(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】ロータアセンブリ及びそれを備えるモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/28 20060101AFI20231129BHJP
【FI】
H02K1/28 A
(21)【出願番号】P 2022540759
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 CN2020137397
(87)【国際公開番号】W WO2021253767
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】202010550859.5
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010550022.0
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517413993
【氏名又は名称】広東威霊電机制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG WELLING MOTOR MANUFACTURING CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.27 XINGYE ROAD,INDUSTRIAL PARK,BEIJIAO TOWN,SHUNDE DISTRICT,FOSHAN,GUANGDONG 528311,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】左亞軍
(72)【発明者】
【氏名】李文瑞
(72)【発明者】
【氏名】王洪曉
(72)【発明者】
【氏名】李虎
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-019232(JP,A)
【文献】特開平07-312852(JP,A)
【文献】特開平11-004556(JP,A)
【文献】特開2009-005477(JP,A)
【文献】特開2019-122190(JP,A)
【文献】特開2001-061245(JP,A)
【文献】特開2017-169402(JP,A)
【文献】特開2014-036456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータアセンブリであって、
磁石スロットと回転軸穴を有するロータ鉄心と、
前記磁石スロット内に設けられる永久磁石と、
前記回転軸穴内に設けられる回転軸であって、前記回転軸と前記ロータ鉄心との間に隙間があり、前記回転軸の第1の端と第2の端は前記回転軸穴から伸び出す回転軸と、
前記ロータ鉄心の第1の端面に設けられるとともに前記ロータ鉄心に接続される第1の端部制振部材と、
前記第1の端部制振部材内に設けられるとともに、前記回転軸と嵌合する第1の伝動部材と、を備え、
前記ロータ鉄心が少なくとも順次に前記第1の端部制振部材と前記第1の伝動部材を介して前記回転軸を駆動
し、
前記第1の伝動部材は第1のベースと第1のボスを備え、前記第1のボスは前記第1のベースから前記ロータ鉄心の第1の端面に突出し、前記回転軸は前記第1のベースと前記第1のボスを貫通し、前記ロータ鉄心の軸方向における前記第1のボスと前記ロータ鉄心の第1の端面との最小距離はL1であり、且つL1>0.5ミリメートルとする、ことを特徴とするロータアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の端部制振部材の一部は前記回転軸と直接嵌合し、前記ロータ鉄心は前記第1の端部制振部材の前記一部を介して、順次に前記第1の端部制振部材及び前記第1の伝動部材を介して前記回転軸を駆動する、ことを特徴とする請求項1に記載のロータアセンブリ。
【請求項3】
前記回転軸の軸方向における前記一部の厚さはLであり、L≧0.5ミリメートルとする、ことを特徴とする請求項2に記載のロータアセンブリ。
【請求項4】
前記ロータ鉄心の径方向における前記第1のボスと前記永久磁石との最小隙間はL2であり、且つL2>0.5ミリメートルとし、前記ロータ鉄心の軸方向における前記第1のベースと前記永久磁石との最小隙間はL3であり、且つL3>0.5ミリメートルとする、ことを特徴とする請求項1に記載のロータアセンブリ。
【請求項5】
第2の端部制振部材を更に備え、前記第2の端部制振部材は前記ロータ鉄心の第2の端面に設けられ且つ前記ロータ鉄心に接続され、前記第2の端部制振部材が前記回転軸と直接嵌合し、前記ロータ鉄心は前記第2の端部制振部材を介して、順次に前記第1の端部制振部材及び前記第1の伝動部材を介して前記回転軸を駆動する、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載のロータアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の端部制振部材と前記第2の端部制振部材の材料はいずれも粘弾性材料である、ことを特徴とする請求項
5に記載のロータアセンブリ。
【請求項7】
前記粘弾性材料の損失係数は0.15以上であり、前記粘弾性材料のショア硬度は20度-80度である、ことを特徴とする請求項
6に記載のロータアセンブリ。
【請求項8】
外部接続制振部材を更に備え、前記ロータ鉄心は隣接する磁石スロットの間に位置する軸方向の貫通穴を有し、前記外部接続制振部材は前記軸方向の貫通穴内に設けられ、前記外部接続制振部材の第1の端は前記第1の端部制振部材に接続され、前記外部接続制振部材の第2の端は前記第2の端部制振部材に接続される、ことを特徴とする請求項
5に記載のロータアセンブリ。
【請求項9】
前記ロータ鉄心の第2の端面に設けられるとともに前記ロータ鉄心に接続される第2の端部制振部材と、
前記第2の端部制振部材内に設けられるとともに、前記回転軸と嵌合する第2の伝動部材と、を更に備え、
前記ロータ鉄心はさらに順次に前記第2の端部制振部材と前記第2の伝動部材を介して前記回転軸を駆動する、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載のロータアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の端部制振部材の一部は前記回転軸と直接嵌合し、且つ前記第2の端部制振部材の一部は前記回転軸と直接嵌合する、ことを特徴とする請求項
9に記載のロータアセンブリ。
【請求項11】
前記第1の端部制振部材と前記第2の端部制振部材のそれぞれに前記ロータ鉄心の一部を露出させるための開口が設けられる、ことを特徴とする請求項
9に記載のロータアセンブリ。
【請求項12】
外部接続制振部材を更に備え、前記ロータ鉄心は隣接する磁石スロットの間に位置する軸方向の貫通穴を有し、前記外部接続制振部材は前記軸方向の貫通穴内に設けられ、前記外部接続制振部材の第1の端は前記第1の端部制振部材に接続され、前記外部接続制振部材の第2の端は前記第2の端部制振部材に接続される、ことを特徴とする請求項
9に記載のロータアセンブリ。
【請求項13】
内部接続制振部材を更に備え、前記内部接続制振部材は前記回転軸と前記ロータ鉄心との間の隙間に設けられ、前記内部接続制振部材の第1の端は前記第1の端部制振部材に接続され、前記内部接続制振部材の第2の端は前記第2の端部制振部材に接続される、ことを特徴とする請求項
8または
12に記載のロータアセンブリ。
【請求項14】
中間接続制振部材を更に備え、前記永久磁石の内表面と前記磁石スロットの内底面との間に空隙があり、前記中間接続制振部材は前記空隙内に設けられ、前記中間接続制振部材の第1の端は前記第1の端部制振部材に接続され、前記中間接続制振部材の第2の端は前記第2の端部制振部材に接続される、ことを特徴とする請求項
13に記載のロータアセンブリ。
【請求項15】
前記ロータ鉄心は、複数のロータパンチングシートを該ロータ鉄心の軸方向に沿って積み重ねることによって形成され、前記ロータパンチングシートは完全接続ブリッジパンチングシートと半接続ブリッジパンチングシートを備え、前記ロータ鉄心は第1の端部、第2の端部及び前記第1の端部と第2の端部との間に位置する中間部を含み、前記第1の端部と第2の端部は複数の前記完全接続ブリッジパンチングシートを積み重ねることによって形成され、前記中間部は複数の前記半接続ブリッジパンチングシートを積み重ねることによって形成される、ことを特徴とする請求項
14に記載のロータアセンブリ。
【請求項16】
前記中間部における前記ロータ鉄心の軸方向に隣接する半接続ブリッジパンチングシートのうち、一方の半接続ブリッジパンチングシートは、他方の半接続ブリッジパンチングシートに対して前記ロータ鉄心の周方向に沿って1つの磁極分回転している、ことを特徴とする請求項
15に記載のロータアセンブリ。
【請求項17】
