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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】自立袋及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
B65D30/16 C ZAB
B65D30/16 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022187081
(22)【出願日】2022-11-24
【審査請求日】2023-02-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000147316
【氏名又は名称】株式会社生産日本社
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】室伏 利幸
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-105741(JP,A)
【文献】特開2019-006435(JP,A)
【文献】特開2018-083635(JP,A)
【文献】特開2015-196513(JP,A)
【文献】特開2015-016908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端及び下端が開放した筒形状をなす胴部フィルムを扁平状とし左側縁及び右側縁に折り目を有する胴部と、
下端に開放辺を有する扁平袋形状をなす底フィルムが前記開放辺を下側にして前記胴部の下端部に挿入された底ガゼットと、を備える自立袋において
前記胴部フィルムと前記底フィルムとは、底シールで固定されており、
該底シールは、少なくとも、前記底フィルムの下端部が該底フィルムの全周にわたって前記胴部フィルムの下端部の内表面に接着された第1シール部を有し、
前記自立袋は、前記胴部の前記左側縁における内壁と前記底ガゼットとの間若しくは前記胴部の前記右側縁における内壁と前記底ガゼットとの間のいずれか一方又は両方に隙間を有し、かつ、
前記底シールは、前記隙間において前記胴部フィルムの内表面同士が接着された第2シール部を更に有することを特徴とする自立袋。
【請求項2】
前記自立袋は、前記第1シール部と前記第2シール部とに跨る領域に補強シール部を更に有することを特徴とする請求項に記載の自立袋。
【請求項3】
上端及び下端が開放した筒形状をなす胴部フィルムを扁平状とし左側縁及び右側縁に折り目を有する胴部と、
下端に開放辺を有する扁平袋形状をなす底フィルムが前記開放辺を下側にして前記胴部の下端部に挿入された底ガゼットと、を備え、
前記胴部フィルムと前記底フィルムとは、底シールで固定されており、
該底シールは、少なくとも、前記底フィルムの下端部が該底フィルムの全周にわたって前記胴部フィルムの下端部の内表面に接着された第1シール部を有し、
前記底ガゼットは、前記開放辺と、前記開放辺に対向する上端閉塞辺と、前記開放辺の左側端と前記上端閉塞辺の左側端とを結ぶ左側閉塞辺と、前記開放辺の右側端と前記上端閉塞辺の右側端とを結ぶ右側閉塞辺と、を有し、
前記底フィルムは、両端が開放した筒形状をなし、
前記開放辺は、前記底フィルムの前記筒形状の前記両端のうち一端で向かい合う前記底フィルム同士を非接着状態とした部分であり、
前記上端閉塞辺は、前記底フィルムの前記筒形状の前記両端のうち他端で向かい合う前記底フィルム同士を接着して閉塞した部分であり、
前記左側閉塞辺及び前記右側閉塞辺は、前記底フィルムの前記筒形状を扁平状として形成される折り目であることを特徴とする自立袋。
【請求項4】
前記底フィルムは、周方向に継ぎ目のないチューブ状フィルムであるか、又は1枚のシート状フィルムであり、該シート状フィルムを背貼りして前記筒形状をなしていることを特徴とする請求項に記載の自立袋。
【請求項5】
前記底シールは、前記開放辺と前記左側閉塞辺との間で斜めに伸びる左側傾斜シール部と、前記開放辺と前記右側閉塞辺との間で斜めに伸びる右側傾斜シール部と、を有し、
前記左側傾斜シール部及び前記右側傾斜シール部は、向かい合う前記胴部フィルムの内表面と前記底フィルムとを接着した部分であることを特徴とする請求項に記載の自立袋。
【請求項6】
上端及び下端が開放した筒形状をなす胴部フィルムを扁平状とし左側縁及び右側縁に折り目を有する胴部と、
下端に開放辺を有する扁平袋形状をなす底フィルムが前記開放辺を下側にして前記胴部の下端部に挿入された底ガゼットと、を備え、
前記胴部フィルムと前記底フィルムとは、底シールで固定されており、
該底シールは、少なくとも、前記底フィルムの下端部が該底フィルムの全周にわたって前記胴部フィルムの下端部の内表面に接着された第1シール部を有し、
前記底ガゼットは、前記開放辺と、前記開放辺に対向する上端閉塞辺と、前記開放辺の左側端と前記上端閉塞辺の左側端とを結ぶ左側閉塞辺と、前記開放辺の右側端と前記上端閉塞辺の右側端とを結ぶ右側閉塞辺と、を有し、
前記底ガゼットは、前記上端閉塞辺の左端と前記左側閉塞辺の上端とで形成される左側角部と、前記上端閉塞辺の右端と前記右側閉塞辺の上端とで形成される右側角部と、を有し、
前記底シールは、前記左側角部及び前記右側角部で、向かい合う前記胴部フィルムの内表面と前記底フィルムとを部分的に接着したポイントシール部を有することを特徴とする自立袋。
【請求項7】
胴部フィルムからなる胴部と、底フィルムからなる底ガゼットと、を備え、前記胴部フィルムと前記底フィルムとが底シールで接合されている自立袋の製造方法において、
前記胴部フィルムとして両端が開放した筒形状をなすフィルムを用意する工程1と、
前記底フィルムを、一端に開放辺を有する扁平袋形状とする工程2と、
前記胴部フィルム内に前記底フィルムを配置する工程3と、
該工程3の配置状態で、前記胴部フィルム及び前記底フィルムの重なり部分を含む領域を熱シールする工程4と、
