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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】間仕切り構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/82 20060101AFI20231130BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
E04B2/82 521Z
E04B2/74 511K
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019112754
(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公開番号】P2020204198
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】河村 匡人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 諒一
(72)【発明者】
【氏名】松山 仙治
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-135053(JP,A)
【文献】特開平10-061072(JP,A)
【文献】特公昭01-035141(JP,B2)
【文献】特開2012-132296(JP,A)
【文献】特開2004-052407(JP,A)
【文献】特開昭51-032010(JP,A)
【文献】特開平04-357233(JP,A)
【文献】特開2005-290878(JP,A)
【文献】特開平08-049473(JP,A)
【文献】特開2001-152579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72-2/82
E06B 1/00-1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に立設される面状のパネル部材と、前記パネル部材と隣接して前記床面に立設される扉と、を備える間仕切り構造であって、
前記扉は、前記パネル部材の側辺に連結される枠体と、前記枠体に対して開閉可能に設けられる扉本体と、を備え、
前記床面と前記パネル部材との間に巾木部材が設けられ、前記パネル部材の下端辺が、平面視において前記巾木部材から前記パネル部材の厚み方向の両側に張り出して位置し、
前記枠体の下部は、水平断面において前記パネル部材の厚さ方向の中央部を残して両端部が除去されることにより、前記パネル部材の前記下端辺の上下位置と、前記枠体における前記パネル部材の厚さ方向に表出する面の下端部の上下位置とが一致する、間仕切り構造。
【請求項2】
前記パネル部材の下端辺の上下位置と、前記扉本体の下端辺の上下位置とが一致する、請求項1に記載の間仕切り構造。
【請求項3】
前記枠体は、前記扉の閉塞時において前記扉本体の戸先側又は戸尻側の端部と対向する枠本体部と、前記パネル部材の厚さ方向に前記枠本体部から前記枠体の長手方向に沿って膨出する膨出部と、が形成され、
前記膨出部の膨出側端面は、前記パネル部材の表面と面一になるように形成され、
前記パネル部材の下端辺の上下位置と、前記枠体における前記膨出部の前記膨出側端面の下端部の上下位置とが一致する、請求項1又は請求項2に記載の間仕切り構造。
【請求項4】
前記枠体は、長手方向と直交する断面視において複数の中空形状を有する形材であって、一の前記中空形状が前記枠本体部として形成され、他の前記中空形状が前記膨出部として形成される、請求項3に記載の間仕切り構造。
【請求項5】
床面に立設される面状のパネル部材と、前記パネル部材と隣接して前記床面に立設されて前記パネル部材に対して前記パネル部材と異なる方向に面状の間仕切り部材を連結するポスト部材と、を備える間仕切り構造であって、
前記床面と前記パネル部材との間に巾木部材が設けられ、前記パネル部材の下端辺が、平面視において前記巾木部材から前記パネル部材の厚み方向の両側に張り出して位置し、
前記ポスト部材の下部は、水平断面において前記パネル部材の厚さ方向のうち、少なくとも前記間仕切り部材を連結しない側の端部が除去されることにより、前記パネル部材の前記下端辺の上下位置と、前記ポスト部材における前記パネル部材の厚さ方向に表出する面の下端部の上下位置とが一致する、間仕切り構造。
【請求項6】
前記パネル部材と前記ポスト部材のうち少なくとも何れか一方と隣接して前記床面に立設される扉を備え、
前記扉は、前記パネル部材又は前記ポスト部材に連結される枠体と、前記枠体に対して開閉可能に設けられる扉本体と、を備え、
前記パネル部材の前記下端辺の上下位置と、前記ポスト部材における前記下端部の上下位置と、前記枠体における前記厚さ方向に表出する面の下端部の上下位置とが一致する、請求項5に記載の間仕切り構造。
【請求項7】
前記パネル部材の下端辺の上下位置と、前記扉本体の下端辺の上下位置とが一致する、請求項6に記載の間仕切り構造。
【請求項8】
前記ポスト部材は、前記パネル部材が連結されるポスト本体部と、前記パネル部材の厚さ方向に前記ポスト本体部から前記ポスト部材の長手方向に沿って膨出するカバー部と、が形成され、
前記カバー部の膨出側端面は、前記パネル部材の表面と面一になるように形成され、
前記パネル部材の下端辺の上下位置と、前記ポスト部材における前記カバー部の前記膨出側端面の下端部の上下位置とが一致する、請求項6又は請求項7に記載の間仕切り構造。
【請求項9】
前記ポスト部材は、長手方向と直交する断面視において複数の中空形状を有する形材であって、一の前記中空形状が前記ポスト本体部として形成され、他の前記中空形状が前記カバー部として形成される、請求項8に記載の間仕切り構造。
【請求項10】
前記ポスト部材における前記厚さ方向に表出する面の上端部の上下位置と、前記枠体における前記厚さ方向に表出する面の上端部の上下位置とが一致する、請求項6から請求項9の何れか一項に記載の間仕切り構造。
【請求項11】
