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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-29
(45)【発行日】2023-12-07
(54)【発明の名称】抱き枕
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
A47G9/10 E
A47G9/10 V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019185492
(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公開番号】P2021058476
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】山田 志奈乃
(72)【発明者】
【氏名】田井中 誠治
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-152177(JP,U)
【文献】特開2012-081137(JP,A)
【文献】登録実用新案第3044792(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性素材によって構成された柱状の抱き枕であって、
前記抱き枕の表面において前記抱き枕の長手方向に沿って延在する複数の凸部と、
前記表面において前記長手方向に沿って延在する複数の凹部と、
を備え、
前記凸部及び前記凹部は、前記抱き枕の周方向に沿って交互に配置されており、
複数の前記凸部は、前記長手方向に沿って延在する第1凸部と、前記長手方向への長さが前記第1凸部よりも短い第2凸部と、を含み、
複数の前記凸部は、窪みを有する前記第1凸部と、前記窪みを有しない前記第2凸部と、を含む、
抱き枕。
【請求項2】
複数の前記凹部は、第1凹部と、前記第1凹部よりも深い第2凹部と、を含む、
請求項1に記載の抱き枕。
【請求項3】
円柱状とされており、直径が10cm以上且つ35cm以下である、
請求項1又は2に記載の抱き枕。
【請求項4】
前記凹部の底面に開口すると共に前記凹部の底面よりも前記抱き枕の径方向内側において前記抱き枕の周方向に沿って延在しているスリットを備える、
請求項1~のいずれか一項に記載の抱き枕。
【請求項5】
柔軟性素材によって構成された柱状の抱き枕であって、
前記抱き枕の表面において前記抱き枕の長手方向に沿って延在する複数の凸部と、
前記表面において前記長手方向に沿って延在する複数の凹部と、
を備え、
前記凸部及び前記凹部は、前記抱き枕の周方向に沿って交互に配置されており、
前記長手方向の一端面から他端面まで延びる貫通孔を備え
複数の前記貫通孔を有し、
複数の前記貫通孔は、前記一端面及び前記他端面において放射状に配置されている、
抱き枕。
【請求項6】
前記凸部は、前記凸部の頂部から根元部に向かうに従って前記凸部が細くなるくびれ部を有する、
請求項1~のいずれか一項に記載の抱き枕。
【請求項7】
前記凸部及び前記凹部を形成する表面層と、前記表面層の内側に位置する中芯と、を備え、
前記表面層の硬度は、前記中芯の硬度よりも低い、
請求項1~のいずれか一項に記載の抱き枕。
【請求項8】
前記表面層は、前記凸部を形成する第1材料層と、前記凹部を形成する第2材料層と、を含んでおり、
前記第1材料層は、無膜ウレタンによって構成されている、
請求項に記載の抱き枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者によって抱きかかえられて使用される抱き枕に関する。
【背景技術】
【0002】
抱き枕としては、従来から種々のものが知られている。特開2014-168607号公報には、使用者によって抱きかかえられる本体部と、使用者の頭部が載せられるヘッドレスト部とを備えた抱き枕が記載されている。ヘッドレスト部にはマイクロホンが埋設されており、マイクロホンは使用者のいびき、歯ぎしり及び呼吸音を録音するために設けられる。
【0003】
