(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】抗コロナウイルス剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/736 20060101AFI20231130BHJP
A01N 65/34 20090101ALI20231130BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20231130BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20231130BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20231130BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20231130BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20231130BHJP
A61Q 17/00 20060101ALI20231130BHJP
A61K 131/00 20060101ALN20231130BHJP
【FI】
A61K36/736
A01N65/34
A01P1/00
A23L19/00 D
A23L33/105
A61K8/9789
A61P31/14
A61Q17/00
A61K131:00
(21)【出願番号】P 2022031153
(22)【出願日】2022-03-01
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】505028831
【氏名又は名称】みなべ町
(73)【特許権者】
【識別番号】000125369
【氏名又は名称】学校法人東海大学
(73)【特許権者】
【識別番号】521092188
【氏名又は名称】学校法人河▲崎▼学園
(74)【代理人】
【識別番号】100104307
【氏名又は名称】志村 尚司
(72)【発明者】
【氏名】竹腰 進
(72)【発明者】
【氏名】山本 典生
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 洋才
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】日本補完代替医療学会誌、2020年第17巻第1号、第95-98頁
【文献】Int. J. Trad. Chin. Med., 2020, Vol. 42, No. 9, pp. 823-829
【文献】J. Antibact. Antifung. Agents, 2021, Vol. 49, No.6, pp. 307-315
【文献】薬学生のための天然物化学,株式会社南江堂,2004年,pp. 139-144,IV 植物成分研究法、1 植物の調査,予備実験,抽出分離,生物活性試験
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/736
A01N 65/34
A01P 1/00
A23L 19/00
A23L 33/105
A61K 8/9789
A61P 31/14
A61Q 17/00
A61K 131/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梅干のメタノール抽出物のヘキサン抽出物を有効成分として含むコロナウイルスSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤。
【請求項2】
コロナウイルスSARS-CoV-2に対する抗ウイルス用組成物の製造のための、
梅干のメタノール抽出物のヘキサン抽出物の使用。
【請求項3】
前記組成物は、医薬組成物、食品組成物、化粧料組成物、噴霧又は塗布用組成物の何れかである請求項2に記載の
使用。
【請求項4】
コロナウイルスSARS-CoV-2に対する抗ウイルス用品の製造のための、梅干のメタノール抽出物のヘキサン抽出物の使用。
【請求項5】
梅干のメタノール抽出物のヘキサン抽出物とコロナウイルスSARS-CoV-2を、ヒトの体外で接触させて、該コロナウイルスを失活又は活性を抑制させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗コロナウイルス剤に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して、レムデシビル、デキサメタゾン、バリシチニブやカシリビマブ/イムデビマブのカクテル療法剤などが提供されているが、これらの医薬は非常に高価である。新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスと同様に一本鎖RNAウイルスであり、インフルエンザウイルスに対する医薬品として、例えばオセルタミビル(商品名「タミフル」)やバロキサビル、マルボキシル(商品名「ゾフルーザ」)など種々の化学合成医薬品が提供されてはいるが、これらの医薬品は新型コロナウイルスに対して有効であるとも言えない。
