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特許7393597オートサンプラおよびガスクロマトグラフシステムならびにそれらを含む方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】オートサンプラおよびガスクロマトグラフシステムならびにそれらを含む方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/24 20060101AFI20231130BHJP
   G01N 30/04 20060101ALI20231130BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20231130BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01N30/24 J
G01N30/04 A
G01N35/02 C
G01N35/04 G
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020552019
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 US2019017483
(87)【国際公開番号】W WO2019190645
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】15/937,959
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523113962
【氏名又は名称】パーキンエルマー・ユー・エス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】PERKINELMER U.S. LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】トリー,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ティプラー,アンドリュー
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-096734(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0370955(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0245730(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02921859(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
G01N 1/00 - 1/44
G01N 35/00 -37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスクロマトグラフ(GC)サブシステムと、
オートサンプラと
を備え、
前記オートサンプラが、
複数の座部を含むキャリアと、
前記座部のそれぞれに配置された複数のサンプルホルダであり、
サンプルを保持するように構成されたチャンバを画定する容器、および
前記容器上の可視印をそれぞれ含み、
前記容器が前記可視印が見えるようにその座部内に位置決めされる、前記複数のサンプルホルダと、
前記可視印を読み取りそれに対応する出力信号を生成するように構成された光センサと、
前記出力信号を受信するように構成されたコントローラと、
前記座部にある一組のサンプルホルダの前記可視印の画像を前記光センサへ一斉に反射するように配置され構成された少なくとも1つの鏡と、
前記サンプルホルダのうちの少なくとも1つから分析物を抜き取り、前記抜き取った分析物を前記GCサブシステムに移送するサンプリングシステムと
を含む、ガスクロマトグラフシステム。
【請求項2】
前記キャリアが、各座部内にアパーチャを含み、
各サンプルホルダが、その可視印がその座部の前記アパーチャを通して見えるようにその座部内に位置決めされ、
前記少なくとも1つの鏡が、前記アパーチャからの、前記座部にある前記一組のサンプルホルダの前記可視印の前記画像を、前記光センサへ一斉に反射する、
請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項3】
前記キャリアが、キャリア占有面積を画定し、
前記少なくとも1つの鏡および前記光センサの両方が、前記キャリア占有面積内に位置決めされる、
請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項4】
前記オートサンプラが、前記少なくとも1つの鏡に対して前記キャリアを、前記少なくとも1つの鏡が前記座部にある第1の組のサンプルホルダの前記可視印の画像を前記光センサへ一斉に反射する第1のキャリア位置から、前記少なくとも1つの鏡が前記座部にある第2の組のサンプルホルダの前記可視印の画像を前記光センサへ一斉に反射する第2のキャリア位置へ動かすように構成される、請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項5】
前記キャリアが、回転軸周りに回転可能なカルーセルであり、
前記第1のキャリア位置が、第1の回転位置であり、
前記第2のキャリア位置が、前記第1の回転位置とは異なる第2の回転位置であり、
前記第1の組のサンプルホルダの前記サンプルホルダが、第1の径方向に延在する列の前記座部内に配置され、
前記第2の組のサンプルホルダの前記サンプルホルダが、第2の径方向に延在する列の前記座部内に配置される、
請求項4に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項6】
前記第1の径方向に延在する列の前記座部が、非線形に整列している、請求項5に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記座部にある前記一組のサンプルホルダの前記可視印のそれぞれをプログラム的に自動的に識別するように構成される、請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項8】
前記可視印が、バーコードである、請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項9】
前記可視印が、二次元バーコードである、請求項8に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項10】
前記容器が、バイアルであり、
前記可視印のそれぞれが、対応するバイアルの端壁上に位置する、
請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの鏡が、複数の鏡を含む、請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項12】
前記鏡が、同一平面上にある、請求項11に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項13】
前記鏡の少なくともいくつかが、前記光センサに対して互いに異なる角度に向いている、請求項11に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項14】
