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特許7393724情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07C 9/29 20200101AFI20231130BHJP
   G07C 9/27 20200101ALI20231130BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G07C9/29
G07C9/27
E05B49/00 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020553936
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2019042373
(87)【国際公開番号】W WO2020090815
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2018205060
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 康治
(72)【発明者】
【氏名】生田 伸行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 肇
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-145601(JP,A)
【文献】特開2014-232357(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108537479(CN,A)
【文献】特開2016-044402(JP,A)
【文献】特開2005-207157(JP,A)
【文献】特開2005-120579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/00- 9/38
E05B 49/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信により利用者端末との接続を確立する接続部と、
前記利用者端末が管理対象区域への入場要求用の画像を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得する取得部と、
前記端末識別情報に基づいて、前記利用者端末を携帯する利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、前記端末識別情報が前記管理対象区域において特定の物品に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域への入場を許可し、
前記取得部は、前記利用者端末が前記物品に付された記録媒体を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された物品識別情報を取得し、
前記判定部は、前記物品識別情報が前記端末識別情報に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域からの退場を許可する、情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記利用者が前記管理対象区域に入場している間、前記利用者以外の前記管理対象区域への入場を拒否する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記管理対象区域への入場が許可された前記利用者に関連付けられた前記利用者端末に前記管理対象区域における前記物品の保管場所を通知する通知部、
をさらに備える請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記利用者の前記管理対象区域内における滞在時間が所定時間を超えた場合に、アラート情報を出力する出力部、
をさらに備える請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記管理対象区域への入場の権限を有する前記利用者に関連付けられた前記端末識別情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記記憶部に記憶された前記端末識別情報と前記取得部で取得された前記端末識別情報とが一致する場合に、前記利用者の前記管理対象区域への入場を許可する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記管理対象区域に対応する鍵情報を前記端末識別情報に関連付けて記憶し、
前記取得部は、前記利用者端末から前記端末識別情報及び前記鍵情報を取得し、
前記判定部は、前記端末識別情報及び前記鍵情報に基づいて前記利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記利用者が前記管理対象区域から退場した場合に、前記記憶部から前記鍵情報を削除する削除部、
をさらに備える請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが、無線通信により利用者端末との接続を確立するステップと、
前記コンピュータが、前記利用者端末が管理対象区域への入場要求用の画像を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得するステップと、
前記コンピュータが、前記端末識別情報に基づいて、前記利用者端末を携帯する利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定するステップと、
を備え、
前記判定するステップでは、前記コンピュータが、前記端末識別情報が前記管理対象区域において特定の物品に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域への入場を許可し、
前記取得するステップでは、前記コンピュータが、前記利用者端末が前記物品に付された記録媒体を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された物品識別情報を取得し、
前記判定するステップでは、前記コンピュータが、前記物品識別情報が前記端末識別情報に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域からの退場を許可する、情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
無線通信により利用者端末との接続を確立するステップと、
前記利用者端末が管理対象区域への入場要求用の画像を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得するステップと、
前記端末識別情報に基づいて、前記利用者端末を携帯する利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定するステップと、
を実行させ、
前記判定するステップでは、前記端末識別情報が前記管理対象区域において特定の物品に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域への入場を許可し、
前記取得するステップでは、前記利用者端末が前記物品に付された記録媒体を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された物品識別情報を取得し、
前記判定するステップでは、前記物品識別情報が前記端末識別情報に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域からの退場を許可する、プログラム。
【請求項10】
管理対象区域への入場要求用の画像を読取る機能を有し、利用者が携帯する利用者端末と、
前記利用者端末と無線通信を行う情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記無線通信により前記利用者端末との接続を確立する接続部と、
前記画像を読取った前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得する取得部と、
前記端末識別情報に基づいて前記利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定する判定部と、
を有し、
前記判定部は、前記端末識別情報が前記管理対象区域において特定の物品に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域への入場を許可し、
前記取得部は、前記利用者端末が前記物品に付された記録媒体を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された物品識別情報を取得し、
前記判定部は、前記物品識別情報が前記端末識別情報に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域からの退場を許可する、情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、施設の出入口に設けられた扉の電気錠を制御する入退出制御装置と、施設の出入口やその近傍に設置された二次元バーコード等の標識装置と、施設の入退出情報を管理するサーバと、施設の利用者が携帯する利用者端末とから構成された入退出管理システムが開示されている。当該システムでは、利用者端末は、施設を特定する施設IDをサーバから受信して記憶装置に保存する。そして、利用者端末は、標識装置から読取った施設IDと保存されている施設IDとが一致する場合に、入退出制御装置に対して電気錠の解錠制御信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-44402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシステムでは、利用者端末が、自端末における認証処理の結果に基づいて、入退室制御装置に対して解錠制御信号を出力する。しかし、利用者端末は、システムの管理者ではなく、利用者により管理される端末である。このため、利用者端末側に解除制御信号の出力機能を備えるシステム構成には、セキュリティの観点から改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑み、管理対象区域への入場制御におけるセキュリティを確保できる情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、無線通信により利用者端末との接続を確立する接続部と、前記利用者端末が管理対象区域への入場要求用の画像を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得する取得部と、前記端末識別情報に基づいて、前記利用者端末を携帯する利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定する判定部と、を備え、前記判定部は、前記端末識別情報が前記管理対象区域において特定の物品に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域への入場を許可し、前記取得部は、前記利用者端末が前記物品に付された記録媒体を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された物品識別情報を取得し、前記判定部は、前記物品識別情報が前記端末識別情報に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域からの退場を許可する、情報処理装置が提供される。
【0007】
