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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-28
(45)【発行日】2023-12-06
(54)【発明の名称】情報処理システム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20231129BHJP
   G06F 3/04883 20220101ALI20231129BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20231129BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/04883
G06F3/03 400Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023000173
(22)【出願日】2023-01-04
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 圭一
(72)【発明者】
【氏名】ウー ゾシン
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/157556(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0081456(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0135164(US,A1)
【文献】特開2019-169166(JP,A)
【文献】特開2018-185823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/03-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能なペンとを備える情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記ペンの移動軌跡を表示可能な表示部と、
前記表示部の画面上における前記ペンの接触位置を検出するタッチセンサ部と、
前記タッチセンサ部が検出した前記ペンの接触位置に基づいて、前記ペンが前記画面上に接触して移動した前記画面上の移動軌跡を、前記表示部に表示させる表示処理部と、
前記移動軌跡を含む前記表示部が表示する画像データを前記ペンに送信する画像送信処理部と、
前記タッチセンサ部が検出した前記ペンの接触位置を、前記ペンに送信する位置送信処理部と
を備え、
前記ペンは、
振動波形信号に基づいて、振動を出力する振動発生器と、
前記画像データの前記移動軌跡を含む描画物と、前記ペンの接触位置とが一致した場合に、前記振動波形信号に特定の波形信号を加算して、前記振動発生器に振動を出力させる振動制御部と
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記画像送信処理部は、グレイスケールに変換した前記画像データを、前記ペンに送信し、
前記振動制御部は、前記画像データにおいて、前記ペンの移動による通過区間の濃淡の階調値が閾値を黒側に超えた場合に、前記振動波形信号に前記特定の波形信号を加算して、前記振動発生器に振動を出力させる
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記画像送信処理部は、定期的に、前記画像データを前記ペンに送信して、前記画像データを更新する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記画像送信処理部は、定期的に、前記ペンの接触位置の周辺を含む部分画像データを前記ペンに送信して、前記画像データを更新する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記ペンは、前記画像データを記憶する画像データ記憶部を備え、
前記画像送信処理部は、前記画像データを前記ペンに送信して、前記画像データ記憶部に記憶させ、
前記振動制御部は、前記画像データ記憶部から取得した前記画像データの前記描画物と、前記ペンの接触位置とが一致した場合に、前記振動波形信号に特定の波形信号を加算して、前記振動発生器に振動を出力させる
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
ペンの移動軌跡を表示可能な表示部と、前記表示部の画面上における前記ペンの接触位置を検出するタッチセンサ部とを有する情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能であり、振動波形信号に基づいて、振動を出力する振動発生器を有するペンとを備える情報処理システムの制御方法であって、
前記情報処理装置が、前記タッチセンサ部が検出した前記ペンの接触位置に基づいて、前記ペンが前記画面上に接触して移動した前記画面上の移動軌跡を、前記表示部に表示させる表示処理ステップと、
前記情報処理装置が、前記移動軌跡を含む前記表示部が表示する画像データを前記ペンに送信する画像送信処理ステップと、
前記情報処理装置が、前記タッチセンサ部が検出した前記ペンの接触位置を、前記ペンに送信する位置送信処理ステップと、
前記ペンが、前記画像データの前記移動軌跡を含む描画物と、前記ペンの接触位置とが一致した場合に、前記振動波形信号に特定の波形信号を加算して、前記振動発生器に振動を出力させる振動制御ステップと
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペン、スマートペン、スタイラス、などとも呼ばれる入力デバイスであるペンと、当該ペンによる手書き入力が可能なタブレット端末などの情報処理装置とを備える情報処理システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような情報処理システムでは、ペンが、例えば、振動などを発生するアクチュエータなどを搭載するものがあり、このようなペンを用いて振動を発生させることで、実際に紙にペンで書き込んでいるような触感を再現しようとする試みが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-537395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現実の紙とペンとでは複雑な振動が発生するが、上述のような従来の情報処理システムでは、触感の再現が不十分であった。