前記鏡が、平らな平面反射面をそれぞれ有する、請求項11に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの鏡が、単一の鏡である、請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項16】
前記単一の鏡が、平面反射面を有する、請求項15に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの鏡が、反射面を有し、
前記光センサが、前記光センサから前記反射面への視線を有し、
前記視線が、実質的に水平であり、
前記少なくとも1つの鏡が、前記キャリアの下に位置し、
前記反射面の平面が、垂直線に対して45度より少なくとも5度大きいまたは小さい角度に配置される、
請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項18】
前記光センサが、約60から120度の範囲内の横方向走査角度の視野を有するバーコードスキャナである、請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項19】
前記光センサが、所定の被写界深度を有し、
前記光センサから前記少なくとも1つの鏡までの距離と前記少なくとも1つの鏡から前記可視印までの距離の合計が、前記被写界深度内にある、
請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項20】
前記オートサンプラが、ヒータを含むヘッドスペースサンプラであり、
前記サンプリングシステムが、分析物を各サンプルホルダのヘッドスペースから抜き取り、前記抜き取った分析物を前記GCサブシステムへ移送する抜取機構を含む、
請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項21】
ガスクロマトグラフィを実行する方法であって、
入口を含むガスクロマトグラフ(GC)サブシステムを用意することと、
複数の座部を含むキャリア、
光センサ、
コントローラ、および
少なくとも1つの鏡
を含むオートサンプラを用意することと、
前記座部のそれぞれに、複数のサンプルホルダであり、
サンプルを保持するように構成されたチャンバを画定する容器、および
前記容器上の可視印をそれぞれ含み、
前記容器が、前記可視印が見えるようにその座部内に位置決めされる、前記複数のサンプルホルダを取り付けることと、
前記少なくとも1つの鏡を使用して、前記座部にある一組のサンプルホルダの前記可視印の画像を前記光センサへ一斉に反射することと、
前記光センサを使用して、前記可視印を読み取り、それに対応する出力信号を前記コントローラへ生成することと、
前記サンプルホルダのうちの少なくとも1つから分析物を抜き取り、前記抜き取った分析物を前記GCサブシステムへ移送することと
を含む、方法。
【請求項22】
複数の座部を含むキャリアと、
前記座部のそれぞれに配置された複数のサンプルホルダであり、
サンプルを保持するように構成されたチャンバを画定する容器、および
前記容器上の可視印をそれぞれ含み、
前記容器が前記可視印が見えるようにその座部内に位置決めされる、前記複数のサンプルホルダと、
前記可視印を読み取りそれに対応する出力信号を生成するように構成された光センサと、
前記出力信号を受信するように構成されたコントローラと、
前記座部にある一組のサンプルホルダの前記可視印の画像を前記光センサへ一斉に反射するように配置され構成された少なくとも1つの鏡と、
前記サンプルホルダのうちの少なくとも1つから分析物を抜き取るサンプリングシステムと
を備える、オートサンプラ。
【請求項23】
前記可視印のそれぞれは、対応する前記容器の底にあり、
少なくとも1つの前記鏡は、前記座部にある前記一組のサンプルホルダの前記可視印の前記画像を、前記容器の前記底から前記光センサまで、一斉に反射するように配置され構成されている、請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項24】
前記可視印のそれぞれは、対応する前記容器の端壁にあり、
少なくとも1つの前記鏡は、前記座部にある前記一組のサンプルホルダの前記可視印の前記画像を、前記端壁から前記光センサまで、一斉に反射するように配置され構成されている、請求項1に記載のガスクロマトグラフシステム。
【請求項25】
前記可視印のそれぞれは、対応する前記容器の底にあり、
前記座部にある前記一組のサンプルホルダの前記可視印の前記画像を前記光センサに一斉に反射するステップは、
前記座部にある前記一組のサンプルホルダの前記可視印の前記画像を、前記容器の前記底から前記光センサに一斉に反射することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記可視印のそれぞれは、対応する前記容器の端壁にあり、
前記座部にある前記一組のサンプルホルダの前記可視印の前記画像を前記光センサに一斉に反射するステップは、
前記座部にある前記一組のサンプルホルダの前記可視印の前記画像を、前記端壁から前記光センサに一斉に反射することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記可視印のそれぞれは、対応する前記容器の底にあり、
少なくとも1つの前記鏡は、前記座部にある前記一組のサンプルホルダの前記可視印の前記画像を、前記容器の前記底から前記光センサまで、一斉に反射するように配置され構成されている、請求項22に記載のオートサンプラ。
【請求項28】
前記可視印のそれぞれは、対応する前記容器の端壁にあり、
少なくとも1つの前記鏡は、前記座部にある前記一組のサンプルホルダの前記可視印の前記画像を、前記端壁から前記光センサまで、一斉に反射するように配置され構成されている、請求項22に記載のオートサンプラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、ガスクロマトグラフィに関し、より詳細には、ガスクロマトグラフシステムのサンプラに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフィは、サンプル化合物の分離または分析のために分析化学でよく使用される。例えば、ガスクロマトグラフは、サンプルの純度の試験、化合物の同定、混合物の異なる成分の分離、または混合物からの化合物の調製(例えば、精製)に使用することができる。ガスクロマトグラフィは、本質的に、キャリアガス中の被験サンプルの構成物質がカラム内の固定相材料によって吸着および脱着される、物理的な分離方法である。サンプルのプラグは、定常流のキャリアガスに注入される。この固定相材料とサンプルの様々な成分との相互作用は、成分の分配係数の違いに応じて異なり、この相互作用によってサンプルはそれぞれの成分に分離される。やがて、カラムの端で、個々の成分がほぼ分離される。蒸気の検出は、キャリブレーションまたは既知のサンプルとの比較によって被験サンプル中の構成物質およびそれらの濃度を示す、時間目盛のパターンをもたらす。
【0003】
一般的に、そのようなシステムの主な構成要素は、カラム、サンプルをキャリアガスに導入し混合物をカラム内へと通すインジェクタ、サンプルをインジェクタへ移送する装置、カラムの外端にある検出器、ガス制御装置、および検出器からの出力を処理し表示するコンピュータなどの装置である。オーブンは、広範な揮発性を含み得る成分の気化を可能にし、構成物質の識別を向上させるように温度を上昇させるために使用され得る。
【0004】
