(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】二元冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25B 7/00 20060101AFI20231129BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20231129BHJP
F28D 7/02 20060101ALI20231129BHJP
F28D 7/10 20060101ALI20231129BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20231129BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
F25B7/00 D
F25B1/00 331Z
F28D7/02
F28D7/10 A
F28D9/02
F28F3/08 311
(21)【出願番号】P 2022528511
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 JP2021018389
(87)【国際公開番号】W WO2021246137
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2020097933
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 峻
(72)【発明者】
【氏名】須藤 稔
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-073046(JP,A)
【文献】特開2012-112615(JP,A)
【文献】実開昭57-199767(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温側圧縮機に流入する低温側冷媒が流入する本体管、及び、前記低温側圧縮機から流出した前記低温側冷媒が流入し、かつ、前記本体管に螺旋状に巻き付けられている螺旋管を有する螺旋型熱交換器を備える低温側冷凍回路と、
前記螺旋管から流出した前記低温側冷媒とプレート式熱交換器を介して熱交換する高温側冷媒が循環する高温側冷凍回路と、を備え
、
前記本体管は、前記本体管の軸線の方向が上下方向に沿うように配置されており、
前記螺旋管は、前記低温側冷媒が、前記本体管の上側から下側に向かって流れるように巻き付けられている、
二元冷凍装置。
【請求項2】
前記螺旋管における前記低温側冷媒が流れる部位は、断面矩形状に形成されている、請求項
1に記載の二元冷凍装置。
【請求項3】
前記プレート式熱交換器、前記螺旋型熱交換器、並びに、前記プレート式熱交換器および前記螺旋型熱交換器の周囲に配置される配管によって熱交換ユニットが構成され、
前記熱交換ユニットは、所定方向の長さが抑制されるように形成されている、請求項
1又は2に記載の二元冷凍装置。
【請求項4】
前記プレート式熱交換器は、直方体状に形成されて、第1面に前記配管が接続され、
前記所定方向は、前記第1面に直交する方向である、請求項
3に記載の二元冷凍装置。
【請求項5】
前記プレート式熱交換器は、直方体状に形成されて、第1面に前記配管が接続され、
前記所定方向は、前記第1面の幅方向である、請求項
3に記載の二元冷凍装置。
【請求項6】
前記プレート式熱交換器から流出した前記高温側冷媒が流入する受液器と、
前記プレート式熱交換器から流出した前記低温側冷媒が流入する乾燥器と、をさらに備え、
前記熱交換ユニットは、前記受液器および前記乾燥器をさらに備えている、請求項
3から
5の何れか1項に記載の二元冷凍装置。
【請求項7】
前記熱交換ユニットは、断熱部材によって覆われるとともに、前記二元冷凍装置が用いられる箱体の側壁に収納されている、請求項
3から
6の何れか1項に記載の二元冷凍装置。
【請求項8】
