(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】技能評価装置、技能評価方法及び技能評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/1091 20230101AFI20231130BHJP
G06Q 10/0639 20230101ALI20231130BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G06Q10/1091
G06Q10/0639
G09B19/00 G
(21)【出願番号】P 2019196465
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】和田 洋貴
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 宏
(72)【発明者】
【氏名】王 タンニー
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-102995(JP,A)
【文献】特開2006-106154(JP,A)
【文献】特開2004-086322(JP,A)
【文献】特開2006-171184(JP,A)
【文献】特開2018-142058(JP,A)
【文献】特開平08-055103(JP,A)
【文献】特開2005-165371(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154709(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G09B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得する取得部と、
作業者の
所定の部位毎の作業状態を時系列に示す作業状態データの中から、前記時間範囲情報に基づいて決定される特定の時間範囲の
前記所定の部位毎の作業状態データを抽出する抽出部と、
前記特定の時間範囲の
前記所定の部位毎の作業状態データに基づいて、一以上の評価項目についての前記作業者の技能の指標値を算出する算出部と、
前記指標値を示す指標情報を出力する出力部と、
を備える技能評価装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記技能の評価単位を示す評価単位情報を取得し、
前記抽出部は、前記評価単位情報に基づいて、前記時間範囲情報が示す前記任意の時間範囲と少なくとも一部が重複する前記特定の時間範囲の
前記所定の部位毎の作業状態データを決定する、
請求項1に記載の技能評価装置。
【請求項3】
前記抽出部は、当該時間範囲情報が示す前記任意の時間範囲内で、かつ、上記評価単位に関しないデータを除外したデータを、前記特定の時間範囲の
前記所定の部位毎の作業状態データとして決定する、
請求項2に記載の技能評価装置。
【請求項4】
前記抽出部は、当該時間範囲情報が示す前記任意の時間範囲に隣接する所定期間内で、かつ、前記評価単位に関するデータを、前記特定の時間範囲の
前記所定の部位毎の作業状態データとして決定する、
請求項2又は請求項3に記載の技能評価装置。
【請求項5】
前記抽出部は、当該時間範囲情報が示す前記任意の時間範囲内で、かつ、前記評価単位に関するデータを、前記特定の時間範囲の
前記所定の部位毎の作業状態データとして決定する、
請求項2から請求項4のいずれかに記載の技能評価装置。
【請求項6】
前記所定の部位毎の前記作業状態データを表示する表示部と、を更に具備し、
前記取得部は、前記表示部に表示された前記作業状態データに基づいて、入力部から入力される前記時間範囲情報を取得する、
請求項1から請求項5のいずれかに記載の技能評価装置。
【請求項7】
前記所定の部位は、前記作業者の右手と左手の
各々である、
請求項6に記載の技能評価装置。
【請求項8】
技術評価装置が、
任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得することと、
作業者の
所定の部位毎の作業状態を時系列に示す作業状態データの中から、前記時間範囲情報に基づいて決定される特定の時間範囲の
前記所定の部位毎の作業状態データを抽出することと、
前記特定の時間範囲の
前記所定の部位毎の作業状態データに基づいて、一以上の評価項目についての前記作業者の技能の指標値を算出することと、
前記指標値を示す指標情報を出力することと、
を含む技能評価方法。
【請求項9】
技能評価装置に備えられた演算部を、
任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得する取得部、
作業者の
所定の部位毎の作業状態を時系列に示す作業状態データの中から、前記時間範囲情報に基づいて決定される特定の時間範囲の
前記所定の部位毎の作業状態データを抽出する抽出部、
前記特定の時間範囲の
前記所定の部位毎の作業状態データに基づいて、一以上の評価項目についての前記作業者の技能の指標値を算出する算出部、
前記指標値を示す指標情報を出力する出力部、
として機能させる技能評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、技能評価装置、技能評価方法及び技能評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者の動作や反応などを評価する手法がある。例えば、下記特許文献1には、所定のタイミングにおける対象者の身体の各部位の位置と予め定められた条件との比較結果に基づいて、対象者のリズム感などの身体動作を評価する身体動作採点装置が記載されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、授業や会議などに参加する対象者の動画を解析して、対象者の動作や顔の表情といった非言語情報を抽出し、抽出された非言語情報に基づいて対象者の反応を評価する評価システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6082101号公報
【文献】特開2018-49480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1-2では、評価の対象者は、ダンスやカラオケを行う人や授業や会議などの参加者などである。このため、当該評価の対象となる全体時間は、比較的短時間である。
【0006】
しかしながら、工場などで一以上の部品を組み合わせて製品を作製する作業者は、所定の作業(例えば、部品の把持、部品の調整、部品の運搬、及び、製品の収納の少なくとも一つなど)を長時間に渡って繰り返して行う。したがって、例えば、一日等の比較的長時間の作業時間全体での指標だけでは、当該作業者の技能を適切に評価できない恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、作業者の技能を評価する時間範囲を変化させることにより、作業者の技能を適切に評価可能な技能評価装置、技能評価方法及び技能評価プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る技能評価装置は、任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得する取得部と、作業者の作業状態を時系列に示す作業状態データの中から、前記時間範囲情報に基づいて決定される特定の時間範囲のデータを抽出する抽出部と、前記特定の時間範囲のデータに基づいて、一以上の評価項目についての前記作業者の技能の指標値を算出する算出部と、前記指標値を示す指標情報を出力する出力部と、を備える。
【0009】
この態様によれば、時間範囲情報に基づいて作業者の技能を評価する時間範囲を変化させることができるので、作業者の技能を適切に評価できる。
【0010】
