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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/31 20220101AFI20231130BHJP
   F24D 17/00 20220101ALI20231130BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20231130BHJP
   F24H 15/174 20220101ALI20231130BHJP
   F24H 15/212 20220101ALI20231130BHJP
   F24H 15/325 20220101ALI20231130BHJP
【FI】
F24H15/31
F24D17/00 P
F24H1/14 B
F24H15/174
F24H15/212
F24H15/325
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019224401
(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公開番号】P2021092366
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立石 真吾
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】野村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】金城 貴信
(72)【発明者】
【氏名】山西 裕美
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 良
(72)【発明者】
【氏名】安川 健一郎
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-349950(JP,A)
【文献】特開2015-209983(JP,A)
【文献】特開2015-124944(JP,A)
【文献】特開2014-228174(JP,A)
【文献】特許第2555840(JP,B2)
【文献】特開平07-190483(JP,A)
【文献】特開平10-300213(JP,A)
【文献】特開平06-050604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
F24D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯装置であって、
熱交換器と、
前記熱交換器への入水路および前記熱交換器からの出湯路に接続されるバイパス流路と、
開閉部を有し、その開閉度を調整することにより、前記入水路および前記バイパス流路に流れる各水量を調整するバイパス水量調整部と、
前記出湯路と前記バイパス流路との合流後の水量を調整する給湯水量調整部と、
給湯の設定温度を記憶する記憶部と、
前記給湯装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
給湯が停止している場合に、前記設定温度の変化に比例するように規定された開度に応じて、前記給湯水量調整部の開度を調整する、給湯装置。
【請求項2】
給湯装置であって、
熱交換器と、
前記熱交換器への入水路および前記熱交換器からの出湯路に接続されるバイパス流路と、
開閉部を有し、その開閉度を調整することにより、前記入水路および前記バイパス流路に流れる各水量を調整するバイパス水量調整部と、
前記出湯路と前記バイパス流路との合流後の水量を調整する給湯水量調整部と、
前記給湯装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
給湯が停止している場合に、前記入水路への流量と、前記バイパス流路への流量との比率に応じて、前記給湯水量調整部の開度を調整する、給湯装置。
【請求項3】
前記給湯水量調整部は、ステッピングモータであり、
前記開度を調整することは、前記ステッピングモータのステップ数を変更することを含む、請求項1または2に記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は給湯装置の制御に関し、より特定的には、即湯機能を有する給湯装置の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