軸線に直交する平面によって切断された断面形状が波状である管状に形成され、かつ、低温側圧縮機から流出した低温側冷媒が流入する多葉管、および、前記多葉管を内側に収容する管状に形成され、かつ、内周面と前記多葉管の外周面との間に前記低温側圧縮機に流入する前記低温側冷媒が流入する外側管を有する二重管式熱交換器を備える低温側冷凍回路と、
前記低温側冷媒とプレート式熱交換器を介して熱交換する高温側冷媒が循環する高温側冷凍回路と、を備える二元冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二元冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高温側冷凍回路を流れる高温側冷媒と、低温側冷凍回路を流れる低温側冷媒とが熱交換するカスケードコンデンサを備える二元冷凍回路が開示されている。特許文献1のカスケードコンデンサは、プレート式熱交換器である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二元冷凍回路においては、プレート式熱交換器における熱交換の効率を向上させたい要請がある。
【0005】
本開示は、前記従来の課題を解決するもので、プレート式熱交換器における熱交換の効率を向上できる二元冷凍回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本開示における二元冷凍装置は、低温側圧縮機に流入する低温側冷媒が流入する本体管、及び、低温側圧縮機から流出した低温側冷媒が流入し、かつ、本体管に螺旋状に巻き付けられている螺旋管を有する螺旋型熱交換器を備える低温側冷凍回路と、螺旋管から流出した低温側冷媒とプレート式熱交換器を介して熱交換する高温側冷媒が循環する高温側冷凍回路と、を備える。
上述のような二元冷凍装置を実施する場合に、好ましくは、本体管は、本体管の軸線の方向が上下方向に沿うように配置されてよい。
又、螺旋管は、低温側冷媒が、本体管の上側から下側に向かって流れるように巻き付けられてよい。
【0007】
また、前記目的を達成するために、本開示における二元冷凍装置は、軸線に直交する平面によって切断された断面形状が波状である管状に形成され、かつ、低温側圧縮機から流出した低温側冷媒が流入する多葉管、および、多葉管を内側に収容する管状に形成され、かつ、内周面と多葉管の外周面との間に低温側圧縮機に流入する低温側冷媒が流入する外側管を有する二重管式熱交換器を備える低温側冷凍回路と、低温側冷媒とプレート式熱交換器を介して熱交換する高温側冷媒が循環する高温側冷凍回路と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る二元冷凍装置によれば、プレート式熱交換器における熱交換の効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態における二元冷凍装置の概要図である。
【
図2】
図1に示すプレート式熱交換器の斜視図である。
【
図3】第1実施形態における熱交換ユニットの構成を示す図である。
【
図4】
図3に示す熱交換ユニットを構成する機器の配置を示す図である。
【
図5】
図1に示す二元冷凍装置が用いられるフリーザの概要図である。
【
図6】
図5に示す箱体の後側壁の部分拡大断面図である。
【
図7】本開示の第2実施形態における二元冷凍装置の概要図である。
【
図8】
図7に示す二重管式熱交換器の断面図である。
【
図9】
図8に示す多葉管の概要を示す斜視図である。
【
図10】第2実施形態における熱交換ユニットの構成を示す図である。
【
図11】本開示の第1実施形態の一の変形例における二元冷凍装置の熱交換ユニットを構成する機器の配置を示す図である。
【
図12】本開示の第1実施形態の他の変形例における二元冷凍装置の概要図である。
【
図13】
図11に示す二元冷凍装置における熱交換ユニットの構成を示す図である。
【
図14】本開示の第2実施形態の変形例における二重管式熱交換器の多葉管の概要を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態における二元冷凍装置1について、図面を参照しながら説明する。二元冷凍装置1は、例えば、収納庫の内部温度が-80℃以下となる超低温フリーザのようなフリーザ2(