上記態様において、取得部は、作業者の技能の評価単位を示す評価単位情報を取得し、前記抽出部は、前記評価単位情報に基づいて、時間範囲情報が示す任意の時間範囲と少なくとも一部が重複する特定の時間範囲のデータを決定してもよい。
【0011】
この態様によれば、時間範囲情報が示す任意の時間範囲のデータを評価単位情報に基づいて調整して、指標値の算出に用いる特定の時間範囲のデータを決定できるので、作業者の技能の評価精度を向上できる。
【0012】
上記態様において、抽出部は、時間範囲情報が示す任意の時間範囲内で、かつ、上記評価単位に関しないデータを除外したデータを、前記特定の時間範囲のデータとして決定してもよい。
【0013】
この態様によれば、時間範囲情報が示す任意の時間範囲内に含まれる上記評価単位に関しないデータを、指標値の算出に用いる特定の時間範囲のデータから除外できる。このため、当該任意の時間範囲が上記評価単位に関する時間範囲と完全に一致しなくとも、上記評価単位に関する時間範囲のデータに基づいて指標値を算出でき、上記評価単位での技能の評価精度を向上できる。
【0014】
上記態様において、抽出部は、時間範囲情報が示す任意の時間範囲に隣接する所定期間内で、かつ、前記評価単位に関するデータを、前記特定の時間範囲のデータとして決定してもよい。
【0015】
この態様によれば、時間範囲情報が示す任意の時間範囲外であっても上記評価単位に関するデータを、指標値の算出に用いる特定の時間範囲のデータに含めることができる。このため、当該任意の時間範囲が上記評価単位に関する時間範囲と完全に一致しなくとも、上記評価単位に関する時間範囲のデータに基づいて指標値を算出でき、上記評価単位での技能の評価精度を向上できる。
【0016】
上記態様において、抽出部は、時間範囲情報が示す前記任意の時間範囲内で、かつ、評価単位に関するデータを、前記特定の時間範囲のデータとして決定してもよい。
【0017】
この態様によれば、時間範囲情報が示す任意の時間範囲内に含まれる上記評価単位に関するデータを、指標値の算出に用いる特定の時間範囲のデータに含めることができる。このため、任意の時間範囲内の所望の評価単位で、技能評価を行うことができる。
【0018】
上記態様において、作業状態データを表示する表示部と、を更に具備し、取得部は、表示部に表示された作業状態データに基づいて、入力部から入力される時間範囲情報を取得してもよい。
【0019】
この態様によれば、ユーザは、表示部に表示された作業状態データの中から任意の時間範囲(例えば、作業者の動作がおかしい時間範囲など)を指定できるので、作業者の技能評価をより柔軟に行うことができる。
【0020】
上記態様において、表示部は、作業者の右手と左手のそれぞれについて作業状態データを表示してもよい。この態様によれば、ユーザは、任意の時間範囲をより適切に指定可能となる。
【0021】
本開示の他の態様に係る技能評価方法は、任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得することと、作業者の作業状態を時系列に示す作業状態データの中から、前記時間範囲情報に基づいて決定される特定の時間範囲のデータを抽出することと、前記特定の時間範囲のデータに基づいて、一以上の評価項目についての前記作業者の技能の指標値を算出することと、前記指標値を示す指標情報を出力することと、を含む。
【0022】
この態様によれば、時間範囲情報に基づいて作業者の技能を評価する時間範囲を変化させることができるので、作業者の技能を適切に評価できる。
【0023】
本開示の他の態様に係る技能評価プログラムは、技能評価装置に備えられた演算部を、任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得する取得部、作業者の作業状態を時系列に示す作業状態データの中から、前記時間範囲情報に基づいて決定される特定の時間範囲のデータを抽出する抽出部、前記特定の時間範囲のデータに基づいて、一以上の評価項目についての前記作業者の技能の指標値を算出する算出部、前記指標値を示す指標情報を出力する出力部、として機能させる。
【0024】
この態様によれば、時間範囲情報に基づいて作業者の技能を評価する時間範囲を変化させることができるので、作業者の技能を適切に評価できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、作業者の技能を評価する時間範囲を変化させることにより、作業者の技能を適切に評価可能な技能評価装置、技能評価方法及び技能評価プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る技能評価システムの概要を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る作業状態データの一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る作業状態データの表示態様の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る技能評価システムの機能ブロックを示す図である。
【
図5】本実施形態に係る技能評価装置の物理的構成を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る技能評価装置の表示部に表示される入力画面の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る技能評価装置の表示部に表示される入力画面の他の例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る技能評価装置により出力される指標情報の第1の例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る技能評価装置により出力される指標情報の第2の例を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る技能評価装置により出力される指標情報の第3の例を示す図である。
【
図11】本実施形態に係る技能評価装置により出力される指標情報の第4の例を示す図である。
【
図12】本実施形態に係る技能評価装置により出力される指標情報の第5の例を示す図である。
【
図13】本実施形態に係る技能評価装置により出力される指標情報の第6の例を示す図である。
【
図14】本実施形態に係る第1の評価項目の指標値の算出の一例を説明する図である。
【
図15】本実施形態に係る第2の評価項目の指標の算出の一例を説明する図である。
【
図16】本実施形態に係る技能評価システムによって実行される作業者の技能評価処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0028】
§1 適用例
まず、
図1を用いて、本発明が適用される場面の一例について説明する。本実施形態に係る技能評価システム100は、ある作業領域Rにおいて実行される作業者の動作を示す動画を撮影する第1撮影部20a、第2撮影部20b及び第3撮影部20cを備える。本例の作業領域Rは、製造ライン全体を含む領域であるが、作業領域Rは、任意の領域であってよく、例えば、製品又は部品の作製に関する所定の工程が行われる領域であればよい。以下では、第1撮影部20a、第2撮影部20b及び第3撮影部20cを総称して撮影部20と記載する。
【0029】
本例では、第1作業者A1及び第2作業者A2が、作業領域Rにおいて、予め定められた動作を行う場合について説明する。例えば、第1作業者A1は、経験年数などが所定の基準を満たす熟練者であり、第2作業者A2は、当該所定の基準を満たさない初心者であってもよい。
【0030】
また、本例では、第1作業者A1及び第2作業者A2は、同一の工程を実施するものとするが、異なる工程を実施してもよい。例えば、第1作業者A1及び第2作業者A2は、それぞれ同一の製品(例えば、製品1及び2)に関する作業を実施してもよいし、又は、第1作業者A1がある製品(例えば、製品1)に関する作業を実施し、第2作業者A2が他の製品(例えば、製品2)に関する作業を実施してもよい。以下では、第1作業者A1及び第2作業者A2を総称して作業者Aと記載する。