湯の供給待ちを解消するいわゆる即湯機能付の給湯装置に関し、例えば、特許第2555840号(特許文献1)は、「出湯停止時間の長短等、様々な条件の下での出湯開始時或いは再出湯時における出湯特性を改善し、即出湯機能を備えた給湯器制御方法」を開示している(段落[0005]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2555840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱交換器に水を供給して熱交換器による加熱後の温水を供給する加熱流路と、熱交換器を迂回するバイパス流路とを有する給湯装置においては、給湯が停止しているとき、バイパス流路に送られる水量が加熱流路に送られる水量よりも多くなるように調整されている。加熱流路に送られる水量が減少すると、給湯装置が、加熱される水の量を検知する水量センサを加熱流路に備えている場合において給湯が再開されると、当該水量センサが加熱流路の水量を検知できない可能性がある。その結果、安定した給湯が行なわれない恐れがあった。
【0005】
また、上水道のインフラストラクチャが整備されていない地域において、想定された低水圧よりもさらに低い水圧の上水しか供給されない場合があり得る。その場合、トータル水量サーボとバイパス水量サーボとを備える給湯装置では、給湯の設定温度が低い場合には、バイパス流路への供給量が増加するように、バイパス水量サーボのステッピングモータは、全開に近い位置に移動する。結果として、熱交換器に供給される水量は、減少する。この点を考慮して、トータル水量サーボのステッピングモータの待機位置を設定する方法も考えられる。しかしながら、給湯の設定温度が高い場合には、熱交換器に供給される水量が増加し、水が十分に加熱される前に熱交換器から低温水のまま流出する可能性や、低い入水温度の場合に熱交換器への水量が少なくなり水の量を検知できず燃焼しない可能性もある。
【0006】
したがって、安定した給湯が行なわれる技術が必要とされている。本開示は上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、即湯機能を有する給湯装置が安定して給湯できる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施の形態に従う給湯装置は、熱交換器と、熱交換器への入水路および熱交換器からの出湯路に接続されるバイパス流路と、開閉部を有し、その開閉度を調整することにより、入水路およびバイパス流路に流れる各水量を調整するバイパス水量調整部と、出湯路とバイパス流路との合流後の水量を調整する給湯水量調整部と、給湯の設定温度を格納する記憶部と、給湯装置の動作を制御する制御装置とを備える。制御装置は、給湯が停止している場合に、設定温度の変化に比例するように規定された開度に応じて、給湯水量調整部の開度を調整する。
【0008】
他の実施の形態に従う給湯装置は、熱交換器と、熱交換器への入水路および熱交換器からの出湯路に接続されるバイパス流路と、開閉部を有し、その開閉度を調整することにより、入水路およびバイパス流路に流れる各水量を調整するバイパス水量調整部と、出湯路とバイパス流路との合流後の水量を調整する給湯水量調整部と、給湯装置の動作を制御する制御装置とを備える。制御装置は、給湯が停止している場合に、入水路への流量と、バイパス流路への流量との比率に応じて、給湯水量調整部の開度を調整する。
【0009】
ある局面において、給湯水量調整部は、ステッピングモータである。開度を調整することは、ステッピングモータのステップ数を変更することを含む。
【0010】
他の実施の形態に従うと、熱交換器を備える給湯装置の制御方法が提供される。この制御方法は、給湯装置による給湯が停止していることを検知するステップと、給湯の設定温度にアクセスするステップと、給湯の停止の検知に応答して、設定温度の変化に比例するように規定された開度に応じて、熱交換器への入水路および熱交換器からの出湯路に接続されるバイパス流路に流れる各水量を調整するステップとを含む。
【0011】
他の実施の形態に従う、熱交換器を備える給湯装置の制御方法は、給湯装置による給湯が停止していることを検知するステップと、給湯の停止の検知に応答して、熱交換器への入水路への流量と、熱交換器からの出湯路に接続されるバイパス流路への流量との比率に応じて、出湯路とバイパス流路との合流後の水量を調整するステップとを含む。
【0012】
ある局面において、調整するステップは、出湯路に設けられたステッピングモータのステップ数を変更することを含む。
【0013】
さらに他の実施の形態に従うと、上記のいずれかの方法をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
ある実施の形態に従うと、安定した給湯が実現され得る。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】給湯装置100のハードウェア構成の一例を表わすブロック図である。
図2】制御装置110のハードウェア構成の一例を表わすブロック図である。
図3】ある実施の形態に従う給湯装置100の状態遷移を表す図である。
図4】給湯装置100による給湯の設定温度と、トータル水量サーボ130を構成するステッピングモータの位置との関係を表わす図である。
図5】給湯装置100の制御装置110が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図6】給湯装置100の流路の構成を概念的に表わす図である。