例えば、ペンで描画した描画軌跡の上を、ペンがクロスする場合に、ペンの移動が引っかかる感触など変化が発生するが、従来の情報処理システムでは、ペンが描画軌跡をクロスする際のペン入力の感触に違和感を感じる場合があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、ペン入力の違和感を低減することができる情報処理システム、及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能なペンとを備える情報処理システムであって、前記情報処理装置は、前記ペンの移動軌跡を表示可能な表示部と、前記表示部の画面上における前記ペンの接触位置を検出するタッチセンサ部と、前記タッチセンサ部が検出した前記ペンの接触位置に基づいて、前記ペンが前記画面上に接触して移動した前記画面上の移動軌跡を、前記表示部に表示させる表示処理部と、前記移動軌跡を含む前記表示部が表示する画像データを前記ペンに送信する画像送信処理部と、前記タッチセンサ部が検出した前記ペンの接触位置を、前記ペンに送信する位置送信処理部とを備え、前記ペンは、振動波形信号に基づいて、振動を出力する振動発生器と、前記画像データの前記移動軌跡を含む描画物と、前記ペンの接触位置とが一致した場合に、前記振動波形信号に特定の波形信号を加算して、前記振動発生器に振動を出力させる振動制御部とを備える情報処理システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記画像送信処理部は、グレイスケールに変換した前記画像データを、前記ペンに送信し、前記振動制御部は、前記画像データにおいて、前記ペンの移動による通過区間の濃淡の階調値が閾値を黒側に超えた場合に、前記振動波形信号に前記特定の波形信号を加算して、前記振動発生器に振動を出力させてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記画像送信処理部は、定期的に、前記画像データを前記ペンに送信して、前記画像データを更新するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記画像送信処理部は、定期的に、前記ペンの接触位置の周辺を含む部分画像データを前記ペンに送信して、前記画像データを更新するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、前記ペンは、前記画像データを記憶する画像データ記憶部を備え、前記画像送信処理部は、前記画像データを前記ペンに送信して、前記画像データ記憶部に記憶させ、前記振動制御部は、前記画像データ記憶部から取得した前記画像データの前記描画物と、前記ペンの接触位置とが一致した場合に、前記振動波形信号に特定の波形信号を加算して、前記振動発生器に振動を出力させてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理システムにおいて、ペンの移動軌跡を表示可能な表示部と、前記表示部の画面上における前記ペンの接触位置を検出するタッチセンサ部とを有する情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能であり、振動波形信号に基づいて、振動を出力する振動発生器を有するペンとを備える情報処理システムの制御方法であって、前記情報処理装置が、前記タッチセンサ部が検出した前記ペンの接触位置に基づいて、前記ペンが前記画面上に接触して移動した前記画面上の移動軌跡を、前記表示部に表示させる表示処理ステップと、前記情報処理装置が、前記移動軌跡を含む前記表示部が表示する画像データを前記ペンに送信する画像送信処理ステップと、前記情報処理装置が、前記タッチセンサ部が検出した前記ペンの接触位置を、前記ペンに送信する位置送信処理ステップと、前記ペンが、前記画像データの前記移動軌跡を含む描画物と、前記ペンの接触位置とが一致した場合に、前記振動波形信号に特定の波形信号を加算して、前記振動発生器に振動を出力させる振動制御ステップとを含む制御方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ペン入力の違和感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態による情報処理システムの一例を示す外観図である。
図2】本実施形態による情報処理システムの主要なハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本実施形態による情報処理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】本実施形態におけるタブレット端末の画像データの送信処理の一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態における画像データの一例を示す図である。
図6】本実施形態におけるペンの画像データの受信処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本実施形態におけるタブレット端末のペン入力処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本実施形態におけるペンの振動出力処理の一例を示すフローチャートである。
図9】本実施形態による情報処理システムの振動出力処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態による情報処理システム、及び制御方法について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態による情報処理システム100の一例を示す外観図である。
図1に示すように、情報処理システム100は、タブレット端末1と、ペン30とを備える。なお、本実施形態において、情報処理装置の一例として、タブレット端末1について説明する。
【0016】
タブレット端末1は、筐体CS1の片方の主面に、タッチスクリーン20が設置されており、ペン30を用いて、例えば、メモ帳、描画などのアプリケーションプログラムを実行させる。
【0017】
タッチスクリーン20は、表示部21と、タッチセンサ部22とを備え、表示部21は、表示画面DFに各種情報を表示する。
タッチセンサ部22は、表示部21に重ねて配置されており、ペン30が、表示部21の表示画面DFに接触することを検出するとともに、ペン30の接触位置を検出する。
なお、タッチスクリーン20、表示部21、及びタッチセンサ部22の詳細については、後述する。
【0018】
次に、図2を参照して、情報処理システム100の主要なハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態による情報処理システム100の主要なハードウェア構成の一例を示す図である。
【0019】
図2に示すように、情報処理システム100は、タブレット端末1とペン30とを備える。また、タブレット端末1は、プロセッサ11と、メインメモリ12と、フラッシュメモリ13と、タッチスクリーン20と、周辺デバイス23と、オーディオシステム24と、マイク25と、スピーカ26と、ベースバンドチップ27と、無線部28と、無線通信部29とを備える。
【0020】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むアプリケーションプロセッサである。プロセッサ11は、タブレット端末1の全体を制御する。