図5)に備え付けられている。
【0011】
二元冷凍装置1は、
図1に示すように、高温側冷凍回路10および低温側冷凍回路20を備えている。
【0012】
高温側冷凍回路10は、高温側圧縮機11、高温側凝縮器12、高温側乾燥器13、高温側減圧器14、高温側蒸発器15、受液器16および高温側熱交換器17を備えている。
【0013】
高温側熱交換器17は二重管によって構成されている。高温側熱交換器17の内管は、高温側減圧器14である。また、高温側蒸発器15は、後述するプレート式熱交換器30を構成する。受液器16は、円筒状に形成されている。
【0014】
高温側圧縮機11から吐出された高温側冷媒が再び高温側圧縮機11に戻るように、上述した各機器が高温側配管18によって接続されている。高温側配管18は、「配管」の一例である。
【0015】
高温側冷媒は、
図1に示す矢印の方向に循環する。具体的には、高温側冷媒は、高温側圧縮機11、高温側凝縮器12、高温側乾燥器13、高温側減圧器14、高温側蒸発器15、受液器16および高温側熱交換器17の外管17aをこの順に流れて、高温側圧縮機11に戻る。
【0016】
低温側冷凍回路20は、低温側圧縮機21、螺旋型熱交換器22、低温側凝縮器23、低温側乾燥器24、低温側減圧器25、低温側蒸発器26および低温側熱交換器27を備えている。低温側乾燥器24は、「乾燥器」の一例である。低温側乾燥器24は、円筒状に形成されている。螺旋型熱交換器22は、本体管22aおよび螺旋管22bを備えている。
【0017】
本体管22aは、内側に低温側冷媒が流れる円筒状に形成されている。本体管22aは、本体管22aの軸線の方向が上下方向に沿うように配置されている。
【0018】
螺旋管22bは、低温側冷媒が本体管22aの上側から下側に向かって流れるように、本体管22aに螺旋状に巻き付けられている。螺旋管22bは、断面矩形状に形成されている。
【0019】
低温側熱交換器27は二重管によって構成されている。低温側熱交換器27の内管は、低温側減圧器25である。また、低温側凝縮器23は、後述するプレート式熱交換器30を構成する。
【0020】
低温側圧縮機21から吐出された低温側冷媒が再び低温側圧縮機21に戻るように、上述した各機器が低温側配管28によって接続されている。低温側配管28は、「配管」の一例である。
【0021】
低温側冷媒は、
図1に示す矢印の方向に循環する。具体的には、低温側冷媒は、低温側圧縮機21、螺旋管22b、低温側凝縮器23、低温側乾燥器24、低温側減圧器25、低温側蒸発器26、低温側熱交換器27の外管27a、および、本体管22aをこの順に流れて、低温側圧縮機21に戻る。なお、低温側冷凍回路20における冷凍サイクルによって、低温側蒸発器26において-80℃以下の超低温が得られる。
【0022】
プレート式熱交換器30は、高温側蒸発器15を流れる高温側冷媒と、低温側凝縮器23を流れる低温側冷媒とが熱交換するものである。プレート式熱交換器30は、
図2に示すように、直方体状に形成されている。
【0023】
プレート式熱交換器30は、複数の伝熱プレート31およびカバープレート32を備えている。伝熱プレート31およびカバープレート32は、正面視長方形状の板部材である。伝熱プレート31は、断面波状に形成されている。
【0024】
複数の伝熱プレート31は、互いに隣り合う伝熱プレート31の間に高温側冷媒および低温側冷媒の一方が流れる流路が形成されるように所定距離離れて積層されている。高温側冷媒が流れる高温側流路(不図示)および低温側冷媒の低温側流路(不図示)は、1枚の伝熱プレート31を挟んで互いに隣り合うように形成される。すなわち、複数の伝熱プレート31の積層方向において、高温側流路および低温側流路が交互に配置される。さらに、この複数の伝熱プレート31が積層されたものの両端にカバープレート32がそれぞれ配置されている。
【0025】
一方のカバープレート32の板面には、高温側冷媒が流入する高温側流入部33、高温側冷媒が流出する高温側流出部34、低温側冷媒が流入する低温側流入部35および低温側流出部36が配置されている。高温側流入部33などが配置されたカバープレート32の板面を、プレート式熱交換器30の第1面30aとする。