前記工程4で形成された熱シール部分を横断して切断し前記底シールを形成する工程5と、を含むことを特徴とする自立袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自立袋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、胴部と底部とを備え、底部をガゼット形式で形成したスタンディングパウチなどの自立袋が知られている(例えば、特許文献1~3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-66828号公報
【文献】特開2011-195175号公報
【文献】特開2019-6435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような自立袋では、左右端縁にサイドシールが施されている。このサイドシールは剛性が強いため、消費者が手で持つ時に手にサイドシールが当たって手に痛みを感じるなど使用感に問題があった。また、特許文献1のようなサイドシールを有する自立袋は、底部フィルムを、ナイロンなどのベースフィルム層側を内側、かつ、ポリエチレンなどのシーラント層側を外側にして二つ折り状態とし、該二つ折り状態の底部フィルムを表裏の胴部フィルムの間に挿入して、底部フィルムと胴部フィルムとの周縁部同士を熱接着して製造される。このとき、底部フィルムにおいて二つ折り状態の内側を向く対向面同士は、ナイロンなどの高融点フィルムからなるため、互いに熱接着されない。このため、自立が不安定となるおそれがある。そこで、底部フィルムの左右側端縁の一部に切り欠き部を設けて胴部フィルムを露出させ、露出した胴部フィルム同士を熱接着させる方策がとられることがある。しかし、この方策では、自立袋の製造工程が多くなるうえ、切り欠き部を設ける際に端材が生じて相対的にコスト高となる問題があった。また、端材は小さいため散乱しやすく、生産効率が悪くなる問題もあった。また、特許文献2、3のような自立袋は、サイドシールがないが、底部材と胴部とが別体の接着部材によって接着されており、構造が複雑である。このため、生産効率の低下及び接着不良などの製造不良が起こりやすい問題があった。また、筒状のフィルムからなる袋体は、その剛性の弱さからくびれや歪みが生じてしまい自立が不安定になっていた。
【0005】
また、飲料用などの液体用の容器としてペットボトルのような剛性容器が多く使用されている。しかし、剛性容器は、破棄時に潰すことが困難であるし、潰したとしてもゴミが嵩張るという問題があった。そこで、剛性容器の代替品となる容器が求められている。
【0006】
本開示は、液体用の剛性容器の代替品としても利用可能な美観を有するとともに環境に配慮し、製造コストを抑えることができ、胴部を手で握った時の不快感がない自立袋及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自立袋は、上端及び下端が開放した筒形状をなす胴部フィルムを扁平状とし左側縁及び右側縁に折り目を有する胴部と、下端に開放辺を有する扁平袋形状をなす底フィルムが前記開放辺を下側にして前記胴部の下端部に挿入された底ガゼットと、を備える自立袋において、前記胴部フィルムと前記底フィルムとは、底シールで固定されており、該底シールは、少なくとも、前記底フィルムの下端部が該底フィルムの全周にわたって前記胴部フィルムの下端部の内表面に接着された第1シール部を有し、前記自立袋は、前記胴部の前記左側縁における内壁と前記底ガゼットとの間若しくは前記胴部の前記右側縁における内壁と前記底ガゼットとの間のいずれか一方又は両方に隙間を有し、かつ、前記底シールは、前記隙間において前記胴部フィルムの内表面同士が接着された第2シール部を更に有することを特徴とする。隙間を有することで、底フィルムを胴部フィルムの下端部により容易に挿入することができる。
【0009】
本発明に係る自立袋は、前記第1シール部と前記第2シール部とに跨る領域に補強シール部を更に有することが好ましい。補強シールによって第1シール部と第2シール部との境界にピンホールが生じることを防止することができる。
【0011】
本発明に係る自立袋は、上端及び下端が開放した筒形状をなす胴部フィルムを扁平状とし左側縁及び右側縁に折り目を有する胴部と、下端に開放辺を有する扁平袋形状をなす底フィルムが前記開放辺を下側にして前記胴部の下端部に挿入された底ガゼットと、を備え、前記胴部フィルムと前記底フィルムとは、底シールで固定されており、該底シールは、少なくとも、前記底フィルムの下端部が該底フィルムの全周にわたって前記胴部フィルムの下端部の内表面に接着された第1シール部を有し、前記底ガゼットは、前記開放辺と、前記開放辺に対向する上端閉塞辺と、前記開放辺の左側端と前記上端閉塞辺の左側端とを結ぶ左側閉塞辺と、前記開放辺の右側端と前記上端閉塞辺の右側端とを結ぶ右側閉塞辺と、を有し、前記底フィルムは、両端が開放した筒形状をなし、前記開放辺は、前記底フィルムの前記筒形状の前記両端のうち一端で向かい合う前記底フィルム同士を非接着状態とした部分であり、前記上端閉塞辺は、前記底フィルムの前記筒形状の前記両端のうち他端で向かい合う前記底フィルム同士を接着して閉塞した部分であり、前記左側閉塞辺及び前記右側閉塞辺は、前記底フィルムの前記筒形状を扁平状として形成される折り目であることを特徴とする。底ガゼットが開放辺と上端閉塞辺と左側閉塞辺と右側閉塞辺とを有することで、製造時に底フィルムの歩留まりを向上し、かつ、効率的に生産することができるので、製造コストを抑制することができる。また、底フィルムが前記した構成を有することで、製造時に底フィルムの製造工程をより少なくすることができるので、製造コストを抑制することができる。
【0012】
本発明に係る自立袋では、前記底フィルムは、周方向に継ぎ目のないチューブ状フィルムであるか、又は1枚のシート状フィルムであり、該シート状フィルムを背貼りして前記筒形状をなしている形態を包含する。
【0013】
本発明に係る自立袋では、前記底シールは、前記開放辺と前記左側閉塞辺との間で斜めに伸びる左側傾斜シール部と、前記開放辺と前記右側閉塞辺との間で斜めに伸びる右側傾斜シール部と、を有し、前記左側傾斜シール部及び前記右側傾斜シール部は、向かい合う前記胴部フィルムの内表面と前記底フィルムとを接着した部分であることが好ましい。左側傾斜シール部及び右側傾斜シール部を設けることで、底ガゼットを胴部内に保持することができるので、より安定して自立することができる。