【0021】
メインメモリ12は、プロセッサ11の実行プログラムの読み込み領域として、又は、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップで構成される。この実行プログラムには、OS(Operating System:オペレーティングシステム)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム(アプリケーションソフトウェア)、等が含まれる。
【0022】
フラッシュメモリ13は、例えば、フラッシュEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)であり、OS、各種ドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションということがある)、及び各種データを記憶する。
【0023】
表示部21は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイであり、プロセッサ11から出力された描画データ(表示データ)に基づく表示画面を表示する。表示部21は、例えば、ペン30の移動軌跡(描画軌跡)を表示可能である。
【0024】
タッチセンサ部22は、表示部21の画面上(表示画面DF上)におけるペン30などの操作媒体の位置と、ペン30の画面上への接触を検出する。タッチセンサ部22は、表示部21の画面上におけるペン30の接触位置を検出する。
【0025】
周辺デバイス23は、例えば、WLAN(Wireless Local Area Network)モジュール、GPS(Global Positioning System)モジュール、及び加速度センサなどのセンサ類、等である。
【0026】
オーディオシステム24は、例えば、オーディオIC(Integrated Circuit)であり、音データの入力、記録、再生、出力を行う。オーディオシステム24には、例えば、マイク25と、スピーカ26とが接続されている。オーディオシステム24は、例えば、マイク25が収音した音データを、プロセッサ11又はベースバンドチップ27に出力する。また、オーディオシステム24は、例えば、プロセッサ11又はベースバンドチップ27から取得した音データを音信号に変換して、スピーカ26に出力する。
【0027】
マイク25は、タブレット端末1の周辺の音を収音する。マイク25は、例えば、他の端末と音声融和する際に、利用者の音声等の音を収音する。
スピーカ26は、タブレット端末1の外部に、各種音を出力する。スピーカ26は、例えば、他の端末と音声融和する際に、他の端末から受信した音を出力(放音)する。
【0028】
ベースバンドチップ27は、例えば、4G(第4世代移動通信システム)や5G(第4世代移動通信システム)などの無線通信を制御する専用ICである。ベースバンドチップ27は、例えば、無線部28を用いて受信した音声データを、オーディオシステム24を介して、スピーカ26に出力させる。また、ベースバンドチップ27は、例えば、マイク25から収音した音データを、オーディオシステム24を介して取得し、無線部28を用いて、移動通信システムにより出力させる。また、ベースバンドチップ27は、移動通信システムによるデータ通信の入出力データを、プロセッサ11との間でデータ通信する。
【0029】
無線部28は、移動通信システムによる無線通信を行うための、アンテナを含む無線通信デバイスである。
無線通信部29(第1無線通信部の一例)は、例えば、Bluetooth(登録商標)モジュールであり、ペン30との間で無線通信を行う。無線通信部29は、例えば、後述する画像データやペン30の接触位置情報を、ペン30に送信する。
【0030】
ペン30は、ペン形状の操作媒体であり、例えば、タッチペン、スタイラスペンなどである。ペン30は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの無線通信により、タブレット端末1と通信可能である。ペン30は、無線通信部31と、DAC(Digital Analog Converter)32と、アンプ33と、アクチュエータ34と、メモリ35と、MCU36とを備える。
【0031】
無線通信部31(第2無線通信部の一例)は、例えば、Bluetooth(登録商標)モジュールであり、タブレット端末1とペンとの間で無線通信を行う。無線通信部31は、タブレット端末1から、例えば、画像データ及びペン30の接触位置情報を受信し、受信した画像データ及びペン30の接触位置情報をMCU36に供給する。
【0032】
また、無線通信部31は、例えば、センサ(不図示)によるペン30の接触圧力の計測値を、タブレット端末1に送信する。すなわち、無線通信部31は、無線通信部29との間で、無線通信を行う。また、無線通信部31は、例えば、アクチュエータ34から出力する振動波形信号の情報を、タブレット端末1から受信する。
【0033】
DAC32は、MCU36から出力された振動波形信号のデジタルデータをアナログ信号に変換して、後段のアンプ33に出力する。MCU36から出力された振動波形信号は、ペン30により、現実の紙とペンとの書き心地を再現するための振動用の波形信号であり、後述するペン30が描画線を跨ぐ(クロスする)場合の特定の波形信号(例えば、パルス波形)を含む波形信号である。振動波形信号の詳細については、後述する。
【0034】
アクチュエータ34(振動発生器の一例)は、例えば、ピエゾ素子などの圧電振動子を用いて振動を発生する発生器であり、振動波形信号に基づいて、振動を出力する。アクチュエータ34は、DAC32が出力する振動波形信号を、振動に変換して、ペン30を振動させる。
【0035】
メモリ35は、例えば、RAMなどで構成され、ペン30の制御プログラムの一部やMCU36の処理データを記憶する。なお、メモリ35は、RAMの他に、フラッシュメモリやROMなどを含んでいてもよい。
【0036】
MCU(Micro Controller Unit)36は、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、I/O関連などを備え、ペン30を統括的に制御する。MCU36は、無線通信部31が受信した画像データをメモリ35に記憶させる。また、MCU36は、振動波形信号を生成して、DAC32及びアンプ33を介して、振動波形信号をアクチュエータ34に供給して、振動波形信号に基づく振動(又は音)をアクチュエータ34に発生させる。
【0037】
次に、図3を参照して、本実施形態による情報処理システム100の機能構成について説明する。
図3は、本実施形態による情報処理システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0038】
図3に示すように、情報処理システム100は、タブレット端末1とペン30とを備え、タブレット端末1は、制御部10と、タッチスクリーン20と、記憶部40と、無線通信部29とを備える。
