(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24D 17/00 20220101AFI20231130BHJP
F24H 15/104 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/215 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/36 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20231130BHJP
【FI】
F24D17/00 P
F24H15/104
F24H15/215
F24H15/238
F24H15/36
F24H15/395
(21)【出願番号】P 2019233947
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安川 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】立石 真吾
(72)【発明者】
【氏名】野村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】金城 貴信
(72)【発明者】
【氏名】山西 裕美
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 良
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-125692(JP,A)
【文献】特開2001-124357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00-15/493
F24D 1/00-19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯栓に対して出湯する給湯装置であって、
燃焼機構を有し、通過する流体を加熱するよう構成される加熱機構と、
下流側が前記加熱機構の流入側に接続される第1の経路と、
上流側が前記加熱機構の流出側に接続され、下流側が前記給湯栓に接続される第2の経路と、
前記第1の経路上に配置される循環ポンプと、
前記循環ポンプの吐出側において、前記第1の経路の流量を検出する流量検出器と、
前記循環ポンプの吐出側において、前記第1の経路の流体温度を検出する温度検出器と、
前記燃焼機構および前記循環ポンプを制御するコントローラーと、を備え、
前記第1の経路の前記循環ポンプよりも上流側は、前記給湯装置の外部の第3の経路を介して前記第2の経路の下流側と接続され、
前記給湯栓が閉止されて前記燃焼機構と前記循環ポンプとが作動する即湯循環モードにおいて、前記第3の経路は前記給湯栓をバイパスするよう構成され、
前記第1の経路は、前記給湯栓が開放されると前記循環ポンプの下流側に前記給湯装置の外部から低温流体が流入するよう構成され、
前記コントローラーは、
前記流量検出器が検出する流量を積算する手段を、備え、
前記即湯循環モードにおいて、前記循環ポンプを停止させるオフ指令を出力した場合、その後に検出される前記流量の積算を開始し、積算流量が流量閾値よりも大きくなり、且つ当該その後に検出される前記流体温度が温度閾値より高くなったとき、前記循環ポンプの故障の旨を出力する、給湯装置。
【請求項2】
前記第2の経路の流体温度を検出する温度検出器を、備え、
前記コントローラーは、さらに、
前記積算を開始後から前記積算流量が流量閾値より大きくなるまでの期間において、前記第1の経路の流体温度が第1所定温度よりも高くなる、または、前記第2の経路の流体温度が第2所定温度よりも高くなったとき、前記燃焼機構を停止させる、請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
給湯栓に対して出湯する給湯装置であって、
燃焼機構を有し、通過する流体を加熱するよう構成される加熱機構と、
下流側が前記加熱機構の流入側に接続される第1の経路と、
上流側が前記加熱機構の流出側に接続され、下流側が前記給湯栓に接続される第2の経路と、
前記第1の経路上に配置される循環ポンプと、
前記循環ポンプの吐出側において、前記第1の経路の流量を検出する流量検出器と、
前記循環ポンプの吐出側において、前記第1の経路の流体温度を検出する温度検出器と、
前記燃焼機構および前記循環ポンプを制御するコントローラーと、を備え、
前記第1の経路の前記循環ポンプよりも上流側は、前記給湯装置の外部の第3の経路を介して前記第2の経路の下流側と接続され、
前記給湯栓が閉止されて前記燃焼機構と前記循環ポンプとが作動する即湯循環モードにおいて、前記第3の経路は前記給湯栓をバイパスするよう構成され、
前記第1の経路は、前記給湯栓が開放されると前記循環ポンプの下流側に前記給湯装置の外部から低温流体が流入するよう構成され、
前記コントローラーは、
前記第1の経路の流体温度が所定温度よりも高いときは前記燃焼機構を停止させるとともに、所定の燃焼開始条件が満たされると前記燃焼機構を作動させる手段を、有し、
前記即湯循環モードにおいて、前記循環ポンプを停止させるオフ指令を出力した場合、当該オフ指令を出力後において、前記燃焼機構を停止させた回数が所定回数以上になったとき、前記循環ポンプの故障の旨を出力する、給湯装置。
【請求項4】
前記コントローラーは、さらに、
前記即湯循環モードにおいて、前記循環ポンプを停止させるオフ指令を出力した場合、当該オフ指令を出力後から所定時間の間に、前記燃焼機構の停止回数が所定回数以上になったとき、前記循環ポンプの故障の旨を出力する、請求項3に記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯装置に関し、特に、即湯循環モードの安全機能に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の給湯装置は、長時間使用されていない状態あっても、給湯栓を開いたときは直ちに適温の湯水を供給する、いわゆる、即湯機能を備えるものがある。給湯装置は、一般に、湯または水等の流体の流入側の配管と、当該流体が流出する側の配管と、湯または水の流体を加熱する加熱機構とを備える。以下では、このような流体を「湯水」と称する。