【0031】
技能評価システム100は、技能評価装置10を含む。技能評価装置10は、作業者Aの作業状態を時系列に示す作業状態データを記憶する。ここで、作業状態データとは、作業者Aの作業状態を時系列に示すデータの集合であってもよい。当該作業状態データは、所定の部位(例えば、右手、左手など)毎に記憶されてもよい。
【0032】
図2は、本実施形態に係る作業状態データの一例を示す図である。
図2に示すように、作業状態データは、所定の作業状態と当該所定の作業状態の開始タイミング及び終了タイミングとを関連づける一以上のデータで構成されてもよい。
図2では、例えば、作業者Aの右手及び左手それぞれの作業状態データが示されるが、これに限られない。当該作業状態データを構成する各データは、レコード等と呼ばれてもよい。
【0033】
ここで、所定の作業状態は、製品又は部品の製造のポイントとなる一以上の作業状態(要素作業等ともいう)であり、例えば、「把持」、「調整」、「運搬」、「収納」、「検査」、「停止」、「N/A(無作業状態)」等の少なくとも一つを含んでもよい。撮影部20によって撮影された一連の動作は、当該一以上の作業状態に分類されてもよい。
【0034】
また、当該所定の作業状態の開始タイミングは、例えば、当該所定の作業状態の開始年月日、開始日時、開始時刻等の少なくとも一つであればよい。同様に、当該所定の作業状態の終了タイミングは、例えば、当該所定の作業状態の終了年月日、終了日時、終了時刻等の少なくとも一つであればよい。例えば、
図2では、当該所定の作業状態の開始タイミング及び終了タイミングとして開始時刻及び終了時刻が示されるが、これらに限られない。
【0035】
なお、
図2に示す作業状態データは例示にすぎず、作業者Aの作業状態を時系列に示すどのようなデータであってもよい。例えば、所定の作業状態には、開始タイミング又は終了タイミングのいずれか一方が関連付けられてもよい。また、作業状態データは、右手、左手以外の他の部位の作業状態を時系列に示してもよいし、右手及び左手を区別せずに作業者の全体の作業状態を時系列に示してもよい。
【0036】
技能評価装置10は、以上のような作業状態データを予め記憶していてもよいし、或いは、任意のデータに基づいて当該作業状態データを生成してもよい。当該任意のデータは、撮影部20により撮影された作業者Aの動作を示す動画であったり、当該動画を解析して得られる座標値であったりしてよい。あるいは、当該任意のデータは、モーションキャプチャにより測定された作業者Aの動作を示す座標値であったり、加速度センサやジャイロセンサを作業者Aに装着させることで測定される作業者Aの動作を示すデータであったりしてもよい。
【0037】
技能評価装置10の表示部10fは、以上のような作業状態データを時間軸上に表示してもよい。
図3は、本実施形態に係る作業状態データの表示態様の一例を示す図である。
図3に示すように、表示部10fは、時間軸上に所定の部位毎の作業状態を識別可能に表示してもよい。例えば、
図3では、「把持」、「調整」、「運搬」、「収納」及び「無作業」が異なるハッチングで示されるが、これに限られない。異なる作業状態は、例えば、異なる色等によって識別可能に表示されればよい。
【0038】
図3に示すように、各製品に関する時間範囲には、一以上の作業状態が含まれてもよい。例えば、
図3では、製品1に関する時間範囲T1~T2には、把持、調整、運搬、収納などの複数の作業状態が含まれる。また、各製品に関する時間範囲には、一以上の部品に関する時間範囲が含まれてもよい。例えば、
図3では、製品1に関する時間範囲T1~T2には、部品1~7に関する時間範囲が含まれる。また、各部品に関する時間範囲には、一以上の作業状態が含まれてもよい。例えば、部品3に関する時間範囲T11~T12には、把持、運搬、調整が含まれる。
【0039】
なお、
図3では、表示部10fは、各作業状態がどの製品又は部品に関する時間範囲に属するかを示す識別情報(例えば、
図3の製品1~3、部品1~7)を作業状態データとともに表示するが、当該識別情報を表示しなくともよい。
【0040】
また、
図3では、表示部10fは、製品間の切り替えタイミング(例えば、
図3のタイミングT1~T4、Tn、Tn+1)、部品間の切り替えタイミング(例えば、
図3のタイミングT11~T15)を作業状態データとともに表示するが、当該タイミングを明示的に表示しなくともよい。ここで、製品間の切り替えタイミングとは、前の製品に関する作業の終了タイミング又は次の製品に関する作業の開始タイミングであればよい。また、部品間の切り替えタイミングとは、前の部品に関する作業の終了タイミング又は次の部品に関する作業の開始タイミングであればよい。
【0041】
図1の技能評価装置10では、
図2、3に例示される作業状態データ全体で一以上の評価項目についての作業者Aの技能の指標を算出するだけでなく、当該作業状態データから抽出される特定の時間範囲のデータに基づいて当該指標を算出できる。
【0042】
例えば、
図3において、同一の製品又は部品に関する複数の時間範囲(例えば、製品1に関するタイミングT1からタイミングT2までの時間範囲及びタイミングTnからタイミングTn+1までの時間範囲)間では、時間経過による疲労によるパフォーマンスの低下又は時間経過による慣れにより、同一の作業者Aの技能発揮度が異なる可能性がある。
【0043】
また、
図3において、異なる製品又は部品に関する複数の時間範囲間では、得意・不得意などによって、同一の作業者Aの技能発揮度が異なる可能性もある。例えば、
図3では、部品3に関するタイミングT11からタイミングT12までの時間範囲では、部品6に関するタイミングT14からタイミングT15までの時間範囲と比べて無作業時間が短いので、部品3の発揮度は部品6よりも高い可能性がある。
【0044】
本実施形態に係る技能評価装置10によれば、入力部10eの操作により取得される時間範囲情報に基づいて、
図2、3に例示される作業状態データから特定の時間範囲のデータが抽出され、抽出された特定の時間範囲のデータに基づいて一以上の評価項目についての作業者Aの技能の当該指標を算出できる。このように、入力部10eの操作に基づいて評価の対象となる時間範囲が制御されるので、同一の作業者Aについて技能評価を効果的に行うことができる。
【0045】
§2 構成例
[機能構成]
次に、
図4を用いて、本実施形態に係る技能評価システム100の機能構成の一例を説
明する。技能評価システム100は、技能評価装置10を備える。そして、技能評価装置10は、取得部11、記憶部12、抽出部13、算出部14、出力部15及び表示部10fを備える。
【0046】
<取得部>
取得部11は、任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得する。具体的には、取得部11は、ユーザによる入力部10eの操作に応じて、任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得してもよい。ここで、任意の時間範囲は、表示部10fにおいて時間軸上に並べて表示された作業状態データ(例えば、
図3)から任意に選択される時間範囲であってもよい。或いは、任意の時間範囲は、例えば、午前中、午後、一日、1週間、一ヶ月、一年などの予め定められた時間範囲から選択されたものであってもよいし、入力部10eによって入力される時間範囲(例えば、午前9時~午前10時など)などであってもよい。
【0047】
また、取得部11は、技能の評価単位を示す評価単位情報を取得してもよい。具体的には、取得部11は、ユーザによる入力部10eの操作に応じて、作業者Aの技能の評価単位を示す評価単位情報を取得してもよい。ここで、評価単位は、例えば、特定の製品(例えば、製品1~3の少なくとも一つなど)、特定の部品(例えば、部品1~7の少なくとも一つなど)、又は、特定の作業(例えば、把持、収納、運搬、調整、検査等の少なくとも一つなど)であってもよい。評価単位は、ユーザによる入力部10eの操作により選択又は入力されてもよい。