前記半接続ブリッジパンチングシートの複数の内部磁気ブリッジの一部に前記ロータ鉄心の周方向に沿って該内部磁気ブリッジを貫通する磁気ブリッジ穴が設けられ、前記ロータ鉄心の軸方向に隣接する半接続ブリッジパンチングシートの内部磁気ブリッジのうち、一方の半接続ブリッジパンチングシートの内部磁気ブリッジ内に前記磁気ブリッジ穴が設けられ、他方の半接続ブリッジパンチングシートの内部磁気ブリッジ内には磁気ブリッジ穴が設けられず、前記磁気ブリッジ穴内に周方向接続制振部材が設けられ、隣接する中間接続制振部材は前記周方向接続制振部材を介して互いに接続される、ことを特徴とする請求項
15に記載のロータアセンブリ。
【請求項18】
前記第1の端部制振部材、前記第2の端部制振部材、前記内部接続制振部材、前記外部接続制振部材、前記中間接続制振部材及び前記周方向接続制振部材の材料はいずれも粘弾性材料である、ことを特徴とする請求項
17に記載のロータアセンブリ。
【請求項19】
前記第1の端部制振部材、前記第2の端部制振部材、前記内部接続制振部材、前記外部接続制振部材、前記中間接続制振部材及び前記周方向接続制振部材は一体射出成形することによって形成される、ことを特徴とする請求項
18に記載のロータアセンブリ。
【請求項20】
前記粘弾性材料の損失係数は0.15以上であり、前記粘弾性材料のショア硬度は20度-80度である、ことを特徴とする請求項
18に記載のロータアセンブリ。
【請求項21】
前記ロータ鉄心の軸方向における前記永久磁石の長さは前記磁石スロットの軸方向長さより長く、前記永久磁石の第1の端は前記磁石スロット内から伸び出して前記第1の端部制振部材内に嵌合され、前記永久磁石の第2の端は前記磁石スロット内から伸び出して前記第2の端部制振部材内に嵌合される、ことを特徴とする請求項
9に記載のロータアセンブリ。
【請求項22】
前記第1の伝動部材の外周壁に第1の伝動径方向突起及び隣接する第1の伝動径方向突起の間に位置する第1の伝動径方向開口溝が設けられ、前記第1の端部制振部材は第1の中心穴を有し、前記第1の中心穴の周壁に第1の制振径方向突起及び隣接する第1の制振径方向突起の間に位置する第1の径方向制振開口溝が設けられ、前記第1の伝動径方向突起は前記第1の制振径方向開口溝内に嵌合され、前記第1の制振径方向突起は前記第1の伝動径方向開口溝内に嵌合される、ことを特徴とする請求項1に記載のロータアセンブリ。
【請求項23】
モータであって、請求項1~
22のいずれか1項に記載のロータアセンブリを備えることを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例はモータ技術分野に関し、具体的に、ロータアセンブリ及び該ロータアセンブリを備えるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの出力密度の増加に伴って、モータのエネルギー密度が増加し、モータ磁界が深く飽和する傾向があり、電磁雑音が大きくなる。関連技術では、モータの運転中のトルク変動による電磁振動及び雑音を低減するために、通常、ロータ鉄心と回転軸または軸スリーブとの間に振動吸収材を充填して電磁力波を吸収することを採用し、モータの雑音を低減して制振を実現する。しかしながら、ロータ鉄心と回転軸または軸スリーブとの間に振動吸収材を充填することによって、騒音低減と制振の効果が悪く、改善する余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願は、発明者が以下の事実と問題に対する発見と認識に基づいて行われる。
【0004】
関連技術では、制振ロータアセンブリは永久磁石、外側鉄心、回転軸、射出成形体及び制振リングを備え、射出成形体は、上部エンドプレート、下部エンドプレート及び上部エンドプレートと下部エンドプレートを接続するプラスチック封入接続部を備え、上部エンドプレート及び/又は下部エンドプレートに軸方向に環状の第1のボスが突出され、内鉄心は回転軸に取り付けられて環状の第1のボスの凹溝内に嵌め込まれ、制振リングは内鉄心と凹溝の内壁との間に設けられる。一方、内鉄心と凹溝の内壁との間の隙間が限られているため、制振部材の材料の量が限られ、騒音低減及び制振効果が悪い。他方で、射出成形品の材質は制振リングと異なり、外側鉄心の端部の制振リングが接続されず、射出成形品と制振リングの境界面に隙間が生じやすく、また、運転中に熱膨張係数の違いによる信頼性の問題が発生しやすく、且つ射出成形品の減衰が小さく、電磁振動雑音の抑制効果が明らかではない。さらに、制振ロータアセンブリは、生産中に射出成形と制振リングの配置の2段階が必要であり、プロセスが複雑であり、大量生産では不良率が高い。
【0005】
本願は、関連技術における技術的問題の一つを少なくとも一定の程度で解決することを目的とする。
【0006】
このため、本願の実施例は、制振部材の材料量を増加することができ、騒音低減及び制振効果がよく、信頼性の高いロータアセンブリを提出する。
【0007】
本願の他の態様の実施例はモータをさらに提出する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の実施例の第1の態様の実施例によるロータアセンブリは、磁石スロットと回転軸穴を有するロータ鉄心と、前記磁石スロット内に設けられる永久磁石と、前記回転軸穴内に設けられる回転軸であって、前記回転軸と前記ロータ鉄心との間に隙間があり、前記回転軸の第1の端と第2の端は前記回転軸穴から伸び出す回転軸と、前記ロータ鉄心の第1の端面に設けられるとともに前記ロータ鉄心に接続される第1の端部制振部材と、前記第1の端部制振部材内に設けられるとともに、前記回転軸と嵌合する第1の伝動部材と、を備え、前記ロータ鉄心は少なくとも順次に前記第1の端部制振部材と前記第1の伝動部材を介して前記回転軸を駆動する。
【0009】
本願の実施例によるロータアセンブリは、ロータ鉄心の第1の端面に回転軸と第1の伝動部材を介して嵌合する第1の端部制振部材を設けることによって、回転軸とロータ鉄心のリジッドジョイントを避け、第1の伝動部材は、回転軸の回転効果を向上させ、且つ制振部材の材料量が大きく、騒音低減及び制振効果がよく、熱膨張係数が異なる問題がなく、ロータアセンブリの信頼性を向上させ、また、生産過程に制振部材を設ければよく、製造プロセスが比較的簡単であり、大量生産の不良率を減少する。
【0010】
いくつかの実施例において、前記第1の端部制振部材の一部は前記回転軸と直接嵌合し、前記ロータ鉄心は前記第1の端部制振部材の前記一部を介して、順次に前記第1の端部制振部材及び前記第1の伝動部材を介して前記回転軸を駆動する。
【0011】
いくつかの実施例において、前記回転軸の軸方向における前記一部の厚さはLであり、L≧0.5ミリメートルとする。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第1の伝動部材は第1のベースと第1のボスを備え、前記第1のボスは前記第1のベースから前記ロータ鉄心の第1の端面に突出し、前記回転軸は前記第1のベースと前記第1のボスを貫通し、前記ロータ鉄心の軸方向における前記第1のボスと前記ロータ鉄心の第1の端面との最小距離はL1であり、且つL1>0.5ミリメートルとする。
【0013】
いくつかの実施例において、前記ロータ鉄心の径方向における前記第1のボスと前記永久磁石との最小隙間はL2であり、且つL2>0.5ミリメートルとし、前記ロータ鉄心の軸方向における前記第1のベースと前記永久磁石との最小隙間はL3であり、且つL3>0.5ミリメートルとする。
【0014】
いくつかの実施例において、ロータアセンブリは第2の端部制振部材を更に備え、前記第2の端部制振部材は前記ロータ鉄心の第2の端面に設けられ前記ロータ鉄心に接続され、前記第2の端部制振部材が前記回転軸と直接嵌合し、前記ロータ鉄心は前記第2の端部制振部材を介して、順次に前記第1の端部制振部材及び前記第1の伝動部材を介して前記回転軸を駆動する。
【0015】
いくつかの実施例において、前記第1の端部制振部材と前記第2の端部制振部材の材料はいずれも粘弾性材料である。
【0016】
いくつかの実施例において、前記粘弾性材料の損失係数は0.15以上であり、前記粘弾性材料のショア硬度は20度-80度である。
【0017】
いくつかの実施例において、ロータアセンブリは外部接続制振部材を更に備え、前記ロータ鉄心は隣接する磁石スロットの間に位置する軸方向の貫通穴を有し、前記外部接続制振部材は前記軸方向の貫通穴内に設けられ、前記外部接続制振部材の第1の端は前記第1の端部制振部材に接続され、前記外部接続制振部材の第2の端は前記第2の端部制振部材に接続される。
【0018】
いくつかの実施例において、ロータアセンブリは、前記ロータ鉄心の第2の端面に設けられるとともに前記ロータ鉄心に接続される第2の端部制振部材と、前記第2の端部制振部材内に設けられるとともに、前記回転軸と嵌合する第2の伝動部材と、を更に備え、前記ロータ鉄心はさらに順次に前記第2の端部制振部材と前記第2の伝動部材を介して前記回転軸を駆動する。
【0019】
いくつかの実施例において、前記第1の端部制振部材の一部は前記回転軸と直接嵌合し、且つ前記第2の端部制振部材の一部は前記回転軸と直接嵌合する。