本体部の内部には、ゴム等の弾性体からなると共に楕円体状とされたバルーンが埋設されている。本体部の外部には圧気源が設けられており、圧気源とバルーンとは本体部から延び出す可撓性チューブによって互いに接続されている。圧気源の出口にはバルブが設けられており、圧気源の駆動時間、及びバルブの開閉が制御されることにより、バルーンの膨らみが調整されて抱き枕の膨張及び収縮が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-168607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した抱き枕は、バルーンが内蔵されており、バルーンへの空気の供給によって膨張する。ところで、抱き枕は平滑な曲面によって形成されることが多く、表面が平滑な曲面である抱き枕の場合、抱きかかえたときにおける通気性が良くない場合がある。すなわち、平滑な曲面に使用者の腕等が当てられるので、腕等が蒸れたりして抱き心地が快適でないという問題が起こりうる。表面が平滑な曲面状である抱き枕の場合、曲面部が腕等に押しつけられることによって腕等にかかる負担が大きくなる可能性がある。
【0006】
本開示は、通気性を良好にできると共に腕等にかかる負担を小さくして抱き心地を快適にすることができる抱き枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る抱き枕は、柔軟性素材によって構成された柱状の抱き枕であって、抱き枕の表面において抱き枕の長手方向に沿って延在する複数の凸部と、表面において長手方向に沿って延在する複数の凹部と、を備え、凸部及び凹部は、抱き枕の周方向に沿って交互に配置されており、複数の凸部は、長手方向に沿って延在する第1凸部と、長手方向への長さが第1凸部よりも短い第2凸部と、を含み、複数の凸部は、窪みを有する第1凸部と、窪みを有しない第2凸部と、を含む
【0008】
この抱き枕は、柱状に形成されており、表面において突出すると共に抱き枕の長手方向に延在する凸部と表面において窪むと共に当該長手方向に延在する凹部とを備える。抱き枕は、柔軟性素材によって構成されており、更に、長手方向に延びる凸部、及び長手方向に延びる凹部を備える。従って、使用者によって抱きかかえられたときに抱き枕の凹部と使用者の身体との間に空間が形成されるので、蒸れにくくすることができると共に通気性を向上させることができる。更に、柔軟性素材によって構成された抱き枕が抱き枕の長手方向に延びる凸部及び凹部を備えることにより、柔軟性を有する凸部が部分的に使用者の腕等に当たるので、腕等にかかる負担を緩和することができる。従って、抱き心地が良好な抱き枕とすることができる。
【0009】
前述の抱き枕は、複数の凸部と、複数の凹部とを備え、凸部及び凹部は、抱き枕の周方向に沿って交互に配置されていそのため、抱き枕の表面に形成された凸部及び凹部が周方向に沿って交互に配置されるので、抱きかかえられたときにおける空間の形成、及び腕等にかかる負担の緩和をより顕著にすることができるので、抱き心地をより快適にすることができる。
【0010】
前述の抱き枕、複数の凹部、第1凹部と、第1凹部よりも深い第2凹部と、を含んでもよい。この場合、第1凹部と、第1凹部より深い第2凹部との2種類の凹部を備えるので、通気性をより高めて一層蒸れにくくすることができる。
【0011】
前述の抱き枕は、円柱状とされており、直径が10cm以上且つ35cm以下であってもよい。この場合、抱き枕の直径が10cm以上且つ35cm以下であることにより、腕で抱きかかえやすい大きさとすることができるので、抱き心地を一層快適にすることができる。
【0012】
前述の抱き枕、複数の凸部、長手方向に沿って延在する第1凸部と、長手方向への長さが第1凸部よりも短い第2凸部と、を含んでもよい。この場合、凸部のバリエーションを増やすことができるので、高い柔軟性を有する種々の凸部が使用者の身体に当たることによって抱き心地を更に良好にすることができる。
【0013】
前述の抱き枕、複数の凸部、窪みを有する第1凸部と、窪みを有しない第2凸部と、を含んでもよい。この場合、窪みを有する第1凸部と窪みを有しない第2凸部とを含むことにより、抱き枕の表面に形成された凹凸のバリエーションを更に増やすことができる。従って、柔軟性が高い種々の凸部が腕等に接触することにより抱き心地を快適にすることができる。