本発明の他の観点によれば、コンピュータが、無線通信により利用者端末との接続を確立するステップと、前記コンピュータが、前記利用者端末が管理対象区域への入場要求用の画像を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得するステップと、前記コンピュータが、前記端末識別情報に基づいて、前記利用者端末を携帯する利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定するステップと、を備え、前記判定するステップでは、前記コンピュータが、前記端末識別情報が前記管理対象区域において特定の物品に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域への入場を許可し、前記取得するステップでは、前記コンピュータが、前記利用者端末が前記物品に付された記録媒体を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された物品識別情報を取得し、前記判定するステップでは、前記コンピュータが、前記物品識別情報が前記端末識別情報に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域からの退場を許可する、情報処理方法が提供される。
【0008】
本発明のさらに他の観点によれば、コンピュータに、無線通信により利用者端末との接続を確立するステップと、前記利用者端末が管理対象区域への入場要求用の画像を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得するステップと、前記端末識別情報に基づいて、前記利用者端末を携帯する利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定するステップと、を実行させ、前記判定するステップでは、前記端末識別情報が前記管理対象区域において特定の物品に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域への入場を許可し、前記取得するステップでは、前記利用者端末が前記物品に付された記録媒体を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された物品識別情報を取得し、前記判定するステップでは、前記物品識別情報が前記端末識別情報に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域からの退場を許可する、プログラムが提供される。
【0009】
本発明のさらに他の観点によれば、管理対象区域への入場要求用の画像を読取る機能を有し、利用者が携帯する利用者端末と、前記利用者端末と無線通信を行う情報処理装置と、を備え、前記情報処理装置は、前記無線通信により前記利用者端末との接続を確立する接続部と、前記画像を読取った前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得する取得部と、前記端末識別情報に基づいて前記利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定する判定部と、を有し、前記判定部は、前記端末識別情報が前記管理対象区域において特定の物品に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域への入場を許可し、前記取得部は、前記利用者端末が前記物品に付された記録媒体を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された物品識別情報を取得し、前記判定部は、前記物品識別情報が前記端末識別情報に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域からの退場を許可する、情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、管理対象区域への入場制御におけるセキュリティを確保できる情報処理装置、情報処理方法、プログラム及び情報処理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態における引渡管理システムの概要を説明するための図である。
図2】第1実施形態における引渡管理システムの全体構成を示す模式図である。
図3】第1実施形態におけるエッジゲートウェイのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4】第1実施形態における保管室の平面図である。
図5】第1実施形態における棚の正面図である。
図6】第1実施形態における棚の一区画を拡大した拡大図である。
図7】第1実施形態における物品の受取確認方法を説明する図である。
図8】第1実施形態における管理サーバが記憶する管理情報の一例を示す図である。
図9】第1実施形態におけるエッジゲートウェイが記憶する許可情報の一例を示す図である。
図10】第1実施形態における物品配送処理の一例を示すシーケンスチャートである。
図11】第1実施形態における利用者端末に表示される画面の一例を示す図である。
図12】第1実施形態における物品引渡処理の一例を示すシーケンスチャートである。
図13】第1実施形態における利用者端末に表示される画面の一例を示す図である。
図14】第1実施形態における利用者端末に表示される画面の一例を示す図である。
図15】第1実施形態における利用者端末に表示される画面の一例を示す図である。
図16】第1実施形態における利用者端末に表示される画面の一例を示す図である。
図17】第1実施形態における認証処理の一例を示すフローチャートである。
図18】第1実施形態における入室処理の一例を示すフローチャートである。
図19】第1実施形態における引取確認処理の一例を示すフローチャートである。
図20】第1実施形態における退室処理の一例を示すフローチャートである。
図21】第2実施形態における入退室の制御処理の一例を示すシーケンスチャートである。
図22】第2実施形態における認証処理の一例を示すフローチャートである。
図23】第3実施形態における監視処理の一例を示すフローチャートである。
図24】第4実施形態における物品引渡処理の一例を示すシーケンスチャートである。
図25】第5実施形態における利用者端末を示すブロック図である。
図26】第6実施形態における情報処理装置を示すブロック図である。
図27】第7実施形態における情報処理システムを示すブロック図である。
図28】変形実施形態における保管室の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を説明する。図面において同様の要素又は対応する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化することがある。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態における引渡管理システム1の概要を説明するための図である。引渡管理システム1は、複数の物品200が保管された管理対象区域における物品引渡しを管理する情報処理システムである。以下、管理対象区域の一例として保管室10を例に挙げて説明する。保管室10は、コンテナ型の施設であって、コンビニなどの店舗の駐車場の一角に設置され得る。
【0014】
利用者は、ECサイトで物品200を購入する際に、物品200の受け取り方法として保管室10での受け取りを指定できる。保管室10での受け取りが指定された物品200は、ECサイトと提携している物流事業者によって保管室10に配送される。物品200の保管室10への配送が完了すると、その旨を示す電子メールなどのメッセージが事業者サーバ33から利用者端末21に送信される。事業者サーバ33は、物流事業者が運営するクラウドサーバである。利用者端末21は、スマートフォンなどの携帯情報端末である。
【0015】
利用者20は、利用者端末21で電子メールが受信されると、利用者端末21を携帯して保管室10に物品200を受け取りに行く。利用者端末21には、保管室10における入退室管理及び物品引渡確認を行うためのアプリケーション(以下、「専用アプリケーション」という。)がインストールされている。専用アプリケーションは、例えば事業者サーバ33からダウンロードされ得る。
【0016】
利用者20は、物品200を受け取りに行く際、利用者端末21の専用アプリケーションを起動する。なお、専用アプリケーションは、管理サーバ31などから所定の信号が受信されたときや物品200の受け取りの指定時刻に合わせて、自動的に起動されてもよい。
【0017】
利用者20が保管室10から一定距離(例えば、33m以内)まで接近すると、利用者端末21の専用アプリケーションは保管室10の中に設置されたエッジゲートウェイ(以下、「エッジGW」という。)101との近距離無線方式(例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fiなど)による無線通信を確立する。利用者20は、利用者端末21の専用アプリケーションの画面上で保管室10に対応する鍵番号を選択する。鍵番号は、各保管室10に対して利用者20が事前に設定登録したコードである。鍵番号の登録方法については、後述する。
【0018】
そして、利用者20は、保管室10の入口前に到着すると、利用者端末21のカメラ機能を用いて、保管室10のドア11の近傍に貼り付けられた鍵穴シール12の画像を読取る。鍵穴シール12は、保管室10を示す標識部材であるが、シール以外の部材でもよい。本実施形態における画像には、専用アプリケーションに対する認証要求処理の起動コードが記録されている。すなわち、当該画像は、エッジGW101に対する保管室(管理対象区域)10への入場要求用の画像である。また、図1の例では、画像が二次元バーコードであるが、画像の種類はこれに限られない。画像は、専用アプリケーションにおいて管理対象領域の近傍に存在する特定の標識として検知される画像であればよい。画像は、例えば、一次元バーコードや図形などでもよい。また、本実施形態の鍵穴シール12の画像には、保管室10の識別情報は記録されていないものとする。これにより、例えば、ある店舗に複数の保管室10が併設されている場合でも、各保管室10において共通の鍵穴シール12を使用できる。
【0019】
また、利用者端末21は、鍵穴シール12の画像(起動コード)の読取完了をトリガーとして、エッジGW101に対して鍵番号と端末識別情報を含む認証情報を送信し、利用者20の認証要求を行う。そして、エッジGW101が利用者20を認証すると、エッジGW101はドア11を解錠する。これにより、利用者は保管室10への入室が可能となる。
【0020】
利用者20が保管室10に入ると、物品200の不正持ち出しを抑止するために、ドア11は一旦施錠される。また、ドア11の開放状態が一定時間以上で継続する場合には、音声などによって注意喚起がなされるとよい。利用者20は、棚13に保管されている物品200の中から、入室時に利用者端末21に通知された案内メールや室内での音声案内に従って自分が受取人である物品200(以下、「対象物品」という。)を取り出す。
【0021】
エッジGW101は、利用者20が保管室10の中で対象物品を受け取ったことを確認すると、利用者20の退室を許可する。ここで、「許可する」とは、ドア11の解錠信号(遮断機のような通行制限装置(不図示)の場合には、バーの駆動制御信号)を出力することをいう。これにより、ドア11が解錠可能となる。利用者20は、ドア11が解錠されると、対象物品を持って保管室10から退室する。
【0022】
図2は、本実施形態における引渡管理システム1の全体構成を示す模式図である。引渡管理システム1は、エッジGW101、退室ボタン102、電気錠103、電話機104、ライブカメラ105、棚カメラ106、ハブ107、音声端末108、ディスプレイ109、ルータ110を備える。エッジGW101、退室ボタン102、電話機104、ライブカメラ105、棚カメラ106、ハブ107、音声端末108、ディスプレイ109、ルータ110は、保管室10内に設置されている。電気錠103は、保管室10の入口及び出口であるドア11に一体的に設置されている。また、保管室10内には、複数の物品200を配置するための棚13が設置されている。