【0014】
本発明に係る自立袋は、上端及び下端が開放した筒形状をなす胴部フィルムを扁平状とし左側縁及び右側縁に折り目を有する胴部と、下端に開放辺を有する扁平袋形状をなす底フィルムが前記開放辺を下側にして前記胴部の下端部に挿入された底ガゼットと、を備え、前記胴部フィルムと前記底フィルムとは、底シールで固定されており、該底シールは、少なくとも、前記底フィルムの下端部が該底フィルムの全周にわたって前記胴部フィルムの下端部の内表面に接着された第1シール部を有し、前記底ガゼットは、前記開放辺と、前記開放辺に対向する上端閉塞辺と、前記開放辺の左側端と前記上端閉塞辺の左側端とを結ぶ左側閉塞辺と、前記開放辺の右側端と前記上端閉塞辺の右側端とを結ぶ右側閉塞辺と、を有し、前記底ガゼットは、前記上端閉塞辺の左端と前記左側閉塞辺の上端とで形成される左側角部と、前記上端閉塞辺の右端と前記右側閉塞辺の上端とで形成される右側角部と、を有し、前記底シールは、前記左側角部及び前記右側角部で、向かい合う前記胴部フィルムの内表面と前記底フィルムとを部分的に接着したポイントシール部を有することを特徴とする。ポイントシール部を設けることで、底ガゼットを胴部内に保持することができるので、より安定して自立することができる。
【0015】
本発明に係る自立袋の製造方法は、胴部フィルムからなる胴部と、底フィルムからなる底ガゼットと、を備え、前記胴部フィルムと前記底フィルムとが底シールで接合されている自立袋の製造方法において、前記胴部フィルムとして両端が開放した筒形状をなすフィルムを用意する工程1と、前記底フィルムを、一端に開放辺を有する扁平袋形状とする工程2と、前記胴部フィルム内に前記底フィルムを配置する工程3と、該工程3の配置状態で、前記胴部フィルム及び前記底フィルムの重なり部分を含む領域を熱シールする工程4と、前記工程4で形成された熱シール部分を横断して切断し前記底シールを形成する工程5と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、液体用の剛性容器の代替品としても利用可能な美観を有するとともに環境に配慮し、製造コストを抑え、胴部を手で握った時の不快感がない自立袋及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る自立袋の一例を示す概略正面図である。
図2図1のA-A線概略端面図である。
図3】底フィルムの第一例を示す概略図である。
図4】底フィルムの第二例を示す概略図である。
図5】底フィルムの第三例を示す概略図である。
図6】底フィルムの第四例を示す概略図である。
図7】底フィルムの第五例を示す概略図である。
図8図1の一点鎖線で囲った領域Bの概略部分拡大図である。
図9】本実施形態に係る自立袋の一例であって、傾斜シール部を有する形態を示す概略部分正面図である。
図10】本実施形態に係る自立袋の一例であって、スポットシール部を有する形態を示す概略部分正面図である。
図11】本実施形態に係る自立袋の製造方法を説明するための図であり、(a)は工程1,2、(b)は工程3、(c)は工程4、(d)は工程5をそれぞれ説明する図であり、(e)は工程5を経た自立袋の概略図である。
図12】従来の自立袋の製造方法の一例を説明するための図であり、(a)は胴部フィルム及び底部フィルムの形状を示す概略図であり、(b)は自立袋の下端部の状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0019】
図1は、本実施形態に係る自立袋の一例を示す概略正面図である。図2は、図1のA-A線概略端面図である。本実施形態に係る自立袋1は、図1又は図2に示すように、上端12及び下端11が開放した筒形状をなす胴部フィルム2を扁平状とし左側縁13及び右側縁14に折り目を有する胴部10と、下端に開放辺21を有する扁平袋形状をなす底フィルム3が開放辺21を下側にして胴部10の下端部に挿入された底ガゼット20と、を備え、胴部フィルム2と底フィルム3とは、底シール30で固定されており、底シール30は、少なくとも、底フィルム3の下端部が底フィルム3の全周にわたって胴部フィルム2の下端部の内表面に接着された第1シール部31を有する。本明細書において、上下左右は、図1のように胴部フィルム2及び底フィルム3を扁平状とした自立袋1の表裏のいずれかを正面として平面視した場合、底ガゼット20が取り付けられる側を下、底ガゼット20が取り付けられる側とは反対側を上、図面に対して向かって左側を左、図面に対して向かって右側を右と、それぞれ表現する。
【0020】
自立袋1は、胴部10と底ガゼット20とを有し、底ガゼット20を広げることで自立する袋である。
【0021】
胴部10は、上端12、下端11、左側縁13及び右側縁14を有する平面視で略四角形状であることが好ましい。本明細書において「・・形状」の前に付した「略」とは、細部にこだわらずおよその外形状を意味しており、そのものの形状の他、該そのものの形状に対して角の少なくとも一つを丸めたり角の少なくとも一つを落としたりした形状、又は歪めた形状などの各種変形形状を包含することを意味するものであり、例えば「略四角形状」は、四角形状、四角形の角の少なくとも一つを丸めたり角の少なくとも一つを落としたりした形状、又は少なくとも一つの辺が多少歪んでいたりするなどした変形形状を包含することを意味している。また、本明細書では、胴部10のうち収容空間15に面する側の表面を胴部10の内表面又は胴部フィルム2の内表面といい、収容空間15に面する側とは反対側の表面を胴部10の外表面又は胴部フィルム2の外表面ということもある。
【0022】