【0014】
前述の抱き枕は、凹部の底面に開口すると共に凹部の底面よりも抱き枕の径方向内側において抱き枕の周方向に沿って延在しているスリットを備えてもよい。この場合、抱き枕の長手方向に延在する凹部の底面に開口すると共に抱き枕の周方向に延在するスリットを備えるので、抱き枕を変形しやすくすることができる。従って、スリットによって通気性を高めることができるので、より快適な抱き心地を使用者に提供することができる。
【0015】
本開示の別の側面に係る抱き枕は、柔軟性素材によって構成された柱状の抱き枕であって、抱き枕の表面において抱き枕の長手方向に沿って延在する複数の凸部と、表面において長手方向に沿って延在する複数の凹部と、を備え、凸部及び凹部は、抱き枕の周方向に沿って交互に配置されており、長手方向の一端面から他端面まで延びる貫通孔を備え、複数の貫通孔を有し、複数の貫通孔は、一端面及び他端面において放射状に配置されている。この場合、抱き枕の内部に長手方向に延びる空気の流路を確保することができるので、通気性を高めると共に変形しやすくすることができる。よって、更に快適な寝心地を使用者に提供することができる。
【0016】
前述の抱き枕は、複数の貫通孔を有し、複数の貫通孔は、一端面及び他端面において放射状に配置されていてもよい。この場合、複数の貫通孔が形成されているので、通気性を更に高めることができると共に更に変形しやすい抱き枕とすることができる。また、複数の貫通孔が一端面及び他端面において放射状に形成されていることにより、抱き枕の通気性及び柔軟性を均等に高くすることができる。
【0017】
前述の凸部は、凸部の頂部から根元部に向かうに従って凸部が細くなるくびれ部を有してもよい。この場合、凸部がくびれ部を有することによって凸部を変形しやすくすることができるので、抱き枕の表面の柔軟性を更に高めることができる。
【0018】
前述の抱き枕は、凸部及び凹部を形成する表面層と、表面層の内側に位置する中芯と、を備え、表面層の硬度は、中芯の硬度よりも低くてもよい。この場合、表面層の内側に位置する中芯の硬度が表面層の硬度より高いことにより、中芯でしっかりと使用者の身体を支えることができる。また、表面層の硬度が中芯の硬度より低いことによって、表面の柔軟性を高めることができるので、抱き心地を更に良好にすることができる。
【0019】
前述の表面層は、凸部を形成する第1材料層と、凹部を形成する第2材料層と、を含んでおり、第1材料層は、無膜ウレタンによって構成されていてもよい。この場合、無膜ウレタンは他の種類のウレタンと比較して目が粗いので、凸部の通気性を高めることができる。従って、更なる通気性の向上に寄与する。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、通気性を良好にできると共に腕等にかかる負担を小さくして抱き心地を快適にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係る抱き枕を示す斜視図である。
図2図2は、図1の抱き枕の側面図である。
図3図3は、図2の側面図の一部を拡大した図である。
図4図4は、図3のIV-IV線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る抱き枕の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0023】
図1は、本実施形態に係る抱き枕1を示す斜視図である。図2は、抱き枕1を示す側面図である。図1及び図2に示されるように、抱き枕1は、例えば、一端面1bの中心Cから長手方向D1に沿って延びる軸線を中心とする円柱状とされており、抱き枕1の全体が柔軟性素材によって構成されている。本実施形態において、長手方向D1に直交する断面で抱き枕1を切断したときの断面形状は円形状とされている。
【0024】
抱き枕1の長手方向D1の長さL1は、例えば、60cm以上且つ150cm以下であり、一例として、77cm以上且つ88cm以下であってもよい。抱き枕1の直径L2は、例えば、10cm以上且つ35cm以下であり、一例として、20cm以上且つ22cm以下であってもよい。
