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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】充填封入装置および充填封入方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/00 20060101AFI20231130BHJP
   B65G 47/244 20060101ALI20231130BHJP
   B65G 47/29 20060101ALI20231130BHJP
   B65B 1/00 20060101ALN20231130BHJP
   B65B 7/16 20060101ALN20231130BHJP
【FI】
B65B57/00 A
B65G47/244
B65G47/29 B
B65B1/00
B65B7/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019071849
(22)【出願日】2019-04-04
(65)【公開番号】P2020169039
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 健吾
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-009037(JP,A)
【文献】特開平10-218124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/00
B65G 47/244
B65G 47/29
B65B 1/00
B65B 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を間欠的に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段において搬送される容器に内容物を投入する充填手段と、
容器に設けられた目印から容器を目標位置にまで回転する位置決め手段と、
回転された容器に蓋を装着する封入手段と
を備える充填封入装置であって、
前記位置決め手段が、
前記充填手段の上流側に配置され、容器を回転する第1回転手段と、前記目印を検出する第1検出手段と、仮位置を目標位置として、前記目印が前記仮位置に位置するまで前記第1回転手段を回転させる第1回転制御手段とを備える第1位置決め手段と、
前記充填手段と前記封入手段との間に配置され、容器を回転する第2回転手段と、前記目印を検出する第2検出手段と、最終位置を目標位置として、前記目印が前記最終位置に位置するまで前記第2回転手段を回転させる第2回転制御手段とを備える第2位置決め手段と
を備えることを特徴とする充填封入装置。
【請求項2】
前記第1回転手段の回転速度が、前記第2回転手段の回転速度よりも速いことを特徴とする請求項1に記載の充填封入装置。
【請求項3】
前記第2検出手段が、前記第2回転手段の回転方向に沿った前記仮位置から前記最終位置の間に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の充填封入装置。
【請求項4】
容器が麺塊を収容するカップ容器であり、前記充填手段で投入される内容物に具材、粉末スープの少なくとも1つが含まれ、前記第2位置決め手段が麺塊および前記内容物が収容された容器を目標位置まで回転することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の充填封入装置。
【請求項5】
容器を間欠的に搬送する搬送ステップと、
内容物が充填される前に、前記容器に設けられた目印を検出し、前記目印が仮位置に位置するまで容器を回転させる第1位置決めステップと、
搬送される容器に内容物を投入する充填ステップと、
前記充填ステップの下流側において、前記目印を検出し、前記目印が最終位置に位置するまで容器を回転させる第2位置決めステップと、
前記目印が最終位置に位置するように回転された容器に蓋を装着する封入ステップと
