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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】船倉洗浄システム及び船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 57/02 20060101AFI20231130BHJP
   B63B 59/00 20060101ALI20231130BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20231130BHJP
   B63B 59/04 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B63B57/02
B63B59/00 Z
B08B3/02 E
B08B3/02 G
B08B3/02 F
B63B59/04 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023046678
(22)【出願日】2023-03-23
【審査請求日】2023-03-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500304578
【氏名又は名称】株式会社エクセノヤマミズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】509063144
【氏名又は名称】本田重工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 伸一
(72)【発明者】
【氏名】高野 洋司
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04220170(US,A)
【文献】国際公開第2006/075452(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0098399(US,A1)
【文献】特開2005-066529(JP,A)
【文献】特開2000-295939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 57/02
B63B 59/00
B08B 3/02
B63B 59/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に取り付けられた状態において、
鉛直方向が長手方向である棒状部材と、
前記棒状部材を鉛直方向に伸縮させる伸縮機構と、
鉛直方向に延伸する前記棒状部材の下側の端部に、水平軸周りに回転可能に取り付けられたノズルと、
前記ノズルに液体を供給する液体供給経路と、
前記ノズルに供給される液体の流れる力によって、前記伸縮機構により鉛直方向に伸張されている前記棒状部材を鉛直軸周りに回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の方位角を変更する方位角変更機構と、
前記伸縮機構により鉛直方向に伸張されている前記棒状部材の、前記方位角変更機構による鉛直軸周りの回転に伴い、水平軸周りに前記ノズルを回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の仰俯角を変更する仰俯角変更機構と
備える船倉洗浄システム。
【請求項2】
前記ノズルに気体を供給する気体供給経路
を備え、
前記ノズルは、前記液体供給経路を介して供給される液体と前記気体供給経路を介して供給される気体の混合流体を噴射する
請求項1に記載の船倉洗浄システム。
【請求項3】
前記気体供給経路を通じて供給される気体の流れる力により、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転を補助する回転補助機構
を備える請求項2に記載の船倉洗浄システム。
【請求項4】
前記気体供給経路を通じて加熱された気体を前記ノズルに供給する加熱気体供給機構
を備える請求項2に記載の船倉洗浄システム。
【請求項5】
前記仰俯角変更機構による前記ノズルの回転の角度範囲、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転の速度、及び、前記液体供給経路を介して供給される液体の圧力のうちの1以上を制御する制御装置
を備える請求項1に記載の船倉洗浄システム。
【請求項6】
前記制御装置は、洗浄前に船倉から荷揚された積荷の種別を示す積荷種別データを取得し、当該積荷種別データが示す積荷の種別に基づき、前記仰俯角変更機構による前記ノズルの回転の角度範囲、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転の速度、及び、前記液体供給経路を介して供給される液体の圧力のうちの1以上を制御する
請求項に記載の船倉洗浄システム。
【請求項7】
前記伸縮機構による前記棒状部材の伸縮を制御する制御装置
を備える請求項1に記載の船倉洗浄システム。
【請求項8】
棒状部材と、
前記棒状部材を長手方向において伸縮させる伸縮機構と、
前記棒状部材の一方の端部に取り付けられたノズルと、
前記ノズルに液体を供給する液体供給経路と、
前記棒状部材の長手方向に垂直な軸周りに前記ノズルを回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の仰俯角を変更する仰俯角変更機構と、
前記棒状部材の長手方向の軸周りに前記ノズルを回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の方位角を変更する方位角変更機構と、
前記ノズルに気体を供給する気体供給経路と、
前記気体供給経路を通じて供給される気体の流れる力により、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転を補助する回転補助機構と
を備え、
前記ノズルは、前記液体供給経路を介して供給される液体と前記気体供給経路を介して供給される気体の混合流体を噴射する
船倉洗浄システム
【請求項9】
棒状部材と、
前記棒状部材を長手方向において伸縮させる伸縮機構と、
前記棒状部材の一方の端部に取り付けられたノズルと、
前記ノズルに液体を供給する液体供給経路と、
前記棒状部材の長手方向に垂直な軸周りに前記ノズルを回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の仰俯角を変更する仰俯角変更機構と、
前記棒状部材の長手方向の軸周りに前記ノズルを回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の方位角を変更する方位角変更機構と、
前記仰俯角変更機構による前記ノズルの回転の角度範囲、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転の速度、及び、前記液体供給経路を介して供給される液体の圧力のうちの1以上を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、洗浄前に船倉から荷揚された積荷の種別を示す積荷種別データを取得し、当該積荷種別データが示す積荷の種別に基づき、前記仰俯角変更機構による前記ノズルの回転の角度範囲、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転の速度、及び、前記液体供給経路を介して供給される液体の圧力のうちの1以上を制御する
船倉洗浄システム
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の船倉洗浄システムを備え、