【0026】
高温側流入部33から流入した高温側冷媒は、高温側流路を流れて高温側流出部34から流出する。低温側流入部35から流入した低温側冷媒は、低温側流路を流れて低温側流出部36から流出する。
【0027】
高温側冷媒と低温側冷媒とは、伝熱プレート31を介して熱交換をする。また、伝熱プレート31が断面波状に形成されていることにより、高温側冷媒の流れおよび低温側冷媒の流れが乱流になるため、高温側冷媒と低温側冷媒との熱交換は、比較的効率よく行われる。
【0028】
また、二元冷凍装置1を構成する機器の一部は、
図3および
図4に示す熱交換ユニット40を構成する。なお、説明の便宜上、
図3における上側および下側をそれぞれ熱交換ユニット40の上方および下方とし、同じく左側および右側をそれぞれ熱交換ユニット40の左方および右方とし、同じく紙面手前側および紙面奥側をそれぞれ熱交換ユニット40の前方および後方として説明する。
【0029】
熱交換ユニット40は、プレート式熱交換器30、高温側熱交換器17、受液器16、螺旋型熱交換器22、低温側乾燥器24、および、低温側熱交換器27を備えている。
【0030】
プレート式熱交換器30は、長手方向が上下方向に沿うように、かつ、第1面30aが前方を向くように配置される。
【0031】
高温側熱交換器17は、プレート式熱交換器30の右方に配置される。受液器16は、プレート式熱交換器30と高温側熱交換器17との間に、長手方向が上下方向に沿うように配置される。
【0032】
螺旋型熱交換器22は、受液器16と高温側熱交換器17との間に、本体管22aの軸線が上下方向に沿うように配置される。低温側乾燥器24は、プレート式熱交換器30の左方に、長手方向が上下方向に沿うように配置される。低温側熱交換器27は、低温側乾燥器24の左方に配置される。
【0033】
また、熱交換ユニット40は、上述した構成部品にそれぞれ接続される高温側配管18の一部および低温側配管28の一部を備えている。
【0034】
高温側配管18の一部は、具体的には、第1から第5の高温側配管18a~18eである。第1の高温側配管18aは、プレート式熱交換器30の高温側流入部33と高温側熱交換器17の内管(高温側減圧器14)とを接続する配管である。第2の高温側配管18bは、高温側熱交換器17の内管と高温側凝縮器12とを接続する配管の高温側熱交換器17側の部位である。
【0035】
第3,4の高温側配管18c,18dは、受液器16に接続される配管である。第5の高温側配管18eは、高温側熱交換器17の外管17aと高温側圧縮機11とを接続する配管の高温側熱交換器17の外管17a側の部位である。
【0036】
低温側配管28の一部は、具体的には、第1から第8の低温側配管28a~28hである。第1の低温側配管28aは、プレート式熱交換器30の低温側流入部35と螺旋管22bとを接続する配管である。第2の低温側配管28bは、螺旋管22bと低温側圧縮機21とを接続する配管の螺旋管22b側の部位である。
【0037】
第3,4の低温側配管28c,28dは、低温側乾燥器24に接続された配管である。第5,6の低温側配管28e,28fは、低温側熱交換器27と低温側蒸発器26とを接続する配管の低温側熱交換器27側の部位である。第7の低温側配管28gは、低温側熱交換器27の外管27aと本体管22aとを接続する配管である。第8の低温側配管28hは、本体管22aと低温側圧縮機21とを接続する配管の本体管22a側の部位である。
【0038】
また、熱交換ユニット40は、所定方向の長さAが抑制されるように形成されている。所定方向は、上下方向と垂直な方向である。所定方向は、具体的には、第1面30aに直交する方向、すなわち前後方向である。所定方向の長さAは、例えば、プレート式熱交換器30の第1面30aとは反対の第2面30bから、第1面30aに配置された高温側流入部33などに接続された配管における前方端までの長さである。
【0039】
プレート式熱交換器30に接続された配管は、所定方向の長さAが抑制されるように曲げられている。この所定方向の長さAの範囲内において、上述した螺旋型熱交換器22などが配置され、高温側配管18の一部および低温側配管28の一部が取り回されている。