胴部10は、筒形状をなす胴部フィルム2が扁平状とされて形成されており、筒形状の内部空間は内容物の収容空間15となっている。ここで、扁平状とは、図2に示すように、収容空間15に内容物が入っていない状態において、向かい合う胴部フィルム2の内壁面同士が近接して自立袋1の断面形状が細長形状となっている状態をいう。胴部フィルム2を扁平状としたとき、左側縁13及び右側縁14にはヒートシールはなく折り目が形成されている。また、筒形状は、周方向に継ぎ目がない形態(図2に図示)及び周方向に継ぎ目がある形態(不図示)を包含する。図2に示すような周方向に継ぎ目がない形態は、例えば胴部フィルム2としてインフレーション成形フィルムを用いる形態である。また、周方向に継ぎ目がある形態(不図示)は、例えば胴部フィルム2として1枚のフィルムを用い、該1枚のフィルムの両側縁同士を隙間がないように突き合わせ、その内表面側に接着フィルム(不図示)が重ねられた状態でヒートシールされることで背貼りを形成した形態であってもよいし、胴部フィルム2として1枚のフィルムの一方の側縁の内表面と他方の側縁の外表面とをヒートシール若しくは接着剤で接着した封筒貼りの形態、又は胴部フィルム2として1枚のフィルムの両側縁の内表面同士をヒートシール若しくは接着剤で接着した合掌貼りの形態である。周方向に継ぎ目がある形態(不図示)では、継ぎ目は、扁平状にしたとき左側縁13及び右側縁14となる部分からずらして設けることが好ましい。
【0023】
胴部10の上端12は、図1では一例として開放したままの状態を示したが、嵌合具(不図示)又は封止シール(不図示)で封止してもよいし、スパウト(不図示)を設けてもよい。胴部10の上端12にスパウトを設けることで、ペットボトルの代替品として有用である。例えば、ペットボトルは環境保全の観点から多くの自治体ではキャップと印刷されたシュリンクラベルとを、ボトル本体から分別して廃棄することが求められている。消費者は廃棄するのに時間を要するとともにシュリンクラベルを剥がす時に爪や指が傷つくおそれがあった。本実施形態に係る自立袋1は、胴部10に直接印刷することができるため、廃棄時のラベルの分別が不要となるし、スパウトと分別せずに廃棄することができる。このため、家庭ゴミでの廃棄容易性だけでなく、飲食店での作業時間短縮、廃棄費用及び人件費の削減に貢献することができる。自立袋1は、ペットボトルよりも樹脂の使用量が少ないため、使用後は小さくつぶすことができ、ごみ量の劇的な削減が可能である。例えば、本実施形態に係る自立袋1は内容物が空になった後、キャップを外した状態で袋の下部からスパウトがある上部へ向かって胴部を折り畳んでいき、スパウトの下端まで折り畳んだところでキャップを締めれば、袋内が減圧された状態が保持されるので、廃棄状態の体積はサインペン程となる。また、自立袋1は、使用後、洗浄すれば、ペットボトルと同様に繰り返し使用することもでき、環境への負荷を低減することができる。自立袋1はペットボトルよりも安価に製造することができるため、その経済効果は計り知れない。
【0024】
胴部フィルム2の材質は、下記<1>~<29>に例示するもののうちから任意のものが採用されるが、本実施形態では特に限定されない。これらのうち、胴部フィルム2の材質は、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂であることが好ましい。胴部フィルム2は、紙などの多孔質基材を含んでいてもよい。
<1> 高密度ポリエチレン(HDPE)
<2> 中密度ポリエチレン(MDPE)
<3> 低密度ポリエチレン(LDPE)
<4> ポリプロピレン(PP)
<5> ポリ塩化ビニリデン(PVDC)
<6> ポリ塩化ビニル(PVC)
<7> ポリスチレン(PS)
<8> ポリ酢酸ビニル(PVAc)
<9> ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
<10> ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)
<11> AS樹脂(SAN)
<12> アクリル樹脂(PMMA)
<13> ポリアミド(PA)/商品名ナイロン
<14> ポリアセタール(POM)
<15> ポリカーボネート(PC)
<16> 変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE、変性PPE、PPO)
<17> ポリブチレンテレフタレート(PBT)
<18> ポリエチレンテレフタレート(PET)
<19> 環状ポリオレフィン(COP)
<20> ポリフェニレンスルファイド(PPS)
<21> ポリサルフォン(PSF)
<22> ポリエーテルサルフォン(PES)
<23> 非晶ポリアリレート(PAR)
<24> 液晶ポリマー(LCP)
<25> ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)
<26> 熱可塑性ポリイミド(PI)
<27> ポリアミドイミド(PAI)
<28> 熱可塑性ポリウレタン(TPU)
<29> フッ素樹脂(PTFE)
【0025】
胴部フィルム2は単層フィルムであるか、又は積層フィルムであってもよい。胴部フィルム2の厚さは、特に限定されないが、50~250μmであることが好ましく、80~200μmであることがより好ましい。
【0026】
本実施形態に係る自立袋1では、胴部フィルム2の材質は、表裏に異なる融点のPEを配置した積層フィルムであって、該積層フィルムは、自立袋1の内側となるPEの融点が自立袋1の外側となるPEの融点よりも低いことが好ましい。これによって、底シール30の形成、及び胴部10の上端12の封止シール又はスパウトの熱接着などをより効率的に行うことができる。胴部フィルム2は、外側から順に、高融点PE、低融点PEが配置された層構成であることが好ましく、高融点PE及び低融点PEの共押フィルムであることがより好ましい。高融点PEは融点が相対的に高いポリエチレンである。高融点PEの融点は、特に限定されないが、90~130℃であることが好ましく、100~120℃であることがより好ましい。低融点PEは融点が高融点PEの融点よりも低いポリエチレンである。低融点PEの融点は、特に限定されないが、70~100℃であることが好ましく、80~90℃であることがより好ましい。高融点PEと低融点PEとの融点差は、10~50℃であることが好ましく、20~40℃であることがより好ましい。
【0027】
底ガゼット20は、胴部10の下端11を閉塞する。底ガゼット20は、一辺が解放した袋形状をなしており、収容空間15に内容物が入っていない状態では、底ガゼット20は胴部10の内側で折り畳まれて扁平状態になっており、自立袋1が全体として扁平状になっているが、収容空間15に内容物が収容されると底ガゼット20の折り畳み状態が広げられて自立袋1は安定して自立することができる。本明細書では、底ガゼット20を扁平袋状としたとき、外側となる面を底ガゼット20の外表面又は底フィルム3の外表面といい、内側となる面を底ガゼット20の内表面又は底フィルム3の内表面ということもある。