いくつかの適用例では、ヘッドスペースサンプラが、サンプル成分をカラムに選択的に供給することに使用される。固体、液体または気体のサンプルは、バイアルまたは他の容器内に用意される。ヘッドスペースサンプラは、抜取針とオートサンプラを含む。バイアルは、オートサンプラのプラッタ(platter)(例えば、カルーセルマガジン)内に保持される。オートサンプラは、各バイアルをヘッドスペースサンプラ内の所定の位置へ送達し、そこで抜取針がバイアルに挿入される。次いで、サンプルの気体アリコートがバイアルのヘッドスペースから針によって抜き取られる。次いで、抜き取られたアリコートは、直接または介在するトラップを介してカラムへ送達される。
【発明の概要】
【0005】
この技術の実施形態によれば、ガスクロマトグラフシステムは、ガスクロマトグラフ(GC)サブシステムと、オートサンプラとを含む。オートサンプラは、複数の座部を含むキャリアと、座部のそれぞれに配置された複数のサンプルホルダとを含む。各サンプルホルダは、サンプルを保持するように構成されたチャンバを画定する容器と、容器上の可視印とを含み、容器は、各容器上の可視印が見えるようにその座部内に位置決めされる。オートサンプラは、さらに、光センサと、コントローラと、少なくとも1つの鏡と、サンプリングシステムとを含む。光センサは、可視印を読み取りそれに対応する出力信号を生成するように構成される。コントローラは、出力信号を受信するように構成される。少なくとも1つの鏡は、座部にある一組のサンプルホルダの可視印の画像を光センサへ一斉に反射するように配置され構成される。サンプリングシステムは、サンプルホルダのうちの少なくとも1つから分析物を抜き取り、抜き取った分析物をGCサブシステムに移送するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、キャリアは、各座部内にアパーチャを含み、各サンプルホルダは、その可視印がその座部のアパーチャを通して見えるようにその座部内に位置決めされ、少なくとも1つの鏡は、アパーチャからの、座部にある一組のサンプルホルダの可視印の画像を、光センサへ一斉に反射する。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、キャリアは、キャリア占有面積を画定し、少なくとも1つの鏡および光センサの両方がキャリア占有面積内に位置決めされる。
【0008】
いくつかの実施形態では、オートサンプラは、少なくとも1つの鏡に対してキャリアを、少なくとも1つの鏡が座部にある第1の組のサンプルホルダの可視印の画像を光センサへ一斉に反射する第1のキャリア位置から、少なくとも1つの鏡が座部にある第2の組のサンプルホルダの可視印の画像を光センサへ一斉に反射する第2のキャリア位置へ動かすように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、キャリアは、回転軸周りに回転可能なカルーセルであり、第1のキャリア位置は、第1の回転位置であり、第2のキャリア位置は、第1の回転位置とは異なる第2の回転位置であり、第1の組のサンプルホルダのサンプルホルダは、第1の径方向に延在する列の座部内に配置され、第2の組のサンプルホルダのサンプルホルダは、第2の径方向に延在する列の座部内に配置される。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、第1の径方向に延在する列の座部は、非線形に整列している。
【0011】
いくつかの実施形態では、コントローラは、座部にある一組のサンプルホルダの可視印のそれぞれをプログラム的に自動的に識別するように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、可視印は、バーコードである。いくつかの実施形態では、可視印は、二次元バーコードである。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、容器はバイアルであり、可視印のそれぞれは、対応するバイアルの端壁上に位置する。
【0014】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの鏡は、複数の鏡を含む。いくつかの実施形態では、鏡は、同一平面上にある。いくつかの実施形態では、鏡の少なくともいくつかは、光センサに対して互いに異なる角度に向いている。いくつかの実施形態では、鏡は、平らな平面反射面をそれぞれ有する。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの鏡は、単一の鏡である。いくつかの実施形態では、単一の鏡は、平面反射面を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの鏡は、反射面を有し、光センサは、光センサから反射面への視線を有し、視線は、実質的に水平であり、少なくとも1つの鏡は、キャリアの下に位置し、反射面の平面は、垂直線に対して45度より少なくとも5度大きいまたは小さい角度に配置される。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、光センサは、約60から120度の範囲内の横方向走査角度の視野を有するバーコードスキャナである。
【0018】
いくつかの実施形態では、光センサは、所定の被写界深度を有し、光センサから少なくとも1つの鏡までの距離と少なくとも1つの鏡から可視印までの距離の合計は、被写界深度内にある。
【0019】
いくつかの実施形態では、サンプラは、ヒータを含むヘッドスペースサンプラであり、サンプリングシステムは、分析物を各サンプルホルダのヘッドスペースから抜き取り、抜き取った分析物をGCサブシステムへ移送する抜取機構を含む。
【0020】
この技術の実施形態によれば、ガスクロマトグラフィを実行する方法は、ガスクロマトグラフ(GC)サブシステムおよびオートサンプラを用意することを含む。GCサブシステムは、入口を含む。オートサンプラは、キャリアと、光センサと、コントローラと、少なくとも1つの鏡とを含む。キャリアは、複数の座部を含む。方法は、座部のそれぞれに、複数のサンプルホルダであり、サンプルを保持するように構成されたチャンバを画定する容器、および容器上の可視印それぞれ含み、容器が可視印が見えるようにその座部内に位置決めされる、複数のサンプルホルダを取り付けることを含む。方法は、さらに、少なくとも1つの鏡を使用して、座部にある一組のサンプルホルダの可視印の画像を光センサへ一斉に反射することと、光センサを使用して、可視印を読み取り、それに対応する出力信号をコントローラへ生成することと、サンプルホルダのうちの少なくとも1つから分析物を抜き取り、抜き取った分析物をGCサブシステムへ移送することとを含む。
【0021】
この技術の実施形態によれば、オートサンプラは、複数の座部を含むキャリアと、座部のそれぞれに配置された複数のサンプルホルダとを含む。各サンプルホルダは、サンプルを保持するように構成されたチャンバを画定する容器と、容器上の可視印とを含み、容器は、可視印が見えるようにその座部内に位置決めされる。オートサンプラは、さらに、可視印を読み取りそれに対応する出力信号を生成するように構成された光センサと、出力信号を受信するように構成されたコントローラと、座部にある一組のサンプルホルダの可視印の画像を光センサへ一斉に反射するように配置され構成された少なくとも1つの鏡と、サンプルホルダのうちの少なくとも1つから分析物を抜き取るサンプリングシステムとを含む。
【0022】
本技術のさらなる特徴、利点および詳細は、当業者には、図面および以下にある好ましい実施形態の、本技術の単なる例示である詳細の説明を読めば理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この技術の実施形態によるオートサンプラの断片的な左下からの正面斜視図である。