前記棒状部材が船倉の甲板又はポンツーンハッチカバーを貫通した状態で前記甲板又はポンツーンハッチカバーに取り付けられ、
前記伸縮機構、前記仰俯角変更機構、及び、前記方位角変更機構のうちの1以上は、前記船倉外に配置されている電動装置を有する
船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は船舶に関し、特に船倉を洗浄する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
船倉からの荷揚の後、船倉の汚れを洗浄する必要がある。船倉の洗浄は、従来、人手により行われているが、高所作業を伴うため、作業員が落下する危険がある。
【0003】
上記の問題を解決するため、船倉内に洗浄液を噴射するノズルを設けて、そのノズルから噴射される洗浄液により船倉を洗浄する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、船倉内で伸縮し、水平面内で回動するブームの先に取り付けられたノズルから、船員による遠隔操作によって水を噴射することで、船倉を洗浄するタンククリーニング装置が記載されている。特許文献1に記載のタンククリーニング装置によれば、ブームの回転と伸縮によりノズルを船倉の壁面近くで順次移動させながら、ノズルから噴射される水により船倉を洗浄することができ、作業員が高所作業を行う必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭63-184593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のタンククリーニング装置により船倉の洗浄を行う場合、作業員が遠隔操作により、ブームの回転及び伸縮を指示して、船倉の壁面近くを走査するようにノズルを順次移動させる必要がある。従って、船倉の洗浄に要する作業員の負担が大きい。
【0006】
上記の事情に鑑み、本発明は、船倉の洗浄に要する船員の手間を軽減する手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、船舶に取り付けられた状態において、鉛直方向が長手方向である棒状部材と、前記棒状部材を鉛直方向に伸縮させる伸縮機構と、鉛直方向に延伸する前記棒状部材の下側の端部に、水平軸周りに回転可能に取り付けられたノズルと、前記ノズルに液体を供給する液体供給経路と、前記ノズルに供給される液体の流れる力によって、前記伸縮機構により鉛直方向に伸張されている前記棒状部材を鉛直軸周りに回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の方位角を変更する方位角変更機構と、前記伸縮機構により鉛直方向に伸張されている前記棒状部材の、前記方位角変更機構による鉛直軸周りの回転に伴い、水平軸周りに前記ノズルを回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の仰俯角を変更する仰俯角変更機構と備える船倉洗浄システムを第1の態様として提供する。
【0008】
上記の第1の態様にかかる船倉洗浄システムによれば、ノズルから噴射される液体の噴射方向の仰俯角及び方位角を順次変更することによって、船倉の洗浄を行うことができるため、船倉の洗浄のために船員に求められる負担が少なくて済む。
【0009】
上記の第1の態様にかかる船倉洗浄システムにおいて、前記ノズルに気体を供給する気体供給経路を備え、前記ノズルは、前記液体供給経路を介して供給される液体と前記気体供給経路を介して供給される気体の混合流体を噴射する、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0010】
上記の第2の態様にかかる船倉洗浄システムによれば、気体の供給により船倉の洗浄に要する液体の量が低減される。
【0011】
上記の第2の態様にかかる船倉洗浄システムにおいて、前記気体供給経路を通じて供給される気体の流れる力により、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転を補助する回転補助機構を備える、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0012】
上記の第3の態様にかかる船倉洗浄システムによれば、気体の供給に伴うノズルの回転速度の低下が抑制される。
【0013】
上記の第2の態様にかかる船倉洗浄システムにおいて、前記気体供給経路を通じて加熱された気体を前記ノズルに供給する加熱気体供給機構を備える、という構成が第4の態様として採用されてもよい。
【0014】
上記の第4の態様にかかる船倉洗浄システムによれば、洗浄後にノズルから加熱された気体を船倉内に供給することで、洗浄後の船倉の結露の発生が抑制される。
【0017】
上記の第1の態様にかかる船倉洗浄システムにおいて、前記仰俯角変更機構による前記ノズルの回転の角度範囲、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転の速度、及び、前記液体供給経路を介して供給される液体の圧力のうちの1以上を制御する制御装置を備える、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0018】
上記の第の態様にかかる船倉洗浄システムによれば、制御装置の制御下で船倉の洗浄が行われるため、船倉の洗浄中に船員の手間を要さない。
【0019】
上記の第の態様にかかる船倉洗浄システムにおいて、前記制御装置は、洗浄前に船倉から荷揚された積荷の種別を示す積荷種別データを取得し、当該積荷種別データが示す積荷の種別に基づき、前記仰俯角変更機構による前記ノズルの回転の角度範囲、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転の速度、及び、前記液体供給経路を介して供給される液体の圧力のうちの1以上を制御する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0020】
上記の第の態様にかかる船倉洗浄システムによれば、船倉の洗浄が不要な部分が無駄に洗浄されたり、船倉の汚れの程度に照らして不要に高圧で液体の噴射が行われたりすることがなく、洗浄に要する無駄な液体の消費が回避される。
【0021】
上記の第1の態様にかかる船倉洗浄システムにおいて、前記伸縮機構による前記棒状部材の伸縮を制御する制御装置を備える、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0022】
上記の第の態様にかかる船倉洗浄システムによれば、制御装置の制御下で棒状部材の伸縮が行われるため、棒状部材の伸縮のために船員の手間を要さない。
【0023】
また、本発明は、棒状部材と、前記棒状部材を長手方向において伸縮させる伸縮機構と、前記棒状部材の一方の端部に取り付けられたノズルと、前記ノズルに液体を供給する液体供給経路と、前記棒状部材の長手方向に垂直な軸周りに前記ノズルを回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の仰俯角を変更する仰俯角変更機構と、前記棒状部材の長手方向の軸周りに前記ノズルを回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の方位角を変更する方位角変更機構と、前記ノズルに気体を供給する気体供給経路と、前記気体供給経路を通じて供給される気体の流れる力により、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転を補助する回転補助機構とを備え、前記ノズルは、前記液体供給経路を介して供給される液体と前記気体供給経路を介して供給される気体の混合流体を噴射する船倉洗浄システムを第8の態様として提供する。