図7】バイパス比とステッピングモータの待機位置との関係を表わす図である。
図8】給湯装置700の制御装置110が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図9】さらに他の局面に従う給湯装置900のハードウェア構成の一例を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0017】
[給湯装置のハードウェア構成]
まず、図1および図2を参照して本実施の形態に係る給湯装置100の構成について説明する。図1は、給湯装置100のハードウェア構成の一例を表わすブロック図である。図1に示されるように、給湯装置100は、制御装置110と、バイパス水量サーボ(「バイパスサーボ」ともいう)122と、缶体124と、熱交換器126と、燃焼機構128と、トータル水量サーボ130と、水量センサ131と、温度センサ141,142,143とを備える。バイパス水量サーボ122およびトータル水量サーボ130は、ステッピングモータ(図示しない)をそれぞれ含む。
【0018】
熱交換器126は、入水路150と出湯路152とに接続されている。バイパス水量サーボ122と出湯路152とは、バイパス流路151によって接続されている。バイパス水量サーボ122の入水側と、トータル水量サーボ130の出湯側とは、流路153によって接続されている。より具体的には、流路153は、入水部10と出湯部20とを接続する。所謂即湯循環運転が行なわれる場合には、温水が、流路153を流れる。流路153には、少なくとも1つ以上の給湯栓21が接続されている。
【0019】
給湯装置100は、入水部10から上水の供給を受け、出湯部20を介して1つ以上の蛇口あるいは給湯栓から温水(湯)を供給する。給湯装置100が循環運転を行なっていない場合には、給湯装置100は、入水部10から上水の供給を受ける。給湯装置100は、リモートコントローラ30と報知装置40とに電気的に接続されている。給湯装置100の動作は、リモートコントローラ30に対する操作に応じて制御される。報知装置40は、給湯装置100から送られる信号に基づいて給湯装置100の状態を報知する。
【0020】
制御装置110は、水量センサ131から出力される信号の入力と、温度センサ141,142,143から出力される信号の入力と、リモートコントローラ30から送信される信号の入力とをそれぞれ受ける。制御装置110は、入力された信号と予め規定された設定データとに基づいて、給湯装置100の動作を制御する。より具体的には、制御装置110は、給湯装置100における燃焼、燃焼の停止、および、熱交換器126に供給される水量などを制御する。
【0021】
バイパス水量サーボ122は、入水部10から供給される水を、熱交換器126に供給される水とバイパス流路151に流入する水とに調整(分配)する。バイパス水量サーボ122は、熱交換器126に供給される水量を調整することで、熱交換器126からの温水の温度を調整し得る。
【0022】
バイパス水量サーボ122のステッピングモータは、給湯の設定温度、熱交換器126の温度、および入水温度からなる関係式から導出される位置に移動する。例えば、熱交換器126の温度を変数として,出湯待機中に熱交換器126の温度が下がった場合には、その下がった分を考慮した待機位置が、ステッピングモータの待機位置とされて、制御装置110は、当該待機位置までステッピングモータを移動させる指令をバイパス水量サーボ122に出力する。
【0023】
入水路150から熱交換器126に流入する水は、出湯路152に流出する。熱交換器126は、燃焼機構128によって加熱される。ある局面において、燃焼機構128はガスまたは石油などの燃焼により熱量を発生するバーナによって構成される。熱交換器126は、燃焼機構128が発生した熱量を用いて、入水路150によって導入された水の温度を上昇させる。したがって、熱交換器126と燃焼機構128とは、「加熱機構」の一例を構成する。
【0024】
熱交換器126によって温度が上昇した水(湯)は、出湯路152を通じてトータル水量サーボ130に流入する。出湯路152には、バイパス流路151が接続されている。熱交換器126から出力される高温水は、バイパス流路151を通じてバイパス水量サーボ122から供給される水(低温水)と混合され、高温水の温度は制御装置110によって指示された温度に調節され得る。
【0025】
トータル水量サーボ130は、制御装置110から出力される信号に基づいて、バルブ(図示しない)の開閉度を変更することにより、給湯装置100によって流路153に供給される温水の温度が設定温度になるような水量が、出湯能力に応じて調節される。トータル水量サーボ130から流出する温水は、出湯部20を介して給湯栓21から供給され得る。なお、トータル水量サーボ130から流出する温水の一部は、流路153を経由して、入水部10に戻される。給湯栓21が閉じておりトータル水量サーボ130から流出する温水が出湯部20を通じて給湯装置100の外部に供給されない場合、給湯装置100は、流路153、入水路150、および出湯路152から構成される即湯循環流路を通じて即湯循環運転を実行する。このような即湯循環運転より、ある実施の形態に従う給湯装置100は、給湯栓21の開栓直後から高温水を供給し得る。