【0040】
さらに、熱交換ユニット40は、各構成部品を覆う断熱部材40aをさらに備えている。断熱部材40aは、例えば発泡ウレタンによって形成される。この断熱部材40aの外形状は、直方体状に形成される。断熱部材40aの下側面および左側面から、高温側配管18の一部および低温側配管28が取り出される。
【0041】
次に、二元冷凍装置1が用いられるフリーザ2における熱交換ユニット40の配置について
図5および
図6を用いて説明する。なお、説明の便宜上、
図5における上側および下側をそれぞれフリーザ2の上方および下方とし、同じく左上側および右下側をそれぞれフリーザ2の前方および後方とし、同じく左下側および右上側をそれぞれフリーザ2の左方および右方として説明する。
【0042】
フリーザ2は、前側に開口部(不図示)が形成された箱体3、箱体3の開口部を開閉可能に覆う扉4、蓋部材5、および、機械室6を備えている。箱体3は、後側壁3aを有している。後側壁3aは、「側壁」の一例である。
【0043】
箱体3は、鉄板製の内箱3b、内箱3bの外側に間隔を空けて配置された鉄板製の外箱3c、および、内箱3bと外箱3cとの間に、例えば発泡ウレタンが発泡充填されることで形成された断熱層3dを有している。後側壁3aには、熱交換ユニット40を収納する収納部3d1が形成されている。収納部3d1は、外箱3cが開口され、断熱層3dが凹むように形成されている。
【0044】
蓋部材5は、収納部3d1を覆うものである。蓋部材5は、箱体3の背面に着脱可能に取り付けられている。蓋部材5は、カバーパネル5a、第1シート5b、断熱パネル5cおよび第2シート5dを備えている。
【0045】
カバーパネル5aは、正面視矩形状の鉄板製である。カバーパネル5aには、第1シート5b、断熱パネル5cおよび第2シート5dを内側に配置可能に前方から後方にむけて凹む凹部5a1が形成されている。また、カバーパネル5aの周縁部には、例えばネジによって後側壁3aに蓋部材5を取付可能にするフランジ部5a2が形成されている。
【0046】
第1シート5b、断熱パネル5cおよび第2シート5dは、凹部5a1にこの順に配置される。第1シート5bは、例えばポリエチレンによって形成された可撓性を有するシートであり、凹部5a1の底面に接着されている。断熱パネル5cは、例えば外表面を樹脂フィルムや金属フィルム等によってシールされた板状の真空断熱材であり、第1シート5bに接着されている。第2シート5dは、例えばポリエチレンによって形成された可撓性を有するシートであり、断熱パネル5cに接着されている。
【0047】
熱交換ユニット40の上下方向がフリーザ2の上下方向に沿うように、かつ、熱交換ユニット40の前方または後方がフリーザ2の前方を向くように、熱交換ユニット40は収納部3d1に収納される。
【0048】
機械室6は、箱体3を支持するように配置されている。機械室6には、二元冷凍装置1の高温側冷凍回路10及び低温側冷凍回路20の一部を構成する圧縮機11,21や、凝縮器12,23等が配置されている。
【0049】
次に、螺旋型熱交換器22の螺旋管22bにおける低温側冷媒の流れについて説明する。上述したように、低温側圧縮機21から流出した低温側冷媒が螺旋管22bに流入する。
【0050】
螺旋管22bは、上述したように本体管22aの上側から下側に向けて巻き付けられている(
図3)。よって、螺旋管22bに流入した低温側冷媒は、上下方向に沿って下方に向けて、螺旋状に流れる。このように低温側冷媒が流れることにより、低温側冷媒の流れが乱流となる。さらに、螺旋管22bの長さ、螺旋管22bの螺旋の曲率や螺旋管22bの巻き数は、乱流が生じやすいように設定されている。また、螺旋管22bの断面形状は、乱流が生じやすい矩形状に形成されている。流れが乱流となった低温側冷媒は、プレート式熱交換器30に流入する。
【0051】