前記パネル部材の上端辺の上下位置と、前記ポスト部材における前記上端部の上下位置とが一致する、請求項10に記載の間仕切り構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は間仕切り構造に関し、詳細にはパネル部材に対して扉又はポスト部材が隣接して設けられる間仕切り構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パネル部材、扉、ポスト部材等で構成された間仕切り構造が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、複数のポスト部材の間に、間仕切りパネル、ドア、及び、補助パネル板等を設けた間仕切り構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-132296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献の如く構成された間仕切り構造においては、パネル部材とその周囲の部材との間で、互いの下端部の上下位置が異なる場合、間仕切り構造における統一感が損なわれるため、意匠性が悪くなっていた。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、パネル部材とその周囲の部材との間で、互いの下端部の上下位置を統一することにより、統一感を高めて意匠性を向上させることのできる、間仕切り構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下に構成する間仕切り構造を提供する。
【0007】
(1)床面に立設される面状のパネル部材と、前記パネル部材と隣接して前記床面に立設される扉と、を備える間仕切り構造であって、前記扉は、前記パネル部材の側辺に連結される枠体と、前記枠体に対して開閉可能に設けられる扉本体と、を備え、前記床面と前記パネル部材との間に巾木部材が設けられ、前記パネル部材の下端辺が、平面視において前記巾木部材から前記パネル部材の厚み方向の両側に張り出して位置し、前記枠体の下部は、水平断面において前記パネル部材の厚さ方向の中央部を残して両端部が除去されることにより、前記パネル部材の前記下端辺の上下位置と、前記枠体における前記パネル部材の厚さ方向に表出する面の下端部の上下位置とが一致する、間仕切り構造。
【0008】
(2)前記パネル部材の下端辺の上下位置と、前記扉本体の下端辺の上下位置とが一致する、(1)に記載の間仕切り構造。
【0009】
(3)前記枠体は、前記扉の閉塞時において前記扉本体の戸先側又は戸尻側の端部と対向する枠本体部と、前記パネル部材の厚さ方向に前記枠本体部から前記枠体の長手方向に沿って膨出する膨出部と、が形成され、前記膨出部の膨出側端面は、前記パネル部材の表面と面一になるように形成され、前記パネル部材の下端辺の上下位置と、前記枠体における前記膨出部の前記膨出側端面の下端部の上下位置とが一致する、(1)又は(2)に記載の間仕切り構造。
【0010】
(4)前記枠体は、長手方向と直交する断面視において複数の中空形状を有する形材であって、一の前記中空形状が前記枠本体部として形成され、他の前記中空形状が前記膨出部として形成される、(3)に記載の間仕切り構造。
【0011】
(5)床面に立設される面状のパネル部材と、前記パネル部材と隣接して前記床面に立設されて前記パネル部材に対して前記パネル部材と異なる方向に面状の間仕切り部材を連結するポスト部材と、を備える間仕切り構造であって、前記床面と前記パネル部材との間に巾木部材が設けられ、前記パネル部材の下端辺が、平面視において前記巾木部材から前記パネル部材の厚み方向の両側に張り出して位置し、前記ポスト部材の下部は、水平断面において前記パネル部材の厚さ方向のうち、少なくとも前記間仕切り部材を連結しない側の端部が除去されることにより、前記パネル部材の前記下端辺の上下位置と、前記ポスト部材における前記パネル部材の厚さ方向に表出する面の下端部の上下位置とが一致する、間仕切り構造。
【0012】
(6)前記パネル部材と前記ポスト部材のうち少なくとも何れか一方と隣接して前記床面に立設される扉を備え、前記扉は、前記パネル部材又は前記ポスト部材に連結される枠体と、前記枠体に対して開閉可能に設けられる扉本体と、を備え、前記パネル部材の前記下端辺の上下位置と、前記ポスト部材における前記下端部の上下位置と、前記枠体における前記厚さ方向に表出する面の下端部の上下位置とが一致する、(5)に記載の間仕切り構造。
【0013】
(7)前記パネル部材の下端辺の上下位置と、前記扉本体の下端辺の上下位置とが一致する、(6)に記載の間仕切り構造。
【0014】
(8)前記ポスト部材は、前記パネル部材が連結されるポスト本体部と、前記パネル部材の厚さ方向に前記ポスト本体部から前記ポスト部材の長手方向に沿って膨出するカバー部と、が形成され、前記カバー部の膨出側端面は、前記パネル部材の表面と面一になるように形成され、前記パネル部材の下端辺の上下位置と、前記ポスト部材における前記カバー部の前記膨出側端面の下端部の上下位置とが一致する、(6)又は(7)に記載の間仕切り構造。
【0015】
(9)前記ポスト部材は、長手方向と直交する断面視において複数の中空形状を有する形材であって、一の前記中空形状が前記ポスト本体部として形成され、他の前記中空形状が前記カバー部として形成される、(8)に記載の間仕切り構造。
【0016】
(10)前記ポスト部材における前記厚さ方向に表出する面の上端部の上下位置と、前記枠体における前記厚さ方向に表出する面の上端部の上下位置とが一致する、(6)から(9)の何れか一に記載の間仕切り構造。
【0017】
(11)前記パネル部材の上端辺の上下位置と、前記ポスト部材における前記上端部の上下位置とが一致する、(10)に記載の間仕切り構造。
【発明の効果】
【0018】
以上における本発明に係る間仕切り構造は、以下に示す効果を奏する。
【0019】
(1)の構成によれば、パネル部材と扉の枠体との間で、互いの下端部の上下位置を統一することにより、間仕切り構造の統一感を高めて意匠性を向上させることができる。
【0020】
(2)の構成によれば、パネル部材と扉本体との間で、互いの下端部の上下位置を統一することにより、間仕切り構造の統一感を高めて意匠性をさらに向上させることができる。
【0021】
(3)の構成によれば、パネル部材と枠体の膨出部とを面一にするとともに、互いの下端部の上下位置を統一することにより、間仕切り構造の統一感を高めて意匠性をさらに向上させることができる。
【0022】
(4)の構成によれば、一の中空形状を構成する壁により床との隙間を塞ぐことができる。
【0023】
(5)の構成によれば、パネル部材とポスト部材との間で、互いの下端部の上下位置を統一することにより、間仕切り構造の統一感を高めて意匠性を向上させることができる。
【0024】
(6)の構成によれば、パネル部材と扉の枠体との間で、互いの下端部の上下位置を統一することにより、間仕切り構造の統一感を高めて意匠性をさらに向上させることができる。
【0025】
(7)の構成によれば、パネル部材と扉本体との間で、互いの下端部の上下位置を統一することにより、間仕切り構造の統一感を高めて意匠性をさらに向上させることができる。
【0026】