また、本発明は、棒状部材と、前記棒状部材を長手方向において伸縮させる伸縮機構と、前記棒状部材の一方の端部に取り付けられたノズルと、前記ノズルに液体を供給する液体供給経路と、前記棒状部材の長手方向に垂直な軸周りに前記ノズルを回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の仰俯角を変更する仰俯角変更機構と、前記棒状部材の長手方向の軸周りに前記ノズルを回転させて、前記ノズルから噴射される液体の噴射方向の方位角を変更する方位角変更機構と、前記仰俯角変更機構による前記ノズルの回転の角度範囲、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転の速度、及び、前記液体供給経路を介して供給される液体の圧力のうちの1以上を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、洗浄前に船倉から荷揚された積荷の種別を示す積荷種別データを取得し、当該積荷種別データが示す積荷の種別に基づき、前記仰俯角変更機構による前記ノズルの回転の角度範囲、前記方位角変更機構による前記ノズルの回転の速度、及び、前記液体供給経路を介して供給される液体の圧力のうちの1以上を制御する船倉洗浄システムを第9の態様として提供する。
また、本発明は、上記の第1乃至第のいずれかの態様にかかる船倉洗浄システムを備え、前記棒状部材が船倉の甲板又はポンツーンハッチカバーを貫通した状態で前記甲板又はポンツーンハッチカバーに取り付けられ、前記伸縮機構、前記仰俯角変更機構、及び、前記方位角変更機構のうちの1以上は、前記船倉外に配置されている電動装置を有する船舶を第10の態様として提供する。
【0024】
上記の第10の態様にかかる船舶によれば、電動装置が船倉外に配置されているため、電動装置に起因する船倉内における発火の危険性がない。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、船倉の洗浄に要する船員の手間が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一実施形態にかかる船舶の全体構成を模式的に示した図。
図2】一実施形態にかかる船倉洗浄システムの構成を模式的に示した図。
図3】一実施形態にかかる船倉洗浄システム本体の構成を示した図。
図4】一実施形態にかかる船倉洗浄システム本体が備えるロック機構の一例を説明するための図。
図5】一実施形態にかかる船倉洗浄システム本体が備える仰俯角変更機構の一例を説明するための図。
図6】一実施形態にかかる船倉洗浄システム本体が備える仰俯角変更機構の一例を説明するための図。
図7】一実施形態にかかる船倉洗浄システム本体の挙動を示した図。
図8】一実施形態にかかる制御装置のディスプレイに表示される設定画面を模式的に示した図。
図9】一実施形態にかかる制御装置が記憶しているテーブルのデータ構成を例示した図。
図10】一実施形態にかかる制御装置のディスプレイに表示される洗浄開始画面を模式的に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[実施形態]
以下に、本発明の一実施形態にかかる船舶1を説明する。図1は、船舶1の全体構成を模式的に示した図である。ただし、図1においては、船舶1が備える構成のうち本発明の特徴に関係しない構成は省略されている。
【0028】
船舶1は、上甲板11と、1以上の船倉12と、上甲板11のうち船倉12の天井を構成する部分に空けられた開口を被うように配置されているハッチ13と、上甲板11のうち船倉12の天井を構成する部分に配置されている1以上の船倉洗浄システム本体141を備える。
【0029】
図1の例では、船舶1が備える船倉12及びハッチ13の数は2つであるが、船舶1が備える船倉12及びハッチ13の数は1つ、又は、3つ以上であってもよい。ただし、以下の説明においては、例として、船舶1が備える船倉12及びハッチ13の数は2つであるものとする。
【0030】
また、図1の例では、各々の船倉12に配置されている船倉洗浄システム本体141の数はいずれも2つであるが、各々の船倉12に配置されている船倉洗浄システム本体141の数は1つ、又は、3つ以上であってもよい。また、各々の船倉12に配置されている船倉洗浄システム本体141の数が異なってもよい。ただし、以下の説明においては、例として、各々の船倉12に配置されている船倉洗浄システム本体141の数はいずれも2つであるものとする。
【0031】
船倉洗浄システム本体141は、ノズルを備え、ノズルから船倉12を洗浄するための流体を噴射する装置である。本実施形態において、船倉洗浄システム本体141が噴射する流体は、水(液体の一例)、又は水と空気(気体の一例)が混合された混合流体である。
【0032】
図2は、船倉洗浄システム本体141により流体を噴射することによって船倉12を洗浄するシステムである船倉洗浄システム14の構成を模式的に示した図である。
【0033】
船倉洗浄システム14は、船倉洗浄システム本体141と、船倉洗浄システム本体141の各々に供給される水を収容しているウォータータンク142と、ウォータータンク142から船倉洗浄システム本体141に供給される水の経路を構成する給水管143(液体供給経路の一例)と、給水管143上に配置されウォータータンク142から吸い上げた水を船倉洗浄システム本体141へと圧送するウォーターポンプ144と、ウォーターポンプ144と船倉洗浄システム本体141の間の給水管143上に配置され個々の船倉洗浄システム本体141への水の供給をON/OFFするための電磁弁145を備える。なお、電磁弁145は自装置が受けている圧力を検知する圧力センサを備える(後述の電磁弁151、電磁弁153、電磁弁155、電磁弁159及び、電磁弁160も同様)。
【0034】
また、船倉洗浄システム14は、船倉洗浄システム本体141に対し空気を圧送するエアーコンプレッサ146と、エアーコンプレッサ146から船倉洗浄システム本体141のエアーロータ1416(後述)を介してノズル1417(後述)に供給される空気の経路を構成する給気管147(気体供給経路の一例)と、エアーコンプレッサ146とエアーロータ1416の間の給気管147上に配置されノズル1417への空気の供給をON/OFFするための電磁弁148を備える。
【0035】
また、船倉洗浄システム14は、エアーコンプレッサ146からエアーモータ150に供給される空気の経路を構成する給気管149と、エアーコンプレッサ146から供給される空気の圧力により船倉洗浄システム本体141のシャフト1410(後述)を鉛直軸周りに回転させるためのエアーモータ150と、給気管149上に配置されエアーモータ150への空気の供給をON/OFFするための電磁弁151を備える。電磁弁151が開放され、エアーコンプレッサ146からエアーモータ150に空気が供給されると、エアーモータ150は連結された部材に対し順方向の回転駆動力を与える。
【0036】
また、船倉洗浄システム14は、エアーコンプレッサ146から船倉洗浄システム本体141のアクチュエータ1415(後述)のロッド側ポートに供給される空気の経路を構成する給気管152と、給気管152上に配置されアクチュエータ1415のロッド側ポートへの空気の供給をON/OFFするための電磁弁153と、エアーコンプレッサ146からアクチュエータ1415のヘッド側ポートに供給される空気の経路を構成する給気管154と、給気管154上に配置されアクチュエータ1415のヘッド側ポートへの空気の供給をON/OFFするための電磁弁155を備える。
【0037】