【0003】
即湯機能に係る循環ポンプは、給湯開始直後から適温の湯水を供給するよう、給湯装置内の配管および加熱機構を介し湯水を循環させる(以降、「即湯循環モード」と呼ぶ)。
【0004】
即湯循環の安全機能に関し、例えば、特開2001-124357号公報(特許文献1)は、循環通路に設けられている流量センサの異常を検知することによって循環ポンプを停止する構成を開示する。特開平7-83505号公報(特許文献2)および特開平7-83507号公報(特許文献3)は、フローセンサの出力に従い湯水循環ポンプを停止または起動する構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-124357号公報
【文献】特開平7-83505号公報
【文献】特開平7-83507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
即湯循環モード中に循環ポンプがON故障(作動した状態において停止できない状態)した場合は、循環する湯水が過加熱される可能性がある。したがって、循環ポンプのON故障を検出する機能の提供が望まれるが、特許文献1~3は、このような機能を開示しない。
【0007】
それゆえに、本開示は、循環ポンプのON故障を検出する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面において、給湯栓に対して出湯する給湯装置は、燃焼機構を有し、通過する流体を加熱するよう構成される加熱機構と、下流側が加熱機構の流入側に接続される第1の経路と、上流側が加熱機構の流出側に接続され、下流側が給湯栓に接続される第2の経路と、第1の経路上に配置される循環ポンプと、循環ポンプの吐出側において、第1の経路の流量を検出する流量検出器と、循環ポンプの吐出側において、第1の経路の流体温度を検出する温度検出器と、燃焼機構および循環ポンプを制御するコントローラーと、を備え、第1の経路の循環ポンプよりも上流側は、給湯装置の外部の第3の経路を介して第2の経路の下流側と接続され、給湯栓が閉止されて燃焼機構と循環ポンプとが作動する即湯循環モードにおいて、第3の経路は給湯栓をバイパスするよう構成され、第1の経路は、給湯栓が開放されると循環ポンプの下流側に給湯装置の外部から低温流体が流入するよう構成され、コントローラーは、流量検出器が検出する流量を積算する手段を、備え、即湯循環モードにおいて、循環ポンプを停止させるオフ指令を出力した場合、その後に検出される流量の積算を開始し、積算流量が流量閾値よりも大きくなり、且つ当該その後に検出される流体温度が温度閾値より高くなったとき、循環ポンプの故障の旨を出力する。
【0009】
上述の開示は、即湯循環モードで運転中に、他栓(例えばシンクの給湯栓)が開放される場合、給湯装置の循環ポンプの吐出側で検出される流量および流体温度は、給湯装置の外部から流入する低温流体の流量および温度が影響を考慮して、循環ポンプのON故障を当該流体または温度から検出できる。すなわち、循環ポンプのON故障検出において、循環ポンプを停止させるオフ指令が出力され、その後に検出される積算流量および流体温度を用いることで、当該積算流量および流体温度に上記の影響を反映した上でON故障の検出が可能となり、即湯循環モードにおいて他栓使用があってもON故障を精度よく検出できる。
【0010】
本開示の他の局面において、給湯栓に対して出湯する給湯装置であって、燃焼機構を有し、通過する流体を加熱するよう構成される加熱機構と、下流側が加熱機構の流入側に接続される第1の経路と、上流側が加熱機構の流出側に接続され、下流側が給湯栓に接続される第2の経路と、第1の経路上に配置される循環ポンプと、循環ポンプの吐出側において、第1の経路の流量を検出する流量検出器と、循環ポンプの吐出側において、第1の経路の流体温度を検出する温度検出器と、燃焼機構および循環ポンプを制御するコントローラーと、を備え、第1の経路の循環ポンプよりも上流側は、給湯装置の外部の第3の経路を介して第2の経路の下流側と接続され、給湯栓が閉止されて燃焼機構と循環ポンプとが作動する即湯循環モードにおいて、第3の経路は給湯栓をバイパスするよう構成され、第1の経路は、給湯栓が開放されると循環ポンプの下流側に給湯装置の外部から低温流体が流入するよう構成され、コントローラーは、第1の経路の流体温度が所定温度よりも高いときは燃焼機構を停止させるとともに、所定の燃焼開始条件が満たされると燃焼機構を作動させる手段を、有し、即湯循環モードにおいて、循環ポンプを停止させるオフ指令を出力した場合、当該オフ指令を出力後において、燃焼機構を停止させた回数が所定回数以上になったとき、循環ポンプの故障の旨を出力する。
【0011】
上述の開示でも、上記に述べた即湯循環モードで運転中に、他栓使用があると循環ポンプのON故障を的確に検出できる。すなわち、循環ポンプのON故障検出において、循環ポンプを停止させるオフ指令が出力され、その後に燃焼機構が流体温度に基づき作動が停止させられた回数を用いることで、この停止の判断に用いた流体温度に、オフ指令後もON故障する循環ポンプによって加熱機構に戻されて過度に加熱された循環流体の温度の影響を反映させることができる。これにより、当該影響を反映した上でON故障の検出が可能となり、即湯循環モードにおいて他栓使用があってもON故障を精度よく検出できる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、循環ポンプのON故障を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】循環用のポートを備える給湯装置100の一例を示す図である。
【
図2】循環用のポートを備えない給湯装置200の一例を示す図である。