(8)の構成によれば、パネル部材とポスト部材のカバー部とを面一にするとともに、互いの下端部の上下位置を統一することにより、間仕切り構造の統一感を高めて意匠性をさらに向上させることができる。
【0027】
(9)の構成によれば、一の中空形状を構成する壁により床との隙間を塞ぐことができる。
【0028】
(10)の構成によれば、パネル部材と扉の枠体との間で、互いの上端部の上下位置を統一することにより、間仕切り構造の統一感を高めて意匠性をさらに向上させることができる。
【0029】
(11)の構成によれば、パネル部材とポスト部材との間で、互いの上端部の上下位置を統一することにより、間仕切り構造の統一感を高めて意匠性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係る間仕切り構造を示した正面図。
図2図1中のA1部拡大図。
図3図1中のX-X線断面図。
図4】(a)及び(b)はそれぞれ、戸当り枠を示した底面図及び下方斜視図。
図5図1中のA2部拡大図。
図6図1中のY-Y線断面図。
図7】開き戸及び戸先枠の下方斜視図。
図8】(a)及び(b)はそれぞれ、戸先枠を示した底面図及び下方斜視図。
図9図1中のA3部拡大図。
図10図1中のZ-Z線断面図。
図11】(a)及び(b)はそれぞれ、ポスト部材を示した底面図及び下方斜視図。
図12】(a)及び(b)はそれぞれ、変形例に係るポスト部材を示した底面図及び下方斜視図。
図13図1中のA4部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[全体構成]
以下では図1から図13を用いて、本実施形態に係る間仕切り構造について説明する。本実施形態に係る間仕切り構造は図1に示す如く、床面Fと天井Cとの間の同一面上に設けられた引戸7、戸袋8、開き戸17、ガラスパネルG、第一パネルP1、及び、第二パネルP2等を備える。
【0032】
引戸7と開き戸17とはそれぞれ、本発明に係る扉を構成する扉本体であり、本実施形態においては何れもダブルガラスによるガラス戸として構成される。また、ガラスパネルG、第一パネルP1、及び、第二パネルP2は本発明に係る面状のパネル部材であり、第一パネルP1と第二パネルP2とはスチール製のパネル部材である。
【0033】
図1に示す如く、間仕切り構造は床面Fに設けられる巾木部材1と、天井Cに設けられる天レール2とを備える。巾木部材1は、床面Fのうち、引戸7と開き戸17が設けられていない、戸袋8、ガラスパネルG、第一パネルP1、及び、第二パネルP2を設けた箇所に敷設される。
【0034】
[第一コーナー部A1]
次に、図1から図4を用いて、図1中の第一コーナー部A1に関連する箇所について説明する。図2図1中の第一コーナー部A1の拡大図、図3図1中のX-X線断面図である。
【0035】
図1に示す如く、天レール2には上枠4が固定される。上枠4は、戸袋8を構成する戸袋ガラス板82・82、及び、ガラスパネルGを構成するガラス板GPの上端部を保持する。引戸7は、図示しないレールに吊下されて開閉可能とされる。図2に示す如く、引戸7は、上部に設けられる上側枠材(不図示)と、下部に設けられる下側枠材75と、戸先側の側部に設けられる戸先側枠材76と、戸尻側の側部に設けられる戸尻側枠材77(図3を参照)と、を備える。
【0036】
そして、引戸7は、これらの枠材に、矩形の面材である二枚の引戸ガラス板74・74が外周辺を保持されている。このように、引戸7は引戸ガラス板74・74を備えたダブルガラスとして構成される。なお、引戸7を一枚の引戸ガラス板74を備えるシングルガラスの構成とすることも可能である。
【0037】
引戸7は、下端部に下側シール部材79を備える。下側シール部材79は下側枠材75の下端部に下側枠材75の長手方向に沿って設けられることにより、下側枠材75の下端部と床面Fとの隙間を塞ぐ。下側シール部材79に形成された樹脂製の摺接部材が床面Fと常に摺接することにより、引戸7の下方における音漏れ及び光漏れが防止される。
【0038】
戸袋8は開状態の引戸7を収容する。戸袋8は、天レール2に固定される上枠4と、側部に設けられる戸袋枠80と、巾木部材1に固定される下枠81と、を備える。そして、これらの上枠4、戸袋枠80、及び、下枠81に、矩形の面材である二枚の戸袋ガラス板82・82が外周辺を保持されている。なお、戸袋8を片寄せシングルガラスとして一枚の戸袋ガラス板82を備える構成とすることも可能である。
【0039】
上記の如く構成された間仕切り構造において、引戸7が戸袋8の内部でスライドする際に、引戸7の下端部が戸袋8の内部に設けられた第一ガイドレール83a及び第二ガイドレール83b(図3を参照)に沿って摺動する。このように、第一ガイドレール83a及び第二ガイドレール83bにより引戸7がガイドされる。
【0040】
上記の如く構成された間仕切り構造において、引戸7がレールに沿ってスライドし、戸袋8から進退することにより、引戸7が開閉される。本実施形態においては、引戸7が図1における左方向にスライドした状態を引戸7の閉状態、右方向にスライドした状態を引戸7の開状態として記載する。
【0041】
図1から図3に示す如く、引戸7の戸先側には戸当り枠3が設けられる。即ち、扉本体である引戸7と、枠体である戸当り枠3と、により、本発明に係る扉の一実施形態である引戸構造が構成されている。引戸7が閉状態にあるときは、引戸7の戸先側枠材76(より詳細には、戸先側枠材76に設けられた戸先側シール部材78)が戸当り枠3に当接する。また、引戸7の戸先側端部には、取手91及び鍵92が取り付けられている。なお、引戸7、戸当り枠3、及び、ガラスパネルGは、図3に示す如く前後方向に対称形状となるように構成されている。間仕切り構造には、戸当り枠3の上端部と戸袋枠80の上端部とを連結するようにカバー部材5が設けられる。
【0042】
図2及び図3に示す如く、戸当り枠3は支柱9に固定される。支柱9は巾木部材1と天レール2との間に立設される部材である。支柱9における戸当り枠3の反対側にはガラスパネルGが設けられる。即ち、ガラスパネルGは床面Fに立設されている。そして、戸当り枠3と引戸7とを備える扉である引戸構造がガラスパネルGと隣接して床面Fに立設されている。
【0043】
図1に示す如く、戸当り枠3に隣接されるガラスパネルGは、下側にガラス下枠Gd、側部にガラス枠Gs、上側にガラス上枠Guが設けられている。そして、これらの枠Gd・Gs・Guにガラス板GPが保持されている。ガラスパネルGは、ガラス枠Gsが支柱9に組付けられることにより支柱9に固定される。
【0044】