【0028】
底ガゼット20は、一端が解放した扁平袋形状をなす底フィルム3からなる。底ガゼット20の平面視形状は、特に限定されないが、略四角形状、略三角形状、略五角形状、略半円形状又は略楕円形状であってもよいが、略四角形状であることが好ましい。
【0029】
底フィルム3の材質は、胴部フィルム2の材質として列挙した材質を用いることができる。底フィルム3の材質は、胴部フィルム2の材質と同じであっても異なっていてもよい。底フィルム3の厚さは、胴部フィルム2の厚さよりも薄いことが好ましい。これによって、底ガゼット20をより開きやすくすることができる。例えば、底フィルム3の厚さは、25~200μmであることが好ましく、40~180μmであることがより好ましい。
【0030】
本実施形態に係る自立袋1では、底フィルム3の材質は、表裏に異なる融点のPEを配置した積層フィルムであって、該積層フィルムは、外側(胴部フィルム2側)となるPEの融点が内側(胴部フィルム2側とは反対側)となるPEの融点よりも低いことが好ましい。これによって、底シール30の形成時に底フィルム3の内側同士が接着することを防止することができるので、自立袋1を効率的に製造することができる。底フィルム3は、外側から順に、低融点PE、高融点PEが配置された層構成であることがより好ましく、低融点PE及び高融点PEの共押フィルムであることがより好ましい。低融点PEの融点は、特に限定されないが、70~100℃であることが好ましく、80~90℃であることがより好ましい。高融点PEの融点は、特に限定されないが、90~130℃であることが好ましく、100~120℃であることがより好ましい。高融点PEと低融点PEとの融点差は、10~50℃であることが好ましく、20~40℃であることがより好ましい。底フィルム3を上記のように表裏に融点差のある層構成とすることで、底シール30を形成時に、底フィルム3の内表面同士を接着させずに、胴部フィルム2の内表面と底フィルム3の外表面との接着だけをすることができる。
【0031】
本実施形態に係る自立袋1では、底ガゼット20は、開放辺21と、開放辺21に対向する上端閉塞辺22と、開放辺21の左側端と上端閉塞辺22の左側端とを結ぶ左側閉塞辺23と、開放辺21の右側端と上端閉塞辺22の右側端とを結ぶ右側閉塞辺24と、を有することが好ましい。製造時に底フィルムの歩留まりを向上し、かつ、効率的に生産することができるので、製造コストを抑制することができる。開放辺21は、向かい合う底フィルム3の端部同士が非接着状態となっている部分であり、自立袋1の下端となる部分である。上端閉塞辺22は、向かい合う底フィルム3の端部同士が接着された部分であるか(図1に図示)、又は底フィルム3の折り目であってもよく(図5に図示)、収容空間15に面する部分である。左側閉塞辺23は、底フィルム3の折り目であるか(図1に図示)、又は向かい合う底フィルム3の端部同士が接着された部分であってもよく(図5に図示)、胴部10の左側縁13の内壁に対向する部分である。右側閉塞辺24は、底フィルム3の折り目であるか(図1に図示)、又は向かい合う底フィルム3の端部同士が接着された部分であってもよく(図5に図示)、胴部10の右側縁14の内壁に対向する部分である。
【0032】
図3は、底フィルム3の第一例を示す概略図である。図4は、底フィルム3の第二例を示す概略図である。本実施形態に係る自立袋1では、底フィルム3(3A,3B)は、図3又は図4に示すように、両端が開放した筒形状をなし、開放辺21は、底フィルム3(3A,3B)の筒形状の両端のうち一端で向かい合う底フィルム3(3A,3B)同士を非接着状態とした部分であり、上端閉塞辺22は、底フィルム3(3A,3B)の筒形状の両端のうち他端で向かい合う底フィルム3(3A,3B)同士を接着して閉塞した部分であり、左側閉塞辺23及び右側閉塞辺24は、底フィルム3(3A,3B)の筒形状を扁平状として形成される折り目であることが好ましい。例えば予め筒形状のフィルムの巻き取り品を用意し、フィルムを繰り出しながら所定間隔でヒートシールしてスリットするというような簡易な工程で底フィルム3(3A,3B)を製造することができるので、製造コストを抑制することができる。
【0033】
本実施形態に係る自立袋1では、底フィルム3は、図3に示すように、周方向に継ぎ目のないチューブ状フィルム3Aであるか、又は図4に示すように、1枚のシート状フィルム3Bであり、該シート状フィルム3Bを背貼りして筒形状をなしている形態を包含する。図3に示すような周方向に継ぎ目のないチューブ状フィルム3Aの製造方法は、公知の方法を採用でき、特に限定されないが、例えば、インフレーション成形で製造することができる。図4に示すようなシート状フィルム3Bの製造方法は、公知の方法を採用でき、特に限定されないが、例えば、押出成形で製造することができる。背貼り25は、1枚のフィルム3Bの両側端の内表面同士を接着した合掌貼りの形態、1枚のフィルム3Bの一方の側端の内表面と他方の側端の外表面とを接着した封筒貼りの形態、又は1枚のフィルム3Bの両側端同士を隙間がないように突き合わせてその内表面側に接着フィルム(不図示)が重ねられた状態でヒートシールした形態であってもよい。
【0034】
図5は、底フィルムの第三例を示す概略図である。底フィルム3は、図5に示すように、1枚のシート状フィルム3Cであり、該1枚のシート状フィルム3Cを二つ折りした折り目を上端閉塞辺22とし、折り目に対向する縁でシート状フィルム3Cの内表面同士を非接着状態した部分を開放辺21とし、折り目の両端から延びる両縁でシート状フィルム3Cの内表面同士を接着して閉塞した部分を左側閉塞辺23及び右側閉塞辺24とした形態であってもよい。
【0035】
図6は、底フィルムの第四例を示す概略図である。底フィルム3は、図6に示すように、2枚のシート状フィルム3Dであり、該2枚のシート状フィルム3Dを重ね合わせて周縁のうち一つの縁でシート状フィルム3Dの内表面同士を非接着状態とした部分を開放辺21とし、周縁のうち残りの縁でシート状フィルム3Dの内表面同士を接着して閉塞してそれぞれ上端閉塞辺22、左側閉塞辺23及び右側閉塞辺24とした形態であってもよい。