また、船倉洗浄システム14は、エアーコンプレッサ146からエアーモータ158に供給される空気の経路を構成する給気管156及び給気管157と、エアーコンプレッサ146から供給される空気の圧力によりシャフト1410をロック状態(後述)とリリース状態(後述)の間で切り替えるためのエアーモータ158と、給気管156上に配置されエアーモータ158への空気の供給をON/OFFするための電磁弁159と、給気管157上に配置されエアーモータ158への空気の供給をON/OFFするための電磁弁160を備える。電磁弁159が開放され、エアーコンプレッサ146から給気管156を介してエアーモータ158に空気が供給されると、エアーモータ158は連結された部材に対し順方向の回転駆動力を与える。また、電磁弁160が開放され、エアーコンプレッサ146から給気管157を介してエアーモータ158に空気が供給されると、エアーモータ158は連結された部材に対し逆方向の回転駆動力を与える。
【0038】
さらに、船倉洗浄システム14は、ウォーターポンプ144、電磁弁145、エアーコンプレッサ146、電磁弁148、電磁弁151、電磁弁153、電磁弁155、電磁弁159及び、電磁弁160の動作を制御する制御装置140を備える。制御装置140と、制御装置140により制御される各装置とは、制御信号等を送受信するための信号線で接続されている。なお、制御装置140と、制御装置140により制御される各装置との間の信号の送受信の少なくとも一部が無線により行われてもよい。
【0039】
ウォーターポンプ144、電磁弁145、エアーコンプレッサ146、電磁弁148、電磁弁151、電磁弁153、電磁弁155、電磁弁159及び、電磁弁160は、電気で動作する装置、すなわち、電動装置である。これらの電動装置はいずれも、船倉12外に配置されている。例えば、これらの電動装置は、船舶1の機関室に配置されている。
【0040】
制御装置140は、専用のデータ処理装置として構成されてもよいし、汎用的なコンピュータが本実施形態にかかるプログラムに従うデータ処理を行うことにより実現されてもよい。
【0041】
制御装置140は、船員(ユーザ)との間で情報をやりとりするためのユーザインタフェースを備える。制御装置140が備えるユーザインタフェースには、例えば、制御装置140がユーザに対し視覚情報を伝えるためのディスプレイ、制御装置140がユーザに対し聴覚情報を伝えるためのスピーカ、制御装置140がユーザから入力されるデータを取得するための入力デバイス(キーボード、マウス等)等が含まれる。これらのユーザインタフェースを構成するデバイスは、制御装置140の本体に内蔵されていてもよいし、制御装置140の本体とは別体の装置として構成され、有線又は無線により制御装置140の本体に接続されていてもよい。また、制御装置140が、通信ネットワークを介して相互に通信可能な複数の装置を含むシステムとして構成されてもよい。例えば、制御装置140が、PLC(Programmable Logic Controller)と、PLCとの間でデータ通信を行う端末装置とを含むシステムとして構成されてもよい。
【0042】
図3は、船倉洗浄システム本体141の構成を示した図である。船倉洗浄システム本体141は、上甲板11の上に配置された状態で上甲板11に対しボルト、ナット等により固定される板状の部材であるベースプレート1411と、ベースプレート1411の上側に取り付けられている駆動ユニット1412と、ベースプレート1411の下側に取り付けられている外側パイプ1413と、外側パイプ1413の下側に取り付けられ外側パイプ1413に対し伸縮可能な内側パイプ1414と、外側パイプ1413に対する内側パイプ1414の伸縮を行うアクチュエータ1415(伸縮機構の一例)を備える。駆動ユニット1412には給水管143が連結される。アクチュエータ1415は、例えばエアーシリンダである。
【0043】
また、船倉洗浄システム本体141は、内側パイプ1414の下端に取り付けられたエアーロータ1416と、エアーロータ1416の下側に取り付けられたノズル1417を備える。
【0044】
エアーロータ1416は、ベースプレート1411に対し鉛直軸周りに回転しない内側パイプ1414に対し、ベースプレート1411に対し鉛直軸周りに回転するノズル1417を回動可能に連結する部品である。
【0045】
また、船倉洗浄システム本体141は、給気管147を介してエアーコンプレッサ146からエアーロータ1416へと圧送されてくる空気をノズル1417へと導く給気管1418を備える。給気管147はベースプレート1411に対し鉛直軸周りに回転せず、給気管1418はノズル1417と共にベースプレート1411に対し鉛直軸周りに回転する。エアーロータ1416は、その内側に、鉛直軸周りに回転しない給気管147から供給される空気を、鉛直軸周りに回転する給気管1418へと引き渡す空気の経路を備える。
【0046】
さらに、船倉洗浄システム本体141は、駆動ユニット1412、外側パイプ1413、内側パイプ1414、及び、エアーロータ1416の内側を貫くように配置され、上端が駆動ユニット1412の上に露出し、下端がリンク機構170(後述)を介してノズル1417に連結されているシャフト1410(棒状部材の一例)を備える。シャフト1410は、例えば、外側パイプ14101と、外側パイプ14101の内側に配置され、外側パイプ14101に対し伸縮する内側棒14102を備える。
【0047】
シャフト1410は、外側パイプ14101と内側棒14102が最も伸縮した状態を維持するためのロック機構を備える。図4は、シャフト1410が備えるロック機構の一例を説明するための図である。図4(A)は、外側パイプ14101の断面図である。外側パイプ14101は内側面から内側に突起する円柱形状の部材であるピンP1を備える。図4(B)は、内側棒14102の斜視図である。内側棒14102は、外側面上にL字形状に形成された溝G1を備える。溝G1は、内側棒14102の長手方向における概ね全域に伸びているが、内側棒14102の上端に達する少し手前で水平方向(図4(B)の例では右方向)に屈曲し、内側棒14102の長手方向の中心軸周りに所定角度(例えば、90°)だけ伸びて終端となっている。
【0048】
内側棒14102は、溝G1が外側パイプ14101のピンP1を受容した状態で外側パイプ14101の内側に挿入されている。そして、ピンP1が溝G1のうち内側棒14102の長手方向に伸びている部分に収容されている状態においては、外側パイプ14101に対し内側棒14102は長手方向(上下方向)に移動できる。この状態を、以下、リリース状態のシャフト1410という。リリース状態のシャフト1410は、外側パイプ1413に対する内側パイプ1414の伸縮に伴い伸縮する。
【0049】
一方、ピンP1が溝G1の最上位置において水平方向に伸びている部分に収容されている状態においては、外側パイプ14101に対し内側棒14102は長手方向(上下方向)に移動できない。この状態を、以下、ロック状態のシャフト1410という。
【0050】
上述のように、シャフト1410のロック状態とリリース状態の切り替えは、内側棒14102に対する外側パイプ14101を長手方向の中心軸周りの回転により実現される。この回転は、エアーモータ158により行われる。エアーモータ158は、エアーコンプレッサ146から供給される空気の圧力により回転するフレキシブルシャフト1581を備える。フレキシブルシャフト1581は、シャフト1410の上端部、すなわち、外側パイプ14101の上端部に連結されている。
【0051】
エアーモータ158は、エアーコンプレッサ146から給気管156を介して空気の供給を受けると、フレキシブルシャフト1581を順方向に回転させ、シャフト1410をリリース状態とする。また、エアーモータ158は、エアーコンプレッサ146から給気管157を介して空気の供給を受けると、フレキシブルシャフト1581を逆方向に回転させ、シャフト1410をロック状態とする。