【0020】
いくつかの実施例において、前記第1の端部制振部材と前記第2の端部制振部材のそれぞれに前記ロータ鉄心の一部を露出させるための開口が設けられる。
【0021】
いくつかの実施例において、ロータアセンブリは外部接続制振部材を更に備え、前記ロータ鉄心は隣接する磁石スロットの間に位置する軸方向の貫通穴を有し、前記外部接続制振部材は前記軸方向の貫通穴内に設けられ、前記外部接続制振部材の第1の端は前記第1の端部制振部材に接続され、前記外部接続制振部材の第2の端は前記第2の端部制振部材に接続される。
【0022】
いくつかの実施例において、ロータアセンブリは内部接続制振部材を更に備え、前記内部接続制振部材は前記回転軸と前記ロータ鉄心との間の隙間に設けられ、前記内部接続制振部材の第1の端は前記第1の端部制振部材に接続され、前記内部接続制振部材の第2の端は前記第2の端部制振部材に接続される。
【0023】
いくつかの実施例において、ロータアセンブリは中間接続制振部材を更に備え、前記永久磁石の内表面と前記磁石スロットの内底面との間に空隙があり、前記中間接続制振部材は前記空隙内に設けられ、前記中間接続制振部材の第1の端は前記第1の端部制振部材に接続され、前記中間接続制振部材の第2の端は前記第2の端部制振部材に接続される。
【0024】
いくつかの実施例において、前記ロータ鉄心は、複数のロータパンチングシートを該ロータ鉄心の軸方向に沿って積み重ねることによって形成され、前記ロータパンチングシートは完全接続ブリッジパンチングシートと半接続ブリッジパンチングシートを備え、前記ロータ鉄心は第1の端部、第2の端部及び前記第1の端部と第2の端部との間に位置する中間部を含み、前記第1の端部と第2の端部は複数の前記完全接続ブリッジパンチングシートを積み重ねることによって形成され、前記中間部は複数の前記半接続ブリッジパンチングシートを積み重ねることによって形成される。
【0025】
いくつかの実施例において、前記中間部における前記ロータ鉄心の軸方向に隣接する半接続ブリッジパンチングシートのうち、一方の半接続ブリッジパンチングシートは、他方の半接続ブリッジパンチングシートに対して前記ロータ鉄心の周方向に沿って1つの磁極分回転している。
【0026】
いくつかの実施例において、前記半接続ブリッジパンチングシートの複数の内部磁気ブリッジの一部に前記ロータ鉄心の周方向に沿って該内部磁気ブリッジを貫通する磁気ブリッジ穴が設けられ、前記ロータ鉄心の軸方向に隣接する半接続ブリッジパンチングシートの内部磁気ブリッジのうち、一方の半接続ブリッジパンチングシートの内部磁気ブリッジ内に前記磁気ブリッジ穴が設けられ、他方の半接続ブリッジパンチングシートの内部磁気ブリッジ内には磁気ブリッジ穴が設けられず、前記磁気ブリッジ穴内に周方向接続制振部材が設けられ、隣接する中間接続制振部材は前記周方向接続制振部材を介して互いに接続される。
【0027】
いくつかの実施例において、前記第1の端部制振部材、前記第2の端部制振部材、前記内部接続制振部材、前記外部接続制振部材、前記中間接続制振部材及び前記周方向接続制振部材の材料はいずれも粘弾性材料である。
【0028】
いくつかの実施例において、前記第1の端部制振部材、前記第2の端部制振部材、前記内部接続制振部材、前記外部接続制振部材、前記中間接続制振部材及び前記周方向接続制振部材は一体射出成形することによって形成される。
【0029】
いくつかの実施例において、前記粘弾性材料の損失係数は0.15以上であり、前記粘弾性材料のショア硬度は20度-80度である。
【0030】
いくつかの実施例において、前記ロータ鉄心の軸方向における前記永久磁石の長さは前記磁石スロットの軸方向長さより長く、前記永久磁石の第1の端は前記磁石スロットから伸び出して前記第1の端部制振部材内に嵌合され、前記永久磁石の第2の端は前記磁石スロットから伸び出して前記第2の端部制振部材内に嵌合される。
【0031】
いくつかの実施例において、前記第1の伝動部材の外周壁に第1の伝動径方向突起と隣接する第1の伝動径方向突起の間に位置する第1の伝動径方向開口溝が設けられ、前記第1の端部制振部材は第1の中心穴を有し、前記第1の中心穴の周壁に第1の制振径方向突起及び隣接する第1の制振径方向突起の間に位置する第1の径方向制振開口溝が設けられ、前記第1の伝動径方向突起は前記第1の制振径方向開口溝内に嵌合され、前記第1の制振径方向突起は前記第1の伝動径方向開口溝内に嵌合される。
【0032】
本願の他の態様の実施例によるモータは上記のいずれかの実施例に記載のロータアセンブリを備える。
【0033】
本願の実施例によるモータは、ロータアセンブリでは、ロータ鉄心の第1の端面に回転軸と第1の伝動部材を介して嵌合される第1の端部制振部材を設けることによって、回転軸とロータ鉄心のリジッドジョイントを避け、第1の伝動部材は、回転軸の回転効果を向上させ、且つ制振部材の材料量が大きく、騒音低減及び制振効果が良く、信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本願の一実施例によるロータアセンブリの分解斜視図である。
【
図2】
図1に示すロータアセンブリの組立状態の切断模式図である。
【
図3】
図1に示すロータアセンブリの組立状態の他の模式図である。
【
図4】
図1に示すロータアセンブリの軸方向の部分断面図である。
【
図7】本願の実施例によるロータアセンブリはのロータ鉄心の模式図である。
【
図8】本願の実施例によるロータアセンブリの伝動部材の斜視模式図である。
【
図9】本願の実施例によるロータアセンブリの伝動部材の平面図である。
【
図10】本願の実施例によるロータアセンブリの半接続ブリッジ式パンチングシートの模式図である。
【
図11】本願の実施例によるロータアセンブリの完全接続ブリッジ式パンチングシートの模式図である。
【
図12】
図1に示すロータアセンブリの断面図である。
【
図13】
図1に示すロータアセンブリの側面図である。
【
図14】本願の実施例によるロータアセンブリの伝動部材の他の斜視模式図である。
【
図15】本願の実施例によるロータアセンブリと従来の技術の減衰比の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本願の実施例を詳しく説明し、前記実施例の例は図に示される。以下、図面を参照して説明する実施例は例示であり、本願を解釈するために使用され、本願を制限するものとして理解されるべきではない。
【0036】
図1-11に示すように、本願の実施例によるロータアセンブリ100はロータ鉄心10、永久磁石20、回転軸30、制振部材60及び伝動部材50を備える。
【0037】
ロータ鉄心10は磁石スロット102と回転軸穴101を備える。
図1及び
図7に示すように、回転軸穴101はロータ鉄心10のほぼ中心位置に設けられロータ鉄心10の軸方向(
図1と
図7の左右方向)に沿ってロータ鉄心10を貫通する。磁石スロット102は複数設けられ、複数の磁石スロット102がロータ鉄心10の周方向に沿って回転軸穴101を回って均一に間隔をあけて布置される。
【0038】
永久磁石20は磁石スロット102内に設けられる。
図1及び
図7に示すように、永久磁石20は複数であり、各磁石スロット102内に1つの永久磁石20が取り付けられ、複数の永久磁石20をロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置するようにする。
【0039】
回転軸30は回転軸穴101内に設けられ、且つ回転軸30とロータ鉄心10との間に隙間があり、言い換えると、
図4に示すように、ロータ鉄心10の内円穴の直径D1は回転軸の直径D2より大きく、即ちD1>D2である。回転軸30の第1の端(
図1及び
図2の回転軸30の左端)と第2の端(
図1及び
図2の回転軸30の右端)は回転軸穴101内から伸び出す。
図1及び
図2に示すように、回転軸30の軸方向はロータ鉄心10の軸方向とほぼ一致し、回転軸穴101を介してロータ鉄心10に嵌設される。
【0040】
制振部材60は第1の端部制振部材61を備え、第1の端部制振部材61はロータ鉄心10の第1の端面(
図1及び
図2のロータ鉄心10の左端面)に設けられロータ鉄心10に接続される。
【0041】
伝動部材50は第1の伝動部材51を備え、第1の伝動部材51は第1の端部制振部材61内に設けられ、第1の伝動部材51は回転軸30と嵌合し、ロータ鉄心10は少なくとも順次に第1の端部制振部材61及び第1の伝動部材51を介して回転軸を駆動する。言い換えると、ロータ鉄心10の回転軸穴101の内周壁と回転軸30との間に隙間があるため、ロータ鉄心10は回転軸30を直接駆動せず、少なくとも第1の端部制振部材61と第1の伝動部材51を介して回転軸30の回転を駆動する。
【0042】
図1~