図2図1のオートサンプラの上からの正面斜視図である。
図3図1のオートサンプラを含むサンプル分析装置システムの概略線図である。
図4図1のオートサンプラの一部を形成するキャリアの断片的な断面図である。
図5図1のオートサンプラに使用される容器の底面斜視図である。
図6図1のオートサンプラの断片的な上面図である。
図7図1のオートサンプラの断片的な正面図である。
図8図1のオートサンプラの断片的な左側面図である。
図9】キャリア内の一組の座部および読み取られるべき一組のバーコードを示す、図1のオートサンプラの断片的な底面図である。
図10図9の座部およびバーコードの処理画像の図である。
図11図3のサンプル分析装置システムの一部を形成するコントローラの概略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本明細書の以下において、本技術の例示的な実施形態が示される添付図面を参照して、本技術をさらに十分に説明する。図面において、領域または特徴の相対的なサイズは、明瞭にするために誇張されている。しかし、この技術は、多くの異なる形態で実現され得るものであり、本明細書に示す実施形態に限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示を十分かつ完全にするように提供されるものであり、当業者にこの技術の範囲を十分に伝えるものである。
【0025】
第1、第2などの用語は、本明細書において、様々な要素、構成要素、領域、層および/またはセクションの説明に使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されよう。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、またはセクションを他の領域、層またはセクションと区別するためだけに使用される。したがって、以下に論じられる第1の要素、構成要素、領域、層またはセクションは、本技術の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層またはセクションと呼ぶことができる。
【0026】
「真下」、「下方」、「下側」、「上方」、「上側」などのような空間的に相対的な用語は、本明細書では、図面に示すような、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を記述するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図面に示した向きに加えて、使用中または動作中の装置の異なる向きを包含することを意図することを理解されよう。例えば、図中の装置が上下反転された場合、他の要素または特徴の「下方」または「真下」にあると記述される要素は、他の要素または特徴の「上方」に向けられる。したがって、例示的な用語「下方」は、上方および下方の両方の向きを包含することができる。デバイスは、他の向き(90度回転、または他の向き)にすることもでき、本明細書で使用される空間的に相対的な記述は、これに従って解釈される。
【0027】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、別途明確に指示されていない限り、同様に複数形も含むものとする。さらに、用語「含む」、「備える」、「含んでいる」および/または「備えている」は、本明細書で使用される場合、言及されている特徴、整数、段階、動作、要素、および/または成分の存在を明示してはいるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、段階、動作、要素、成分および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないと理解されよう。要素が他の要素に「連結される」または「結合される」と言及される場合、他の要素に直接的に連結または結合され得るか、介在する要素が存在することもあると理解されよう。本明細書で使用される場合、用語「および/または」は、関連の列挙した項目の1つまたは複数の任意および全部の組み合わせを含む。
【0028】
用語「自動的に」は、動作を、実質的に人間または手動入力なしで行い、完全に行うことができ、プログラム的に誘導または実行することができることを意味する。
【0029】
用語「プログラム的に」は、コンピュータプログラムモジュール、コードおよび/または命令によって電子的に誘導されるおよび/または主として実行される動作を示す。
【0030】
用語「電子的に」は、構成要素間の無線および有線接続の両方を含む。
【0031】
図面を参照すると、図面には、この技術のいくつかの実施形態によるサンプル分析装置システム10が概略的に示されている。サンプル分析装置システム10は、サンプル供給システム、自動化されたサンプラ装置またはオートサンプラ100、ガスクロマトグラフ(GC)システム20、コントローラ50および複数のサンプルホルダ60を含む。システム10は、タッチスクリーンのディスプレイなどのヒューマン-マシンインターフェース(HMI)12を含むことができる。
【0032】
GCシステム20は、任意の適当なGC機器とすることができる。図3を参照すると、例示的なGCシステム20は、サンプル供給ライン22、カラム24、ヒータまたはオーブン26、および検出器28を含む。使用中、サンプルは、キャリアガス(移動相、例えばヘリウムまたは窒素)によって、オートサンプラ100から供給ライン22を通ってカラム24の入口へと運ばれ、カラム24を通って検出器28へと運ばれて、その後、廃棄物収集、さらなる検出器または他の所望の行先へと運ばれる。オーブン26は、カラム24とサンプルの温度を制御するためにサンプルが通過する前、間および/または後にカラム24を選択的に加熱する。カラム24は、カラム24の内壁内または内壁上に選択固定相の内層または充填剤を含む。サンプルの気体化合物は、成分ごとに異なる親和性を有しサンプルの異なる成分を異なる時間保持する固定相と相互作用する。その結果、異なる化合物が異なる時間で溶出し、カラム24を通過して検出器28に入るのに要する時間が異なってくる(すなわち、これらの成分は、カラム24内での異なる保持時間を有する)。検出器28は、カラム24からの流出流を監視し、各分析対象成分がカラム24から出て検出器28に達する時間および/または分析物の量を検出または感知する。検出器28からの検出データは、クロマトグラフデータ処理システムによって記憶され処理され得る。キャリアガス流量(流量コントローラを用いて)、カラムおよび/または移動相温度(GCオーブン26を用いて)、ならびにサンプル注入のタイミングおよび速度を含む、プロセスの様々なパラメータは、コントローラ50によって制御され得る。
【0033】
図1図11を参照すると、オートサンプラ100は、支持フレーム110、サンプルホルダ取扱または輸送システム140、サンプルホルダ監視システム170、抜取またはサンプリングシステム120、および複数のサンプルホルダ60を含む。
【0034】
フレーム110は、カルーセル支持部112、鏡支持部113、バーコードリーダ支持部114、上側ハウジング115A(図2)、および下側ハウジング115Bを含む。フレーム110は、第1の軸H-H、および直角をなす第2の軸V-Vを有する。いくつかの実施形態では、図示のように、軸H-Hは水平軸であり、軸V-Vは垂直軸である。
【0035】