【0003】
一方、梅酢ポリフェノールなど、梅の実に含まれる種々の化合物が抗ウイルス剤として用いられることが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかしながら、これらの抗ウイルス剤も抗インフルエンザ活性を抑えることしか知られておらず、梅の実抽出物など梅の実に含まれる種々の化合物が新型コロナウイルスに対して抗ウイルス活性を有するか否かは不明であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-246419号公報
【文献】特開2012-041280号公報
【文献】特開2014-214121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗ウイルス作用を示す新規物質を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、梅の実、梅干、梅の実の抽出物、梅干の抽出物の少なくとも何れかを新型コロナウイルスの抗ウイルス剤として用いる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、新型コロナウイルスに対する新しい抗ウイルス剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】リアルタイムPCRによる梅干抽出物の抗ウイルス活性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗ウイルス剤(以下「抗ウイルス剤」と称する。)は梅の実、梅干、梅の実の抽出物、梅干の抽出物の少なくとも何れかを有効成分とする。本発明において、新型コロナウイルスは、SARS-CoV-2に分類されるコロナウイルスを意味する。新型コロナウイルスには、遺伝子配列がそれぞれ異なるアルファ株、ベータ株、デルタ株、オミクロン株などの各種の株並びにそれら亜種が存在することが知られているが、本発明では、遺伝子解析により共通起源を有すると判定される新型コロナウイルスであれば、その何れもが対象とされ得る。また、抗ウイルス剤は抗ウイルス作用(抗ウイルス効果)を発揮することを意図し、抗ウイルス作用は、ウイルスの感染や感染した細胞内での増殖を抑制する、ウイルスの活性を失活、低減させる、あるいは感染した細胞内のウイルス量(測定されるRNA量)を抑制又は減少させる作用を意味するだけでなく、ウイルスの感染性を失わせるいわゆる殺ウイルス作用をも含む意味で用いられる。
【0010】
抗ウイルス剤として用いられる梅の実の種類は問われず、南高、小粒南高、古城、白加賀、紅差、豊後、鶯宿など各種の実梅から得られる梅の実が例示される。本発明では、梅の実は青梅でも、熟して黄色みを帯びた梅の実であっても差し支えない。本発明においては、種を含む梅の実全体を用いても、種を除いた果肉部分を用いることもできる。好ましくは梅の実、梅干のいずれにおいても種を除いた果肉部分であって、果肉部分は梅の実の皮を含むものであっても、皮を除いたものでも差し支えない。
【0011】
本発明では、収穫した梅の実を塩漬けして得られる梅干も用いることができる。本発明に用いられる梅干は、塩漬けして得られた梅の実であればよく、塩漬けの後に種々の加工を加えて得られた梅の実、例えば、塩漬けした後に日干しなどの方法で乾燥して得られる梅の実(いわゆる白干し梅)、白干し梅を紫蘇と梅酢で漬け込んで得られる梅干やさらにそれを日干しした梅の実、また白干し梅を種々の調味料から作製される調味液で漬け込んで得られる梅の実などを含む意味で用いられる。塩漬けは、梅の実(青梅であっても、熟して黄色みを帯びたものであってもよい)に塩を振りかけて放置、好ましくは塩を振りかけた梅の実に荷重をかけて放置することで行われる。梅の実と塩の量比は適宜定められるが、塩の量は質量比で梅の実に対して好ましくは少なくとも5%以上、より好ましくは10%~30%である。もちろん、これ以上の質量比であっても差し支えない。放置する時間も適宜定めることができるが、いわゆる梅酢が上がってくる数日間から塩漬けし始めて3~4週間程度である。塩漬けの際には、種子を残した梅の実が用いられるが、種子を除いたいわゆる果肉部分を塩漬けしても差し支えない。また、本発明では食用できる梅の実(実梅)を用いるのが好ましいが、食用でない実梅の実を用いても差し支えない。
【0012】
本発明では、塩漬けする前の梅の実やそれを塩漬けして得られた梅干、好ましくは種子を取り除いた部分をそのまま抗ウイルス剤として用いることもできるが、梅の実や梅干を各種の溶媒を用いて抽出して得られる抽出物(溶媒抽出物)を抗ウイルス剤として用いるのが好ましい。
【0013】