【0052】
また、シャフト1410のリリース状態とロック状態の切り替えは、外側パイプ14101に対し、ユーザがスパナ等の工具を用いて手動で軸周りの回転方向に力を加えることによっても行える。そのため、外側パイプ14101の上端には、六角ヘッド14103が取り付けられている。
【0053】
ロック状態のシャフト1410は、シャフト1410の長手方向である鉛直方向の軸周りに回転可能である。本実施形態において、シャフト1410は、駆動ユニット1412内に配置されている駆動機構により回転される。本実施形態において、駆動ユニット1412内に配置されている駆動機構は、給水管143を介してウォーターポンプ144から圧送されてくる水の流れる力を受けて回転する羽根車と、羽根車の回転をシャフト1410に伝達する歯車等で構成される動力伝達機構とを備える。
【0054】
また、シャフト1410は、エアーモータ150によっても鉛直方向の軸周りに回転される。エアーモータ150は、エアーコンプレッサ146から供給される空気の圧力により回転するフレキシブルシャフト1501を備える。フレキシブルシャフト1501は、駆動ユニット1412内で回転する羽根車の回転軸の駆動ユニット1412から露出している部分に連結されている。エアーモータ150は、ウォーターポンプ144から駆動ユニット1412に水が供給されていない状態において、その回転軸を回転させて、駆動ユニット1412内の動力伝達機構を介してシャフト1410を回転させる。
【0055】
ノズル1417は、シャフト1410の鉛直軸周りの回転に伴い、鉛直軸周りに回転する。その結果、ノズル1417の方向の方位角(ノズル1417の方位角方向)が0°から360°、すなわち、全周範囲で変化する。なお、ノズル1417の方向とは、ノズル1417から噴射される流体の噴射方向、すなわち、ノズル1417の長手方向を意味する。シャフト1410、シャフト1410を鉛直軸周りに駆動する羽根車及び羽根車を回転させるウォーターポンプ144、シャフト1410を鉛直軸周りに駆動するエアーモータ150及びエアーモータ150に空気を供給するエアーコンプレッサ146、羽根車又はエアーモータ150の駆動力をシャフト1410に伝達する駆動ユニット1412内の動力伝達機構は、ノズル1417の方向の方位角(方位角方向)を変更する方位角変更機構の一例を構成する。
【0056】
また、ノズル1417の方向は、水平軸周りに回転可能である。以下、水平軸周りの回転に伴い変化するノズル1417の方向を仰俯角方向という。また、ノズル1417の仰俯角とは、鉛直下方向(基準方向)からノズル1417の方向までの角度を意味する。本実施形態において、ノズル1417の仰俯角方向は、方位角方向の変化に伴い変化する。すなわち、ノズル1417は、鉛直軸周りの回転に伴い、水平軸周りに回転する。本実施形態において、ノズル1417の仰俯角方向は、鉛直下方向を基準方向として水平軸周りに0°から130°までの角度範囲で回転可能である。なお、この水平軸周りに回転可能な角度範囲は例であり、例えば、ノズル1417の仰俯角方向が、鉛直下方向を基準方向として水平軸周りに0°から150°までの角度範囲で回転可能であってもよい。
【0057】
本実施形態において、ノズル1417は、鉛直軸周りの回転に伴い、仰俯角を0°→130°→0°→130°・・・、のように変化させる。そして、シャフト1410の鉛直軸周りの回転速度が一定の場合、ノズル1417の仰俯角の変化速度は、仰俯角が増加する間の方が減少する間より速い。例えば、ノズル1417は、鉛直軸周りに回転しつつ仰俯角を0°から130°へと増加させる間、例えば、鉛直軸周りに1回転する毎に仰俯角を所定角度A(例えば、1°)だけ増加させる。一方、ノズル1417は、鉛直軸周りに回転しつつ仰俯角を130°から0°へと減少させる間、例えば、鉛直軸周りに1回転する毎に仰俯角を所定角度B(ただし、B<A。例えば、0.5°)だけ減少させる。
【0058】
図5及び図6は、上述したノズル1417の挙動を実現する機構(仰俯角変更機構)の一例を説明するための図である。まず、図5に示すように、船倉洗浄システム本体141は、リンク機構170を備える。リンク機構170は、内側パイプ1414の下端に取り付けられたエアーロータ1416に対するシャフト1410の上下方向における変位量に応じてノズル1417を水平軸X周りに回転させる動力伝達機構である。図5の例では、シャフト1410がエアーロータ1416から下方に展開すると、図5(A)に示すように、ノズル1417の仰俯角が小さくなる。また、シャフト1410がエアーロータ1416内へと収容されると、図5(B)に示すように、ノズル1417の仰俯角が大きくなる。
【0059】
図6は、エアーロータ1416に対するシャフト1410の上下方向における位置を変化させるための機構である変位機構180の一部を示した図である。変位機構180は、駆動ユニット1412内に配置されている。変位機構180は、駆動ユニット1412(図6において図示略)の筐体の内側面上に設けられたピンP2と、外側面上に溝G2が設けられた円筒部材1801と、シャフト1410(外側パイプ14101)と円筒部材1801の間に配置された遊星ギアユニット1802と、シャフト1410鉛直軸周りに回転させる駆動機構(図示略)を備える。
【0060】
変位機構180が備える駆動機構は、ウォーターポンプ144から圧送されてくる水の流れる力を受けて回転する羽根車と、その羽根車の回転をシャフト1410に伝達する動力伝達機構で構成される。すなわち、動力伝達機構は、羽根車の回転に伴い、シャフト1410を鉛直軸周りに回転させる。遊星ギアユニット1802は、シャフト1410が鉛直軸周りに所定回数(例えば、60回)回転する毎に、円筒部材1801を鉛直軸周りに所定回数(例えば、1回)回転させる。
【0061】
円筒部材1801の外側面上に設けられている溝G2は、図6に示されるように、上下に波打つような形状に形成されている。なお、図6(A)は円筒部材1801を正面から見た図であり、図6(B)は円筒部材1801を背面から見た図である。円筒部材1801は、駆動ユニット1412の筐体の内側面上に設けられたピンP2を溝G2に受容した状態で回転すると、溝G2が固定されたピンP2に沿うことにより、上下に移動する。円筒部材1801は遊星ギアユニット1802を介してシャフト1410と連結されているため、円筒部材1801の上位の移動に伴い、シャフト1410も上下する。その結果、図5に示したように、エアーロータ1416に対するシャフト1410の上下方向における位置が変化する。
【0062】
溝G2は、図6に示されるように、急峻に下降し緩やかに上昇する形状をしている。そのため、溝G2の下降部分がピンP2を受容した状態で円筒部材1801が回転し円筒部材1801及びシャフト1410が上昇するフェースにおいては、円筒部材1801及びシャフト1410は緩やかに上昇する。一方、溝G2の上昇部分がピンP2を受容した状態で円筒部材1801が回転し円筒部材1801及びシャフト1410が下降するフェースにおいては、円筒部材1801及びシャフト1410は緩やかに下降する。その結果、シャフト1410の鉛直軸周りの回転速度が一定の場合、ノズル1417は仰俯角を0°から130°へと速やかに増加する一方、仰俯角を130°から0°へとゆっくりと減少する。
【0063】
図7は、船倉洗浄システム本体141の挙動を示した図である。図7(A)は、非洗浄時の船倉洗浄システム本体141の状態を示している。非洗浄時に、船倉洗浄システム本体141は、内側パイプ1414が外側パイプ1413に最大限収容され、かつ、ノズル1417が水平軸周りに最大限下向きに回転された状態、すなわち、鉛直下方向を基準方向とする0°の方向にある状態となる。
