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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】作業機の操縦室ドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20231130BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20231130BHJP
   E05F 11/22 20060101ALI20231130BHJP
   E05F 15/63 20150101ALI20231130BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B60J5/04 C
B60J5/00 C
E05F11/22
E05F15/63
E02F9/16 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021197737
(22)【出願日】2021-12-06
(65)【公開番号】P2023083814
(43)【公開日】2023-06-16
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390026789
【氏名又は名称】株式会社ニシベ計器製造所
(73)【特許権者】
【識別番号】500444243
【氏名又は名称】日本ロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】小関 光弘
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-206846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
B60J 5/04
E05F 11/22
E05F 15/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口が設けられている操縦室本体と、前記操縦室本体の前部または後部にヒンジで連結されており、前記出入口を開閉する操縦室ドアとを有している操縦室に設けられ、前記操縦室ドアを開閉動作させる作業機の操縦室ドア開閉装置であって、
前記操縦室の内側において前記操縦室本体に設けられており、かつ回転モータである開閉モータを有している開閉駆動装置、
前記開閉駆動装置の回転出力軸に対して垂直に設けられ、閉鎖対応位置と開放対応位置との間で回動する第1アーム体、
前記操縦室本体に開閉可能に連結されている前記操縦室ドアに設けられている第2アーム体、及び
前記第1アーム体に回転自在に連結されているとともに、前記第2アーム体に回転自在に連結されており、前記第1アーム体の回動を前記第2アーム体に伝達する主伝達部材
を備え、
前記操縦室ドアが全閉位置に位置しているとき、前記第1アーム体は、前記閉鎖対応位置に位置し、
前記操縦室ドアが全開位置に位置しているとき、前記第1アーム体は、前記開放対応位置に位置し、
真上から見て、前記操縦室ドアの回転中心をA点、前記第1アーム体の回転中心をB点、前記第1アーム体に対する前記主伝達部材の回転中心をC点、前記第2アーム体に対する前記主伝達部材の回転中心をD点とした不等長リンクにおいて、
C点とD点との間隔は、A点とB点との間隔よりも大きく、
B点とC点との間隔は、A点とD点との間隔よりも大きい作業機の操縦室ドア開閉装置。
【請求項2】
前記第2アーム体に設けられており、かつ保持位置と解除位置との間で変位可能になっており、前記保持位置から前記解除位置に変位することによって、前記操縦室ドアを前記全閉位置に保持するドア側キャッチを解除する解除レバー
前記保持位置に戻す力を前記解除レバーに付与する保持ばね、及び
前記第2アーム体に対する前記主伝達部材の回転中心を中心として回転可能に前記主伝達部材に連結されているとともに、前記解除レバーに回転可能に連結されている補助伝達部材
をさらに備え、
前記解除レバーは、前記第1アーム体が前記閉鎖対応位置から前記開放対応位置側へ回動することによって、前記保持ばねに抗して、前記保持位置から前記解除位置に変位し、
前記主伝達部材と前記補助伝達部材との連結部は、前記解除レバーにおける前記保持位置と前記解除位置との間の変位に対応する設定範囲内で前記第2アーム体に対してスライドする請求項1に記載の作業機の操縦室ドア開閉装置。
【請求項3】
前記第1アーム体は、
前記開閉駆動装置に連結されているアーム部材、