【0025】
抱き枕1は、抱き枕1の側面を含む表面層10と、表面層10の内側に位置する中芯4とを備える。表面層10は、抱き枕1の表面を形成する第1材料層2と、第1材料層2の内側に位置する第2材料層3とを含んでいる。例えば、抱き枕1は、第1材料層2、第2材料層3及び中芯4の3層構造を有し、第1材料層2、第2材料層3及び中芯4の材料は互いに異なっている。一例として、中芯4と第2材料層3は接着剤によって互いに接着されており、第1材料層2は接着剤によって第2材料層3に接着されている。
【0026】
例えば、第1材料層2は後述する凸部5sを形成しており、第2材料層3は表面に凹部5cが形成された円筒状とされている。一例として、第1材料層2の色彩、第2材料層3の色彩、及び中芯4の色彩は、互いに異なっており、これにより抱き枕1のデザイン性が高められている。
【0027】
第1材料層2は、例えば、無膜ウレタンによって構成されており、第2材料層3及び中芯4はウレタン製である。例えば、第1材料層2の硬さは、第2材料層3の硬さより硬く、且つ中芯4の硬さより柔らかい。表面層10は、抱き枕1の周方向D2に沿って並ぶと共に長手方向D1に沿って延在する凹凸5fを有する。
【0028】
抱き枕1は、例えば、第1領域2b、第2領域2c、第3領域2d、第4領域2f及び第5領域2gを有する。一例として、第2領域2c及び第4領域2fは、使用者の腕が当てられる場所に相当し、他の領域(第1領域2b、第3領域2d及び第5領域2g)と比較して柔らかい領域である。
【0029】
例えば、第2領域2cの長手方向D1の長さ、及び第4領域2fの長手方向D1の長さのそれぞれは、第1領域2bの長手方向D1の長さ、及び第5領域2gの長手方向D1の長さのそれぞれよりも短い。一例として、第3領域2dの長手方向D1の長さは、第1領域2bの長手方向D1の長さ、及び第5領域2gの長手方向D1の長さのそれぞれよりも長い。
【0030】
例えば、第1領域2b、第2領域2c、第3領域2d、第4領域2f及び第5領域2gでは、凹凸5fの形状及び大きさが互いに異なっている。本実施形態では、第1領域2bの凹凸5fの形状と、第2領域2cの凹凸5fの形状とが互いに異なっている。抱き枕1は、長手方向D1に延びる凸部5sと、長手方向D1に延びる凹部5cを有する。凸部5sは、後述する第1凸部5b、第2凸部5m及び第3凸部5pを含んでいる。
【0031】
例えば、抱き枕1は、抱き枕1の長手方向D1の中央を通ると共に周方向D2に沿って延びる平面に対して互いに対称な形状とされている。この場合、第1領域2b及び第5領域2gは互いに同一の形状となり、第2領域2c及び第4領域2fは互いに同一の形状となる。
【0032】
上記のように抱き枕1が互いに対称な形状とされている場合、抱き枕1の向きを気にせず使用できるので、使い勝手を良好にすることができる。また、第5領域2gは第1領域2bと同一の形状であってもよいし、第4領域2fは第2領域2cと同一の形状であってもよい。よって、以下では、第4領域2f及び第5領域2gの形状の説明を適宜省略する。
【0033】
図3は、第1領域2b、第2領域2c及び第3領域2dを拡大した抱き枕1の側面図である。図2及び図3に示されるように、第1領域2bと第2領域2cの境目、第2領域2cと第3領域2dの境目、第3領域2dと第4領域2fの境目、及び第4領域2fと第5領域2gの境目、のそれぞれには環状凹部5hが形成されている。例えば、環状凹部5hの深さは、凹部5cの深さよりも深い。
【0034】
第1凸部5bは、第1凸部5bの表面において凹む窪み5gを有し、例えば、窪み5gはU字状に凹んでいる。窪み5gは、例えば、第1凸部5bの長手方向D1の中央付近に形成されている。一例として、窪み5gの深さは第1凸部5bの深さよりも浅く、窪み5gは第1材料層2のみに形成されている(第2材料層3には形成されていない)。
【0035】
第1凸部5bに形成された窪み5gの長手方向D1の位置と、当該第1凸部5bに周方向D2に隣接する第1凸部5bに形成された窪み5gの長手方向D1の位置とは互いに同一であってもよい。この場合、複数の第1凸部5bの間で窪み5gが周方向D2に沿って連続するように形成される。