サンプリングシステム120は、サンプリングステーション122、およびキャリアガス供給源128を含む。サンプリングステーション122は、ヒータ124、抜取針126、およびトラップ130を含む。これらの構成要素のいくつかまたは全部は、ハウジング115A、115B内に取り付けることができる。
【0036】
ヒータ124は、サンプルホルダ60を加熱するためにサンプリングステーション122内に位置決めされる。ヒータ124は、例えば、電気抵抗ヒータとすることができる。
【0037】
キャリアガスは、任意の適当なガスとすることができる。キャリアガスとしては、例えば、ヘリウム、窒素、水素またはアルゴンが挙げられ得る。
【0038】
コントローラ50は、任意の適当な装置または本明細書に記載される機能性を提供する装置とすることができる。コントローラ50は、協働するおよび/または本明細書に記載の機能を独立して実行する、複数の別個のコントローラ50を含むことができる。コントローラ50は、マイクロプロセッサを用いたコンピュータを含むことができる。
【0039】
サンプルホルダ輸送システム140は、移送機構144、およびサンプルホルダトレイ、プラッタ、マガジンまたはカルーセルサンプルキャリア150の形態のキャリアを含む。
【0040】
キャリア150は、回転軸B-B周りに回転するようにカルーセル支持部112に取り付けられる。カルーセルアクチュエータ142(例えば、1つまたは複数の電気モータ)は、例えば、コントローラ50の制御のもとでカルーセル112の回転を駆動するように設けられる。
【0041】
カルーセルキャリア150は、互いに反対にある上面150Aおよび底面150Bを有する。キャリア150には、複数のサンプルホルダ座部151(図4)が設けられる。各座部151は、頂部開口155と連通するボア、レセプタクルまたはスロット152を画定する側壁153および底壁154を含む。アパーチャ157は、各底壁154内に画定される。各座部151は、それぞれのサンプルホルダ60を、収納および輸送のために(上から)受容し解放可能に保持するように構成される。
【0042】
座部151は、所定の構成に配置される。いくつかの実施形態では、図示のように、座部151は、一連の同心リングC1~C5のように配置される。座部151は、さらに、複数の径方向に延在する(すなわち回転軸B-Bから径方向外方に延在する)列を画定する。以下に論じ、例示するように、径方向に延在する列は、不均一であってもよく、重なり合ってもよく、かつ/または非線形であってもよい。
【0043】
移送機構144は、フレームに取り付けられるロボット移送アーム146(図2)の形態のロボット移送機構、およびアームに取り付けられるエンドエフェクタまたはグリッパを含むことができる。ロボットアクチュエータ148(例えば、1つまたは複数の電気モータ)は、例えば、コントローラ50の制御のもとでキャリア150からサンプル管を保持(例えば、把持)して他の場所に輸送するようにアーム146およびグリッパを動かすように設けられる。
【0044】
サンプル管監視システム170は、光センサ171、および複数の鏡180を含む。鏡180は、鏡のアレイ181として配置される。サンプル管監視システム170は、光センサ171から離れたところに補助光源184を含むことができる。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、光センサ171は、バーコードリーダ172の一部を形成する。バーコードリーダ172は、受光窓174を有する。バーコードリーダ172は、光センサ171に広いまたは広範な視野をもたらすレンズ175を含むことができる。バーコードリーダ172は、光源184に加えて、またはその代わりに一体化された発光体またはレーザを含むことができる。
【0046】
バーコードリーダ172は、受光軸(reception axis)RA(図6および図7)を有する。図6には、バーコードリーダ172の視野VOFおよび焦点距離FLが概略的に示されている。図6には、バーコードリーダ172の水平走査角LSAが概略的に示されている。図7には、バーコードリーダ172の垂直走査角VSAが概略的に示されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、バーコードリーダ172は、水平走査角LSA(図6)が約60から120度の範囲内の視野を有する。
【0048】
光センサ171のための適当なバーコードリーダおよびバーコードリーダ172としては、MicroScan ID20バーコードリーダが挙げられ得る。光センサ171のための他の適当な光センサとしては、JADAK JE-205バーコードスキャンエンジンが挙げられ得る。
【0049】
バーコードリーダ172は、バーコードリーダ支持部114に取り付けられる。フレーム110は、キャリア150の下にキャビティ、空隙またはチャンバ116を画定する。いくつかの実施形態では、バーコードリーダ172の少なくとも受光窓174は、キャリア150の真下の、キャリア150の垂直輪郭または占有面積FP(図1)内に配置される。
【0050】
鏡180は、鏡支持部113に取り付けられる。図示のように、機器は、5つの鏡180を含む。しかし、要望に応じてより多いまたは少ない鏡180を設けることもできる。各鏡180は、反射面182を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、鏡180は、平らな平面鏡である。
【0052】
図5には、サンプルホルダ60の例示的なものが図示されている。サンプルホルダ60は、サンプル管軸T-Tを有する器または容器62を含む。いくつかの実施形態では、容器62は、図示のように円筒形バイアルである。容器62は、側壁63、および底端62Bに一体の底端壁64を含む。壁63、64は、上端62Aの入口開口67で終端する閉じ込めチャンバ66を画定する。
【0053】
容器62は、任意の適当な材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、容器62は、鋼またはガラスからなる群から選択される材料から形成される。
【0054】
サンプルホルダ60は、開口67を流体封止する入口エンドキャップ68をさらに含む。エンドキャップ68は、穿孔可能セプタム69を含むことができる。セプタム69は、任意の適当な材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、セプタム69は、ゴムから形成される。
【0055】
サンプルホルダ60は、容器62の端壁64に可視印70をさらに含む。可視印70は、任意の適当なコンピュータ可読印とすることができる。可視印70は、任意の適当な符号化された印、記号の印または識別印とすることができる。いくつかの実施形態では、図面に示されるように、可視印70は、端壁64の幅または直径に分散した二次元データマトリクスバーコードである。印70は、1つまたは複数の形態の印を含むこともできる。
【0056】
バーコード(または他の可視印)70は、任意の適当な材料から形成することができ、任意の適当な技法により容器62に固定することができる。いくつかの実施形態では、バーコード70は、容器62上に恒久的に配置(すなわち、固定または形成)される。いくつかの実施形態では、バーコード70は、容器62の表面(例えば、外面)に恒久的にエンボス加工またはエッチングされる。いくつかの実施形態では、バーコード70は、容器62の表面(例えば、外面)に印刷(いくつかの実施形態では、恒久的に印刷)される。いくつかの実施形態では、バーコード70は、別個のラベル構成要素(例えば、片面自己接着性ラベル)上に配置(例えば、印刷)され、それが容器62の表面(例えば、外面)に接着される。