本第1実施形態によれば、二元冷凍装置1は、低温側圧縮機21に流入する低温側冷媒が流入する本体管22a、及び、低温側圧縮機21から流出した低温側冷媒が流入し、かつ、本体管22aに螺旋状に巻き付けられている螺旋管22bを有する螺旋型熱交換器22を備える低温側冷凍回路20と、低温側冷媒とプレート式熱交換器30を介して熱交換する高温側冷媒が循環する高温側冷凍回路10と、を備える。
【0052】
これによれば、螺旋管22bを流れることで流れが乱流となった低温側冷媒は、プレート式熱交換器30に流入する。流体の流れが乱流である場合、層流である場合に比べて、熱交換の効率が向上する。よって、プレート式熱交換器30における熱交換の効率が向上する。
【0053】
また、本体管22aは、本体管22aの軸線の方向が上下方向に沿うように配置されている。また、螺旋管22bは、低温側冷媒が、本体管22aの上側から下側に向かって流れるように巻き付けられている。
【0054】
これによれば、低温側冷媒は螺旋管22bを上下方向に沿って下方に向けて流れるため、低温側冷媒の流れが乱流になりやすい。よって、プレート式熱交換器30における熱交換の効率がより向上する。
【0055】
また、螺旋管22bにおける低温側冷媒が流れる部位は、断面矩形状に形成されている。
【0056】
これによれば、低温側冷媒の流れが乱流になりやすい。よって、プレート式熱交換器30における熱交換の効率がさらに向上する。
【0057】
また、プレート式熱交換器30、螺旋型熱交換器22、並びに、プレート式熱交換器30および螺旋型熱交換器22の周囲に配置される高温側配管18の一部および低温側配管28の一部によって熱交換ユニット40が構成される。熱交換ユニット40は、所定方向の長さAが抑制されるように形成されている。
【0058】
これによれば、所定方向の長さAを短くするように、プレート式熱交換器30および螺旋型熱交換器22をユニット化することができる。よって、熱交換ユニット40のレイアウトの自由度を向上することができる。
【0059】
また、プレート式熱交換器30には、直方体状に形成され、第1面30aに高温側配管18および低温側配管28が接続される。所定方向は、第1面30aに直交する方向である。
【0060】
これによれば、第1面30aに直交する方向において、熱交換ユニット40の長さを抑制することができる。
【0061】
また、二元冷凍装置1は、プレート式熱交換器30から流出した高温側冷媒が流入する受液器16と、プレート式熱交換器30から流出した低温側冷媒が流入する低温側乾燥器24と、をさらに備えている。熱交換ユニット40は、受液器16および低温側乾燥器24をさらに備えている。
【0062】
これによれば、熱交換ユニット40は、受液器16および低温側乾燥器24を備える場合においても、所定方向の長さAを抑制することができる。
【0063】
また、熱交換ユニット40は、断熱部材40aによって覆われるとともに、二元冷凍装置1が用いられるフリーザ2における箱体3の後側壁3aに収納されている。
【0064】
これによれば、熱交換ユニット40が機械室6に収納されている場合に比べて、機械室6に収納されている二元冷凍装置1の構成部品による熱交換ユニット40への熱的な影響を抑制することができる。
【0065】
<第2実施形態>
次に、本開示の第2実施形態について、上述した第1実施形態とは異なる部分を主として説明する。上述した第1実施形態の螺旋型熱交換器22に代えて、本第2実施形態においては
図7に示す二重管式熱交換器122を備えている。二重管式熱交換器122は、多葉管122aおよび外側管122bを備えている。
【0066】
多葉管122aは、軸線122a1に直交する平面によって切断された断面形状が波状である管状に形成されたものである(
図8及び
図9)。多葉管122aの側壁は、周方向に山部122a2と谷部122a3とが繰り返す波形状が、軸線122a1の方向に沿って真直ぐに延びるように形成されている(
図8及び
図9)。
【0067】
多葉管122aの第1端は、第2の低温側配管28bを介して、低温側圧縮機21に接続されている(
図10)。また、多葉管122aの第2端は、第1の低温側配管28aを介して、プレート式熱交換器30の低温側流入部35に接続される。すなわち、多葉管122aには、低温側圧縮機21から流出した低温側冷媒が流入する。多葉管122aから流出した低温側冷媒は、プレート式熱交換器30の低温側流入部35に流入する。