【0036】
抱き枕1は、例えば、第1凸部5bの径方向の内側を通ると共に、凹部5cの底面5kに開口して周方向D2に延在するスリット5jを備える。スリット5jは、凹部5cの底面5kよりも抱き枕1の径方向内側において周方向D2に沿って延在している。一例として、窪み5gと環状凹部5hの間に1つのスリット5jが形成されている。第1領域2bにおいて、スリット5jは窪み5gよりも第2領域2c側(抱き枕1の一端面1bとの反対側)に形成されている。
【0037】
第2領域2cは、長手方向D1に延びる第2凸部5mと凹部5cとを有する。例えば、凹部5cは、抱き枕1の一端面1bから他端面1cまで連続している。第2凸部5mと凹部5cとは周方向D2に沿って交互に並んでいる。第2領域2cは、長手方向D1に沿って並ぶ複数の第2凸部5mを含んでおり、長手方向D1に沿って並ぶ2つの第2凸部5mの間に環状凹部5hが形成されている。一例として、第2領域2cは、長手方向D1に沿って並ぶ3つの第2凸部5mと、長手方向D1に沿って並ぶ2つの環状凹部5hとを含んでいる。
【0038】
以上のように、抱き枕1は複数の凸部5sを備えており、複数の凸部5sは、長手方向D1に沿って延在する第1凸部5bと、長手方向D1への長さが第1凸部5bよりも短い第2凸部5mとを含む。前述したように、第1凸部5bは窪み5gを有し、第2凸部5mは窪み5gを有しない。
【0039】
例えば、第2凸部5mの径方向内側には周方向D2に延びるスリット5jが形成されており、スリット5jは凹部5cの底面5kに開口している。第1領域2bは長手方向D1に沿って1つのスリット5jを有するのに対し、第2領域2cは長手方向D1に沿って複数(一例として3つ)のスリット5jを有する。従って、第2領域2cは第1領域2bよりも柔らかい領域とされている。更に、第1領域2bは環状凹部5hを有しないのに対し、第2領域2cは(一例として複数の)環状凹部5hを有しており、この点でも第2領域2cは第1領域2bよりも柔らかい領域とされている。
【0040】
第3領域2dは、長手方向D1に延びる第3凸部5pと凹部5cとを有する。第3凸部5pと凹部5cとは周方向D2に沿って交互に並んでいる。例えば、第3凸部5pは窪み5gを有する。第3凸部5pは、例えば、複数(一例として3つ)の窪み5gを有し、複数の窪み5gが長手方向D1に沿って等間隔に配置されていてもよい。
【0041】
第3凸部5pに形成された窪み5gの長手方向D1の位置と、当該第3凸部5pに周方向D2に隣接する第3凸部5pに形成された窪み5gの長手方向D1の位置とが互いに同一であってもよい。すなわち、複数の第3凸部5pの間で窪み5gが周方向D2に沿って連続するように形成されていてもよい。
【0042】
第3凸部5pの径方向内側には周方向D2に延びるスリット5jが形成されている。第3領域2dは、例えば、複数のスリット5jを有し、複数のスリット5jは長手方向D1に沿って並んでいる。一例として、第3領域2dにおいて、スリット5j及び窪み5gは長手方向D1に沿って交互に配置されている。
【0043】
一例として、第3領域2dは、長手方向D1に沿って並ぶ4つのスリット5jと、長手方向D1に沿って並ぶ3つの窪み5gとを含む。スリット5jと窪み5gとの長手方向D1における各距離は、互いに同一であってもよい。第3領域2dの硬さは、例えば、第1領域2bの硬さ、及び第5領域2gの硬さと同程度である。また、第3領域2dの硬さは、例えば、第2領域2cの硬さ、及び第4領域2fの硬さと同程度である。但し、第2領域2c及び第4領域2fは、スリット等が細かく形成されているため、第1領域2b、第3領域2d及び第5領域2gよりも動きやすくなっている。
【0044】
図4は、図3のIV-IV線断面図である。図1及び図4に示されるように、抱き枕1は、例えば、凸部5s及び凹部5cを形成する表面層10と、表面層10の内側に位置する中芯4とを備える。表面層10は、凸部5sを形成する第1材料層2と、凹部5cを形成する第2材料層3とを含んでいる。
【0045】