図4に示すように、第1の端部制振部材61はロータ鉄心10の左端面に接続され、第1の端部制振部材61の外周は略円形であり、第1の端部制振部材61の外径はロータ鉄心10の外径とほぼ一致することができる。第1の伝動部材51は第1の端部制振部材61内に設けられ、回転軸30は少なくとも左右方向に沿ってロータ鉄心10と第1の伝動部材51を貫通し、第1の伝動部材51は回転軸30と直接嵌合し、これにより、ロータ鉄心10は少なくとも順次に第1の端部制振部材61と第1の伝動部材51を介して回転軸30を駆動する。第1の伝動部材51と回転軸30はトルクを伝動できる様々な方法で嵌合することができ、例えば回転軸30と第1の伝動部材51が嵌合する部分は非円形の断面であり、キー嵌合であってもよい。これにより、ロータ鉄心10が回転すると、第1の端部制振部材61の回転と第1の端部制振部材61内に設けられる第1の伝動部材51の回転を連動し、さらに回転軸30の回転を駆動する。
【0043】
本願の実施例によるロータアセンブリは、ロータ鉄心の第1の端面に回転軸と第1の伝動部材を介して嵌合される第1の端部制振部材を設けることによって、回転軸とロータ鉄心のリジッドジョイントを避け、第1の伝動部材は、回転軸の回転効果を向上させ、且つ制振部材の材料量が大きく、騒音低減及び制振効果が良く、熱膨張係数の違いによる問題がなく、ロータアセンブリの信頼性を向上させ、生産中に制振部材を設ければよく、製造プロセスが比較的簡単であり、大量生産の不良率を減少する。
【0044】
いくつかの実施例において、第1の端部制振部材61の材料は粘弾性材料であり、例えばゴム、熱可塑性材料等である。本願は粘弾性材料を使用することによって、共振によって発生するエネルギーを大幅に吸収し、制振効果を達成することができる。
【0045】
図15に示すように、本願はロータ鉄心の端面を完全粘弾性材料として設計することにより、ロータの減衰比を大幅に向上させることができ、通常のロータ(リジッドジョイント)、射出成形品(エンドプレート)と制振リングを追加した端部構造と比べて、本願は完全粘弾性材料を使用した端部構造の減衰比がより大きい。
【0046】
いくつかの実施例において、第1の端部制振部材61の一部は回転軸30と直接嵌合し、ロータ鉄心10は第1の端部制振部材61の一部を介して、そして順次に第1の端部制振部材61及び第1の伝動部材51を介して回転軸30を駆動する。
【0047】
図1、
図2及び
図4に示すように、第1の伝動部材51は第1の端部制振部材61の一部の左側に位置し、回転軸30の左端は順次にロータ鉄心10、第1の端部制振部材61の一部及び第1の伝動部材51を貫通して伸び出し、第1の伝動部材51と第1の端部制振部材61の一部はいずれも回転軸30と直接嵌合し、これにより、ロータ鉄心10が回転すると、第1の端部制振部材61の回転を連動し、さらに第1の端部制振部材61の一部と第1の伝動部材51を介して回転軸30の回転を駆動する。
【0048】
いくつかの実施例において、
図5に示すように、回転軸の軸方向における第1の端部制振部材61の一部の厚さはLであり、L≧0.5ミリメートルとする。これにより、制振部材の材料量を増やすと同時に、制振部材とロータ鉄心の接続の信頼性を改善する。
【0049】
いくつかの実施例において、第1の伝動部材51は第1のベース513と第1のボス514を備え、第1のボス514は第1のベース513からロータ鉄心10の第1の端面に突出し、回転軸30は第1のベース513と第1のボス514を貫通する。
【0050】
図1、14及び12に示すように、第1のボス514はロータ鉄心10の左端面に向かって、第1のベース513は第1の端部制振部材61の第1の中心穴617と嵌合し、第1のボス514が第1の端部制振部材61の内部に位置して嵌合する。第1のベース513と第1のボス514にいずれも第1のスルーホールが設けられ、回転軸30は対応する第1のスルーホールを介して第1のベース513と第1のボス514を貫通する。永久磁石の長さがロータ鉄心の端面から伸び出すと、突起はロータ鉄心の軸方向に沿って永久磁石の周方向に布置して形成されたセンターリングに嵌め込むことができ、伝動部材のトルク伝達能力と制振部材の疲労信頼性を向上させることができ、ロータアセンブリの軸方向の長さを短縮することができ、モータの小型化設計に役に立つ。
【0051】
ロータ鉄心10の軸方向における第1のボス514とロータ鉄心10の第1の端面との最小距離はL1であり、且つL1>0.5ミリメートルとする。これにより、制振部材の材料量を増やすと同時に、制振部材とロータ鉄心の接続の信頼性を改善する。また、ロータの制振性能を高めることに役に立つだけでなく、振動吸収材の射出成形及び充填時の流動性にも役に立ち、射出成形プロセスの製造性を改善する。
【0052】
いくつかの実施例において、
図12に示すように、ロータ鉄心10の径方向における第1のボス514と永久磁石20との最小隙間はL2であり、且つL2>0.5ミリメートルとする。これにより、制振部材の材料量を増やすと同時に、制振部材とロータ鉄心の接続の信頼性を改善する。また、ロータの制振性能を高めることに役に立つだけでなく、振動吸収材の射出成形及び充填時の流動性にも役に立ち、射出成形プロセスの製造性を改善する。
【0053】
いくつかの実施例において、
図11に示すように、ロータ鉄心10の軸方向における第1のベース513と永久磁石20との最小隙間はL3であり、且つL3>0.5ミリメートルとする。これにより、制振部材の材料量を増やすと同時に、制振部材とロータ鉄心の接続の信頼性を改善する。また、ロータの制振性能を高めることに役に立つだけでなく、振動吸収材の射出成形及び充填時の流動性にも役に立ち、射出成形プロセスの製造性を改善する。
【0054】
理解できることとして、本願の第1の伝動部材51は
図13に示すようなものに制限されず、例えば他のいくつかの実施例において、
図8に示すように、第1の伝動部材51にボスがない。
【0055】
いくつかの実施例において、制振部材60は第2の端部制振部材62を更に備え、第2の端部制振部材62はロータ鉄心10の第2の端面(
図1-
図3のロータ鉄心10の右端面)に設けられロータ鉄心10に接続される。
図1及び
図3に示すように、第2の端部制振部材62は回転軸30と直接嵌合し、ロータ鉄心10は第2の端部制振部材62を介して、そして順次に第1の端部制振部材61及び伝動部材51を介して回転軸を駆動する。
【0056】
いくつかの実施例において、第1の端部制振部材61と第2の端部制振部材62の材料はいずれも粘弾性材料である、例えばゴム、熱可塑性材料等である。本願は粘弾性材料を使用することによって、共振によって発生するエネルギーを大幅に吸収し、制振効果を達成することができる。
【0057】
本願はロータ鉄心の端面を完全粘弾性材料として設計することにより、ロータの減衰比を大幅に向上させることができ、通常のロータ(リジッドジョイント)、射出成形品(エンドプレート)と制振リングを追加した端部構造と比べて、本願は完全粘弾性材料を使用した端部構造の減衰比がより大きい。
【0058】
いくつかの具体的な実施例において、粘弾性材料の損失係数は0.15以上であり、これによりモータのロータの運転時に電磁力波が効果的に吸収及び減衰されることができる。
【0059】
さらに、粘弾性材料のショア硬度は20度-80度であるため、モータの製造可能性が向上する。例えばショア硬度は30度、40度、50度である。
【0060】
いくつかの実施例において、制振部材60は第2の端部制振部材62を更に備え、第2の端部制振部材62はロータ鉄心10の第2の端面(
図1及び
図2のロータ鉄心10の右端面)に設けられロータ鉄心10に接続される。
【0061】
伝動部材50は第2の伝動部材52をさらに備え、第2の伝動部材52は第2の端部制振部材62内に設けられ、回転軸30と嵌合し、ロータ鉄心10はさらに順次に第2の端部制振部材62及び第2の伝動部材52を介して回転軸30を駆動する。
【0062】
図1及び
図4に示すように、第2の端部制振部材62はロータ鉄心10の右端面に接続され、第2の端部制振部材62及び第1の端部制振部材61の大まかな輪郭とサイズは一致することができる。第2の伝動部材52は第2の端部制振部材61内に設けられ、回転軸30は少なくとも左右方向に沿ってロータ鉄心10と第2の伝動部材52を貫通し、第2の伝動部材52が回転軸30と直接嵌合し、これによりロータ鉄心10は順次に第2の端部制振部材62と第2の伝動部材52を介して回転軸30を駆動することもできる。第2の伝動部材52と回転軸30はトルクを伝動できる様々な方法で嵌合することができ、例えば回転軸30と第1の伝動部材51が嵌合する部分は非円形の断面であり、キー嵌合であってもよい。これにより、ロータ鉄心10が回転すると、第2の端部制振部材62の回転と第2の端部制振部材62内に設けられる第2の伝動部材52の回転を連動し、さらに回転軸30の回転を駆動する。
【0063】
いくつかの実施例において、第2の端部制振部材61の材料は粘弾性材料であり、これによりロータ鉄心の2つの端面にいずれも粘弾性材料を設置し、共振によって発生するエネルギーを大幅に吸収し、制振効果を達成することができる。
【0064】
いくつかの実施例において、