【0039】
タッチスクリーン20は、表示部21と、タッチセンサ部22とを備える。
タッチセンサ部22は、ペン入力として、表示部21の画面上におけるペン30の接触位置を検出する。タッチセンサ部22は、ペン30の接触位置として、例えば、表示部21の表示画面DF上の2次元座標を示す接触位置情報を検出する。タッチセンサ部22は、接触位置情報を制御部10に出力する。
【0040】
記憶部40は、例えば、メインメモリ12又はフラッシュメモリ13により実現される記憶部であり、画像データ記憶部41と、ペン位置情報記憶部42とを備える。
画像データ記憶部41は、例えば、メインメモリ12により実現される記憶部であり、表示画面DFに表示されている画像をキャプチャした画像データを記憶する。なお、画像データには、表示画面DF全体の画像データ(全体画像データ)と、部分画像データとが含まれる。
【0041】
ペン位置情報記憶部42は、例えば、メインメモリ12により実現される記憶部であり、タッチセンサ部22が検出した接触位置情報をペン位置情報として記憶する。ペン位置情報記憶部42は、例えば、時刻情報と、接触位置情報とを対応付けて記憶する。ペン位置情報記憶部42が記憶するペン位置情報は、例えば、ペン30の画面上の移動軌跡を、表示部21に表示する際に利用される。
【0042】
制御部10は、例えば、プロセッサ11がメインメモリ12又はフラッシュメモリ13が記憶するプログラムを実行することで実現される機能部であり、OS(例えば、Android(登録商標)など)に基づく各種処理を実行する。制御部10は、入力処理部101と、表示処理部102と、ペン振動制御部110とを備える。
【0043】
入力処理部101は、プロセッサ11がメインメモリ12又はフラッシュメモリ13が記憶するプログラムを実行することで実現される機能部である。入力処理部101は、例えば、タッチセンサ部22による入力を制御するデバイスドライバであり、タッチセンサ部22の入力によって、表示部21の画面上(表示画面DF上)におけるペン30の位置や接触を検出する。入力処理部101は、検出したペン30の接触位置情報(位置座標)、等をOSに出力する。入力処理部101が検出した接触位置情報は、例えば、OSによって、ペン位置情報記憶部42に記憶される。
【0044】
表示処理部102は、プロセッサ11がメインメモリ12又はフラッシュメモリ13が記憶するプログラムを実行することで実現される機能部である。表示処理部102は、タッチセンサ部22が検出したペン30の接触位置に基づいて、ペン30が画面上に接触して移動した画面上の移動軌跡を、表示部21に表示させる。すなわち、表示処理部102は、入力処理部101を介して検出したペン30の接触位置情報に基づいて、ペン30の移動軌跡を表示部21に表示させる。表示処理部102は、例えば、ペン位置情報記憶部42が記憶するペン位置情報に基づいて、ペン30の移動軌跡を生成し、表示部21に表示させる。
【0045】
ペン振動制御部110は、プロセッサ11がメインメモリ12又はフラッシュメモリ13が記憶するプログラムを実行することで実現される機能部であり、ペン30の振動の制御を行う。ペン振動制御部110は、例えば、振動波形信号の指定のための指定情報を、無線通信部29を介して、ペン30に送信する。また、ペン振動制御部110は、表示画面DFをキャプチャした画像データ及びペン30の接触位置情報を、無線通信部29を介して、ペン30に送信する。なお、ペン振動制御部110は、アプリケーションによって実現されてもよいし、OS上に常駐する常駐プログラムによって実現されてもよい。
ペン振動制御部110は、画像送信処理部111と、位置送信処理部112とを備える。
【0046】
画像送信処理部111は、プロセッサ11により実現される機能部であり、ペン30の移動軌跡を含む表示部21が表示する画像データをペン30に送信する。画像送信処理部111は、表示部21の表示画面DFに表示されている画像を定期的にキャプチャして画像データ(全体画像データ)を生成し、さらに、画像データをグレイスケールに変換する。画像送信処理部111は、グレイスケールに変換した画像データを、画像データ記憶部41に記憶させる。
【0047】
画像送信処理部111は、画像データ記憶部41が記憶するグレイスケールに変換した画像データを無線通信部29を介して、ペン30に送信する。なお、画像送信処理部111は、定期的に、画像データをペン30に送信して、ペン30が記憶する画像データを更新する。
【0048】
また、画像送信処理部111は、ペン30が、表示部21の画面に接触している場合に、ペン30の周辺の画像をキャプチャして部分画像データを生成し、さらに、部分画像データをグレイスケールに変換する。画像送信処理部111は、グレイスケールに変換した部分画像データを、画像データ記憶部41に記憶させる。
【0049】
画像送信処理部111は、画像データ記憶部41が記憶するグレイスケールに変換した部分画像データを無線通信部29を介して、ペン30に送信する。すなわち、画像送信処理部111は、定期的に、ペン30の接触位置の周辺を含む部分画像データをペン30に送信して、ペン30が記憶する画像データを更新する。
【0050】
位置送信処理部112は、プロセッサ11により実現される機能部であり、タッチセンサ部22が検出したペン30の接触位置を、ペン30に送信する。位置送信処理部112は、ペン30が、表示部21の画面に接触している場合に、例えば、タッチセンサ部22が検出した最新の接触位置情報を、無線通信部29を介して、ペン30に送信する。
【0051】
ペン30は、無線通信部31と、振動生成部50と、ペン記憶部60と、ペン制御部70とを備える。
振動生成部50は、DAC32と、アンプ33と、アクチュエータ34とにより実現される機能部であり、振動波形信号に基づく振動をペン30から出力する。振動生成部50は、ペン制御部70から出力された振動波形信号のデータをDAC32によりアナログ波形信号に変換し、振動波形信号をアンプ33により増幅して、振動波形信号に基づく振動をアクチュエータ34に出力させる。
【0052】
ペン記憶部60は、例えば、メモリ35などにより実現される記憶部であり、ペン30が利用する各種情報を記憶する。ペン記憶部60は、振動波形記憶部61と、画像データ記憶部62とを備える。
【0053】
振動波形記憶部61は、メモリ35(例えば、フラッシュメモリやROMなど)により実現される記憶部であり、振動波形信号を記憶する。振動波形記憶部61は、例えば、振動波形信号の基本波形のデジタルデータ(基本波形データ)、及び後述する描画クロス用の特定の波形(パルス波形)のデジタルデータ、等を記憶する。なお、振動波形記憶部61は、ペン振動制御部110から指定されるペン30の種類に応じて、複数種類の振動波形信号の基本波形データを記憶していてもよい。
【0054】