【0023】
エッジGW101は、保管室10において引渡管理システム1を統括的に制御するコンピュータ装置である。エッジGW101には、保管室10に対して入室を許可する利用者20に関する情報(以下、「許可情報」という。)が事前に登録される。具体的には、購入した物品200が保管室10内に保管中の利用者20に関連付けされた利用者端末21の識別情報などが登録される。エッジGW101は、利用者端末21から受信した認証要求に含まれる情報と許可情報とを照合することにより利用者20の認証を行う。エッジGW101は、利用者20を認証すると、電気錠103に解錠信号を出力する。また、エッジGW101は、ライブカメラ105、棚カメラ106からデータを収集するとともに、収集されたデータの加工、分析などを行う。収集されたデータは、ルータ110を介してエッジGW101から管理サーバ31に送信される。エッジGW101は、音声端末108やディスプレイ109を介して各種の情報を利用者20に伝達することもできる。なお、利用者端末21の利用者20に予め関連付けできる物品200は、保管中の購入物品に限られず、特定の物品200を関連付けることができる。
【0024】
退室ボタン102は、入室中の利用者20が保管室10から退室する際に使用するボタンである。退室ボタン102が押下されると、エッジGW101は電気錠103に対して解錠信号を出力する。なお、本実施形態の退室ボタン102は、エッジGW101において退室が許可された場合に使用可能な状態になるものとする。
【0025】
電気錠103は、例えばソレノイドなどのアクチュエータと、アクチュエータにより可動するデッドボルト(かんぬき)、開閉センサなどから構成される。電気錠103は、エッジGW101からの解錠信号に応じてデッドボルトの位置を移動させることにより、ドア11を開閉可能にする。また、電気錠103は、開閉センサ(不図示)からの信号により、ドア11の開閉を検出することもできる。なお、電気錠103は、常時施錠されており、利用者20がエッジGW101によって認証された際にのみ解錠され得る。
【0026】
電話機104は、利用者20が緊急時などにオペレータと通話するための直通電話である。また、上述した退室ボタン102がアクティブ状態でないときに複数回押下された場合、オペレータから電話機104に対して架電が行われるとよい。
【0027】
ライブカメラ105は、監視用のネットワークカメラであって、入室した利用者20の行動を動画撮影するために用いられる。ライブカメラ105は、ハブ107を介してエッジGW101と接続され、撮像された画像データ(ライブ画像)は、エッジGW101に保存される。画像データは、改竄を防止するために所定のファイル形式で保存され得る。
【0028】
棚カメラ106は、棚確認用のネットワークカメラであって、棚13全体を撮像し、棚13に収納された物品200の配置を検出するために用いられる。棚カメラ106は、ハブ107を介してエッジGW101と接続され、撮像された画像データ(棚画像)は、エッジGW101に保存される。棚カメラ106は、例えば100度以上の広画角を持ち、棚13全体を1フレーム内に収めることができる。また、棚カメラ106は、例えば1920×1080画素のフルHD(High Definition)画像を撮像可能であり、棚13及び物品200に付された情報(棚ラベル、伝票など)を高画質で記録できる。
【0029】
ハブ107は、例えばイーサネット(登録商標)などの通信規格に基づくインターフェースユニットであって、エッジGW101と、ライブカメラ105、棚カメラ106との間を相互に接続する。
【0030】
音声端末108は、例えばスピーカであって、保管室10に入室した利用者に対して音声で案内を行うために用いられる。音声端末108は、エッジGW101と接続され、エッジGW101からの音声データに応じた音声を出力する。音声端末108は、スピーカの他、音声によるコミュニケーションが可能なロボット型の装置であってもよい。
【0031】
ディスプレイ109は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであって、保管室10に入室した利用者に対して画像で案内を行うために用いられる。ディスプレイ109は、エッジGW101と接続され、エッジGW101からの画像データに応じて表示を行う。例えば、ディスプレイ109には、棚13における物品200の位置がアニメーション表示される。ディスプレイ109は、音声端末108と連携して案内を行うように構成されてもよい。また、ディスプレイ109は、タッチパネルであってもよく、利用者20によるタッチ入力を受け付けることも可能である。
【0032】
ルータ110は、3G(3rd Generation)/LTE(Long Term Evolution)モジュール、無線LAN(Local Area Network)などを備え、ネットワーク40を介して管理サーバ31との接続を確立するとともに、エッジGW101と管理サーバ31との間のデータ通信を制御する。ルータ110は、有線によりネットワーク40に接続するものであってもよく、また、エッジGW101に内蔵されていてもよい。
【0033】
管理サーバ31は、いわゆるクラウドサーバであって、ネットワーク40及びルータ110を介してエッジGW101と接続される。管理サーバ31は、API(Application Programming Interface)を利用して事業者サーバ33との間でデータの送受信を行うことができる。管理サーバ31は、データベース(DB)32を備え、データベース32には、エッジGW101から受信される利用履歴(入退室履歴)、棚画像、ライブ画像、及び事業者サーバ33から受信される情報などが格納される。
【0034】
事業者サーバ33は、いわゆるクラウドサーバであって、ネットワーク40を介して管理サーバ31と接続される。事業者サーバ33は、APIを利用して管理サーバ31との間でデータの送受信を行うことができる。事業者サーバ33は、物流事業者により運営されており、利用者20の個人情報、利用者20と物品200との関連付けを示す物品情報(伝票番号など)、物品200の配送ステータスなどを管理している。なお、事業者サーバ33の数は限定されず、異なる複数の事業者のサーバがクラウド上に設置され得る。
【0035】
ネットワーク40は、例えばインターネットなどの広域通信網であって、LTEなどの移動体通信網、基地局、中継サーバも含む。ネットワーク40には、利用者端末21の他に、物流事業者の配送員が操作するスマートフォン、タブレットコンピュータなどの配送員端末も接続され得る。
【0036】
図3は、本実施形態におけるエッジGW101のハードウェア構成例を示すブロック図である。エッジGW101は、CPU(Central Processing Unit)131、RAM(Random Access Memory)132、ROM(Read Only Memory)133、記憶装置134、入出力I/F(Interface)135を備える。CPU131は、ROM133、記憶装置134に記憶されたプログラムに従って、エッジGW101に接続された機器を制御するとともに、データの収集、加工、分析などの所定の処理を実行する。
【0037】
RAM132は、揮発性メモリから構成され、CPU131の動作に必要なメモリ領域を提供する。ROM133は、不揮発性メモリから構成され、エッジGW101を動作させるために必要なプログラム、データなどを記憶する。記憶装置134は、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)などから構成される。記憶装置134には、画像認識用のアプリケーションプログラム、案内用の音声データ及び画像データなどが予め格納される。また、記憶装置134には、許可情報、利用履歴、棚画像、ライブ画像、購入情報などが随時格納される。CPU131、RAM132、ROM133は、接続部、取得部、判定部、削除部、通知部及び出力部として機能し、記憶装置134は、記憶部として機能し得る。
【0038】
入出力I/F135は、USB(Universal Serial Bus)、イーサネット、RS-232C、RS-485などの規格に基づく有線インターフェースであって、ハブ107、音声端末108、ディスプレイ109、ルータ110が接続される。入出力I/F135には、任意の機器が接続可能であり、例えば人感センサ、マイクロフォン、温湿度センサ、機器の不具合を感知するセンサなどが接続されてもよい。
【0039】
なお、図3に示されているハードウェア構成は例示であり、これら以外の装置が追加されていてもよく、一部の装置が設けられていなくてもよい。例えば、エッジGW101の機能の一部が他の機器により提供されてもよい。
【0040】
図4は、本実施形態における保管室10の平面図である。保管室10は、例えば3坪程度の面積を有するユニットハウスであり、唯一の出入口としてドア11が設けられている。ドア11は電気錠103によって施錠されており、エッジGW101によって許可された利用者20のみが入室及び退室できる。保管室10内には、複数の物品200を収納するための棚13が、保管室10の壁に沿って設置されている。棚13の近傍には、案内テーブル14が設置され、案内テーブル14上に音声端末108とディスプレイ109が載置されている。利用者20がドア11から保管室10内に入室した際に、容易にディスプレイ109が視認されるように、案内テーブル14は、ドア11側から視たときに棚13よりも手前に設置されている。
【0041】
ライブカメラ105は、保管室10全体が画角に入るように、保管室10の隅の上方などに設置される。棚カメラ106は、棚13全体が画角に入るように、棚13の正面と対向する壁などに設置される。
【0042】
保管室10には、さらにライブカメラ105の画角内に時計(不図示)が設置されていてもよい。時計を利用することにより、ライブカメラ105が正常に稼働していることをライブカメラ105からの画像を監視しているオペレータが容易に確認できる。さらに、時計の近傍に保管室10の識別番号(ロケーションコード)を表記しておくことにより、保管室10の設置場所が即座に把握され、異常発生時の対応が容易になる。
【0043】
図5は、本実施形態における棚13の正面図である。図5に示されるように、棚13は、水平方向及び垂直方向に、それぞれ10列及び10段に仕切られている。仕切られた各区画には1個の物品200を収納可能であり、棚13全体では、最大で100個の物品200を収納可能である。
【0044】
棚13の各区画のサイズは、物流事業者が使用する梱包用ダンボール箱の規格に合わせて設計されるとよい。すなわち、物流でよく使用される60サイズ、80サイズなどの規格に合わせて、各区画のサイズを箱の規格よりも一回り大きくするとよい。一例として、各区画のサイズを幅27cm、高さ19cm、奥行き32cmとすることができる。
【0045】
図5の例では、棚13は同一サイズで仕切られたA棚とB棚から構成されているが、例えばA棚の各区画のサイズを60サイズに合わせて設計する一方で、B棚の各区画のサイズを80サイズに合わせて設計してもよい。また、より大きな箱に梱包された物品200を収納できるように、棚13の一部の仕切りを取り外し可能とし、複数の区画を用いて1つの物品200を収納してもよい。
【0046】
図6は、棚13の一区画を拡大した拡大図であり、棚13の3列及び5段目の区画に収納された物品200を示している。各区画には、棚13の列番号と段番号との組み合わせで表される棚ラベル13aが付されている。例えば、A棚の3列及び5段目の区画には、「A35」と記載された棚ラベル13aが付されている。また、棚13の各区画の背板13bは、物品200を画像検知し易いように、黒色などに塗装されているとよい。
【0047】