【0048】
<記憶部>
記憶部12は、作業者Aの作業状態を時系列に示す作業状態データ12aを記憶する。作業状態データ12aの詳細については、
図2で説明した通りである。
【0049】
<抽出部>
抽出部13は、記憶部12に記憶される作業状態データ12aの中から、取得部11によって取得される時間範囲情報に基づいて決定される特定の時間範囲のデータを抽出する。例えば、抽出部13は、当該時間範囲情報が示す時間範囲と少なくとも一部が重複する特定の時間範囲のデータを、作業状態データ12aから抽出してもよい。すなわち、当該特定の時間範囲のデータは、当該時間範囲情報が示す時間範囲と同一の時間範囲のデータであってもよいし、当該時間範囲情報が示す時間範囲と一部が重複する時間範囲のデータであってもよい。
【0050】
また、抽出部13は、取得部11によって取得される時間範囲情報及び評価単位情報に基づいて決定される特定の時間範囲のデータを抽出してもよい。具体的には、抽出部13は、当該評価単位情報に基づいて当該時間範囲情報が示す時間範囲と少なくとも一部が重複する特定の時間範囲のデータを決定し、当該特定の時間範囲のデータを作業状態データ12aから抽出してもよい。
【0051】
当該特定の時間範囲のデータは、当該時間範囲情報が示す時間範囲内で、かつ、上記評価単位に関しないデータを除外したデータであってもよい。また、当該特定の時間範囲のデータは、当該時間範囲情報が示す時間範囲に隣接する所定期間(例えば、一分)内で、かつ、上記評価単位に関するデータであってもよい。また、当該特定の時間範囲のデータは、当該時間範囲情報が示す時間範囲内で、かつ、評価単位情報が示す評価単位に関するデータであってもよい。
【0052】
<算出部>
算出部14は、抽出部13によって抽出された特定の時間範囲のデータに基づいて、一以上の評価項目についての作業者Aの技能の指標値を算出する。当該評価項目は、例えば、無駄のなさ、特定の作業(例えば、把持、運搬、調整又は検査など)、並列作業、手のリズム等である。なお、当該評価項目は、これらの一部であってもよいし、他の評価項目を含んでもよい。
【0053】
具体的には、算出部14は、上記特定の時間範囲のデータに基づいて決定される無駄時間に基づいて、第1の評価項目(例えば、無駄のなさ)についての指標値を算出してもよい。ここで、無駄時間とは、上記特定の時間範囲内において所定の部位(例えば、右手及び左手の双方)が無作業状態であることを示す時間(無作業時間)の合計と、上記特定の時間範囲に対応する全体時間との割合に基づいて算出されてもよい。
【0054】
なお、算出部14は、上記特定の時間範囲内のデータのうち、N/A(無作業状態)に関連づけられる開始時刻及び終了時刻に基づいて、無作業時間を決定できる。例えば、
図2では、左手と右手とが重複してN/Aとなるのは0時24分0秒~0時24分30秒の間である。よって、無作業時間は0.5分である。例えば、
図2において、上記特定の時間範囲が0時0分~0時26分の26分間である場合、上記無駄時間は、0.5/26(分)で示されてもよい。
【0055】
また、算出部14は、上記特定の時間範囲のデータに基づいて決定される手順の一致数、手順の数、基準時間の合計、実施時間の合計、各作業の基準時間、各作業の実施時間の少なくとも一つに基づいて、第2の評価項目(例えば、把持、運搬、調整又は検査などの特定の作業)についての指標値を算出してもよい。
【0056】
ここで、手順の一致数とは、上記特定の時間範囲内において、予め定められた順序で実施された手順との一致数である。手順の数とは、上記特定の時間範囲内における手順の数である。なお、一つの手順は、一つ又は複数の部品に対応してもよいし、一つ又は複数の製品に対応してもよいし、ある製品又は部品に関する一つ又は複数の作業に対応してもよい。算出部14は、当該手順の一致数及び手順の数に基づいて、第1の値(例えば、「手順の正しさ」に関する値C)を算出してもよい。
【0057】
また、基準時間とは、上記特定の時間範囲内において各手順を実施する基準となる時間であり、予め定められる。実施時間とは、上記特定の時間範囲内において作業者Aが各手順を実施する時間である。算出部14は、当該特定の時間範囲内における基準時間の合計と実施時間の合計とに基づいて、第2の値(例えば、「合計時間」に関する値T)を算出してもよい。
【0058】
また、算出部14は、上記特定の時間範囲内における各手順の基準時間及び実施時間と、上記特定の時間範囲内における手順の数とに基づいて、第3の値(例えば、「時間バラつき」に関する値V)を算出してもよい。算出部14は、上記第1の値、第2の値、第3の値に基づいて、第2の評価項目(例えば、把持、運搬、調整又は検査などの特定の作業)についての指標値(例えば、指標値E)を算出してもよい。
【0059】
また、算出部14は、上記特定の時間範囲のデータに基づいて決定される並列時間に基づいて、第3の評価項目(例えば、並列作業)についての指標値を算出してもよい。ここで、並列時間とは、作業者Aの異なる部位(例えば、右手及び左手)が同時に異なる作業状態となる時間である。例えば、
図2では、0時10分~0時12分の間において、作業者Aの左手は運搬作業を行う一方、右手は把持作業を行っているため、並列時間は2分である。例えば、
図2において、上記特定の時間範囲が0時0分~0時26分の26分間である場合、上記並列時間の割合は、2/26(分)で示されてもよい。
【0060】
また、算出部14は、上記特定の時間範囲のデータに基づいて決定される繰り返し作業の実施時間に基づいて、第4の評価項目(例えば、手のリズム)についての指標値を算出してもよい。ここで、繰り返し作業とは、同一の製品、同一の部品、又は、同一の作業を複数回にわたって行うことであってもよい。例えば、算出部14は、上記特定の時間範囲がタイミングT1からタイミングT2までの時間範囲である場合、製品1に関して繰り返して行われる特定の作業(例えば、調整作業)の実施時間及び基準時間、製品1内の当該特定の作業の回数に基づいて、当該特定の作業を行う手のリズムについての指標値を算出してもよい。
【0061】
<出力部>
出力部15は、算出部14により算出された一以上の評価項目についての作業者Aの技能の指標値を示す指標情報を出力する。出力部15は、例えば、レーダーチャートを用いて、上記指標情報を出力してもよい。また、出力部15は、抽出部13によって抽出される特定の時間範囲のデータが複数の時間範囲に対応する場合、当該複数の時間範囲にそれぞれに対応する複数のレーダーチャートを出力してもよい。なお、指標値、指標情報は、それぞれ、評価値、評価情報等と言い換えられてもよい。
【0062】
<表示部>
表示部10fは、出力部15から出力される指標情報を表示してもよい。また、表示部10fは、記憶部12に記憶される作業状態データ12aを時間軸上に並べて表示してもよい。
【0063】
[ハードウェア構成]
次に、
図5を用いて、本実施形態に係る技能評価装置10のハードウェア構成の一例を説明する。技能評価装置10は、演算装置に相当するCPU(Central Processing Unit)10aと、記憶部12に相当するRAM(Random Access Memory)10bと、記憶部12に相当するROM(Read only Memory)10cと、通信部10dと、入力部10eと、表示部10fとを有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例では技能評価装置10が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、技能評価装置10は、複数のコンピュータを用いて実現されてもよい。
【0064】