【
図3】コントローラー250の構成の一例を示す図である。
【
図4】給湯モードにおける給湯装置200の動作概要の一例を示す図である。
【
図5】即湯循環モードにおける給湯装置200の動作概要の一例を示す図である。
【
図6】即湯循環モード中に循環ポンプ207がON故障した場合の給湯装置200の動作概要の一例を示す図である。
【
図7】処理のフローチャートの一例を示す図である。
【
図8】処理のフローチャートの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。これ以降の説明において、湯水が入ることを「流入」と称し、湯水が出て行くことを「流出」と呼ぶ。また、配管は、流体が流れる「経路」の一実施例である。
【0015】
給湯装置は、給湯栓140(
図1)に対し出湯するように構成されて、通常、水道水を流入させるためのポートと、加熱した湯水を流出させるためのポートとを備える。また、一部の給湯装置は、即湯循環モードにおいて、給湯装置内に湯水を循環させるために、加熱した湯水を流出させるためのポートから流出した湯水を給湯装置内に流入させるための循環用のポートを備える。また、一部の給湯装置は、独立した循環用のポートを備えず、水道水を流入させるためのポートが循環用のポートの役割も兼ねる。
【0016】
本実施の形態に従う即湯循環モードの制御は、主に、独立したポートを備えない給湯装置に好適に適用できる。最初に、ポートを備える給湯装置の構成と、ポートを備えない給湯装置の構成と、給湯装置を制御するコントローラーの構成とを順に説明する。次に、本実施の形態に従う給湯装置の制御方法について説明する。
【0017】
[給湯装置の構成]
図1は、循環用のポートを備える給湯装置100の一例を示す図である。給湯装置100は、バイパスサーボ101と、流量検出器102および108と、温度検出器103および105と、熱交換器104と、水量サーボ106と、循環ポンプ107と、ポート111,112および113と、コントローラー150とを備える。本実施の形態では、熱交換器104は、燃焼機構310(
図3)を有し、通過する流体を加熱するよう構成されている。
【0018】
ポート111は水道管110と接続される。水道管110からの入水圧によって給湯装置100に流入する水はポート111を経由して給湯装置100に供給される。給湯装置100内の配管が水または湯水で満たされた状態になると、水道管110から給湯装置100への水の流入は止まる。また、給湯栓140に繋がるバルブ130が開いているとき、水道管110から流入してくる水は、給湯栓140から流出する。なお、ポート111は水道管110に限定されず、低温の湯水(低温流体)を給湯装置に供給する供給源に接続されてもよい。
【0019】
ポート111から水の一部は、経路155を通過して熱交換器104に流入する。また、ポート111から給湯装置100に流入した水の一部は、経路160,165を経由してポート113から流出する。経路155は、バイパスサーボ101の出口から熱交換器104の入口までの経路である。また、経路160は、バイパスサーボ101の出口から経路165の合流地点までの経路である。経路165は、熱交換器104の出口から、ポート113までの経路である。
【0020】
ポート112は、ポート113と同じ配管に接続される。即湯循環モードにおいて、ポート113から流出した湯水は、ポート112から給湯装置100に再度流入し、熱交換器104を経由して給湯装置100内を循環する。
【0021】
ポート113は、給湯栓140に繋がる配管に接続される。給湯モードにおいて、ポート113から流出した湯水は、バルブ120を介して給湯栓140から使用者に供給される。給湯モードは、熱交換器104で加熱された湯水が給湯栓140から流出するとき(使用者が湯水を使用するとき)の動作モードである。
【0022】
バイパスサーボ101は、経路155に流入する水の量と、経路160に流入する水の量との割合を調整する。バイパスサーボ101は、一例として、ステッピングモータ等による栓を有し、当該栓により、経路155,160への流入量を調整し得る。経路155を介して熱交換器104に流入する湯水は、当該熱交換器104によって加熱される。経路160に流入する水は、経路165において、熱交換器104から流出する湯水と混ざり合い、当該湯水の温度を調節する。
【0023】
流量検出器102は、経路155に流れる湯水の量を検出する。例えば、流量検出器102は、湯水の流れに連動した回転する水車等を内部に備え、水車の回転量を示す信号を出力する。コントローラー150は、流量検出器102からの当該信号に基づいて、経路155に湯水が流れているか否かの判定をするとともに、流量を算出(計測)する。
【0024】
温度検出器103は、流量検出器102を通過し経路155を流れる湯水の温度を、例えばサーミスタを用いて検出する。
図1に示すように、温度検出器103は、給湯装置100が即湯循環モードで動作している場合は、経路155,165および170を循環する湯水の温度を検出し、即湯循環モードで動作していない場合は、循環ポンプ107は作動していないので、水道管110から給湯装置100に流入する水の温度を検出し得る。また、温度検出器103は、水道管110から給湯装置100に流入する水と、経路155,165および170を循環している湯水とが混ざった湯水の温度も検出し得る。コントローラー150は、サーミスタの出力信号に基づいて温度を計測し得る。
【0025】
熱交換器104(加熱機構)では、熱交換器104を通過する際の湯水は、燃焼機構310からの燃焼熱量によって加熱されて、その後、経路165へ流出する。
【0026】
温度検出器105は、経路165を流れる湯水の温度を、例えばサーミスタを用いて検出する。経路165を経由する湯水は、バルブ120が開いているとき、開放された給湯栓140から流出する。そのため、温度検出器105は、使用者が使用する湯水の温度を直接検出し得る。コントローラー150は、当該サーミスタの出力信号に基づいて経路165を流れる湯水の温度を計測し得る。