【0057】
サンプル分析装置システム10は、本技術の方法に従って以下のように使用し、動作させることができる。コントローラ50、アクチュエータ142、バーコードリーダ172、サンプリングシステム120およびGCシステム20は、この方法を実行する働きをする制御システムとして集合的に機能する。
【0058】
1つまたは複数のサンプルホルダ60は、カルーセルキャリア150の座部151のスロット152のそれぞれに取り付けられる。各サンプルホルダ60およびカルーセルキャリア150内におけるその位置は、識別することができ、コントローラ50に関連付けられたサンプルホルダデータメモリ222(図11)に登録または索引付けされる。各サンプルホルダ60は、そのバーコード70で表される一意の識別を有する。
【0059】
一般に、選択されたサンプルホルダ60内のサンプルNの分析をしたいとき、サンプルホルダ60は、ロボットアーム146によってカルーセルキャリア150からサンプリングステーション122へ輸送される。サンプリングステーション122は、以下にあるサンプリングまたは抜取ステップの間にサンプルホルダ60を保持するためのスロットまたは他の座部を含むことができる。
【0060】
次いで、サンプリングステーション122は、ヒータ124を用いてサンプルホルダ60を加熱する。
【0061】
サンプリングステーション122は、さらに、加熱によって、および/またはガスを用いてサンプルホルダ60のチャンバ66を加圧することができる。例えば、針は、セプタム69を貫通してチャンバ66に挿入され、キャリアガスまたは他の加圧ガスを導入するのに使用され得る。
【0062】
次いで、サンプリングステーション122は、抜取針126をセプタム69を貫通してサンプルホルダ60のヘッドスペースHSに挿入する(または、抜取針126をキャリアガスの導入に使用した場合は、抜取針をヘッドスペースHS内の所定位置に残しておいてもよい)。ヘッドスペースHSは、チャンバ66の、気相のサンプルN(および、いくつかの実施形態ではキャリアガス)で満たされた上側部分である。いくつかの実施形態では、ある量の液相または気相サンプルNがヘッドスペースHSの下のチャンバ66内にある。次いで、サンプリングステーション122は、抜取針126により気体サンプルNのアリコートをヘッドスペースHSから取り出す、または吸引する。アリコートは、キャリアガスの加圧流れおよび/またはチャンバ66内の残圧によってサンプルホルダ60から抜き出される、押し出されるまたは押し流され得る。
【0063】
サンプル/キャリアガス混合物は、トラップ130へと流され、そこでサンプルは凝縮される。サンプル/キャリアガス混合物は、トラップ130から、供給ラインを通ってGCシステム20のカラム24に流入する。GCシステム20において、サンプルは上述したように処理される。次いで、サンプルホルダ60は、カルーセルキャリア150に戻される、または他の場所に配置され得る。
【0064】
次に、サンプルホルダ60の取り扱い、およびサンプル管監視システム170の動作についてより詳細に述べることにする。いくつかの実施形態では、以下に論じるステップの1つまたは複数を省略することができると理解されよう。
【0065】
軸B-B周りのキャリア150の回転により、鏡180に対する座部151の水平方向位置が変わる。コントローラ50は、サンプルホルダ60の選択された組G(図1および図7図9)が所定の読取位置につくように、カルーセルキャリア150を回転させる。読取位置では、選択された組Gの各サンプルホルダ60のバーコード70は、以下により詳細に記載するように、バーコードリーダ172の視野FOV内にある。バーコードリーダ172は、バーコード70を読み取り、バーコード70に対応する出力信号をコントローラ50に送信する。より具体的には、いくつかの実施形態では、(光センサ171を含む)バーコードリーダ172は、バーコード70(可視印)に対応するパターンの電圧レベルを有する電気出力信号を生成するように構成される。コントローラ50は、その出力信号を受信し処理するように構成される。いくつかの実施形態では、出力信号は、バーコード70のそれぞれに対応する画像データを表すまたは具現化する。出力信号は、画像データを参照して本明細書で以下に説明するが、いくつかの実施形態では、出力信号は、画像データ以外の一次元データ列などのデータを表すまたは具現化することもできる。
【0066】
コントローラ50は、画像データを処理し、キャリア座部151に対する各バーコード70の位置を決定し、バーコード70に具現化されたデータを解読する。いくつかの実施形態では、コントローラ50は、前記位置の決定および前記データの解読のために画像データをプログラム的に自動的に処理する。
【0067】
次いで、コントローラ50は、組Gがサンプリングステーション122に対して適切に位置決めされるまでアクチュエータ142を動作させてカルーセルキャリア150を回転させる。次いで、上述したように、組Gのサンプルホルダ60の所望のものがカルーセルキャリア150から取り出され、サンプルホルダ60内のサンプルNのアリコートを抜き取りGCシステム20へ移送するように処理される。
【0068】
オートサンプラ100の動作に移ると、より詳細には、鏡180は、バーコードリーダ172がキャリア150内の一組のバーコード70の画像を一斉に受けることができるように位置決めされる。鏡180は、キャリア150の下に1列に配置される。バーコードリーダ172の受光窓174は、鏡180から距離DBだけ横にずれている(図7)。選択された組のバーコード70の画像(すなわち、画像から反射した入射光)は、バーコード70からアパーチャ157を通って鏡180によって反射され、受光窓174を通ってバーコードリーダ172の光センサ171に達する。読み取られるべきバーコード70の選択される組は、カルーセルキャリア150が回転されそれによって鏡180に対するアパーチャ157の位置が変わることで選択的に変えられ得る。
【0069】
例えば、図1および図7図9を参照すると、キャリア150が第1の位置に動かされ位置決めまたは割り出されているシステム10が図示されている。キャリア150のこの位置では、5つの座部151A~Eのアパーチャ157は5つの鏡180のそれぞれの真上(垂直、または軸V-Vに対して平行)に位置決めされる。5つの座部151A~Eは、対応する組Gのサンプルホルダ60A~Eを保持する座部151の組Jを構成する。サンプルホルダ60A~Eのバーコード70A~Eはそれぞれ、それらの座部151A~Eのアパーチャ157を介してそれぞれの鏡180の視線LM内にある。
【0070】
各鏡180もバーコードリーダ172の視線LB内にある。各鏡180の反射面182は、バーコードリーダ172の受光軸RAに対して斜角ABに配置される。バーコード70A~Eのそれぞれから発せられる入射光線(例えば、可視印70A~Eから反射した環境光)は、全体的に視線LMに沿って進み、反射光線として反射角ACの対応する反射面182によって反射され、全体的に視線LBに沿って進む。反射光線は、受光窓174へと向けられる。いくつかの実施形態では、反射光線は、バーコードリーダ172の受光軸RAに対して実質的に平行に進む。したがって、バーコード70A~Eの各画像からの光は、アパーチャ157を通って反射面182、そしてバーコードリーダ172へと向かう経路を進み、そこで画像は上述したように光センサ171によって検出されバーコードリーダ172によって処理される。
【0071】
いくつかの実施形態では、(反射面182の法線に対する)入射光線の入射角AI(図7)は、約30から60度の範囲内の角度である。