本実施形態に係る間仕切り構造においては図3及び図4に示す如く、戸当り枠3は平面断面視で三つの領域が形成されている。即ち、戸当り枠3には、前後方向中央部に矩形状に形成された枠本体部30が形成される。図3に示す如く、枠本体部30は、引戸7の閉塞時において引戸7の戸先側の端部と対向する。また、戸当り枠3には、枠本体部30から前方に膨出する前側膨出部31と、枠本体部30から後方に膨出する後側膨出部32と、が形成される。換言すれば、戸当り枠3の前面には、ガラスパネルGの厚さ方向(図1における紙面手前方向)に表出する前側膨出部31が、戸当り枠3の長手方向に沿って形成されている。また、戸当り枠3の後面には、ガラスパネルGの厚さ方向(図1における紙面奥行方向)に表出する後側膨出部32が、戸当り枠3の長手方向に沿って形成されている。
【0045】
図4に示す如く、戸当り枠3は長手方向と直交する断面視(平面断面視)において複数の中空形状を有する形材である。詳細には、戸当り枠3は前後方向に三分割されて、それぞれが中空形状として形成される。即ち、戸当り枠3の前後方向中央部には、閉じられた中空形状として枠本体部30が形成されている。また、枠本体部30の前側には、一部が切り欠かれた中空形状が前側膨出部31として形成されている。また、枠本体部30の後側には、一部が切り欠かれた中空形状が後側膨出部32として形成されている。なお、前側膨出部31及び後側膨出部32を、閉じられた筒状の中空形状として形成することも可能である。
【0046】
本実施形態において、戸当り枠3における枠本体部30の下部には、巾木部材1を挿入可能な被挿入口33が形成される。図1に示す如く、戸当り枠3の被挿入口33に巾木部材1の端部が挿入されることにより、巾木部材1と戸当り枠3との間に隙間が生じることができる。これにより、巾木部材1の端部と戸当り枠3との間で光漏れや音漏れが生じることを防いでいる。
【0047】
また、図2及び図4(b)に示す如く、戸当り枠3の下端部は、第二高さH2の長さに相当する部分において、水平断面視における一部が除去されている。詳細には、図4(a)中の斜線部分に示す如く、水平断面視において前側膨出部31が形成された部分、及び、後側膨出部32が形成された部分が除去される。本実施形態において、前側膨出部31の下端部と後側膨出部32の下端部とは同じ第二高さH2になるように形成される。
【0048】
本実施形態に係る間仕切り構造によれば、パネル部材であるガラスパネルGの下端辺の上下位置と、枠体である戸当り枠3におけるガラスパネルGの厚さ方向(図2における紙面前後方向)に表出する面である前側膨出部31の下端部の上下位置とが一致するように形成されている。詳細には図2に示す如く、ガラスパネルGにおけるガラス下枠Gdの下端部と床面Fとの幅寸法である第一高さH1と、戸当り枠3における前側膨出部31の下端部と床面Fとの幅寸法である第二高さH2とが一致するように形成されているのである。
【0049】
なお、本明細書において「(上下位置が)一致する」の記載は、間仕切り構造の使用者が目視した際に同一の上下位置であると違和感なく感じるレベルであるという意味で用いている(以下についても同様)。具体的に本実施形態においては、「一致する」の範囲を±2mm以内としている。このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、ガラスパネルGにおけるガラス下枠Gdの下端部と戸当り枠3における前側膨出部31の下端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0050】
また、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、パネル部材であるガラスパネルGの下端辺の上下位置と、扉本体である引戸7の下端辺の上下位置とが一致するように形成されている。詳細には図2に示す如く、第一高さH1と、引戸7における下側枠材75の下端部と床面Fとの幅寸法である第三高さH3とが一致するように形成されているのである。このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、ガラスパネルGにおけるガラス下枠Gdの下端部と引戸7における下側枠材75の下端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0051】
また、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、図3に示す如く、前側膨出部31の膨出側端面である前面は、ガラスパネルGの表面であるガラス枠Gsの前面と面一になるように形成されている。そして、前述の如く、ガラスパネルGにおけるガラス下枠Gdの下端部と戸当り枠3における前側膨出部31の下端部の高さを統一している。このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、前側膨出部31とガラスパネルGとの間で前面及び下端部の位置を統一することにより、意匠性をさらに向上させることを可能としている。なお、ガラスパネルGにおいて、ガラス枠Gsよりガラス板GPの表面が前後方向に大きく突出する場合は、ガラス板GPの表面と前側膨出部31及び後側膨出部32の膨出側端面とが面一になるよう構成することも可能である。
【0052】
また、本実施形態において、戸当り枠3は、長手方向と直交する断面視において、一の中空形状が枠本体部30として形成され、他の中空形状が前側膨出部31及び後側膨出部32として形成される。このため、図4(a)及び(b)に示す如く、戸当り枠3の下端部において、前側膨出部31及び後側膨出部32の下方が除去されても、枠本体部30は残存する。これにより、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、枠本体部30が中空形状として残存するため、枠本体部30を構成する壁により床面Fとの隙間を塞ぐことができる。
【0053】
なお、本実施形態において、戸当り枠3を前後方向に三分割された中空形状として形成したが、他の構成とすることも可能である。例えば、戸当り枠3を、複数の中空又は中実の角材を溶接した態様や、角材に変えてC字型やコ字型の材を組み合わせた態様とすることもできる。つまり、間仕切り構造においては、部屋内、部屋外、又は、部屋の内外両方に2重の壁を構成すれば良いため、戸当り枠3において残存する中空部は必ずしも全ての面が閉塞された中空形状である必要はない(後述する戸尻枠14及び戸先枠15についても同様)。
【0054】
[第二コーナー部A2]
次に、図1、及び、図5から図8を用いて、図1中の第二コーナー部A2に関連する箇所について説明する。図5図1中の第二コーナー部A2の拡大図、図6図1中のY-Y線断面図である。
【0055】
図1に示す如く、本実施形態に係る間仕切り構造においては、開き戸17が設けられる。本実施形態において、開き戸17は前方(図1における紙面手前側)に回動させることにより開放可能に構成されている。
