E、及びドレイン電極34Eを含む。ゲート電極31E、ソース電極33E、及びドレイン電極34Eは、それぞれTFT101Aの形成に用いられる金属膜であり、例えばTFT30のゲート電極31、ソース電極33、及びドレイン電極34と同一工程、同一材料、同一層に形成されてもよい。
【0119】
TFT101Aは、TFT30及び30Dと同様に、基板20上にゲート電極31Eが形成され、ゲート電極31E上にゲート絶縁膜35Eが形成されている。ゲート絶縁膜35Eは、ゲート絶縁膜35及び35Eと同一工程、同一材料、及び同一層に形成されてもよい。ゲート絶縁膜35E及び半導体層32E上には、ソース電極33E及びドレイン電極34Eが形成されている。そして、図8の例では、ドレイン電極34Eがゲート電極31Eに接続されている。そして、半導体層32E、ソース電極33E、及びドレイン電極34E上には、第1絶縁膜36が形成されている。その他の構成は、第1実施形態で説明した図4Dの通りである。なお、図8の例では外部接続端子PAD2がダミー画素DPX2だけでなくESD素子100AにもX方向でオーバーラップするように形成されている。しかし、外部接続端子PAD2はESD素子100Aとオーバーラップしない場合であってもよい。あるいは逆に、ダミー画素DPX2とはオーバーラップすることなくESD素子100Aとオーバーラップするように形成されてもよい。また図8ではコンタクトホールCH20が第1ダミー領域DR1と第2ダミー領域DR2との間に設けられる例について示しているが、例えば第2ダミー領域DR2と保護領域ERとの間に設けられてもよいし、または保護領域ER内に設けられてもよい。上記は、ESD素子100B及び100C並びに外部接続端子PAD1及びPAD3についても同様である。
【0120】
上記のように、本実施形態に係る構成によれば、外部接続端子PADを第2ダミー領域DR2及び/または保護領域ER上に形成することで、ESD素子100A及び100Bをダミー画素DPX2と隣接して形成することができる。したがって、TFT101A及び101BをTFT30及び30Dと略同一のパターンで形成できる。換言すれば、外部接続端子PADがTFT30DとTFT101A及び101Bとの間に配置されることによるTFT101A及び101Bの孤立化を抑制し、マイクロローディング効果によるTFT101A及び101Bの形状ばらつきを抑制できる。なお、上記実施形態は、第1実施形態で説明した構成において保護領域ERを設けた例について説明したが、第2実施形態にも適用可能である。
【0121】
<変形例等>
以上、第1乃至第3実施形態について説明したが、実施形態は上記説明したものに限定されない。
【0122】
例えば、第2ダミー領域DR2上の外部接続端子PADには種々の配置例があり得る。これらの例につき、図9A乃至図9Dを用いて説明する。図9A乃至図9Dは、上記実施形態の変形例に係る外部接続端子PADの配置例について示している。なお図9A乃至図9Dでは、説明の簡単化のため、XY平面における第2ダミー画素DPX2、ゲート配線21、データ配線22、及び外部接続端子PAD1のみを示している。
【0123】
まず図9Aに示すように、外部接続端子PAD1は、X方向に沿って複数のダミー画素DPX2にまたがるように設けられてもよい。図9Aの例であると、外部接続端子PAD1は、2つのダミー画素DPX2にまたがるように設けられているが、3つ以上のダミー画素DPX2にまたがるように設けられてもよいし、1つのダミー画素DPX2上に設けられてもよい。このことは、図9B乃至図9Dについても同様である。また図9Aの例であると、外部接続端子PAD1のY方向における幅はダミー画素DPX2のY方向における幅以下であり、Y方向において外部接続端子PAD1はダミー画素DPX2と完全にオーバーラップしている。また図9Bの例では、図9Aにおいて、ダミー画素DPX2と外部接続端子PAD1の位置がY方向においてずれており、外部接続端子PAD1の一部領域は、Y方向で隣接するダミー画素DPX2間の領域に位置している。この際、外部接続端子PAD1の一部領域はゲート配線21とオーバーラップしてもよい。図9Cの例では、図9Bにおいてダミー画素DPX2と外部接続端子PAD1の位置がY方向において完全にずれており、外部接続端子PAD1の全領域が、Y方向で隣接するダミー画素DPX2間の領域に位置している。すなわち図9Cの例であると、Z方向においてダミー画素DPX2と外部接続端子PAD1とはオーバーラップしない。そしてこの場合、外部接続端子PAD1はゲート配線21とオーバーラップしてもよい。更に図9Dの例では、図9Bの例において、Y方向で隣接する2つのダミー画素DPX2にまたがるように設けられてもよい。