【0072】
いくつかの実施形態では、(反射面182の法線に対する)反射光線の反射角AR(図7)は、約30から60度の範囲内の角度である。
【0073】
いくつかの実施形態では、入射光線と受光軸RAとの間の角AC(図7)は、約60から120度の範囲内の角度である。
【0074】
いくつかの実施形態では、バーコードリーダ172は、最小視距離(view distance)NDOFから最大視距離MDOFまで延在する所定の被写界深度DOFを有し、焦点距離FLは、NDOFとMDOF(図6)との間の距離である。受光窓174から鏡反射面182までの距離DBと鏡反射面182からバーコード70A~Eまでの距離DMの合計は、被写界深度DOF内にある(すなわち、合わせた距離は、距離NDOFと距離MDOFとの間の範囲内にある)。
【0075】
いくつかの実施形態では、バーコードリーダ172は、反射面182のすべてがバーコードリーダ172の視野FOV内に位置するように、鏡180から間隔を置いて配置される。
【0076】
いくつかの実施形態では、各反射面182は、垂直線V-Vに対して45度ではない(すなわち、45度より大きい、または小さい)傾斜角AE(図7)を形成する。いくつかの実施形態では、角AEは、45度より少なくとも5度大きい、または小さい。いくつかの実施形態では、角AEは、45度より約5から15度大きいまたは小さい範囲内の角度である。角AEは45度からかなりずれるので、アパーチャ157を通る反射面182の視線は、スロット152の垂直軸V-Vに対して非平行となる。その結果、視線LMは、スロット152の側壁を横切ることになる。座部151がサンプルホルダ60に占領されていない場合、この構成は、頭上の光源からの光が直接スロット開口155とアパーチャ157を通り反射してバーコードリーダ172に達することを防ぐことができる。そのような真上からの光の侵入により、他の座部151のうちの一つ内のバーコード70を読み取るバーコードリーダの能力が損なわれるおそれがある。
【0077】
いくつかの実施形態では、コントローラ50は、バーコード70A~Eの角または他の境界を識別し、その情報を用いて、各対応するサンプルホルダ60A~Eが配置されているのはどの座部151かを識別する。それによって、コントローラ50は、各サンプルホルダ60A~Eを既知の座部151位置に登録する。例えば、図10は、バーコードリーダ172で受けられコントローラ50によって処理されたときの、キャリア150、座部151A~Eおよびバーコード70A~Eの画像を示している。コントローラ50によって、(未処理の画像から)各バーコード70A~Eの角が識別され、境界71(例えば、フィッティング技法を用いる)およびキャリア150に対する各バーコード70A~Eの空間位置が決定されている。これから、コントローラ50は、(例えば、以下に記載するようなカルーセルデータ226を用いて)各バーコード70A~Eを保持する座部151A~Eを決定することができる。
【0078】
コントローラ50は、各バーコード70A~Eを解読し、それらに含まれるデータが既知の位置にあるサンプルホルダ60A~Eに関連付けられ、その後、手順を通してサンプルホルダとサンプルに関連付けられ得る。
【0079】
次いで、キャリア150は、鏡180の上に新しい第2の組の座部151がくるように軸B-B周りに回転され得る。それによって、選択された第2の組のサンプルホルダ60のバーコード70がそれらのアパーチャ157を介して鏡180に対して露出し、鏡180によって反射され、受光窓174を通ってバーコードリーダ172の光センサ171に向けられる。
【0080】
例えば、キャリア150は、第2の組Kの座部151Aおよび151F~Iが鏡180の上に位置決めされるように回転され得る。次いで、これらの座部151Aおよび151F~Iのサンプルホルダ60のバーコード70の画像が上述したように鏡180によってバーコードリーダ172へ一斉に反射され、バーコードリーダ172によって読み取られる。
【0081】
場合により、バーコードリーダ172に対して整列されバーコードリーダ172へと反射される座部151のより多くのうちの1つ(one of more)にサンプルホルダ60がないこともあると理解されよう。
【0082】
座部151の反射される各組のサイズおよび空間配置は変えてもよい。例えば、座部151の一組を、図9に示されるように、座部151A~Eの径方向に延在する列に配置することができる。列の座部157A~Eは、(例えば、図9に示されるように)非線形に整列されてもよい。キャリア150の異なる回転位置で鏡180に対して整列される座部の他の組は、5つ未満の(またはより多い)座部151を含んでもよい。いくつかの座部151は、キャリア150の1つより多い回転位置で可視できてもよい。コントローラ50は、その組のサイズもしくは空間レイアウトに関係なく、または座部が1つよりも多い読み取られる組に存在しているかどうかに関係なく、上述したように読み取られる各サンプルホルダ60の位置を識別するように構成することができる。
【0083】
サンプル分析装置システム10、具体的にはサンプル管監視システム170は、座部151が空間的に分散していても、キャリアの各座部の可視印70を読み取ることができる。監視システム170は、一組のサンプルホルダ60を同時に読み取ることができ、したがってより効率的で信頼性の高い動作を提供することができる。監視システム170は、静止したバーコードリーダ172を用いてこれを達成することができる。鏡180に対して座部151の位置を選択的に動かすようにキャリア150を動かすだけでよい。
【0084】
サンプル分析装置システム10は、比較的コンパクトな形状ファクタを維持しながら、前述したことを達成することができる。鏡180を使用することで、バーコードリーダ172とバーコードリーダ172の被写界深度内にある可視印70との間の有効視距離を保持しつつ、バーコードリーダ172を、サンプルホルダが読み取り中に位置決めされる場所に対して横により近づけて(図示のようにキャリア150の下であっても)配置することが可能になる。
【0085】
いくつかの実施形態では、反射面182は、互いに対して異なるように傾斜していてもよい。鏡の角度が異なることは、異なる位置にある鏡とバーコードリーダとの間により良い視線を実現することに使用することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、監視システムは、読み取られるべき1つの座部当たり1つ未満の鏡を使用する。いくつかの実施形態では、5つの鏡180が単一のより大きな鏡に取って代わられる。
【0087】
本明細書に記載される動作は、コントローラ50によってまたはそれを介して実行することができる。アクチュエータ142およびシステム10の他の装置は、電子的に制御することができる。いくつかの実施形態によれば、コントローラ50は、記載のステップのいくつか、実施形態によりそのすべてをプログラム的に実行する。いくつかの実施形態によれば、アクチュエータの動きは、コントローラ50によって完全に自動的にプログラム的に実行される。
【0088】
いくつかの実施形態では、コントローラ50は、バーコード70を読み取るステップ、そのバーコード70の位置およびデータコンテンツを決定するために画像データを処理するステップ、およびカルーセルキャリア150からサンプリングステーション122へサンプルホルダ60を輸送するステップのそれぞれをプログラム的に自動的に実行する。いくつかの実施形態では、コントローラ50は、上述したオートサンプラ装置100の各動作ステップをプログラム的に自動的に実行する。