【0056】
本実施形態に係る間仕切り構造において、戸尻枠14、戸先枠15、開き戸上枠16、及び、開き戸17は、コーナーポスト13、及び、パネル部材の一つである第二パネルP2の間に設けられる。即ち、間仕切り構造においては、扉本体である開き戸17と、戸尻枠14、戸先枠15、及び、開き戸上枠16と、により、本発明に係る扉の一実施形態である開き戸構造が構成される。
【0057】
コーナーポスト13及び第二パネルP2は床面Fに固定した巾木部材1と、天井Cに固定した天レール2と、の間に立設されている。本実施形態において、開き戸17にはコーナーポスト13を介して第一パネルP1が連結される。また、第二パネルP2の隣にはガラスパネルGが設けられる。
【0058】
コーナーポスト13は、開き戸17又はパネル部材(第一・第二パネルP1・P2及びガラスパネルG)等に対して、これらと異なる方向(本実施形態においては図10に示す如く直交する方向)に他の面状の間仕切り部材(引戸7、開き戸17、ガラスパネルG、第一・第二パネルP1・P2等、以下同じ)を連結する。
【0059】
図1及び図10に示す如く、コーナーポスト13の左側面には戸尻枠14が固定される。また、図1及び図6に示す如く、第二パネルP2の右側面には戸先枠15が固定される。即ち、戸尻枠14及び戸先枠15は床面Fと天井Cとの間に所定間隔で立設されている。戸尻枠14及び戸先枠15は、本発明に係る枠体の一実施形態である。戸尻枠14及び戸先枠15の上端部には、互いを連結する開き戸上枠16が固定されている。なお、戸尻枠14と戸先枠15とは左右対称形状であり、その構成が共通している。
【0060】
なお、本実施形態において枠体である戸尻枠14及び戸先枠15は、パネル部材である第二パネルP2及びポスト部材であるコーナーポスト13に対して直接的に連結されているが、他の構成とすることも可能である。即ち、図6に示すガラスパネルGと第二パネルP2、及び、図10に示すコーナーポスト13と第二パネルP2の如く、戸尻枠14及び/又は戸先枠15を、支柱9を介することにより間接的にパネル部材又はポスト部材と連結することも可能である。
【0061】
また、戸尻枠14及び/又は戸先枠15を、床面Fと天井Cとの間の一部に立設する構成とすることもできる。即ち、床面Fと天井Cとの間に支柱(図6に示す支柱9を参照)を立設し、この支柱に対して天井Cまでは到達しない戸尻枠14及び/又は戸先枠15を固定する構成とすることも可能である。この場合、戸尻枠14及び/又は戸先枠15の上側に欄間パネル等を設けることができる。
【0062】
図1及び図5に示す如く、開き戸17の隣には第二パネルP2が設けられる。具体的には図6に示す如く、戸先枠15と、戸先枠15から所定間隔で巾木部材1と天レール2との間に立設された支柱9と、における互いに対向する面に係止部材9a・9aが固定される。そして、係止部材9a・9aに対して、第二パネルP2の裏面に形成された被係止部Pa・Pa(より具体的には、被係止部Paに形成された図示しない係止孔)を係止する。これにより、二枚の第二パネルP2・P2が戸先枠15及び支柱9に対して前後両面に固定される。換言すれば、戸先枠15には開き戸17と隣接するパネル部材である第二パネルP2が固定される。
【0063】
図6に示す如く、戸先枠15は平面断面視で三つの領域が形成されている。即ち、戸先枠15には、前後方向中央部に矩形状に形成された枠本体部50が形成される。図6に示す如く、枠本体部50は、開き戸17の閉塞時において開き戸17の戸先側の端部と対向する。また、戸先枠15には、枠本体部50から前方に膨出する前側膨出部51と、枠本体部50から後方に膨出する後側膨出部52と、が形成される。換言すれば、戸先枠15の前面には、第二パネルP2の厚さ方向(図1における紙面手前方向)に表出する前側膨出部51が、戸先枠15の長手方向に沿って形成されている。また、戸先枠15の後面には、第二パネルP2の厚さ方向(図1における紙面奥行方向)に表出する後側膨出部52が、戸先枠15の長手方向に沿って形成されている。
【0064】
図6に示す如く、戸先枠15は長手方向と直交する断面視(平面断面視)において複数の閉じられた中空形状を有する形材である。詳細には、戸先枠15は前後方向に三分割されて、それぞれが閉じられた中空形状として形成される。そして、前後方向中央部の中空形状が枠本体部50として、前側の中空形状が前側膨出部51として、後側の中空形状が後側膨出部52として形成されている。
【0065】
図6に示す如く、支柱9は平面断面視で矩形状に形成されている。また、戸先枠15において係止部材9aが固定される部分である枠本体部50は平面断面視で矩形状に形成されている。そして、戸先枠15における枠本体部50は、支柱9と同じ機能を有するように形成される。即ち、支柱9の前後幅と枠本体部50の前後幅とは同じ寸法で形成される。このため、支柱9において第二パネルP2の被係止部Paが当接する面(前面又は後面)と、枠本体部50において第二パネルP2の被係止部Paが当接する面(前面又は後面)とは、同一面となるように形成される。
【0066】
また、図6に示す如く、前側膨出部51及び後側膨出部52の前後幅は、第二パネルP2の前後幅と同じ寸法で形成されている。即ち、前側膨出部51及び後側膨出部52は、それぞれの前面及び後面(膨出側端面)が隣接するパネル部材の表面と面一になるように、枠本体部50から膨出して形成されている。
【0067】
なお、開き戸17に隣接するパネル部材として、スチール製のパネルである第二パネルP2ではなく、ガラスパネルGを採用することも可能である。そして、開き戸17とガラスパネルGとが隣接する場合は、ガラスパネルGの表面であるガラス枠Gsの表面と、戸先枠15における前側膨出部51及び後側膨出部52の膨出側端面とが面一になるように構成される。なお、ガラスパネルGにおいて、ガラス枠Gsよりガラス板GPの表面が前後方向に大きく突出する場合は、ガラス板GPの表面と前側膨出部51及び後側膨出部52の膨出側端面とが面一になるよう構成することも可能である。
【0068】
図1に示す如く、開き戸17はヒンジ18a・18bを介して、戸尻枠14及び開き戸上枠16に回動可能に組付けられている。具体的には、開き戸17の戸尻側上端部がヒンジ18aによって開き戸上枠16の右側端部に連結されている。また、開き戸17の戸尻側下端部がヒンジ18bによって戸尻枠14の下端部に連結されている。このように、開き戸17は戸尻枠14の側に回動中心が配置され、戸尻枠14と戸先枠15との間で開閉可能とされる。そして、図1に示す閉塞状態から開き戸17を前方に回動させることにより、戸尻枠14、戸先枠15、及び、開き戸上枠16で囲まれた空間が開放される。
【0069】
