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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20231130BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20231130BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20231130BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
G09B29/00 A
G09B29/10 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020022141
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021128035
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【弁理士】
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】有木 紘志
(72)【発明者】
【氏名】前川 仁樹
(72)【発明者】
【氏名】作村 雅之
(72)【発明者】
【氏名】杉吉 竜弥
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩之
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-015939(JP,A)
【文献】特開2011-118491(JP,A)
【文献】特開2013-064606(JP,A)
【文献】特開2006-007892(JP,A)
【文献】特開2007-093377(JP,A)
【文献】特開2007-240365(JP,A)
【文献】特開2010-122148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G09B 23/00-29/14
G08G 1/00-99/00
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエネルギー残量を検知するエネルギー残量検知手段及び前記車両の速度を検知する速度検知手段からの検知結果を取得可能な車両表示装置において、
エネルギー補給施設を検索可能な検索手段と、
前記車両に関する表示を表示画面上に表示する表示手段と
を備え、
前記表示手段は、前記車両のエネルギー残量が所定閾値より低く且つ前記車両の速度が所定速度以上であるとの検知がなされた場合に、エネルギー補給が必要であることを示し且つ前記車両の一時停止を促す停車催促表示を行い、その後、前記車両の速度が所定速度未満となった場合に、前記検索手段を利用した検索に関する表示を行い、
前記表示手段は、前記停車催促表示に対してドライバーからの応答があった場合、前記停車催促表示を消して、通常表示に復帰する車両用表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用表示装置において、
前記停車催促表示は、前記表示画面における前記車両の車幅方向の右側又は前記車両の上下方向の下側に、前記表示画面の全体を覆うことがないように表示される車両用表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用表示装置において、
前記表示手段は、自車両の位置表示を含む地図表示を前記表示画面に表示可能であり、前記停車催促表示により前記表示画面の一部が覆われたときには、前記表示画面における前記停車催促表示により覆われていない部分に前記地図表示を表示するとともに、前記地図表示における前記自車両の位置表示がドライバーにとって視認しやすい位置に配置されるように前記地図表示を調整する車両用表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用表示装置において、
前記停車催促表示には、ドライバーに対して停車後にエネルギー補給施設の検索を要するか否かを確認する表示を含み、
前記表示手段は、停車後にエネルギー補給施設の検索を要しないとの選択がなされた場合には、前記車両の停止後も前記検索に関する表示を行わない車両用表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用表示装置において、