【0027】
水量サーボ106は、例えばステッピングモータ等による栓を有し、当該栓により、ポート113から流出する湯水の量を調整し得る。ポート113から流出した湯水は、バルブ120が開いているとき、開放された給湯栓140から流出するが、バルブ120が閉まっており、給湯栓140が閉止されていると給湯装置100が即湯循環モードで動作している(すなわち、循環ポンプ107が駆動されている)場合、ポート112に流入する。
【0028】
循環ポンプ107は、ポート112から流入した湯水を経路170へ流出させる。湯水は、熱交換器104を経由して給湯装置100内を循環し、ポート112から再度循環ポンプ107に流入する。循環ポンプ107は、DCモータ等によって駆動されるポンプを含み得る。このDCモータは、コントローラー150からの信号によって制御され得る。
【0029】
流量検出器108は、流量検出器102と同様に、経路170を流れる湯水の量を水車等の回転量に基づき検出する。コントローラー150は流量検出器108から出力される回転量を示す信号に基づいて、経路170に湯水が流れているか否かを判定するとともに、流量を算出(計測)し得る。
【0030】
コントローラー150は、給湯装置100全体を制御する。具体的には、コントローラー150は、流量検出器102および108の出力に基づくデータ処理、温度検出器103および105の出力に基づくデータ処理、他の機器(バイパスサーボ101、水量サーボ106、循環ポンプ107および熱交換器104等)を制御することで、湯水の流量および温度を調節し得る。
図1では、コントローラー150は給湯装置100の内部に設けられたが、給湯装置100の外部に設けられてもよい。
【0031】
次に、給湯装置100における給湯モードおよび即湯循環モードの動作概要について説明する。また、循環ポンプ107が、給湯装置100が即湯循環モードで作動中に故障した場合における、給湯装置100の動作についても説明する。
【0032】
給湯モードにおいて、給湯装置100は、水道管110から流入する水を熱交換器104で加熱し、加熱後の湯水をポート113から流出させる。ポート113からの湯水は、バルブ120が開いている場合、給湯栓140から流出する。循環ポンプ107は、即湯循環モードで作動されるが給湯モード時には停止するので、ポート113から流出した湯水は、経路170には流入しない、または、経路170に少量だけ流入する。
【0033】
即湯循環モードにおいて、給湯装置100は、水道管110から流入する水を熱交換器104で加熱し、加熱後の湯水をポート113から流出させる。また、ポート113から流出した湯水は循環ポンプ107によって経路170側に押し出される。ポート113から流出した湯水は、バルブ120が閉まって給湯栓140が閉止しているかぎり、循環ポンプ107に押し出されて経路170に流入する。コントローラー150は、循環中の湯水の温度が予め設定された温度に達したと判定すると、循環ポンプ107に停止させる制御信号を出力する。湯水は、循環ポンプ107が停止したことに基づいて、給湯装置100内を徐々に循環しなくなる。
【0034】
循環ポンプ107は、即湯循環モード時に、ON故障すると、コントローラー150からの制御信号を受付けることができない。循環ポンプ107がON故障状態になると、循環中の湯水の温度が予め設定された温度に達したにもかかわらず、循環ポンプ107は停止しないため、湯水は循環し続けて加熱されることになる。
【0035】
コントローラー150は、給湯装置100の運転モードの状態(給湯モード、即湯循環モード等)を内部のメモリーに記憶しており、また、流量検出器108から経路170の水量の検出結果を取得する。そのため、コントローラー150は、給湯装置100の運転モードが即湯循環モードではない状態で、経路170を流れる水の量が予め定められた閾値以上であることに基づいて、循環ポンプ107がON故障したと判定し得る。コントローラー150は、循環ポンプ107がON故障したことを報知器等で使用者にエラー報知することができる。上記のように、循環用のポートを備える給湯装置100は、即湯循環モードにおいて、循環ポンプ107のON故障を検出することができる。
【0036】
図2は、循環用のポートを備えない給湯装置200の一例を示す図である。給湯装置200は、バイパスサーボ201と、流量検出器202と、温度検出器203および205と、熱交換器204と、コントローラー250と、水量サーボ206と、循環ポンプ207と、ポート211および213と、コントローラー250とを備える。
【0037】
給湯装置200のバイパスサーボ201と、流量検出器202と、温度検出器203および205と、熱交換器204と、水量サーボ206と、循環ポンプ207と、ポート211と、ポート213と、コントローラー250との各々は、給湯装置100のバイパスサーボ101と、流量検出器102と、温度検出器103および105と、熱交換器104と、水量サーボ106と、循環ポンプ107と、ポート111および113と、コントローラー150との各々に対応する。また、経路255,260および265の各々は、経路155,160および165の各々に対応する。
【0038】
給湯装置200は、給湯装置100と比較して、循環用のポートを備えておらず、経路170に相当する経路も備えていない。代わりに、給湯装置200は、バイパスサーボ201の上流側に循環ポンプ207を備える。これらの給湯装置100および200の構成の差異は、例えば、国または地域等における水道設備の構成の差異に起因する。
【0039】
図2に示すように、ある国または地域における水道設備では、水道管110から水が流入する経路280と、給湯装置200からの湯水が流出する経路281とが、給湯装置200の外部の経路282を介して接続される。経路280と経路255は、「第1の経路」の一実施例であって、その下流側が加熱機構(熱交換器204)の流入側に接続され、上流側は水道管110に繋がる。循環ポンプ207は、「第1の経路」上に介挿される態様で配置されて、流量検出器202は、循環ポンプ207の吐出側において、「第1の経路」の流量を検出するよう構成される。また、温度検出器203は、循環ポンプ207の吐出側において、「第1の経路」の流体温度を検出するよう構成される。