用いられる溶媒は、動植物の抽出に用いられ得る一般的な抽出溶媒であればよく、親水性溶媒や疎水性溶媒のいずれでもあり得る。親水性溶媒は、水及び水と混合し得る親水性の有機溶媒であって、有機溶媒として例えばエタノールやイソプロパノールなど一価のアルコール類、エチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコール類、酢酸などのカルボン酸類、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類が例示される。また、抽出溶媒は、これらの親水性の有機溶媒と水の混液でもあり得る。疎水性溶媒は、非親水性の溶媒であり、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類などであり得る。
【0014】
抽出方法も特に制約されるものではなく、塩漬けする前の梅の実や梅干を、種を含む状態で前記各種の抽出溶媒に浸漬する方法や種を除いた梅の実の果肉や梅干の果肉を前記の抽出溶媒に浸漬する方法が例示される。また、梅の実や梅干、それらの果肉は適宜細かくして用いるのが好ましい。浸漬温度、浸漬時間、抽出溶媒と梅干などの量比なども適宜当業者により定められ得る。この他にも超臨界流体を用いた抽出方法も用いられ得る。抽出後は残渣を取り除いた後、減圧乾燥や凍結乾燥などの常法により適宜抽出液を濃縮して抽出物を得る。もちろん、抽出液から残渣を除くことなく濃縮してもよく、濃縮することなく抽出物として用いることもできる。また、得られた抽出物は効果が失われない範囲において、さらに種々の親水性溶媒や非親水性溶媒などを用いた液液抽出による分画処理、活性炭処理、吸着剤処理、イオン交換樹脂処理などにより精製を加えてもよい。
【0015】
本発明の抗ウイルス剤は、梅の実や梅干、それらの抽出物のいずれかを含むものであればよく、梅干やその抽出物を組み合わせたり、梅干の抽出物に梅の実を組み合わせたりして抗ウイルス剤とすることもできる。また、抗ウイルス剤は前記で得られた抽出物そのものや、梅の実や梅干の果肉そのものである場合だけでなく、いわゆる賦形剤との混合物でもあり得る。混合物に用いられる賦形剤としては、例えば乳糖、デンプン、デキストリン、白糖、水などが例示される。さらに、本発明の抗ウイルス剤は、これらの賦形剤やびその他の成分を含む各種の組成物でもあり得る。当該組成物は例えばヒトを含む動物に投与される医薬組成物であり、ヒトを含む動物が摂取可能な食品組成物であり、医薬部外品であるか否かを問わず種々の化粧料組成物、さらにはこれらに分類されない組成物(一般用組成物)でもあり得る。これら組成物の形態も特に限られず、医薬組成物の形態は例えば錠剤、散剤、液剤、チュアブル剤、カプセル剤、エアゾール剤などの噴霧剤などであり、食品用組成物の形態は例えばドリンク、飴、ゼリー、チューイングガム、チョコレート、クッキーなどであり、化粧料組成物の形態は例えば乳液や化粧水などの基礎化粧品、口紅やファンデーションなどのメークアップ化粧料、シャンプーや石鹸などの洗浄剤、ヘアトニックやヘアリキッドなどの頭髪用化粧料などであり、これらに分類されない組成物の形態は、例えば空間に噴霧されるエアゾール剤などの噴霧剤、ヒトの手や指などの身体の皮膚表面、ヒトの手や指が触れるドアノブ、水栓のハンドル、つり革の握り部、手すり、ペーパータオルやティッシュペーパー、マスクなどに抗ウイルス剤を付着ないし含ませるための液剤や噴霧剤、ゲル(ジェル)剤であり得る。さらに本発明の組成物には、抗ウイルス剤が予め含有させたペーパータオルやティッシュペーパー、マスクなども含まれる。これらの組成物には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常、前記各種の形態への加工に使用される成分、例えば水などの前記賦形剤、アルコール類、油剤、界面活性剤、ゲル化剤、水溶性高分子、皮膜形成剤、抗菌剤、殺菌剤、香料、塩類、pH調整剤、清涼剤、梅の実抽出物や梅干抽出物以外の各種の動植物抽出物、細胞賦活剤、ビタミン類等が加えられ、常法に従って各種組成物の形態に製造され得る。
【0016】
動物に対する抗ウイルス剤の投与量(摂取量)は当業者によって適宜定められ得るが、有効成分として例えば体重1kg0.00001mg~1000mgであり得る。また、組成物中の有効成分の量は、組成物の形態と使用方法に応じて当業者によって定められ、例えば0.00001%~99.9999%であり得る。
【0017】
本発明の方法は、抗ウイルス剤をヒトの体外で新型コロナウイルスと接触させることで、抗ウイルス作用を発揮させる方法である。接触させる方法は、抗ウイルス剤若しくは抗ウイルス剤を含む組成物を、新型コロナウイルスが存在すると考えられる場所、例えばヒトの手や指などの身体の皮膚表面、ヒトの手や指が触れるドアノブ、水栓のハンドル、つり革の握り部、手すりなどに塗布し、あるいは噴霧する方法、また、ペーパータオルやティッシュペーパー、布などに抗ウイルス剤を含浸させて新型コロナウイルスが存在すると考えられる前記場所を拭く方法、抗ウイルス剤を含む液、例えば水や洗剤を含む水溶液に新型コロナウイルスが付着していると考えられる物品やヒトの手や指など身体の一部を浸漬する方法であり得る。また、接触させる際の抗ウイルス剤の濃度も当業者によって適宜定められ得る。例えば、塗布や噴霧、浸漬する際の有効成分の濃度としては、0.00001v/w%~50.0v/w%であり得る。