抱き枕1は、複数の凸部5sと複数の凹部5cとを備え、凸部5s及び凹部5cは、抱き枕1の周方向D2に沿って交互に配置されている。一例として、凸部5sの数、及び凹部5cの数は33である。しかしながら、凸部5sの数、及び凹部5cの数は、適宜変更可能であり、例えば、1以上且つ65以下、2以上且つ50以下、3以上且つ45以下、5以上且つ45以下、又は10以上且つ40以下であってもよい。また、凸部5sの数と、凹部5cの数とが互いに異なっていてもよい。
【0046】
例えば、凸部5sは逆U字状とされている。凸部5sは、頂部5tと根元部5vとを有し、更に、頂部5tから根元部5vに向かうに従って細くなるくびれ部5wを有してもよい。凹部5cは、例えば、第1凹部5qと、第1凹部5qよりも深い第2凹部5rとを含んでいる。第1凹部5q及び第2凹部5rは、例えば、周方向D2に沿って交互に配置されていてもよい。例えば、一対の第2凹部5rの間に複数(一例として2つ)の第1凹部5qが配置されている。
【0047】
例えば、第1凹部5qの数は、第2凹部5rの数よりも多い。一例として、第1凹部5qの数は22であり、第2凹部5rの数は11である。しかしながら、第1凹部5qの数、第2凹部5rの数、及び第2凹部5rの数に対する第1凹部5qの数の割合は、適宜変更可能である。
【0048】
凸部5s及び凹部5cの抱き枕1の径方向内側には中芯4が配置されており、例えば、中芯4の硬度は表面層10の硬度よりも高い。この場合、中芯4は表面層10よりも硬い。中芯4は、例えば、円柱状とされている。中芯4は、例えば、長手方向D1の一端面1bから他端面1cまで延びる貫通孔4bを有する。
【0049】
一例として、貫通孔4bは抱き枕1の内部においてスリット5jに連通している。すなわち、本実施形態に係る抱き枕1では、長手方向D1の一端面1bにおいて開口する貫通孔4bと、抱き枕1の側面において開口するスリット5jとが形成されている。このように、抱き枕1は、一端面1bに開口する貫通孔4bと側面に開口するスリット5jとを有するので、非常に高い通気性及び柔軟性を備えている。
【0050】
例えば、中芯4は、複数の貫通孔4bを有する。一例として、複数の貫通孔4bは一端面1b及び他端面1cにおいて放射状に配置されている。複数の貫通孔4bは、周方向D2に沿って並ぶように配置されており、例えば、周方向D2に沿って等間隔に配置されている。一例として、抱き枕1は、10個の貫通孔4bを備えており、10個の貫通孔4bは周方向D2に沿って等間隔に配置されている。
【0051】
例えば、貫通孔4bは、中芯4の外面から中芯4の径方向内側に延びる第1内面4c及び第2内面4fと、第1内面4c及び第2内面4fのそれぞれの径方向内側の端部から拡張する拡張孔部4dとを有する。第1内面4c及び第2内面4fは、周方向D2に沿って互いに対向しており、例えば互いに平行に延びている。
【0052】
拡張孔部4dは、第1内面4c及び第2内面4fの径方向内側の端部から円弧状に拡張している。貫通孔4bが径方向内側で拡張する拡張孔部4dを有することにより、周方向D2に沿って並ぶ一対の貫通孔4bの間の部分をより変形しやすくすることができるので、通気性を高めると共に、抱き枕1の使用者に更に快適な寝心地を提供することが可能である。
【0053】
次に、本実施形態に係る抱き枕1から得られる作用効果について詳細に説明する。抱き枕1は、柱状に形成されており、表面において突出すると共に抱き枕1の長手方向D1に延在する凸部5sと表面において窪むと共に長手方向D1に延在する凹部5cとを備える。抱き枕1は、柔軟性素材によって構成されており、更に、長手方向D1に延びる凸部5s、及び長手方向D1に延びる凹部5cを備える。従って、使用者によって抱きかかえられたときに抱き枕1の凹部5cと使用者の身体との間に空間が形成されるので、蒸れにくくすることができると共に通気性を向上させることができる。
【0054】
更に、柔軟性素材によって構成された抱き枕1が抱き枕1の長手方向D1に延びる凸部5s及び凹部5cを備えることにより、柔軟性を有する凸部5sが部分的に使用者の腕等に当たるので、腕等にかかる負担を緩和することができる。従って、抱き心地が良好な抱き枕1とすることができる。
【0055】