前記表示手段は、前記停車後にエネルギー補給施設の検索を要するか否かを確認する表示に対して、停車後にエネルギー補給施設の検索を要しないとの選択がなされた場合において、当該選択後に所定時間が経過したときには、再び停車催促表示を行う車両用表示装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の車両用表示装置において、
前記表示手段は、前記停車後にエネルギー補給施設の検索を要するか否かを確認する表示に対して、停車後にエネルギー補給施設の検索を要しないとの選択がなされた場合において、当該選択後に自車両から所定距離以内にあるエネルギー補給施設の数が減少したときには、再び停車催促表示を行う車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーへの充電を必要とする車両(例えば電気自動車やハイブリッド車)に備えられる車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド車のように電動モータを搭載した車両が普及してきている。このような電動モータを搭載した車両においては、車両のエネルギー残量(充電残量)が不足した場合に、適切な充電がなされる必要があるため、車室内の表示装置に充電に関連した表示がなされることがある。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2011-232241号公報)には、車両のバッテリー残量を検出し、目的地まで到達できない場合、表示装置に充電施設までの経路を提示する発明が開示されている。また、特許文献2(特開2013-64606号公報)には、車両のバッテリー残量が閾値より低い場合に、表示装置に充電施設までの案内情報を提示する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-232241号公報
【文献】特開2013-64606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来から充電に関する各種表示(充電施設の案内や充電施設を検索するための表示)を行う車両用表示装置が用いられてきているが、このような表示は、車両を運転中のドライバー(運転者)にとって、必ずしも望ましいものではなく、場合によっては、ドライバーに煩わしさを感じさせ、運転の邪魔になってしまうこともあり得る。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、ドライバーに煩わしさを感じさせることなく、エネルギー補給のための適切な表示を行うことができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては、次のような解決方法を採択している。すなわち、請求項1に記載のように、車両のエネルギー残量を検知するエネルギー残量検知手段及び前記車両の速度を検知する速度検知手段からの検知結果を取得可能な車両表示装置において、エネルギー補給施設を検索可能な検索手段と、前記車両に関する表示を表示画面上に表示する表示手段とを備え、前記表示手段は、前記車両のエネルギー残量が所定閾値より低く且つ前記車両の速度が所定速度以上であるとの検知がなされた場合に、エネルギー補給が必要であることを示し且つ前記車両の一時停止を促す停車催促表示を行い、その後、前記車両の速度が所定速度未満となった場合に、前記検索手段を利用した検索に関する表示を行い、前記表示手段は、前記停車催促表示に対してドライバーからの応答があった場合、前記停車催促表示を消して、通常表示に復帰する
【0008】
上記解決手法によれば、車両のエネルギー残量が低下した場合には、まず停車催促表示がなされ、その後、車両の速度が所定速度未満となった場合(例えば車両が停止した場合)に、初めて検索に関する表示がなされるので、車両のドライバーは、車両の運転中には、表示の確認や応答操作に必要以上に煩わされることなく、快適な運転を継続することができるとともに、車両の停車後における検索に関する表示の確認と操作に適切に導かれ、ドライバーが適切な状態(運転をいったん停止した状態)になった後に、エネルギー補給施設の検索操作がなされるようにできる。また、停車催促表示への応答後は、表示画面が通常表示に復帰するので、ドライバーは、停車催促表示が表示された画面表示に煩わしさや不便さを感じさせられることなく、通常表示を参照した適切な運転を行うことができる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載の通りである。すなわち、前記停車催促表示は、前記表示画面における前記車両の車幅方向の右側又は前記車両の上下方向の下側に、前記表示画面の全体を覆うことがないように表示される(請求項2対応)。この場合、停車催促表示は人間の視認に関する特性上、比較的目立たない場所に表示されるので、ドライバーは、停車催促表示によって煩わしさを感じさせられることなく、快適な運転を継続することができる。