【0089】
コントローラ50ロジックの実施形態は、本明細書ではすべて一般に「回路」または「モジュール」と称される、全ソフトウェア実施形態またはソフトウェア態様とハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形態をとることができる。いくつかの実施形態では、回路は、ソフトウェアとハードウェアの両方を含み、ソフトウェアは、既知の物理的属性および/または構成の特定のハードウェアとともに働くように構成される。さらに、コントローラロジックは、媒体に具体化されたコンピュータ可用プログラムコードを有するコンピュータ可用記憶媒体におけるコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。ハードディスク、CD-ROM、光記憶装置、インターネットもしくはイントラネットをサポートするもののような伝送媒体、または他の記憶装置を含む、任意の適当なコンピュータ可読媒体を用いることができる。
【0090】
図11は、コントローラ50内で使用され得る回路またはデータ処理システム202を概略的に示している。回路および/またはデータ処理システムは、任意の適当な装置のデジタル信号プロセッサ210に組み入れられ得る。プロセッサ210は、アドレス/データバス214を介してHMI12およびメモリ212と通信する。プロセッサ210は、任意の市販または特注のマイクロプロセッサとすることができる。メモリ212は、データ処理システムの機能を実行するのに用いられるソフトウェアおよびデータを含むメモリデバイスの全階層構造を表す。メモリ212は、これらに限定されないが、以下のタイプのデバイスである、キャッシュ、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、SRAMおよびDRAMを含むことができる。
【0091】
図11は、メモリ212が、オペレーティングシステム214、アプリケーションプログラム216、入/出力(I/O)装置ドライバ218およびデータ220といったデータ処理システムにおいて使用されるいくつかの部類のソフトウェアおよびデータを含むことができることを示している。
【0092】
データ220は、機器特定データを含むことができる。図11は、さらに、データ220が、サンプルホルダデータ222、バーコードデータ224、カルーセルデータ226、および手順データ228を含むことを示している。サンプルホルダデータ222は、例えば、サンプルホルダ60に含まれる分析物の一意の識別子(例えば、シリアルナンバ)、名称および説明を含む、各サンプルホルダ60の特徴に関するまたはそれを表すデータを含むことができる。バーコードデータ224は、例えば、サンプルホルダ60のシリアルナンバに対するレジストリ索引付け(registry indexing)または相互参照バーコードを含むことができる。カルーセルデータ226は、キャリア50およびフレーム110に対する座部151の空間的または幾何形状的なレイアウトまたは位置を表す座部位置データを含むことができる。手順データ228は、本明細書に記載される手順を実行するステップのプロトコルまたはシーケンスを表す(例えば、分析シーケンスを含む)データを含むことができる。
【0093】
図11は、さらに、アプリケーションプログラム216が、(サンプリングシステム120を制御する)サンプリングシステム制御モジュール230、(アクチュエータ142を制御する)カルーセル制御モジュール232、(アクチュエータ148を制御する)ロボットアーム制御モジュール234、((光センサ171を含む)サンプル管監視システム170を制御する)光学読取装置制御および画像処理モジュール236、ならびにGCシステム20を制御するGC制御モジュール238を含むことができることを示している。
【0094】
オペレーティングシステム214は、データ処理システムとの使用に適した任意のオペレーティングシステムとすることができることが当業者には理解されよう。I/O装置ドライバ218は、一般的に、I/Oデータポート、データ記憶装置および特定のメモリ構成要素のような装置と通信するために、オペレーティングシステム214を介して、アプリケーションプログラム216によってアクセスされるソフトウェアルーチンを含む。アプリケーションプログラム216は、データ処理システムの様々な機能を実施し、本技術の実施形態に従って動作を支援する少なくとも1つのアプリケーションを含むことができるプログラムを例示している。最後に、データ220は、アプリケーションプログラム216、オペレーティングシステム214、I/O装置ドライバ218、および、メモリ212内に存在し得る他のソフトウェアプログラムによって使用される静的および動的データを表す。
【0095】
本技術の教示から利得を依然として得つつ他の構成を用いることもできると当業者には理解されよう。例えば、モジュールのうちの1つまたは複数は、オペレーティングシステム、I/O装置ドライバまたはデータ処理システムの他のそうした論理部門に組み込まれ得る。したがって、本技術は、図11の構成に限定されると解釈してはならず、本明細書に記載の動作を実行できる任意の構成を包含することを意図している。さらに、モジュールのうちの1つまたは複数は、コントローラ50などの他の構成要素と通信することができる、または完全もしくは部分的にそれに組み込まれ得る。
【0096】
この技術のいくつかの実施形態によれば、本明細書に記載されるようなオートサンプラは、サンプル容器を、複数の利用可能なサンプリング位置から選択されたサンプリング位置に運ぶように回転される円形カルーセルを含む。サンプル容器は、同心リングのように配置され、ロボットアームは、様々なリングからサンプル容器を選び出すことに使用される。印読取装置は、カルーセルの下に物理的に固定され、いくつかの実施形態では、単一画像ベースのバーコードリーダである。すべてのリングにある容器がカルーセルの回転により読み取られ得るようにするため、多数の鏡を使用して、多数の容器にある印の多数の画像を単一画像ベースのバーコードリーダ上に集束させる。システムの一部を形成するソフトウェアは、カルーセルにある一つ一つの容器からそれぞれの印を抜き出すように、画像を処理することができ、その処理を行う。したがって、システムは、単一の固定されたバーコート画像リーダを用いて、多数の画像を単一のバーコードリーダに集束させることに多数の鏡を使用することによって、異なる場所にある多数のサンプル容器の印を読み取る。いくつかの実施形態では、多数の鏡に取って代わって、単一の鏡が使用される。
【0097】
本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者なら本開示の利点から判断して多くの代替実施形態および修正実施形態が思いつくであろう。例示した実施形態は、例示の目的で与えられたもので、以下にある特許請求の範囲によって画定されるような本発明を限定するとして扱われるべきではないと理解されたい。したがって、以下にある特許請求の範囲は、文字通り示された要素の組み合わせだけでなく、実質的に同じ結果を得るために、実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を果たす等価なすべての要素を含むように読まれるべきものである。したがって、特許請求の範囲は、上記に詳細に例示および記載したもの、概念的に等価なもの、および発明の本質的な概念を包含したものを含んで理解されるべきである。
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図11