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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20231130BHJP
   C10M 107/34 20060101ALI20231130BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20231130BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20231130BHJP
【FI】
F25B1/00 396G
C10M107/34
C09K5/04 B
C10N40:30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022025587
(22)【出願日】2022-02-22
(65)【公開番号】P2023122122
(43)【公開日】2023-09-01
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】吉良 ありさ
(72)【発明者】
【氏名】松浦 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 勝
(72)【発明者】
【氏名】新宅 遥
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-302675(JP,A)
【文献】特開2005-264931(JP,A)
【文献】特開2008-308610(JP,A)
【文献】特開2012-031239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/04
F25B 1/00
C10N 40:30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(11)、放熱器(13)、膨張機構(9)及び吸熱器(18)が順に接続され冷媒が循環する冷媒回路(10)を備える冷凍サイクル装置であって、
前記圧縮機は、軸受(26,32,91)又はオルダムリング(25)を含む摺動部を有し、
前記摺動部において互いに摺動する2つの部材の少なくとも一方は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成され、
前記冷媒は、炭化水素系冷媒であり、
前記圧縮機に用いられる冷凍機油は、圧力が1.9MPaであり、かつ、温度が60℃であるときにおける冷媒溶解度が30wt%以下であ
前記冷凍機油は、全末端基に対する水酸基の割合が40モル%以上、かつ、90モル%以下であるポリアルキレングリコールであり、
前記冷媒は、プロパンである、
冷凍サイクル装置(1)。
【請求項2】
前記圧縮機に用いられる冷凍機油は、圧力が1.9MPaであり、かつ、温度が60℃であるときにおける冷媒溶解度が5wt%以上かつ30wt%以下である、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記冷凍機油は、全末端基に対する水酸基の割合が50モル%より高く、かつ、90モル%以下であるポリアルキレングリコールである、
請求項1又は2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記アルミニウム合金は、12.6wt%-18wt%のシリコンを含有する、
請求項1からのいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記2つの部材の一方は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成され、他方は、鉄又はアルミニウムで構成される、
請求項1からのいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プロパン等の炭化水素系冷媒を圧縮する圧縮機が用いられている。例えば、特許文献1(米国特許出願公開第2019/0383289号明細書)には、冷媒としてプロパンを用いる圧縮機であって、磨耗を抑制するために樹脂でコーティングされたオルダムリングを備える圧縮機が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
炭化水素系冷媒は冷凍機油に溶けやすく、その結果、冷凍機油の粘度が低下して、圧縮機内部の摺動部が過剰に磨耗するおそれがある。また、特許文献1(米国特許出願公開第2019/0383289号明細書)に記載のように、磨耗の抑制のために摺動部を樹脂等でコーティングすると、摺動部の摺動性が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の冷凍サイクル装置は、圧縮機、放熱器、膨張機構及び吸熱器が順に接続され冷媒が循環する冷媒回路を備える。圧縮機は、軸受又はオルダムリングを含む摺動部を有する。摺動部において互いに摺動する2つの部材の少なくとも一方は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成される。冷媒回路を循環する冷媒は、炭化水素系冷媒である。圧縮機に用いられる冷凍機油は、圧力が1.9MPaであり、かつ、温度が60℃であるときにおける冷媒溶解度が30wt%以下である。
【0005】
この冷凍サイクル装置では、冷媒と冷凍機油との混合物中における冷凍機油の濃度である油濃度が、所定の温度および圧力において所定の値以上になる冷凍機油を用いることで、冷凍機油の粘度の低下が抑えられて、圧縮機の摺動部の磨耗量が低減される。
【0006】
第2観点の冷凍サイクル装置は、第1観点の冷凍サイクル装置であって、冷凍機油は、全末端基に対する水酸基の割合が40モル%以上、かつ、90モル%以下であるポリアルキレングリコールである。
【0007】
この冷凍サイクル装置では、油濃度が所定の範囲内になる冷凍機油を用いることで、圧縮機の摺動部の磨耗量が低減され、かつ、冷凍機油が圧縮機に戻りにくくなる現象の発生が抑制される。
【0008】
第3観点の冷凍サイクル装置は、第2観点の冷凍サイクル装置であって、冷凍機油は、全末端基に対する水酸基の割合が50モル%より高く、かつ、90モル%以下であるポリアルキレングリコールである。
【0009】
この冷凍サイクル装置では、油濃度が所定の範囲内になる冷凍機油を用いることで、圧縮機の摺動部の磨耗量が低減され、かつ、冷凍機油が圧縮機に戻りにくくなる現象の発生が抑制される。
【0010】
第4観点の冷凍サイクル装置は、第1乃至第3観点のいずれか1つの冷凍サイクル装置であって、アルミニウム合金は、12.6wt%-18wt%のシリコンを含有する。
【0011】
第5観点の冷凍サイクル装置は、第1乃至第4観点のいずれか1つの冷凍サイクル装置であって、摺動部において互いに摺動する2つの部材の一方は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成され、他方は、鉄又はアルミニウムで構成される。