【0010】
前記表示手段は、自車両の位置表示を含む地図表示を前記表示画面に表示可能であり、前記停車催促表示により前記表示画面の一部が覆われたときには、前記表示画面における前記停車催促表示により覆われていない部分に前記地図表示を表示するとともに、前記地図表示における前記自車両の位置表示がドライバーにとって視認しやすい位置に配置されるように前記地図表示を調整する(請求項3対応)。この場合、表示画面上の視認しやすい場所に、適切に調整された地図表示が表示されるので、ドライバーは、自車両の位置を見失わずに、適切な運転を継続することができる。
【0012】
前記停車催促表示には、ドライバーに対して停車後にエネルギー補給施設の検索を要するか否かを確認する表示を含み、前記表示手段は、停車後にエネルギー補給施設の検索を要しないとの選択がなされた場合には、前記車両の停止後も前記検索に関する表示を行わない(請求項4対応)。この場合、エネルギー補給施設の検索が不要な場合には、検索に関する表示がなされないので、ドライバーにとって不必要な表示によって、ドライバーが煩わしさを感じてしまうことがないようにできる。
【0013】
前記表示手段は、前記停車後にエネルギー補給施設の検索を要するか否かを確認する表示に対して、停車後にエネルギー補給施設の検索を要しないとの選択がなされた場合において、当該選択後に所定時間が経過したときには、再び停車催促表示を行う(請求項5対応)。この場合、停車催促表示に対する応答後に長時間が経過して、ドライバーに充電を促す必要性が高まったと考えられる場合には、再度、停車催促表示がなされ、ドライバーに充電の必要性が喚起されるので、ドライバーが充電を忘れてしまったり、エネルギー補給施設に到達するためのエネルギー残量が不足してしまったりすることを適切に防止できる。
【0014】
前記表示手段は、前記停車後にエネルギー補給施設の検索を要するか否かを確認する表示に対して、停車後にエネルギー補給施設の検索を要しないとの選択がなされた場合において、当該選択後に自車両から所定距離以内にあるエネルギー補給施設の数が減少したときには、再び停車催促表示を行う(請求項6対応)。この場合、停車催促表示に対する応答後に、所定距離以内に存在するエネルギー補給施設数が減少した場合に、再度、停車催促表示がなされ、ドライバーに充電の必要性が喚起されるので、ドライバーが気付かないうちに自車両の周囲に利用しやすいエネルギー補給施設が無くなってしまうような事態を適切に防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両のエネルギー残量が少なくなった場合に、ドライバーに煩わしさを感じさせることなく、エネルギー補給に関する適切な表示を行い、ドライバーを適切な検索操作に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の車両用表示装置が備えられる車両の車室内レイアウトの一例を示す図。
図2】本発明の制御系の一例を示すブロック構成図。
図3】表示画面における通常表示の一例を示す図。
図4】充電警告ランプの表示の一例を示す図。
図5】停車催促表示が表示された表示画面の一例を示す図。
図6】検索開始打診表示が表示された表示画面の一例を示す図。
図7】検索結果一覧表示が表示された表示画面の一例を示す図。
図8】本発明における制御例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1には、本発明の実施形態の車両用表示装置が備えられる車両(例えば電気自動車)の車室内レイアウトの一例を示す。図示されるように、車室1の前部には、ダッシュボード2が配設されている。ダッシュボード2には、運転席3の前方に位置するように、インストルメントパネル4が組み込まれており、このインストルメントパネル4には、車両のエネルギー残量を表示可能なメータ表示ユニット5が備えられている。
【0019】
ダッシュボード2の車幅方向中央部分には、センターディスプレイ6が配設されている。センターディスプレイ6は、各種画像表示を表示可能な表示画面6Aを備えている。なお、表示画面6Aは、例えば液晶ディスプレイから構成されている。
【0020】
ダッシュボード2の車幅方向中央部には、車体前後方向に延びるセンターコンソール7が連結されている。センターコンソール7には、シフトレバー8と、ドライバーが各種操作を行うための操作部9が設けられている。操作部9には、コマンダースイッチ10が備えられており、車両用表示装置に関する各種操作(例えば、センターディスプレイ6の表示画面6Aに表示された各種操作用の画面表示に応答する操作)は、コマンダースイッチ10の操作によってなされるようになっている。