画像データ記憶部62は、メモリ35(例えば、RAMなど)により実現される記憶部であり、タブレット端末1から無線通信部31を介して受信した画像データを記憶する。ここで、画像データ記憶部62が記憶する画像データは、現在の表示部21の画面上に表示されている画像に対応する全体画像データであり、ペン30による描画物などを含む画像データである。
【0055】
ペン制御部70は、例えば、MCU36により実現される機能部であり、ペン30を統括的に制御する。ペン制御部70は、例えば、不図示のセンサにより検出したペン30の先端部の接触圧力の計測値を示す圧力情報を、無線通信部31を介してタブレット端末1に送信する。また、ペン制御部70は、振動生成部50によるペン30の振動を制御する。ペン制御部70は、振動制御部71を備える。
【0056】
振動制御部71は、MCU36により実現される機能部であり、振動生成部50によるペン30の振動を制御する。振動制御部71は、無線通信部31を介してタブレット端末1から指定された振動波形信号を、振動生成部50に送信して、ペン30を振動させる。振動制御部71は、ペン30を振動させる際に、タブレット端末1から指定された基本波形データを、振動波形記憶部61から取得し、基本波形データに基づく振動波形データを振動生成部50に送信して、アクチュエータ34に振動を出力させる。
【0057】
また、振動制御部71は、画像データの移動軌跡を含む描画物と、ペン30の接触位置とが一致した場合に、振動波形信号に特定の波形信号を加算して、アクチュエータ34に振動を出力させる。すなわち、振動制御部71は、画像データ記憶部62から取得した画像データの描画物と、タブレット端末1から受信したペン30の接触位置とが一致した場合に、振動波形信号に特定の波形信号を加算して、アクチュエータ34に振動を出力させる。ここで、振動波形信号の波形データ及び特定の波形信号の波形データは、振動波形記憶部61が記憶している波形データを用いる。
【0058】
振動制御部71は、例えば、画像データにおいて、ペン30の移動による通過区間の濃淡の階調値が閾値Th1を黒側に超えた場合に、振動波形信号に特定の波形信号を加算して、アクチュエータ34に振動を出力させる。また、振動制御部71は、例えば、濃淡の階調値が急激に変化する箇所で、振動波形信号に特定の波形信号を加算してもよい。この場合、振動制御部71は、ペン30の移動による通過区間の濃淡の階調値の変化値(差分値)が、閾値以上である場合に、振動波形信号に特定の波形信号を加算するようにしてもよい。
【0059】
次に、図面を参照して、本実施形態による情報処理システム100の動作について説明する。
図4は、本実施形態におけるタブレット端末1の画像データの送信処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
図4に示すように、タブレット端末1は、まず、画面にペン30が接触しているか否かを判定する(ステップS101)。タブレット端末1の画像送信処理部111は、例えば、タッチセンサ部22によるペン30の接触の検出により、画面(表示画面DF)にペン30が接触しているか否かを判定する。画像送信処理部111は、画面にペン30が接触している場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS105に進める。また、画像送信処理部111は、画面にペン30が接触していない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS102に進める。
【0061】
ステップS102において、画像送信処理部111は、画面全体をキャプチャして画像データを生成する。すなわち、画像送信処理部111は、表示画面DFの全体をキャプチャして全体画像データを生成する。
【0062】
次に、画像送信処理部111は、画像データをグレイスケールに変換する(ステップS103)。画像送信処理部111は、全体画像データを、白黒の濃色のグレイスケールに変換して、グレイスケールに変換した画像データを、画像データ記憶部41に記憶させる。
【0063】
次に、画像送信処理部111は、画像データをペン30に送信する(ステップS104)。画像送信処理部111は、画像データ記憶部41に記憶されているグレイスケールに変換した画像データ(全体画像データ)を、無線通信部29を介して、無線通信によりペン30に送信する。ステップS104の処理後に、画像送信処理部111は、処理をステップS101に戻す。
このように、画像送信処理部111は、定期的に、画像データを無線通信部29を介して、無線通信によりペン30に送信して、ペン30の画像データ記憶部62に記憶させる。
【0064】
また、ステップS105において、画像送信処理部111は、ペン30の周辺の差分情報をキャプチャして部分画像データを生成する。すなわち、画像送信処理部111は、ペン30の周辺の変化した部分の部分画像データを生成する。
【0065】
次に、画像送信処理部111は、部分画像データをグレイスケールに変換する(ステップS106)。画像送信処理部111は、部分画像データを、白黒の濃色のグレイスケールに変換して、グレイスケールに変換した部分画像データを、画像データ記憶部41に記憶させる。
【0066】
次に、画像送信処理部111は、部分画像データをペン30に送信して画像データを更新する(ステップS107)。画像送信処理部111は、画像データ記憶部41に記憶されているグレイスケールに変換した部分画像データを、部分画像データの位置情報を付加して、無線通信部29を介して、無線通信によりペン30に送信する。ステップS107の処理後に、画像送信処理部111は、処理をステップS101に戻す。
【0067】
このように、画像送信処理部111は、画面にペン30が接触している場合に、定期的に、部分画像データを無線通信部29を介して、無線通信によりペン30に送信して、ペン30の画像データ記憶部62が記憶する全体画像データを部分画像データにより更新させる。
【0068】
次に、図5を参照して、本実施形態における画像データについて説明する。
図5は、本実施形態における画像データの一例を示す図である。
画像送信処理部111は、表示画面DFをキャプチャして、図5に示すような画像データG1を生成する。
【0069】
図5に示す例では、画像データG1には、描画物OB1として、ペン30による手書きの“Love and Peace”という描画が含まれている。画像データG1は、例えば、表示画面DFのサイズに対応したBMP(Bit MaP)データである。
【0070】
次に、図6を参照して、画像データを受信する側のペン30の処理について説明する。
図6は、本実施形態におけるペン30の画像データの受信処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
図6に示すように、ペン30のペン制御部70(振動制御部71)は、画像データ又は部分画像データを受信したか否かを判定する(ステップS201)。ペン制御部70は、無線通信部31によりタブレット端末1から、画像データ又は部分画像データを受信したか否かを判定する。ペン制御部70は、画像データ又は部分画像データを受信した場合(ステップS201:YES)に、処理をステップS202に進める。また、ペン制御部70は、画像データ又は部分画像データを受信していない場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS201に戻す。