図2に示すように、第1の端部制振部材61の一部は回転軸30と直接嵌合するとともに、第2の端部制振部材62の一部は回転軸30と直接嵌合する。
【0065】
図2に示すように、回転軸30は左から右に順次に第1の伝動部材51、第1の端部制振部材61の一部、ロータ鉄心10、第2の端部制振部材62の一部及び第2の伝動部材52を貫通し、且つ第1の伝動部材51、第1の端部制振部材61の一部、ロータ鉄心10、第2の端部制振部材62の一部及び第2の伝動部材52はいずれも回転軸30と直接嵌合し、これにより、ロータ鉄心10が回転すると、第1の端部制振部材61と第2の端部制振部材62の回転を連動し、さらに、第1の端部制振部材61の一部、第1の伝動部材51、第2の端部制振部材62の一部及び第2の伝動部材52を介して回転軸30の回転を駆動する。
【0066】
ロータ鉄心の両端部に両方とも対応する制振部材を設けることによって、制振部材の材料量をさらに増やすと同時に、ロータ鉄心の両端を均等に制振することができ、ロータアセンブリ全体の制振の安定性を向上させ、騒音低減能力及び制振効果を向上させ、また、制振部材伝動の信頼性を向上させる。
【0067】
いくつかの実施例において、第2の伝動部材52は第2のベース523と第2のボス524を備え、第2のボス524は第2のベース523からロータ鉄心10の第2の端面に向かって突出し、回転軸30は第2のベース523と第2のボス524を貫通する。
【0068】
図1、14及び12に示すように、第2のボス524はロータ鉄心10の右端面に向かって、第2のベース523は第2の端部制振部材62の第2の中心穴627と嵌合し、第2のボス524は第2の端部制振部材62の内部に位置して嵌合する。第2のベース523と第2のボス524にいずれも第1のスルーホールが設けられ、回転軸30は対応する第1のスルーホールを介して第2のベース523と第2のボス524を貫通する。
【0069】
いくつかの実施例において、ロータ鉄心10の軸方向における第2のボス524とロータ鉄心10の右端面との最小距離はL1であり、且つL1>0.5ミリメートルとし、ロータ鉄心10の径方向における第2のボス524と永久磁石20との最小隙間はL2であり、且つL2>0.5ミリメートルとする。これにより、制振部材の材料量を増やすと同時に、制振部材とロータ鉄心の接続の信頼性を改善する。
【0070】
いくつかの実施例において、ロータ鉄心10の軸方向における第2のベース523と永久磁石20の最小隙間はL3であり、且つL3>0.5ミリメートルとする。これにより、制振部材の材料量を増やすと同時に、制振部材とロータ鉄心の接続の信頼性を改善する。
【0071】
理解できることとして、本願の第2の伝動部材52は
図13に示すようなものに制限されず、例えば他のいくつかの実施例において、
図8に示すように、第2の伝動部材52にボスがない。
【0072】
いくつかの実施例において、第1の端部制振部材61と第2の端部制振部材62の中のそれぞれにロータ鉄心10の一部を露出させるための開口612が設けられる。
【0073】
図1に示すように、第1の端部制振部材61と第2の端部制振部材62はいずれもプレート部610とボス部611を備え、プレート部610の外周面に開口612が設けられ、開口612が複数であってもよく、複数の開口612はプレート部610の周方向に沿って間隔をあけて布置され、その結果、ロータ鉄心の左端部の部分を露出させ、これにより、全体の磁化中にロータアセンブリ構造の剛性強度が不十分であるという問題を解決し、全体の磁化中にロータアセンブリが大幅に変形したり緩んだりしないようにして、これにより、ロータアセンブリの全体の磁化を達成でき、磁化効率を向上させる。
【0074】
第1の端部制振部材61に複数の開口612が設けられ、第2の端部制振部材62に複数の開口612が設けられ、且つ第1の端部制振部材61及び第2の端部制振部材62に設けられる開口612がロータ鉄心10の端面に形成された投影は重なり合い、開口612を介して取り付けられた位置決め部材はロータ鉄心10を押し上げることができ、その結果、ロータ鉄心10を第1の端部制振部材61と第2の端部制振部材62の間に固定させる。
【0075】
第1の端部制振部材61及び第2の端部制振部材62に設けられる開口612がロータ鉄心10の端面に形成された投影は重なり合うため、ロータ鉄心10の第1の端面と第2の端面の受力点は同じであり、受力がより均一である。
【0076】
開口612の位置は端部制振部材の外周面に制限されず、例えば他のいくつかの実施例において、ロータ鉄心10の一部を露出できる限り、開口612は第1の端部制振部材61と第2の端部制振部材62のプレート部610またはボス部611に設けられてもよく、位置決め部材がロータ鉄心10を容易に押し上げればよい。いくつかの実施例において、
図1及び
図7に示すように、制振部材60は外部接続制振部材63を更に備え、ロータ鉄心10は隣接する磁石スロット102の間に位置する軸方向貫通穴103を有し、外部接続制振部材63は軸方向貫通穴103内に設けられ、外部接続制振部材63の第1の端(
図1の外部接続制振部材63の左端)は第1の端部制振部材61に接続され、外部接続制振部材63の第2の端(
図1の外部接続制振部材63の右端)は第2の端部制振部材62に接続される。
【0077】
図1及び
図7に示すように、外部接続制振部材63は複数であり、複数の外部接続制振部材63はロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置され、これにより制振部材の材料量をさらに増やし、騒音低減能力及び制振効果を向上させ、第1の端部制振部材及び第2の端部制振部材とロータ鉄心との接続の信頼性を向上させる。
【0078】
いくつかの実施例において、
図4に示すように、制振部材60は内部接続制振部材65を更に備え、内部接続制振部材65は回転軸30とロータ鉄心10との間の隙間内に設けられ、内部接続制振部材65の第1の端(
図4の内部接続制振部材65の左端)は第1の端部制振部材61に接続され、内部接続制振部材65の第2の端(
図4の内部接続制振部材65の右端)は第2の端部制振部材62に接続される。
【0079】
図4に示すように、内部接続制振部材65は第1の端部制振部材61と第2の端部制振部材62との間に接続され、複数の外部接続制振部材63は内部接続制振部材65の外側に取り囲まれる。内部接続制振部材65は回転軸30を取り囲んで回転軸30と直接嵌合する。これにより制振部材の材料量をさらに増やし、騒音低減能力及び制振効果を向上させ、また、内部接続制振部材は回転軸と直接嵌合し、制振部材伝動の信頼性をさらに向上させる。
【0080】
いくつかの実施例において、
図1に示すように、制振部材60は中間接続制振部材64を更に備え、永久磁石20の内表面と磁石スロット102の内底面との間に空隙105を有し、中間接続制振部材64は空隙105内に設けられ、中間接続制振部材64の第1の端(
図1の中間接続制振部材64の左端)は第1の端部制振部材61に接続され、中間接続制振部材64の第2の端(
図1の中間接続制振部材64の右端)は第2の端部制振部材62に接続される。
【0081】
図1に示すように、中間接続制振部材64は複数であり、複数の中間接続制振部材64はロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置され、且つ外部接続制振部材63と内部接続制振部材65との間に設けられる。これにより、制振部材の材料量を増やすと同時に、制振部材とロータ鉄心の接続の信頼性を改善する。
【0082】
いくつかの実施例において、ロータ鉄心10は、複数のロータパンチングシートを該ロータ鉄心10の軸方向に積み重ねることによって形成され、ロータパンチングシート10は完全接続ブリッジパンチングシート110と半接続ブリッジパンチングシート120を備え、ロータ鉄心10は第1の端部、第2の端部及び第1の端部と第2の端部の間に位置する中間部を有し、第1の端部と第2の端部は複数の完全接続ブリッジパンチングシート110を積み重ねることによって形成され、中間部は複数の半接続ブリッジパンチングシート120を積み重ねることによって形成される。
【0083】
図7、10及び11に示すように、ロータパンチングシートはパンチングシート本体部111、外磁気ブリッジ112、内部磁気ブリッジ113及び磁極114を備え、複数の磁極114はロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置され、少なくとも一部の磁極114は内部磁気ブリッジ113を介してパンチングシート本体部111に接続される。ロータ鉄心10を形成する複数のロータパンチングシートの中には、完全接続ブリッジパンチングシート110と半接続ブリッジパンチングシート120の両方が存在し、完全接続ブリッジパンチングシート110はロータ鉄心10の両端部に位置し、半接続ブリッジパンチングシート120はロータ鉄心10の中間に位置する。
【0084】