を備えることを特徴とする充填封入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填された容器の向きを蓋の向きに合わせた後、容器を蓋で封止する充填封入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リテーナーコンベアで搬送されるカップに食材を充填した後、カップを回転してカップと蓋の向きを合わせて蓋をする装置が知られている。同装置では、カップ側面の柄を読み取ってカップの向きを揃えている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4879139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食材投入後にカップを回転させると、投入された食材が飛散して、カップの縁に付着することがあるため、蓋のシール不良が発生し得る。特許文献1では、カップを回転させる際に、カップ開口部にはね防止板を押し当てて塞ぎ、食材の飛散を防止している。しかし、例えば即席麺などのカップは、脆弱であるため、はね防止板を押し当てるとカップが破損する可能性がある。また、はね防止板に食材が付着し、付着した食材が後続のカップに再付着する恐れがある。
【0005】
カップ回転速度を落とすことにより、はね防止板を用いなくても食材の飛散を防止できるが、その場合処理能力が低下する。また、食材投入前にカップの位置合わせを行うと、位置合わせから蓋を被せるまでの間にカップの位置がずれ、シールされた蓋とカップの向きにずれが生じ得る。
【0006】
本発明は、容器内に投入された内容物の飛散を防止しつつ、処理能力を落とすことなく高精度で容器と蓋の向きを合わせることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明である充填封入装置は、容器を間欠的に搬送する搬送手段と、前記搬送手段において搬送される容器に内容物を投入する充填手段と、容器に設けられた目印から容器を目標位置にまで回転する位置決め手段と、回転された容器に蓋を装着する封入手段とを備える充填封入装置であって、前記位置決め手段が、前記充填手段の上流側に配置され、容器を回転する第1回転手段と、前記目印を検出する第1検出手段と、仮位置を目標位置として、前記目印が前記仮位置に位置するまで前記第1回転手段を回転させる第1回転制御手段とを備える第1位置決め手段と、前記充填手段と前記封入手段との間に配置され、容器を回転する第2回転手段と、前記目印を検出する第2検出手段と、最終位置を目標位置として、前記目印が前記最終位置に位置するまで前記第2回転手段を回転させる第2回転制御手段とを備える第2位置決め手段とを備えること特徴としている。
【0008】
本発明の第2の発明である充填封入装置は、第1の発明において、前記第1回転手段の回転速度が、前記第2回転手段の回転速度よりも速いことを特徴としている。
【0009】
本発明の第3の発明である充填封入装置は、第1または第2の発明において、前記第2検出手段が、前記第2回転手段の回転方向に沿った前記仮位置から前記最終位置の間に配置されていることを特徴としている。
【0010】
本発明の第4の発明である充填封入装置は第1~第3の発明において、容器が麺塊を収容するカップ容器であり、前記充填手段で投入される内容物に具材、粉末スープの少なくとも1つが含まれ、前記第2位置決め手段が麺塊および前記内容物が収容された容器を目標位置まで回転することを特徴としている。
【0011】
本発明の第5の発明であるカップ入り即席麺製造方法は、容器を間欠的に搬送する搬送ステップと、内容物が充填される前に、前記容器に設けられた目印を検出し、前記目印が仮位置に位置するまで容器を回転させる第1位置決めステップと、搬送される容器に内容物を投入する充填ステップと、前記充填ステップの下流側において、前記目印を検出し、前記目印が最終位置に位置するまで容器を回転させる第2位置決めステップと、前記目印が最終位置に位置するように回転された容器に蓋を装着する封入ステップとを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容器内に投入された内容物の飛散を防止しつつ、処理能力を落とすことなく高精度で容器と蓋の向きを合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態である充填封入装置の側面図である。
図2】充填封入装置で密封される容器の斜視図である。
図3】第1、第2位置決め装置の構成を示す正面図(図1の矢印A方向から見た図)である。
図4図1と同じ方向から見た第1、第2位置決め装置の部分的な構成を示す側面図である。
図5】第1、第2位置決め装置の位置決め位置における容器2列分の平面図である。