CPU10aは、RAM10b又はROM10cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU10aは、作業状態データ12aから抽出される特定の時間範囲のデータに基づいて作業者Aの技能を評価するプログラム(技能評価プログラム)を実行する演算装置である。なお、技能評価装置10を複数のコンピュータで構成する場合、例えば、一以上の評価項目についての作業者Aの技能の指標値の算出をクラウド上のコンピュータで実行し、当該指標値を示す指標情報を出力することをローカルコンピュータで実行することとしてもよい。CPU10aは、入力部10eや通信部10dから種々の入力データを受け取り、入力データの演算結果を表示部10fに表示したり、RAM10bやROM10cに格納したりする。
【0065】
RAM10bは、記憶部12のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM10bは、CPU10aが実行する技能評価プログラムや、作業状態データ12aといったデータを記憶する。
【0066】
ROM10cは、記憶部12のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM10cは、例えば動作分析プログラムや、書き換えが行われないデータを記憶する。
【0067】
通信部10dは、技能評価装置10を外部機器に接続するインターフェースである。通信部10dは、撮影部20と例えばLAN(Local Area Network)により接続されて、撮影部20から動画又は作業状態データ12aを受信してよい。また、通信部10dは、インターネットに接続されて、インターネットを介して動画又は作業状態データ12aを受信してもよい。
【0068】
入力部10eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルを含んでよい。
【0069】
表示部10fは、CPU10aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されてよい。
【0070】
技能評価プログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部10dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。技能評価装置10では、CPU10aが動作分析プログラムを実行することにより、
図4を用いて説明した取得部11、抽出部13、算出部14及び出力部15の動作が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、技能評価装置10は、CPU10aとRAM10bやROM10cが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
【0071】
§3 動作例
[入力動作]
図6~7を参照し、本実施形態に係る技能評価装置10に対する時間範囲情報及び評価単位情報の入力動作の一例を説明する。
【0072】
図6は、本実施形態に係る表示部10fに表示される入力画面の一例を示す図である。
図6に示される入力画面では、所定の部位毎(ここでは、右手及び左手の各々)の作業状態データ12aが時間軸上に表示される。ユーザによる入力部10eの操作により、時間軸上に表示された作業状態データ12aから任意の時間範囲が選択される。ユーザによる入力部10eの操作により時間範囲選択ボタンが押下されると、取得部11は、選択された任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得してもよい。
【0073】
また、表示部10fに表示される入力画面では、作業者Aの技能の評価単位を選択又は入力するための情報(例えば、プルダウンメニュー、チェックボックスなど)が表示されてもよい。例えば、
図6に示す入力画面では、評価単位として、特定の製品(例えば、製品1~3の少なくとも一つなど)、特定の部品(例えば、部品1~7の少なくとも一つなど)、又は、特定の作業(例えば、把持、収納、運搬、調整、検査等の少なくとも一つなど)を選択可能なプルダウンメニューが表示される。取得部11は、選択又は入力される評価単位を示す評価単位情報を取得してもよい。
【0074】
抽出部13は、取得部11により取得される時間範囲情報及び評価単位情報に基づいて、作業状態データ12aから抽出される特定の時間範囲のデータを決定してもよい。具体的には、抽出部13は、当該時間範囲情報が示す時間範囲と少なくとも一部が重複するとともに評価単位情報が示す評価単位に関する特定の時間範囲のデータを、作業状態データ12aから抽出してもよい。
【0075】
例えば、
図6では、タイミングT1からタイミングT2までの製品1に関する時間範囲R0の代わりに、タイミングT1より後のタイミングT1’からタイミングT2よりタイミングT2’までの時間範囲が、任意の時間範囲として、ユーザによる入力部10eの操作により選択される。また、評価単位として製品1が選択される。
【0076】
この場合、抽出部13は、時間範囲情報が示すタイミングT1’からタイミングT2’が示す時間範囲内で、評価単位情報が示す製品1に関しないタイミングT2からタイミングT2’までの時間範囲のデータを除外して、タイミングT1’からタイミングT2までの時間範囲のデータを作業状態データ12aから抽出してもよい。また、抽出部13は、タイミングT1’からタイミングT2’が示す時間範囲に隣接する所定期間(例えば、一分)で、かつ、製品1に関するタイミングT1からタイミングT1’までの時間範囲のデータを、タイミングT1’からタイミングT2までの時間範囲のデータとともに抽出してもよい。このように、抽出部13は、評価単位情報が示す製品1に関する時間範囲R0のデータを抽出できる。
【0077】
本実施形態に係る技能評価装置10によれば、ユーザによる入力部10eの操作により任意の時間範囲が選択される場合に、選択された時間範囲(例えば、
図6のタイミングT1’からタイミングT2’が示す時間範囲)を評価単位に一致する時間範囲(例えば、
図6の時間範囲R0)に調整できる。このため、入力部10eの操作ミスによる作業者Aの技能の評価精度の低下を防止できる。
【0078】
図7は、本実施形態に係る表示部10fに表示される入力画面の他の例を示す図である。
図7に示される入力画面では、所定の部位毎の作業状態データ12aが時間軸上に表示されない点で、
図6と異なる。
【0079】
図7に示される入力画面では、任意の時間範囲を選択又は入力するための情報(例えば、プルダウンメニュー、チェックボックスなど)が表示されてもよい。例えば、
図7では、ユーザによる入力部10eの操作により、特定の年、特定の月、特定の週、特定の日、又は特定の時間帯が任意の時間範囲として選択又は入力される。当該特定の年、月、週、日又は時間帯は、ユーザによる入力部10eの操作により選択又は入力されてもよい。取得部11は、選択又は入力された時間範囲を示す時間範囲情報を取得してもよい。
【0080】
図7における入力画面では、
図6と同様に、ユーザによる入力部10eの操作により、特定の製品、特定の部品又は特定の作業が評価単位として選択又は入力される。取得部11は、選択又は入力される評価単位を示す評価単位情報を取得してもよい。
【0081】
例えば、
図7では、ユーザによる入力部10eの操作により、「午前中」が選択される。また、評価単位として製品1が選択される。取得部11は、「午前中」を示す時間範囲情報と「製品1」を示す評価単位情報とを取得する。この場合、抽出部13は、作業状態データ12aから「午前中」かつ「製品1」に関するデータを特定の時間範囲のデータとして抽出してもよい。
【0082】
このように、本実施形態に係る技能評価装置10によれば、作業状態データ12aを表示部10fに表示せずとも、作業者Aの技能の評価対象となる特定の時間範囲のデータを適切に決定できる。
【0083】
[出力動作]
次に、