【0036】
図7は、底フィルムの第五例を示す概略図である。底フィルム3は、1枚のシート状フィルム3Eであり、該1枚のシート状フィルム3Eを二つ折りした折り目を左側閉塞辺23又は右側閉塞辺24のいずれか一方とし(図7では右側閉塞辺24)、折り目に対向する縁で底フィルムの内表面同士を接着して閉塞した部分を左側閉塞辺23又は右側閉塞辺24のいずれか他方とし(図7では左側閉塞辺23)、折り目の一端から延びる縁でシート状フィルム3Eの内表面同士を接着して閉塞した部分を上端閉塞辺22とし、折り目の他端から延びる縁でシート状フィルム3Eの内表面同士を非接着状態とした部分を開放辺21とした形態であってもよい。
【0037】
図3図7では、底フィルム3(3A~3E)として、開放辺21の長さが上端閉塞辺22の長さと同じ形態を示したが、本発明はこれに限定されず、開放辺21の長さが上端閉塞辺22の長さよりも短い形態であってもよい。開放辺21を上端閉塞辺22よりも短くすることで、底ガゼット20が胴部10から飛び出すことを防止することができる。
【0038】
図1では一例として自立袋1が底ガゼット20として図3に示す底フィルム3Aを用いた形態を示したが、本発明はこれに限定されず、自立袋1は、図3に示す底フィルム3Aを用いた底ガゼット20に代えて、例えば図4図7に示す底フィルム3B,3C,3D,3Eを用いた底ガゼットを備えていてもよい。
【0039】
底シール30は、底フィルム3を胴部フィルム2の下端部に挿入した状態において、向かい合う胴部フィルム2の内表面と底フィルム3の外表面とを部分的に接着した部分である。底シール30は、生産効率の観点からヒートシールによって接着することが好ましいが、接着剤などの副資材を用いて接着してもよい。
【0040】
第1シール部31は、底フィルム3の開放辺21近傍の外表面と胴部フィルム2の下端11近傍の外表面とを接着した部分である。
【0041】
図8は、図1の一点鎖線で囲った領域Bの概略部分拡大図である。図8では代表して自立袋1の左下部分を示したが、自立袋1の右下部分は左下部分と左右対称に形成されていてもよい。本実施形態に係る自立袋1は、胴部10の左右側縁13,14と底ガゼット20の左右閉塞辺23,24との間に隙間40がある形態(図1及び図8に図示)、及び、胴部10の左右側縁13,14と底ガゼット20の左右閉塞辺23,24との間に隙間40がない形態(不図示)を包含する。本実施形態に係る自立袋は、図8に示すように、胴部10の左側縁13における内壁と底ガゼット20との間若しくは胴部10の右側縁14(図1に図示)における内壁と底ガゼット20との間のいずれか一方又は両方に隙間40を有し、かつ、底シール30は、隙間40において胴部フィルム2の内表面同士が接着された第2シール部32を更に有することが好ましい。隙間40を有することで、底フィルム3を胴部フィルム2の下端部により容易に挿入することができる。このため、生産効率をより高めることができる。
【0042】
隙間40は、胴部10の左側縁13における内壁と底ガゼット20との間だけに設けられているか、胴部10の右側縁14(図1に図示)における内壁と底ガゼット20との間だけに設けられているか、又は胴部10の左側縁13における内壁と底ガゼット20との間及び胴部10の右側縁14(図1に図示)における内壁と底ガゼット20との間の両方に設けられていてもよい。隙間40の間隔は、特に限定されないが、0.1~1.0mmであることが好ましく、0.4~0.7mmであることがより好ましい。
【0043】
第2シール部32は、隙間40において胴部フィルム2の内表面同士が接着された部分である。第2シール部32は、第1シール部31と連続しており、胴部10の左右側縁13,14と底ガゼット20の左右閉塞辺23,24との間に隙間40があっても胴部10の下端11を閉塞することができる。
【0044】
本実施形態に係る自立袋1は、図8に示すように、第1シール部31と第2シール部32とに跨る領域に補強シール部33を更に有することが好ましい。補強シール部33によって第1シール部31と第2シール部32との境界にピンホールが生じることを防止することができる。
【0045】
図9は、本実施形態に係る自立袋の一例であって、傾斜シール部を有する形態を示す概略正面図である。本実施形態に係る自立袋1では、底シール30は、開放辺21と左側閉塞辺23との間で斜めに伸びる左側傾斜シール部36と、開放辺21と右側閉塞辺24との間で斜めに伸びる右側傾斜シール部37と、を有し、左側傾斜シール部36及び右側傾斜シール部37は、向かい合う胴部フィルム2の内表面と底フィルム3とを接着した部分であることが好ましい。左側傾斜シール部36及び右側傾斜シール部37を設けることで、底ガゼット20を胴部10内に保持することができるので、より安定して自立することができる。底シール30は、左側傾斜シール部36の上端と第1シール部31の左端とを結ぶ左縦シール38を更に有していてもよく、右側傾斜シール部37の上端と第1シール部31の右端とを結ぶ右縦シール39を更に有していてもよい。左側傾斜シール部36及び右側傾斜シール部37は、胴部フィルム2の内表面同士の接着部を含まないため、エッジを形成することがない。図8では、左側傾斜シール部36及び右側傾斜シール部37が直線状であり、左側傾斜シール部36、第1シール部31及び右側傾斜シール部37が連なって逆台形状をなしている形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、左側傾斜シール部36及び右側傾斜シール部37を外側に突の円弧状とし、左側傾斜シール部36、第1シール部31及び右側傾斜シール部37が連なって円弧形状をなしている形態(不図示)であってもよい。
【0046】