図6】吸着ヘッドによる容器の昇降動作および吸盤による容器の底面への吸着動作、吸着ヘッドの回転動作を示す側面図である。
図7】第1位置決め装置における仮位置決め動作を説明する図である。
図8】第2位置決め装置における最終位置決め動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である充填封入装置の側面図である。
【0015】
本実施形態の充填封入装置10は、例えばカップ入り即席麺製造装置の一部である。本実施形態の充填封入装置10は、上流側の第1搬送コンベヤ(搬送手段)12と下流側の第2搬送コンベヤ(搬送手段)14を備える。第1、第2搬送コンベヤ12、14は、それぞれ一対の無端チェーン12A、14Aに掛け渡されるリテーナ12B、14Bに設けられた各穴に容器Vを保持し、容器Vを多列(本実施形態では6列)で搬送する。容器Vは、図2の斜視図に示されるように、開口部の縁に沿って外側に延出するフランジ部Vfを備える円錐台形形状を呈し、上方からリテーナ12B、14Bの穴に挿入される。すなわち、容器Vは、例えばフランジ部Vfがリテーナ12B、14Bの穴の縁に係合することでリテーナ12B、14Bに保持される。なお、無端チェーン12A、14Aは、制御部56の指示の下、各々駆動モータ12C、14Cによって間欠駆動される。また、図1において、リテーナ12B、14Bは便宜的に上面側にあるもののみを記載しているが、実際は全周に亘って設けられている。
【0016】
第1搬送コンベヤ12の上流側には、不図示の容器Vの供給装置が設けられ、リテーナ12Aの各穴に空の容器Vを供給する。第1搬送コンベヤ12の上流部の上方には、リテーナ12Bに保持される各容器Vに麺塊を投入する麺塊供給装置16が配置される。第1搬送コンベヤ12において麺塊供給装置16の下流側には、第1位置決め装置(第1位置決め手段)18(後述)が配置され、リテーナ12Bに保持される各容器Vの位置(向き)が仮位置に位置決めされる。また、第1搬送コンベヤ12の第1位置決め装置18よりも下流側には、その上方に、粉末スープや具材等の内容物を容器Vに投入する粉末スープ充填装置(充填手段)20および具材充填装置(充填手段)22等が配置される。そして、第1搬送コンベヤ12の下流端の上方から第2搬送コンベヤ14の上流端の上方に亘る区間には、受渡装置24が配置される。
【0017】
受渡装置24は、容器Vの開口部周縁を両側から把持する開閉支持機構24Aと開閉支持機構24Aを上下方向および第1、第2搬送コンベヤ12、14の搬送方向に水平に移動する移動機構24Bを備える。一方、受渡装置24が配置された区間において、第1搬送コンベヤ12の搬送面下には、リテーナ12Bに保持される各容器Vを下方から押し上げる上昇機構23が設けられる。
【0018】
すなわち、麺塊が投入され、仮位置決めが行われた後、粉末スープ、具材等が投入された各容器Vは、第1搬送コンベヤ12の下流端において、上昇機構23により上方へ所定量押し上げられ、開閉支持機構24Aによりその開口部の周囲が把持される。容器Vを把持した開閉支持機構24Aは、移動機構24Bにより上昇され、各容器Vがリテーナ12Bの各穴から抜き取られた後、移動機構24Bにより第2搬送コンベヤ14の上流端上へと移動される。
【0019】
一方、受渡装置24が配置された区間において、第2搬送コンベヤ14の搬送面下には、開閉支持機構24Aに保持される各容器Vを受け取り、第2搬送コンベヤ14のリテーナ14Bの各穴に挿入するための昇降機構25が設けられる。容器Vを把持した開閉支持機構24Aは、移動機構24Bにより昇降機構25の上に各容器Vを下ろして容器Vを解放する。昇降機構25は、容器Vのフランジ部Vfがリテーナ14B係合するまで容器Vを下降させ、容器Vをリテーナ14Bに移載する。
【0020】
第2搬送コンベヤ14の上流部には後述する第2位置決め装置(第2位置決め手段)26が配置される。第2位置決め装置26の下流側には、順に蓋Lを容器Vの開口部に張り付ける密封装置(封入手段)28、蓋Lの容器Vへのシール状態を検査するシール検査装置30、第2搬送コンベヤ14から容器Vを排出する排出コンベヤ32、検査に合格した容器Vを第2搬送コンベヤ14から排出コンベヤ32へと受け渡す容器排出機構34が配置される。また、容器排出機構34の下流側には、容器排出機構34により排出コンベヤ32へとは受け渡されず不良品と判断された容器Vを第2搬送コンベヤ14の下流側に配置される廃棄箱38へとガイドし破棄するためのガイド部材36が配置される。