初期位置と操作位置との間で変位可能に前記アーム部材に設けられており、かつ前記主伝達部材が連結されており、前記初期位置から前記操作位置に変位することによって、前記操縦室ドアを前記全開位置に保持するキャブ側キャッチを解除する可動部材、及び
前記初期位置に戻す力を前記可動部材に付与する復帰ばね
を有しており、
前記可動部材は、前記第1アーム体が前記開放対応位置から前記閉鎖対応位置側へ回動することによって、前記復帰ばねに抗して、前記初期位置から前記操作位置に変位する請求項1または請求項2に記載の作業機の操縦室ドア開閉装置。
【請求項4】
前記第1アーム体は、前記可動部材が前記操作位置に変位することによって操作される解除スイッチをさらに有しており、
前記解除スイッチが操作されると、前記開閉モータとは異なる解除モータによって前記キャブ側キャッチが解除される請求項記載の作業機の操縦室ドア開閉装置。
【請求項5】
出入口が設けられている操縦室本体と、前記操縦室本体の前部または後部にヒンジで連結されており、前記出入口を開閉する操縦室ドアとを有している操縦室に設けられ、前記操縦室ドアを開閉動作させる作業機の操縦室ドア開閉装置であって、
前記操縦室の内側において前記操縦室本体に設けられており、かつ回転モータである開閉モータを有している開閉駆動装置、
前記開閉駆動装置の回転出力軸に対して垂直に設けられ、閉鎖対応位置と開放対応位置との間で回動する第1アーム体、
前記操縦室本体に開閉可能に連結されている前記操縦室ドアに設けられている第2アーム体、及び
前記第1アーム体に回転自在に連結されているとともに、前記第2アーム体に回転自在に連結されており、前記第1アーム体の回動を前記第2アーム体に伝達する主伝達部材
を備え、
前記操縦室ドアが全閉位置に位置しているとき、前記第1アーム体は、前記閉鎖対応位置に位置し、
前記操縦室ドアが全開位置に位置しているとき、前記第1アーム体は、前記開放対応位置に位置し、
前記第2アーム体に設けられており、かつ保持位置と解除位置との間で変位可能になっており、前記保持位置から前記解除位置に変位することによって、前記操縦室ドアを前記全閉位置に保持するドア側キャッチを解除する解除レバー、
前記保持位置に戻す力を前記解除レバーに付与する保持ばね、及び
前記第2アーム体に対する前記主伝達部材の回転中心を中心として回転可能に前記主伝達部材に連結されているとともに、前記解除レバーに回転可能に連結されている補助伝達部材
をさらに備え、
前記解除レバーは、前記第1アーム体が前記閉鎖対応位置から前記開放対応位置側へ回動することによって、前記保持ばねに抗して、前記保持位置から前記解除位置に変位し、
前記主伝達部材と前記補助伝達部材との連結部は、前記解除レバーにおける前記保持位置と前記解除位置との間の変位に対応する設定範囲内で前記第2アーム体に対してスライドする作業機の操縦室ドア開閉装置
【請求項6】
出入口が設けられている操縦室本体と、前記操縦室本体の前部または後部にヒンジで連結されており、前記出入口を開閉する操縦室ドアとを有している操縦室に設けられ、前記操縦室ドアを開閉動作させる作業機の操縦室ドア開閉装置であって、
前記操縦室の内側において前記操縦室本体に設けられており、かつ回転モータである開閉モータを有している開閉駆動装置、
前記開閉駆動装置の回転出力軸に対して垂直に設けられ、閉鎖対応位置と開放対応位置との間で回動する第1アーム体、
前記操縦室本体に開閉可能に連結されている前記操縦室ドアに設けられている第2アーム体、及び
前記第1アーム体に回転自在に連結されているとともに、前記第2アーム体に回転自在に連結されており、前記第1アーム体の回動を前記第2アーム体に伝達する主伝達部材
を備え、
前記操縦室ドアが全閉位置に位置しているとき、前記第1アーム体は、前記閉鎖対応位置に位置し、
前記操縦室ドアが全開位置に位置しているとき、前記第1アーム体は、前記開放対応位置に位置し、
前記第1アーム体は、
前記開閉駆動装置に連結されているアーム部材、
初期位置と操作位置との間で変位可能に前記アーム部材に設けられており、かつ前記主伝達部材が連結されており、前記初期位置から前記操作位置に変位することによって、前記操縦室ドアを前記全開位置に保持するキャブ側キャッチを解除する可動部材、及び
前記初期位置に戻す力を前記可動部材に付与する復帰ばね
を有しており、