また、抱き枕1は、複数の凸部5sと、複数の凹部5cとを備え、凸部5s及び凹部5cは、抱き枕1の周方向D2に沿って交互に配置されていてもよい。この場合、抱き枕1の表面に形成された凸部5s及び凹部5cが周方向D2に沿って交互に配置されるので、抱きかかえられたときにおける空間の形成、及び腕等にかかる負担の緩和をより顕著にすることができるので、抱き心地をより快適にすることができる。
【0056】
また、抱き枕1は、複数の凹部5cを備え、複数の凹部5cは、第1凹部5qと、第1凹部5qよりも深い第2凹部5rと、を含んでもよい。この場合、第1凹部5qと、第1凹部5qより深い第2凹部5rとの2種類の凹部5cを備えるので、通気性をより高めて一層蒸れにくくすることができる。
【0057】
また、抱き枕1は、円柱状とされており、直径L2が10cm以上且つ35cm以下であってもよい。この場合、抱き枕1の直径L2が10cm以上且つ35cm以下であることにより、腕で抱きかかえやすい大きさとすることができるので、抱き心地を一層快適にすることができる。
【0058】
また、抱き枕1は、複数の凸部5sを備え、複数の凸部5sは、長手方向D1に沿って延在する第1凸部5bと、長手方向D1への長さが第1凸部5bよりも短い第2凸部5mと、を含んでもよい。この場合、凸部5sのバリエーションを増やすことができるので、高い柔軟性を有する種々の凸部5sが使用者の身体に当たることによって抱き心地を更に良好にすることができる。
【0059】
また、抱き枕1は、複数の凸部5sを備え、複数の凸部5sは、窪み5gを有する第1凸部5bと、窪み5gを有しない第2凸部5mと、を含んでもよい。この場合、窪み5gを有する第1凸部5bと窪み5gを有しない第2凸部5mとを含むことにより、抱き枕1の表面に形成された凹凸5fのバリエーションを更に増やすことができる。従って、柔軟性が高い種々の凸部5sが腕等に接触することにより抱き心地を快適にすることができる。
【0060】
また、抱き枕1は、凹部5cの底面5kに開口すると共に凸部5sの内側を通って抱き枕1の周方向D2に延在するスリット5jを備えてもよい。この場合、抱き枕1の長手方向D1に延在する凹部5cの底面5kに開口すると共に抱き枕1の周方向D2に延在するスリット5jを備えるので、抱き枕1を変形しやすくすることができる。従って、スリット5jによって通気性を高めることができるので、より快適な抱き心地を使用者に提供することができる。
【0061】
また、抱き枕1は、長手方向D1の一端面1bから他端面1cまで延びる貫通孔4bを備えてもよい。この場合、抱き枕1の内部に長手方向D1に延びる空気の流路を確保することができるので、通気性を高めると共に変形しやすい抱き枕1とすることができる。また、複数の貫通孔4bが一端面1b及び他端面1cにおいて放射状に形成されていることにより、抱き枕1の通気性及び柔軟性を均等に高くすることができる。
【0062】
また、凸部5sは、凸部5sの頂部5tから根元部5vに向かうに従って凸部5sが細くなるくびれ部5wを有してもよい。この場合、凸部5sがくびれ部5wを有することによって凸部5sを変形しやすくすることができる。より具体的には、各凸部5sが周方向D2に移動するように各凸部5sを周方向D2に変形しやすくすることができるので、抱き枕1の表面の柔軟性を更に高めることができる。
【0063】
また、抱き枕1は、凸部5s及び凹部5cを有する表面層10と、表面層10の内側に位置する中芯4と、を備え、表面層10の硬度は、中芯4の硬度よりも低くてもよい。この場合、表面層10の内側に位置する中芯4の硬度が表面層10の硬度よりも高いことにより、中芯4でしっかりと使用者の身体を支えることができる。また、表面層10の硬度が中芯4の硬度より低いことによって、表面層10の柔軟性を高めることができるので、抱き心地を更に良好にすることができる。
【0064】
また、表面層10は、凸部5sを形成する第1材料層2と、凹部5cを形成する第2材料層3と、を含んでおり、第1材料層2は無膜ウレタンによって構成されていてもよい。この場合、無膜ウレタンは他の種類のウレタンと比較して目が粗いので、凸部5sの通気性を高めることができる。従って、更なる通気性の向上に寄与する。