【0021】
図3は、第1、第2位置決め装置18、26の構成を示す正面図(図1の矢印A方向から見た図)であり、図4は、図1と同じ方向から見た部分的な構成を示す側面図である。また、図5は、位置決め位置における容器2列分の平面図である。なお、第1、第2位置決め装置18、26の機械的な構成はセンサの位置を除いて基本的に同じであり、その制御のみが異なる。したがって、以下の説明では第1位置決め装置18の構成に関して主に説明する。
【0022】
第1搬送コンベヤ12において、上側の往路を走行する無端チェーン12Aは、各々チェーンガイド40Aによって支持され、下側の復路を走行する無端チェーン12Aは、チェーンガイド40Bによって支持される。左右の無端チェーン12Aには、コンベヤ幅方向に長尺のリテーナ12Bが掛け渡され、無端チェーン12Aに固定される。前述したように、リテーナ12Bには、幅方向に沿って複数の穴が設けられ、各穴に容器Vが各々保持される。図3に示される例では、6個の容器Vが各穴に保持されている。
【0023】
第1位置決め装置18は、リテーナ12Bの各穴に対応して、その下方に容器Vの底面に吸着する吸着ヘッド42を各々備える。吸着ヘッド42は、直立するロッド42Aの上端に取り付けられ、各ロッド42Aは、スライドブッシュ43Aを介して固定されたリフターガイドプレート43に回転自在かつ昇降自在に支持されるとともに、その下端が、図4に示されるように、回転機構(第1、第2回転手段)44を介して、ベース46に取り付けられる。なお、回転機構44の制御は、制御部(第1、第2回転制御手段)56によって行われる。
【0024】
ベース46は、例えば一対のベース昇降ガイド46Aにより昇降自在にガイドされ、制御部56により制御されるベース昇降モータ48Aにより駆動される昇降機構48により、ベース昇降ガイド46Aに沿って昇降される。これにより、全てのロッド42A、すなわち全ての吸着ヘッド42が一体的に昇降される。なお、図3では、下降された状態の吸着ヘッド42が実線で左側に3つ描かれ、上昇された状態の吸着ヘッド42が破線で右側に3つ描かれる。
【0025】
また、各回転機構44には、各々ヘッド回転モータ44Aが連結され、制御部56がヘッド回転モータ44Aの回転方向、回転角、回転速度を制御することにより、容器Vを吸着保持する各吸着ヘッド42、すなわち各容器Vの回転方向、回転角、回転速度を制御して回転させることができる。なお、吸着ヘッド42は、その中央に容器Vの底面をヘッド本体に吸着させる吸盤42Bを備え、吸盤42Bはロッド42Aの内側を通して負圧源42Cに接続される。したがって、容器Vの吸着は負圧源42Cによる吸盤42Bの負圧を制御部56により制御することにより行われる。
【0026】
また、リフターガイドプレート43には、1つのリテーナ12Bに保持される各容器Vに対応するプレート50が、ステー50Aを介して第1搬送コンベヤ12の搬送方向に沿って支持される。各プレート50は、例えばリテーナ12Bに保持される各容器Vの側方に位置し、図3では、各々容器Vの左側に配置される。
【0027】
プレート50は、容器Vの向きを特定する目印を検出するセンサ(第1、第2検出手段)52を各々配置するためのものである。本実施形態において、センサ52は、バーコードリーダである。図2に示されるように、本実施形態において容器Vの側面にはバーコード(目印)Vbや標章Vmなどが設けられている。センサ52は、容器Vの側面のバーコードVbを容器Vの向きを示す目印として検知し制御部56へ送信する。そして、後述するように、制御部56は検出結果に基づきヘッド回転モータ44Aの駆動を制御して、吸着ヘッド42に吸着した容器Vを目標位置にまで回転させる。
【0028】
本実施形態において、センサ52は第1位置決め装置18では、位置決めの対象とされる容器Vの上流側に配置される。なお、後述するように、第2位置決め装置26では、センサ52が位置決め対象とされる容器Vの下流側に配置される。図4図5では、第1位置決め装置18のセンサ52がセンサ(第1検出手段)52Aとして実線で描かれ、第2位置決め装置26のセンサ(第2検出手段)52がセンサ52Bとして破線で描かれる。なお、本実施形態では、センサ52A、52Bが、第1、第2搬送コンベヤ12、14において幅方向に同じ位置に配置される。
【0029】