【0012】
第6観点の冷凍サイクル装置は、第1乃至第5観点のいずれか1つの冷凍サイクル装置であって、冷媒回路を循環する冷媒は、プロパンである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】空気調和装置1の概略構成図である。
図2】圧縮機11の概略的な断面図である。
図3】圧縮機11のフローティング部材30の周辺の拡大図である。
図4】冷凍機油の水酸基率と、油濃度と、圧縮機11の摺動部の磨耗量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)全体構成
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことで、対象空間の空気を調和させる冷凍サイクル装置である。図1に示されるように、空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット3と、ガス冷媒連絡配管5と、液冷媒連絡配管6と、コントローラ7と、リモコン8とを有する。ガス冷媒連絡配管5および液冷媒連絡配管6は、室外ユニット2と室内ユニット3とを接続する。
【0015】
空気調和装置1では、冷媒回路10内に封入された冷媒が、圧縮され、凝縮(放熱)し、減圧され、蒸発(吸熱)した後に、再び圧縮されるという冷凍サイクルが繰り返し行われる。
【0016】
冷媒回路10には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うための冷媒が充填される。冷媒回路10に充填される冷媒は、炭化水素系冷媒である。炭化水素系冷媒とは、炭化水素化合物を主成分とする冷媒である。冷媒の主成分である炭化水素化合物の炭素数は、好ましくは1-8であり、より好ましくは1-5である。冷媒の主成分である炭化水素化合物は、例えば、メタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、エチレン、およびプロピレンである。炭化水素系冷媒は、HCFC系冷媒などの塩素含有冷媒、および、HFC系冷媒などのフッ素含有冷媒と比較して、オゾン層破壊係数(ODP:Ozone Depletion Potential)および地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が低い傾向がある。
【0017】
冷媒回路10に用いられる炭化水素系冷媒は、炭化水素化合物のみからなる冷媒でもよく、炭化水素化合物と、炭化水素化合物以外の冷媒との混合物であってもよい。炭化水素化合物以外の冷媒は、例えば、R-134aなどのフッ素含有冷媒、および二酸化炭素である。炭化水素系冷媒が、炭化水素化合物以外の冷媒を含む場合、炭化水素化合物の含有量は50wt%以上、60wt%以上、70wt%以上、80wt%以上、または90wt%以上である。炭化水素系冷媒は、1種のみの炭化水素化合物を含んでもよく、2種以上の炭化水素化合物を含んでもよい。
【0018】
冷媒回路10には、冷媒と共に冷凍機油が封入される。冷凍機油は、主に圧縮機11の摺動部を潤滑するために用いられる。冷凍機油が冷媒と共に冷媒回路10を循環できるように、冷凍機油と冷媒との相溶性はある程度高いことが好ましい。一方、冷凍機油と冷媒との相溶性が高すぎると、冷媒が冷凍機油に溶解することにより冷凍機油の粘度が低下して、冷凍機油の潤滑性が低下するおそれがある。そのため、冷凍機油と冷媒との相溶性が適切な範囲内となるように、冷媒に応じて適切な冷凍機油が選択されることが好ましい。冷媒回路10に炭化水素系冷媒を用いる場合、冷凍機油は、ポリアルキレングリコール(PAG)を主成分として含むものが好ましい。PAGは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合化合物である。
【0019】
冷媒回路10に用いられる冷凍機油は、PAGのみからなる冷媒でもよく、PAGと、PAG以外の潤滑油との混合物であってもよい。PAG以外の潤滑油は、例えば、鉱油およびアルキルベンゼンである。冷凍機油が、PAG以外の潤滑油を含む場合、PAGの含有量は50wt%以上、60wt%以上、70wt%以上、80wt%以上、または90wt%以上である。冷凍機油は、1種のみのPAGを含んでもよく、2種以上のPAGを含んでもよい。
【0020】
冷凍機油は、極圧剤、酸捕捉剤および酸化防止剤からなる群より選択される少なくとも1種以上を、添加剤として含むことが好ましい。これらの添加剤は、例えば、冷凍機油中に5.0wt%以下配合されることが好ましい。
【0021】
極圧剤としては、例えば、リン酸エステル類を含む極圧剤;モノスルフィド類、ポリスルフィド類、スルホキシド類、スルホン類、チオスルフィネート類、硫化油脂、チオカーボネート類、チオフェン類、チアゾール類、メタンスルホン酸エステル類等の有機硫黄化合物系の極圧剤;チオリン酸トリエステル類等のチオリン酸エステル系の極圧剤;高級脂肪酸、ヒドロキシアリール脂肪酸類、多価アルコールエステル類、アクリル酸エステル類等のエステル系の極圧剤;塩素化パラフィン等の塩素化炭化水素類、塩素化カルボン酸誘導体等の有機塩素系の極圧剤;フッ素化脂肪族カルボン酸類、フッ素化エチレン樹脂、フッ素化アルキルポリシロキサン類、フッ素化黒鉛等の有機フッ素化系の極圧剤;高級アルコール等のアルコール系の極圧剤;ナフテン酸塩類(ナフテン酸鉛等)、脂肪酸塩類(脂肪酸鉛等)、チオリン酸塩類(ジアルキルジチオリン酸亜鉛等)、チオカルバミン酸塩類、有機モリブデン化合物、有機スズ化合物、有機ゲルマニウム化合物、ホウ酸エステル等の金属化合物系の極圧剤が挙げられる。
【0022】
酸捕捉剤としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、α-オレフィンオキシド、エポキシ化大豆油等のエポキシ化合物、カルボジイミド等が挙げられる。これらのうち、冷凍機油との相溶性の観点からは、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、アルキレングリコールグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド、α-オレフィンオキシドが好ましい。これらの酸捕捉剤の炭素数は、3以上30以下であれば好ましく、4以上24以下であればより好ましい。α-オレフィンオキシドは、炭素数が4以上50以下であれば好ましく、4以上24以下であればより好ましい。酸捕捉剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系の酸化防止剤、アミン系の酸化防止剤が挙げられる。フェノール系の酸化防止剤は、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(DBPC)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ビスフェノールA等である。アミン系の酸化防止剤は、例えば、N,N’-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、N.N’-ジ-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジ(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン等である。