図8~13を参照し、特定の時間範囲のデータに基づいて算出される指標を示す指標情報の出力動作について説明する。
図8(a)~13(a)では、
図6に示される入力画面において任意の時間範囲が選択されるものとするが、当該任意の時間範囲は、
図7で説明したように、表示部10fに表示される作業状態データ12aに基づかずに選択されてもよい。
【0084】
また、
図8(b)~13(b)に示される評価項目は例示にすぎず、図示するものに限られない。また、
図8(b)~13(b)では、各評価項目についての指標値を示す指標情報がレーダーチャートとして出力されるものとするが、指標情報の出力形態はレーダーチャートに限られない。また、
図8(b)~13(b)では、作業者Aの各指標値だけでなく熟練者の各指標値も表示されるが、これに限られず、対象となる作業者Aの各指標値だけが表示されてもよい。
【0085】
図8(a)は、入力画面においてタイミングT1からタイミングTn+1(n>1)までの時間範囲R1が選択され、かつ、評価単位として「選択なし(すなわち、時間範囲の全てが対象)」が選択される場合の一例を示す。この場合、取得部11は、時間範囲情報を取得する一方で、評価単位情報を取得しなくともよい。
図8(a)に示す場合、抽出部13は、時間範囲情報が示す時間範囲R1のデータを、作業状態データ12aから抽出してもよい。
【0086】
図8(b)では、上記時間範囲R1のデータに基づいて算出される一以上の評価項目(ここでは、無駄のなさ、把持、運搬、調整、検査、並列作業、手のリズム)の指標値を示すレーダーチャートが示される。
【0087】
図9(a)は、入力画面においてタイミングT1’からタイミングT2’までの時間範囲が選択され、かつ、評価単位として「製品1」が選択される場合の一例を示す。抽出部13は、時間範囲情報が示すタイミングT1’からタイミングT2’までの時間範囲と少なくとも一部が重複する時間範囲R2のデータを、「製品1」を示す評価単位情報に基づいて決定して、作業状態データ12aから抽出してもよい。例えば、
図9(a)では、「製品1」に関しないタイミングT2からタイミングT2’の時間範囲のデータが除外され、時間範囲情報が示す時間範囲に隣接する所定期間内で「製品1」に関するタイミングT1からタイミングT1’までの時間範囲のデータが追加される。これにより、抽出部13は、「製品1」に関するタイミングT1からタイミングT2までの時間範囲R2のデータを抽出してもよい。
【0088】
図9(b)では、上記時間範囲R2のデータに基づいて算出される一以上の評価項目(ここでは、無駄のなさ、把持、運搬、調整、検査、並列作業、手のリズム)の指標値を示すレーダーチャートが示される。例えば、
図9(b)に示される製品1に関する時間範囲R2の「手のリズム」の指標値は、
図8(b)に示される時間範囲R1と比べて向上している。したがって、作業者Aは、製品1に関する作業を他の製品よりもリズムよく実施していると判断できる。
【0089】
図10(a)では、入力画面においてタイミングT1’からタイミングT2’までの時間範囲に加えて、タイミングTn’からタイミングTn+1’までの時間範囲が選択され、かつ、評価単位として「製品1」が選択される場合の一例を示す。このように、入力画面では、複数の時間範囲が選択されてもよい。
【0090】
図10(a)において、抽出部13は、
図9(a)で説明したように、「製品1」を示す評価単位情報に基づいて決定される時間範囲R2のデータを作業状態データ12aから抽出する。また、抽出部13は、時間範囲情報が示すタイミングTn’からタイミングTn+1’までの時間範囲と少なくとも一部が重複する時間範囲R3のデータを、当該評価単位情報に基づいて決定して、作業状態データ12aから抽出してもよい。
【0091】
例えば、
図10(a)では、抽出部13は、タイミングTn’からタイミングTn+1’までの時間範囲に隣接する所定期間(ここでは、前後に隣接する所定期間)内で、「製品1」に関するタイミングTnからタイミングTn’までの時間範囲及びタイミングTn+1’からタイミングTn+1までの時間範囲のデータを、タイミングTn’からタイミングTn+1’までの時間範囲のデータに加えて抽出する。すなわち、抽出部13は、「製品1」に対応する時間範囲R3のデータを抽出する。
【0092】
図10(b)では、上記時間範囲R2及びR3それぞれのデータに基づいて算出される一以上の評価項目(ここでは、無駄のなさ、把持、運搬、調整、検査、並列作業、手のリズム)の指標値を示すレーダーチャートが示される。時間方向に離散した複数の時間範囲のデータが抽出される場合、出力部15は、複数の時間範囲それぞれに対応するレーダーチャートを出力してもよい。例えば、
図10(b)では、時間範囲R3における「手のリズム」、「運搬」、「調整」それぞれの指標値が、時間範囲R2と比べて向上している。これにより、同一製品についての作業者Aの時間変化を評価できる。
【0093】
なお、
図10(b)では、同一の製品に対応する複数の時間範囲それぞれの指標情報を出力する例を示すが、これに限られない。図示しないが、異なる製品に対応する複数の時間範囲それぞれの指標情報が出力されてもよい。これにより、作業者Aについての製品間の技能の差(例えば、得意な製品、不得意な製品など)を評価できる。
【0094】
図11(a)は、入力画面においてタイミングT14からタイミングT15までの時間範囲が選択され、かつ、評価単位として「部品6」が選択される場合の一例を示す。抽出部13は、時間範囲情報が示すタイミングT14からタイミングT15までの時間範囲と少なくとも一部が重複する時間範囲R4のデータを、「部品6」を示す評価単位情報に基づいて決定して、作業状態データ12aから抽出してもよい。
【0095】
なお、図示しないが、評価単位として特定の部品が選択される場合にも、特定の部品(例えば、部品6)を示す評価単位情報に基づいて、時間範囲情報が示す時間範囲内で当該特定の部品に関しないデータが、作業状態データ12aから抽出される特定の時間範囲のデータから除外されてもよい。同様に、当該時間範囲に隣接する所定期間内で当該特定の部品に関するデータが、作業状態データ12aから抽出される特定の時間範囲のデータに追加されてもよい。
【0096】
図11(b)では、上記時間範囲R4のデータに基づいて算出される一以上の評価項目(ここでは、無駄のなさ、把持、運搬、調整、手のリズム)の指標値を示すレーダーチャートが示される。なお、算出部14は、評価単位情報に基づいて指標値を算出する評価項目の種類を制御してもよい。例えば、評価単位が特定の製品(例えば、製品1)である場合、
図9(b)に示すように、検査、並列作業の評価項目を含むのに対して、評価単位が特定の部品(例えば、部品6)である場合、
図11(b)に示すように、検査、並列作業の評価項目を含まなくともよい。
【0097】
図12(a)は、入力画面において任意の時間範囲が選択され、かつ、評価単位として複数の部品(ここでは、「部品6」及び「部品3」)が選択される場合の一例を示す。抽出部13は、時間範囲情報が示す時間範囲と少なくとも一部が重複する複数の時間範囲R4及びR5のデータを、「部品6」及び「部品3」を示す評価単位情報に基づいて決定して、作業状態データ12aから抽出してもよい。
【0098】
図12(b)では、複数の時間範囲R4、R5のデータに基づいて算出される一以上の評価項目(ここでは、無駄のなさ、把持、運搬、調整、手のリズム)の指標値をそれぞれ示す複数のレーダーチャートが示される。
図12(b)に示すように、異なる部品に対応する複数の時間範囲それぞれの指標情報を出力することにより、作業者Aについての部品間の技能の差(例えば、得意な製品、不得意な製品など)を評価できる。
【0099】
なお、
図12(b)では、異なる部品に対応する複数の時間範囲それぞれの指標情報を出力する例を示すが、これに限られない。同一の部品に対応する複数の時間範囲それぞれの指標情報が出力されてもよい。これにより、作業者Aについての同一の部品についての技能の時間変化を評価できる。