図2では、「第1の経路」の循環ポンプ207よりも上流側は、給湯装置200の外部の「第3の経路」に相当する経路282を介して「第2の経路」に相当する経路265,281の下流側と接続されている。
【0040】
経路282には、逆流防止用の弁214が介挿される。弁214は、経路280から経路281に水が流入しないようにするように構成される。即湯循環モードにおいては、給湯栓140が閉止されて燃焼機構(熱交換器204)と循環ポンプ207とが作動する状態において、「第3の経路」は閉止状態の給湯栓140をバイパスするよう構成される。
【0041】
「第1の経路」である経路280は、閉止状態の給湯栓140が開放されると、「第1の経路」である経路280には、高水圧となる循環ポンプ207の下流側において、水道管110から水(低温流体)が流入するよう構成される。
【0042】
当該構成の水道設備においては、ポート211と、ポート213とを介して給湯装置200に湯水を循環させることが想定されている。そのため、給湯装置200は、経路281から分岐した経路と接続される循環用のポートを備えない。また、給湯装置200は、経路281および260を介して湯水を循環させる必要があるため、循環ポンプ207をポート211の下流側に備えている。
【0043】
次に、給湯装置200における給湯モードおよび即湯循環モードの動作概要について説明する。また、循環ポンプ207が、即湯循環モード時にON故障した場合における、給湯装置200の課題についても説明する。
【0044】
給湯モードにおいて、給湯装置200は、水道管110から流入する水を熱交換器204で加熱し、ポート213から湯水を流出させる。ポート213から流出する湯水は、バルブ120が開いている場合、給湯栓140から流出する。経路281を流れる湯水が給湯栓140から流出する場合、弁214には水圧が掛からないため、経路281から経路280側には湯水は流入しない、または、経路281から経路280側には少量の湯水のみが流入する。循環ポンプ207は、給湯モード時には停止している。
【0045】
即湯循環モードにおいて、給湯装置200は、水道管110から流入する水を熱交換器204で加熱し、ポート213から湯水を流出させる。循環ポンプ207は、即湯循環モード時には作動しており、ポート211から経路255の方向に湯水を流す。ポート213から流出した湯水には、バルブ120が閉まっているかぎり、循環ポンプ207によってポート211に流入する力が働く。そのため、ポート213から流出した湯水は、経路281,282および280を経由してポート211に流入する。結果として、湯水は、経路280、経路255、熱交換器204、経路265、経路281および経路282を循環する。経路265と経路281は「第2の経路」の一実施例であって、その上流側が加熱機構(熱交換器204)の流出側に接続され、下流側が給湯栓140側に接続される。
【0046】
コントローラー250は、循環中の湯水の温度が予め設定された温度に達したと判定した場合、循環ポンプ207を停止させる。湯水は、循環ポンプ207が停止したことに基づいて、給湯装置200内を徐々に循環しなくなる。
【0047】
循環ポンプ207がON故障状態になると、循環中の湯水の温度が、コントローラー250によって予め設定された温度に達したにもかかわらず、循環ポンプ207は停止しないため、湯水は循環し続けるとともに、湯水の加熱は継続することになる。
【0048】
給湯装置100は循環ポンプ107のON故障を検知することができたが、給湯装置200は、装置の構成上、明確に循環ポンプ207のON故障を検知することができない。給湯装置200が循環ポンプ207のON故障を検知できない原因は、
図1の循環ポンプ107の場合とは異なり、循環ポンプ207の前後の経路が、給湯モード時の入水経路および即湯循環モード時の循環経路の両方の役割を持つためである。
【0049】
図2に示すように、コントローラー250は、循環ポンプ207が故障しているか否かを判定するには、例えば、流量検出器202の検出結果を利用する必要がある。即湯循環モードの完了後に、すなわち停止信号を出力した後にコントローラー250は流量検出器202の出力に基づき水または湯水の流れを検出しないと判定した場合、コントローラー250は、循環ポンプ207は正常に停止していると判定できる。一方、即湯循環モードの完了後に、すなわち停止信号を出力した後に流量検出器202の出力に基づき水または湯水の流れを検出すると判定した場合でも、コントローラー250は、循環ポンプ207がON故障しているか否かを判定することができない。なぜなら、仮に循環ポンプ207が正常にOFF(停止)になっていたとしても、使用者が給湯モード時にバルブ120を開いて給湯栓140から湯水を流出させている場合、水道管110から給湯装置200に水が流入するため、流量検出器202が水または湯水の流れを検出してしまうためである。このように、循環用のポートを備えない給湯装置200の場合、コントローラー250は、流量検出器202の検出結果を用いて、循環ポンプ207のON故障が発生しているのか、使用者が湯水を使用しているだけなのかを明確に判別することができない。
【0050】
仮に、給湯装置200が高温の設定で即湯循環モード時に湯水を循環させていた場合に、循環ポンプ207がON故障すると湯水が、即湯循環モードの完了後にも経路280を経由して循環し続けて加熱されるために、この状態で、使用者がバルブ130を開けた場合に、給湯栓140から適温の湯水を提供すことが難しくなる。このような事態を回避するために、給湯装置200は、後述する制御方法を実施する。
【0051】
[コントローラーの構成]