【0024】
(1-1)室外ユニット2
室外ユニット2は、ガス冷媒連絡配管5および液冷媒連絡配管6を介して室内ユニット3と接続され、冷媒回路10の一部を構成する。室外ユニット2は、主として、圧縮機11と、四路切換弁12と、室外熱交換器13と、膨張弁9と、低圧レシーバ14と、室外ファン15と、ガス側閉鎖弁16と、液側閉鎖弁17とを有する。
【0025】
圧縮機11は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。圧縮機11は、ロータリ式およびスクロール式等の圧縮要素が圧縮機モータによって回転駆動されることで圧縮室の容積を変化させて、圧縮室の冷媒を圧縮する。圧縮機モータは、インバータによって運転周波数の制御が可能である。
【0026】
四路切換弁12は、冷媒回路10の接続状態を切り換えることで、第1接続状態(図1の実線)と第2接続状態(図1の点線)とを相互に切り換える。第1接続状態は、圧縮機11の吐出側と室外熱交換器13とを接続し、かつ、圧縮機11の吸入側とガス側閉鎖弁16とを接続する。第2接続状態は、圧縮機11の吐出側とガス側閉鎖弁16とを接続し、かつ、圧縮機11の吸入側と室外熱交換器13とを接続する。四路切換弁12は、4つの接続ポートを有する。
【0027】
室外熱交換器13は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器または放熱器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器または吸熱器として機能する。室外熱交換器13は、冷媒が内部を流れる複数の伝熱管(図示せず)と、互いの隙間を空気が流れる複数の伝熱フィン(図示せず)とを有する。複数の伝熱管は、上下方向に並んでおり、各伝熱管は実質的に水平方向に延びている。伝熱管の材質は、例えば、銅、銅合金(黄銅等)、および、ステンレス鋼(SUS304等)である。上下方向に延びた複数の伝熱フィンは、互いに所定の間隔をあけて、伝熱管が延びる方向に沿って並んでいる。各伝熱フィンを複数の伝熱管が貫通するように、複数の伝熱フィンと複数の伝熱管とが組み合わされている。
【0028】
室外ファン15は、室外の空気を室外熱交換器13に供給し、室外熱交換器13において冷媒と熱交換させた後に、室外ユニット2の外部に排出するための空気流を生じさせる。室外ファン15は、室外ファンモータによって回転駆動される。
【0029】
膨張弁9は、室外熱交換器13の液側端部と液側閉鎖弁17との間に設けられている。膨張弁9は、例えば、電子制御により弁開度を調節可能な電子膨張弁である。
【0030】
低圧レシーバ14は、圧縮機11の吸入側と、四路切換弁12の4つの接続ポートの1つとの間に設けられている。低圧レシーバ14は、冷媒回路10における余剰冷媒を液冷媒として貯留することが可能な冷媒容器である。
【0031】
ガス側閉鎖弁16は、室外ユニット2内においてガス冷媒連絡配管5との接続部分に設けられる手動弁である。
【0032】
液側閉鎖弁17は、室外ユニット2内において液冷媒連絡配管6との接続部分に設けられる手動弁である。
【0033】
室外ユニット2は、室外ユニット2を構成する各部の動作を制御する室外ユニット制御部71を有する。室外ユニット制御部71は、CPUおよびメモリ等を含むマイクロコンピュータを有する。室外ユニット制御部71は、各室内ユニット3の室内ユニット制御部72と通信線を介して接続され、制御信号等の送受信を行う。
【0034】
(1-2)室内ユニット3
室内ユニット3は、対象空間である室内の壁面および天井等に設置されている。室内ユニット3は、ガス冷媒連絡配管5および液冷媒連絡配管6を介して室外ユニット2と接続されており、冷媒回路10の一部を構成する。室内ユニット3は、主として、室内熱交換器18と、室内ファン19とを有する。
【0035】
室内熱交換器18の液側端部は、液冷媒連絡配管6と接続される。室内熱交換器18のガス側端部は、ガス冷媒連絡配管5と接続される。室内熱交換器18は、冷房運転時には冷凍サイクルにおける低圧の冷媒の蒸発器または吸熱器として機能し、暖房運転時には冷凍サイクルにおける高圧の冷媒の凝縮器または放熱器として機能する。室内熱交換器18は、室外熱交換器13と同様に、冷媒が内部を流れる複数の伝熱管(図示せず)と、互いの隙間を空気が流れる複数の伝熱フィン(図示せず)とを有する。
【0036】
室内ファン19は、対象空間である室内の空気を吸入して、室内熱交換器18において冷媒と熱交換させた後に、室内ユニット3の外部に排出するための空気流を生じさせる。室内ファン19は、室内ファンモータによって回転駆動される。
【0037】
室内ユニット3は、室内ユニット3を構成する各部の動作を制御する室内ユニット制御部72を有する。室内ユニット制御部72は、CPUおよびメモリ等を含むマイクロコンピュータを有する。室内ユニット制御部72は、室外ユニット制御部71と通信線を介して接続され、制御信号等の送受信を行う。
【0038】
(1-3)コントローラ7
空気調和装置1では、室外ユニット制御部71と室内ユニット制御部72とが通信線を介して接続されることで、空気調和装置1の動作を制御するコントローラ7が構成される。コントローラ7は、主として、CPUと、ROMおよびRAM等のメモリとを有する。コントローラ7による各種処理および制御は、室外ユニット制御部71および室内ユニット制御部72に含まれる各部が一体的に機能することによって実現される。
【0039】
コントローラ7は、室外ユニット制御部71および室内ユニット制御部72を介して、冷媒回路10の構成要素を制御する。コントローラ7による制御対象は、例えば、膨張弁9、圧縮機11、四路切換弁12、室外ファン15、室内ファン19およびリモコン8である。コントローラ7は、例えば、空気調和装置1の冷媒回路10中を流れる流体(冷媒および冷凍機油)の温度が所定温度以下となるように、冷媒回路10の構成要素を制御する。このような制御としては、例えば、圧縮機11の駆動周波数が所定値以上にならないようにする制御、圧縮機11から吐出される冷媒の温度が所定温度以上にならないようにする制御、および、圧縮機11から吐出される冷媒の圧力が所定圧力以上にならないようにする制御等が挙げられる。
【0040】
(1-4)リモコン8
リモコン8は、対象空間である室内、または、対象空間を含む建物の特定の空間に設置され、空気調和装置1の運転制御指令、および、運転状態の監視を行うためにユーザ等により使用される。
【0041】