【0026】
また、給湯の待機時には、トータル水量サーボ130のステッピングモータは、設定温度に応じて規定される待機位置に移動する。例えば、バイパス水量サーボ122から熱交換器126への流量が少ない位置に設定されている場合には、トータル水量サーボ130のステッピングモータは、流量が増大する位置に移動する。
【0027】
リモートコントローラ30は、ユーザの操作を受け付けて当該操作に応じた信号を給湯装置100に送信する。例えば、リモートコントローラ30は、給湯装置100の運転および停止、供給される温水の設定温度その他給湯装置100の動作を規定する設定の入力を受け付ける。リモートコントローラ30は、有線または無線により給湯装置100に接続される。
【0028】
報知装置40は、制御装置110から出力される信号に基づいて、給湯装置100の状態を報知する。ある局面において、報知装置40は、表示、音等により実現され、給湯装置100の状態を表わす情報を出力する。報知の態様は、音声、画像または文字、光等を含む。さらに他の局面において、報知装置40は、給湯装置100の報知を実現するためのプログラム(アプリ)がインストールされた携帯端末としても実現され得る。
【0029】
水量センサ131は、熱交換器126に流入する水量を検知する。温度センサ141は、熱交換器126に流入する水の温度を検知する。温度センサ142は、缶体124から流出する温水の温度を検知する。温度センサ143は、トータル水量サーボ130から供給される温水の温度を検知する。
【0030】
本実施の形態に係る給湯装置100は、即湯循環運転中にバイパス流路151への流量を制御でき、即湯循環運転と給湯運転時に流路153に流す湯水の温度を制御することができる。
【0031】
[制御装置のハードウェア構成]
図2は、制御装置110のハードウェア構成の一例を表わすブロック図である。制御装置110は、代表的にはマイクロコンピュータによって構成される。制御装置110は、CPU(Central Processing Unit)210と、メモリ220と、入出力回路230と、電子回路240とを含む。CPU210、メモリ220及び入出力回路230は、バス250を経由して、相互に信号の授受が可能である。電子回路240は、予め定められた演算処理を専用のハードウェアによって実行するように構成されている。電子回路240は、CPU210及び入出力回路230との間で信号の授受が可能である。
【0032】
CPU210は、入出力回路230を通じて、温度センサ141,142,143及び水量センサ131を含む各センサからの出力信号(検出値)の入力をそれぞれ受ける。さらに、CPU210は、入出力回路230を通じて、リモートコントローラ30に与えられた操作指示を示す信号の入力を受ける。操作指示は、例えば、給湯装置100の運転スイッチのオンオフ操作、給湯設定温度、及び、各種の時刻予約設定(「タイマ設定」ともいう)を含む。CPU210は、当該操作指示に従って給湯装置100が作動するように、燃焼機構128およびトータル水量サーボ130を含む各要素部品の動作を制御する。
【0033】
CPU210は、報知装置40を制御することにより、視覚又は聴覚によって認識できる情報を出力し得る。例えば、報知装置40は、文字及び図形等の視認可能な情報を表示することによって情報を出力できる。この場合には、報知装置40は、リモートコントローラ30に設けられたモニタの表示画面によって構成することができる。あるいは、報知装置40は、スピーカによって構成されて、音声又はメロディ等を用いて情報を出力し得る。
【0034】
メモリ220は、給湯装置100の動作を規定するデータを保持している。ある局面において、当該データは、設定温度221と、位置決定データ222とを含む。設定温度221は、給湯装置100により供給される温水の温度として、給湯装置100のユーザによってリモートコントローラ30を介して設定される。位置決定データ222は、トータル水量サーボ130のステッピングモータの待機位置を決めるためのデータである。ある局面において、位置決定データ222は、設定温度に応じて予め導出された待機位置(ステッピングモータのステップ数)である。他の局面において、位置決定データ222は、バイパス流量比に応じて予め導出された待機位置であってもよい。
【0035】
[給湯装置の状態遷移]
図3を参照して、給湯装置100が有する動作モードについて説明する。図3は、ある実施の形態に従う給湯装置100の状態遷移を表す図である。
【0036】
図3に示されるように、給湯装置100の動作モードは、燃焼機能禁止モード310と、凍結予防ポンプモード以外の311と、給湯モード313と、即湯モード316とを含む。給湯モード313は、給湯待機モード314と、給湯燃焼モード315とを含む。即湯モード316は、即湯待機モード317と、即湯循環モード318とを含む。