図3を参照して、コントローラー250は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリー302と、電子回路303と、インターフェイス304と、バス305とを備える。コントローラー250は、給湯装置200の各種センサーおよびアクチュエーターと通信し、給湯装置200を制御する。また、コントローラー250は、報知装置306により給湯装置200に関する情報を出力する。さらに、コントローラー250は、リモートコントローラー307が受付けた給湯装置200に対する使用者の入力に従い、給湯装置200を制御し得る。
【0052】
CPU301は、メモリー302に格納された各種プログラムを実行することにより、給湯装置200を制御する。ある局面において、CPU301は、組み込みCPUまたはFPGA(Field-Programmable Gate Array)であってよい。
【0053】
メモリー302は、揮発性または不揮発性の記憶媒体を含んで構成されて、CPU301によって実行されるプログラムと、CPU301によって参照されるデータとを格納する。
【0054】
電子回路303は、データ変換またはアクチュエーターの制御等の特定の処理をCPU301に代わって実行し得る回路であって、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGAを備えて構成され得る。
【0055】
CPU301は、インターフェイス304を介して、給湯装置200内の他の各部と有線または無線で通信する。他の部分は、少なくとも、熱交換器204のバーナ等の燃焼機構310と、循環ポンプ207と、温度検出器203および205と、流量検出器202と、バイパスサーボ201と、水量サーボ206を含む。さらに、インターフェイス304は、報知装置306と、リモートコントローラー307と通信する。
【0056】
報知装置306は、スピーカー、ディスプレイ、または、これらの組合わせによって構成される。報知装置306は、CPU301からの出力に従い、給湯装置200の運転状態を出力する。運転状態には、例えば循環ポンプ207のON故障が含まれる。
【0057】
[給湯モードにおける給湯装置200の動作概要]
図4を参照して、給湯モードにおける給湯装置200の動作について説明する。給湯モードは、循環ポンプ207が停止している状態で、使用者が給湯栓140から流出する湯水を使用するときのモードである。給湯モードにおいて、バルブ120が開操作されると、水道管110から給湯装置200に水が随時供給される。水は、停止している循環ポンプ207を通過して熱交換器204に流入し、熱交換器204によってユーザーが設定した温度に加熱されて、その後、バルブ120を介して給湯栓140から流出する。
図4中の矢印400は、給湯モード時における湯水の流れを表す。
【0058】
[即湯循環モードにおける給湯装置200の動作概要]
図5を参照して、即湯循環モードでは、循環ポンプ207は作動する。即湯循環モード時、通常、使用者は、給湯栓140を使用しておらず、バルブ120は閉まっているため、水道管110から給湯装置200への水の供給はない。したがって、
図5中の矢印500が示す流れに沿って給湯装置200内を湯水が循環する。
【0059】
CPU301は、温度検出器203または205の出力に基づき、循環中の湯水の温度が設定された所定温度に達したと判定したとき、給湯装置200に即湯循環モードを完了させる。具体的には、CPU301は、メモリー302上に格納している給湯装置200の動作モードを即湯循環モードから別のモード(待機モードなど)に変更し、循環ポンプ207に停止することを指示するOFF指令を出力する。循環ポンプ207は、CPU301からのOFF指令によって停止しない場合は、ON故障状態となる(
図6)。CPU301は、ON故障を検出した場合は、報知装置306に、循環ポンプ207がON故障したことを伝えるメッセージを報知させる。使用者は、報知装置306からの報知内容を参照することで、給湯装置200に異常に気づくことができ、サービスマンなどに連絡を取ることができる。このCPU301によるON故障の検出処理の詳細は後述する。
【0060】
[給湯装置200の動作手順]
図7のフローチャートを参照して、即湯循環モードの処理を循環ポンプ207のON故障を検出する処理を含めて説明する。CPU301は、所定のプログラムを実行することにより、当該処理を実施する。この処理では、検出流量の積算値と入水の温度とに基づき、ON故障を判断する。即湯循環モードでは、通常は、給湯栓140は閉止されて燃焼機構301と循環ポンプ207とが作動する。
【0061】
まず、CPU301は、循環ポンプ207にON指令(オン指令)を出力する(ステップS1)。循環ポンプ207は、CPU301からのON指令に従い作動し湯水を循環させる。なお、CPU301はON指令を、電子回路303に出力し、電子回路303がON指令に従い循環ポンプ207を直接制御してもよい。
【0062】
CPU301は、流量検出器202の出力に基づき、MOQ(最低作動流量)を検出すると(ステップS3)、燃焼機構310に燃料ガスを供給して燃焼動作を開始させる(ステップS5)。これにより、湯水は熱交換器204において加熱されながら、循環ポンプ207によって循環させられる。
【0063】
CPU301は、温度検出器203,205の検出結果に基づいて、循環中の湯水の温度が所定温度に達したと判定したすると、給湯装置200の状態を即湯循環完了に変更する(ステップS7)。例えば、CPU301は、メモリー302上に給湯装置200の状態(給湯待機、給湯中、即湯待機、即湯循環中および即湯循環完了など)を保存してもよい。その場合、CPU301は、当該メモリー302上の給湯装置200の状態を書き換えることで、給湯装置200の状態を管理する。
【0064】