図10は、本実施形態に係る自立袋の一例であって、スポットシール部を有する形態を示す概略正面図である。本実施形態に係る自立袋1では、底ガゼット20は、上端閉塞辺22の左端と左側閉塞辺23の上端とで形成される左側角部26と、上端閉塞辺22の右端と右側閉塞辺24の上端とで形成される右側角部27と、を有し、底シール30は、左側角部26及び右側角部27で、向かい合う胴部フィルム2の内表面と底フィルム3とを部分的に接着したポイントシール部35を有することが好ましい。ポイントシール部35を設けることで、底ガゼット20を胴部10内に保持することができるので、より安定して自立することができる。左側角部26は、上端閉塞辺22と左側閉塞辺23とで形成される頂点及び該頂点の周辺の胴部10の外表面を含む領域である。右側角部27は、上端閉塞辺22と右側閉塞辺24とで形成される頂点及び該頂点の周辺の胴部10の外表面を含む領域である。ポイントシール部35は、スポットシールとも呼ばれ、向かい合う胴部フィルム2の内表面の一部と底フィルム3の外表面の一部とを接着した部分である。ポイントシール部35の形状は、図10では一例として略円形状である形態を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、略長方形状、略正方形状、略三角形状、略台形状若しくは略楕円形状又はその他の変形形状であってもよい。
【0047】
図11は、本実施形態に係る自立袋の製造方法を説明するための図であり、(a)は工程1,2、(b)は工程3、(c)は工程4、(d)は工程5をそれぞれ説明する図であり、(e)は工程5を経た自立袋の概略図である。本実施形態に係る自立袋1の製造方法は、胴部フィルム2からなる胴部10と、底フィルム3からなる底ガゼット20と、を備え、胴部フィルム2と底フィルム3とが底シール30で接合されている自立袋1の製造方法において、図11(a)に示すように、胴部フィルム2として両端が開放した筒形状をなすフィルムを用意する工程1と、図11(a)に示すように、底フィルム3を、一端に開放辺21を有する扁平袋形状とする工程2と、図11(b)に示すように、胴部フィルム2内に底フィルム3を配置する工程3と、図11(c)に示すように、工程3の配置状態で、胴部フィルム2及び前記底フィルムの重なり部分を含む領域を熱シールする工程4と、図11(d)に示すように、工程4で形成された熱シール部分を横断して切断し底シール30を形成する工程5と、を含む。
【0048】
工程1は、胴部フィルム2を形成する工程である。工程1は、特に限定されないが、例えば、インフレーション成形したチューブ状フィルムの巻き取り品を用意し、チューブ状フィルムを繰り出しながら所定間隔でスリットすることで、両端が開放した筒形状をなす胴部フィルム2を形成する方法であることが好ましい。これによって、周方向に継ぎ目のない胴部10とすることができる。また、工程1は、例えば、シート状フィルムを繰り出しながら背貼り、封筒貼り又は合掌貼りなどで筒状に成形し、所定間隔でスリットすることで、両端が開放した筒形状をなす胴部フィルム2を形成する方法であってもよい。
【0049】
工程2では、底フィルム3を形成する工程である。工程2は、特に限定されないが、例えば、インフレーション成形したチューブ状フィルムの巻き取り品を用意し、チューブ状フィルムを繰り出しながら所定間隔でヒートシールしてスリットすることで、一端に開放辺21を有する扁平袋形状の底フィルム3(3A)を形成する方法であることが好ましい。これによって、図3に示すような底フィルム3(3A)が得られ、底フィルム3を安定して一定の幅とすることができるので、次の工程3において胴部フィルム2内に底フィルム3を挿入した時に、胴部10の左右側縁13,14と底ガゼット20の左右閉塞辺23,24との間の隙間40(図8に図示)の幅を管理しやすい。また、歩留まりを向上し、かつ、効率的に生産することができるので、製造コストを抑制することができる。また、工程2は、例えば、シート状フィルムを繰り出しながら背貼り、封筒貼り又は合掌貼りなどで筒状に成形し、所定間隔でヒートシールしてスリットすることで、一端に開放辺21を有する扁平袋形状の底フィルム3(3B)を形成する方法であってもよい。これによって、図4に示すような底フィルム3(3B)が得られる。また、工程2は、例えば、所定サイズの枚葉フィルムを二つ折りするか、2枚重ねにして、一辺を除く開放した辺を接着して閉塞することで、一端に開放辺21を有する扁平袋形状の底フィルム3(3C,3D,3E)を形成する方法であってもよい。これによって、図5~7に示すような底フィルム3(3C,3D,3E)が得られる。
【0050】
工程3は、胴部フィルム2内に底フィルム3を挿入する工程である。工程3では、開放辺21が胴部フィルム2の一端よりも内側になるように配置する(不図示)か、開放辺21を胴部フィルム2の一端に一致させる(図11(b)に図示)か、又は開放辺21が胴部フィルム2の一端から外側に出るようにして配置してもよい(不図示)。このうち、開放辺21を胴部フィルム2の一端に一致させるか又は開放辺21が胴部フィルム2の一端から外側に出るようにして配置することがより好ましい。
【0051】
工程4は、底フィルム3を胴部フィルム2に固定する工程である。工程4は、工程3の配置状態で、胴部フィルム2の一端よりも上方を熱シールしてもよいし(不図示)、胴部フィルム2の一端を含む領域を熱シールしてもよい(図11(c)に図示)。熱シールは、例えば、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、スポットシール、インパルスシーラー又はレーザーによる接合であってもよい。工程4は、胴部フィルム2の一端及び底フィルム3の開放辺21に沿って熱シールする工程4aと、工程4a後、胴部10の左右側縁13,14と底ガゼット20の左右閉塞辺23,24との間の隙間40(図8に図示)を含む領域に熱シールする工程4bとを含むことが好ましい。また、工程4は、左側傾斜シール部36(図9に図示)及び右側傾斜シール部37(図9に図示)を形成する工程4c又はポイントシール部35(図10に図示)を形成する工程4dを有していてもよい。工程4c又は工程4dは、工程4aの前又は工程4aの後に行ってもよいし、工程4aと同時に行ってもよい。底フィルム3を上記のように表裏に融点差のあるPEを配置した層構成とすることで、工程4では、底フィルム3の内表面同士を接着させずに、胴部フィルム2の内表面と底フィルム3の外表面との接着だけをすることができる。底フィルム3が例えば単層フィルムのように表裏で融点差がない場合、工程4では、底フィルム3の内表面同士の間に難熱接着性の中板又は難熱接着性のシートを介在させることで、底フィルム3の内表面同士を接着させずに、胴部フィルム2の内表面と底フィルム3の外表面との接着だけをすることができる。難熱接着性の中板又は難熱接着性のシートは、例えば、ナイロン、シリコンなどの高融点の材料製の板状部材又はシート状部材である。