棚13に配置されたすべての物品200の箱の側面には、各物品200を識別するための伝票201が付されている。伝票201は、ECサイトでの注文時に、引渡しスペース(保管室10)での受け取りが指定された物品200に対しては、物品200の発送時点で貼付される。また、注文時には自宅での受け取りが指定されていたものの、受取人が不在などの理由により、保管室10での受け取りに変更された物品200に対しては、物品200を保管室10に保管する際に配送員によって貼付される。例えば、配送員は、バーコードに基づいて伝票201を作成可能な小型のプリンタを携帯しており、物品200に付されている元の伝票201のバーコードをプリンタに読み取らせることで、その場で伝票201を作成できる。
【0048】
図6に示すように、伝票201には、伝票番号201aとバーコード201bが印刷されている。伝票番号201aは、物品200の配送管理用の識別情報(物品識別情報)であって、例えば12桁の数字から構成される。伝票番号201aの形式は任意であり、数字と英字の両方を含んでいてもよい。画像認識における誤検知を低減するために、棚ラベル13aを英字のみ、伝票番号201aを数字のみで表してもよい。バーコード201bは、伝票番号201aが記録されたQRコード(登録商標)などの二次元バーコードである。なお、伝票201には、さらに宛先(受取人)の名前、ECサイトでの注文番号、ロケーションコードなどが印刷されていてもよい。なお、伝票201は紙媒体に限られず、利用者端末21において読取可能な各種の記録媒体を用いてもよい。
【0049】
図7は、本実施形態における物品200の受取確認方法を説明する図である。図7に示すように、物品200の上面には、伝票番号201aが記録された一次元のバーコード201cがさらに貼り付けられている。バーコード201cは、伝票201の一部分である。なお、バーコード201cとしては、バーコード201bと同様に、二次元バーコードを用いてもよい。利用者20は、棚13から物品200を取り出すと、利用者端末21の専用アプリケーションを用いて、バーコード201c(あるいはバーコード201b)を読取る。このとき、利用者端末21は、バーコード201cの読み取りにより得られた伝票番号201aを無線通信によってエッジGW101に送信する。これにより、エッジGW101は、バーコード201cを読取られた物品200の伝票番号と利用者20の対象物品に関連付けられた伝票番号とが一致するか否かを判定する。そして、2つの伝票番号が一致する場合には、エッジGW101は、対象物品の引渡しが完了したと判定し、利用者20の退場を許可する。
【0050】
続いて、利用者20の入退室及び物品200の引渡確認のために、管理サーバ31及びエッジGW101にそれぞれ記憶される情報について説明する。
【0051】
図8は、本実施形態における管理サーバ31が記憶する管理情報の一例を示す図である。ここでは、管理情報のデータ項目として、利用者ID、氏名、MACアドレス、利用開始日時、利用終了日時、鍵情報、有効化フラグなどが例示されている。データ項目は、これらに限られず、例えば連絡先や伝票番号なども含んでもよい。利用者IDは、引渡管理システム1の利用者20毎に固有な識別情報である。MACアドレスは、利用者端末21毎に固有な識別情報であり、本実施形態では利用者20の認証情報として用いられる。利用開始日時及び利用終了日時は、利用者20が保管室10を配送先として利用できる開始及び終了の日時である。鍵情報は、利用者20が保管室(BOX)10に対して任意に設定した鍵番号である。有効化フラグは、利用者20が鍵番号を利用して保管室10への入室が可能な場合にON、入室不可の場合にOFFに切り替わるフラグである。鍵番号が設定済みの保管室10について、事業者サーバ33から配送完了の配送ステータスが通知された場合に、有効化フラグは、ONとなる。そして、利用者20への対象物品の引渡しが完了したとき、有効化フラグは、OFFに戻る。これにより、利用者20の保管室10への入室は、対象物品が保管室10に保管されている場合に制限される。
【0052】
保管室10に対応する鍵番号の登録方法としては、(A)利用者端末21とエッジGW101とが無線接続した状態で、専用アプリケーションを用いて保管室10に既に貼り付けられている鍵穴シール12(バーコード)を読取り、鍵番号を入力して登録する方法、(B)管理サーバ31が管理するWEBサイトに利用者端末21又はパーソナルコンピュータからログインし、保管室10の識別情報と鍵番号を入力して登録する方法、などが挙げられる。上述の(A)の方法の場合、利用者20自身によるMACアドレスや保管室10の識別情報の入力を省略できる利点がある。
【0053】
図9は、本実施形態におけるエッジGW101が記憶する許可情報の一例を示す図である。ここでは、許可情報のデータ項目として、MACアドレス、利用可能期間、有効化フラグ、鍵番号、物品位置、伝票番号などが例示されている。データ項目は、これらに限られない。例えば、許可情報の登録日時、未登録の利用者端末21から認証要求が行われた場合のエラーコードや処理日時を含んでもよい。MACアドレス、鍵番号及び有効化フラグは、上述の管理情報と共通のデータ項目である。利用可能期間は、利用者20が保管室10に入室(入場)可能な期間である。利用可能期間は、例えば利用者20自身が設定した受取期間、配送業者が保管室10に物品200を保管してから一定期間(例えば24時間、3日間、1週間など)などに対応する。物品位置は、保管室10における物品200の保管位置である。伝票番号は、保管されている物品200の配送管理用の識別情報(物品識別情報)である。
【0054】
続いて、以上のように構成された引渡管理システム1における動作について図面を参照しながら説明する。
【0055】
図10は、本実施形態における物品配送処理の一例を示すシーケンスチャートである。このシーケンスチャートは、物品200が購入されてから、物品200の受け取り準備が完了するまでの処理を示している。まず、利用者20は、自宅のパーソナルコンピュータ又は利用者端末21などからECサーバ41が管理するECサイトにアクセスし、ECサイトにおいて物品200を購入する(ステップS11)。購入の際には、物品200の受け取り場所として、利用者20によって保管室10が指定されたものとする。
【0056】
ECサーバ41は、購入された物品200、購入した利用者20、指定された保管室10などの情報を含む購入情報を事業者サーバ33に送信する(ステップS12)。事業者サーバ33は、ECサーバ41からの購入情報をデータベース34に記録するととともに、物品200の伝票番号とともに購入情報を管理サーバ31に送信する(ステップS13)。管理サーバ31は、事業者サーバ33からの情報をデータベース32に格納する。
【0057】
管理サーバ31は、保管室10の棚13に空きが無い場合、事業者サーバ33にNG通知を返信する(ステップS14)。NG通知を受けた事業者サーバ33は、保管室10の棚13に空きが出るまで物品200の配送を一時保留させる。事業者サーバ33は、利用者端末21に受け取り場所の変更を求めるメールなどを送信してもよい。
【0058】
配送員は、保管室10の棚13に物品200を収納すると、配送員端末などから事業者サーバ33に配送完了を通知する。事業者サーバ33は、配送員による通知により、保管室10への物品200の配送が完了したことを確認する(ステップS15)。配送完了が確認されると、事業者サーバ33は、管理サーバ31に物品200の配送ステータス(例えば「配送済」)を送信する(ステップS16)。
【0059】
さらに、事業者サーバ33は、物品200が保管室10に到着したことを示す電子メール(到着メール)を利用者端末21に送信する(ステップS17)。図11は、利用者端末21に表示される画面の一例を示す図である。ここでは、利用者端末21の画面に「御注文の荷物が指定のボックスに届きました。」のメッセージが表示されている。
【0060】
到着メールを受信した利用者20は、利用者端末21において、例えば到着メールに記載されたリンク(不図示)を用いて管理サーバ31が管理するWEBサイトにアクセスし、物品200の受け取り日時を指定することもできる(ステップS18)。受け取り日時の指定は省略されてもよい。
【0061】
図12は、本実施形態における物品引渡処理の一例を示すシーケンスチャートである。このシーケンスチャートは、保管室10における物品200の受け取り準備が完了してから、利用者20によって物品200(対象物品)が受け取られるまでの処理を示している。以下、異なる利用者20A、20B、20Cの対象物品が保管室10に保管されており、利用者20Aが対象物品を受け取る場合を例として説明する。また、各利用者20が携帯する利用者端末21には、専用アプリケーションが予めインストールされており、かつ、保管室10に対する鍵番号が各利用者20によって個別に登録済みであるものとする。また、図13乃至図16は、利用者端末21の表示画面の一例をそれぞれ示している。
【0062】
まず、管理サーバ31は、保管室10に保管されている対象物品の受取人である利用者20A、20B、20Cに対する許可情報をエッジGW101に送信する(ステップS101)。許可情報には、例えば利用者端末21のMACアドレス、鍵情報、伝票番号、受け取り日時などが含まれる。MACアドレスは各利用者端末21で固有な識別情報(ID)である。伝票番号は、各利用者20に関連付けられた対象物品の伝票番号である。受け取り日時は、図10のステップS18において、利用者によって指定された日時である。
【0063】
次に、エッジGW101は、管理サーバ31から受信された利用者20A、20B、20Cの許可情報を記憶装置134に保存する(ステップS102)。すなわち、利用者20A、20B、20Cは、保管室10への入室権限を有する者として記憶装置134に登録される。なお、ステップS101及びステップS102の処理は、所定の周期(例えば15分間隔)で実行される。これにより、エッジGW101に登録されている許可情報が最新の状態に更新される。例えば、新たに利用者20Dの対象物品が保管室10に配送された場合には、利用者20Dの許可情報がエッジGW101の記憶装置134に追加登録される。
【0064】
到着メールを受け取った利用者20Aが(図10のステップS17参照)、保管室10からエッジGW101の無線通信の範囲内に入ると、利用者端末21の専用アプリケーションは、エッジGW101に対して接続要求を行う(ステップS103)。エッジGW101は、利用者端末21からの接続要求を受信すると、無線通信による利用者端末21との通信接続を確立する(ステップS104)。
【0065】
次に、利用者端末21は、エッジGW101と接続している状態で、画面上において利用者20Aによる鍵情報の選択を受け付けると(ステップS105)、利用者20Aに対して鍵穴シール12の読取を促すメッセージを表示する。図13の例では、利用者端末21の画面に、A、Bの2種類の鍵と、鍵選択を促すメッセージ(「ボックスの鍵を選択してください。」)が表示されている。また、図14の例では、Aの鍵を選択した場合において、鍵穴シール12の読取を促すメッセージ(「ドアの隣にある鍵穴バーコードを読み取ってください。」)が表示されている。
【0066】
次に、利用者端末21は、利用者20Aが行った操作により、保管室10の入口側に貼付された鍵穴シール12の二次元バーコードを読取ると(ステップS106)、二次元バーコードに記録された起動コードに従ってエッジGW101に対して認証要求を送信する(ステップS107)。認証要求には、選択された鍵情報と利用者端末21のMACアドレスを含む認証情報が含まれるものとする。図15の例では、利用者端末21の画面に、読取完了した二次元バーコードと選択済みの鍵が表示されている。この画面は、例えば認証処理が終了するまで表示される。本実施形態における認証処理とは、利用者20の保管室10(管理対象区域)への入室(入場)の可否を判定する処理である。
【0067】