【0018】
本発明の抗ウイルス用品は、ヒトの体外で新型コロナウイルスと接触することで抗ウイルス作用を得るための物品、又は抗ウイルス作用を発揮する物品であって、抗ウイルス剤がその表面に付着された物品や抗ウイルス剤を含む物品である。抗ウイルス用品は、新型コロナウイルスが付着する可能性のある物品であれば特に制約はなく、例えば、ドアノブ、水栓のハンドル、つり革の握り部、手すり、口や鼻を覆うマスク、タオル類、被服、家具、食品が収納される樹脂製やガラス製などの容器、いわゆるディスポーザブル手袋、空気清浄機やエアコンディショナーに用いられるフィルターなどが例示される。これらの抗ウイルス用品においては、当該物品の表面に付着し、若しくは当該物品に含有された抗ウイルス剤が新型コロナウイルスと接触することで、抗ウイルス作用が発揮される結果、物品に付着したウイルスの増殖が抑制され、あるいはウイルスが失活、死滅して、ヒトへの感染が抑制され得る。
【0019】
以下、本発明について下記の実施例に基づいて説明するが、本発明は下記実施例に限定されないのは言うまでもない。
【実施例1】
【0020】
〔梅干抽出物の作製〕
南高梅の実(青ウメ)から塩付け、天日干しをしていわゆる白干し梅(梅干し)を作った。得られた梅干しを凍結乾燥し、種のみを除いたその果肉(梅干し果肉:4.8kg)をメタノール6Lで24時間抽出後、ろ過した。この操作を3回繰り返して得られたメタノール抽出液全量を減圧濃縮によりメタノールを除去してメタノール抽出物(MeOH:366.2g)を得た。このメタノール抽出物を水に懸濁した後ヘキサン(n-hexane)抽出を行い、溶媒を留去することでヘキサン抽出物(4.5g)を得た。この抽出物をDMSOと混合して、所定濃度の梅干抽出物ストック液とした。
【0021】
〔抗ウイルス活性試験1〕
上記で得られた梅干抽出物について、プラーク法により抗ウイルス活性を調べた。新型コロナウイルスはJPN/TY/WK-521株を用いた。DMEM培地(血清なし)899μL、ウイルスストック液(4x106pfu/mL)100μL、梅干抽出物ストック液(200mg/mL)1μLを混合し、ウイルス・梅干抽出物混合液を調製した。また、コントロールとして、梅干抽出物ストック液1μLの代わりにDMSO 1μLを混合し、ウイルス・DMSO混合液を調製した。その後、両者を室温で1時間インキュベートした。6 well plateのVeroE6/TMPRSS2細胞をDMEM培地(無血清)で洗浄し、200μL/wellの条件でウイルス・梅干抽出物混合液又はウイルス・DMSO混合液を細胞にふりかけた。プレート上の細胞が乾燥しないように、7分ごとに混合液をwell全体に広げた。1時間後、ウイルス液を除き、1%カルボキシメチルセルロース・2%FBSを含むMEM培地を3mL/well加えた。72時間後、培地を取り除き、4%パラホルムアルデヒドで30分間固定後、クリスタルバイオレットで細胞を染色しプラーク数を計測した。梅干抽出物を接触させることなくインキュベートした場合には、観察されたプラーク数は77であり、このとき、インキュベート後の混合液中の感染性ウイルス濃度は3.85×105pfu/mLであったのに対し、梅干抽出物とインキュベートした場合は、プラークは観察されず、インキュベート後の混合液中の感染性ウイルス濃度は5×103pfu/mL未満であった。
【0022】
〔抗ウイルス活性試験2〕
リアルタイムPCR法により抗ウイルス活性を調べた。抗ウイルス活性試験1と同様にして、ウイルス・梅干抽出物混合液及びウイルス・DMSO混合液を調製した。その後、両者を室温で1時間インキュベートした。インキュベーションの間に、DMEM/2%FBS液999μL、梅干抽出物ストック液(200mg/mL)1μLを混合し、梅干抽出物入り培養液を調製した。また、コントロールとして、梅干抽出物ストック液 1μLの代わりにDMSO 1 μLを混合し、DMSO入り培養液を調製した。
【0023】
次に、24 well plateに準備したVeroE6/TMPRSS2細胞をDMEM培地(無血清)で洗浄し、ウイルス・梅干抽出物混合液またはウイルス・DMSO混合液を、400μL/wellで24 well plateに加えた。1時間後、ウイルスを含む液を除去し、梅干抽出物入り培養液またはDMSO入り培養液を900μL/well加えた。この時点ですぐに100μLの培養液を回収し、これを「感染後1h検体」とした。感染から24時間後にも培養上清を「感染後24h検体」として回収し、RNAをISOGENにて抽出した。国立感染症研究所から発表されているN2プライマー・プローブを用いてリアルタイムPCRを行い、ウイルスRNA量の定量を行った。その結果を
図1に示した。
図1に示すように梅干抽出物とウイルスを接触させた場合にはウイルスRNA量の増加が抑制されていた。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によると新型コロナウイルスに対する抗ウイルス剤が提供される。