【0052】
工程5は、工程4で形成した熱シールを適切な位置で切断して自立可能な状態とする工程である。図11(e)は、一例として図11(d)における二点鎖線Cの位置で切断した形態を示した。自立袋1の自立性を良好とするためには、底フィルム3の胴部フィルム2への固定位置が重要である。すなわち、胴部フィルム2の下端と底フィルム3の開放辺21とが一致しており、一致した胴部フィルム2の下端と底フィルム3の開放辺21とが全周にわたって接着されていることで、自立袋1の接地面に対して剛性の高い胴部フィルム2の下端と底フィルム3の開放辺21との接着部が設置することとなり、自立袋1は安定して自立することができる。しかし、工程3において開放辺21が胴部フィルム2の一端よりも内側になるように配置した場合、工程4において開放辺21よりも下方側を含む領域を熱シールすると胴部フィルム2の内表面同士が熱接着して底ガゼット20が開かなくなる問題がある。そこで、工程5を設けることで、胴部フィルム2の内表面同士の熱接着部分が切断によって排除され、底ガゼット20が開く状態とすることができる。また、工程3において開放辺21を胴部フィルム2の一端に一致させた場合、工程4において開放辺21よりも上方側を含む領域を熱シールすると開放辺21よりも下方側において胴部フィルム2と底フィルム3とが非接着である部分が形成され、しわが発生する場合がある。そこで、工程5を設けることで、胴部フィルム2と底フィルム3との非接着部分が切断によって排除され、見栄えの良い自立袋1とすることができる。また、工程3において開放辺21が胴部フィルム2の一端から外側に出るようにして配置した場合、工程4を経た袋では底フィルム3が胴部フィルム2の一端からはみ出た部分が形成される。このとき、底フィルム3のはみ出た部分は、袋の最下端に位置して袋を自立させた時の接地面に接する部分となるところ、底フィルム3だけでは強度が不足するため、自立性が安定しない場合がある。そこで、工程5を設けることで、底フィルム3のはみ出た部分が切断によって排除され、自立性が安定した自立袋1とすることができる。以上の通り、工程5を設けることで、工程3及び工程4において、胴部フィルム2と底フィルム3との位置関係及び熱シール位置を厳密に管理する必要がないため、生産効率をより向上させることができる。
【0053】
特許文献1のような一般的な自立袋では胴部の上下方向の全体において左右側縁に胴部フィルムの内表面同士を接着させたサイドシールを有していた。また、サイドシールをなるべく短くする試みとして、図12(a)(b)に示すように筒状に形成されたサイドシールのない胴部フィルム91に二つ折りした底フィルム92を挿入して自立袋90を製造する技術がある。しかし、底フィルム92を胴部フィルム91に確実に挿入できるように、底フィルム92の幅は胴部フィルム91の幅よりも狭くなるように構成されており、胴部フィルム91と底フィルム92との固定は、図12(b)に示すように、底フィルム92の下端部を胴部フィルム91の下端部に固定する下端シール93に加えて、底フィルム92の二つ折りした左右の側辺を塞ぐとともに底フィルム92と胴部フィルム91とを固定するためのサイドシール94が必要とされていた。また、サイドシール94を無くすために底フィルム92の幅を胴部フィルム91の幅と同程度とすると、製造時の精度を高めなければならず機械設備、人員及び時間の確保が困難であった。以上の通り、従来の自立袋90は、生産効率向上のために、胴部フィルム91の内表面同士の接着部分を含むサイドシールを必須となっていたため、エッジが立ち、触感が悪くなっていた。一方、本実施形態に係る自立袋1は、図1に示すように、胴部10の左右側縁13,14にサイドシールがなく、折り目が形成されている。さらに、生産効率向上のために胴部フィルム2と底フィルム3との間に隙間40を設けたとしてもエッジとなりうる胴部フィルム2の内表面同士の接着部は自立袋1の下端部にある第2シール部32だけとすることができ、自立袋1を把持した時の手指への影響がほとんどない。このように、本実施形態に係る自立袋1はエッジレスであり、胴部10を手で握ってもサイドシールが手に当たることがないので不快感がない。
【符号の説明】
【0054】
1 自立袋
2 胴部フィルム
3(3A,3B,3C,3D,3E) 底フィルム
10 胴部
11 下端
12 上端
13 左側縁
14 右側縁
15 収容空間
20 底ガゼット
21 開放辺
22 上端閉塞辺
23 左側閉塞辺
24 右側閉塞辺
25 背貼り
26 左側角部
27 右側角部
30 底シール
31 第1シール部
32 第2シール部
33 補強シール部
35 ポイントシール部
36 左側傾斜シール部
37 右側傾斜シール部
38 左縦シール
39 右縦シール
40 隙間
90 自立袋
91 胴部フィルム
92 底フィルム
93 下端シール
94 サイドシール
【要約】
【課題】本開示は、液体用の剛性容器の代替品としても利用可能な美観を有するとともに環境に配慮し、製造コストを抑えることができ、胴部を手で握った時の不快感がない自立袋及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態に係る自立袋1は、上端12及び下端11が開放した筒形状をなす胴部フィルム2を扁平状とし左側縁13及び右側縁14に折り目を有する胴部10と、下端に開放辺21を有する扁平袋形状をなす底フィルム3が開放辺21を下側にして胴部10の下端部に挿入された底ガゼット20と、を備え、胴部フィルム2と底フィルム3とは、底シール30で固定されており、底シール30は、少なくとも、底フィルム3の下端部が底フィルム3の全周にわたって胴部フィルム2の下端部の内表面に接着された第1シール部31を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12