図10に示すように、半接続ブリッジパンチングシート120の複数の磁極114のうち、一部の磁極114は内部磁気ブリッジ113を介してパンチングシート本体部111に接続され、他の部分の磁極114はパンチングシート本体部111からロータ鉄心10の径方向に離間され、そのうちの一部の磁極114と他の部分の磁極114はロータ鉄心10の周方向に交互に布置される。半接続ブリッジパンチングシート120の外磁気ブリッジ112は隣接する磁極114の間で切断される。
【0085】
図11に示すように、完全接続ブリッジパンチングシート110の複数の磁極114のうち、各磁極114は1つの内部磁気ブリッジ113を介してパンチングシート本体部111に接続され、半接続ブリッジパンチングシート110の外磁気ブリッジ112が密封される。
【0086】
該実施例において、完全接続ブリッジパンチングシートをロータ鉄心の端部に設けることによって、射出成形プロセスの金型の密封に役に立ち、射出成形液体の漏れによる成形後の製品のバリや反りの発生を防止し、ロータ鉄心の剛性及び強度を改善することもできる。
【0087】
いくつかの実施例において、半接続ブリッジパンチングシート120の複数の内部磁気ブリッジ113の中の一部にロータ鉄心10の周方向に沿って該内部磁気ブリッジ113を貫通する磁気ブリッジ穴104が設けられ、ロータ鉄心10の軸方向に隣接する半接続ブリッジパンチングシート120の内部磁気ブリッジ113のうち、一方の半接続ブリッジパンチングシート120の内部磁気ブリッジ113に磁気ブリッジ穴104が設けられ、他方の半接続ブリッジパンチングシート120の内部磁気ブリッジ113には磁気ブリッジ穴104が設けられず、磁気ブリッジ穴104内に周方向接続制振部材66が設けられ、隣接する中間接続制振部材64は周方向接続制振部材66を介して互いに接続される。
【0088】
図7に示すように、一方の半接続ブリッジパンチングシート120の内部磁気ブリッジ113に磁気ブリッジ穴104が設けられ、他方の半接続ブリッジパンチングシート120の内部磁気ブリッジ113には磁気ブリッジ穴104が設けられず、磁気ブリッジ穴104が設けられる半接続ブリッジパンチングシート120と磁気ブリッジ穴104が設けられない半接続ブリッジパンチングシート120は交互に布置される。周方向接続制振部材66はロータ鉄心10の軸方向に間隔をあけて布置するように複数列布置され、各列は、ロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置された複数の周方向接続制振部材66を含み、各列の複数の周方向接続制振部材66は隣接する中間接続制振部材64を接続する。
【0089】
いくつかの実施例において、中間部における隣接する半接続ブリッジパンチングシート110のうち、一方の半接続ブリッジパンチングシート110は他方の半接続ブリッジパンチングシート110に対してロータ鉄心10の周方向に沿って1つの磁極114分回転している。これにより、ロータ鉄心の内部磁気ブリッジが軸方向に交互の接続と切断の構造を形成し、モータの電磁性能を向上させ、エネルギー消費を削減することができる。
【0090】
いくつかの実施例において、内部接続制振部材65、外部接続制振部材63、中間接続制振部材64及び周方向接続制振部材66のうちの少なくとも1つの材料は粘弾性材料であり、例えばゴム、熱可塑性材料等である。本願は粘弾性材料を使用することによって、共振によって発生するエネルギーを大幅に吸収し、制振効果を達成することができる。
【0091】
具体的に、第1の端部制振部材61、第2の端部制振部材62、内部接続制振部材65、外部接続制振部材63、中間接続制振部材64及び周方向接続制振部材66の材料はいずれも粘弾性材料である。本願はロータ鉄心の内部、端部及びロータ鉄心の磁気ブリッジ穴内に粘弾性材料を充填することによって、ロータ鉄心の減衰特性を向上させ、騒音低減と制振性能をさらに改善することができる。
【0092】
また、ロータ鉄心の端面の両側にある粘弾性材料(第1の端部制振部材61と第2の端部制振部材62)が接続され、実際の製造過程中に、金型の一体成形を利用して両側の端部に減衰材料を充填することができ、モータの製造可能性を向上させる。
【0093】
いくつかの具体的な実施例において、第1の端部制振部材61、第2の端部制振部材62、内部接続制振部材65、外部接続制振部材63、中間接続制振部材64及び周方向接続制振部材66は一体射出成形することによって形成される。これにより、制振部材とロータ鉄心の接続は緊密で信頼でき、脱離しにくく、安定性を向上させる。
【0094】
いくつかの実施例において、粘弾性材料の損失係数は0.15以上であり、これによりモータのロータの運転時に電磁力波が効果的に吸収及び減衰されることができる。
【0095】
さらに、粘弾性材料のショア硬度は20度-80度であるため、モータの製造可能性を向上させる。例えばショア硬度は30度、40度、50度である。
【0096】
いくつかの実施例において、ロータ鉄心10の軸方向における永久磁石20の長さは磁石スロット102の軸方向長さより大きく、永久磁石20の第1の端は磁石スロット102内から伸び出して第1の端部制振部材61内に嵌合され、永久磁石20の第2の端は磁石スロット102内から伸び出して第2の端部制振部材62内に嵌合される。本実施例のロータアセンブリは、モータの電磁性能を向上させ、エネルギー消費を削減するだけでなく、ロータアセンブリの制振部材がより大きいトルクに耐えることができる。
【0097】
いくつかの実施例において、
図1、3、6、8に示すように、第1の伝動部材51の外周壁に第1の伝動径方向突起510と第1の伝動径方向開口溝511が設けられ、第1の伝動径方向開口溝511は隣接する第1の伝動径方向突起510の間に位置する。第1の端部制振部材61は第1の中心穴617を有し、第1の中心穴617の周壁に第1の制振径方向突起616と第1の径方向制振内向き開口溝615が設けられ、第1の径方向制振内向き開口溝615は隣接する第1の制振径方向突起616の間に位置する。第1の伝動径方向突起510は第1の径方向制振内向き開口溝615内に嵌合され、第1の制振径方向突起616は第1の伝動径方向開口溝511内に嵌合される。
【0098】
図1、3、6、8、9に示すように、第1の伝動部材51の外周壁に複数の第1の伝動径方向突起510と複数の第1の伝動径方向開口溝511が設けられ、第1の伝動径方向開口溝511のテーパー角度をα≧5°とし、且つ径方向外向きに先細りになる。複数の第1の伝動径方向突起510はロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置され、各隣接する2つの第1の伝動径方向突起510の間に1つの第1の伝動径方向開口溝511が形成される。
【0099】
第1の端部制振部材61の第1の中心穴617の周壁に複数の第1の制振径方向突起616と複数の第1の径方向制振内向き開口溝615が設けられ、複数の第1の制振径方向突起616はロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置され、各隣接する2つの第1の制振径方向突起616の間に1つの第1の径方向制振内向き開口溝615を形成する。
【0100】
第1の伝動部材51は第1の端部制振部材61内に設けられ、且つ第1の伝動径方向突起510は第1の径方向制振内向き開口溝615内に嵌合され、第1の制振径方向突起616は第1の伝動径方向開口溝511内に嵌合される。
【0101】
さらに、第2の伝動部材52の外周壁に第2の伝動径方向突起520と第2の伝動径方向開口溝521が設けられ、第2の伝動径方向開口溝521は隣接する第2の伝動径方向突起520の間に位置する。第2の端部制振部材62は第2の中心穴(図示せず)を有し、第2の中心穴の周壁に第2の制振径方向突起(図示せず)と第2の径方向制振開口溝(図示せず)が設けられ、第2の径方向制振開口溝は隣接する第2の制振径方向突起の間に位置する。第2の伝動径方向突起520は第2の制振径方向開口溝内に嵌合され、第2の制振径方向突起は第2の伝動径方向開口溝521内に嵌合される。具体的に、第2の伝動部材52と第2の端部制振部材62の嵌合方法について、第1の伝動部材51と第1の端部制振部材61の嵌合方法を参照することができる。
【0102】
いくつかの実施例において、ロータ鉄心10の軸方向における永久磁石20の長さは磁石スロット102の軸方向長さより大きく、永久磁石20の第1の端は磁石スロット102内から伸び出して第1の端部制振部材61内に嵌合され、永久磁石20の第2の端は磁石スロット102内から伸び出して第2の端部制振部材62内に嵌合される。本実施例のロータアセンブリは、モータの電磁性能を向上させ、エネルギー消費を削減するだけでなく、ロータアセンブリの制振部材がより大きいトルクに耐えることができる。
【0103】
以下、
図1-11を参照して本願によるいくつかの具体的な例示的なロータアセンブリを説明する。
【0104】
図1-5に示すように、本願の実施例によるロータアセンブリ100はロータ鉄心10、複数の永久磁石20、回転軸30、伝動部材50及び制振部材60を備える。
【0105】