次に、エッジGW101は、利用者端末21から受信した認証要求に基づいて利用者20Aに対する認証処理を実行し(ステップS108)、利用者20Aを認証すると、電気錠103に解錠信号を送信する(ステップS109)。これにより、電気錠103は解錠され、ドア11は開閉可能となる。なお、一定時間(例えば5秒間)ドア11の開閉が検知されないときには、電気錠103は自動的に施錠される。また、利用者20Aが入室する前に電気錠103が施錠されてしまった場合でも、利用者20Aが利用者端末21を用いて鍵選択及び画像読取を再度実行することで再度の認証が可能である。さらに、利用者20Aに対する認証が許可されたときは、利用者20Aの同伴者についても同時に入室可能であるとよい。
【0068】
利用者20Aがドア11を開くと、電気錠103はドア11の開閉を検知し、開閉通知をエッジGW101に送信する(ステップS110)。また、開閉検知は、ドア11に設けられた開閉センサにより行われてもよい。
【0069】
次に、エッジGW101は、利用者20Aを認証すると、MACアドレスをキーとして記憶装置134に記憶されている棚割りデータを検索することで対象物品の保管場所を抽出し、これを利用者端末21に通知する(ステップS111)。利用者端末21は、エッジGW101から受信した保管場所の情報を画面に表示する(ステップS112)。図16の例では、利用者端末21の画面に、対象物品の保管位置を案内するメッセージ(「○○さんの荷物は、下記の位置に保管されています。 A35」)が表示されている。
【0070】
次に、エッジGW101は、入室処理を行う(ステップS113)。一方、利用者端末21は、入室した利用者20Aの操作に応じて、図7に示すように物品200の伝票201に記載されているバーコード201cを読取ると(ステップS114)、エッジGW101に読取情報を送信する(ステップS115)。読取情報には、例えば読取物品の伝票番号及び読取りを実行した利用者端末21のMACアドレスが含まれる。
【0071】
次に、エッジGW101は、受信した読取情報に基づいて対象物品の引渡確認処理(ステップS116)を行う。エッジGW101は、利用者20Aへの対象物品の引渡しを確認すると、利用者20Aの退室を許可する。具体的には、エッジGW101は、退室ボタン102を使用可能な状態(アクティブ状態)にする。
【0072】
次に、エッジGW101は、アクティブ状態の退室ボタン102の押下を検知すると、電気錠103に解錠信号を送信する(ステップS117)。これにより、電気錠103は解錠され、ドア11は開閉可能となる。一定時間(例えば5秒間)ドア11の開閉が検知されないときには、電気錠103は自動的に施錠される。利用者20Aが退室する前に電気錠103が施錠されてしまった場合、利用者20Aが再び退室ボタン102を押下することで、退室が可能である。
【0073】
利用者20Aがドア11を開くと、電気錠103はドア11の開閉を検知し、開閉通知をエッジGW101に送信する(ステップS118)。エッジGW101は、ドア11の開閉通知を受信すると、退室処理を行う(ステップS119)。
【0074】
次に、エッジGW101は、退室した利用者20Aに関する対象物品の引渡情報を管理サーバ31に送信する(ステップS120)。引渡情報には、例えば対象物品の伝票番号及び利用者端末21のMACアドレスが含まれる。管理サーバ31は、引渡情報を受信すると、管理情報を更新する。具体的には、伝票番号に関連付けられたステータスを“引渡済み”、有効化フラグを“OFF”に更新する。
【0075】
そして、エッジGW101は、利用者端末21との無線接続を解除するとともに(ステップS121)、接続されていた利用者端末21に関する許可情報を記憶装置134から削除する(ステップS122)。なお、データベース32からMACアドレス単位でレコードを削除してもよいが、MACアドレスに関連付けられた有効化フラグを“OFF”に更新してもよい。また、MACアドレスに関連付けられた鍵情報を削除してもよい。いずれの場合でも、エッジGW101は、利用者20Aの退室後における再度の入室を制限できる。
【0076】
図17は、本実施形態における認証処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、図12のステップS108の詳細を示すものである。まず、エッジGW101は、利用者端末21から送信された認証情報を取得すると(ステップS201)、認証情報に含まれるMACアドレスと許可情報として登録されているMACアドレスとが一致するか否かを判定する(ステップS202)。ここで、エッジGW101が、MACアドレスは一致すると判定した場合(ステップS202:YES)には、処理はステップS204に移行する。
【0077】
これに対し、エッジGW101が、MACアドレスは一致しないと判定した場合(ステップS202:NO)には、利用者端末21にエラー情報を出力し(ステップS203)、処理を終了する。ステップS203におけるエラー情報の例としては、例えば「あなたの荷物は、ボックス内に保管されていません。」などのメッセージが挙げられる。
【0078】
ステップS204において、エッジGW101は、認証情報に含まれる鍵番号と記憶装置134内の鍵番号とが一致するか否かを判定する。ここで、エッジGW101が、鍵番号は一致すると判定した場合(ステップS204:YES)には、処理はステップS206に移行する。これに対し、エッジGW101が、鍵番号は一致しないと判定した場合(ステップS204:NO)には、利用者端末21にエラー情報を出力し(ステップS205)、処理を終了する。ステップS205におけるエラー情報の例としては、例えば「鍵番号が一致しません。」、「鍵が無効です。」などのメッセージが挙げられる。
【0079】
ステップS206において、エッジGW101は、ライブカメラ105の情報などに基づいて保管室10内が空室であるか否かを判定する。ここで、エッジGW101が、保管室10内は空室であると判定した場合(ステップS206:YES)には、処理はステップS208に移行する。これに対し、エッジGW101が、保管室10内は空室ではないと判定した場合(ステップS206:NO)には、利用者端末21にエラー情報を出力し(ステップS207)、処理を終了する。すなわち、ある利用者20が入室している間は、他の利用者20の入室を拒否する。ステップS207におけるエラー情報の例としては、例えば「現在、保管室に入室している方がいます。しばらくお待ちください。」などのメッセージが挙げられる。なお、エッジGW101は、ステップS207のエラー出力の代わりに、利用者端末21にバーコード読取画面を表示させないように制御してもよい。同様に、エッジGW101は、「入室中のため、バーコードを読み取れません。」などのメッセージを表示するように利用者端末21へ指示してもよい。
【0080】
ステップS208において、エッジGW101は、利用者端末21を携帯する利用者20Aを入室許可とし、処理を終了する。これにより、エッジGW101は、電気錠103に対して解錠信号を出力可能となる。
【0081】
図18は、本実施形態における入室処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、図12のステップS113の詳細を示すものである。まず、エッジGW101は、ライブカメラ105による動画撮影を開始し(ステップS301)、利用者20Aの入室が検知されたか否かを判定する(ステップS302)。例えば、エッジGW101は、ライブカメラ105からの画像データを解析することによりモーション検知を行う。ライブカメラ105がモーション検知の機能を有していてもよい。また、保管室10内に人感センサなどを設けてもよい。なお、動画に限定されず、エッジGW101は、所定間隔で撮影された静止画をライブカメラ105から取得してもよい。
【0082】
エッジGW101は、入室が検知されない場合(ステップS302:NO)、入室が検知されるまで待機する。エッジGW101は、入室が検知されると(ステップS302:YES)、ライブカメラ105を用いて、入室した利用者20Aの顔画像を取得するとともに(ステップS303)、棚カメラ106を用いて棚画像を取得する(ステップS304)。ここで、取得される棚画像は、利用者20Aが保管室10に入室した直後における棚13の画像であって、利用者20Aによって棚13に配置された物品200が引き取られる前の状態を示している。ステップS301からステップS304までの処理は、必ずしも順次に実行されず、並行して実行されてもよい。
【0083】
次に、エッジGW101は、棚画像に基づいて、棚13に収納されたすべての物品200の配置を保存する(ステップS305)。例えば、エッジGW101は、OCR(Optical Character Recognition)などの画像認識技術を用いて伝票201と棚ラベル13aの情報を読み取り、物品200の伝票番号を棚ラベル13aと関連付けて記憶装置134に保存する。すなわち、棚13に収納された物品200のリスト(棚割データ)が作成される。
【0084】
次に、エッジGW101は、入室した利用者20Aに物品200の位置を案内する(ステップS306)。例えば、エッジGW101は、音声端末108を用いて「荷物は、棚Aの1列2段目にあります。詳しくは画面をご覧ください。」などのアナウンスを行うとともに、ディスプレイ109を用いて棚13のレイアウト及び物品200の位置を表示する。利用者20Aは、音声案内に従って、ディスプレイ109に表示された物品200の位置を確認する。そして、利用者20Aは棚13の前に移動して、棚13から物品200を取り出す。なお、エッジGW101は、認証処理の完了後に利用者端末21に物品の位置を案内しているため(図12のステップS112参照)、ステップS306の処理は省略することもできる。
【0085】
図19は、本実施形態における引渡確認処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、図12のステップS116の詳細を示すものであり、利用者端末21が物品200に貼付された伝票201のバーコード201cを読み込むことにより実行される。
【0086】
まず、エッジGW101は、入室した利用者20Aの利用者端末21のMACアドレスに基づいて記憶装置134から対象物品の伝票番号を取得するとともに(ステップS401)、読取情報から読取物品の伝票番号を取得する(ステップS402)。
【0087】
次に、エッジGW101は、取得された2つの伝票番号が一致するか否かを判定する(ステップS403)。ここで、エッジGW101が、伝票番号は一致すると判定した場合(ステップS403:YES)には、利用者20Aの退室を許可し(ステップS405)、処理を終了する。これに対し、エッジGW101は、伝票番号は一致しないと判定した場合(ステップS403:NO)には、利用者端末21や音声端末108にエラー情報を出力し(ステップS404)、処理はステップS402に戻る。
【0088】
ステップS404におけるエラー情報の例としては、「伝票内容を確認してください。あなたの荷物ではありません。」、「荷物は、棚Aの1列2段目にあります。詳しくは画面をご覧ください。」などのメッセージが挙げられる。
【0089】
図20は、本実施形態における退室処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、図12のステップS119の詳細を示すものである。まず、エッジGW101は、ライブカメラ105を用いて利用者20Aの退室が検知されたか否かを判定する(ステップS501)。エッジGW101は、退室が検知されない場合(ステップS501:NO)、退室が検知されるまで待機する。
【0090】
次に、エッジGW101は、利用者20Aの退室が検知されると(ステップS501:YES)、棚カメラ106を用いて棚13の棚画像を取得する(ステップS502)。ここで、取得される棚画像は、利用者20Aが保管室10から退室した直後における棚13の画像であって、利用者20Aによって棚13に配置された物品200が取り出された後の状態を示している。
【0091】
次に、エッジGW101は、棚画像に基づいて、棚13に収納されたすべての物品200の配置を保存する(ステップS503)。エッジGW101は、伝票201と棚ラベル13aの情報を読み取り、物品200の伝票201の情報を棚ラベル13aと関連付けて記憶装置134に保存する。また、エッジGW101は、ライブカメラ105により動画撮影を停止する(ステップS504)。