【0100】
図13(a)は、入力画面において任意の時間範囲が選択され、評価単位として特定の作業(ここでは、「調整」)が選択される場合の一例が示される。
図13(a)では、抽出部13は、時間範囲情報が示す時間範囲と少なくとも一部が重複する時間範囲R6のデータを、評価単位情報が示す「調整」に基づいて、作業状態データ12aから抽出してもよい。
【0101】
なお、図示しないが、評価単位として特定の作業が選択される場合にも、特定の作業(例えば、調整)を示す評価単位情報に基づいて、時間範囲情報が示す時間範囲内で当該特定の作業に関しないデータが、作業状態データ12aから抽出される特定の時間範囲のデータから除外されてもよい。同様に、当該時間範囲に隣接する所定期間内で当該特定の作業に関するデータが、作業状態データ12aから抽出される特定の時間範囲のデータに追加されてもよい。
【0102】
図13(b)では、上記時間範囲R6のデータに基づいて算出される一以上の評価項目(ここでは、無駄のなさ、調整、手のリズム)の指標値を示すレーダーチャートが示される。
図13(b)に示すように、評価単位が特定の作業(例えば、調整)である場合、他の作業(例えば、運搬、検査、収納、把持等)についての評価項目を含まなくともよい。
【0103】
なお、
図13(b)では、評価単位として選択される特定の作業が「調整」である場合を例示するが、出力部15は、他の作業(例えば、「把持」、「運搬」、「収納」、「検査」等)を評価単位として選択する場合も同様に、各指標値を示す指標情報(例えば、レーダーチャート)を出力できる。
【0104】
また、出力部15は、異なる作業に対応する複数の時間範囲のデータに基づいて算出される各指標値を示す複数の指標情報を出力してもよい。これにより、作業者Aについての作業間の技能の差(例えば、得意な作業、不得意な作業など)を評価できる。また、出力部15は、同一の作業に対応する複数の時間範囲のデータに基づいて算出される各指標値を示す複数の指標情報を出力してもよい。これにより、作業者Aについての同一の作業間の技能の時間変化を評価できる。
【0105】
[算出動作]
次に、
図14及び15を参照し、各評価項目についての指標値の算出動作について説明する。以下では、第1~4の評価項目として、例えば、「無駄のなさ」、「特定の作業」、「並列作業」、「手のリズム」の指標値の算出例を例示する。
【0106】
<無駄のなさ>
図14は、本実施形態に係る「無駄のなさ」の指標の算出の一例を説明する図である。
図14に示すように、「無駄のなさ」の指標値は、作業状態データ12aからデータが抽出される特定の時間範囲における無駄時間に基づいて算出されてもよい。例えば、
図14では、上記特定の時間範囲が製品1に関する時間範囲TP1であり、当該時間範囲TP1内の無作業時間は、部品4における無作業時間TW1と、部品6における無作業時間TW2との合計時間である。このため、時間範囲TP1内の無駄時間は、当該合計時間と時間範囲TP1に基づいて決定されてもよい。例えば、当該無駄時間は、以下の式(1)により算出されてもよい。
(式1)
時間範囲TP1内の無駄時間 =
(無作業時間TW1+無作業時間TW2)/時間範囲TP1内の総時間
【0107】
また、i番目の時間範囲TPi(例えば、
図14では、i=1~n)内の無駄時間をWt(i)とすると、全体時間(例えば、一日)内の無駄時間は、n個の時間範囲内における無作業時間の合計時間と、n個の時間範囲の合計時間とに基づいて決定されてもよい。例えば、全体時間内の無駄時間は、以下の式(2)により算出されてもよい。
【数1】
【0108】
算出部14は、以上のように算出される無駄時間に基づく指標を出力部15に出力してもよい。例えば、算出部14は、算出される無駄時間を所定段階(例えば、
図8(b)~13(b)のレーダーチャートの場合、10段階)の指標値に変換して、変換された指標値を示す指標情報を出力部15に出力してもよい。
【0109】
<特定の作業>
算出部14は、上記第1の値(例えば、「手順の正しさ」に関する値C)、第2の値(例えば、「合計時間」に関する値T)、第3の値(例えば、「時間バラつき」に関する値V)に基づいて、第2の評価項目(例えば、把持、運搬、調整又は検査などの特定の作業)についての指標値(例えば、指標値E)を算出してもよい。
【0110】
ここで、「手順の正しさ」に関する値Cは、上記特定の時間範囲内で予め定められた手順と順番が一致する手順の数である「手順の一致数」に基づいて算出されてもよい。例えば、上記値Cは、下記式(3)を用いて算出されてもよい。
(式3)
C=(手順の一致数)/(手順の数)
【0111】
「合計時間」に関する値Tは、上記特定の時間範囲内で当該特定の作業を実施する時間である実施時間の合計に基づいて算出されてもよい。具体的には、当該実施時間の合計と各手順における当該特定の作業の実施の基準となる基準時間の合計とに基づいて、例えば、下記式(4)を用いて算出されてもよい。
(式4)
T=(実施時間の合計)/(基準時間の合計)
【0112】
「時間バラつき」に関する値Vは、上記基準時間の合計と、上記実施時間の合計と、上記手順の数と、に基づいて算出されてもよい。例えば、特定の時間範囲内の手順の数がmであり、j番目の手順の基準時間をRt(j)、j番目の手順の実施時間をPt(j)とすると、当該値Vは、下記式(5)を用いて算出されてもよい。
【数2】
【0113】
特定の作業の指標値Eは、「手順の正しさ」に関する値C、「合計時間」に関する値T、及び、「時間バラつき」に関する値Vに基づいて算出されてもよい。例えば、当該指標値Eは、下記式(6)を用いて算出されてもよい。なお、式(6)において、a1、a2、a3は、所定の重み係数であり、0以上1以下の値であってもよい。
(式6)
E=a1*C+a2*T+a3*V
【0114】
なお、上記指標値Eの算出例は、例示にすぎず、これらに限られない。例えば、指標値Eは、上記値C、T、Vの少なくとも一つの算出に用いられるパラメータ(例えば、手順の一致数、手順の数、実施時間の合計、基準時間の合計、各手順の基準時間、各手順の実施時間の少なくとも一つ)に基づいていれば、必ずしも、値C、T、Vに基づいていなくともよい。
【0115】
図15は、本実施形態に係る各作業の指標の算出の一例を説明する図である。なお、
図15では、特定の時間範囲のデータが
図14の製品1に関する時間範囲TP1である場合に、当該特定の時間範囲における「運搬」作業の指標値Eが算出されるものとする。
【0116】
なお、指標値Eの算出は、(1)当該特定の時間範囲内における手順が予め定められること、(2)当該特定の時間範囲で用いられる製品又は部品が既知であること、(3)各手順の基準時間が予め定められること、を前提としてもよい。記憶部12は、特定の時間範囲内における各手順と、各手順における基準時間を予め記憶していてもよい。
【0117】
図15に示すように、例えば、製品1に関する時間範囲TP1(
図14参照)では、部品1→部品2→部品3→部品4→部品5→部品6→部品7の順番に作業することが手順として定められている。また、各手順に関連づけて各手順の基準時間が定められている。ここで、
図15では、製品1について実際に実施された手順は、部品1→部品2→部品4→部品3→部品5→部品6→部品7である。このように、
図15において、部品3と部品4の実施手順が正しい手順とは逆になっている。このため、「手順の正しさ」に関する値Cは、例えば、上記式(3)を用いる場合、C=(手順の一致数)/手順の数=5/7≒0.71となる。
【0118】
また、
図15において、部品1~7の基準時間の合計は、0.4+0.3+0.4+0.5+0.4+0.5+0.3=2.8である。また、部品1~7の実施時間の合計は、0.3+0.2+0.5+0.3+0.3+0.4+0.3=2.3である。このため、「合計時間」に関する値Tは、例えば、上記式(4)を用いる場合、T=(実施時間の合計)/基準時間の合計=2.8/2.3=1.22である。