【0037】
(燃焼機能禁止モード)
ある局面において、給湯装置100の電源がオンになると、給湯装置100の動作モードは、燃焼機能禁止モード310に切り替わる(ステップS320)。燃焼機能禁止モード310では、燃焼機構は強制停止となり燃焼が行なわれない。バイパス水量サーボ122に対する指令は、予め定められた位置での停止を指示し、バイパス水量サーボ122は当該位置での停止状態を維持する。トータル水量サーボ130に対する指令も、バイパス水量サーボ122に対する指令と同様に、予め定められた位置での停止を指示し、トータル水量サーボ130は、当該位置での停止状態を維持する。その後、給湯装置100について予め定められた燃焼機能が確認され、異常がないことが確認されると、動作モードは、燃焼機能禁止モード310から給湯待機モード314に切り替わる(ステップS330)。
【0038】
(給湯待機モード)
給湯待機モード314において、給湯装置100は正常に停止している。より具体的には、制御装置110によるバイパス水量サーボ122およびトータル水量サーボ130に対する各指令は、それぞれ、「出湯待機」を示している。
【0039】
ある局面において、給湯のために給湯栓21が開放されると、入水部10から供給される水の供給圧力により、入水経路に水が導入される。水量センサ131が、最小作動水量(Minimum Operation Quantity(MOQ))を超える水量を検出すると、制御装置110は、燃焼機構128を作動させる。すなわち、給湯装置100は、給湯待機モード314から給湯燃焼モード315に切り替わる(ステップS331)。
【0040】
(給湯燃焼モード)
給湯燃焼モード315になると、制御装置110は燃焼機構128に燃焼開始のための指令を送る。その指令に応答して、燃焼機構128は燃焼を開始する。制御装置110は、バイパス水量サーボ122およびトータル水量サーボ130に、出湯量を制御するための指令をそれぞれ出力する。それぞれ入力された指令に応じて、バイパス水量サーボ122およびトータル水量サーボ130は、指定された温水が供給されるように、バルブ(図示しない)の開度をそれぞれ調整する。
【0041】
ある局面において、給湯栓21が閉じられて給湯が終了すると、その後、水量センサ131は、MOQを下回る流量を検出する。その検出に応答して、制御装置110は、燃焼を停止する指令を燃焼機構128に出力する。当該指令に応答して、燃焼機構128は燃焼動作を終了する。さらに、制御装置110は、バイパス水量サーボ122およびトータル水量サーボ130に対する各指令として「出湯待機」の指令を出力する。バイパス水量サーボ122およびトータル水量サーボ130は、出湯待機の状態として予め定められた状態に切り替わる。これにより、給湯装置100の動作モードは、給湯燃焼モード315から給湯待機モード314に切り替わる(ステップS332)。
【0042】
(即湯待機モード)
給湯待機モード314において、即湯要求または凍結予防要求があった場合にポストパージ(排気動作)が終了したとき、動作モードは、即湯待機モード317に切り替わる(ステップS340)。本実施の形態において、即湯要求とは、予め予約された即湯時刻が到来したとき、または、予め定められた時間(例えば30分)に限り1回だけ即湯(以下単に「1回即湯」ともいう)を行なう指示をいう。即湯待機モード317において、制御装置110が、即湯要求および凍結予防要求を検知しなかった場合には、動作モードは、給湯待機モード314に切り替わる(ステップS341)。なお、給湯待機モード314における給湯装置100の状態と、即湯待機モード317における給湯装置100の状態とは、同じである。
【0043】
ある局面において、熱交換器126から流出する温水の温度を測定する温度センサ143の温度が、即湯循環を開始するための温度として規定された温度以上になると、給湯装置100の動作モードは、即湯待機モード317から即湯循環モード318に切り替わる(ステップS342)。
【0044】
別の局面において、制御装置110がMOQを超える水量を検出すると、動作モードは、即湯待機モード317から給湯燃焼モード315に切り替わる(ステップS343)。なお、他の局面において、温度センサ142の計測値に代えて、熱交換器126に流入する水の温度を計測する温度センサ141の計測値が使用されてもよい。
【0045】
(即湯循環モード)
即湯循環モード318において、制御装置110は、燃焼機構128に燃焼開始の指令を出力する。当該指令に応答して、燃焼機構128は燃焼を開始する。制御装置110は、バイパス水量サーボ122に出湯制御の指令を送る。バイパス水量サーボ122は、当該指令に応答して、即湯循環中の温水の温度が予め定められた温度を維持するように、開度を調節する。制御装置110は、トータル水量サーボ130に全開指令を出力する。当該全開指令に応答して、トータル水量サーボ130は、調整弁を全開する。