【0092】
最後に、エッジGW101は、利用者20Aの利用履歴を記憶装置134に保存する(ステップS505)。利用履歴には、例えば利用者20Aが携帯する利用者端末21のMACアドレス、入退室の時間情報が含まれる。さらに、エッジGW101は、利用者20Aの顔画像、入退室時の棚画像、棚画像から取得された棚13における物品配置、入室時から退室時までの動画像などのデータも記憶装置134に保存する。動画像は、例えば1分単位のファイルとして保存される。さらに、エッジGW101は、記憶装置134に保存された利用履歴、顔画像、物品配置、動画像などのデータを管理サーバ31に送信する。これらのデータは、管理サーバ31からのリクエストに応じて、管理サーバ31に送信されてもよい。
【0093】
以上のように、本実施形態によれば、エッジGW101と利用者端末21との無線通信接続が確立されている状態で、利用者端末21が保管室10の入口近傍の鍵穴シール12のバーコードを読取ると、エッジGW101は利用者端末21から端末識別情報(MACアドレス)を含む認証要求を受信する。無線通信接続が確立しているため、エッジGW101は、受信した端末識別情報に基づいて利用者端末21を携帯する利用者20の保管室10への入室(入場)の可否を直ちに判定できる。これにより、利用者端末21が認証要求をエッジGW101に送信してから、エッジGW101が電気錠103を解錠するまでの所要時間を短縮できるとともに、保管室(管理対象区域)10の入場制御におけるセキュリティを確保できる。
【0094】
また、本実施形態によれば、エッジGW101は、利用者20が保管室10内に保管されている物品200の受取人であることを条件として、保管室10への入室を許可する。このため、管理サーバ31に鍵情報及び端末識別情報が登録されている利用者20であっても、対象物品が保管室10に保管されていない場合には、エッジGW101は、当該人物の保管室10への入室を制限できる。
【0095】
また、本実施形態によれば、エッジGW101は、施錠された保管室10に利用者20が在室中の場合には、記憶装置134に許可情報(端末識別情報)が登録されている利用者20であっても認証不可(入室不可)とするため、保管室10への入室及び退室を個別に制御できる。
【0096】
また、本実施形態によれば、利用者20が保管室10の棚13から取り出し、その伝票を読取った物品200の伝票番号(識別情報)と、利用者端末21に関連付けされた対象物品の伝票番号とが一致した場合に、保管室10からの利用者20の退室を許可する。これにより、利用者20が誤った物品200を保管室10から持ち出すことを抑止できるため、物品200の引渡しを無人で管理することが可能となる。
【0097】
また、従来の宅配ボックスは、物品を収納するボックスごとに施錠機構を設ける必要があるために、高価なものとなっていた。これに対し、本実施形態によれば、多数の物品200が保管された保管室10に対して施錠機構を設ければよいため、比較的安価にシステムを構成することが可能となる。また、保管室10は店外に設置できるため、売り場スペースの圧迫を回避することが可能となる。また、宅配ボックスとは異なり、物品200を簡易的な棚13に収納できるため、多数の物品200を効率良く保管することが可能となる。
【0098】
また、本実施形態によれば、利用者20が携帯する利用者端末21、鍵穴シール12及びエッジGW101を用いて認証を行う構成のため、従来のように認証用のICカードを読取るカードリーダ装置を出入口に設置する必要はなくなり、設備の構築及び運用のコストを低減できる。また、利用者20は、認証用のICカードを持ち歩く必要はなくなり、利用者端末21のみを用いて保管室10における入退室を行える。
【0099】
また、本実施形態の鍵穴シール12に印刷された二次元バーコードは、保管室10の識別情報を含まないため、異なる保管室10に対しても同一の鍵穴シール12を貼付できる。このため、作業員による鍵穴シール12の貼り間違いを回避できるとともに、鍵穴シール12の製造コストを低減できる。また、共通のシールであるため、鍵穴シール12が破損した場合には、鍵穴シール12の取替えが容易になる利点もある。
【0100】
さらに、本実施形態の認証処理においては、利用者端末21で選択された鍵情報及び利用者端末21の端末識別情報と、利用者20により管理サーバ31に登録された鍵情報(鍵番号)及び端末識別情報とをそれぞれ照合して認証を行うため、セキュリティレベルを向上できる。
【0101】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態における入退出管理システムについて説明する。本実施形態は、管理対象区域の内部に利用者20の対象物品が保管されていることを前提としない点と、鍵情報を使用しない点において第1実施形態と異なる。本実施形態における管理対象区域は、例えばホテルの客室や企業の研究室や工場などの屋内だけでなく、テーマパークなどの屋外の施設も含む。また、本実施形態のハードウェア構成は、第1実施形態と共通しているが、入退室(入退場)の制御方法が一部異なる。具体的には、第1実施形態における物品200の引渡確認処理、物品位置の案内メールの通知処理、棚画像に基づく物品位置の解析処理などの処理は省略される。以下、本実施形態における入退出管理システムの動作について説明する。
【0102】
図21は、本実施形態における入退室の制御処理の一例を示すシーケンスチャートである。ここでは、利用者20Aが管理対象区域に入退室する場合を例として説明する。また、利用者20Aが携帯する利用者端末21には、専用アプリケーションが予めインストールされているものとする。
【0103】
まず、管理サーバ31は、管理対象区域への入室を許可する利用者20A、20B、20Cに対する許可情報をエッジGW101に送信する(ステップS601)。許可情報には、例えば利用者端末21のMACアドレス、管理対象区域である施設の利用可能日時などが含まれる。
【0104】
次に、エッジGW101は、管理サーバ31から受信された利用者20A、20B、20Cの許可情報を記憶装置134に保存する(ステップS602)。なお、ステップS601~ステップS602の処理は、所定の周期(例えば15分間隔)で実行される。これにより、エッジGW101に登録されている許可情報が最新の状態に更新される。
【0105】
利用者20Aが管理対象区域からエッジGW101の無線通信の範囲内に入ると、利用者端末21の専用アプリケーションは、エッジGW101に対して接続要求を行う(ステップS603)。エッジGW101は、利用者端末21からの接続要求を受信すると、無線通信による利用者端末21との通信接続を確立する(ステップS604)。
【0106】
次に、利用者端末21は、画面に表示される案内に従って利用者20Aが行った操作により、鍵穴シール12の二次元バーコードを読取ると(ステップS605)、二次元バーコードに記録された起動コードに従ってエッジGW101に対して認証要求を送信する(ステップS606)。認証要求には、利用者端末21のMACアドレスを含む認証情報が含まれるものとする。
【0107】
次に、エッジGW101は、利用者端末21から受信した認証要求に基づいて利用者20Aに対する認証処理を実行する(ステップS607)。エッジGW101は、利用者20Aの認証後、電気錠103に解錠信号を送信する(ステップS608)。これにより、電気錠103は解錠され、ドア11は開閉可能となる。なお、一定時間(例えば5秒間)ドア11の開閉が検知されないときには、電気錠103は自動的に施錠される。また、利用者20Aが入室する前に電気錠103が施錠されてしまった場合でも、利用者20Aが利用者端末21を用いて鍵穴シール12のバーコード読取を再度実行することで再度の認証が可能である。
【0108】
利用者20Aがドア11を開くと、電気錠103はドア11の開閉を検知し、開閉通知をエッジGW101に送信する(ステップS609)。また、開閉検知は、ドア11に設けられた開閉センサにより行われてもよい。
【0109】
次に、エッジGW101は、入室処理を行う(ステップS610・図18参照)。エッジGW101は、入室中の利用者20Aによる退室ボタン102の押下が検知されない場合(ステップS611:NO)は、退室ボタン102の押下が検知されるまで待機する。そして、エッジGW101は、退室ボタン102の押下を検知すると(ステップS611:YES)、電気錠103に解錠信号を送信する(ステップS612)。これにより、電気錠103は解錠され、ドア11は開閉可能となる。一定時間(例えば5秒間)ドア11の開閉が検知されないときには、電気錠103は自動的に施錠される。利用者20Aが退室する前に電気錠103が施錠されてしまった場合、利用者20Aが再び退室ボタン102を押下することで、退室が可能である。
【0110】
利用者20Aがドア11を開くと、電気錠103はドア11の開閉を検知し、開閉通知をエッジGW101に送信する(ステップS613)。エッジGW101は、ドア11の開閉通知を受信すると、退室処理を行う(ステップS614・図20参照)。
【0111】
次に、エッジGW101は、退室した利用者20Aに関する退室情報を管理サーバ31に送信する(ステップS615)。退室情報には、例えば利用者端末21のMACアドレスや入退室の時間情報が含まれる。管理サーバ31は、退室情報を受信すると、データベース32の管理情報を更新する。
【0112】
そして、エッジGW101は、利用者端末21との無線接続を解除するとともに(ステップS616)、接続されていた利用者端末21に関する許可情報を記憶装置134から削除する(ステップS617)。なお、データベース32からMACアドレス単位でレコードを削除してもよいが、MACアドレスに関連付けられた有効化フラグを“OFF”に更新してもよい。また、MACアドレスに関連付けられた鍵情報を削除してもよい。いずれの場合でも、エッジGW101は、利用者20Aの退室後における再度の入室を制限できる。
【0113】
図22は、本実施形態における認証処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、図21のステップS607の詳細を示すものである。まず、エッジGW101は、利用者端末21から送信された認証情報を取得すると(ステップS701)、認証情報に含まれるMACアドレスと許可情報として登録されているMACアドレスとが一致するか否かを判定する(ステップS702)。ここで、エッジGW101が、2つのMACアドレスは一致すると判定した場合(ステップS702:YES)には、処理はステップS704に移行する。
【0114】
これに対し、エッジGW101が、MACアドレスは一致しないと判定した場合(ステップS702:NO)には、エラー情報を利用者端末21に出力し(ステップS703)、処理を終了する。ステップS703におけるエラー情報の例としては、例えば「あなたの端末は、登録されていません。」などのメッセージが挙げられる。
【0115】
ステップS704において、エッジGW101は、利用者端末21を携帯する利用者20Aを入室許可とし、処理を終了する。これにより、エッジGW101は、電気錠103に対して解錠信号を出力可能となる。
【0116】
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、利用者20が携帯する利用者端末21とエッジGW101との無線通信に基づいて管理対象区域への利用者20の入場を制御できる。
【0117】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態における引渡管理システム1について説明する。本実施形態は、保管室10内における利用者20の滞在時間に基づいてアラート情報を出力する機能をさらに備える点で第1実施形態と異なっている。以下、本実施形態における引渡管理システム1の動作について説明する。
【0118】