【0021】
図2は、本発明の実施形態における車両用表示装置の制御系を示すブロック構成図である。図示されるように、制御系は、バッテリー制御ユニット11と、車速制御ユニット12と、制御ユニット13を備えている。バッテリー制御ユニット11には、バッテリーセンサ21から、エネルギー残量(車両を駆動する電動モータのためのバッテリーの充電残量)の検出値を示す信号が入力される。車速制御ユニット12には、車速センサ22から、車両速度の検出値を示す信号が入力される。
【0022】
制御ユニット13は、センターディスプレイ6における画面表示を制御するディスプレイ制御ユニットを備えており、センターディスプレイ6とともに車両用表示装置の表示手段を構成している。制御ユニット13は、検索手段であるカーナビゲーションシステムの機能も備えており、GPSアンテナ23を介して取得した情報を利用して、センターディスプレイ6の表示画面6Aにおける画面表示を制御することにより、表示画面6Aに、自車両の位置を含む地図表示を含む画面表示(図3等参照)や、検索に関する表示(図7等参照)を表示することができるようになっている。
【0023】
制御ユニット13には、コマンダースイッチ10の操作状態を示す信号が入力される。また、制御ユニット13は、バッテリー制御ユニット11からのバッテリー残量に関する情報(エネルギー残量の検出値)と、車速制御ユニット12からの車速に関する情報(車両速度の検出値)を、それぞれ取得可能となっている。
【0024】
次に、図3から図7にしたがって、本発明の車両用表示装置における表示について詳細に説明する。図3には、センターディスプレイ6の表示画面6Aに表示される通常表示の一例を示す。図示されるように、通常表示においては、自車両30の位置表示が表示画面6Aのほぼ中央に配置されるように調整された地図表示31が、表示画面6Aの全体に表示され得る。なお、車両の目的地が設定されている場合には、通常表示として、地図表示31上で目的地までの経路を案内するナビゲーション画面表示が表示されることになる。
【0025】
車両のエネルギー残量(バッテリーの充電残量)には、所定の閾値が設定されており、この閾値に基づいて、十分なエネルギー残量が残っているか否かが判定されるようになっている。エネルギー残量がこの閾値以上である場合には、十分なエネルギー残量が残っていると判断され、センターディスプレイ6の表示画面6Aには、図3に示すような通常表示が継続して表示され続ける。
【0026】
一方、車両のエネルギー残量が閾値より低く(閾値未満に)なると、エネルギー残量が不足していると判断され、メータ表示ユニット5に、エネルギー補給(バッテリーの充電)が必要であることを知らせる充電警告ランプが点灯表示される。図4には、充電警告ランプの一例を示す。本例では、バッテリーの充電状態を示す充電メータ32に隣接した位置に、例えば赤色等の目立つ色からなる充電警告ランプ33が点灯表示されるようになっている。なお、充電警告ランプ33は、バッテリーの充電がなされ、エネルギー残量が閾値以上となるまで点灯し続けるようにしてもよい。また、充電警告ランプ33は、メータ表示ユニット5ではなく、センターディスプレイ6の表示画面6A内に表示するようにしてもよい。
【0027】
車両のエネルギー残量が閾値未満となった場合には、センターディスプレイ6の表示画面6Aに、図5に示すような停車催促表示34が表示される。停車催促表示34は、ドライバーに対して、エネルギー残量が少なくなったとこと示すとともに、エネルギー補給施設(バッテリーの充電スポット)の検索(経由地への登録)を行うための車両の一時停止を促す表示である。図3に示す例においては、「電池残量が少なくなりました。安全な場所に停車して、充電スポットを経由地に追加してください。」との表示がなされるようになっている。
【0028】
停車催促表示34は、表示画面6Aにおける(車両の車幅方向の)右側又は(車両の上下方向の)下側の部分に、表示画面6Aの全体を覆うことがないように表示され、残りの部分で地図表示31が継続されるようになっている。図5には、停車催促表示34が表示画面6Aの右側に表示される例を示している。なお、本例では、停車催促表示34を表示画面6Aの右側の上下方向全体に表示しているが、停車催促表示34は、表示画面6Aの右側の上下方向の一部に表示してもよいし、表示画面6Aの下側の左右方向の全体又は一部に表示してもよい。一例として、停車催促表示34を表示画面6Aの右下隅に表示する形態も考えられる。