【0046】
熱交換器126に流入する水の温度または熱交換器126から流出する水の温度が即湯循環を停止するために予め定められた温度以上になった場合、あるいは、即湯循環の運転中に給湯栓21の使用が検出された場合(いわゆる他栓割込が検知された場合)には、動作モードは、即湯循環モード318から給湯燃焼モード315に切り替わる(ステップS350)。すなわち、制御装置110は、給湯装置100から温水が供給される間も予め定められた温度を維持するために、トータル水量サーボ130に対して出湯制御の指令を送る。トータル水量サーボ130は、その指令に応答して、調整弁の開度を調整する。
【0047】
ある局面において、即湯モードでの設定温度の上限は、即湯の上限温度に設定され得る。予約運転や1回即湯が完了して、動作モードが給湯待機モード314に移行すると、給湯設定温度の上限は、元に戻る。
【0048】
[設定温度と待機位置との関係]
図4を参照して、設定温度とトータル水量サーボ130の待機位置との関係について説明する。図4は、給湯装置100による給湯の設定温度と、トータル水量サーボ130を構成するステッピングモータの位置との関係を表わす図である。ある局面において、当該設定温度とステッピングモータの位置とは、線形のグラフ410で規定され得る。
【0049】
例えば、グラフ410は、設定温度32℃,45℃および60℃の場合におけるステッピングモータのそれぞれの位置(ステップ数)をプロットした各点を線形補間することで規定される。より具体的には、ステッピングモータは、32℃の場合は1,450ステップの場所に、45℃の場合は1,550ステップの場所に、60℃の場合は1,750ステップの場所に、それぞれ待機する。
【0050】
[運転条件]一例として、入水温度は20℃である。水圧条件として、静止時の水圧は、50kPa、80kPa、200kPaである。この場合、動作時の水圧は、20kPa、50kPa、100kPaである。再出湯の時間は、1分である。
【0051】
着火性能の評価基準は、着火遅れがないことであり、例えば、着火までの時間が1.5秒未満となることである。MOQが所定量以上にならないと、給湯装置100は給湯燃焼モード315にならない。そこで、水量センサ131がMOQを超える水量を検出するまで、制御装置110は、トータル水量サーボ130から熱交換器126に流入する水量が増えるように、トータル水量サーボ130の開度を大きくする。
【0052】
[設定温度=32℃] 例えば、給湯の設定温度が32℃であり静止時の水圧が50kPaである場合において、ステッピングモータの待機位置が1,450ステップであるとき、着火までの時間が0.8秒となる。この場合、着火性能は当該評価基準を満たす。同じ水圧において、待機位置が1,500ステップになると(=熱交換器126に流入する水量を減らすためにステッピングモータの開度が小さくなると)、着火までの時間が1.5秒となり、当該評価基準を満たさなくなる。
【0053】
[設定温度=45℃] 給湯の設定温度が45℃であり静止時の水圧が50kPaである場合において、ステッピングモータの待機位置が1,450ステップであるとき、着火までの時間が0.7秒となる。待機位置が1500ステップである場合、着火までの時間が0.9秒となる。待機位置が1550ステップである場合、着火までの時間が1.2秒となる。これらの場合、着火性能は当該評価基準を満たす。
【0054】
[設定温度=60℃] 給湯の設定温度が60℃であり静止時の水圧が50kPaである場合において、ステッピングモータの待機位置が1750ステップであるとき、着火までの時間が0.9秒となり、着火性能は当該評価基準を満たす。
【0055】
上記の結果に基づき、各設定温度でのトータル水量サーボ130のステッピングモータの待機位置は、以下の通りとなる。
設定温度 待機位置
32℃ 1450
45℃ 1550
60℃ 1750
そこで、これらの値をプロットして線形補間を行なうことにより、図4のグラフ410として示されるように、以下のような関係が導出される。
y = 10.781x + 1091
ここで、xは設定温度を表わし、yはトータル水量サーボ130のステッピングモータの待機位置(ステップ)を表わす。
【0056】
[制御構造]
図5を参照して、給湯装置100の制御構造について説明する。図5は、給湯装置100の制御装置110が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0057】
ステップS510にて、制御装置110は、給湯装置100による給湯が停止していることを検知する。
【0058】
ステップS520にて、制御装置110は、給湯の設定温度221をメモリ220から読み出す。
【0059】
ステップS530にて、制御装置110は、読み出した設定温度221に基づいて、トータル水量サーボ130の目標開度を算出する。ある局面において、目標開度は、ステッピングモータの待機位置を規定するステップ数として算出される。例えば、待機位置(ステップ)yは、設定温度xと基準ステップ数とを用いて、次式で規定され得る。