この場合には、外部接続端子PAD1は、2つのダミー画素DPX2だけでなくゲート配線21ともオーバーラップする。上記の例は、外部接続端子PAD2及びPAD3についても同様であり、上記説明においてX方向をY方向に読み替え、Y方向をX方向に読み替え、ゲート配線21をデータ配線22またはバイアス配線23に読み替えればよい。なお、ダミー画素DPX2は、図4Cで説明した隣接する2本のゲート配線21と隣接する2本のデータ配線22とで形成される矩形の領域と定義でき、外部接続端子PADは必ずしもTFT30Dとオーバーラップする必要はなく、上記矩形の領域とオーバーラップすればよい。もちろん、前述のように外部接続端子PAD1、PAD2、及びPAD3は、第2ダミー領域DR2及び/または保護領域ER内に設けられてもよく、保護領域ER内に設けられる場合も上記配置方法が適用できる。
【0124】
上記実施形態では、光電変換装置10はX線撮像装置1に用いられる場合を例に説明した。しかしながら、光電変換装置10は、イメージセンサ等の他の製品に用いられてもよい。また、光電変換装置10上には、シンチレータ3の他に、カラーフィルタ等の光学機能を備える部材が設けられてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、光電変換装置10が、シンチレーション光に基づいて画像を形成する例について説明した。しかしながら、本発明の光電変換装置10は、可視光等の他の光に基づいて画像を形成する場合においても適用できる。
【0126】
また、上記実施形態では、光電変換素子40の光電変換層45は、基板20側から順に積層された、n型半導体層45A1と、i型半導体層45A2と、p型半導体層45A3と、を含む場合について説明した。しかしながら、光電変換層45は、基板20側から順に積層された、p型半導体層45A3と、i型半導体層45A2と、n型半導体層45A1と、を含む場合であってもよい。すなわち、n型半導体層45A1とp型半導体層45A3との間にi型半導体層45A2が位置する構成であればよい。
【0127】
また、上記実施形態に係る光電変換層45は、積層されたn型のアモルファスシリコンを含むn型半導体層45A1、i型のアモルファスシリコンを含むi型半導体層45A2およびp型のアモルファスシリコンを含むp型半導体層45A3を含む。しかしながら、光電変換層45はこれに限られない。本実施形態の光電変換層45は、例えば有機半導体材料等によって形成されてもよい。
【0128】
また、上記実施形態において、第1絶縁膜36、第3絶縁膜50、及び第4絶縁膜51、及び第6絶縁膜57の各保護層は、酸化ケイ素(SiO)を含む無機絶縁膜を有する例について、説明した。しかしながら、本発明における各保護層の構成は、これに限られない。各保護層は、窒化ケイ素(SiN)を含む無機絶縁膜に替えて、例えば、酸化ケイ素(SiO)、酸化窒化ケイ素(SiO)(x>y)、窒化酸化ケイ素(SiN)(x>y)、酸化アルミニウム(Al)等を含む無機絶縁膜を有してもよい。
【0129】
また、各保護層は、上記無機絶縁膜に替えて、例えば、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、チタン(Ti)、酸化モリブデンニオブ(MoNbO)、窒化モリブデンニオブ(MoNbN)、モリブデンニオブ(MoNb)、タングステン(W)、タンタル(Ta)等によって形成される層を含んでもよい。In-Zn-OまたはIn-Ga-Zn-O等の透明導電膜によって形成される層を含んでもよい。
【0130】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0131】
1…X線撮像装置、2…X線源、3…シンチレータ、10…光電変換装置、20…基板、21…ゲート配線、22…データ配線、23…バイアス配線、30、30D、101A、101B、101C…TFT、31、31D、31E…ゲート電極、32、32D、32E…半導体層、33、33D、33E、70…ソース電極、34、34D、34E…ドレイン電極、35、35E…ゲート絶縁膜、36、37、50、51、52、57、58…絶縁膜、38、43、71…カソード電極、39…ソース電極、40…光電変換素子、41…抵抗素子、42…キャパシタ素子、44…アノード電極、45…光電変換層、45A1、45A2、45A3…半導体層、53、55、61…多層金属膜、54、56、62…透明導電膜、60…電極、100A、100B…ESD素子
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
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