ロータ鉄心10は回転軸穴101、複数の磁石スロット102、複数の軸方向貫通穴103及び複数の磁気ブリッジ穴104を有する。回転軸穴101はロータ鉄心10のほぼ中心位置に設けられロータ鉄心10の軸方向に沿ってロータ鉄心10を貫通する。複数の磁石スロット102はロータ鉄心10の周方向に沿って回転軸穴101を取り囲んで均一に間隔をあけて布置される。任意の隣接する磁石スロット102の間に1つの軸方向貫通穴103が設けられる。
【0106】
ロータ鉄心10は複数のロータパンチングシートを該ロータ鉄心10の軸方向に沿って積み重ねることによって形成され、複数のロータパンチングシートのうちの左端部分と右端部分に位置するものは完全接続ブリッジパンチングシート110であり、中間部分に位置するものは半接続ブリッジパンチングシート120である。
【0107】
ロータパンチングシートはパンチングシート本体部111、外磁気ブリッジ112、内部磁気ブリッジ113及び磁極114を備える。完全接続ブリッジパンチングシート120の複数の磁極114のうち、各磁極114は1つの内部磁気ブリッジ113を介してパンチングシート本体部111に接続され、パンチングシート本体部111の外周に間隔をあけて布置された複数の突起115が設けられ、隣接する内部磁気ブリッジ113の間に1つの突起115が設けられ、半接続ブリッジパンチングシート110の外磁気ブリッジ112が密封される。
【0108】
半接続ブリッジパンチングシート120の外磁気ブリッジ112は隣接する磁極114の間で切断される。半接続ブリッジパンチングシート120の複数の磁極114のうち、一部の磁極114は内部磁気ブリッジ113を介してパンチングシート本体部111に接続され、他の部分の磁極114はパンチングシート本体部111からロータ鉄心10の径方向に離間され、そのうちの一部の磁極114と他の部分の磁極114はロータ鉄心10の周方向に沿って交互に布置される。中間部分の隣接する半接続ブリッジパンチングシート110のうち、一方の半接続ブリッジパンチングシート110は他方の半接続ブリッジパンチングシート110に対してロータ鉄心10の周方向に沿って1つの磁極114分回転している。これによりロータ鉄心の内部磁気ブリッジが軸方向に交互の接続と切断の構造を形成し、モータの電磁性能を向上させ、エネルギー消費を削減することができる。
【0109】
半接続ブリッジパンチングシート120の複数の内部磁気ブリッジ113のうちの一部にロータ鉄心10の周方向に沿って該内部磁気ブリッジ113を貫通する磁気ブリッジ穴104が設けられ、ロータ鉄心10の軸方向に隣接する半接続ブリッジパンチングシート120の内部磁気ブリッジ113のうち、一方の半接続ブリッジパンチングシート120の内部磁気ブリッジ113に磁気ブリッジ穴104が設けられ、他方の半接続ブリッジパンチングシート120の内部磁気ブリッジ113に磁気ブリッジ穴104が設けられない。
【0110】
複数の永久磁石20はそれぞれ対応的に複数の磁石スロット102内に設けられ、その結果、複数の永久磁石20がロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置される。各永久磁石20の内表面と対応する磁石スロット102の内底面との間に空隙105を有する。
【0111】
回転軸30の軸方向はロータ鉄心10の軸方向とほぼ一致し、回転軸穴101を介してロータ鉄心10に嵌設され、回転軸30とロータ鉄心10との間に隙間がある。
【0112】
制振部材60は第1の端部制振部材61、第2の端部制振部材62、外部接続制振部材63、中間接続制振部材64、内部接続制振部材65及び周方向接続制振部材66を備える。制振部材6は粘弾性材料を一体射出成形することによって形成され、且つ粘弾性材料の損失係数は0.15以上であり、粘弾性材料のショア硬度は20度-80度である。
【0113】
第1の端部制振部材61はロータ鉄心10の左端面に接続され、第2の端部制振部材62はロータ鉄心10の右端面に接続され、回転軸30は左から右に順次に第1の端部制振部材61、ロータ鉄心10及び第2の端部制振部材62を貫通し、第1の端部制振部材61の内周は回転軸30の外周に直接嵌合し、且つ第2の端部制振部材62の内周は回転軸30の外周に直接嵌め合う。
【0114】
第1の端部制振部材61と第2の端部制振部材62は両方ともプレート部610とボス部611を備える。プレート部610の外周面に開口612が設けられ、且つ開口612が複数であり、複数の開口612はプレート部610の周方向に沿って間隔をあけて布置される。第1の端部制振部材61のボス部611は第1の端部制振部材61の左端面から左に突出し、第2の端部制振部材62のボス部621は第2の端部制振部材62の右端面から右に突出する。
【0115】
第1の端部制振部材61の第1の中心穴617の周壁に複数の第1の制振径方向突起616と複数の第1の径方向制振内向き開口溝615が設けられ、複数の第1の制振径方向突起616はロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置され、各隣接する2つの第1の制振径方向突起616の間に1つの第1の径方向制振内向き開口溝615が形成される。
【0116】
第2の端部制振部材62は第2の中心穴を有し、第2の中心穴の周壁に複数の第2の制振径方向突起と複数の第2の径方向制振開口溝が設けられ、複数の第2の制振径方向突起はロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置され、各隣接する2つの第2の制振径方向突起の間に1つの第2の径方向制振開口溝が形成される。
【0117】
内部接続制振部材65は回転軸30とロータ鉄心10の間の隙間内に設けられ、且つ内部接続制振部材65の左端は第1の端部制振部材61に接続され、内部接続制振部材65の右端は第2の端部制振部材62に接続される。
【0118】
外部接続制振部材63は軸方向貫通穴103内に設けられ、且つ外部接続制振部材63の左端は第1の端部制振部材61に接続され、外部接続制振部材63の右端は第2の端部制振部材62に接続される。これにより外部接続制振部材63は複数であり、複数の外部接続制振部材63がロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置され、内部接続制振部材65の外側に取り囲まれる。
【0119】
中間接続制振部材64は空隙105内に設けられ、中間接続制振部材64の左端は第1の端部制振部材61に接続され、中間接続制振部材64の右端は第2の端部制振部材62に接続される。これにより中間接続制振部材64は複数であり、複数の中間接続制振部材64がロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置され、且つ外部接続制振部材63と内部接続制振部材65の間に設けられる。
【0120】
周方向接続制振部材66はロータ鉄心10の軸方向に沿って間隔をあけて布置するように複数列布置され、各列はロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置された複数の周方向接続制振部材66を含み、各列の複数の周方向接続制振部材66は隣接する中間接続制振部材64を接続する。
【0121】
第1の端部制振部材61、第2の端部制振部材62、中間接続制振部材64、外部接続制振部材63、内部接続制振部材65及び周方向接続制振部材66は一体射出成形することによって形成され、且つ材料はゴムまたは熱可塑性エラストマーである。これにより、制振部材は低い硬度と剛性を有し、制振効果が良好であり、且つロータ鉄心との接続は緊密で信頼でき、脱離しにくく、安定性を向上させる。
【0122】
伝動部材50は第1の伝動部材51と第2の伝動部材52を備える。第1の伝動部材51の外周壁に複数の第1の伝動径方向突起510と複数の第1の伝動径方向開口溝511が設けられ、複数の第1の伝動径方向突起510はロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置され、各隣接する2つの第1の伝動径方向突起510の間に1つの第1の伝動径方向開口溝511が形成される。第1の伝動部材51は第1の端部制振部材61内に設けられ、且つ第1の伝動径方向突起510は第1の径方向制振内向き開口溝615内に嵌合され、第1の制振径方向突起616は第1の伝動径方向開口溝511内に嵌合される。
【0123】
第1のボス514はロータ鉄心10の左端面に向かって、第1のベース513は第1の端部制振部材61の第1の中心穴617と嵌合し、第1のボス514は第1の端部制振部材61内部に位置して嵌め合う。第1のベース513と第1のボス514にいずれも第1のスルーホールが設けられ、回転軸30は対応する第1のスルーホールを介して第1のベース513と第1のボス514を貫通する。ロータ鉄心10の軸方向における第1のボス514とロータ鉄心10の第1の端面との最小距離はL1であり、且つL1>0.5ミリメートルとする。ロータ鉄心10の径方向における第1のボス514と永久磁石20との最小隙間はL2であり、且つL2>0.5ミリメートルとし、ロータ鉄心10の軸方向における第1のベース513と永久磁石20との最小隙間はL3であり、且つL3>0.5ミリメートルとする。