【0068】
外側管122bは、多葉管122aを内側に収容する管状に形成されたものである(
図8)。外側管122bの第1端部は、第7の低温側配管28gを介して低温側熱交換器27の外管27aに接続されている(
図10)。また、外側管122bの第2端部は、第8の低温側配管28hを介して、低温側圧縮機21に接続されている。
【0069】
すなわち、外側管122bには、低温側熱交換器27の外管27aから流出した低温側冷媒が流入する。外側管122bに流入した低温側冷媒は、外側管122bの内周面と多葉管122aの外周面との間を流れる。外側管122bから流出した低温側冷媒は、低温側圧縮機21に流入する。
【0070】
二重管式熱交換器122では、多葉管122aを流れる低温側冷媒と外側管122bを流れる低温側冷媒とが熱交換する。多葉管122aは、断面形状が上述したように波状に形成されているため、断面円状に形成されている場合に比べて、外表面の面積が大きくなる。よって、二重管式熱交換器122における熱交換は、比較的効率よく行われる。また、二重管式熱交換器122は、熱交換ユニットにおいて、多葉管122aの軸線122a1が上下方向に沿うように配置される。
【0071】
本第2実施形態によれば、二元冷凍装置1は、軸線122a1に直交する平面によって切断された断面形状が波状である管状に形成され、かつ、低温側圧縮機21から流出した低温側冷媒が流入する多葉管122a、および、多葉管122aを内側に収容する管状に形成され、かつ、内周面と多葉管122aの外周面との間に低温側圧縮機21に流入する低温側冷媒が流入する外側管122bを有する二重管式熱交換器122を備える低温側冷凍回路20と、低温側冷媒とプレート式熱交換器30を介して熱交換する高温側冷媒が循環する高温側冷凍回路10と、を備える。
【0072】
これによれば、二重管式熱交換器122の内管が多葉管122aであるため、内管が円筒管である場合に比べて、低温側冷媒の流れが乱流になり易い。よって、プレート式熱交換器30における熱交換の効率が向上する。また、二重管式熱交換器122の内管が多葉管122aであるため、熱交換を比較的効率よく行うことができる。このため、多葉管122aの軸線122a1の方向に沿った長さを短くして、二重管式熱交換器122のコンパクト化を図ることができる。
【0073】
<変形例>
以上、一つまたは複数の態様に係る二元冷凍装置1について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0074】
上述した第1実施形態では、螺旋管22bの断面形状は矩形状であるが、これに代えて、円形状としてもよい。
【0075】
また、上述した第1実施形態では所定方向は、第1面30aに直交する方向であるが、これに代えて、第1面30aの幅方向としてもよい。第1面30aの幅方向は、
図11に示すように、プレート式熱交換器30の第1面30aが左方に向いた場合において前後方向である。また、低温側乾燥器24はプレート式熱交換器30の左方に配置されている。螺旋型熱交換器22および受液器16はプレート式熱交換器30の右方に配置されている。低温側乾燥器24、螺旋型熱交換器22および受液器16の前後方向の長さ、並びに、各配管18,28低温側配管28の取り回しが第1面30aの幅方向の長さに収まる場合、所定方向の長さAは、第1面30aの幅方向の長さに相当する。なお、第2実施形態の所定方向についても同様に、第1面30aに直交する方向に代えて、第1面30aの幅方向としてもよい。
【0076】
また、上述した第1実施形態では、熱交換ユニット40は、プレート式熱交換器30、高温側熱交換器17、受液器16、螺旋型熱交換器22、低温側乾燥器24、および、低温側熱交換器27を備えている。これに代えて、熱交換ユニット40は、プレート式熱交換器30および螺旋型熱交換器22を少なくとも備えるようにしてもよい。換言すれば、熱交換ユニット40は、高温側熱交換器17、受液器16、低温側乾燥器24、および、低温側熱交換器27の少なくとも一つを備えなくてもよい。なお、第2実施形態の熱交換ユニット40についても同様に、プレート式熱交換器30および二重管式熱交換器122を少なくとも備えるようにしてもよい。