前記可動部材は、前記第1アーム体が前記開放対応位置から前記閉鎖対応位置側へ回動することによって、前記復帰ばねに抗して、前記初期位置から前記操作位置に変位する作業機の操縦室ドア開閉装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機の操縦室ドア開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の作業機械用キャブでは、キャブ本体にアクチュエータが設けられている。アクチュエータは、ドアを開閉する駆動力を発生する。アクチュエータとしては、直動式の電動アクチュエータが用いられている。アクチュエータの先端は、ドアの内面に回転可能に連結されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-32974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の作業機械用キャブでは、直動式のアクチュエータがドアの内面に直接連結されている。このため、ドアの開方向への回転範囲が小さい。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、操縦室ドアをより大きな回転範囲で開閉動作させることができる作業機の操縦室ドア開閉装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る作業機の操縦室ドア開閉装置は、操縦室本体に設けられており、かつ開閉モータを有している開閉駆動装置、開閉駆動装置によって閉鎖対応位置と開放対応位置との間で回転する第1アーム体、操縦室本体に回転可能に連結されている操縦室ドアに設けられている第2アーム体、及び第1アーム体に回転可能に連結されているとともに、第2アーム体に回転可能に連結されており、第1アーム体の回転を第2アーム体に伝達する主伝達部材を備え、操縦室ドアが全閉位置に位置しているとき、第1アーム体は、閉鎖対応位置に位置し、操縦室ドアが全開位置に位置しているとき、第1アーム体は、開放対応位置に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の作業機の操縦室ドア開閉装置によれば、操縦室ドアをより大きな回転範囲で開閉動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1によるホイールローダを示す側面図である。
図2図1の操縦室ドア開閉装置を操縦室内から見た斜視図である。
図3図2の操縦室ドア開閉装置を示す平面図である。
図4図3の操縦室ドア開閉装置から、主伝達部材、解除レバー、保持ばね、及び補助伝達部材を取り除いた平面図である。
図5図3の操縦室ドアが途中まで開動作した状態を示す平面図である。
図6図3の操縦室ドアが全開位置まで回転した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるホイールローダを示す側面図である。図1のX軸は、ホイールローダの前後方向に平行な方向を示している。Y軸は、ホイールローダの左右方向に平行な方向を示している。Z軸は、水平な地面にホイールローダが置かれているときの鉛直方向、即ちホイールローダの高さ方向に平行な方向を示している。
【0010】
作業機であるホイールローダ100は、ホイールローダ本体1、操縦室2、及びタラップ3を有している。
【0011】
操縦室2は、ホイールローダ本体1上に設けられている。また、操縦室2は、操縦室本体4と、操縦室ドア5と、操縦室ドア開閉装置6とを有している。
【0012】
操縦室本体4には、出入口4aが設けられている。操縦室ドア5は、操縦室本体4に回転可能に設けられており、出入口4aを開閉する。操縦室ドア開閉装置6は、操縦室本体4と操縦室ドア5との間に設けられており、操縦室ドア5を開閉動作させる。
【0013】
タラップ3は、ホイールローダ本体1の側面に設けられている。利用者は、タラップ3を使って操縦室2と地面との間を移動することができる。
【0014】
図2は、図1の操縦室ドア開閉装置6を操縦室2内から見た斜視図である。図3は、図2の操縦室ドア開閉装置6を示す平面図である。
【0015】
操縦室本体4は、出入口柱7を有している。出入口柱7は、出入口4aの幅方向の一端に配置されている。操縦室ドア5は、複数のヒンジ8を介して、出入口柱7に回転可能に連結されている。
【0016】
操縦室ドア5には、図示しないドア側キャッチが設けられている。ドア側キャッチは、操縦室ドア5が全閉位置に位置しているとき、操縦室ドア5を全閉位置に保持する。操縦室ドア5は、全閉位置に位置しているとき、Y軸に直交している。
【0017】
操縦室本体4には、図示しないキャブ側キャッチと、図示しない解除モータとが設けられている。キャブ側キャッチは、操縦室ドア5が全開位置に位置しているとき、操縦室ドア5を全開位置に保持する。解除モータは、キャブ側キャッチによる操縦室ドア5の保持状態を解除する。