リモコン8は、操作ボタンおよびタッチパネル等の受付部8aと、各種情報を表示可能なディスプレイ8bとを備える。受付部8aは、ユーザ等により操作されることで各種情報の入力を受け付ける。リモコン8は、室外ユニット制御部71および室内ユニット制御部72に対して通信線を介して接続され、ユーザ等から受付部8aにおいて受け付けた情報をコントローラ7に供給する。リモコン8は、コントローラ7から受信した情報を、ディスプレイ8bに出力する。
【0042】
ユーザ等から受付部8aが受け付ける情報としては、特に限定されないが、冷房運転モードを実行させる指令、暖房運転モードを実行させる指令、運転を停止させる指令、および、温度を設定させる指定等に関する情報が挙げられる。ディスプレイ8bに表示される情報としては、特に限定されないが、現在の運転モード(冷房または暖房運転モード)、設定温度、および、各種の異常が生じていることを示す情報等が挙げられる。
【0043】
(2)圧縮機11の詳細構成
圧縮機11は、いわゆる低圧ドーム型のスクロール圧縮機である。圧縮機11は、図2に示されるように、主として、ケーシング50と、圧縮機構20と、フローティング部材30と、ハウジング40と、シール部材60と、モータ70と、クランクシャフト80と、下部軸受ハウジング90とを有する。
【0044】
(2-1)ケーシング50
ケーシング50は、略円筒状の円筒部材50aと、円筒部材50aの上端に取り付けられる上蓋50bと、円筒部材50aの下端に取り付けられる下蓋50cとを有する。円筒部材50aと、上蓋50bおよび下蓋50cとは、気密を保つように溶接により固定される。ケーシング50には、圧縮機構20、フローティング部材30、ハウジング40、シール部材60、モータ70、クランクシャフト80および下部軸受ハウジング90を含む圧縮機11の構成部品が収容される。
【0045】
ケーシング50の上部には、圧縮機構20が設置される。圧縮機構20の下方には、フローティング部材30およびハウジング40が設置される。ハウジング40の下方には、モータ70が設置される。モータ70の下方には、下部軸受ハウジング90が設置される。
【0046】
ケーシング50の底部には、油溜空間11aが形成されている。油溜空間11aには、圧縮機構20等を潤滑するための冷凍機油が溜められる。ケーシング50は、油溜空間11aを形成する油溜め部50dを有する。油溜め部50dは、ケーシング50の一部であって、下部軸受ハウジング90より下方の部分に相当する。例えば、油溜め部50dは、図2に示されるように、下蓋50cと、円筒部材50aの下端部とから構成される。
【0047】
ケーシング50の内部空間は、仕切板42によって、第1空間S1と第2空間S2とに仕切られている。第1空間S1は、仕切板42より下側の空間である。第2空間S2は、仕切板42より上側の空間である。仕切板42は、第1空間S1と第2空間S2との間で気密が保たれるように、圧縮機構20およびケーシング50に溶接により固定されている。
【0048】
仕切板42は、平面視において環状に形成された板状の部材である。仕切板42の内周側は、全周にわたって、圧縮機構20の固定スクロール21の上部に固定されている。仕切板42の外周側は、全周にわたって、ケーシング50の内面に固定されている。
【0049】
第1空間S1は、モータ70が設置される空間である。第1空間S1は、圧縮機11を有する冷媒回路10から、圧縮機11によって圧縮される前の冷媒が流入する空間である。第1空間S1は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒が流入する空間である。
【0050】
第2空間S2は、圧縮機構20から吐出される冷媒(圧縮機構20により圧縮された冷媒)が流入する空間である。第2空間S2は、冷凍サイクルにおける高圧の冷媒が流入する空間である。
【0051】
ケーシング50には、吸入管51、吐出管52およびインジェクション管53が、ケーシング50の内部と外部とを連通するように取り付けられている。
【0052】
吸入管51は、ケーシング50の上下方向(鉛直方向)における中央付近に取り付けられている。具体的には、図2に示されるように、吸入管51は、ハウジング40とモータ70との間の高さ位置において、円筒部材50aに水平方向に取り付けられている。吸入管51は、ケーシング50の外部と、ケーシング50の内部の第1空間S1とを連通する。圧縮前の冷媒(冷凍サイクルにおける低圧の冷媒)は、吸入管51を通って、第1空間S1に流入する。
【0053】
吐出管52は、ケーシング50の上部であって、仕切板42より上方の高さ位置に取り付けられている。具体的には、図2に示されるように、吸入管51は、上蓋50bに水平方向に取り付けられている。吐出管52は、ケーシング50の外部と、ケーシング50の内部の第2空間S2とを連通する。圧縮機構20により圧縮されて第2空間S2に流入した冷媒(冷凍サイクルにおける高圧の冷媒)は、吐出管52を通って、圧縮機11の外部に流出する。
【0054】
インジェクション管53は、ケーシング50の上部であって、仕切板42より下方の高さ位置に取り付けられている。具体的には、図2に示されるように、インジェクション管53は、圧縮機構20の高さ位置において、円筒部材50aに水平方向に取り付けられている。インジェクション管53のケーシング50内部側の端部は、図2に示されるように、圧縮機構20の固定スクロール21に接続されている。インジェクション管53は、固定スクロール21に形成された通路(図示せず)を介して、圧縮機構20内部の圧縮途中の圧縮室Scと連通している。圧縮機11を有する冷媒回路10から、中間圧の冷媒(冷凍サイクルにおける低圧と高圧との中間の圧力の冷媒)が、インジェクション管53を通って、圧縮途中の圧縮室Scに供給される。
【0055】
(2-2)圧縮機構20
圧縮機構20は、主として、固定スクロール21と可動スクロール22とを有する。固定スクロール21および可動スクロール22は、互いに組み合わされて圧縮室Scを形成する。圧縮機構20は、圧縮室Scにおいて冷媒を圧縮して、圧縮された冷媒を吐出する。
【0056】
(2-2-1)固定スクロール21
固定スクロール21は、図2に示されるように、ハウジング40の上に戴置されている。固定スクロール21およびハウジング40は、ボルト等の固定手段により互いに固定されている。
【0057】
固定スクロール21は、円板状の固定側鏡板21aと、渦巻状の固定側ラップ21bと、周縁部21cとを有する。固定側ラップ21bおよび周縁部21cは、固定側鏡板21aの前面(下面)から可動スクロール22側(下方)に延びている。固定スクロール21を下から見ると、固定側ラップ21bは、固定側鏡板21aの中心付近から外周側に向かって渦巻状(インボリュート形状)に形成されている。周縁部21cは、円筒形状を有する。周縁部21cは、固定側ラップ21bを取り囲むように、固定側鏡板21aの外周側に位置する。
【0058】