【0065】
以上、本開示に係る抱き枕の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る抱き枕は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形されたものであってもよい。すなわち、抱き枕の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0066】
例えば、前述の実施形態では、第1領域2b、第2領域2c、第3領域2d、第4領域2f及び第5領域2gを有し、第1領域2b及び第2領域2cの凹凸5fの態様、並びに、第2領域2c及び第3領域2dの凹凸5fの態様、が互いに異なる例について説明した。しかしながら、抱き枕が有する領域の数は、5つでなくてもよく、例えば、1つ以上且つ4つ以下、又は6つ以上であってもよく、適宜変更可能である。
【0067】
また、前述の実施形態では、複数の凸部5s、複数の凹部5c、複数のスリット5j、及び複数の貫通孔4bを有する抱き枕1について説明した。しかしながら、抱き枕の凸部、凹部、スリット及び貫通孔の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述の実施形態の内容に限られず適宜変更可能である。
【0068】
例えば、長手方向D1に延びる長辺と周方向D2に延びる短辺とを有する長方形状の複数の凸部及び複数の凹部が配置されていてもよい。また、本開示に係る抱き枕は、1つの凸部、及び1つの凹部5cを備えた抱き枕であってもよいし、スリット及び貫通孔の少なくともいずれかが省略された抱き枕であってもよい。
【0069】
また、前述の実施形態では、第1内面4c、第2内面4f及び拡張孔部4dを有すると共に抱き枕1の一端面1bから他端面1cまで延びる貫通孔4bについて例示した。しかしながら、抱き枕の貫通孔の形状は上記の貫通孔4bの例に限られず適宜変更可能である。また、貫通孔の大きさ、数及び配置態様についても適宜変更可能である。更に、本開示に係る抱き枕は、貫通孔4bに代えて、一端面1bから抱き枕1の長手方向D1の途中部分まで延びる穴部を有していてもよい。
【0070】
また、前述の実施形態では、逆U字状とされておりくびれ部5wを有する凸部5sについて説明した。しかしながら、凸部の形状は、くびれ部5wを有する逆U字状に限られず適宜変更可能である。凹部の形状についても適宜変更可能である。例えば、凹部及び凸部は、抱き枕の周方向に沿って矩形波状とされていてもよい。
【0071】
また、前述の実施形態では、第1材料層2、第2材料層3及び中芯4の3層構造を有し、第1材料層2、第2材料層3及び中芯4の材料が互いに異なる抱き枕1について説明した。しかしながら、抱き枕が有する層の数は、3層に限られず、2層以下、又は4層以上であってもよい。また、抱き枕の複数の層のうちのいずれかが互いに同一の材料によって構成されていてもよい。このように、抱き枕の材料及び構成については適宜変更可能である。
【0072】
また、前述の実施形態では、円柱状とされており、長手方向D1に直交する面で切断したときの断面形状が円形状とされている抱き枕1について説明した。しかしながら、本開示に係る抱き枕は、長円柱状、楕円柱状又は角柱状であってもよい。すなわち、抱き枕の断面形状は長円状、楕円形状又は多角形状であってもよい。このように、抱き枕の全体及び各部の形状は、各請求項に記載した要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…抱き枕、1b…一端面、1c…他端面、2…第1材料層、2b…第1領域、2c…第2領域、2d…第3領域、2f…第4領域、2g…第5領域、3…第2材料層、4…中芯、4b…貫通孔、4c…第1内面、4d…拡張孔部、4f…第2内面、5b…第1凸部、5c…凹部、5f…凹凸、5g…窪み、5h…環状凹部、5j…スリット、5k…底面、5m…第2凸部、5p…第3凸部、5q…第1凹部、5r…第2凹部、5s…凸部、5t…頂部、5v…根元部、5w…くびれ部、10…表面層、C…中心、D1…長手方向、D2…周方向、L1…長さ、L2…直径。
図1
図2
図3
図4