【0064】
図7(B)は、洗浄の開始時の船倉洗浄システム本体141の状態を示している。洗浄の開始前に、船倉洗浄システム本体141は、内側パイプ1414が外側パイプ1413から最大限展開され、ロック状態となり、かつ、ノズル1417の仰俯角が0°の状態となる。
【0065】
図7(B)の状態において、給水管143を介して船倉洗浄システム本体141に圧送された水が供給されると、その水が駆動ユニット1412、外側パイプ1413、内側パイプ1414、エアーロータ1416の内側の経路を通ってノズル1417に達し、ノズル1417の先端から勢いよく噴射される。その際、給気管147を介して船倉洗浄システム本体141のエアーロータ1416に空気が圧送されると、その空気がエアーロータ1416の内側の経路、給気管1418を通ってノズル1417に達し、ノズル1417内で水と混合されて、水と共にノズル1417の先端から勢いよく噴射される。なお、ノズル1417へ水が供給されている間、ノズル1417への空気の供給は必須ではない。すなわち、ノズル1417からは水のみが噴射されてもよいし、水と空気の混合流体が噴射されてもよい。
【0066】
船倉洗浄システム本体141に水が供給されている間、駆動ユニット1412内の駆動機構によりシャフト1410が鉛直軸周りに回転される。そして、シャフト1410の回転に伴い、ノズル1417が鉛直軸周りに回転しつつ、徐々に、水平軸周りに回転する。すなわち、ノズル1417は、水又は水と空気の混合流体を噴射しながら、方位角方向を0°から360°の範囲内で変更しながら、例えば、方位角方向が360°変更する毎に仰俯角方向を1°ずつ増加するように変更してゆく。図7(C)は、洗浄中に、例として、ノズル1417の仰俯角が30°となった状態を示している。また、図7(D)は、ノズル1417の仰俯角が130°となった状態を示している。
【0067】
ノズル1417の仰俯角が130°に達した後、シャフト1410が鉛直軸周りに回転し続けると、ノズル1417は、引き続き水又は水と空気の混合流体を噴射しながら、方位角方向を0°から360°の範囲内で変更しながら、例えば、方位角方向が360°変更する毎に仰俯角方向を0.5°ずつ減少するように変更してゆく。そして、再び図7(C)のような状態を経た後、図7(B)の状態となる。その状態となると、洗浄の1セットが終了する。
【0068】
上記のように、ノズル1417は、方位角方向と仰俯角方向を変化させながら、水又は水と空気の混合流体を船倉12の壁面及び床面に対し勢いよく噴射する。その結果、船倉12の壁面及び床面の洗浄すべき部分の概ね全域が、ノズル1417から噴射される流体により洗浄されることになる。
【0069】
なお、ノズル1417の仰角が0°から130°に達した後、再び0°に至る洗浄工程を1セットとし、複数セットの洗浄工程が繰り返されてもよい。洗浄工程が終了すると、シャフト1410がリリース状態となった後、内側パイプ1414が外側パイプ1413に最大限収容され、図7(A)の状態となる。
【0070】
上述したノズル1417の動作は、制御装置140の制御下で動作するウォーターポンプ144、電磁弁145、エアーコンプレッサ146、電磁弁148、電磁弁151、電磁弁153、電磁弁155、電磁弁159、及び、電磁弁160の動作により実現される。
【0071】
まず、船倉洗浄システム本体141を図7(A)の状態から図7(B)の状態とするために、制御装置140は閉鎖状態の電磁弁153に開放の指示を行う。この指示に従い、電磁弁153が開放状態となる。続いて、制御装置140は、エアーコンプレッサ146に給気管154を介した空気の供給の開始を指示する。その指示に従いエアーコンプレッサ146が給気管154を介した空気の供給を開始すると、電磁弁155の圧力センサが検知する圧力が上昇する。制御装置140は、電磁弁155から通知される圧力の値が所定値に達すると、電磁弁155に開放の指示を行う。この指示に従い、電磁弁155が開放状態となると、アクチュエータ1415のヘッド側に給気が行われ、アクチュエータ1415が伸張する。その結果、内側パイプ1414が外側パイプ1413から下方向に展開される。
【0072】
続いて、制御装置140は、電磁弁153と電磁弁155に閉鎖の指示を行うとともに、エアーコンプレッサ146に給気管154を介した空気の供給の停止を指示する。これらの指示に従い、電磁弁153と電磁弁155は閉鎖状態となり、エアーコンプレッサ146は給気管154を介した空気の供給を停止する。
【0073】
続いて、制御装置140は、エアーコンプレッサ146に給気管157を介した空気の供給の開始を指示する。その指示に従いエアーコンプレッサ146が給気管157を介した空気の供給を開始すると、電磁弁160の圧力センサが検知する圧力が上昇する。制御装置140は、電磁弁160から通知される圧力の値が所定値に達すると、電磁弁160に開放の指示を行う。この指示に従い、電磁弁160が開放状態となると、エアーモータ158が外側パイプ14101を逆方向に回転させ、シャフト1410をロック状態とする。
【0074】
続いて、制御装置140は、電磁弁160に閉鎖の指示を行うとともに、エアーコンプレッサ146に給気管157を介した空気の供給の停止を指示する。これらの指示に従い、電磁弁160は閉鎖状態となり、エアーコンプレッサ146は給気管157を介した空気の供給を停止する。その結果、船倉洗浄システム本体141が図7(B)の状態となる。
【0075】
続いて、制御装置140は、ウォーターポンプ144に給水管143を介した水の供給の開始を指示する。その指示に従いウォーターポンプ144が給水管143を介した水の供給を開始すると、電磁弁145の圧力センサが検知する圧力が上昇する。制御装置140は、電磁弁145から通知される圧力の値が所定値に達すると、電磁弁145に開放の指示を行う。この指示に従い、電磁弁145が開放状態となると、ウォーターポンプ144から船倉洗浄システム本体141に供給される水がノズル1417から噴射される。また、その水の圧力によりシャフト1410が鉛直軸周りに回転し、それに伴いノズル1417が方位角方向を変化させながら、徐々に仰俯角を増加させる。
【0076】
また、ノズル1417から水と空気の混合流体の噴射が必要な場合、制御装置140は、エアーコンプレッサ146に給気管147を介した空気の供給の開始を指示する。その指示に従いエアーコンプレッサ146が給気管147を介した空気の供給を開始すると、電磁弁148の圧力センサが検知する圧力が上昇する。制御装置140は、電磁弁148から通知される圧力の値が所定値に達すると、電磁弁148に開放の指示を行う。この指示に従い、電磁弁148が開放状態となると、エアーコンプレッサ146からノズル1417に供給される空気が水と混合されてノズル1417から噴射される。
【0077】
その後、船倉洗浄システム本体141の状態が図7(C)のような状態を経た後、図7(D)の状態となり、再び図7(C)のような状態を経た後、図7(B)の状態になる。これにより、1セットの洗浄工程が終了する。
【0078】
ユーザにより設定されたセット数の洗浄工程が終了すると、制御装置140は、電磁弁145に閉鎖の指示を行うとともに、ウォーターポンプ144に給水管143を介した水の供給の停止を指示する。これらの指示に従い、電磁弁145が閉鎖状態となり、ウォーターポンプ144から船倉洗浄システム本体141に対する水の供給が停止されると、ノズル1417からの水の噴射が停止するとともに、シャフト1410の鉛直軸周りの回転及びノズル1417の仰俯角の変化が停止する。
【0079】