CPU301は、循環ポンプ207にOFF指令(オフ指令)を出力する(ステップS9)。循環ポンプ207は、CPU301からOFF指令を受付けることができた場合は停止する。循環ポンプ207が停止すると、循環中の湯水は、しばらくしてから循環しなくなる。なお、CPU301は、OFF指令を電子回路303に出力し、当該OFF指令を入力した電子回路303が循環ポンプ207を停止させてもよい。
【0065】
OFF指令を出力すると、その後、CPU301は積算流量の測定を開始する(ステップS11)。例えば、CPU301は、循環ポンプ207の吐出側(下流側)に設けられた流量検出器202の出力に基づく流量の積算を開始するために、積算結果が設定される一時的な変数である[積算値]を初期化(例えば、0をセット)する。
【0066】
CPU301は、流量検出器202の出力に基づき一定流量が検出されるかを判定する(ステップS13)。一定流量が検出されない場合は(ステップS13でNO)、循環ポンプ207は停止していると判定され得て、CPU301は、積算流量測定を終了(ステップS31)するとともに、燃焼機構310へのガス燃料の供給を停止する等して燃焼動作を停止させる(ステップS33)。その後、処理は終了する。
【0067】
CPU301は、流量検出器202の出力に基づき一定流量を検出した場合は(ステップS13でYES)、流量検出器202からの出力に基づく検出流量を用いて、([積算値]=[積算値]+検出流量)の積算演算を実施する(ステップS15)。
【0068】
CPU301は、給湯装置200内の各種センサの出力に基づき、燃焼機構310の燃焼を停止させるか否かを判定する(ステップS17)。このステップS17では、CPU301は、入水ハイカット条件または高温出湯予測燃焼禁止条件が満たされるか否かを判定し、少なくとも一方の条件が満たされると判定すると(ステップS17でNO)、CPU301は燃焼機構310の燃焼動作を停止させ(ステップS35)、ステップS19に移行する。この入水ハイカット条件は、入水温度、すなわち入水側の温度検出器203の出力に基づく温度が第1所定温度を超えて高くなることを示す。また、高温出湯予測燃焼禁止条件は、出湯側の温度検出器205の出力に基づく温度が第2所定温度を超えて高くなることを示す。なお、第1所定温度または第2所定温度は、実験から決定される温度であって、同じ温度を示してもよく、または異なる温度を示してもよい。
【0069】
入水ハイカット条件と高温出湯予測燃禁止始条件は、いずれも、湯水が過度に加熱されて高温に致る可能性があり燃焼停止の必要性を判定するための条件である。言い換えると、この条件の判定は、即湯循環モードにおいて、湯水の温度が第1または第2所定温度にまで加熱されると循環ポンプ207を停止させる仕組みに該当する。循環ポンプ207がON故障していれば、循環する湯水は熱交換器204において過度に加熱されて高温に致る可能性があることから、ステップS17の条件は、循環ポンプ207がON故障状態にあるか否かを判定するための条件ともなり得る。
【0070】
CPU301は、入水ハイカット条件および高温出湯予測燃焼禁止条件のいずれも満たされないと判定すると(ステップS17でYES)、([積算流量]>C)の条件が満たされるかを判定する(ステップS19)。CPU301は、当該条件は満たされないと判定すると(ステップS19でNO)、燃焼機構310は燃焼中か否かを判定する(ステップS37)。
【0071】
ガス燃料は供給されている、すなわち燃焼中と判定すると(ステップS37でNO)、ステップS13に戻り、流量の積算を行う。一方、ガス燃料は供給されていない、すなわち燃焼中でないと判定すると(ステップS37でYES)、CPU301は、各種センサの出力と燃焼開始条件とを照合し、燃焼開始条件が満たされるかを判定する(ステップS39)。燃焼開始条件は、例えば、(MOQ検出)、(出湯温度>設定温度+T度(通常:T=1度、設定温度<50度の場合はT=5度)、(入水温度<出湯温度+10度)、(入水温度<設定温度)および(缶体温度<缶体設定温度+10度)の条件を含む。ここで、出湯温度は、給湯栓140側の温度検出器205の出力に基づく温度を示し、缶体温度は熱交換器204の筐体の温度を示す。CPU301は、燃焼開始条件の全ての条件が満たされると判定すると(ステップS39でYES)、燃焼機構310を燃焼開始させて(ステップS41)、ステップS13に戻るが、燃焼開始条件の1以上の条件が満たされないと判定すると(ステップS39でNO)、燃焼開始せずにステップS13に戻る。
【0072】
CPU301は、上記のステップS17、S35、S39およびS31の処理において、経路280の流体温度がステップS17で判定される所定温度よりも高いときは燃焼機構310を停止させるとともに、ステップS39で判定される所定の燃焼開始条件が満たされると燃焼機構310を作動させる機能を実現する。
【0073】
CPU301は、([積算流量]>C)の条件が満たされると判定すると(ステップS19でYES)、[積算流量]の値をクリアするなどして積算流量の測定を終了する(ステップS21)。CPU301は、その後、流量検出器202の出力に基づき一定流量が検出されるかを判定する(ステップS23)。一定流量が検出され(ステップS23でYES)、且つ入水温度Thと閾値Aとを比較し、比較の結果に基づき(入水温度Th>A)の条件が満たされない間(ステップS25でNO)は、ステップS23とステップS25の処理が繰り返される。当該繰返し処理において、一定流量が検出されなくなると(ステップS23でNO)、処理は終了し、また、当該繰返し処理において、(入水温度Th>A)の条件が満たされると(ステップS25でYES)、すなわち入水温度Thが閾値Aを超えるほどに高温になると、CPU301は循環ポンプ207はON故障状態にあると判定し、その旨をエラー出力する(ステップS27)とともに、湯水が過度に加熱されるのを回避するために、燃焼機構310に燃焼を停止させる(ステップS29)。その後、処理は終了する。
【0074】