【0029】
このように停車催促表示34を表示画面6Aの右側又は下側の一部に表示することにより、ドライバーにとっての重要性(必要性)がより高い表示である地図表示31が、ドライバーにとって視認しやすい画面の左側又は上側に表示されるので、ドライバーは、停車催促表示34に煩わされることなく、地図表示31を参照して運転を続けることができる。
すなわち、人間が表示画面6Aのような画面を見る場合、人間の視認に関する特性上、左上から右下に向けて(Zを描くように)見ていくことになるので、より重要性の高い表示を画面の左側又は上側に配置することにより、視認性を高めることができる。このため、本発明では、車両の運転に対して直接的な関係はない停車催促表示34を、表示画面6Aの右側又は下側に配置することにより、ドライバーにとって、より必要性の高い表示(地図表示31)に対する視認性が損なわれないようにしている。
【0030】
停車催促表示34の表示範囲は、表示内容を適切に提示できる範囲で、できるだけ小さな領域としてもよい。これにより、停車催促表示34以外の画面表示(本実施形態では、地図表示31)を、停車催促表示34が適切に表示される範囲で、出来る限り広い範囲で表示できるので、ドライバーにとっての高い便益性が確保される。なお、図5の例では、停車催促表示34の表示範囲は、表示画面6Aの1/2程度の部分に制限され、地図表示31の表示範囲は、表示画面6Aの3/4程度の部分となっているので、地図表示31に十分な広さが確保されている。
【0031】
このように、停車催促表示34が表示された場合、地図表示31は表示画面6Aの停車催促表示34に覆われていない部分に表示され続けるが、この場合の地図表示31は、自車両30の位置表示が地図表示31においてドライバーにとって視認しやすい位置に配置されるように表示形態が調整されたものとされる。図5の例においては、停車催促表示34の表示前の通常表示(図3参照)の上に停車催促表示34をそのまま重ねて表示するのではなく、地図表示31を通常表示から全体に左側にずらすことにより(或いは地図表示31を全体に縮小することにより)、自車両30が(通常表示の場合と同様に)地図表示31の左右方向のほぼ中央部に配置されるようにしている。これにより、自車両30の左右両側に地図が広く表示されるので、ドライバーにとって有益な情報を得やすく見やすい画面表示になる。なお、停車催促表示34が表示された画面(図4)と通常表示(図3)のいずれにおいても、自車両30の位置表示は、地図表示31の下側部分に配置されている。これにより、自車両30の上側に、進行方向(地図表示31の上方向)の地図が広く表示されるようになっている。
【0032】
停車催促表示34は、エネルギー補給施設の検索を行うか否かを確認する表示を含んでおり、ドライバーが検索の要否を選択できるようになっている。図5に示す例においては、エネルギー補給施設の検索を行う場合(検索要の場合)の選択肢として「OK」が、エネルギー補給施設の検索を行わない場合(検索不要の場合)の選択肢として「Cancel」が設けられている。ドライバーは、コマンダースイッチ10を操作することにより、表示画面6A上で「OK」又は「Cancel」の選択(選択内容の入力操作)を行うことができるようになっている。
【0033】
停車催促表示34への応答(検索要又は検索不要の選択)があった場合には、表示画面6Aにおける画面表示を通常表示に復帰する。この場合、検索不要(Cancel)が選択されたのであれば、その後は、エネルギー補給施設の検索に関する画面表示(図6図7参照)を行わない。すなわち、検索不要が選択された場合には、ドライバーが充電施設の場所を知っていたり、既に自宅近くであったりして、エネルギー補給施設の検索に関する画面表示は、ドライバーにとって不要な表示であると考えられるので、その後は通常表示(図3)の表示を継続して、ドライバーに不要な煩わしさを与えないようにする。
【0034】
なお、停車催促表示34への応答で検索不要が選択された場合でも、その後に状況が変化して、早急な充電の必要性が高まった場合等には、ドライバーに対して再び注意を勧告する方が望ましいことがある。このため、検索不要を選択する応答があった場合であっても、応答後に所定の条件が満たされた場合には、再び停車催促表示34を行うようにしてもよい。具体的には、本実施形態では、停車催促表示34への応答で検索不要が選択された後に、所定時間が経過した場合又は自車両から所定距離以内の充電スポットの数が減少した場合には、再び停車催促表示34を表示するようにしている(図6のフローチャートのステップS5~S8参照)。
【0035】