【0119】
また、「時間バラつき」に関する値Vは、例えば、上記式(5)を用いる場合、分子は、7つの手順の(基準時間/実施時間)の合計値であり、(0.4/0.3)+(0.3/0.2)+…+(0.5/0.4)+(0.3/0.3)≒8.88である。一方、分母は、手順数=7である。よって、V=8.88/7≒1.27である。
【0120】
また、「運搬」作業の指標値Eは、例えば、上記式(6)を用いる場合、所定の係数a1、a2、a3を1/3とすると、E=a1*C+a2*T+a3*V=(1/3*0.71)+(1/3*1.22)+(1/3*1.27)≒1.07となる。なお、
図15では、「運搬」作業の指標値Eについて説明したが、「収納」、「調整」、「把持」、「検査」等の他の作業についても同様に指標値を算出することができる。
【0121】
<並列作業>
算出部14は、上記特定の時間範囲のデータに基づいて決定される並列時間に基づいて、第3の評価項目(例えば、並列作業)についての指標値を算出してもよい。ここで、並列時間とは、作業者Aの異なる部位(例えば、右手及び左手)が同時に異なる作業状態となる時間である。例えば、
図14では、上記特定の時間範囲が製品1に関する時間範囲TP1である。
図14において、上記並列時間は、右手で把持作業を行う一方で、左手で運搬作業を行う時間範囲P1であってもよい。
【0122】
なお、当該指標値は、特定の時間範囲TP1全体に対する上記並列時間の割合に基づいて算出されてもよい。例えば、
図14において、当該並列時間の割合は、上記時間範囲P1の時間/上記時間範囲TP1の全体時間で示されてもよい。
【0123】
<手のリズム>
算出部14は、上記特定の時間範囲のデータに基づいて決定される繰り返し作業の実施時間に基づいて、第4の評価項目(例えば、手のリズム)についての指標値を算出してもよい。ここで、繰り返し作業とは、同一の製品、同一の部品、又は、同一の作業を複数回にわたって行うことであってもよい。例えば、算出部14は、
図14において、特定の時間範囲TP1内の特定の作業の実施時間及び基準時間、当該特定の作業の回数に基づいて、当該特定の作業を行う手のリズムについての指標値を算出してもよい。
【0124】
[技能評価動作]
図16は、本実施形態に係る技能評価システム100により実行される技能評価処理の
フローチャートである。はじめに、技能評価システム100は、入力画面(例えば、
図5、6)を表示部10fに表示する(S10)。
【0125】
技能評価システム100は、ユーザによる入力部10eの操作により選択又は入力される任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得する(S11)。また、ステップS11において、技能評価システム100は、ユーザによる入力部10eの操作により選択又は入力される評価単位を示す評価単位情報を取得してもよい。
【0126】
技能評価システム100は、ステップS11において取得された時間範囲情報に基づいて決定される特定の時間範囲のデータを作業状態データ12aから抽出する(S12)。また、ステップS12において、技能評価システム100は、ステップS12において取得された評価単位情報が示す評価単位に基づいて、当該時間範囲情報が示す時間範囲と少なくとも一部が重複する特定の時間範囲を決定し、特定の時間範囲のデータを作業状態データ12aから抽出してもよい。
【0127】
技能評価システム100は、ステップS12で抽出された特定の時間範囲のデータに基づいて、一以上の評価項目についての指標値を算出してもよい(S13)。技能評価システム100は、当該指標値を示す指標情報(例えば、
図8(b)~13(b))を表示部10fに出力してもよい(S14)。以上により、技能評価処理が終了する。
【0128】
以上のように、本実施形態では、製造ラインにおける作業者Aの技能評価処理について説明したが、本実施形態は、スポーツ、技芸、日常動作を行う人間の技能の評価等にも適宜適用可能である。
【0129】
本発明の実施形態は、以下の付記のようにも記載され得る。ただし、本発明の実施形態
は、以下の付記に記載した形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、付記間の記
載を置換したり、組み合わせたりした形態であってもよい。
【0130】
[付記1]
任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得する取得部(11)と、
作業者の作業状態を時系列に示す作業状態データの中から、前記時間範囲情報に基づいて決定される特定の時間範囲のデータを抽出する抽出部(13)と、
前記特定の時間範囲のデータに基づいて、一以上の評価項目についての前記作業者の技能の指標値を算出する算出部(14)と、前記指標値を示す指標情報を出力する出力部(15)と、
を備える技能評価装置(10)。
【0131】
[付記2]
前記取得部(11)は、前記技能の評価単位を示す評価単位情報を取得し、
前記抽出部(13)は、前記評価単位情報に基づいて、前記時間範囲情報が示す前記任意の時間範囲と少なくとも一部が重複する前記特定の時間範囲のデータを決定する付記1に記載の技能評価装置(10)。
【0132】
[付記3]
前記抽出部(13)は、当該時間範囲情報が示す前記任意の時間範囲内で、かつ、上記評価単位に関しないデータを除外したデータを、前記特定の時間範囲のデータとして決定する、
付記2に記載の技能評価装置(10)。
【0133】
[付記4]
前記抽出部(13)は、当該時間範囲情報が示す前記任意の時間範囲に隣接する所定期間内で、かつ、前記評価単位に関するデータを、前記特定の時間範囲のデータとして決定する、
付記2又は付記3に記載の技能評価装置(10)。
【0134】
[付記5]
前記抽出部(13)は、当該時間範囲情報が示す前記任意の時間範囲内で、かつ、前記評価単位に関するデータを、前記特定の時間範囲のデータとして決定する、
付記2から付記4のいずれかに記載の技能評価装置(10)。
【0135】
[付記6]
前記作業状態データを表示する表示部(10f)と、を更に具備し、
前記取得部(11)は、前記表示部に表示された前記作業状態データに基づいて、入力部から入力される前記時間範囲情報を取得する、
付記1から付記5のいずれかに記載の技能評価装置(10)。
【0136】
[付記7]
前記表示部(10f)は、前記作業者の右手と左手のそれぞれについて前記作業状態データを表示する、
付記6に記載の技能評価装置(10)。
【0137】
[付記8]
任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得することと、
作業者の作業状態を時系列に示す作業状態データの中から、前記時間範囲情報に基づいて決定される特定の時間範囲のデータを抽出することと、
前記特定の時間範囲のデータに基づいて、一以上の評価項目についての前記作業者の技能の指標値を算出することと、
前記指標値を示す指標情報を出力することと、
を含む技能評価方法。
【0138】
[付記9]
技能評価装置に備えられた演算部を、
任意の時間範囲を示す時間範囲情報を取得する取得部、
作業者の作業状態を時系列に示す作業状態データの中から、前記時間範囲情報に基づいて決定される特定の時間範囲のデータを抽出する抽出部、
前記特定の時間範囲のデータに基づいて、一以上の評価項目についての前記作業者の技能の指標値を算出する算出部、
前記指標値を示す指標情報を出力する出力部、
として機能させる技能評価プログラム。
【符号の説明】
【0139】
10…技能評価装置、10a…CPU、10b…RAM、10c…ROM、10d…通信部、10e…入力部、10f…表示部、11…取得部、12…記憶部、12a…作業状態データ、13…抽出部、14…算出部、15…出力部、20…撮影部、R…作業領域、P1、R0~R6、TP1~TP3、TPn…時間範囲、T1~T4、Tn、Tn+1…製品間のタイミング、T11~T15…部品間のタイミング