待機位置y = α・設定温度x+基準ステップ数
ここで、係数αは、実験によって決定されるものであり、図4に示される例では10.781となる。
基準ステップ数は、従来の給湯装置と同様に、ステッピングモータの初期位置に相当する。図4に示される例では、基準ステップ数は、1091である。
【0060】
ステップS540にて、制御装置110は、トータル水量サーボ130から熱交換器126に流入する経路の開度を上記目標開度にするための指令を、トータル水量サーボ130に送る。
【0061】
ステップS550にて、トータル水量サーボ130のステッピングモータは、当該指令に応答して移動する。その後、所定の評価基準を満たす時間内に、熱交換器126は着火し、熱交換器126に流入する水の加熱を開始する。
【0062】
[バイパス比]
図6を参照して、ある局面に従う給湯装置100におけるバイパス流路151への分配(バイパス比)について説明する。図6は、給湯装置100の流路の構成を概念的に表わす図である。
【0063】
図6において、入水温度Tcは、バイパス水量サーボ122から流出する水の温度を表わす。図6に示される各流路の構成によれば、入水路150を流れる水の温度と、バイパス流路151を流れる水の温度とは同一となる。熱交出側温度Tkは、熱交換器126から流出する水(湯)の温度を表わす。出湯温度Tsは、トータル水量サーボ130に流入する温水、すなわち給湯装置100から供給される温水の温度を表わす。
【0064】
ある局面において、バイパス水量サーボ122から入水路150に供給される水量(以下「熱交出側流量Q1」ともいう)と、バイパス水量サーボ122からバイパス流路151に供給される水量(以下「バイパス流量Q2」ともいう)との比(以下「分配比率」または「バイパス比」ともいう)Xは、以下のように算出され得る。
【0065】
熱交換器126には、熱交出側流量Q1(リットル/分)の水が流入する。バイパス水量サーボ122からバイパス流路151には、バイパス流量Q2(リットル/分)の水が流入する。したがって、トータル水量サーボ130に流入するトータル流量Qtは、Q1+Q2となる。熱交出側流量Q1に対するバイパス流量Q2の比率を分配比率Xとして、X=Q2/Q1と規定する。この場合、給湯装置100において熱損失がない場合には、以下の関係が成立する。
TsQt=TkQ1+TcQ2 (1)
式(1)は、以下のように変形される。
Ts(Q1+Q2)=TkQ1+TcQ2 (2)
X=Q2/Q1からQ2=Q1Xとなるので、Q2をQ1Xで置換すると、式(2)は、式(3)として示される。
Ts(Q1+Q1X)=TkQ1+Tc(Q1X) (3)
式(3)は式(4)のように変形され、さらに、式(5)が導かれる。
(Ts+TsX)Q1=(Tk+TcX)Q1 (4)
Ts+TsX=Tk+TcX (5)
式(5)を以下のように変形すると、流量を用いて規定された分配比率Xは、熱交出側温度Tk、入水温度Tc、および出湯温度Tsを用いて、式(6)として示される。
TsX-TcX=Tk-Ts
(Ts-Tc)X=Tk-Ts
X=(Tk-Ts)/(Ts-Tc) (6)
他の局面において、分配比率Xはトータル流量比からも算出され得る。まず、上記と同様に式(2)の関係が成立する。
Ts(Q1+Q2)=TkQ1+TcQ2 (2)
トータル流量を1とした場合において、トータル流量Qtに対するバイパス流量Q2の比をαとし、トータル流量Qtに対する熱交出側流量Q1の比をβとすると、以下の関係が成立する。
1=α+β
Q1=βQt=β(Q1+Q2)=βQ1+βQ2 (7)
式(7)を変形すると、Q1は式(8)として導かれる。
Q1-βQ1=βQ2
Q1(1-β)=βQ2
Q1=βQ2/(1-β) (8)
式(8)を用いると、式(2)は以下のように示される。
Ts{βQ2/(1-β)+Q2}=Tk{βQ2/(1-β)}+TcQ2 (9)
さらに、式(9)は、以下のように変形され、式(10)が導出される。
Ts{β/(1-β)+1}=Tk{β/(1-β}+Tc
Tsβ+Ts(1-β)=Tkβ+Tc(1-β)
Ts=Tkβ+Tc-Tcβ
Ts-Tc=Tkβ-Tcβ=(Tk-Tc)β
β=(Ts-Tc)/(Tk-Tc) (10)
ここで、式(10)は、バイパス流路に対する分配比、すなわちトータル流量に対するバイパス流量を表わす。
【0066】
また、β=1-αであることから、式(10)を変形すると、式(11)が導かれる。
1-α=(Ts-Tc)/(Tk-Tc)
α=1-(Ts-Tc)/(Tk-Tc)=(Tk-Ts)/(Tk-Tc) (11)
分配比率Xは、αおよびβを用いると、X=α/βとなるので、以下のように式(12)が導かれる
X={(Tk-Ts)/(Tk-Tc)}/{(Ts-Tc)/(Tk-Tc)}
X=(Tk-Ts)/(Ts-Tc) (12)
式(6)と式(12)とを比較すると、いずれも分配比率Xが(Tk-Ts)/(Ts-Tc)として算出されることが分かる。