一方、停車催促表示34への応答として検索要(OK)が選択された場合には、その後、車両速度が所定速度以下になる(例えば車両が停車する)のを待って、図6及び図7に示すような検索に関する表示を行う。なお、本実施形態では、停車催促表示34への応答があったときには、検索要が選択された場合でも、いったん通常表示に復帰して、ドライバーの煩わしさを軽減するようにしているが、このような通常表示への復帰を行わず、検索用の選択後も、停車催促表示34又はこれに代わる画面表示を(例えば、検索要の選択が完了して、停車後に検索が可能となることを明示する表示を含めるようにして)表示し続けるようにしてもよい。
【0036】
停車催促表示34への応答として検索要(OK)を選択する応答がなされ、その後、車速センサ22によって検出された車両速度が所定速度以下となった場合には、まず、図6に示すような検索開始打診表示35を、表示画面6A上に表示する。本例において、検索開始打診表示35は、表示画面6Aの大部分を覆うような大きさのものとなっており、表示画面6Aの中央に表示されるようになっている。これにより、検索開始打診表示35を目立つことものとできるので、ドライバーは、迷うことなく検索開始打診表示35に対する応答を行うことができる。この一方で、車両は既に停止しているので、検索開始打診表示35によって地図表示31の大部分が覆われてしまっていても、ドライバーに支障が生じることは少ない。
【0037】
検索開始打診表示35においては、エネルギー補給施設(充電スポット)の検索を開始するか否かを選択可能となっている。図6の例において、検索開始打診表示35には、「充電してください。充電スポットを探しますか?」との表示がなされ、検索を開始する場合(検索開始要の場合)には「OK」を、また検索を開始しない場合(検索開始不要の場合)には「Cancel」を選択できるようになっている。検索開始打診表示35において検索開始不要が選択された場合には、表示画面6Aは通常表示に復帰する。
【0038】
一方、検索開始打診表示35において検索開始要が選択された場合には、エネルギー補給施設の検索を行い、表示画面6A上に、図7に示すような検索結果一覧表示36を表示する。検索結果一覧表示36は、検索によって得られた利用可能なエネルギー補給施設(自車両の現在位置の近隣にある充電スポット)に関する情報を一覧にして示すものである。
【0039】
図6に示す例では、検索結果一覧表示36において、充電スポットA~Eが、各充電スポットまでの距離(例えば充電スポットAまでは1.5km等)と、地図表示31上における各充電スポットの自車両30からの方向を示す矢印とともに、縦方向に並ぶ一覧として表示されている。また、検索結果一覧表示36は、表示画面6Aの一部のみを覆うものとされ、表示画面6Aの左側部分(視認特性上、目立つ位置)に配置され、検索結果一覧表示36の右側には、地図表示31が広い範囲で表示されるようになっている。なお、一覧表示された充電スポットA~Eについて、その全部又は一部の位置を、地図表示31上に表示するようにしてもよい。
【0040】
検索結果一覧表示36において、いずれかのエネルギー補給施設(充電スポット)が選択されたならば、選択されたエネルギー補給施設を目的地とするナビゲーション画面表示が表示画面6Aに表示され、そのエネルギー補給施設までの案内が実行される。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、車両のエネルギー残量が閾値を下回った場合には、センターディスプレイ6の表示画面6Aに停車催促表示34が表示されるが、停車催促表示34は表示画面6Aの比較的目立たない一部分に配置されるので、運転中のドライバーは、煩わしさを感じさせられることなく、快適な運転を継続することができる。また、検索に関する表示(検索開始打診表示35、検索結果一覧表示36)は、停車催促表示34により促された車両の停車後に表示されるので、ドライバーは、車両停車後の適切な状態(いったん運転を休止した状態)において、検索に関する表示の確認及び検索操作に行うように導かれ、検索作業を適切に行うことができる。
【0042】
次に、図8のフローチャートにしたがって、本発明の車両用表示装置における制御例を説明する。制御においては、まずステップS1において、車両のエネルギー残量が所定の閾値未満であるかの判定がなされ、閾値未満でなければ、ステップS16に進み、通常表示を継続して、一巡の処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS1において、車両のエネルギー残量が閾値未満である場合には、ステップS2に進み、メータ表示ユニット5において充電警告ランプ33を点灯し、続くステップS3において、表示画面6Aに停車催促表示34を表示する。