図23は、本実施形態における監視処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、利用者20の入室が検知されることにより実行される。
【0119】
まず、エッジGW101は、利用者20の保管室10における滞在時間を測定すると(ステップS801)、滞在時間が所定の閾値(例えば、5分間)を超えるか否かを判定する(ステップS802)。ここで、エッジGW101が、滞在時間は所定の閾値を超えると判定した場合(ステップS802:YES)には、利用者端末21、音声端末108、ディスプレイ109及び管理サーバ31などにアラートを出力する(ステップS803)。これに対し、エッジGW101が、滞在時間は所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS802:NO)には、処理はステップS804へ移行する。
【0120】
ステップS804において、エッジGW101は、利用者20の退室が検知されたか否かを判定する。ここで、エッジGW101が、利用者20の退室を検知した場合(ステップS804:YES)には、処理は終了する。これに対し、エッジGW101が、利用者の退室を検知しない場合(ステップS804:NO)には、処理はステップS801に戻る。
【0121】
以上のように、本実施形態における引渡管理システム1によれば、エッジGW101は、利用者20が保管室10内で所定時間を超えて滞在している状態を検知してアラート情報を出力する。このため、エッジGW101は、保管室10内における利用者20の滞在時間を適切に管理し、保管室10における不正行為の抑止及び異常の早期検知が可能になる。
【0122】
[第4実施形態]
以下、第4実施形態における引渡管理システム1について説明する。本実施形態は、物品引渡処理における処理順序が第1実施形態と異なる。以下、本実施形態における引渡管理システム1の動作について説明する。
【0123】
図24は、本実施形態における物品引渡処理の一例を示すシーケンスチャートである。このシーケンスチャートは、保管室10における物品200の受け取り準備が完了してから、利用者20によって物品200が受け取られるまでの処理を示している。以下、異なる利用者20A、20B、20Cの対象物品が保管室10に保管されており、利用者20Aが対象物品を受け取る場合を例として説明する。また、各利用者20が携帯する利用者端末21には、専用アプリケーションが予めインストールされており、かつ、保管室10に対する鍵番号が各利用者20によって個別に登録済みであるものとする。
【0124】
まず、管理サーバ31は、保管室10に保管されている物品の受取人である利用者20A、20B、20Cに対する許可情報をエッジGW101に送信する(ステップS901)。許可情報には、例えば利用者端末21のMACアドレス、鍵情報、伝票番号、受け取り日時などが含まれる。MACアドレスは各利用者端末21で固有な識別情報(ID)である。伝票番号は、各利用者20に関連付けられた対象物品の伝票番号である。受け取り日時は、図10のステップS18において、利用者によって指定された日時である。
【0125】
次に、エッジGW101は、管理サーバ31から受信された利用者20A、20B、20Cの許可情報を記憶装置134に保存する(ステップS902)。なお、ステップS901~ステップS902の処理は、所定の周期(例えば15分間隔)で実行される。これにより、エッジGW101に登録されている許可情報が最新の状態に更新される。例えば、新たに利用者20Dの物品が保管室10に配送された場合には、利用者20Dの許可情報がエッジGW101の記憶装置134に追加登録される。
【0126】
次に、利用者端末21は、利用者20Aの操作に応じて専用アプリケーションを起動し、画面上において利用者20Aによる鍵情報の選択を受け付けると(ステップS903・図13参照)、利用者20Aに対して鍵穴シール12の読取を促すメッセージを表示する(図14参照)。
【0127】
次に、利用者端末21は、鍵穴シール12の二次元バーコードを読取ると(ステップS904)、エッジGW101に対して接続要求を行う(ステップS905)。すなわち、利用者端末21の専用アプリケーションは、二次元バーコードの読取完了を接続要求の送信条件としている。なお、利用者端末21が複数のエッジGW101の通信圏内に存在する場合には、無線強度が最も高いエッジGW101を送信先として接続要求を行うとよい。エッジGW101は、利用者端末21からの接続要求を受信すると、無線通信による利用者端末21との通信接続を確立する(ステップS906)。
【0128】
次に、利用者端末21は、二次元バーコードに記録された起動コードに従ってエッジGW101に対して認証要求を送信する(ステップS907)。認証要求には、選択された鍵情報と利用者端末21のMACアドレスを含む認証情報が含まれるものとする。
【0129】
次に、エッジGW101は、利用者端末21から受信した認証要求に基づいて利用者20Aに対する認証処理を実行し(ステップS908)、利用者20Aを認証すると、電気錠103に解錠信号を送信する(ステップS909)。これにより、電気錠103は解錠され、ドア11は開閉可能となる。なお、一定時間(例えば5秒間)ドア11の開閉が検知されないときには、電気錠103は自動的に施錠される。また、利用者20Aが入室する前に電気錠103が施錠されてしまった場合でも、利用者20Aが利用者端末21を用いて鍵選択及びバーコード読取を再度実行することで再度の認証が可能である。
【0130】
利用者20Aがドア11を開くと、電気錠103はドア11の開閉を検知し、開閉通知をエッジGW101に送信する(ステップS910)。また、開閉検知は、ドア11に設けられた開閉センサにより行われてもよい。
【0131】
次に、エッジGW101は、利用者20Aを認証すると、MACアドレスをキーとして記憶装置134に記憶されている棚割りデータを検索することで対象物品の保管場所を抽出し、これを利用者端末21に通知する(ステップS911)。利用者端末21は、エッジGW101から受信した保管場所の情報を画面に表示する(ステップS912・図16参照)。
【0132】
次に、エッジGW101は、入室処理を行う(ステップS913)。一方、利用者端末21は、入室した利用者20Aの操作に応じて、図7に示すように物品200の伝票201に記載されているバーコード201cを読取ると(ステップS914)、エッジGW101に読取情報を送信する(ステップS915)。読取情報には、例えば読取物品の伝票番号及び読取りを実行した利用者端末21のMACアドレスが含まれる。
【0133】
次に、エッジGW101は、受信した読取情報に基づいて対象物品の引渡確認処理(ステップS916)を行う。エッジGW101は、利用者20Aへの物品200の引渡しを確認すると、利用者20Aの退室を許可する。具体的には、エッジGW101は、退室ボタン102を使用可能な状態(アクティブ状態)にする。
【0134】
次に、エッジGW101は、アクティブ状態の退室ボタン102の押下を検知すると、電気錠103に解錠信号を送信する(ステップS917)。これにより、電気錠103は解錠され、ドア11は開閉可能となる。一定時間(例えば5秒間)ドア11の開閉が検知されないときには、電気錠103は自動的に施錠される。利用者20Aが退室する前に電気錠103が施錠されてしまった場合、利用者20Aが再び退室ボタン102を押下することで、退室が可能である。
【0135】
利用者20Aがドア11を開くと、電気錠103はドア11の開閉を検知し、開閉通知をエッジGW101に送信する(ステップS918)。エッジGW101は、ドア11の開閉通知を受信すると、退室処理を行う(ステップS919)。
【0136】
次に、エッジGW101は、退室した利用者20Aに関する対象物品の引渡情報を管理サーバ31に送信する(ステップS920)。引渡情報には、例えば対象物品の伝票番号及び利用者端末21のMACアドレスが含まれる。管理サーバ31は、引渡情報を受信すると、管理情報を更新する。具体的には、伝票番号に関連付けられたステータスを“引渡済み”、有効化フラグを“OFF”に更新する。
【0137】
そして、エッジGW101は、利用者端末21との無線接続を解除するとともに(ステップS921)、接続されていた利用者端末21に関する許可情報を記憶装置134から削除する(ステップS922)。なお、データベース32からレコードを削除してもよいが、MACアドレスに関連付けられた有効化フラグを“OFF”にしてもよい。これにより、保管室10から物品を持ち出した後、利用者20Aは、保管室10への入室が制限される。
【0138】
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、利用者20が携帯する利用者端末21とエッジGW101との無線通信に基づいて保管室10への利用者20の入場及び保管室10からの退場を制御できる。
【0139】
[第5実施形態]
以下、第5実施形態における引渡管理システム1について説明する。本実施形態は、利用者端末21が判定機能及び表示制御機能をさらに備える点で第1実施形態と異なる。図25は、本実施形態における利用者端末21を示すブロック図である。図25に示すように、利用者端末21は、無線通信部21a、判定部21b及び表示制御部21cを備える。各部の機能は、利用者端末21にインストールされた専用アプリケーションにより実装される。
【0140】
無線通信部21aは、Bluetooth、Wi-Fi、LTEなどの通信規格に基づいてエッジGW101、管理サーバ31及び事業者サーバ33などと無線通信を行う。判定部21bは、エッジGW101からの受信情報に基づいて画面遷移の可否やディスプレイに表示する画面内容などを判定する。エッジGW101からの受信情報の具体例としては、例えば保管室10の利用状況、エラーコード(端末識別情報が未登録に関するエラー/鍵情報の無効に関するエラー/エッジGW101との無線接続エラーなど)、エッジGW101における処理結果のデータなどが挙げられる。表示制御部21cは、判定部21bにおける判定結果に基づいて、ディスプレイに表示する画面内容を制御する。
【0141】
判定部21bは、例えば無線通信部21aとエッジGW101の無線接続が確立したタイミングで、いずれかの利用者20が保管室10を利用中であることを示す受信情報をエッジGW101から受信できる。この場合、判定部21bは、専用アプリケーションにおけるバーコード読取画面への遷移を不可とする判定を行う。そして、表示制御部21cは、当該判定結果に基づいて、「在室中のため、入室できません。」、「在室中のため、バーコードの読取りはできません。」などのメッセージを画面表示するとともに、バーコード読取画面へ遷移できないように画面内容を変更するとよい。これにより、保管室10への入室が制限されている状況の場合には、利用者20が保管室10の前まで移動して利用者端末21を用いて鍵穴シール12を読取る操作を不要とし、入室不可であるメッセージを利用者20に画面上で通知可能になる。
【0142】
[第6実施形態]
図26は、第6実施形態における情報処理装置60を示すブロック図である。情報処理装置60は、無線通信により利用者端末との接続を確立する接続部61と、利用者端末が管理対象区域への入場要求用の画像を読取った場合に利用者端末から無線通信を介して送信された端末識別情報を取得する取得部62と、端末識別情報に基づいて利用者端末を携帯する利用者の管理対象区域への入場の可否を判定する判定部63と、を備える。本実施形態における情報処理装置60によれば、管理対象区域への入場制御におけるセキュリティを確保できる。
【0143】
[第7実施形態]
図27は、第7実施形態における情報処理システム700を示すブロック図である。情報処理システム700は、管理対象区域への入場要求用の画像を読取る機能を有し、利用者が携帯する利用者端末710と、利用者端末710と無線通信を行う情報処理装置720と、を備える。情報処理装置720は、無線通信により利用者端末710との接続を確立する接続部721と、画像を読取った利用者端末710から無線通信を介して送信された端末識別情報を取得する取得部722と、端末識別情報に基づいて利用者の管理対象区域への入場の可否を判定する判定部723と、を有する。本実施形態における情報処理システム700によれば、管理対象区域への入場制御におけるセキュリティを確保できる。