【0072】
ステップS202において、ペン制御部70(振動制御部71)は、受信した画像データが部分画像データであるか否かを判定する。ペン制御部70は、受信した画像データが部分画像データである場合(ステップS202:YES)に、処理をステップS204に進める。また、ペン制御部70は、受信した画像データが部分画像データでない場合(ステップS202:NO)に、処理をステップS203に進める。
【0073】
ステップS203において、ペン制御部70(振動制御部71)は、画像データを画像データ記憶部62に記憶させる。ペン制御部70は、受信した全体画像データを、画像データ記憶部62に記憶させて、画像データ(全体画像データ)を更新する。ステップS203の処理後に、ペン制御部70は、処理をステップS201に戻す。
【0074】
また、ステップS204において、ペン制御部70(振動制御部71)は、部分画像データにより画像データを更新して、画像データ記憶部62に記憶させる。ペン制御部70は、部分画像データに付与されている位置情報に基づいて、画像データ記憶部62が記憶する画像データ(全体画像データ)の一部を置き換えて、画像データ(全体画像データ)を更新し、更新した画像データ(全体画像データ)を画像データ記憶部62に記憶させる。
【0075】
このように、ペン30では、タブレット端末1から受信した画像データ(又は部分画像データ)により、画像データ記憶部62が記憶する画像データ(全体画像データ)を定期的に更新する。
【0076】
次に、図7を参照して、本実施形態におけるタブレット端末1のペン入力処理について説明する。
図7は、本実施形態におけるタブレット端末1のペン入力処理の一例を示すフローチャートである。
【0077】
図7に示すように、タブレット端末1の入力処理部101は、ペン入力を検出したか否かを判定する(ステップS301)。入力処理部101は、タッチセンサ部22によって、ペン入力が検出されたか否かを判定する。入力処理部101は、ペン入力を検出した場合(ステップS301:YES)に、処理をステップS302に進める。また、入力処理部101は、ペン入力を検出していない場合(ステップS301:NO)に、処理をステップS301に戻す。
【0078】
ステップS302において、入力処理部101は、ペン30の接触位置情報を取得する。入力処理部101は、タッチセンサ部22から接触位置情報を取得し、ペン位置情報記憶部42に記憶させる。
【0079】
次に、タブレット端末1の位置送信処理部112は、ペン30の接触位置情報をペン30に送信する(ステップS303)。位置送信処理部112は、無線通信部29を介して、無線通信によりペン30の接触位置情報をペン30に送信する。
【0080】
次に、タブレット端末1の表示処理部102は、ペン30の接触位置情報に基づいてペン30の移動軌跡を表示部21に表示する(ステップS304)。表示処理部102は、例えば、ペン位置情報記憶部42が記憶しているペン30の接触位置情報に基づいて、画面上のペン30の移動軌跡を、表示部21に表示させる。ステップS304の処理後に、表示処理部102は、処理をステップS301に戻す。
【0081】
次に、図8を参照して、本実施形態におけるペン30の振動出力処理について説明する。
図8は、本実施形態におけるペン30の振動出力処理の一例を示すフローチャートである。
【0082】
図8に示すように、ペン30の振動制御部71は、まず、ペン30の接触位置情報を受信したか否かを判定する(ステップS401)。振動制御部71は、無線通信部31によってペン30の接触位置情報を、タブレット端末1から受信したか否かを判定する。振動制御部71は、ペン30の接触位置情報を受信した場合(ステップS401:YES)に、処理をステップS402に進める。また、振動制御部71は、ペン30の接触位置情報を受信していない場合(ステップS401:NO)に、処理をステップS401に戻す。
【0083】
ステップS402において、振動制御部71は、ペン30の通過区間の濃淡の階調値が閾値Th1を黒側(濃側)に超えたか否かを判定する。振動制御部71は、濃淡の階調値が閾値Th1を黒側(濃側)に超えた場合(ステップS402:YES)に、処理をステップS403に進める。また、振動制御部71は、濃淡の階調値が閾値Th1を黒側(濃側)に超えていない場合(ステップS402:NO)に、処理をステップS404に進める。
【0084】
ステップ403において、振動制御部71は、振動波形信号に特定の波形信号を加算して、アクチュエータ34から振動を出力する。振動制御部71は、振動波形記憶部61が記憶する、指定された基本波形データに基づく振動波形信号に、振動波形記憶部61が記憶する特定の波形信号(パルス波形)を加算(重畳)して、振動生成部50によりアクチュエータ34から振動を出力させる。ステップS403の処理後に、振動制御部71は、処理をステップS401に戻す。
【0085】
また、ステップ404において、振動制御部71は、通常の振動波形信号により、アクチュエータ34から振動を出力する。振動制御部71は、振動波形記憶部61が記憶する、指定された基本波形データに基づく通常の振動波形信号を、振動生成部50によりアクチュエータ34から振動を出力させる。ステップS404の処理後に、振動制御部71は、処理をステップS401に戻す。
【0086】
次に、図9を参照して、本実施形態による情報処理システム100の振動出力処理の具体例について説明する。
図9は、本実施形態による情報処理システム100の振動出力処理の一例を説明する図である。
【0087】
図9(a)は、表示画面DFに、上述した図5に示す画像データG1を表示している状態において、ペン30を画面に接触させて位置P0から位置P3に移動させた場合の一例を示している。
【0088】
また、図9(b)では、ペン30を位置P0から位置P3に移動させた場合の通過区間における濃淡の階調値の変化を示している。図9(b)において、グラフは、縦軸が、濃淡の階調値を示し、横軸が移動距離を示している。また、波形W1は、濃淡の階調値の変化を示している。
【0089】
また、図9(c)では、ペン30がアクチュエータ34に出力させる振動波形を示している。図9(c)において、波形W2は、通常の振動波形を示し、波形W3は、追加する特定の振動波形(パルス波形)を示している。
【0090】
図9に示す例では、画像データG1の描画物OB1である“Love”の手書き描画の“o”(オー)の上に、ペン30を通過させて、インク線LN1を引いた場合の一例を示している。ここで、インク線LN1の位置P0から位置P3の間で、“o”の描画線を、位置P1及び位置P2において、交差(クロス)する。
【0091】