図1に示す如く、開き戸17は、戸先側枠材171、戸尻側枠材172、上側枠材173、及び、下側枠材174を備える。そして、開き戸17はこれらの四本の枠材に、矩形の面材である二枚の開き戸ガラス板175・175が外周辺を保持されて構成されている。このように、開き戸17は開き戸ガラス板175・175を備えたダブルガラスとして構成される。なお、開き戸17を一枚の開き戸ガラス板175を備えるシングルガラスの構成とすることも可能である。開き戸17の戸先側における上下方向中央部のやや下側には、開き戸17を開閉する際に用いるドアノブ176が設けられている。
【0070】
開き戸17は下端部にドアボトム177を備える。ドアボトム177は下側枠材174の下端部に下側枠材174の長手方向に沿って設けられることにより、下側枠材174の下端部と床面Fとの隙間を塞ぐシール部材である。ドアボトム177に形成された樹脂製の摺接部材が床面Fと常に摺接することにより、開き戸17の下方における音漏れ及び光漏れが防止される。なお、ドアボトム177を、開き戸17の開放時は床面Fから離間させるとともに、開き戸17を閉めると自動的に下方に変位して開き戸17と床面Fとの隙間を塞ぐ構成とすることも可能である。
【0071】
戸先側枠材171及び戸尻側枠材172は、開き戸ガラス板175の長手方向に沿って設けられる第一の組を構成する二本の長枠材である。また、上側枠材173及び下側枠材174は、開き戸ガラス板175の短手方向に沿って設けられる第二の組を構成する二本の短枠材である。即ち、開き戸17は、二組の互いに対向する枠材(戸先側枠材171と戸尻側枠材172、及び、上側枠材173と下側枠材174)を備えているのである。
【0072】
また、図7及び図8(b)に示す如く、戸先枠15の下端部は、第五高さH5の長さに相当する部分において、水平断面視における一部が除去されている。詳細には、図8(a)中の斜線部分に示す如く、水平断面視において前側膨出部51が形成された部分、及び、後側膨出部52が形成された部分が除去される。本実施形態において、前側膨出部51の下端部と後側膨出部52の下端部とは同じ第五高さH5になるように形成される。
【0073】
本実施形態に係る間仕切り構造によれば、パネル部材である第二パネルP2の下端辺の上下位置と、枠体である戸先枠15における第二パネルP2の厚さ方向(図5における紙面前後方向)に表出する面である前側膨出部51の下端部の上下位置とが一致するように形成されている。詳細には図5に示す如く、第二パネルP2の下端部と床面Fとの幅寸法である第四高さH4と、戸先枠15における前側膨出部51の下端部と床面Fとの幅寸法である第五高さH5とが一致するように形成されているのである。
【0074】
このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、第二パネルP2の下端部と戸先枠15における前側膨出部51の下端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0075】
また、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、パネル部材である第二パネルP2の下端辺の上下位置と、扉本体である開き戸17の下端辺の上下位置とが一致するように形成されている。詳細には図5に示す如く、第四高さH4と、開き戸17における下側枠材174の下端部と床面Fとの幅寸法である第六高さH6とが一致するように形成されているのである。このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、第二パネルP2の下端部と開き戸17における下側枠材174の下端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0076】
また、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、図6に示す如く、前側膨出部51の膨出側端面である前面は、第二パネルP2の前面と面一になるように形成されている。そして、前述の如く、第二パネルP2の下端部と戸先枠15における前側膨出部51の下端部の高さを統一している。このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、第二パネルP2と前側膨出部51との間で前面及び下端部の位置を統一することにより、意匠性をさらに向上させることを可能としている。
【0077】
また、本実施形態において、戸先枠15は、長手方向と直交する断面視において、一の中空形状が枠本体部50として形成され、他の中空形状が前側膨出部51及び後側膨出部52として形成される。このため、図8(a)及び(b)に示す如く、戸先枠15の下端部において、前側膨出部51及び後側膨出部52の下方が除去されても、枠本体部50は残存する。これにより、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、枠本体部50が中空形状として残存するため、枠本体部50を構成する壁により床面Fとの隙間を塞ぐことができる。
【0078】
[第三コーナー部A3]
次に、図1、及び、図9から図11を用いて、図1中の第三コーナー部A3に関連する箇所について説明する。図9図1中の第三コーナー部A3の拡大図、図10図1中のZ-Z線断面図である。
【0079】
図1に示す如く、本実施形態に係る間仕切り構造においては、床面Fに立設される第一パネルP1と、第一パネルP1と隣接して床面Fに立設されるポスト部材であるコーナーポスト13と、が設けられる。コーナーポスト13の左側面には戸尻枠14を介して開き戸17が連結される。
【0080】
本実施形態に係る間仕切り構造においては図9及び図10に示す如く、コーナーポスト13の右側面には第一パネルP1が、後側面にはガラスパネルGが角筒形状の支柱9を介して連結される。第一パネルP1を支柱9に組付ける構成は第二パネルP2と同様である。支柱9の下端部には巾木部材1が貫通される。また、本実施形態において、ガラスパネルGと第一・第二パネルP1・P2とは相互に位置を入れ替えてコーナーポスト13に固定する構成とすることも可能である。
【0081】
本実施形態において、コーナーポスト13は、コーナーポスト13の本体を構成する矩形断面の角筒状ポスト部材であるポスト本体部130と、コーナーポスト13において前面を被覆するカバー部131と、が押出により一体的に成形される。換言すれば、本実施形態においてコーナーポスト13は、ポスト本体部130と、第一パネルP1の厚さ方向(図1における紙面手前方向)に表出するカバー部131とが一体的に成形されている。なお、ポスト本体部130とカバー部131とを別に成形し、ポスト本体部130にカバー部131を組付ける構成とすることも可能である。