圧縮機11の運転時において、可動スクロール22が固定スクロール21に対して旋回することで、第1空間S1から周縁側の圧縮室Scに流入した冷媒(冷凍サイクルにおける低圧の冷媒)は、最内側(中央側)の圧縮室Scへ移動するにつれ圧縮される。固定側鏡板21aの中心付近には、圧縮室Scで圧縮された冷媒を吐出する吐出ポート21dが、固定側鏡板21aをその厚さ方向(上下方向)に貫通して形成されている。吐出ポート21dは、最内側の圧縮室Scと連通している。固定側鏡板21aの上方には、吐出ポート21dを開閉する吐出弁23が取り付けられている。吐出ポート21dと連通する最内側の圧縮室Scの圧力が、吐出弁23より上方の空間(第2空間S2)の圧力に比べて所定値以上大きくなった場合、吐出弁23が開き、吐出ポート21dから第2空間S2へ冷媒が流入する。
【0059】
固定側鏡板21aの吐出ポート21dの外周側には、リリーフ穴21eが、固定側鏡板21aをその厚さ方向に貫通して形成されている。リリーフ穴21eは、吐出ポート21dと連通する最内側の圧縮室Scよりも外周側に形成される圧縮室Scと連通している。リリーフ穴21eは、圧縮機構20の圧縮途中の圧縮室Scと連通している。リリーフ穴21eは、固定側鏡板21aに複数形成されていてもよい。固定側鏡板21aの上方には、リリーフ穴21eを開閉するリリーフ弁24が取り付けられている。リリーフ穴21eと連通する圧縮室Scの圧力が、リリーフ弁24より上方の空間(第2空間S2)の圧力に比べて所定値以上大きくなった場合、安全弁であるリリーフ弁24が開き、リリーフ穴21eから第2空間S2へ冷媒が流入する。
【0060】
(2-2-2)可動スクロール22
可動スクロール22は、円板状の可動側鏡板22aと、渦巻状の可動側ラップ22bと、円筒状のボス部22cとを有する。可動側ラップ22bは、可動側鏡板22aの前面(上面)から固定スクロール21側(上方)に延びている。ボス部22cは、可動側鏡板22aの背面(下面)からモータ70側(下方)に延びている。可動スクロール22を上から見ると、可動側ラップ22bは、可動側鏡板22aの中心付近から外周側に向かって渦巻状(インボリュート形状)に形成されている。
【0061】
固定スクロール21の固定側ラップ21bと、可動スクロール22の可動側ラップ22bとは、互いに組み合わされて圧縮室Scを形成する。固定スクロール21および可動スクロール22は、固定側鏡板21aの前面(下面)と可動側鏡板22aの前面(上面)とが対向するように組み合わされる。これにより、固定側鏡板21a、固定側ラップ21b、可動側ラップ22bおよび可動側鏡板22aに囲まれた圧縮室Scが形成される。
【0062】
圧縮機構20は、対称ラップ構造または非対称ラップ構造を有する。対称ラップ構造を有する圧縮機構20では、可動側ラップ22bの外周面と固定側ラップ21bの内周面とによって囲まれる第1の圧縮室と、可動側ラップ22bの内周面と固定側ラップ21bの外周面とによって囲まれる第2の圧縮室とが、鉛直方向に沿って見た場合に、点対称に形成されている。非対称ラップ構造を有する圧縮機構20では、第1の圧縮室と、第2の圧縮室とが、鉛直方向に沿って見た場合に、点対称に形成されていない。
【0063】
可動側鏡板22aは、フローティング部材30の上方に配置されている。圧縮機11の運転中には、フローティング部材30は、フローティング部材30の下方に形成される背圧空間Sbの圧力によって可動スクロール22に向かって押される。これにより、フローティング部材30の上部の押圧部34が、可動側鏡板22aの背面(下面)に接触すると、フローティング部材30は、可動スクロール22を固定スクロール21に向かって押し付ける。フローティング部材30が可動スクロール22を固定スクロール21に向かって押し付ける力により、可動スクロール22は固定スクロール21に密着する。これにより、固定側ラップ21bの歯先(先端面)と可動側鏡板22aの底面(歯先と接触する主表面)との間の隙間、および、可動側ラップ22bの歯先と固定側鏡板21aの底面との間の隙間からの冷媒の漏れが抑制される。
【0064】
背圧空間Sbは、フローティング部材30とハウジング40との間に形成される空間である。背圧空間Sbは、図3に示されるように、主として、フローティング部材30の背面側(下方側)に形成される。背圧空間Sbには、圧縮機構20の圧縮室Scの冷媒が導かれる。背圧空間Sbと、背圧空間Sbの周りの第1空間S1との間は、シールされている。圧縮機11の運転中、背圧空間Sbの圧力は、第1空間S1内の圧力よりも高い。
【0065】
可動スクロール22とフローティング部材30との間には、オルダムリング25が配置される。オルダムリング25は、可動スクロール22およびフローティング部材30の両方と摺動自在に係合する。オルダムリング25は、可動スクロール22の自転を抑制しつつ、可動スクロール22を固定スクロール21に対して旋回させる。
【0066】
ボス部22cは、フローティング部材30の内面によって囲まれた偏心部空間38に配置されている。ボス部22cの内部には、第1軸受メタル26が配置されている。第1軸受メタル26は、例えば、ボス部22cの内部に圧入され固定されている。第1軸受メタル26には、クランクシャフト80の偏心部81が挿入されている。第1軸受メタル26に偏心部81が挿入されることで、可動スクロール22とクランクシャフト80とが連結される。
【0067】
(2-3)フローティング部材30
フローティング部材30は、可動スクロール22の背面側(固定スクロール21が配置される側とは反対側)に配置される。フローティング部材30は、背圧空間Sbの圧力によって可動スクロール22に向かって押されることで、可動スクロール22を固定スクロール21に向かって押し付ける。フローティング部材30の一部は、クランクシャフト80を支持する軸受としても機能する。
【0068】
フローティング部材30は、主として、円筒状の本体部30aと、押圧部34と、上部軸受ハウジング31とを有する。
【0069】
本体部30aは、本体部30aの内面により囲まれた偏心部空間38を形成する。偏心部空間38には、可動スクロール22のボス部22cが配置される。
【0070】
押圧部34は、本体部30aの上端から可動スクロール22に向かって延びている円筒形状の部材である。図3に示されるように、押圧部34の上端のスラスト面34aは、可動スクロール22の可動側鏡板22aの背面と対向する。スラスト面34aは、平面視において環状に形成されている。フローティング部材30が、背圧空間Sbの圧力によって可動スクロール22に向かって押されると、スラスト面34aが可動側鏡板22aの背面と接触して、可動スクロール22を固定スクロール21に向かって押し付ける。
【0071】
上部軸受ハウジング31は、本体部30aの下方(偏心部空間38の下方)に配置される円筒形状の部材である。上部軸受ハウジング31の内部には、第2軸受メタル32が配置されている。第2軸受メタル32は、例えば、上部軸受ハウジング31の内部に圧入され固定されている。第2軸受メタル32は、クランクシャフト80の主軸82を回転自在に支持する。
【0072】
(2-4)ハウジング40