この場合、濃淡の階調値の変化は、図9(b)の波形W1に示すように、位置P0から白色の階調値が継続されて、位置P1において、黒色の階調値に変化する。また、位置P1を通過後に、再び白色の階調値が継続されて、位置P2において、黒色の階調値に変化する。また、位置P1を通過後に、再び白色の階調値が継続される。
【0092】
また、この場合、振動制御部71は、図9(c)の波形W2に示すように、位置P0から位置P1の間の期間、位置P1から位置P2の間の期間、及び位置P2から位置P3の間の期間において、波形W2の振動波形を、アクチュエータ34に出力させる。また、振動制御部71は、位置P1及び位置P2において、波形W1に示すように、階調値が、閾値Th1を黒側に超えるため、波形W2に波形W3の特定の振動波形(パルス波形)を加算した波形を、アクチュエータ34に出力させる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態による情報処理システム100は、タブレット端末1(情報処理装置)と、タブレット端末1と通信可能なペン30とを備える。タブレット端末1は、表示部21と、タッチセンサ部22と、表示処理部102と、画像送信処理部111と、位置送信処理部112とを備える。表示部21は、ペン30の移動軌跡(描画軌跡)を表示可能である。タッチセンサ部22は、表示部21の画面上におけるペン30の接触位置を検出する。表示処理部102は、タッチセンサ部22が検出したペン30の接触位置に基づいて、ペン30が画面上に接触して移動した画面上の移動軌跡を、表示部21に表示させる。画像送信処理部111は、移動軌跡を含む表示部21が表示する画像データをペン30に送信する。位置送信処理部112は、タッチセンサ部22が検出したペン30の接触位置を、ペン30に送信する。また、ペン30は、アクチュエータ34(振動発生器)と、振動制御部71とを備える。アクチュエータ34は、振動波形信号に基づいて、振動を出力する。振動制御部71は、画像データの移動軌跡を含む描画物(例えば、図5に示す描画物OB1など)と、ペン30の接触位置とが一致した場合に、振動波形信号に特定の波形信号を加算して、アクチュエータ34に振動を出力させる。
【0094】
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、画像データの描画物と、ペン30の接触位置とが一致した場合に、振動波形信号に特定の波形信号を加算して、アクチュエータ34に振動を出力させるため、例えば、ペン30が描画軌跡をクロスする際に、適切な振動を出力することができる。よって、本実施形態による情報処理システム100は、ペン30が描画軌跡をクロスする際のペン入力の感触の違和感を低減することができる。
【0095】
なお、本実施形態による情報処理システム100では、ペン30側の振動制御部71が、ペン30が描画軌跡をクロスするタイミングを判定して、振動波形信号に特定の波形信号を加算して、アクチュエータ34に振動を出力させる。例えば、タブレット端末1側で、ペン30が描画軌跡をクロスするタイミングを判定した場合には、タブレット端末1側で、ペン30が描画軌跡をクロスするタイミングを判定した後に、振動波形信号を切り替える指示を、ペン30に送信する必要がある。そのため、タブレット端末1側で、ペン30が描画軌跡をクロスするタイミングを判定した場合には、振動波形信号を切り替えるまでに遅延(タイムラグ)が発生して、ペン30が描画軌跡をクロスするタイミングに、振動波形信号を切り替えることは困難である。
【0096】
これに対して、本実施形態による情報処理システム100では、ペン30側の振動制御部71が、ペン30が描画軌跡をクロスするタイミングを判定するため、振動波形信号を切り替えるまでの遅延(タイムラグ)を低減することができ、違和感を低減した振動をペン30に発生することができる。
【0097】
また、本実施形態では、画像送信処理部111は、グレイスケールに変換した画像データを、ペン30に送信する。振動制御部71は、画像データにおいて、ペン30の移動による通過区間の濃淡の階調値が閾値Th1を黒側に超えた場合に、振動波形信号(例えば、図9の波形W2)に特定の波形信号(例えば、図9の波形W3)を加算して、アクチュエータ34に振動を出力させる(図9参照)。
【0098】
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、濃淡の階調値が閾値Th1を黒側に超えたことを判定することにより、描画物(例えば、図5に示す描画物OB1など)と、ペン30の接触位置とが一致したこと(ペン30が描画軌跡をクロスしたこと)を、簡単且つ適切に判定することができる。
【0099】
また、本実施形態では、画像送信処理部111は、定期的に、画像データ(全体画像データ)をペン30に送信して、画像データ(全体画像データ)を更新する。
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、定期的に、画像データ(全体画像データ)をペン30に送信して、画像データ(全体画像データ)を更新することで、例えば、ペン30が描画軌跡をクロスするタイミングをさらに適切に判定することができる。
【0100】
また、本実施形態では、画像送信処理部111は、定期的に、ペン30の接触位置の周辺を含む部分画像データをペン30に送信して、画像データ(全体画像データ)を更新する。すなわち、画像送信処理部111は、表示部21の表示画面DFにペン30が接触している場合に、ペン30の接触位置の周辺を含む部分画像データをペン30に送信して、画像データ(全体画像データ)を更新する。
【0101】
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、定期的に、ペン30の接触位置の周辺を含む部分画像データをペン30に送信することで、画像データ(全体画像データ)を更新する処理負荷及び通信負荷を低減することができる。
【0102】
なお、本実施形態による情報処理システム100では、ペン30の接触位置の周辺を含む部分画像データをペン30に送信することで、例えば、ペン30の描画線の太さが異なる場合などのように、ペン30の種類が複数ある場合やスタンプなどを描画する場合などにおいて、画像データの更新をより適切に行うことができ、ペン入力の感触の違和感をより適切に低減することができる。
【0103】
また、本実施形態では、ペン30は、画像データを記憶する画像データ記憶部62を備える。画像送信処理部111は、画像データをペン30に送信して、画像データ記憶部62に記憶させる。振動制御部71は、画像データ記憶部62から取得した画像データの描画物と、ペン30の接触位置とが一致した場合に、振動波形信号に特定の波形信号を加算して、アクチュエータ34に振動を出力させる。
【0104】
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、画像データ記憶部62を備えることにより、ペン30に画像データを適切に保存することができるとともに、画像データの更新をより適切に行うことができ、ペン入力の感触の違和感をより適切に低減することができる。