【0067】
[他の局面]
図7を参照して、他の局面について説明する。図7は、バイパス比とステッピングモータの待機位置との関係を表わす図である。
【0068】
上記の説明ではトータル水量サーボ130のステッピングモータの待機位置は、設定温度の関数として規定されていたが、当該待機位置は設定温度以外の変数を用いた関数としても規定され得る。他の局面において、給湯装置700は、グラフ710として規定される位置を、ステッピングモータの位置として使用し得る。より具体的には、給湯装置700は、ステッピングモータの待機位置として、バイパス比に応じた待機位置を使用し得る。
【0069】
図8を参照して、他の局面に従う給湯装置700の制御構造について説明する。図8は、給湯装置700の制御装置110が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。なお、前述の処理と同じ処理には同一のステップ番号を付してある。したがって、同じ処理の説明は繰り返さない。
【0070】
ステップS810にて、制御装置110は、熱交出側温度Tkおよび入水温度Tcを検出る。ステップS820にて、制御装置110は、出湯温度Tsを検出する。
【0071】
ステップS830にて、制御装置110は、熱交出側温度Tk、入水温度Tcおよび出湯温度Tsからバイパス比を算出する。
【0072】
ステップS840にて、制御装置110は、バイパス比に応じて予め規定された目標開度を導出する。例えば、制御装置110は、図7に示される関係を用いて、目標開度を算出する。
【0073】
なお、ステップS810とステップS820とが行なわれる順序は、上記の順序に限られず、逆であってもよい。
【0074】
図9を参照して、さらに他の局面について説明する。図9は、さらに他の局面に従う給湯装置900のハードウェア構成の一例を表わす図である。給湯装置900は、給湯装置100が備えるバイパス水量サーボ122を有さない点で、給湯装置100と異なる。図9に示される構成によれば、入水部10から送出された水は、熱交換器126またはバイパス流路151に流入する。このような構成を有する給湯装置900も、低水圧時にも、安定した給湯が実現され得る。
【0075】
以上のようにして、本実施の形態に係る給湯装置100,900によれば、設定温度によってトータル水量サーボ130のステッピングモータの待機位置が変わり、トータル水量サーボ130から供給される水量も設定温度によって異なる。このような構成によれば、給湯装置100,900は、上水が低水圧で供給される場合でも、出湯特性を悪化させることなく、MOQによって作動することができ、安定的な給湯が実現され得る。
【0076】
その結果、上水道のインフラストラクチャが整備されていない国や地域において、想定された低水圧よりもさらに低い水圧の上水が供給される場合であっても、給湯装置100,900は、MOQで作動することができる。
【0077】
従来、給湯装置の設定温度が低い場合には、バイパス流路151への供給量が最大となるように、バイパス水量サーボ122のステッピングモータは、全開に近い位置に移動するので、熱交換器126に供給される水量は、大幅に減少する。MOQの判定は、熱交換器126に流れる水量に基づいて行なわれるため、バイパス水量サーボ122のステッピングモータの待機位置の影響は大きい。給湯の設定温度が低い場合、あるいは、熱交換器126に流入する水の温度が高い場合には、バイパス水量サーボ122のステッピングモータは、バイパス流路151への水の流量が増えるような位置に移動し、逆に、熱交換器126への水の流量が少なくなる。このとき、想定された低水圧よりもさらに低い水圧でしか上水が供給されない場合には、熱交換器126への水量がMOQを上回らず、結果として、給湯装置100は燃焼を開始しない場合があった。
【0078】
これに対して、本実施の形態によれば、トータル水量サーボ130のステッピングモータの待機位置は、設定温度によって異なる。その結果、仮に、低い温度が設定された状態で給湯栓21が開かれた場合であっても、熱交換器126に対してMOQを上回る水量が供給され燃焼が開始する。これにより、安定した給湯を実現することができる。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
10 入水部、20 出湯部、21 給湯栓、30 リモートコントローラ、40 報知装置、100,700,900 給湯装置、110 制御装置、122 バイパス水量サーボ、124 缶体、126 熱交換器、128 燃焼機構、130 トータル水量サーボ、131 水量センサ、141,142,143 温度センサ、150 入水路、151 バイパス流路、152 出湯路、153 流路、220 メモリ、221 設定温度、222 位置決定データ、230 入出力回路、240 電子回路、250 バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9