【0144】
[変形実施形態]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細には本発明の要旨を逸脱しない範囲で、当業者が理解し得る様々な変形をできる。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を、他の実施形態に追加した実施形態、あるいは他の実施形態の一部の構成と置換した実施形態も本発明を適用し得る実施形態であると理解されるべきである。
【0145】
例えば、上述の第1実施形態においては、物品200は保管室10に保管されており、保管室10のドア11を解錠することにより、利用者20による保管室10への入室及び保管室10からの退室が許可されていた。しかし、管理対象区域は、保管室10のように壁、床、天井に囲まれた独立した空間に限定されず、壁の一部が開放された空間であり得る。例えば、管理対象区域として、店舗内の一角にパーティションなどで仕切った引渡しスペースが設置され得る。さらに、管理対象区域の出入口には、管理対象区域への利用者の入場及び退場を制限するために通行制限装置が設置されてもよい。通行制限装置は、例えば左右開閉式のゲート装置であって、通常閉じられており、利用者による管理対象区域への入場及び退場が許可されると開くように、エッジGW101により制御される。通行制限装置は電気錠103を備え得る。通行制限装置の構成は任意であって、上述の実施形態におけるドア11も通行制限装置の範疇に含まれる。
【0146】
また、上述の第1実施形態においては、保管室10が空室であるか否かに基づいて利用者20の入室の可否を判定していたが、互いに異なる利用者端末21を携帯する複数の人物の同時入室を可能とするように構成してもよい。例えば、自転車などを保管する保管室10において、入室中の利用者20の数が所定の利用可能人数(入室上限数)よりも少ない場合には、入室を許可することもできる。
【0147】
また、上述の実施形態では、入室時及び退室時にのみ、棚画像から物品の配置を取得するものとしたが、利用者20が入室している間に、エッジGW101は、任意のタイミングで棚画像を取得して物品の配置を確認してもよい。エッジGW101は、入室時に作成、保存された物品200のリスト(第1のリスト)と、新たに作成された物品200のリスト(第2のリスト)との比較を行い、リスト間で伝票番号を照合することで、第1のリストに含まれた物品200のうち第2のリストに含まれていない物品200を把握できる。エッジGW101は、第2のリストに含まれていない物品200が利用者20によって棚13から取り出されたものと判定できる。また、同一の伝票番号に関連付けられた棚ラベル13aの情報がリスト間で異なっている場合、エッジGW101は、当該伝票番号の物品200が利用者20によって移動されたものと判定できる。これらの判定結果は、電気錠103の解錠制御や利用者端末21への通知に利用できる。
【0148】
また、上述の実施形態では、保管室10の出入口が1つの場合について例示したが、出入口の数は1つに限定されない。図28は、本実施形態における保管室10の平面図である。保管室10は、ウォークスルー型の部屋であって、入口専用のドア11Aと出口専用のドア11Bを備える。保管室10内には、複数の棚13が並置され、複数の棚13の背後には、棚13に収納されない物品を保管するためのバックヤード15が設けられている。バックヤード15には、管理ドア16を介して店舗の店員、物流事業者の配送員のみが入室可能である。保管室10内において、利用者20は、入口のドア11Aから出口のドア11Bに向かって移動しながら、利用者端末21へ通知された案内メール、ディスプレイ109及び音声端末108による案内に従って自分の物品200を棚13から取り出す。棚カメラ106が1つ又は複数の棚13毎に設けられているため、利用者20が棚カメラ106の画角内に入り込むことが低減される。
【0149】
また、上述の実施形態では、通行権限を有する利用者20によって携帯される利用者端末21のMACアドレスのリスト情報と、鍵穴シール12の画像を読取った利用者端末21から取得されたMACアドレスとを、エッジGW101が照合することで保管室10への入室の可否を判定していた。しかし、エッジGW101が記憶装置134にリスト情報を記憶していない実施形態も有り得る。例えば、エッジGW101は、利用者端末21から認証情報を受信したタイミングで、管理サーバ31からリスト情報を取得してもよい。また、エッジGW101は、現時点で無線接続が既に確立している利用者端末21のMACアドレスのリスト情報と、鍵穴シール12の画像を読取った利用者端末21から取得したMACアドレスとを照合することで保管室10への入室の可否を判定してもよい。例えば、通行権限を有する利用者20の利用者端末21にのみ、専用アプリケーションがインストールされ、エッジGW101と無線接続が可能な場合には、エッジGW101に無線接続されている端末のうち、鍵穴シール12の画像を読取った利用者端末21の利用者20に対して通行許可の判定を行うことが可能である。
【0150】
上述の実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0151】
該記録媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0152】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0153】
(付記1)
無線通信により利用者端末との接続を確立する接続部と、
前記利用者端末が管理対象区域への入場要求用の画像を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得する取得部と、
前記端末識別情報に基づいて、前記利用者端末を携帯する利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定する判定部と、
を備える情報処理装置。
【0154】
(付記2)
前記判定部は、前記端末識別情報が前記管理対象区域において特定の物品に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域への入場を許可する、
付記1に記載の情報処理装置。
【0155】
(付記3)
前記取得部は、前記利用者端末が前記物品に付された記録媒体を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された物品識別情報を取得し、
前記判定部は、前記物品識別情報が前記端末識別情報に関連付けられている場合に、前記利用者の前記管理対象区域からの退場を許可する、
付記2に記載の情報処理装置。
【0156】
(付記4)
前記判定部は、前記利用者が前記管理対象区域に入場している間、前記利用者以外の前記管理対象区域への入場を拒否する、
付記2又は3に記載の情報処理装置。
【0157】
(付記5)
前記管理対象区域への入場が許可された前記利用者に関連付けられた前記利用者端末に前記管理対象区域における前記物品の保管場所を通知する通知部、
をさらに備える付記2乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【0158】
(付記6)
前記利用者の前記管理対象区域内における滞在時間が所定時間を超えた場合に、アラート情報を出力する出力部、
をさらに備える付記1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置。
【0159】
(付記7)
前記管理対象区域への入場の権限を有する前記利用者に関連付けられた前記端末識別情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記記憶部に記憶された前記端末識別情報と前記取得部で取得された前記端末識別情報とが一致する場合に、前記利用者の前記管理対象区域への入場を許可する、
付記1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。
【0160】
(付記8)
前記記憶部は、前記管理対象区域に対応する鍵情報を前記端末識別情報に関連付けて記憶し、
前記取得部は、前記利用者端末から前記端末識別情報及び前記鍵情報を取得し、
前記判定部は、前記端末識別情報及び前記鍵情報に基づいて前記利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定する、
付記7に記載の情報処理装置。
【0161】
(付記9)
前記利用者が前記管理対象区域から退場した場合に、前記記憶部から前記鍵情報を削除する削除部、
をさらに備える付記8に記載の情報処理装置。
【0162】
(付記10)
無線通信により利用者端末との接続を確立するステップと、
前記利用者端末が管理対象区域への入場要求用の画像を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得するステップと、
前記端末識別情報に基づいて、前記利用者端末を携帯する利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定するステップと、
を備える情報処理方法。
【0163】
(付記11)
コンピュータに、
無線通信により利用者端末との接続を確立するステップと、
前記利用者端末が管理対象区域への入場要求用の画像を読取った場合に前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得するステップと、
前記端末識別情報に基づいて、前記利用者端末を携帯する利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定するステップと、
を実行させるためのプログラムが記録された記録媒体。
【0164】
(付記12)
管理対象区域への入場要求用の画像を読取る機能を有し、利用者が携帯する利用者端末と、
前記利用者端末と無線通信を行う情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記無線通信により前記利用者端末との接続を確立する接続部と、
前記画像を読取った前記利用者端末から前記無線通信を介して送信された端末識別情報を取得する取得部と、
前記端末識別情報に基づいて前記利用者の前記管理対象区域への入場の可否を判定する判定部と、
を有する情報処理システム。
【0165】
この出願は、2018年10月31日に出願された日本出願特願2018-205060を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0166】
1 引渡管理システム
10 保管室(管理対象区域)
11 ドア
12 鍵穴シール(標識部材)
13 棚
13a 棚ラベル
13b 背板
14 案内テーブル
15 バックヤード
16 管理ドア
101 エッジGW
102 退室ボタン
103 電気錠
104 電話機
105 ライブカメラ
106 棚カメラ
107 ハブ
108 音声端末
109 ディスプレイ
110 ルータ
131 CPU
132 RAM
133 ROM
134 記憶装置
135 入出力I/F
20、20A、20B、20C、20D 利用者
21 利用者端末
21a 無線通信部
21b 判定部
21c 表示制御部
200 物品
201 伝票
31 管理サーバ
32 データベース
33 事業者サーバ
34 データベース
41 ECサーバ
60 情報処理装置
61 接続部
62 取得部
63 判定部
700 情報処理システム
710 利用者端末
720 情報処理装置
721 接続部
722 取得部
723 判定部
図1
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