【0124】
第2の伝動部材52の外周壁に複数の第2の伝動径方向突起520と複数の第2の伝動径方向開口溝521が設けられ、複数の第2の伝動径方向突起520はロータ鉄心10の周方向に沿って間隔をあけて布置され、各隣接する2つの第2の伝動径方向突起520の間に1つの第2の伝動径方向開口溝521が形成される。第2の伝動部材52は第2の端部制振部材62内に設けられ、且つ第2の伝動径方向突起520は第2の制振径方向開口溝内に嵌合され、第2の制振径方向突起は第2の伝動径方向開口溝521内に嵌合される。
【0125】
第2のボス524はロータ鉄心10の右端面に向かって、第2のベース523は右端部制振部材62の第2の中心穴627と嵌合し、第2のボス524は第2の端部制振部材62の内部のボスインターフェース(図示せず)に接合し、第2の伝動部材52は第2の端部制振部材62内に取り付けられる。ロータ鉄心10の軸方向における第2のボス524とロータ鉄心10の右端面の最小距離はL1であり、且つL1>0.5ミリメートルとし、ロータ鉄心10の径方向における第2のボス524と永久磁石20との最小隙間はL2であり、且つL2>0.5ミリメートルとし、ロータ鉄心10の軸方向における第2のベース523と永久磁石20との最小隙間はL3であり、且つL3>0.5ミリメートルとする。
【0126】
回転軸30は左から右に順次に第1の伝動部材51、第1の端部制振部材61の一部、ロータ鉄心10、第2の端部制振部材62の一部及び第2の伝動部材52を貫通し、且つ第1の伝動部材51、第1の端部制振部材61の一部、ロータ鉄心10、第2の端部制振部材62の一部及び第2の伝動部材52はいずれも回転軸30と直接嵌合し、これにより、ロータ鉄心10が回転すると、第1の端部制振部材61と第2の端部制振部材62の回転を連動し、さらに、第1の端部制振部材61の一部、第1の伝動部材51、第2の端部制振部材62の一部及び第2の伝動部材52を介して回転軸30の回転を駆動する。
【0127】
本願の実施例によるロータアセンブリの具体的なプロセス過程は、
それぞれロータ鉄心、永久磁石、回転軸及び伝動部材を製造することと、
回転軸穴を介してロータ鉄心を回転軸に嵌め込むことと、
組み立てられたロータ鉄心、回転軸及び伝動部材を一緒に金型に入れて位置決めし、複数の永久磁石をそれぞれロータ鉄心の複数の磁石スロット内に対応的に挿入することと、
射出成形プロセス用ゴムまたは粘弾性材料を使用してロータ鉄心、永久磁石、回転軸及び伝動部材を一体プラスチック封入構造に成形することであって、ゴムまたは粘弾性材料を成形した後の構造は制振部材であることと、を含む。
【0128】
本願の実施例によるモータは上記のいずれかの実施例のロータアセンブリ100を備える。
【0129】
本願の実施例によるモータは、ロータアセンブリの構造を改善することによって、ロータ鉄心の少なくとも端部に制振部材と伝動部材を設けることができるとともに、制振部材の少なくとも部分が回転軸と直接嵌合し、制振部材の他の部分が伝動部材を介して回転軸に嵌め合うことができ、回転軸とロータ鉄心とのリジッドジョイントを避けると同時に、制振部材の材料量を増やし、モータ全体の騒音低減と制振効果を向上させる。
【0130】
本願の説明では、理解する必要があることとして、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚み」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「逆時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等という用語で指示する方位または位置関係は図面に示される方位または位置関係であり、本願を容易に説明し、説明を簡素化するためだけのものであり、言われる装置または素子は特定の方位を有し、特定の方位で構造と操作される必要があることを指示したり暗示したりするのではなく、したがって、本願を限制するものとして理解されるべきではない。
【0131】
なお、「第1」、「第2」という用語は、説明目的でのみ使用され、相対的な重要性を示したり暗示したり、示された技術的機能の数を暗黙的に示したりするものとして理解することはできない。それにより、「第1」、「第2」で定義された特徴には、少なくとも1つのこの特徴が明示的または暗黙的に含まれる場合がある。本願の説明では、「複数」は、特に明示的かつ具体的に制限がない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つであるなどを意味する。
【0132】
本願において、特に明確に指定及び制限されていない限り、「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「固定」等の用語は広い意味で理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体接続であってもよいし、機械的接続、電気的接続または相互通信であってもよいし、直接接続、または中間媒体を介した間接接続であってもよいし、2つの素子内部の連通または2つの素子相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な場合によって本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0133】
本願では、特に明確に指定および制限されていない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」または「下」に位置するのは、第1及び第2の特徴の直接接触であってもよいし、第1及び第2の特徴の中間媒体による間接接触であってもよい。また、第1の特徴が第2の特徴「の上」、「上方」及び「上面」に位置するのは、第1の特徴が第2の特徴の真上または斜め上に位置することであってもよく、または第1の特徴の水平高さが第2の特徴より高いことのみを示す。第1の特徴が第2の特徴「の下」、「下方」及び「下面」に位置するのは、第1の特徴が第2の特徴の真下または斜め下に位置することであってもよく、または第1の特徴の水平高さが第2の特徴より小さいことのみを示す。
【0134】
本願では、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」という参照用語などの説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明した具体的な特徴、構造、材料又は特点が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれる。本明細書において、上記の用語の例示的な叙述は必ずしも同じ実施例又は例を指す必要がない。さらに、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特点は任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で結合することができる。なお、矛盾がない場合、当業者は、本明細書に記載されている異なる実施例又は例及び異なる実施例又は例の特徴を結合及び組み合わせることができる。
【0135】
本願の実施例を以上で示し、説明したが、理解できるものとして、上記実施例は例示的なものであり、本願を限定するものとして理解されるべきではなく、当業者は、本願の範囲内で上記実施例に対して変化、修正、置換及び変形を行うことができる。
【0136】
本願は、出願番号が202010550859.5、出願日が2020年6月16日の中国特許出願、及び出願番号が202010550022.0、出願日が2020年6月16日の中国特許出願の優先権及び権益を主張し、上記の中国特許出願の全ての内容はここで援用により本願に組み込まれる。
【符号の説明】
【0137】
100 ロータアセンブリ、10 ロータ鉄心、101 回転軸穴、102 磁石スロット、103 軸方向貫通穴、104 磁気ブリッジ穴、105 空隙、110 完全接続ブリッジパンチングシート、120 半接続ブリッジパンチングシート、111 パンチングシート本体部、112 外磁気ブリッジ、113 内部磁気ブリッジ、114 磁極、115 突起、20 永久磁石、60 制振部材、61 第1の端部制振部材、610 プレート部、611 ボス部、612 開口、615 第1の制振径方内向き開口溝、616 第1の制振径方内向き突起、617 第1の中心穴、62 第2の端部制振部材、63 外部接続制振部材、64 中間接続制振部材、65 内部接続制振部材、66 周方向接続制振部材、51 第1の伝動部材、510 第1の伝動径方向突起、511 第1の伝動径方向開口溝、513 第1のベース、514 第1のボス、52 第2の伝動部材、520 第2の伝動径方向突起、521 第2の伝動径方向開口溝、523 第2のベース、524 第2のボス。