【0082】
図10に示す如く、コーナーポスト13は長手方向と直交する断面視(平面断面視)において複数の閉じられた中空形状を有する形材である。詳細には、コーナーポスト13は前後方向に二分割されて、それぞれが閉じられた中空形状として形成される。そして、前後側の中空形状がポスト本体部130として、前側の中空形状がカバー部131として形成されている。
【0083】
また、図9及び図11(b)に示す如く、コーナーポスト13の下端部は、第八高さH8の長さに相当する部分において、水平断面視における一部が除去されている。詳細には、水平断面視においてカバー部131が形成された部分が除去される。このように、本実施形態においてカバー部131の下端部は第八高さH8になるように形成される。
【0084】
図10に示す如く、戸尻枠14は戸先枠15と同様に、平面断面視で三つの領域が形成されている。即ち、戸尻枠14には、前後方向中央部に矩形状に形成された枠本体部40が形成される。図10に示す如く、枠本体部40は、開き戸17の閉塞時において開き戸17の戸尻側の端部と対向する。また、戸尻枠14には、枠本体部40から前方に膨出する前側膨出部41と、枠本体部40から後方に膨出する後側膨出部42と、が形成される。換言すれば、戸尻枠14の前面には、第一パネルP1の厚さ方向(図1における紙面手前方向)に表出する前側膨出部41が、戸尻枠14の長手方向に沿って形成されている。また、戸尻枠14の後面には、第一パネルP1の厚さ方向(図1における紙面奥行方向)に表出する後側膨出部42が、戸尻枠14の長手方向に沿って形成されている。
【0085】
図10に示す如く、戸尻枠14は長手方向と直交する断面視(平面断面視)において複数の閉じられた中空形状を有する形材である。詳細には、戸尻枠14は前後方向に三分割されて、それぞれが閉じられた中空形状として形成される。そして、前後方向中央部の中空形状が枠本体部40として、前側の中空形状が前側膨出部41として、後側の中空形状が後側膨出部42として形成されている。
【0086】
また、図9に示す如く、戸尻枠14の下端部は、第七高さH7の長さに相当する部分において、水平断面視における一部が除去されている。詳細には、水平断面視において前側膨出部41が形成された部分、及び、後側膨出部42が形成された部分が除去される。本実施形態において、前側膨出部41の下端部と後側膨出部42の下端部とは同じ第七高さH7になるように形成される。
【0087】
本実施形態に係る間仕切り構造によれば、パネル部材である第一パネルP1の下端辺の上下位置と、ポスト部材であるコーナーポスト13における第一パネルP1の厚さ方向(図9における紙面前後方向)に表出する面であるカバー部131の下端部の上下位置とが一致するように形成されている。詳細には図9に示す如く、第一パネルP1の下端部と床面Fとの幅寸法である第九高さH9と、コーナーポスト13におけるカバー部131の下端部と床面Fとの幅寸法である第八高さH8とが一致するように形成されているのである。
【0088】
このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、第一パネルP1の下端部とコーナーポスト13におけるカバー部131の下端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0089】
また、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、パネル部材である第一パネルP1の下端辺の上下位置、及び、コーナーポスト13におけるカバー部131の下端部の上下位置と、枠体である戸尻枠14における第一パネルP1の厚さ方向に表出する面である前側膨出部41の下端部の上下位置と、が一致するように形成されている。詳細には図9に示す如く、第九高さH9及び第八高さH8と、戸尻枠14における前側膨出部41の下端部と床面Fとの幅寸法である第七高さH7とが一致するように形成されているのである。
【0090】
このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、第一パネルP1の下端部と戸尻枠14における前側膨出部41の下端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0091】
また、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、パネル部材である第一パネルP1の下端辺の上下位置と、扉本体である開き戸17の下端辺の上下位置とが一致するように形成されている。詳細には図9に示す如く、第九高さH9と、開き戸17における下側枠材174の下端部と床面Fとの幅寸法である第六高さH6とが一致するように形成されているのである。このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、第一パネルP1の下端部と開き戸17における下側枠材174の下端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0092】
また、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、図10に示す如く、カバー部131の膨出側端面である前面は、第一パネルP1の前面と面一になるように形成されている。そして、前述の如く、第一パネルP1の下端部とコーナーポスト13におけるカバー部131の下端部の高さを統一している。このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、第一パネルP1とカバー部131との間で前面及び下端部の位置を統一することにより、意匠性をさらに向上させることを可能としている。
【0093】
また、本実施形態において、コーナーポスト13は、長手方向と直交する断面視において、一の中空形状がポスト本体部130として形成され、他の中空形状がカバー部131として形成される。このため、図9に示す如く、コーナーポスト13の下端部において、カバー部131の下方が除去されても、ポスト本体部130は残存する。これにより、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、ポスト本体部130が中空形状として残存するため、ポスト本体部130を構成する壁により床面Fとの隙間を塞ぐことができる。
【0094】
本実施形態に係る間仕切り構造は、図12に示す変形例の如く、コーナーポスト23で角部を構成することにより、直交する二方向に間仕切り部材を固定することもできる。本変形例において、コーナーポスト23は、コーナーポスト23の本体を構成する矩形断面の角筒状ポスト部材であるポスト本体部230と、コーナーポスト23において前面を被覆する第一カバー部231と、コーナーポスト23において右側面を被覆する第二カバー部232と、が押出により一体的に成形される。