また、エアーコンプレッサ146から給気管147を介した空気の供給が行われている場合、制御装置140は、電磁弁148に閉鎖の指示を行うとともに、エアーコンプレッサ146に対し給気管147を介した空気の供給の停止を指示する。これらの指示に従い、電磁弁148が閉鎖状態となり、エアーコンプレッサ146からノズル1417に対する空気の供給が停止されると、ノズル1417からの空気の噴射も停止する。
【0080】
続いて、制御装置140は、エアーコンプレッサ146に給気管156を介した空気の供給の開始を指示する。その指示に従いエアーコンプレッサ146が給気管156を介した空気の供給を開始すると、電磁弁159の圧力センサが検知する圧力が上昇する。制御装置140は、電磁弁159から通知される圧力の値が所定値に達すると、電磁弁159に開放の指示を行う。この指示に従い、電磁弁159が開放状態となると、エアーモータ158が外側パイプ14101を順方向に回転させ、シャフト1410をリリース状態とする。
【0081】
続いて、制御装置140は、電磁弁159に閉鎖の指示を行うとともに、エアーコンプレッサ146に給気管156を介した空気の供給の停止を指示する。これらの指示に従い、電磁弁159は閉鎖状態となり、エアーコンプレッサ146は給気管156を介した空気の供給を停止する。
【0082】
続いて、制御装置140は、電磁弁155に開放の指示を行うとともに、エアーコンプレッサ146に給気管152を介した空気の供給の開始を指示する。その指示に従いエアーコンプレッサ146が給気管152を介した空気の供給を開始すると、電磁弁153の圧力センサが検知する圧力が上昇する。制御装置140は、電磁弁153から通知される圧力の値が所定値に達すると、電磁弁153に開放の指示を行う。この指示に従い、電磁弁153が開放状態となると、アクチュエータ1415のロッド側に給気が行われ、アクチュエータ1415が短縮する。その結果、内側パイプ1414が上方向に移動し外側パイプ1413に収容される。
【0083】
続いて、制御装置140は、電磁弁155と電磁弁153に閉鎖の指示を行うとともに、エアーコンプレッサ146に給気管152を介した空気の供給の停止を指示する。これらの指示に従い、電磁弁155と電磁弁153は閉鎖状態となり、エアーコンプレッサ146は給気管152を介した空気の供給を停止する。その結果、船倉洗浄システム本体141は図7(A)の状態となる。
【0084】
図8は、制御装置140のディスプレイに表示される設定画面を模式的に示した図である。ユーザは、この設定画面において、船倉12の洗浄前(直近)に船倉12から荷揚された積荷の種別に応じた洗浄の態様を設定することができる。本実施形態において、洗浄の態様とは、複数のノズル1417の各々からの流体の噴射の有無、噴射される流体の飛距離(有効射程距離。例えば、鉛直下方向を基準とする仰俯角130°の方向に流体を噴射した場合の水平方向の到達距離。)、空気の混合量(空気量。例えば、0~4の4段階。)、洗浄のセット数、の1以上を意味する。また、積荷の種別とは、例えば、スチールコイル、穀物、石炭、等々である。
【0085】
図8の設定画面においてユーザにより設定された積荷種別とその積荷種別に応じた洗浄の態様に関するデータは、積荷種別データとして制御装置140に記憶される。
【0086】
制御装置140には、ユーザにより設定される流体の飛距離(有効射程距離)と空気の混合量(空気量)の組合せの各々に応じた、ウォーターポンプ144から船倉洗浄システム本体141に供給される水の圧力(水圧)、給気管147から船倉洗浄システム本体141に供給される空気の圧力(気圧)、1セットの洗浄において必要となる水量、及び、1セットの洗浄に要する時間を示すテーブルが記憶されている。図9は、そのテーブルのデータ構成を例示した図である。
【0087】
図10は、制御装置140のディスプレイに表示される洗浄開始画面を模式的に示した図である。ユーザは、この洗浄開始画面において、船倉12の各々に関し、直近で荷揚された積荷の種別を選択した後、「開始」ボタンに対する押下等の操作を行うことで、選択した積荷の種別に応じた態様で、船倉洗浄システム14による船倉12の洗浄を実行させることができる。その際、制御装置140は、洗浄開始画面においてユーザにより指定された積荷の種別に応じた積荷種別データ(図8の画面において設定されたデータ)を読み出し、読み出した積荷種別データが示す有効射程距離と空気量の組み合わせに応じた水圧及び気圧を、図9のテーブルを参照して特定する。そして、制御装置140は、特定した水圧で水を供給するようにウォーターポンプ144に運転の指示を行い、また、特定した気圧で空気を供給するようにエアーコンプレッサ146に運転の指示を行う。
【0088】
上述した船倉洗浄システム14によれば、ユーザは、洗浄開始画面において簡単な操作を行うだけで、船倉12を、その船倉12から直近に荷揚された積荷の種別に応じた態様で、洗浄することができる。
【0089】
[変形例]
上述した実施形態は本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形されてよい。以下にそれらの変形例を示す。なお、以下に示す変形例の2以上が適宜組み合わされてもよい。
【0090】
(1)エアーコンプレッサ146から船倉洗浄システム本体141に圧送される空気の圧力により、船倉洗浄システム本体141内を気密及び水密に封止するための封止材に加えられる圧力が増大する等の理由で、シャフト1410の回転速度(すなわち、ノズル1417の鉛直軸周りの回転速度)が低下する場合がある。そのようなシャフト1410の回転速度の低下を抑制するために、給気管147からエアーロータ1416に供給される空気の流れる力により、シャフト1410の回転を補助する回転補助機構を備えるように、船倉洗浄システム14が構成されてもよい。
【0091】
そのような回転補助機構としては、例えば、シャフト1410のエアーロータ1416内の部分の外側面上に取り付けられた複数枚の羽根を備える機構が考えられる。そのような構成の回転補助機構においては、シャフト1410の外側面上に取り付けられた羽根が、給気管147を通じてエアーコンプレッサ146から圧送されてくる空気の流れる力を受けて、シャフト1410を回転させるように働く。
【0092】
(2)洗浄後の船倉12の乾燥を促進するために、例えば非洗浄時に、給気管147を通じて加熱された気体(例えば空気)をノズル1417に供給する加熱気体供給機構を備えてもよい。この変形例における加熱気体供給機構は、例えば、給気管147上に配置されて空気を加熱するヒータ等の加熱装置を備える。そして、エアーコンプレッサ146により、加熱された空気が船倉洗浄システム本体141に圧送され、ノズル1417から船倉12へと噴射されるように構成される。この変形例によれば、船倉12の洗浄が完了した後、加熱された空気を船倉12内へ供給することで、船倉12内の気温を上昇させ、船倉12における結露の発生を抑制することができる。
【0093】
(3)上述した実施形態においては、船倉12の洗浄時に、ノズル1417の仰俯角は0°→130°→0°と変化するものとしたが、洗浄時におけるノズル1417の仰俯角の変化のパターンはこれに限られない。また、上述した実施形態においては、洗浄中に噴射される水に混合される空気の量は変化しないものとしたが、洗浄中に噴射される水に混合される空気の量は変化してもよい。例えば、船倉12の洗浄時に、ノズル1417の仰俯角が130°→0°→130°と変化してもよい。また、船倉12の洗浄時に、仰俯角が0°の状態から、水と空気の混合流体を噴射しながら鉛直軸周りに回転しつつ仰俯角を130°の状態まで変化させて船倉12の予備洗浄を行った後、仰俯角が130°の状態から、空気の混合されない水を噴射しながら鉛直軸周りに回転しつつ仰俯角を0°の状態まで変化させて船倉12の本洗浄を行ってもよい。