なお、吸着ヘッド42の真上に位置する各容器Vの上方には、容器Vの開口部の上面および周囲を覆うことができるカップ状の飛散防止部材54が配置される。飛散防止部材54は、横長のベース54Aに各々取り付けられ、ベース54Aはステー54Bを介して装置の天井等に固定される。飛散防止部材54は、リテーナ12Bから所定距離離れた高さに配置され、吸着ヘッド42の上昇により、容器Vがリテーナ12Bから上昇されると、容器Vの開口部、すなわちフランジ部Vfが飛散防止部材54の内側に収容される。吸着ヘッド42による容器Vの上昇は、容器Vが飛散防止部材54と接触しない高さで停止し、後述するように、容器Vは、センサ52の信号に基づき、所定方向に所定角度、所定の速度で回転される。このとき、飛散防止部材54は、容器V内の麺塊や内容物が飛散されることを防止する。なお、本発明によれば、容器内に投入された内容物の飛散を防止することが可能になるため、飛散防止部材54は省略しても良い。しかし、本実施形態では、容器Vが予測不可能な挙動をとった場合の万一の備えとして、飛散防止部材54を設ける。
【0030】
図6に、吸着ヘッド42による容器Vのリテーナ12Bからの昇降動作および吸盤42Bによる容器Vの底面への吸着動作、吸着ヘッド42の回転動作を示す。
【0031】
図6(a)は、吸着ヘッド42が、最も下降された待機位置にある状態が示され、このとき吸着ヘッド42がリテーナ12Bに保持される容器Vと接触することはない。図6(b)には、吸着ヘッド42の上昇が開始され、吸盤42Bにより容器Vの底面が吸着ヘッド42の本体に固定された状態が示される。吸着ヘッド42は更に上昇されるが、この時点から吸着ヘッド42の回転が開始される。図6(c)は、吸着ヘッド42が最も上昇され、吸着ヘッド42の回転が停止される状態が示される(回転停止位置)。回転停止位置では、容器Vは目標位置に向けられている。なお、後述するように、目標位置は、第1位置決め装置18では、仮位置であり、第2位置決め装置26では、蓋Lをシールするための最終位置である。
【0032】
次に図7図8を参照して、第1位置決め装置18において仮位置決めを行い、第2位置決め装置26において最終位置決めを行う本実施形態の容器の位置決め動作について説明する。図7は、第1位置決め装置18における仮位置決め動作を説明する図であり、図8は、第2位置決め装置26における最終位置決め動作を説明する図である。
【0033】
充填封入装置10では、蓋Lを容器Vのフランジ部Vfへ貼着する際、蓋Lと容器Vの絵柄などの向きが一定の向きに揃えられる。すなわち、容器Vの側面の標章Vmの向きと、蓋Lの標章Lmや蓋Lの外周に設けられるタブLt等の向きが所定の向きとなるように揃えられる。密封装置28において、蓋Lは所定の向きで供給されるため、充填封入装置10では、容器Vが密封装置28に搬送されるまでの間に、第1、第2位置決め装置18、26において、容器Vの向きを供給される蓋Lの向きに合わせるように修正する。以下の説明では、容器Vの標章Vmの中心を蓋LのタブLtと一致させてシールする場合を例に説明する。
【0034】
図7(a)は、第1位置決め装置18の吸着ヘッド42により容器Vの回転が開始されるときの状態の一例が示される。なお、第1位置決め装置18に移送された各容器Vの向きは任意である。第1位置決め装置18では、所定の方向、例えば反時計周りに400rpmで、吸着ヘッド42、すなわち容器Vが回転される。なお、図7(a)には、参考として密封装置28において供給される蓋Lの向きが示される。
【0035】
図7(b)では、容器Vよりも上流側にあるセンサ52Aにより、回転されている容器Vの側面のバーコードVbが検知され、これを目印として容器Vの向きが特定される。なお、図7には、バーコードリーダであるセンサ52Aの投光軸が符号Eで示される。容器Vの回転はその後も継続され、バーコードVbが仮位置P1に到達するまで例えば略同じ速度(400rpm)で継続される。吸着ヘッド42の回転は、バーコードVbが仮位置P1に到達するタイミングで停止され、容器Vの向きは図7(c)の状態とされる。なお、バーコードVbを検知してからの回転量は、仮位置P1の位置から予め設定されている。
【0036】
図8(a)、図8(b)には、第1位置決め装置18で仮位置決めされた容器Vが、第1搬送コンベヤ12で更に搬送され、充填装置20、22で内容物を投入された後、受渡装置24を経て第2搬送コンベヤ14の第2位置決め装置26にまで到達したときの容器Vの状態が例示される。容器Vが第2位置決め装置26に到達するまでの間には、搬送時の振動等で容器Vの向きがずれ、バーコードVbの位置も仮位置P1から幾分ずれている可能性がある。図8(a)は、バーコードVbの位置が仮位置P1から時計回りに僅かにずれた状態、図8(b)は反時計回りに僅かにずれた状態が示される。