【0018】
操縦室ドア開閉装置6は、開閉駆動装置11、第1アーム体12、第2アーム体13、主伝達部材14、解除レバー15、保持ばね16、及び補助伝達部材17を有している。
【0019】
開閉駆動装置11は、操縦室本体4に設けられている。また、開閉駆動装置11は、ケース21、開閉モータ22、及び減速機構23を有している。
【0020】
ケース21は、出入口柱7に固定されている。開閉モータ22は、ケース21内に収容されている。開閉モータ22としては、減速機付きモータが用いられている。開閉モータ22の回転軸は、図2及び図3のZ軸に平行である。開閉モータ22の電源としては、ホイールローダ100に搭載されているバッテリーを使用することができる。
【0021】
減速機構23は、ケース21上に固定されている。また、減速機構23は、開閉モータ22の回転を減速して第1アーム体12に伝達する。
【0022】
第1アーム体12は、開閉駆動装置11によって、閉鎖対応位置と開放対応位置との間で回転する。
【0023】
閉鎖対応位置は、図2及び図3に示す位置であり、操縦室ドア5の全閉状態に対応している。即ち、操縦室ドア5が全閉位置に位置しているとき、第1アーム体12は、閉鎖対応位置に位置している。
【0024】
開放対応位置は、図6に示す位置であり、操縦室ドア5の全開状態に対応している。即ち、操縦室ドア5が全開位置に位置しているとき、第1アーム体12は、開放対応位置に位置している。
【0025】
また、第1アーム体12は、アーム部材31、可動部材32、復帰ばね33、及び解除スイッチ34を有している。
【0026】
アーム部材31は、開閉駆動装置11に連結されている。具体的には、アーム部材31は、減速機構23の出力軸に取り付けられている。アーム部材31の回転軸、即ち減速機構23の出力軸は、図2及び図3のZ軸に平行である。
【0027】
可動部材32は、アーム部材31に対して初期位置と操作位置との間で変位可能にアーム部材31に設けられている。具体的には、可動部材32は、アーム部材31の先端部に回転可能に連結されている。アーム部材31に対する可動部材32の回転軸は、図2及び図3のZ軸に平行である。
【0028】
初期位置は、図2及び図3に示す位置である。操作位置は、初期位置から、図3の反時計方向へ第1設定角度だけ回転した位置である。
【0029】
復帰ばね33は、アーム部材31と可動部材32との間に設けられている。また、復帰ばね33は、初期位置に戻す力を可動部材32に付与している。実施の形態1の復帰ばね33は、引きばねである。
【0030】
可動部材32は、第1アーム体12が開放対応位置から閉鎖対応位置側へ回転することによって、復帰ばね33に抗して、初期位置から操作位置に変位する。
【0031】
解除スイッチ34は、アーム部材31に固定されている。解除スイッチ34としては、マイクロスイッチが用いられている。解除スイッチ34は、可動部材32が操作位置に変位することによって操作される。解除スイッチ34が操作されると、解除モータによってキャブ側キャッチが解除、即ちキャブ側キャッチによる操縦室ドア5の保持状態が解除される。
【0032】
第2アーム体13は、操縦室ドア5に設けられている。また、第2アーム体13は、操縦室ドア5と一体に変位する。
【0033】
主伝達部材14は、第1アーム体12と第2アーム体13との間に連結されている。また、主伝達部材14は、第1アーム体12の回転を第2アーム体13に伝達する。主伝達部材14としては、伝達ロッドが用いられている。
【0034】
主伝達部材14は、長手方向の一端部である第1端部と、長手方向の他端部である第2端部とを有している。主伝達部材14の第1端部は、可動部材32に回転可能に連結されている。主伝達部材14の第2端部は、第2アーム体13に回転可能に連結されている。可動部材32に対する主伝達部材14の回転軸、及び第2アーム体13に対する主伝達部材14の回転軸は、それぞれ図2及び図3のZ軸に平行である。
【0035】
解除レバー15は、レバー軸15aを中心に回転可能に第2アーム体13に設けられている。また、解除レバー15は、保持位置と解除位置との間で変位可能になっている。保持位置は、図2及び図3に示す位置である。解除位置は、保持位置から、図3の反時計方向へ第2設定角度だけ回転した位置である。レバー軸15aは、図2及び図3のZ軸に平行である。
【0036】
解除レバー15は、図示しない操作ワイヤを介してドア側キャッチに接続されている。解除レバー15が保持位置から解除位置に変位することによって、操作ワイヤを介してドア側キャッチが解除、即ちドア側キャッチによる操縦室ドア5の保持状態が解除される。