ハウジング40は、固定スクロール21およびフローティング部材30の下方に配置される略円筒形状の部材である。ハウジング40は、フローティング部材30を支持する。ハウジング40とフローティング部材30との間には背圧空間Sbが形成される。ハウジング40は、例えば、圧入によってケーシング50の内面に取り付けられている。
【0073】
(2-5)シール部材60
シール部材60は、フローティング部材30とハウジング40との間に背圧空間Sbを形成するための部材である。シール部材60は、例えば、Oリング等のガスケットである。図3に示されるように、シール部材60は、背圧空間Sbを、第1室B1と第2室B2とに区画する。第1室B1および第2室B2は、平面視において略円環状に形成されている空間である。第2室B2は、第1室B1の内側に配置される。平面視において、第1室B1の面積は、第2室B2の面積より大きい。
【0074】
第1室B1は、圧縮途中の圧縮室Scと、第1流路64を介して連通している。第1流路64は、圧縮機構20における圧縮途中の冷媒(中間圧の冷媒)を第1室B1に導く流路である。第1流路64は、固定スクロール21およびハウジング40に形成されている。
【0075】
第2室B2は、固定スクロール21の吐出ポート21dと、第2流路65を介して連通している。第2流路65は、圧縮機構20から吐出された冷媒(高圧の冷媒)を第2室B2に導く流路である。第2流路65は、固定スクロール21およびハウジング40に形成されている。
【0076】
圧縮機11の運転中、第2室B2の圧力は、第1室B1の圧力より高い。しかし、平面視において第1室B1の面積は第2室B2の面積より大きいので、背圧空間Sbの圧力による、可動スクロール22の固定スクロール21への押し付け力が過大になりにくい。第2室B2は第1室B1よりも内側に配置されているので、圧縮室Scの圧力により可動スクロール22が下方に押される力と、フローティング部材30により可動スクロール22が上方に押される力との間のバランスが確保されやすい。
【0077】
(2-6)モータ70
モータ70は、可動スクロール22を駆動する。モータ70は、ステータ70aとロータ70bとを有する。ステータ70aは、ケーシング50の内面に固定された環状の部材である。ロータ70bは、ステータ70aの内側に配置される円筒形状の部材である。ステータ70aの内周面と、ロータ70bの外周面との間には、僅かな隙間(エアギャップ)が形成されている。
【0078】
ロータ70bは、その軸方向に沿ってクランクシャフト80が貫通している。ロータ70bは、クランクシャフト80を介して可動スクロール22と連結されている。モータ70は、ロータ70bが回転することで可動スクロール22を駆動し、可動スクロール22を固定スクロール21に対して旋回させる。
【0079】
(2-7)クランクシャフト80
クランクシャフト80は、モータ70のロータ70bと、圧縮機構20の可動スクロール22とを連結する。クランクシャフト80は、上下方向に延びる。クランクシャフト80は、モータ70の駆動力を可動スクロール22に伝達する。
【0080】
クランクシャフト80は、主として、偏心部81と主軸82とを有する。
【0081】
偏心部81は、主軸82の上方に配置される。偏心部81の中心軸は、主軸82の中心軸に対して偏心している。偏心部81は、可動スクロール22のボス部22cの内部に配置された第1軸受メタル26に連結される。
【0082】
主軸82は、フローティング部材30の上部軸受ハウジング31に配置された第2軸受メタル32、および、下部軸受ハウジング90に配置された第3軸受メタル91によって、回転自在に支持される。主軸82は、上部軸受ハウジング31と下部軸受ハウジング90との間で、モータ70のロータ70bに連結される。主軸82は、上下方向に延びる。
【0083】
クランクシャフト80の内部には、油通路(図示せず)が形成されている。油通路は、主経路と分岐経路とを有する。主経路は、クランクシャフト80の下端から上端まで、クランクシャフト80の軸方向に延びる。分岐経路は、主経路から、クランクシャフト80の径方向に延びる。油溜空間11aの冷凍機油は、クランクシャフト80の下端に設けられたポンプ(図示せず)により汲み上げられ、油経路を通って、クランクシャフト80と、第1軸受メタル26、第2軸受メタル32および第3軸受メタル91のそれぞれとの摺動部、および、圧縮機構20の摺動部等に供給される。
【0084】
(2-8)下部軸受ハウジング90
下部軸受ハウジング90は、ケーシング50の内面に固定されている。下部軸受ハウジング90は、モータ70の下方に配置される。下部軸受ハウジング90の内部には、第3軸受メタル91が配置されている。第3軸受メタル91は、例えば、下部軸受ハウジング90の内部に圧入され固定されている。第3軸受メタル91には、クランクシャフト80の主軸82が通過している。第3軸受メタル91は、クランクシャフト80の主軸82の下部側を回転自在に支持する。
【0085】
(3)圧縮機11の動作
通常状態における圧縮機11の動作について説明する。通常状態とは、圧縮機構20の吐出ポート21dから吐出される冷媒の圧力が、圧縮途中の圧縮室Scの圧力よりも高い状態である。
【0086】
モータ70が駆動すると、ロータ70bが回転し、ロータ70bと連結されたクランクシャフト80も回転する。クランクシャフト80が回転すると、オルダムリング25により、可動スクロール22は、自転することなく、固定スクロール21に対して旋回する。吸入管51から第1空間S1に流入した低圧の冷媒は、ハウジング40に形成された冷媒通路(図示せず)を通過して、圧縮機構20の周縁側の圧縮室Scに吸入される。可動スクロール22が旋回すると、第1空間S1と圧縮室Scとは連通しなくなり、圧縮室Scの容積が減少して、圧縮室Scの圧力が上昇する。圧縮途中の圧縮室Scには、インジェクション管53から中間圧の冷媒がインジェクションされる。冷媒の圧力は、周縁側(外側)の圧縮室Scから、中央側(内側)の圧縮室Scへ移動するにつれて上昇し、最終的に冷凍サイクルにおける高圧となる。圧縮機構20によって圧縮された冷媒は、固定側鏡板21aの吐出ポート21dから第2空間S2に吐出される。第2空間S2の高圧の冷媒は、吐出管52から吐出される。
【0087】
(4)冷凍機油の詳細
圧縮機11は、冷凍機油によって潤滑される摺動部を有する。摺動部とは、2つの部材が互いに摺動する部分である。圧縮機11は、以下の摺動部を有する。
・オルダムリング25と、可動スクロール22とが互いに摺動する摺動部。
・オルダムリング25と、フローティング部材30とが互いに摺動する摺動部。
・第1軸受メタル26と、クランクシャフト80とが互いに摺動する摺動部。
・第2軸受メタル32と、クランクシャフト80とが互いに摺動する摺動部。
・第3軸受メタル91と、クランクシャフト80とが互いに摺動する摺動部。
【0088】