【0077】
また、上述した第1実施形態では、熱交換ユニット40の断熱部材40aは、プレート式熱交換器30、高温側熱交換器17、受液器16、螺旋型熱交換器22、低温側乾燥器24、および、低温側熱交換器27を覆うように形成されている。これに代えて、断熱部材40aは、高温側熱交換器17、受液器16、低温側乾燥器24、および、低温側熱交換器27の少なくとも一つを覆わないようにしてもよい。なお、第2実施形態の熱交換ユニット40の断熱部材40aについても同様に、高温側熱交換器17、受液器16、低温側乾燥器24、および、低温側熱交換器27の少なくとも一つを覆わないようにしてもよい。
【0078】
また、上述した各実施形態では、熱交換ユニット40は、箱体3の後側壁3aに収納されているが、これに代えて、箱体3の他の側壁に収納されてもよい熱交換ユニット40は、例えば、箱体3の右側壁や左側壁に収納される。この場合、熱交換ユニット40の上下方向がフリーザ2の上下方向に沿うように、かつ、熱交換ユニット40の前方または後方がフリーザ2の右方または左方を向くように、熱交換ユニット40は右側壁や左側壁に収納される。
【0079】
また、上述した各実施形態では、低温側冷凍回路20は、低温側熱交換器27を備えているが、これに代えて、低温側熱交換器27を備えないようにしてもよい。この場合、第1実施形態の低温側冷凍回路20において、低温側冷媒は、
図12に示すように、低温側圧縮機21、螺旋管22b、低温側凝縮器23、低温側乾燥器24、低温側減圧器25、低温側蒸発器26、および、本体管22aをこの順に流れて、低温側圧縮機21に戻る。この場合、低温側蒸発器26と本体管22aとは、第9の低温側配管128iで接続される。また、この場合、熱交換ユニット40においては、
図13に示すように、低温側減圧器25は、プレート式熱交換器30および低温側乾燥器24の左方に配置され、かつ、断熱部材40aに覆われないようにしてもよい。なお、第2実施形態の熱交換ユニット40においては、第9の低温側配管128iは、低温側蒸発器26と外側管122bとを接続する。
【0080】
また、上述した各実施形態では、高温側冷凍回路10は、高温側熱交換器17を備えているが(
図1)、これに代えて、高温側熱交換器17を備えなくてもよい。この場合、各実施形態の高温側冷凍回路10において、高温側冷媒は、高温側圧縮機11、高温側凝縮器12、高温側乾燥器13、高温側減圧器14、高温側蒸発器15および受液器16をこの順に流れて、高温側圧縮機11に戻る。
【0081】
また、上述した第2実施形態において、多葉管122aの側壁は、周方向に山部122a2と谷部122a3とが繰り返す波形状が、軸線122a1の方向に沿って真直ぐに延びるように形成されている。これに代えて、
図14に示すように、多葉管222aの側壁は、波形状が軸線222a1の回りに旋回する螺旋状に形成されてもよい。これにより、多葉管222aにおける低温側冷媒の流れがさらに乱流になり易くなる。
【0082】
2020年6月4日出願の特願2020-097933の日本出願に含まれる明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本開示の二元冷凍装置は、超低温フリーザや冷凍庫などに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 二元冷凍装置
2 フリーザ
3 箱体
3a 後側壁(側壁)
3d1 収納部
5 蓋部材
5a カバーパネル
5b 第1シート
5c 断熱パネル
5d 第2シート
10 高温側冷凍回路
16 受液器
18 高温側配管(配管)
20 低温側冷凍回路
21 低温側圧縮機
22 螺旋型熱交換器
22a 本体管
22b 螺旋管
24 低温側乾燥器(乾燥器)
28 低温側配管(配管)
30 プレート式熱交換器
30a 第1面
40 熱交換ユニット
40a 断熱部材
122 二重管式熱交換器
122a,222a 多葉管
122a1,222a1 軸線
122b 外側管