図7の処理によれば、即湯循環モードにおいて、CPU301は、循環ポンプ207のOFF指令を出力し(ステップS9)、その後、循環ポンプ207の吐出側(上流側)で一定流量を検出する(ステップS23でYES)状態において、循環ポンプ207の吐出側(上流側)の入水温度Thが閾値Aを超えていれば(ステップS25でYES)、循環ポンプ207はON故障状態にあると判定する。この判定では、循環ポンプ207の前後の経路が、給湯モード時の入水経路および即湯循環モード時の循環経路の両方の役割を持つための課題を解消している。すなわち、ON故障判定においては、使用者により給湯栓140が操作されて開放状態となり、給湯栓140を介して給湯中であるかが考慮された上で、ON故障が判定されている。
【0075】
具体的には、一定流量の入水があり(ステップS23でYES)且つ入水温度Thは閾値Aを超えるほど高温でない(ステップS25でNO)場合は、使用者により給湯栓140が操作されて給湯中である可能性もあるから、ON故障と判定せずに、当該給湯中の条件に該当しない場合は、ON故障と判定する。
【0076】
さらに、当該課題の解消に関して、ステップS17とステップS19では、入水温度が入水ハイカット条件および高温出湯予測燃焼禁止条件のいずれも満たさない(ステップS17でYES)高温でない場合は、使用者により給湯栓140が操作されて水道管110から入水がある給湯中の可能性があるため、さらに、給湯中の可能性を確定するために([積算流量]>C)の条件を用いている(ステップS19)。
【0077】
さらに、上記の課題に関して、ステップS37~S39では、入水温度が入水ハイカット条件または高温出湯予測燃焼禁止条件が満たされて(ステップS17でNO)、燃焼停止した場合でも(ステップS35)、[積算流量]が閾値C以下である間は、使用者により給湯栓140が操作されて給湯中の可能性があるため、燃焼開始条件を満たせば(ステップS39でYES)、燃焼を開始させることで(ステップS41)、給湯栓140からの湯水の温度を維持することができる。
【0078】
図7の閾値AとCは、実験により決定される。閾値Cについては、給湯栓140が操作されて給湯中であっても[積算流量]が超えないと想定される値を示す。閾値Cは、例えば、給湯装置200の配管内の容量、または給湯装置200の配管内の容量と設置される循環経路の配管内の容量とを合わせた容量に相当する。配管の長さ等は、給湯装置200の設置場所などで相違するから、配管の容量を用いて閾値Cを設定することで、給湯装置200の個々の特性に合わせてON故障の判定を実施することができる。閾値Cは、作業者が手動で設定、またはコントローラ-205が自動で設定することができる。
【0079】
[給湯装置200の動作手順の他の例]
図8のフローチャートを参照して、即湯循環モードにおける循環ポンプ207のON故障を検出する処理の他の例を説明する。CPU301は、所定のプログラムを実行することにより、当該処理を実施する。
図8の処理は、
図7の[積算流量]に関する処理に代えて、循環ポンプ207の吐出側(上流側)で一定流量が継続して検出される時間(ステップS11a、S31a、S43)の長さからON故障を判定(ステップS19a)する。また、
図8では燃焼停止(ステップS35)の回数に基づき、ON故障判定に要する時間を短縮させる処理(ステップS19b)も追加されている。
図8の他のステップの処理は、
図7の対応するステップの処理と同じであるから説明は繰り返さない。
【0080】
図8では、CPU301は、即湯循環モードにおいて、循環ポンプ207のOFF指令が出力後も、循環ポンプ207の吐出側(上流側)において入水流量が一定流量を超える時間がタイマーによって計測されて、タイマーの計測時間について(タイマー>1h)の条件が満たされるかを判定する(ステップS19a)。CPU301は、(タイマー>1h)の条件が満たされると判定すると(ステップS19aでYES)、ON故障を判定しエラー報知する(ステップS27)。CPU301は、(タイマー>1h)の条件が満たされないと判定すると(ステップS19aでNO)、ステップS37に移行し、上述と同様の処理を実施する。なお、閾値1hは、所定時間であればよく、例えば、1時間を示す。これは、使用者は、OFF指令を出力後から所定時間(1時間)が経過しても連続して給湯栓140を開いたままにする可能性は低いであろうとの観点、または、燃焼機構310は連続1時間超えた燃焼動作は禁止するとの観点などに基づいている。
【0081】
図8では、ON故障と最終的に判定するために、閾値1hの時間が経過するのを待つが、当該時間を短縮するための処理(ステップS19b)を説明する。CPU301は、閾値1hの時間の期間おいて、入水ハイカット条件または高温出湯予測燃焼禁止条件が満たされて(ステップS17でNO)、燃焼停止(ステップS33)した回数nをカウントし、回数nについて(n≧3)の条件が満たされないと判定する間は(ステップS19bでNO)、時間をカウントするが、(n≧3)の条件が満たされると判定すると(ステップS19bでYES)、時間計測をやめて、ON故障と判定してエラーを報知する(ステップS27)。これにより、1hの時間の経過を待たずとも、入水ハイカット条件または高温出湯予測燃焼禁止条件が満たされて燃焼停止した回数nが少なくとも3回になれば、ON故障と判定できる。なお、回数nの条件に用いる閾値は実験から決定された値であって、3回に限定されない。
【0082】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
100,200 給湯装置、102,108,202,901 流量検出器、103,105,203 温度検出器、104,204 熱交換器、107,207 循環ポンプ、110 水道管、111,112,113,211,213 ポート、120,130 バルブ、140 給湯栓、150,250 コントローラー、155,160,165,170,255,260,265,280,281,282 経路、214,902 弁、301 CPU、306 報知装置、307 リモートコントローラー、310 燃焼機構。