【0094】
(4)上述した実施形態においては、ユーザにより、空気量が0から4までの複数段階の中から選択された値が設定可能であるものとしたが、水に空気が混合される場合、有効射程距離に応じて予め定められた空気量が用いられてもよい。例えば、有効射程距離に応じた水圧に所定の乗数を乗じた圧力を気圧とし、その水圧と気圧の組み合わせに応じて自動的に定まる量の空気が、水に混合されてもよい。
【0095】
(5)上述した実施形態においては、非洗浄時に、ノズル1417の仰俯角は0°(図7(A))であるものとしたが、非洗浄時のノズル1417の仰俯角は0°に限られない。例えば、非洗浄時に、ノズル1417の仰俯角を130°にしてもよい。その場合、ノズル1417の仰俯角を0°にする場合と比較し、船倉洗浄システム本体141の船倉12内における上下方向の長さが短くなるため、積荷が船倉12の上部に至るような場合、積荷と船倉洗浄システム本体141の干渉が低減される。
【0096】
(6)上述した実施形態においては、船倉洗浄システム本体141に対する水の供給によりシャフト1410が鉛直軸周りに回転し、その回転に伴いノズル1417の仰俯角が変化する場合を説明した。ノズル1417の仰俯角の変更は、エアーモータ150の運転によっても実現される。従って、例えば、エアーモータ150によりノズル1417の仰俯角を0°→130°→110°と変更した後、ウォーターポンプ144から船倉洗浄システム本体141への水の供給によりノズル1417の仰俯角を110°→0°と変化させてもよい。この場合、ノズル1417の仰俯角が110°から0°へと変化する間のみ、ノズル1417から水(又は水と空気の混合流体)が噴射される。例えば、ユーザにより設定されたノズル1417の仰俯角の範囲においてのみ、ノズル1417から水(又は水と空気の混合流体)の噴射が行われてもよい。
【0097】
(7)上述した実施形態においては、ノズル1417の仰俯角は、シャフト1410の鉛直軸周りの回転によってのみ変更されるものとしたが、船倉洗浄システム本体141が、シャフト1410の鉛直軸周りの回転によらずにノズル1417の仰俯角を変更する機構(仰俯角変更機構)を備えてもよい。例えば、船倉洗浄システム本体141が、水の圧力によりシャフト1410を鉛直軸周りに回転させる動力伝達機構とシャフト1410とを連結したり切り離したりするクラッチ機構と、円筒部材1801をシャフト1410周りに回転させる駆動機構とを備え、クラッチ機構により動力伝達機構とシャフト1410が切り離された状態で、駆動機構により円筒部材1801がシャフト1410周りに回転することで、ノズル1417の仰俯角を変更可能としてもよい。その場合、クラッチ機構による動力伝達機構とシャフト1410の連結及び切り離しはエアーモータ等の装置により行われてもよいし、人力により行われてもよい。また、人力により、円筒部材1801がシャフト1410周りに回転されてもよい。
【0098】
(8)上述した実施形態においては、シャフト1410は外側パイプ1413の内側に配置される内側パイプ1414が外側パイプ1413から下方に伸張する構造を備えるものとしたが、シャフト1410が伸縮する構造はこれに限られない。例えば、内側パイプが固定され、内側パイプから外側パイプが下方に伸張する構造や、外側パイプに代えてレールを備え、そのレール上を内側パイプに代わる棒状部材がスライドする構造等が採用されてもよい。また、内側パイプに代えて、中空ではない棒状部材が用いられてもよい。
【0099】
(9)上述した実施形態においては、船倉洗浄システム本体141は上甲板11に取り付けられるものとしたが、船倉洗浄システム本体141が取り付けられる位置は、船舶1の構造等に応じて適宜変更されてよい。例えば、船倉12が第1甲板と第2甲板のように複数の甲板で仕切られた複数階層の船倉である場合、それら複数の甲板のいずれに船倉洗浄システム本体141が取り付けられてもよい。また、船倉12の開口がポンツーンハッチカバーにより塞がれる場合には、ポンツーンハッチカバーに船倉洗浄システム本体141が取り付けられてもよい。なお、船倉洗浄システム本体141がポンツーンハッチカバーに取り付けられる場合、ポンツーンハッチカバーが船倉12の開口を塞いでいない状態では船倉洗浄システム本体141から給水管及び給気管が取り外され、ポンツーンハッチカバーが船倉12の開口を塞いだ状態となった後、船倉洗浄システム本体141に対する給水管及び給気管の連結が行われる。
【0100】
(10)上述した実施形態において例示したように、ノズル1417が水(又は水と空気の混合流体)を噴射しながら仰俯角を0°→130°のように変化させると、船倉12の壁面等に付着していた積荷残留物が上甲板11の下面等に飛散し付着する場合がある。そのように付着した積荷残留物を洗浄するために上甲板11の下面に向けて下方から洗浄水を噴射する洗浄装置を船倉12内に設けてもよい。
【0101】
(11)上述した実施形態において、図2及び図3に示した水又は空気の移動経路を形成するパイプと、その移動経路上に配置される弁の構成は、あくまで例示であって、様々に変更されてよい。例えば、上述した実施形態においては、図2及び図3に示したように、アクチュエータ1415に空気を供給する給気管152と給気管154の各々が直接、エアーコンプレッサ146に連結されており、それらの給気管上に個別の電磁弁、すなわち、電磁弁153と電磁弁155が各々、配置されているものとした。これに代えて、例えば、電磁弁153と電磁弁155の役割を代替するエアーマネージャを採用し、エアーコンプレッサ146から1本の給気管を介してエアーマネージャに供給される空気が、制御装置140の制御下で動作するエアーマネージャにより、アクチュエータ1415を伸張させる時には給気管154を介して空気を供給し、アクチュエータ1415を短縮させる時には給気管152を介して空気を供給するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…船舶、11…上甲板、12…船倉、13…ハッチ、14…船倉洗浄システム、140…制御装置、141…船倉洗浄システム本体、142…ウォータータンク、143…給水管、144…ウォーターポンプ、145…電磁弁、146…エアーコンプレッサ、147…給気管、148…電磁弁、149…給気管、150…エアーモータ、151…電磁弁、152…給気管、153…電磁弁、154…給気管、155…電磁弁、156…給気管、157…給気管、158…エアーモータ、159…電磁弁、160…電磁弁、170…リンク機構、180…変位機構、1410…シャフト、1411…ベースプレート、1412…駆動ユニット、1413…外側パイプ、1414…内側パイプ、1415…アクチュエータ、1416…エアーロータ、1417…ノズル、1418…給気管。
【要約】
【課題】船倉の洗浄に要する船員の手間を軽減する手段を提供する。
【解決手段】本発明にかかる船舶は、上甲板11のうち船倉の天井を構成する部分に取り付けられる船倉洗浄システム本体141を備える。船倉洗浄システム本体141は、ノズル1417から水又は水と空気の混合流体を勢いよく噴射し、船倉12の壁面や床面を洗浄する。ノズル1417は、流体を噴射しながら、鉛直軸周りに360°回転し、かつ、鉛直下方向を基準方向とする仰俯角方向に回転する。そのため、船倉洗浄システム本体141は、船倉12の洗浄すべき壁面及び床面の全域を洗浄することができる。また、船倉洗浄システム本体141は、外側パイプ1413に対する内側パイプ1414の収容及び展開により、鉛直方向における長さを伸縮できる。そのため、非洗浄時に短縮され、船倉12内の積荷の邪魔になりにくい。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10