【0037】
保持ばね16は、第2アーム体13と解除レバー15との間に設けられている。また、保持ばね16は、保持位置に戻す力を解除レバー15に付与している。実施の形態1の保持ばね16は、引きばねである。
【0038】
解除レバー15は、第1アーム体12が閉鎖対応位置から開放対応位置側へ回転することによって、保持ばね16に抗して、保持位置から解除位置に変位する。
【0039】
補助伝達部材17は、第2アーム体13に対する主伝達部材14の回転中心を中心として回転可能に主伝達部材14に連結されている。また、補助伝達部材17は、解除レバー15に回転可能に連結されている。解除レバー15に対する補助伝達部材17の回転軸は、図2及び図3のZ軸に平行である。
【0040】
図4は、図3の操縦室ドア開閉装置6から、主伝達部材14、解除レバー15、保持ばね16、及び補助伝達部材17を取り除いた平面図である。第2アーム体13には、第1長孔13a及び第2長孔13bが設けられている。
【0041】
第1長孔13aには、第2アーム体13に対する主伝達部材14の回転軸が通されている。第2長孔13bには、解除レバー15に対する補助伝達部材17の回転軸が通されている。
【0042】
これにより、主伝達部材14と補助伝達部材17との連結部は、設定範囲内で第2アーム体13に対してスライド可能である。また、第2長孔13bは、レバー軸15aを中心とする円弧状である。解除レバー15の回転範囲は、第2長孔13bによって制限されている。
【0043】
図3に示すように、真上から見て、操縦室ドア5の回転中心をA点とし、第1アーム体12の回転中心をB点とする。また、真上から見て、第1アーム体12に対する主伝達部材14の回転中心をC点とする。また、真上から見て、第2アーム体13に対する主伝達部材14の回転中心をD点とする。
【0044】
このとき、C点とD点との間隔は、A点とB点との間隔よりも大きい。また、B点とC点との間隔は、A点とD点との間隔よりも大きい。
【0045】
また、操縦室ドア5が全閉位置に位置しているとき、X軸方向について、B点はD点よりもA点から離れており、C点はB点よりもA点から離れている。また、操縦室ドア5が全閉位置に位置しているとき、Y軸方向について、D点はB点よりもA点から離れており、C点はD点よりもA点から離れている。
【0046】
次に、動作について説明する。図3の状態では、操縦室ドア5は、全閉位置に位置しており、ドア側キャッチによって全閉位置に保持されている。この状態から、開閉駆動装置11によって第1アーム体12が図3の反時計方向へ回転すると、主伝達部材14を介して、補助伝達部材17が押される。しかし、操縦室ドア5が全閉位置に保持されているため、第2アーム体13は動かない。
【0047】
第1アーム体12が閉鎖対応位置から開放対応位置側へ回転する際、第1アーム体12から主伝達部材14に作用する力の方向は、図3の矢印E方向である。このとき、主伝達部材14に連結されている補助伝達部材17は、第1長孔13a及び第2長孔13bに沿う方向、即ち矢印F方向への移動のみ許容されている。真上から見て、矢印E方向と矢印F方向とは、鋭角をなしている。
【0048】
このため、第1アーム体12の閉鎖対応位置からの回転初期には、補助伝達部材17が第2アーム体13に対して矢印F方向へ動かされる。これにより、解除レバー15は、保持ばね16に抗して、保持位置から解除位置に回転する。
【0049】
解除レバー15が解除位置に回転すると、ドア側キャッチが解除され、操縦室ドア5の開動作が可能になる。
【0050】
この後、第1アーム体12がさらに回転すると、図5に示すように、操縦室ドア5が開方向へ回転し、出入口4aが開放される。
【0051】
図5の状態から、第1アーム体12がさらに回転すると、図6に示すように、操縦室ドア5が全開位置まで回転する。全開位置は、全閉位置から180°回転した位置である。この状態では、キャブ側キャッチによって、操縦室ドア5が全開位置に保持されている。また、解除レバー15は、保持ばね16によって保持位置に戻されている。
【0052】
図6の状態から、第1アーム体12が図6の時計方向へ回転すると、主伝達部材14に引張力が作用し、操縦室ドア5を閉方向へ回転させようとする。しかし、操縦室ドア5は、全開位置に保持されているため、可動部材32が、復帰ばね33に抗して、アーム部材31に対して図6の反時計方向へ回転し、操作位置に変位する。
【0053】
これにより、解除スイッチ34が操作され、解除モータによりキャブ側キャッチが解除されて、操縦室ドア5の閉動作が可能になる。