【0044】
ステップS4においては、停車催促表示34に対する応答として、充電スポットの検索要が選択された否かの判定がなされ、検索要が選択されなかった場合(検索不要が選択された場合)にはステップS5に進み、検索要が選択された場合にはステップS9に進む。
【0045】
ステップS5においては、表示画面6Aを通常表示に復帰させる(停車催促表示34を消す)。続くステップS6において、停車催促表示34に対する応答後に所定時間が経過したか否かが判定され、所定時間が経過した場合には、ステップS3に戻って、再び停車催促表示34を表示する。
【0046】
ステップS6の判定で、所定時間が経過していない場合には、ステップS7に進み、停車催促表示34に対する応答後に自車両から所定距離以内の充電スポットの数が減少したか否かの判定がなされ、充電スポットの数が減少した場合には、ステップS3に戻って、再び停車催促表示34を表示する。一方、充電スポットの数が減少していない場合には、ステップS8に進み、車両速度が所定速度以下になったか否か(例えば停車したか否か)の判定がなされ、所定速度以下でなければ、ステップS5に戻って、ステップS5~ステップS8の処理を繰り返す。車両速度が所定速度以下になったならば、そのまま処理を終了する。
【0047】
ステップS9においては、いったん通常表示に復帰し(停車催促表示34を消し)、続くステップS10において、車両が所定速度以下になったか否か(例えば停車したか否か)の判定がなされ、車両が所定速度以下になったところで、ステップ11に進む。
【0048】
ステップS11においては、表示画面6Aに検索開始打診表示35を表示する。続くステップS12においては、検索開始打診表示35に対する応答として検索開始が選択された否かの判定がなされ、検索開始が選択されなかった場合(検索不要が選択された場合)には、ステップS16に進み、通常表示に復帰して、一巡の処理を終了する。
【0049】
一方、ステップS12において、検索開始が選択された場合には、ステップS13に進み、表示画面6Aに検索結果一覧表示36を表示する。続くステップS14においては、検索結果一覧表示36に一覧表示された充電スポットについて案内開始が選択された否かについての判定がなされ、案内開始が選択されなかった場合には、ステップS16に進み、通常表示に復帰して、一巡の処理を終了する。一方、案内開始が選択された場合には、ステップS15に進み、選択された充電スポットまでの道順の案内を開始して、一巡の処理を終了する。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲において適宜の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、停車催促表示34等に対する応答は、コマンダースイッチ10を用いて行うようにしているが、センターディスプレイ6の表示画面6Aをタッチパネル式のものとして、応答をタッチパネルへのタッチで行えるようにしてもよい。
【0051】
また、停車促進表示34、検索開始打診表示35、検索結果一覧表示36の表示形態も、上記実施形態に限定されない。例えば、検索開始打診表示35は、図6の例のように表示画面6Aの大部分を覆うものとせずに、表示画面6Aの一部(例えば左側又は上側のような目立つ場所)に表示されるようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、車両用表示装置の表示手段として、センターディスプレイ6を用いているが、本発明における表示手段はこのような形態に限られるものでなく、表示手段として、例えばヘッドアップディスプレイを用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、バッテリーへのエネルギー補給を必要とする車両(例えば電気自動車)における車両用表示装置に利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 車室
2 ダッシュボード
3 運転席
4 インストルメントパネル
5 メータ表示ユニット
6 センターディスプレイ
6A 表示画面
7 センターコンソール
8 シフトレバー
9 操作部
10 コマンダースイッチ
11 バッテリー制御ユニット
12 車速制御ユニット
13 制御ユニット
21 バッテリーセンサ
22 車速センサ
23 GPSアンテナ
30 自車両
31 地図表示
32 メータ表示
33 充電警告ランプ
34 停車催促表示
35 検索開始打診表示
36 検索結果一覧表示
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8