圧縮機11のこれらの摺動部の少なくとも1つにおいて、互いに摺動する2つの部材の少なくとも一方は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成される。アルミニウム合金は、例えば、12.6wt%-18wt%のシリコンを含有する。摺動部において互いに摺動する2つの部材は、樹脂などの保護膜によってコーティングされていない。言い換えると、摺動部において互いに摺動する2つの部材の表面は、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面である。
【0089】
圧縮機11の摺動部を潤滑する冷凍機油は、以下の化学式で表される組成物A-CであるPAGを主成分として含む。
・組成物A:R-[CHCHO]-R
・組成物B:R-[CH(CH)CHO]-R
・組成物C:R-[CHCHO]-[CH(CH)CHO]-R
式中、m、n、o、pは、繰り返し単位の数であり、自然数である。
【0090】
式中、R-Rは、水素原子、水酸基(-OH)、または、炭素数1-8の炭化水素基またはアルコキシ基である。
【0091】
式中、R-Rは、水素原子、または、炭素数1-8の炭化水素基またはアルコキシ基である。
【0092】
組成物Aは、ポリエチレングリコールである。組成物Bは、ポリプロピレングリコールである。組成物Cは、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合化合物である。組成物A-Cの分子量は、例えば、1万-10万である。
【0093】
圧縮機11に用いられる冷凍機油は、冷凍機油の圧力が1.9MPaであり、かつ、冷凍機油の温度が60℃であるときにおける冷媒溶解度が30wt%以下である。
【0094】
冷媒溶解度(単位:wt%)は、冷媒が冷凍機油に溶けることで生成される、冷凍機油と冷媒との混合物に関するパラメータであり、以下の式で表される。
・冷媒溶解度=混合物中の冷媒の重量/混合物の重量
・混合物の重量=冷媒の重量+冷凍機油の重量
【0095】
油濃度(単位:wt%)は、冷凍機油と冷媒との混合物に関するパラメータであり、以下の式で表される。
・油濃度=混合物中の冷凍機油の重量/混合物の重量=1-冷媒溶解度
【0096】
冷凍機油の冷媒溶解度が30wt%以下である場合、油濃度は、70wt%以上である。
【0097】
また、圧縮機11に用いられる冷凍機油は、冷凍機油の圧力が1.9MPaであり、かつ、冷凍機油の温度が60℃であるときにおける冷媒溶解度が5wt%以上であることが好ましい。言い換えると、同じ条件下において、油濃度は、95wt%以下であることが好ましい。
【0098】
冷凍機油が、PAGである組成物A-Cを主成分として含む場合、組成物A-Cの全末端基に対する水酸基の割合である水酸基率は、40モル%以上、かつ、90モル%以下であることが好ましい。
【0099】
冷凍機油が組成物Aの場合、末端基は、組成物Aの化学式に含まれるRおよびRである。この場合、水酸基率は、全てのRおよびRの数に占める、水酸基を構成するRおよびRの数の割合である。Rが水酸基である場合、または、Rが水素原子である場合に、末端基が水酸基となる。例えば、冷凍機油が組成物Aのみからなり、かつ、全ての組成物Aの分子に含まれるRが炭化水素基であり、かつ、Rが水素原子である場合、Rを含む末端基は水酸基となり、水酸基率は50モル%となる。
【0100】
冷凍機油が組成物Bの場合、末端基は、組成物Bの化学式に含まれるR、R、および、繰り返し単位[CH(CH)CHO]に含まれるメチル基である。この場合、水酸基率は、全てのR、Rおよびメチル基の数に占める、水酸基を構成するRおよびRの数の割合である。Rが水酸基である場合、または、Rが水素原子である場合に、末端基が水酸基となる。例えば、冷凍機油が組成物Bのみからなり、かつ、全ての組成物Bの分子に含まれるRが炭化水素基であり、かつ、Rが水素原子である場合、Rを含む末端基は水酸基となり、水酸基率は、繰り返し単位の数nによって決まる。
【0101】
冷凍機油が組成物Cの場合、末端基は、組成物Cの化学式に含まれるR、R、および、繰り返し単位[CH(CH)CHO]に含まれるメチル基である。この場合、水酸基率は、全てのR、Rおよびメチル基の数に占める、水酸基を構成するRおよびRの数の割合である。Rが水酸基である場合、または、Rが水素原子である場合に、末端基が水酸基となる。例えば、冷凍機油が組成物Cのみからなり、かつ、全ての組成物Cの分子に含まれるRが炭化水素基であり、かつ、Rが水素原子である場合、Rを含む末端基は水酸基となり、水酸基率は、繰り返し単位の数pによって決まる。
【0102】
(5)実施例
冷凍機油の水酸基率[モル%]と、油濃度[wt%]と、圧縮機11の摺動部の磨耗量[mg]との関係を測定する実験を行った。実験で使用した3種類の冷凍機油A-Cは、それぞれ異なるPAGを主成分として含む。冷凍機油A-Cに含まれるPAGは、以下の通りである。
・冷凍機油A:CH-[CHCHO]-[CH(CH)CHO]-H
・冷凍機油B:CH-[CHCHO]-H
・冷凍機油C:CH-[CHCHO]-[CH(CH)CHO]-R
冷凍機油A-Cの式中のn,mは、繰り返し単位の数であり、自然数である。冷凍機油Cの式中のRは、炭素数1-10の炭化水素基である。
【0103】
冷凍機油Aおよび冷凍機油Bに含まれるPAGは、末端基として水酸基を有するため、冷凍機油Aおよび冷凍機油Bの水酸基率は高い。冷凍機油Cに含まれるPAGは、末端基として水酸基を有さないため、冷凍機油Cの水酸基率は低い。冷凍機油Aおよび冷凍機油Cの水酸基率は、mの値に応じて異なる。一般的に、冷凍機油Aおよび冷凍機油Bの水酸基率は、30モル%より高い。一般的に、冷凍機油Cの水酸基率は、30モル%以下である。
【0104】
実験では、水酸基率が異なる複数種類の冷凍機油を用いて、油濃度、および、圧縮機11の摺動部の磨耗量の測定を行った。これにより、冷凍機油の水酸基率が所定の範囲内で変化する場合における、油濃度、および、圧縮機11の摺動部の磨耗量の変化の傾向を調べた。実験で使用した冷媒は、プロパンである。
【0105】
油濃度は、冷媒の凝縮温度55℃、かつ、冷凍機油の温度60℃の条件下で測定された。
【0106】
圧縮機11の摺動部の磨耗量は、密閉ファレックス摩耗試験によって測定された。ファレックス試験で使用したピン及びブロックは、以下の通りである。
・ピン:12.6wt%-18wt%のシリコンを含有するアルミニウム合金
・ブロック:FC250鋳鉄
【0107】
ファレックス試験は、ファレックス試験機を用いて、ASTMD2670に準拠して以下のように行った。
【0108】
最初に、ファレックス試験機に、ピンおよびブロックをセットし、試験容器内に、冷凍機油を200ml入れ、冷媒を200ml充填して、試験容器を密閉した。次に、回転速度0.4m/s、冷凍機油の温度50℃、荷重89Nの条件下で、10分間ピンおよびブロックを摺動させて、ピンおよびブロックの摩耗量(mg)の合計を測定した。摩耗量が少ない程、ピンおよびブロックの耐摩耗性が優れる。
【0109】
図4は、実験の結果を示すグラフである。図4において、横軸は、冷凍機油の水酸基率[モル%]を示し、左側の縦軸は、油濃度[wt%]を示し、右側の縦軸は、圧縮機11の摺動部の磨耗量[mg]を示す。
【0110】