【0095】
本変形例に係る間仕切り構造によれば、パネル部材である第一パネルP1の下端辺の上下位置と、ポスト部材であるコーナーポスト23における第一カバー部231及び第二カバー部232の下端部の上下位置とが一致するように形成されている。このように、本変形例に係る間仕切り構造においても、第一パネルP1の下端部とコーナーポスト23における第一カバー部231及び第二カバー部232の下端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0096】
なお、本実施形態に係る間仕切り構造においては図1に示す如く、第一高さH1~第九高さH9は全て一致するように構成されている。即ち、本実施形態に係る間仕切り構造においては、引戸7、戸袋8、開き戸17、ガラスパネルG、第一パネルP1、及び、第二パネルP2の全ての下端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0097】
また、本実施形態に係る間仕切り構造においては図1に示す如く、ガラスパネルGのガラス下枠Gd、引戸7の下側枠材75、戸袋8の下枠81、及び、開き戸17の下側枠材174が上下方向に同位置かつ略同一の幅寸法で形成される。なお、本明細書における「略同一」の記載は、引戸構造の使用者が目視した際に同一の幅寸法であると違和感なく感じるレベルであるという意味で用いている。このように、本実施形態における間仕切り構造においては、各部材の下部に設けられる部材における見付寸法を統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0098】
[第四コーナー部A4]
次に、図1及び図13を用いて、図1中の第四コーナー部A4に関連する箇所について説明する。図13図1中の第四コーナー部A4の拡大図である。
【0099】
本実施形態に係る間仕切り構造によれば、パネル部材である第一パネルP1の上端辺の上下位置と、ポスト部材であるコーナーポスト13における第一パネルP1の厚さ方向(図13における紙面前後方向)に表出する面であるカバー部131の上端部の上下位置とが一致するように形成されている。詳細には図13に示す如く、第一パネルP1の上端部と天井Cとの幅寸法である第十三高さH13と、コーナーポスト13におけるカバー部131の上端部と天井Cとの幅寸法である第十二高さH12とが一致するように形成されているのである。
【0100】
このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、第一パネルP1の上端部とコーナーポスト13におけるカバー部131の上端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0101】
また、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、パネル部材である第一パネルP1の上端辺の上下位置と、枠体である戸尻枠14における第一パネルP1の厚さ方向に表出する面である前側膨出部41の上端部の上下位置とが一致するように形成されている。詳細には図13に示す如く、第十三高さH13と、戸尻枠14における前側膨出部41の上端部と天井Cとの幅寸法である第十一高さH11とが一致するように形成されているのである。
【0102】
このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、第一パネルP1の上端部と戸尻枠14における前側膨出部41の上端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0103】
また、本実施形態に係る間仕切り構造によれば、パネル部材である第一パネルP1の上端辺の上下位置と、開き戸17を支持する開き戸上枠16の上端辺の上下位置とが一致するように形成されている。詳細には図13に示す如く、第十三高さH13と、開き戸上枠16の上端部と天井Cとの幅寸法である第十高さH10とが一致するように形成されているのである。このように、本実施形態に係る間仕切り構造においては、第一パネルP1の上端部と開き戸上枠16の上端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【0104】
なお、本実施形態に係る間仕切り構造においては図1に示す如く、第十高さH10~第十三高さH13に限らず、引戸7、戸袋8、又は、ガラスパネルGを支持する上枠4及びガラス上枠Gu、及び、第二パネルP2の上端部と天井Cとの幅寸法が一致するように形成されている。このように、間仕切り構造を構成する全ての部材の上端部の高さを統一することにより、意匠性を向上させることを可能としている。
【符号の説明】
【0105】
1 巾木部材 2 天レール
3 戸当り枠(枠体)
4 上枠 5 カバー部材
7 引戸(扉本体) 8 戸袋
9 支柱 9a 係止部材
13 コーナーポスト(ポスト部材)
14 戸尻枠(枠体) 15 戸先枠(枠体)
16 開き戸上枠 17 開き戸(扉本体)
18a ヒンジ 18b ヒンジ
23 コーナーポスト(ポスト部材の別実施例)
30 枠本体部 31 前側膨出部
32 後側膨出部 33 被挿入口
40 枠本体部 41 前側膨出部
42 後側膨出部 50 枠本体部
51 前側膨出部 52 後側膨出部
74 引戸ガラス板 75 下側枠材
76 戸先側枠材 77 戸尻側枠材
78 戸先側シール部材 79 下側シール部材
80 戸袋枠 81 下枠
82 戸袋ガラス板 83a 第一ガイドレール
83b 第二ガイドレール 91 取手
92 鍵 130 ポスト本体部
131 カバー部 171 戸先側枠材
172 戸尻側枠材 173 上側枠材
174 下側枠材 175 開き戸ガラス板
176 ドアノブ 177 ドアボトム
230 ポスト本体部 231 第一カバー部
232 第二カバー部 C 天井
F 床面 A1 第一コーナー部
A2 第二コーナー部 A3 第三コーナー部
A4 第四コーナー部 P1 第一パネル(パネル部材)
P2 第二パネル(パネル部材)
Pa 被係止部 G ガラスパネル(パネル部材)
Gs ガラス枠 Gd ガラス下枠
Gu ガラス上枠 GP ガラス板
H1 第一高さ H2 第二高さ
H3 第三高さ H4 第四高さ
H5 第五高さ H6 第六高さ
H7 第七高さ H8 第八高さ
H9 第九高さ H10 第十高さ
H11 第十一高さ H12 第十二高さ
H13 第十三高さ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図13