【0037】
第2位置決め装置26では、吸着ヘッド42が第1位置決め装置18とは反対向きに、ここでは時計回りに第1位置決め装置18のときよりも遅い速度、例えば100rpmで回転される。なお、第2位置決め装置26の吸着ヘッド42の回転速度は、容器V内に投入された内容物が、遠心力等によりフランジ部Vfに飛散しないのに十分な遅い速度である。
【0038】
図8(a)または図8(b)の状態から時計回りに容器Vが回転されると、図8(c)の状況において容器Vよりも下流側にあるセンサ52Bにより、回転されている容器Vの側面のバーコードVbが検知され、これを目印として容器Vの向きが特定される。容器Vの回転はその後も継続され、バーコードVbが図8(d)に示されるように、最終位置P2に到達するまで例えば略同じ速度(100rpm)で継続される。吸着ヘッド42の回転は、バーコードVbが最終位置P2に到達するタイミングで停止される。その後、密封装置28において、容器Vのフランジ部Vfに蓋Lが貼着される。図8(d)には、密封装置28において貼着される蓋Lも便宜的に示されているが、蓋Lによる容器Vのシールは、下流の密封装置28において行われる。なお、バーコードVbを検知してからの回転量は、最終位置P2の位置から予め設定されている。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、最終位置に近い位置に仮位置を設け、飛散し易い内容物が投入される前に予め高速で仮位置まで容器を回転させておき、内容物投入され後の蓋を貼着する直前に、容器を仮位置から最終位置まで低速で回転することで、容器内に投入された内容物の飛散を防止しながらも、処理能力を落とすことなく高精度で容器と蓋の向きを合わせることができ、シール不良の発生も抑えられる。
【0040】
なお、バーコードリーダを目印検出用のセンサとする場合、バーコードの何れの位置を目印としてもよく、例えばバーコードの中央位置や回転方向の前縁を位置特定用の目印としてもよい。また、容器の向き(位置)を検出するための目印には、容器に施されるその他の文字、図形、記号、立体的形状、色彩やこれらの結合等からなる如何なる標章を用いることもできる。また、目印の位置を検知できるセンサであれば、バーコードリーダに限定されず、例えばカメラ等をセンサとして用いることもできる。その場合、容器の絵柄や色、形状等を目印として検出することができる。また、容器の形状(例えば、凸部や凹部)を目印とする場合には、レーザ距離計等を用いることもできる。
【0041】
本実施形態では、ヒートシールなどを用いて蓋を容器に貼着する場合を例に説明したが、本実施形態は、蓋を容器に嵌合させて装着する場合にも適用できる。また、本実施形態では、容器を反時計回りに回転し仮位置決めを行った後、時計回りに回転して最終位置決めを行ったが、容器に設けられる目印と標章の位置関係やセンサの位置により、容器を反時計回りから反時計回り、時計回りから時計回り、時計回りから反時計周りに回転することも可能である。また、本実施形態では、吸着ヘッド上昇中にその回転を開始したが、上昇が完了した後に回転を開始する構成とすることもできる。
【0042】
更に、本実施形態では、麺塊を容器に投入した後に第1位置決め装置により仮位置決めを行ったが、仮位置決めを行った後に麺塊供給装置により麺塊を投入する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0043】
10 充填封入装置
12 第1搬送コンベヤ(搬送手段)
14 第2搬送コンベヤ(搬送手段)
16 麺塊供給装置
18 第1位置決め装置(第1位置決め手段)
20 粉末スープ充填装置(充填手段)
22 具材充填装置(充填手段)
24 受渡装置
26 第2位置決め装置(第2位置決め手段)
28 密封装置(封入手段)
42 吸着ヘッド
44 回転機構(第1、第2回転手段)
48 昇降機構
52A センサ(第1検出手段)
52B センサ(第2検出手段)
56 制御部(第1、第2回転制御手段)
L 蓋
Lt タブ
P1 仮位置
P2 最終位置
V 容器
Vb バーコード(目印)
Vm 標章
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8