【0105】
また、本実施形態では、タブレット端末1が、無線通信部29(第1無線通信部)を備え、ペン30は、無線通信部31(第2無線通信部)を備える。画像送信処理部111及び位置送信処理部112は、無線通信部29(第1無線通信部)と無線通信部31(第2無線通信部)との間の無線通信により、画像データ及び接触位置情報を、タブレット端末1からペン30に送信する。
【0106】
これにより、本実施形態による情報処理システム100は、無線通信により、画像データ及び接触位置情報を、タブレット端末1からペン30に送信するため、ペン30を有線によりタブレット端末1と接続する必要がない。そのため、本実施形態による情報処理システム100は、ペン30の操作の自由度を高めることができ、ペン30の使い勝手を向上させることができる。
【0107】
また、本実施形態による制御方法は、ペン30の移動軌跡を表示可能な表示部21と、表示部21の画面上におけるペン30の接触位置を検出するタッチセンサ部22とを有するタブレット端末1と、タブレット端末1と通信可能であり、振動波形信号に基づいて、振動を出力するアクチュエータ34を有するペン30とを備える情報処理システム100の制御方法であって、表示処理ステップと、画像送信処理ステップと、位置送信処理ステップと、振動制御ステップとを含む。表示処理ステップにおいて、タブレット端末1が、タッチセンサ部22が検出したペン30の接触位置に基づいて、ペン30が画面上に接触して移動した画面上の移動軌跡を、表示部21に表示させる。画像送信処理ステップにおいて、タブレット端末1が、移動軌跡を含む表示部21が表示する画像データをペン30に送信する。位置送信処理ステップにおいて、タブレット端末1が、タッチセンサ部22が検出したペン30の接触位置を、ペン30に送信する。振動制御ステップにおいて、ペン30が、画像データの移動軌跡を含む描画物と、ペン30の接触位置とが一致した場合に、振動波形信号に特定の波形信号を加算して、アクチュエータ34に振動を出力させる。
【0108】
これにより、本実施形態による制御方法は、上述した情報処理システム100と同様の効果を奏し、ペン30が描画軌跡をクロスする際のペン入力の感触の違和感を低減することができる。
【0109】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、情報処理装置が、タブレット端末1である例を説明したが、これに限定されるものではない。情報処理装置は、例えば、スマートフォンやタブレットモードを備えるノートブック型パーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0110】
また、上記の各実施形態において、使用するOSの一例として、Android(登録商標)を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、iOS(登録商標)などの他のOSに適用してもよい。
【0111】
また、上記の各実施形態において、振動発生器が、アクチュエータ34である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、音を出力するスピーカなどの他の機器であってもよい。また、振動発生器として、アクチュエータ34とスピーカとを組み合わせて使用してもよい。
【0112】
また、上記の各実施形態において、無線通信部29及び無線通信部31は、無線通信として、Bluetooth(登録商標)を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の方式の無線通信を用いてもよい。また、タブレット端末1とペン30との間の通信は、無線通信の代わりに、有線通信を用いてもよい。
【0113】
また、上記の各実施形態において、振動制御部71は、濃淡の階調値が閾値Th1を黒側に超えた場合に、特定の波形信号(パルス波形)を加算(重畳)する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、色の変化量に応じたレベルの特定の波形信号(パルス波形)を加算又は発生させるようにしてもよい。
【0114】
なお、上述した情報処理システム100が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理システム100が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理システム100が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0115】
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0116】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理システム100が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0117】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 タブレット端末
10 制御部
11 プロセッサ
12 メインメモリ
13 フラッシュメモリ
20 タッチスクリーン
21 表示部
22 タッチセンサ部
23 周辺デバイス
24 オーディオシステム
25 マイク
26 スピーカ
27 ベースバンドチップ
28 無線部
29、31 無線通信部
30 ペン
32 DAC
33 アンプ
34 アクチュエータ
35 メモリ
36 MCU
40 記憶部
41、62 画像データ記憶部
42 ペン位置情報記憶部
50 振動生成部
60 ペン記憶部
61 振動波形記憶部
70 ペン制御部
71 振動制御部
100 情報処理システム
101 入力処理部
102 表示処理部
110 ペン振動制御部
111 画像送信処理部
112 位置送信処理部
【要約】
【課題】ペン入力の違和感を低減する。
【解決手段】情報処理システムは、情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能なペンとを備え、前記情報処理装置は、前記ペンの移動軌跡を表示可能な表示部と、前記表示部の画面上における前記ペンの接触位置を検出するタッチセンサ部と、前記タッチセンサ部が検出した前記ペンの接触位置に基づいて、前記ペンの移動軌跡を、前記表示部に表示させる表示処理部と、前記移動軌跡を含む前記表示部が表示する画像データを前記ペンに送信する画像送信処理部と、前記タッチセンサ部が検出した前記ペンの接触位置を、前記ペンに送信する位置送信処理部とを備え、前記ペンは、振動波形信号に基づいて、振動を出力する振動発生器と、前記画像データの前記移動軌跡を含む描画物と、前記ペンの接触位置とが一致した場合に、前記振動波形信号に特定の波形信号を加算して、前記振動発生器に振動を出力させる振動制御部とを備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9