図4に示されるように、冷凍機油の水酸基率が高いほど、冷凍機油と冷媒との相溶性が低下して、油濃度が上昇する傾向が示された。油濃度が高いほど、冷凍機油に溶解する冷媒の量が低減するため、冷凍機油の粘度の低下が抑制される。そのため、図4に示されるように、油濃度が高いほど、冷凍機油の潤滑性が向上して、圧縮機11の摺動部の磨耗量が低減する傾向が示された。
【0111】
しかし、油濃度が高すぎると、冷凍機油に溶解する冷媒の量が低減し、その結果、冷凍機油の粘度が過剰となり、冷媒回路10を流れる冷凍機油が圧縮機11に戻りにくくなる。その結果、圧縮機11内部の冷凍機油が不足して、圧縮機11の摺動部の焼き付きなどの問題が発生するおそれがある。そのため、油濃度は、圧縮機11の摺動部の磨耗量が十分に低くなる所定の下限値から、十分な量の冷凍機油が圧縮機11に戻される所定の上限値までの範囲内にあることが好ましい。
【0112】
図4に示されるように、冷凍機油の水酸基率が40モル%以下の範囲では磨耗量が高く、冷凍機油の水酸基率が40モル%まで上昇するに従って磨耗量は急激に減少した。冷凍機油の水酸基率が40モル%を超えてさらに上昇すると磨耗量は減少傾向を示したが、ほとんど変化しなかった。そのため、磨耗量が十分に低減されるための条件として、冷凍機油の水酸基率は、40モル%以上であることが好ましい。冷凍機油の水酸基率が40モル%以上の場合、油濃度は70wt%以上である。
【0113】
また、油濃度が95wt%より高いと、圧縮機11に冷凍機油が戻りにくくなる現象が発生しやすいことが確認された。そのため、油濃度は95wt%以下であることが好ましい。油濃度が95wt%以下である場合、冷凍機油の水酸基率は90モル%以下である。
【0114】
従って、図4に示される実験結果から、冷凍機油としてPAGを用いる場合、油濃度が70wt%以上となる冷凍機油、言い換えると、冷媒溶解度が30wt%以下となる冷凍機油を用いることが好ましい。また、冷凍機油の水酸基率は、40モル%以上、かつ、90モル%以下であることが好ましい。この場合、油濃度は、70wt%以上、かつ、95wt%以下である。
【0115】
(6)特徴
HCFC系冷媒などの塩素含有冷媒、および、HFC系冷媒などのフッ素含有冷媒と比較して、炭化水素系冷媒は、潤滑性が低く、かつ、冷凍機油に溶解しやすい傾向を示す。そのため、冷凍サイクル装置の冷媒として炭化水素系冷媒を用いる場合、冷媒自体の潤滑性が低く、かつ、冷媒が溶解することで冷凍機油の粘度が低下しやすいため、摺動部の磨耗量が上昇しやすい。特に、摺動部において摺動する部材がアルミニウム製の場合、異常磨耗が発生しやすく、耐摩耗性に優れるシリコン含有アルミニウム合金製の場合でも、摩耗が発生しやすい。また、耐摩耗性を向上させるため、摺動部において摺動する部材を樹脂などでコーティングすると、摺動に伴う樹脂の変性や、摺動性の低下などの問題が生じるおそれがある。
【0116】
空気調和装置1では、冷媒と冷凍機油との混合物中における冷凍機油の濃度である油濃度が、所定の温度および圧力において所定の値以上になる冷凍機油が用いられる。具体的には、空気調和装置1に用いられる冷凍機油は、圧力が1.9MPaであり、かつ、温度が60℃であるときにおける冷媒溶解度が30wt%以下である。言い換えると、空気調和装置1では、油濃度は70wt%以上に維持される。これにより、空気調和装置1の運転中に、冷媒回路10を循環する冷媒と冷凍機油との混合物における油濃度が低下して、冷凍機油の粘度が低下することが抑えられる。従って、冷凍機油の粘度が過剰に低下することに起因する、圧縮機11の摺動部の磨耗量の増加が抑制される。
【0117】
また、冷凍機油がPAGを含有する場合、PAGの全末端基に対する水酸基の割合である水酸基率が40モル%以上、かつ、90モル%以下であるPAGが用いられる。図4に示されるように、PAGの水酸基率が40モル%より低い場合、冷凍機油に溶解する冷媒の量が多くなる。その結果、圧縮機11の摺動部の異常磨耗が発生しやすくなる。一方、PAGの水酸基率が90モル%より高い場合、冷媒が冷凍機油にほとんど溶解しなくなり、圧縮機11から吐出された冷凍機油が圧縮機11に戻りにくくなる。その結果、圧縮機11の摺動部の焼き付きなどが発生しやすくなる。
【0118】
従って、空気調和装置1では、冷凍機油の冷媒溶解度の上限値を適切に設定することで、圧縮機11の摺動部の磨耗量が低減される。また、空気調和装置1では、冷凍機油に含有されるPAGの水酸基率の下限値および上限値を適切に設定することで、圧縮機11の摺動部の磨耗量が低減され、かつ、冷凍機油が圧縮機に戻りにくくなる現象の発生が抑制される。また、空気調和装置1では、圧縮機11の摺動部において互いに摺動する部材を樹脂などでコーティングしなくても、圧縮機11の摺動部の異常磨耗の発生が抑制される。
【0119】
(7)変形例
(7-1)変形例A
実施形態の空気調和装置1では、冷凍機油がPAGを含有する場合、PAGの水酸基率は、40モル%以上、かつ、90モル%以下に設定される。しかし、水酸基率の下限値は、40モル%より大きい値に設定されてもよい。例えば、PAGの水酸基率は、50モル%より高く、かつ、90モル%以下であってもよい。図4において、PAGの水酸基率が50モル%より高い場合、圧縮機11の摺動部の磨耗量は、0.95mg未満となる。
【0120】
図4に示されるように、PAGの水酸基率が50モル%-90モル%の範囲では、圧縮機11の摺動部の磨耗量はほぼ一定である。そのため、PAGの水酸基率は、60モル%以上、かつ、90モル%以下であってもよい。また、PAGの水酸基率は、70モル%以上、かつ、90モル%以下であってもよい。また、PAGの水酸基率は、80モル%以上、かつ、90モル%以下であってもよい。
【0121】
(7-2)変形例B
実施形態の空気調和装置1では、圧縮機11の摺動部において互いに摺動する2つの部材の少なくとも一方は、アルミニウム又はアルミニウム合金である。しかし、摺動部を構成する部材の材質は特に限定されない。例えば、摺動部において互いに摺動する2つの部材の一方は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成され、他方は、鉄又はアルミニウムで構成されてもよい。この場合、摺動部において互いに摺動する2つの部材は、樹脂などの保護膜によってコーティングされていない。
【0122】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0123】
1 :空気調和装置(冷凍サイクル装置)
9 :膨張弁(膨張機構)
10 :冷媒回路
11 :圧縮機
13 :室外熱交換器(放熱器)
18 :室内熱交換器(吸熱器)
25 :オルダムリング
26 :第1軸受メタル(軸受)
32 :第2軸受メタル(軸受)
91 :第3軸受メタル(軸受)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0124】
【文献】米国特許出願公開第2019/0383289号明細書
図1
図2
図3
図4