【0054】
この後、第1アーム体12がさらに回転すると、図5に示すように、操縦室ドア5が閉方向へ回転する。このとき、可動部材32は、復帰ばね33によって初期位置に戻される。
【0055】
図5の状態から、第1アーム体12がさらに回転すると、図3に示すように、操縦室ドア5が全閉位置まで回転し、出入口4aが閉鎖される。そして、操縦室ドア5は、ドア側キャッチによって全閉位置に再び保持される。
【0056】
なお、開閉駆動装置11は、図示しない複数のスイッチボックスのいずれかを操作することにより作動させることができる。複数のスイッチボックスには、室内スイッチボックスと、室外スイッチボックスとが含まれている。室内スイッチボックスは、操縦室本体4の内側に設けられている。室外スイッチボックスは、操縦室2の外部であって、ホイールローダ100が置かれている地面上から操作可能な位置に設けられている。
【0057】
また、複数のスイッチボックスには、携帯スイッチボックスが含まれてもよい。携帯スイッチボックスは、利用者が携帯し、無線により開閉駆動装置11を作動させるスイッチボックスである。
【0058】
また、利用者が携帯している携帯機器に、無線により開閉駆動装置11を作動させるためのソフトウェアがインストールされてもよい。
【0059】
このような操縦室ドア開閉装置6では、第1アーム体12は、閉鎖対応位置と開放対応位置との間で回転する。第2アーム体13は、操縦室ドア5に設けられている。主伝達部材14は、第1アーム体12に回転可能に連結されているとともに、第2アーム体13に回転可能に連結されている。
【0060】
このため、操縦室ドア5をより大きな回転範囲で開閉させることができる。また、操縦室ドア5を手動で開閉する場合に比べて、作業性を向上させることができる。
【0061】
また、C点とD点との間隔は、A点とB点との間隔よりも大きく、B点とC点との間隔は、A点とD点との間隔よりも大きい。このため、簡単な構成により、操縦室ドア5をより確実に大きな回転範囲で開閉させることができる。
【0062】
また、第2アーム体13に解除レバー15が設けられている。そして、解除レバー15は、第1アーム体12が閉鎖対応位置から開放対応位置側へ回転することによって、保持ばね16に抗して、保持位置から解除位置に変位する。このため、開閉駆動装置11によって、ドア側キャッチによる操縦室ドア5の保持状態も解除することができ、構成を簡単にすることができる。
【0063】
また、主伝達部材14と解除レバー15との間に、補助伝達部材17が設けられている。そして、主伝達部材14と補助伝達部材17との連結部は、設定範囲内で第2アーム体13に対してスライド可能である。このため、簡単な構成により、解除レバー15を変位させることができるとともに、解除レバー15の変位を保持位置と解除位置との間に規制することができる。
【0064】
また、可動部材32が、初期位置と操作位置との間で変位可能にアーム部材31に設けられている。そして、可動部材32が操作位置に変位することによって、キャブ側キャッチが解除される。このため、開閉駆動装置11によって、キャブ側キャッチによる操縦室ドア5の保持状態も解除することができ、構成を簡単にすることができる。
【0065】
また、可動部材32が操作位置に変位することによって解除スイッチ34が操作され、解除スイッチ34が操作されると、解除モータによってキャブ側キャッチが解除される。このため、簡単な構成により、キャブ側キャッチを解除することができる。
【0066】
なお、解除レバー15は、第2アーム体13に対して、保持位置と解除位置との間でスライド可能であってもよい。
【0067】
また、可動部材32は、アーム部材31に対して、初期位置と操作位置との間でスライド可能であってもよい。
【0068】
また、作業機は、ホイールローダ100に限定されず、ホイールローダ100以外の作業車両、例えばクレーン車であってもよい。また、作業機は、作業車両以外の作業機、例えばタワークレーンであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
4 操縦室本体、5 操縦室ドア、6 操縦室ドア開閉装置、11 開閉駆動装置、12 第1アーム体、13 第2アーム体、14 主伝達部材、15 解除レバー、16 保持ばね、17 補助伝達部材、22 開閉モータ、31 アーム部材、32 可動部材、33 復帰ばね、34 解除スイッチ、100 ホイールローダ(作業機)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6